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特表2022-507731二重接着剤システムを有する冷間成形されたガラス物品および冷間成形ガラス物品のためのプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】二重接着剤システムを有する冷間成形されたガラス物品および冷間成形ガラス物品のためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/04 20060101AFI20220111BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220111BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20220111BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20220111BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20220111BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20220111BHJP
   C09J 183/10 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
C03C27/04 D
G09F9/00 313
G09F9/30 308A
G09F9/00 362
C09J201/00
C09J133/00
C09J175/04
C09J183/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021527183
(86)(22)【出願日】2019-10-29
(85)【翻訳文提出日】2021-07-15
(86)【国際出願番号】 US2019058539
(87)【国際公開番号】W WO2020106413
(87)【国際公開日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】62/769,926
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】クマール,アチュール
(72)【発明者】
【氏名】ワイケル,アーリン リー
【テーマコード(参考)】
4G061
4J040
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
4G061AA02
4G061BA02
4G061CA03
4G061DA22
4G061DA29
4J040DF001
4J040EF001
4J040EK001
4J040JB01
4J040JB08
4J040JB09
4J040LA10
4J040MA02
4J040MA05
4J040MB05
4J040NA17
5C094AA44
5C094DA05
5C094FB01
5C094FB04
5C094GB01
5C094HA05
5C094JA20
5G435AA17
5G435GG43
5G435HH05
5G435HH20
5G435KK05
5G435LL17
(57)【要約】
本明細書に開示されるのは、湾曲したガラス物品を形成する方法の実施形態である。この方法では、第1の接着剤が、フレームまたはガラスカバーシートの第1の領域に塗布される。フレームは曲面を含む。フレームまたはガラスカバーシートの第2の領域に第2の接着剤が塗布される。ガラスカバーシートは、フレームの曲面にガラスカバーシートが形状一致するようにフレームに成形される。第1の接着剤は、第1の期間にわたって第1の温度で硬化させられ、第2の接着剤は、第2の期間にわたって第2の温度で硬化させられる。第2の温度は第1の温度よりも低く、第2の期間は第1の期間よりも長い。また、本明細書に開示されるのは、湾曲したガラス物品の実施形態である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲したガラス物品を形成する方法であって、該方法が、
曲面を含むフレームまたはガラスカバーシートの第1の領域に第1の接着剤を塗布するステップと、
前記フレームまたは前記ガラスカバーシートの第2の領域に第2の接着剤を塗布するステップと、
前記ガラスカバーシートが前記フレームの前記曲面に形状一致するように前記ガラスカバーシートをフレームに成形するステップと、
第1の期間にわたって第1の温度で前記第1の接着剤を硬化させるステップと、
第2の期間にわたって第2の温度で前記第2の接着剤を硬化させるステップと、
を含み、
前記第2の温度は前記第1の温度よりも低く、
前記第2の期間は前記第1の期間よりも長い、方法。
【請求項2】
前記第1の接着剤が感圧接着剤を含み、前記方法が、前記感圧接着剤に圧力を加えて前記感圧接着剤を硬化させるステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1の接着剤がUV硬化性アクリル接着剤を含み、前記方法が、UV光を前記UV硬化性アクリル接着剤に加えて、前記UV硬化性アクリル接着剤を硬化させるステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記第1の接着剤が、感圧接着剤、UV硬化性アクリル接着剤、ポリウレタンホットメルトまたはシリコーンホットメルトのうちの少なくとも1つを含み、前記第2の接着剤が、強化接着剤、可撓性エポキシ、アクリル、ウレタンまたはシリコーンのうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記第1の期間が10分以下であり、前記第1の温度が約220℃以下であり、前記第2の温度が60℃以下であり、前記第2の期間が少なくとも30分である、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、光学的に透明な接着剤を使用してディスプレイをフレームに結合するステップをさらに含み、前記フレームの第1の領域に前記第1の接着剤を塗布するステップが、前記第2の接着剤が前記光学的に透明な接着剤に接触しないように、前記光学的に透明な接着剤の周りに前記第1の接着剤を塗布することを含む、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
ガラス物品であって、
第1の主面、および第1の湾曲を含む第2の主面を有するガラスカバーシートと、
第2の湾曲を含む第3の主面、および第4の主面を有するフレームであって、前記カバーガラスシートの前記第2の主面は前記フレームの前記第3の主面に面しており、前記第2の湾曲は前記第1の湾曲を補完している、フレームと、
前記フレームの前記第1の主面と前記ガラスカバーシートの前記第2の主面との間の第1の領域に配置された第1の接着剤と、
前記フレームの前記第1の主面と前記ガラスカバーシートの前記第2の主面との間の第2の領域に配置された第2の接着剤と、
を含み、
前記第1の接着剤は、第1の硬化温度での第1の硬化時間の後に第1の硬化強度に硬化されるように構成されており、
前記第2の接着剤は、前記第1の硬化温度よりも低い第2の硬化温度で、前記第1の硬化時間よりも長い第2の硬化時間の後に第2の硬化強度に硬化されるように構成されており、
前記第2の硬化強度は前記第1の硬化強度よりも大きい、ガラス物品。
【請求項8】
前記第1の硬化強度が5MPa以下であり、前記第2の硬化強度が5MPaよりも大きい、請求項7記載のガラス物品。
【請求項9】
前記第1の接着剤が、感圧接着剤、UV硬化性アクリル接着剤、ポリウレタンホットメルトまたはシリコーンホットメルトのうちの少なくとも1つを含み、前記第2の接着剤が、強化接着剤、可撓性エポキシ、アクリル、ウレタンまたはシリコーンのうちの少なくとも1つを含む、請求項7または8記載のガラス物品。
【請求項10】
前記ガラス物品が、光学的に透明な接着剤を使用して前記フレームに結合されたディスプレイをさらに含み、前記第1の接着剤は、前記第2の接着剤が前記光学的に透明な接着剤と接触しないように、前記光学的に透明な接着剤を包囲している、請求項7から9までのいずれか1項記載のガラス物品。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、米国特許法第119条のもと、2018年11月20日に出願された米国仮特許出願第62/769926号の優先権の利益を主張し、その内容は本明細書の依拠するところであって、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示は、ガラスを含む車室システムおよびこれを形成する方法、より具体的には、冷間成形または冷間曲げされたカバーガラスを備える湾曲したガラス物品を含む車室システムおよびこれを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
車室は、曲面を有し、このような曲面にディスプレイを組み込むことができる。このような曲面を形成するために使用される材料は、通常、ガラスのような耐久性および光学性能を示さないポリマーに限定される。そのため、特にディスプレイ用のカバーとして使用される場合、湾曲したガラス基板が望ましい。熱成形などの、このような湾曲したガラス基板を成形する既存の方法は、高コスト、光学的歪みおよび表面マーキングを含む欠点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、出願人は、費用効果の高い方法でかつガラス熱成形プロセスに通常関連する問題なしに、湾曲したガラス基板を組み込むことができる車室システムの必要性を認識している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様によれば、本開示の実施形態は、湾曲したガラス物品を形成する方法に関する。この方法では、第1の接着剤が、フレームまたはガラスカバーシートの第1の領域に塗布される。フレームは曲面を含む。第2の接着剤が、フレームまたはガラスカバーシートの第2の領域に塗布される。ガラスカバーシートは、ガラスカバーシートがフレームの曲面に形状一致するようにフレームに成形される。第1の接着剤は、第1の期間にわたって第1の温度で硬化させられ、第2の接着剤は、第2の期間にわたって第2の温度で硬化させられる。第2の温度は第1の温度よりも低く、第2の期間は第1の期間よりも長い。
【0006】
別の態様によれば、本開示の実施形態は、ガラス物品に関する。ガラス物品は、第1の主面および第2の主面を有するガラスカバーシートを含む。第2の主面は第1の湾曲を含む。ガラス物品は、第3の主面および第4の主面を有するフレームをも含む。第3の主面は第2の湾曲を含む。カバーガラスシートの第2の主面はフレームの第3の主面に面しており、第2の湾曲は第1の湾曲を補完する。第1の接着剤は、フレームの第1の主面とガラスカバーシートの第2の主面との間の第1の領域に配置されている。第2の接着剤は、フレームの第1の主面とガラスカバーシートの第2の主面との間の第2の領域に配置されている。第1の接着剤は、第1の硬化温度での第1の硬化時間後に第1の硬化強度に硬化されるように構成されており、第2の接着剤は、第1の硬化温度よりも低い第2の硬化温度での、第1の硬化時間よりも長い第2の硬化時間後に第2の硬化強度に硬化されるように構成されている。第2の硬化強度は第1の硬化強度よりも大きい。
【0007】
さらに別の態様によれば、本開示の実施形態は、湾曲したガラス物品を形成する方法に関する。この方法では、感圧構造用接着剤が、フレームまたはガラスカバーシートの少なくとも一部に塗布される。フレームは曲面を有する。ガラスカバーシートは、ガラスカバーシートがフレームの曲面に形状一致するようにフレームに成形される。圧力は、第1の期間にわたって第1の温度で感圧構造用接着剤に加えられる。感圧構造用接着剤は、第2の期間にわたって第2の温度で硬化させられる。第2の温度は第1の温度よりも低く、第2の期間は第1の期間よりも長い。
【0008】
さらに別の態様によれば、本開示の実施形態は、ガラス物品に関する。ガラス物品は、第1の主面および第2の主面を有するガラスカバーシートを含む。第2の主面は第1の湾曲を含む。ガラス物品は、第3の主面および第4の主面を有するフレームをも含む。第3の主面は第2の湾曲を含む。カバーガラスシートの第2の主面はフレームの第3の主面に面しており、第2の湾曲は、第1の湾曲を補完する。感圧構造用接着剤が、フレームの第1の主面とガラスカバーシートの第2の主面との間に配置されている。感圧構造用接着剤は、第1の硬化温度での第1の硬化時間後に第1の硬化強度に硬化し、第1の硬化温度よりも低い第2の硬化温度での、第1の硬化時間よりも長い第2の硬化時間後に第2の硬化強度に硬化されるように構成されている。第2の硬化強度は第1の硬化強度よりも大きい。
【0009】
追加的な特徴および利点は、以下の詳細な説明に示され、部分的に、その説明から当業者に容易に明らかになるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲および添付の図面を含む、本明細書に記載の実施形態を実施することによって認識されるであろう。
【0010】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、単なる例示であり、特許請求の範囲の性質および特徴を理解するための概要または枠組を提供することが意図されていることを理解されたい。添付の図面は、さらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に援用されかつその一部を構成する。図面は、1つ以上の実施形態を示し、詳細な説明とともに、様々な実施形態の原理および動作を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】例示的な実施形態による車室システムを備えた車室の斜視図である。
図2】例示的な実施形態による、冷間曲げおよび湾曲したフレームへの取付け後のガラス基板の断面図である。
図3A】例示的な実施形態による、ガラスラミネート物品のための1つの接着剤層構成を示す図である。
図3B】例示的な実施形態による、ガラスラミネート物品のための別の接着剤層構成を示す図である。
図3C】例示的な実施形態による、ガラスラミネート物品のための別の接着剤層構成を示す図である。
図4】例示的な実施形態による、接着剤層の第2の接着剤とフレームとの間の機械的インターロックを示す図である。
図5】例示的な実施形態による、ガラス基板の正面斜視図である。
図6】例示的な実施形態による、複数の凸状および凹状の曲面を有する湾曲したガラス基板の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、その例が添付の図面に示された様々な実施形態を詳細に参照する。一般に、車室システムは、湾曲したディスプレイ面および湾曲した非ディスプレイガラスカバーなど、透明であるように設計された様々な異なる曲面を含むことができ、本開示は、ガラス材料からこれらの曲面を形成するための物品および方法を提供する。ガラス材料から湾曲した車両面を形成することは、従来車室に見られる典型的な湾曲したプラスチックパネルと比較して多くの利点を提供する。例えば、ガラスは通常、プラスチックカバー材料と比較して、ディスプレイ用途およびタッチスクリーン用途などの多くの湾曲したカバー材料用途において向上した機能性およびユーザエクスペリエンスを提供すると考えられる。
【0013】
したがって、以下でより詳細に論じられるように、出願人は、ガラス基板の冷間曲げされた部品を利用する、車室システム用のディスプレイなどの、ガラス物品および物品を形成するための効率的かつ費用効果の高い方法を提供する関連する製造プロセスを開発した。
【0014】
特定の実施形態では、力を加えることによって(例えば、真空チャック、静電チャック、真空バッグ、プレスなどによって)、ガラス基板が型内で湾曲形状に曲げられる(例えば、湾曲した型表面によって支持される)。本明細書に開示されるように、湾曲形状は、最初に高温で第1の接着剤を使用して比較的短時間維持され、初期グリーン強度(すなわち、最終的な結合強度よりも低い、処理および取扱いを可能にする強度のレベル)を提供し、ガラス基板の湾曲形状を保持する。その後、ガラス物品を型から取り出し、第2の接着剤を周囲温度でより長期間硬化させ、ガラス基板とフレームとの間に完全な構造的結合を提供する。しかしながら、実施形態では、接着剤が最初の早期硬化強度および後期構造硬化強度を有する場合、単一の接着剤を使用することができる。本明細書に開示されるような二重接着剤システムを使用して形成されたガラス物品は、より経済的な製造プロセスを可能にする。特に、ガラス物品は、高温および真空下でより少ない時間を費やすことができ、これはコスト節約を提供する。
【0015】
図1は、車室システム100,200,300の3つの異なる実施形態を含む例示的な車室1000を示す。車室システム100は、湾曲したディスプレイ130を含む曲面120を備えた、センターコンソールベース110として示されたフレームを含む。車室システム200は、湾曲したディスプレイ230を含む曲面220を備えた、ダッシュボードベース210として示されたフレームを含む。ダッシュボードベース210は、典型的には、湾曲したディスプレイをも含んでもよい計器パネル215を含む。車室システム300は、曲面320および湾曲したディスプレイ330を備えた、ハンドルベース310として示されたフレームを含む。1つ以上の実施形態では、車室システムは、アームレスト、ピラー、背もたれ、フロアボード、ヘッドレスト、ドアパネルまたは曲面を含む車両の室内のあらゆる部分であるフレームを含む。他の実施形態では、フレームは、自立型ディスプレイ(すなわち、車両の一部に恒久的に接続されていないディスプレイ)用のハウジングの一部である。
【0016】
本明細書に記載の湾曲したガラス物品の実施形態は、車室システム100,200および300のそれぞれにおいて使用することができる。さらに、本明細書に記載の湾曲したガラス物品は、車室システム100,200および/または300における使用を含む、本明細書において論じられるあらゆる湾曲したディスプレイ実施形態のための湾曲したカバーガラスとして使用されてもよい。さらに、様々な実施形態において、車室システム100,200および300の様々な非ディスプレイ構成要素が、本明細書において論じられるガラス物品から形成されてもよい。幾つかのこのような実施形態では、本明細書において論じられるガラス物品は、ダッシュボード用、センターコンソール用、ドアパネル用などの非ディスプレイカバー表面として使用されてもよい。このような実施形態では、ガラス材料は、その重量、美的外観などに基づいて選択されてもよく、ガラス構成要素を隣接する非ガラス構成要素と視覚的に適合させるために、パターン(例えば、ブラッシュドメタル外観、木目調外観、革の外観、着色された外観など)を備えたコーティング(例えば、インクまたは顔料コーティング)が提供されてもよい。特定の実施形態では、このようなインクまたは顔料コーティングは、デッドフロント機能を提供する透明度レベルを有してもよい。
【0017】
図2は、例示的な実施形態による、湾曲したディスプレイ130用のカバーガラスなどの湾曲したガラス物品10を示す。図2は、湾曲したディスプレイ130を形成することに関して説明されているが、図2の湾曲したガラス物品10は、図1のあらゆる車室システムのあらゆる湾曲したガラス構成要素を含む、あらゆる適切な湾曲したガラス用途において使用されてもよいことを理解されたい。このような湾曲したガラス構成要素は、ディスプレイ領域または非ディスプレイ領域、例えば、平坦なディスプレイ領域および湾曲した非ディスプレイ領域、湾曲したディスプレイならびに湾曲したディスプレイおよび湾曲した非ディスプレイ領域であってよい。
【0018】
図2では、フレーム12は、曲面14として示された曲面を含む。湾曲したガラス物品10は、ガラス基板16を含む。ガラス基板16は、第1の主面18と、第1の主面18とは反対側の第2の主面20とを含む。副面22は、第1の主面18と第2の主面20とを接続しており、特定の実施形態では、副面22はガラス基板16の外縁を画定している。ガラス基板16は、接着剤層24によってフレーム12に取り付けられている。実施形態では、接着剤層24は、少なくとも2つの接着剤を含む。このような実施形態では、第1の接着剤は高温で急速に硬化してグリーン強度を提供し、第2の接着剤は周囲温度で経時的に硬化して長期強度を提供する。別の実施形態では、接着剤層24は、高温での第1の硬化強度と、周囲温度で長期間放置した後の第2の硬化強度とを有する単一の接着剤である。実施形態では、第1の硬化強度またはグリーン強度は5MPa以下であり、第2の硬化強度または構造的結合強度は5MPaを超える。
【0019】
一般に、ガラス基板16は、曲げ力26を加えることにより、所望の湾曲形状に冷間成形または冷間曲げされる。図2に示されるように、冷間曲げに続いて、ガラス基板16は、第1の主面18および第2の主面20がそれぞれ、曲率半径を有する少なくとも1つの湾曲したセクションを含むような湾曲形状を有する。示された特定の実施形態では、フレーム12の曲面14は、凸状の曲面である。このような実施形態では、ガラス基板16は、第1の主面18が曲面14の凸状の湾曲形状に概ね一致する凹状形状を規定し、第2の主面20が曲面14の凸状の湾曲形状に概ね一致するまたはこれを鏡像化する凸状形状を規定するように、曲げられる。このような実施形態では、面18,20は両方とも、フレーム12の曲面14の曲率半径に概ね一致する第1の曲率半径R1を規定する。特定の実施形態では、接着層24の早期の高温硬化強度は、曲げ力26の除去後、ガラス基板16を湾曲形状に保持する。
【0020】
実施形態では、R1は30mm~5mである。さらに、実施形態では、ガラス基板16は、0.05mm~2mmの範囲の、図2に示された厚さT1(例えば、面18,20の間で測定された平均厚さ)を有する。特定の実施形態では、T1は1.5mm以下であり、より具体的な実施形態では、T1は0.4mm~1.3mmである。出願人は、様々な車室用途のための高品質カバー層を同時に提供しながら破損なしに冷間成形を利用して様々な湾曲形状(本明細書において論じられる比較的高い曲率半径を含む)にこのような薄いガラス基板を冷間成形することができることを見出した。さらに、このような薄いガラス基板16は、より容易に変形することができ、これは、曲面14および/またはフレーム12に対して存在しうる形状不一致およびギャップを潜在的に打ち消すことができる。
【0021】
様々な実施形態では、ガラス基板16の第1の主面18および/または第2の主面20は、1つ以上の表面処理部または層を含む。表面処理部は、第1の主面18および/または第2の主面20の少なくとも一部に広がっていてもよい。例示的な表面処理部は、アンチグレア表面/コーティング部、反射防止表面/コーティング部および清掃容易表面コーティング/処理部を含む。1つまたは複数の実施形態では、第1の主面18および/または第2の主面20の少なくとも一部は、アンチグレア表面、反射防止表面および清掃容易コーティング/処理部のうちのいずれか1つ、いずれか2つまたは3つの全てを含んでもよい。例えば、第1の主面18がアンチグレア表面を含んでもよく、第2の主面20が反射防止表面を含んでもよい。別の例では、第1の主面18が反射防止表面を含み、第2の主面20がアンチグレア表面を含む。さらに別の例では、第1の主面18がアンチグレア表面および反射防止表面の一方または両方を含み、第2の主面20が清掃容易コーティング部を含む。
【0022】
実施形態では、ガラス基板16は、第1の主面18および/または第2の主面20上の顔料デザインを含んでもよい。顔料デザインは、顔料(例えば、インク、塗料など)から形成されたあらゆる美的デザインを含むことができ、木目調デザイン、ブラッシュドメタルデザイン、グラフィックデザイン、ポートレートまたはロゴを含むことができる。顔料デザインは、ガラス基板に印刷されてもよい。1つ以上の実施形態では、アンチグレア表面は、エッチングされた表面を含む。1つ以上の実施形態では、反射防止表面は、多層コーティングを含む。
【0023】
図3A図3Cを参照すると、ディスプレイ130などのガラス物品10と、関連する湾曲したフレーム12とを冷間成形する様々な方法が示されている。本明細書で使用される場合、「冷間曲げされた」、「冷間曲げする」、「冷間成形された」または「冷間成形する」という用語は、ガラス基板16のガラス材料のガラス転移温度よりも低い冷間成形温度でガラス基板を湾曲させることを指す。有利には、出願人は、これらの冷間成形アプローチは、従来のガラス曲げプロセスに一般的に関連した高温においてさもなければ損傷または破壊されることがある基板16上に配置された様々なコーティングを保護しながら、湾曲したガラス物品10の成形を可能にする。
【0024】
図3Aに示したように、ガラス基板16は、フレーム12上に配置される。図示したように、接着剤層24は、第1の接着剤28および第2の接着剤30を含む。図示の実施形態では、第1の接着剤28は、フレーム12の縁部領域32の近くに配置されている。第2の接着剤30は、フレーム12上の縁部領域32の間に配置されている。上記のように、第1の接着剤28は、冷間成形プロセス中に早期グリーン強度を提供するように選択される。第1の接着剤28の例示的な接着剤は、感圧接着剤(PSA)、UV硬化性アクリル接着剤、ポリウレタン(PUR)ホットメルト、シリコーンホットメルトなどを含む。実施形態では、第1の接着剤28は、例えば、圧力、熱または紫外放射のうちの1つ以上を用いて硬化させることができる。さらに、第1の接着剤28は、最大で10分、最大で8分、最大で6分、最大で4分または最大で2分の硬化時間を有するように選択される。実施形態では、第1の接着剤28は、約1秒~約10分の硬化時間を有するように選択される。特定の実施形態では、第1の接着剤28は、1つ以上のPSA、例えば、3M(商標)VHB(商標)(ミネソタ州セントポール在の3Mから入手可能)およびtesa(登録商標)(ドイツ国ノルダーシュテット在のtesa SEから入手可能)またはUV硬化性接着剤、例えば、DELO DUALBOND(登録商標)MF4992(ドイツ国ヴィンダッハ在のDELO Industrial Adhesivesから入手可能)を含む。
【0025】
第2の接着剤30は、例えば、周囲温度で約1時間の過程にわたって硬化した後、長期強度を提供するように選択される。実施形態では、第2の接着剤30の例示的な接着剤は、強化エポキシ、可撓性エポキシ、アクリル、シリコーン、ウレタン、ポリウレタンおよびシラン変性ポリマーを含む。特定の実施形態では、第2の接着剤30は、1つ以上の強化エポキシ、例えば、EP21TDCHT-LO(ニュージャージー州ハッケンサック在のMasterbond(登録商標)から入手可能)、3M(商標)Scotch-Weld(商標)Epoxy DP460 Off-White(ミネソタ州セントポール在の3Mから入手可能)を含む。他の実施形態では、第2の接着剤30は、1つ以上の可撓性エポキシ、例えば、Masterbond EP21TDC-2LO(ニュージャージー州ハッケンサック在のMasterbond(登録商標)から入手可能)、3M(商標)Scotch-Weld(商標)Epoxy 2216 B/A Gray(ミネソタ州セントポール在の3Mから入手可能)および3M(商標)Scotch-Weld(商標)Epoxy DP125を含む。さらに他の実施形態では、第2の接着剤30は、1つ以上のアクリル、例えば、LORD(登録商標)Adhesive 410/Accelerator 19w/LORD(登録商標)AP 134プライマ、LORD(登録商標)Adheseive 852/LORD(登録商標)Accelerator 25GB(両方ともノースカロライナ州ケーリー在のLORD Corporationから入手可能)、DELO PUR SJ9356(ドイツ国ヴィンダッハ在のDELO Industrial Adhesiveから入手可能)、Loctite(登録商標)AA4800、Loctite(登録商標)HF8000、TEROSON(登録商標)MS 9399およびTEROSON(登録商標)MS 647-2C(これら後者の4つは、ドイツ国デュッセルドルフ在のHenkel AG & Co. KGaAから入手可能である)を含む。さらに他の実施形態では、第2の接着剤30は、1つ以上のウレタン、例えば、3M(商標)Scotch-Weld(商標)Urethane DP640 Brownおよび3M(商標)Scotch-Weld(商標)Urethane DP604を含み、さらに別の実施形態では、第2の接着剤30は、1つ以上のシリコーン、例えば、Dow Corning(登録商標)995(ミシガン州ミッドランド在のDow Corning Corporationから入手可能である)。
【0026】
実施形態では、特に金属から形成されたまたは金属表面を含むフレーム12の場合およびガラス基板16のガラス表面の場合、第1の接着剤28および/または第2の接着剤30へのより良好な接着のためにガラス基板16およびフレーム12の表面を準備するために、プライマを塗布することができる。さらに、実施形態では、金属およびガラス表面用のプライマに加えてまたはその代わりに、インクプライマが使用されてもよい。インクプライマは、第1の接着剤28および/または第2の接着剤30と、インクで覆われた表面(例えば、デッドフロント用途のための上記の顔料デザイン)との間のより良好な接着を提供するのに役立つ。プライマの例は、3M(商標)Scotch-Weld(商標)Metal Primer 3901(ミネソタ州セントポール在の3Mから入手可能)である。その他の市販されているプライマも、本開示における使用のために適しており、結合に関わる表面に基づいてかつ結合を生じるために使用される接着剤に基づいて選択することができる。
【0027】
実施形態では、第1の接着剤28は、特に冷間成形プロセス中に、第2の接着剤30を閉じ込めるためのバリアを提供するためにフレーム12の縁部領域32に塗布される。したがって、第1の接着剤28および第2の接着剤30を含む接着剤層24を塗布した後、ガラス基板16はフレーム12上に配置される。真空成形などの冷間成形プロセス中に、ガラス基板16は、フレーム12に形状一致するように曲げられる。実施形態では、冷間成形プロセスは、室温(例えば、約20℃)または成形チャンバ34内の僅かに高い温度、例えば、200℃以下、150℃以下、100℃以下または50℃以下で実施される。実施形態では、ガラス基板16は室温で冷間成形され、次いで、接着剤層24は高温で硬化させられる。真空成形の特定のプロセスにおいて、真空は、ガラス基板16をフレーム12に形状一致させるための曲げ力26を提供する。成形チャンバ34における冷間成形中に、第1の接着剤28は、ガラス基板16およびフレーム12が数十分のオーダの期間にわたって高温で硬化される必要がある従来のプロセスと比較して、比較的短い期間(例えば、10分以下)でフレーム12上の所定の位置にガラス基板16を固定する。
【0028】
第1の接着剤28は、ガラス基板16をフレーム12と形状一致させて維持するためのグリーン強度を提供する。次に、ガラス物品10を成形チャンバ34から取り外し、第2の接着剤30がガラス基板16とフレーム12との間の構造的結合を提供することができるようになるまで周囲温度で硬化させることができる。有利には、この方法でガラス物品10を硬化させることは、ガラス物品10を成形プロセス全体にわたって高温および真空下に保つ必要がないため、以前の冷間成形方法よりもはるかに経済的である。
【0029】
図3Bに見られるように、第1の接着剤28および第2の接着剤30は、接着剤層24内に異なる構成で配置することができる。図3Bでは、フレーム12はディスプレイ36を含み、接着剤層は光学的に透明な接着剤(OCA)38を含む。OCA38は、OCA38を通して送信されるディスプレイの画像、色、光などの歪みを引き起こすことなく、ディスプレイ36とガラス基板16との間に接着を提供する。図3Bの実施形態では、第1の接着剤28は、第2の接着剤30によるOCA38の汚染を防止するために、OCA38の周りに境界部を提供する。前の図3Aの実施形態と同様に、図3Bにおける実施形態の第1の接着剤28は、冷間成形中に早期グリーン結合強度を提供する。したがって、前の実施形態のように、ガラス基板16は、成形チャンバ34内のフレーム12と形状一致させられ、第1の接着剤28によって、曲げられた状態で保持される。その後、ガラス物品10が取り出され、第2の接着剤が完全な構造的結合強度まで硬化させられる。
【0030】
図3Cは、接着剤層24の構成のためのさらに別の実施形態を提供する。図3Cに示された実施形態では、第1の接着剤28は、ガラス基板16をフレーム12上に整列させかつ位置決めするための機構を提供するために曲面14の頂部に塗布される。フレーム12上に位置決めされると、ガラス基板16およびフレーム12は成形チャンバ34内に配置され、そこで第1の接着剤28がグリーン結合強度を提供し、ガラス基板16をフレーム12の曲面14と形状一致させて保持する。冷間成形後、ガラス物品10は成形チャンバ34から取り出され、第2の接着剤30は、周囲条件において構造的結合強度まで硬化させられる。
【0031】
図3A図3Cにおける各実施形態は、第1の接着剤28をフレーム12上の1つの位置でのみ示しているが、接着剤層24は、縁部領域32、曲面14の頂部、OCA38の周囲および/またはフレーム12上のその他の位置を含む複数の位置に第1の接着剤28を含むことができる。さらに、第1の接着剤28および第2の接着剤30は、ガラス基板16およびフレーム12上の様々な位置において応力緩和を提供するように配置することができる。例えば、比較的高い結合応力の領域が、第2の接着剤30が配置されたところに生じることがある。このような高い結合応力領域は、周囲領域に、比較的低い結合応力を有する第1の接着剤28を配置することによって、周囲領域において応力緩和させることができる。
【0032】
図4は、フレーム12に結合された第2の接着剤30の拡大図を提供している。図示の実施形態では、フレーム12は、スロット40を有し、このスロット40に第2の接着剤30が流れ込んで、フレーム12との機械的インターロックを形成することができる。機械的インターロックは、ガラス基板16をフレーム12に接合するための別のメカニズムを提供し、冷間成形中に過剰な第2の接着剤30が流入するための場所を提供する。
【0033】
様々な実施形態において、ガラス基板16は、強化ガラスシート(例えば、熱的に強化されたガラス材料、化学的に強化されたガラスシートなど)から形成される。このような実施形態では、ガラス基板16が強化ガラス材料から形成されている場合、第1の主面18および第2の主面20は圧縮応力下にあり、これにより、第2の主面20は、凸形状への曲げの間に破損のリスクなしにより大きな引張応力を受けることができる。これにより、強化ガラス基板16を、より強く湾曲させられた面に形状一致させることができる。
【0034】
冷間成形されたガラス基板の特徴は、ガラス基板が湾曲形状に曲げられたときの第1の主面18と第2の主面20との間の非対称表面圧縮である。このような実施形態では、冷間成形プロセスの前または冷間成形される前には、ガラス基板16の第1の主面18および第2の主面20におけるそれぞれの圧縮応力は実質的に等しい。冷間成形後、凹状の第1の主面18における圧縮応力が増大し、これにより、第1の主面18における圧縮応力は、冷間成形前よりも冷間成形後の方が大きくなる。対照的に、凸状の第2の主面20は、曲げ中に引張応力を受け、第2の主面20における表面圧縮応力の正味の減少を引き起こし、これにより、曲げ後の第2の主面20における圧縮応力は、ガラスシートが平らなときの第2の主面20における圧縮応力よりも小さくなる。
【0035】
上記のように、高価なおよび/または遅い加熱ステップを排除するなどの処理の利点を提供することに加えて、本明細書で論じられる冷間成形プロセスは、特に車室またはディスプレイカバーガラス用途の場合に、熱間成形されたガラス物品よりも優れた様々な特性を有する湾曲ガラス物品を生み出すと考えられる。例えば、出願人は、少なくとも幾つかのガラス材料について、熱間成形プロセス中の加熱が湾曲したガラスシートの光学特性を低下させ、したがって、本明細書で論じられる冷間曲げプロセス/システムを利用して形成された湾曲したガラス基板は、湾曲したガラスの形状とともに、熱間曲げプロセスによっては達成できないと考えられている改善された光学品質の双方を提供する。
【0036】
さらに、多くのガラス表面処理(例えば、アンチグレアコーティング、反射防止コーティング、清掃容易コーティングなど)は、湾曲したガラス物品のコーティングには通常不適切なスパッタリングプロセスなどの堆積プロセスによって適用される。さらに、多くの表面処理部(例えば、アンチグレアコーティング部、反射防止コーティング部、清掃容易コーティング部など)は、熱間曲げプロセスに関連する高温に耐えることもできない。したがって、本明細書において論じられる特定の実施形態では、1つ以上の表面処理が冷間曲げの前にガラス基板16の第1の主面18および/または第2の主面20に適用され、表面処理部を含むガラス基板16が、本明細書で論じられるように湾曲形状に曲げられる。したがって、出願人は、本明細書で論じられるプロセスおよびシステムは、典型的な熱間成形プロセスとは対照的に、1つ以上のコーティング材料がガラスに塗布された後にガラスの曲げを可能にすると考えている。
【0037】
図2および図3A図3Cでは、第2の主面20が単一の凸状曲率半径を有しかつ第1の主面18が単一の凹状曲率半径を有するような単一の曲率を有するガラス基板16が示されている。しかしながら、本明細書で論じられる方法は、ガラス基板16をより複雑な形状に曲げることを可能にする。例えば、図6に示したように、ガラス基板16は、第1の主面18が凸状および凹状の両方の湾曲セクションを有しかつ第2の主面20が凸状および凹状の両方の湾曲セクションを有するような形状に曲げられ、断面で見るとS字形のガラス基板を形成する。さらに、ガラス基板16は、湾曲したセクションの間に平らな領域(図示せず)を含んでもよい。
【0038】
様々な実施形態において、冷間成形されたガラス基板16は、主半径および交差曲率を含む複合湾曲を有してもよい。複雑に湾曲した冷間成形ガラス基板16は、2つの独立した方向において異なる曲率半径を有してもよい。したがって、1つ以上の実施形態によれば、複雑に湾曲した冷間成形されたガラス基板16は、「交差曲率」を有するものとして特徴付けられてもよく、冷間成形されたガラス基板16は、与えられた寸法に対して平行な軸線(すなわち、第1の軸線)に沿って湾曲させられておりかつまた同じ寸法に対して垂直な軸線(すなわち、第2の軸線)に沿って湾曲させられている。冷間成形されたガラス基板および湾曲したディスプレイの曲率は、有意な最小半径が有意な交差曲率および/または曲げの深さと組み合わされたとき、さらに複雑になることができる。様々な実施形態において、ガラス基板16は、同じまたは異なる湾曲形状を有する3つ以上の湾曲領域を有することができる。幾つかの実施形態では、ガラス基板16は、可変曲率半径を有する湾曲形状を有する1つ以上の領域を有することができる。
【0039】
図5を参照すると、ガラス基板16の追加的な構造的詳細が示され、説明されている。上記のように、ガラス基板16は、実質的に一定でかつ第1の主面18と第2の主面20との間の距離として規定される厚さT1を有する。様々な実施形態において、T1は、ガラス基板の平均厚さまたは最大厚さを指してもよい。さらに、ガラス基板16は、厚さT1と直交する第1または第2の主面18,20のうちの一方の第1の最大寸法として規定される幅W1と、厚さおよび幅の両方に直交する第1または第2の主面18,20のうちの一方の第2の最大寸法として規定される長さL1とを含む。他の実施形態では、W1およびLIは、それぞれ、ガラス基板16の平均幅および平均長さであってもよい。
【0040】
様々な実施形態において、厚さT1は、2mm以下であり、特に0.3mm~1.1mmである。例えば、厚さT1は、約0.1mm~約1.5mm、約0.15mm~約1.5mm、約0.2mm~約1.5mm、約0.25mm~約1.5mm、約0.3mm~約1.5mm、約0.35mm~約1.5mm、約0.4mm~約1.5mm、約0.45mm~約1.5mm、約0.5mm~約1.5mm、約0.55mm~約1.5mm、約0.6mm~約1.5mm、約0.65mm~約1.5mm、約0.7mm~約1.5mm、約0.1mm~約1.4mm、約0.1mm~約1.3mm、約0.1mm~約1.2mm、約0.1mm~約1.1mm、約0.1mm~約1.05mm、約0.1mm~約1mm、約0.1mm~約0.95mm、約0.1mm~約0.9mm、約0.1mm~約0.85mm、約0.1mm~約0.8mm、約0.1mm~約0.75mm、約0.1mm~約0.7mm、約0.1mm~約0.65mm、約0.1mm~約0.6mm、約0.1mm~約0.55mm、約0.1mm~約0.5mm、約0.1mm~約0.4mm、または約0.3mm~約0.7mmの範囲であってもよい。他の実施形態では、T1は、この段落に示された正確な数値範囲のいずれか1つに含まれる。
【0041】
様々な実施形態において、幅W1は、5cm~250cm、約10cm~約250cm、約15cm~約250cm、約20cm~約250cm、約25cm~約250cm、約30cm~約250cm、約35cm~約250cm、約40cm~約250cm、約45cm~約250cm、約50cm~約250cm、約55cm~約250cm、約60cm~約250cm、約65cm~約250cm、約70cm~約250cm、約75cm~約250cm、約80cm~約250cm、約85cm~約250cm、約90cm~約250cm、約95cm~約250cm、約100cm~約250cm、約110cm~約250cm、約120cm~約250cm、約130cm~約250cm、約140cm~約250cm、約150cm~約250cm、約5cm~約240cm、約5cm~約230cm、約5cm~約220cm、約5cm~約210cm、約5cm~約200cm、約5cm~約190cm、約5cm~約180cm、約5cm~約170cm、約5cm~約160cm、約5cm~約150cm、約5cm~約140cm、約5cm~約130cm、約5cm~約120cm、約5cm~約110cm、約5cm~約110cm、約5cm~約100cm、約5cm~約90cm、約5cm~約80cm、または約5cm~約75cmの範囲である。他の実施形態では、W1は、この段落に示された正確な数値範囲のいずれか1つに含まれる。
【0042】
様々な実施形態において、長さL1は、約5cm~約1500cm、約50cm~約1500cm、約100cm~約1500cm、約150cm~約1500cm、約200cm~約1500cm、約250cm~約1500cm、約300cm~約1500cm、約350cm~約1500cm、約400cm~約1500cm、約450cm~約1500cm、約500cm~約1500cm、約550cm~約1500cm、約600cm~約1500cm、約650cm~約1500cm、約650cm~約1500cm、約700cm~約1500cm、約750cm~約1500cm、約800cm~約1500cm、約850cm~約1500cm、約900cm~約1500cm、約950cm~約1500cm、約1000cm~約1500cm、約1050cm~約1500cm、約1100cm~約1500cm、約1150cm~約1500cm、約1200cm~約1500cm、約1250cm~約1500cm、約1300cm~約1500cm、約1350cm~約1500cm、約1400cm~約1500cm、または約1450cm~約1500cmの範囲である。他の実施形態では、L1は、この段落に示された正確な数値範囲のいずれか1つに含まれる。
【0043】
様々な実施形態では、ガラス基板16の1つまたは複数の曲率半径(例えば、図2に示されたR1)は、約60mm以上である。例えば、R1は、約60mm~約1500mm、約70mm~約1500mm、約80mm~約1500mm、約90mm~約1500mm、約100mm~約1500mm、約120mm~約1500mm、約140mm~約1500mm、約150mm~約1500mm、約160mm~約1500mm、約180mm~約1500mm、約200mm~約1500mm、約220mm~約1500mm、約240mm~約1500mm、約250mm~約1500mm、約260mm~約1500mm、約270mm~約1500mm、約280mm~約1500mm、約290mm~約1500mm、約300mm~約1500mm、約350mm~約1500mm、約400mm~約1500mm、約450mm~約1500mm、約500mm~約1500mm、約550mm~約1500mm、約600mm~約1500mm、約650mm~約1500mm、約700mm~約1500mm、約750mm~約1500mm、約800mm~約1500mm、約900mm~約1500mm、約950mm~約1500mm、約1000mm~約1500mm、約1250mm~約1500mm、約60mm~約1400mm、約60mm~約1300mm、約60mm~約1200mm、約60mm~約1100mm、約60mm~約1000mm、約60mm~約950mm、約60mm~約900mm、約60mm~約850mm、約60mm~約800mm、約60mm~約750mm、約60mm~約700mm、約60mm~約650mm、約60mm~約600mm、約60mm~約550mm、約60mm~約500mm、約60mm~約450mm、約60mm~約400mm、約60mm~約350mm、約60mm~約300mm、または約60mm~約250mmの範囲であってもよい。他の実施形態では、R1は、この段落に示された正確な数値範囲のいずれか1つに含まれる。
【0044】
図6に示したように、ガラス基板16は、ディスプレイ(例えば、電子ディスプレイ)を表示することを目的とした1つまたは複数の領域50を含むことができる。さらに、幾つかの実施形態によるガラス基板は、図6に示したように、ガラス基板の複数の領域52および54においてかつ複数の方向に湾曲させることができる(すなわち、ガラス基板は、平行であってもなくてもよい異なる軸線を中心にして湾曲させることができる)。したがって、可能な実施形態の形状および形態は、本明細書に示した例に限定されない。ガラス基板16は、1つ以上の平らなセクション、1つ以上の円錐形セクション、1つ以上の円筒形セクション、1つ以上の球形セクションなどを含む複数の異なる形状を含む、複雑な表面を有するように成形することができる。
【0045】
車室システムの様々な実施形態は、列車、自動車(例えば、乗用車、トラック、バスなど)、船舶(ボート、船、潜水艦など)および航空機(例えば、ドローン、飛行機、ジェット機、ヘリコプターなど)に組み込むこともできる。
【0046】
強化ガラス特性
上記のように、ガラス基板16は強化されうる。1つ以上の実施形態では、ガラス基板16は、表面から圧縮深さ(DOC)まで延びる圧縮応力を有するように強化されうる。圧縮応力領域は、引張応力を示す中央部分によってバランスが取られている。DOCでは、応力は正(圧縮)応力から負(引張)応力に転換する。
【0047】
様々な実施形態では、ガラス基板16は、物品の部分間の熱膨張係数の不一致を利用して、圧縮応力領域と引張応力を示す中央領域とを形成することによって機械的に強化されてよい。幾つかの実施形態では、ガラス基板は、ガラスをガラス転移点よりも高い温度に加熱し、次に急速に急冷することによって熱的に強化されてもよい。
【0048】
様々な実施形態において、ガラス基板16は、イオン交換によって化学的に強化されてもよい。イオン交換プロセスでは、ガラス基板の表面におけるまたはその近くのイオンが、同じ原子価または酸化状態を有するより大きなイオンに置き換えられるまたは交換される。ガラス基板がアルカリアルミノケイ酸塩ガラスを含むこれらの実施形態では、物品の表面層におけるイオンおよびより大きなイオンは、Li、Na、K、RbおよびCsなどの一価のアルカリ金属カチオンである。代替的に、表面層における一価カチオンは、Agなどの、アルカリ金属カチオン以外の一価カチオンで置き換えられてもよい。このような実施形態では、ガラス基板内に交換された一価のイオン(またはカチオン)が応力を生成する。
【0049】
イオン交換プロセスは、通常、ガラス基板内のより小さなイオンと交換されるより大きなイオンを含む溶融塩浴(または2つ以上の溶融塩浴)にガラス基板を浸漬させることによって行われる。水性塩浴が利用されてもよいことに留意されたい。さらに、浴の組成は、2つ以上のタイプのより大きなイオン(例えば、NaおよびK)または単一のより大きなイオンを含んでもよい。浴の組成および温度、浸漬時間、塩浴(または複数の浴)へのガラス基板の浸漬の回数、複数の塩浴の使用、追加的なステップ、例えば、アニーリング、洗浄などを含むがこれらに限定されないイオン交換プロセスのパラメータは、ガラス基板の組成(物品の構造および存在するあらゆる結晶相を含む)および強化によって生じるガラス基板の所望のDOCおよびCSによって一般的に決定されることが当業者によって認められるであろう。例示的な溶融浴組成物は、より大きなアルカリ金属イオンの硝酸塩、硫酸塩および塩化物を含んでもよい。典型的な硝酸塩は、KNO、NaNO、LiNO、NaSOおよびこれらの組合せを含む。溶融塩浴の温度は、通常、約380℃~約450℃の範囲であるが、浸漬時間は、ガラス基板の厚さ、浴温度およびガラス(または一価のイオン)の拡散率に応じて約15分~約100時間の範囲である。しかしながら、上記のものとは異なる温度および浸漬時間が使用されてもよい。
【0050】
1つまたは複数の実施形態では、ガラス基板は、約370℃~約480℃の温度を有する、100%NaNO、100%KNOまたはNaNOとKNOとの組合せの溶融塩浴に浸漬させられてもよい。幾つかの実施形態では、ガラス基板は、約5%~約90%のKNOおよび約10%~約95%のNaNOを含む溶融混合塩浴に浸漬させられてもよい。1つ以上の実施形態では、ガラス基板は、第1の浴に浸漬後、第2の浴に浸漬させられてもよい。第1および第2の浴は、互いに異なる組成および/または温度を有してもよい。第1および第2の浴における浸漬時間は異なっていてよい。例えば、第1の浴における浸漬は、第2の浴における浸漬よりも長くてもよい。
【0051】
1つ以上の実施形態では、ガラス基板は、約5時間未満にわたって、またはさらには約4時間未満にわたって、約420℃未満の温度(例えば、約400℃または約380℃)を有するNaNOおよびKNO(例えば、49%/51%、50%/50%、51%/49%)を含む溶融した混合塩浴に浸漬させられてもよい。
【0052】
イオン交換条件は、「スパイク」を提供するようにまたは結果として得られるガラス基板の表面またはその近くで応力分布の勾配を増大させるように調整することができる。スパイクは、より大きな表面CS値を生じることがある。このスパイクは、本明細書に記載のガラス基板に使用されるガラス組成の独特の特性により、単一の浴または複数の浴によって達成することができ、浴は、単一組成または混合組成を有する。
【0053】
2つ以上の一価イオンがガラス基板内に交換される1つ以上の実施形態では、異なる一価イオンは、ガラス基板内の異なる深さまで交換されてもよい(また、異なる深さにおいてガラス基板内に異なる大きさの応力を生じてもよい)。応力を生じるイオンの結果として生じる相対的な深さを決定し、応力分布の様々な特性を生じさせることができる。
【0054】
CSは、Orihara Industrial Co., Ltd(日本)によって製造されたFSM-6000などの市販の機器を使用する表面応力計(FSM)などの当技術分野で公知の手段を使用して測定される。表面応力測定は、ガラスの複屈折に関連する応力光学係数(SOC)の正確な測定に依存する。SOC自体は、当技術分野において公知の方法、例えば、ファイバ法および4点曲げ法であって、これらは両方とも、その内容全体が参照により本明細書に援用される“Standard Test method for Measurement of Glass Stress-Optical Coefficient”なるタイトルのASTM規格C770-98(2013)に記載されているものおよびバルクシリンダー法によって測定される。本明細書において使用される場合、CSは、圧縮応力層内で測定された最大圧縮応力値である「最大圧縮応力」であってもよい。幾つかの実施形態では、最大圧縮応力は、ガラス基板の表面に位置している。他の実施形態では、最大圧縮応力は、表面下の所定の深さにおいて生じてもよく、圧縮分布に「埋もれたピーク」の外観を与える。
【0055】
DOCは、強化方法および条件に応じて、FSMによってまたは散乱光ポラリスコープ(SCALP)(エストニア国タリン在のGlasstress Ltd.から入手可能なSCALP-04散乱光ポラリスコープなど)によって測定されてもよい。ガラス基板がイオン交換処理によって化学的に強化されている場合、ガラス基板内に交換されるイオンに応じて、FSMまたはSCALPが使用されてもよい。ガラス基板内にカリウムイオンを交換することによってガラス基板における応力が形成される場合、DOCを測定するためにFSMが使用される。ガラス基板内にナトリウムイオンを交換することによって応力が形成される場合、DOCを測定するためにSCALPが使用される。カリウムイオンおよびナトリウムイオンの両方をガラス内に交換することによってガラス基板における応力が形成される場合、DOCはSCALPによって測定される。なぜなら、ナトリウムの交換深さはDOCを示し、カリウムイオンの交換深さは圧縮応力の大きさの変化(ただし、圧縮から引張への応力の変化ではない)を示すと考えられるからである。このようなガラス基板におけるカリウムイオンの交換深さは、FSMによって測定される。中心張力またはCTは最大引張応力であり、SCALPによって測定される。
【0056】
1つ以上の実施形態では、ガラス基板は、(本明細書に記載されるように)ガラス基板の厚さT1の割合として説明されるDOCを示すように強化されてもよい。例えば、1つ以上の実施形態では、DOCは、約0.05T1以上、約0.1T1以上、約0.11T1以上、約0.12T1以上、約0.13T1以上、約0.14T1以上、約0.15T1以上、約0.16T1以上、約0.17T1以上、約0.18T1以上、約0.19T1以上、約0.2T1以上、約0.21T1以上であってもよい。幾つかの実施形態では、DOCは、約0.08T1~約0.25T1、約0.09T1~約0.25T1、約0.18T1~約0.25T1、約0.11T1~約0.25T1、約0.12T1~約0.25T1、約0.13T1~約0.25T1、約0.14T1~約0.25T1、約0.15T1~約0.25T1、約0.08T1~約0.24T1、約0.08T1~約0.23T1、約0.08T1~約0.22T1、約0.08T1~約0.21T1、約0.08T1~約0.2T1、約0.08T1~約0.19T1、約0.08T1~約0.18T1、約0.08T1~約0.17T1、約0.08T1~約0.16T1または約0.08T1~約0.15T1の範囲であってもよい。幾つかの実施例では、DOCは、約20μm以下であってもよい。1つ以上の実施形態では、DOCは、約40μm以上(例えば、約40μm~約300μm、約50μm~約300μm、約60μm~約300μm、約70μm~約300μm、約80μm~約300μm、約90μm~約300μm、約100μm~約300μm、約110μm~約300μm、約120μm~約300μm、約140μm~約300μm、約150μm~約300μm、約40μm~約290μm、約40μm~約280μm、約40μm~約260μm、約40μm~約250μm、約40μm~約240μm、約40μm~約230μm、約40μm~約220μm、約40μm~約210μm、約40μm~約200μm、約40μm~約180μm、約40μm~約160μm、約40μm~約150μm、約40μm~約140μm、約40μm~約130μm、約40μm~約120μm、約40μm~約110μmまたは約40μm~約100μm)であってもよい。他の実施形態では、DOCは、この段落に示された正確な数値範囲のいずれか1つに含まれる。
【0057】
1つ以上の実施形態では、強化されたガラス基板は、約200MPa以上、300MPa以上、400MPa以上、約500MPa以上、約600MPa以上、約700MPa以上、約800MPa以上、約900MPa以上、約930MPa以上、約1000MPa以上または約1050MPa以上のCS(ガラス基板内の表面または深さにおいて見られることがある)を有してもよい。
【0058】
1つ以上の実施形態では、強化されたガラス基板は、約20MPa以上、約30MPa以上、約40MPa以上、約45MPa以上、約50MPa以上、約60MPa以上、約70MPa以上、約75MPa以上、約80MPa以上または約85MPa以上の最大引張応力または中心張力(CT)を有してもよい。幾つかの実施形態では、最大引張応力または中心張力(CT)は、約40MPa~約100MPaの範囲であってもよい。他の実施形態では、CSは、この段落に示された正確な数値範囲内にある。
【0059】
ガラス組成
ガラス基板16において使用するための適切なガラス組成は、ソーダ石灰ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、アルミノホウケイ酸塩ガラス、アルカリ含有アルミノケイ酸塩ガラス、アルカリ含有ホウケイ酸塩ガラスおよびアルカリ含有アルミノホウケイ酸塩ガラスを含む。
【0060】
別段の定めがないかぎり、本明細書に開示されるガラス組成は、酸化物ベースで分析されたモルパーセント(モル%)で記載されている。
【0061】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約66モル%~約80モル%、約67モル%~約80モル%、約68モル%~約80モル%、約69モル%~約80モル%、約70モル%~約80モル%、約72モル%~約80モル%、約65モル%~約78モル%、約65モル%~約76モル%、約65モル%~約75モル%、約65モル%~約74モル%、約65モル%~約72モル%または約65モル%~約70モル%の範囲およびこれらの間の全ての範囲および部分範囲の量でSiOを含んでもよい。
【0062】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約4モル%よりも大きいまたは約5モル%よりも大きい量のAlを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約7モル%よりも大きい~約15モル%、約7モル%よりも大きい~約14モル%、約7モル%~約13モル%、約4モル%~約12モル%、約7モル%~約11モル%、約8モル%~約15モル%、約9モル%~約15モル%、約10モル%~約15モル%、約11モル%~約15モル%または約12モル%~約15モル%の範囲およびこれらの間の全ての範囲および部分範囲でAlを含む。1つ以上の実施形態では、Alの上限は、約14モル%、14.2モル%、14.4モル%、14.6モル%または14.8モル%であってもよい。
【0063】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、アルミノケイ酸塩ガラス物品としてまたはアルミノケイ酸塩ガラス組成を含むものとして説明されている。このような実施形態では、ガラス組成またはこのガラス組成から形成された物品は、SiOおよびAlを含み、ソーダ石灰ケイ酸塩ガラスではない。これに関して、ガラス組成またはこのガラス組成から形成された物品は、約2モル%以上、2.25モル%以上、2.5モル%以上、約2.75モル%以上、約3モル%以上の量のAlを含む。
【0064】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、B(例えば、約0.01モル%以上)を含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約0モル%~約5モル%、約0モル%~約4モル%、約0モル%~約3モル%、約0モル%~約2モル%、約0モル%~約1モル%、約0モル%~約0.5モル%、約0.1モル%~約5モル%、約0.1モル%~約4モル%、約0.1モル%~約3モル%、約0.1モル%~約2モル%、約0.1モル%~約1モル%、約0.1モル%~約0.5モル%の範囲およびこれらの間の全ての範囲および部分範囲の量でBを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成は実質的にBを含まない。
【0065】
本明細書で使用される場合、組成の成分に関して「実質的に含まない」という語句は、当該成分が初期計量中に組成に能動的または意図的に添加されないが、約0.001モル%未満の量で不純物として存在することがあることを意味する。
【0066】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、選択的に、P(例えば、約0.01モル%以上)を含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、2モル%、1.5モル%、1モル%または0.5モル%を含むこれ以下の非ゼロ量のPを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成は実質的にPを含まない。
【0067】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約8モル%以上、約10モル%以上または約12モル%以上であるROの総量(これは、LiO、NaO、KO、RbOおよびCsOなどのアルカリ金属酸化物の総量である)を含んでもよい。幾つかの実施形態では、ガラス組成は、約8モル%~約20モル%、約8モル%~約18モル%、約8モル%~約16モル%、約8モル%~約14モル%、約8モル%~約12モル%、約9モル%~約20モル%、約10モル%~約20モル%、約11モル%~約20モル%、約12モル%~約20モル%、約13モル%~約20モル%、約10モル%~約14モル%または11モル%~約13モル%の範囲およびこれらの間の全ての範囲および部分範囲のROの総量を含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、RbO、CsOまたはRbOおよびCsOの両方を実質的に含まなくてもよい。1つ以上の実施形態では、ROは、LiO、NaOおよびKOの総量のみを含んでもよい。1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、LiO、NaOおよびKOから選択される少なくとも1つのアルカリ金属酸化物を含んでもよく、アルカリ金属酸化物は、約8モル%以上の量で存在する。
【0068】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約8モル%以上、約10モル%以上または約12モル%以上の量のNaOを含む。1つ以上の実施形態では、組成は、約8モル%~約20モル%、約8モル%~約18モル%、約8モル%~約16モル%、約8モル%~約14モル%、約8モル%~約12モル%、約9モル%~約20モル%、約10モル%~約20モル%、約11モル%~約20モル%、約12モル%~約20モル%、約13モル%~約20モル%、約10モル%~約14モル%または11モル%~約16モル%の範囲およびこれらの間の全ての範囲および部分範囲のNaOを含む。
【0069】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約4モル%未満のKO、約3モル%未満のKOまたは約1モル%未満のKOを含む。幾つかの実施例では、ガラス組成は、約0モル%~約4モル%、約0モル%~約3.5モル%、約0モル%~約3モル%、約0モル%~約2.5モル%、約0モル%~約2モル%、約0モル%~約1.5モル%、約0モル%~約1モル%、約0モル%~約0.5モル%、約0モル%~約0.2モル%、約0モル%~約0.1モル%、約0.5モル%~約4モル%、約0.5モル%~約3.5モル%、約0.5モル%~約3モル%、約0.5モル%~約2.5モル%、約0.5モル%~約2モル%、約0.5モル%~約1.5モル%または約0.5モル%~約1モル%の範囲およびこれらの間の全ての範囲および部分範囲の量のKOを含んでもよい。1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、KOを実質的に含まなくてもよい。
【0070】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成は実質的にLiOを含まない。
【0071】
1つ以上の実施形態では、組成におけるNaOの量は、LiOの量よりも大きくてもよい。幾つかの実施例では、NaOの量は、LiOおよびKOの組み合わされた量よりも大きくてもよい。1つ以上の代替的な実施形態では、組成におけるLiOの量は、NaOの量またはNaOおよびKOの組み合わされた量よりも大きくてもよい。
【0072】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約0モル%~約2モル%の範囲のROの総量(これは、CaO、MgO、BaO、ZnOおよびSrOなどのアルカリ土類金属酸化物の総量である)を含んでもよい。幾つかの実施形態では、ガラス組成は、最大約2モル%のROの非ゼロ量を含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約0モル%~約1.8モル%、約0モル%~約1.6モル%、約0モル%~約1.5モル%、約0モル%~約1.4モル%、約0モル%~約1.2モル%、約0モル%~約1モル%、約0モル%~約0.8モル%、約0モル%~約0.5モル%およびこれらの間の全ての範囲および部分範囲の量のROを含む。
【0073】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約1モル%未満、約0.8モル%未満または約0.5モル%未満の量のCaOを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成は実質的にCaOを含まない。
【0074】
幾つかの実施形態では、ガラス組成は、約0モル%~約7モル%、約0モル%~約6モル%、約0モル%~約5モル%、約0モル%~約4モル%、約0.1モル%~約7モル%、約0.1モル%~約6モル%、約0.1モル%~約5モル%、約0.1モル%~約4モル%、約1モル%~約7モル%、約2モル%~約6モル%または約3モル%~約6モル%およびこれらの間の全ての範囲および部分範囲の量のMgOを含む。
【0075】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約0.2モル%以下、約0.18モル%未満、約0.16モル%未満、約0.15モル%未満、約0.14モル%未満、約0.12モル%未満の量のZrOを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約0.01モル%~約0.2モル%、約0.01モル%~約0.18モル%、約0.01モル%~約0.16モル%、約0.01モル%~約0.15モル%、約0.01モル%~約0.14モル%、約0.01モル%~約0.12モル%または約0.01モル%~約0.10モル%およびこれらの間の全ての範囲および部分範囲の量のZrOを含む。
【0076】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約0.2モル%以下、約0.18モル%未満、約0.16モル%未満、約0.15モル%未満、約0.14モル%未満、約0.12モル%未満の量のSnOを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約0.01モル%~約0.2モル%、約0.01モル%~約0.18モル%、約0.01モル%~約0.16モル%、約0.01モル%~約0.15モル%、約0.01モル%~約0.14モル%、約0.01モル%~約0.12モル%または約0.01モル%~約0.10モル%の範囲およびこれらの間の全ての範囲および部分範囲のSnOを含む。
【0077】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、ガラス物品に色または色合いを与える酸化物を含んでもよい。幾つかの実施形態では、ガラス組成は、ガラス物品が紫外放射に曝されたときにガラス物品の変色を防止する酸化物を含む。このような酸化物の例は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ce、WおよびMoを含むが、これらに限定されない。
【0078】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、Feとして表されるFeを含み、ここで、Feは、最大約1モル%の(およびこれを含む)量で存在する。幾つかの実施形態では、ガラス組成は実質的にFeを含まない。1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約0.2モル%以下、約0.18モル%未満、約0.16モル%未満、約0.15モル%未満、約0.14モル%未満、約0.12モル%未満の量のFeを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約0.01モル%~約0.2モル%、約0.01モル%~約0.18モル%、約0.01モル%~約0.16モル%、約0.01モル%~約0.15モル%、約0.01モル%~約0.14モル%、約0.01モル%~約0.12モル%または約0.01モル%~約0.10モル%の範囲およびこれらの間の全ての範囲および部分範囲のFeを含む。
【0079】
ガラス組成がTiOを含む場合、TiOは、約5モル%以下、約2.5モル%以下、約2モル%以下または約1モル%以下の量で存在してもよい。1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、実質的にTiOを含まなくてもよい。
【0080】
例示的なガラス組成は、約65モル%~約75モル%の範囲の量のSiO、約8モル%~約14モル%の範囲の量のAl、約12モル%~約17モル%の範囲の量のNaO、約0モル%~約0.2モル%の範囲の量のKOおよび約1.5モル%~約6モル%の範囲の量のMgOを含む。選択的に、SnOは、本明細書に別に開示された量で含まれてもよい。前述のガラス組成の段落はおおよその範囲を表すが、他の実施形態では、ガラス基板16は、上記の正確な数値範囲のいずれか1つに該当する任意のガラス組成から形成されうることを理解されたい。
【0081】
態様(1)は、湾曲したガラス物品を形成する方法であって、当該方法が、曲面を含むフレームまたはガラスカバーシートの第1の領域に第1の接着剤を塗布するステップと、フレームまたはガラスカバーシートの第2の領域に第2の接着剤を塗布するステップと、ガラスカバーシートがフレームの曲面に形状一致するようにガラスカバーシートをフレームに成形するステップと、第1の期間にわたって第1の温度で第1の接着剤を硬化させるステップと、第2の期間にわたって第2の温度で第2の接着剤を硬化させるステップと、を含み、第2の温度は第1の温度よりも低く、第2の期間は第1の期間よりも長い、方法に関する。
【0082】
態様(2)は、第1の接着剤が感圧接着剤を含み、当該方法が、感圧接着剤に圧力を加えて感圧接着剤を硬化させるステップをさらに含む、態様(1)記載の方法に関する。
【0083】
態様(3)は、第1の接着剤がUV硬化性アクリル接着剤を含み、当該方法が、UV光をUV硬化性アクリル接着剤に加えて、UV硬化性アクリル接着剤を硬化させるステップをさらに含む、態様(1)記載の方法に関する。
【0084】
態様(4)は、第1の温度が室温である、態様(2)または(3)記載の方法に関する。
【0085】
態様(5)は、第1の接着剤が、感圧接着剤、UV硬化性アクリル接着剤、ポリウレタンホットメルトまたはシリコーンホットメルトのうちの少なくとも1つを含む、態様(1)記載の方法に関する。
【0086】
態様(6)は、第2の接着剤が、強化接着剤、可撓性エポキシ、アクリル、ウレタンまたはシリコーンのうちの少なくとも1つを含む、態様(1)から(5)までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0087】
態様(7)は、第1の期間が10分以下である、態様(1)から(6)までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0088】
態様(8)は、第1の温度が約220℃以下である、態様(1)から(7)までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0089】
態様(9)は、第2の温度が60℃以下である、態様(1)から(8)までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0090】
態様(10)は、第2の期間が少なくとも30分である、態様(1)から(9)までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0091】
態様(11)は、成形するステップが、ガラスカバーシートをフレームに真空成形することを含む、態様(1)から(10)までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0092】
態様(12)は、当該方法が、フレームに少なくとも1つのスロットを形成するステップをさらに含み、第2の接着剤を硬化させるステップ中に、当該方法が、第2の接着剤とフレームの少なくとも1つのスロットとの間に機械的インターロックを形成することをさらに含む、態様(1)から(11)までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0093】
態様(13)は、当該方法が、光学的に透明な接着剤を使用してディスプレイをフレームに結合するステップをさらに含み、フレームの第1の領域に第1の接着剤を塗布するステップが、第2の接着剤が光学的に透明な接着剤に接触しないように、光学的に透明な接着剤の周りに第1の接着剤を塗布することを含む、態様(1)から(12)までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0094】
態様(14)は、第1の接着剤がガラスカバーシートとフレームとの間からの第2の接着剤の漏れを防止するように、第1の領域が第2の領域の側縁部を包囲している、態様(1)から(13)までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0095】
態様(15)は、ガラスカバーシートが化学的に強化されたアルミノケイ酸塩ガラス組成を含む、態様(1)から(14)までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0096】
態様(16)は、ガラスカバーシートが0.4mm~2.0mmの厚さを有する、態様(1)から(15)までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0097】
態様(17)は、第1の領域における第1の接着剤とガラスカバーシートとの間の第1の結合応力が、第2の領域における第2の接着剤とガラスカバーシートとの間の第2の結合応力よりも小さい、態様(1)から(16)までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0098】
態様(18)は、ガラスカバーシートが第1の主面および第2の主面を有し、第2の主面がフレームに面しており、当該方法が、第1の主面に表面処理を適用するステップをさらに含む、態様(1)から(17)までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0099】
態様(19)は、表面処理が、アンチグレア処理、反射防止コーティングおよび清掃容易コーティングのうちの少なくとも1つである、態様(18)記載の方法に関する。
【0100】
態様(20)は、ガラス物品であって、第1の主面、および第1の湾曲を含む第2の主面を有するガラスカバーシートと、第2の湾曲を含む第3の主面、および第4の主面を有するフレームであって、カバーガラスシートの第2の主面はフレームの第3の主面に面しており、第2の湾曲は第1の湾曲を補完している、フレームと、フレームの第1の主面とガラスカバーシートの第2の主面との間の第1の領域に配置された第1の接着剤と、フレームの第1の主面とガラスカバーシートの第2の主面との間の第2の領域に配置された第2の接着剤と、を含み、第1の接着剤は、第1の硬化温度での第1の硬化時間の後に第1の硬化強度に硬化されるように構成されており、第2の接着剤は、第1の硬化温度よりも低い第2の硬化温度で、第1の硬化時間よりも長い第2の硬化時間の後に第2の硬化強度に硬化されるように構成されており、第2の硬化強度は第1の硬化強度よりも大きい、ガラス物品に関する。
【0101】
態様(21)は、第1の硬化強度が5MPa以下である、態様(20)記載のガラス物品に関する。
【0102】
態様(22)は、第2の硬化強度が5MPaよりも大きい、態様(20)または(21)記載のガラス物品に関する。
【0103】
態様(23)は、第1の接着剤が、感圧接着剤、UV硬化性アクリル接着剤、ポリウレタンホットメルトまたはシリコーンホットメルトのうちの少なくとも1つを含む、態様(20)から(22)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0104】
態様(24)は、第2の接着剤が、強化接着剤、可撓性エポキシ、アクリル、ウレタンまたはシリコーンのうちの少なくとも1つを含む、態様(20)から(23)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0105】
態様(25)は、フレームが、第3の主面に形成された少なくとも1つのスロットを含み、第2の接着剤が、少なくとも1つのスロットを実質的に充填してフレームとの機械的インターロックを形成する、態様(20)から(24)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0106】
態様(26)は、当該ガラス物品が、光学的に透明な接着剤を使用してフレームに結合されたディスプレイをさらに含み、第2の接着剤が光学的に透明な接着剤と接触しないように、第1の接着剤が光学的に透明な接着剤の側縁部を包囲している、態様(20)から(25)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0107】
態様(27)は、第1の接着剤がガラスカバーシートとフレームとの間からの第2の接着剤の漏れを防止するように、第1の領域が第2の領域の側縁部を包囲している、態様(20)から(26)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0108】
態様(28)は、ガラスカバーシートが、化学的に強化されたアルミノケイ酸塩ガラス組成を含む、態様(20)から(27)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0109】
態様(29)は、ガラスカバーシートが0.4mm~2.0mmの厚さを有する、態様(20)から(28)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0110】
態様(30)は、当該ガラス物品が、ガラスカバーシートの第1の主面上の表面処理部をさらに含む、態様(20)から(29)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0111】
態様(31)は、表面処理部が、アンチグレア処理部、反射防止コーティング部および清掃容易コーティング部のうちの少なくとも1つである、態様(20)から(30)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0112】
態様(32)は、第1の湾曲および第2の湾曲がそれぞれ、100mm以下の曲率半径を有する少なくとも1つの位置を含む、態様(20)から(31)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0113】
態様(33)は、態様(20)から(32)までのいずれか1つ記載のガラス物品を含む車室に関する。
【0114】
態様(34)は、湾曲したガラス物品を形成する方法であって、当該方法が、曲面を含むフレームまたはガラスカバーシートの少なくとも一部に感圧構造用接着剤を塗布するステップと、ガラスカバーシートがフレームの曲面に形状一致するようにガラスカバーシートをフレームに成形するステップと、第1の期間にわたって第1の温度で感圧構造用接着剤に圧力を加えるステップと、第2の期間にわたって第2の温度で感圧構造用接着剤を硬化させるステップと、を含み、第2の温度は第1の温度よりも低く、第2の期間は第1の期間よりも長い、方法に関する。
【0115】
態様(35)は、ガラスカバーシートが第1の主面および第2の主面を有し、第2の主面がフレームに面しており、当該方法が、第1の主面に表面処理を適用するステップをさらに含む、態様(34)記載の方法に関する。
【0116】
態様(36)は、表面処理が、アンチグレア処理、反射防止コーティングおよび清掃容易コーティングのうちの少なくとも1つである、態様(35)記載の方法に関する。
【0117】
態様(37)は、成形するステップが、ガラスカバーシートをフレームに真空成形することを含む、態様(34)から(36)までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0118】
態様(38)は、第1の期間が約1分~約10分であり、第1の温度が約220℃以下である、態様(34)から(37)までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0119】
態様(39)は、第2の期間が少なくとも30分であり、第2の温度が約20℃~約60℃である、態様(34)から(38)までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0120】
態様(40)は、ガラス物品であって、第1の主面、および第1の湾曲を含む第2の主面を有するガラスカバーシートと、第2の湾曲を含む第3の主面、および第4の主面を有するフレームであって、カバーガラスシートの第2の主面はフレームの第3の主面に面しており、第2の湾曲は第1の湾曲を補完している、フレームと、フレームの第1の主面とガラスカバーシートの第2の主面との間に配置された感圧構造用接着剤と、を含み、感圧構造用接着剤は、第1の硬化温度での第1の硬化時間後に第1の硬化強度に硬化され、かつ第1の硬化温度よりも低い第2の硬化温度での、第1の硬化時間よりも長い第2の硬化時間後に第2の硬化強度に硬化されるように構成されており、第2の硬化強度は第1の硬化強度より大きい、ガラス物品に関する。
【0121】
態様(41)は、第1の硬化強度が5MPa以下である、態様(40)記載のガラス物品に関する。
【0122】
態様(42)は、第2の硬化強度が5MPaよりも大きい、態様(40)または(41)記載のガラス物品に関する。
【0123】
態様(43)は、当該ガラス物品が、光学的に透明な接着剤を使用してフレームに結合されたディスプレイをさらに含む、態様(40)から(42)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0124】
態様(44)は、ガラスカバーシートが、化学的に強化されたアルミノケイ酸塩ガラス組成を含む、態様(40)から(43)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0125】
態様(45)は、ガラスカバーシートが0.4mm~2.0mmの厚さを有する、態様(40)から(44)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0126】
態様(46)は、当該ガラス物品が、ガラスカバーシートの第1の主面上の表面処理部をさらに含む、態様(40)から(45)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0127】
態様(47)は、表面処理部が、アンチグレア処理部、反射防止コーティング部および清掃容易コーティング部のうちの少なくとも1つである、態様(46)記載のガラス物品に関する。
【0128】
態様(48)は、第1の湾曲および第2の湾曲がそれぞれ、100mm以下の曲率半径を有する少なくとも1つの位置を含む、態様(40)から(47)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0129】
態様(49)は、態様(40)から(48)までのいずれか1つ記載のガラス物品を含む車室に関する。
【0130】
明示的に別段の定めがないかぎり、本明細書に示されたいずれの方法についても、そのステップが特定の順序で実行されることを要求すると解釈されることは全く意図されていない。したがって、方法クレームが実際にそのステップが従うべき順序を述べていない場合、またはステップが特定の順序に限定されることが特許請求の範囲または詳細な説明に格別に具体的に述べられていない場合、いかなる特定の順序も推測されないことが意図されている。さらに、本明細書で使用される場合、冠詞「a」は、1つまたは複数の構成要素または要素を含むことを意図しており、1つだけを意味すると解釈されることを意図していない。
【0131】
開示された実施形態の思想または範囲から逸脱することなく、様々な修正および変形を行いうることは当業者には明らかであろう。当業者は、各実施形態の思想および実体を組み込んだ開示された実施形態の修正、組合せ、サブコンビネーションおよび変形に想到可能であるので、開示した実施形態は、添付の特許請求の範囲およびその同等物の範囲内の全てを含むと解釈されるべきである。
【0132】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0133】
実施形態1
湾曲したガラス物品を形成する方法であって、該方法が、
曲面を含むフレームまたはガラスカバーシートの第1の領域に第1の接着剤を塗布するステップと、
前記フレームまたは前記ガラスカバーシートの第2の領域に第2の接着剤を塗布するステップと、
前記ガラスカバーシートが前記フレームの前記曲面に形状一致するように前記ガラスカバーシートをフレームに成形するステップと、
第1の期間にわたって第1の温度で前記第1の接着剤を硬化させるステップと、
第2の期間にわたって第2の温度で前記第2の接着剤を硬化させるステップと、
を含み、
前記第2の温度は前記第1の温度よりも低く、
前記第2の期間は前記第1の期間よりも長い、方法。
【0134】
実施形態2
前記第1の接着剤が感圧接着剤を含み、前記方法が、前記感圧接着剤に圧力を加えて前記感圧接着剤を硬化させるステップをさらに含む、実施形態1記載の方法。
【0135】
実施形態3
前記第1の接着剤がUV硬化性アクリル接着剤を含み、前記方法が、UV光を前記UV硬化性アクリル接着剤に加えて、前記UV硬化性アクリル接着剤を硬化させるステップをさらに含む、実施形態1記載の方法。
【0136】
実施形態4
前記第1の温度が室温である、実施形態2または3記載の方法。
【0137】
実施形態5
前記第1の接着剤が、感圧接着剤、UV硬化性アクリル接着剤、ポリウレタンホットメルトまたはシリコーンホットメルトのうちの少なくとも1つを含む、実施形態1記載の方法。
【0138】
実施形態6
前記第2の接着剤が、強化接着剤、可撓性エポキシ、アクリル、ウレタンまたはシリコーンのうちの少なくとも1つを含む、実施形態1から5までのいずれか1つ記載の方法。
【0139】
実施形態7
前記第1の期間が10分以下である、実施形態1から6までのいずれか1つ記載の方法。
【0140】
実施形態8
前記第1の温度が約220℃以下である、実施形態1から7までのいずれか1つ記載の方法。
【0141】
実施形態9
前記第2の温度が60℃以下である、実施形態1から8までのいずれか1つ記載の方法。
【0142】
実施形態10
前記第2の期間が少なくとも30分である、実施形態1から9までのいずれか1つ記載の方法。
【0143】
実施形態11
成形するステップが、前記ガラスカバーシートを前記フレームに真空成形することを含む、実施形態1から10までのいずれか1つ記載の方法。
【0144】
実施形態12
前記方法が、前記フレームに少なくとも1つのスロットを形成するステップをさらに含み、前記第2の接着剤を硬化させるステップ中に、前記方法が、前記第2の接着剤と前記フレームの前記少なくとも1つのスロットとの間に機械的インターロックを形成することをさらに含む、実施形態1から11までのいずれか1つ記載の方法。
【0145】
実施形態13
前記方法が、光学的に透明な接着剤を使用してディスプレイをフレームに結合するステップをさらに含み、前記フレームの第1の領域に前記第1の接着剤を塗布するステップが、前記第2の接着剤が前記光学的に透明な接着剤に接触しないように、前記光学的に透明な接着剤の周りに前記第1の接着剤を塗布することを含む、実施形態1から12までのいずれか1つ記載の方法。
【0146】
実施形態14
前記第1の接着剤が前記ガラスカバーシートと前記フレームとの間からの前記第2の接着剤の漏れを防止するように、前記第1の領域が前記第2の領域の側縁部を包囲している、実施形態1から13までのいずれか1つ記載の方法。
【0147】
実施形態15
前記ガラスカバーシートが、化学的に強化されたアルミノケイ酸塩ガラス組成を含む、実施形態1から14までのいずれか1つ記載の方法。
【0148】
実施形態16
前記ガラスカバーシートが0.4mm~2.0mmの厚さを有する、実施形態1から15までのいずれか1つ記載の方法。
【0149】
実施形態17
前記第1の領域における前記第1の接着剤と前記ガラスカバーシートとの間の第1の結合応力が、前記第2の領域における前記第2の接着剤と前記ガラスカバーシートとの間の第2の結合応力よりも小さい、実施形態1から16までのいずれか1つ記載の方法。
【0150】
実施形態18
前記ガラスカバーシートが第1の主面および第2の主面を有し、前記第2の主面がフレームに面しており、前記方法が、前記第1の主面に表面処理を適用するステップをさらに含む、実施形態1から17までのいずれか1つ記載の方法。
【0151】
実施形態19
前記表面処理が、アンチグレア処理、反射防止コーティングおよび清掃容易コーティングのうちの少なくとも1つである、実施形態18記載の方法。
【0152】
実施形態20
ガラス物品であって、
第1の主面、および第1の湾曲を含む第2の主面を有するガラスカバーシートと、
第2の湾曲を含む第3の主面、および第4の主面を有するフレームであって、前記カバーガラスシートの前記第2の主面は前記フレームの前記第3の主面に面しており、前記第2の湾曲は前記第1の湾曲を補完している、フレームと、
前記フレームの前記第1の主面と前記ガラスカバーシートの前記第2の主面との間の第1の領域に配置された第1の接着剤と、
前記フレームの前記第1の主面と前記ガラスカバーシートの前記第2の主面との間の第2の領域に配置された第2の接着剤と、
を含み、
前記第1の接着剤は、第1の硬化温度での第1の硬化時間の後に第1の硬化強度に硬化されるように構成されており、
前記第2の接着剤は、前記第1の硬化温度よりも低い第2の硬化温度で、前記第1の硬化時間よりも長い第2の硬化時間の後に第2の硬化強度に硬化されるように構成されており、
前記第2の硬化強度は前記第1の硬化強度よりも大きい、ガラス物品。
【0153】
実施形態21
前記第1の硬化強度が5MPa以下である、実施形態20記載のガラス物品。
【0154】
実施形態22
前記第2の硬化強度が5MPaよりも大きい、実施形態20または21記載のガラス物品。
【0155】
実施形態23
前記第1の接着剤が、感圧接着剤、UV硬化性アクリル接着剤、ポリウレタンホットメルトまたはシリコーンホットメルトのうちの少なくとも1つを含む、実施形態20から22までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0156】
実施形態24
前記第2の接着剤が、強化接着剤、可撓性エポキシ、アクリル、ウレタンまたはシリコーンのうちの少なくとも1つを含む、実施形態20から23までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0157】
実施形態25
前記フレームが、前記第3の主面に形成された少なくとも1つのスロットを含み、前記第2の接着剤が、前記少なくとも1つのスロットを実質的に充填して前記フレームとの機械的インターロックを形成する、実施形態20から24までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0158】
実施形態26
前記ガラス物品が、光学的に透明な接着剤を使用して前記フレームに結合されたディスプレイをさらに含み、前記第2の接着剤が前記光学的に透明な接着剤と接触しないように、前記第1の接着剤が前記光学的に透明な接着剤の側縁部を包囲している、実施形態20から25までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0159】
実施形態27
前記第1の接着剤が前記ガラスカバーシートと前記フレームとの間からの前記第2の接着剤の漏れを防止するように、前記第1の領域が前記第2の領域の側縁部を包囲している、実施形態20から26までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0160】
実施形態28
前記ガラスカバーシートが、化学的に強化されたアルミノケイ酸塩ガラス組成を含む、実施形態20から27までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0161】
実施形態29
前記ガラスカバーシートが0.4mm~2.0mmの厚さを有する、実施形態20から28までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0162】
実施形態30
前記ガラス物品が、前記ガラスカバーシートの前記第1の主面上の表面処理部をさらに含む、実施形態20から29までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0163】
実施形態31
前記表面処理部が、アンチグレア処理部、反射防止コーティング部および清掃容易コーティング部のうちの少なくとも1つである、実施形態20から30までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0164】
実施形態32
前記第1の湾曲および前記第2の湾曲がそれぞれ、100mm以下の曲率半径を有する少なくとも1つの位置を含む、実施形態20から31までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0165】
実施形態33
実施形態20から32までのいずれか1つ記載のガラス物品を含む車室。
【0166】
実施形態34
湾曲したガラス物品を形成する方法であって、該方法が、
曲面を含むフレームまたはガラスカバーシートの少なくとも一部に感圧構造用接着剤を塗布するステップと、
ガラスカバーシートが前記フレームの前記曲面に形状一致するように前記ガラスカバーシートを前記フレームに成形するステップと、
第1の期間にわたって第1の温度で前記感圧構造用接着剤に圧力を加えるステップと、
第2の期間にわたって第2の温度で前記感圧構造用接着剤を硬化させるステップと、
を含み、
前記第2の温度は前記第1の温度よりも低く、
前記第2の期間は前記第1の期間よりも長い、方法。
【0167】
実施形態35
前記ガラスカバーシートが、第1の主面および第2の主面を有し、前記第2の主面は前記フレームに面しており、前記方法は、前記第1の主面に表面処理を適用するステップをさらに含む、実施形態34記載の方法。
【0168】
実施形態36
前記表面処理が、アンチグレア処理、反射防止コーティングおよび清掃容易コーティングのうちの少なくとも1つである、実施形態35記載の方法。
【0169】
実施形態37
前記成形するステップが、前記ガラスカバーシートを前記フレームに真空成形することを含む、実施形態34から36までのいずれか1つ記載の方法。
【0170】
実施形態38
前記第1の期間が約1分~約10分であり、前記第1の温度が約220℃以下である、実施形態34から37までのいずれか1つ記載の方法。
【0171】
実施形態39
前記第2の期間が少なくとも30分であり、前記第2の温度が約20℃~約60℃である、実施形態34から38までのいずれか1つ記載の方法。
【0172】
実施形態40
ガラス物品であって、
第1の主面、および第1の湾曲を含む第2の主面を有するガラスカバーシートと、
第2の湾曲を含む第3の主面、および第4の主面を有するフレームであって、前記カバーガラスシートの前記第2の主面は前記フレームの前記第3の主面に面しており、前記第2の湾曲は前記第1の湾曲を補完している、フレームと、
前記フレームの前記第1の主面と前記ガラスカバーシートの前記第2の主面との間に配置された感圧構造用接着剤と、
を含み、
前記感圧構造用接着剤は、第1の硬化温度での第1の硬化時間後に第1の硬化強度に硬化され、かつ前記第1の硬化温度よりも低い第2の硬化温度での、前記第1の硬化時間よりも長い第2の硬化時間後に第2の硬化強度に硬化されるように構成されており、
前記第2の硬化強度は前記第1の硬化強度より大きい、ガラス物品。
【0173】
実施形態41
前記第1の硬化強度が5MPa以下である、実施形態40記載のガラス物品。
【0174】
実施形態42
前記第2の硬化強度が5MPaよりも大きい、実施形態40または41記載のガラス物品。
【0175】
実施形態43
前記ガラス物品が、光学的に透明な接着剤を使用して前記フレームに結合されたディスプレイをさらに含む、実施形態40から42までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0176】
実施形態44
前記ガラスカバーシートが、化学的に強化されたアルミノケイ酸塩ガラス組成を含む、実施形態40から43までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0177】
実施形態45
前記ガラスカバーシートが0.4mm~2.0mmの厚さを有する、実施形態40から44までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0178】
実施形態46
前記ガラス物品が、前記ガラスカバーシートの前記第1の主面上の表面処理部をさらに含む、実施形態40から45までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0179】
実施形態47
前記表面処理部が、アンチグレア処理部、反射防止コーティング部および清掃容易コーティング部のうちの少なくとも1つである、実施形態46記載のガラス物品。
【0180】
実施形態48
前記第1の湾曲および前記第2の湾曲がそれぞれ、100mm以下の曲率半径を有する少なくとも1つの位置を含む、実施形態40から47までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0181】
実施形態49
実施形態40から48までのいずれか1つ記載のガラス物品を含む車室。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
【国際調査報告】