IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニング インコーポレイテッドの特許一覧

特表2022-507732ガラスのウェザリングを防止するための有機ケイ酸塩膜
<>
  • 特表-ガラスのウェザリングを防止するための有機ケイ酸塩膜 図1
  • 特表-ガラスのウェザリングを防止するための有機ケイ酸塩膜 図2
  • 特表-ガラスのウェザリングを防止するための有機ケイ酸塩膜 図3
  • 特表-ガラスのウェザリングを防止するための有機ケイ酸塩膜 図4
  • 特表-ガラスのウェザリングを防止するための有機ケイ酸塩膜 図5
  • 特表-ガラスのウェザリングを防止するための有機ケイ酸塩膜 図6
  • 特表-ガラスのウェザリングを防止するための有機ケイ酸塩膜 図7
  • 特表-ガラスのウェザリングを防止するための有機ケイ酸塩膜 図8
  • 特表-ガラスのウェザリングを防止するための有機ケイ酸塩膜 図9
  • 特表-ガラスのウェザリングを防止するための有機ケイ酸塩膜 図10
  • 特表-ガラスのウェザリングを防止するための有機ケイ酸塩膜 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】ガラスのウェザリングを防止するための有機ケイ酸塩膜
(51)【国際特許分類】
   C03C 17/30 20060101AFI20220111BHJP
   C03C 3/078 20060101ALI20220111BHJP
   C03C 3/083 20060101ALI20220111BHJP
   C03C 3/085 20060101ALI20220111BHJP
   C03C 3/087 20060101ALI20220111BHJP
   C03C 3/089 20060101ALI20220111BHJP
   C03C 3/091 20060101ALI20220111BHJP
   C03C 3/093 20060101ALI20220111BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20220111BHJP
   B32B 17/06 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
C03C17/30 A
C03C3/078
C03C3/083
C03C3/085
C03C3/087
C03C3/089
C03C3/091
C03C3/093
G02F1/13357
B32B17/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021527184
(86)(22)【出願日】2019-11-06
(85)【翻訳文提出日】2021-07-13
(86)【国際出願番号】 US2019059963
(87)【国際公開番号】W WO2020106445
(87)【国際公開日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】62/769,661
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】バネルジー,ジョイ
(72)【発明者】
【氏名】フォン,ジアンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】セナーラットヌ,ワギーシャ
【テーマコード(参考)】
2H391
4F100
4G059
4G062
【Fターム(参考)】
2H391AA15
2H391AA16
2H391AB04
2H391AB34
2H391AB40
2H391AC13
2H391AC23
2H391AC53
2H391AD25
2H391AD36
2H391CB06
4F100AG00A
4F100AH06B
4F100AK52B
4F100BA02
4F100BA07
4F100EH46B
4F100EH66B
4F100GB41
4F100JB04B
4F100JL09
4F100JN01
4F100JN06A
4F100JN18B
4G059AA01
4G059AB09
4G059AC04
4G059FA22
4G059FB05
4G062AA01
4G062BB01
4G062CC10
4G062DA06
4G062DA07
4G062DB01
4G062DB02
4G062DB03
4G062DB04
4G062DC01
4G062DC02
4G062DC03
4G062DC04
4G062DD01
4G062DE01
4G062DE02
4G062DE03
4G062DE04
4G062DF01
4G062EA01
4G062EA02
4G062EA03
4G062EA04
4G062EA10
4G062EB01
4G062EB02
4G062EB03
4G062EB04
4G062EC01
4G062EC02
4G062EC03
4G062EC04
4G062ED01
4G062ED02
4G062ED03
4G062ED04
4G062EE01
4G062EE02
4G062EE03
4G062EE04
4G062EF01
4G062EF02
4G062EF03
4G062EF04
4G062EG01
4G062EG02
4G062EG03
4G062EG04
4G062FA01
4G062FA10
4G062FB01
4G062FC01
4G062FD01
4G062FE01
4G062FF01
4G062FG01
4G062FH01
4G062FJ01
4G062FK01
4G062FL01
4G062GA01
4G062GA10
4G062GB01
4G062GC01
4G062GD01
4G062GE01
4G062HH01
4G062HH02
4G062HH03
4G062HH05
4G062HH07
4G062HH09
4G062HH11
4G062HH13
4G062HH15
4G062HH17
4G062HH20
4G062JJ01
4G062JJ03
4G062JJ05
4G062JJ07
4G062JJ10
4G062KK01
4G062KK03
4G062KK05
4G062KK07
4G062KK10
4G062MM12
4G062NN16
4G062NN33
4G062NN34
(57)【要約】
厚さを画定する少なくとも2つの主面と、光源から光を受け取るように構成されている縁面とを含み、光源からの光を分布させるように構成されているガラス基板と、少なくとも2つの主面のうちの1つの主面上に配置されている有機ケイ酸塩膜とを含む、導光板。ディスプレイ製品および導光板として使用するためのガラス基板を処理する方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導光板であって、
厚さを画定する少なくとも2つの主面と、光源から光を受け取るように構成されている縁面とを含み、前記光源からの前記光を分布させるように構成されているガラス基板と、
前記少なくとも2つの主面のうちの1つの主面上に配置されている有機ケイ酸塩膜と
を備え、
前記有機ケイ酸塩膜は、有機ケイ酸塩膜を備えていない導光板と比較して、60℃および90%の相対湿度で960時間エージングした際の白色スポットの形成を低減する、
導光板。
【請求項2】
前記導光板が、400nm~700nmの波長範囲にわたって、前記有機ケイ酸塩膜を有する主面に対して垂直な90%超の透過率を示す、請求項1記載の導光板。
【請求項3】
前記有機ケイ酸塩膜が、単層であり、前記ガラス基板が、追加の層を有さない、請求項2記載の導光板。
【請求項4】
光取出し特徴部(LEF)またはレンチキュラーレンズのうちの1つ以上が、前記有機ケイ酸塩膜上に適用されている、請求項2記載の導光板。
【請求項5】
前記ガラス基板が、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラスおよびソーダ石灰ガラスからなる群から選択される、請求項2記載の導光板。
【請求項6】
前記ガラス基板が、酸化物ベース(モル%)で、
50~90モル%のSiO
0~20モル%のAl
0~20モル%のBおよび
0~25モル%のR
を含み、
式中、xが、2であり、Rが、Li、Na、K、Rb、Csおよびそれらの組み合わせから選択されるか、またはxが、1であり、Rが、Zn、Mg、Ca、Sr、Baおよびそれらの組み合わせから選択され、
前記ガラス基板が、LiO、NaO、KO、CaOおよびMgOから選択される少なくとも0.5モル%の1つの酸化物を含む、
請求項2記載の導光板。
【請求項7】
前記ガラス基板が、酸化物ベース(モル%)で、NaOおよびKOから選択される少なくとも3.5モル%の1つの酸化物を含む、請求項6記載の導光板。
【請求項8】
前記有機ケイ酸塩膜が、約1nm~約1200nmの厚さを有する、請求項2記載の導光板。
【請求項9】
前記有機ケイ酸塩膜が、スプレーコーティング膜である、請求項2記載の導光板。
【請求項10】
前記有機ケイ酸塩膜が、ディップコーティング膜である、請求項2記載の導光板。
【請求項11】
前記有機ケイ酸塩膜が、スピンオンガラス形成膜である、請求項2記載の導光板。
【請求項12】
前記有機ケイ酸塩膜が、化学気相成長法で形成された膜である、請求項2記載の導光板。
【請求項13】
前記有機ケイ酸塩膜が、
(a)約1.05~約1.45の範囲にある屈折率;
(b)少なくとも約70°の水接触角;
(c)約55mJ/m未満の総表面エネルギー;または
(d)約25mJ/m未満の極性表面エネルギー成分
のうちの1つ以上を示す、請求項2記載の導光板。
【請求項14】
前記有機ケイ酸塩膜が、有機ケイ酸塩膜を備えていない導光板と比較して、60℃および90%の相対湿度で960時間エージングした際の白色スポットの形成を低減する、請求項1記載の導光板。
【請求項15】
ディスプレイ製品であって、
光源と、
反射体と、
請求項1記載の導光板と
を備える、ディスプレイ製品。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、米国特許法第119条のもと、2018年11月20日に出願された米国仮特許出願第62/769,661号の優先権の利益を主張し、その内容が依拠され、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示は、例えば、ウェザリングの影響が低減された導光板を備えるディスプレイに使用することができるガラス基板の主面上に堆積させられた有機ケイ酸塩膜を有するガラス基板に関する。
【背景技術】
【0003】
拡散光を生じさせるために使用される従来のコンポーネントは、ディスプレイ産業において多くの用途で利用されてきたポリマー導光膜および拡散膜を含む拡散構造を有する。これらの用途は、ベゼルフリーテレビシステム、液晶ディスプレイ(LCD)、電気泳動ディスプレイ(EPD)、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、微小電気機械構造(MEMS)ディスプレイ、電子リーダ(e-リーダ)デバイス等を含む。
【0004】
導光板(LGP)は、ディスプレイ製品、例えば、テレビにおける工学的コンポーネントである。LEDによる入射点からのテレビの光路長を通る光の自然な透過に基づく喪失について、追加の光取出し特徴部がLGP上に印刷される(典型的には、分散されたSiOまたはTiO粒子を含むポリマーインク)。これらの追加パターン特徴部によって、LGP内での内部全反射(TIR)を遮断することによりエッジライトLED-TVモジュールにおけるLGP全体にわたる光の取出しを介して所望のパネル輝度プロファイルが促進される。
【0005】
プラスチック材料は、適切な特性、例えば、光透過性を提供することができるが、この材料は、比較的劣った機械的特性、例えば、剛性、熱膨張係数(CTE)および吸湿性を示す。高透過性ガラス、例えば、Corning Incorporatedから市販されているIris(商標)ファミリーのガラスが、導光板(LGP)として利用されており、これは、ポリマーLGPに取って代わることができ、優れた機械的特性を提供することができる。実際、このようなガラス基板は、ポリ(メチルメタクリレート)(「PMMA」)およびシリル変性ポリエーテル(「MS」)の対応物よりも、改善された剛性、熱膨張係数および吸湿性を提供することができる。
【0006】
アルカリ含有ガラス基板がLGPとして使用される場合、加速条件(例えば、60℃および90%のRH)下でのエージングの際にガラス表面上に形成される微粒子が、異質な光取出し特徴部(LEF)として挙動することが判った。「ウェザリング生成物」または「白色スポット」と呼ばれるこれらの粒子により、パネルにわたって経時的に不均一な輝度プロファイルが生じる場合がある。例えば、エージングされていないテレビパネルと比較して、エージングされたテレビパネルの輝度を測定した場合、ウェザリング生成物を含有する特定の領域は、テレビパネルの特定の領域において増大した輝度(ルーメンまたはnit(cd/m)の単位で測定される)を示す場合がある。一部の領域におけるウェザリング生成物の影響により、エージングされていないテレビパネルと比較して、同じテレビパネル上のLEDからさらに離れた他の領域が、ウェザリング後に輝度の低下を示す。
【0007】
ウェザリングが、LGPにわたって均一に生じる場合、より多くの光取出しが、LGPのLED側(すなわち、底部)で生じる。その結果、LGPの上部では、より少ない光しか取り出すことができず、LGPの底部がより明るく、LGPの上部がより暗くなるように輝度プロファイルが変化してしまう。
【0008】
ウェザリング生成物は、導光板を収納した製品を組み立てた後に除去することができない。このため、ウェザリング生成物は、更なる光漏れにより、ガラスパネルを通して散乱しかつ光結合することによって、ガラスの光透過特性に影響を及ぼす場合がある。導光板の輝度が、ウェザリングにより変化しない(すなわち、エージングされたLGP対未利用のLGPの輝度の差が理想的にはゼロでる)のが理想的であるが、実際には、LGPは、顧客仕様内で一定レベルの輝度変化(例えば、加速エージング信頼性試験後の80~90%の輝度均一性)を許容する場合がある。それにもかかわらず、ガラス基板で構成されるLGPが、特に、高温および/または高湿度環境で維持される場合には、これらの許容範囲を超えてしまうおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、特に、ガラス基板が高温および高湿度環境に曝された場合に、ウェザリングによる影響が低減された導光板として使用するためのガラス基板が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様は、厚さを画定する少なくとも2つの主面と、光源から光を受け取るように構成されている縁面とを含み、光源からの光を分布させるように構成されているガラス基板と、少なくとも2つの主面のうちの1つの主面上に配置されている有機ケイ酸塩膜とを備える導光板を提供する。特定の実施形態では、有機ケイ酸塩膜は、有機ケイ酸塩膜を備えていない導光板と比較して、例えば、60℃および90%の相対湿度で960時間エージングした際の白色スポットの形成を低減する。
【0011】
本開示の第2の態様は、導光板として使用するためのガラス基板を処理する方法を提供する。この方法は、厚さを画定する少なくとも2つの主面と、縁部とを備えるガラス基板を提供するステップと、少なくとも2つの主面のうちの少なくとも1つの主面上に有機ケイ酸塩膜を形成するステップとを含み、有機ケイ酸塩膜を備えていないガラス基板と比較して、形成された有機ケイ酸塩膜を有する主面上でのアルカリ塩の形成により生じる、ウェザリングに基づく導光板における輝度の不均一性が低減される。
【0012】
本開示の第3の態様は、光源と、反射体と、本明細書に開示された導光板とを備える、ディスプレイ製品を提供する。特定の実施形態では、光源は、ガラス基板の縁面に光学的に結合されている発光ダイオード(LED)である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
下記詳細な説明は、下記図面と併せて読めば、さらに理解することができる。
図1】例示的なLCDディスプレイデバイスの断面図である。
図2】例示的な導光板の平面図である。
図3】本開示の特定の実施形態に係る導光板を示す図である。
図4】高温および高湿度環境下に置かれた後に、未改質ガラス基板および主面上に配置されている有機ケイ酸塩膜を有するガラス基板の輝度を試験するために、実施例において利用されたLGPアセンブリを示す図である。
図5図1に開示されたアセンブリに基づく、高温および高湿度に曝された際の未処理ガラス基板についての異質な光取出しにおける変化の視覚的表現である。
図6】APCVDにより有機ケイ酸塩膜が設けられたエージングされたガラス基板上に形成された任意のウェザリング生成物を考慮した、同じ有機ケイ酸塩膜が設けられたエージングされていないガラス基板との比較した場合の異質な光取出しにおける変化の視覚的表現である。
図7】60℃および90%の相対湿度で96~960時間ウェザリングした場合の、未改質ガラス基板(コントロール)およびAPCVDによる有機ケイ酸塩膜を有するエージングされたガラス基板についての輝度変化を示すグラフである。
図8】60℃および90%の相対湿度で96~960時間ウェザリングした場合の、未改質ガラス基板(コントロール)およびAPCVDによる有機ケイ酸塩膜を有するエージングされたガラス基板についてのウェザリング生成物の被覆率を示すグラフである。
図9】イソプロピルアルコール中の30質量%のメチルシルセスキオキサン(Honeywell Accuglass(登録商標)512Bスピンオンガラス)のガラス上へのスピンの適用により有機ケイ酸塩膜が設けられたエージングされたガラス基板上に形成された任意のウェザリング生成物を考慮した、同じ有機ケイ酸塩膜を有するエージングされていないガラス基板との比較した場合の異質な光取出しにおける変化の視覚的表現である。
図10】60℃および90%の相対湿度で96~960時間ウェザリングした場合の、未改質ガラス基板(コントロール)およびイソプロピルアルコール中の30質量%のメチルシルセスキオキサン(Honeywell Accuglass(登録商標)512Bスピンオンガラス)のスピンによる有機ケイ酸塩膜を有するエージングされたガラス基板についての輝度変化を示すグラフである。
図11】60℃および90%の相対湿度で96~960時間ウェザリングした場合の、未改質ガラス基板(コントロール)およびイソプロピルアルコール中の30質量%のメチルシルセスキオキサン(Honeywell Accuglass(登録商標)512Bスピンオンガラス)のスピンによる有機ケイ酸塩膜を有するエージングされたガラス基板についてのウェザリング生成物の被覆率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の実施形態は、ガラス基板、例えば、ディスプレイデバイスで使用するように構成されているガラス基板および幾つかの実施形態では、導光板として使用されるように構成されているガラス基板を処理する方法を提供する。
【0015】
1つ以上の実施形態では、有機ケイ酸塩膜が配置されているガラス基板を備える導光板は、本開示に従って処理されていないコントロールガラス基板(例えば、有機ケイ酸塩膜を含まないガラス基板)と比較して、アルカリ塩(例えば、ナトリウム塩)またはアルカリ土類塩(例えば、マグネシウム塩またはカルシウム塩)から構成される散乱特徴部の形成により生じる、ウェザリングに基づく導光板における輝度の不均一性の低減を示す。このようなウェザリングの影響の低減は、例えば、処理済みガラス基板を、例えば60℃および90%の相対湿度で960時間エージングした場合、同じ条件下でエージングした未処理の基板と比較すると、処理済みのガラス基板上での白色スポット形成の有効な低減および/または輝度増大の大きさの低減を観察することのうちの1つ以上により決定することができる。当技術分野において理解されるように、他の高温および/または高湿度環境を適用して、高温および/または高湿度環境における「エージング」または「ウェザリング」をシミュレートする(または加速させる)ことができる。
【0016】
本開示は、特定の理論に限定されないが、一部のガラス基板は、ガラス表面およびバルクに、多くの一価の原子種、例えば、Naを含有する。表面層内のアルカリイオン(例えば、Na)は、(ガラス上のナノスケール吸着層から高湿度で)水によるイオン交換により抽出される。その後、アルカリイオンは、環境中の気体種、例えば、COと反応して、沈殿物(マイクロメートル未満の大きさ)を形成する場合があり、この沈殿物は、ウェザリングプロセス中に核形成するかまたは成長するかのいずれかをする場合がある(「白色スポット」として視覚的に観察される)。沈殿物の核形成および成長の動力学は、湿ったチャンバ(例えば、60℃および90%の相対湿度)中で加速され、これらの沈殿物(ウェザリング生成物または「白色スポット」)は、アルカリ塩として化学的に特定され、追加の散乱をもたらす(輝度の増大)。やはり、いかなる特定の理論にも束縛されないが、有機ケイ酸塩膜は、ウェザリング生成物の形成を低減させる。さもないと、このウェザリング生成物が、経時的なアルカリイオンの水分媒介性外方拡散により生じてしまう恐れがある。
【0017】
1つ以上の実施形態では、ガラス基板は、所望の光分布を生じさせるのに適した任意の所望のサイズおよび/または形状を有する。ガラス基板は、光を発する第1の主面と、第1の主面と反対側の第2の主面とを備える。幾つかの実施形態では、第1および第2の主面は、平面または実質的に平面、例えば、実質的に平坦である。種々の実施形態の第1の主面と第2の主面とは、互いに平行または実質的に平行である。幾つかの実施形態のガラス基板は、4つの縁部を含むかまたは4つを超える縁部、例えば、多面多角形を含むことができる。他の実施形態では、ガラス基板は、4つ未満の縁部、例えば、三角形を含むことができる。種々の実施形態の導光板は、4つの縁部を有する長方形、正方形または菱形のシートを含むが、他の形状および構成を利用することができる。
【0018】
ガラス基板は、ディスプレイデバイスに使用するための当技術分野において知られている任意の材料を含む。例示的な実施形態では、ガラス基板は、アルミノケイ酸ガラス、アルカリ-アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルカリ-ホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、アルカリ-アルミノホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラスまたは他の適切なガラスを含む。一実施形態では、ガラスは、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラスおよびソーダ石灰ガラスから選択される。ガラス導光板として使用するのに適した市販のガラスの例は、Corning Incorporated製のIris(商標)およびGorilla(登録商標)ガラスを含むが、これらに限定されない。
【0019】
1つ以上の実施形態では、ガラス基板は、下記範囲(モル%)の酸化物:50~90モル%のSiO、0~20モル%のAl、0~20モル%のBおよび0~25モル%のRO[式中、xは、2であり、Rは、Li、Na、K、Rb、Csおよびそれらの組み合わせから選択されるか、またはxは、1であり、Rは、Zn、Mg、Ca、Sr、Baおよびそれらの組み合わせから選択される]を含み、ガラス基板は、LiO、NaO、KOおよびMgOから選択される0.5~20モル%の1つの酸化物を含む。1つ以上の実施形態では、ガラス基板は、酸化物ベース(モル%)で、LiO、NaO、KOおよびMgOから選択される少なくとも3.5~20モル%、5~20モル%、10~20モル%の1つの酸化物を含む。
【0020】
1つ以上の実施形態では、ガラス基板は、アルカリ酸化物、例えば、LiO、NaO、KOならびにアルカリ土類酸化物、例えば、CaOおよびMgOから選択される少なくとも1つの酸化物を含むアルミノケイ酸ガラスを含む。これらの酸化物は、本明細書に記載されたエージング条件に曝された場合に、ガラス基板をウェザリング生成物に影響されやすい状態にする。1つ以上の実施形態では、ガラス基板は、下記範囲(モル%)の酸化物:SiO:約65モル%~約85モル%;Al:約0モル%~約13モル%;B:約0モル%~約12モル%;LiO:約0モル%~約2モル%;NaO:約0モル%~約14モル%;KO:約0モル%~約12モル%;ZnO:約0モル%~約4モル%;MgO:約0モル%~約12モル%;CaO:約0モル%~約5モル%;SrO:約0モル%~約7モル%;BaO:約0モル%~約5モル%;およびSnO:約0.01モル%~約1モル%を含む。
【0021】
1つ以上の実施形態では、ガラス基板は、下記範囲(モル%)の酸化物:SiO:約70モル%~約85モル%;Al:約0モル%~約5モル%;B:約0モル%~約5モル%;LiO:約0モル%~約2モル%;NaO:約0モル%~約10モル%;KO:約0モル%~約12モル%;ZnO:約0モル%~約4モル%;MgO:約3モル%~約12モル%;CaO:約0モル%~約5モル%;SrO:約0モル%~約3モル%;BaO:約0モル%~約3モル%;およびSnO:約0.01モル%~約0.5モル%を含む。
【0022】
1つ以上の実施形態では、ガラス基板は、下記範囲(モル%)の酸化物:SiO:約72モル%~約82モル%;Al:約0モル%~約4.8モル%;B:約0モル%~約2.8モル%;LiO:約0モル%~約2モル%;NaO:約0モル%~約9.3モル%;KO:約0モル%~約10.6モル%;ZnO:約0モル%~約2.9モル%;MgO:約3.1モル%~約10.6モル%;CaO:約0モル%~約4.8モル%;SrO:約0モル%~約1.6モル%;BaO:約0モル%~約3モル%;およびSnO:約0.01モル%~約0.15モル%を含む。
【0023】
1つ以上の実施形態では、ガラス基板は、下記範囲(モル%)の酸化物:SiO:約80モル%~約85モル%;Al:約0モル%~約0.5モル%;B:約0モル%~約0.5モル%;LiO:約0モル%~約2モル%;NaO:約0モル%~約0.5モル%;KO:約8モル%~約11モル%;ZnO:約0.01モル%~約4モル%;MgO:約6モル%~約10モル%;CaO:約0モル%~約4.8モル%;SrO:約0モル%~約0.5モル%;BaO:約0モル%~約0.5モル%;およびSnO:約0.01モル%~約0.11モル%を含む。
【0024】
1つ以上の実施形態では、ガラス基板は、下記範囲(モル%)の酸化物:SiO:約65.8モル%~約78.2モル%;Al:約2.9モル%~約12.1モル%;B:約0モル%~約11.2モル%;LiO:約0モル%~約2モル%;NaO:約3.5モル%~約13.3モル%;KO:約0モル%~約4.8モル%;ZnO:約0モル%~約3モル%;MgO:約0モル%~約8.7モル%;CaO:約0モル%~約4.2モル%;SrO:約0モル%~約6.2モル%;BaO:約0モル%~約4.3モル%;およびSnO:約0.07モル%~約0.11モル%を含む。
【0025】
1つ以上の実施形態では、ガラス基板は、下記範囲(モル%)の酸化物:SiO:約66モル%~約78モル%;Al:約4モル%~約11モル%;B:約40モル%~約11モル%;LiO:約0モル%~約2モル%;NaO:約4モル%~約12モル%;KO:約0モル%~約2モル%;ZnO:約0モル%~約2モル%;MgO:約0モル%~約5モル%;CaO:約0モル%~約2モル%;SrO:約0モル%~約5モル%;BaO:約0モル%~約2モル%;およびSnO:約0.07モル%~約0.11モル%を含む。
【0026】
1つ以上の実施形態では、本明細書で提供された組成を含むガラス基板は、比色計により測定された場合、0.008未満または0.005未満の色ずれを有する。1つ以上の実施形態では、本明細書で提供された組成は、RO/Alが0.95~3.23の範囲にあることを特徴とし、式中、x=2であり、Rは、Li、Na、K、RbおよびCsのうちのいずれか1つ以上である。1つ以上の実施形態では、Rは、Zn、Mg、Ca、SrまたはBaのいずれか1つであり、x=1であり、RO/Alは、0.95~3.23の範囲にある。1つ以上の実施形態では、Rは、Li、Na、K、RbおよびCsのうちのいずれか1つ以上であり、x=2であり、RO/Alは、1.18~5.68の範囲にある。1つ以上の実施形態では、Rは、Zn、Mg、Ca、SRまたはBaのうちのいずれか1つ以上であり、x=1であり、RO/Alは、1.18~5.68の範囲にある。1つ以上の実施形態に係るガラス基板に適した特定の組成は、国際公開第2017/070066号に記載されている。
【0027】
1つ以上の実施形態では、ガラス基板は、幾らかのアルカリ成分を含有し、例えば、ガラス基板は、無アルカリガラスではない。本明細書で使用する場合、「無アルカリガラス」は、0.1モル%以下の総アルカリ濃度を有するガラスであり、ここで、総アルカリ濃度は、NaO、KOおよびLiO濃度の合計である。幾つかの実施形態では、ガラスは、約0~約3.0モル%の範囲、約0~約2.0モル%の範囲または約0~約1.0モル%の範囲およびそれらの間の全ての部分範囲にあるLiOを含む。他の実施形態では、ガラスは、LiOを実質的に含まない。他の実施形態では、ガラスは、約0モル%~約10モル%の範囲、約0モル%~約9.28モル%の範囲、約0~約5モル%の範囲、約0~約3モル%の範囲または約0~約0.5モル%の範囲およびそれらの間の全ての部分範囲にあるNaOを含む。他の実施形態では、ガラスは、NaOを実質的に含まない。幾つかの実施形態では、ガラスは、約0~約12.0モル%の範囲、約8~約11モル%の範囲、約0.58~約10.58モル%の範囲およびそれらの間の全ての部分範囲にあるKOを含む。
【0028】
幾つかの実施形態では、ガラス基板は、高透過性ガラス、例えば、高透過性アルミノケイ酸ガラスである。特定の実施形態では、導光板は、400nm~700nmの波長範囲にわたって、少なくとも1つの主面に対して垂直な90%超の透過率を示す。例えば、導光板は、400nm~700nmの波長範囲にわたって、少なくとも1つの主面に対して垂直な約91%超の透過率、少なくとも1つの主面に対して垂直な約92%超の透過率、少なくとも1つの主面に対して垂直な約93%超の透過率、少なくとも1つの主面に対して垂直な約94%超の透過率または少なくとも1つの主面に対して垂直な約95%超の透過率(それらの間の全ての範囲および部分範囲を含む)を示す。
【0029】
特定の実施形態では、光源から光を受け取るように構成されているガラス基板の縁面は、透過において12.8度未満の全幅半値(FWHM)の角度内で光を散乱させる。幾つかの実施形態では、参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許出願公開第2015/0368146号明細書に開示されているように、光源から光を受け取るように構成されている縁面は、研磨せずに縁部を磨くことによりまたは当業者に知られているLGPを処理するための他の方法により処理される。代替的には、LGPには、最小の面取り部を有するスコア/ブレーク縁部が設けられていることができる。
【0030】
幾つかの実施形態のガラス基板は、例えば、イオン交換により化学的に強化される。イオン交換プロセスの間、ガラスの表面またはその近くのガラス内のイオンは、例えば、塩浴からのより大きな金属イオンと交換することができる。より大きなイオンをガラスに包含させることにより、表面近くの領域に圧縮応力を生じさせることによってガラスを強化することができる。圧縮応力を釣り合わせるために、ガラスの中央領域内に対応する引張応力を誘引することができる。
【0031】
特定の実施形態によれば、有機ケイ酸塩膜は、独立した層(すなわち、単層)としてガラス基板に適用され、追加の層は、ガラス基板上には適用されないかまたは堆積させられない。代替的には、有機ケイ酸塩膜は、有機ケイ酸塩膜の下および/または上に(例えば、多層または積層膜の一部として)提供される追加の層と共に、ガラス基板上に含まれる。
【0032】
幾つかの実施形態に係る有機ケイ酸塩膜は、既存のガラス組成物と適合性があり、したがって、LGPにおけるウェザリングに基づく問題を減らすために、バルクガラス組成物を変更する必要がない。加えて、幾つかの実施形態では、有機ケイ酸塩膜により、基板への光取出し特徴部およびレンズの接着性ならびに基板との接着性を改善するように調整することができる満足な表面エネルギー、弾性率および密度が改善される。
【0033】
本開示の特定の実施形態は、ガラス基板をケイ素含有前駆体および共反応物に曝して、流動性膜を形成するステップを含む、処理方法を対象とする。
【0034】
一実施形態では、ケイ素含有前駆体は、シランである。本明細書で使用する場合、シランは、ケイ素同士が連結されたまたは他の化学元素に連結された1つまたは複数のケイ素原子からなる飽和化合物を指し、1つ以上のケイ素原子は、複数の単結合の四面体中心として配置される。ケイ素含有前駆体として使用することができるシランの例は、テトラメチルシラン(TMS)、トリメチルシラン、ジメチルシラン、メチルシラン、トリクロロシランおよびテトラエトキシシランを含むが、これらに限定されない。一実施形態では、シランは、テトラメチルシランおよびトリメチルシランから選択される。一実施形態では、シランは、テトラメチルシランである。
【0035】
特定の長鎖オルガノシランは、特に、非結合分子が溶媒で洗い流される単層として基板に適用される場合、ウェザリングに基づく光取出しを低減するのにそれほど有効ではないことが判った。例えば、ジメチルオクタデシル[3-(トリメトキシシリル)プロピル]塩化アンモニウムおよびPFPEポリマー鎖を含有するアルコキシシランであるDow Corning 2634は、本開示に従って試験された場合、それほど有効ではないことが判った。したがって、一実施形態では、長鎖オルガノシランは、シランとして除外される。本明細書で使用する場合、長鎖オルガノシランは、ケイ素原子に結合した少なくとも10、11、12、13、14、15、16または17個の原子の鎖を含有するシランを指す。
【0036】
上記されたように、長鎖オルガノシランは、典型的には、単層として適用され、適切な溶媒ですすぐことにより、非結合分子の除去が達成される。このことは、アルカリガラスのウェザリング特性を改善することが判っている硬化(例えば、有機ケイ酸塩膜の導入および硬化)またはプラズマ誘引ネットワーク形成(例えば、APCVD)による有機ケイ酸塩被覆の凝縮膜構造とは対照的である。この差異により、特定の実施形態では、硬化またはプラズマ誘引ネットワーク形成により適用される有機ケイ酸塩被覆は、エージング誘引劣化なしに、それらのネットワーク構造を保持することを可能にする気密特性に加えて、デウェッティングの傾向に抵抗する。対照的に、特定の長鎖オルガノシランは、溶媒すすぎにより適用される場合(かつ硬化なしまたはプラズマ誘引ネットワーク形成なし)、シラン分子が基板内に吸収され、加速エージングまたは信頼性試験中の水誘引デウェッティングのために、シラン分子が基板上に液滴状アイランドを不利に形成すると考えられる。したがって、特定の実施形態では、長鎖オルガノシランは、硬化またはプラズマ誘引ネットワーク形成を伴わない方法、例えば、化学蒸着法を使用して基板に適用される場合にのみ、シランとして除外される。
【0037】
一実施形態では、ケイ素含有前駆体は、シロキサンまたは/およびシラザンである。本明細書で使用する場合、シロキサンは、Si-O-Si結合を有する化合物であり、シラザンは、Si-N-Si結合を有する化合物である。ケイ素含有前駆体として使用することができるシロキサンの例は、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、トリメチルシクロトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサンおよびテトラメチルシクロテトラシロキサンを含むが、これらに限定されない。一実施形態では、シロキサンは、ヘキサメチルジシロキサンおよびテトラメチルシクロテトラシロキサンから選択される。シラザンは、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン等から選択することができるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、前駆体ジエトキシメチルシラン(DEMS)またはテトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサンまたはエトキシトリメチルシラン等を、Oの反応性ガスと共に流すことができる。
【0038】
特定の実施形態では、共反応物は、アルゴン、窒素、酸素、亜酸化窒素、アンモニアおよびオゾンのうちの1つ以上から選択される。一実施形態では、共反応物は、酸素を含む。一実施形態では、共反応物は、アンモニアを含む。
【0039】
特定の実施形態では、ガラス基板は、化学気相成長(CVD)チャンバ内で処理することができ、ケイ素含有前駆体および共反応物を、化学気相成長(CVD)チャンバに供給して、ガラス基板上に流動性膜を形成することができる。CVDチャンバは、大気圧もしくはその付近(APCVD)または低気圧(LPCVD)または非常に低い(超高真空)圧力(UHVCVC)、例えば、10-6Pa未満で動作させることができる。CVDチャンバは、プラズマ強化化学気相成長チャンバ(PECVD)であることができる。プラズマは、例えば、高周波、交流、直流、マイクロ波、燃焼、ホットフィラメントまたは当業者に知られている他の技術により生成することができる。一実施形態では、CVDチャンバは、大気圧またはその付近で動作され、APCVDチャンバである。
【0040】
特定の実施形態では、Si含有前駆体を、CVDチャンバに導入することができ、適切な共反応物(例えば、NHまたはOのうちの1つ以上)を、例えば、共反応物としてプラズマ活性種を生成するであろうRPS(遠隔プラズマ源)を介して、チャンバに送り込むことができる。特定の実施形態では、プラズマ活性化共反応物(例えば、ラジカルを含有する共反応物)は、高いエネルギーを有し、気相中でSi含有前駆体分子と反応して、対応する流動性ポリマーを形成することができる。幾つかの実施形態では、共反応物は、NHとOとの混合物またはNとOとの混合物を含むプラズマガスにより生成される。幾つかの実施形態では、共反応物は、酸素を含むプラズマガスにより生成される。
【0041】
特定の実施形態では、プラズマを、処理チャンバ内で生成するもしくは誘発することができ(例えば、直接プラズマ)るか、または処理チャンバの外側で生成し、処理チャンバ内に流入させることができる(例えば、遠隔プラズマ)。
【0042】
特定の実施形態では、この膜の組成は、反応性ガスの組成を変化させることにより調整することができる。窒素含有膜を形成するために、共反応物は、例えば、アンモニアまたは窒素、窒素と酸素との混合物およびアンモニアと酸素との混合物を含むことができる。炭素含有膜を形成するために、反応性ガスは、例えば、酸素との混合の有無にかかわらず、プロピレンおよびアセチレンのうちの1つ以上を含むことができる。当業者であれば、有機ケイ酸塩膜の組成を変更するために、反応性ガス混合物に、他の種の組み合わせを含ませることができることを理解するであろう。
【0043】
特定の実施形態では、有機ケイ酸塩膜は、任意選択的に溶媒で希釈された重合されたまたは部分重合されたシロキサン化合物をガラス基板上に導入し、重合されたまたは部分重合されたシロキサン化合物を硬化させることにより形成される。重合されたまたは部分重合されたシロキサン化合物は、各種の方法により、例えば、スプレーコーティングもしくはディップコーティングによりまたは重合されたもしくは部分重合されたシロキサン化合物を基板上にスピンさせることにより、ガラス基板上に導入することができると理解される。本明細書で使用する場合、スピンは、重合されたまたは部分重合されたシロキサン化合物が、最初に任意の手段により基板上に提供され、スピンまたは他の回転運動により基板上に分布されるプロセス(および製品)を含む。
【0044】
ガラス基板上に導入することができる重合されたまたは部分重合されたシロキサン化合物は、商業的に入手可能であり、多くの場合、スピンオンガラスまたはSOGとして記載される。例えば、部分重合されたメチルシルセスキオキサン(例えば、Honeywell Accuglass(登録商標)512BまたはHoneywell Accuglass(登録商標)T11スピンオンガラス(Honeywell Electronic Materialsから入手可能)、部分重合されたシルセスキオキサン、ポリメチルシルセスキオキサン(HardSil(商標)AM、Gelest, Inc.から入手可能)、ポリフェニルシルセスキオキサンおよびポリメチルフェニルシルセスキオキサン(HardSil(商標)AP、Gelest, Inc.から入手可能)は、1つ以上の実施形態における本開示の実施形態に従って使用することができる非限定的な例である。一実施形態では、重合されたまたは部分重合されたシロキサン化合物は、重合されたまたは部分重合されたメチルシルセスキオキサン、例えば、Honeywell Accuglass(登録商標)512Bである。
【0045】
特定の実施形態では、重合されたまたは部分重合されたシロキサン化合物は、ガラス基板上に導入される前に、溶媒で希釈される。特定の実施形態では、溶媒は、アルコール(例えば、イソプロピルアルコールまたはエタノール)および水から選択することができる。一実施形態では、溶媒は、イソプロピルアルコールである。溶媒を利用する実施形態では、重合されたまたは部分重合されたシロキサン化合物は、例えば、溶媒/重合されたまたは部分重合されたシロキサン化合物混合物の10質量%~約90質量%を構成する。一実施形態では、イソプロピルアルコール中の30質量%のHoneywell Accuglass(登録商標)512Bを、ガラス基板上に導入する。
【0046】
スピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、スロットコーティングまたはカーテンコーティングを使用して、これらの重合されたまたは部分重合されたシロキサン化合物をガラス基板上に適用することができる。各方法では、コーティング溶液(濃度、粘度、表面張力)およびコーティングパラメータ(スピンコーティング:角速度、スプレー:液滴サイズを制御するための種々のパラメータ、スロット/ディップ/カーテンコーティング速度、スリット開口等)が、コーティングが溶媒中の所望の材料を使用して基板の表面にわたって均一に薄膜(nm~数μm)として適用されるように最適化される必要がある。スプレーコーティング、スロットコーティングまたはカーテンコーティングは、より大きな面積のコーティングが必要とされるLGPに、より適用可能である場合がある。加えて、ガラス表面は、コーティングの濡れ性および接着性を改善するために、適切な洗浄方法で洗浄する必要がある。
【0047】
有機ケイ酸塩膜が、ガラス基板上に導入されると、基板をベーキングし、硬化させる。溶媒は、ベーキング工程、続けて、部分重合されたシロキサンの硬化ステップにより完全に除去されて、縮合反応が完了する。1つ以上の実施形態では、硬化は、基板を高温(例えば、約70℃~約500℃)に長期間(例えば、約30分~約240分間)維持し、任意選択的に、各段階で温度を上昇させる個々の段階で硬化させることにより達成することができる。一実施形態では、ガラス基板を、80℃で30分間、次いで、125~150℃で30分間、次いで、300~420℃で60分間硬化させる。当業者であれば、他の硬化スケジュールを利用することができる。特定の実施形態では、硬化は、制御された環境、すなわち、硬化プロセス中に外部汚染物質がガラス基板と接触するのを防止するかまたはその可能性を低減するであろう環境で行われる。
【0048】
重合されたまたは部分的に重合されたシロキサン化合物としてシルセスキオキサン(例えば、メチルシルセスキオキサン)を利用する実施形態では、硬化スケジュールは、シルセスキオキサン構造を完全に縮合するように選択することができる。「縮合する」は、硬化プロセスにより膜中の炭化水素含量を減少させることを意味する。これにより、膜の密度を向上させ、硬化した膜がシリカの屈折率に近づく。膜のための実現可能な最大レベルの硬化が存在し、これは、最大密度および最大屈折率を提供するであろう。最大密度および屈折率を達成するようにこの最大レベルに硬化された膜は、本開示の目的で、完全に縮合されていると理解される。
【0049】
1つ以上の実施形態に係る有機ケイ酸塩膜の厚さは、約1nm~約100nmまたは約5nm~約1000nmまたは約1nm~約1200nmまたは約5nm~約1200nmの範囲にある。他の実施形態では、適切な厚さの例は、約2.5~100nm、約5.0~100nm、約10~100nm、約25~100nm、約50~100nm、約75~100nm、2.5~200nm、約5.0~200nm、約10~200nm、約25~200nm、約50~200nm、約75~200nm、2.5~250nm、約5.0~250nm、約10~250nm、約25~250nm、約50~250nm、約75~250nm、2.5~300nm、約5.0~300nm、約10~300nm、約25~300nm、約50~300nm、約75~300nm、2.5~350nm、約5.0~350nm、約10~350nm、約25~350nm、約50~350nm、約75~350nm、2.5~400nm、約5.0~400nm、約10~400nm、約25~400nm、約50~400nm、約75~400nm、2.5~5500nm、約5.0~500nm、約10~500nm、約25~500nm、約50~500nm、約75~500nm、2.5~750nm、約5.0~750nm、約10~750nm、約25~750nm、約50~750nmまたは約75~750nmの範囲を含む。一実施形態では、有機ケイ酸塩膜は、スピンオンガラス膜であり、約150~約250nmまたは約150~約200nmの厚さを有する。
【0050】
特定の実施形態では、有機ケイ酸塩膜は、約1.1~約1.45、約1.1~約1.43、約1.1~約1.41、約1.05~約1.45、約1.05~約1.43、約1.05~約1.41の屈折率を有する。幾つかの実施形態では、屈折率の下限は、1.05未満である。
【0051】
特定の実施形態では、有機ケイ酸塩膜は、少なくとも70°または少なくとも80°または少なくとも90°または少なくとも100°または少なくとも110°の水接触角(角度計により測定)を有する。特定の実施形態では、有機ケイ酸塩膜は、疎水性膜であるかつ/または有機ケイ酸塩膜は、少なくとも90°の水接触角を有する。
【0052】
幾つかの実施形態では、表面を親水性にするために、例えば、酸素プラズマ処理を使用することにより、水接触角が30°未満または少なくとも20°もしくは少なくとも10°になるように、表面を処理することができる。
【0053】
特定の実施形態では、有機ケイ酸膜は、55mJ/m未満または40mJ/m未満または35mJ/m未満または25mJ/m未満の全表面エネルギーを有する。本明細書で使用される表面エネルギーは、3つの異なる試験液体(脱イオン水、ヘキサデカン(HD)およびジヨードメタン(DIM))の接触角(CA)に基づくWuモデルに従って計算される。S. Wu, J. Polym. Sci. C, 34, 19, 1971を参照のこと。同文献は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0054】
特定の実施形態では、有機ケイ酸塩膜は、約25mJ/m未満または約10mJ/m未満または約5mJ/m未満の極性表面エネルギー成分を有する。
【0055】
種々の実施形態によれば、ガラス基板の少なくとも1つの主面は、有機ケイ酸塩膜の堆積後に、有機ケイ酸塩膜の上に適用された光取出し特徴部(LEF)またはレンチキュラーレンズのうちの1つ以上を備えることができる。例えば、複数の光取出し特徴部が、任意の所定のパターンまたは設計で、基板の表面上または表面中に存在することができる。このパターンまたは設計は、例えば、ランダムまたは配列、反復または非反復、均一または非均一である場合がある。他の実施形態では、光取出し特徴部は、表面に隣接するガラス基板のマトリクス内に配置することができるか、または代替的には、有機ケイ酸塩膜内、例えば、表面の下に配置することができる。例えば、光取出し特徴部は、例えば、粗くされたまたは隆起した表面を構成するテクスチャ特徴部として、表面にわたって分布させることができるか、または例えば、レーザー損傷特徴部として、基板またはその一部の内部および全体にわたって分布させることができる。
【0056】
LGPは、当技術分野において知られている任意の方法、例えば、同時係属かつ同時所有の国際公開第2014058748号および同第2015095288号に開示されている方法に従って、光取出し特徴部を形成するように処理することができる。これらの文献はそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0057】
ここから、本開示の種々の実施形態を、微細構造アレイおよび導光板の例示的な実施形態を示す図面を参照して検討するものとする。下記一般的な説明は、特許請求される装置の概要を提供することが意図され、種々の態様は、非限定的に示される実施形態を参照して、本開示全体にわたってより具体的に検討され、これらの実施形態は、本開示の文脈内で互いに交換可能である。
【0058】
図1に例示的なLCDディスプレイデバイス10を示す。このLCDディスプレイデバイス10は、第1の基板14と第2の基板16とから形成されている。両基板14,16は、第1の基板14と第2の基板16との間で第1の基板14と第2の基板16との周縁部に配置されている接着材料18により結合されている。第1および第2の基板14,16ならびに接着材料18は、それらの間に液晶材料を含有するギャップ20を形成している。ギャップの一貫した間隔を維持するために、ギャップ内の種々の位置にスペーサ(図示せず)を使用することもできる。第1の基板14は、カラーフィルタ材料を含むことができる。したがって、第1の基板14は、カラーフィルタ基板と呼ぶことができる。一方、第2の基板16は、液晶材料の偏光状態を制御するための薄膜トランジスタ(TFT)を含み、背面板と呼ぶことができる。LCDパネル12は、その表面上に配置された1つ以上の偏光フィルタ22をさらに含むことができる。
【0059】
LCDディスプレイデバイス10は、LCDパネル12を後方から、すなわち、LCDパネルの背面板側から照明するように配置されているBLU24をさらに備える。幾つかの実施形態では、BLUは、LCDパネルから間隔を空けて配置することができる。ただし、更なる実施形態では、BLUは、LCDパネルと接触していることができるかまたは透明接着剤等でLCDパネルに結合されていてよい。BLU24は、導光体としてのガラス基板28(その上に有機ケイ酸塩膜31を有する)で形成されたガラス導光板(LGP)26を備える。ガラス基板28は、第1の主面30と、第2の主面32と、第1の主面と第2の主面との間に延びる複数の縁面とを含む。実施形態において、ガラス基板28は、X-Y-Z座標により示されるように、ガラス基板28のX-Y平面を画定する第1の主面と第2の主面との間に延びる、図2に示された4つの縁面34a,34b,34cおよび34dを備える平行四辺形、例えば、正方形または長方形であることができる。例えば、縁面34aは、縁面34cの反対側にあることができ、縁面34bは、縁面34dの反対側に配置されていてよい。縁面34aは、反対側の縁面34cと平行であることができ、縁面34bは、反対側の縁面34dと平行であることができる。縁面34aおよび34cは、縁面34bおよび34dに対して直交していることができる。縁面34a~34dは平面であり、主面30,32に直交しているかまたは実質的に直交(例えば、90+/-1度、例えば、90+/-0.1度)していることができる。ただし、更なる実施形態では、縁面は、面取り部、例えば、主面30,32に対して直交するかまたは実質的に直交していて、角度を有する2つの隣接する表面部分により第1および第2の主面に結合している平坦な中心部分を含むことができる。
【0060】
第1および/または第2の主面30,32は、約0.1ナノメートル(nm)~約0.6nmの範囲、例えば、約0.6nm未満、約0.5nm未満、約0.4nm未満、約0.3nm未満、約0.2nm未満または約0.1nm未満の平均粗さ(Ra)を含むことができる。縁面の平均粗さ(Ra)は、約0.05マイクロメートル(μm)以下、例えば、約0.005マイクロメートル~約0.05マイクロメートルの範囲にあることができる。
【0061】
主面粗さの前述のレベルは、例えば、フュージョンドロープロセスまたはフロートガラスプロセス、続けて、研磨を使用することにより達成することができる。表面粗さは、例えば、原子間力顕微法、市販のシステム、例えば、Zygo製のシステムによる白色光干渉法または市販のシステム、例えば、Keyenceにより提供されるシステムよるレーザー共焦点顕微法により測定することができる。表面からの散乱は、表面粗さを除いて、同一のサンプルの範囲を準備し、次いで、それぞれの内部透過率を測定することにより測定することができる。サンプル間の内部透過性の差異は、粗面により誘引される散乱損失に起因する。縁部粗さは、研削および/または研磨により達成することができる。
【0062】
ガラス基板28は、第1の主面30および第2の主面32に直交する方向に、最大ガラス基板厚さtをさらに含む。幾つかの実施形態では、ガラス基板厚さtは、約3mm以下、例えば、約2mm以下または約1mm以下であることができる。ただし、更なる実施形態では、ガラス基板厚さtは、約0.1mm~約3mmの範囲、例えば、約0.1mm~約2.5mmの範囲、約0.3mm~約2.1mmの範囲、約0.5mm~約2.1mmの範囲、約0.6mm~約2.1mmの範囲または約0.6mm~約1.1mmの範囲(それらの間の全ての範囲および部分範囲を含む)にあることができる。幾つかの実施形態では、ガラス基板の厚さは、約0.1mm~約3.0mm(例えば、約0.3mm~約3mm、約0.4mm~約3mm、約0.5mm~約3mm、約0.55mm~約3mm、約0.7mm~約3mm、約1mm~約3mm、約0.1mm~約2mm、約0.1mm~約1.5mm、約0.1mm~約1mm、約0.1mm~約0.7mm、約0.1mm~約0.55mm、約0.1mm~約0.5mm、約0.1mm~約0.4mm、約0.3mm~約0.7mmまたは約0.3mm~約0.55mm)の範囲にあることができる。
【0063】
本明細書に記載された実施形態によれば、BLU24は、ガラス基板28の少なくとも1つの縁面(光入射縁面)、例えば、縁面34aに沿って配置された発光ダイオード(LED)36のアレイをさらに備える。図1に示された実施形態では、光が入射する1つの縁面34aが示されているが、特許請求される主題は、そのように限定されるべきではないことに留意されたい。例示的なガラス基板28の縁部のうちのいずれか1つまたは複数に光を入射させることができるためである。例えば、幾つかの実施形態では、縁面34aおよびその反対側の縁面34cの両方に、光を入射させることができる。追加の実施形態では、縁面34aおよび/またはその反対側の縁面34cではなくまたはそれらに加えて、縁面34bおよびその反対側の縁面34dに光を入射させることができる。光入射面は、透過において12.8度未満の全幅半値(FWHM)の角度内で光を散乱させるように構成されていてよい。
【0064】
幾つかの実施形態では、LED36は、光入射縁面、例えば、縁面34aから、約0.5mm未満の距離δに位置することができる。1つ以上の実施形態によれば、LED36は、ガラス基板への効率的な光結合を提供するために、ガラス基板28の厚さt以下の厚さまたは高さを含むことができる。
【0065】
LEDのアレイにより発せられた光は、少なくとも1つの縁面34aを通って入射し、内部全反射によりガラス基板を通して導かれ、例えば、ガラス基板28の一方または両方の主面30,32上の取出し特徴部によりLCDパネル12を照明するように取り出される。このような取出し特徴部は、内部全反射を妨害し、ガラス基板28内を伝播する光を、主面30,32の一方または両方を通ってガラス基板の外に向かわせる。したがって、BLU24は、ガラス基板28の後ろに、LCDパネル12に対向して配置され、ガラス基板の裏側、例えば、主面32から取り出された光を(LCDパネル12に向かう)前方方向に向け直す反射板38をさらに含むことができる。適切な光取出し特徴部は、ガラス基板の表面を直接粗くすることによるかまたはシートを適切な被覆、例えば、拡散膜で被覆することによるかのいずれかにより生成される、ガラス基板上の粗い表面を含むことができる。幾つかの実施形態では、光取出し特徴部は、例えば、適切なインク、例えば、UV硬化性インクで反射不連続領域(例えば、白色ドット)を印刷し、このインクを乾燥させるかつ/または硬化させることにより得ることができる。幾つかの実施形態では、前述の取出し特徴部の組み合わせを使用することができるかまたは当技術分野において知られている他の取出し特徴部を利用することができる。
【0066】
BLUは、ガラス基板の主面上に堆積させられた1つ以上の膜または被覆(図示せず)、例えば、量子ドット膜、拡散膜および反射偏光膜またはそれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0067】
局所調光、例えば、一次元(1D)調光は、ガラス基板28の少なくとも1つの縁面34aに沿った第1の領域を照明する選択されたLED36をオンにし、一方、隣接領域を照明する他のLED36をオフにすることにより達成することができる。逆に、1D局所調光は、第1の領域を照明する選択されたLEDをオフにし、一方、隣接領域を照明するLEDをオンにすることにより達成することができる。
【0068】
図2に、ガラス基板28の縁面34aに沿って配置されたLEDの第1のサブアレイ40aと、ガラス基板28の縁面34aに沿って配置されたLEDの第2のサブアレイ40bと、ガラス基板28の縁面34aに沿って配置されたLED36の第3のサブアレイ40cとを備える、例示的なLGP26の一部を示す。3つのサブアレイにより照明されるガラス基板の3つの別個の領域は、A、BおよびCとラベル付けされている。ここで、A領域は、中間領域であり、BおよびC領域は、A領域に隣接している。領域A,BおよびCはそれぞれ、LEDサブアレイ40a,40bおよび40cにより照明される。サブアレイ40aのLEDが「オン」状態にあり、他のサブアレイ、例えば、サブアレイ40bおよび40cの他の全てのLEDが「オフ」状態にある場合、局所調光指数LDIは、1-(B,C領域の平均輝度)/(A領域の輝度)として定義することができる。LDIを決定することのより完全な説明は、例えば、「Local Dimming Design and Optimization for Edge-Type LED Backlight Unit」:Jung, et al., SID 2011 Digest, 2011, pp. 1430-1432に見出すことができる。同文献の内容は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0069】
任意の1つのアレイもしくはサブアレイ内のLEDの数またはサブアレイの数も、少なくともディスプレイデバイスのサイズの関数であり、図2に示されたLEDの数は、例示のためだけのものであり、限定を意図するものではないことに留意されたい。したがって、各サブアレイは、1つのLEDまたは2つ以上のLEDを含むことができ、あるいは、複数のサブアレイ、例えば、3つのサブアレイ、4つのサブアレイ、5つのサブアレイ等を、特定のLCDパネルを照明するのに必要な数で提供することができる。例えば、典型的な1D局所調光可能な55インチ(139.7cm)LCD TVは、8~12のゾーンを有する場合がある。ゾーン幅は、典型的には、約100mm~約150mmの範囲にある。ただし、幾つかの実施形態では、ゾーン幅がより小さいことができる。ゾーン長は、ガラス基板28の長さとほぼ同じである。
【0070】
ここから図3を参照して、ガラス基板28の縁面29に光学的に結合されている、例えば、縁面29に隣接して配置されていてよい、少なくとも1つの光源40を含む、導光板26を示す。本明細書で使用する場合、「光学的に結合されている」という用語は、光源がLGP内に光を導入するようにLGPの縁部に配置されることを示すことが意図される。光源は、LGPと物理的に接触していない場合であっても、LGPに光学的に結合されていてよい。追加の光源(図示せず)も、LGPの他の縁面、例えば、隣接するまたは反対側の縁面に光学的に結合されていてよい。
【0071】
光源40からLGP内に入射した光は、臨界角未満の入射角で界面に衝突するまで、内部全反射(TIR)により矢印161で示されるように、LGPの長さLに沿って伝播することができる。TIRは、第1の屈折率を有する第1の材料(例えば、ガラス、プラスチック等)中を伝搬する光が第1の屈折率より低い第2の屈折率を有する第2の材料(例えば、空気等)との界面で全反射することができる現象である。TIRは、スネルの法則を使用して説明することができる。
【0072】
(1) nsin(θ)=nsin(θ
この式は、屈折率の異なる2つの材料間の界面における光の屈折を説明する。スネルの法則に従って、nは、第1の材料の屈折率であり、nは、第2の材料の屈折率であり、θは、界面に対する法線に対する界面での光入射の角度(入射角)であり、θは、この法線に対する屈折光の屈折角である。屈折角(θ)が、90°であり、例えば、sin(θ)=1の場合、スネルの法則は以下のように表現することができる。
【0073】
(2) θ=θ=sin-1(n/n
このような条件下での入射角θは、臨界角θと呼ぶこともできる。臨界角より大きい入射角(θ>θ)を有する光は、第1の材料内で内部全反射されるであろう。一方、臨界角以下の入射角(θ≦θ)を有する光は、第1の材料によりほとんどが透過されるであろう。
【0074】
空気(n=1)とガラス(n=1.5)との間の例示的な界面の場合、臨界角(θ)は、41°と計算することができる。このため、ガラス中を伝播する光が、41°より大きい入射角で空気-ガラス界面に衝突すると、全ての入射光は、入射角に等しい角度で界面から反射されるであろう。反射光が、第1の界面と同一の屈折率関係を有する第2の界面にぶつかると、第2の界面に入射する光は、再度、入射角に等しい反射角で反射されるであろう。
【0075】
幾つかの実施形態では、ポリマープラットフォーム72が、第2の主面195と反対側のガラス基板28の主面、例えば、発光面190上に配置されていてよい。微細構造70のアレイは、LGPの表面190および195上に配置された他の光学膜(例えば、反射膜および1つ以上の拡散膜(図示せず))と共に、破線矢印162により示されたように、光の透過を(例えば、ユーザに向かう)前方方向に導くことができる。幾つかの実施形態では、光源40は、ランベルト光源、例えば、発光ダイオード(LED)であることができる。LEDからの光は、LGP内で素早く広がる場合があり、これにより、(例えば、1つ以上のLEDをオフにすることにより)局所調光を行うのが困難になる場合がある。一方、(図3における矢印161により示された)光伝播の方向に細長い1つ以上の微細構造をLGPの表面上に提供することにより、各LED光源がLGPの狭いストリップのみを効果的に照明するように光の広がりを制限することが可能となる場合がある。照明されたストリップは、例えば、LEDにおける原点の点から、反対側の縁部上の類似の終点まで延びることができる。このように、種々の微細構造構成を使用して、LGPの少なくとも一部の一次元(1D)局所調光を比較的効率的に果たすことが可能となる場合がある。
【実施例
【0076】
種々の実施形態は、下記の非限定的な実施例によりさらに明確になる。
【0077】
以下の実施例のためのシミュレートされたディスプレイ製品の形態の輝度測定装置100を図4に示す。実験装置には、複数のLEDから構成される底部にエッジライトLEDパネル110を有するテレビから取り出されたバックライトユニット(BLU)を使用する。LEDパネル110は、導光板130の縁面120に光学的に結合されていて、導光板130内に光を照射する。導光板は、第1の主面131および第2の主面132により画定される1.1mmの厚さを有する。
【0078】
輝度装置は、底部ライトLEDパネル110および取り出された光をB側からカメラに跳ね返すためにガラス基板の「背面」または「B」側に設けられた反射体140が設けられた導光板130の輝度変化を分析する。光漏れを減少させるためのマスク150は、LEDパネル110によるブルーミングの程度を低減させ、サンプルの中間の輝度についての代表値を可能にする。
【0079】
側面からの垂直入射光は、所定の領域内においてnit(cd/m)単位で輝度測定基準を出力する電荷結合素子(CCD)比色計170(Radiant ProMetric(登録商標)画像化比色計)により捕捉される。輝度測定装置100は、テレビのバックライトユニット(BLU)に典型的に使用されるポリマーフィルムを欠いているため、垂直入射光160のみを捕捉する。この装置は、マスク(150mm×500mm×1.1mmの基板の周囲に黒色の周辺部を有する材料シートであり、マスクは、基板の縁部から10mm広がっている)と、縁部-ブルームに基づく輝度アーチファクトを低減するために金属製のテレビバックフレーム185上の1.5mmの厚さのスペーサ180とを使用することによりさらに最適化されている。
【0080】
輝度データ分析をマスクの縁部から20%の縁部除外ゾーンで行う。この場合、サンプルの平均輝度および輝度の標準偏差を測定する。これは、白色スポット形成の不均一性を完全には捕捉しない工業規格の9点測定と対照的である。十分なサンプリング、適切なデータ処理および分析手順を使用して、白色スポットによるエージングされたサンプルについての輝度(nit(cd/m)単位)変化を、ベースライン輝度値(nit(cd/m)単位)を提供する基準(例えば、エージングされていないサンプル)に対して測定する。
【0081】
粒子分析を、白色スポットを観察するために、適切な倍率で暗視野モードの光学顕微法を使用して行う。十分なサンプリング、適切なデータ処理および分析手順を使用して、LGPの輝度、例えば、単位面積当たりの粒子密度(例えば、平方ミリメートル当たり)および/または白色スポットによる表面の被覆率(%)に直接影響を及ぼすかつ/または相関させる測定基準を得た。
【0082】
実施例1
ガラス基板をアルカリ洗浄により洗浄し、次いで、APCVDチャンバに導入し、以下に記載された被覆スケジュールに供した。この実施例におけるガラス基板は、約70~80モル%のSiO、約5~10モル%のAl、約2~7モル%のMgOおよび約10~15モル%のNaOを含有した。
【0083】
ガラス基板についての下記被覆スケジュールを調査した。
【0084】
1) 25sccm(約4.1675×10-7/s)でのTMSおよび130sccm(約2.1671×10-6/s)での酸素(TMS25)
2) 35sccm(約5.8345×10-7/s)でのTMSおよび130sccm(約2.1671×10-6/s)での酸素(TMS35)
3) 45sccm(約7.5015×10-7/s)でのTMSおよび130sccm(約2.1671×10-6/s)での酸素(TMS45)。
【0085】
基板を、基板の上約2mmに直線状プラズマヘッドを備える大気圧CVD装置中において100℃で維持した。被覆厚さは、TEM(透過型電子顕微法)およびHR-SEM(高分解能走査電子顕微法)で測定したところ、75~100nmの範囲にあった。被覆サンプルの合計15か所を分析した。この場合、各3か所を、輝度コントロール(エージングされていない)ならびに96時間、240時間、580時間および960時間での60℃、90%のRHウェザリング表面として使用した。これらの箇所は、図4に示された装置を使用して、ウェザリングによる異質な光取出しについて分析(輝度試験)し、存在する任意のウェザリング特徴部のサイズについて分析(粒子分析)した。また、これらの箇所を、エージングされた膜内の組成およびナトリウム拡散プロファイルについて、XPS(x線光電子分光法)によって化学的にも分析した。
【0086】
図5に、高温および高湿度に曝された際の未処理ガラス基板についての光取出しにおける変化を示す。同図において、底部ライトLEDを、図4に示されたガラス基板に導入した。図5に、未処理ガラス基板と比較して、60℃および90%の相対湿度で96時間、240時間、580時間および960時間でウェザリングされると、エージングされたガラス基板が徐々に曇ることを示す。
【0087】
いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、縁部照明で観察される曇りは、マイクロメートル以下~数十マイクロメートルの範囲のサイズにあり、時間の関数として成長する意図しない追加の光取出し特徴部として挙動するナトリウムベースのウェザリング生成物の形成に起因する。光学モデリングを使用して、エージング時に形成される散乱特徴部の関数としてのパネル輝度変化に関して、これらのウェザリングに基づくLEFがTV性能に及ぼす定量的影響を確認した。異質な光取出しは、ウェザリング生成物の存在に近い位置において960時間で8倍増加することが示されている。
【0088】
図6は、約100nmの厚さの有機ケイ酸塩膜が設けられ、エージングされたガラス基板(50.8mm×50.8mm×1.1mm)上に形成された任意のウェザリング生成物を考慮した、エージングされていない有機ケイ酸塩膜表面との比較での異質な光取出しの視覚的表現を提供する。図6に示された写真に示されているように、また、図5とは全く対照的に、APCVD被覆(すなわち、上記特定されたTMS25、35、45)が設けられた、エージングされていないガラス基板およびエージングされたガラス基板の輝度には、観察可能な差異は検出されていない。
【0089】
図7に、60℃および90%の相対湿度で96~960時間ウェザリングした場合の、未改質ガラス基板(コントロール)およびTMS25、TMS35、TMS45についての輝度変化をグラフで示す。図8に、60℃および90%の相対湿度で96~960時間ウェザリングした場合の、粒子分析により得られたこれらのガラス表面のウェザリング生成物(「白色スポット」)による被覆率をグラフで示す。やはり、これは、APCVD有機ケイ酸塩膜が、ウェザリング生成物ベースの異質な光取出しを低減することにより改善を与えることを、より低い輝度値に基づいて実証している。加えて、光学顕微法では、エージングによる膜の完全性の損失または層間剥離は観察されていない。
【0090】
以下の表1に、膜の上部5~7nmの分析を提供するために、サンプルの縁部から離れた3つの分析領域からx線光電子分光法(XPS)により得られた、60℃および90%の相対湿度で0時間および960時間ウェザリングした場合の、TMS25、35、45の平均元素組成(原子%)および炭素の化学状態を示す。
【0091】
【表1-1】
【0092】
【表1-2】
【0093】
【表1-3】
【0094】
この実施例で実証されたように、TMS25、TMS35およびTMS45はそれぞれ、ウェザリング生成物の形成を促進することができるエージングの際に、外表面に抽出されるアルカリ含量の緩和をもたらした。アルカリ拡散の緩和は、ウェザリング生成物の形成の低減およびその現象に関連する信頼性特性の改善のためには、完全である必要はないことに留意されたい。
【0095】
実施例2
ガラス基板を、アルカリ洗浄により洗浄し、イソプロピルアルコール中の30質量%のHoneywell Accuglass(登録商標)512Bスピンオンガラスを、下記スケジュール:500RPMで5秒間+3000RPMで30秒間に従ってガラス上にスピンし、続けて、80℃で30分間+150℃で30分間+420℃で60分間の硬化スケジュールを実施した。硬化スケジュールを、シルセスキオキサン構造を完全に縮合するように選択した。被覆厚さは、TEM(透過型電子顕微鏡)およびHR-SEM(高分解能走査型電子顕微鏡)で測定したところ、ほぼ200nmであった。
【0096】
このサンプルを、以下「スピンオンSiOC:H」と表し、被覆されていないガラス基板(「コントロール」)と共に、高温、高湿度環境(60℃、90%のRH)で約1000時間ウェザリングさせた。とりわけ、合計15か所の被覆スケジュールを処理した。この場合、各3か所を、0時間での輝度コントロールならびに60℃、90%のRHで96時間、240時間、580時間および960時間ウェザリングされた表面として使用した。これらの箇所について、実施例1に記載されたように、光取出し(輝度試験)および粒子分析(ウェザリング生成物ベースの特徴部)を分析した。また、これらの箇所について、やはり、実施例1で上記されたように、エージングされた膜内の組成およびナトリウム拡散プロファイルもXPSにより化学的に分析した。図5を参照して、高温および高湿度に曝された場合の、未処理ガラス基板についての光取出しの変化を示す。対照的に、図9に見られるように、エージングされていないかつエージングされたスピンオンガラス被覆の輝度には、観察可能な差異が検出されていない。さらに、図10における輝度の結果および図11に示された粒子分析により得られた散乱特徴部(「白色スポット」)によるガラス表面の被覆率の低下から、スピンオンガラス有機ケイ酸塩膜がウェザリング生成物ベースの異質な光取出しを緩和することが実証されている。エージングされたスピンオンガラス被覆の輝度値は、同じ基板の未改質形態より低い。加えて、膜のエージングによる輝度値および微粒子による被覆率は変化しないままである。加えて、光学顕微法では、エージングによる膜の完全性の損失または層間剥離は観察されていない。
【0097】
以下の表2に、膜の上部5~7nmの分析を提供するために、サンプルの縁部から離れた3つの分析領域からx線光電子分光法(XPS)により得られた、60℃および90%の相対湿度で0時間および960時間ウェザリングした場合の、スピンオンSiOC:Hの平均元素組成(原子%)および炭素の化学状態を示す。
【0098】
【表2-1】
【0099】
【表2-2】
【0100】
【表2-3】
【0101】
この実施例で実証されたように、スピンオンガラス膜は、(技術の高分解能の範囲内で)ウェザリング生成物の形成を促進することができるエージングの際に、外表面に抽出されるアルカリ含量の完全緩和をもたらすことが示される。アルカリ拡散の緩和は、ウェザリング生成物の形成の低減およびその現象に関連する信頼性特性の改善のためには、完全である必要はないことにやはり留意されたい。スピンオンガラス被覆は、アルカリ欠乏の上面(および膜バルク)を提供し、これは、アルカリ拡散の緩和により、非架橋酸素(ガラス構造内の抽出アルカリの供給源)に付着した高レベルの改質剤を有する高アルカリおよびアルカリ土類含有ガラス上でのウェザリングに基づく腐食メカニズムを低減する。
【0102】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0103】
実施形態1
導光板であって、
厚さを画定する少なくとも2つの主面と、光源から光を受け取るように構成されている縁面とを含み、前記光源からの前記光を分布させるように構成されているガラス基板と、
前記少なくとも2つの主面のうちの1つの主面上に配置されている有機ケイ酸塩膜と
を備え、
前記有機ケイ酸塩膜は、有機ケイ酸塩膜を備えていない導光板と比較して、60℃および90%の相対湿度で960時間エージングした際の白色スポットの形成を低減する、
導光板。
【0104】
実施形態2
前記導光板が、400nm~700nmの波長範囲にわたって、前記有機ケイ酸塩膜を有する主面に対して垂直な90%超の透過率を示す、実施形態1記載の導光板。
【0105】
実施形態3
前記有機ケイ酸塩膜が、単層であり、前記ガラス基板が、追加の層を有さない、実施形態2記載の導光板。
【0106】
実施形態4
光取出し特徴部(LEF)またはレンチキュラーレンズのうちの1つ以上が、前記有機ケイ酸塩膜上に適用されている、実施形態2記載の導光板。
【0107】
実施形態5
前記ガラス基板が、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラスおよびソーダ石灰ガラスからなる群から選択される、実施形態2記載の導光板。
【0108】
実施形態6
前記ガラス基板が、酸化物ベース(モル%)で、
50~90モル%のSiO
0~20モル%のAl
0~20モル%のBおよび
0~25モル%のR
を含み、
式中、xが、2であり、Rが、Li、Na、K、Rb、Csおよびそれらの組み合わせから選択されるか、またはxが、1であり、Rが、Zn、Mg、Ca、Sr、Baおよびそれらの組み合わせから選択され、
前記ガラス基板が、LiO、NaO、KO、CaOおよびMgOから選択される少なくとも0.5モル%の1つの酸化物を含む、
実施形態2記載の導光板。
【0109】
実施形態7
前記ガラス基板が、酸化物ベース(モル%)で、NaOおよびKOから選択される少なくとも3.5モル%の1つの酸化物を含む、実施形態6記載の導光板。
【0110】
実施形態8
前記有機ケイ酸塩膜が、約1nm~約1200nmの厚さを有する、実施形態2記載の導光板。
【0111】
実施形態9
前記有機ケイ酸塩膜が、スプレーコーティング膜である、実施形態2記載の導光板。
【0112】
実施形態10
前記有機ケイ酸塩膜が、ディップコーティング膜である、実施形態2記載の導光板。
【0113】
実施形態11
前記有機ケイ酸塩膜が、スピンオンガラス形成膜である、実施形態2記載の導光板。
【0114】
実施形態12
前記有機ケイ酸塩膜が、化学気相成長法で形成された膜である、実施形態2記載の導光板。
【0115】
実施形態13
前記有機ケイ酸塩膜が、
(a)約1.05~約1.45の範囲にある屈折率;
(b)少なくとも約70°の水接触角;
(c)約55mJ/m未満の総表面エネルギー;または
(d)約25mJ/m未満の極性表面エネルギー成分
のうちの1つ以上を示す、実施形態2記載の導光板。
【0116】
実施形態14
前記有機ケイ酸塩膜が、有機ケイ酸塩膜を備えていない導光板と比較して、60℃および90%の相対湿度で960時間エージングした際の白色スポットの形成を低減する、実施形態1記載の導光板。
【0117】
実施形態15
ディスプレイ製品であって、
光源と、
反射体と、
実施形態1記載の導光板と
を備える、ディスプレイ製品。
【0118】
実施形態16
前記光源が、前記ガラス基板の前記縁面に光学的に結合されている発光ダイオード(LED)である、実施形態15記載のディスプレイ製品。
【0119】
実施形態17
導光板として使用するためのガラス基板を処理する方法であって、
厚さを画定する少なくとも2つの主面と、縁面とを備えるガラス基板を提供するステップと、
前記少なくとも2つの主面のうちの少なくとも1つの主面上に有機ケイ酸塩膜を形成するステップと
を含み、
前記有機ケイ酸塩膜を備えていないガラス基板と比較して、前記有機ケイ酸塩膜を有する前記主面上でのアルカリ塩の形成により生じる、ウェザリングに基づく前記導光板における輝度の不均一性が低減される、
方法。
【0120】
実施形態18
前記有機ケイ酸塩膜が、前記導光板上の白色スポットの形成を低減するかまたは防止する、実施形態17記載の方法。
【0121】
実施形態19
前記有機ケイ酸塩膜を形成するステップが、前記ガラス基板上に前記有機ケイ酸塩膜を堆積させるために、ケイ素含有前駆体の流れおよび共反応物の流れを導入するステップを含む、実施形態17記載の方法。
【0122】
実施形態20
前記ケイ素含有前駆体および前記共反応物が、化学気相成長(CVD)チャンバに導入される、実施形態19記載の方法。
【0123】
実施形態21
前記ケイ素含有前駆体および前記共反応物が、大気圧でまたは大気圧付近で前記化学気相成長(CVD)チャンバ内に導入される、実施形態20記載の方法。
【0124】
実施形態22
前記ケイ素含有前駆体が、シランまたはシロキサンまたはシラザンのうちの1つ以上を含み、前記共反応物が、酸素、アンモニアと酸素との混合物または窒素と酸素との混合物のうちの1つ以上を含む、実施形態20記載の方法。
【0125】
実施形態23
前記シランが、テトラメチルシラン、トリメチルシランおよびテトラメチルジシラザンから選択される、実施形態22記載の方法。
【0126】
実施形態24
前記シロキサンが、ヘキサメチルジシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサンおよびヘキサメチルジシラザンから選択される、実施形態22記載の方法。
【0127】
実施形態25
前記有機ケイ酸塩膜を形成するステップが、
任意選択的に、前記ガラス基板をアルカリ洗浄で洗浄するステップと、
重合されたまたは部分重合されたシロキサン化合物を、任意選択的に溶媒と共に、前記ガラス基板上に導入するステップと、
前記重合されたまたは部分重合されたシロキサン化合物を硬化させるステップと
を含む、実施形態17記載の方法。
【0128】
実施形態26
重合されたまたは部分重合されたメチルシルセスキオキサンおよびイソプロピルアルコールが、前記ガラス基板上に導入される、実施形態25記載の方法。
【0129】
実施形態27
前記重合されたまたは部分重合されたシロキサン化合物が、前記重合されたまたは部分重合されたメチルシルセスキオキサンのシルセスキオキサン構造を完全に縮合するのに十分な温度および時間で硬化させられる、実施形態25記載の方法。
【0130】
実施形態28
前記重合されたまたは部分重合されたシロキサン化合物が、前記ガラス基板上にスピン塗布される、実施形態25記載の方法。
【0131】
実施形態29
前記重合されたまたは部分重合されたシロキサン化合物が、前記ガラス基板上にディップコーティングされる、実施形態25記載の方法。
【0132】
実施形態30
前記重合されたまたは部分重合されたシロキサン化合物が、前記ガラス基板上にスプレーコーティングされる、実施形態25記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】