(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】血管作用性小腸ペプチド(VIP)アンタゴニストの組成物及び用途
(51)【国際特許分類】
C12N 15/11 20060101AFI20220111BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20220111BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20220111BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220111BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20220111BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20220111BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20220111BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20220111BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20220111BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220111BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20220111BHJP
A61K 47/69 20170101ALI20220111BHJP
C07K 14/00 20060101ALI20220111BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20220111BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20220111BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20220111BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20220111BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20220111BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20220111BHJP
【FI】
C12N15/11 Z
A61K38/16
A61P37/06
A61P35/00
A61P31/12
A61K9/48
A61K9/20
A61K9/14
A61K9/16
A61K9/08
A61K9/12
A61K47/69
C07K14/00
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N5/0783
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021527094
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(85)【翻訳文提出日】2021-07-13
(86)【国際出願番号】 US2019061760
(87)【国際公開番号】W WO2020102694
(87)【国際公開日】2020-05-22
(32)【優先日】2018-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504391260
【氏名又は名称】エモリー ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ウォーラー エドムント ケー.
(72)【発明者】
【氏名】リー イウェン
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィンドラナサン シュルティ
(72)【発明者】
【氏名】リー ジェン-ミン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065CA24
4B065CA44
4C076AA12
4C076AA25
4C076AA29
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC07
4C076CC27
4C076CC35
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA08
4C084BA19
4C084BA23
4C084CA53
4C084DC50
4C084MA13
4C084MA17
4C084MA34
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA41
4C084MA43
4C084NA05
4C084ZB08
4C084ZB26
4C084ZB33
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA18
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、癌及びウイルス感染の治療又は予防を管理する場合の用途のためのVIPアンタゴニストに関する。特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示されるペプチドとしてVIPアンタゴニストのキメラ変異体及び同変異体を含む医薬組成物に関する。特定の実施形態において、本開示は、免疫細胞を刺激して、免疫細胞を本明細書に開示されるペプチドとin vitroに混合し、さらに癌治療を必要とする対象に刺激を受けた免疫細胞の有効量を投与することによって、癌を標的にする方法を熟慮している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
K P R R P Y X
1 X
2 N X
3 T X
4 L R K Q X
5 A V X
6 K Y X
7 N X
8 I L N(SEQ ID NO:11)を含むペプチドであって、X
1はA又は任意のアミノ酸であり、
X
2はV又は任意のアミノ酸であり、
X
3はC又は任意のアミノ酸であり、
X
4はS又は任意のアミノ酸であり、
X
5はI又は任意のアミノ酸であり、
X
6はN又は任意のアミノ酸であり、
X
7はM又は任意のアミノ酸であり、
X
8はI又は任意のアミノ酸であり、
ただし、前記ペプチドがKPRRPYTDNYTRLRKQMAVKKYLNSILN(SEQ ID NO:1)又は前記組み合わせでない場合、X
1はTであり、X
2はDであり、X
3はYであり、X
4はRであり、X
5はMであり、X
6はKであり、X
7はLであり、X
8はSである、ペプチド。
【請求項2】
K P R R P Y X
1 X
2 N X
3 T X
4 L R K Q X
5 A V X
6 K Y X
7 N X
8 I L N(SEQ ID NO:11)を含む又はからなる請求項1に記載のペプチドであって、
X
1はA又はTであり、X
2がVであり、X
3がCであり、X
4がSであり、X
5がIであり、X
6がNであり、X
7がMであり、又はX
8がIである場合のみ、X
1はTであり、
X
2はV又はDであり、X
1がAであり、X
3がCであり、X
4がSであり、X
5がIであり、X
6がNであり、X
7がMであり、又はX
8がIである場合のみ、X
2はDであり、
X
3はC又はYであり、X
1がAであり、X
2がVであり、X
4がSであり、X
5がIであり、X
6がNであり、X
7がMであり、又はX
8がIである場合のみ、X
3はYであり、
X
4はS又はRであり、X
1がAであり、X
2がVであり、X
3がCであり、X
5がIであり、X
6がNであり、X
7がMであり、又はX
8がIである場合のみ、X
4はRであり、
X
5はI又はMであり、X
1がAであり、X
2がVであり、X
3がCであり、X
4がSであり、X
6がNであり、X
7がMであり、又はX
8がIである場合のみ、X
5はMであり、
X
6はN又はKであり、X
1がAであり、X
2がVであり、X
3がCであり、X
4がSであり、X
5がIであり、X
7がMであり、又はX
8がIである場合のみ、X
6はKであり、
X
7はM又はLであり、X
1がAであり、X
2がVであり、X
3がCであり、X
4がSであり、X
5がIであり、X
6がNであり、又はX
8がIである場合のみ、X
7はLであり、
X
8はI又はSであり、X
1がAであり、X
2がVであり、X
3がCであり、X
4がSであり、X
5がIであり、X
6がNであり、又はX
7がMである場合のみ、X
8はSである、ペプチド。
【請求項3】
KPRRPYTDNYTRLRKQMAVKKYLNLILN(SEQ ID NO:10)を含む、請求項1に記載のペプチド。
【請求項4】
前記ペプチドにおいてアミノ、カルボキシル、ヒドロキシル、又はチオール基が置換される、請求項1に記載のペプチド。
【請求項5】
前記ペプチドがナノ粒子に結合される、請求項1に記載のペプチド。
【請求項6】
請求項1に記載のペプチド及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項7】
カプセル、錠剤、丸剤、粉末、又は顆粒剤の形態である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
無菌pH緩衝水性塩溶液の形態である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項9】
液体を噴霧するように構成される容器又は噴霧剤を有する密封容器の形態である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項10】
プロモーターと操作可能に組み合わされる請求項1~4のいずれか一項に記載のペプチドをコードする核酸。
【請求項11】
請求項1に記載の核酸を含む組み換えベクター。
【請求項12】
請求項7に記載の組み換えベクターを含む細胞。
【請求項13】
T細胞を請求項1~4のいずれか一項に記載のペプチドと混合することを含むT細胞の活性を増加させ、ex vivoに増殖させる方法。
【請求項14】
T細胞の混合は、抗CD3抗体及び/又は抗CD28抗体と組み合わせる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
T細胞の混合は、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼδ(PI3Kδ)阻害剤と組み合わせる、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
関連出願の相互参照
本出願は2018年11月15日に出願された米国仮特許出願第62/768,060号の利益を主張する。本出願の全体は全ての目的について参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
オフィス電子ファイリングシステム(EFS-WEB)を介したテキストファイルとして提出される材料の参照による組み込み
本出願に関連する配列表は紙コピーの代わりにテキスト形式で提供され、参照により明細書に組み込まれる。配列表を含むテキストファイルの名前は、18223PCT_ST25.txtである。テキストファイルは12KBであり、2019年11月15日に作製され、EFSWebを介して電子的に提出される。
[背景技術]
【0003】
血管作用性小腸ペプチド(VIP)は、中枢神経系の免疫細胞、ニューロン及び内分泌細胞を含む様々な細胞で産生される。内在性のVIPは、気道平滑筋の神経及び肺の肺血管に存在し、VIPは気管支拡張薬として機能する。VIPは、VIP受容体VPAC1及びVPAC2によって、細胞増殖及び炎症性シグナルの生成を変化させる能力も有する。VIPhybと呼ばれるキメラペプチドは膜透過性に続いてVIPのC末端22アミノ酸配列を提供するN末端配列を有して発現された。未変性VIPの6つのN末端アミノ酸が置換されたため、VIPhybはVIPアンタゴニストとして作用する生物活性を変化させた。VIPアンタゴニストは米国特許第6,630,124号及び第5,217,953号にも報告されている。
【0004】
伝統的に、癌治療は通常、外科手術、化学療法及び放射線治療を使用する。しかしながら、癌性細胞を攻撃する免疫システムを強化する代替の方法が報告されている。これらの方法は、免疫システムを標的にし、刺激して、アグレッシブに癌性細胞を取り除くために、T細胞を回収、増幅及び変化することを含む。キメラ抗原受容体(CAR)T細胞治療において、単離されたT細胞を設計して、キメラタンパク質を発現し、患者に戻される。しかしながら、改善された治療を特定する必要がある。
【0005】
Petersenらは、VIPhybの投与が急性白血病のマウスモデルにおける自家抗白血病T細胞反応を増強することを報告している。Oncoimmunology、2017、6(5):e1304336。Petersenらは、T細胞の増殖を改善することを報告し、PI3Kδ阻害剤及びVIPアンタゴニストによるex vivo治療を使用して養子T細胞療法のために機能する。Blood Adv.2018、2(3):210-223。
【0006】
本明細書に記載の参考文献は先行技術の承認ではない。
[発明の概要]
【0007】
本開示は、癌及びウイルス感染の治療又は予防を管理する場合の用途のためのVIPアンタゴニストに関する。特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示されるペプチドとしてVIPアンタゴニストのキメラ変異体及び同変異体を含む医薬組成物に関する。特定の実施形態において、本開示は、免疫細胞を刺激して、免疫細胞を本明細書に開示されるペプチドとin vitroに混合し、さらに癌治療を必要とする対象に刺激を受けた免疫細胞の有効量を投与することによって、癌を標的にする方法を熟慮している。
【0008】
特定の実施形態において、VIPアンタゴニストはK P R R P Y X1 X2 N X3 T X4 L R K Q X5 A V X6 K Y X7 N X8 I L N(SEQ ID NO:11)を含むペプチドであり、X1はA又は任意のアミノ酸であり、X2はV又は任意のアミノ酸であり、X3はC又は任意のアミノ酸であり、X4はS又は任意のアミノ酸であり、X5はI又は任意のアミノ酸であり、X6はN又は任意のアミノ酸であり、X7はM又は任意のアミノ酸であり、X8はI又は任意のアミノ酸であり、ペプチドがKPRRPYTDNYTRLRKQMAVKKYLNSILN(SEQ ID NO:1)又は組み合わせでない場合、X1はTであり、X2はDであり、X3はYであり、X4はRであり、X5はMであり、X6はKであり、X7はLであり、X8はSである。
【0009】
特定の実施形態において、ペプチドはK P R R P Y X1 X2 N X3 T X4 L R K Q X5 A V X6 K Y X7 N X8 I L N(SEQ ID NO:11)を含み又はからなり、X1はA又はTであり、X2がVであり、X3はCであり、X4はSであり、X5はIであり、X6はNであり、X7はMであり、又はX8はIである場合のみX1はTであり;X2はV又はDであり、X1がAであり、X3はCであり、X4はSであり、X5はIであり、X6はNであり、X7はMであり、又はX8はIである場合のみX2はDであり、;X3はC又はYであり、X1がAであり、X2はVであり、X4はSであり、X5はIであり、X6はNであり、X7はMであり、又はX8はIである場合のみX3はYであり;X4はS又はRであり、X1がAであり、X2はVであり、X3はCであり、X5はIであり、X6はNであり、X7はMであり、又はX8はIである場合のみX4はRであり;X5はI又はMであり、X1がAであり、X2はVであり、X3はCであり、X4はSであり、X6はNであり、X7はMであり、又はX8はIである場合のみX5はMであり;X6はN又はKであり、X1がAであり、X2はVであり、X3はCであり、X4はSであり、X5はIであり、X7はMであり、又はX8はIである場合のみX6はKであり;X7はM又はLであり、X1がAであり、X2はVであり、X3はCであり、X4はSであり、X5はIであり、X6はNであり、又はX8はIである場合のみ、X7はLであり;X8はI又はSであり、X1がAであり、X2はVであり、X3はCであり、X4はSであり、X5はIであり、X6はNであり、又はX7はMである場合のみX8はSである。
【0010】
特定の実施形態において、ペプチドは、
KPRRPYADNYTRLRKQMAVKKYLNSILN(SEQ ID NO:3)、
KPRRPYTVNYTRLRKQMAVKKYLNSILN(SEQ ID NO:4)、
KPRRPYTDNCTRLRKQMAVKKYLNSILN(SEQ ID NO:5)、
KPRRPYTDNYTSLRKQMAVKKYLNSILN(SEQ ID NO:6)、
KPRRPYTDNYTRLRKQIAVKKYLNSILN(SEQ ID NO:7)、
KPRRPYTDNYTRLRKQMAVNKYLNSILN(SEQ ID NO:8)、
KPRRPYTDNYTRLRKQMAVKKYMNSILN(SEQ ID NO:9)、又は
KPRRPYTDNYTRLRKQMAVKKYLNLILN(SEQ ID NO:10)を含む又はからなる。
【0011】
特定の実施形態において、本明細書に開示されるペプチドのアミノ、カルボキシル、ヒドロキシル、又はチオール基は置換される。特定の実施形態において、ペプチドはナノ粒子に結合される。特定の実施形態において、本開示は、標識、例えば蛍光又は放射性を有する本明細書に開示されるペプチドを熟慮する。
【0012】
特定の実施形態において、本開示は、医薬組成物等の組成物及び本明細書に開示されるペプチドを含む細胞増殖培地に関する。特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示されるペプチド及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。特定の実施形態において、医薬組成物は、カプセル、錠剤、丸剤、粉末、又は顆粒剤の形態である。特定の実施形態において、医薬組成物は、無菌pH緩衝水性塩溶液の形態である。特定の実施形態において、医薬組成物は、液体を噴霧するように構成される容器又は噴霧剤を有する密封容器の形態である。
【0013】
特定の実施形態において、本開示は、プロモーターと操作可能に組み合わせて本明細書に開示されるペプチドをコードする核酸に関する。特定の実施形態において、本開示は、プロモーターと操作可能に組み合わせて本明細書に開示されるペプチドをコードする核酸を含む組み換えベクターに関する。特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示される組み換えベクターを含む発現系又は細胞に関する。
【0014】
特定の実施形態において、本開示は、癌に対する免疫反応を治療又は増強する、又は癌を治療する方法に関し、本明細書に開示されるペプチドの有効量をそれを必要とする対象に投与することを含む。特定の実施形態において、ペプチドは、別の化学療法剤と組み合わせて投与される。
【0015】
特定の実施形態において、本開示は、T細胞活性及びex vivo増殖を増加させる方法に関し、T細胞を本明細書に開示されるペプチドと混合することを含む。特定の実施形態において、T細胞の混合は、抗CD3抗体及び/又は抗CD28抗体と組み合わせる。特定の実施形態において、T細胞の混合は、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼδ(PI3Kδ)阻害剤と組み合わせる。
【0016】
特定の実施形態において、本開示は、対象の宿主対移植片疾患を治療又は予防する方法に関し、本明細書に開示されるペプチドの有効量を、移植された同種異系組織又は細胞を投与される、又は投与された対象に投与することを含む。
【0017】
特定の実施形態において、本開示は、癌治療の方法に関し、対象を放射線に暴露すること、及び/又は化学療法剤を対象に投与すること、同種異系造血性幹細胞を対象に移植すること、本明細書に開示されるペプチドを対象に投与することを含む。
【0018】
特定の実施形態において、本開示は、ウイルス感染を管理する方法に関し、本明細書に開示されるペプチドの有効量をそれを必要とする対象に投与することを含む。
【0019】
特定の実施形態において、対象は哺乳動物、通常はヒトである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、内部のアミノ酸がSEQ ID NO:1のVIPhybと異なる拮抗性ペプチドを示す。未変性VIPはSEQ ID NO:2である。配列は、内部のアミノ酸(「ANT」と標識される)の存在又は不在に応じて、ANT-1~8と名付けられる。特に、ANT-1は、アミノ酸7位、SEQ ID NO:3において、アミノ酸TからAの置換を有する。ANT-2配列は、アミノ酸位置番号8、SEQ ID NO:4において、DからVのアミノ酸置換を有する。ANT-3ペプチドは、アミノ酸位置番号10、SEQ ID NO:5において、YからCのアミノ酸置換を有する。ANT-4配列は、アミノ酸位置番号12、SEQ ID NO:6において、RからSのアミノ酸置換を有する。ANT-5配列は、アミノ酸位置番号17、SEQ ID NO:7において、MからIのアミノ酸置換を有する。ANT-6配列は、アミノ酸位置番号20、SEQ ID NO:8において、KからNのアミノ酸置換を有する。ANT-7配列は、アミノ酸位置番号23、SEQ ID NO:9において、LからMのアミノ酸置換を有する。ANT-8配列は、アミノ酸位置番号25、SEQ ID NO:10において、SからLのアミノ酸置換を有する。
【
図2】
図2は、オリジナルVIPhyb及びAnt1~Ant8の存在下で、24時間のT細胞増殖に関するデータを示す。ルシフェラーゼ+C57/BL6マウスからのT細胞を収集し、1μMのオリジナルVIPhyb、Ant-1、Ant-2、Ant-3、Ant-4、Ant-5、Ant-6、Ant-7又はAnt-8の存在下で、1μg/mlの抗CD3抗体及び30U/mlのIL-2と共に96ウェルプレートに培養した。
【
図3】
図3は、オリジナルVIPhyb及びAnt8の存在下で、24時間のT細胞増殖に関するデータを示す。ルシフェラーゼ+ C57/BL6マウスからのT細胞を収集し、0.5μM、1μM又は3μMのオリジナルVIPhyb又はAnt-8の存在下で、0.5μg/ml又は1μg/mlのいずれかの抗CD3抗体及び30U/mlのIL-2と共に96ウェルプレートに培養した。
【
図4】
図4は、白血病細胞を静脈内に接種した日から7日間、マウスにVIPhyb、Ant8、又はPBSを皮下注射した場合のデータを示す。
【
図5】
図5は、ANT-8による治療を受けた白血病を有するマウス(C1498)の生存率のデータを示す。
【
図6A】
図6Aは、KPC lucを使用して、マウスルシフェラーゼトランスフェクト膵臓癌細胞株を免疫担当マウスの膵臓の尾に注射し、Ant-08及び/又はPD1による治療を行った場合のデータを示す。Ant-08+抗PD1による治療を受けたマウスにおいて、より緩慢な腫瘍成長速度が観察された。
【
図6B】
図6Bは、同所性KPCモデルにおける腫瘍量についてのデータを示す。屠殺の時点(24日目)に前述のマウスから単離した膵臓の腫瘍量を秤量した。Ant-08+抗PD1による治療を受けたマウスにおいて、有意な少ない腫瘍量が観察された。
【
図6C】
図6Cは、同所性KPCモデルにおけるCD+4 T細胞の浸潤についてのデータを示す。Ant-08+抗PD1による治療を受けたマウスの腫瘍にCD+4 T細胞の浸潤の増加が観察された。
【
図6D】
図6Dは、26日目のマウスのIVIS及びMRI画像を示す。これらのマウスからの腫瘍をH&E及びCD4を介して染色した。
【
図7】
図7は、抗CD3/28ビーズ及び30U/mLのIL-2によるex vivoの増殖の間、慢性リンパ性白血病(CLL)ドナーからのT細胞の収率を増加させることを示すANT8を使用したデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示をより詳細に記載する前に、本開示は記載の特定の実施形態に限定されず、当然のことながら変更することができることを理解しておきたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを記載するためにあり、本開示の範囲は添付の請求項によってのみ限定されるため、限定することを意図しないことも理解しておきたい。
【0022】
他に定義されない限り、本明細書で使用される技術及び科学用語の全ては本開示が属する技術分野の当業者によって共通して理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載される方法及び材料と類似又は等価の任意の方法及び材料は、本開示の実行又は試験に使用することもでき、好ましい方法及び材料が記載される。
【0023】
本明細書に記載の刊行物及び特許の全ては、あたかもそれぞれ個別の刊行物又は特許が参照により特別に、個別に組み込まれることを示すように、参照により本明細書に組み込まれ、参照により本明細書に組み込まれて、刊行物に記載されるものに関連して方法及び/又は材料を記載する。任意の刊行物の記載は、提出日の前に先行して開示するためにあり、本開示には、先行する開示によってこの刊行物に先立つことを主張する権利がないことの承認として、解釈されるべきではない。さらに、提供される刊行物の日付は、個別に確認される必要があるかもしれない実際の発行日と異なる場合がある。
【0024】
本開示を読む場合に当業者に明らかであるように、本明細書に記載され、説明される個別の実施形態のそれぞれは、本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、任意のその他のいくつかの実施形態の特徴から容易に分離される又は組み合わせることができる別々の要素及び特徴を有する。記載の任意の方法は、記載のイベントの順序で、又は論理的に可能な任意のその他の順序で実行することができる。
【0025】
本開示の実施形態は、他に示されない限り、当該技術分野の範囲内にある免疫学、薬学、有機化学、生化学、分子生物学、薬理学、物理学等の技術を採用する。この技術は、文献に充分に説明されている。
【0026】
本明細書及び添付の請求項に使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈においてそうではないことを明白に示してない限り、複数の参照物を含むことに留意すべきである。本明細書及び続く請求項において、反対の意図が明白でない限り、以下の意味を有するように規定されるいくつかの用語が参照される。
【0027】
「タンパク質」及び「ペプチド」という用語は、ペプチド結合を介して接合されるアミノ酸を含む化合物を指し、同義に使用される。アミノ酸は、自然発生又は非自然発生であってもよい。「キメラタンパク質」又は「融合タンパク質」は、タンパク質の異なる部分が異なる起源に由来し、分子全体は自然発生ではない分子である。キメラタンパク質は、自然状態で存在するのと同じように一緒に整列されない限り、異なる種の同じ種からのアミノ酸配列を含んでもよい。キメラタンパク質の例は、アミン側鎖基、例えば、リジンを含むアミノ酸、アスパラギン酸又はグルタミン酸等のカルボン酸側鎖基を含むアミノ酸、ポリヒスチジンタグ、例えば、典型的な4つ以上のヒスチジンアミノ酸を加える場合のように、任意の自然発生タンパク質と同一ではないC末端又はN末端に付着される1、2又はそれ以上のアミノ酸を含む本明細書に開示の配列を含む。
【0028】
アミノ酸配列を有するペプチドを参照して「含む」という用語は、追加のN末端(アミン端)又はC末端(カルボン酸端)アミノ酸を含み得るペプチドを指し、すなわち、この用語は、より大きいペプチドにアミノ酸配列を含むことを意図している。アミノ酸配列を有するペプチドを参照して「~からなる」という用語は、配列に厳密な数及びそれ以下のアミノ酸を有し、又は請求項に明示的に特定されるアミノ酸の範囲しか有しないペプチドを指す。特定の実施形態において、本開示は、「ペプチドのN末端がアミノ酸配列からなることができる」ことを熟慮し、これは、配列に厳密な数及びそれ以下のアミノ酸を有する、又は請求項に特定されるアミノ酸の範囲しか有しないペプチドのN末端を指すが、しかしながら、C末端は、例えば、より大きいペプチドの部分として、追加のアミノ酸に接続することができる。同様に、本開示は、「ペプチドのC末端がアミノ酸配列からなることができる」ことを熟慮し、これは、配列に厳密な数及びそれ以下のアミノ酸を有する、又は請求項に特定されるアミノ酸の範囲しか有しないペプチドのC末端を指すが、しかしながら、N末端は、例えば、より大きいペプチドの部分として、追加のアミノ酸に接続することができる。
【0029】
特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示される配列を含む組換えペプチド又はその融合物に関し、アミノ酸配列のアミノ末端又は炭素末端は、任意に、異種アミノ酸配列、標識又はレポーター分子に付着される。「標識」は、抗体又はタンパク質などの別の分子に直接的又は間接的に結合して、その分子の検出を容易にする検出可能な化合物又は組成物を指す。標識の特定の非限定的な例として、蛍光タグ、酵素結合、及び放射活性同位体が挙げられる。一例において、「標識受容体」は、受容体に異種ポリペプチドの組み込みを指す。標識として、放射標識されたアミノ酸の組み込み又は標識アビジン(例えば、蛍光マーカーを含むストレプトアビジン又は光学的若しくは比色分析方法によって検出することができる酵素活性)によって検出することができるポリペプチドへのビオチニル部分の共有結合が挙げられる。ポリペプチド及び糖タンパク質を標識する様々な方法は、当該技術分野で周知であり、使用することができる。ポリペプチドのための標識の例として、限定されないが、以下:放射性同位元素又は放射性核種(35S又は131I等)蛍光標識(フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、ランタニド蛍光体等)、酵素標識(西洋ワサビペルオキシダーゼ、βガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光マーカー、ビオチニル基、二次レポーターによって認識される所定のペプチドエピトープ(ロイシンジッパー一対の配列、二次抗体についての結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)、又はガドリニウムキレート剤等の磁性剤が挙げられる。いくつかの実施形態において、標識は、様々な長さのスペーサーアームによって付着されて、潜在的な立体障害を減少させる。
【0030】
本明細書で使用する場合、「誘導体」という用語は、同定された類似体の充分に機能的な属性を保持する構造的に同様のペプチドを指す。誘導体は1つ以上の原子を欠いている、例えば、アミノ基、ヒドロキシル、又はチオール基を、異なる水和/酸化状態で水素、置換される塩に置換しているため、又は限定されないが、酸素原子を硫黄原子に置換する、若しくはアミノ基をヒドロキシル基に置換するように、分子内の1つ以上の原子がスイッチされるため、構造的に類似していてもよい。誘導体はプロドラッグであってもよく、脂質、ポリエチレングリコール、糖、多糖を含んでもよい。誘導体は、結合基によって一緒に結合される2つ以上のペプチドであってもよい。結合基は生分解性であってもよいことが熟慮される。誘導体は、March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions, Mechanisms, and Structure、Wiley、6版(2007)Michael B. Smith or Domino Reactions in Organic Synthesis、Wiley(2006)Lutz F.Tietze、参照により組み込まれる、に提供される合成又は有機化学の教科書に示される任意の多様な合成方法又は適切な適応によって調製することができる。
【0031】
特定の実施形態において、本明細書に開示されるペプチドは、例えば、ポリエチレングリコールの付着、キメラペプチドになる別のペプチドの付着、芳香族基を含む蛍光染料、蛍光ペプチド、18F等の放射性核種を結合することができるキレート剤、N末端アセチル、プロピオニル基、ミリストイル及びパルミトイル基、又はN末端メチル化、又はC末端アルキルエステルの付着等の少なくとも1つの非自然発生の分子修飾を有する。特定の実施形態において、本開示は、市販のビオチニル化試薬を使用して標識される本明細書に開示されるペプチドを熟慮している。ビオチニル化ペプチドは、ストレプトアビジン親和性結合、精製及び検出に使用することができる。特定の実施形態において、本開示は、N-アジドアセチルグルコサミン及びN-アジドアセチルガラクトサミン等の自然発生の単糖類のアジド誘導体を含む本明細書に開示されるペプチドを熟慮している。
【0032】
特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示されるペプチドの誘導体を熟慮しており、1つ以上のアミノ酸を化学基で置換して、可溶性、及び血清半減期等の薬物動態学的特性を改善し、任意にリンカーによって接続する。特定の実施形態において、このような誘導体は、プロドラッグであってもよく、置換基若しくはリンカーは生分解性であり、又は置換基若しくはリンカーは生分解性ではない。特定の実施形態において、熟慮される置換基として、糖、多糖、アセチル、脂肪酸、脂質及び/又はポリエチレングリコールが挙げられる。置換基は、リンカーによって任意に接続されるペプチドのC末端又はN末端において、アミド結合を形成することによって、共有結合されてもよい。特定の実施形態において、例えば、本明細書に開示される配列を含むペプチド内で、アスパラギン酸又はグルタミン酸等のカルボン酸側鎖基を含むリジン又はアミノ酸等のアミン側鎖基によって、置換基はペプチド内のアミノ酸によって共有結合されてもよいことが熟慮される。特定の実施形態において、置換基は、リンカーによって接続されてもよい本明細書に開示される配列において、システインによって共有結合されてもよいことが熟慮される。特定の実施形態において、置換基は、システインアミノ酸側基とジスルフィドを形成するリンカーによって接続される。
【0033】
「置換される」という用語は、分子を指し、少なくとも1つの水素原子は置換基で置換される。置換される場合、基の1つ以上は「置換基」である。分子は多重置換であってもよい。オキソ置換基(「=O」)の場合、2つの水素原子が置換される。この文脈における例示的な置換基として、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノ、オキソ、カルボシクリル、カルボシクロアルキル、ヘテロカルボシクリル、ヘテロカルボシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、-NRaRb、-NRaC(=O)Rb、-NRaC(=O)NRaNRb、-NRaC(=O)ORb、-NRaSO2Rb、-C(=O)Ra、-C(=O)ORa、-C(=O)NRaRb、-OC(=O)NRaRb、-ORa、-SRa、-SORa、-S(=O)2Ra、-OS(=O)2Ra及び-S(=O)2ORaを挙げることができる。この文脈におけるRa及びRbは、同じであっても異なっていてもよく、独立して、水素、ハロゲンヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、アルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボシクリル、カルボシクロアルキル、ヘテロカルボシクリル、ヘテロカルボシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアリールアルキルであってもよい。置換基は、さらに置換されてもよい。
【0034】
本明細書で使用する場合、「脂質」基は、水に非常に不溶性の自然発生又は非自然発生の疎水性基を指す。本明細書で使用する場合、脂質基は、脂質の接続点が水素に置換され、得られる化合物は、水へのオクタンの可溶重量パーセントである、0.63x10-4%w/w(25℃)未満の水への可溶性を有するとき、高度に水不溶性であるとみなされる。Solvent Recovery Handbook、第2版、Smallwood、2002 by Blackwell Science、195頁を参照されたい。自然発生の脂質の例として、脂肪酸、グリセロ脂質、コレステロール、ステロイド、ポリケタイド及び誘導体に見られる飽和又は不飽和炭化水素鎖が挙げられる。非自然発生の脂質として、自然発生の脂質、アクリルポリマー、芳香族、及びアルキル化化合物及びその誘導体が挙げられる。
【0035】
「プロドラッグ」という用語は、in vivoで生物活性形態に変換される剤を指す。プロドラッグは、いくつかの状況において、親化合物よりも投与が容易になり得るため、有用なことが多い。プロドラッグは、親薬よりも医薬組成物への改善された可溶性も有し得る。プロドラッグは、酵素過程及び代謝加水分解を含む様々な機序によって親薬に変換されてもよい。典型的なプロドラッグは、薬学的に許容されるエステルである。プロドラッグは化合物を含み、ヒドロキシ、アミノ又はメルカプト(チオール)基は、活性化合物のプロドラッグが対象に投与される場合、切断して、それぞれ、遊離ヒドロキシ、遊離アミノ又は遊離メルカプト基を形成する任意の基に結合される。プロドラッグの例として、限定されないが、酢酸塩、ギ酸塩及びアルコール又はアセトアミドの安息香酸誘導体、並びに活性化合物等のアミン官能基のホルムアミド及びベンズアミド誘導体が挙げられる。
【0036】
例えば、開示されるペプチド又はペプチドの薬学的に許容される形態がカルボン酸官能基を含む場合、プロドラッグは、酸性基の水素原子を(C1-C8)アルキル、(C2-C12)アルカノイルオキシメチル、4~9個の炭素原子を有する1-(アルカノイルオキシ)エチル、5~10個の炭素原子を有する1-メチル-1-(アルカノイルオキシ)-エチル、3~6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、4~7個の炭素原子を有する1-(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、5~8個の炭素原子を有する1-メチル-1-(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3~9個の炭素原子を有するN-(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4~10個の炭素原子を有する1-(N-(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3-フタリジル、4-クロトノラクトニル、ガンマ-ブチロラクトン-4-イル、ジ-N,N-(C1-C2)アルキルアミノ(C2-C3)アルキル(ベータ-ジメチルアミノエチル等)、カルバモイル-(C1-C2)アルキル、N,N-ジ(C1-C2)アルキルカルバモイル-(C1-C2)アルキル及びピペリジノ-、ピロリジノ-又はモルホリノ(C2-C3)アルキル等の基で置換されることによって形成される薬学的に許容されるエステルを含むことができる。
【0037】
開示されるペプチド又はペプチドの薬学的に許容される形態がアルコール官能基を含む場合、プロドラッグは、アルコール基の水素原子を(C1-C6)アルカノイルオキシメチル、1-((C1-C6)アルカノイルオキシ)エチル、1-メチル-1((C1-C6)アルカノイルオキシ)エチル(C1-C6)アルコキシカルボニルオキシメチル、-N-(C1-C6)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C1-C6)アルカノイル、アルファ-アミノ(C1-C4)アルカノイル、アリールアシル及びアルファ-アミノアシル、又はアルファ-アミノアシル-アルファ-アミノアシル等の基に置換されることによって形成することができ、アルファ-アミノアシル基のそれぞれは独立して、自然発生のL-アミノ酸P(O)(OH)2、-P(O)(O(C1-C6)アルキル)2、及びグリコシルから選択される(炭水化物のヘミアセタール形態のヒドロキシル基を取り除くことから生じるラジカル)。
【0038】
開示されるペプチド又はペプチドの薬学的に許容される形態がアミン官能基を組み込む場合、プロドラッグは、アミン基の水素原子を、R-カルボニル、RO-カルボニル、NRR’-カルボニル等の基に置換されることによって形成することができ、R及びR’は、それぞれ独立して(C1-C10)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、ベンジル、自然のアルファ-アミノアシル、-C(OH)C(O)OY1であり、Y1はH、(C1-C6)アルキル又はベンジル、-C(OY2)Y3であり、Y2は(C1-C4)アルキルであり、Y3は(C1-C6)アルキル、カルボキシ(C1-C6)アルキル、アミノ(C1-C4)アルキル又はモノ-N若しくはジ-N,N-(C1-C6)アルキルアミノアルキル、-C(Y4)Y5であり、Y4はH又はメチルであり、Y5はモノ-N-又はジ-N,N-(C1-C6)アルキルアミノ、モルホリノ、ピペリジン-1-イル又ピロリジン-1-イルである。
【0039】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容されるエステル」として、限定されないが、酸性基のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル及びシクロアルキルエステルが挙げられ、限定されないが、カルボン酸、リン酸、ホスフィン酸、スルホン酸、スルフィン酸及びボロン酸が挙げられる。
【0040】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容されるエノールエーテル」として、限定されないが、式-C=C(OR)の誘導体が挙げられ、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル及びシクロアルキルから選択することができる。薬学的に許容されるエノールエステルとして、限定されないが、式-C=C(OC(O)R)の誘導体が挙げられ、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル及びシクロアルキルから選択することができる。
【0041】
「結合基」は、分子部分に一緒に架橋するために使用することができる任意の様々な分子配列を指す。例示的な式は-Rm-であってもよく、Rは、-CRmRm-、-CHRm-、-CH-、-C-、-CH2-、-C(OH)Rm、-C(OH)(OH)-、-C(OH)H、-C(Hal)Rm-、-C(Hal)(Hal)-、-C(Hal)H-、-C(N3)Rm-、-C(CN)Rm-、-C(CN)(CN)-、-C(CN)H-、-C(N3)(N3)-、-C(N3)H-、-O-、-S-、-N-、-NH-、-NRm-、-(C=O)-、-(C=NH)-、-(C=S)-、-(C=CH2)-として、各出現において、個別に、独立して選択され、R基の間に単結合、二重結合又は三重結合を個別に、独立して含むことができる。RがRmで分岐される場合、-CH3、-H、-CH=CH2、-CCH、-OH、-SH、-NH2、-N3、-CN、又は-Hal等の基で終わり、又は2つの分岐したRsは、環状構造を形成してもよい。特定の例において、合計のRs又は「m」は、100、又は50、又は25、又は10未満であってもよいことが熟慮される。結合基の例として、架橋アルキル基及びアルコキシアルキル基が挙げられる。結合基は、1つ以上の置換基で置換されてもよい。
【0042】
「核酸」という用語は、ヌクレオチドのポリマー、又はポリヌクレオチドを指す。この用語、1つの分子、又は分子の集まりを示すために使用される。核酸は、以下に記載されるように、一本鎖又は二本鎖であってもよく、コード領域及び様々な制御要素の領域を含んでもよい。
【0043】
特定のペプチドを「コードする核酸配列」という用語は、ペプチドのコード領域を含む核酸配列、又は言い換えればペプチド産物をコードする核酸配列を指す。コード領域は、cDNA、ゲノムDNA又はRNA形態のいずれかに存在してもよい。DNA形態に存在する場合、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、又は核酸は、一本鎖(すなわち、センス鎖)又は二本鎖であってもよい。エンハンサー/プロモーター等の適切な制御要素、スプライスジャンクション、ポリアデニレーションシグナル等は、一次RNA転写物の転写の適切な開始及び/又は正しい処理を可能にする必要がある場合、コード領域に密に近接して置かれてもよい。あるいは、発現ベクターに使用されるコード領域は、内在性のエンハンサー/プロモーター、スプライスジャンクション、介在配列、ポリアデニレーションシグナル等又は内在性と外因性の両方の制御要素の組み合わせを含んでもよい。
【0044】
「ベクター」又は「発現ベクター」という用語は、特定の宿主生物又は発現系、例えば、細胞又は無細胞において、操作可能に結合されたコード配列の発現に必要な所望のコード配列及び適切な核酸配列を含む組換え核酸を指す。原核生物における発現に必要な核酸配列は、通常、その他の配列と一緒のことが多いプロモーター、オペレーター(任意)、及びリボソーム結合部位を含む。真核生物細胞は、プロモーター、エンハンサー及び終了及び、ポリアデニレーションシグナルを使用することが知られている。
【0045】
タンパク質「発現システム」は、in vivo及びin vitro(無細胞)システムを指す。組換えタンパク質発現のためのシステムは、通常、テンプレートを含むDNA発現ベクターでトランスフェクトする細胞を使用する。この細胞は、所望のタンパク質を翻訳するような条件下で培養される。発現されたタンパク質は、続く精製のために抽出される。原核生物及び真核生物細胞を使用したin vivoのタンパク質発現システムは周知である。また、いくつかのタンパク質は、変性剤及びタンパク質リフォールディング手順を使用して回収される。in vitro(無細胞)タンパク質発現システムは、通常、RNAポリメラーゼ、制御タンパク質因子、転写因子、リボソーム、tRNA補助因子、アミノ酸及びヌクレオチド等の転写、翻訳及び任意の翻訳後修飾に充分な成分を含む全細胞又は組成物の翻訳適合性抽出物を使用する。発現ベクターの存在下で、これらの抽出物及び成分は、目的のタンパク質を合成することができる。無細胞システムは、通常、プロテアーゼを含まず、タンパク質を修飾アミノ酸で標識することができる。いくつかの無細胞システムは、発現ベクターに翻訳するためにコードされた成分を組み込んだ。例えば、Shimizuら、Cell-free translation reconstituted with purified components、2001、Nat.BioTechnol.、19、751-755及びAsahara&Chong、Nucleic Acids Research、2010、38(13):e141、両者とも参照によりその全体が組み込まれる、を参照されたい。
【0046】
「癌」は、細胞の増殖を特徴とする悪性腫瘍を有する任意の様々な細胞疾患を指す。疾患の細胞が実際に周囲組織に侵入し、新しい身体部位に転移しなければいけないことは意図しない。癌は、身体の任意の組織を含むことができ、それぞれの身体領域に多くの異なる形態を有することができる。特定の実施形態の文脈で、「癌が減少した」かどうかは、限定されないが、腫瘍量又は数の減少を観察すること、又は癌細胞のアポトーシスの増加が観察される、例えば、化合物を有しない対照に比べて、試料化合物について癌細胞のアポトーシスの5%超の増加が観察されるかどうかを含む当業者に周知の様々な診断様式によって特定することができる。前立腺癌についてのPSA、乳癌についてHER2又はその他等の関連のバイオマーカー又は遺伝子発現プロファイルの変化によっても特定することができる。
【0047】
本開示の文脈において治療対象の癌は、任意の種類の癌又は腫瘍であってもよい。これらの腫瘍又は癌として、限定されないが、造血性及びリンパ組織の腫瘍、又は造血性及びリンパ性悪性腫瘍、血液、骨髄、リンパ、リンパ系に影響する腫瘍が挙げられる。血液悪性腫瘍は、2つの主要な血液細胞系列:骨髄細胞株及びリンパ細胞株のいずれかに由来し得る。骨髄細胞株は、通常、顆粒球、赤血球、血小板、マクロファージ及びマスト細胞を産生し、リンパ細胞株はB、T、NK及びプラズマ細胞を産生する。リンパ腫、リンパ性白血病、及び骨髄腫は、リンパ株に由来し、急性及び慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群及び骨髄増殖性疾患は骨髄に由来する。
【0048】
結腸、腹部、骨、乳房、消化系、肝臓、膵臓、腹膜、内分泌腺(副腎、副甲状腺、脳下垂体、精巣、卵巣、胸腺、甲状腺)、目、頭頸部、神経系(中枢及び辺縁)、リンパ系、骨盤、皮膚、軟組織、脾臓、胸部及び尿生殖器に位置される腫瘍も熟慮され、より詳細には、前述の臓器系に位置する小児急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、成人(原発性)肝細胞癌、成人(原発性)肝臓癌、成人急性リンパ性白血病、成人急性骨髄性白血病、成人ホジキン病、成人ホジキンリンパ腫、成人リンパ性白血病、成人非ホジキンリンパ腫、成人原発性肝臓癌、成人軟部肉腫、AIDS関連リンパ腫、AIDS関連悪性腫瘍、肛門癌、星状細胞腫、胆道の癌、膀胱の癌、骨癌、脳幹神経膠腫、脳腫瘍、乳癌、腎盂及び尿管の癌、原発性中枢神経系リンパ腫、中枢神経系リンパ腫、小脳星状細胞腫、脳星状細胞腫、子宮頸部の癌(cancer of the cervix)、小児(原発性)肝細胞癌、小児(原発性)肝臓癌、小児急性リンパ芽球性白血病、小児急性骨髄性白血病、小児脳幹神経膠腫、小児小脳星状細胞腫、小児脳星状細胞腫、小児頭蓋外胚細胞腫瘍、小児ホジキンリンパ腫、小児ホジキンリンパ腫、小児視覚路及び視床下部神経膠腫、小児リンパ性白血病、小児髄芽腫、小児非ホジキンリンパ腫、小児テント上原始神経外胚葉性及び松果体腫瘍、小児原発性肝臓癌、小児性横紋筋肉腫、小児軟部肉腫、小児視覚路及び視床下部神経膠腫、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、内分泌膵島細胞癌、子宮内膜癌、上衣腫、上皮癌、食道癌、ユーイング肉腫及び関連腫瘍、膵外分泌部の癌、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管癌、眼癌、女性の乳癌、ゴーシェ病、胆嚢癌、胃癌、消化管カルチノイド、胃腸腫瘍、胚細胞性腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、頭頸部癌、肝細胞癌、ホジキン病、ホジキンリンパ腫、高ガンマグロブリン血症、下咽頭癌、腸癌、眼球内黒色腫、膵島細胞癌、膵島細胞膵臓癌(islet cell pancreatic cancer)、カポジ肉腫、腎臓癌、喉頭癌、口及び唇の癌(cancer of the lip and mouth)、肝臓癌、肺癌、リンパ増殖性疾患、マクログロブリン血症、男性の乳癌、悪性中皮腫、悪性胸腺腫、髄芽腫、メラノーマ、中皮腫、原発不明転移性頭頚部扁平癌(occult primary metastatic squamous neck cancer)、原発性転移性頭頚部扁平癌(primary metastatic squamous neck cancer)、転移性頭頚部扁平癌(metastatic squamous neck cancer)、多発性骨髄腫、多発性骨髄腫/血漿細胞腫瘍形成(plasmatic cell neoplasia)、骨髄異形成症候群、骨髄性白血病、骨髄性白血病、骨髄増殖性疾患、副鼻腔及び鼻腔癌、上咽頭癌、神経芽細胞腫、妊娠中の非ホジキンリンパ腫、非メラノーマ皮膚癌、非小細胞肺癌、潜在性原発を有する転移性扁平上皮頸部癌(metastatic squamous neck cancer with occult primary)、頬咽頭癌、悪性線維性組織球腫、骨の悪性線維性骨肉腫/組織球腫、上皮卵巣癌、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵癌、パラプロテイン血症、紫斑病、副甲状腺癌、陰茎癌、褐色細胞腫、下垂体腫瘍(hypophysis tumor)、形質細胞の腫瘍/多発性骨髄腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性肝臓癌、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、腎盂及び尿管の癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺の癌、サルコイドーシス、肉腫、皮膚癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟部肉腫、扁平上皮頸部癌、胃癌、松果体及びテント上原発性神経外胚葉性腫瘍、T細胞リンパ腫、精巣癌、胸腺腫、甲状腺癌、腎盂及び尿管の移行上皮癌、移行腎盂及び尿管癌、絨毛性腫瘍、腎盂及び尿管の癌、尿道の癌、子宮癌、子宮肉腫、膣癌、視覚路及び視床下部神経膠腫、外陰部の癌、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、ウィルムス腫瘍及び任意の他の過剰増殖性疾患、並びに腫瘍も熟慮される。
【0049】
「化学療法剤」、「化学療法薬」、「抗癌剤」等は、癌治療を助けるために認識された分子を指す。熟慮される例として、以下の分子又は誘導体が挙げられる、アレムツズマブ、トラスツズマブ、イブリツモマブチウキセタン、ブレンツキシマブベドチン、テモゾロミド、トラスツズマブ エムタンシン(ado-trastuzumab emtansine)、デニロイキンジフチトクス、ブリナツモマブ、インターフェロンアルファ、アルデスロイキン、カルムスチン、ベバシズマブ、プロカルバジン、ロムスチン、ビンクリスチン、ゲフィチニブ、エルロチニブ、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、5-フルオロウラシル、ゲムシタビン、テガフール、ラルチトレキセド、メトトレキサート、シトシンアラビノシド、ヒドロキシ尿素、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン-C、ダクチノマイシン、ミスラマイシン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン、パクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、エトポシド、テニポシド、アムサクリン、トポテカン、カンプトテシン、ボルテゾミブ、アナグレリド、タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、フルベストラント、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、シプロテロン、ゴセレリン、リュープロレリン、ブセレリン、メゲストロール、アナストロゾール、レトロゾール、ボロゾール、エキセメスタン、フィナステリド、マリマスタット、トラスツズマブ、セツキシマブ、ダサチニブ、イマチニブ、コンブレタスタチン、サリドマイド、アザシチジン、アザチオプリン、カペシタビン、クロラムブシル、シクロホスファミド、シタラビン、ダウノルビシン、ドキシフルリジン、エポチロン、イリノテカン、メクロレタミン、メルカプトプリン、ミトキサントロン、ペメトレキセド、チオグアニン、バルルビシン、リツキシマブ、及び/若しくはレナリドミドレナリドミド又は例えば、シクロホスファミド、メトトレキサート、5-フルオロウラシル(CMF);ドキソルビシン、シクロホスファミド(AC);ムスチン、ビンクリスチン、プロカルバジン、プレドニゾロン(MOPP);アドリアマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン(ABVD);シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニソロン(CHOP);リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニソロン(RCHOP);ブレオマイシン、エトポシド、シスプラチン(BEP);エピルビシン、シスプラチン、5-フルオロウラシル(ECF);エピルビシン、シスプラチン、カペシタビン(ECX);メトトレキサート、ビンクリスチン、ドキソルビシン、シスプラチン(MVAC)等のその組み合わせ。
【0050】
特定の実施形態において、癌治療は別の抗癌剤と組み合わせることができる。特定の実施形態において、抗癌剤は、アベマシクリブ、アビラテロン酢酸エステル、メトトレキサート、パクリタキセル、アドリアマイシン、アカラブルチニブ、ブレンツキシマブベドチン、ado-トラスツズマブエムタンシン、アフリベルセプト、アファチニブ、ネツピタント、パロノセトロン、イミキモド、アルデスロイキン、アレクチニブ、アレムツズマブ、ペメトレキセド二ナトリウム、コパンリシブ、メルファラン、ブリガチニブ、クロラムブシル、アミホスチン、アミノレブリン酸、アナストロゾール、アパルタミド、アプレピタント、パミドロン酸二ナトリウム、エキセメスタン、ネララビン、三酸化ヒ素、オファツムマブ、アテゾリズマブ、ベバシズマブ、アベルマブ、アキシカブタゲンシロルユーセル、アキシチニブ、アザシチジン、カルムスチン、ベリノスタット、ベンダムスチン、イノツズマブオゾガマイシン、ベバシズマブ、ベキサロテン、ビカルタミド、ブレオマイシン、ブリナツモマブ、ボルテゾミブ、ボスチニブ、ブレンツキシマブベドチン、ブリガチニブ、ブスルファン、イリノテカン、カペシタビン、フルオロウラシル、カルボプラチン、カーフィルゾミブ、セリチニブ、ダウノルビシン、セツキシマブ、シスプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、クロファラビン、コビメチニブ、カボザンチニブ-S-リンゴ酸塩、ダクチノマイシン、クリゾチニブ、イホスファミド、ラムシルマブ、シタラビン、ダブラフェニブ、ダカルバジン、デシタビン、ダラツムマブ、ダサチニブ、デフィブロチド、デガレリクス、デニロイキンジフチトクス、デノスマブ、デキサメタゾン、デクスラゾキサン、ジヌツキシマブ、ドセタキセル、ドキソルビシン、デュルバルマブ、ラスブリカーゼ、エピルビシン、エロツズマブ、オキサリプラチン、エルトロンボパグオラミン、エナシデニブ、エンザルタミド、エリブリン、ビスモデギブ、エルロチニブ、エトポシド、エベロリムス、ラロキシフェン、トレミフェン、パノビノスタット、フルベストラント、レトロゾール、フィルグラスチム、フルダラビン、フルタミド、プララトレキサート、オビヌツズマブ、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブオゾガマイシン、グルカルピダーゼ、ゴセレリン、プロプラノロール、トラスツズマブ、トポテカン、パルボシクリブ、イブリツモマブチウキセタン、イブルチニブ、ポナチニブ、イダルビシン、イデラリシブ、イマチニブ、タリモジーン・ラハーパレプベック、イピリムマブ、ロミデプシン、イクサベピロン、イキサゾミブ、ルキソリチニブ、カバジタキセル、パリフェルミン、ペンブロリズマブ、リボシクリブ、チサゲンレクロイセル、ランレオチド、ラパチニブ、オララツマブ、レナリドミド、レンバチニブ、ロイコボリン、リュープロリド、ロムスチン、トリフルリジン、オラパリブ、ビンクリスチン、プロカルバジン、メクロレタミン、メゲストロール、トラメチニブ、テモゾロミド、メチルナルトレキソン臭化物、ミドスタウリン、マイトマイシンC、ミトキサントロン、プレリキサホル、ビノレルビン、ネシツムマブ、ネラチニブ、ソラフェニブ、ニルタミド、ニロチニブ、ニラパリブ、ニボルマブ、タモキシフェン、ロミプロスチム、ソニデギブ、オマセタキシン、ペグアスパルガーゼ、オンダンセトロン、オシメルチニブ、パニツムマブ、パゾパニブ、インターフェロンアルファ-2b、ペルツズマブ、ポマリドミド、メルカプトプリン、レゴラフェニブ、リツキシマブ、ロラピタント、ルカパリブ、シルツキシマブ、スニチニブ、チオグアニン、テムシロリムス、サリドマイド、チオテパ、トラベクテジン、バルルビシン、バンデタニブ、ビンブラスチン、ベムラフェニブ、ボリノスタット、ゾレドロン酸、又はその組み合わせから選択される。
【0051】
特定の実施形態において、投与方法は、リンパ球が枯渇した(lymphodepleted)環境を有する対象にある。特定の実施形態において、リンパ球枯渇剤(lymphodepleting agent)は、シクロホスファミド及びフルダラビンである。
【0052】
本明細書で使用する場合、用語「イデラリシブ」は、化合物(S)-2-(1-(9H-プリン-6-イルアミノ)プロピル)-5-フルオロ-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン又はその代用の塩を指す。
【0053】
本明細書で使用する場合、「CD28及び/又はCD27に陰性であるT細胞」は、健康な対象にCD3表面抗原マーカーを発現する正常なT細胞と比べる場合、これらのマーカーの相対的な濃度の低発現又は乏しい発現を有することを指す。
【0054】
「蛍光活性細胞選別」又は「FACS」という用語は、それぞれの細胞の蛍光特徴、それぞれ印加される電荷、及び静電場を通した運動による分離に基づいて、細胞の混合物を2つ以上の領域、通常は、一度に1つの細胞に選別する方法を指す。通常、振動機序によって、細胞の流れを個別の液滴にする。液滴の形成のすぐ前に、流体にある細胞は、細胞の蛍光を測定するための領域を通過する。電荷機序は、この流れが液滴に分割する点で構成される。蛍光強度測定に基づいて、液滴は流れから分割するため、それぞれの電荷が液滴に課される。電荷された液滴は、その後、相対電荷に基づいて、液滴を領域に転じる静電偏向器を通って移動する。いくつかのシステムにおいて、電荷が流れに直接的に印加され、液滴の断絶状態は、流れと同符号の電荷を保持する。流れはその後、液滴が断絶した後に中立に戻る。他のシステムでは、液滴に反対の電荷を誘導する導管に電荷が提供される。細胞は通常、蛍光分子に結合することによって蛍光になるマーカーに特異的に結合する抗体と細胞を混合することによって蛍光になる。しかしながら、分子標識を使用することなどによって細胞を蛍光にする他の方法が熟慮されている。
【0055】
「基礎培地」は、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、リン酸塩、及び炭酸水素、ビタミン及び必須アミノ酸の塩を含む培地を指す。12個の必須アミノ酸は、L-アルギニン、L-システイン、L-グルタミン、L-ヒスチジン、L-イソロイシン、L-ロイシン、L-メチオニン、L-フェニルアラニン、L-スレオニン、L-トリプトファン、L-チロシン、及びL-バリンである。MEMは、炭酸水素又はグルタミン等の成分を補充されることが多い。特定の実施形態において、本開示は非必須アミノ酸:L-ala、L-asn、L-asp、L-glu、L-gly、L-pro及びL-serを補充した基礎培地も熟慮している。特定の実施形態において、本開示はヌクレオシド(リボヌクレオシド及び/又はデオキシリボヌクレオシド)を補充した基礎培地を熟慮している。
【0056】
核酸分子を参照する場合の「組換え」という用語は、分子生物学的技術によって、一緒に接合される核酸のセグメントからなる核酸分子を指す。タンパク質又はポリペプチドを参照する場合の「組換え」という用語は、組換え核酸分子を使用して発現されるタンパク質分子を指す。組換え核酸という用語は、相同の染色体との間で乗換えすることから生じる自然の組換えと区別される。本明細書で使用する場合の組換え核酸は、通常、異なる生物からの非相同源からの核酸の非自然結合である。
【0057】
「ベクター」又は「発現ベクター」という用語は、特定の宿主生物又は発現系、例えば、細胞又は無細胞において、操作可能に結合されたコード配列の発現に必要な所望のコード配列及び適切な核酸配列を含む組換え核酸を指す。原核生物における発現に必要な核酸配列は、通常、その他の配列と一緒のことが多いプロモーター、オペレーター(任意)、及びリボソーム結合部位を含む。真核生物細胞は、プロモーター、エンハンサー及び終了及び、ポリアデニレーションシグナルを使用することが知られている。
【0058】
「血管作用性小腸ペプチド」及び「VIP」という用語は、文脈でそうではないことを示唆していない限り、(SEQ ID NO:2)HSDAVFTDNYTRLRKQMAVKKYLNSILNを指す。VIPは、免疫細胞の分化及び活性の複数のレベルにおいて、生来の免疫と適応免疫の両方を調節する多官能性内在性ポリペプチドである。VIPは、通常、(中枢神経系と辺縁神経系の両方において)ニューロンB鎖細胞、T細胞及びアクセサリー細胞等の様々な細胞によって分泌される。VIP及び密接に関連する神経ペプチド脳下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)は、3つの周知の受容体VPAC1、VPAC2、及びPAC1に結合する。T細胞及び樹状細胞(DC)はVPAC1及びVPAC2を発現するが、PAC1は発現しないと考えられている。PAC1は、主に、脳及び脳下垂体及び副腎のニューロン及び内分泌細胞に発現し、最も多い形態では、PACAPに選択的に結合する。
【0059】
「対象」は、任意の動物、好ましくはヒト患者、家畜又は家庭用ペットを指す。
【0060】
本明細書で使用する場合、「予防する」及び「予防すること」という用語は、再発、拡散又は発症の予防を含む。本開示は完全な予防に限定することを意図しない。いくつかの実施形態において、発症が遅れ、又は疾患の重症度が低下する。
【0061】
本明細書で使用する場合、用語「治療する」及び「治療すること」は、対象(例えば患者)が治癒する、疾患が根絶する場合に限定されない。むしろ、本開示の実施形態は、症状の単なる減少、及び/又は疾患の進行の遅延という治療も熟慮している。
【0062】
本明細書で使用する場合、「~との組み合わせ」という用語は、薬が追加の治療の前、一緒に、若しくは後、又はその組み合わせに投与することができる追加の治療手段と投与することを記載するために使用される。
【0063】
組成物
特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示のペプチド、又はそのナノ粒子、又は任意に他の医薬品、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を熟慮している。
【0064】
特定の実施形態において、本開示は、医薬組成物等の組成物及び本明細書に開示されるペプチドを含む細胞増殖培地に関する。特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示されるペプチド及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。特定の実施形態において、医薬組成物は、カプセル、錠剤、丸剤、粉末、又は顆粒剤の形態である。特定の実施形態において、医薬組成物は、無菌pH緩衝水性塩溶液の形態である。特定の実施形態において、医薬組成物は、液体を噴霧するように構成される容器又は噴霧剤を有する密封容器の形態である。
【0065】
有効量は、in vitro又は動物モデル試験システムから生じる用量反応曲線から外挿することができる。本明細書に開示されるペプチド又はそのナノ粒子、又はその他の薬剤について、通常、患者の体重の0.0001mg/kg~100mg/kgの用量が投与される。好ましくは、患者の体重の0.0001mg/kg~20mg/kg、0.0001mg/kg~10mg/kg、0.0001mg/kg~5mg/kg、0.0001~2mg/kg、0.0001~1mg/kg、0.0001mg/kg~0.75mg/kg、0.0001mg/kg~0.5mg/kg、0.0001mg/kg~0.25mg/kg、0.0001~0.15mg/kg、0.0001~0.10mg/kg、0.001~0.5mg/kg、0.01~0.25mg/kg又は0.01~0.10mg/kgの用量が投与される。さらに、本明細書に開示されるペプチド又はそのナノ粒子又は薬剤の用量及び投与頻度は、例えば、自然又は人工肺サーファクタントのリピデーション(lipidation)及び封入等の変更によって摂取及び組織浸透を増加させることによって、減少させることができる。
【0066】
組成物は、医薬組成物(例えば、不純又は殺菌されていない組成物)及び単位剤形の調製に使用することができる医薬組成物(すなわち、対象又は患者への投与に適した組成物)の製造に有用な原薬組成物を含む。このような組成物は、本明細書に開示される予防的又は治療的有効量の予防薬及び/若しくは治療薬又はそれらの薬剤及び薬学的に許容される担体の組み合わせを含む。特定の実施形態において、医薬組成物は、脂質、コレステロール、脂肪酸、脂肪酸アルキルエステル、リノール酸、オレイン酸アラキドン酸、糖、多糖、シクロデキストリン、2-ヒドキシプロピル(シクロデキストリン)又はその組み合わせ等の可溶化剤である薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0067】
特定の実施形態において、薬学的に許容される賦形剤は、ラクトース、ショ糖、マンニトール、クエン酸トリエチル、ブドウ糖、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシルプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルN-ピロリドン、クロスポビドン、エチルセルロース、ポビドン、アクリル酸メチル及びアクリル酸エチルコポリマー、ポリエチレングリコール、ソルビトールの脂肪酸エステル、ラウリル硫酸、ゼラチン、グリセリン、グリセリルモノオレイン酸、二酸化ケイ素、二酸化チタン、タルク、コーンスターチ、ステアリン酸、ソルビン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ヒマシ油、鉱油、リン酸カルシウム、スターチ、スターチのカルボキシメチルエーテル、酸化鉄、トリアセチン、アカシアゴム、エステル、又はその塩から選択される。
【0068】
特定の実施形態において、医薬組成物は、腸溶コーティング、すなわち、腸環境の溶解又は崩壊を予防する経口薬に適用されるポリマーバリアによって取り囲まれる固体形態にある。腸溶コーティングに通常見られる化合物として、アクリル酸メチル-メタクリル酸コポリマー、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、セルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(ヒプロメロースアセタートサクシネート)、ポリ酢酸ビニルフタレート(PVAP)、メチルメタクリル酸-メタクリル酸コポリマー及びその組み合わせが挙げられる。
【0069】
特定の実施形態において、「薬学的に許容される」という用語は、連邦又は州政府の規制当局によって承認された、又は米国薬局方又は動物及びより特定的にはヒトに使用するためのその他の一般的に認識されている薬局方に列挙されていることを意味する。「担体」という用語は、希釈剤、アジュバント(例えばフロイントアジュバント(完全及び不完全))、賦形剤、又は治療薬が投与されるビヒクルを指す。このような薬学的担体は、自然肺サーファクタントと人工肺サーファクタントの両方、水及び油糖の無菌液体であってもよく、石油、動物、野菜又は合成由来、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油等が挙げられる。医薬組成物を静脈内投与する場合、水が好ましい担体である。生理食塩水溶液及び水性ブドウ糖及びグリセロール溶液も液体担体として、特に注射溶液のために使用することができる。適切な医薬賦形剤として、スターチ、グルコース、ラクトース、ショ糖、ゼラチン、モルト、米、小麦粉、白亜、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール等が挙げられる。望ましい場合、組成物は、少量の湿潤剤又は乳化剤、又はpH緩衝剤も含むことができる。これらの組成物は、溶液、懸濁液、乳液、錠剤、丸剤、カプセル、粉末、徐放性製剤等の形態を取ることができる。
【0070】
概して、組成物の成分は、例えば、活性剤の量を示すアンプル等の密閉容器における凍結乾燥粉末又は無水濃縮物として、単位剤形で別々に又は一緒に混合して供給される。組成物を注入によって投与する場合、無菌薬学グレード水又は生理食塩水を含む注入ボトルで分注することができる。組成物を注射によって投与する場合、注射のための無菌水又は生理食塩水のアンプルは、成分が投与前に混合されるように提供することができる。
【0071】
組成物は、中性又は塩形態として製剤化することができる。薬学的に許容される塩として、限定されないが、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸等に由来するアニオンで形成された塩、並びにナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカイン等のカチオンで形成された塩が挙げられる。
【0072】
一実施形態は、本明細書に開示されるペプチド又はそのナノ粒子又は本明細書に開示される剤を充填した1つ以上の容器を含む医薬品パック又はキットを提供する。さらに、疾患の治療に有用な1つ以上のその他の予防薬又は治療薬も医薬品パック又はキットに含むことができる。一実施形態は、医薬組成物の1つ以上の成分を充填した1つ以上の容器を含む医薬品パック又はキットを提供する。このような容器(複数可)に関連して、医薬品又は生物由来物質の製造、使用又は販売を規制する政府機関によって処方された形態の通告であってもよく、この通告は、ヒトへの投与のための製造、使用又は販売の期間による承認を反映する。
【0073】
特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示されるペプチド又はそのナノ粒子、並びに本明細書に開示される剤及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を熟慮している。特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示されるペプチド又はそのナノ粒子、又は本明細書に開示される剤を含む医薬品の製造、並びに本明細書に開示される方法のための用途を熟慮している。
【0074】
特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示されるペプチド又はそのナノ粒子、並びに本明細書に開示される剤及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。特定の実施形態において、組成物は、丸薬又はカプセルであり、又は組成物は、例えば、6~8のpHの水性緩衝液である。特定の実施形態において、薬学的に許容される賦形剤は、充填剤、滑剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤及び糖から選択される。
【0075】
経口注射に適した組成物は、薬学的に許容される無菌水溶液又は非水溶液、分散液、懸濁液又は乳液、及び無菌の注射可能な溶液又は分散液に再構成するための無菌粉末を含んでもよい。適切な水性及び非水性担体の例、希釈剤、溶媒又はビヒクルとして、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール等)、その適切な混合物、野菜(オリーブオイル、ゴマ油及びビスコレオ(viscoleo))、肺サーファクタント(自然と人工の両方)に組み込まれる調製物、及びオレイン酸エチル等の注射可能な有機エステルが挙げられる。
【0076】
微生物の活動の予防は、任意の様々な抗細菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等を添加することによって制御することができる。等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウム等を含めることも望ましい場合もある。注射可能な医薬品形態の長期にわたる吸収は、吸収を遅らせる剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを使用することによって実行することができる。
【0077】
経口投与のための固体剤形として、カプセル、錠剤、丸薬、粉末及び顆粒が挙げられる。このような固体剤形において、本明細書に開示されるペプチド若しくはそのナノ粒子、又は薬剤は、クエン酸ナトリウム若しくはリン酸二カルシウム等の少なくとも1つの不活性の通例の賦形剤(又は担体)、又は(a)充填剤又は増量剤、例えば、スターチ、ラクトース、ショ糖、グルコース、マンニトール及びケイ酸、(b)、結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖及びアカシア、(c)湿潤剤、例えばグリセロール、(d)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ若しくはタピオカデンプン、アルギニン酸、特定の複合ケイ酸塩、炭酸ナトリウム、(e)溶液抑制剤(solution retarder)、例えばパラフィン(f)吸収促進剤、例えば四級アンモニウム化合物、(g)湿潤剤、例えばセチルアルコール、グリセロールモノステアレート、(h)吸着剤、例えば、カオリン及びベントナイト並びに(i)潤滑剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体のポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、又はその混合物と混合してもよい。カプセル、錠剤及び丸薬の場合、剤形は、緩衝剤も含んでもよい。
【0078】
経口投与のための液体剤形として、薬学的に許容される乳液、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシル剤が挙げられる。本明細書に開示されるペプチド又はそのナノ粒子及び剤の他に、液体剤形は、水又はその他の溶媒等の当該技術分野で一般的に使用される不活希釈剤、可溶剤及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油、特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ胚芽油(corn germ oil)、オリーブオイル、ヒマシ油及びゴマ油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、又はこれらの物質の混合物等を含んでもよい。
【0079】
特定の実施形態において、製造工程が熟慮されており、2つの成分、本明細書に開示されるペプチド、又はそのナノ粒子、及び本明細書に開示される剤及び薬学的担体は、一緒に再構成する準備ができた合わされた乾燥形態で既に提供されている。他の実施形態において、本明細書に開示されるペプチド又はそのナノ粒子、本明細書に開示される任意の薬剤、及び薬学的担体を混合して、医薬組成物を提供することが熟慮されている。
【0080】
単純に、適切に薬学的に許容される希釈剤を容器の組成物に添加することによって、医薬組成物を提供することは、ワンステップ工程で可能である。特定の実施形態において、容器は、好ましくは、希釈剤に接触した後に、再構成された医薬組成物を投与するためにシリンジが好ましい。特定の実施形態において、本明細書に開示されるペプチド、又はそのナノ粒子、又は薬剤をシリンジに充填することができ、シリンジをその後ストッパーで閉じることができる。希釈剤は、所望の最終濃度を達成する量で使用される。医薬組成物は、イオン、緩衝剤、賦形剤、安定剤等のその他の有用な成分を含んでもよい。
【0081】
「乾燥した」医薬組成物は、通常、残留水分量だけを有し、比較可能な市販品の水分量に大方対応し得、例えば、乾燥産物として約12%の水分を有する。通常、本発明による乾燥した医薬組成物は、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下の水分量、特に1%以下の残留水分量を有する。医薬組成物は、より低い水分量、例えば0.1%又はそれ以下を有することもできる。特定の実施形態において、医薬組成物は、変性を防ぎ、貯蔵安定性を可能にするために、乾燥した状態で提供される。
【0082】
容器は、吸入器、シリンジ、バイアル、管等の医薬組成物を収容する(貯蔵する)のに適した任意の容器であってもよい。医薬組成物は、その後、作動又はシリンジの特定の針、又は適切なカテーテルを介して適用することができる。一般的な希釈剤は、注射のための水、NaCl(好ましくは50~150mM、特に110mM)、CaCl2(好ましくは10~80mM、特に40mM)、酢酸ナトリウム(好ましくは0~50mM、特に20mM)及びマンニトール(好ましくは最大10%w/w、特に2%w/w)を含む。好ましくは、希釈剤は、再構成された乾燥した組成物のpHを、好ましくはpH6.2~7.5、特にpH6.9~7.1に緩衝するために、緩衝剤又は緩衝系を含むこともできる。
【0083】
特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示されるペプチド、又はそのナノ粒子、又は薬剤、及び適切な希釈剤を任意に有する容器等の本明細書に記載の医薬組成物を含むキットを熟慮している。キットのさらなる要素は、使用のための説明書、吸入器、シリンジ、カテーテル、ブラッシュ等(組成物が投与手段でまだ提供されていない場合)の投与手段、又は代替針又はカテーテル、余分なバイアル、又はさらに損傷を覆う手段等の医療(手術)行為に使用するために必要なその他の要素であってもよい。特定の実施形態において、キットは、乾燥及び安定した止血用組成物を収容するシリンジ、及び希釈剤を含むシリンジ(又は別の希釈剤容器から希釈剤を取り出すために提供される)を含む。
【0084】
特定の実施形態において、希釈剤は、別々の容器に提供される。容器は、好ましくはシリンジであってもよい。シリンジの希釈剤は、その後、乾燥した組成物を再構成するために、容器に容易に適用することができる。容器もシリンジである場合、両方のシリンジは、パックに一緒に仕上げられ得る。したがって、シリンジの乾燥した組成物を提供することが好ましく、この乾燥した安定した組成物を再構成するために、薬学的に許容される希釈剤と共に希釈剤シリンジで仕上げられる。
【0085】
本明細書に開示される任意のペプチドは、可溶性、バイオアベイラビリティ、及び/又は生物的変性などの特性を改善するために、炭化水素又はポリエチレングリコール基で修飾されてもよいことが熟慮される。
【0086】
特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示されるペプチドをナノ粒子結合する方法に関する。特定の実施形態において、ナノ粒子は、ポロキサマー安定ポリプロピレンスルフィドからなる。特定の実施形態において、ナノ粒子は10~100nmの直径を有する。特定の実施形態において、ナノ粒子は、20~50nm、好ましくは30nmの直径を有する。
【0087】
特定の実施形態において、本開示は、ペプチド配列がナノ粒子に結合し、本明細書に開示されるペプチドに加えてC末端リンカーペプチド、GGGGSC(SEQ ID NO:15)を含む場合、本明細書に開示される粒子の使用を熟慮している。特定の実施形態において、粒子は、ペプチド配列、例えば、KPRRPYTDNYTRLRKQMAVKKYLNLILNGGGGSC(SEQ ID NO:12)を含む。特定の実施形態において、本明細書に開示されるペプチドの間の化学結合及びナノ粒子はジスルフィド結合である。
【0088】
特定の実施形態において、薬学的に許容される賦形剤は、エアロゾル化剤又はリン脂質である。特定の実施形態において、エアロゾル化剤は、ヒドロフルオロアルカン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン、プロパン、n-ブタン、イソブテン、二酸化炭素、空気、窒素、亜酸化窒素、ジメチルエーテル、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロプ-1-エン、又はその組み合わせである。特定の実施形態において、リン脂質は、ジパルミトイルホスファチジルコリン、パルミトイル-オレオイルホスファチジルグリセリン、ホスファチジルグリセリン、又はその組み合わせである。
【0089】
特定の実施形態において、医薬組成物は、ネブライザー、吸入器、又は医薬品(複数可)を噴霧するための圧力下で、任意に密封されたその他の容器に保存されてもよい。容器は、手動で作動させる、又は圧力をかける噴霧装置を含んでもよい。定量噴霧式吸入器(MDI)は、通常、押されると、吸入する医薬品の量を放出する手持ち式エアロゾルキャニスターを有する。ドライパウダー吸入器(DPI)は、医薬品を放出するための噴霧剤を使用しない。代わりに、ペプチド又はそのナノ粒子又は薬剤のドライパウダー形態が、呼吸をした後に肺に引き込まれる。特定の実施形態において、本明細書に開示されるペプチド又はそのナノ粒子を含む容器が装置に挿入される。装置のボタン又はセクションを押すと、容器に穴を開ける。装置のマウスピースを通って、容器に含まれる粉末を呼吸することができる。
【0090】
特定の実施形態において、医薬組成物は、自然発生又は非自然の肺サーファクタント組成物を含んでもよい。熟慮される自然の肺サーファクタント組成物は、通常、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ホスファチジルコリン、及びホスファチジルグリセロール(PG)、1~10%のサーファクタント関連タンパク質、アポリポタンパク質SP-A(SFTPA1)、B(SFTPB)、C(SFTPC)及びD(SFTPD)(SPは「サーファクタント関連タンパク質(surfactant-associated protein)」の略語である)、及び1~10%のコレステロール(中性脂肪)等の70~90%のリン脂質(PC)を含む。人工の肺サーファクタントとして、パルミチン酸コルホスセリル、展着剤として加えられるヘキサデカノール及びチロキサポールとのDPPCの混合物、プマクタント(Pumactant)(Artificial Lung Expanding Compound又はALEC)、DPPC及びPGの混合物、DPPC、パルミトイル-オレオイルホスファチジルグリセリン、及びSP-Bの構造的特徴を模倣する21アミノ酸合成ペプチドと組み合わせたパルミチン酸からなるKL-4が挙げられ、DPPC、PG、パルミチン酸、及び組換えSP-Cからなる組成物は、パルミトイル化されたシステインが存在せず、フェニルアラニンで置換されて、タンパク質オリゴマー化を取り除くことを除いて、ヒトSP-Cとほぼ同一の配列を共有する。熟慮される動物由来のサーファクタントとして、ウシ肺胞洗浄液及び(Survanta(商標))から抽出され、追加のDPPC、パルミチン酸及びトリパルミチンでウシミンチ肺から抽出されたベラクタント(Alveoafct(商標))、子ウシ肺胞洗浄液から抽出されたカルファクタント(Infasurf(商標))、及びブタミンチ肺に由来する物質から抽出されたポラクタントアルファ(poractant alfa)(Curosurf(商標))を含む。
【0091】
特定の実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、さらに、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、プレドニソン、モメタゾンフロ酸エステル、ロテプレドノールエタボン酸エステル、フルチカゾンプロピオン酸エステル、フルチカゾンフロ酸エステル、フルオシノロンアセトニド、デキサメタゾンシペシル酸エステル、デシソブチリルシクレソニド、クロベタゾールプロピオン酸エステル、シクレソニド、ブデソニド、ベクロメタゾンプロピオン酸エステル、アルクロメタゾンプロピオン酸エステル等のグルココルチコイド受容体アゴニスト;ロスマピモド等のp38アンタゴニスト;メチルキサンチン、テオフィリン、及びアミノフィリン等のホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤;選択的PDEアイソザイム阻害剤、PDE4阻害剤及びテトミラスト、ロフルミラスト、オグレミラスト、イブジラスト等のアイソフォームPDE4D;マラビロク、セニクリビロク、ナバリキシン等のケモカイン受容体機能のモジュレーター;ロイコトリエン生合成阻害剤、5-リポキシゲナーゼ(5-LO)阻害剤、及びリコフェロン、ジロートン、ザフィルルカスト、又はモンテルカスト等のTA270(4-ヒドロキシ-1-メチル-3-オクチルオキシ-7-シナピノイルアミノ-2(1H)-キノリノン)等の5-リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)アンタゴニスト;及びレスベラトロール及びピセタノール等のミエロペルオキシダーゼアンタゴニストから選択される呼吸器薬を含む。
【0092】
特定の実施形態において、本開示は、基礎培地及び本明細書に開示されるペプチド又はそのナノ粒子を含むin vitroの細胞培養組成物に関する。
【0093】
使用方法
特定の実施形態において、本開示は、癌治療の方法に使用するための本明細書に開示されるペプチド、例えば、Ant-8、KPRRPYTDNYTRLRKQMAVKKYLNLILN(SEQ ID NO:10)に関する。特定の実施形態において、本開示は、化学療法薬と任意に組み合わせた本明細書に開示されるペプチドの有効量を投与することを含む癌治療の方法を熟慮している。特定の実施形態において、本開示は、免疫チェックポイント分子に抗体を組み合わせて、任意にナノ粒子に結合される本明細書に開示されるペプチドを使用して、それを必要とする対象に、癌に対する免疫反応を治療する又は増加させる方法に関する。
【0094】
特定の実施形態において、対象は、メラノーマ、肺癌、腎臓癌、白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、骨髄腫、膀胱癌、膵臓癌、胃癌、食道癌、神経膠芽腫、結腸癌、乳癌及び前立腺癌の群から選択される癌であると診断されている。
【0095】
特定の実施形態において、免疫チェックポイント分子に対する抗体は、ペンブロリズマブ(Keytruda(商標))及びニボルマブ(Opdivo(商標))を含む抗-PD1抗体の群から選択される。特定の実施形態において、免疫チェックポイント分子に対する抗体は、アテゾリズマブ(Tecentriq(商標))、アベルマブ(Bavencio)、デュルバルマブ(Imfinzi(商標))を含む抗PDL1抗体の群から選択される。特定の実施形態において、免疫チェックポイント分子に対する抗体は、イピリムマブ(Yervoy(商標))である。
【0096】
特定の実施形態において、ペプチド治療薬は、静脈内又は皮下注射によって投与される。特定の実施形態において、ペプチド治療薬は、送達薬を肺胞に吸入することによって投与される。特定の実施形態において、ペプチド治療薬は、圧縮ガスによって駆動される手持ち式送達装置に投与される。特定の実施形態において、ペプチド治療薬は、無菌生理食塩水の溶液に溶解され、エアロゾルとして投与される。
【0097】
特定の実施形態において、本明細書に開示されるペプチドは、リンパ球輸注又は同種骨髄移植等の癌の治療に有効な特定の細胞免疫療法に使用されることが熟慮される。ドナー免疫細胞、特にNK細胞及びT細胞は、抗癌細胞毒性活性を有する。ペプチドのVIP拮抗作用は、in vivoの細胞免疫反応を増加させる。VIP拮抗作用は、抗原特異的T細胞及びNK細胞の細胞毒性活性を増加させる。VIP拮抗作用は、NK細胞又は抗原特異的T細胞の抗癌活性を増加させることが予想される。細胞免疫療法と合わせたVIP拮抗作用は、この治療の有効性を増加させることが予想される。VIPの非存在は、同種骨髄移植のレシピエントにおいて、ドナーのリンパ球の「オフターゲット」移植片対宿主病の活性を増加させないものと思われる。したがって、細胞治療、例えば、ドナーリンパ球輸注又は同種骨髄移植を受けている癌の対象にVIPアンタゴニストを投与することは、この治療の抗癌活性を増加させる。
【0098】
特定の実施形態において、本開示は、細胞治療に対する免疫反応を増加させる方法に関し、細胞と組み合わせて、本明細書に開示されるペプチドを対象に投与することを含む。特定の実施形態において、対象は白血病又はリンパ腫であると診断されている。特定の実施形態において、細胞は血液細胞、骨髄細胞、白血球、T細胞、ナチュラルキラー細胞、造血幹細胞、G-CSF動員又は非動員血液単核細胞である。
【0099】
特定の実施形態において、細胞は、自家T細胞、HLA適合ドナーからの同種異系細胞、又はHLA不適合ドナーからの同種異系細胞からなる群から選択される。特定の実施形態において、細胞は骨髄細胞である。特定の実施形態において、細胞は、顆粒球コロニー刺激因子を含む/発現する血液単核細胞である。細胞治療は、非動員血液単核細胞で実施されてもよい。
【0100】
特定の実施形態において、本明細書に開示されるペプチドは、レシピエント又はドナーを含む細胞ベースの免疫治療の前、間、又は後に、対象に投与することができることが熟慮される。免疫治療は、化学療法及び/又は放射線治療と組み合わせて実施してもよい。ペプチドは、限定されないが、CpGオリゴヌクレオチド、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子、インターフェロンアルファ、ペグ化インターフェロン、インターロイキン-12、インターロイキン-2、及びペグフィルグラスチムを含むその他の免疫刺激剤と組み合わせて使用してもよいことが熟慮される。
【0101】
特定の実施形態において、本開示は、対象の移植片対宿主病を治療又は予防する方法に関し、本明細書に開示されるペプチドの有効量を、造血幹細胞移植の後の対象に、又は移植された同種異系組織又は細胞を投与される、又は投与された対象に投与することを含む。特定の実施形態において、対象は、移植された同種異系造血幹細胞を投与された。特定の実施形態において、対象は、末梢血から分離された同種異系造血幹細胞を投与された。特定の実施形態において、対象は、同種異系造血幹細胞を投与される前に、化学療法から放射線治療を受けた。
【0102】
特定の実施形態において、本開示は、幹細胞移植を実施することによって、癌を治療する方法に関し、本明細書に開示されるペプチドを対象(自身)又はドナーに由来する多能性造血幹細胞の移植と組み合わせて、対象に投与することを含む。幹細胞は、臍帯血又はプラセンタ由来幹細胞又は骨髄から等の末梢血から回収することができる。移植された幹細胞の拒絶又は重度の移植片対宿主病のリスクを限定するために、ドナーは、通常、レシピエントとして実質的に同じヒト白血球抗原(HLA)を有するが、ドナーは、特定の抗原について不適合を有してもよい。
【0103】
特定の実施形態において、本開示は、血液悪性腫瘍(例えば、白血病又はリンパ腫等の血液又は骨髄の癌)を治療するために、造血前駆細胞移植の後にリンパ球輸注を提供する方法に関する。移植のレシピエントは、通常、オリジナルの同種異系幹細胞(造血前駆細胞)ドナーからの白血球除去術において得られたリンパ球を注入される。
【0104】
特定の実施形態において、本開示は、血液からのリンパ球の抽出、及び腫瘍抗原(複数可)に対するin vitroの増殖、及び適切な刺激サイトカイン及び/又は本明細書に開示されるペプチドを有する細胞の任意の暴露に関する。
【0105】
特定の実施形態において、本開示は、局所的免疫治療を増強する方法に関し、T細胞の活性を起こすインターフェロン産生薬を含む、イミキモド等の免疫増強クリームの提供を組み合わせて、本明細書に開示されるペプチドを投与することを含む。
【0106】
特定の実施形態において、本明細書に開示されるペプチドは、養子細胞治療と組み合わせて使用することができることが熟慮される。例えば、癌に対する自然発生の反応性を有するT細胞が対象の腫瘍に浸潤することが分かる。腫瘍は回収することができ、これらの腫瘍浸潤リンパ球(TIL)は増殖することができ、又はインターロイキン-2(IL-2)、抗CD3及びアロ反応性フィーダーをin vitroに使用してより効果的にすることができる。これらのT細胞は、その後、VIPアンタゴニストの投与と共に、対象に移すことができる。再輸注の前、レシピエントのリンパ球の枯渇(lymphodepletion)は、通常、制御T細胞及び移動された細胞と競合する正常な内在性リンパ球を取り除くために実施される。リンパ球の養子細胞移入は、癌抗原を認識するT細胞受容体(TCR)をコードするベクターで形質導入することができることも熟慮される。
【0107】
特定の実施形態において、本開示は、ヒトT細胞をVIPシグナル伝達の小分子アンタゴニストを含むナノ粒子とコインキュベーションすることによって、T細胞の活性化及びex vivoの増殖を増加させる方法に関する。特定の実施形態において、ヒトT細胞は、プレートに結合される抗CD3抗体で活性化される。特定の実施形態において、ヒトT細胞は、混合されたリンパ球反応において活性化される。特定の実施形態において、ヒトT細胞は、腫瘍関連抗原とコインキュベーションすることによって、in vitroに活性化される。特定の実施形態において、腫瘍関連抗原は、腫瘍微小胞に提示される。特定の実施形態において、活性化したヒトT細胞は、癌を有するヒト患者に注入される。
【0108】
特定の実施形態において、活性化したヒトT細胞は、癌を有するヒト患者に注入される。特定の実施形態において、癌を有するヒト患者は白血病を有する。特定の実施形態において、癌を有するヒト患者はリンパ腫を有する。特定の実施形態において、癌を有するヒト患者は多発性骨髄腫を有する。特定の実施形態において、癌を有するヒト患者は上皮癌を有する。特定の実施形態において、癌を有するヒト患者は肺癌を有する。特定の実施形態において、癌を有するヒト患者は乳癌を有する。特定の実施形態において、癌を有するヒト患者は結腸癌を有する。特定の実施形態において、癌を有するヒト患者は前立腺癌を有する。特定の実施形態において、癌を有するヒト患者は悪性メラノーマを有する。特定の実施形態において、癌を有するヒト患者は脳癌を有する。
【0109】
特定の実施形態において、本開示は、癌であると診断された対象を治療する方法に関し、本明細書に開示されるペプチドと組み合わせて、細胞をそれを必要とする対象に投与することを含む。特定の実施形態において、対象は白血病であると診断されている。特定の実施形態において、対象はリンパ腫であると診断されている。特定の実施形態において、細胞は血液単核細胞である。特定の実施形態において、細胞は骨髄細胞である。特定の実施形態において、細胞は白血球である。特定の実施形態において、細胞はT細胞である。特定の実施形態において、細胞はナチュラルキラー細胞である。特定の実施形態において、細胞は造血幹細胞である。特定の実施形態において、細胞はG-CSF動員血液単核細胞である。特定の実施形態において、細胞はHLA適合又は不適合同種異系細胞である。特定の実施形態において、細胞は同系細胞である。特定の実施形態において、細胞は自家細胞である。特定の実施形態において、ペプチドは、C末端アミドを有し、かつ/又は炭化水素若しくはポリエチレングリコール基で任意に修飾される。
【0110】
特定の実施形態において、本開示は、白血病を治療する方法に関し、造血幹細胞の移植と組み合わせて、本明細書に開示されるペプチドを対象に投与することを含む。特定の実施形態において、本開示は、in vitroにリンパ球を増殖させることを含む方法に関し、増殖した細胞を提供し、本明細書に開示されるペプチドを有する増殖した細胞を暴露することを含む。
【0111】
特定の実施形態において、リンパ球は血液から抽出されるか、又は白血球除去輸血によって得られる。特定の実施形態において、増殖した細胞は、さらに刺激性サイトカイン又はインターフェロンに暴露される。
【0112】
特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示されるペプチド又は本明細書に開示されるペプチドを発現するナノ粒子の注入によって、抗癌免疫反応を増加させる方法に関する。特定の実施形態において、活性化したT細胞は、慢性CMV感染を有する患者に注入される。特定の実施形態において、活性化したT細胞は、慢性EBV感染を有する患者に注入される。特定の実施形態において、活性化したT細胞は、慢性BKウイルス感染を有する患者に注入される。特定の実施形態において、活性化したT細胞は、慢性アデノウイルス感染を有する患者に注入される。
【0113】
特定の実施形態において、本開示は、血管作用性小腸ペプチド(VIP)シグナル伝達を中断し、及び/又はホスファチジルイノシトール-3-キナーゼ(PI3キナーゼ)阻害剤のシグナル伝達を阻害することによって、T細胞の老化を逆転させる組成物及び方法に関し、癌及び慢性ウイルス感染の管理に使用する。特定の実施形態において、本開示は、T細胞を、in viroで、VIPがVIP受容体と相互作用すること、及び/又はPI3キナーゼ阻害剤を追加することを防ぐ本明細書に開示されるペプチド、又は本明細書に開示されるペプチドを含むナノ粒子と混合することによって、T細胞の老化を逆転させる組成物及び方法を熟慮している。特定の実施形態において、本開示は、PI3キナーゼ阻害剤、ナノ粒子又は本明細書に開示されるペプチド、VIP分解酵素、及びその組み合わせと混合することによって、老化したT細胞の増殖を熟慮している。
【0114】
特定の実施形態において、本開示は、PI3キナーゼ阻害剤、イデラリシブ、本明細書に開示されるペプチド又は本明細書に開示されるナノ粒子、VIP分解酵素、及びその組み合わせと組み合わせて、CD3及び/又はCD28に結合する抗体にT細胞をin vitroに暴露することによって、単離したT細胞を刺激し、又は老化したT細胞を増殖させる方法を熟慮している。特定の実施形態において、本開示は、抗CD3及び抗CD28抗体又は、磁気ビーズ等の固体基質に任意に結合される結合剤を使用することを考慮している。
【0115】
特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示されるin vitroの細胞培養を使用して、CD28及び/又はCD27に陰性のT細胞を増殖させ、複製の前のレベルに比べてCD28及び/又はCD27の発現が増加した複製したT細胞を提供する方法を熟慮している。
【0116】
特定の実施形態において、本開示は、T細胞を増殖させる方法を熟慮しており、T細胞の増殖前、増殖している間、又は増殖後、T細胞は、キメラ抗原受容体をコードする核酸配列を有するベクターと混合され、キメラ抗原受容体は、細胞が細胞の表面にキメラ抗原受容体を発現するような条件下で、癌標的配列、膜貫通領域、T細胞同時刺激分子領域、及びT細胞抗原受容体領域のシグナル伝達成分を含む。
【0117】
特定の実施形態において、本開示は、基礎培地及びT細胞及び本明細書に開示されるペプチド又は本明細書に開示されるペプチドを含むナノ粒子及び、ホスファチジルイノシトール-3-キナーゼ阻害剤、VIP分解酵素、及びその組み合わせを含み、ビーズ等の固体基質に任意に固定される抗CD3抗体及び抗CD28抗体を任意にさらに含むin vitroの細胞培養に関する。特定の実施形態において、T細胞は、骨髄細胞又は血液細胞、末梢血から精製される。
【0118】
特定の実施形態において、ホスファチジルイノシトール-3-キナーゼ阻害剤は、イデラリシブ、ワートマニン、デメトキシビリジン、ペリフォシン、ブパリシブ、デュベリシブ、コパンリシブ、及びアルペリシブから選択される。特定の実施形態において、ホスファチジルイノシトール-3-キナーゼ阻害剤は、0.001、0.1、1、10、100nM超、又は10nM~10マイクロモル、又は10nM~500nM、又は10nM~1マイクロモルの濃度の培地のイデラリシブから選択される。
【0119】
特定の実施形態において、培地はVIPを加水分解する酵素を含む。特定の実施形態において、培地は、ペプチダーゼ、セリンペプチダーゼ、トリプターゼ、キマーゼ又はヒトキマーゼ1(CMA1)等のVIP分解酵素を含む。特定の実施形態において、培地は、マスト細胞キマーゼ等のVIP分解酵素の少なくとも少なくとも0.001、0.01、0.1又は1マイクログラムを有する。特定の実施形態において、本開示は、基礎培地並びにCD3及び/又はCD4及び/又はCD8を発現し、CD27及び/又はCD28に陰性の単離された細胞、並びにPI3キナーゼ阻害剤、本明細書に開示されるペプチド又は本明細書に開示されるペプチドを含むナノ粒子、並びにその組み合わせを含むT細胞培地を熟慮している。細胞は、ビーズ、磁気ビーズ又は蛍光結合剤の粒子等の固体支持体に付着される結合剤を使用して、陰性又は陽性選択によって単離することができる。
【0120】
特定の実施形態において、抗CD3抗体及び抗CD28抗体は、ビーズ、磁気ビーズ又は固体表面に固定される。特定の実施形態において、培地の細胞の合計の5.0%又は10%又は15%超がCD3及び/又はCD4及び/又はCD8を発現する。特定の実施形態において、細胞の合計の20%、25%又は50%超がCD3及び/又はCD4及び/又はCD8を発現する。特定の実施形態において、培地のT細胞の15%又は20%又は30%超がCD28及び/又はCD27に陰性である。特定の実施形態において、T細胞の20%又は25%又は50%超がCD28及び/又はCD27に陰性である。
【0121】
特定の実施形態において、精製されたT細胞は、血漿及び赤血球細胞が分離する条件下で血液を遠心分離し、血漿と赤血球細胞との間で、白血球細胞の混合物に精製されたT細胞を提供することから得られる。特定の実施形態において、精製されたT細胞は、骨髄吸引液又は骨髄生検によって得られる。
【0122】
特定の実施形態において、精製されたT細胞は、細胞をCD3に結合する蛍光マーカーと混合し、蛍光活性化細胞選別によって細胞を精製することによって得られる。特定の実施形態において、精製されたT細胞は、細胞をCD3に結合する磁化マーカーと混合し、磁気選別によって細胞を精製することによって得られる。特定の実施形態において、精製されたT細胞は、細胞をCD3及び/又はCD4及び/又はCD8に結合する蛍光マーカーと混合し、蛍光活性化細胞選別によって細胞を精製することによって得られる。特定の実施形態において、精製されたT細胞は、細胞をCD3及び/又はCD4及び/又はCD8に結合する磁化マーカーと細胞を混合し、磁気選別によって細胞を精製することによって得られる。
【0123】
特定の実施形態において、本開示は、ビーズ等の固体基質を熟慮しており、抗CD3及び抗CD28抗体を有し、表面に結合されるVIP分解酵素を有する。特定の実施形態において、ビーズは、培地に整列され、T細胞は、ビーズが細胞内にあるように培地の上部で増殖することが熟慮される。
特定の実施形態において、VIP分解酵素は、ヒトCMA1寄託番号GenBank:AAI03975.1:
【0124】
MLLKLKEKASLTLAVGTLPFPSQFNFVPPGRMCRVAGWGRTGVLKPGSDTLQEVKLRLMDPQACSHFRDFDHNLQLCVGNPRKTKSAFKGDSGGPLLCAGVAQGIVSYGRSDAKPPAVFTRISHYRPWINQILQAN(SEQ ID NO:13)を含む。
【0125】
特定の実施形態において、VIP分解酵素はヒト組換えエンケファリナーゼ(中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11)であり、以下を有する(SEQ ID NO:14):
DGICKSSDCIKSAARLIQNMDATTEPCTDFFKYACGGWLKRNVIPETSSRYGNFDILRDELEVVLKDVLQEPKTEDIVAVQKAKALYRSCINESAIDSRGGEPLLKLLPDIYGWPVATENWEQKYGASWTAEKAIAQLNSKYGKKVLINLFVGTDDKNSVNHVIHIDQPRLGLPSRDYYECTGIYKEACTAYVDFMISVARLIRQEERLPIDENQLALEMNKVMELEKEIANATAKPEDRNDPMLLYNKMTLAQIQNNFSLEINGKPFSWLNFTNEIMSTVNISITNEEDVVVYAPEYLTKLKPILTKYSARDLQNLMSWRFIMDLVSSLSRTYKESRNAFRKALYGTTSETATWRRCANYVNGNMENAVGRLYVEAAFAGESKHVVEDLIAQIREVFIQTLDDLTWMDAETKKRAEEKALAIKERIGYPDDIVSNDNKLNNEYLELNYKEDEYFENIIQNLKFSQSKQLKKLREKVDKDEWISGAAVVNAFYSSGRNQIVFPAGILQPPFFSAQQSNSLNYGGIGMVIGHEITHGFDDNGRNFNKDGDLVDWWTQQSASNFKEQSQCMVYQYGNFSWDLAGGQHLNGINTLGENIADNGGLGQAYRAYQNYIKKNGEEKLLPGLDLNHKQLFFLNFAQVWCGTYRPEYAVNSIKTDVESPGNFRIIGTLQNSAEFSEAFHCRKNSYMNPEKKCRVW。
【0126】
特定の実施形態において、本明細書に記載の細胞培養及び方法は、IL-12をさらに含む。特定の実施形態において、IL-12は、CD3及びCD28に対する抗体でin vitroに刺激されるT細胞の増殖に対して、本明細書に開示されるペプチド又はそのナノ粒子の効果を増強することを熟慮している。
【0127】
特定の実施形態において、本開示は、対象の腫瘍に湿潤して見出され得る癌に対する自然発生の反応性を有するT細胞を増殖すること、又はT細胞の老化を拡大若しくは逆転させることに関する。腫瘍は回収することができ、これらの腫瘍浸潤リンパ球(TIL)は、本明細書に開示される方法を使用して増殖させることができる。
【0128】
いくつかの癌は、ウイルスによって生じ、これらのウイルスに対してHPVワクチン及びB型肝炎等の伝統的なワクチンがこれらの癌を予防する。治療有効性を改善するために、本明細書に開示されるペプチドをこれらのワクチンと組み合わせて投与することができることが熟慮される。
【0129】
癌細胞が発生し、免疫システムによって破壊され、免疫システムが癌細胞を破壊することができない場合に、癌が形成されると考えられている。癌ワクチン接種の1つのアプローチは、タンパク質を癌細胞から分離し、これらのタンパク質に対して癌患者を免疫化し、癌細胞を殺す免疫反応を刺激することである。癌ワクチンは、乳癌、肺癌、結腸癌、皮膚癌、腎臓癌、前立腺癌及びその他の癌の治療のために熟慮される。特定の実施形態において、本開示は、癌抗原と組み合わせて本明細書に開示されるペプチドを投与することによる癌治療に関する。
【0130】
特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示されるペプチドを、ウイルス感染のリスクのある、その症状を示している、診断を受けた対象に投与することを含むウイルス感染の治療又は予防方法に関する。特定の実施形態において、対象は、免疫無防備であり、又は対象は、同種異系骨髄移植ドナー又はレシピエントである。典型的な実施形態において、対象は、臓器移植レシピエントであり、血液透析を受けており、癌と診断され、免疫抑制剤を投与され、及び/又はHIV感染の診断を受けている。特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示されるペプチド及び任意に1つ以上の抗ウイルス薬を投与することによって、感染のリスクのある免疫無防備状態の対象におけるウイルス感染を予防することに関する。
【0131】
いくつかの実施形態において、本開示は、ウイルス感染の治療について、抗ウイルス医薬品の製造における本明細書に開示されるペプチドの使用に関する。いくつかの実施形態において、対象は、慢性ウイルス感染と診断されている。特定の実施形態において、対象は、血清学的モニタリングを受けている。いくつかの実施形態において、投与は、ウイルス感染がこれ以上検出されない条件下で行われる。いくつかの実施形態において、対象は、RNAウイルス、DNAウイルス、又はレトロウイルスであると診断されている。いくつかの実施形態において、対象は、二本鎖DNAウイルス、センス一本鎖DNAウイルス、二本鎖RNAウイルス、センス一本鎖RNAウイルス、アンチセンス一本鎖RNAウイルス、センス一本鎖RNAレトロウイルス又は二本鎖DNAレトロウイルスを有していると診断されている。いくつかの実施形態において、対象は、ロタウイルス、インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス、肝炎ウイルス、又はレンチウイルスを有していると診断されている。いくつかの実施形態において、対象のウイルスの力価は、治療前に比べて治療後に減少する。
【0132】
いくつかの実施形態において、対象は、サブタイプH1N1を含むインフルエンザAウイルス、インフルエンザBウイルス、インフルエンザCウイルス、ロタウイルスA、ロタウイルスB、ロタウイルスC、ロタウイルスD、ロタウイルスE、SARSコロナウイルス、ヒトアデノウイルスタイプ(HAdV-1~55)、ヒトパピローマウイルス(HPV)タイプ16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、パルボウイルスB19、伝染性軟属腫ウイルス、JCウイルス(JCV)、BKウイルス、メルケル細胞ポリオーマウイルス、コクサッキーAウイルス、ノロウイルス、風疹ウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、黄熱病ウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、呼吸器多核体ウイルス、牛疫ウイルス、カリフォルニア脳炎ウイルス、hantavirus、狂犬病ウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスリンパ球向性ウイルス、ロゼオロウイルス、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス、A型肝炎(HAV)、B型肝炎(HBV)、C型肝炎(HCV)、D型肝炎(HDV)、E型肝炎(HEV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトTリンパ球向性ウイルス1型(HTLV-1)、脾フォーカス形成ウイルス(SFFV)又は異種指向性マウス白血病ウイルス関連ウイルス(XMRV)であると診断されている。
【0133】
いくつかの実施形態において、本開示は、第2の抗ウイルス薬と組み合わせて本明細書に開示されるペプチドを投与することによるウイルス感染の治療又は予防に関する。さらなる実施形態において、対象は、アバカビル、アシクロビル、アシクロビル、アデホビル、アマンタジン、アンプレナビル、アンプリゲン(ampligen)、アルビドール、アタザナビル、アトリプラ、ボセプレビル、シドホビル、コンビビル、ダルナビル、デラビルジン、ジダノシン、ドコサノール、エドクスジン、エファビレンツ、エムトリシタビン、エンフビルチド、エンテカビル、ファムシクロビル、ホスアンプレナビル、ホスカルネット、ガンシクロビル、イドクスウリジン、イミキモド、インジナビル、イノシン、インターフェロンIII型、インターフェロンII型、インターフェロンI型、ラミブジン、ロピナビル、マラビロク、モロキシジン、メチサゾン、ネルフィナビル、ネビラピン、オセルタミビル(タミフル)、ペグインターフェロンアルファ-2a、ペンシクロビル、ペラミビル、プレコナリル、ポドフィロトキシン、ラルテグラビル、リバビリン、リマンタジン、リトナビル、サキナビル、スタブジン、テノホビル、テノホビルジソプロキシル、チプラナビル、トリフルリジン、トリジビル、トロマンタジン、ツルバダ(商標)(エムトリシタビン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩)、バラシクロビル、バラシクロビル、ビクリビロック、ビダラビン、ビラミジン、ザルシタビン、ザナミビル、及び/又はジドブジンと同時投与される。特定の実施形態において、対象は、本明細書に開示されるペプチド及び第2の抗ウイルス薬を含む医薬組成物を投与される。
【0134】
特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示されるペプチド及び免疫グロブリンを投与することによって、感染後のウイルス感染を有する対象の治療に関する。
【0135】
特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示されるペプチド及びウイルスワクチンを投与することによって、又はウイルスワクチンの非存在下で投与することによるウイルス感染の治療又は予防に関する。
【0136】
特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示されるペプチドをそれを必要とする対象に投与することを含むワクチンに対する免疫反応を増強することに関する。通常、ワクチンは、ワクチンヘルペス帯状疱疹ワクチン、天然痘ワクチン、ポリオワクチン、百日咳ワクチン、インフルエンザワクチン、ジフテリアワクチン、破傷風ワクチン、髄膜炎菌ワクチン、サブタイプH1N1ワクチンを含むインフルエンザAワクチン、インフルエンザBワクチン、インフルエンザCワクチン、ロタウイルスAワクチン、ロタウイルスBワクチン、ロタウイルスCワクチン、ロタウイルスDワクチン、ロタウイルスEワクチン、SARSコロナウイルスワクチン、ヒトアデノウイルス(HAdV-1~55)型ワクチン、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン、パルボウイルスB19ワクチン、伝染性軟属腫ワクチン、JCワクチン、BKワクチン、メルケル細胞ポリオーマウイルスワクチン、コクサッキーAワクチン、ノロウイルスワクチン、風疹ワクチン、リンパ性脈絡髄膜炎ワクチン、黄熱ワクチン、麻疹ワクチン、ムンプスワクチン、呼吸シンシチウムワクチン、牛疫ワクチン、カリフォルニア脳炎ワクチン、ハンタウイルスワクチン、狂犬病ワクチン、エボラワクチン、マールブルグワクチン、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)ワクチン、単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)ワクチン、水痘帯状疱疹ワクチン、エプスタイン・バーウイルス(EBV)ワクチン、サイトメガロウイルス(CMV)ワクチン、ヘルペスリンパ球向性ワクチン、ロゼオロウイルスワクチン、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルスワクチン、A型肝炎(HAV)ワクチン、B型肝炎(HBV)ワクチン、C型肝炎(HCV)ワクチン、D型ワクチン(HDV)ワクチン、E型肝炎(HEV)ワクチン、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)ワクチン、ヒトTリンパ球向性ウイルス1型(HTLV-1)ワクチン、脾フォーカス形成ウイルス(SFFV)ワクチン、異種指向性マウス白血病ウイルス関連ウイルス(XMRV)ワクチンからなるワクチンの群から選択される。特定の実施形態において、ワクチンは、慢性ウイルス感染と診断されている対象のためにある。
【0137】
特定の実施形態において、ワクチンは、タンパク質又はペプチド、炭水化物、糖、多糖又は核酸を含む。通常、ワクチンは、減弱した複製能ウイルス又は不活ウイルスである。特定の実施形態において、ワクチンは、生きている、又は殺された若しくは不活性の原核細胞又は真核細胞を含む。
【0138】
特定の実施形態において、ヒトT細胞は、ウイルス抗原とコインキュベーションすることによって、in vitroに活性化される。特定の実施形態において、ウイルス抗原は、微小胞に提示される。特定の実施形態において、ウイルス抗原は、樹状細胞に提示される。
【0139】
核酸ワクチン、通常DNAプラスミドは、概して、病原体から1つ以上の抗原をコードする及び/又は産生するために設計される。核酸は宿主細胞にトランスフェクト又は感染し、細胞の内部機構がタンパク質を発現する。これらのタンパク質は異質なものと認識されるため、宿主細胞によって処理され、表面に表示される場合、免疫反応が駆動される。細胞毒性Tリンパ球反応は、GM-CSF、B7-1、又はB7-2等の同時刺激分子で同時接種によっても増強させることができる。特定の実施形態において、本明細書に開示されるペプチドは、核酸ワクチン又はその他の同時刺激分子と組み合わせて投与することができる。
【0140】
特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示されるペプチドを含むワクチン組成物及びワクチンと組み合わせて本明細書に開示されるペプチドを投与する方法に関する。特定の実施形態において、ワクチンは、病原体からの抗原を含み、微生物又はその毒素の弱めた又は殺した形態から免疫システムに提示される。抗原は免疫システムを刺激する。ワクチンは、(例えば、任意の病原体による将来の感染の影響を予防又は軽減するために)予防的又は感染又は疾患の診断後に、投与することによって治療的であってもよい。
【0141】
いくつかのワクチンは、化学物質又は熱で破壊された、殺したが以前は毒性があった微生物を含む。インフルエンザワクチン、コレラワクチン、腺ペストワクチン、ポリオワクチン、A型肝炎ワクチン、及び狂犬病ワクチンは、本開示によって考慮される死菌ワクチンの例である。
【0142】
いくつかのワクチンは、生きた減弱した微生物を含む。通常、これらは特定の毒性を無効にした条件下で培養され、又は広い免疫反応を生み出すために近縁であるが危険性の低い生物を使用し、しかし本質的に細菌である場合もある生きたウイルスである。
【0143】
特定の実施形態において、ワクチンはタンパク質サブユニットである。不活化又は減弱した微生物を免疫システムに導入するよりも、その断片を使用して、免疫反応を作ることができる。例として、ウイルスの表面タンパク質のみからなるB型肝炎ウイルスに対するサブユニットワクチン、ウイルスの主要なカプシドタンパク質からなるヒトパピローマウイルス(HPV)に対するウイルス様粒子(VLP)ワクチン、並びにインフルエンザウイルスの赤血球凝集素及びノイラミニダーゼサブユニットが挙げられる。
【0144】
特定の実施形態において、ワクチンは多糖を含む。特定の細菌は、通常、免疫原性である多糖外皮を有する。これらの多糖をタンパク質(例えばトキシン)に結合することによって、免疫システムは、タンパク質抗原であるかのように多糖を認識するように導くことができる。
【0145】
トキソイドワクチンは、不活毒性化合物から作製される。トキソイドベースのワクチンの例として、ジフテリア及びテタヌストキソイドが挙げられる。特定の実施形態において、本明細書に開示されるペプチドは、DPTと組み合わせて投与される。DPT(DTP及びDTwPも)は、ヒトの3つの感染疾患:ジフテリア、百日咳(百日咳(whooping cough))及びテタヌスに対する混合ワクチンのクラスを指す。ワクチン成分として、ジフテリア及びテタヌストキソイド、及び百日咳を発症する殺した生物の全細胞(wP)が挙げられる。DTaP(Tdap、DTPa、及びTDaPとしても知られる)は、百日咳の成分が無細胞である同様の混合ワクチンを指す。百日咳の成分を欠いているDT又はTDワクチンも熟慮されている。
【0146】
本開示によって熟慮されるその他の特定のワクチンとして、炭疽ワクチン、例えば、V770-NP1-Rとして知られる非毒性、非被包性株の培養ろ液、Bacille Calmette-Guerin(BCG)、例えば、減弱した生きたウシ結核菌の株、ヘモフィルスインフルエンザB菌ワクチン、例えば、Hib多糖-タンパク質結合型ワクチン、A型肝炎ワクチン、例えば、不活A型肝炎ウイルス、B型肝炎ワクチン、例えば、B型肝炎表面抗原、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン、例えば、HPVタイプ6、11、16及び18のL1タンパク質から構築された非感染性ウイルス様粒子、髄膜炎菌ワクチン、例えば、個別にジフテリアトキソイドタンパク質に結合される髄膜炎菌サブグループA、C、Y、及びW-135株が挙げられる。
【0147】
特定の実施形態において、本開示は、活性のサイトメガロウイルス感染症を治療する方法に関し、本明細書に開示される血管作用性小腸ペプチドアンタゴニストの有効量を、活性のサイトメガロウイルス感染症であると診断された、その徴候又は症状を示す対象に投与することを含み、血管作用性小腸ペプチドアンタゴニストは、C末端アミドを有するペプチドを含み、炭化水素又はポリエチレングリコール基で任意に修飾される。
【0148】
特定の実施形態において、対象は、易感染性免疫システムを有する。特定の実施形態において、対象は移植レシピエントである。
【0149】
特定の実施形態において、本開示は、活性のサイトメガロウイルス感染症を軽減する方法に関し、本明細書に開示される血管作用性小腸ペプチドアンタゴニストの有効量を、活性のサイトメガロウイルス感染症をり患している対象に投与することを含み、血管作用性小腸ペプチドアンタゴニストは、C末端アミドを有するペプチドを含み、炭化水素又はポリエチレングリコール基で任意に修飾される。特定の実施形態において、対象のサイトメガロウイルスの力価は、治療前に比べて血管作用性小腸ペプチドアンタゴニストを投与した後に減少する。
【実施例】
【0150】
改善されたVIPアンタゴニスト
血管作用性小腸ポリペプチドアンタゴニストの腫瘍特異的発現が腫瘍媒介性免疫逃避の機序を示すかどうかを評価した。最も高い発現を有する腫瘍におけるVIP発現のスペクトルが膵臓外分泌癌に見られ、最も低い発現がメラノーマに見られる。概して、腫瘍によるVIP発現のレベルは、PDL1等のその他の共抑制経路分子(co-inhibitory pathway molecule)の発現に反比例する。VIPを発現し、分泌する腫瘍は、VIPコード配列の変異を有し得、得られるペプチド分子は、腫瘍微小環境において、改善された薬物動態又は薬力学を有する。薬物動態的利点は、プロテアーゼに対して低い感受性のVIPを減少させる変異の結果であり得、その半減期を改善し得る。薬力学的利点は、受容体に対する結合親和位を高める変異の結果であり得、したがって、シグナル伝達を増強する。
【0151】
腫瘍によって産生される変異VIPが腫瘍微小環境において抗癌T細胞のより持続した抑制を導くかどうかを決定するために実験を行った。蓄積した腫瘍配列から精選された特定の遺伝子の変異を分析すると、VIPのコード配列の変異を有する複数の癌がある。特に、Cancer Genome Atlasに挙げられるVIP遺伝子クラスターの内部に140個のミスセンス変異及び17個の切断変異があった。28アミノ酸VIPペプチドのコード配列に、乳癌、前立腺腺癌、食道腺癌、皮膚黒色腫、小細胞肺癌、胃腺癌(stomach adenocarcinoma)、子宮内膜癌、皮膚黒色腫、食道腺癌、結腸直腸腺癌、子宮癌、肝細胞腺腫、肺腺癌、胃腺癌に存在するVIPコード配列に変異が特定された。C末端アミノ酸に存在した8つの特定の変異は、受容体に結合するVIPのαヘリックスを含む。
【0152】
αヘリックス配列は、VIP、ペプチドアゴニストに一般的であり、免疫抑制的である。VIPhyb(SEQ ID NO:1)は、未変性VIP(SEQ ID NO:2)からの6つの内部アミノ酸が異なる拮抗性ペプチドである(
図1を参照のこと)。8つの配列、ANT-1~8は、VIPhybの6つのN末端アミノ酸の存在で調製した(
図1のSEQ ID NO:3~10を参照のこと)。特に、ANT-1配列は、アミノ酸7位において、アミノ酸T~A置換を有する。ANT-2配列は、アミノ酸位置番号8において、D~Vのアミノ置換を有する。ANT-3は、アミノ酸位置番号10において、Y~Cのアミノ酸置換を有する。ANT-4は、アミノ酸位置番号12において、アミノ酸置換R~Sを有する。ANT-5は、アミノ酸位置番号17において、アミノ酸置換M~Iを有する。ANT-6は、アミノ酸位置20において、アミノ酸置換K~Nを有する。ANT-7は、アミノ酸位置番号23において、アミノ酸置換L~Mを有する。ANT-8は、アミノ酸位置番号25において、アミノ酸置換S~Lを有する。代替の拮抗的ペプチド配列ANT-1~ANT-8のそれぞれを合成した。
【0153】
ペプチド(
図1のSEQ ID NO:3~10)を、96ウェルプレートに抗CD3抗体を結合したプレートの存在下で培養されたルシフェラーゼ陽性T細胞の短期間の培地に加えた。抗CD3抗体の濃度は、0.5mcg/ml又は1mcg/mlであった。ルシフェラーゼトランスジェニックマウスからのT細胞を低量のIL-2及びオリジナルのVIPhybペプチドの0.5マイクロモル、1マイクロモル、又は3マイクロモルの濃度の存在下で加え、又は代替のANT-1~ANT-8ペプチド配列を加えた。
図2は、1マイクロモルの濃度でANT-1~ANT-8の存在下で24時間におけるT細胞の増殖を示す。
図3は、同じ対応する濃度におけるオリジナルのVIPhybペプチドと比較した0.5マイクロモル、1マイクロモル、又は3マイクロモルの濃度のANT-8ペプチドの存在下で24時間における増加したT細胞の増殖を示す。
【0154】
ANT-8ペプチドを有する抗CD3のより低い濃度を使用した増加したT細胞の増殖は、より中程度であり、ペプチドを加えていない抗CD3抗体に結合したプレートを含んだ対照培地と有意な差はなく、対照培地に比べてわずかしか増加しなかった。未変性のVIPhybに比べて改善されたアンタゴニスト活性を有するユニークなペプチド配列が特定されたANT-8(SEQ ID NO:10)。
【配列表】
【国際調査報告】