(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】溶媒フリーの製剤およびナノコンポジット
(51)【国際特許分類】
C08F 2/44 20060101AFI20220111BHJP
C09D 11/322 20140101ALI20220111BHJP
C09D 11/037 20140101ALI20220111BHJP
C09D 11/101 20140101ALI20220111BHJP
C09C 3/12 20060101ALI20220111BHJP
C09C 3/08 20060101ALI20220111BHJP
C09D 17/00 20060101ALI20220111BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20220111BHJP
C08K 9/04 20060101ALI20220111BHJP
C08K 5/37 20060101ALI20220111BHJP
C08K 9/06 20060101ALI20220111BHJP
C08F 292/00 20060101ALI20220111BHJP
C08F 2/50 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
C08F2/44 Z
C09D11/322
C09D11/037
C09D11/101
C09C3/12
C09C3/08
C09D17/00
C08L101/00
C08K9/04
C08K5/37
C08K9/06
C08F292/00
C08F2/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021527927
(86)(22)【出願日】2019-11-20
(85)【翻訳文提出日】2021-06-01
(86)【国際出願番号】 US2019062476
(87)【国際公開番号】W WO2020106884
(87)【国際公開日】2020-05-28
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512272281
【氏名又は名称】ピクセリジェント・テクノロジーズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】ガシュル,ピーター・クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ドルジン,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】モーゲンスターン,ジョセフ・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】スウィシャー,ロバート
【テーマコード(参考)】
4J002
4J011
4J026
4J037
4J039
【Fターム(参考)】
4J002AA001
4J002BC031
4J002BC131
4J002BG031
4J002BG041
4J002BG051
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4J039GA24
(57)【要約】
本開示は、30nm以下の金属酸化物ナノ結晶を埋め込んだ高屈折率アクリル製剤を提供するものである。この製剤は、溶媒フリー、低粘度、インクジェット可能(とりわけフィルム堆積技術)であり、OLED照明およびディスプレイの用途を含む様々な光学用途のための高屈折率、高透明度のナノコンポジットを製造する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的にキャップされた金属酸化物ナノ結晶と、少なくとも1つのモノマー、オリゴマー、またはポリマーを含むマトリックスとを含む製剤であって、例えば、少なくとも部分的にキャップされた金属酸化物ナノ結晶がマトリックス中に分散されており、金属酸化物が、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化ニオブ、または前記酸化物のうちの少なくとも2つの混合物である、5wt%未満の溶媒を含む製剤。
【請求項2】
硬化剤、界面活性剤、湿潤剤、酸化防止剤、接着促進剤、レベリング剤、分散剤(surfactant)、可塑剤、強靭剤、増粘剤、希釈剤、分散剤(dispersing agent)、柔軟剤、有機ドーパント、およびその他の機能性添加剤から独立に選択される1つまたは複数の薬剤を随意にさらに含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
マトリックスが、アクリラートおよび/またはメタクリラートのモノマーから独立に選択される1つまたは複数の薬剤と、反応性希釈剤と、硬化剤と、随意に、少なくとも1つの界面活性剤または少なくとも1つの湿潤剤とを含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
少なくとも部分的にキャップされたナノ結晶の平均粒径が、DLSまたはTEMで測定して、1~40nmの範囲、好ましくは30nm未満である、請求項1~3のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項5】
前記ナノ結晶が、メチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-オクチルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、m,p-エチルフェニルトリメトキシシラン、2-[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン、メトキシ(トリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-(アクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、およびグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、1-ヘキセニルトリメトキシシラン、1-オクテニルトリメトキシシラン、ヘプタノール、ヘキサノール、オクタノール、ベンジルアルコール、フェノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オレイルアルコール、ドデシルアルコール、オクタデカノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、オクタン酸、酢酸、プロピオン酸、2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸、オレイン酸、安息香酸、ステアリン酸、トリフルオロ酢酸、ビフェニル-4-カルボン酸、2-(2-メトキシエトキシ)酢酸、メタクリル酸、コハク酸モノ-2-(メタクリロイルオキシ)エチル、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのキャップ剤を用いて少なくとも部分的にキャップされた、請求項1~4のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項6】
製剤の20wt%~80wt%の範囲にある金属酸化物ナノ結晶の配合量を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項7】
高屈折率を有する単官能性のアクリラートおよび/またはメタクリラートのモノマー、例えば、ベンジルアクリラート、ベンジルメタクリラート(BAおよびBMA)、エチレングリコールフェニルエーテルアクリラート、エチレングリコールフェニルエーテルメタクリラート(PEAおよびPEMA)、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリラート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリラート(HPPAおよびHPPMA)、2-フェノキシベンジルアクリラート(PBA)、ビフェニルメタクリラート(BPMA)、2-フェニルフェノールメタクリラート(PPMA)、イソブチルアクリラート(IBA)、2-フェニルエチルアクリラート(2-PEA)、2-(フェニルチオ)エチルアクリラート(PTEA)、またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項8】
二、三、四、および/または五官能性のアクリラートおよび/またはメタクリラートのモノマー、例えば、1,6-ヘキサンジオールジアクリラート、1,6-ヘキサンジオールジ-メタクリラート(HDDAおよびHDDMA)、ジ(エチレングリコール)ジアクリラート、ジ(エチレングリコール)ジメタクリラート(DEGDAおよびDEGDMA)、エチレングリコールジアクリラート、グリセロール1,3-ジグリセロラートジアクリラート、トリ(プロピレングリコール)ジアクリラート、トリ(プロピレングリコール)ジアクリラート、トリ(プロピレングリコール)ジアクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、トリメチロールプロパントリ-メタクリラート(TMPTAおよびTMPTMA)、トリメチロールプロパンエトキシラートトリアクリラート、トリメチロールプロパンエトキシラートトリ-メタクリラート(EOTMPTAおよびEOTMPTMA)、1,6-ヘキサンジオールエトキシラートジアクリラート、ペンタエリスリトールテトラアクリラート(PETA)、ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリラート(DPHA)、またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項9】
反応性希釈剤、例えば、1-ビニル-2-ピロリドン(NVP)、N-ビニルカプロラクタム、2-(2-ビニルオキシエトキシ)エチルアクリラート、2-(2-ビニルオキシエトキシ)エチルメタクリラート、イソブチルアクリラート、スチレン(STY)、4-メチルスチレン(4MS)、4-ビニルアニソール(4VA)、およびジビニルベンゼン(DVB)をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の製剤であって、反応性希釈剤の重量パーセントが、全モノマー含有量に対して25~70wt%である製剤。
【請求項10】
二、三、および/または四官能性のチオール架橋剤、例えばトリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオナート)をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項11】
硫黄含有性の樹脂および/または接着剤、例えば硫黄含有性の市販の樹脂および/または接着剤、例えば#18109、#18165、#6205(NTT-AT)、ルミプラスLP-1100(LumipluS LP-1100)、LPB-1102、LPJ-1102、LPS-1130(三菱ガス化学(Mitsubishi Gas Chemical Company))、またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項12】
反応性有機ドーパント、例えばフェナントレン(PhA)または9-ビニルカルバゾール(NVCb)を、例えば1~50wt%の濃度範囲でさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項13】
アクリラートモノマー系において非反応性または反応性のいずれかである、界面活性剤または界面活性剤の組み合わせ、例えばポリエーテル変性シロキサン、フッ素系界面活性剤、をさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の製剤であって、全製剤中の前記界面活性剤の濃度が、0.1~2.0wt%の範囲、または0.5~1.0wt%の範囲である製剤。
【請求項14】
散乱粒子、例えば二酸化チタン、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、ならびに/または低いおよび高い屈折率のポリマー粒子を随意にさらに含み、散乱粒子サイズが100~400nmの範囲であり、全製剤中の前記散乱粒子の濃度が0.1~30.0wt%または0.5~17.0wt%の範囲である、請求項1~13のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項15】
硬化剤または光開始剤、例えばIrgacure 184(イルガキュア184)、イルガキュア819、TPO、エベルクリルP39(Ebercryl P39)、および/またはエベルクリルP115をさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の製剤であって、全製剤中の前記硬化剤または光開始剤の濃度が、モノマー含有量に対して0.1~20wt%または1.0~4.0wt%の範囲である製剤。
【請求項16】
ベンジルメタクリラート(BMA)またはトリメチロールプロパントリアクリラート(TMPTA)を含まない、請求項1~15のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項17】
製剤の粘度が、ブルックフィールドRVDV II+(Brookfield RVDV II+)コーンプレート型粘度計を用いて25℃で測定した場合に、5~100cPの範囲内であり、25℃でインクジェット印刷向けに好ましい粘度が、5~20cPであり、カートリッジ加熱が適用できる場合には、カートリッジ温度が35~100℃の場合に、25℃での粘度が、15~100cPのものとすることができる、または製剤の粘度が、5cP~10cP、または10cP~15cP、15cP~20cP、20cP~30cP、30cP~50cP、または50cP~100cPであり、25℃で測定した場合に、インクジェット印刷以外の堆積方法向けには、粘度が、100cP~1,000cP、1,000cP~5,000cP、5,000cP~12,000cPの範囲のものとすることができる、請求項16に記載の製剤。
【請求項18】
ナノ結晶配合量が、35~40重量%、40~45重量%、45~50重量%、50~55重量%、55~60重量%、60~65重量%、65~70重量%である、請求項17に記載の製剤。
【請求項19】
製剤の屈折率が、アッベ屈折計で測定して、589nmで1.52~1.56、1.56~1.58、1.58~1.60、1.60~1.62、または1.62~1.64、1.64~1.66、または1.66~1.68、または1.68~1.70、または1.70~1.72、または1.72~1.74、または1.76~1.78、または1.78~1.80、または1.80~1.82、または1.82~1.84、または1.84~1.86、または1.86~1.88、または1.88~1.90、または1.90~1.92、または1.92~1.94である、請求項17~18のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項20】
製剤の表面張力が、ラメ・ハート(Rame-Hart)表面張力計を用いて25℃で測定した場合に、20~25ダイン/cm、25~30ダイン/cm、30~35ダイン/cm、または35~40ダイン/cmの範囲内である、請求項17~19のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項21】
製剤の%Tが、可視波長(400~700nm)で99%~95%、または95%~90%、または90%~85%、または85%~80%、80%~75%、または75%~70%、または70%~65%、または65%~60%、または60%~55%、または55%~50%、または50%~45%、または45%~40%、または40%~35%、または35%~30%、または30%~25%、または25%~20%、または20%~15%、または15%~10%である、請求項17~20のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項22】
ジマトリクスDMC(Dimatix DMC)、富士フィルムSG1024/MA(Fujifilm SG1024/MA)、コニカミノルタKM1024i(Konica Minolta KM1024i)などの印刷ヘッドタイプから、3~9m/sの滴下速度、6~40pLの小液滴体積で吐出することができる、インクジェット印刷可能な、例えば製剤の小液滴である、請求項1~21のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項23】
スピン塗布、スロットダイ塗布、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ナノインプリント、フォトパターニング、3D印刷、浸漬塗布、ドロー・バー(draw-bar)塗布、ロール・ツー・ロール(roll-to-roll)印刷、噴霧塗布、分注、ボリューム・キャスティング(volume casting)、スクリーン印刷、またはそれらのいずれかの組み合わせを通じて、請求項1~22のいずれか一項に記載の製剤を表面に塗布して、塗布された製剤を随意に硬化させることを含む工程から準備されたナノコンポジットフィルム。
【請求項24】
製剤が、365nm、385nm、395nm、または405nmの波長を有するUVのLED源の下で、または水銀「D」、「H」、および/または「V」ランプを通じて、0.1~10J/cm
2、または0.5~2J/cm
2の範囲のUV照射量でのUV照射を通じて硬化または部分的に硬化する、請求項1~23のいずれか一項に記載の硬化したまたは部分的に硬化した製剤を含むナノコンポジット。
【請求項25】
50ナノメートルから100マイクロメートル、または0.5マイクロメートルから20マイクロメートルの範囲の厚さを有するフィルムである、請求項24に記載のナノコンポジット。
【請求項26】
10ミクロン未満の厚さにおける硬化した、または部分的に硬化したナノコンポジットの%Tが、400nm~700nmの可視波長で99%~95%、または95%~90%、または90%~85%、または85%~80%、80%~75%、または75%~70%、または70%~65%、または65%~60%、または60%~55%、または55%~50%、または50%~45%、または45%~40%、または40%~35%、または35%~30%、または30%~25%、または25%~20%、または20%~15%、または15%~10%である、実施形態23~25のいずれか一項に記載のナノコンポジット。
【請求項27】
硬化した、または部分的に硬化したナノコンポジットが、550nmで1.54~1.56、1.56~1.58、1.58~1.60、1.60~1.62、または1.62~1.64、1.64~1.66、または1.66~1.68、または1.68~1.70、または1.70~1.72、または1.72~1.74、または1.76~1.78、または1.78~1.80、または1.80~1.82、または1.82~1.84、または1.84~1.86、または1.86~1.88、または1.88~1.90、または1.90~1.92、または1.92~1.94、または1.94~1.96、または1.96~1.98、または1.98~2.00の屈折率を有する、実施形態23~26のいずれか一項に記載のナノコンポジット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年11月20日に出願された米国仮出願第62/769,696号、および2019年8月28日に出願された米国仮出願第62/892,610号の優先権を主張するものであり、これらの内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本明細書に記載の溶媒フリーのポリマーナノコンポジット製剤は、低粘度、高屈折率、および可視スペクトルにおける高い光透過率を示す。本開示の材料は、多くの電子機器用途向けに、所望の基材の表面に容易に、一般的な溶液塗布工程、例えばインクジェット印刷、スピン塗布、スクリーン印刷、浸漬、分注、ロール・ツー・ロール、スロットダイ、ドロー・バー(draw bar)、または噴霧塗布を通じて塗布される。本開示のナノコンポジットは、有機発光ダイオード(OLED)用途などの電子機器用途で望ましい、高屈折率および高透明度のフィルムまたは塗膜または層を提供する点で独自であり、有機発光ダイオード用途では、これらの特性が性能に重要である。本明細書に記載されている塗膜の厚さは、数十ナノメートルからミリメートルの範囲である場合があり、これは、特定の用途に必要とされるものである。
【0003】
OLEDは、光出力の方向に基づいて、ボトムエミッション型またはトップエミッション型として区別することができる。ボトムエミッション型のOLEDは、テレビなどの大型パネルに使用され、トップエミッション型のOLEDは、小型のモバイル機器用途に使用される。トップエミッション型のOLED装置は、薄膜トランジスタ構造の上の、反射層、ITOアノード、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、発光層(EML)、電子輸送層(ETL)、電子注入層(EIL)、半透明の金属カソード、キャップ層からなる。発光部から発生した光は、半透明の金属カソードを通過する。発生した光のうちOLED装置から取り出せるのは少量(~25%)だけであり、これは、導波路や積層内の表面プラズモンモードに光が捕捉される可能性があるためである。加えて、光の一部は、薄膜封止層間の屈折率の不整合のせいで、それらの封止層を通じて反射されて装置に戻る。この構造で光効率を向上させるためには、無機パッシベーション層の間や薄膜封止層と他の層との間の導波路トラップモードを除去するために高屈折率(HRI)層が必要である。この導波路トラップモードは、屈折率整合性のあるHRI層を用いることによってのみ解決される。約1.7以上の屈折率を有する高屈折率で高透明度の塗膜が、本開示の材料を用いて製造され、OLED照明やこれを含むディスプレイ装置の効果を劇的に高める。
【0004】
インクジェット印刷は、信頼性の高い有機パッシベーション層や平坦化層を堆積させることを含め、OLED装置を製造する重要な工程である。また、インクジェット印刷は、費用対効果が高く、真空の要らない工程が可能になる。インクジェット印刷装置は、意図したインク製剤を様々な基材に効果的に堆積させ、無駄のほとんどまたはまったくない効率的な材料転写を実現する。また、インクジェット印刷は、特定の厚さの単純なフィルムや、所与の用途に必要なもっと複雑なパターンの高速な堆積を可能にする。
【0005】
製剤粘度は、インクジェット印刷への適用性を判断するための重要なパラメータの1つである。実例としては、インクジェット印刷には、通常、25℃で5~20cPの値が必要である。印刷ヘッドの加熱を利用する場合は、より高い粘度が許される。印刷ヘッドの加熱能力に応じて、25℃の粘度を100cPという高さにし、約60~100℃の高温では粘度を5~20cPの範囲内に下げることができる。製剤粘度をこの狭い範囲に下げることによって、重要なモノマー、オリゴマー、ポリマーの選択やナノ粒子の配合量を実現する必要がある。屈折率が充分に高い低粘度のマトリックス材料により、フィルムの最終的な所望の屈折率に達するのに充分なナノ粒子の配合量が可能になる。低粘度で高屈折率のモノマー、オリゴマー、ポリマーを見出すことは難題であることが多いが、その理由は、これらの特性が一般的に一緒に増加するためである。
【0006】
インクは、製剤粘度に加えて、安定した液滴の吐出に適した表面張力のみならず、所望の基材上での充分な濡れ性を有する必要がある。インクジェット印刷における表面張力の典型的な範囲は、20~35ダイン/cmであり、粘度および密度などの他の流体特性や、液滴体積および滴下速度などのインクジェットパラメータに依存する。液滴がノズルから吐出されると、リガメント、すなわち尾引きが現れて収縮し、球状の液滴を形成する。リガメントの収縮速度が速やかに収縮しなかったり、長すぎたりすると、小さなサテライトが形成されて、印刷されたフィルムに問題が生じる可能性がある。尾引きやサテライトのない安定した液滴の吐出が、最適な噴射性能と印刷の均一性にとって重要である。加えてインクは、製造性のためには長期間安定しているのが望ましい。シェルフライフ、すなわち使用前の時間は、何ヶ月にもなるのが望ましく、ポットライフ、使用中の時間と、噴射安定性は、1日以上を対象としているのが望ましい。
【0007】
他の堆積技術、例えばスロットダイ塗布、またはスピン塗布、またはドローダウン(drawdown)、またはスクリーン印刷フィルム、ディスペンシング・レンズ(dispensing lens)が、本明細書に記載の開示された製剤に適用可能である。高配合量のナノ粒子およびありうる高粘度成分(例えば、架橋剤、オリゴマー、およびポリマー)、ならびに高屈折率値を、他の物理的特性に加えて有する高粘度製剤が実現される可能性がある。これらの様々な堆積技術に適した粘度の関連する範囲は、5~12,000cPの範囲、または12,000cPより大きい可能性がある。
【0008】
本開示の製剤には、溶媒フリーの製剤が好ましいものの、インクジェット印刷に特有のさらに低い粘度を維持するよう、少量の溶媒が許される。製剤は、開示された発明の下で、「溶媒フリー」または「溶媒不使用」のいずれかとすることができる。「溶媒フリー」の製剤は、全製剤に関して、5wt%未満の溶媒、または0から5wt%間、好ましくは0から1wt%の間の溶媒を含有する。「溶媒不使用」の製剤は、全製剤に関して5から20wt%の間の溶媒を含有する。
【0009】
溶媒フリーの製剤は、硬化した層からの有機種の脱ガスを最小限に抑える必要があることに起因して、OLED用途に最も望ましい。揮発性有機物の脱ガスは、OLEDディスプレイ装置の多層構造内で問題を引き起こす可能性があり、処理ステップ(例えば、インジウム-スズ酸化物またはITOの堆積)または装置の動作の間、時間が経つにつれ装置故障につながる。従来、溶媒含有材料を使用して、溶液工程、例えばインクジェット印刷、スピン塗布、スクリーン印刷、浸漬、分注、ロール・ツー・ロール、スロットダイ、ドロー・バー、噴霧塗布によりポリマーフィルムを堆積させてきた。OLEDを含む電子装置では、電気部品や光学部品にも溶媒含有材料が使用されてきた。しかし、これらの溶媒含有材料は、堆積後に熱処理をして溶媒を除去しても、装置の性能や工程に悪影響を及ぼす。有機装置における主要な劣化問題の1つは、装置の効率と寿命を低下させる塗布されたフィルムの中の残留溶媒である。このような、そしてその他の問題を抑え、真空チャンバー乾燥のような高価で時間のかかる工程をなくすために、溶媒フリーの溶液処理可能な材料が開発されつつある。さらに、溶媒フリーの製剤であれば、装置内で次の層を堆積させる前に行うことになる、硬化させるフィルムの処理工程(プレベーキングやポストベーキング)を減らせるであろう。理想的には、溶媒フリーのUV硬化性製剤であれば、堆積後のフィルムの硬化を高速かつ簡単に行うことができるであろう。
【0010】
溶媒フリーの製剤の屈折率は、隣接層の屈折率と整合する、または密に整合するように設計される。ナノコンポジット層の屈折率の値は、可視波長においてITOや窒化ケイ素などの無機層の屈折率(1.8~2.1)に対応するよう、好ましくは1.6~2.0である。高屈折率無機酸化物、例えば酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化亜鉛、酸化タンタル、および酸化ニオブのナノ結晶は、この指定された範囲の値を実現することができる。40nm未満で合成して、分散性に適したキャップ剤でキャップする場合には、キャップされた金属酸化物は、適切なモノマー、オリゴマー、ポリマーに35~90%の配合量で分散させることができ、そして可視光領域にわたり1.6~2.0の範囲の屈折率値を有するフィルムを作ることが可能な安定した分散物を生じさせることができる。さらに屈折率の低い無機酸化物、例えば二酸化ケイ素や酸化ゲルマニウムであれば、所望の範囲の値を得ることができないか、または最終的に所望の高屈折率の値に到達するためには非常に高い配合量が必要となるかのいずれかであろう。また、ナノ粒子を高配合量にすると、典型的には粘度が非常に高くなり、この粘度では、インクジェット印刷などの特定の堆積工程向けのある種の製剤はその対象外となる。
【0011】
スマートウィンドウ、センサ、CMOSセンサ、LED、ミニLED、マイクロLED、有機LED(OLED)、量子LED(QLED)、タッチスクリーン、ディスプレイ、フレキシブルエレクトロニクス、プリンテッドエレクトロニクス、自浄性表面、拡張現実(AR)、複合現実(MR)、仮想現実(VR)、導波路、光抽出、3Dセンサにおける、高屈折率材料または屈折率整合材料としての用途を意図したナノコンポジット製剤。製剤とフィルムの透明度は、ナノ粒子のサイズと分布に強く関連している。粒子サイズが40nm以下のものを合成して維持することにより、製剤やフィルムは、可視スペクトルにわたって光の高透過率(>95%)を可能にする。40nmより大きい粒子は光を散乱させる傾向があり、材料の透過率の全体的な低下を生じる。また、分散物が長期的に安定していない場合であれば、凝集した粒子がこの散乱の問題を引き起こす可能性がある。不安定な分散物は、意図した有機マトリックス用に充分な、または適切なキャップ剤を用いて適切にキャップされていない粒子を有する可能性が高い。加えて、粒子サイズが小さくサイズ分布が狭く、製剤中に凝集体がないことで、粘度を大幅に増加させることなく、高いナノ結晶配合量が可能になる結果、高屈折率、高透明度、低粘度の製剤が得られる。
【0012】
最後に、インクジェット印刷を目的として発明された高RIインク製剤は、高い製造性の用途向けに、長期間にわたって安定した噴射性を有することが必要である。インク中の成分は、インクジェットノズル内の残留物が粘度を著しく上昇させないよう、低揮発性である必要がある。これは、ノズルの目詰まりや印刷されたフィルムの欠陥、例えば筋やピンホールにつながる。この問題を抱えたインクであれば、目詰まりを防ぐために、印刷ヘッドを常時使用する、または頻繁にパージする必要がある可能性がある。産業界からは、何分から何時間にもわたって、極端な場合には何日にもわたってしばらく噴射を行わない期間が求められている。
【発明の概要】
【0013】
本開示は、硬化剤を有する有機マトリックス中にキャップされた金属酸化物ナノ結晶を含む、溶媒フリーの、低粘度、高屈折率、UV硬化性の製剤を提供する。前記製剤は、以下の成分:湿潤剤、酸化防止剤、接着促進剤、レベリング剤、分散剤(dispersing agent)、可塑剤、強靭剤、増粘剤、希釈剤、分散剤(dispersant)、または柔軟剤、または有機ドーパント、または他の機能性添加剤、のいずれかをさらに含む。これらの製剤から、高屈折率、高透明度のナノコンポジットが得られる。
【0014】
本開示は、開示された技術のさらなる例として、以下の非限定的で番号付けされた実施形態を提供する:
1. 少なくとも部分的にキャップされた金属酸化物ナノ結晶の分散物と、少なくとも1つのモノマー、オリゴマー、またはポリマーを含むマトリックスとを含む製剤であって、随意に、硬化剤、界面活性剤、湿潤剤、酸化防止剤、接着促進剤、レベリング剤、分散剤(dispersing agent)、可塑剤、強靭剤、増粘剤、希釈剤、分散剤(dispersant)、または柔軟剤、または有機ドーパント、または他の機能性添加剤をさらに含む製剤。
2. マトリックスが、1つまたは複数のアクリラートおよび/またはメタクリラートのモノマーと、反応性希釈剤と、硬化剤と、随意に、少なくとも1つの界面活性剤または湿潤剤とを含む、実施形態1に記載の製剤。
3. 前記金属酸化物ナノ結晶が、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化ニオブ、または前記酸化物の少なくとも2つの混合物である、実施形態1~2に記載の製剤。
4. 少なくとも部分的にキャップされたナノ結晶の平均粒径が、DLSまたはTEMで測定して、1~30nmの範囲、好ましくは20nm未満である、実施形態1~2のいずれか1つに記載の製剤。
5. 前記ナノ結晶が、メチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-オクチルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、m,p-エチルフェニルトリメトキシシラン、2-[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン、メトキシ(トリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-(アクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、およびグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、1-ヘキセニルトリメトキシシラン、1-オクテニルトリメトキシシラン、ヘプタノール、ヘキサノール、オクタノール、ベンジルアルコール、フェノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オレイルアルコール、ドデシルアルコール、オクタデカノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、オクタン酸、酢酸、プロピオン酸、2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸、オレイン酸、安息香酸、ステアリン酸、トリフルオロ酢酸、ビフェニル-4-カルボン酸、2-(2-メトキシエトキシ)酢酸、メタクリル酸、コハク酸モノ-2-(メタクリロイルオキシ)エチル、またはそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのキャップ剤を用いて少なくとも部分的にキャップされた、実施形態1~4に記載の製剤。
6. 実施形態1~5の製剤は、製剤の20から80wt%の範囲にある金属酸化物ナノ結晶の配合量を含む。
7. 前記金属酸化物ナノ結晶が少なくとも部分的にキャップされた、実施形態1~6に記載の製剤であって、高屈折率の単官能性のアクリラートおよび/またはメタクリラートのモノマー、例えば、ベンジル(メト)アクリラート(BAおよびBMA)、エチレングリコールフェニルエーテル(メト)アクリラート(PEAおよびPEMA)、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メト)アクリラート(HPPAおよびHPPMA)、2-フェノキシベンジルアクリラート(PBA)、ビフェニルメタクリラート(BPMA)、2-フェニルフェノールメタクリラート(PPMA)、イソブチルアクリラート(IBA)、2-フェニルエチルアクリラート(2-PEA)、2-(フェニルチオ)エチルアクリラート(PTEA)、またはこれらの組み合わせをさらに含む製剤。
8. 金属酸化物ナノ結晶が少なくとも部分的にキャップされた、実施形態1~7に記載の製剤であって、二、三、四、および五官能性のアクリラートおよび/またはメタシレートのモノマー、例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メト)アクリラート(HDDAおよびHDDMA)、ジ(エチレングリコール)ジ(メト)アクリラート(DEGDAおよびDEGDMA)、エチレングリコールジアクリラート、グリセロール1,3-ジグリセロラートジアクリラート、トリ(プロピレングリコール)ジアクリラート、トリメチロールプロパントリ(メト)アクリラート(TMPTA、TMPTMA)、トリメチロールプロパンエトキシラートトリ(メト)アクリラート(EOTMPTAおよびEOTMPTMA)、1,6-ヘキサンジオールエトキシラートジアクリラート、ペンタエリスリトールテトラアクリラート(PETA)、およびジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリラート(DPHA)をさらに含む製剤。
9. 金属酸化物ナノ結晶が少なくとも部分的にキャップされた、実施形態1~8に記載の製剤であって、反応性希釈剤、例えば、1-ビニル-2-ピロリドン(NVP)、N-ビニルカプロラクタム、2-(2-ビニルオキシエトキシ)エチル(メト)アクリラート、イソブチルアクリラート、スチレン(STY)、4-メチルスチレン(4MS)、4-ビニルアニソール(4VA)、およびジビニルベンゼン(DVB)をさらに含む製剤。例えば、1-ビニル-2-ピロリドンが、表面硬化または粘着度を改善するために、実施形態1~8の製剤に添加される。反応性希釈剤の重量パーセントは、全モノマー含有量に対して10~80wt%である。反応性希釈剤の好ましい重量パーセントは、全モノマー含有量に対して25~70wt%である。
10. 金属酸化物ナノ結晶が少なくとも部分的にキャップされた、実施形態1~9に記載の製剤であって、二、三、四官能性のチオール架橋剤、例えばトリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオナート)をさらに含む製剤。
11. 金属酸化物ナノ結晶が少なくとも部分的にキャップされた、実施形態1~10に記載の製剤であって、硫黄含有性の市販の樹脂および接着剤、例えば#18109、#18165、および#6205(NTT-AT);ならびにルミプラス(LumipluS) LP-1100、LPB-1102、LPJ-1102、およびLPS-1130(三菱ガス化学(Mitsubishi Gas Chemical Company))をさらに含む製剤。
12. 金属酸化物ナノ結晶が少なくとも部分的にキャップされた、実施形態1~11に記載の製剤であって、反応性有機ドーパント、例えばフェナントレン(PhA)、または9-ビニルカルバゾール(NVCb)をさらに含む製剤。有機ドーパントの濃度は1から50wt%の範囲である。
13. 金属酸化物ナノ結晶が少なくとも部分的にキャップされた、実施形態1~12に記載の製剤であって、アクリラートモノマー系において非反応性または反応性のいずれかである、界面活性剤または界面活性剤の組み合わせ、例えばポリエーテル変性シロキサン、フッ素系界面活性剤、をさらに含む製剤。全製剤内の前記界面活性剤の濃度は、0.1~2.0wt%の範囲内である。前記界面活性剤の好ましい濃度は、0.5~1.0wt%の範囲内である。
14. 金属酸化物ナノ結晶が少なくとも部分的にキャップされた、実施形態1~13に記載の製剤であって、随意に、散乱粒子、例えば二酸化チタン、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素と、低屈折率および高屈折率のポリマー粒子とをさらに含む製剤。散乱体粒子のサイズは、100~400nmの範囲である。全製剤中の前記散乱体の濃度は、0.1~30.0wt%の範囲である。前記散乱剤の好ましい濃度は、0.5~17.0wt%の範囲である。
15. 硬化剤または光開始剤、例えば、イルガキュア184(Irgacure 184)、イルガキュア819、TPO、エベルクリルP39(Ebercryl P39)、およびエベルクリルP115をさらに含む、実施形態1~14に記載の製剤。全製剤中の前記光開始剤の濃度は、モノマー含有量に対して0.1~20wt%の範囲内である。前記光開始剤の好ましい濃度は、モノマー含有量に対して1.0~4.0wt%の範囲内である。
16. 前記分散物が、ベンジルメタクリラート(BMA)またはトリメチロールプロパントリアクリラート(TMPTA)を含まない、実施形態1~15のいずれか1つに記載の製剤。
17. 前記製剤が溶媒不使用または溶媒フリーのものである、実施形態1~16のいずれか1つに記載の製剤。
18. 製剤の粘度が、ブルックフィールドRVDV II+(Brookfield RVDV II+)コーンプレート型粘度計を用いて25℃で測定した場合に、5~100cPの範囲内である、実施形態17に記載の溶媒フリーおよび/または溶媒不使用の製剤。25℃でインクジェット印刷にとって好ましい粘度は、5~20cPである。カートリッジ加熱が適用できる場合には、カートリッジ温度が35~100℃の場合、25℃での粘度は、15~100cPである。あるいは、製剤の粘度は、25℃で測定する場合には、5cP~10cP、または10cP~15cP、15cP~20cP、20cP~30cP、30cP~50cP、または50cP~100cPである。インクジェット印刷以外の堆積方法の場合には、粘度は、100cP~1,000cP、1,000cP~5,000cP、5,000cP~12,000cPの範囲である。
19. ナノ結晶配合量が、35~40重量%、40~45重量%、45~50重量%、50~55重量%、55~60重量%、60~65重量%、65~70重量%である、実施形態17~18のいずれか1つに記載の溶媒フリーおよび/または溶媒不使用の製剤。
20. 屈折率が、アッベ屈折計で測定して、589nmで1.52~1.56、1.56~1.58、1.58~1.60、1.60~1.62、または1.62~1.64、1.64~1.66、または1.66~1.68、または1.68~1.70、または1.70~1.72、または1.72~1.74、または1.76~1.78、または1.78~1.80、または1.80~1.82、または1.82~1.84、または1.84~1.86、または1.86~1.88、または1.88~1.90、または1.90~1.92、または1.92~1.94である、実施形態17~19のいずれか1つに記載の溶媒フリーおよび/または溶媒不使用の製剤。
21. 製剤の表面張力が、ラメ・ハート(Rame-Hart)表面張力計を用いて25℃で測定した場合に、20~25ダイン/cm、25~30ダイン/cm、30~35ダイン/cm、および35~40ダイン/cmの範囲内である、実施形態17~20のいずれか1つに記載の溶媒フリーおよび/または溶媒不使用の製剤。
22. 製剤の%Tが、可視波長(400~700nm)で99%~95%、または95%~90%、または90%~85%、または85%~80%、80%~75%、または75%~70%、または70%~65%、または65%~60%、または60%~55%、または55%~50%、または50%~45%、または45%~40%、または40%~35%、または35%~30%、または30%~25%、または25%~20%、または20%~15%、または15%~10%である、実施形態17~21のいずれか1つに記載の溶媒フリーおよび/または溶媒不使用の製剤。
23. 製剤極性が少なくとも4.0~8.0%であることで、充分に高い濃度での適切な界面活性剤を用いたインクジェット印刷ヘッドのノズルプレートの濡れが、わずかまたはまったくないことを確実なものとする、実施形態1~22のいずれか1つに記載の製剤。良好なインクジェット品質にとっての最小極性値に関する同様の観察結果は、英国特許第GB2517592A号(Sericol Ltd,A.Runacre,M.Pemble,G.Osborne,25.02.2015)において言及された。極性は、表面張力の極性成分を製剤の全表面張力で割った比であると定義される。表面張力の極性成分は、オーウェンス、ウェント、ラベル、およびケーベルの方法(Owens,Wendt,Rabel and Kaelble method)(参照:https://www.kruss-scientific.com/services/education-theory/glossary/owens-wendt-rabel-and-kaelble-owrk-method/)の下でラメ・ハートゴニオメーターおよび表面張力計を用い、テフロン(登録商標)基材上で製剤の接触角と表面張力を測定することにより、決定される。表1に、様々なモノマーおよび製剤について、テフロン(登録商標)基材上の接触角、表面張力、および極性の測定値を表示する。
24. 実施形態1~23に記載の製剤は、ジマトリクスDMC(Dimatix DMC)、富士フィルムSG1024/MA(Fujifilm SG1024/MA)、コニカミノルタKM1024i(Konica Minolta KM1024i)などの印刷ヘッドタイプから、小液滴を、3~9m/sの滴下速度、6~40pLの小液滴体積で吐出することができるという点で、インクジェット印刷可能である。本発明に記載のものなどのインクジェット印刷可能な製剤の用途は、ブランケット・フィルム、特定のパターン、およびミクロンからミリメートルサイズのレンズを含む。
25. 実施形態1~24の製剤は、スピン塗布、スロットダイ塗布、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ナノインプリント、フォトパターニング、3D印刷、浸漬塗布、ドロー・バー塗布、ロール・ツー・ロール印刷、噴霧塗布、分注、ボリューム・キャスティング(volume casting)、スクリーン印刷、およびそれらのいずれかの組み合わせを通じて堆積されてフィルムになる。
【表1】
26. 実施形態1~25のいずれか1つに記載の硬化したまたは部分的に硬化した製剤を含むナノコンポジットであって、前記製剤が、365、385、395、および405nmの波長を有するUVのLED源の下でUV照射を通じて硬化するナノコンポジット。前記製剤から得られるフィルムは、水銀「D」、「H」、および「V」ランプを用いてUV硬化する。UV照射量は0.1~10J/cm
2の範囲である。好ましいUV照射量は0.5~2J/cm
2である。UV硬化は、空気または不活性条件、特に窒素雰囲気下で行われる。
27. フィルム厚さが50ナノメートルから100マイクロメートルの範囲である、実施形態26に記載のナノコンポジット。好ましいフィルム厚さの値は、0.5~20マイクロメートルの範囲である。
28. 少なくとも1μmのフィルムが、5~4nm、または4~3nm、または3~2nm、または2~1nm、または1~0.5nm、または0.5~0.1nmの表面粗さを有する、実施形態26~27のいずれか1つに記載のナノコンポジット。
29. 塗膜またはフィルムが、端から中央まで高いフィルム均一性(または低いフィルム不均一性)を有する、実施形態26~28のいずれか1つに記載のナノコンポジット。フィルム不均一性は以下のように定義され:
【数1】
ここで、%NUは、フィルムの厚さの不均一性であり、T
MAX、T
MIN、およびT
AVGはそれぞれ、フィルムの最大測定厚さ、最小測定厚さ、および平均厚さである。%NUの値は3~20%の範囲である。好ましい%NU値は5~10%である。
30. 光学的に透明な親水性基材、例えば、溶融シリカ、ソーダライム、ホウケイ酸ガラス、ケイ酸アルミニウム、窒化ケイ素、酸化インジウムスズ基材などに、1~25に記載の製剤を塗布すること。逆に、ポリエチレンテレフタラート、ポリイミド、アクリルポリマー、環状オレフィンコポリマー、ポリカーボネート、ポリスチレン、シリコーンなどの光学的に透明な疎水性基材上に、1~25に記載の製剤を塗布すること。
31. 10ミクロン未満の厚さにおける硬化したナノコンポジットの%Tが、可視波長で99%~95%、または95%~90%、または90%~85%、または85%~80%、80%~75%、または75%~70%、または70%~65%、または65%~60%、または60%~55%、または55%~50%、または50%~45%、または45%~40%、または40%~35%、または35%~30%、または30%~25%、または25%~20%、または20%~15%、または15%~10%である、実施形態26~29のいずれか1つに記載のナノコンポジット。
32. 硬化したナノコンポジットの屈折率が、550nmで1.54~1.56、1.56~1.58、1.58~1.60、1.60~1.62、または1.62~1.64、1.64~1.66、または1.66~1.68、または1.68~1.70、または1.70~1.72、または1.72~1.74、または1.76~1.78、または1.78~1.80、または1.80~1.82、または1.82~1.84、または1.84~1.86、または1.86~1.88、または1.88~1.90、または1.90~1.92、または1.92~1.94、または1.94~1.96、または1.96~1.98、または1.98~2.00である、実施形態26~29、および31のいずれか1つに記載のナノコンポジット。
ナノコンポジット製剤
【0015】
いくつかの実施形態では、本開示は、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化ニオブ、または前記酸化物の少なくとも2つの混合物などの金属酸化物ナノ結晶を含む、溶媒フリーまたは溶媒不使用のナノコンポジット製剤を提供し;少なくとも部分的にキャップされたナノ結晶の平均粒径が1~40nmの範囲内にあり;前記ナノ結晶が、メチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-オクチルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、m,p-エチルフェニルトリメトキシシラン、2-[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン、メトキシ(トリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-(アクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、およびグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、1-ヘキセニルトリメトキシシラン、1-オクテニルトリメトキシシラン、ヘプタノール、ヘキサノール、オクタノール、ベンジルアルコール、フェノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オレイルアルコール、ドデシルアルコール、オクタデカノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、オクタン酸、酢酸、プロピオン酸、2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸、オレイン酸、安息香酸、ステアリン酸、トリフルオロ酢酸、ビフェニル-4-カルボン酸、2-(2-メトキシエトキシ)酢酸、メタクリル酸、コハク酸モノ-2-(メタクリロイルオキシ)エチル、またはそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのキャップ剤を用いて少なくとも部分的にキャップされる。製剤は、ベンジル(メト)アクリラート(BAおよびBMA)、トリメチロールプロパントリ(メト)アクリラート(TMPTAおよびTMPTMA)、トリメチロールプロパンエトキシラートトリ(メト)アクリラート(EOTMPTAおよびEOTMPTMA)、1,6-ヘキサンジオールジ(メト)アクリラート(HDDA、HDDMA)、ジ(エチレングリコール)ジ(メト)アクリラート(DEGDA、DEGDMA)、エチレングリコールジアクリラート、グリセロール1,3-ジグリセロラートジアクリラート、トリ(プロピレングリコール)ジアクリラート、1,6-ヘキサンジオールエトキシラートジアクリラート、エチレングリコールフェニルエーテル(メト)アクリラート(PEA、PEMA)、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリラート(HPPA)、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリラート(HPPMA)、2-フェノキシベンジルアクリラート(PBA)、ビフェニルメタクリラート(BPMA)、2-フェニルフェノールメタクリラート(PPMA)、イソブチルアクリラート(IBA)、2-フェニルエチルアクリラート(2-PEA)、2-(フェニルチオ)エチルアクリラート(PTEA)、硫黄含有性の市販の樹脂および接着剤、例えば#18109、#18165、および#6205(NTT-AT);ならびにルミプラスLP-1100、LPB-1102、LPJ-1102、LPS-1130(三菱ガス化学)、N-ビニルピロリドン(NVP)、フェニルノルボルネン、スチレン(STY)、4-メチルスチレン(4MS)、4-ビニルアニソール(4VA)、ジビニルベンゼン(DVB)、トリメチロールプロパントリ(3-メルカプトプロピオナート)(TMPMP)、ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトプロピオナート)(PETMP)、エチレングリコールジメルカプトプロピオナート、エチレングリコールジメルカプトアセタート、チオジエタンチオール、ビス(メルカプトエチル)エーテル、2,2’-(エチレンジオキシ)ジエタンチオール、フェナントレン(PhA)、9-シアノフェナントレン、トリフェニルメタン、ベンゾキノリン、9-ビニルカルバゾール(NVCb)、ならびにこれらの組み合わせを含む、反応性のモノマー、オリゴマー、ポリマー、希釈剤、および/または有機ドーパントを含む。製剤は、エベクリル(登録商標)P115(Ebecryl(登録商標)P115)、またはベンゾフェノンおよびその誘導体、例えば、エベクリルP39、ベンゾフェノン、スピードキュアBEM(SpeedCure BEM)(ランブソンUSA社、ラザフォード、コネチカット州、米国(Lambson USA Ltd.,Rutherford,CT,USA))、または、有機ホスフィン類、例えばジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド(TPO)、イルガキュア819(Irgacure 819)、またはイルガキュア184(BASF USA社、フローラムパーク、ニュージャージー州、米国(BASF USA,Florham Park,NJ,USA))、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN)、およびこれらの組み合わせを含む、光重合および/または熱重合に使用される硬化剤および光開始剤を含む。製剤は、BYK-331、BYK-377、BYK-378(ビックケミー有限会社(BYK Chemie,GMBH))と、フッ素系界面活性剤、例えばノベック4430(Novec 4430)、ノベック4432、ノベック4434(3M、セントポール、ミネソタ州、米国(3M,St.Paul,MN,USA))、キャップストーンFS-3100(Capstone FS-3100)(ケマース社、ウィルミントン、デラウェア州、米国(The Chemours Company,Wilmington,DE,USA))、BYK-352、BYK-353、BYK-356、BYK-361N、BYK-322、BYK-323、BYK-350(ビックケミー有限会社)、BYK-UV3530、ディスパーBYK-101(DISPERBYK-101)、ディスパーBYK-130、ディスパーBYK-140、ディスパーBYK-160、ディスパーBYK-161、ディスパーBYK-162、ディスパーBYK-163,ディスパーBYK-164、ディスパーBYK-165、ディスパーBYK-166、ディスパーBYK-170、ディスパーBYK-171、ディスパーBYK-182、ディスパーBYK-2000、ディスパーBYK-2001(ビックケミー有限会社)、ソルスパース32000(Solsperse 32000)、ソルスパース36000、ソルスパース28000、ソルスパース20000、ソルスパース41000、およびソルスパース45000(ルーブリゾール、ウィックリフ、オハイオ州、米国(Lubrizol,Wickliffe,OH,USA))を含む、界面活性剤、湿潤剤、レベリング剤、消泡剤、および効率的なインクジェット印刷を促進する分散剤を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、本開示は、酸化ジルコニウム、酸化チタン、または2つの前記酸化物の混合物などの金属酸化物ナノ結晶を含む溶媒フリーまたは溶媒不使用のナノコンポジット製剤を提供し;少なくとも部分的にキャップされたナノ結晶の平均粒径は、約5~30nmの範囲内であり;前記ナノ結晶は、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-(アクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、および/またはメトキシ(トリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つのキャップ剤を用いて少なくとも部分的にキャップされる。製剤は、ベンジル(メト)アクリラート(BAおよびBMA)、トリメチロールプロパントリ(メト)アクリラート(TMPTAおよびTMPTMA)、エチレングリコールフェニルエーテル(メト)アクリラート(PEAおよびPEMA)、2-フェノキシベンジルアクリラート(PBA)、ビフェニルメタクリラート(BPMA)、2-フェニルエチルアクリラート(2-PEA)、2-(フェニルチオ)エチルアクリラート(PTEA)、N-ビニルピロリドン(NVP)、4-メチルスチレン(4MS)、ジビニルベンゼン(DVB)、9-ビニルカルバゾール(NVCb)、およびこれらの組み合わせを含む、反応性のモノマー、オリゴマー、ポリマー、希釈剤、および/または有機ドーパントを含む。製剤は、光重合に使用される硬化剤および光開始剤、例えば、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド(TPO)、イルガキュア819、またはイルガキュア184(BASF USA社、フローラムパーク、ニュージャージー州、米国)、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN)、およびこれらの組み合わせを含む。製剤は、BYK-378および/またはBYK-333などの界面活性剤、湿潤剤、レベリング剤、消泡剤、および効率的なインクジェット印刷を促進する分散剤を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、本開示は、酸化ジルコニウム、酸化チタン、または2つの前記酸化物の混合物などの金属酸化物ナノ結晶を含む溶媒フリーまたは溶媒不使用のナノコンポジット製剤を提供し;少なくとも部分的にキャップされたナノ結晶の平均粒径は、約10~30nmの範囲内であり;前記ナノ結晶は、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-(アクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、および/またはメトキシ(トリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つのキャップ剤を用いて少なくとも部分的にキャップされる。製剤は、ベンジル(メト)アクリラート(BAおよびBMA)、トリメチロールプロパントリ(メト)アクリラート(TMPTAおよびTMPTMA)、エチレングリコールフェニルエーテル(メト)アクリラート(PEAおよびPEMA)、2-フェノキシベンジルアクリラート(PBA)、ビフェニルメタクリラート(BPMA)、2-フェニルエチルアクリラート(2-PEA)、2-(フェニルチオ)エチルアクリラート(PTEA)、N-ビニルピロリドン(NVP)、4-メチルスチレン(4MS)、ジビニルベンゼン(DVB)、9-ビニルカルバゾール(NVCb)、およびこれらの組み合わせを含む、反応性のモノマー、オリゴマー、ポリマー、希釈剤、および/または有機ドーパントを含む。製剤は、光重合に使用される硬化剤および光開始剤、例えば、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド(TPO)、イルガキュア819、またはイルガキュア184(BASF USA社、フローラムパーク、ニュージャージー州、米国)、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN)、およびこれらの組み合わせを含む。製剤は、BYK-378および/またはBYK-333を含む、界面活性剤、湿潤剤、レベリング剤、消泡剤、および効率的なインクジェット印刷を促進する分散剤を含む。製剤は、3-アミノプロピルトリエトキシシランを含む、有機官能性シランなどの接着促進剤を含む。製剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、イルガノックス1010(Irganox 1010)、イルガノックス1076、およびソングノックス(登録商標)1076(SongNox(登録商標)1076)を含む酸化防止剤または酸素阻害剤。
【0018】
いくつかの実施形態では、本開示は、酸化ジルコニウム、酸化チタン、または2つの前記酸化物の混合物などの金属酸化物ナノ結晶を含む溶媒フリーまたは溶媒不使用のナノコンポジット製剤を提供し;少なくとも部分的にキャップされたナノ結晶の平均粒径は、約10~30nmの範囲内であり;前記ナノ結晶は、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-(アクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、および/またはメトキシ(トリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つのキャップ剤を用いて少なくとも部分的にキャップされる。記載のキャップされたナノ結晶の配合量は、20~80wt%である。製剤は、ベンジル(メト)アクリラート(BAおよびBMA)、トリメチロールプロパントリ(メト)アクリラート(TMPTAおよびTMPTMA)、エチレングリコールフェニルエーテル(メト)アクリラート(PEAおよびPEMA)、2-フェノキシベンジルアクリラート(PBA)、ビフェニルメタクリラート(BPMA)、2-フェニルエチルアクリラート(2-PEA)、2-(フェニルチオ)エチルアクリラート(PTEA)、N-ビニルピロリドン(NVP)、4-メチルスチレン(4MS)、ジビニルベンゼン(DVB)、9-ビニルカルバゾール(NVCb)、およびこれらの組み合わせを含む、反応性のモノマー、オリゴマー、ポリマー、希釈剤、および/または有機ドーパントを含む。記載の反応性のモノマーの配合量は、20~80wt%である。製剤は、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド(TPO)、イルガキュア819、またはイルガキュア184(BASF USA社、フローラムパーク、ニュージャージー州、米国)、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN)、およびこれらの組み合わせを含む、光重合に使用される硬化剤および光開始剤を含む。記載の硬化剤または光開始剤の配合量は、0.1~20.0wt%である。製剤は、BYK-378および/またはBYK-333を含む、界面活性剤、湿潤剤、レベリング剤、消泡剤、および効率的なインクジェット印刷を促進する分散剤を含む。記載の界面活性剤の配合量は、0.1~2.0wt%である。
【0019】
いくつかの実施形態では、本開示は、酸化ジルコニウム、酸化チタン、または2つの前記酸化物の混合物などの金属酸化物ナノ結晶を含む、インクジェット印刷可能な溶媒フリーまたは溶媒不使用のナノコンポジット製剤を提供し;少なくとも部分的にキャップされたナノ結晶の平均粒径は、約10~30nmの範囲内であり;前記ナノ結晶は、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-(アクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、および/またはメトキシ(トリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つのキャップ剤を用いて少なくとも部分的にキャップされる。記載のキャップされたナノ結晶の配合量は、35~70wt%である。製剤は、ベンジル(メト)アクリラート(BAおよびBMA)、トリメチロールプロパントリ(メト)アクリラート(TMPTAおよびTMPTMA)、エチレングリコールフェニルエーテル(メト)アクリラート(PEAおよびPEMA)、2-フェノキシベンジルアクリラート(PBA)、ビフェニルメタクリラート(BPMA)、2-フェニルエチルアクリラート(2-PEA)、2-(フェニルチオ)エチルアクリラート(PTEA)、N-ビニルピロリドン(NVP)、4-メチルスチレン(4MS)、ジビニルベンゼン(DVB)、9-ビニルカルバゾール(NVCb)、およびこれらの組み合わせを含む、反応性のモノマー、オリゴマー、ポリマー、希釈剤、および/または有機ドーパントを含む。記載の反応性のモノマーの配合量は、30~65wt%である。製剤は、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド(TPO)、イルガキュア819、またはイルガキュア184(BASF USA社、フローラムパーク、ニュージャージー州、米国)、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN)、およびこれらの組み合わせを含む、光重合に使用される硬化剤および光開始剤を含む。記載の硬化剤または光開始剤の配合量は、0.1~3.0wt%である。製剤は、BYK-378および/またはBYK-333を含む、界面活性剤、湿潤剤、レベリング剤、消泡剤、および効率的なインクジェット印刷を促進する分散剤を含む。記載の界面活性剤の配合量は、0.1~1.0wt%である。
【0020】
いくつかの実施形態では、本開示は、酸化ジルコニウム、酸化チタン、または2つの前記酸化物の混合物などの金属酸化物ナノ結晶を含む、インクジェット印刷可能な溶媒フリーまたは溶媒不使用のナノコンポジット製剤を提供し;少なくとも部分的にキャップされたナノ結晶の平均粒径は、約10~30nmの範囲内であり;前記ナノ結晶は、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-(アクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、および/またはメトキシ(トリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つのキャップ剤を用いて少なくとも部分的にキャップされる。記載のキャップされたナノ結晶の配合量は、35~70wt%である。製剤は、ベンジル(メト)アクリラート(BAおよびBMA)、トリメチロールプロパントリ(メト)アクリラート(TMPTAおよびTMPTMA)、エチレングリコールフェニルエーテル(メト)アクリラート(PEAおよびPEMA)、2-フェノキシベンジルアクリラート(PBA)、ビフェニルメタクリラート(BPMA)、2-フェニルエチルアクリラート(2-PEA)、2-(フェニルチオ)エチルアクリラート(PTEA)、N-ビニルピロリドン(NVP)、4-メチルスチレン(4MS)、ジビニルベンゼン(DVB)、9-ビニルカルバゾール(NVCb)、およびこれらの組み合わせを含む、反応性のモノマー、オリゴマー、ポリマー、希釈剤、および/または有機ドーパントを含む。記載の反応性のモノマーの配合量は、30~65wt%である。製剤は、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド(TPO)、イルガキュア819、またはイルガキュア184(BASF USA社、フローラムパーク、ニュージャージー州、米国)、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN)、およびこれらの組み合わせを含む、光重合に使用される硬化剤および光開始剤を含む。記載の硬化剤または光開始剤の配合量は、0.1~3.0wt%である。製剤は、BYK-378および/またはBYK-333を含む、界面活性剤、湿潤剤、レベリング剤、消泡剤、および効率的なインクジェット印刷を促進する分散剤を含む。記載の界面活性剤の配合量は、0.1~1.0wt%である。製剤粘度は、25℃で6~80cPの範囲である。589nmでの製剤RI値は、1.50から1.80、または1.58~1.7の範囲である。
【0021】
いくつかの実施形態では、本開示は、酸化ジルコニウム、酸化チタン、または2つの前記酸化物の混合物などの金属酸化物ナノ結晶を含む、より高粘度で溶媒フリーまたは溶媒不使用のナノコンポジット製剤を提供し;少なくとも部分的にキャップされたナノ結晶の平均粒径は、約10~30nmの範囲内であり;前記ナノ結晶は、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-(アクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、および/またはメトキシ(トリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つのキャップ剤を用いて少なくとも部分的にキャップされる。記載のキャップされたナノ結晶の配合量は、60~80wt%である。製剤は、ベンジル(メト)アクリラート(BAおよびBMA)、トリメチロールプロパントリ(メト)アクリラート(TMPTAおよびTMPTMA)、エチレングリコールフェニルエーテル(メト)アクリラート(PEAおよびPEMA)、2-フェノキシベンジルアクリラート(PBA)、ビフェニルメタクリラート(BPMA)、2-フェニルエチルアクリラート(2-PEA)、2-(フェニルチオ)エチルアクリラート(PTEA)、N-ビニルピロリドン(NVP)、4-メチルスチレン(4MS)、ジビニルベンゼン(DVB)、9-ビニルカルバゾール(NVCb)、およびこれらの組み合わせを含む、反応性のモノマー、オリゴマー、ポリマー、希釈剤、および/または有機ドーパントを含む。記載の反応性のモノマーの配合量は、20~40wt%である。製剤は、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド(TPO)、イルガキュア819、またはイルガキュア184(BASF USA社、フローラムパーク、ニュージャージー州、米国)、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN)およびこれらの組み合わせを含む、光重合に使用される硬化剤および光開始剤を含む。記載の硬化剤または光開始剤の配合量は、0.1~3.0wt%である。製剤は、BYK-378および/またはBYK-333を含む、界面活性剤、湿潤剤、レベリング剤、消泡剤、および効率的なインクジェット印刷を促進する分散剤を含む。記載の界面活性剤の配合量は、0.1~1.0wt%である。製剤粘度は、25℃で80~12,000cPの範囲である。589nmでの製剤RI値は、1.50から1.80、または1.58~1.7の範囲である。
ナノコンポジット
【0022】
いくつかの実施形態では、本開示は、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化ニオブ、または前記酸化物の少なくとも2つの混合物などの金属酸化物ナノ結晶を含むナノコンポジットを提供し;少なくとも部分的にキャップされたナノ結晶の平均粒径が1~40nmの範囲内であり;前記ナノ結晶が、メチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-オクチルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、m,p-エチルフェニルトリメトキシシラン、2-[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン、メトキシ(トリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-(アクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、およびグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、1-ヘキセニルトリメトキシシラン、1-オクテニルトリメトキシシラン、ヘプタノール、ヘキサノール、オクタノール、ベンジルアルコール、フェノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オレイルアルコール、ドデシルアルコール、オクタデカノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、オクタン酸、酢酸、プロピオン酸、2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸、オレイン酸、安息香酸、ステアリン酸、トリフルオロ酢酸、ビフェニル-4-カルボン酸、2-(2-メトキシエトキシ)酢酸、メタクリル酸、コハク酸モノ-2-(メタクリロイルオキシ)エチル、またはそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのキャップ剤を用いて少なくとも部分的にキャップされる。製剤は、ベンジル(メト)アクリラート(BAおよびBMA)、トリメチロールプロパントリ(メト)アクリラート(TMPTAおよびTMPTMA)、トリメチロールプロパンエトキシラートトリ(メト)アクリラート(EOTMPTAおよびEOTMPTMA)、1,6-ヘキサンジオールジ(メト)アクリラート(HDDA、HDDMA)、ジ(エチレングリコール)ジ(メト)アクリラート(DEGDA、DEGDMA)、エチレングリコールジアクリラート、グリセロール1,3-ジグリセロラートジアクリラート、トリ(プロピレングリコール)ジアクリラート、1,6-ヘキサンジオールエトキシラートジアクリラート、エチレングリコールフェニルエーテル(メト)アクリラート(PEA、PEMA)、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリラート(HPPA)、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリラート(HPPMA)、2-フェノキシベンジルアクリラート(PBA)、ビフェニルメタクリラート(BPMA)、2-フェニルフェノールメタクリラート(PPMA)、イソブチルアクリラート(IBA)、2-フェニルエチルアクリラート(2-PEA)、2-(フェニルチオ)エチルアクリラート(PTEA)、硫黄含有性の市販の樹脂および接着剤、例えば#18109、#18165、および#6205(NTT-AT);ならびにルミプラスLP-1100、LPB-1102、LPJ-1102、LPS-1130(三菱ガス化学)、N-ビニルピロリドン(NVP)、フェニルノルボルネン、スチレン(STY)、4-メチルスチレン(4MS)、4-ビニルアニソール(4VA)、ジビニルベンゼン(DVB)、トリメチロールプロパントリ(3-メルカプトプロピオナート)(TMPMP)、ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトプロピオナート)(PETMP)、エチレングリコールジメルカプトプロピオナート、エチレングリコールジメルカプトアセタート、チオジエタンチオール、ビス(メルカプトエチル)エーテル、2,2’-(エチレンジオキシ)ジエタンチオール、フェナントレン(PhA)、9-シアノフェナントレン、トリフェニルメタン、ベンゾキノリン、9-ビニルカルバゾール(NVCb)、ならびにこれらの組み合わせを含む、反応性のモノマー、オリゴマー、ポリマー、希釈剤および/または有機ドーパントを含む。製剤は、エベクリル(登録商標)P115、またはベンゾフェノンおよびその誘導体、例えば、エベクリルP39、ベンゾフェノン、スピードキュアBEM(ランブソンUSA社、ラザフォード、コネチカット州、米国)、または、有機ホスフィン、例えばジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド(TPO)、イルガキュア819、またはイルガキュア184(BASF USA社、フローラムパーク、ニュージャージー州、米国)、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN)、およびこれらの組み合わせを含む、光重合および/または熱重合に使用される硬化剤および光開始剤を含む。製剤は、BYK-331、BYK-377、BYK-378(ビックケミー有限会社(BYK Chemie,GMBH))と、フッ素系界面活性剤、例えばノベック4430(Novec 4430)、ノベック4432、ノベック4434(3M、セントポール、ミネソタ州、米国(3M,St.Paul,MN,USA))、キャップストーンFS-3100(Capstone FS-3100)(ケマース社、ウィルミントン、デラウェア州、米国(The Chemours Company,Wilmington,DE,USA))、BYK-352、BYK-353、BYK-356、BYK-361N、BYK-322、BYK-323、BYK-350(ビックケミー有限会社)、BYK-UV3530、ディスパーBYK-101(DISPERBYK-101)、ディスパーBYK-130、ディスパーBYK-140、ディスパーBYK-160、ディスパーBYK-161、ディスパーBYK-162、ディスパーBYK-163,ディスパーBYK-164、ディスパーBYK-165、ディスパーBYK-166、ディスパーBYK-170、ディスパーBYK-171、ディスパーBYK-182、ディスパーBYK-2000、ディスパーBYK-2001(ビックケミー有限会社)、ソルスパース32000(Solsperse 32000)、ソルスパース36000、ソルスパース28000、ソルスパース20000、ソルスパース41000、およびソルスパース45000(ルーブリゾール、ウィックリフ、オハイオ州、米国(Lubrizol,Wickliffe,OH,USA))を含む、界面活性剤、湿潤剤、レベリング剤、消泡剤、および効率的なインクジェット印刷を促進する分散剤を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、本開示は、酸化ジルコニウム、酸化チタン、または2つの前記酸化物の混合物などの金属酸化物ナノ結晶を含むナノコンポジットを提供し;少なくとも部分的にキャップされたナノ結晶の平均粒径は、約10~30nmの範囲内であり;前記ナノ結晶は、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-(アクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、および/またはメトキシ(トリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つのキャップ剤を用いて少なくとも部分的にキャップされる。製剤は、ベンジル(メト)アクリラート(BAおよびBMA)、トリメチロールプロパントリ(メト)アクリラート(TMPTAおよびTMPTMA)、エチレングリコールフェニルエーテル(メト)アクリラート(PEAおよびPEMA)、2-フェノキシベンジルアクリラート(PBA)、ビフェニルメタクリラート(BPMA)、2-フェニルエチルアクリラート(2-PEA)、2-(フェニルチオ)エチルアクリラート(PTEA)、N-ビニルピロリドン(NVP)、4-メチルスチレン(4MS)、ジビニルベンゼン(DVB)、9-ビニルカルバゾール(NVCb)、およびこれらの組み合わせを含む、反応性のモノマー、オリゴマー、ポリマー、希釈剤、および/または有機ドーパントを含む。製剤は、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド(TPO)、イルガキュア819、またはイルガキュア184(BASF USA社、フローラムパーク、ニュージャージー州、米国)、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN)、およびこれらの組み合わせを含む、光重合に使用される硬化剤および光開始剤を含む。製剤は、BYK-378および/またはBYK-333を含む、界面活性剤、湿潤剤、レベリング剤、消泡剤、および効率的なインクジェット印刷を促進する分散剤を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、本開示は、酸化ジルコニウム、酸化チタン、または2つの前記酸化物の混合物などの金属酸化物ナノ結晶を含むナノコンポジットを提供し;少なくとも部分的にキャップされたナノ結晶の平均粒径は、約10~30nmの範囲内であり;前記ナノ結晶は、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-(アクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、および/またはメトキシ(トリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つのキャップ剤を用いて少なくとも部分的にキャップされる。製剤は、ベンジル(メト)アクリラート(BAおよびBMA)、トリメチロールプロパントリ(メト)アクリラート(TMPTAおよびTMPTMA)、エチレングリコールフェニルエーテル(メト)アクリラート(PEAおよびPEMA)、2-フェノキシベンジルアクリラート(PBA)、ビフェニルメタクリラート(BPMA)、2-フェニルエチルアクリラート(2-PEA)、2-(フェニルチオ)エチルアクリラート(PTEA)、N-ビニルピロリドン(NVP)、4-メチルスチレン(4MS)、ジビニルベンゼン(DVB)、9-ビニルカルバゾール(NVCb)、およびこれらの組み合わせを含む、反応性のモノマー、オリゴマー、ポリマー、希釈剤、および/または有機ドーパントを含む。製剤は、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド(TPO)、イルガキュア819、またはイルガキュア184(BASF USA社、フローラムパーク、ニュージャージー州、米国)、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN)、およびこれらの組み合わせを含む、光重合に使用される硬化剤および光開始剤を含む。製剤は、BYK-378および/またはBYK-333を含む、界面活性剤、湿潤剤、レベリング剤、消泡剤、および効率的なインクジェット印刷を促進する分散剤を含む。製剤は、3-アミノプロピルトリエトキシシランを含む、有機官能性シランなどの接着促進剤を含む。製剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、イルガノックス1010(Irganox 1010)、イルガノックス1076、およびソングノックス(登録商標)1076(SongNox(登録商標)1076)を含む酸化防止剤または酸素阻害剤。
【0025】
いくつかの実施形態では、本開示は、酸化ジルコニウム、酸化チタン、または2つの前記酸化物の混合物などの金属酸化物ナノ結晶を含むナノコンポジットを提供し;少なくとも部分的にキャップされたナノ結晶の平均粒径は、約10~30nmの範囲内であり;前記ナノ結晶は、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-(アクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、および/またはメトキシ(トリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つのキャップ剤を用いて少なくとも部分的にキャップされる。記載のキャップされたナノ結晶の配合量は、20~80wt%である。製剤は、ベンジル(メト)アクリラート(BAおよびBMA)、トリメチロールプロパントリ(メト)アクリラート(TMPTAおよびTMPTMA)、エチレングリコールフェニルエーテル(メト)アクリラート(PEAおよびPEMA)、2-フェノキシベンジルアクリラート(PBA)、ビフェニルメタクリラート(BPMA)、2-フェニルエチルアクリラート(2-PEA)、2-(フェニルチオ)エチルアクリラート(PTEA)、N-ビニルピロリドン(NVP)、4-メチルスチレン(4MS)、ジビニルベンゼン(DVB)、9-ビニルカルバゾール(NVCb)、およびこれらの組み合わせを含む、反応性のモノマー、オリゴマー、ポリマー、希釈剤、および/または有機ドーパントを含む。記載の反応性のモノマーの配合量は、20~80wt%である。製剤は、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド(TPO)、イルガキュア819、またはイルガキュア184(BASF USA社、フローラムパーク、ニュージャージー州、米国)、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN)、およびこれらの組み合わせを含む、光重合に使用される硬化剤および光開始剤を含む。記載の硬化剤または光開始剤の配合量は、0.1~20.0wt%である。製剤は、BYK-378および/またはBYK-333を含む、界面活性剤、湿潤剤、レベリング剤、消泡剤、および効率的なインクジェット印刷を促進する分散剤を含む。記載の界面活性剤の配合量は、0.1~2.0wt%である。
【0026】
いくつかの実施形態では、本開示は、酸化ジルコニウム、酸化チタン、または2つの前記酸化物の混合物などの金属酸化物ナノ結晶を含む、インクジェット印刷可能な溶媒フリーまたは溶媒不使用のナノコンポジット製剤から誘導されるナノコンポジットを提供し;少なくとも部分的にキャップされたナノ結晶の平均粒径は、約10~30nmの範囲内であり;前記ナノ結晶は、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-(アクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、および/またはメトキシ(トリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つのキャップ剤を用いて少なくとも部分的にキャップされる。記載のキャップされたナノ結晶の配合量は、35~70wt%である。製剤は、ベンジル(メト)アクリラート(BAおよびBMA)、トリメチロールプロパントリ(メト)アクリラート(TMPTAおよびTMPTMA)、エチレングリコールフェニルエーテル(メト)アクリラート(PEAおよびPEMA)、2-フェノキシベンジルアクリラート(PBA)、ビフェニルメタクリラート(BPMA)、2-フェニルエチルアクリラート(2-PEA)、2-(フェニルチオ)エチルアクリラート(PTEA)、N-ビニルピロリドン(NVP)、4-メチルスチレン(4MS)、ジビニルベンゼン(DVB)、9-ビニルカルバゾール(NVCb)、およびこれらの組み合わせを含む、反応性のモノマー、オリゴマー、ポリマー、希釈剤、および/または有機ドーパントを含む。記載の反応性のモノマーの配合量は、30~65wt%である。製剤は、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド(TPO)、イルガキュア819、またはイルガキュア184(BASF USA社、フローラムパーク、ニュージャージー州、米国)、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN)、およびこれらの組み合わせを含む、光重合に使用される硬化剤および光開始剤を含む。記載の硬化剤または光開始剤の配合量は、0.1~3.0wt%である。製剤は、BYK-378および/またはBYK-333を含む、界面活性剤、湿潤剤、レベリング剤、消泡剤、および効率的なインクジェット印刷を促進する分散剤を含む。記載の界面活性剤の配合量は、0.1~1.0wt%である。
【0027】
いくつかの実施形態では、本開示は、酸化ジルコニウム、酸化チタン、または2つの前記酸化物の混合物などの金属酸化物ナノ結晶を含む、インクジェット印刷可能な溶媒フリーまたは溶媒不使用のナノコンポジット製剤から誘導されるナノコンポジットを提供し;少なくとも部分的にキャップされたナノ結晶の平均粒径は、約10~30nmの範囲内であり;前記ナノ結晶は、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-(アクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、および/またはメトキシ(トリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つのキャップ剤を用いて少なくとも部分的にキャップされる。記載のキャップされたナノ結晶の配合量は、35~70wt%である。製剤は、ベンジル(メト)アクリラート(BAおよびBMA)、トリメチロールプロパントリ(メト)アクリラート(TMPTAおよびTMPTMA)、エチレングリコールフェニルエーテル(メト)アクリラート(PEAおよびPEMA)、2-フェノキシベンジルアクリラート(PBA)、ビフェニルメタクリラート(BPMA)、2-フェニルエチルアクリラート(2-PEA)、2-(フェニルチオ)エチルアクリラート(PTEA)、N-ビニルピロリドン(NVP)、4-メチルスチレン(4MS)、ジビニルベンゼン(DVB)、9-ビニルカルバゾール(NVCb)、およびこれらの組み合わせを含む、反応性のモノマー、オリゴマー、ポリマー、希釈剤、および/または有機ドーパントを含む。記載の反応性のモノマーの配合量は、30~65wt%である。製剤は、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド(TPO)、イルガキュア819、またはイルガキュア184(BASF USA社、フローラムパーク、ニュージャージー州、米国)、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN)、およびこれらの組み合わせを含む、光重合に使用される硬化剤および光開始剤を含む。記載の硬化剤または光開始剤の配合量は、0.1~3.0wt%である。製剤は、BYK-378および/またはBYK-333を含む、界面活性剤、湿潤剤、レベリング剤、消泡剤、および効率的なインクジェット印刷を促進する分散剤を含む。記載の界面活性剤の配合量は、0.1~1.0wt%である。550nmでのナノコンポジットフィルムのRI値は、1.63から1.75の範囲である。400nmを上回るナノコンポジットフィルムの%T値は、3~10umのフィルム厚の場合、80~97%の範囲である。
【0028】
いくつかの実施形態では、本開示は、酸化ジルコニウム、酸化チタン、または2つの前記酸化物の混合物などの金属酸化物ナノ結晶を含む、より高粘度(80~12,000cP)の、溶媒フリーまたは溶媒不使用のナノコンポジット製剤から誘導されるナノコンポジットを提供し;少なくとも部分的にキャップされたナノ結晶の平均粒径は、約10~30nmの範囲内であり;前記ナノ結晶は、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-(アクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、および/またはメトキシ(トリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つのキャップ剤を用いて少なくとも部分的にキャップされる。記載のキャップされたナノ結晶の配合量は、60~80wt%である。製剤は、ベンジル(メト)アクリラート(BAおよびBMA)、トリメチロールプロパントリ(メト)アクリラート(TMPTAおよびTMPTMA)、エチレングリコールフェニルエーテル(メト)アクリラート(PEAおよびPEMA)、2-フェノキシベンジルアクリラート(PBA)、ビフェニルメタクリラート(BPMA)、2-フェニルエチルアクリラート(2-PEA)、2-(フェニルチオ)エチルアクリラート(PTEA)、N-ビニルピロリドン(NVP)、4-メチルスチレン(4MS)、ジビニルベンゼン(DVB)、9-ビニルカルバゾール(NVCb)、およびこれらの組み合わせを含む、反応性のモノマー、オリゴマー、ポリマー、希釈剤、および/または有機ドーパントを含む。記載の反応性のモノマーの配合量は、20~40wt%である。製剤は、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド(TPO)、イルガキュア819、またはイルガキュア184(BASF USA社、フローラムパーク、ニュージャージー州、米国)、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN)、およびこれらの組み合わせを含む、光重合に使用される硬化剤および光開始剤を含む。記載の硬化剤または光開始剤の配合量は、0.1~3.0wt%である。製剤は、BYK-378および/またはBYK-333を含む、界面活性剤、湿潤剤、レベリング剤、消泡剤、および効率的なインクジェット印刷を促進する分散剤を含む。記載の界面活性剤の配合量は、0.1~1.0wt%である。550nmでのナノコンポジットフィルムのRI値は、1.75から1.90の範囲である。400nmを上回るナノコンポジットフィルムの%T値は、3~10umのフィルム厚の場合、80~97%の範囲である。
【0029】
いくつかの実施形態では、本開示は以下を提供する:
[1] 少なくとも部分的にキャップされた金属酸化物ナノ結晶と、少なくとも1つのモノマー、オリゴマー、またはポリマーを含むマトリックスとを含む製剤であって、例えば、少なくとも部分的にキャップされた金属酸化物ナノ結晶がマトリックス中に分散されており、金属酸化物が、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化ニオブ、または前記酸化物のうちの少なくとも2つの混合物である、5wt%未満の溶媒を含む製剤;
[2] 硬化剤、界面活性剤、湿潤剤、酸化防止剤、接着促進剤、レベリング剤、分散剤(dispersing agent)、可塑剤、強靭剤、増粘剤、希釈剤、分散剤(dispersant)、柔軟剤、有機ドーパント、およびその他の機能性添加剤から独立に選択される1つまたは複数の薬剤を随意にさらに含む、[1]に記載の製剤;
[3] マトリックスが、アクリラートおよび/またはメタクリラートのモノマーから独立に選択される1つまたは複数の薬剤と、反応性希釈剤と、硬化剤と、随意に、少なくとも1つの界面活性剤または少なくとも1つの湿潤剤とを含む、[1]に記載の製剤;
[4] 少なくとも部分的にキャップされたナノ結晶の平均粒径が、DLSまたはTEMで測定して、1~40nmの範囲、好ましくは30nm未満である、[1]~[3]のいずれか1つに記載の製剤;
[5] 前記ナノ結晶が、メチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-オクチルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、m,p-エチルフェニルトリメトキシシラン、2-[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン、メトキシ(トリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-(アクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、およびグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、1-ヘキセニルトリメトキシシラン、1-オクテニルトリメトキシシラン、ヘプタノール、ヘキサノール、オクタノール、ベンジルアルコール、フェノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オレイルアルコール、ドデシルアルコール、オクタデカノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、オクタン酸、酢酸、プロピオン酸、2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸、オレイン酸、安息香酸、ステアリン酸、トリフルオロ酢酸、ビフェニル-4-カルボン酸、2-(2-メトキシエトキシ)酢酸、メタクリル酸、コハク酸モノ-2-(メタクリロイルオキシ)エチル、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのキャップ剤を用いて少なくとも部分的にキャップされた、[1]~[4]のいずれか1つに記載の製剤;
[6] 製剤の20wt%~80wt%の範囲にある金属酸化物ナノ結晶の配合量を有する、[1]~[5]のいずれか1つに記載の製剤;
[7] 高屈折率を有する単官能性のアクリラートおよび/またはメタクリラートのモノマー、例えば、ベンジルアクリラート、ベンジルメタクリラート(BAおよびBMA)、エチレングリコールフェニルエーテルアクリラート、エチレングリコールフェニルエーテルメタクリラート(PEAおよびPEMA)、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリラート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリラート(HPPAおよびHPPMA)、2-フェノキシベンジルアクリラート(PBA)、ビフェニルメタクリラート(BPMA)、2-フェニルフェノールメタクリラート(PPMA)、イソブチルアクリラート(IBA)、2-フェニルエチルアクリラート(2-PEA)、2-(フェニルチオ)エチルアクリラート(PTEA)、またはこれらの組み合わせをさらに含む、[1]~[6]のいずれか1つに記載の製剤;
[8] 二、三、四、および/または五官能性のアクリラートおよび/またはメタクリラートのモノマー、例えば、1,6-ヘキサンジオールジアクリラート、1,6-ヘキサンジオールジ-メタクリラート(HDDAおよびHDDMA)、ジ(エチレングリコール)ジアクリラート、ジ(エチレングリコール)ジメタクリラート(DEGDAおよびDEGDMA)、エチレングリコールジアクリラート、グリセロール1,3-ジグリセロラートジアクリラート、トリ(プロピレングリコール)ジアクリラート、トリ(プロピレングリコール)ジアクリラート、トリ(プロピレングリコール)ジアクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、トリメチロールプロパントリ-メタクリラート(TMPTAおよびTMPTMA)、トリメチロールプロパンエトキシラートトリアクリラート、トリメチロールプロパンエトキシラートトリ-メタクリラート(EOTMPTAおよびEOTMPTMA)、1,6-ヘキサンジオールエトキシラートジアクリラート、ペンタエリスリトールテトラアクリラート(PETA)、ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリラート(DPHA)、またはこれらの組み合わせをさらに含む、[1]~[7]のいずれか1つに記載の製剤;
[9] 反応性希釈剤、例えば、1-ビニル-2-ピロリドン(NVP)、N-ビニルカプロラクタム、2-(2-ビニルオキシエトキシ)エチルアクリラート、2-(2-ビニルオキシエトキシ)エチルメタクリラート、イソブチルアクリラート、スチレン(STY)、4-メチルスチレン(4MS)、4-ビニルアニソール(4VA)、およびジビニルベンゼン(DVB)をさらに含む、[1]~[8]のいずれか1つに記載の製剤であって、反応性希釈剤の重量パーセントが、全モノマー含有量に対して25~70wt%である製剤;
[10] 二、三、および/または四官能性のチオール架橋剤、例えばトリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオナート)をさらに含む、[1]~[9]のいずれか1つに記載の製剤;
[11] 硫黄含有性の樹脂および/または接着剤、例えば硫黄含有性の市販の樹脂および/または接着剤、例えば#18109、#18165、#6205(NTT-AT)、ルミプラスLP-1100、LPB-1102、LPJ-1102、LPS-1130(三菱ガス化学)、またはそれらの組み合わせをさらに含む、[1]~[10]のいずれか1つに記載の製剤;
[12] 反応性有機ドーパント、例えばフェナントレン(PhA)または9-ビニルカルバゾール(NVCb)を、例えば1~50wt%の濃度範囲でさらに含む、[1]~[11]のいずれか1つに記載の製剤;
[13] アクリラートモノマー系において非反応性または反応性のいずれかである、界面活性剤または界面活性剤の組み合わせ、例えばポリエーテル変性シロキサン、フッ素系界面活性剤、をさらに含む、[1]~[12]のいずれか1つに記載の製剤であって、全製剤中の前記界面活性剤の濃度が、0.1~2.0wt%の範囲、または0.5~1.0wt%の範囲である製剤;
[14] 散乱粒子、例えば二酸化チタン、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、ならびに/または低いおよび高い屈折率のポリマー粒子を随意にさらに含む、[1]~[13]のいずれか1つに記載の製剤であって、散乱粒子サイズが100~400nmの範囲であり、全製剤中の前記散乱粒子の濃度が0.1~30.0wt%または0.5~17.0wt%の範囲である製剤;
[15] 硬化剤または光開始剤、例えばイルガキュア184、イルガキュア819、TPO、エベルクリルP39(Ebercryl P39)、および/またはエベルクリルP115をさらに含む、[1]~[14]のいずれか1つに記載の製剤であって、全製剤中の前記硬化剤または光開始剤の濃度が、モノマー含有量に対して0.1~20wt%または1.0~4.0wt%の範囲である製剤;
[16] ベンジルメタクリラート(BMA)またはトリメチロールプロパントリアクリラート(TMPTA)を含まない、[1]~[15]のいずれか1つに記載の製剤;
[17] 製剤の粘度が、ブルックフィールドRVDV II+(Brookfield RVDV II+)コーンプレート型粘度計を用いて25℃で測定した場合に、5~100cPの範囲内であり、25℃でインクジェット印刷向けに好ましい粘度が、5~20cPであり、カートリッジ加熱が適用できる場合には、カートリッジ温度が35~100℃の場合に、25℃での粘度が、15~100cPのものとすることができる、または製剤の粘度が、5cP~10cP、または10cP~15cP、15cP~20cP、20cP~30cP、30cP~50cP、または50cP~100cPであり、25℃で測定した場合に、インクジェット印刷以外の堆積方法向けには、粘度が、100cP~1,000cP、1,000cP~5,000cP、5,000cP~12,000cPの範囲のものとすることができる、[16]に記載の製剤;
[18] ナノ結晶配合量が、35~40重量%、40~45重量%、45~50重量%、50~55重量%、55~60重量%、60~65重量%、65~70重量%である、[17]に記載の製剤;
[19] 製剤の屈折率が、アッベ屈折計で測定して、589nmで1.52~1.56、1.56~1.58、1.58~1.60、1.60~1.62、または1.62~1.64、1.64~1.66、または1.66~1.68、または1.68~1.70、または1.70~1.72、または1.72~1.74、または1.76~1.78、または1.78~1.80、または1.80~1.82、または1.82~1.84、または1.84~1.86、または1.86~1.88、または1.88~1.90、または1.90~1.92、または1.92~1.94である、[17]~[18]のいずれか1つに記載の製剤;
[20] 製剤の表面張力が、ラメ・ハート(Rame-Hart)表面張力計を用いて25℃で測定した場合に、20~25ダイン/cm、25~30ダイン/cm、30~35ダイン/cm、または35~40ダイン/cmの範囲内である、[17]~[19]のいずれか1つに記載の製剤;
[21] 製剤の%Tが、可視波長(400~700nm)で99%~95%、または95%~90%、または90%~85%、または85%~80%、80%~75%、または75%~70%、または70%~65%、または65%~60%、または60%~55%、または55%~50%、または50%~45%、または45%~40%、または40%~35%、または35%~30%、または30%~25%、または25%~20%、または20%~15%、または15%~10%である、[17]~[20]のいずれか1つに記載の製剤;
[22] ジマトリクスDMC、富士フィルムSG1024/MA、コニカミノルタKM1024iなどの印刷ヘッドタイプから、3~9m/sの滴下速度、6~40pLの小液滴体積で吐出することができる、インクジェット印刷可能な、例えば製剤の小液滴である、[1]~[21]のいずれか1つに記載の製剤;
[23] スピン塗布、スロットダイ塗布、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ナノインプリント、フォトパターニング、3D印刷、浸漬塗布、ドロー・バー塗布、ロール・ツー・ロール印刷、噴霧塗布、分注、ボリューム・キャスティング、スクリーン印刷、またはそれらのいずれかの組み合わせを通じて、[1]~[22]のいずれか1つに記載の製剤を表面に塗布して、塗布された製剤を随意に硬化させることを含む工程から準備されたナノコンポジットフィルム;
[24] 製剤が、365nm、385nm、395nm、または405nmの波長を有するUVのLED源の下で、または水銀「D」、「H」、および/または「V」ランプを通じて、0.1~10J/cm2、または0.5~2J/cm2の範囲のUV照射量でのUV照射を通じて硬化または部分的に硬化する、[1]~[23]のいずれか1つに記載の硬化したまたは部分的に硬化した製剤を含むナノコンポジット;
[25] 50ナノメートルから100マイクロメートル、または0.5マイクロメートルから20マイクロメートルの範囲の厚さを有するフィルムである、[24]に記載のナノコンポジット;
[26] 10ミクロン未満の厚さにおける硬化した、または部分的に硬化したナノコンポジットの%Tが、400nm~700nmの可視波長で99%~95%、または95%~90%、または90%~85%、または85%~80%、80%~75%、または75%~70%、または70%~65%、または65%~60%、または60%~55%、または55%~50%、または50%~45%、または45%~40%、または40%~35%、または35%~30%、または30%~25%、または25%~20%、または20%~15%、または15%~10%である、[23]~[25]のいずれか1つに記載のナノコンポジット;または
[27] 硬化した、または部分的に硬化したナノコンポジットが、550nmで1.54~1.56、1.56~1.58、1.58~1.60、1.60~1.62、または1.62~1.64、1.64~1.66、または1.66~1.68、または1.68~1.70、または1.70~1.72、または1.72~1.74、または1.76~1.78、または1.78~1.80、または1.80~1.82、または1.82~1.84、または1.84~1.86、または1.86~1.88、または1.88~1.90、または1.90~1.92、または1.92~1.94、または1.94~1.96、または1.96~1.98、または1.98~2.00の屈折率を有する、[23]~[26]のいずれか1つに記載のナノコンポジット。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1に、実施例2に記載のBA中、キャップされたジルコニアの重量パーセントに対する、25℃における例示的な粘度を示す。
【
図2】
図2に、実施例2に記載のBA中、キャップされたジルコニアの体積パーセントの関数として、硬化したフィルムの550nmでの屈折率を例示的に示す。
【
図3】
図3に、実施例2および3に記載の界面活性剤を含むおよび含まないモノマーブレンド中、異なる重量パーセントのキャップされたジルコニアを有する製剤の、例示的な粘度対温度の挙動を示す。
【
図4】
図4は、富士フィルムのジマトリクスDMCカートリッジのノズルプレートの濡れを変化させた写真を有しており:重度のもの(上)、中程度のもの(中)、および少しから全くないもの(下)である。
【
図5】
図5は、実施例3Bに記載の製剤ナノコンポジットD3(Nanocomposite D3)を加熱した結果として得られたTGA曲線である。
【
図6】
図6は、実施例3Bに記載の製剤としてのナノコンポジットD3の光学濃度(OD)である。
【
図7】
図7に、実施例3Bに記載のナノコンポジットD3の硬化したフィルムの場合の屈折率対波長曲線を表示する。
【
図8】
図8に、実施例3Bに記載のナノコンポジットD3の10ミクロンの硬化したフィルムの場合の波長曲線に対する%Tを表示する。
【
図9】
図9に、異なる粘度の、実施例5Aに記載のナノコンポジットF1およびF2に添加されたPGMEA重量パーセントに対する25℃での粘度を示し、希釈効果を例示する。
【
図10】
図10に、BAおよびPBAモノマー中の小さな(10nm)および大きな(30nm)TiO2ナノ粒子の場合の重量パーセント配合量に対するTiO2ナノコンポジット製剤の粘度を示す。
【
図11】
図11に、BAおよびPBAモノマー中の小さな(10nm)および大きな(30nm)TiO2ナノ粒子の場合の重量パーセント配合量に対するTiO2ナノコンポジット製剤の589nmでの液体RIを表示する。
【
図12】
図12に、BAおよびPBAモノマー中の小さな(10nm)および大きな(30nm)TiO2ナノ粒子の場合の重量パーセント配合量に対するTiO2ナノコンポジット製剤の589nmでの硬化したフィルムのRIを表示する。
【
図13A】
図13Aに、3.5~5.7ミクロンの厚さの10nmのTiO2ナノコンポジットBAフィルムの場合の波長に対する%Tを示す。
【
図13B】
図13Bに、5.4~6.4ミクロンの厚さの10nmのTiO2ナノコンポジットPBAフィルムの場合の波長に対する%Tを示す。
【
図14A】
図14Aに、3.3~6.1ミクロンの厚さの30nmのTiO2ナノコンポジットBAフィルムの場合の波長に対する%Tを示す。
【
図14B】
図14Bに、4.4~5.8ミクロンの厚さの30nmのTiO2ナノコンポジットPBAフィルムの場合の波長に対する%Tを示す。
【
図15】
図15は、約30nmのTiO2からなる、そして12.0ミクロンのフィルム厚を有する実施例10から得られたインクジェット印刷フィルムの%Tを有する。
【0031】
表の簡単な説明
表1には、様々なモノマーおよび製剤について25℃でのテフロン(登録商標)表面上の接触角と静的表面張力値、および表面張力の計算された極性成分と分散性成分、および極性(静的表面張力の極性成分を全静的表面張力で割った比として定義されるものを示す。
【0032】
表2には、実施例1に記載される、異なるキャップされたZrO2の重量パーセントと架橋剤の重量比とを有するナノコンポジット製剤A1~A10、およびそれらのそれぞれの粘度を示す。
【0033】
表3には、実施例4および5に記載される、異なる重量パーセントのキャップされたZrO2と架橋剤の重量比とを有する製剤、およびそれらのそれぞれの粘度を示す。
【0034】
表4には、実施例6に記載される、異なるキャップされたZrO2重量パーセントとモノマーおよびPhA添加物の重量比とを有する製剤、ならびにそれらのそれぞれの粘度とフィルム屈折率を示す。
【0035】
表5には、実施例7に記載される、異なるキャップされたZrO2重量パーセントとモノマーの重量比とを有する製剤、およびそれらのそれぞれの粘度とフィルム屈折率を示す。
【0036】
表6には、実施例8に記載される、異なる約10nmのキャップされたTiO2の重量パーセントとBAおよびPBAモノマーの重量比とを有する製剤、ならびにそれらのそれぞれの粘度、589nmでの製剤RI値、550nmでのナノコンポジットフィルムRi値、フィルム厚、および400nmと700nmでの%T値を示す。
【0037】
表7には、実施例9に記載される、異なる約30nmのキャップされたTiO2の重量パーセントとBAおよびPBAモノマーの重量比とを有する製剤、ならびにそれらのそれぞれの粘度、589nmでの製剤RI値、550nmでのナノコンポジットフィルムRi値、フィルム厚、および400nmと700nmでの%T値を示す。
【0038】
表8には、実施例11に記載される、異なるキャップされたZrO2、混合されたZrO2/TiO2(約10nmの粒子サイズ)およびTiO2のみの重量パーセントとBAおよびNVPモノマーの重量比とを有する製剤、ならびにそれらのそれぞれの粘度とフィルム屈折率を示す。
【0039】
表9には、実施例12に記載される、異なるキャップされたZrO2、約30nmのTiO2の重量パーセントとNTT-AT樹脂の重量比とを有する製剤、およびそれらのそれぞれのナノコンポジットフィルム屈折率を示す。
【0040】
表10には、実施例13に記載される、異なるキャップされたZrO2、約10nmのTiO2重量パーセントとルミプラス樹脂の重量比とを有する製剤、およびそれらのそれぞれのナノコンポジットフィルム屈折率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
特性評価
いくつかの実施形態では、本開示の製剤をTAインスツルメントQ500(TA instrument Q500)熱重量分析装置(thermal gravimetric analyzer(TGA))を用いて分析し、無機固形分含有量を決定する。TGAは、沸点<200℃の溶媒中のナノ結晶分散物を用いて実行して、キャップされたナノ結晶の有機含有量を決定する。初期質量に対する200℃でのパーセント質量を、キャップされたナノ結晶とみなし、初期質量に対する700℃でのパーセント質量を、キャップされたナノ結晶の無機部分、すなわち無機固形分含有量とみなす。キャップされたナノ結晶のパーセント有機物(%Org)は、200℃の質量(M200C)と700℃の質量(M700C)の差を200℃でのパーセント質量で割ったものとして定義される。
【数2】
【0042】
ナノコンポジットまたは製剤の場合、パーセント固形分(%S)は、溶媒中で測定されたナノコンポジットの無機含有量およびキャップされたナノ結晶の有機含有量から計算される。
【数3】
【0043】
本開示の製剤のキャップされたナノ結晶は、全製剤の10重量%未満、または全製剤の10~20重量%、または全製剤の20~30重量%、または全製剤の30~40重量%、または全製剤の40~50重量%、または全製剤の50~60重量%、または全製剤の60~70重量%、または全製剤の70~80重量%、または全製剤の80~90重量%、または全製剤の90~93重量%を構成している。
【0044】
光透過率は、分散物、製剤、およびナノコンポジットフィルムまたは塗膜の品質を評価するための一般的な手法である。試料中を伝搬する光は、吸収、散乱、または透過する可能性がある。所与の波長での垂直透過率は、Tn=I/I
0として定義され、ここで、I
0は入射光の強度、Iは検出器に集められた順方向の光の強度であり、順方向の光は、散乱せずに透過した光と順方向に散乱した光の両方を含む。理論的には、入射光と同じ方向が順方向として定義されるが、しかし検出器は、その大きさが有限であることに起因して、この方向のまわりの小さな立体角内に、通常は集光する。本開示を通じて、この透過率を、垂直透過率または単に透過率と呼ぶ。所与の波長での試料の吸収率、すなわち光学濃度(OD)は、以下のように定義される。
【数4】
【0045】
垂直透過率を測定する場合には、測定アーチファクト、例えば様々な界面からのフレネル反射やキュベット壁による吸収を考慮に入れて除去する必要がある。これは、基準を使用することで対処でき、試料と基準を装置内で並べて測定するか、または試料と基準を順次測定した後、データをあとで数学的に補正するか、いずれかによってなされる。液体ナノ結晶分散物の試料は、ガラス、石英、またはプラスチックのキュベット中で測定することができるが、キュベット壁の有限の厚さに起因して、フレネル反射が発生する4つの界面、そして吸収が発生する2つの壁がある。基準と同じ、材料、壁の厚さ、経路長のキュベットを使用することで、充分な精度の結果が得られる。
【0046】
薄膜ナノコンポジットの場合、塗膜された基材を、同じ厚さと表面平滑性を有する同じ材料で作られたブランク基材に対して、並べて測定するまたは連続して測定するのいずれかにより、界面での吸収と反射を補正する。塗膜は、基材や空気とは異なる屈折率を有する場合があるので、フィルムと基材の前面での反射がわずかに異なる場合がある結果、分光光度計で使用されるアルゴリズムに基づくと透過率が100%よりも高くなることが多い。この影響は補正することができるが、ステップが煩雑であり、誤差は通常、小さい。便宜上、本開示で示す透過率データは、補正なしで測定されるものである。
【0047】
透過も散乱も反射もしない光は吸収される。吸収率は、入射光から透過光、散乱光、反射光を減算することにより計算できる。
【0048】
硬化剤を含まない本開示の製剤の450nmでの光透過率は、パーキンエルマー・ラムダ850(Perkin Elmer Lambda 850)分光光度計を用いて、1cmの経路長を有するキュベット中で測定した場合、99%~95%、または95%~90%、または90%~85%、または85%~80%、80%~75%、または75%~70%、または70%~65%、または65%~60%、または60%~55%、または55%~50%、または50%~45%、または45%~40%、または40%~35%、または35%~30%、または30%~25%、または25%~20%、または20%~15%、または15%~10%である。
【0049】
硬化剤を含まない本開示の製剤の400nmでの光透過率は、パーキンエルマー・ラムダ850分光光度計を用いて、1cmの経路長を有するキュベット中で測定した場合、99%~95%、または95%~90%、または90%~85%、または85%~80%、80%~75%、または75%~70%、または70%~65%、または65%~60%、または60%~55%、または55%~50%、または50%~45%、または45%~40%、または40%~35%、または35%~30%、または30%~25%、または25%~20%、または20%~15%、または15%~10%である。
【0050】
本開示の製剤は、約1cP~約12,000cPの粘度を有する。本開示の製剤は、25℃で測定し、Brookfield RVDV II+コーンプレート型粘度計を用いて測定した場合、約1cP、約2cP、約5cP、約10cP、約15cP、約20cP、約25cP、約30cP、約40cP、約50cP、約60cP、約75cP、約100cP、約200cP、約500cP、または約1,000cPの粘度を有する。
【0051】
屈折率は、448nmと635nmのレーザービームを備えたメトリコン(Metricon)の2010/Mモデルのプリズムカプラー(Prism Coupler)を用いて測定される。第3の波長での同じ材料の推定屈折率を計算することができる。550nmでの屈折率の計算は、2項型のコーシー方程式に基づいている。
【数5】
【0052】
パラメータAとBは、特定の波長での測定RI値に依存しており、これらの波長には448nmと635nmを選択した。RI(448nm)およびRI(635nm)についてパラメータAおよびBを表すことにより、以下の式でRI(550nm)を計算することができる。
【数6】
【0053】
製剤の成分と特性
本開示は、モノマー、オリゴマー、ポリマー、またはそれらの混合物中に分散された、少なくとも部分的にキャップされた金属酸化物ナノ結晶を含む、溶媒フリー、低粘度、高透明、高RIを提供する。また前記製剤は、硬化剤、接着促進剤、湿潤剤、レベリング剤、分散剤、粘度調整剤、有機ドーパント、および酸化防止剤を含む。これらの製剤により、高屈折率で光透明度の高いナノコンポジットや薄膜塗膜が可能になる。これらの製剤は、インクジェット印刷用途に特化しており、インクジェットノズルの面板濡れへの強い抵抗性と、所望の基材への適切な濡れ性を有することが望ましい。液体は特定の固体表面に対し濡れ性を示し、液体が平衡状態に達すると接触角が形成される。接触角の低い値は、典型的には10°未満であり、この液体は、前記表面に対する高い濡れ性を有する。濡れ性が高いと、均一な塗膜が実現される。45°より大きい接触角は、部分的に濡れている、または濡れていない場合を示唆する。そのような場合には、不規則な表面や考えられるレンズ印刷が、結果として考えられ、低表面エネルギーの表面上の高表面張力の液体を示すことが多い。
【0054】
結果として得られるナノコンポジットフィルムは、中程度から高い硬化度、意図された基材への良好な接着性、および良好なフィルム均一性を有することが望ましい。
【0055】
本明細書に記載の製剤は、硬化のためのUV放射の適用に焦点を当てているが、熱硬化は、適切な熱開始剤、例えば2,2-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN)を用いて完全に可能である。
【0056】
複数の硬化剤の組み合わせは、当業者に公知の特定の状況では有利である。
【0057】
本開示の製剤の硬化剤の量は、モノマー、オリゴマー、および/もしくはポリマー全体の0.5重量%未満、またはモノマー、オリゴマー、および/もしくはポリマー全体の0.5重量%~1重量%、またはモノマー、オリゴマー、および/もしくはポリマー全体の1重量%~2重量%、またはモノマー、オリゴマー、および/もしくはポリマー全体の2重量%~3重量%、またはモノマー、オリゴマー、および/もしくはポリマー全体の3重量%~4重量%、またはモノマー、オリゴマー、および/もしくはポリマー全体の4重量%~5重量%、またはモノマー、オリゴマー、および/もしくはポリマー全体の5重量%~6重量%、またはモノマー、オリゴマー、および/もしくはポリマー全体の6重量%~7重量%、またはモノマー、オリゴマー、および/もしくはポリマー全体の7重量%~8重量%、またはモノマー、オリゴマー、および/もしくはポリマー全体の8重量%~15重量%の量で存在する。
【0058】
接着促進剤は、存在する場合、有機金属化合物、例えば有機官能性シランから、または官能化されたモノマーおよびオリゴマーから選択される。いくつかの有機基材と良好なフィルム均一性。
【0059】
本開示のナノ結晶は、金属酸化物、例えば酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化ニオブ、または前記酸化物の少なくとも2つの混合物のナノ結晶を含み、これらの酸化物は、高いバルク屈折率、典型的には2よりも大きいもののみならず、高透明度を有しており、これは可視スペクトルにおける大きなバンドギャップに起因する。
【0060】
本開示のキャップされたナノ結晶は、3~40nmの平均サイズ範囲を有しており、これは透過型電子顕微鏡(TEM)で測定され、サイズ分布は狭い。
【0061】
本開示のキャップされたナノ結晶は例えば、PGMEAなどの溶媒に5重量%以下の濃度で分散させた場合、(マルバーンのゼータサイザーナノS動的光散乱(Malvern Zetasizer Nano S Dynamic Light Scattering(DLS))装置を用いて測定した平均サイズが20nm未満の単分散である。DLSでは、ナノ結晶を取り囲む溶媒殻とともに、粒子サイズを測定する。本開示のキャップされたナノ結晶は、ポリマーまたはモノマーのマトリックス中で分散性を維持する、または凝集のない状態のままである。本開示の材料のそのような物理的特性は、光散乱を低減させるだけでなく、加工性を向上させる。
【0062】
提示された開示のキャップされたナノ結晶は、仮特許出願第62/769,703号および特許第US8592511B2号に記載の方法によって準備されるが、これらの文献は、その内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0063】
本開示のナノ結晶は、キャップ剤、またはキャップ基とも称される特定の官能基を用いて少なくとも部分的にキャップされる。これらの特定の官能基は、ナノ結晶の表面にグラフトされる。キャップ反応は、水の存在下で実行される。本明細書で使用されるとおり、キャップされたナノ結晶と、少なくとも部分的にキャップされたナノ結晶とは、機能的に同等である。
【0064】
本開示の製剤におけるキャップされたナノ結晶のキャップ剤は、シラン類、カルボン酸類、および/またはアルコール類を含む。本開示のシラン類の例には、メチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、ノクチルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、m,p-エチルフェネチルトリメトキシシラン、2-[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン、メトキシ(トリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-(アクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、およびグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、1-ヘキセニルトリメトキシシラン、1-オクテニルトリメトキシシラン、またはこれらのいずれかの組み合わせなどが挙げられるが、これらには限定されない。
【0065】
本開示のアルコール類の例には、ヘプタノール、ヘキサノール、オクタノール、ベンジルアルコール、フェノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オレイルアルコール、ドデシルアルコール、オクタデカノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、またはこれらのいずれかの組み合わせなどが挙げられるが、これらには限定されない。
【0066】
本開示のカルボン酸類の例には、オクタン酸、酢酸、プロピオン酸、2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸、オレイン酸、安息香酸、ステアリン酸、トリフルオロ酢酸、ビフェニル-4-カルボン酸、2-(2-メトキシエトキシ)酢酸、メタクリル酸、コハク酸モノ-2-(メタクリロイルオキシ)エチル、またはこれらのいずれかの組み合わせなどが挙げられるが、これらには限定されない。
【0067】
本開示の製剤のモノマー、オリゴマー、および/またはポリマーは、アクリル類、ビニル類、またはこれらの組み合わせを含む。
【0068】
本開示の製剤のアクリルモノマー、オリゴマー、および/またはポリマーは、ベンジル(メト)アクリラート(BAおよびBMA)、トリメチロールプロパントリ(メト)アクリラート(TMPTAおよびTMPTMA)、トリメチロールプロパンエトキシラートトリ(メト)アクリラート(EOTMPTAおよびEOTMPTMA)、1,6-ヘキサンジオールジ(メト)アクリラート(HDDA、HDDMA)、ジ(エチレングリコール)ジ(メト)アクリラート(DEGDA、DEGDMA)、エチレングリコールジアクリラート、グリセロール1,3-ジグリセロラートジアクリラート、トリ(プロピレングリコール)ジアクリラート、1,6-ヘキサンジオールエトキシラートジアクリラート、エチレングリコールフェニルエーテル(メト)アクリラート(PEA、PEMA)、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリラート(HPPA)、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリラート(HPPMA)、2-フェノキシベンジルアクリラート(PBA)、ビフェニルメタクリラート(BPMA)、2-フェニルフェノールメタクリラート(PPMA)、イソブチルアクリラート(IBA)、2-フェニルエチルアクリラート(2-PEA)、2-(フェニルチオ)エチルアクリラート(PTEA)、硫黄含有性の市販の樹脂および接着剤、例えば#18109、#18165、および#6205(NTT-AT);ならびにルミプラスLP-1100、LPB-1102、LPJ-1102、LPS-1130(三菱ガス化学)、またはこれらの組み合わせを含む。
【0069】
本開示の製剤のビニルモノマー、オリゴマー、および/またはポリマーは、N-ビニルピロリドン(NVP)、フェニルノルボルネン、スチレン(STY)、4-メチルスチレン、4-ビニルアニソール、ジビニルベンゼン、またはこれらの組み合わせを含む。
【0070】
本開示の製剤は、メルカプト官能性モノマー、例えばトリメチロールプロパントリ(3-メルカプトプロピオナート)(TMPMP)、ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトプロピオナート)(PETMP)、エチレングリコールジメルカプトプロピオナート、エチレングリコールジメルカプトアセタート、チオジエタンチオール、ビス(メルカプトエチル)エーテル、2,2’-(エチレンジオキシ)ジエタンチオール、およびこれらの組み合わせを含む。
【0071】
本開示の製剤は、フィルムまたは塗膜の屈折率を高めるための有機ドーパントを含む。有機ドーパントは、存在する場合には、フェナントレン(PhA)、9-シアノフェナントレン、トリフェニルメタン、ベンゾキノリン、9-ビニルカルバゾール、およびこれらの組み合わせを含む。
【0072】
本開示の製剤の硬化剤は、光重合開始剤を含む。光重合開始剤は、ナノコンポジットの光学的そして物理的性能を制限しないことを前提に、光(UV)エネルギーを用いてラジカルなどの活性種を生成できるものである限り、いかなるものも使用できる。光重合開始剤硬化剤には、アミン類、例えばエベクリル(登録商標)P115、またはベンゾフェノンおよびその誘導体、例えばエベクリル(登録商標)P39、スピードキュアBEM(ランブソンUSA社、ラザフォード、コネチカット州、米国)、または有機ホスフィン類、例えばジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド(TPO)、イルガキュア(登録商標)819、もしくはイルガキュア(登録商標)184(BASF USA社、フローラムパーク、ニュージャージー州、米国)などが挙げられる。この製剤は、単一の光重合開始剤またはそのいずれかの組み合わせと、アミノまたはメタクリロキシ基を含有するのに適したシラン接着促進剤とを含む。例示的なシラン接着促進剤には、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-[(メタクリロイルオキシ)プロピル]トリメトキシシラン、ウレイドプロピルトリメトキシシラン、およびトリメトキシ[3-(メチルアミノ)プロピル]シランなどが挙げられるが、これらには限定されない。官官能化されたモノマーおよびオリゴマーの接着促進剤には、CN820、CN146(サートマー・アメリカズ、エクストン、ペンシルバニア州、米国(Sartomer Americas,Exton,PA,USA))、SR9051、SR9053(Sartomer Americas,Exton,PA,USA)、およびエベクリル171(オルネクスUSA社、ウォーリングフォード、コネチカット州、米国(Allnex USA Inc.,Wallingford,CT,USA))などが挙げられるが、これらには限定されない。
【0073】
本開示の製剤の接着促進剤は、モノマー、オリゴマー、および/もしくはポリマーの0.5重量%未満、またはモノマー、オリゴマー、および/もしくはポリマーの0.5~1重量%、またはモノマー、オリゴマー、および/もしくはポリマーの1~5重量%、またはモノマー、オリゴマー、および/もしくはポリマーの5~10重量%、またはモノマー、オリゴマー、および/もしくはポリマーの10~15重量%、またはモノマー、オリゴマー、および/もしくはポリマーの15~30重量%の量で存在する。
【0074】
湿潤剤、レベリング剤、消泡剤、および分散剤として作用する界面活性剤が、随意に存在して、製剤の表面張力を低下させ、それによって製剤の流れ特性を向上させて、さらに均一な乾燥した塗膜表面を生成する。界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、またはこれらの組み合わせであってもよい。適切な湿潤剤の代表的な例には、シロキサン系界面活性剤、例えばBYK-331、BYK-377、BYK-378、(ビックケミー有限会社)、フッ素系界面活性剤、例えばノベック4430、ノベック4432、ノベック4434(3M,St.Paul,MN,USA)、キャップストーンFS-3100(ケマース社、ウィルミントン、デラウェア州、米国)などが挙げられるが、これらには限定されない。レベリング剤が随意に使用される。レベリング剤の例には、ポリアクリラート化合物、例えばBYK-352、BYK-353、BYK-356、BYK-361N;アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン、例えばBYK-322、BYK-323、BYK-350(ビックケミー有限会社)、ポリエーテル変性、アクリル官能性のシロキサン、例えばBYK-UV3530などが挙げられる。分散剤の例には、限定なしに、ポリアルキレングリコール類およびそのエステル類、ポリオキシアルキレン類、多価アルコールエステルアルキレンオキシド付加生成物、アルコールアルキレンオキシド付加生成物、スルホン酸エステル類、スルホン酸塩類、カルボン酸エステル類、カルボン酸塩類、アルキルアミドアルキレンオキシド付加生成物、アルキルアミン類、および同類のものなどが挙げられ、単体で、または2つ以上の混合物として使用される。分散剤の市販例には、限定なしに、ディスパーBYK-101、ディスパーBYK-130、ディスパーBYK-140、ディスパーBYK-160、ディスパーBYK-161、ディスパーBYK-162、ディスパーBYK-163、ディスパーBYK-164、ディスパーBYK-165、ディスパーBYK-166,ディスパーBYK-170、ディスパーBYK-171、ディスパーBYK-182、ディスパーBYK-2000、ディスパーBYK-2001(ビックケミー有限会社)、ソルスパース32000、ソルスパース36000、ソルスパース28000、ソルスパース20000、ソルスパース41000、およびソルスパース45000(ルーブリゾール、ウィックリフ、オハイオ州、米国)などが挙げられる。
【0075】
湿潤性を向上させる目的での、本開示の製剤の界面活性剤の量は、全製剤の0.05重量%未満、または全製剤の0.05~0.1重量%、または全製剤の0.1~0.5重量%、または全製剤の0.5~1重量%、または全製剤の1~2重量%、または全製剤の2~5重量%の量で存在する。分散を助長する目的での、本開示の製剤の界面活性剤の量は、分散されている材料に応じて変化する。分散剤の量は、分散されている材料の3重量%未満、または分散されている材料の3~5重量%、または分散されている材料の5~10重量%、または分散されている材料の10~20重量%、または分散されている材料の20~40重量%、または分散されている材料の40~60重量%、または分散されている材料の60~80重量%、または分散されている材料の80~100重量%、または分散されている材料の100~150重量%である。
【0076】
本開示の製剤の酸化防止剤は、少なくとも1つの一次酸化防止剤を含む。この一次酸化防止剤は、立体障害フェノール類、例えばイルガノックス1010、イルガノックス1076、ソングノックス(登録商標)1076、ソングノックス(登録商標)2450、またはフェノールホスファイト類、例えばソングノックス(登録商標)1680、またはホスフィン類、例えばイルガフォス168(Irgaphos 168)(BASF USA社、フローラムパーク、ニュージャージー州、米国)、または芳香族二級アミンまたは立体障害アミン類、例えばソングライト(登録商標)6220(SongLight(登録商標)6220)(ソンウォン・アメリカズ、フレンドウッド、テキサス州、米国(Songwon Americas,Friendwood,TX,USA))を含む。
【0077】
本開示の製剤は、少なくとも1つの二次酸化防止剤を含む。この二次酸化防止剤は好ましくは、2つの炭素原子に結合した硫黄原子から形成される少なくとも1つの単位を含む化合物から選択される。二次酸化防止剤の代表的な例は、ジ(t-ブチル)ヒドロキシフェニルアミノビスオクチルチオトリアジン、およびイルガノックスPS800(BASF USA社、フローラムパーク、ニュージャージー州、米国)である。
【0078】
本開示の製剤の酸化防止剤の量は、全製剤の0.5重量%未満、または全製剤の0.5重量%~1重量%、または全製剤の1重量%~2重量%、または全製剤の2重量%~3重量%、または全製剤の3重量%~4重量%、または全製剤の4重量%~5重量%、または全製剤の5重量%~6重量%、または全製剤の6重量%~7重量%、または全製剤の7重量%~8重量%、または全製剤の8重量%~10重量%である。
【0079】
本開示の製剤は、さらに、可塑剤、強靭剤、増粘剤、希釈剤、分散剤、または柔軟剤、または他の機能性添加剤を含む。
【0080】
本開示の製剤は、さらに低い粘度を維持するために、少量の濃度の溶媒を(「溶媒フリー」および「溶媒不使用」の定義の範囲内で)さらに含む。溶媒の選択は、キャップされたナノ結晶のタイプ、ならびに製剤の選択されたモノマー、オリゴマー、およびポリマーに完全に依存する。低沸点から高沸点までの一般的な溶媒の例には、アルコール類、グリコール類、酢酸メチル類、酢酸エチル類、エステル類、ケトン類、グリコールエーテル類、グリコールエステル類、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセタート、ブトキシエタノール、ブトキシプロパノール、エトキシエチルアセタート、ブトキシエチルアセタート、2-(イソペンチルオキシ)エタノール、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸エチル、THF、アセトン、これらのいずれかの組み合わせである。
【0081】
本開示の製剤は、調整可能な粘度、および/または製剤の1つまたは複数の成分によって制御される粘度を示す。製剤の粘度を制御するパラメータには、モノマー、オリゴマー、および/またはポリマーの平均長と分子量のみならず、溶媒の存在と溶媒の濃度、増粘剤(すなわち、粘度調整成分)の存在と増粘剤の濃度、製剤中に存在する成分の粒子サイズ、温度、ならびにこれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらには限定されない。
【0082】
本開示の製剤は、1週間より、または2週間より、または3週間より、または6週間より、または8週間より、または3ヶ月より、または6ヶ月より、または12ヶ月より、または36ヶ月より長い間、安定であり、粘度の著しい増加はない。また、キャップされたナノ結晶の視認できる沈殿がないことが望ましく、そして製剤粘度の変化が10%未満、または20%未満、または30%未満、または40%未満、または50%未満、または100%未満であることが望ましい。さらに、製剤の光透過率の変化は、450nmで、10%未満の透過率の減少、または20%未満の透過率の減少、または30%未満の透過率の減少、または40%未満の透過率の減少、または50%未満の透過率の減少であることが望ましい。
【0083】
インクジェット印刷の目的では、本開示の製剤の噴射は、1時間より、8時間より、1日より、または1週間より長い間、安定であり、粘度の著しい増加はない。製剤は、印刷ヘッドのノズルを詰まらせることにつながる、乾燥や硬化による固化を生じない。
溶媒フリーまたは溶媒不使用の製剤の製造方法
【0084】
いくつかの実施形態では、本開示は、直接分散(ナノ結晶を媒体に直接分散させること)を含む溶媒フリーのナノコンポジット製剤の製造方法であって、キャップされたナノ結晶を溶媒から分離し、溶媒含有量が5%未満になるまで真空下で乾燥させて乾燥ナノ結晶を形成し;少なくとも部分的にキャップされた金属酸化物ナノ結晶の乾燥ナノ結晶を、少なくとも1つのモノマー、オリゴマー、ポリマー、またはそれらの混合物に、浸漬、撹拌、高速混合、マイクロフルイダイジング、またはその他の混合方法によって混合する方法を提供する。さらなる実施形態では、本方法は、前記混合物をろ過して凝集体または他の汚染物質を除去することをさらに含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも部分的にキャップされた金属酸化物ナノ結晶の乾燥粉末を、浸漬、撹拌、高速混合、マイクロフルイダイジングまたは他の混合方法によって少なくとも1つの溶媒に混合してナノ結晶溶媒分散物を提供することと;前記分散物を少なくとも1つのモノマー、オリゴマー、ポリマー、または混合物またはモノマー、オリゴマー、および/もしくはまたはポリマーと混合して溶媒含有製剤を提供することと;蒸発または他の溶媒除去方法、例えばロトバップによって前記溶媒を除去することと、を含む、溶媒フリーの製剤の製造方法を提供する。さらなる実施形態では、本方法は、前記溶媒含有製剤または溶媒フリーの製剤をろ過して、凝集体または他の汚染物質を除去することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法に従って使用される溶媒は、酢酸エチル、メチルエチルケトン、または他の低沸点溶媒を含む。
ナノコンポジット特性
【0086】
基材上のまたは自立した、フィルム、塗膜、層、レンズを含むナノコンポジット。本開示は、有機重合性マトリックスと、硬化剤と、キャップされたナノ結晶の混合物とを含むナノコンポジットであって、前記キャップされたナノ結晶が、ナノコンポジットの20~80重量%の量でナノコンポジット中に存在するナノコンポジットを提供する。インクジェット印刷可能な製剤向けにさらに絞り込まれた配合量は30~70重量%であり、モノマー、オリゴマー、ポリマー、および、存在するのであれば溶媒の選択に大きく依存する。
【0087】
本開示のナノコンポジットは、金属酸化物、例えば酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化ニオブ、または前記酸化物の少なくとも2つの混合物のナノ結晶を含む。
【0088】
本開示のナノコンポジットにおけるキャップされたナノ結晶のキャップ剤は、シラン類、カルボン酸類、および/またはアルコール類を含む。本開示のシラン類の例には、メチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、ノクチルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、m,p-エチルフェネチルトリメトキシシラン、2-[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン、メトキシ(トリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-(アクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、およびグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、1-ヘキセニルトリメトキシシラン、1-オクテニルトリメトキシシラン、またはこれらのいずれかの組み合わせなどが挙げられるが、これらには限定されない。
【0089】
本開示のアルコール類の例には、ヘプタノール、ヘキサノール、オクタノール、ベンジルアルコール、フェノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オレイルアルコール、ドデシルアルコール、オクタデカノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、またはこれらのいずれかの組み合わせなどが挙げられるが、これらには限定されない。
【0090】
本開示のカルボン酸類の例には、オクタン酸、酢酸、プロピオン酸、2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸、オレイン酸、安息香酸、ステアリン酸、トリフルオロ酢酸、ビフェニル-4-カルボン酸、2-(2-メトキシエトキシ)酢酸、メタクリル酸、コハク酸モノ-2-(メタクリロイルオキシ)エチル、またはこれらのいずれかの組み合わせが挙げられるが、これらには限定されない。
【0091】
本開示のナノコンポジットの塗膜またはフィルムの無機固形分含有量は、TAインスツルメントQ500熱重量分析装置(TGA)を用いて分析される。手順は、先の記載と同一である。
【0092】
本開示のナノコンポジットの塗膜の無機固形分含有量は、TGAで測定して0~10%、またはTGAで測定して10~20%、またはTGAで測定して20~30%、またはTGAで測定して30~40%、またはTGAで測定して40~50%、またはTGAで測定して50~60%、またはTGAで測定して60~70%、またはTGAで測定して70~80%、またはTGAで測定して80~90%、またはTGAで測定して90~93%の範囲内である。
【0093】
本開示のナノコンポジットの塗膜またはフィルムのポリマーマトリックスのモノマー単位には、アクリル類が挙げられる。本開示のナノコンポジットの塗膜またはフィルムのポリマーマトリックスのモノマー単位には、ベンジルメタクリラート(BMA)、ベンジルアクリラート(BA)、トリメチロールプロパントリアクリラート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリラート(TMPTMA)、トリメチロールプロパンエトキシラートトリアクリラート(EOTMPTA)、トリメチロールプロパンエトキシラートトリメタクリラート(EOTMPTMA)、1,6-ヘキサンジオールジアクリラート(HDDA)、1,6-ヘキサンジオールジメタクリラート(HDDMA)、ジ(エチレングリコール)ジアクリラート(DEGDA)、ジ(エチレングリコール)ジメタクリラート(DEGDMA)、エチレングリコールジアクリラート、グリセロール1,3-ジグリセレートジアクリラート、トリ(プロピレングリコール)ジアクリラート、1,6-ヘキサンジオールエトキシラートジアクリラート、エチレングリコールフェニルエーテルアクリラート(PEA)、エチレングリコールフェニルエーテルメタクリラート(PEMA)、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリラート(HPPA)、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリラート(HPPMA)、2-フェノキシベンジルアクリラート(PBA)、ビフェニルメタクリラート(BPMA)、2-フェニルフェノールメタクリラート(PPMA)、イソブチルアクリラート(IBA)、またはこれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0094】
本開示のナノコンポジットは、550nmで1.54~1.56、1.56~1.58、1.58~1.60、1.60~1.62、または1.62~1.64、1.64~1.66、または1.66~1.68、または1.68~1.70、または1.70~1.72、または1.72~1.74、または1.76~1.78、または1.78~1.80、または1.80~1.82、または1.82~1.84、または1.84~1.86、または1.86~1.88、または1.88~1.90、または1.90~1.92、または1.92~1.94の屈折率を有する。
【0095】
本開示のナノコンポジットはさらに、2H以上、3H以上、または4H以上、または5H以上、または6H以上の鉛筆硬度を示す。ASTM D3363の方法で試験した場合。
【0096】
本開示のナノコンポジットは、厚さ20ミクロン未満のフィルムの場合、99.9%~99%、または99%~98%、または98%~97%、または97%~96%、または96%~95%、または95%~90%、または90%~85%、または85%~80%、80%~75%、または75%~70%、または70%~65%、または65%~60%、60%~55%、55%~50%、50%~45%、45%~40%、40%~35%、35%~30%、30%~25%、25%~20%、20%~15%、15%~10%の高い可視光(400~800nm)透過率を有する。本開示によるフィルムの透過率は、パーキンエルマーUV-Visラムダ850分光光度計を用いて測定された垂直透過率を含み、この場合、ナノコンポジットは、光透明な基材、例えば溶融シリカまたはガラス基材の上に塗布され、同じタイプおよび厚さのブランク基材が基準として使用される。
【0097】
本開示のナノコンポジットはさらに、120℃以上、または175℃以上、または200℃以上、または250℃以上、または260℃以上、または300℃以上の温度で熱安定性を示す。熱安定性は、ナノコンポジットを、指定された温度で、空気中、窒素中、または真空下、5分以上、または10分以上、または30分以上、または60分以上、または120分以上置いて、視認できる変色、ひび割れ、または剥離、および400nmでの10%未満の透過率の減少、または20%未満の透過率の減少、または30%未満の透過率の減少、または40%未満の透過率の減少、または50%未満の透過率の減少のない状態で測定される。
本発明のナノコンポジットの作製方法
【0098】
本開示は、本開示の製剤を用いたナノコンポジットの作製方法を提供する。本開示の硬化したまたは部分的に硬化した製剤を含むナノコンポジットフィルムを、本明細書に記載する。前記ナノコンポジットは、当業者に公知のUVまたは熱硬化技術によって硬化または部分的に硬化する。
【0099】
本開示は、本明細書に記載のナノコンポジットフィルムであって、スピン塗布、スロットダイ塗布、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ナノインプリント、フォトパターニング、3D印刷、浸漬塗布、ドロー・バー塗布、ロール・ツー・ロール印刷、噴霧塗布、分注、ボリューム・キャスティング、スクリーン印刷、およびそれらのいずれかの組み合わせによって表面上に製剤を付着させることによって製造されるフィルムを提供する。
装置
【0100】
本開示は、能動部品を含む装置を提供し、前記能動部品は、本開示のナノコンポジットを含む、または含有する。スマートウィンドウ、センサ、CMOSセンサ、LED、ミニLED、マイクロLED、有機LED(OLED)、量子LED(QLED)、タッチスクリーン、ディスプレイ、フレキシブルエレクトロニクス、プリンテッドエレクトロニクス、自浄性表面、拡張現実(AR)、複合現実(MR)、および仮想現実(VR)、導波路、光抽出、および3Dセンサを含む装置。
【実施例】
【0101】
実施例1
実施形態で上に記載されたキャップされたZrO2ナノ結晶を、所望のモノマー、例えばBAまたはPEAに直接分散(溶媒フリーまたは溶媒不使用の製剤の製造方法の段落1を見られたい)を通じて分散させ、架橋剤、例えばTMPTA、HDDA、およびTMPMPで希釈して、製剤中、35wt%~70wt%の範囲の所望のジルコニア配合量、4~20wt%の範囲のBA重量パーセント、20~40wt%の範囲のPEA重量パーセント、2~5wt%の範囲のTMPTA重量パーセント、3~5wt%の範囲のTMPMPパーセント、1~3wt%の範囲のHDDA重量パーセント、0.5~1.0wt%の範囲のBYK378重量パーセントにした。実施例1の代表的な製剤は、以下の表1に従って製剤A1~A10と表示する。
【表2】
【0102】
実施例1A
27.6wt%のBA、27.6wt%のPEA、4.9wt%のTMPTA、および4.9wt%のTMPMPからなるアクリラート類のブレンド中、35wt%のキャップされたZrO2ナノ結晶を有し、11.5cPの粘度を示す製剤A10に、光開始剤(イルガキュア(登録商標)819光開始剤)を、モノマー含有量に対して4wt%の量で加えた。光開始剤を加えた製剤A10を、ガラス基材上に10ミクロンの厚さを有するフィルムとして堆積させた。フィルムを1J/cm2の385nmのUV光のもとで硬化させた結果、550nmで1.58の屈折率を有する硬化したフィルムが得られた。
【0103】
実施例2
実施例1で使用したZrO2のキャップされたナノ結晶を、先に記載のものと同じやり方でベンジルアクリラート(BA)モノマーに分散させて、数重量パーセントのナノ結晶配合量(NC wt%)を達成し、ナノコンポジットを形成した。シロキサン界面活性剤(ビックケミー有限会社から購入可能なBYK 378)を1.0wt%の量で加えて、その他のものを形成した。全製剤に対して、キャップされたナノ結晶の重量パーセントは、35~70wt%の範囲であり、BAの重量パーセントは35~70wt%の範囲であり、BYK 378の重量パーセントは0.5~1.0wt%の範囲であった。
【0104】
ナノコンポジットB1およびB2は、BA中、50wt%(23.3vol%)のナノ結晶を含み、それぞれ、1wt%のBYK 378界面活性剤を有さない、そして有するものである。
図1に、ジルコニアナノ粒子の重量パーセントに対する、25℃での未硬化の製剤B1の粘度の挙動を示す。50wt%ナノ結晶でのナノコンポジットB1は、10cPのナノコンポジット製剤粘度を有する。
図2は、本実施例で図示される製剤の場合のジルコニアナノ粒子の体積パーセントに対する、550nmでの硬化したB1フィルムRI(448nmおよび635nmで行われた測定から計算されたもの)の関係を表す。50wt%ナノ結晶でのナノコンポジットB1は、1.624という、550mでのナノコンポジットフィルムRIを有する。粘度対温度の挙動は、特定のインクジェット印刷ヘッドにとって重要な関係である。
図3に、ナノコンポジットB1およびB2の未硬化製剤の場合の粘度-温度の関係を、比較のために実施例3に記載の2つの他のナノコンポジットと共に表示する。ナノコンポジットB1およびB2の粘度は、25℃で近似的に9.1~9.8cPから、50℃で5.0~5.2cPに低下する。
【0105】
実施例3
実施例1で使用したZrO2のキャップされたナノ結晶を、所望のモノマーブレンド、例えばBA、NVP、およびPBAに、界面活性剤、例えばBYK378と一緒に分散させて、製剤中、30~70wt%の範囲の所望のジルコニア配合量にした。全製剤に対して、好ましいキャップされたナノ結晶重量パーセントは、35~60wt%の範囲であり、BAの重量パーセントは、15~30wt%の範囲であり、NVPの重量パーセントは、5~20wt%の範囲であり、PBAの重量パーセントは、5~20wt%の範囲であり、BYK378の重量パーセントは、0.5~1.0wt%の範囲である。PBAとBYK378の組み合わせの結果、特定のインクジェット印刷ヘッド、例えばジマトリクスDMCやKM1024i HEシリーズの場合では、ノズルプレートの濡れがほとんどなくなるかまったくなくなる。
図4に、重度の濡れ(上)から、中程度(中)、無し(下)までのノズルプレートの濡れの例として、3枚の写真を例示する。
【0106】
実施例3A
具体的な例が、30.0wt%のBA、30.0wt%のPBA、BYK 378からなるアクリラート類のブレンド中、40wt%のキャップされたナノ結晶を有する製剤であり(ナノコンポジットC1-BYK 378なし;ナノコンポジットC2-1.0wt%のBYK 378あり(全製剤に関して)、ナノコンポジットC2は、25℃で14.2cPの粘度と、22.0dyne/cmの表面張力とを有する。イルガキュア819光開始剤を、4wt%(モノマー含有量に関して)で、C2製剤に加えて、フィルムとして堆積させる。各製剤の10ミクロンのフィルムは、ガラス基材上に塗膜し、これは、1J/cm2の385nmUVのもとで硬化させて、550nmで1.64の屈折率を有する。得られたフィルムは、ナノコンポジットC1およびC2である。ナノコンポジットC1とC2の製剤の場合の、粘度対温度の関係を
図3に示す。ナノコンポジットB1およびB2の粘度は、25℃で近似的に12.5~14cPから、50℃で6.1~7.02cPに低下する。
【0107】
実施例3B
別の例が、27.5wt%のBA、16.5wt%のNVP、11.0wt%のPBA、BYK 378からなるアクリラート類のブレンド中、45wt%のキャップされたナノ結晶を有する製剤であり(ナノコンポジットD1-BYK 378なし;ナノコンポジットD2-全製剤に関して1.0wt%のBYK 378あり、ナノコンポジットD2は、25℃で10.1cPの粘度と、22.0ダイン/cmの表面張力とを有する。
【0108】
TGAスキャンを使用して、製剤中のパーセント固形分を特性評価し、11ページに記載する。別の特性評価ツールにより、UV-Visスペクトルを利用して、未硬化製剤の光学濃度を決定し、12ページに記載する。
図5および
図6に、ナノコンポジットD2のTGAスキャンと、光学濃度対波長曲線のグラフとをそれぞれ示す。TGAスキャンは、38.46%という、700℃加熱後の残留量を示している。350nmおよび450nmでの光学濃度(OD)値は、それぞれ約1.20および0.15である。
【0109】
イルガキュア819光開始剤を、4wt%(モノマー含有量に関して)で、ナノコンポジットD2に加えて、フィルムとして堆積させる。ガラス基材材に塗膜された10ミクロンのフィルムは、1J/cm2で385nmUVのもとで硬化させて、550nmで1.64の屈折率を有する。
【0110】
別の例が、25.0wt%のBA、15.0wt%のNVP、10.0wt%のPBA、および1.0wt%のBYK378からなるアクリラート類のブレンド中、50wt%のキャップされたナノ結晶を有する製剤であり、この混合物に1.0wt%のBYK 378を加えてナノコンポジットD3を形成して、25℃で14.2cPの粘度と、22.0dyne/cmの表面張力とを有する。イルガキュア819光開始剤を、4wt%(モノマー含有量に関して)で、製剤に加えて、フィルムとして堆積させる。このフィルムは、1J/cm2の385nm紫外線もとで硬化させて、550nmで1.651の屈折率を有する。
【0111】
硬化したナノコンポジットフィルムの典型的な光学特性は、可視領域の波長(400から700nm)にわたる透過率と屈折率である。
図7および8は、1.651のフィルムRI、および96.5%の550nmでの透過率を有する、厚さ10umのナノコンポジットD3フィルムの屈折率対波長および%T対波長の曲線である。表3に、ナノコンポジットD2およびD3を含む様々な製剤の組成、製剤粘度、ナノコンポジットフィルムRI、およびノズルの濡れ挙動を与える。
【表3】
【0112】
実施例4
実施例1で使用したZrO2のキャップされたナノ結晶を、所望のモノマーブレンド、例えばBA、NVP、PBAおよびBPMAに、界面活性剤、例えばBYK378と一緒に、先に記載したものと同じやり方で分散させて、製剤中、30~70wt%の範囲の所望のジルコニア配合量にした。好ましいキャップされたナノ結晶重量パーセントは、35~60wt%の範囲であり、BAの重量パーセントは、15~30wt%の範囲であり、NVPの重量パーセントは、5~20wt%の範囲であり、PBAの重量パーセントは、5~20wt%の範囲であり、BPMAの重量パーセントは、10~30wt%の範囲であり、BYK 378の重量パーセントは、0.5~1.0wt%の範囲である。表3は、本実施例のナノコンポジットE1~E6の場合の組成、粘度、硬化したフィルムのRI、およびノズルプレートの濡れの観察結果を含む。
【0113】
実施例4A
具体的な例が、18.0wt%のBA、12.0wt%のNVP、18.0wt%のPBA、12.0wt%のBPMA、および1.0wt%のBYK 378からなるアクリラート類のブレンド中、40wt%のキャップされたナノ結晶を有する製剤であるナノコンポジットE6であり、25℃で17.6cPの粘度と、22.0ダイン/cmの表面張力とを有する。
【0114】
イルガキュア819光開始剤を4wt%(モノマー含有量に関して)で製剤に加え、それをガラス基材上に10ミクロンのフィルムとして堆積させる。このフィルムは、1J/cm2の385nm紫外線もとで硬化させて、550nmで1.643の屈折率を有する。
【0115】
実施例5
実施例1で使用したキャップされたZrO2ナノ結晶を、先に記載したのと同じやり方で、所望のモノマーブレンド、例えばBA、NVP、PBA、およびBPMAに、界面活性剤、例えばBYK 378と一緒に分散させて、製剤中、所望のジルコニア配合量にし、粘度を下げるために、溶媒、例えばPGMEAを加えた。PGMEAの好ましい少量の添加量は、本発明に記載の溶媒フリーおよび溶媒不使用の製剤を提供するには、全製剤の1~10wt%である。
【0116】
実施例5A
2つの具体的な例が、20wt%のPEA中、80wt%のキャップされたナノ結晶を有する、25℃で5,755cPの初期粘度のナノコンポジットF1、および25wt%のBA中、75wt%のキャップされたナノ結晶を有する、25℃で140.6cPの初期粘度のナノコンポジットF2である。
図9は、ナノコンポジットF1およびF2に、全製剤に関してPGMEAを加えるにつれ、粘度が、10%希釈時にそれぞれ約100cPおよび30cPまで低下するのを示している。
【0117】
実施例6
実施例1で使用したキャップされたZrO2ナノ結晶を、先に記載したのと同じやり方で、所望のモノマーブレンド、例えばBA、NVP、PBA、およびBPMAに、界面活性剤、例えばBYK 378と一緒に分散させて、製剤中、所望のジルコニア配合量にし、有機ドーパント、例えばフェナントレン(PhA)を加えた。好ましいキャップされたナノ結晶重量パーセントは、モノマー含有量に対して、35~60wt%の範囲であり、BAの重量パーセントは、15~30wt%の範囲であり、NVPの重量パーセントは、5~20wt%の範囲であり、PBAの重量パーセントは、5~15wt%の範囲であり、BPMAの重量パーセントは、10~30wt%の範囲であり、PhAの重量パーセントは、10~20wt%の範囲であり、BYK 378の重量パーセントは、全製剤に対して0.5~1.0wt%の範囲である。表4に、PhAを加えた場合と加えない場合の様々な材料の場合の組成、製剤粘度、ナノコンポジットフィルムRIを示す。表4に、ナノコンポジットD3、D4、D5、G1、およびG2の例を示す。
【0118】
実施例6A
具体的な例、ナノコンポジットG1は、20.3wt%のBA、12.2wt%のNVP、8.2wt%のPBA、および9.3wt%のPhAからなるアクリラート類のブレンド中、50wt%のキャップされたナノ結晶を有する製剤であり、25℃で18.1cPの粘度を有する。
【0119】
イルガキュア819光開始剤を4wt%(モノマー含有量に関して)で製剤に加え、それをガラス基材上に10ミクロンのフィルムとして堆積させる。このフィルムは、1J/cm2の385nm紫外線もとで硬化させて、550nmで1.668の屈折率を有する。
【0120】
別の例、ナノコンポジットG2は、16.6wt%のBA、10.0wt%のNVP、7.0wt%のPBA、および6.6wt%のPhAからなるアクリラート類のブレンド中、59.7wt%のキャップされたナノ結晶を有する製剤であり、25℃で42.2cPの粘度を有する。
【0121】
イルガキュア819光開始剤を、4wt%(モノマー含有量に関して)で、製剤に加えて、フィルムとして堆積させる。このフィルムは、1J/cm2の385nm紫外線もとで硬化させて、550nmで1.683の屈折率を有する。
【表4】
【0122】
実施例7
実施例1で使用したキャップされたZrO2ナノ結晶を、先に述べたのと同じやり方で、所望のモノマーブレンド、例えばBA、NVP、PBA、STY、ならびに/または4-メチルスチレン(4MS)、ジビニルベンゼン(DVB)、および4-ビニルアニソール(4VA)に分散させ、有機ドーパント、例えば9-ビニルカルバゾール(NVCb)を加えて、ナノコンポジットH1~H5を形成した。界面活性剤、例えばBYK 333、および分散剤、例えばフローレンG-700(FLOWLEN G-700)を随意に加えて、インクジェット性能を向上させた。好ましいキャップされたナノ結晶重量パーセントは、35~60wt%の範囲であり、BAの重量パーセントは、15~30wt%の範囲であり、NVPの重量パーセントは5~20wt%の範囲であり、PBAの重量パーセントは、5~15wt%の範囲であり、STYの重量パーセントは、10~20wt%の範囲であり、DVBの重量パーセントは、10~20wt%の範囲であり、2-PEAの重量パーセントは、2~30wt%の範囲であり、モノマー含有量に関してNVCbの重量パーセントは、5~35wt%の範囲であり、BYK333の重量パーセントは、0.01~1.0wt%の範囲であり、フローレンG-700(FLOWLen G-700)分散剤の重量パーセントは、0.01~1.0wt%の範囲である。表5に、STY、4MS、DVB、4VA、2-PEA、NVCbを加えた場合と加えない場合の様々な材料の組成、製剤粘度、ナノコンポジットRIを示す。
【表5】
【0123】
実施例7A
具体的な例、ナノコンポジットH1は、13.0wt%のBA、7.9wt%のNVP、5.2wt%のPBA、4.8wt%のSTY、および16.0wt%のNVCbからなる、アクリラート類およびビニルモノマーのブレンド中、47.5wt%のキャップされたナノ結晶を有する製剤であり、25℃で21.3cPの粘度を有する。
【0124】
イルガキュア819光開始剤を4wt%(モノマー含有量に関して)で製剤に加え、それをガラス基材上に10ミクロンのフィルムとして堆積させる。このフィルムは、1J/cm2の385nm紫外線もとで硬化させて、550nmで1.690の屈折率を有する。
【0125】
別の具体的な例、ナノコンポジットH2は、13.0wt%のBA、7.9wt%のNVP、5.2wt%のPBA、4.8wt%の4MS、および16.0wt%のNVCbからなる、アクリラートおよびビニルモノマーのブレンド中、47.5wt%のキャップされたナノ結晶を有する製剤であり、25℃で18.2cPの粘度を有する。
【0126】
イルガキュア819光開始剤を4wt%(モノマー含有量に関して)で製剤に加え、それをガラス基材上に10ミクロンのフィルムとして堆積させる。このフィルムは、1J/cm2の385nm紫外線もとで硬化させて、550nmで1.692の屈折率を有する。
【0127】
第3の例、ナノコンポジットH4は、13.0wt%のBA、7.9wt%のNVP、5.2wt%のPBA、2.4wt%のSTY、2.4%のDVB、および16.0wt%のNVCbからなる、アクリラート類およびビニルモノマーのブレンド中、47.5wt%のキャップされたナノ結晶を有する製剤であり、25℃で20.3cPの粘度を有する。
【0128】
イルガキュア819光開始剤を4wt%(モノマー含有量に関して)で製剤に加え、それをガラス基材上に10ミクロンのフィルムとして堆積させる。このフィルムは、1J/cm2の385nm紫外線もとで硬化させて、550nmで1.699の屈折率を有する。
【0129】
実施例8
実施形態で上に記載したDLS強度で測定した約10nmの平均粒子サイズを有するキャップされたTiO2ナノ結晶を、直接分散を通じて、所望のモノマー、例えばBAまたはPBAに分散させて、製剤中、35wt%~70wt%の範囲である所望のジルコニア配合量、30~65wt%の範囲であるBAまたはPBAの重量パーセントにした。
【0130】
具体的な例が、所望のモノマーブレンド、例えばBAおよびPBAに、先に述べたのと同じやり方で分散させた約10nmのキャップされたTiO2ナノ結晶を含む。表6に、ナノコンポジットI1~I8の場合の、組成、粘度、589nmでの製剤RI値、550nmでの硬化したフィルムのRI値、フィルム厚、および400nmと700nmでの%Tを示す。
【0131】
図10に、BAおよびPBAモノマー中、約10nmのTiO2粒子の異なる重量パーセント配合量の場合の25℃におけるナノコンポジット製剤粘度の関係を示す。インクジェット印刷可能な製剤の場合、好ましいキャップされたナノ結晶重量パーセントは、40~60wt%の範囲であり、BAの重量パーセントは、40~60wt%の範囲であり、8~30cPに近い粘度を生じさせる。さらに高粘度の用途(30~1,000cP)、例えばスロットダイ塗布やナノインプリントの場合では、さらに高いTiO2の配合量が、40~80wt%の間では妥当であり、PBAの重量パーセントは、30~60wt%の範囲である。
図11に、約10nmのTiO2がBAおよびPBAモノマーに分散している場合に、未硬化のナノコンポジット製剤の589nmでのRIが、1.59~1.69の間で変化することを示す。550nmでの硬化したナノコンポジットフィルムのRI値を
図12に示し、その値は1.65~1.75の範囲である。
【表6】
【0132】
実施例9
実施形態で上に記載したDLS強度で測定した約30nmの平均粒子サイズ(コアサイズ約12~18nm)のキャップされたTiO2ナノ結晶を、直接分散を通じて、所望のモノマー、例えばBAまたはPBAに分散させて、製剤中、35wt%~70wt%の範囲である所望のジルコニア配合量、30~65wt%の範囲であるBAまたはPBAの重量パーセントにした。
【0133】
具体的な例が、所望のモノマーブレンド、例えばBAおよびPBAに、先に述べたのと同じやり方で分散させた、約30nmのキャップされたTiO2ナノ結晶を含む。表7に、ナノコンポジットJ1~J7の場合の、組成、粘度、589nmでの製剤RI値、550nmでの硬化したフィルムのRI値、フィルム厚、および400nmと700nmでの%Tを示す。
【0134】
また、
図10に、BAおよびPBAモノマー中、約30nmのTiO2粒子の異なる重量パーセント配合量の場合の、25℃でのナノコンポジット製剤粘度の関係を示す。インクジェット印刷可能な製剤の場合、好ましいキャップされたナノ結晶重量パーセントは、40~65wt%の範囲であり、BAの重量パーセントは、35~60wt%の範囲であり、8~30cPに近い粘度を生じさせる。さらに高粘度の用途(30~2000cP)、例えばスロットダイ塗布やナノインプリントの場合では、さらに高いTiO2の配合量が、40~80wt%の間では妥当であり、PBAの重量パーセントは、30~60wt%の範囲である。また、
図11に、約30nmのTiO2がBAおよびPBAモノマーに分散している場合に、未硬化のナノコンポジット製剤の589nmにおけるRIが、1.61~1.69の間で変化することを示す。550nmでの硬化したナノコンポジットフィルムのRI値を
図12に示し、その値は1.67~1.80の範囲である。
【表7】
【0135】
実施例10
実施形態で上に記載したキャップされたTiO2ナノ結晶を、直接分散を通じて、所望のモノマー、例えばBA、NVP、およびPBAに分散させて、27.5wt%BA、16.5wt%NVP、および11wt%PBAの製剤中、約30nmのTiO2を45wt%の配合量にし、インクジェット印刷可能なTiO2インクの例示とした。17.4cPのインクは、ジマトリクスのインクジェットプリンタを使用して、30℃、18Vの電圧で印刷可能であったが、ノズルプレートの明らかな濡れは観察されなかった。
図15に、インクジェット印刷された12ミクロンのフィルムの%Tが、400nm以上の波長で90%以上であることを示す。このフィルムの場合の550nmでのフィルムRIは、1.683であると測定された。
【0136】
実施例11
ともに約10nmの粒子サイズのZrO2とTiO2の両方を含むキャップされたナノ結晶を、先に記載されたのと同じやり方、異なる比率で、所望のモノマーに一緒に分散させた。表8に、ナノコンポジットK1からK6の組成、粘度、およびフィルムRI(550nm)データを示し、これは50wt%配合量の混合されたZrO2とTiO2のナノコンポジットから得れた結果を含む。ZrO2のみのフィルム(実施例2に記載のナノコンポジットB1)は、それぞれ1.639と9.6cPの最も低いRIと粘度を有する。ナノコンポジットK3(実施例8に記載されたナノコンポジットI2に類似のもの)は、比較のためのTiO2のみのフィルムを表し、それぞれ1.695と18.7cPのフィルムRIと粘度を有する。混合ZrO2/TiO2ナノコンポジットのさらなる例が、選択されたモノマーおよび特定の比率で1.70より大きいフィルムRI値を有すると同時に、30cP未満の粘度を維持していることが示される。
【表8】
【0137】
実施例12
ZrO
2とTiO
2両方の、キャップされたナノ結晶を、PGMEAにおいて先に記載されたのと同じやり方で、NTT-ATにより販売される所望の硫黄含有性の樹脂に別々に分散させた。ナノコンポジットL4からL6のTiO2は、約30nmの粒子サイズである。表9に、ナノコンポジットL1からL6の組成およびフィルムRI(550nm)のデータを示し、ZrO2およびTiO2ナノ結晶から得られた結果を比較する。ナノコンポジットL4~L6は、1.82より大きい顕著に高いフィルムRI値を有する。
【表9】
【0138】
実施例13
ZrO2とTiO2の両方のキャップされたナノ結晶を、PGMEAで以前に説明したのと同じやり方で、三菱ガス化学により販売される所望の硫黄含有ルミプラス(登録商標)樹脂に別個に分散させた。ナノコンポジットL4からL6中のTiO2は、10nm前後の粒子サイズである。表10に、ナノコンポジットM1からM10の組成とフィルムRI(550nm)のデータを示し、ZrO2とTiO2から得られた結果を比較する。ナノコンポジットM7およびM8は、1.90より大きいフィルムRI値を有する実施例を特に際立たせている。
【表10】
【0139】
「発明の概要」の段落、および「要約書」は、発明者の企図する本発明の1つまたは複数の、しかしすべてではない例示的な実施形態を記載してもよく、よって、本発明および添付の請求請求の範囲をいかようにも限定しないことを意図している。
【0140】
本発明を、指定された機能の、そしてそれらの関係の実現を例示する機能的な構成要素を援用して、上に記載してきた。これらの機能的な構成要素の境界は、記載の便宜上、本明細書において随意に画定されている。指定された機能およびその関係が適切に実行される限り、代替の境界を画定することができる。
【0141】
属として記載された本発明の態様に関して、すべての個々の種は個々に、本発明の別の態様とみなされる。本発明の態様が、特徴を「を含む(comprising)」と記載されている場合、実施形態はまた、その特徴「からなる(consisting of)」、またはその特徴「から本質的になる(consisting essentially of)」ことが企図される。
【0142】
本明細書で使用されるとおり、本発明に関連する量を修飾する「約」という用語は、例えば、通常の検証および取り扱いを通じて、そのような検証および取り扱いにおける意図しない誤りを通じて、本発明に採用される成分の製造、供給源、または純度の違いを通じて;および同類のものを通じて起こり得る数値量の変動を指す。本明細書で使用されるとおり、特定の値の「約」は、その特定の値も含み、例えば、約10%は、10%を含む。「約」という用語で修飾されているか否かにかかわらず、特許請求の範囲は、記載された量の均等物を含む。一実施形態では、「約」という用語は、報告された数値の20%以内を意味する。
【0143】
可能な限り、本明細書において単数形で表された用語は、文脈が明確にそれ以外を表示しているのでない限り、その用語の複数形を含む、および/またはその逆である。
【0144】
本明細書で実施形態が「を含む(comprising)」という語句を用いて記載されているどんな場合でも、他の点では類似する、「からなる(consisting of)」および/または「から本質的になる(consisting essentially of)」の用語で記載される実施形態もまた提供されることは理解される。しかし、特許請求の範囲において移行句として使用される場合、それぞれは別々に、法律上のおよび事実に基づいた適切な文脈において解釈されるのが望ましい(例えば、「を含む(comprising)」は、いっそう非制限的な語句と見なされる一方、「からなる(consisting of)」は、さらに排他的であり、「から本質的になる(consisting essentially of)」は中間的な立場を実現する)。
【0145】
本明細書で「Aおよび/またはB」などの語句で使用される「および/または」という用語は、AおよびBの両方;AまたはB;A(単独);ならびにB(単独)を含むことを意図している。同様に、「A、B、および/またはC」などの語句で使用される用語「および/または」は、以下の各実施形態;A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)を包含することを意図している。
【0146】
特定の実施形態についての先の記載は、本発明の一般的な性質を最大限に明らかにすることになるので、当業者の技術の範囲内の知識を適用することによって、他者は過度の実験を行うことなく、本発明の一般的な概念から逸脱することなく、そのような特定の実施形態を様々な用途に向けて容易に修正および/または適合させることができる。したがって、そのような適合および修正は、本明細書に提示された教示および指針に基づいて、開示された実施形態の均等物の意味および範囲の内にあることが意図される。本明細書における語句や用語は、記載を目的とするものであって、限定を目的とするものではなく、本明細書の語句や用語が、教示や指針に照らして当業者によって解釈されるとおりのものであることは理解されるものとする。
【0147】
本発明の幅および範囲は、上に記載の例示的な実施形態のいずれによっても限定されないのが望ましい。
【0148】
本明細書に記載の様々な態様、実施形態、および選択肢のすべては、ありとあらゆる変形例において組み合わせることができる。
【0149】
以下の各出願の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。1)2018年11月20日に出願された米国仮出願第62/769,703号;2)2019年8月28日に出願された米国仮出願第62/892,625号、および3)「TiO2ナノ結晶の合成、キャップ、および分散(SYNTHESIS,CAPPING,AND DISPERSION OF TiO2 NANOCRYSTALS)」と題して2019年11月20日に出願された国際出願第PCT/US2019/062439号、これは、米国仮出願第62/769,703号、および同第62/892,625号の優先権を主張する。
【0150】
いくつかの実施形態では、本開示は、2019年8月28日に出願された米国仮出願第62/892,630号に記載された実施形態のいずれを除外することもできる。
【0151】
本明細書で言及されるすべての公開文献、特許、および特許出願は、参照により本明細書に組み込まれるが、これは、それぞれ個々の公開文献、特許、または特許出願の参照による組み込みが、あたかも具体的かつ個別に示されているかのごとくなされる。本文書における用語のいかなる意味または定義も、参照により組み込まれた文献における同じ用語の意味または定義と矛盾する場合には、本明細書においてその用語に割り当てられた意味または定義が適用されるものとする。
【国際調査報告】