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特表2022-507747見込み生産のパターン化された透明導電層
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】見込み生産のパターン化された透明導電層
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/155 20060101AFI20220111BHJP
   G02F 1/1523 20190101ALI20220111BHJP
【FI】
G02F1/155
G02F1/1523
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021527225
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(85)【翻訳文提出日】2021-05-18
(86)【国際出願番号】 US2019066590
(87)【国際公開番号】W WO2020139604
(87)【国際公開日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】62/786,004
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504416080
【氏名又は名称】セイジ・エレクトロクロミクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン、イーガン
(72)【発明者】
【氏名】ジロン、ジャン - クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】グリーア、ブライアン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】サーラック、セバスチャン マリウス
(72)【発明者】
【氏名】ダブレン、トーマス
【テーマコード(参考)】
2K101
【Fターム(参考)】
2K101DA01
2K101DB42
2K101DC52
2K101DC62
2K101DD01
2K101EA16
2K101EB01
2K101EC12
2K101EC22
(57)【要約】
電気化学デバイスおよび該デバイスを形成する方法を開示する。本方法は、基板および基板を覆うスタックを提供することを含むことができる。スタックは、基板の上の第1の透明導電層と、第1の透明導電層の上の陰極電気化学層と、エレクトロクロミック層の上の陽極電気化学層と、陽極電気化学層を覆う第2の透明導電層と、を含むことができる。本方法は、スタックの上に絶縁層を堆積させることと、第2の透明導電層の第1のパターンを決定することと、を含むことができる。第1のパターンは、第1の領域および第2の領域を含むことができる。第1の領域および第2の領域は、同じ材料とすることができる。本方法は、第1の領域から材料を除去することなく、第2の透明導電層の第1の領域をパターン化することを含むことができる。第1の領域は、第1の抵抗率を有することができ、第2の領域は、第2の抵抗率を有することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学デバイスを形成する方法であって、前記方法が、
基板および前記基板を覆うスタックを提供することであって、前記スタックが、
前記基板の上の第1の透明導電層、
前記基板の上の第2の透明導電層、
前記第1の透明導電層と前記第2の透明導電層との間の陰極電気化学層、および
前記第1の透明導電層と前記第2の透明導電層との間の陽極電気化学層、を備える、提供することと、
前記スタックの上に絶縁層を堆積させることと、
前記第2の透明導電層の第1のパターンを決定することであって、前記第1のパターンが、第1の領域および第2の領域を含み、前記第1の領域および前記第2の領域が、同じ材料を含む、決定することと、
前記第1の領域から前記材料を除去することなく、前記第2の透明導電層の前記第1の領域をパターン化することであって、前記第1の領域をパターン化した後に、前記第1の領域が、第1の抵抗率を含み、前記第2の領域が、第2の抵抗率を含む、パターン化することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第2の透明導電層をパターン化して前記第1の抵抗率および前記第2の抵抗率を形成することが、前記絶縁層を通してパターン化される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の透明導電層をパターン化して前記第1の抵抗率および前記第2の抵抗率を形成することが、前記基板、前記第1の透明導電層、前記陰極電気化学層、および前記陽極電気化学層を通してパターン化される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の透明導電層をパターン化することが、400nm~700nmの波長を有する短パルスレーザを使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記短パルスレーザが、500nm~550nmの波長を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記短パルスレーザが、50フェムト秒~1秒の持続時間にわたって発射する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の抵抗率が、前記第2の抵抗率よりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の抵抗率が、15Ω/sq~100Ω/sqである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記基板が、ガラス、サファイア、酸窒化アルミニウム、スピネル、ポリアクリル酸化合物、ポリアルケン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリスルフィド、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、別の好適な透明ポリマー、上述のコポリマー、フロートガラス、ホウケイ酸ガラス、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記スタックが、前記陰極電気化学層と前記陽極電気化学層との間にイオン伝導層をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記イオン導電層が、リチウム、ナトリウム、水素、ジュウテリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム、酸化リチウム、LiWO、タングステン、ニッケル、炭酸リチウム、水酸化リチウム、過酸化リチウム、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される材料を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記陰極電気化学層が、エレクトロクロミック材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記エレクトロクロミック材料が、WO、V、MoO、Nb、TiO、CuO、Ni、NiO、Ir、Cr、Co、Mn、混合酸化物(例えば、W-Mo酸化物、W-V酸化物)、リチウム、アルミニウム、ジルコニウム、リン、窒素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アスタチン、ホウ素、リチウムを含むもしくは含まないホウ酸塩、リチウムを含むもしくは含まない酸化タンタル、リチウムを含むもしくは含まないランタニド系材料、別のリチウム系セラミック材料、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される材料を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の透明導電層が、酸化インジウム、酸化インジウムスズ、ドープ酸化インジウム、酸化スズ、ドープ酸化スズ、酸化亜鉛、ドープ酸化亜鉛、酸化ルテニウム、ドープ酸化ルテニウム、銀、金、銅、アルミニウム、およびこれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の透明導電層をパターン化して前記第1の抵抗率および前記第2の抵抗率を形成することが、前記スタックを形成した後にパターン化される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気化学デバイスおよびそれを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学デバイスは、エレクトロクロミックスタックを含むことができ、透明導電層を使用して、スタックの動作のための電気接続を提供する。エレクトロクロミック(EC)デバイスは、印加電位に応じて、電気化学的酸化および還元に続いて、それらの光学特性を可逆的に改変することが可能な材料を採用する。光変調は、電気化学材料格子における電子および電荷補償イオンの同時挿入および抽出の結果である。
【0003】
エレクトロクロミックデバイスの進歩は、デバイスが、製造中のスループットを維持しながら、より高速かつより均一なスイッチング速度を有することを求めている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、エレクトロクロミックデバイスの製造におけるさらなる改善が求められる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】一実施形態による、エレクトロクロミックデバイスの概略断面図である。
図2A】本開示の一実施形態による、様々な製造段階での電気化学の概略断面図である。
図2B】本開示の一実施形態による、様々な製造段階での電気化学の概略断面図である。
図2C】本開示の一実施形態による、様々な製造段階での電気化学の概略断面図である。
図2D】本開示の一実施形態による、様々な製造段階での電気化学の概略断面図である。
図2E】本開示の一実施形態による、様々な製造段階での電気化学の概略断面図である。
図2F】本開示の一実施形態による、様々な製造段階での電気化学の概略断面図である。
図2G】本開示の一実施形態による、様々な製造段階での電気化学の概略断面図である。
図3】本開示の一実施形態による、電気化学デバイスを形成するためのプロセスを表すフローチャートである。
図4A】様々な実施形態による、透明導電層の概略上面図である。
図4B】様々な実施形態による、透明導電層の概略上面図である。
図5】本開示の一実施形態による、絶縁グレージングユニットの概略図である。
図6】様々なサンプルの保持電圧のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
当業者は、図中の要素が単純化および明瞭化のために示されており、必ずしも縮尺どおりに描かれていないことを理解している。例えば、図中の要素のいくつかの寸法は、本発明の実施形態の理解を改善するのを助けるために、他の要素に対して誇張されている場合がある。
【0007】
図面と組み合わせた以下の説明は、本明細書に開示される教示を理解するのを助けるために提供される。以下の考察は、本教示の特定の実施形態および実施形態に焦点を当てている。この焦点は、本教示を説明するのを助けるために提供されており、本教示の範囲または適用性に対する限定として解釈されるべきではない。
【0008】
本明細書で使用される場合、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、またはこれらの任意の他の変形語は、非排他的な包含を含むことを意図している。例えば、特徴のリストを含むプロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの特徴だけに限定されず、明示的に列記されていない、またはそのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有でない他の特徴を含み得る。さらに、そうではないと明示的に述べられていない限り、「または(or)」は、包含的な「または」を指し、排他的な「または」を指さない。例えば、条件AまたはBは、以下のいずれか1つによって満たされる。Aは真(または存在する)かつBは偽(または存在しない)、Aは偽(または存在しない)かつBは真(または存在する)、およびAとBとの両方が真(または存在する)である。
【0009】
「1つ(a)」または「1つ(an)」の使用は、本明細書に記載の要素および構成要素を説明するために採用される。これは単に便宜上および本発明の範囲の一般的な意味を与えるために行われている。この説明は、他を意味することが明確でない限り、1つまたは少なくとも1つおよび複数も含む単数形、またはその逆を含むように読まれる必要がある。
【0010】
「約(about)」、「およそ(approximately)」、または「実質的に(substantially)」という単語の使用は、パラメータの値が記載の値または位置に近いことを意味することを意図している。しかしながら、わずかな違いにより、値または位置が記載どおりにならない場合がある。
【0011】
バスバー、孔、孔などを含むパターン化された特徴は、幅、深さまたは厚さ、および長さを有することができ、長さは、幅および深さまたは厚さよりも長い。本明細書で使用されるとき、直径は、円の幅であり、短軸は、楕円の幅である。
【0012】
「インピーダンスパラメータ」は、デバイスに5mV~50mVが印加されたときに、-20℃で、DCバイアスによって5×5cmのデバイス上で、2log(周波数/Hz)で測定される、電気化学デバイスの有効抵抗-オーミック抵抗および電気化学的リアクタンスの複合効果-の測定値である。結果として生じる電流を測定し、100Hz~6MHzの範囲の各周波数でのインピーダンスおよび位相角を計算する。
【0013】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。材料、方法、および例は、例示的なものにすぎず、限定的であることを意図しない。本明細書で説明しない程度で、特定の材料および処理行為に関する多くの詳細は従来通りであり、ガラス、蒸着、およびエレクトロクロミック技術の範囲内の教科書および他の情報源に見出され得る。
【0014】
本開示によれば、図1は、改善されたフィルム構造を有する、部分的に製作された電気化学デバイス100の断面図を例示する。例示を明瞭にする目的で、電気化学デバイス100は、可変透過デバイスである。一実施形態において、電気化学デバイス100は、エレクトロクロミックデバイスとすることができる。別の実施形態において、電気化学デバイス100は、薄膜電池とすることができる。しかしながら、本開示は、他のタイプのスクライブしたエレクトロアクティブデバイス、電気化学デバイス、ならびに異なるスタックまたはフィルム構造(例えば、追加の層)を有する他のエレクトロクロミックデバイスに同様に適用可能であることが認識されるであろう。追加的に、エレクトロアクティブデバイスは、自動車、ウインドウ、ファサード、建物の外面、搬送車両、電車、または鏡に組み込むことができる。図1の電気化学デバイス100に関して、デバイス100は、基板110および基板110を覆うスタックを含むことができる。スタックは、第1の透明導体層120と、陰極電気化学層130と、陽極電気化学層140と、第2の透明導体層150と、を含むことができる。デバイス100はまた、絶縁層170も含むことができる。一実施形態において、スタックはまた、陰極電気化学層130と陽極電気化学層140との間にイオン伝導層も含むことができる。
【0015】
一実施形態において、基板110としては、ガラス基板、サファイア基板、酸窒化アルミニウム基板、またはスピネル基板を挙げることができる。別の実施形態において、基板110は、ポリアクリル酸化合物、ポリアルケン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリスルフィド、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、別の好適な透明ポリマー、または上述のコポリマーなどの、透明ポリマーを含むことができる。基板110は、可撓性であるか、またはそうでない場合がある。特定の実施形態において、基板110は、フロートガラスまたはホウケイ酸ガラスとすることができ、厚さ0.5mm~12mmの範囲の厚さを有することができる。基板110は、12mm、10mm以下、8mm以下、6mm以下、5mm以下、3mm以下、2mm以下、1.5mm以下、1mm以下、または0.01mm以下などの、16mm以下の厚さを有することができる。別の特定の実施形態において、基板110は、50ミクロン~300ミクロンの範囲の厚さを有する無機ガラスである、極薄ガラスを含むことができる。特定の実施形態において、基板110は、形成されている多くの異なる電気化学デバイスのために使用することができ、マザーボードと称することができる。
【0016】
透明導電層120および150は、導電性金属酸化物または導電性ポリマーを含むことができる。その例としては、いずれかをAl、Ga、Inなどの三価元素でドープすることができる酸化スズもしくは酸化亜鉛、フッ素化酸化スズ、またはポリアニリン、ポリピロール、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)などのスルホン化ポリマーなどを挙げることができる。別の実施形態において、透明導電層120および150は、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、またはこれらの任意の組み合わせを含むことができる。透明導電層120および150は、酸化インジウム、酸化インジウムスズ、ドープ酸化インジウム、酸化スズ、ドープ酸化スズ、酸化亜鉛、ドープ酸化亜鉛、酸化ルテニウム、ドープ酸化ルテニウム、およびこれらの任意の組み合わせを含むことができる。透明導電層120および150は、同じまたは異なる組成を有することができる。一実施形態において、陽極電気化学層140の上の透明導電層150は、アクティブスタックから材料を除去することなく、第1の抵抗率および第2の抵抗率を有することができる。一実施形態において、透明導電層150は、パターン152の第1の部分が第1の抵抗率に対応し、パターン154の第2の部分が第2の抵抗率に対応するパターンを有することができる。パターン152の第1の部分およびパターン154の第2の部分は、同じ材料とすることができる。一実施形態において、パターン152の第1の部分は、抵抗率を増加させるために、短パルスレーザによって改変されている。一実施形態において、第1の抵抗率は、第2の抵抗率よりも大きい。別の実施形態において、第1の抵抗率は、第2の抵抗率よりも小さい。以下でより詳細に説明するように、パターンの第1の部分およびパターンの第2の部分は、第2の透明導電層150を改変することに由来する。
【0017】
透明導電層120および150は、10nm~600nmの厚さを有することができる。一実施形態において、透明導電層120および150は、200nm~500nmの厚さを有することができる。一実施形態において、透明導電層120および150は、320nm~460nmの厚さを有することができる。一実施形態において、第1の透明導電層120は、10nm~600nmの厚さを有することができる。一実施形態において、第2の透明導電層150は、80nm~600nmの厚さを有することができる。
【0018】
層130および140は、電極層とすることができ、一方の層は、陰極電気化学層とすることができ、他方の層は、陽極エレクトロクロミック層(対向電極層とも称される)とすることができる。一実施形態において、陰極電気化学層130は、エレクトロクロミック層である。陰極電気化学層130は、無機金属酸化物材料、例えばWO3、V2O5、MoO3、Nb2O5、TiO2、CuO、Ni2O3、NiO、Ir2O3、Cr2O3、Co2O3、Mn2O3、混合酸化物(例えば、W-Mo酸化物、W-V酸化物)、またはこれらの任意の組み合わせを含むことができ、40nm~600nmの範囲の厚さを有することができる。一実施形態において、陰極電気化学層130は、100nm~400nmの厚さを有することができる。一実施形態において、陰極電気化学層130は、350nm~390nmの厚さを有することができる。陰極電気化学層130は、リチウム、アルミニウム、ジルコニウム、リン、窒素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アスタチン、ホウ素、リチウムを含むもしくは含まないホウ酸塩、リチウムを含むもしくは含まない酸化タンタル、リチウムを含むもしくは含まないランタニド系材料、別のリチウム系セラミック材料、またはこれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0019】
陽極エレクトロクロミック層140は、陰極エレクトロクロミック層130もしくはTa2O5、ZrO2、HfO2、Sb2O3に関して列記される材料のいずれか、またはこれらの任意の組み合わせを含むことができ、酸化ニッケル(NiO、Ni2O3、または2つの組み合わせ)、およびLi、Na、H、または別のイオンをさらに含むことができ、40nm~500nmの範囲の厚さを有することができる。一実施形態において、陽極エレクトロクロミック層140は、150nm~300nmの厚さを有することができる。一実施形態において、陽極エレクトロクロミック層140は、250nm~290nmの厚さを有することができる。いくつかの実施形態において、リチウムが、第1の電極130または第2の電極140のうちの少なくとも1つに挿入され得る。
【0020】
別の実施形態において、デバイス100は、基板110と第1の透明導電層120との間に複数の層を含むことができる。一実施形態において、基板110と第1の透明導電層120との間に反射防止層があり得る。反射防止層は、SiO2、NbO2、Nb2O5を含むことができ、20nm~100nmの厚さとすることができる。デバイス100は、少なくとも2つのバスバーを含むことができ、一方のバスバーが第1の透明導電層120に電気的に接続され、第2のバスバーが第2の透明導電層150に電気的に接続される。
【0021】
図3は、本開示の一実施形態によるエレクトロクロミックデバイスを形成するためのプロセス300を表すフローチャートである。図2A図2Eは、本開示の一実施形態による様々な製造段階でのエレクトロクロミックデバイス200の概略断面図である。エレクトロクロミックデバイス200は、上記のエレクトロクロミックデバイス100と同様であり得る。プロセスは、基板210を形成することを含むことができる。基板210は、上記の基板110と同様であり得る。動作310で、図2Aに示すように、基板210上に第1の透明導電層220を堆積させることができる。第1の透明導電層220は、上記の第1の透明導電層120と同様であり得る。一実施形態において、第1の透明導電層220の堆積は、5kW~20kWの電力で、200℃~400℃で、酸素およびアルゴンを含むスパッタガス中で、0.1m/分~0.5m/分の速度で、スパッタ堆積によって実行することができる。一実施形態において、スパッタガスは、40%~80%の酸素および20%~60%のアルゴンを含む。一実施形態において、スパッタガスは、50%の酸素および50%のアルゴンを含む。一実施形態において、スパッタ堆積の温度は、250℃~350℃とすることができる。一実施形態において、第1の透明導電層220は、10kW~15kWの電力で、スパッタ堆積によって実行することができる。
【0022】
一実施形態において、基板210と第2の透明導電層220との間に中間層を堆積させることができる。一実施形態において、中間層は、反射防止層などの絶縁層を含むことができる。反射防止層は、酸化シリコン、酸化ニオブ、またはこれらの任意の組み合わせを含むことができる。特定の実施形態において、中間層は、反射の低減を補助するために使用することができる、反射防止層とすることができる。反射防止層は、下層(下層の屈折率は、およそ2.0とすることができる)と、ArまたはN2などのクリーンで乾燥した空気または不活性ガス(多くのガスは、およそ1.0の屈折率を有する)との間の屈折率を有することができる。一実施形態において、反射防止層は、1.4~1.6の範囲の屈折率を有することができる。反射防止層は、好適な屈折率を有する絶縁材料を含むことができる。特定の実施形態において、反射防止層は、シリカを含むことができる。反射防止層の厚さは、薄くて十分な反射防止特性を提供するように選択することができる。反射防止層の厚さは、エレクトロクロミック層130および対向電極層140の屈折率に少なくとも部分的に依存することができる。中間層の厚さは、20nm~100nmの範囲とすることができる。
【0023】
動作320で、図2Bに示すように、第1の透明導電層220上にエレクトロクロミック層230を堆積させることができる。エレクトロクロミック層230は、上記のエレクトロクロミック層130と同様であり得る。一実施形態において、エレクトロクロミック層230の堆積は、23℃~400℃の温度で、酸素およびアルゴンを含むスパッタガス中で、タングステンのスパッタ堆積によって実行することができる。一実施形態において、スパッタガスは、40%~80%の酸素および20%~60%のアルゴンを含む。一実施形態において、スパッタガスは、50%の酸素および50%のアルゴンを含む。一実施形態において、スパッタ堆積の温度は、100℃~350℃である。一実施形態において、スパッタ堆積の温度は、200℃~300℃である。追加的に、タングステンの堆積は、100%の酸素を含むスパッタガス中でスパッタ堆積させることができる。
【0024】
動作330で、図2Cに示すように、陰極電気化学層230上に陽極電気化学層240を堆積させることができる。一実施形態において、陽極電気化学層240は、対向電極とすることができる。陽極電気化学層240は、上記の陽極電気化学層140と同様であり得る。一実施形態において、陽極電気化学層240の堆積は、20℃~50℃の温度で、タングステン、酸素およびアルゴンを含むスパッタガス中で、ニッケルおよびリチウムのスパッタ堆積によって実行することができる。一実施形態において、スパッタガスは、60%~80%の酸素および20%~40%のアルゴンを含む。一実施形態において、スパッタ堆積の温度は、22℃~32℃である。
【0025】
動作340で、図2Dに示すように、陽極電気化学層240上に第2の透明導電層250を堆積させることができる。第2の透明導電層250は、上記の第2の透明導電層150と同様であり得る。一実施形態において、第2の透明導電層250の堆積は、5kW~20kWの電力で、20℃~50℃の温度で、酸素およびアルゴンを含むスパッタガス中で、スパッタ堆積によって実行することができる。一実施形態において、スパッタガスは、1%~10%の酸素および90%~99%のアルゴンを含む。一実施形態において、スパッタガスは、8%の酸素および92%のアルゴンを含む。一実施形態において、スパッタ堆積の温度は、22℃~32℃である。一実施形態において、第2の透明導電層250を堆積させた後に、基板210、第1の透明導電層220、陰極電気化学層230、陽極電気化学層240、および第2の透明導電層250を、2分~10分にわたって300℃~500℃の温度で加熱することができる。
【0026】
動作350で、第2の透明導電層250上に追加の層を堆積させることができる。一実施形態において、図2Eに示すように、追加の層270は、絶縁層170と同様の絶縁層を含むことができる。一実施形態において、絶縁層は、シリカ(SiO2)を含むことができる。一実施形態において、追加の層270は、高抵抗透明導電層および絶縁層を含むことができる。絶縁層の堆積の後に、デバイス200は、積層アクティブスタックとみなすことができる。
【0027】
上記のスタックの堆積の後に、パターンを決定することができる。パターンは、第1の領域および第2の領域を含むことができる。第1の領域は、第1の抵抗率を有することができ、第2の領域は、第2の抵抗率を有することができる。動作360で、図2Fに示すように、第2の透明導電層250をパターン化することができる。一実施形態において、400nm~700nmの波長を有する短パルスレーザ260を、絶縁層270を通して指向させて、第2の透明導電層250をパターン化する。一実施形態において、500nm~550nmの波長を有する短パルスレーザ260を、スタックの最上部を通して指向させて、第2の透明導電層250をパターン化する。レーザ260の波長および持続時間は、デバイス200内の熱の蓄積を防止するように選択される。一実施形態において、絶縁層270は、影響を受けないままであり、一方で、第1の透明導電層220をパターン化することができる。絶縁層270と第2の透明導電層250との間に層を含む一実施形態において、短パルスレーザ260は、第2の透明導電層250に到達し、パターン化するまで、絶縁層270および続く層を通して指向させることができる。第2の透明導電層250をパターン化することは、絶縁層270、基板210、陰極電気化学層230、陽極電気化学層240、および第1の透明導電層220を完全なまま維持しながら行うことができる。別の実施形態において、レーザ260は、他のいずれの層にも影響を及ぼすことなく、第2の透明導電層250に到達するまで、基板210、第1の透明導電層220、陰極電気化学層230、および陽極電気化学層240を通してレーザビームを指向させることによって第2の透明導電層250をパターン化するように指向させることができる。
【0028】
一実施形態において、短パルスレーザ260は、500nm~550nmの波長を有することができる。一実施形態において、短パルスレーザ260は、50フェムト秒~1秒の持続時間にわたって発射する。レーザ260の波長は、アクティブスタック内の絶縁層270または任意の他の層と比較して、レーザ260のエネルギーが第2の透明導電層250によって吸収されるように選択することができる。一実施形態において、短パルスレーザ260は、デバイス200にわたって移動させて、パターンを形成することができる。一実施形態において、パターンは、第1の抵抗率および第2の抵抗率を含むことができる。短パルスレーザ260は、いかなる材料もスタックから除去することなく、第2の透明導電層250の材料を変換して、抵抗率を変化させることができる。すなわち、短パルスレーザ260は、決定されたパターンに対応する第1の領域を標的にして、その領域の抵抗率を変化させ、一方で、第1の透明導電層の残部を同じままにする。その場合、結果として生じるパターンは、図2Gに示すように、第1の抵抗率および第2の抵抗率を含むことができる。パターン化の前に、第2の透明導電層250は、均一な抵抗率を有することができる。パターン化の後に、第2の透明導電層250は、第1の抵抗率および第2の抵抗率を含むパターンを有することができる。一実施形態において、第1の領域252は、第1の抵抗率を有することができ、第2の領域254は、第2の抵抗率を有することができる。一実施形態において、第1の領域252および第2の領域254は、同じ材料の組成を有することができる。一実施形態において、第1の抵抗率は、第2の抵抗率よりも大きい。一実施形態において、第1の抵抗率は、第2の抵抗率よりも小さい。一実施形態において、第1の抵抗率は、15Ω/sq~100Ω/sqとすることができる。一実施形態において、第2の透明導電層250は、第1および第2の抵抗率を含むことができ、一方で、第1の透明導電層220は、単一の抵抗率を含むことができる。全ての層を基板210に堆積させた後にデバイスをパターン化することは、製造コストを低減させる。全ての層を基板に堆積した後に透明導電層をパターン化することは、透明導電層内に高い抵抗率および低い抵抗率のエリアを作成する。レーザは、パターン化される透明導電層の領域に接触し、その領域の抵抗率を増加させる。その際に、使用されるパターンは、デバイスにわたる様々な地点での抵抗を決定するのを助けて、より均一なスイッチングを生じさせることができる。具体的には、パターン化されたデバイスは、デバイスが透明から着色した状態に移行するときに、デバイスの中央から縁部まで見て、より一様で、均一な、かつ高速な移行を有する。選択的なパターンは、中央から縁部までの抵抗の違いを低減させるので、同じパターン化された透明導電層は、以下の実施例のセクションに例示するように、改善された保持の均一性を示す。保持の均一性は、デバイスがより大きくなるにつれて、またはバスバー間の距離が増加するにつれてより明らかになる。
【0029】
図4A図4Bは、様々な実施形態による、第2の透明導電層250の概略上面図である。第2の透明導電層250は、第1の領域422および第2の424を含むパターンを有することができる。一実施形態において、第1の領域422は、第1の抵抗率を有することができ、第2の領域424は、第2の抵抗率を有することができる。一実施形態において、パターンは、第2の透明導電層250にわたって変化させることができる。一実施形態において、パターンは、幾何学形状を含むことができる。一実施形態において、パターンは、第2の透明導電層250の中央に向かってサイズを減少させることができ、第2の透明導電層250の対向端部に向かってサイズを増加させることができる。一実施形態において、第1の領域422は、図4Aに示すように、第2の領域424よりも小さくすることができる。別の実施形態において、第1の領域422は、図2Bに示すように、第2の領域424よりも大きくすることができる。一実施形態において、第1の領域422は、第1の透明導電層220の一方の縁部から第2の透明導電層250の対向縁部へ増加させるように、累進的にすることができる。第1の領域422は、円形、正方形、長方形、線形、六角形、多角形、三角形、またはこれらの任意の組み合わせとすることができる。
【0030】
電気化学デバイスのいずれかは、その後に、絶縁ガラスユニットの一部として処理することができる。図5は、本開示の実施形態による、絶縁グレージングユニット500の概略図である。絶縁ガラスユニット500は、第1のパネル505と、第1のパネル505に結合された電気化学デバイス520と、第2のパネル510と、第1のパネル505と第2のパネル510との間のスペーサ515と、を含むことができる。第1のパネル505は、ガラスパネル、サファイアパネル、酸窒化アルミニウムパネル、またはスピネルパネルとすることができる。別の実施形態において、第1のパネルは、ポリアクリル酸化合物、ポリアルケン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリスルフィド、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、別の好適な透明ポリマー、または上述のコポリマーなどの、透明ポリマーを含むことができる。第1のパネル505は、可撓性であるか、またはそうでない場合がある。特定の実施形態において、第1のパネル505は、フロートガラスまたはホウケイ酸ガラスとすることができ、厚さ2mm~20mmの範囲の厚さを有することができる。第1のパネル505は、熱処理パネル、熱強化パネル、またはテンパーパネルとすることができる。一実施形態において、電気化学デバイス520は、第1のパネル505に結合される。別の実施形態において、電気化学デバイス520は、基板525上にあり、基板525は、第1のパネル505に結合される。一実施形態において、第1のパネル505と電気化学デバイス520との間に積層中間層530が配置され得る。一実施形態において、第1のパネル505と電気化学デバイス520を含む基板525との間に積層中間層530が配置され得る。電気化学デバイス520は、基板525の第1の側521とすることができ、積層中間層530は、基板の第2の側522に結合することができる。第1の側521は、第2の側522と平行で、かつその反対側とすることができる。
【0031】
第2のパネル510は、ガラスパネル、サファイアパネル、酸窒化アルミニウムパネル、またはスピネルパネルとすることができる。別の実施形態において、第2のパネルは、ポリアクリル酸化合物、ポリアルケン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリスルフィド、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、別の好適な透明ポリマー、または上述のコポリマーなどの、透明ポリマーを含むことができる。第2のパネルは、可撓性であるか、またはそうでない場合がある。特定の実施形態において、第2のパネル510は、フロートガラスまたはホウケイ酸ガラスとすることができ、厚さ5mm~30mmの範囲の厚さを有することができる。第2のパネル510は、熱処理パネル、熱強化パネル、またはテンパーパネルとすることができる。一実施形態において、第1のパネル505と第2のパネル510との間にスペーサ515があり得る。別の実施形態において、基板525と第2のパネル510との間にスペーサ515がある。さらに別の実施形態において、電気化学デバイス520と第2のパネル510との間にスペーサ515がある。
【0032】
別の実施形態において、絶縁ガラスユニット500は、追加の層をさらに含むことができる。絶縁ガラスユニット500は、第1のパネルと、第1のパネル505に結合された電気化学デバイス520と、第2のパネル510と、第1のパネル505と第2のパネル510との間のスペーサ515と、第3のパネルと、第1のパネル505と第2のパネル510との間の第2のスペーサと、を含むことができる。一実施形態において、電気化学デバイスは、基板上にあり得る。基板は、積層中間層を使用して第1のパネルに結合させることができる。第1のスペーサは、基板と第3のパネルとの間にあり得る。一実施形態において、基板は、一方の側で第1のパネルに結合され、他方の側で第3のパネルから離間されている。すなわち、第1のスペーサは、電気化学デバイスと第3のパネルとの間にあり得る。第2のスペーサは、第3のパネルと第2のパネルとの間にあり得る。そのような一実施形態において、第3のパネルは、第1のスペーサと第2のスペーサとの間にある。すなわち、第3のパネルは、第1の側で第1のスペーサに結合され、第1の側の反対側の第2の側で第2のスペーサに結合される。
【0033】
上記の、図で例示した実施形態は、長方形状のデバイスに限定されない。むしろ、説明および図は、デバイスの断面図を表すことのみを意味し、いかなる様態においても、そのようなデバイスの形状を限定することを意味しない。-例えば、デバイスは、長方形以外の形状(例えば、三角形構造、円形構造、円弧形構造など)で形成することができる。さらなる例の場合、デバイスは、三次元的(例えば、凸状、凹状など)に成形され得る。-
【0034】
多くの異なる態様および実施形態が可能である。それらの態様および実施形態のいくつかが以下に説明される。本明細書を読んだ後、当業者は、それらの態様および実施形態が例示にすぎず、本発明の範囲を限定しないことを理解するであろう。例示的な実施形態は、以下に列記したもののうちのいずれか1つ以上に従うことができる。
【0035】
実施形態1. 電気化学デバイスを形成する方法であって、方法は、基板および基板を覆うスタックを提供することを含むことができる。スタックは、基板の上の第1の透明導電層と、第1の透明導電層の上の陰極電気化学層と、エレクトロクロミック層の上の陽極電気化学層と、陽極電気化学層を覆う第2の透明導電層と、を含むことができる。本方法はまた、スタックの上に絶縁層を堆積させること、および第2の透明導電層の第1のパターンを決定することも含むことができる。第1のパターンは、第1の領域および第2の領域を含むことができる。第1の領域および第2の領域は、同じ材料とすることができる。本方法はまた、第1の領域から材料を除去することなく、第2の透明導電層の第1の領域をパターン化することも含むことができる。パターン化の後、第1の領域は、第1の抵抗率を有することができ、第2の領域は、第2の抵抗率を有することができる。
【0036】
実施形態2. 第2の透明導電層をパターン化して第1の抵抗率および第2の抵抗率を形成することが、基板を通してパターン化され得る、実施形態1に記載の方法。
【0037】
実施形態3. 第2の透明導電層をパターン化して第1の抵抗率および第2の抵抗率を形成することが、アクティブスタックを形成した後にパターン化され得る、実施形態1に記載の方法。
【0038】
実施形態4. 第2の透明導電層をパターン化することが、400nm~700nmの波形を有する短パルスレーザを使用することを含む、実施形態1に記載の方法。
【0039】
実施形態5. 短パルスレーザが、500nm~550nmの波長を有する、実施形態1に記載の方法。
【0040】
実施形態6. 短パルスレーザを、50フェムト秒~1秒の持続時間にわたって発射する、実施形態1に記載の方法。
【0041】
実施形態7. 第1の抵抗率が、第2の抵抗率よりも大きい、実施形態1に記載の方法。
【0042】
実施形態8. 第1の抵抗率が、15Ω/sq~100Ω/sqである、実施形態1に記載の方法。
【0043】
実施形態9. 基板が、ガラス、サファイア、酸窒化アルミニウム、スピネル、ポリアクリル酸化合物、ポリアルケン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリスルフィド、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、別の好適な透明ポリマー、上述のコポリマー、フロートガラス、ホウケイ酸ガラス、またはこれらの任意の組み合わせを含む、実施形態1に記載の方法。
【0044】
実施形態10. スタックが、陰極電気化学層と陽極電気化学層との間にイオン伝導層をさらに備える、実施形態1に記載の方法。
【0045】
実施形態11. イオン導電層が、リチウム、ナトリウム、水素、ジュウテリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム、酸化リチウム、Li2WO4、タングステン、ニッケル、炭酸リチウム、水酸化リチウム、過酸化リチウム、またはこれらの任意の組み合わせを含む、実施形態10に記載の方法。
【0046】
実施形態12. 陰極電気化学層が、エレクトロクロミック材料を含む、実施形態1に記載の方法。
【0047】
実施形態13. エレクトロクロミック材料が、WO3、V2O5、MoO3、Nb2O5、TiO2、CuO、Ni2O3、NiO、Ir2O3、Cr2O3、Co2O3、Mn2O3、混合酸化物(例えば、W-Mo酸化物、W-V酸化物)、リチウム、アルミニウム、ジルコニウム、リン、窒素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アスタチン、ホウ素、リチウムを含むもしくは含まないホウ酸塩、リチウムを含むもしくは含まない酸化タンタル、リチウムを含むもしくは含まないランタニド系材料、別のリチウム系セラミック材料、またはこれらの任意の組み合わせを含む、実施形態12に記載の方法。
【0048】
実施形態14. 第1の透明導電層が、酸化インジウム、酸化インジウムスズ、ドープ酸化インジウム、酸化スズ、ドープ酸化スズ、酸化亜鉛、ドープ酸化亜鉛、酸化ルテニウム、ドープ酸化ルテニウム、銀、金、銅、アルミニウム、およびこれらの任意の組み合わせを含む、実施形態1に記載の方法。
【0049】
実施形態15. 第2の透明導電層が、酸化インジウム、酸化インジウムスズ、ドープ酸化インジウム、酸化スズ、ドープ酸化スズ、酸化亜鉛、ドープ酸化亜鉛、酸化ルテニウム、ドープ酸化ルテニウム、およびこれらの任意の組み合わせを含む、実施形態1に記載の方法。
【0050】
実施形態16. 陽極電気化学層が、WO3、V2O5、MoO3、Nb2O5、TiO2、CuO、Ir2O3、Cr2O3、Co2O3、Mn2O3、Ta2O5、ZrO2、HfO2、Sb2O3、リチウムを含むもしくは含まないランタニド系材料、別のリチウム系セラミック材料、酸化ニッケル(NiO、Ni2O3、もしくは2つの組み合わせ)、およびLi、窒素、Na、H、もしくは別のイオン、任意のハロゲン、またはこれらの任意の組み合わせなどの、無機金属酸化物の電気化学的活性材料を含む、実施形態1に記載の方法。
【0051】
実施形態17. 第2の透明導電層をパターン化して第1の抵抗率および第2の抵抗率を形成することが、基板、第1の透明導電層、陰極電気化学層、および陽極電気化学層を通してパターン化される、実施形態1に記載の方法。
【0052】
実施形態18. 基板ならびに基板の上の第1の透明導電層、および第2の透明導電層を含む、電気化学デバイス。第2の透明導電層は、材料を含み、材料は、第1の抵抗率および第2の抵抗率を有する。電気化学デバイスはまた、第1の透明導電層と第2の透明導電層との間の陽極電気化学層、および第1の透明導電層と第2の透明導電層との間の陰極電気化学層も含むことができる。
【0053】
実施形態19. 材料が、第2の透明導電層から除去されない、実施形態18に記載の電気化学デバイス。
【0054】
実施形態20. 絶縁グレージングユニットは、第1のパネルおよび第1のパネルに結合された電気化学デバイスを含むことができる。電気化学デバイスは、基板および基板上に配置された第1の透明導電層を含むことができる。電気化学デバイスはまた、第1の透明導電層を覆う陰極電気化学層と、陰極電気化学層を覆う陽極電気化学層と、第2の透明導電層と、を含むことができる。第2の透明導電層は、材料を含み、材料は、第1の抵抗率および第2の抵抗率を有する。絶縁グレージングユニットはまた、第2のパネルおよび第1のパネルと第2のパネルとの間に配置されたスペーサ枠も含むことができる。
【0055】
実施形態21. 電気化学デバイスが、第1のパネルと第2のパネルとの間にある、実施形態20に記載の絶縁グレージングユニット。
【実施例
【0056】
実施例は、パターン化された層のない他の電気化学デバイスと比較したときの、パターン化された透明導電層を有する電気化学デバイスの性能を実証するために提供される。以下の様々な実施例について、上記の様々な実施形態に従ってサンプル1(S1)を形成した。比較試料のサンプル2(S2)は、パターン化された透明導電層のない一実施形態であると理解される。
【0057】
図6は、様々なサンプルS1およびS2の保持電圧のグラフである。図6の例示は、サンプルが透明から淡色に移行するときの保持電圧でのサンプルを示す。図5で分かるように、S1は、均一なパターンを有し、一方で、S2は、変化するパターンである。S1サンプルの場合、保持中の中央から縁部への違いは、80%を超えて低減された。S2サンプルは、様々な透過状態を有する。S1サンプルは、均一な透過状態を有する。
【0058】
上記の一般的な説明または例で説明した機能の全てが必要なわけではなく、特定の機能の一部が必要でない場合があり、説明した機能に加えて1つ以上のさらなる機能を実施することができることに留意されたい。さらにまた、機能が列記される順序は、必ずしも実施される順序ではない。
【0059】
明確にするために、本明細書で別々の実施形態の文脈で説明されている特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供することもできる。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で説明されている様々な特徴は、別々にまたは任意の副組み合わせで提供することもできる。さらに、範囲で述べられた値への言及は、その範囲内のありとあらゆる値を含む。
【0060】
利益、他の利点、および問題に対する解決策は、特定の実施形態に関して上で説明されている。しかしながら、利益、利点、問題に対する解決策、および任意の利益、利点、もしくは解決策が発生またはより顕著になる可能性のある任意の特徴(複数可)は、いずれかまたは全ての特許請求の重要な、必須の、または本質的な特徴として解釈されるべきではない。
【0061】
本明細書に記載の実施形態の明細書および例示は、様々な実施形態の構造の一般的な理解を提供することを意図している。明細書および例示は、本明細書に記載の構造または方法を使用する装置およびシステムの全ての要素および特徴の網羅的かつ包括的な説明として役立つことを意図するものではない。別々の実施形態はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよく、逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明されている様々な特徴もまた、別々にまたは任意の副組み合わせで提供されてもよい。さらに、範囲で述べられた値への言及は、その範囲内のありとあらゆる値を含む。本明細書を読んだだけで、他の多くの実施形態が当業者には明らかであろう。本開示の範囲から逸脱することなく、構造的置換、論理的置換、または別の変更を行うことができるように、本開示から他の実施形態を使用して導き出すことができる。したがって、本開示は限定的ではなく例示的とみなされるべきである。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3
図4A
図4B
図5
図6
【国際調査報告】