IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニアの特許一覧 ▶ テキサス ハート インスティテュートの特許一覧

特表2022-507813無線給電型リードレスペースメーカを制御するためのシステムおよび方法
<>
  • 特表-無線給電型リードレスペースメーカを制御するためのシステムおよび方法 図1
  • 特表-無線給電型リードレスペースメーカを制御するためのシステムおよび方法 図2
  • 特表-無線給電型リードレスペースメーカを制御するためのシステムおよび方法 図3
  • 特表-無線給電型リードレスペースメーカを制御するためのシステムおよび方法 図4
  • 特表-無線給電型リードレスペースメーカを制御するためのシステムおよび方法 図5
  • 特表-無線給電型リードレスペースメーカを制御するためのシステムおよび方法 図6A
  • 特表-無線給電型リードレスペースメーカを制御するためのシステムおよび方法 図6B
  • 特表-無線給電型リードレスペースメーカを制御するためのシステムおよび方法 図6C
  • 特表-無線給電型リードレスペースメーカを制御するためのシステムおよび方法 図7
  • 特表-無線給電型リードレスペースメーカを制御するためのシステムおよび方法 図8
  • 特表-無線給電型リードレスペースメーカを制御するためのシステムおよび方法 図9
  • 特表-無線給電型リードレスペースメーカを制御するためのシステムおよび方法 図10
  • 特表-無線給電型リードレスペースメーカを制御するためのシステムおよび方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】無線給電型リードレスペースメーカを制御するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/362 20060101AFI20220111BHJP
   A61N 1/378 20060101ALI20220111BHJP
   A61N 1/372 20060101ALI20220111BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20220111BHJP
   H02J 50/20 20160101ALI20220111BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
A61N1/362
A61N1/378
A61N1/372
H02J50/12
H02J50/20
H02J7/00 301D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021527906
(86)(22)【出願日】2019-11-20
(85)【翻訳文提出日】2021-07-12
(86)【国際出願番号】 US2019062443
(87)【国際公開番号】W WO2020106862
(87)【国際公開日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】62/769,984
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/845,619
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(71)【出願人】
【識別番号】518094924
【氏名又は名称】テキサス ハート インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ババカニ, アイディン
(72)【発明者】
【氏名】リュ, ホンミン
(72)【発明者】
【氏名】ラザヴィ, メヘディ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン, マシューズ
(72)【発明者】
【氏名】ポスト, アリソン
【テーマコード(参考)】
4C053
5G503
【Fターム(参考)】
4C053KK02
4C053KK07
4C053KK10
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB03
5G503CA11
5G503CC07
5G503GB01
5G503GB08
(57)【要約】
本発明の実施形態による、心臓刺激のためのシステムおよび方法が、例証される。一実施形態において、心臓刺激システムは、第1の周波数に同調された無線電力受信機、エネルギー採取回路網、刺激回路網、および刺激電極を含む第1の無線給電型リードレスペースメーカと、無線電力信号発生器、周波数に同調された無線電力伝送機、プロセッサ、および刺激制御アプリケーションを含むメモリを含むコントローラとを含み、刺激制御アプリケーションは、第1の無線電力信号発生器を使用して電力伝達信号を発生させることと、無線電力伝送機を使用して電力伝達信号を伝送することとを行うようにプロセッサに指示し、無線給電型リードレスペースメーカは、第1の無線電力受信機を使用して電力伝達信号を受信し、電力伝達信号を受信すると、エネルギー採取回路網が、無線電力受信機を介して受信された電力を少なくとも1つのコンデンサの中に貯蔵する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓刺激システムであって、前記心臓刺激システムは、
第1の無線給電型リードレスペースメーカであって、前記第1の無線給電型リードレスペースメーカは、
第1の周波数に同調された第1の無線電力受信機と、
第1のエネルギー採取回路網と、
第1の刺激回路網と、
第1の刺激電極と
を備えている、第1の無線給電型リードレスペースメーカと、
コントローラと
を備え、
前記コントローラは、
第1の無線電力信号発生器と、
前記第1の周波数に同調された第1の無線電力伝送機と、
プロセッサと、
刺激制御アプリケーションを含むメモリと
を備え、
前記刺激制御アプリケーションは、
前記第1の無線電力信号発生器を使用して、第1の電力伝達信号を発生させることと、
前記第1の無線電力伝送機を使用して、前記第1の電力伝達信号を伝送することと
を行うように前記プロセッサに指示し、
前記第1の無線給電型リードレスペースメーカは、前記第1の無線電力受信機を使用して、前記第1の電力伝達信号を受信し、
前記第1の電力伝達信号を受信すると、前記第1のエネルギー採取回路網は、前記無線電力受信機を介して受信された電力を少なくとも1つのコンデンサの中に貯蔵する、
心臓刺激システム。
【請求項2】
前記第1の電力伝達信号を受信していないとき、前記第1の刺激回路網は、前記貯蔵された電力を前記第1の刺激電極を介して放電する、請求項1に記載の心臓刺激システム。
【請求項3】
前記第1の無線電力伝送機は、近接場共鳴結合ベースの伝送機コイルであり、前記第1の無線電力受信機は、近接場共鳴結合ベースの受信機コイルである、請求項1に記載の心臓刺激システム。
【請求項4】
前記第1の無線電力伝送機は、遠方場伝搬電磁波受信機アンテナであり、前記第1の無線電力受信機は、遠方場伝搬電磁波伝送機アンテナである、請求項1に記載の心臓刺激システム。
【請求項5】
第2の無線給電型リードレスペースメーカをさらに備え、
前記第2の無線給電型リードレスペースメーカは、
第2の周波数に同調された第2の無線電力受信機と、
第2のエネルギー採取回路網と、
第2の刺激回路網と、
第2の刺激電極と
を備え、
前記コントローラは、
第2の無線電力信号発生器と、
前記第2の周波数に同調された第2の無線電力伝送機と
をさらに備え、
前記刺激制御アプリケーションは、
前記第2の無線電力信号発生器を使用して、第2の電力伝達信号を発生させことと、
前記第2の無線電力伝送機を使用して、前記第2の電力伝達信号を伝送することと
を行うように前記プロセッサにさらに指示し、
前記第2の無線給電型リードレスペースメーカは、前記第2の無線電力受信機を使用して、前記第2の電力伝達信号を受信し、
前記第2の電力伝達信号を受信すると、前記第2のエネルギー採取回路網は、前記第2の無線電力受信機を介して受信された電力を前記第2の無線給電型リードレスペースメーカの少なくとも1つのコンデンサの中に貯蔵し、
前記第2の電力伝達信号を受信していないとき、前記第2の無線給電型リードレスペースメーカの前記刺激回路網は、前記貯蔵された電気を前記第2の刺激電極を介して放電する、請求項1に記載の心臓刺激システム。
【請求項6】
前記刺激制御アプリケーションは、前記第1の電力伝達信号と前記第2の電力伝達信号との伝送のタイミングを合わせるように前記プロセッサにさらに指示し、それによって、前記第1の無線給電型リードレスペースメーカと前記第2の無線給電型リードレスペースメーカとによる刺激は、互いに対して決定された時間において刺激を提供する、請求項5に記載の心臓刺激システム。
【請求項7】
前記第1の周波数および前記第2の周波数は、前記第1の無線電力伝送機が、前記第2の無線電力受信機と結合しないように選択される、請求項5に記載の心臓刺激システム。
【請求項8】
第2の無線給電型リードレスペースメーカをさらに備え、
前記第2の無線給電型リードレスペースメーカは、
前記第1の周波数に同調された第2の無線電力受信機と、
第2のエネルギー採取回路網と、
第2の刺激回路網と、
第2の刺激電極と
を備え、
前記刺激制御アプリケーションは、
前記第2の無線給電型リードレスペースメーカに関連付けられた固有のラベルを用いて、前記第1の電力伝達信号の一部を変調することと、
前記第1の無線電力伝送機を使用して、前記変調された第1の電力伝達信号を伝送することと
を行うように前記プロセッサにさらに指示し、
前記第2の無線給電型リードレスペースメーカは、前記第2の無線電力受信機を使用して、前記第1の電力伝達信号を受信し、
前記第1の電力伝達信号を受信すると、前記第2のエネルギー採取回路網は、RF誘導を介して受信された電力を前記第2の無線給電型リードレスペースメーカの少なくとも1つのコンデンサの中に貯蔵し、
前記固有のラベルを用いて変調された前記第1の電力伝達信号の前記一部を受信すると、前記第2の無線給電型リードレスペースメーカは、貯蔵された電力を前記第2の刺激電極を介して放電し、
前記固有のラベルを用いて変調された前記第1の電力伝達信号の前記一部を受信すると、前記第1の無線給電型リードレスペースメーカは、電力を貯蔵し続ける、請求項1に記載の心臓刺激システム。
【請求項9】
前記第1の無線電力伝送機は、第2の周波数に同調可能である、請求項1に記載の心臓刺激システム。
【請求項10】
前記コントローラは、体外デバイスである、請求項1に記載の心臓刺激システム。
【請求項11】
前記コントローラは、皮下に埋め込まれるように構成されている、請求項1に記載の心臓刺激システム。
【請求項12】
前記第1の無線給電型リードレスペースメーカは、心臓の第1の心腔を刺激し、前記第2の無線給電型リードレスペースメーカは、前記心臓の前記第1の心腔を刺激する、請求項1に記載の心臓刺激システム。
【請求項13】
前記第1の無線給電型リードレスペースメーカは、前記心臓の第1の心腔を刺激し、前記第2の無線給電型リードレスペースメーカは、心臓の第2の心腔を刺激する、請求項1に記載の心臓刺激システム。
【請求項14】
前記第1の無線給電型リードレスペースメーカは、心臓に電気刺激を送達するために血管を刺激する、請求項1に記載の心臓刺激システム。
【請求項15】
前記第1の無線給電型リードレスペースメーカは、心臓の心腔を刺激し、第2の無線給電型リードレスペースメーカが、前記心臓に電気刺激を送達するために血管を刺激する、請求項1に記載の心臓刺激システム。
【請求項16】
前記第1の電力伝達信号の伝送は、正常な心臓条件を維持するために心臓に電気療法を送達するように前記第1の無線給電型リードレスペースメーカを誘導し、前記第1の無線給電型リードレスペースメーカは、心臓の活動を感知するように構成されている、請求項1に記載の心臓刺激システム。
【請求項17】
無線給電型リードレスペースメーカを使用して心臓を刺激する方法であって、前記方法は、
コントローラの第1の無線電力信号発生器を使用して、第1の周波数で第1の電力伝達信号を発生させることと、
前記コントローラの第1の無線電力伝送機を使用して、前記第1の電力伝達信号を伝送することと、
第1の無線給電型リードレスペースメーカによって、第1の無線電力受信機を使用して、前記第1の電力伝達信号を受信することと、
前記第1の電力伝達信号を介して受信された電力を前記第1の無線給電型リードレスペースメーカの少なくとも1つのコンデンサの中に貯蔵することと
を含む、無線給電型リードレスペースメーカを使用して心臓を刺激する方法。
【請求項18】
前記第1の電力伝達信号を受信していないとき、前記第1の無線給電型リードレスペースメーカは、前記貯蔵された電力を第1の刺激電極を介して放電する、請求項17に記載の無線給電型リードレスペースメーカを使用して心臓を刺激する方法。
【請求項19】
前記コントローラの第2の無線電力信号発生器を使用して、第2の周波数で第2の電力伝達信号を発生させることと、
前記コントローラの第2の無線電力伝送機を使用して、前記第2の電力伝達信号を伝送することと、
第2の無線給電型リードレスペースメーカによって、第1の無線電力受信機を使用して、前記第2の電力伝達信号を受信することと、
前記第2の電力伝達信号を介して受信された電力を前記第2の無線給電型リードレスペースメーカの少なくとも1つのコンデンサの中に貯蔵することと
をさらに含む、請求項17に記載の無線給電型リードレスペースメーカを使用して心臓を刺激する方法。
【請求項20】
第2の無線給電型リードレスペースメーカに関連付けられた固有のラベルを用いて、前記第1の電力伝達信号の一部を変調することと、
前記第2の無線給電型リードレスペースメーカによって、第2の無線電力受信機を使用して、前記第1の電力伝達信号を受信することと、
前記第1の電力伝達信号を介して受信された電力を前記第2の無線給電型リードレスペースメーカの少なくとも1つのコンデンサの中に貯蔵することと、
前記第1の電力伝達信号の前記変調された部分を受信すると、前記第2の無線給電型リードレスペースメーカによって、貯蔵された電力を放電することと、
前記第1の電力伝達信号の前記変調された部分を受信すると、前記第1の無線給電型リードレスペースメーカによって、電力を貯蔵し続けることと
をさらに含む、請求項17に記載の無線給電型リードレスペースメーカを使用して心臓を刺激する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(連邦政府による資金提供)
本発明は、米国科学財団によって授与された認可番号1533688の下で政府の支援を受けて行われた。政府は、本発明におけるある一定の権利を有する。
(関連出願の相互参照)
【0002】
本願は、2018年11月20日に出願され、「Synchronized Biventricular Heart Pacing using Wirelessly powered,leadless pacemakers」と題された米国仮特許出願第62/769,984号、および2019年5月9日に出願され、「Synchronized Biventricular Heart Pacing using Wirelessly powered,leadless pacemakers」と題された米国仮特許出願第62/845,619号の35 U.S.C.Section 119(e)(米国特許法第119条(e))下の利益および優先権を主張する。米国仮特許出願第62/769,984号および第62/845,619号の開示は、あらゆる目的のために、参照することによって、その全体として本明細書に組み込まれる。
(発明の分野)
【0003】
本発明は、無線給電型リードレスペースメーカを使用する心臓ペーシング、すなわち、1つ以上の無線給電型リードレスペースメーカの給電および制御のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0004】
心臓は、循環器系を通して血液を循環させることに関わるヒトおよび多くの他の動物における重要な筋肉である。ヒトの心臓は、4つの心腔、すなわち、2つの上側の心房と、2つの下側の心室とから構成され、それらは、心房および心室の左および右の対に編成される。健康な心臓において、心腔は、静脈および動脈のネットワークを通して血液を押し進めるために、「拍」と称される同期させられた方式において収縮し、弛緩する。
【0005】
不規則的な心拍は、健康上のリスクをもたらし得、ある場合、規則的な拍は、電気刺激を介して復元されることができる。「ペースメーカ」と呼ばれる埋め込み式デバイスは、筋肉組織を刺激し、それに収縮させ得るデバイスである。必要に応じて慎重かつ規則正しく刺激を加えることによって、正常な心臓律動が、復元されることができる。リードレスペースメーカは、特定のクラスのペースメーカであり、それは、いかなる外部ワイヤ(「リード」)も有していない標準的なペースメーカより大幅に小さく作製され得る。
【0006】
無線電力伝達は、物理的チャネルとしてのワイヤを伴わない電気エネルギーの伝達を指す。放射および非放射技法の両方を伴う多くの異なる無線電力伝達システムが、存在する。非放射技法のある例は、電磁気誘導または近接場結合であり、それによって、電力は、ワイヤのコイル間の(共鳴または非共鳴)誘導結合による電磁場を介して、または、金属電極間の容量結合による電場を介して伝達される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態による、心臓刺激のためのシステムおよび方法が、例証される。一実施形態は、心臓刺激システムを含み、心臓刺激システムは、第1の周波数に同調された第1の無線電力受信機、第1のエネルギー採取回路網、第1の刺激回路網、および第1の刺激電極を含む第1の無線給電型リードレスペースメーカと、コントローラとを含み、コントローラは、第1の無線電力信号発生器と、第1の周波数に同調された第1の無線電力伝送機と、プロセッサと、刺激制御アプリケーションを含むメモリとを含み、刺激制御アプリケーションは、第1の無線電力信号発生器を使用して第1の電力伝達信号を発生させることと、第1の無線電力伝送機を使用して第1の電力伝達信号を伝送することとを行うようにプロセッサに指示し、第1の無線給電型リードレスペースメーカは、第1の無線電力受信機を使用して第1の電力伝達信号を受信し、第1の電力伝達信号を受信すると、第1のエネルギー採取回路網は、無線電力受信機を介して受信された電力を少なくとも1つのコンデンサの中に貯蔵する。
【0008】
別の実施形態において、第1の電力伝達信号を受信していないとき、第1の刺激回路網は、貯蔵された電力を第1の刺激電極を介して放電する。
【0009】
さらなる実施形態において、第1の無線電力伝送機は、近接場共鳴結合ベースの伝送機コイルであり、第1の無線電力受信機は、近接場共鳴結合ベースの受信機コイルである。
【0010】
さらに別の実施形態において、第1の無線電力伝送機は、遠方場伝搬電磁波受信機アンテナであり、第1の無線電力受信機は、遠方場伝搬電磁波伝送機アンテナである。
【0011】
なおもさらなる実施形態において、システムは、第2の周波数に同調された第2の無線電力受信機と、第2のエネルギー採取回路網と、第2の刺激回路網と、第2の刺激電極とを含む第2の無線給電型リードレスペースメーカをさらに含み、コントローラは、第2の無線電力信号発生器と、第2の周波数に同調された第2の無線電力伝送機とをさらに含み、刺激制御アプリケーションは、第2の無線電力信号発生器を使用して、第2の電力伝達信号を発生させることと、第2の無線電力伝送機を使用して、第2の電力伝達信号を伝送することとを行うにプロセッサにさらに指示し、第2の無線給電型リードレスペースメーカは、第2の無線電力受信機を使用して、第2の電力伝達信号を受信し、第2の電力伝達信号を受信すると、第2のエネルギー採取回路網は、第2の無線電力受信機を介して受信された電力を第2の無線給電型リードレスペースメーカの少なくとも1つのコンデンサの中に貯蔵し、第2の電力伝達信号を受信していないとき、第2の無線給電型リードレスペースメーカの刺激回路網は、貯蔵された電気を第2の刺激電極を介して放電する。
【0012】
さらに別の実施形態において、刺激制御アプリケーションは、第1の無線給電型リードレスペースメーカおよび第2の無線給電型リードレスペースメーカによる刺激が、互いに対して決定された時間において刺激を提供するように、第1の電力伝達信号および第2の電力伝達信号の伝送のタイミングを合わせるようにプロセッサにさらに指示する。
【0013】
さらにさらなる実施形態において、第1の周波数および第2の周波数は、第1の無線電力伝送機が、第2の無線電力受信機と結合しないように選択される。
【0014】
別の追加の実施形態において、システムは、第1の周波数に同調された第2の無線電力受信機と、第2のエネルギー採取回路網と、第2の刺激回路網と、第2の刺激電極とを含む第2の無線給電型リードレスペースメーカをさらに含み、刺激制御アプリケーションは、第2の無線給電型リードレスペースメーカに関連付けられた固有のラベルを用いて、第1の電力伝達信号の一部を変調することと、第1の無線電力伝送機を使用して、変調された第1の電力伝達信号を伝送することとを行うようにプロセッサにさらに指示し、第2の無線給電型リードレスペースメーカは、第2の無線電力受信機を使用して、第1の電力伝達信号を受信し、第1の電力伝達信号を受信すると、第2のエネルギー採取回路網は、RF誘導を介して受信された電力を第2の無線給電型リードレスペースメーカの少なくとも1つのコンデンサの中に貯蔵し、固有のラベルを用いて変調された第1の電力伝達信号の一部を受信すると、第2の無線給電型リードレスペースメーカは、貯蔵された電力を第2の刺激電極を介して放電し、固有のラベルを用いて変調された第1の電力伝達信号の一部を受信すると、第1の無線給電型リードレスペースメーカは、電力を貯蔵し続ける。
【0015】
さらなる追加の実施形態において、第1の無線電力伝送機は、第2の周波数に同調可能である。
【0016】
再び別の実施形態において、コントローラは、体外デバイスである。
【0017】
再びさらなる実施形態において、コントローラは、皮下に埋め込まれるように構成される。
【0018】
なおもさらに別の実施形態において、第1の無線給電型リードレスペースメーカは、心臓の第1の心腔を刺激し、第2の無線給電型リードレスペースメーカは、心臓の第1の心腔を刺激する。
【0019】
なおもさらにさらなる実施形態において、第1の無線給電型リードレスペースメーカは、心臓の第1の心腔を刺激し、第2の無線給電型リードレスペースメーカは、心臓の第2の心腔を刺激する。
【0020】
さらに別の追加の実施形態において、第1の無線給電型リードレスペースメーカは、心臓に電気刺激を送達するために血管を刺激する。
【0021】
なおもさらなる追加の実施形態において、第1の無線給電型リードレスペースメーカは、心臓に電気刺激を送達するために筋肉組織を刺激する。
【0022】
再びさらに別の実施形態において、第1の無線給電型リードレスペースメーカは、心臓の心腔を刺激し、第2の無線給電型リードレスペースメーカは、心臓に電気刺激を送達するために血管を刺激する。
【0023】
再びなおもさらなる実施形態において、第1の電力伝達信号の伝送は、正常な心臓条件を維持するために心臓に電気療法を送達するように第1の無線給電型リードレスペースメーカを誘導し、第1の無線給電型リードレスペースメーカは、心臓の活動を感知するように構成される。
【0024】
さらに別の追加の実施形態において、第1の無線給電型リードレスペースメーカは、感知回路網をさらに含み、感知回路網は、心臓の活動を感知するように構成される。
【0025】
さらにさらなる追加の実施形態において、第1の無線給電型リードレスペースメーカは、感知された心臓の活動を伝送するように構成された伝送機回路網をさらに含む。
【0026】
再びさらに別の実施形態において、無線給電型リードレスペースメーカを使用して心臓を刺激する方法は、コントローラの第1の無線電力信号発生器を使用して、第1の周波数で第1の電力伝達信号を発生させることと、コントローラの第1の無線電力伝送機を使用して、第1の電力伝達信号を伝送することと、第1の無線給電型リードレスペースメーカによって、第1の無線電力受信機を使用して、第1の電力伝達信号を受信することと、第1の電力伝達信号を介して受信された電力を第1の無線給電型リードレスペースメーカの少なくとも1つのコンデンサの中に貯蔵することとを含む。
【0027】
再びさらにさらなる実施形態において、第1の電力伝達信号を受信していないとき、第1の無線給電型リードレスペースメーカは、貯蔵された電力を第1の刺激電極を介して放電する。
【0028】
再び別の追加の実施形態において、方法は、コントローラの第2の無線電力信号発生器を使用して、第2の周波数で第2の電力伝達信号を発生させることと、コントローラの第2の無線電力伝送機を使用して、第2の電力伝達信号を伝送することと、第2の無線給電型リードレスペースメーカによって、第1の無線電力受信機を使用して、第2の電力伝達信号を受信することと、第2の電力伝達信号を介して受信された電力を第2の無線給電型リードレスペースメーカの少なくとも1つのコンデンサの中に貯蔵することとをさらに含む。
【0029】
再びさらなる追加の実施形態において、方法は、第2の無線給電型リードレスペースメーカに関連付けられた固有のラベルを用いて、第1の電力伝達信号の一部を変調することと、第2の無線給電型リードレスペースメーカによって、第2の無線電力受信機を使用して、第1の電力伝達信号を受信することと、第1の電力伝達信号を介して受信された電力を第2の無線給電型リードレスペースメーカの少なくとも1つのコンデンサの中に貯蔵することと、第1の電力伝達信号の変調された部分を受信すると、第2の無線給電型リードレスペースメーカによって、貯蔵された電力を放電することと、第1の電力伝達信号の変調された部分を受信すると、第1の無線給電型リードレスペースメーカによって、電力を貯蔵し続けることとをさらに含む。
【0030】
なおもさらに別の追加の実施形態において、心臓刺激システムは、コントローラによって制御される、複数の無線給電型リードレスペースメーカを含み、コントローラは、複数の無線給電型リードレスペースメーカをトリガし、電力伝送信号を介して心臓に刺激を提供する。
【0031】
追加の実施形態および特徴が、部分的に、続く説明において記載され、部分的に、本明細書の考察の結果、当業者に明白な状態となり、または本発明の実践によって習得され得る。本開示の一部を形成する、本明細書の残りの部分および図面の参照によって、本発明の性質および利点のさらなる理解が、実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本説明および請求項は、本発明の例示的実施形態として提示され、かつ本発明の範囲の完全な列挙として解釈されるべきではない、以下の図およびデータグラフを参照して、より完全に理解されるであろう。
【0033】
図1図1は、本発明のある実施形態による、心臓刺激システムを図示する。
【0034】
図2図2は、本発明のある実施形態による、コントローラのための高レベルブロック図である。
【0035】
図3図3は、本発明のある実施形態による、無線給電型リードレスペースメーカのための高レベルブロック図である。
【0036】
図4図4は、本発明のある実施形態による、無線給電型リードレスペースメーカのための回路図である。
【0037】
図5図5は、本発明のある実施形態による、低ドロップアウト回路のための回路図である。
【0038】
図6A図6Aは、本発明のある実施形態による、復調器のための回路図である。
【0039】
図6B図6Bは、本発明のある実施形態による、所与のRF入力信号に応答する復調器回路内のノードの電圧を表す波形を図示する。
【0040】
図6C図6Cは、本発明のある実施形態による、バッファ回路のための回路図である。
【0041】
図7図7は、本発明のある実施形態による、無線給電型リードレスペースメーカのためのアンテナとして利用される血管を図示する。
【0042】
図8図8は、本発明のある実施形態による、無線給電型リードレスペースメーカのための基本制御スキームに関するプロセスのフローチャートである。
【0043】
図9図9は、本発明のある実施形態による、例示的電力伝送信号および対応する刺激パルスを図示する。
【0044】
図10図10は、本発明のある実施形態による、複数の電力伝送信号を使用して複数の無線給電型リードレスペースメーカを制御するためのプロセスのフローチャートである。
【0045】
図11図11は、本発明のある実施形態による、単一の電力伝送信号を使用する複数の無線給電型リードレスペースメーカを用いて心臓をペーシングするためのプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
ここで図面に目を向けると、無線給電型リードレスペースメーカを使用する心臓ペーシングのためのシステムおよび方法が、図示される。ペースメーカは、心臓病を伴って生きる人々のための多くの治療計画の重要な部分である。従来的なペースメーカは、3つの主要な構成要素から成る:パルス発生器、電気パルスを心臓に搬送する1つ以上のリード、各リードの端部における刺激を送達するための電極。近年において、リードレスペースメーカが、開発されており、それは、内蔵型の発生器と、別個のパルス発生器の必要性を除去する電極システムとを組み合わせる。しかしながら、全ての電極のために中心パルス発生器を使用する従来的なペースメーカと対照的に、複数のリードレスペースメーカを伴うシステムは、同期させることが困難である。
【0047】
さらに、心臓の中に直接埋め込まれていない従来的なペースメーカのパルス発生器ためのバッテリを交換すること(または、パルス発生器を完全に交換すること)は、比較的に容易であり、したがって、アクセスすることがより容易である。他方において、現行のリードレスペースメーカは、除去することが困難または不可能であり、多くのものが、バッテリで動作し、それは、それらが限定された寿命を有することを意味する。いくつかのリードレスペースメーカシステムが、無線電力伝達システムを利用することを提案し、無線電力伝達システムにおいて、電力は、心臓を刺激するために伝達され、即座に利用される。このように、ペースタイミングは、刺激が生じるべきときに電力を無線で提供することによって、直接制御されることができる。しかしながら、このスキームにおいて、要求される刺激を生産するために十分な電力が、即座に要求される。その結果、大量の電力が、短期間において無線で伝達されなければならず、それは、非効率的であり得る。
【0048】
対照的に、本明細書に説明される無線給電型リードレスペースメーカ(以降、「WPLP」と称される)は、無線電力伝達方法論を使用して、容易に同期させられ、効率的に給電されることができ、無線電力伝達方法論において、刺激のために必要な電力は、はるかにより低電力においてより長い期間にわたって伝達される。さらに、複数のWPLPは、投与されている療法に応じて、必ずしも厳密に同時にではなく、任意の特定の瞬間において刺激を提供するように制御されることができる。健康な心拍がおよそ0.6~1秒の間に生じ、かつ、ペースメーカが約100~10,000マイクロ秒のパルスで典型的に刺激するので、心臓が刺激される必要がない間、WPLPは、かなりの時間量にわたって電力信号を受信することができる。多くの実施形態において、患者の中に埋め込まれた1つ以上のWPLPを無線で給電し、それらを同期させるために、コントローラが、使用される。種々の実施形態において、コントローラは、異なる周波数の電磁場および/または磁場を使用して、異なるWPLPに電力を伝送する。しかしながら、多数の実施形態において、単一の周波数電磁場が、複数のWPLPを同期させ、および/または、無線で給電するために使用されることができる。さらに、多くの実施形態において、電磁場を生産するために使用される信号は、WPLPを制御するためにさらに使用され得る制御データを用いて変調されることができる。任意の数の異なるWPLPが、任意の数の異なる心血管問題(限定ではないが、不整脈、心不全、心筋症、および/または、刺激および/またはペーシングから恩恵を受け得るいくつかの異なる病状のいずれか等)を治療するために、種々の場所の中に埋め込まれることができる。実際に、多数の実施形態において、WPLPは、心臓病のための療法を提供するために、通常、従来のペースメーカを使用して刺激される場所を刺激するように、埋め込まれることができる。多くのそのようなペースメーカ刺激構成は、当技術分野において公知である。WPLPを使用して複製され得る従来のペースメーカを使用する、例示的治療が、Josephson,Mark E.のClinical cardiac electrophysiology: techniques and interpretations.Lippincott Williams & Wilkins,2008、Topol,Eric J.およびPaul S.TeirsteinのSPEC-Textbook of Interventional Cardiology,12-Month Access,eBook.Elsevier Health Sciences,2015、およびEllenbogen,Kenneth A.、Bruce L.Wilkoff、G.Neal Kay、Chu Pak Lau、およびAngelo AuricchioのClinical Cardiac Pacing,Defibrillation and Resynchronization Therapy E-Book.Elsevier Health Sciences,2016(その開示は、参照することによってそれらの全体として本明細書に組み込まれる)のようなテキスト内で議論される。しかしながら、WPLPの使用法は、公知の構成に制限されず、多くの埋め込み位置が、WPLPを使用してより実行可能であり得る。WPLPシステムが、下記にさらに詳細に説明される。
(WPLPシステム)
【0049】
「心臓刺激システム」とも称される、WPLPシステムは、任意の数の個々のWPLPを伴うことができ、それらは、次に、コントローラを介して制御される。多くの実施形態において、コントローラは、患者の中に埋め込まれるが、外部デバイスとして実装され得る。WPLPは、心臓ペーシング刺激を提供するために、患者の心臓の中またはその上に埋め込まれることができる。WPLPの場所は、患者の必要性およびその特定の病状に基づいて決定されることができる。多数の実施形態において、コントローラは、誘導するための高周波(RF)磁場を生産することができる。
【0050】
ここで図1に目を向けると、本発明のある実施形態によるWPLPシステムが、図示される。WPLPシステム100は、コントローラ110と、右心房の中に埋め込まれた第1のWPLP120と、左心室の中に埋め込まれた第2のWPLP122とを含む。多くの実施形態において、WPLPは、患者の病状に対して、適宜、異なる心腔構成の中に埋め込まれることができる。2つ以上のWPLPが、同じ心腔の中に埋め込まれることができる。実際に、単一のWPLPを含む任意の数のWPLPが、WPLPシステムの中で使用されることができる。
【0051】
WPLPは、コントローラから電力を受け取ることができる。単一のコントローラが、電力を提供するために、および/または、複数のWPLPを制御するために使用されることができる。いくつかの実施形態において、特定のWPLPに関わる複数のコントローラが、使用される。多くの実施形態において、コントローラによって発生させられる電力信号は、パルス幅制御を介して受信WPLPによって提供される刺激を決定する。すなわち、WPLPが電力信号を受信しているとき、WPLPは、記憶媒体を充電するために電力を使用する。WPLPが電力信号を受信していないとき、WPLPは、心臓を刺激するために電力を放電する。拍間の長い時間に起因して、低電力信号が、使用され、記憶媒体を充電することができる。これは、受信された電力が、即座に使用され、心臓を刺激するリードレスペースメーカを無線で給電するための標準的な方法論と反対である。低電力信号を発生させるためのコントローラが、下記にさらに詳細に議論される。
(WPLPコントローラ)
【0052】
コントローラは、WPLPを給電し、および/または、それらを同期させるために使用されることができる。多数の実施形態において、コントローラは、埋め込みデバイスである。しかしながら、種々の実施形態において、コントローラは、外部デバイスである。実際に、コントローラは、WPLPに電力を無線で伝送することが可能な任意のハードウェアプラットフォームを使用して実装されることができる。多くの実施形態において、コントローラはさらに、制御情報を用いて電力伝達磁場を発生させるために使用される信号を変調することが可能であり、制御情報は、単一の周波数場を使用して複数のWPLPを制御するために使用されることができる。
【0053】
ここで図2に目を向けると、本発明のある実施形態によるWPLP制御のためのブロック図が、図示される。コントローラ200は、プロセッサ210を含む。プロセッサは、限定ではないが、中央処理ユニット、グラフィック処理ユニット、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、および/または、本発明の所与の実施形態の具体的な用途の要件に対して、適宜、命令を実装することが可能である任意の他の論理回路等、任意の論理回路網であることができる。
【0054】
コントローラ200は、伝送機回路網220をさらに含む。伝送機回路網は、限定ではないが、伝送コイル、RF信号発生器、アンテナ、および/または、本発明の所与の実施形態の具体的な用途の要件に対して適切な任意の他の伝送構成要素等、電力伝達信号を発生させることおよび/または伝送することが可能である1つ以上の伝送構成要素を含むことができる。いくつかの実施形態において、信号発生器は、2つ以上の信号周波数を発生させることができる。種々の実施形態において、複数の信号発生器が、使用される。多数の実施形態において、伝送機回路網は、誘導電力伝達を介してWPLPを給電することが可能である。多くの実施形態において、誘導電力伝達は、高周波誘導を使用して達成され、それによって、RF信号が、高周波磁場を誘導するためにコイルに通される。電力は、伝送機コイルに共鳴的に結合された受信機コイルによって受信されることができる。伝送機および受信機コイルは、特定の共鳴周波数に対して能動的に調整されるか、または、それらが所定の周波数または周波数の組のみに応答するように構築されることができる。種々の実施形態において、コントローラは、特定のWPLP受信機コイルに共鳴的に結合された1つ以上の伝送機コイルを含む。
【0055】
コントローラ200は、メモリ230をさらに含む。メモリは、不揮発性メモリ記憶媒体および/または揮発性メモリ記憶媒体を使用して実装されることができる。メモリ230は、刺激制御アプリケーション232を含む。多くの実施形態において、刺激制御アプリケーションは、制御情報を発生させ、伝送機コイルを駆動するために使用されるRF信号をその制御情報を用いて変調するようにプロセッサに指示する。制御情報および制御スキームが、下記の節においてさらに議論される。
【0056】
メモリ230はさらに、WPLP構成データ234を含む。WPLP構成データは、限定ではないが、WPLPラベル、WPLP場所、WPLP製造番号、コマンドを暗号化するための暗号化情報、刺激プロファイル、および/または、本発明の所与の実施形態の具体的な用途の要件に対して、適切であるようなWPLPまたはそれらの動作に関する任意の他のデータを含む、システムの中に埋め込まれるWPLPに関する任意の情報を含むことができる。構成データは、RF信号の変調、どのRF信号周波数が発生させられるか、どの刺激パターンが採用されるべきであるか、および/または、本発明の実施形態の具体的な用途の要件に対して適切な任意の他の構成を指示するために使用されることができる。
【0057】
特定のコントローラが、図2に関して図示されているが、任意の数の異なるアーキテクチャが、利用されることができる。例えば、図2に図示される実施形態が、ソフトウェアによって定義されたエンコーダを利用しているが、ハードウェアエンコーダも、利用されることができる。実際に、多くの実施形態において、コントローラは、メモリを含まず、コントローラは、変調された信号を発生させるための特殊回路網を含む。種々の実施形態において、コントローラは、WPLPによって記録される感知された生物学的活性を説明するWPLPからの信号を受信し得る受信機を含む。いくつかの実施形態において、無線電力伝送機は、受信機としての機能を果たすことができ、および/または、別個の受信機回路網が、含まれることができる。実際に、任意の数の異なる実装が、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、利用されることができる。コントローラを使用した制御が可能なWPLP回路網が、下記に議論される。
(WPLP回路網)
【0058】
WPLPは、心拍間に貯蔵媒体に電力を貯蔵し、心拍を調整するために貯蔵された電力を放電することができる。多くの実施形態において、WPLPは、特定の周波数におけるRF誘導を介して、コントローラから電力を受け取る。WPLPは、次に、特定の周波数に同調された受信機を有することができる。このように、浮遊信号が、機能性に影響を及ぼす可能性はない。さらに、システムの制御スキームに応じて、WPLPは、別個のRF周波数磁場を介して選択的に制御されることができる(「周波数分割」スキーム)。制御スキームが、下記の節において議論される。多数の実施形態において、WPLPは、回路網を生物の中に埋め込むために安全にする材料から作製され、および/または、その中にカプセル化される。
【0059】
ここで図3に目を向けると、本発明のある実施形態によるWPLPの高レベル図が、図示される。WPLP300は、無線電力受信機310を含む。多くの実施形態において、無線電力受信機は、受信機コイル、電磁信号を受信するためのアンテナ、および/または本発明の実施形態の具体的な用途の要件に対して適切な無線電力伝送源から電力を採取することが可能である任意の他の回路である。無線電力受信機310は、エネルギー採取回路網320に電力を送出する。多くの実施形態において、エネルギー採取回路網は、交流を直流に整流し、および/または、電力を貯蔵するために、1つ以上の電気貯蔵媒体を充電することができる。多くの実施形態において、電気貯蔵媒体は、1つ以上のコンデンサであるが、しかしながら、限定ではないが、バッテリを含む任意の数の電気貯蔵媒体が、本発明の実施形態の具体的な用途の要件に対して、適宜、使用されることができる。刺激回路330が、1つ以上の刺激電極340に電力を提供する。多数の実施形態において、刺激回路は、電流の中にエンコードされた制御情報を回復し、制御情報に従って刺激を制御することが可能である。種々の実施形態において、WPLPは、限定ではないが、心拍、温度、血流、運動、および/または、本発明の実施形態の具体的な用途の要件に対して適切な任意の他の感知可能な特性を含む生物学的活性を感知および/または監視するために使用され得る感知回路網を含む。感知された活性は、無線電力受信機および/または別個の伝送機回路を介してコントローラに伝送されることができる。
【0060】
ここで図4に目を向けると、本発明のある実施形態によるWPLPの例示的実装の回路図が、図示される。WPLPは、マイクロチップ420に接続された受信機コイル410を含む。多数の実施形態において、受信機コイルは、コントローラの伝送機コイルに共鳴的に結合される。伝送機コイルによって生産された磁場が、受信機コイルの中に電流を誘導することができる。多くの実施形態において、受信機コイルは、選択された動作帯域を標的化する随意の同調コンデンサCtune415に結合され、共鳴を引き起こし、電力伝達の効率を向上させる。種々の実施形態において、受信機コイルは、両側において6回の巻きを伴う二重層構造を特徴とするポリイミド基板上の銅トレースである。しかしながら、本発明の実施形態の具体的な用途の要件に対して適切である電磁気電力伝達が可能である任意の数の異なる受信機コイルが、使用されることができる。実際に、多くの他の実施形態において、ダイポールアンテナが、受信機において使用され、電磁気エネルギーを採取し得る。当業者は、任意の数の異なる伝送機および受信機が、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、電力を伝達するために使用され得ることを理解するであろう。
【0061】
マイクロチップ420は、整流器421を含み、整流器は、受信機コイルと共鳴し、貯蔵コンデンサCsto430の中に電荷を貯蔵する。整流器421に接続される電圧基準回路422が、安定した基準電圧を発生させる。振幅調整器433が、出力された刺激の電圧を調整し、復調器424が、スイッチ425を介して、出力される刺激の率および/または強度を制御する。スイッチが、閉鎖されると、電極440が、近傍の心臓組織を電気的に刺激することができ、出力された刺激が、電荷中和のために、DCブロックコンデンサCblk450を通して送達される。放電レジスタRdis460が、Cblk上に蓄積された電荷をゼロにする。ノード470は、マイクロチップの基板への接続部であり、接地としての機能を果たす。
【0062】
多くの実施形態において、動作を確認するために刺激が送達されたときを視覚的に示すための発光ダイオード480が含まれる。種々の実施形態において、一連の安全ダイオード490が、追加され、それによって、供給電圧が閾値を超過すると、放電経路が、余分な入射電荷を急速に放電することを可能にされる。3つの安全ダイオードが、図4に図示されているが、任意の数の安全ダイオードが、本発明の実施形態の具体的な用途の要件に対して、適宜、閾値を管理するために追加されることができる。多数の実施形態において、閾値は、刺激されるべき組織に応じて変動する。多くの実施形態において、安全ダイオードおよび/または確認LEDが、存在しない。さらに、種々の実施形態において、復調器が、制御情報をデコードし、制御情報に従って刺激をトリガする。多数の実施形態において、心臓についての情報を記録し、それを伝送回路を介してコントローラおよび/または異なるデバイスに伝送し、心臓機能の監視を可能にする追加の回路網が、含まれ得る。
【0063】
特に電圧基準および振幅調整器ブロックに関して、任意の数の異なる回路が、本発明の実施形態の具体的な用途の要件に対して、適宜、使用されることができる。例えば、低ドロップアウト(LDO)回路が、供給電圧を調整するために使用されることができる。しかしながら、LDO回路は、高い静的電力消費量を有する傾向にある。本発明のある実施形態による、低減させられた電力要件を伴う修正されたLDO回路のための例示的回路図が、図5に図示される。信号のパルス振幅の下側のバーが、供給電圧のごく一部を基準電圧(VREF)と比較することによって、下げられることができる。供給電圧が、所与の閾値電圧より低い場合、復調器ブロックは、無効にされることができる。多数の実施形態において、LDO回路の出力におけるLEDが、上側電圧境界を調整することができる。多くの実施形態において、修正されたLDO回路は、約0.1ナノアンペアの電流を用いて動作することができる。特定のLDO回路が、図5に図示されているが、LDOに対する代替物を含む任意の数の異なるアーキテクチャが、本発明の実施形態の具体的な用途の要件に対して、適宜、利用されることができる。
【0064】
復調器ブロックにさらに注目すると、再び、任意の数の異なる復調器回路網が、利用されるべき制御スキームに応じて、利用されることができる。本発明のある実施形態による特定の例示的復調器回路が、図6Aに図示される。図示される実施形態において、復調器回路網は、3つのソースフォロワレプリカを含む。ハイエンド、ローエンド、および過渡包絡線信号が、抽出され、それぞれ、V、V、およびVENVと示される。VENV検出分枝部は、比較的に小さいコンデンサCSMを使用する一方、VおよびVは、AC入力の有無にかかわらず、それぞれ、より大きいコンデンサ上で抽出される。CMOSトランジスタの伝達特性の非線形性により、一定のゲートバイアスに印加されるACスイングが、より大きいソース電圧を発生させる。VおよびVの平均、すなわち、Vが、抵抗分割器を通して取得され、それは、その後、出力されるパルスのタイミングを構築するためにVENVと比較される。本発明のある実施形態による回路内のノードの電圧を図示する例示的波形が、図6Bに図示される。多くの実施形態において、バッファ回路が、回復されたタイミング信号をシャープにするために、復調器回路の後に追加されることができる。本発明のある実施形態による例示的バッファ回路が、図6Cに図示される。復調器回路網およびバッファ回路網のための特定の回路が、図6Aおよび6Cに図示されているが、任意の数の回路アーキテクチャが、本発明の実施形態の具体的な用途の要件に対して、適宜、使用されることができる。
【0065】
種々の実施形態において、WPLPは、ヒドロゲルによってカプレル化されるか、または、それで別様にコーティングされることができる。ヒドロゲルは、靭性、粘着性、生物活性、伝導性、および他の特性等のその特性が、異なる刺激を使用して調整され得る材料である。これらの刺激は、具体的なヒドロゲルの組成に固有であり、限定ではないが、機械的、電気的、光学的、熱的、および/または化学的刺激を含むことができる。多数の実施形態において、ヒドロゲルは、薬物を含む化学物質を抱くこと、導電性になること、および/または磁気的に活性であることができる。ヒドロゲル中にWPLPを封入することによって、近傍の組織とのより良好なインターフェースが、達成されることができる。
【0066】
さらに、多くの実施形態において、近傍の生体構造が、ヒドロゲル中にコーティングされることができる。例えば、静脈または動脈が、磁気的に活性であるヒドロゲルで充填および/またはコーティングされ得る。ヒドロゲルは、次いで、無線電力伝達能力を拡張させるために、受信機コイルに接続されることができる。いくつかの実施形態において、ヒドロゲルは、電気的および/または磁気的に活性であり、WPLPからの信号を伝送するためのアンテナとして使用されることができる。アンテナとしての機能を果たすヒドロゲルで充填される血管のある例が、本発明のある実施に従って、図7に図示される。WPLP700が、血管710の中に設置されるか、またはそれに接触させられ、血管は、次いで、ヒドロゲルでコーティングおよび/または充填される。実際に、限定ではないが、WPLPのためのより安定した係留点を提供すること、制御可能な薬物送達機構を提供すること、WPLPを絶縁すること、ペーシングの間に拡張された心筋の捕捉のための電極としての機能を果たすこと、化学物質および/または分子の感知を提供すること、および/または、本発明のある実施形態の具体的な用途の要件に対して適切な任意の数の機能性を含む、WPLPと併せてのヒドロゲルに関する任意の数の使用が、存在する。
【0067】
さらに、多くの実施形態において、適切な範囲のインピーダンス値を伴う生体適合性の電極材料が、使用され、心臓組織または静脈に電流を送達することができる。電極材料の例は、電気刺激を送達するために好適である、限定ではないが、金、白金、金イリジウム、白金イリジウム、PEDOT、および/または、本発明の実施形態の具体的な用途の要件に対して適切な任意の他の材料を含む。
【0068】
WPLPのための特定の回路網が、本発明のある実施に従って、図4、6A、および6Cに図示されているが、当業者は、任意の数の異なるアーキテクチャが、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、使用され得ることを理解することができる。WPLPを利用するための制御スキームおよびプロセスが、下記により詳細に議論される。
(制御スキーム)
【0069】
制御スキームは、WPLPの所与の組を制御するために利用される、電力伝達信号の数およびタイプを指す。多数の実施形態において、RF誘導または共鳴誘導結合が、WPLPを無線で給電するために使用される。種々の実施形態において、WPLPは、限定ではないが、他の非放射技法または放射技法を含む、他の無線電力伝達方法論を使用して給電される。とりわけ、RF誘導に関して、磁場は、コイルを通してRF電流を走流させることによって発生させられるので、「電力伝達信号」は、RF波形を指し、RF波形は、磁場、したがって受信器コイルにおける電流の変化に直接変換される。したがって、電力伝達信号は、RF誘導を介して伝送されることができる。同様に、放射無線電力伝達システム内の電力伝達信号は、放射電磁波であると理解されることができる。電力伝達信号は、WPLPを直接制御するために変調されることができる。
【0070】
制御される必要があるWPLPの数に応じて、異なる制御スキームが、利用されることができる。多数の実施形態において、単一のWPLPを制御するための基本制御スキームが、低電力の電力伝達信号を使用して長い期間にわたり充電することを可能にする。しかしながら、種々の実施形態において、基本制御スキームは、単一の周波数電力伝達信号、または異なる周波数における複数の電力伝達信号を使用して、複数のWPLPを制御するために修正されることができ、それらの両方は、下で議論される。
【0071】
多くの実施形態において、基本制御スキームは、パルス変調電力伝達信号を使用して制御される単一のWPLPを伴う。本発明のある実施形態による基本制御スキームが、図8に図示される。基本制御スキーム800は、特定の周波数において、WPLPに電力伝達信号を伝送することを含む(810)。WPLPは、電力伝達信号が伝送されている間、それを使用して充電される(820)。電力伝達信号が、終結される(830)と、WPLPは、心臓組織を刺激するために貯蔵された電力を放電する(840)。
【0072】
本発明のある実施形態による、基本制御スキームのための例示的電力伝達信号が、図9に図示される。電力伝達信号(上)は、ゼロ振幅の期間によって中断される規則的な周期的信号である。WPLPからの結果として生じる放電された刺激パルスが、ゼロの振幅間隙によってトリガされる。この基本制御スキームは、全ての電力が即座に放電されることを要求するWPLPに優るエネルギー効率の有意な利得をもたらすことができる。
【0073】
基本制御スキームは、いくつかの方法のいずれかで構築されることができる。例えば、基本制御スキームの複数の反復が、周波数分割制御スキームを使用して同時に使用されることができる。WPLPの異なる組(または各個々のWPLP)のために異なる周波数を利用することによって、およびそれらの特定の周波数に対してそれぞれのWPLPを調整することによって、コントローラは、複数のWPLPを制御することができる。本発明のある実施形態による周波数分割制御スキームが、図10に図示される。
【0074】
周波数分割制御スキーム1000は、第1の周波数において第1の電力伝達信号を第1のWPLPに伝送すること(1010)と、第2の周波数において第2の電力伝達信号を第2のWPLPに伝送すること(1020)とを含む。基本制御スキームと同様、第1の電力伝達信号が、終結される(1030)と、第1のWPLPが、放電するようにトリガされ、第2の電力伝達信号が、終結される(1040)と、第2のWPLPが、放電するようにトリガされる。このように、複数の同時の信号を伝送することが可能なコントローラは、複数のWPLPを制御するために使用されることができる。種々の実施形態において、コントローラは、療法的様式において、複数のWPLPの放電を同期させることができる。
【0075】
しかしながら、多くの状況において、利用されている周波数の総数を低減させることが、望ましくあり得る。多くの実施形態において、ラベル分割制御スキームが、利用されることができ、それによって、電力伝達信号が、制御情報を用いて変調される。例えば、WPLPは、固有のラベルを割り当てられることができ、固有のラベルは、指定されたWPLPが発射を開始すべきことを示す電力伝達信号にエンコードされることができる。このように、第1のWPLPが、第2のWPLPの前に、特定の療法刺激パターンに対して、適宜、発射するようにトリガされることができる。本発明のある実施形態による例示的ラベル分割制御スキームが、図11に図示される。
【0076】
ラベル分割制御スキーム1100は、制御情報を用いて電力伝達信号をエンコードすること(1110)と、ラベルエンコードされた電力伝達信号を第1および第2のWPLPの両方に伝送すること(1120)とを含む。充電の後であるが、電力伝達信号が、依然として伝送されている間、心臓組織が、エンコードされた制御情報に基づいて、第1のWPLPを使用して刺激される(1130)。ラベルエンコードされた電力伝達信号の伝送が、終結され(1140)、心臓が、第2のWPLPを使用して刺激される(1150)。しかしながら、図11に図示されるラベル分割制御スキームは、ラベル分割制御スキームの多くの異なる実施形態のうちの1つである。任意の数の異なるラベル分割制御スキームが、電力伝達信号にエンコード可能である、コマンドを選択および実装することによって発生させられることができる。実際に、多くの実施形態において、いくつかのWPLPが、ラベル分割スキームにおいて電力伝達信号をデコードする必要がなく、代わりに、基本制御スキームに依拠し得る。コード分割スキーム下で、WPLPは、次いで、同期化を調整するために別個に制御されることができる。
【0077】
実際に、電力伝達を多重化するための任意の数の異なる複雑な制御スキーム(限定ではないが、時分割スキーム、コード分割スキーム、および/または、異なる変調スキームを利用する他の複雑なコード分割スキーム、および/または、本発明の実施形態の具体的な用途の要件に対して適切な任意の他の多重化プロセスを含む)が、構築されることができる。種々の実施形態において、追加の回路網が、本発明の実施形態の具体的な用途の要件に対して、適宜、WPLPに追加され、限定ではないが、カウンタ、クロック回路網、復号化回路、および/または任意の他の回路等のより複雑な制御スキームを可能にすることができる。当業者は、異なる多重化技法が、使用されながら、依然として、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、本明細書に説明されるWPLPによって提供される効率の向上を提供し得ることを理解するであろう。WPLPを使用する治療が、下記にさらに詳細に説明される。
(WPLPベースの治療)
【0078】
WPLPは、いくつかの異なる心臓の病状のいずれかの治療において使用されることができる。本明細書に説明されるWPLPの利点は、WPLPの同期化が、より複雑な治療を可能にすることである。例えば、多くの実施形態において、異なるWPLPが、不整脈に応答して、特定のそれぞれの電圧を用いて、特定のパターンにおいて、不整脈が消滅させられるまで、発射するようにトリガされることができる。いくつかの実施形態において、WPLPは、二相および/または単相の波形を生産することが可能である。さらに、WPLPは、心臓の組織の上および/または中の両方に埋め込まれることができる。その結果、WPLPは、非常に適応性があり、いくつかの異なる病状のいずれかを治療するために、医療従事者の裁量において設置されることができる。非包括的な例示的治療の組が、下記に説明される。
(A.心臓再同期化療法)
【0079】
いくつかの実施形態において、2つ以上のWPLPが、右心室および左心室上に設置されることができる。WPLPは、給電され、全て一度に、またはペースメーカ間遅延を伴って刺激を提供することができる。この遅延は、事前決定され、プログラムされることができるか、または、制御情報を使用して、時間とともに変更されることができる。遅延は、0~約200msecで変動し得る。種々の実施形態において、左心室の中のWPLPが、右心室の中のWPLPと同時に、それより早く、またはそれより遅くペーシングすることができる。
(B.除細動:)
【0080】
いくつかの実施形態において、2つ以上のWPLPが、左心房および右心房上に設置され、不整脈を治療することができる。2つ以上のWPLPが、左心房を横断して巻くマーシャル静脈の中に送達されることができる。他の実施形態において、2つ以上のWPLPが、右心房および左心房の中の心膜内に設置されることができる。いくつかの実施形態において、心膜内および心膜外に設置されたWPLPの組み合わせが、除細動を提供するために使用されることができる。
【0081】
種々の実施形態において、左心室および右心室の中に設置された2つ以上のWPLPが、心室不整脈を消滅させるために使用されることができる。いくつかの実施形態において、2つ以上のWPLPが、左心房および左心室の境界を横断する管状静脈洞の中に送達されることができる。多数の実施形態において、2つ以上のWPLPが、右心室および左心室の中の心膜内に設置されることができる。
(C.伝導速度:)
【0082】
いくつかの実施形態において、2つ以上のWPLPが、心筋の瘢痕化によって引き起こされるリエントリ性不整脈を治療するために使用されることができる。種々の実施形態において、2つ以上のWPLPが、心室の瘢痕を横断して設置される同期性のペーシングを提供することができる。片側において感知された信号が、ペーシングの率およびタイミングを制御することができる。リエントリ性不整脈は、入射波面より早期に心筋を捕捉することによって不応性心筋組織を生成することによって、消滅させられることができる。
【0083】
多くの実施形態において、WPLPと併せて使用される、感知ノード(または有線感知要素)の形態にある埋め込み式医療用デバイスが、リエントリの始まりに伴う伝導速度の変化を算出することができる。感知ノードは、リアルタイムの伝導速度の具体的な漸増のために使用されることができる。
(D.ロータのマッピング:)
【0084】
いくつかの実施形態において、感知ノードが、心房を横断して分散され、心房細動につながるロータをマッピングすることができる。いくつかの実施形態において、感知されたデータが、ローカルで、または身体の中の他所に設置される、または身体の外部に(対外的に)保たれるデバイス上で処理され、優位周波数、編成指数、および/または他のメトリックを算出することができる。これらのメトリックは、心房内で不整脈をマッピングすることに寄与することができ、これらの異常な律動を消滅させる療法に寄与することができる。
(E.リアルタイムマッピング:)
【0085】
種々の実施形態において、感知ノードが、心房および心室のうちのいずれかまたは両方にわたって分配され、リアルタイムマッピングを生成するためのリアルタイムの感知情報を提供することができる。感知ノードから収集されたデータは、ノード上でローカルに、または身体の内側または外側上に設置されるデバイス上で、または身体の外部にあるデバイス上で処理されることができる。
(F.要望に応じた治療)
【0086】
実際に、特定の異なる治療が、上記に説明されているが、それらのいずれも、患者に対して、適宜、担当する医療従事者の裁量において、異なる場所の中に埋め込まれる異なる数の埋め込まれるWPLPを使用して、実施されることができる。さらに、WPLPの制御可能な性質を前提として、治療が、医療環境の外側において要望に応じて送達されることができる。例えば、多数の実施形態において、コントローラが、不整脈が、患者自身によって、または感知デバイスによってのいずれかで検出されると、これが生じる際に、コントローラをトリガし、不整脈の治療を行い得る患者とともに携行されることができる。
【0087】
多くの実施形態において、コントローラが、スマートフォンを使用して実装され、それによって、スマートフォンの誘導電力伝達コイルが、WPLPを要求に応じて給電するために、胸部に保持されることができる。種々の実施形態において、スマートフォンが、患者によって、医療従事者によって、または自動的に、のいずれかで選択され得る適切な応答を用いてプログラムされることができる。しかしながら、多数の実施形態において、コントローラは、特定の目的のために構築されるコントローラデバイスである。
【0088】
種々の実施形態において、コントローラは、患者の中に、比較的にアクセスしやすい場所において埋め込まれる。多くの実施形態において、コントローラは、皮下に埋め込まれる。さらに、追加の制御デバイスが、埋め込まれたコントローラとリンクし、それに遠隔でコマンドするために使用されることができる。
【0089】
同期させられる心臓刺激のための具体的方法が、上記に議論されているが、多くの異なる方法が、本発明の多くの異なる実施形態に従って実装されることができる。したがって、本発明が、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、具体的に説明されるもの以外の方法において実践され得ることを理解されたい。したがって、本発明の実施形態は、全ての点で、例証的であり、かつ制限的ではないと見なされるべきである。故に、本発明の範囲は、例証される実施形態によってではなく、添付の請求項およびそれらの均等物によって決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】