(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】弁膜逆流症施術およびペースメーカリード固定装置
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20220111BHJP
A61N 1/36 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
A61F2/24
A61N1/36
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021527922
(86)(22)【出願日】2018-11-23
(85)【翻訳文提出日】2021-05-19
(86)【国際出願番号】 KR2018014554
(87)【国際公開番号】W WO2020105768
(87)【国際公開日】2020-05-28
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516235978
【氏名又は名称】タウ ピーエヌユー メディカル カンパニー, リミテッド
【住所又は居所原語表記】#6109,Engineering Bldg.#6,2,Busandaehak-ro 63beon-gil Geumjeong-gu Busan 46241 Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジュン ホン
【テーマコード(参考)】
4C053
4C097
【Fターム(参考)】
4C053JJ15
4C053JJ23
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC05
4C097SB09
(57)【要約】
【課題】
本発明は弁膜逆流症施術およびペースメーカリード固定装置に関し、さらに詳細には、一つの装置を利用して僧帽弁膜逆流症および三尖弁膜逆流症を施術し、ペースメーカのリードを心室中隔に固定する弁膜逆流症施術およびペースメーカリード固定装置に関する。
【解決手段】
本発明による弁膜逆流症施術およびペースメーカリード固定装置はセルクラージュワイヤ、内部に前記セルクラージュワイヤを挿入するための通孔が形成され、冠状静脈洞に挿入される冠状静脈洞チューブ、内部に前記セルクラージュワイヤを挿入するための通孔が形成され、三尖弁膜を横断し、三尖弁膜と心室中隔組織を保護する三尖弁膜チューブ、前記三尖弁膜チューブに結合され、終端が心室中隔を向いているリード挿入チューブおよび前記リード挿入チューブに挿入されて終端がヒス(his)に挿入されるペースメーカリードを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁膜逆流症施術およびペースメーカリード固定装置において、
セルクラージュワイヤ;
内部に前記セルクラージュワイヤを挿入するための通孔が形成され、冠状静脈洞に挿入される冠状静脈洞チューブ;
内部に通孔が形成され、三尖弁膜を横断し、三尖弁膜と心室中隔組織を保護する三尖弁膜チューブ;および
終端がヒス(his)に挿入されるペースメーカリード;を含む、装置。
【請求項2】
前記セルクラージュワイヤは
一側に冠状静脈洞を保護するアーチ部が結合されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ペースメーカリードの上部は前記三尖弁膜チューブと結合され、下部は分離されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ペースメーカリードの終端は、心室中隔を容易に穿孔して入るようにスクリュー形状を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ペースメーカリードは一側に方向調節装置が設置され、
前記方向調節装置を調節することによって他側が曲がったり伸びることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
弁膜逆流症施術およびペースメーカリード固定装置において、
セルクラージュワイヤ;
内部に前記セルクラージュワイヤを挿入するための通孔が形成され、冠状静脈洞に挿入される冠状静脈洞チューブ;
内部に前記セルクラージュワイヤを挿入するための通孔が形成され、三尖弁膜を横断し、三尖弁膜と心室中隔組織を保護する三尖弁膜チューブ;
前記三尖弁膜チューブに結合され、終端が心室中隔を向いているリード挿入チューブ;および
前記リード挿入チューブに挿入されて終端がヒス(his)に挿入されるペースメーカリード;を含む、装置。
【請求項7】
前記セルクラージュワイヤは
一側に冠状静脈洞を保護するアーチ部が結合されることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ペースメーカリードは一側に方向調節装置が設置され、
前記方向調節装置を調節することによって他側が曲がったり伸びることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記ペースメーカリードの終端は心室中隔を容易に穿孔して入るようにスクリュー形状を有することを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は弁膜逆流症施術およびペースメーカリード固定装置に関し、さらに詳細には、一つの装置を利用して僧帽弁膜逆流症および三尖弁膜逆流症を施術し、ペースメーカリードを心室中隔に固定する弁膜逆流症施術およびペースメーカリード固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓は2つの心房と2つの心室からなり、大動脈、大静脈、肺動脈、肺静脈などの4つの血管と連結されて血液の移動通路となる。
【0003】
心臓中央の心室中隔を基準として一側は右心房と右心室、他側は左心房と左心室に分けられる。右心房と右心室の間には三尖弁膜が存在し、左心房と左心室の間には僧帽弁膜が存在する。
【0004】
心臓は収縮と弛緩作用を繰り返すことによって、心臓がポンプの役割をして血液が血管に沿って流れることになる。心臓の収縮期には心臓内の血液が血管に前進するが、右側心臓では右心室から肺動脈に、左側心臓では左心室から大動脈に血液が移動することになる。
【0005】
しかし、心房と心室の間の膜が正しく作動しないと、心臓の収縮期に心室の血液が逆流することになる。右心房と右心室の間の三尖弁膜が正しく作動せずに右心室の血が右心房に逆流するのを「三尖弁膜逆流症」といい、左心房と左心室の間の僧帽弁膜が正しく作動せずに左心室の血が左心房に逆流するのを「僧帽弁膜逆流症」という。
【0006】
三尖弁膜逆流症は通常僧帽弁膜逆流症がある患者に発生し、心臓弁膜疾患のある患者は心臓機能が落ちることによって、心房細動、不整脈、心不全症などを誘発し得、これはペースメーカを体内に挿入して治療することができる。
【0007】
三尖弁膜逆流症、僧帽弁膜逆流症、心不全症は互いに連携して発病して三つの疾患を同時に保有している場合があり、このために三つの疾患を一度に治療するための装置が要求される。
【0008】
本発明者は韓国登録特許第10-1116867号、韓国登録特許第10-1231140号、韓国登録特許第10-1563172号、韓国登録特許第10-1581021号および韓国公開特許第10-2013-0074823号で僧帽弁膜逆流症を治療するための装置について特許出願をし、韓国公開特許第10-2017-0044065号および韓国公開特許第10-2015-0144568号で三尖弁膜逆流症を治療するための装置について特許出願をし、韓国公開特許第10-2016-0011530号および韓国公開特許第10-2016-0020887号でペースメーカリードの終端を位置させる装置について特許出願をした。
【0009】
本発明はこのような研究の一環であって、三つの施術がすべて必要な患者に一つの装置で僧帽弁膜逆流症施術、三尖弁膜逆流症施術およびペースメーカリードの終端を心室中隔に位置させるためのものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、一つの装置を利用して僧帽弁膜逆流症の治療、三尖弁膜逆流症の治療、ペースメーカリードの固定をするためのものである。
【0011】
さらに他の目的は、人体の胸を開いて心臓を切開する手術的方法ではなく、簡単にカテーテル技法を通じて最小限の侵襲で治療することができ、施術効果も高め得るカテーテルを通じての弁膜逆流症施術およびペースメーカリード固定装置を提供することである。
【0012】
本発明の目的は以上で言及した目的に制限されず、言及されていないさらに他の目的は以下の記載から本発明の技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解され得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は前記目的を達成するために、弁膜逆流症施術およびペースメーカリード固定装置は、セルクラージュワイヤ、内部に前記セルクラージュワイヤを挿入するための通孔が形成され、冠状静脈洞に挿入される冠状静脈洞チューブ、内部に通孔が形成され、三尖弁膜を横断し、三尖弁膜と心室中隔組織を保護する三尖弁膜チューブ;および終端がヒス(his)に挿入されるペースメーカリードを含む。
【0014】
前記セルクラージュワイヤは一側に冠状静脈洞を保護するアーチ部が結合されることを特徴とする。
【0015】
前記ペースメーカリードの上部は前記三尖弁膜チューブと結合され、下部は分離されていることを特徴とする。
【0016】
前記ペースメーカリードの終端は心室中隔を容易に穿孔して入るようにスクリュー形状を有することを特徴とする。
【0017】
前記ペースメーカリードは一側に方向調節装置が設置され、前記方向調節装置を調節することによって他側が曲がったり伸びることを特徴とする。
【0018】
さらに他の実施例によると、弁膜逆流症施術およびペースメーカリード固定装置は、セルクラージュワイヤ、内部に前記セルクラージュワイヤを挿入するための通孔が形成され、冠状静脈洞に挿入される冠状静脈洞チューブ、内部に前記セルクラージュワイヤを挿入するための通孔が形成され、三尖弁膜を横断し、三尖弁膜と心室中隔組織を保護する三尖弁膜チューブ、前記三尖弁膜チューブに結合され、終端が心室中隔を向いているリード挿入チューブ;および前記リード挿入チューブに挿入されて終端がヒス(his)に挿入されるペースメーカリード;を含む。
【0019】
前記セルクラージュワイヤは一側に冠状静脈洞を保護するアーチ部が結合されることを特徴とする。
【0020】
前記ペースメーカリードは一側に方向調節装置が設置され、前記方向調節装置を調節することによって他側が曲がったり伸びることを特徴とする。
【0021】
前記ペースメーカリードの終端は心室中隔を容易に穿孔して入るようにスクリュー形状を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
以上で説明した通り、本発明による弁膜逆流症施術およびペースメーカリード固定装置は、一つの装置で僧帽弁膜逆流症の治療、三尖弁膜逆流症の治療、心不全症の治療のためのペースメーカリードの固定のうち少なくとも一つの治療が必要な患者のために使うことができる。
【0023】
また、ペースメーカリードの終端が心電図を感知してヒスに挿入されるため、より効率的に電気刺激を伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の好ましい実施例に係る弁膜逆流症施術およびペースメーカリード固定装置の斜視図である。
【0025】
【
図2】本発明の好ましい実施例に係るペースメーカリードの斜視図である。
【0026】
【
図3】
図1の本発明の好ましい実施例に係る弁膜逆流症施術およびペースメーカリード固定装置の他の一例を示す斜視図である。
【0027】
【
図4】本発明の好ましい他の実施例に係る弁膜逆流症施術およびペースメーカリード固定装置の斜視図である。
【0028】
【
図5】
図4の本発明の好ましい他の実施例に係る弁膜逆流症施術およびペースメーカリード固定装置の他の一例を示す斜視図である。
【0029】
【
図6】本発明の好ましい実施例に係る弁膜逆流症施術およびペースメーカリード固定装置を利用して施術する方法のフローチャートである。
【0030】
【
図7】本発明の好ましい実施例に係るキャプチャーカテーテルの写真である。
【0031】
【符号の説明】
【0032】
10:セルクラージュワイヤ
【0033】
12:アーチ部
【0034】
20:冠状静脈洞チューブ
【0035】
30:三尖弁膜チューブ
【0036】
32:遮断部
【0037】
40:リード挿入チューブ
【0038】
50:ペースメーカリード
【0039】
52:胴体部
【0040】
54:方向調節装置
【0041】
60:ストッパー
【0042】
70:キャプチャーカテーテル
【0043】
72:メッシュ網
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の利点および特徴、そして、それらを達成する方法は、添付される図面とともに詳細に後述されている実施例を参照すると明確となるであろう。しかし、本発明は以下で開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現され得、ただし本実施例は本発明の開示を完全なものとし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は請求項の範疇によって定義されるのみである。
【0045】
以下、添付された図面を参照して本発明の実施のための具体的な内容を詳細に説明する。図面にかかわらず、同一部材番号は同一の構成要素を指し示し、「および/または」は言及されたアイテムのそれぞれおよび一つ以上のすべての組み合わせを含む。
【0046】
本明細書で使われた用語は実施例を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。本明細書で、単数形は文面で特に言及しない限り複数形も含む。明細書で使われる「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、言及された構成要素以外に一つ以上の他の構成要素の存在または追加を排除しない。
【0047】
特に定義しない限り、本明細書で使われるすべての用語(技術および科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に共通して理解され得る意味で使われ得るであろう。また、一般的に使われる辞書に定義されている用語は、明白に特に定義されていない限り、理想的にまたは過度に解釈されない。
【0048】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明することにする。
【0049】
図1は、本発明の好ましい実施例に係る弁膜逆流症施術およびペースメーカリード固定装置の斜視図である。
図1を参照すると、本発明の好ましい実施例に係る弁膜逆流症施術およびペースメーカリード固定装置は、セルクラージュワイヤ10、冠状静脈洞チューブ20、三尖弁膜チューブ30、ペースメーカリード50を含む。
【0050】
前記セルクラージュワイヤ10は冠状静脈洞、心室中隔、三尖弁膜に円を描くように連結されているという意味で付けられた名前であり、図面に図示された通り、円を描くように一つに連結されるものである。上部で前記セルクラージュワイヤ10を押したり引っ張ると、患者の心臓の大きさおよび心臓の形状に応じて適切な張力(tension)を維持するようにし、僧帽弁輪をしっかり掴むことができるようにして、僧帽弁輪を締め付ける役割をする。したがって、僧帽弁膜逆流症を治療できることになる。
【0051】
前記セルクラージュワイヤ10の一側にはアーチ部12が形成される。前記セルクラージュワイヤ10は冠状静脈洞に挿入されるが、冠状静脈洞の下に冠状動脈が位置することになると、前記セルクラージュワイヤ10によって冠状動脈に相当な外圧が加えられる。前記アーチ部12はこれを防止し、冠状動脈を保護するためのものである。
【0052】
前記冠状静脈洞チューブ20は前記セルクラージュワイヤ10が挿入され得る通孔(lumen)が内部に形成され、下部が冠状静脈洞に挿入されて冠状静脈洞を保護するためのものである。
【0053】
前記三尖弁膜チューブ30は内部に通孔が形成され、三尖弁膜の不完全な閉鎖によって発生する空間(orifice)を貫通して心室中隔に達するものである。前記三尖弁膜チューブ30は遮断部32を含み、前記遮断部32は三尖弁膜の不完全な閉鎖によって発生する空間を塞ぐ部分として遮断膜、遮断バルーンなどが使われる。前記遮断部32によって三尖弁膜逆流症を治療できることになる。
【0054】
前記三尖弁膜チューブ30の終端が心室中隔内に侵入することを防ぐために、前記三尖弁膜チューブ30の下端にストッパー60が設置される。これは前記三尖弁膜チューブ30が三尖弁膜の周囲に密着せずに浮いているようにして、前記三尖弁膜チューブ30による三尖弁膜の損傷を防止できるようにする。
【0055】
図2は、本発明の好ましい実施例に係るペースメーカリードの斜視図である。
【0056】
図2を参照すると、前記ペースメーカリード50の終端は心室中隔を容易に穿孔して入れるようにスクリュー形状を有し、胴体部52の外部は絶縁体で形成される。前記胴体部52は絶縁体を含まなくてもよいことは言うまでもない。絶縁体を含まない前記ペースメーカリード50の場合、前記胴体部52の厚さが薄く形成される。前記ペースメーカリード50は心臓の電気的信号を感知することができるためヒス(His)の位置を感知することができ、ヒスまたは心室中隔に電気的刺激を伝達する。
【0057】
前記ペースメーカリード50は前記三尖弁膜チューブ30に挿入され、下部が前記三尖弁膜チューブ30の外部にある。前記ペースメーカリード50の上端には方向調節装置54が設置され、前記方向調節装置54を調節することによって下部が曲がったり伸びることを特徴とする。したがって、前記方向調節装置54を調節して前記ペースメーカリード50の下部を動かしながら、心室中隔の心電図を感知してヒスの位置を把握することができ、感知したヒスの位置に前記ペースメーカリード50の終端を固定する。
【0058】
図3は、
図1の本発明の好ましい実施例に係る弁膜逆流症施術およびペースメーカリード固定装置の他の一例を示す斜視図である。
【0059】
図3を参照すると、前記ペースメーカリード50は前記三尖弁膜チューブ30の外部に結合され得る。前記ペースメーカリード50の上部は前記三尖弁膜チューブ30と結合されており、下部は分離されている。したがって前記ペースメーカリード50の上部に結合された前記方向調節装置54を調節することによって下部が曲がったり伸びたりしてヒスの位置を感知することができる。
【0060】
前記ペースメーカリード50を除いた他の構成要素は
図1および
図2で前述した通りである。
【0061】
図4は、本発明の好ましい他の実施例に係る弁膜逆流症施術およびペースメーカリード固定装置の斜視図である。
【0062】
図4を参照すると、本発明の好ましい実施例に係る弁膜逆流症施術およびペースメーカリード固定装置は、セルクラージュワイヤ10、冠状静脈洞チューブ20、三尖弁膜チューブ30、リード挿入チューブ40、ペースメーカリード50を含む。
【0063】
前記リード挿入チューブ40は内部に前記ペースメーカリード50を挿入するための通孔(lumen)が形成されており、上部は前記三尖弁膜チューブ30に挿入されて結合され、下部は分離されて前記三尖弁膜チューブ30の外部にあり、下端が心室中隔を向くように形成される。
【0064】
前記ペースメーカリード50は前記リード挿入チューブ40に挿入され、終端が心室中隔に到達すると前記方向調節装置54を調節して心室中隔の心電図を感知するために動く。ヒスの位置を感知した後、前記ペースメーカリード50の終端をヒスに固定する。
【0065】
前記リード挿入チューブ40以外の構成要素は
図1で前述した通りである。
【0066】
図5は、
図4の本発明の好ましい他の実施例に係る弁膜逆流症施術およびペースメーカリード固定装置の他の一例を示す斜視図である。
【0067】
図5を参照すると、前記リード挿入チューブ40は前記三尖弁膜チューブ30の外部に結合され得、前記リード挿入チューブ40の上部は前記三尖弁膜チューブ30の上部と結合され、下部は分離され、終端が心室中隔を向いていることを特徴とする。
【0068】
前記ペースメーカリード50は前記リード挿入チューブ40に挿入され、終端が心室中隔に到達すると前記方向調節装置54を調節して心室中隔の心電図を感知するために動く。ヒスの位置を感知した後、前記ペースメーカリード50の終端をヒスに固定する。
【0069】
図6は、本発明の好ましい実施例に係る弁膜逆流症施術およびペースメーカリード固定装置を利用して施術する方法のフローチャートである。
【0070】
図6を参照すると、まずセルクラージュワイヤを冠状静脈洞に挿入する段階(S10)は、セルクラージュワイヤ10を上大静脈、冠状静脈洞、中格静脈に移動させる段階である。
【0071】
前記セルクラージュワイヤ10の移動を容易にするために、バルーンカテーテル(図示されず)を含むことができる。前記バルーンカテーテル(図示されず)は、冠状静脈洞内の血流の流れを塞いで冠状静脈洞を膨らませて、一般的には確認し難い中格静脈が容易に見えるようにするものである。
【0072】
前記セルクラージュワイヤ10は中隔静脈を通じて心室中隔を通過して右心室に移動する。心室中隔を通過するために、前記セルクラージュワイヤ10は終端が尖っているように形成されているが、前記セルクラージュワイヤ10だけで心室中隔を穿孔し難い場合には穿孔カテーテル(図示されず)が必要である。穿孔カテーテル(図示されず)は前記セルクラージュワイヤ10が心室中隔を穿孔する時に支持する役割をして、前記セルクラージュワイヤ10がより容易に心室中隔を通過するようにする。
【0073】
次に、キャプチャーカテーテルを利用してセルクラージュワイヤをキャプチャーする段階(S20)である。キャプチャーカテーテル70は
図7に図示された通り、メッシュ網72が形成されており、前記メッシュ網72は体外から前記キャプチャーカテーテル70に加える力によって狭まれたり広げられ得る。前記キャプチャーカテーテル70は下大静脈、三尖弁膜、右心室に移動し、前記キャプチャーカテーテル70が安全に体内で移動するために、セーフティゾーン通過カテーテル(図示されず)をさらに含むことができる。前記メッシュ網72は右心室に移動する時は狭まれていて右心室で広げられ、前記セルクラージュワイヤ10が前記メッシュ網72に挿入される。前記メッシュ網72は再び狭まれて前記セルクラージュワイヤ10をキャプチャーした後に下大静脈を通じて体外に抜け出ることになる。この時、前記セルクラージュワイヤ10は一端が上大静脈、他端が下大静脈に位置することになる。
【0074】
次は、セルクラージュワイヤを上大静脈に誘導して張力を調節する段階(S30)である。下大静脈に誘導された前記セルクラージュワイヤ10は、上大静脈から挿入されるスネア(snare)またはフォーセプ(Forcep)などによって再び上大静脈に誘導され、両端がすべて上大静脈を通じて体外に位置する。したがって、前記セルクラージュワイヤ10は上大静脈、冠状静脈洞、中隔静脈、心室中隔、右心室を通過して再び上大静脈に位置して、円を描くように回って両端が体外に位置する。前記セルクラージュワイヤ10を押したり引っ張りながら患者の心臓の大きさおよび心臓の形状に応じて適切にtensionを維持し、僧帽弁輪をしっかり掴むことができるように締め付け、僧帽弁膜が完全に閉鎖され得るようにして僧帽弁膜逆流症を治療する。
【0075】
次は、弁膜逆流症施術およびペースメーカリード固定装置を挿入する段階(S40)である。体外にある前記セルクラージュワイヤ10の両端をそれぞれ前記冠状静脈洞チューブ20および前記三尖弁膜チューブ30に挿入させた後、前記冠状静脈洞チューブ20および前記三尖弁膜チューブ30が前記セルクラージュワイヤ10について体内に挿入される。この時、常時三尖弁膜チューブ30と結合されたペースメーカリード50は前記三尖弁膜チューブ30とともに右心房方向に挿入されることが好ましい。
【0076】
ストッパー60は前記三尖弁膜チューブ30の下端に結合されており、前記三尖弁膜チューブ30の下部に結合されてもよい。これは前記三尖弁膜チューブ30が三尖弁膜の周囲に密着せずに浮いているようにして、三尖弁膜の損傷を防止できるようにする。また、前記三尖弁膜チューブ30は前記遮断部32を含み、これは三尖弁膜の不完全な閉鎖現象によって発生する空間(orifice)に貫通して三尖弁膜が完全に閉鎖されるようにする。前記遮断部32は遮断膜、遮断バルーンなどの形態となり得る。
【0077】
最後に、ペースメーカリード固定段階(S50)である。前記ペースメーカリード50は上端に方向調節装置54が設置されて下部を曲げたり伸ばすように調節することができる。前記ペースメーカリード50は前記方向調節装置54によって下部を動かしながら心室中隔の心電図を感知してヒスの位置を把握し、感知されたヒスの位置にペースメーカリード50の終端を固定する。
【0078】
前述した段階によって、一つの装置で僧帽弁膜逆流症、三尖弁膜逆流症の施術およびペースメーカリードの固定をすることができる。一つの装置で三つの施術を同時にできるだけでなく、僧帽弁膜逆流症の治療、三尖弁膜逆流症の治療、心不全症の治療のためのペースメーカリード固定の三つの目的のうち、少なくとも一つ以上の目的のために使うことができる。
【0079】
また、ペースメーカリードの終端が心電図を感知してヒスに挿入されるため、より効率的に電気刺激を伝達することができる。
【0080】
以上、添付された図面を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施できることが理解できるであろう。したがって、以上で記述した実施例はすべての面において例示的なものであり、限定的ではないものと理解されるべきである。
【国際調査報告】