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特表2022-507748超音波センサのダイアフラムの状態を判定するための方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】超音波センサのダイアフラムの状態を判定するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/52 20060101AFI20220111BHJP
   G01S 15/931 20200101ALI20220111BHJP
【FI】
G01S7/52 U
G01S15/931
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021527231
(86)(22)【出願日】2019-11-07
(85)【翻訳文提出日】2021-07-09
(86)【国際出願番号】 EP2019080457
(87)【国際公開番号】W WO2020104195
(87)【国際公開日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】102018129044.6
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508108903
【氏名又は名称】ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100217836
【弁理士】
【氏名又は名称】合田 幸平
(72)【発明者】
【氏名】マクシミリアン、ペッペルル
(72)【発明者】
【氏名】ラグハベンドラ、グラグンディ
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン、ハーク
(72)【発明者】
【氏名】バスティアン、ハフナー
【テーマコード(参考)】
5J083
【Fターム(参考)】
5J083AA02
5J083AB13
5J083AC26
5J083AF08
5J083BA12
5J083BB11
5J083BE14
5J083BE21
5J083CA01
5J083CB01
(57)【要約】
本発明は、動作中に超音波センサ(10)のダイアフラム(20)の状態を判定し得る方法および解析システムを提案する。超音波センサ(10)のダイアフラム(20)を、所定の第1周波数プロファイルにある第1励起信号で励起させる。これに基づいて、第1励起信号の周波数(F)に依存する第1電圧プロファイル(29)を測定する。同様に、第2励起信号をダイアフラム(20)に印加し、次いで測定を実施することにより、第2電圧プロファイル(31)を測定する。これら2つの電圧プロファイル(29、31)の最大値(M1、M2)のそれぞれの位置が、所定の周波数範囲(F’)において互いにマッチするように、これら2つの電圧プロファイルをシフトさせる。シフトさせた第1および第2電圧プロファイル(29’、31’)の間で延びる第3電圧プロファイル(30)を決定する。第3電圧プロファイル(30)に基づいて、ダイアフラム(20)の状態を判定するように、ダイアフラム(20)の連続励起モデルによって電気的パラメータ(R、R、C、C、L、L)を決定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波センサ(10)の動作中に、前記超音波センサ(10)のダイアフラム(20)の状態を判定するための方法であって、
a)所定の第1周波数プロファイルにある第1励起信号(29)を、前記超音波センサ(10)の前記ダイアフラム(20)に印加するステップと、
b)前記第1励起信号により生じた第1電圧プロファイル(29)を、前記第1励起信号の周波数(F)の関数として測定するステップと、
を実施し、
さらに、
c)前記第1周波数プロファイルと異なる所定の第2周波数プロファイルを有する第2励起信号を、前記超音波センサ(10)の前記ダイアフラム(20)に印加するステップと、
d)前記第2励起信号により生じた第2電圧プロファイル(31)を、前記第2励起信号の周波数(F)の関数として測定するステップと、
e)前記第1電圧プロファイル(29)を第1方向(R1)に一定量だけシフトさせるとともに、前記第2電圧プロファイル(31)を第2方向(R2)に同量だけシフトさせることで、2つの前記電圧プロファイルの最大値(M1、M2)のそれぞれの位置を、所定の周波数範囲において互いにマッチさせるステップと、
f)ステップe)からの前記第1電圧プロファイル(29)と前記第2電圧プロファイル(31)との間で延びる第3電圧プロファイル(30)を決定するステップと、
g)前記ダイアフラム(20)の連続励起モデルの少なくとも1つの電気的パラメータを決定し、少なくとも1つのパラメータを少なくとも1つの所定の基準パラメータと比較することにより、前記ダイアフラム(20)の状態を判定するステップと、
を特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1励起信号(29)は、ダウンチャープ信号の形態をとり、前記第2励起信号(31)は、アップチャープ信号の形態をとる、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ダイアフラム(20)の状態は、追加的または代替的に、少なくとも1つの前記パラメータとしての前記第3電圧プロファイル(30)の共振周波数と、前記所定の基準パラメータとしての所定の共振周波数との比較に基づいて判定される、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ダイアフラム(20)の前記連続励起モデルは、前記モデルの前記電気的パラメータとして、並列回路における第1抵抗(R)、第1インダクタンス(L)、および第1キャパシタンス(C)と、直列回路における第2抵抗(R)、第2インダクタンス(L)、および第2キャパシタンス(C)と、を有する、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
基準パラメータは、前記ダイアフラム(20)の所定の状態に対して予め定義され、
前記ダイアフラム(20)の状態を判定するために、前記モデルの厳密に1つの電気的パラメータであって、その対応する基準パラメータから最大の偏差を有する電気的パラメータが、対応する前記基準パラメータと比較される、
請求項1~4の一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ダイアフラム(20)の前記所定の状態は、前記ダイアフラム(20)が氷または汚染物質で覆われていることを意味する、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ダイアフラム(20)の前記所定の状態は、前記ダイアフラム(20)の温度を意味する、
請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記ダイアフラム(20)の状態を定量的に判定するために、少なくとも1つの決定された前記電気的パラメータに基づいて、前記ダイアフラム(20)の覆われている程度および/または汚れの程度が測定される、
請求項1~7の一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ダイアフラム(20)が損傷している、または汚れている場合、警告信号が生成される、
請求項1~8の一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第3電圧プロファイル(30)は、ステップf)において、前記第1および第2電圧プロファイル(29、31)を平均化することにより決定される、
請求項1~9の一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップe)において、前記電圧プロファイル(29、31)をシフトさせるとき、前記第1方向(R1)は前記第2方向(R2)と反対である、
請求項1~10の一項に記載の方法。
【請求項12】
-ダイアフラム(20)を有する超音波センサ(10)と、
-前記超音波センサ(20)の前記ダイアフラム(20)を励起するための第1励起信号(29)および第2励起信号(31)を生成するための信号生成ユニット(12)と、
-請求項1~11の一項に記載の方法を実施するように設計された評価ユニット(14)と、
を有する自動車(16)用の解析システム。
【請求項13】
前記第1励起信号(29)は、ダウンチャープ信号の形態をとり、前記第2励起信号(31)は、アップチャープ信号の形態をとる、
請求項12に記載の解析システム。
【請求項14】
請求項12または13に記載の解析システムを有する車両支援システム。
【請求項15】
プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品であって、前記プログラムコード手段は、当該コンピュータプログラム製品が電子評価ユニットのプロセッサで実行されるとき、請求項1~11の一項に記載の方法を実施するように、コンピュータ可読媒体に格納される、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波センサの動作中に、超音波センサのダイアフラムの状態を判定するための方法に関する。また、本発明は、ダイアフラムを有する超音波センサを有する自動車用の解析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波センサは、自動車の環境に関する情報を得るように自動車で多く使用される。多くの場合種々の態様で位相変調された超音波が使用される。一般的な位相変調は、バイナリ位相シフトである。これは、180度の位相シフトである。これにより厳密に2つの状態をコード化できるため、この位相シフトは、バイナリ位相シフト(BPSK)としばしば称される。原則として、伝送プロセスのどの時点においても、すべての周波数スペクトルが使用される。したがって、伝送スペクトルには異なる周波数が混在しているため、ある時点を特定の周波数に割り当てることはできない。
【0003】
多くの超音波センサはダイアフラムを有している。ダイアフラムの挙動は、通常、励起信号の周波数に大きく依存する。また、このダイアフラムの挙動は、ダイアフラムの種々の状態に強く影響される。これらの状態とは、例えば、ダイアフラムが氷や汚染物質で覆われていたり、ダイアフラムの温度が異なっていたりすることである。超音波センサのダイアフラムの挙動をより正確に予測するために、追加のセンサがよく使用される。このような追加のセンサは、通常、超音波センサと異なる場所に設置されるため、センサデータが局所的に発散することがあるという欠点がある。
【0004】
公開された特許出願DE10 2014 201 482 A1は、インピーダンスエンベロープ曲線を評価することにより超音波トランスデューサの故障を検出するための方法および装置を記載している。本例では、励起信号が超音波トランスデューサに印加され、超音波トランスデューサのインピーダンスを表すインピーダンス信号が測定される。インピーダンスエンベロープ曲線がインピーダンス信号から生成され、基準エンベロープ曲線と比較される。インピーダンスエンベロープ曲線が基準エンベロープ曲線と一致しない場合、故障が検出される。
【0005】
特許明細書DE 10 2009 040 992 B4は、超音波センサの氷結や汚れを検出するための方法を記載している。本例では、超音波センサのダイアフラムを、所定の励起周波数の超音波で励起させる。そして、この励起の減衰周波数を観察する。励起周波数と減衰周波数とを比較することで、ダイアフラムの氷結および/または汚れを推定する。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、超音波センサのダイアフラムの状態をより効率的に判定することである。
【0007】
この目的は、本出願の独立特許請求項により達成される。有意義な展開例は、従属請求項から生じる。
【0008】
本発明は、超音波センサの動作中に、超音波センサのダイアフラムの状態を判定するための方法を提供する。「超音波センサの動作」という用語は、特に伝送動作を意味する。したがって、「超音波センサの動作」という用語は、好適には、超音波センサの伝送を意味する。超音波センサによる超音波の能動的な発信は、超音波センサの動作に向けたものである。多くの場合、超音波センサまたは超音波センサのダイアフラムが汚れているか、または氷で覆われているかを検出しなければならない。このような状態は、ブロック状態と称されることも多い。つまり、本発明は、特に超音波センサのダイアフラムのブロック状態を検出するために使用され得る。
【0009】
理想的には、これらの状態を検出するだけでなく、定量的に判定すべきである。最初に、ステップa)において、所定の第1周波数プロファイルにある第1励起信号を、超音波センサのダイアフラムに印加する。一般に、所定の第1周波数プロファイルは、一定ではない。しかしながら、第1励起信号の場合には、第1励起信号のそれぞれの周波数は、特に各時点で固定される。例えば、第1周波数プロファイルは、高周波数で開始し得るとともに、低周波数で終了し得る。この周波数範囲が均等または直線的である場合、これをダウンチャープ信号ということができる。好適には、単調に上昇または下降する周波数プロファイルが第1励起信号に選択される。これは、第1励起信号の第1周波数プロファイルは、好適には周波数が一方向のみの変化を有するということを意味する。したがって、理想的には、第1励起信号は、周波数変化の方向的な変化を含まない。例えば、第1励起信号は、最初に上昇し、その後プロファイルの後期に再び下降する周波数プロファイルであり得る。
【0010】
ステップb)において、第1励起信号により生じた第1電圧プロファイルを、第1励起信号の周波数の関数として測定する。原則として、第1励起信号は、超音波センサのダイアフラムを振動させる。ダイアフラムのこの振動は、対応する電圧降下または誘導電圧により記録され得る。各時点で異なる電圧が測定されるため、電圧信号を測定すると、第1電圧プロファイルが得られる。したがって、第1電圧プロファイルは、特に異なるタイミングにおける多数の個別の電圧測定値に対応する。したがって、ステップb)において、特に、第1励起信号の印加に対するダイアフラムの反応が測定される。この第1励起信号の印加に対するダイアフラムの反応は、第1電圧プロファイルにより表され得る。したがって、第1電圧プロファイルを、ダイアフラムの反応挙動の指標として使用することができる。
【0011】
ステップc)において、第1周波数プロファイルと異なる第2周波数プロファイルを有する第2励起信号を、超音波センサのダイアフラムに印加する。したがって、第1周波数プロファイルは、第2周波数プロファイルと異なる。ステップa)に関する記述は、ステップc)にも同様に適用される。第1励起信号は、好適には、第2励起信号と異なる。第1周波数範囲は、第2周波数範囲と一致し得る。周波数範囲は、通常、最小周波数および最大周波数により決まる。しかしながら、特に周波数範囲を異なる範囲とすることも可能である。例えば、第1周波数プロファイルは、下降する周波数プロファイルを表し得るとともに、第2周波数プロファイルは、上昇する周波数プロファイルを表し得る。これは、特にチャープ信号の場合に当てはまる。チャープ信号とは、信号処理技術からの用語である。チャープ信号は、通常、その周波数が時間とともに変化する信号を指す。正のチャープ信号と負のチャープ信号とに区別することができる。正のチャープ信号の場合、信号の周波数は時間とともに増加する。負のチャープ信号の場合、信号の周波数は時間とともに減少する。周波数の増加または周波数の減少は、直線的または指数的であり得る。正のチャープ信号は、周波数が時間とともに常に増加するため、アップチャープと称されることが多い。これに対応して、負のチャープ信号は、その周波数プロファイルが絶えず減少するため、ダウンチャープと称される。したがって、アップチャープ信号は、好適には、ダウンチャープ信号とは反対方向に実現される。特に、アップチャープ信号は、対応するダウンチャープ信号と同一の周波数ポイントを有している。具体的には、アップチャープ信号は、ダウンチャープ信号に対して点対称になるように設計され得る。本例において、アップチャープ信号は、低周波数から高周波数になる。したがって、対応するダウンチャープ信号は、同一の高周波数から同一の低周波数になり得る。それぞれの周波数プロファイルは、特に、対応するアップチャープ信号またはダウンチャープ信号のものに類似しており、この場合、異なる周波数変化を考慮する必要がある。
【0012】
特に、第1励起信号の第1周波数プロファイルは、第2励起信号の第2周波数プロファイルと異なる。2つの励起信号は、好適には異なるタイミングで使用される。つまり、第1および第2励起信号は、好適には、超音波センサのダイアフラムに同時に印加されない。理想的には、第1励起信号は、第2励起信号に対してタイミング的にシフトしている。2つの励起信号は、好適には、これを超えるさらなる差異を有する。とりわけ、異なる周波数プロファイルが挙げられる。
【0013】
チャープ信号という用語に代えて、「掃引(sweep)」という用語も文献では多く使用される。掃引とは、一定の振幅を有する信号であって、その周波数が所定の範囲において周期的および連続的に変わる信号であり得る。アップチャープ信号やダウンチャープ信号と異なり、掃引信号では、周波数変化の方向が変わり得る。したがって、例えば、掃引信号においては、周波数が所定のサブ領域で増加し得るとともに、励起信号の周波数が他の所定のサブ領域では減少し得る。このように、励起信号は、さまざまに設計することができる。励起信号は、掃引信号、アップチャープ信号、ダウンチャープ信号、または最も単純なケースでは、一定の励起信号としての形態をとり得る。本発明の文脈では、アップチャープ信号および/またはダウンチャープ信号が好適に使用される。
【0014】
第1および/または第2励起信号は、周波数変調された信号であり得る。2つの励起信号は、周期信号または正弦波信号であり得る。第1周波数プロファイルは、第2周波数プロファイルと同一ではない。例えば、第1励起信号は、ステップ関数として設計され得る。各ステップは、異なる周波数を表すことができる。ステップ関数は、増加、減少、またはこれら2つの可能な組み合わせであり得る。第1励起信号に関する周波数プロファイルは、線形、二次、および/または指数であり得る。例えば、第1励起信号がアップチャープとして設計される場合、第1励起信号の周波数は、時間とともに増加する。ただし、この増加は、異なる形態をとり得る。増加は、線形増加、二次増加、指数関数的増加、および/またはその他の増加であり得る。ダウンチャープ信号についても同様である。しかしながら、第1励起信号が純粋なアップチャープ信号またはダウンチャープ信号の形態でない場合もある。この場合、第1励起信号の周波数は、所定の第1時間間隔で時間とともに増加し得る。第1励起信号の周波数は、別の所定の第2時間間隔で減少しうる。例えば、第1励起信号は、連続する上昇周波数領域および下降周波数範囲を有し得る。このような第1励起信号は、三角励起を可能にし得る。最も単純なケースでは、第1励起信号は、一定の周波数の信号とすることができる。アップチャープ信号またはダウンチャープ信号が、好適には、第1または第2励起信号として使用される。第1励起信号に関する本段落の記述は、第2励起信号にも同様に適用される。
【0015】
ステップd)において、第2電圧プロファイルを、第2励起信号の周波数を関数として測定する。第2電圧プロファイルは、第2励起信号により生じたものである。ステップb)についての同一事項が同様にステップd)に適用される。したがって、ステップb)の実施後、一般に2つの異なる電圧プロファイルが存在する。これら2つの電圧プロファイルは、次いで、ダイアフラムの状態を判定するように評価される。
【0016】
この目的のために、ステップe)において、第1電圧プロファイルを第1方向に一定量だけシフトさせる。同様に、第2電圧プロファイルを第2方向に同量だけシフトさせることにより、2つの電圧プロファイルの最大値のそれぞれの位置を、所定の周波数範囲において互いにマッチ(マッチング)させる。「マッチ」という用語は、必ずしも2つの最大値が厳密に一致または合致することを意味するものではない。ステップe)でのマッチング後、最大値間の距離が、所定の許容値を越えなければよい。2つの最大値間の距離は、特にユークリッド距離の形で表され得る。したがって、第1電圧プロファイルおよび第2電圧プロファイルをシフトさせることにより、ステップe)において、第1所定周波数範囲にある第1電圧プロファイルの第1最大値が、第2所定周波数範囲にある第2電圧プロファイルの第2最大値とマッチすることになる。これら2つの最大値は、特にステップe)により互いに近づけられる。理想的には、このマッチングにより、2つの最大値は一点で合流する。
【0017】
ステップf)において、ステップe)からの第1電圧プロファイルと第2電圧プロファイルとの間で延びる第3電圧プロファイルを決定する。ステップf)以降の第1および第2電圧プロファイルは、好適には、ステップe)でのシフトに起因する電圧プロファイルを指すように使用される。シフトさせた第1電圧プロファイルは、好適には、第1方向に一定量だけシフトさせた第1電圧プロファイルから生じる。ステップf)に関する電圧プロファイルの説明は、ステップe)から生じたシフトさせた電圧プロファイルのことを意味する。同様に、シフトさせた第2電圧プロファイルは、第2電圧プロファイルを第2方向に同量だけシフトまたは平行移動させた結果として生じる。特に、2つのシフトさせた電圧ファイルを異なった態様で重み付けできることが想定され得る。これは、例えば異なる重み付け係数により実現され得る。原則として、重み付け係数を電圧プロファイルをシフトさせる前に使用するか、シフトさせた後に使用するかは重要ではない。例えば、第1電圧プロファイルに第2電圧プロファイルより高い重み付けをする場合には、第1電圧プロファイルに対して第2電圧プロファイルより大きい重み付け係数が選択され得る。理想的には、2つの電圧プロファイルに対する両重み付け係数の合計を100パーセントにする。特に、第3電圧プロファイルが、第1および第2電圧プロファイル(シフト後の電圧プロファイル)に関する中央値に一致することが想定され得る。
【0018】
ステップg)において、ダイアフラムの状態を判定する。これは、例えば、ダイアフラムの連続励起モデルの少なくとも1つの電気的パラメータを決定することによりなされる。また、少なくとも1つの電気的パラメータを、少なくとも1つの所定の基準パラメータと比較する。電気的パラメータとして、例えば、実効抵抗、実効キャパシタンス、または実効インダクタンスが考えられる。ステップg)では、ダイアフラムの挙動が、ダイアフラムの連続励起モデルを用いて説明される。このモデルは、特に、ダイアフラムが一定の周波数の励起信号で励起されることを前提としている。このモデルは、等価回路図を用いて説明される。多くの場合、1つのパラメータのみをその対応する基準パラメータと比較すれば十分である。原則として、この1つのパラメータは、その所定の基準パラメータから最大の偏差を呈するパラメータである。所定の基準パラメータは、特にダイアフラムの所定の状態を表す。これらの基準パラメータは、好適には、基準測定から得られる。本例において、これらの基準測定は、本方法の文脈において後に判定されるダイアフラムの状態について実施される。例えば、ダイアフラムが氷で覆われた状態の基準測定が実施され得る。
【0019】
このようにして得られた基準パラメータを、ステップg)で使用してダイアフラムの状態を判定することができる。他の基準測定には、例えばダイアフラムのブロック状態が含まれ得る。したがって、所定程度の汚れを有するダイアフラムの状態の基準測定が事前に実施されていてもよい。このようにして得られた基準パラメータを、ステップg)で使用してダイアフラムが汚れているかどうかを判定することができる。理想的には、ステップg)での比較によって、汚れそのものだけでなく、汚れの程度もさらに判定され得る。つまり、ステップg)において、ダイアフラムの状態が定量的に判定され得る。したがって、ステップg)において、ダイアフラムの状態について、二値的な区別の判定だけでなく、定量的な判定をすることができる。本方法は、個々の超音波センサ毎に別個に利用することができる。したがって、どの超音波センサが損傷しているか、または現在動作していないかを、安全かつ確実に検出することができる。
【0020】
また、損傷のタイプを判定することもできる。例えば、ダイアフラムが氷で覆われていることが検出されたとき、この場合には、超音波センサが将来的により高い温度で再び作動させ得ることが予測できる。しかし、ステップg)での比較により、ダイアフラムが損傷または故障していることが判明した場合には、当該センサがもう永久に使用できないということが明瞭になる。理想的には、ダイアフラムの状態を非常に正確に判定することで、当該超音波センサの故障を予測することも可能になる。このようにして、どの超音波センサを交換すべきか、または将来どの超音波センサを何個必要すべきかを迅速に検出することができる。
【0021】
本方法の別の実施形態は、第1励起信号がダウンチャープ信号の形態をとり、第2励起信号がアップチャープ信号の形態をとることを提供する。周波数が時間とともに変化する信号は、チャープ信号と呼ばれる。アップチャープでは、周波数は時間とともに増加する。ダウンチャープでは、周波数は時間とともに減少する。第1励起信号は、具体的には電気信号である。理論的には、第1励起信号は、音響信号でもよい。ただし、原則として、超音波センサまたはそのダイアフラムは、電気信号で制御される。例えば、ピエゾ技術に基づくアクチュエータがこの目的のために使用され得る。多くの場合、ピエゾ素子は、音響トランスデューサ素子と一体化した部品であるため、診断の対象でもある。つまり、ほとんどの場合、ダイアフラムは単独では考慮されない。通常、ピエゾ素子のような関連部品が、同様に解析に含まれる。ピエゾ素子は、ダイアフラムに属する部品を意味すると理解される。ピエゾ素子の状態変化は、ダイアフラムの状態の判定に同様に含まれる。ほとんどの場合、ピエゾ素子は、外部の励起源であるとは考えられない。ピエゾ素子は、電気信号によってダイアフラムを励起させ得る。電気信号が、好適には励起信号として使用される。第2励起信号も同様である。アップチャープ信号は、通常、周波数が時間とともに増加する信号である。この周波数の増加は様々であり得る。例えば、周波数は、時間とともに単調に増加し得る。これに代えて、周波数は、指数関数的に増加してもよい。また異なるタイプの増加の組み合わせ、すなわち、指数関数的増加と線形増加の混合も可能である。換言すれば、アップチャープ信号の場合の周波数プロファイルの一次導関数は、好適にはゼロより常に大きい。ダウンチャープ信号の場合、一次導関数は、通常、常にゼロより小さい。ダイアフラムの挙動は、特にチャープ方向に依存する。チャープ方向とは、具体的には、周波数プロファイルの一次導関数の符号を意味する。したがって、チャープ方向は、チャープ信号の周波数が時間とともに増加するか減少するかを示す。ダイアフラムの減衰挙動はチャープ方向に依存するため、好適にはアップチャープ信号およびダウンチャープ信号が使用される。したがって、ダイアフラムの状態の判定に際して、異なるダイアフラムの減衰挙動を考慮することができる状況を達成することができる。これにより、ダイアフラムの状態をより正確に解析することができる。
【0022】
本発明の別の変形例は、ダイアフラムの状態が、追加的または代替的に、少なくとも1つのパラメータとしての第3電圧プロファイルの共振周波数と、所定の基準パラメータとしての所定の共振周波数との比較に基づいて判定されることを提供する。したがって、連続励起モデルの少なくとも1つの電気的パラメータを決定することに代えて、この変形例は、第3電圧プロファイルの共振周波数が、所定の基準共振周波数と比較されることを提供する。ダイアフラムの状態は、この比較に基づいて判定され得る。本例において、所定の共振周波数は、ダイアフラムの所定の状態を表す。決定された共振周波数がこの所定の共振周波数から逸脱している場合、ダイアフラムの状態をこれに基づいて導き出すことができる。ダイアフラムの定量的な状態も、好適には逸脱の程度から判定することができる。例えば、氷で覆われている場合、ダイアフラム上にどれくらいの氷があるかを判定することができる。特に、共振周波数は、所定の周波数範囲における第3電圧プロファイルの最小値により定義される。
【0023】
本発明の別の変形例は、ダイアフラムの連続励起モデルが、モデルの電気的パラメータとして、並列回路における第1抵抗、第1インダクタンス、および第1キャパシタンスと、直列回路における第2抵抗、第2インダクタンス、および第2キャパシタンスと、を有することを提供する。具体的には、以下の式が使用される。
【数1】
【0024】
式1において、iは複合単位を表す。Zは、電圧または電圧に基づく変数として解釈される。ここで、Zは、多くの場合、ダイアフラムのインピーダンスを意味する。wは、第3電圧プロファイルの角周波数を表す。Rは第1抵抗、Lは第1インダクタンスを表し、第1キャパシタンスは変数Cで表されている。等価回路図では、これらのパラメータは、並列回路の要素として理解され得る。パラメータRは第2抵抗、Lは第2インダクタンス、Cは第2キャパシタンスを表す。これらのパラメータは、好適には、等価回路図の直列回路で組み合わされる。したがって、式1には厳密に6個の電気的パラメータが含まれる。これらの電気的パラメータを、所定の他の基準パラメータと比較することができる。特に、6個の電気的パラメータと、さらに他の6個の所定電気的パラメータとの間のユークリッド距離を決定することが想定され得る。このユークリッド距離は、その後、ダイアフラムの状態を判定するための状態変数として使用することができる。特に、電気的パラメータと所定の電気的パラメータとの間のユークリッド距離が、所定の許容値を超えているか、あるいは下回っているかを調べることができる。この距離が許容値を超えている場合、ダイアフラムのブロック状態が検出され得る。また、電気的パラメータを利用して、ダイアフラムの温度を測定することもできる。
【0025】
本発明の他の変形例は、基準パラメータがダイアフラムの所定の状態に対して予め定義されるとともに、ダイアフラムの状態を判定するために、モデルの厳密に1つの電気的パラメータであって、その対応する基準パラメータから最大の偏差を有する電気的パラメータが、対応する基準パラメータと比較されることを提供する。本例において、単一の電気パラメータのみが、対応する厳密に1つの基準パラメータと比較される。正確には、対応する基準パラメータから最大偏差または最大距離を有する電気的パラメータが、比較に使用される。これにより比較プロセスが単純化されるため、本方法を迅速にできる。これは、例えば、ある所定の状態を調べる場合に有用である。例えば、超音波センサが氷で覆われているかどうかだけを調べる場合、モデルのある電気的パラメータ、または厳密に1つの電気的パラメータしか影響を受けないようにすることができる。この場合、この電気的パラメータだけに注目すればよい。したがって、比較を当該1つの電気パラメータのみに限定することができる。超音波センサの状態判定のための解析が単純化され得るともに迅速にされ得る。
【0026】
本発明の別の変形例は、ダイアフラムの所定の状態が、ダイアフラムが氷または汚染物質で覆われていることを意味することを提供する。本例において、所定の状態は定義されている。特に、それらは事前に定義または規定されている。これは、特に、これらの定義された状態についての基準データまたは基準測定値が存在することを意味する。ステップg)から決定された電気的パラメータとの比較は、これらの基準測定値または基準パラメータに基づいてなされ得る。つまり、例えば、氷で覆われたダイアフラムの様々な程度についての複数の基準パラメータが存在し得る。ステップg)で電気的パラメータが決定された場合、これらを、既存の所定の基準パラメータと比較することができる。この比較により、ダイアフラムが氷で覆われているかどうかを判定することができる。氷で覆われた状態についての種々の程度に対する複数の基準パラメータが存在する場合、ダイアフラムにどれくらいの氷が張っているかを判定することもできる。汚染物質が付着したダイアフラムについても同様の手順が可能である。このようにして、ダイアフラムが汚れているかどうかだけでなく、ダイアフラムがどれくらい汚れているかをも提示することができる。したがって、汚れの程度を判定することができる。同様に、ダイアフラムが氷で覆われている程度を同様の態様で判定することができる。
【0027】
本発明の別の変形例は、ダイアフラムの所定の状態がダイアフラムの温度を意味することを提供する。ダイアフラムのブロック状態を解析することに代えて、本変形例は、ダイアフラムの温度を判定することを提供し得る。例えば、超音波センサがその許容温度範囲外で動作すると、その測定結果が不確かなものとして分類され得る。ドライバーは、超音波センサによる信頼性のない測定を、対応する警告メッセージによって報知され得る。
【0028】
本発明の別の変形例は、ダイアフラムの状態を定量的に判定するように、少なくとも1つの決定された電気的パラメータに基づいて、ダイアフラムの覆われている程度および/または汚れの程度が測定されることを提供する。これは、特に、複数の所定の状態に対する複数の基準パラメータが存在し得るという事実により達成される。したがって、ステップg)において、ダイアフラムが汚れている、損傷している、または氷で覆われているかどうかを判定するだけでなく、損傷または汚れの度合いも判定することができる。したがって、ダイアフラムが氷で覆われている場合、ダイアフラム上の氷の層がどれくらいの厚さであるかを提示することができる。また、ダイアフラム上の汚れの層がどれくらいの厚さであるかを測定することもできる。任意の状況において、ダイアフラム上の氷のプロファイルを測定することもできる。
【0029】
本発明の別の変形例は、ダイアフラムが損傷している、または汚れている場合、警告信号が生成されることを提供する。超音波センサのダイアフラムが損傷したり汚れていたりすると、通常、その超音波センサの機能が損なわれる。これは、その測定または測定結果に信頼性がないかもしれないことを意味する。この場合、自動車のドライバーに信頼性のない超音波センサについて警告するのは当然である。警告信号は、光信号、触覚信号、および/または音響信号であり得る。これにより、自動車のドライバーは、どの超音波センサが正しく機能していないか、またはどの超音波センサが故障していて交換する必要があるかを把握できる。これにより、欠陥のある超音波センサを探す必要がなくなるため、迅速な修理が可能となる。
【0030】
本発明の別の変形例は、第3電圧プロファイルが、ステップf)において、第1および第2電圧プロファイルを平均化することにより決定されることを提供する。平均化は、好適には、ステップe)からのシフトさせた電圧プロファイルに基づいて実施される。つまり、具体的には、ステップf)において、第1および第2電圧プロファイルをシフトさせることから生じたそれぞれの電圧プロファイルを指す。第3電圧プロファイルは、好適には、シフトさせた第1電圧プロファイルとシフトさせた第2電圧プロファイルとの間で延びる。ただし、本変形例において、電圧プロファイルが2つのシフトさせた電圧ファイル間の厳密に中央に配置されることが想定可能である。したがって、アップチャープ信号およびダウンチャープ信号が均等に重み付けされるという状況を達成することができる。しかしながら、これら2つの異なる励起信号を、対象を絞った異なる態様で、異なる重み付け係数を用いて重み付けすることも可能である。したがって、本変形例は、重み付け係数を有する平均化ステップも含む。しかし、好適には、値ゼロを前提とする重み付け係数はない。
【0031】
本発明の別の変形例は、ステップe)において、電圧プロファイルをシフトさせるとき、前記第1方向が前記第2方向と反対であることを提供する。具体的には、第1方向は、第2方向と正反対である。第1方向は、これを180度回転させることで第2方向に変換され得る。特に、第1および第2方向は水平であり得る。このようにして、本方法のさらに先の過程で、周波数の歪みが生じないことが保証され得る。したがって、超音波センサの状態をより確実に判定することができる。
【0032】
また、本出願は、自動車用の解析システムを提供する。この解析システムは、ダイアフラムを有する超音波センサを有する。また、解析システムは、超音波センサのダイアフラムを励起するための第1励起信号および第2励起信号を生成するための信号生成ユニットを含む。さらに、解析システムは、上述の変形例または実施例のうちの1つによる方法を実施するように設計された評価ユニットを有する。ここまで説明し記載してきた変形例、実施例、および利点は、解析システムにも同様に適用される。
【0033】
別の実施形態は、第1励起信号がダウンチャープ信号の形態をとり、第2励起信号がアップチャープ信号の形態をとる解析システムを提供する。ダウンチャープ信号およびアップチャープ信号についての上述の例および定義が、本発明の本変形例にも同様に適用される。これら2つの励起信号は、好適には、信号生成ユニットにより生成される。これは、超音波センサのダイアフラムが異なった態様で励起され得ることを意味する。どちらのチャープ信号が使用されるかに応じて、ダイアフラムの異なる状態を検出することができる。例えば、特定のチャープ信号が、ダイアフラムの温度分析のために提供され得る。このようにして、ダイアフラムの任意の状態を、的を絞って調べることができる。したがって、ダイアフラムのニーズに応じた解析システムを構築し使用することができる。
【0034】
本発明の別の変形例は、解析システムを有する車両支援システムを提供する。このようにして、超音波センサのそれぞれの状態が、車両支援システム内で判定され得る。この情報は、車両支援システムにおいて、他の解析システムからの他の追加的な情報とまとめることができる。したがって、解析システムは、超音波センサの状態に関する重要な情報を決定し、これを車両支援システムで利用可能とすることができる。
【0035】
本出願の文脈において、車両支援システムを有する自動車も提案される。それぞれの超音波センサの状態に関する情報に基づいて、自動車の操作をより安全、かつより効率的に設計することができる。
【0036】
また、本出願は、プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品であって、前記プログラムコード手段は、当該コンピュータプログラム製品が電子評価ユニットのプロセッサで実行されるとき、上述の変形例のうちの1つによる方法を実施するように、コンピュータ可読媒体に格納されるコンピュータプログラム製品を提案する。このコンピュータプログラム製品は、自動車の車載電子機器に組み込むことができる。したがって、ダイアフラムの状態を判定するために別個のデジタル資源を設けることは絶対に必要ではない。
【0037】
信号発生ユニットは、ピエゾ・アクチュエータまたはピエゾ素子の形態をとり得る。原則として、第1励起信号は第2励起信号と異なるように構成される。具体的には、第1励起信号の周波数は、第2励起信号の周波数と異なり得る。これは、振幅や位相でも同様である。したがって、第1励起信号は、第2励起信号と異なる振幅プロファイルを有し得る。位相についても同様である。具体的には、本出願では、周波数が時間的に一定でない励起信号でダイアフラムを励起させる。しかしながら、本発明のさらに先の過程では、いわゆる一定波モデルが好適に使用される。一定波モデルは、ダイアフラムの連続励起モデルに対応する。
【0038】
本発明にさらなる特徴は、特許請求の範囲、図面、および図面の説明から明らかになる。上記の特徴および特徴の組み合わせ、また下記の図面の説明および/または図面のみに示す特徴および特徴の組み合わせは、本発明の範囲から逸脱することなく、それぞれに示された組み合わせだけでなく、他の組み合わせにおいても利用され得る。したがって、図面に明示されず説明されないが、特徴の別の組み合わせにより説明された実施形態から明らかであり生成可能な実施形態は、カバーされ開示されているとみなされることが意図されている。また、当初の独立請求項の特徴のすべてを備えない実施形態および特徴の組み合わせも、開示されたものとみなされることが意図されている。さらに、特許請求の範囲の後方参照に記載された特徴の組み合わせを超える、またはこれらと異なる実施形態および特徴の組み合わせも、特に上記の説明により開示されているとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1は、解析システムを有する自動車を示す。
図2図2は、ダイアフラムを有する超音波センサの概略図を示す。
図3図3は、第1電圧プロファイルおよび第2電圧プロファイル、ならびに部分的に対応するシフトさせた電圧プロファイルを示すグラフを示す。
図4図4は、第3電圧プロファイルを示すグラフを示す。
図5図5は、本方法のステップをより分かりやすく説明するための例示的なフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、解析システムを有する自動車16を示す。解析システムは、複数の部品を有している。これらには、超音波センサ10、評価ユニット14、および信号生成ユニット12が含まれる。自動車16は、特に乗用車の形態をとり得る。超音波センサ10は、自動車16の前方領域のみならず、自動車16の後方領域(トランク)にも配置され得る。超音波センサ10は、特に駐車センサの形態をとり得る。このような駐車センサは、好適には自動車16を安全に駐車するために使用される。
【0041】
図2は、超音波センサ10を拡大して概略的に示している。超音波センサ10は、特に超音波22を発信するように設計されている。超音波22は、図2に表示した波線により概略的に示されている。超音波センサ10は、ダイアフラム20を有している。このダイアフラム20は、信号生成ユニット12により励起され得る。つまり、信号生成ユニット12は、ダイアフラム20を振動させることができる。ダイアフラム20の振動により、超音波22が生成され得る。具体的には、信号生成ユニット12は、第1励起信号および第2励起信号を生成することができ、これによりダイアフラム20を励起させることができる。ダイアフラムを励起させるために、アップチャープ信号および/またはダウンチャープ信号が好適に使用される。評価ユニット14は、特にダイアフラム20のたわみを測定するように設計されている。多くの場合、ダイアフラムのたわみは、電圧または電圧信号の形態で記録される。図3は、一例として、第1励起信号29の周波数プロファイル、および第2励起信号31の周波数プロファイルを示している。これら2つの励起信号は、図3において、周波数Fの関数としての電圧プロファイルとして図示されている。本例において、第1電圧プロファイル29は、ダウンチャープ信号により生じたものである。第2励起信号は、これに応じて第2電圧プロファイル31により表される。x軸は周波数Fを表し、y軸は電圧Uを表す。所定の周波数範囲F’について、第1および第2電圧プロファイルの第1最大値M1および第2最大値M2が含まれている。これら2つの最大値M1、M2は、それぞれシフトされている。第1最大値M1は方向R1に沿ってシフトされ、第2最大値M2は方向R2に沿ってシフトされている。それぞれのシフト量は同一である。これは、シフト方向R1がシフト方向R2と同じ長さを有していることを意味する。
【0042】
したがって、2つの最大値M1およびM2は、互いに対して同じ量だけシフトされている。好適には、これら2つの最大値は、一点で合流するようにシフトされる。これにより、好適には、最大値が単一の点で一致するシフトさせた電圧ファイルが得られる。本例において、第1最大値M1は右にシフトされ、第2最大値M2は左にシフトされる。図3の例において、2つの方向R1およびR2は水平である。これらのシフトにより、2つの新しいシフトさせた電圧プロファイル29’、31’がもたらされる。これら2つのシフトさせた電圧プロファイルは、新たな第3電圧プロファイル30に変換することができる。第3電圧プロファイル30は、シフトさせた第1電圧プロファイル29’とシフトさせた第2電圧プロファイル31’との間で延びる。明瞭性を期して、関連するシフトさせた電圧プロファイルは、図3に完全に示していない。具体的には、第3電圧プロファイル30は、これら2つのシフトさせた電圧プロファイルから平均化によって決定される。
【0043】
この第3電圧プロファイル30を図4に示す。第3電圧プロファイル30は、周波数Fに対する電圧プロファイルとしてプロットされている。次いで、この第3電圧プロファイル30を使用して、ダイアフラム20の状態を判定する。これには様々な可能性がある。
【0044】
最もシンプルなケースでは、第3電圧プロファイル30の共振周波数が決定される。これは、特に所定の周波数範囲F’における第3電圧プロファイル30の最小値である。この共振周波数を、所定の共振周波数と比較することができる。所定の共振周波数は、ダイアフラム20の予め定義された状態、または定義された状態に関する。ダイアフラム20のこれらの所定の状態には、例えば、ダイアフラム20が氷で覆われていること、または汚れていることが含まれ得る。しかしながら、これらの所定の状態が、ダイアフラム20の温度、またはダイアフラム20の損傷を意味することも可能である。しかしながら、ダイアフラム20の状態を判定するために、共振周波数を決定することに代えて、ダイアフラム20の連続励起モデルを使用することもできる。例えば、式1がこの目的に使用される。式1に記載された電気的パラメータは、第3電圧プロファイル30がシミュレーションされるように、適合または調整される。種々の最適化アルゴリズムがこの目的のために使用され得る。例えば、Nelder-Mead法またはGauss-Newton法を使用して、それぞれの電気的パラメータを決定することができる。電気的パラメータが決定されたら、これらを所定の基準パラメータと比較することができる。この目的のために、厳密に1つの基準パラメータが比較のために選択され得る。原則として、これは、所定の基準パラメータから最大の偏差を呈するパラメータとする。
【0045】
ただし、すべての電気的パラメータとすべての所定の電気的パラメータとの間のユークリッド距離を決定することも想定され得る。具体的には、各ケースについて距離の二乗を計算することが想定され得る。これにより、対向する偏差が合計で0になることを防止することができる。このようにしないと、結果が歪むことがある。理想的には、ダイアフラムの様々な所定の状態に関する複数の基準パラメータを有するデータベースが存在する。データベースが十分に大きければ、ダイアフラムの状態について、単なる状態の判定に加えて、さらに定量的に判定することができる。例えば、ダイアフラム20がどれくらい汚れているか、またはダイアフラム20がどれくらいの氷で覆われているかを判定することができる。超音波センサのダイアフラム20に付着した氷の層の厚さを測定することができる。
【0046】
図5は、一例として、本方法のいくつかのステップの概要を示している。ステップS1およびステップS2において、ダイアフラム20は、それぞれアップチャープ信号およびダウンチャープ信号により励起される。アップチャープ信号を、上方に湾曲した矢印で示す。これに対応して、下方に湾曲した矢印は、ダウンチャープ信号を表す。これら2つの励起信号に基づいて、ステップ3において、ダイアフラム20は、励起され振動する。具体的には、第1励起信号が、第2励起信号の前に生成されることが想定され得る。したがって、ダイアフラム20は、好適には2つの励起信号によって同時に励起されない。ダイアフラム20のこれらの励起に基づいて、2つの異なる電圧プロファイルが、ステップS3で測定され得る。
【0047】
ステップS4において、図3に示すように、2つの最大値M1およびM2の位置が決定され得る。これは、単純で一般的なアルゴリズムを用いて実施され得る。具体的には、これら2つの最大値M1およびM2は、第1電圧プロファイル29および第2電圧プロファイル31の導関数がゼロとなる点である。
【0048】
ステップS5において、2つの最大値の位置が同一量だけシフトされる。2つのシフト方向は互いに反対である。特に、第1方向R1は、水平で右を向いていてもよい。これに対応して、第2方向Rも水平で左を向いて配向される。
【0049】
第3電圧プロファイル30がステップS6で決定される。好適には、これは、シフトさせた電圧プロファイル29’および31’を平均化することにより実施される。平均化は、元の第1電圧プロファイル29および元の第2電圧プロファイル31に関するものではないことに留意されたい。第3電圧プロファイル30は、好適には、シフトさせた第1電圧プロファイル29’およびシフトさせた第2電圧プロファイル31’に基づいて決定される。明瞭性を期して、これら2つの電圧プロファイルは、図3において29’および31’のみでそれぞれ示す。
【0050】
ステップS7において、連続ダイアフラム励起モデルの電気的パラメータが決定され得る。例えば、式1がこの目的のために使用される。それぞれの電気的パラメータは、数学的最適アルゴリズムを使用して決定することができる。これらの決定された電気的パラメータを所定の基準パラメータと比較することにより、ダイアフラム20の状態を正確に判定することができる。こうして、ダイアフラム20のブロック状態が検出され得る。しかしながら、ダイアフラム20の温度や、ダイアフラム20を覆う氷の程度等の他の状態も判定することができる。
【0051】
電気的パラメータを利用することにより、ダイアフラム20の種々の状態を検出することができるだけでなく、ダイアフラム20の連続励起モデルによってセンサの挙動を説明することもできる。このセンサの挙動は、例えば、超音波センサ10のレベル変動を補償するように、あるいは温度補償を可能にするように利用され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】