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特表2022-507830治療薬を発現する改変細胞とその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】治療薬を発現する改変細胞とその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/17 20150101AFI20220111BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220111BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220111BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20220111BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220111BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20220111BHJP
   C12N 15/24 20060101ALI20220111BHJP
   C12N 15/23 20060101ALI20220111BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20220111BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20220111BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
A61K35/17 Z
A61P35/00
A61P35/02
C12N5/0783 ZNA
C12N5/10
C12N15/13
C12N15/24
C12N15/23
C12N15/11 Z
C12N15/12
C12N15/62 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021527959
(86)(22)【出願日】2019-11-20
(85)【翻訳文提出日】2021-06-11
(86)【国際出願番号】 US2019062417
(87)【国際公開番号】W WO2020106843
(87)【国際公開日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】62/769,987
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/774,595
(32)【優先日】2018-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/795,810
(32)【優先日】2019-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/828,770
(32)【優先日】2019-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/846,563
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/848,961
(32)【優先日】2019-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/445,965
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/889,926
(32)【優先日】2019-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/902,766
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521082374
【氏名又は名称】イノベイティブ セルラー セラピューティクス ホールディングス,エルティディ
【氏名又は名称原語表記】INNOVATIVE CELLULAR THERAPEUTICS HOLDINGS,LTD.
【住所又は居所原語表記】Suite #5-204,23 Line Tree Bay Avenue,P.O.Box 2547,Grand Cayman,KY1-1104,Cayman Islands
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,レイ
(72)【発明者】
【氏名】カオ,ジーユアン
(72)【発明者】
【氏名】プー,チェンフェイ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA02
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB63
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB27
(57)【要約】
癌を治療するためのCAR T細胞療法の有効性を高めるT細胞応答を増強するための組成物および方法が記載されている。実施形態は、第1の核酸および第2の核酸を含む単離核酸を含む改変細胞を含み、前記第1の核酸がキメラ抗原受容体(CAR)をコードし、前記第2の核酸が、IFN-γ、IL-2、IL-6、IL-7、IL-15、IL-17、よびIL-23のうちの少なくとも1つを含む治療薬をコードする。前記改変細胞は、前記治療薬を発現および分泌する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
改変T細胞を含む医薬組成物であって、
前記改変T細胞が抗原結合分子を含み、前記改変T細胞における1以上のタンパク質の発現および/または機能が増加または増強され、前記1以上のタンパク質が、IL-6、IFNγ、またはそれらの組み合わせを含む、医薬組成物。
【請求項2】
前記改変T細胞が、前記改変T細胞の活性化、低酸素、またはそれらの組み合わせに応答して、前記1以上のタンパク質を発現および分泌する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
IL-6がヒトIL-6であり、IFNγがヒトIFNγである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記改変T細胞が、前記1以上のタンパク質をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記外因性ポリヌクレオチドが、組換えDNA構築物、mRNA、またはウイルスベクターで前記改変T細胞に存在する、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記外因性ポリヌクレオチドが、配列番号287をコードするポリヌクレオチドと、配列番号328をコードするポリヌクレオチドとを含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記外因性ポリヌクレオチドが、改変細胞におけるIL-6、IFNγ、またはそれらの組み合わせの発現および/または分泌を調節する転写モジュレーターへの結合部位を含むプロモーターを含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記転写モジュレーターが、Hif1a、NFAT、FOXP3、またはNFkBを含む、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記抗原結合分子および前記1以上のタンパク質がポリタンパク質の形態で産生され、前記ポリタンパク質が切断されて別個の前記抗原結合分子および前記1以上のタンパク質を生成し、かつ前記抗原結合分子と前記1以上のタンパク質の間に切断性部分が存在する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
IL-12を発現するように操作された改変T細胞を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記改変T細胞が、前記改変T細胞の活性化、低酸素、またはそれらの組み合わせに応答して、IL-12を発現および分泌する、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
固形腫瘍抗原に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作された改変T細胞を含む、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記抗原結合分子が、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含むCARである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記CARが、TSHR、CD19、CD123、CD22、CD30、CD171、CS-1、CLL-1、CD33、EGFRvIII、GD2、GD3、BCMA、Tn Ag、PSMA、ROR1、FLT3、FAP、TAG72、CD38、CD44v6、CEA、EPCAM、B7H3、KIT、IL-13Ra2、メソテリン、IL-11Ra、PSCA、PRSS21、VEGFR2、LewisY、CD24、PDGFR-ベータ、SSEA-4、CD20、葉酸受容体α、ERBB2(Her2/neu)、MUC1、EGFR、NCAM、プロスターゼ、PAP、ELF2M、エフリンB2、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gp100、bcr-abl、チロシナーゼ、EphA2、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体ベータ、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WT1、NY-ESO-1、LAGE-1a、MAGE-A1、レグマイン、HPV E6、E7、MAGE A1、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie 2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、プロスタイン、サバイビンおよびテロメラーゼ、PCTA-1/ガレクチン8、MelanA/MART1、Ras変異体、hTERT、肉腫の転座切断点、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸内カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5、またはIGLL1に結合する、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記細胞内ドメインが、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83に特異的に結合するリガンド、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、CD160、CD19、CD4、CD8α、CD8ベータ、IL2Rベータ、IL2R ガンマ、IL7R α、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、NKp44、NKp30、NKp46、およびNKG2Dからなる群から選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む共刺激ドメインを含む、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記CARが、CD19、CD22、CD20、BCMA、CD5、CD7、CD2、CD16、CD56、CD30、CD14、CD68、CD11b、CD18、CD169、CD1c、CD33、CD38、CD138、およびCD13からなる群から選択されるB細胞抗原に結合する、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項17】
固形腫瘍抗原に結合する第1のCAR T細胞集団と、B細胞抗原に結合する第2のCAR T細胞集団とを含む医薬組成物であって、前記第2のCAR細胞集団の1以上のサイトカインの発現が増強され、前記1以上のサイトカインが、IL-6、IL-12、またはIFNγのうちの少なくとも1つを含む、医薬組成物。
【請求項18】
前記改変T細胞が、配列番号532または533を含む、請求項1-17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
T細胞応答を誘導し、T細胞療法を増強し、T細胞増殖をインビボで増強し、および/またはそれを必要とする被検体におけるM2マクロファージを減少させる方法であって、請求項1-18に記載の医薬組成物の有効量を被検体に投与することを含み、前記1つ以上のタンパク質が、IL-6、IL-12、IFN-γ、またはそれらの組み合わせを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年6月19日に出願された米国特許出願第16/445,965号、2019年5月16日に出願された米国仮出願第62/848,961号、2019年5月10日に出願された米国仮出願第62/846,563号、2019年4月3日に出願された米国仮出願第62/828,770号、2019年1月23日に出願された米国仮出願第62/795,810号、2018年12月3日に出願された米国仮出願第62/774,595号、および2018年11月20日に出願された米国仮出願第62/769,987号の優先権の利益を主張し、そのすべての内容は参照により本明細書に組み込まれる。本出願はまた、2019年9月19日に出願された米国仮出願第62/902,766号、および2019年8月21日に出願された米国仮出願第62/889,926号の優先権の利益を主張し、そのすべての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表の情報
2019年11月13日頃に作成された、ファイルサイズが約1.32 MBの「Sequence Listing_ST25.txt」と題するコンピューターで読み取り可能なテキストファイルには、本出願の配列表が含まれており、そのすべての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は、治療薬を分泌するキメラ抗原受容体細胞に関連する組成物および方法、ならびに癌を含む疾患の治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0004】
癌は、体の他の部位に侵入または転移する可能性のある異常な細胞増殖を指す。人間には、100種類を超える癌がある。一例は、乳房の上皮組織で発生する乳癌である。乳癌細胞が正常細胞の特性を失うため、乳癌細胞間のつながりが失われる。癌細胞が剥離すると、血液および/またはリンパ系を介して全身に広がり、生命を脅かす。現在、乳癌は、女性の心身の健康に対する一般的な脅威の1つになっている。免疫療法、例えば、CAR T細胞療法は、癌の治療に効果的であることが証明されているが、固形腫瘍を伴う癌などの特定の癌に対してより効果的にするため、その免疫療法を改善する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、T細胞応答を増強するための組成物および方法を記載する。本開示はまた、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸と、IFN-γ、IL-2、IL-6、IL-7、IL-15、IL-17、IL-12、およびIL-23のうちの少なくとも1つを含む治療薬をコードする追加核酸とを含む単離核酸を含む細胞を記載する。細胞は、条件付きで治療薬を発現および分泌し得る。
【0007】
本発明の概要は、主張された主題の主な特徴または必要な特徴を特定することを意図しておらず、主張された主題の範囲を制限するために使用されることも意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面と組み合わせて具体的な実施形態について説明する。異なる図面で使用される同じ参照番号は、類似または同一の項目を示す。
【0009】
図1】例示的な融合タンパク質の概略図を示す。
図2】例示的な融合タンパク質の概略図を示す。
図3】例示的な融合タンパク質の概略図を示す。
図4】例示的な融合タンパク質の概略図を示す。
図5】例示的なCAR分子および融合タンパク質の概略図を示す。
図6】例示的なCAR分子、および改変細胞によって発現されるタンパク質の概略図を示す。
図7】例示的なCAR分子、および改変細胞によって発現される1つ以上のタンパク質の概略図を示す。
図8】例示的なCAR分子、および改変細胞によって発現される1つ以上のタンパク質の概略図を示す。
図9】例示的なCAR分子、および改変細胞によって発現される1つ以上のタンパク質(薬剤1および薬剤2)の概略図を示す。
図10】例示的なCAR分子、および改変細胞によって発現される1つ以上のタンパク質の概略図を示す。
図11】B-ALL(B細胞急性リンパ芽球性白血病)を治療するためのCD19CAR T細胞の注入に応答して放出されるサイトカインを示す。
図12】B-ALL(B細胞急性リンパ芽球性白血病)を治療するためのCD19CAR T細胞の注入に応答して放出されるサイトカインを示す。
図13】B-ALL(B細胞急性リンパ芽球性白血病)を治療するためのCD19CAR T細胞の注入に応答して放出されるサイトカインを示す。
図14】マクロファージ表現型の変化を表すフローサイトメトリーアッセイの結果を示す。
図15】マクロファージ表現型の変化を表すフローサイトメトリーアッセイの結果を示す。
図16】マクロファージがIFN-γおよび/またはIL-6を発現する様々なCAR T細胞と共培養された後のマクロファージ表現型の変化を表すサイトメトリーアッセイの結果を示す。
図17】改変細胞によって発現されるCARおよび治療薬の様々な構築物の概略図を示す。
図18図17に示す様々なタンパク質を発現するT細胞のフローサイトメトリーアッセイの結果を示す。
図19】CD3/CD28ダイナビーズの活性化に応答した改変細胞によるIL-6の放出を示す。
図20】Nalm6細胞との共培養に応答した改変細胞によるIL-6の放出を示す。
図21】CD3/CD28ダイナビーズの活性化に応答した改変細胞によるIFNγの放出を示す。
図22】Nalm6 細胞との共培養に応答した改変細胞によるIFNγ(IFNg)の放出を示す。
図23】様々なCAR T細胞の殺傷アッセイの結果を示す。
図24】改変細胞での特定のタンパク質の発現、およびNalm6細胞との共培養に応答した改変細胞によるIFNγの放出を示す。
図25】改変細胞での特定のタンパク質の発現、およびNalm6細胞との共培養に応答した改変細胞によるIFNγの放出を示す。
図26】改変細胞での特定のタンパク質の発現、およびCD3/CD28ダイナビーズの活性化に応答した改変細胞によるIL-12とIFNγの放出を示す。
図27】改変細胞での特定のタンパク質の発現、およびCD3/CD28ダイナビーズの活性化に応答した改変細胞によるIL-12とIFNγの放出を示す。
図28】改変細胞での特定のタンパク質の発現、およびCD3/CD28ダイナビーズの活性化に応答した改変細胞によるIL-6とIFNγの放出を示す。
図29】改変細胞での特定のタンパク質の発現、およびCD3/CD28ダイナビーズの活性化に応答した改変細胞によるIL-6とIFNγの放出を示す。
図30】様々なCAR T細胞での嫌気性アッセイの結果を示す。
図31】TSHR-CARTシステムにおける低酸素に応答して放出されるサイトカインを示す。
図32】CAR T細胞におけるIL-12発現の誘導に応答して放出されるサイトカインを示す。
図33】CAR T細胞におけるIL-12発現の誘導に応答して放出されるサイトカインを示す。
図34】GUCY2C-CARTシステムにおける低酸素に応答して放出されるサイトカインを示す。
図35】CAR T細胞におけるIL-12発現の誘導に応答したIFNγ放出を示す。
図36】ACPP-CARTシステムにおけるT細胞の活性化によって誘導されたIL-6、TNFα、IFNγ、およびGZMBの放出を示す。
図37】ACPP-CARTシステムにおける低酸素に応答して改変細胞によって放出されるサイトカインを示す。
図38】ACPP-CARTシステムにおける低酸素に応答して改変細胞によって放出されるサイトカインを示す。
図39】CAR T細胞が抗原の有無にかかわらず24時間培養された後、IL-6およびIFNγが異なる条件で様々な種類のCAR T細胞によって放出されることを示すサイトカイン放出アッセイの結果を示す。
図40】患者005におけるCAR T細胞注入に応答して放出されるサイトカインのレベルおよび他のパラメータを示す。
図41】患者005におけるCAR T細胞注入に応答して放出されるサイトカインのレベルおよび他のパラメータを示す。
図42】患者005におけるCAR T細胞注入に応答して放出されるサイトカインのレベルおよび他のパラメータを示す。
図43】患者005におけるCAR T細胞注入に応答して放出されるサイトカインのレベルおよび他のパラメータを示す。
図44】患者004におけるCAR T細胞注入に応答した様々なパラメータを示す。
図45】患者004におけるCAR T細胞注入に応答した様々なパラメータを示す。
図46】患者006へのCAR T細胞注入に応答して放出されるサイトカインを示す。
図47】患者006へのCAR T細胞注入に応答して放出されるサイトカインを示す。
図48】PET/CT画像による患者005のCAR T細胞注入前後の腫瘍変化を示す。
図49】CT画像による患者006のCAR T細胞注入前後の腫瘍変化を示す。
図50】患者004、005、および006の間で放出されたサイトカインの比較を示す。
図51】患者004、005、および006の間で放出されたサイトカインの比較を示す。
図52】各群におけるT細胞の増殖を示す。
図53】PET/CT画像による患者007のCAR T細胞注入前後の腫瘍変化を示す。
図54】患者007へのCAR T細胞の注入に応答して放出されたサイトカインを示す。
図55】例示的な改変細胞の概略図を示す。
図56】改変細胞の例示的な集団の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解しているものと同じ意味である。本開示の実施または試験において本明細書に記載のものと同様または同等の任意の方法および材料を使用することができるが、好ましい方法および材料も記載されている。本開示の目的のために、以下の用語は次のように定義される。
【0011】
冠詞「1つ(a/an)」は、1以上は(すなわち、少なくとも1つ)の文法的対象を指すために本明細書で使用される。例として、「ある要素」は1つの要素または1つ以上の要素を意味する。
【0012】
「約」とは、参照数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量または長さに対する数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量または長さの変化が20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%に及ぶことを意味する。
【0013】
本明細書で使用される「活性化」という用語は、検出可能な細胞の増殖を誘導するのに十分に刺激されている細胞の状態を指す。活性化はまた、誘導されたサイトカイン産生および検出可能なエフェクター機能と関連し得る。「活性化されたT細胞」という用語は、特に、細胞分裂しているT細胞を指す。
【0014】
「抗体」という用語は最も広く使用されており、望ましい生物学的活性または機能を有するモノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および抗体フラグメントを指す。本開示における抗体は、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、Fv、Fab、Fab’、F(ab)2とフラグメント、並びに一本鎖抗体とヒト化抗体(Harlowら, 1999, 書名:抗体の使用:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY;Harlowら, 1989, 書名:抗体:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, New York;Houstonら, 1988, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883;Birdら, 1988, Science 242:423-426)を含む様々な形態で存在し得る。
【0015】
「抗体フラグメント」という用語は、全長抗体の一部、例えば、抗体の抗原結合領域または可変領域を指す。抗体フラグメントの他の例として、Fab、Fab’、F(ab’)とFvフラグメント、ダイアボディ、線形抗体、一本鎖抗体分子、および抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体を含む。
【0016】
「Fv」という用語は、完全な抗原認識および抗原結合部位を含む最小の抗体フラグメントを指す。このフラグメントは、緊密で、非共有結合性会合による1つの重鎖可変領域ドメインと1つの軽鎖可変領域ドメインの二量体からなる。これらの2つのドメインを折り畳むことにより、6つの超可変ループ(H鎖からの3つのループとL鎖からの3つのループ)が生じ、抗原結合に使用されるアミノ酸残基を提供し、抗体に抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つの相補性決定領域(CDR)のみを含むFvの半分)であっても、その親和性が結合部位全体(二量体)よりも低いが、抗原を認識して結合する能力がある。
【0017】
本明細書で使用される「抗体重鎖」は、天然に存在するコンフォメーションですべての抗体分子に存在する2種類のポリペプチド鎖のうちの大きい方を指す。本明細書で使用される「抗体軽鎖」は、天然に存在するコンフォメーションですべての抗体分子に存在する2種類のポリペプチド鎖のうちの小さい方を指し、κおよびλ軽鎖は、2つの主要な抗体軽鎖アイソタイプを指す。
【0018】
「合成抗体」という用語は、例えば、バクテリオファージによって発現される抗体などの、組換えDNA技術を使用して生成される抗体を指す。前記用語はまた、抗体をコードするDNA分子の合成、および抗体を得るためまたは抗体をコードするアミノ酸を得るためのDNA分子の発現によって生成された抗体を含む。合成DNAは、当技術分野で利用可能でよく知られている技術を使用して得られる。
【0019】
「抗原」という用語は、抗体産生、または特異的免疫機能を持つ細胞の活性化、またはその両方を含み得る、免疫応答を誘発する分子を指す。抗原は、すべてのタンパク質やペプチドを含む任意の高分子、または組換えやゲノムDNAに由来する分子を含む。例えば、DNAは、免疫応答を誘発するタンパク質またはペプチドをコードするヌクレオチド配列または一部のヌクレオチド配列を含むため、本明細書で使用される用語「抗原」をコードする。抗原は、遺伝子の全長ヌクレオチド配列によってのみコードされる必要はない。抗原は、組織サンプル、腫瘍サンプル、細胞または生体液を含む生体サンプルから生成、合成、または誘導することができる。
【0020】
本明細書で使用される、「抗腫瘍作用」という用語は、腫瘍体積の減少、腫瘍細胞数の減少、転移数の減少、腫瘍細胞増殖の減少、腫瘍細胞生存数の減少、腫瘍細胞を有する被検体の平均余命の増加または癌性病態に関連する様々な生理学的症状の改善に関連する生物学的作用を指す。「抗腫瘍作用」は、そもそも腫瘍の発生を予防する際のペプチド、ポリヌクレオチド、細胞および抗体の能力によって明らかにすることができる。
【0021】
「自己抗原」という用語は、免疫系によって外来であると誤認される内因性抗原を指す。自己抗原には、細胞表面受容体を含む、細胞タンパク質、リンタンパク質、細胞表面タンパク質、細胞脂質、核酸、糖タンパク質が含まれる。
【0022】
「自己」という用語は、後に同じ被検体に再導入される、被検体に由来する材料を説明するために使用される。
【0023】
「同種異系」という用語は、同じ種の異なる被検体に由来する移植片を説明するために使用される。一例として、ドナー被検体は、関連または非関連またはレシピエント被験体であり得るが、ドナー被検体はレシピエント被験体と同様の免疫系マーカーを有する。
【0024】
「異種」という用語は、異なる種に由来する被検体の移植片を説明するために使用される。一例として、ドナー被検体はレシピエント被験体とは異なる種に由来し、ドナー被検体とレシピエント被験体は遺伝的および免疫学的に不適合である場合がある。
【0025】
「癌」という用語は、異常な細胞の急速で制御されない成長を特徴とする疾患を指すために使用される。癌細胞は、局所的に転移し、または血流とリンパ系を介して体の他の部位に転移する可能性がある。様々な癌の例としては、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、皮膚癌、膵臓癌、結腸直腸癌、腎臓癌、肝臓癌、脳癌、リンパ腫、白血病、肺癌などが含まれる。
【0026】
明細書全体において、文脈によって別段の解釈が必要でない限り、「備える(comprise)」、「含む(includes)」および「含む(including)」という言葉は、前記ステップや要素或いはステップや要素の群を含むことを示唆するが、他のステップや要素或いはステップや要素の群を除外しないものと理解される。
【0027】
「・・・からなる」という語句は、「・・・からなる」という語句の後のあらゆるものを含み、かつそれに限定されることを意味する。したがって、「・・・からなる」という語句は、リストされた要素が必要または必須であり、他の要素が存在し得ないことを示す。
【0028】
「基本的には・・・からなる」という語句は、語句の後にリストされた任意の要素を含み、かつ本開示においてリストされた要素に対して指定された活動または動作を妨害しない、または寄与する他の要素を含み得ることを意味する。したがって、「基本的には・・・からなる」という語句は、リストされた要素が必要または必須であるが、他の要素は選択可能であり、リストされた要素の活動または動作に影響するかどうかに応じて、存在し得る場合と存在し得ない場合があることを示す。
【0029】
「相補的」および「相補性」という用語は、塩基対の法則によって関連するポリヌクレオチド(すなわち、ヌクレオチド配列)を指す。例えば、配列「A-G-T」は配列「T-C-A」と相補的である。相補性は、核酸の一部の塩基のみが塩基対の法則に従って一致する「部分的な」相補性であってもよく、核酸間に存在する「完全な」または「全体的な」相補性であってもよい。核酸鎖間の相補性の程度は、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率と強度に大きな影響を与える。
【0030】
「対応する(corresponds to)」または「対応する(corresponding to)」という用語は、(a)参照ポリヌクレオチド配列の全部または一部と実質的に同一または相補的であるか、ペプチドまたはタンパク質におけるアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、または(b)参照ペプチドまたはタンパク質におけるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有するペプチドまたはポリペプチド、を指す。
【0031】
「共刺激リガンド」という用語は、抗原提示細胞(例えば、APC、樹状細胞、B細胞など)上の分子を指し、それがT細胞上の同族の共刺激分子に特異的に結合し、それによって、例えば、TCR/CD3複合体とペプチドが担持されたMHC分子との結合によって提供される一次シグナルほかに、増殖、活性化、分化および他の細胞応答のうちの少なくとも1つを含むT細胞応答を媒介するシグナルを提供する。共刺激リガンドは、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、PD-L1、PD-L2、4-1BBL、OX40L、誘導性共刺激リガンド(ICOS-L)、細胞間接着分子(ICAM)、CD30L、CD40、CD70、CD83、HLA-G、MICA、MICB、HVEM、リンホトキシンベータ受容体、3/TR6、ILT3、ILT4、HVEM、CD7のリガンド、Tollリガンド受容体に結合するアゴニストまたは抗体およびB7-H3と特異的に結合するリガンドを含むことができる。共刺激リガンドは、特に、CD27、CD28、4-1BB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3およびCD83と特異的に結合するリガンドなど、T細胞に存在する共刺激分子と特異的に結合するアゴニストまたは抗体、をさらに含む。
【0032】
「共刺激分子」という用語は、共刺激リガンドに特異的に結合し、それによって増殖などのT細胞による共刺激応答を媒介する、T細胞上の同族結合パートナーを指す。共刺激分子は、MHCクラスI分子、BTLAおよびToll様受容体を含む。
【0033】
「共刺激シグナル」という用語は、TCR/CD3ライゲーションなどの一次シグナルと組み合わせて、T細胞の増殖および/または主要分子のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションを引き起こすシグナルを指す。「疾患」および「病状」という用語は、互換的に使用されることもあり、特定の疾患または病状の病原性物質が分からない(したがって、病因がまだ解明されていない)可能性があるため、疾患としてまだ周知されておらず、臨床医によって多かれ少なかれ特定の症状が特定されている望ましくない状態または症候群としてのみ認識されているという点で、異なることもある。「疾患」とは、被検体の健康状態が恒常性を維持できない状態であり、疾患が改善されなければ、被検体の健康が悪化し続ける状態である。対照的に、被検体の「病症」とは、動物が恒常性を維持できる健康状態であるが、その動物の健康状態が、病症がない場合よりも好ましくない状態である。無治療のまま放置しても、病症があるからといって、動物の健康状態がさらに低下するとは限らない。
【0034】
「有効」という用語は、望ましい、期待された、または意図された結果を達成するのに十分であることを指す。例えば、治療設定における「有効量」は、治療上または予防上の有益性をもたらすのに十分な化合物の量であり得る。
【0035】
「コード化」という用語は、決定されたヌクレオチドの配列(すなわち、rRNA、tRNAおよびmRNA)、または決定されたアミノ酸配列およびその結果として生じる生物学的特性のいずれかを有する生物学的プロセスにおいて、他のポリマーおよび高分子の合成のためのテンプレートとして機能するための、遺伝子、cDNAまたはmRNAなどのポリヌクレオチドにおける特定ヌクレオチド配列の固有特性を指す。したがって、遺伝子に対応するmRNAの転写および翻訳が、細胞または他の生物学的系においてタンパク質を産生する場合に、前記遺伝子は前記タンパク質をコードする。(「U」で「T」が置換されている場合を除き)mRNA配列と同一であり、そのヌクレオチド配列が通常は配列表に記載されているコード化鎖と、遺伝子またはcDNA転写のテンプレートとして使用される非コード化鎖は、いずれも、前記遺伝子またはcDNAのタンパク質または他の産物コード化と称呼することができる。
【0036】
「外因性」という用語は、野生型の細胞または生体に天然に存在しないが、通常は分子生物学的技術によって細胞内に導入される分子を指す。外因性ポリヌクレオチドの例には、ベクター、プラスミドおよび/または所望のタンパク質をコードする人工核酸構築物が含まれる。ポリヌクレオチドおよびタンパク質に関して、「内因性」または「自然的」という用語は、所与の野生型の細胞または生体内に見られる天然に存在するポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列を指す。また、分子生物学的技術によって、第1の生体から単離して第2の生体に転移された特定のポリヌクレオチド配列は、通常は第2の生体に対して「外因性」のポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列と見なされる。特定の実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、分子生物学的技術によって、そのようなポリヌクレオチド配列をすでに含んでいる微生物に「導入」することができ、例えば、本来なら天然に存在するポリヌクレオチド配列の1つ以上の他のコピーを作成して、コードされたポリペプチドの過剰発現を促進する。
【0037】
「発現または過剰発現」という用語は、特定のヌクレオチド配列の、例えばそのプロモーターによって駆動される前駆体または成熟タンパク質への転写および/または翻訳を指す。「過剰発現」は、形質転換された生体または細胞における遺伝子産物の収量が、正常または形質転換されていない生体または細胞における収量を超えることを意味する。本明細書で定義されるように、「発現」という用語は、発現または過剰発現を指す。
【0038】
「発現ベクター」という用語は、発現されるヌクレオチド配列に動作可能に連結された発現制御(調節)配列を含む組換えポリヌクレオチドを含むベクターを指す。発現ベクターは、発現のための十分なシス作用要素を含み、発現のための他の要素は、宿主細胞によって提供され、またはインビトロ発現系において提供され得る。発現ベクターは、当技術分野で知られている、組換えポリヌクレオチドを組み込んだすべてのもの、例えば、(例えば、裸の、またはリポソームに含まれている)コスミド、プラスミドおよびウイルス(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)を含む。
【0039】
「相同」という用語は、2つの比較される配列の1つの位置が同じ塩基またはアミノ酸モノマーサブユニットによって占められている場合、2つのポリペプチド間または2つのポリヌクレオチド間の配列類似性または配列同一性を意味し、例えば、2つのDNA分子のそれぞれの位置がアデニンによって占められている場合、分子は前記位置で相同である。2つの配列間の相同性の割合は、2つの配列が共有している一致する、または相同な位置の数を、比較された位置の数で割った値×100の関数である。例えば、2つの配列における10個の位置のうち6個の位置が一致し、または相同であれば、2つの配列は60%の相同性を有する。例えば、DNA配列ATTGCCとTATGGCは50%の相同性を有する。最大の相同性を与えるために、2つの配列が整列されたときに比較が行われる。
【0040】
「免疫グロブリン」または「Ig」という用語は、抗体として機能するタンパク質のクラスを指す。このようなタンパク質に含まれる抗体は、IgA、IgG、IgM、IgDおよびIgEの5つである。IgAは、唾液、涙、母乳、消化管分泌物、呼吸器や生殖器の粘液分泌物などの体内分泌物に存在する一次抗体である。IgGは、最も一般的な循環抗体である。IgMは、ほとんどの被検体における一次免疫応答で産生される主な免疫グロブリンである。それは、凝集、補体固定および他の抗体応答において最も効率的な免疫グロブリンであり、細菌やウイルスからの防御に重要な役割を果たしている。IgDは、既知の抗体機能を有しないが、抗原受容体として機能し得る免疫グロブリンである。IgEは、アレルゲンへの暴露時に、肥満細胞および好塩基球からのメディエーターの放出を引き起こすことにより、即時型の過敏症を媒介する免疫グロブリンである。
【0041】
「単離」という用語は、基本的または実質的には、通常、その自然状態でそれに付随する成分を含まない物質を指す。前記物質は、細胞、またはタンパク質や核酸などの高分子であり得る。例えば、本明細書で使用される「単離ポリヌクレオチド」は、天然に存在する状態でそれに隣接する配列から精製されたポリヌクレオチド、例えば、フラグメントに通常隣接する配列から除去されたDNAフラグメントを指す。あるいは、本明細書で使用される「単離ペプチド」または「単離ポリペプチド」などは、ペプチドまたはポリペプチド分子を、その自然な細胞環境から、および細胞の他の成分との会合から、インビトロで単離および/または精製したペプチドを指す。
【0042】
「実質的に精製された」という用語は、通常、その自然状態でそれに会合する成分を基本的に含まない物質を指す。例えば、実質的に精製された細胞は、その天然に存在する状態または自然状態で通常関連している他の細胞種類から単離された細胞を指す。特定の場合には、実質的に精製された細胞集団は均質な細胞集団を指す。それ以外の場合には、この用語は単に、天然状態でそれと自然に会合している細胞から単離された細胞を指す。実施形態では、細胞はインビトロで培養される。実施形態では、細胞はインビトロで培養されない。
【0043】
本開示の文脈では、一般的に存在する核酸塩基に以下の略語が使用される。「A」はアデノシン、「C」はシトシン、「G」はグアノシン、「T」はチミジン、「U」はウリジンを指す。
【0044】
特に指定のない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いに縮退バージョンであり、かつ同じアミノ酸配列をコードするすべてのヌクレオチド配列を含む。タンパク質またはRNAをコードするヌクレオチド配列という語句は、さらに、タンパク質をコードするヌクレオチド配列がある形態で1つ以上のイントロンを含んでもよい程度でイントロン(1つ以上)を含み得る。
【0045】
「レンチウイルス」という用語は、レトロウイルス科の1属を指す。レンチウイルスは、レトロウイルスの中でも独特であり、非分裂細胞に感染することができ、また、大量の遺伝子情報を宿主細胞のDNAに送り込むことができるため、遺伝子送達ベクターとしては最も効率的な方法の1つである。さらに、レンチウイルスを用いることで、遺伝情報を宿主染色体に組み込むことができ、安定して形質導入された遺伝情報が得られる。HIV、SIVおよびFIVはすべてレンチウイルスの例である。レンチウイルスに由来するベクターは、有意なレベルの遺伝子導入をインビボで達成する手段を提供する。
【0046】
「調節」という用語は、治療をしない、または化合物を使用しない場合の被検体における応答レベルと比較して、および/またはそれ以外は同一であるが未治療の被検体における応答レベルと比較して、被検体における応答レベルの検出可能な増加または減少を媒介することを指す。前記用語は、天然のシグナルや応答を干渉し、および/または影響を与え、それによって被検体、好ましくはヒトにおいて有益な治療応答を媒介することを包含する。
【0047】
核酸は、別のポリヌクレオチドと機能的な関係に置かれたときに、「動作可能に連結されている」。例えば、プレ配列または分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現している場合には、ポリペプチドのDNAに動作可能に連結されており、プロモーターまたはエンハンサーは、配列の転写に影響を与える場合には、コード配列に動作可能に連結されており、または、リボソーム結合部位は、翻訳を容易にするように配置されている場合には、コード化配列に動作可能に連結されている。
【0048】
「転写制御下」という用語は、RNAポリメラーゼによる転写の開始およびポリヌクレオチドの発現を制御(調節)するために、プロモーターがポリヌクレオチドに動作可能に連結され、且つポリヌクレオチドに対して正しい位置および配向にあることを指す。
【0049】
「過剰発現された」腫瘍抗原または腫瘍抗原の「過剰発現」という用語は、特定の組織または臓器からの正常な細胞における発現レベルに対する、患者の前記組織または臓器の固形腫瘍などの疾患領域からの細胞における腫瘍抗原の異常な発現レベルを示すことを意図する。腫瘍抗原の過剰発現を特徴とする固形腫瘍または血液悪性腫瘍を有する患者は、当技術分野で知られている標準的なアッセイによって確定することができる。
【0050】
治療される可能性のある癌には、血管新生されていない、またはまだ実質的に血管新生されていない腫瘍、および血管新生された腫瘍が含まれ得る。癌には、非固形腫瘍(例えば、白血病、リンパ腫、および多発性骨髄腫などの血液腫瘍)、または固形腫瘍が含まれ得る。本開示のCARで治療される癌の種類には、癌腫、芽細胞腫および肉腫、ならびに特定の白血病またはリンパ系悪性腫瘍、良性および悪性腫瘍、ならびに肉腫、癌腫や黒色腫などの悪性腫瘍が含まれるが、これらに限定されるものではない。成人腫瘍/癌および小児腫瘍/癌も含まれる。
【0051】
血液癌は、血液または骨髄の癌である。血液癌(または血行性癌)癌の例としては、急性白血病(急性リンパ球性白血病、急性骨髄球性白血病、急性骨髄性白血病、骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性の白血病や赤白血病など)、慢性白血病(慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病、慢性骨髄性白血病や慢性リンパ性白血病など)、真性多血症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(低悪性度型および高悪性度型)、多発性骨髄腫、ウォルデンストロームマクログロブリン血症、重鎖病、骨髄異形成症候群、ヘアリー細胞白血病および骨髄異形成症を含む白血病が含まれる。
【0052】
固形腫瘍は、通常、嚢胞や液状の領域を含まない異常な組織の塊である。固形腫瘍には、良性のものと悪性のものがある。様々な種類の固形腫瘍は、それらを形成する細胞の種類に応じて命名される(肉腫、癌腫やリンパ腫など)。肉腫や癌腫などの固形腫瘍の例として、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫および他の肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、リンパ系悪性腫瘍、膵臓癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、肝細胞癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、甲状腺髄様癌、甲状腺乳頭癌、褐色細胞腫皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝臓癌、胆管癌、絨毛癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、セミノーマ、膀胱癌、黒色腫およびCNS(中枢神経系)腫瘍(神経膠腫(脳幹神経膠腫や混合神経膠腫など)、膠芽腫(多形性膠芽腫とも称される)、星細胞腫、CNSリンパ腫、胚細胞腫、髄芽腫、神経鞘腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫や脳転移など)が含まれる。
【0053】
固形腫瘍抗原は、固形腫瘍で発現される抗原である。実施形態では、固形腫瘍抗原はまた、健康な組織において低レベルで発現される。固形腫瘍抗原およびその関連する疾患腫瘍の例を表1に記載する。
【0054】
【表1】

【0055】
組成物の「非経口投与」という用語は、例えば、皮下(s.c.)、静脈内(i.v.)、筋肉内(i.m.)、胸骨内注射または注入技術を含む。
【0056】
「患者」、「被検体」や「個体」などの用語は、本明細書で互換的に使用可能であり、かつ、本明細書に記載される方法に適合する任意のヒトまたは動物を指す。特定の非限定的な実施形態では、患者、被検体または個体は、ヒトまたは動物である。実施形態では、「被検体」という用語は、免疫応答が誘発され得る生体(例えば、哺乳動物)を含むことが意図される。被検体の例には、ヒト、およびイヌ、ネコ、マウス、ラットおよびそれらの遺伝子組み換え種などの動物が含まれる。
【0057】
治療を必要とする被検体または治療が必要な被検体には、治療を必要とする疾患、病状または病症を有する被検体が含まれる。治療が必要な被検体には、疾患、病状または病症の予防のために治療が必要な被検体も含まれる。実施形態では、疾患、病状、または病症は癌である。
【0058】
「ポリヌクレオチド」または「核酸」という用語は、mRNA、RNA、cRNA、rRNA、cDNAまたはDNAを指す。前記用語は、通常、リボヌクレオチドもしくはデオキシヌクレオチド、またはいずれかの種類のヌクレオチドの改変された形態の、長さが少なくとも10塩基のヌクレオチドの重合体形態を指す。前記用語は、一本鎖や二本鎖形態を含む核酸のすべての形態を含む。
【0059】
「ポリヌクレオチド変異体」および「変異体」などの用語は、参照ポリヌクレオチド配列と実質的な配列同一性を示すポリヌクレオチド、または以下に定義される厳密な条件で参照配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドを指す。これらの用語は、さらに少なくとも1つのヌクレオチドの付加、欠失または置換によって参照ポリヌクレオチドと区別されるポリヌクレオチドを含む。したがって、「ポリヌクレオチド変異体」および「変異体」という用語は、1つ以上のヌクレオチドが付加または欠失されたか、異なるヌクレオチドに置換されたポリヌクレオチドを含む。この点に関して、当技術分野でよく理解されるように、参照ポリヌクレオチド対して、突然変異、付加、欠失および置換を含む特定の変異を生じさせることができ、それにより、変異されたポリヌクレオチドは参照ポリヌクレオチドの生物学的機能または活性を保持するか、参照ポリヌクレオチドに対して活性が増加する(すなわち、最適化される)。ポリヌクレオチド変異体は、例えば、本明細書に記載される参照ポリヌクレオチド配列と少なくとも50%(および少なくとも51%~少なくとも99%およびその間のすべての整数パーセンテージ、例えば、90%、95%または98%)の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む。「ポリヌクレオチド変異体」および「変異体」という用語は、天然に存在する対立遺伝子変異体およびオルソログをも含む。
【0060】
「ポリペプチド」、「ポリペプチドフラグメント」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、本明細書では同じ意味で用いられ、アミノ酸残基のポリマーならびにその変異体および合成類似体を指す。したがって、これらの用語は、1つ以上のアミノ酸残基が合成の天然に存在しないアミノ酸であるアミノ酸ポリマー、例えば、対応する天然に存在するアミノ酸の化学類似体、および天然に存在するアミノ酸ポリマーに適用される。特定の態様において、ポリペプチドは、通常、様々な化学反応を触媒する(すなわち、その速度を上げる)酵素ポリペプチドまたは「酵素」を含み得る。
【0061】
「ポリペプチド変異体」という用語は、少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失または置換によって参照ポリペプチド配列と区別されるポリペプチドを指す。特定の実施形態では、ポリペプチド変異体は、同類または非同類的であり得る1つ以上の置換によって参照ポリペプチドと区別される。特定の実施形態では、ポリペプチド変異体は同類置換した変異体を含み、この点において、いくつかのアミノ酸は、ポリペプチド活性の性質を変えることなく、ほぼ同類の特性を有する他のアミノ酸に変更され得ることは、当技術分野でよく理解されている。ポリペプチド変異体はまた、1つ以上のアミノ酸が付加または欠失されたか、異なるアミノ酸残基によって置換されたポリペプチドを含む。
【0062】
「プロモーター」という用語は、細胞の合成機構が認識され、または合成機構の導入によって、ポリヌクレオチド配列の特定の転写を開始するために必要なDNA配列を指す。「発現制御(調節)配列」という用語は、特定の宿主生物において動作可能に連結されたコード化配列を発現させるために必要なDNA配列を指す。原核生物に適した制御(調節)配列は、例えば、プロモーター、任意選択的なオペレーター配列およびリボソーム結合部位を含む。真核細胞はプロモーター、ポリアデニル化シグナルおよびエンハンサーを利用することが知られている。
【0063】
「結合(bind)」、「結合(binds)」または「・・・と相互作用する」という用語は、サンプルまたは生体中の第2の分子を認識して付着するが、サンプル中の他の構造的に無関係な分子を基本的に認識または付着しない分子を指す。本明細書で抗体に関して使用される「特異的に結合する」という用語は、特異的な抗原を認識するが、サンプル中の他の分子を基本的に認識または結合しない抗体を指す。例えば、1つの種からの抗原と特異的に結合する抗体は、1つ以上の種からのその抗原にも結合し得る。しかし、このような種間の反応性は、それ自体が抗体の特異的な分類を変えるものではない。別の例では、抗原と特異的に結合する抗体は、抗原の異なる対立遺伝子形態にも結合し得る。しかしながら、このような交差反応性は、それ自体が抗体の特異的な分類を変えるものではない。特定の場合には、「特異的結合(specific binding)」または「特異的に結合する(specifically binding)」という用語は、抗体、タンパク質またはペプチドと第2の化学種との相互作用に関して使用することができ、その相互作用が化学種上の特定の構造(例えば、抗原決定基またはエピトープ)の存在に依存することを意味する;例えば、抗体は、任意のタンパク質ではなく、特定のタンパク質構造を認識して結合する。抗体がエピトープ「A」に特異的である場合、標識「A」および抗体を含む反応において、エピトープA(または遊離の非標識A)を含む分子が存在すると、抗体に結合する標識Aの量が減少する。
【0064】
「統計的に有意」とは、その結果が偶然に発生する可能性が低いことを意味する。統計的有意性は、当技術分野で知られている任意の方法で決定することができる。一般的に使用される有意性の尺度は、帰無仮説が真であった場合に観測された事象が発生する頻度や確率を表すp値を含む。得られたp値が有意レベルよりも小さい場合、帰無仮説は棄却される。単純な場合に、有意レベルはp値が0.5以下と定義される。「減少した」または「低下した」または「より少ない」量は、通常、「統計的に有意な」または生理学的に有意な量であり、本明細書に記載の量またはレベルの約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40または50倍以上(例えば、100、500、1000倍)(1以上のすべての整数および小数点、例えば1.5、1.6、1.7、1.8などを含む)の減少を含む。
【0065】
「刺激」という用語は、刺激分子(例えば、TCR/CD3複合体)がその同族リガンドと結合することにより、TCR/CD3複合体を介したシグナル伝達などのシグナル伝達イベントを媒介することで誘導される一次応答を指す。刺激は、特定の分子の発現の変化、例えば、TGF-βの低減および/または細胞骨格構造の再編成を媒介することができる。
【0066】
「刺激分子」という用語は、抗原提示細胞上に存在する同族刺激リガンドと特異的に結合するT細胞上の分子を指す。例えば、刺激分子に由来する機能的シグナル伝達ドメインとしては、T細胞受容体複合体と関連するゼータ鎖が挙げられる。刺激分子には、シグナル伝達を担うドメインが含まれる。
【0067】
「刺激リガンド」という用語は、抗原提示細胞(例えば、APC、樹状細胞、B細胞など)上に存在する場合、T細胞などの細胞上の同族結合パートナー(本明細書では「刺激分子」と称する)に特異的に結合でき、それによって、活性化、免疫応答の開始、増殖など、T細胞による一次応答を媒介するリガンドを指す。刺激リガンドは当技術分野で周知であり、特に、ペプチドを搭載したMHC クラスI分子、抗CD3抗体、スーパーアゴニスト抗-CD28抗体、およびスーパーアゴニスト抗-CD2抗体を包含する。
【0068】
「治療的」という用語は、治療および/または予防を指す。治療効果は、病状の抑制、寛解、根絶または病状の緩和によって得られる。
【0069】
「治療上有効な量」という用語は、研究者、獣医、医師または他の臨床医が求めている組織、系または被検体の生物学的または医学的応答を誘発する本発明の化合物の量を指す。「治療上有効な量」という用語は、化合物を投与することにより、治療される病症または疾患の1つ以上の徴候または症状の進行を防止するか、またはある程度軽減するのに十分な量を含意する。治療上有効な量は、化合物、疾患とその重症度、ならびに治療される被検体の年齢、体重などの要因によって異なる。
【0070】
「疾患を治療する」という用語は、被検体が経験する疾患または病症の少なくとも1つの徴候または症状の頻度または重症度を減少させることを指す。
【0071】
「トランスフェクトされた」または「形質転換された」または「形質導入された」という用語は、外因性核酸が宿主細胞に転移または導入されたプロセスを指す。「トランスフェクトされた」または「形質転換された」または「形質導入された」細胞は、外因性核酸でトランスフェクト、形質転換または形質導入された細胞である。前記細胞は、一次被験細胞およびその子孫を含む。
【0072】
「ベクター」という用語は、単離核酸を構成するポリヌクレオチドで、単離核酸を細胞の内部に送達するために使用できるものを指す。線状ポリヌクレオチド、イオン性または両親媒性の化合物に関連するポリヌクレオチド、プラスミドおよびウイルスを含む、数多くのベクターが当技術分野で知られている。したがって、「ベクター」という用語は、自律的に複製するプラスミドやウイルスを含む。前記用語はまた、細胞への核酸の転移を促進する非プラスミドおよび非ウイルス化合物、例えば、ポリリジン化合物、リポソームなどを含む。ウイルスベクターの例としては、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクターなどが含まれる。例えば、レンチウイルスは複合型レトロウイルスであり、一般的なレトロウイルス遺伝子gag、polおよびenvに加えて、制御機能または構成機能を持つ他の遺伝子をさらに含む。レンチウイルスベクターは当技術分野で周知である。レンチウイルスのいくつかの例には、ヒト免疫不全ウイルス:HIV-1、HIV-2およびサル免疫不全ウイルス:SIVが含まれる。レンチウイルスベクターは、HIV病原性遺伝子を多重に減衰させて産生されており、例えば、env、vif、vpr、vpuやnefといった遺伝子を削除することで、生物学的に安全なベクターを産生することができる。
【0073】
範囲:本開示全体を通して、本開示の様々な態様を範囲形式で提示することができる。理解されるように、範囲形式の説明は、単に利便性と簡潔性のためのものであり、本開示の範囲を融通性なく制限するものとして解釈されるべきではない。したがって、範囲の説明は、その範囲内の個々の数値だけでなく、可能なすべてのサブ範囲を具体的に開示しているものと考えるべきである。例えば、1から6までのような範囲の説明は、1から3まで、1から4まで、1から5まで、2から4まで、2から6まで、3から6までのサブ範囲と、その範囲内の個々の数字、例えば1、2、2.7、3、4、5、5.3、6が具体的に開示されていると考えるべきである。これは、範囲の広さに関係なく適用される。
【0074】
「キメラ抗原受容体」(CAR)分子とは、少なくとも細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、細胞質ドメインまたは細胞内ドメインを含む組換えポリペプチドのことであ。実施形態では、CARのドメインは同じポリペプチド鎖、例えば、キメラ融合タンパク質上にある。実施形態では、ドメインは異なるポリペプチド鎖上にあり、例えば、ドメインは連続していない。
【0075】
CAR分子の細胞外ドメインには、抗原結合ドメインが含まれる。実施形態では、抗原結合ドメインは、B細胞の表面にある抗原、例えば、細胞表面分子またはマーカーに結合する。実施形態では、B細胞の細胞表面分子が、CD19、CD22、CD20、BCMA、CD5、CD7、CD2、CD16、CD56、CD30、CD14、CD68、CD11b、CD18、CD169、CD1c、CD33、CD38、CD138、またはCD13を含む。実施形態では、B細胞の細胞表面分子が、CD19、CD20、CD22、またはBCMAを含む。特定の実施形態では、B細胞の細胞表面分子がCD19である。
【0076】
実施形態では、抗原結合ドメインは、腫瘍の表面にある抗原、例えば、腫瘍抗原または腫瘍マーカーに結合する。腫瘍抗原とは、腫瘍細胞が産生するタンパク質で、免疫応答、特にT細胞を介した免疫応答を誘発する。腫瘍抗原は当技術分野ではよく知られており、例えば、腫瘍関連MUC1(tMUC1)、神経膠腫関連抗原、癌胎児性抗原(CEA)、β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン、アルファフェトプロテイン(AFP)、レクチン反応性AFP、サイログロブリン、RAGE-1、MN-CA IX、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2(AS)、腸内カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、M-CSF、プロスターゼ、前立腺特異的抗原(PSA)、PAP、NY-ESO-1、LAGE-1a、p53、プロスタイン、PSMA、Her2/neu、サバイビン、テロメラーゼ、前立腺癌腫瘍抗原-1(PCTA-1)、MAGE、ELF2M、好中球エラスターゼ、エフリンB2、CD22、インスリン成長因子(IGF)-I、IGF-II、IGF-I受容体およびメソテリンを含む。例えば、腫瘍抗原がCD19の場合、そのCARをCD19CARと称し、CD19CARを含むT細胞をCART19細胞またはCD19CAR T細胞と称することができる。
【0077】
実施形態では、CARの細胞外抗原結合ドメインは、少なくとも1つのscFv、または少なくとも1つの単一ドメイン抗体を含む。一例として、1つのCARには2つのscFvsが存在し得る。scFvは、柔軟なリンカーによって連結された標的抗原特異的モノクローナル抗体の軽鎖可変(VL)領域および重鎖可変(VH)領域を含む。一本鎖可変領域フラグメントは、短い連結ペプチドを用いて軽鎖および/または重鎖可変領域を連結することによって形成することができる(Birdら,Science 242:423-426, 1988)。連結ペプチドの例としては、アミノ酸配列(GGGGS)3(配列番号278)を有するGSリンカーがあり、一方の可変領域のカルボキシ末端と他方の可変領域のアミノ末端の間を約3.5nm架橋している。他の配列のリンカーが設計され、使用されている(Birdら,1988,上記)。一般的に、リンカーは、短くて柔軟性のあるポリペプチドで、約20個以下のアミノ酸残基で構成されていることが好ましい。一本鎖変異体は、組換えまたは合成によって産生することができる。scFvの合成産生には、自動合成機を使用することができる。scFvの組換え生産には、scFvをコードするポリヌクレオチドを含む適切なプラスミドを、酵母、植物、昆虫、哺乳類細胞などの真核生物、または大腸菌などの原核生物のいずれかの適切な宿主細胞に導入することができる。目的のscFvをコードするポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドのライゲーションなどの慣習的な操作で作ることができる。得られたscFvは、当技術分野で知られている標準的なタンパク質精製技術を用いて単離することができる。
【0078】
実施形態では、本明細書に記載されるCAR分子は、目的の抗原に結合するための1つ以上のCDR、例えば、CD19またはtMUC1に結合するための1つ以上のCDRを含む。
【0079】
本明細書に記載されるCAR分子の細胞質ドメインは、1つ以上の共刺激ドメインおよび1つ以上のシグナル伝達ドメインを含む。共刺激およびシグナル伝達ドメインは、抗原結合に応答して、シグナルを伝達し、T細胞などの分子を活性化する機能を持つ。1つ以上の共刺激ドメインは、刺激分子および/または共刺激分子に由来し、シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータドメインなどの一次シグナル伝達ドメインに由来する。実施形態では、シグナル伝達ドメインは、共刺激分子に由来する1つ以上の機能的なシグナル伝達ドメインをさらに含む。実施形態では、共刺激分子は、抗原に対する細胞応答の活性化に必要な細胞表面分子(抗原受容体またはそのリガンド以外)である。
【0080】
実施形態では、共刺激ドメインは、CD27、CD28、4-1BB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83に特異的に結合するリガンドの細胞内ドメイン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。実施形態では、シグナル伝達ドメインは、T細胞受容体に由来するCD3ゼータドメインを含む。
【0081】
実施形態では、CARの細胞質ドメインは、1つ以上の刺激ドメインのみを含み、シグナル伝達ドメインを含まない。
【0082】
CAR分子には、膜貫通ドメインも含まれる。CAR分子に膜貫通ドメインを組み込むことで、CAR分子を安定させることができる。実施形態では、CAR分子の膜貫通ドメインは、CD28または4-1BB分子の膜貫通ドメインである。
【0083】
CARの細胞外ドメインと膜貫通ドメインの間には、スペーサードメインが組み込まれる場合がある。本明細書では、「スペーサードメイン」という用語は、一般的に、ポリペプチド鎖上の細胞外ドメインまたは細胞質ドメインのいずれかに、膜貫通ドメインを連結する機能を持つオリゴまたはポリペプチドを意味する。スペーサードメインは、最大300個のアミノ酸、好ましくは10~100個のアミノ酸、最も好ましくは25~50個のアミノ酸を含み得る。
【0084】
CAR Tを用いた免疫療法は、多くの患者に癌を治療する希望をもたらしているが、CAR T療法はサイトカインストーム(またはサイトカイン放出症候群(CRS))を引き起こす可能性がある。サイトカインストームとは、ヒトにCAR Tを注入した後、インビボでのTリンパ球が活性化して急速に増殖し、TNF-α、IFN-γ、IL-2、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10などのサイトカインが過剰に放出されることを指す。これらのサイトカインは様々な免疫反応を媒介し、高熱、低血圧、筋肉痛、凝固障害、呼吸困難、末梢臓器障害などの臨床症状を引き起こし、ヒトの組織や臓器に深刻かつ永続的な損傷や障害を引き起こす可能性がある。しかし、リンパ球の活性化と急速な増殖は、免疫療法の効果と密接に関係しており、サイトカインがリンパ球の活性化と増殖に関与していると考えられる。本明細書に記載の実施形態は、被検体の免疫応答を高めつつ、管理可能な状態にするために、1つ以上のサイトカインを条件付きで発現および/または分泌するようにリンパ球を操作することができるという発見に関するものである。実施形態では、1つ以上のサイトカインの発現および/または分泌は、リンパ球が認識する抗原の存在、酸素のレベル(例えば、低酸素)、pH値のレベル、薬物(例えば、rtTA-TRE系の場合はドキシサイクリン)の存在、免疫応答における転写因子の存在、および他の免疫関連条件など、1つ以上の条件によって制御され得る。
【0085】
<CAR分子(1つ以上)と治療薬(1つ以上)>
本開示は、CARをコードする(第1の)核酸と、1つ以上の治療薬をコードする追加の(第2の)核酸とを含む単離核酸を記載する。実施形態では、第1の核酸と第2の核酸は、別個の単離核酸上にある。実施形態では、第1の核酸および第2の核酸は、同じ単離核酸上にある。実施形態では、1つ以上の治療薬は、少なくとも1つのサイトカイン、またはその誘導体を含む。ケモカイン、インターフェロン(IFN)、インターロイキン(IL)、リンパカイン、および腫瘍壊死因子(TNF)など、様々な種類のサイトカインが発見されている。
【0086】
実施形態では、1つ以上の治療薬は、IFN-γ、IL-2、IL-6、IL-7、IL-15、IL-17、IL-23、またはそれらの誘導体のうちの少なくとも1つを含む。実施形態では、治療薬は、Eomes、TRAF6、IL12、IL2、IL18、IL23、AQP9、Runx3、AMPK、BCL-2、またはそれらの組み合わせである。
【0087】
本開示はさらに、第1のCARをコードする第1の核酸と、1つ以上の治療薬をコードする第2の核酸とを含む単離核酸を記載する。さらに、本開示は、第2の(または追加の)CARをコードする第3の核酸を含む単離核酸を記載する。実施形態では、別個の単離核酸は、第2のCARをコードする核酸を含む。実施形態では、第1の核酸と第2の核酸は、別個の単離核酸上にある。
【0088】
実施形態では、ポリヌクレオチドは改変細胞のゲノムに組み込まれ、かつ改変細胞の子孫もポリヌクレオチドを発現し、その結果、安定的にトランスフェクトされた改変細胞が得られる。実施形態では、改変細胞はCARをコードするポリヌクレオチドを発現し得るが、ポリヌクレオチドは改変細胞のゲノムに組み込まれないため、改変細胞は一過性にトランスフェクトされたポリヌクレオチドを有限期間、例えば数日間発現し、その後、ポリヌクレオチドは細胞分裂または他の細胞処理によって失われる。一例として、ポリヌクレオチドは、組換えDNA構築物、mRNA、またはウイルスベクターで改変細胞に存在し、および/または、ポリヌクレオチドは、改変細胞のゲノムに組み込まれないmRNAである。
【0089】
実施形態は、本明細書に記載されるポリヌクレオチドの方法または使用に関する。本方法または使用は、ポリヌクレオチドの転写を付与する発現制御要素に動作可能に連結されているポリヌクレオチドを含むベクターゲノムを含むウイルス粒子(例えば、AAV、レンチウイルスまたはそれらの変異体)を提供することと、ポリヌクレオチドが被検体で発現するような量のウイルス粒子を被検体に投与することと、を含む。実施形態では、AAV調製物は、AAVベクター粒子、空キャプシド、および宿主細胞の不純物を含み、それにより、AAV空キャプシドを実質的に含まないAAV製品を提供する。ウイルス粒子の投与および調製のより詳細な情報は、米国特許出願第9840719号およびMilaniら,Sci.Transl.Med.11, eaav7325(2019)2019年5月22日、に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0090】
実施形態では、バイオリアクターは、約0.5×10cells/mLの細胞密度で接種することができ、生存率は95%を超える。細胞密度が約1.0×10cells/mLに達したら、PEIとDNAの比率が2:1のポリエチレンイミン(PEI)/DNA複合体(ポリプレックス)を用いて細胞をトランスフェクトし得る。採取時に、バイオリアクター内の細胞培養物からのAAVは、TritonX-100法を用いて放出され得る。すべての溶液をバイオリアクターに直接加え、ライセートを4000×gで20分間遠心分離することができる。上清は、さらなる処理のために?80℃で保存できる。AAVはさらに精製し得る。例えば、1mLの15%濃度のイオジキサノール、5mLの25%濃度のイオジキサノール、7mLの40%濃度のイオジキサノール、5mLの54%濃度のイオジキサノールをそれぞれ用いた一連のステップグラジエントの上に重ねることでAAVサンプル(12.3mL)を精製し得る。また、15%濃度のイオジキサノールには、他の細胞タンパク質や負電荷を帯びた核成分とAAVが凝集するのを防ぐために、1 MのNaClが含まれる。遠心分離の終了後、Sorval超遠心分離機のSorvals T-865ローターを用いて385,000×gで1時間45分の超遠心分離を開始する前に、40/54とマークした界面の2mm下から5mLを取り出すことができる。その後、ウイルスベクターを定量化することができる。例えば、ベクターAAVの感染性は、すべての場合において、レポーター遺伝子としてGFPを用いた遺伝子導入アッセイ(GTA)によって決定することができる。サンプルを希釈してから細胞に添加するAAV感染性アッセイでは、単一のウイルスだけが細胞内に入ってGFPを発現させることを確保するために、GFP陽性細胞を2-20%の範囲にする。GFP-陽性細胞は、懸濁液中のHEK293細胞を用いてFACSで定量化することができる。そして、前記AAVを被検体に投与することができる。例えば、AAVを0.9%の滅菌NaCl生理食塩水(0.25%のヒト血清アルブミン[HSA]を添加)で希釈して患者に輸液し、最終的な輸液量は患者の体重から3mL/kgと算出することができる。
【0091】
実施形態では、第1のCARは固形腫瘍に結合する抗原結合ドメインを含み、第2の(または追加の)CARは白血球(WBC)に結合する抗原結合ドメインを含む。
【0092】
本開示はさらに、本明細書に記載される単離核酸を含むベクターを記載する。実施形態では、単一のベクターは、第1のCAR、治療薬、および第2のCARまたはTCRをコードする単離核酸を含む。実施形態では、第1のベクターは、第1のCARをコードする第1の核酸、および1つ以上の治療薬をコードする核酸を含み、第2のベクターは、第2のCARまたはTCRをコードする核酸を含む。実施形態では、ベクターは、少なくとも2つの抗原結合ドメインおよび1つ以上の治療薬を含む二重特異性CARをコードする単離核酸を含む。
【0093】
実施形態では、本開示は、ポリヌクレオチドおよび追加のポリヌクレオチドを含む単離ポリヌクレオチドを記載しており、前記ポリヌクレオチドは、キメラ抗原受容体(CAR)をコードし、前記追加のポリヌクレオチドは、IL-2、IL-6、IL-7、IL-15、IL-17、およびIL-23のうちの少なくとも1つであるか、またはそれらを含む治療薬をコードする。実施形態では、治療薬は、Eomes、TRAF6、IL12、IL2、IL18、IL23、AQP9、Runx3、AMPK、またはBCL-2であるか、またはそれらを含む。
【0094】
実施形態では、本開示は、改変T細胞を用いて腫瘍を有する被検体を治療するための医薬組成物であって、前記医薬組成物が、キメラ抗原受容体をコードする第1のポリヌクレオチド(CAR)と、IL-6、IFN-γ、またはそれらの組み合わせを含む治療薬をコードする第2のポリヌクレオチドと、を含む改変T細胞を含む医薬組成物を開示する。実施形態では、腫瘍は固形腫瘍である。実施形態では、腫瘍は液性腫瘍(例えば、NHL)である。実施形態は、T細胞応答を誘発または誘導し、T細胞療法を増強し、インビボT細胞増殖を増強し、および/またはそれを必要とする被検体におけるM2マクロファージを減少させる方法に関し、前記方法は、医薬組成物の有効量を被検体に投与することを含む。本明細書に記載される方法は、癌と診断された被検体の治療に有効である。実施形態では、被検体は固形腫瘍診断されている。
【0095】
実施形態は、IL-6、IFNγおよびIL-12などの特定のサイトカインに関連し、前記サイトカインは、腫瘍(例えば、固形および/または液性腫瘍)を治療するためのT細胞において発現または過剰発現されるように選択される。これらのサイトカインは、少なくとも、殺傷機能、腫瘍細胞への抑制機能を直接的または間接的に弱めたり、および/またはT細胞療法に深刻な副作用を与えたりするものではない。あるいは、これらのサイトカインの中には、殺傷機能、腫瘍細胞への抑制機能に直接的または間接的に影響を与えるもの、および/またはT細胞療法に深刻な副作用を与えるものもあり得る。しかしながら、これらの影響は管理可能であり、例えば、T細胞療法の有益性に鑑み、患者を相当なリスクにさらすことはない。例えば、これらの選択されたサイトカインは、T細胞応答を増強することができる。興味深いことに、IL-6は、サイトカイン放出症候群(CRS)の主要な原因であるため、T細胞療法を低下させる、あるいは少なくとも悪影響を及ぼすサイトカインであると考えられていた。しかしながら、本明細書で提供される実施例では、IL-6の増加が、CAR T細胞療法を用いた再発/難治性(R/R)急性リンパ性白血病(ALL)の治療効果と一致することが示されている。驚くべきことに、本明細書で提供される実施例では、IL-6を発現および分泌するCAR T細胞の注入が、固形腫瘍の治療に伴う重度のCRSを引き起こさないことが実証されている。すべてのサイトカインが、腫瘍細胞を殺す、および/または腫瘍の成長を抑制するというT細胞の機能を損失することなく、T細胞によって発現および分泌されるわけではない。特定のサイトカインの腫瘍促進効果が報告されている。例えば、TAMsによって産生されるIL-10は、APCの機能を抑制することで抗腫瘍応答を鈍らせ、続いて細胞毒性などのT細胞エフェクター機能を阻害することができる(Mannino,M.H.,Zhu,Z., Xiao,H.,Bai,Q.,Wakefield,M.R.,およびFang,Y.(2015)。マウス腫瘍モデルの研究では、IL-10シグナル伝達が同時に阻害されない限り、IL-10は腫瘍浸潤性DCの成熟およびTh1細胞を刺激するIL-12の産生を抑制できることが示されている(Vicari,A.P.,Chiodoni,C.,Vaure,C.,Ait-YahiaS.,Dercamp,C.,Matsos,F.,Reynard,O.,Taverne,C.,Merle,P.,Colombo,M.Pら,(2002)。CpG免疫刺激オリゴヌクレオチドと抗インターロイキン10受容体抗体による腫瘍誘発性樹状細胞麻痺の回復。J.Exp.Med.196,541-549.)。別の例として、研究により、TGF-βがT細胞増殖を強力に抑制できることが示されている(Kehrl JH,Wakefield LM,Roberts AB, Jakowlew S, Alvarez-Mon Mら,1986.ヒトTリンパ球によるトランスフォーミング成長因子β(TGF-β)の産生と、T細胞の成長抑制におけるその潜在的役割。J.Exp.Med.163:1037-50)。IL-2産生の抑制、c-mycのダウンレギュレーション、およびサイクリン依存性キナーゼ阻害剤のアップレギュレーションなど、いくつかのメカニズムがTGF-βを介したT細胞増殖の抑制を駆動する(Li MO,Wan YY,Sanjabi S,Robertson AK, Flavell RA.2006.トランスフォーミング成長因子-βによる免疫応答の制御。Annu.Rev.Immunol.24:99-146)。また、TGF-βは、活性化後のT細胞増殖を抑えるために細胞死を促進するという重要な役割を担っている場合もある(Mark ATravisおよびDean Sheppard、免疫におけるTGF-βの活性化と機能, Annu.Rev. Immunol.2014.32:51-82)。ケモカインは、正常な白血球の遊走を指示するサイトカインの大きなファミリーである。また、白血球の発生や多くの疾患の発症にも関与していると言われている。また、いくつかのケモカインの濃度勾配は、結節内T細胞の遊走に重要な役割を果たしている。これらのケモカインを発現または過剰発現させると、T細胞の遊走が妨害されるため、固形腫瘍に対するCAR T細胞療法が弱くなる。T細胞が適切に移動しないと、腫瘍細胞に到達できない可能性がある。例えば、ケモカインCCL21を過剰発現させると、T細胞の移動が妨害されることが報告されている(Christopherson KWおよびCampbell JJ, romas RA, CCケモカインCCL21のトランスジェニック過剰発現はT細胞遊走を妨害する,Blood.2001年12月15日;98(13):3562-8)。実施形態では、改変細胞で過剰発現また発現されたサイトカインは、IL-10、TGF-β、およびCCL21のうちの少なくとも1つを含まない。特定のサイトカインをT細胞で過剰発現または発現させることで、腫瘍を治療するCAR T療法を増強することができる。しかしながら、一部のサイトカイン(例えば、IL-6)は、血液腫瘍を治療するためにT細胞で過剰発現または発現させることができない。CAR TによるALLやNHLなどの血液腫瘍の治療では、IL-6が重度のCRSを引き起こす主な原因であることはよく知られている。これに対し、CAR T細胞による固形腫瘍の治療では、重度のCRSがほとんど発生しなかったという研究結果があるため、IL-6をT細胞で過剰発現または発現させて固形腫瘍を治療することができる。実施形態では、T細胞によるIL-6の発現および分泌は、CRSおよびIL-6に関連する他の症候群を回避するために、T細胞の状態に関連し得る。例えば、IL-6は、T細胞が活性化されると、T細胞によって発現および分泌され得る。実施形態では、CAR T細胞によるIL-6の発現および分泌は、CAR T細胞が自分の抗原を認識して結合しない限り、IL-6を発現も分泌もしないように、NFATなどの転写モジュレーターによって制御され得る。実施形態では、改変細胞は、本開示に記載の方法を用いて、抗腫瘍活性を低下させるサイトカイン(例えば、IL-10、TGF-β、およびCCL21)の活性を妨害する薬剤を発現および/または分泌し得る。実施形態では、改変細胞は、例えば、改変細胞の活性化および/または酸素のレベル(例えば、低酸素)に応答して、IL-10および/またはIL-10の受容体もしくはIL-10の可溶性受容体を標的とするscFvを発現および/または分泌し得る。実施形態では、改変細胞集団は、サイトカインと薬剤の様々な組み合わせを発現する改変細胞を含み得る。例えば、改変細胞集団は、IL-6およびIFNγをコードするポリヌクレオチドを含む改変細胞、IL-12および薬剤をコードするポリヌクレオチドを含む改変細胞、および/または薬剤をコードするポリヌクレオチドを含む改変細胞を含み得る。実施形態では、改変細胞は、1つ以上の抗原結合分子(例えば、CARおよびTCR)を発現し得る。実施形態では、薬剤は、改変細胞においてタンパク質を過剰発現および/または分泌するための、タンパク質(例えば、本明細書に記載されるPD-1のドミナントネガティブ形態および融合タンパク質)をコードするポリヌクレオチドであり得る。実施形態では、ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドは、改変細胞における標的遺伝子の機能および/または発現を低下させるようなゲノム編集ツール(例えば、ZFN、TALEN、Cas9)をコードすることができる。実施形態では、改変細胞は、チェックポイント阻害剤(例えば、PD-1)のドミナントネガティブ形態を発現し得る。例えば、IL-6はT細胞によるPD-1の発現を増加させることができ、また、IL-6も発現している改変細胞がPD-1のドミナントネガティブ形態を発現することで、改変細胞の抗腫瘍活性を向上させることができると報告されている。
【0096】
固形腫瘍組織には、腫瘍細胞や一部の免疫細胞など、多種類の細胞が存在することが報告されている。その中で、M2マクロファージなどのマクロファージは、固形腫瘍組織における免疫細胞の主要な細胞である。固形腫瘍のM2型マクロファージは、腫瘍組織内でサイトカインを持続的に分泌し、腫瘍細胞に栄養を与えている。実施形態は、癌を有する被検体に対する免疫療法(例えば、CAR、TCR、および/またはTIL)を増強するために、M2マクロファージの数を減少させる組成物および方法に関する。実施形態では、細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)は、1つ以上の分子を発現するように改変されていない細胞によって発現されるものよりも高いレベルで、1つ以上の分子を発現するように改変され得、これにより、改変細胞の送達は、腫瘍微小環境におけるM2マクロファージの数を減少させることができる。例えば、1つ以上の分子は、IFN-γまたはその誘導体を含み、IFN-γの発現はNFATによって制御される。
【0097】
実施形態では、改変T細胞は、治療薬を発現および分泌する。実施形態では、治療薬は、IL-6およびIFN-γを含む。実施形態では、改変細胞は、NFAT、IFN-γ、IRES/2a、およびIL-6を順にコードする核酸を含む。実施形態では、改変T細胞は、配列番号287および328をコードするポリヌクレオチドを含む。実施形態では、改変T細胞は、配列番号286および469を含むポリヌクレオチドと、配列番号328をコードするポリヌクレオチドとを含む。
【0098】
実施形態では、IFN-γは、野生型IFN-γ、およびIFN-γポリペプチドの特定のアミノ酸が除去され、かつ除去されたアミノ酸以外の特定のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたIFN-γの誘導体を含み得る。誘導体は、野生型と比較して高いIFN-γ活性および/または安定性を示すことができる。誘導体のいくつかの例は、米国特許出願第US4898931号、米国特許公開第:US2003092130号、およびUS2006251619号に含まれており、そのすべての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0099】
実施形態では、1つ以上の治療薬は、IFN-α、IFN-ν、IFN-ω、IFN-ε、IFN-κ、IFN-τ、IFN-δ、IFN-ζ、IFN-β、IRF8、batf3 E2-2、IRF4、および/またはNotch2 KLF4である。IFN-αタンパク質は、主に形質細胞様樹状細胞(pDCs)で産生される。それらは主にウイルス感染に対する自然免疫に関与している。それらの合成を担う遺伝子には、IFN-α1、IFN-α2、IFN-α4、IFN-α5、IFN-α6、IFN-α7、IFN-α8、IFN-α10、IFN-α13、IFN-α14、IFN-α16、IFN-α17、およびIFN-α21と呼ばれる13種類の亜種がある。これらの遺伝子は、9番染色体上にまとまって存在している。IFN-αはまた、有毛細胞白血病の治療薬として合成して産生される。製品の国際一般名(INN)は、インターフェロンアルファである。組換え型はインターフェロンアルファ-1である。ペグ化された種類のIFNは、ペグ化されたインターフェロンアルファ-2a、およびペグ化されたインターフェロンアルファ-2bである。IFN-βタンパク質は、線維芽細胞によって大量に産生される。それらは、主に自然免疫応答に関与する抗ウイルス活性を持っている。IFN-β1(IFNB1)とIFN-β3(IFNB3)の2種類のIFN-βが記載されている(IFN-β2と称される遺伝子は、実際にIL-6である)。IFN-β1は、再発率を低下させるため、多発性硬化症の治療薬として使用される。IFN-β1は、進行性で非再発性の多発性硬化症を有する患者に対して適切な治療法ではない。現時点では、IFN-ε、-κ、-τ、-δ、-ζ、IFN-ε、-κ、-τ、および-ζは、ヒトでは単一のアイソフォーム、すなわちIFN-κであると考えられる。反芻動物は、IFN-ωの変異体であるIFN-τをコードする。これまでのところ、IFN-ζはマウスにのみ見られるが、構造上のホモログであるIFN-δは、霊長類やげっ歯類以外の胎生哺乳類の多様な配列に見られる。すべてではないが、ほとんどの胎生哺乳類は、機能的なIFN-εおよびIFN-κ遺伝子をコードしている。IFN-ωは、現在までに報告されている機能的な形態は1つだけであるが(IFN-ω1)、いくつかの偽遺伝子:ヒトにおけるIFN-ωP2、IFN-ωP4、IFN-ωP5、IFN-ωP9、IFN-ωP15、IFN-ωP18、およびIFN-ωP19がある。霊長類以外の胎生哺乳類の多くは、複数のIFN-ω亜種を発現している。IFN-νは、I型IFNの亜種で、最近、ヒトでは偽遺伝子と記述されたが、飼いネコのゲノムでは機能する可能性がある。非ネコ科胎生哺乳類の他のすべてのゲノムでは、IFN-νは偽遺伝子であり、いくつかの種では偽遺伝子がよく保存されているが、他の種ではひどく切断されたり、検出できなかったりする。さらに、ネコのゲノムでは、IFN-νプロモーターが有害に変異している。IFN-ν遺伝子ファミリーは、哺乳類の多様化以前に役に立たなくなっているであろう。哺乳類のI型IFN遺伝子座の端に存在することで、消滅から守られ、発見されたのかもしれない。
【0100】
実施形態では、1つ以上の治療薬の発現は、誘導性発現系によって制御され得る。誘導性発現系は、遺伝子の時間的および空間的に制御された活性化および/または発現を可能にする。例えば、テトラサイクリン制御転写活性化は、抗生物質であるテトラサイクリンまたはその誘導体(例えば、ドキシサイクリン)の存在下で、転写を可逆的にオンまたはオフにする、遺伝子発現の誘導方法である。例えば、誘導性自殺遺伝子発現系では、自殺遺伝子の時間的および空間的に制御された活性化および/または発現が可能であり、これにより細胞はアポトーシスにより自死する。
【0101】
実施形態では、改変細胞は、逆テトラサイクリントランスアクチベーター(rtTA)をコードする核酸配列を含む。実施形態では、1つ以上の治療薬の発現は、1つ以上の治療薬がテトラサイクリンの存在下で発現されるように、rtTAによって制御される。実施形態では、細胞培地中のテトラサイクリンの濃度は、約2μg/ml以上である。実施形態では、テトラサイクリンは、テトラサイクリン、デメクロサイクリン、メクロサイクリン、ドキシサイクリン、ライメクロサイクリン、メタサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、ロリットテトラサイクリン、およびクロルテトラサイクリンからなる群から選択される。実施形態では、テトラサイクリンはドキシサイクリンである。
【0102】
実施形態では、誘導性自殺系は、HSV-TK系または誘導性カスパーゼ-9系である。実施形態では、改変細胞は、自殺遺伝子をコードする核酸配列を含み、これにより、自殺遺伝子の発現を許可する態様で改変細胞がヌクレオシド類似体の存在下にある場合に、ヌクレオシド類似体を改変細胞に対して細胞毒性にする。実施形態では、自殺遺伝子は、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ、水痘帯状疱疹ウイルスのチミジンキナーゼ、および細菌のシトシンデアミナーゼからなる群から選択される。実施形態では、自殺遺伝子は、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼである。実施形態では、ヌクレオシド類似体は、ガンシクロビル、アシクロビル、ブシクロビル、ファムシクロビル、ペンシクロビル、バルシクロビル、トリフルオロチミジン、1-[2-デオキシ、2-フルオロ、ベータ-D-アラビノフラノシル]-5-ヨードウラシル、ara-A、araT 1-ベータ-D-アラビノフラノキシルチミン、5-エチル-2’-デオキシウリジン、5-ヨード-5’-アミノ-2,5’-ジデオキシウリジン、イドクスウリジン、AZT、AIU、ジデオキシシチジン、およびAraCからなる群から選択される。実施形態では、ヌクレオシド類似体はガンシクロビルである。
【0103】
実施形態では、CARは、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含み、細胞外ドメインは抗原に結合する。実施形態では、CARは、tMUC1、PRLR、CLCA1、MUC12、GUCY2C、GPR35、CR1L、MUC17、TMPRSS11B、MUC21、TMPRSS11E、CD207、SLC30A8、CFC1、SLC12A3、SSTR1、GPR27、FZD10、TSHR、SIGLEC15、SLC6A3、KISS1R、QRFPR、GPR119、CLDN6、UPK2、ADAM12、SLC45A3、ACPP、MUC21、MUC16、MS4A12、ALPP、CEA、EphA2、FAP、GPC3、IL13-Rα2、メソテリン、PSMA、ROR1、VEGFR-II、GD2、FR-α、ErbB2、EpCAM、EGFRvIII、PSCA、またはEGFRに結合する。実施形態では、細胞内ドメインは、CD27、CD28、4-1BB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む共刺激ドメインを含む。実施形態では、抗原は、上皮成長因子受容体(EGFR)、上皮成長因子受容体の変異体III(EGFRvIII)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、メソテリン(MSLN)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、癌胎児性抗原(CEA)、ジシアロガングリオシド2(GD2)、インターロイキン-13Ra2(IL13Rα2)、グリピカン-3(GPC3)、炭酸脱水酵素IX(CAIX)、L1細胞接着分子(L1-CAM)、癌抗原125(CA125)、分化クラスター133(CD133)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、癌/精巣抗原1B(CTAG1B)、ムチン1(MUC1)、葉酸受容体-α(FR-α)、CD19、FZD10、TSHR、PRLR、MUC17、GUCY2C、CD207、CD3、CD5、B細胞成熟抗原(BCMA)、またはCD4である。
【0104】
実施形態では、治療薬は、組換えDNA構築物、mRNA、またはウイルスベクターで改変T細胞に存在する。実施形態では、改変T細胞は、改変細胞における治療薬の発現および/または分泌を調節する転写モジュレーターへの結合部位を含むプロモーターを含むポリヌクレオチドを含む。実施形態では、転写モジュレーターは、Hif1a、NFAT、FOXP3、またはNFkBであるか、またはそれらを含む。実施形態では、プロモーターは、転写モジュレーターに応答する。実施形態では、プロモーターは、プロモーターが治療薬の発現および/または分泌を駆動するように、治療薬をコードするポリヌクレオチドに動作可能に連結される。実施形態では、プロモーターは、配列番号323-325のうちの少なくとも1つを含む。
【0105】
実施形態では、CARおよび治療薬は、ポリタンパク質の形態で産生され、前記ポリタンパク質が切断されて別個のCARおよび治療薬分子を生成し、CARと治療薬との間に切断性部分があり、切断性部分は、P2AまたはT2Aを含む2Aペプチドを含む。
【0106】
実施形態では、改変T細胞は、追加の(第2の)CARを含み、CARは固形腫瘍抗原に結合し、および追加のCARは白血球の抗原に結合する。実施形態では、固形腫瘍抗原は、tMUC1、PRLR、CLCA1、MUC12、GUCY2C、GPR35、CR1L、MUC17、TMPRSS11B、MUC21、TMPRSS11E、CD207、SLC30A8、CFC1、SLC12A3、SSTR1、GPR27、FZD10、TSHR、SIGLEC15、SLC6A3、KISS1R、QRFPR、GPR119、CLDN6、UPK2、ADAM12、SLC45A3、ACPP、MUC21、MUC16、MS4A12、ALPP、CEA、EphA2、FAP、GPC3、IL13-Rα2、メソテリン、PSMA、ROR1、VEGFR-II、GD2、FR-α、ErbB2、EpCAM、EGFRvIII、PSCA、またはEGFRであり、白血球の抗原は、CD19、CD20、CD22、またはBCMAである。実施形態では、改変細胞がPD-1のドミナントネガティブ形態を含む。
【0107】
実施形態は、ポリヌクレオチドと追加のポリヌクレオチドを含む単離核酸に関し、前記核酸はキメラ抗原受容体(CAR)をコードし、前記追加の核酸は、TNFRSFスーパーファミリーに属する受容体活性化抗体またはその膜結合型、TNFRSFスーパーファミリーに属するリガンドまたはその膜結合型、ケモカインまたはその膜結合型、ケモカインに対する抗体、またはケモカインの受容体またはその膜結合型に対する抗体、および表2-4の配列に対応するD28ファミリーのリガンドのうちの少なくとも1つを含む治療薬をコードする。例えば、TNFRSFスーパーファミリーに属する受容体は、腫瘍壊死因子受容体1、腫瘍壊死因子受容体2、リンホトキシンベータ受容体、リンホトキシンベータ受容体、CD40、Fas受容体、デコイ受容体3、CD27、CD30、4-1BB、細胞死受容体4、細胞死受容体5、デコイ受容体1、デコイ受容体2、RANK、オステオプロテジェリン、TWEAK受容体、TACI、BAFF受容体、ヘルペスウイルス侵入メディエーター、神経成長因子受容体、B細胞成熟抗原、グルココルチコイド誘導性TNFR関連、TROY、細胞死受容体6、細胞死受容体3、エクトディスプラシンA2受容体などを含む。
【0108】
実施形態では、治療薬は、抗体試薬(例えば、一本鎖抗体(例えば、scFv)、単一ドメイン抗体(例えば、ラクダ抗体)、または二重特異性抗体試薬(例えば、二重特異性T細胞エンゲージヤー(BiTE))を含む。実施形態では、治療薬はサイトカインを含む。サイトカインの例は、IL-1P、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12、IL-13、IL-15、IL-17、IL-1Ra、IL-2R、IFN-γ、IFN-y、MIP-ln、MIP-IP、MCP-1、TNFα、GM-CSF、GCSF、CXCL9、CXCL10、CXCR因子、VEGF、RANTES、EOTAXIN、EGF、HGF、FGF-P、CD40、CD40L、フェリチン、およびそれらの任意の組み合わせを含む。実施形態では、サイトカインは、IFN-γ、IL-15、IL-4、IL-10、TNFα、IL-8、IL-5、IL-6、GM-CSF、およびMIP-lαなどの炎症性サイトカインを含む。例えば、IFN-γは、悪性骨粗鬆症患者を治療するためにFDAにから承認されている(例えば、Journal of Pediatrics 121(1):119-24,1992年8月)。
【0109】
本開示は、核酸および追加の核酸を含むCAR細胞集団を記載しており、CAR細胞は、リンパ球、白血球、または末梢血単核細胞(PBMC)を含む。実施形態では、CARおよび治療薬は、ポリタンパク質の形態で産生され、前記ポリタンパク質が切断されて別個のCARおよび治療薬分子を生成する。実施形態では、ポリタンパク質は、CARと治療薬との間に切断性部分を含み、切断性部分は、P2AまたはT2Aを含む2Aペプチドを含む。実施形態では、CARと治療薬が、それぞれ構成的に発現される。実施形態では、CAR細胞は、CARと異なる抗原に結合する追加のCARをコードする第3のポリヌクレオチド、または固形腫瘍抗原に結合する追加のCARを含み、かつCARは白血球の抗原に結合する。実施形態では、治療薬またはその変異体は、組換えまたは合成のいずれかで産生され得る。治療薬の合成には、自動合成機を使用することができる。治療薬の組換え生産には、治療薬をコードするポリヌクレオチドを含む適切なプラスミドを、酵母、植物、昆虫、哺乳類細胞などの真核細胞、または大腸菌などの原核細胞のいずれかの適切な宿主細胞に導入することができる。目的の治療薬をコードするポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドのライゲーションなどの慣習的な操作で作ることができる。得られた治療薬は、当技術分野で知られている標準的なタンパク質精製技術を用いて単離することができる。
【0110】
本開示は、CAR細胞集団を含む医薬組成物を記載する。実施形態は、それを必要とする被検体においてT細胞応答を誘導または増強し、および/または被検体の腫瘍を治療する方法に関し、前記方法は、組成物の有効量を被検体に投与することを含む。
【0111】
本開示は、1つ以上のCARを含む改変細胞を記載し、前記細胞は、IL-2、IL-6、IL-7、IL-15、IL-17、およびIL-23のうちの少なくとも1つを含む1つ以上の治療薬を発現または分泌するように操作される。実施形態では、細胞は、改変細胞の膜に結合する治療薬を発現するように操作される。
【0112】
改変T細胞は、幹細胞に由来することができる。幹細胞は、成体幹細胞、胚性幹細胞、より具体的には、非ヒト幹細胞、臍帯血幹細胞、前駆細胞、骨髄幹細胞、人工多能性幹細胞、全能性幹細胞または造血幹細胞であり得る。改変細胞はまた、樹状細胞、NK細胞、B細胞、または炎症性Tリンパ球、細胞傷害性Tリンパ球、調節性Tリンパ球またはヘルパーTリンパ球からなる群から選択されるT細胞であり得る。別の実施形態では、改変細胞は、CD4+Tリンパ球およびCD8+Tリンパ球からなる群に由来することができる。本発明の細胞の増殖および遺伝子改変に先立って、細胞の供給源は、様々な非限定的な方法によって被検体から得ることができる。T細胞は、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位からの組織、腹水、胸水、脾臓組織および腫瘍を含む多くの非限定的な供給源から得ることができる。実施形態では、利用可能で、かつ当業者に知られている任意の数のT細胞株を使用することができる。実施形態では、改変細胞は、健康なドナー、癌と診断された患者、または感染症と診断された患者に由来することができる。実施形態では、改変細胞は、異なる表現型特性を示す細胞の混合集団の一部である。
【0113】
「幹細胞」という用語は、自己複製能力と他の種類の細胞に分化する能力を持つ、特定の種類の細胞のいずれかを指す。例えば、幹細胞は、2つの娘幹細胞(インビトロで胚性幹細胞と培養した場合に発生)、または1つの幹細胞および分化した細胞(血液細胞を生成できる造血幹細胞で発生)を生成する。 幹細胞は、その由来および/または他の種類の細胞に分化する能力の程度に応じて、異なるカテゴリーに分類される。例えば、幹細胞は、胚性幹(ES)細胞(すなわち、多能性幹細胞)、体性幹細胞、人工多能性幹細胞、およびその他の任意の種類の幹細胞を含み得る。
【0114】
多能性胚性幹細胞は、胚盤胞の内部の細胞塊に存在し、生来の高い分化能力を有し得る。例えば、多能性胚性幹細胞は、体内であらゆる種類の細胞を形成する可能性がある。インビトロで長期間成長した場合、ES細胞は多能性を維持し、子孫細胞は多系統に分化する可能性がある。
【0115】
体性幹細胞は、(胎児からの)胎児幹細胞および(骨髄などの様々な組織に存在する)成体幹細胞を含む。これらの細胞は、多能性ES細胞よりも分化能力が低いと見なされ、中で胎児幹細胞の能力が成体幹細胞の能力よりも高い。それらは明らかに限られた種類の細胞にしか分化せず、多能性があると見なされてきた。「組織特異的」な幹細胞は、通常、1種類の細胞しか生まない。例えば、胚性幹細胞は、血液幹細胞(例えば、造血幹細胞(HSC))に分化し、さらに様々な血液細胞(例えば、赤血球、血小板、白血球)に分化し得る。
【0116】
人工多能性幹細胞(すなわち、iPS細胞またはiPSC)は、特定の遺伝子の発現を誘導することにより、非多能性細胞(例えば、成人の体細胞)から人工的に誘導された多能性幹細胞の1種類を含み得る。人工多能性幹細胞は、特定の幹細胞遺伝子やタンパク質の発現、クロマチンメチル化パターン、倍加時間、胚様体形成、奇形腫形成、生存可能なキメラ形成、力価や分化能など、多くの点で、胚性幹細胞(ES細胞)などの天然に存在する多能性幹細胞と類似している。人工多能性細胞は、成人の胃、肝臓、皮膚細胞および血液細胞から産生することができる。
【0117】
本開示は、T細胞応答を誘発または増強し、癌を治療し、または癌治療を増強する方法を記載し、前記方法は、1つ以上のCARを含むT細胞の組成物の有効量を投与することを含み、前記細胞は、IL-2、IL-6、IL-7、IL-12、IL-15、IL-17、およびIL-23のうちの少なくとも1つであるか、またはそれらを含む治療薬を発現および分泌するように操作され、前記T細胞応答は、治療薬を発現または分泌しないT細胞の投与と比較して増強される。実施形態では、T細胞の組成物は、1つ以上のCARおよびを含み得、IL-6およびIFNγを発現および分泌するように操作され得る。他の実施形態では、T細胞は、IL-12を発現および分泌するように操作され得る。他の実施形態では、T細胞は、IL-15を発現および分泌するように操作され得る。IL-15を0.3mcg/kg/日で投与した患者では、循環IL-6およびIFNγの濃度が最大50倍増加することが報告されている。
【0118】
本開示は、T細胞応答を誘発または増強し、癌を治療し、または癌治療を増強する方法を記載し、前記方法は、CARを含むT細胞集団を含む組成物の有効量を投与することと、IFNγ、IL-2、IL-6、IL-7、IL-12、IL-15、IL-17、およびIL-23のうちの少なくとも1つを含む治療薬の有効量を投与することと、を含み、前記T細胞応答は治療薬を投与せずにCAR T細胞を投与した場合と比較して増強される。実施形態では、治療薬は、単離されたサイトカイン、合成されたサイトカイン、天然のサイトカイン、または組換えサイトカインであり得る。治療薬は、組換えIFNγ、IL-2、IL-6、IL-7、IL-12、IL-15、IL-17、および/またはIL-23を含む。実施形態では、組換えサイトカインは、組換えヒトサイトカインである。実施形態では、投与は、静脈内注射または皮下注射によって実施され得る。実施形態では、治療薬の有効量を投与することは、体重1キログラム当たり約0.5-50ugの範囲の量のIL-6を静脈内送達することを含む。実施形態では、治療薬がIL-6またはIL-7である。組換えIL-15は、所定の期間または日数をかけて、3mcg/kg/日および1mcg/kg/日で、毎日のボーラス注入として投与することができる。組換えIFNγは、所定の期間にわたって、週に5日間、毎日200万単位の用量で投与することができる。実施形態では、治療薬の有効量を投与することは、被検体の血液中のIL-6および/またはIFN-γなどのサイトカインの濃度が5-1000倍(例えば、50倍)増加するように、治療薬の有効量を投与することを含む。IL-6、IL-15、および/またはIFNγの投与方法は、Journal of Interferon&Cytokine Researchの米国特許出願第 US5178856A号および癌治療におけるサイトカイン、第00巻、第00号、2018に記載されており、そのすべての内容は参照により本明細書に組み込まれる。実施形態では、組換えIL-12は、開始用量として30ng/kgが投与され、そしてCAR T細胞の注入後に週に2回、500ng/kgまで増加させることができる。IL-12の投与方法は、Leuk Res.2009 November; 33(11):1485-1489に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。実施形態では、治療薬は、CAR T細胞の注入後、0日、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、または30日目から被検体に投与することができる。実施形態では、治療薬は、CAR T細胞の注入後、0日から7日の間に被検体に投与することができる。組換えサイトカインの例の配列は、表2に記載されている。
【0119】
実施形態では、本明細書に記載されるT細胞集団を含む組成物は、1つ以上のCAR分子を含み得る。CAR分子は、異なる抗原結合ドメインを有することができる。実施形態では、組成物におけるT細胞集団は、異なるCAR分子を含むT細胞を含む。実施形態では、単一のT細胞は、単一のCAR分子または少なくとも2つの異なるCAR分子を含むことができる。実施形態では、単一のT細胞は、少なくとも2つの異なる抗原結合ドメインを有する単一のCAR、例えば、二重特異性CARを含むことができる。実施形態では、T細胞集団は、1つ以上のCAR分子および/または1つ以上の抗原結合部位を含むCAR分子を含む異なるT細胞の混合物を含む。
【0120】
実施形態では、前記方法は、被検体の組織または血液における治療薬の濃度を監視することと、被検体の濃度および/または他のパラメータが所望の状態でない場合に、治療薬または治療薬の受容体のアンタゴニスト(例えば、抗体)を投与することと、をさらに含む。例えば、パラメータは、体温のレベル、CRSのレベル、および神経毒性のレベルを含み得る。
【0121】
実施形態では、治療薬の発現および/または分泌は、誘導性発現系によって制御され得る。実施形態では、誘導性発現系は、治療薬の発現を増加または活性化させるrtTA-TRE系、またはその組み合わせである。実施形態では、誘導性発現系はrtTA-TRE系である。例えば、テトラサイクリン制御転写活性化は、抗生物質であるテトラサイクリンまたはその誘導体(例えば、ドキシサイクリン)の存在下で、転写を可逆的にオンまたはオフにする、遺伝子発現の誘導方法である。実施形態では、治療薬の発現および/または分泌が、誘導性発現系によって制御され、および/または改変細胞が、誘導性自殺系をコードするポリヌクレオチドを含み得る。例えば、誘導性自殺系は、HSV-TK系、eEGFR系、または誘導性カスパーゼ-9系である。
【0122】
実施形態では、T細胞は、WBCの抗原に結合する追加の(第2の)CARを含み、第1のCARは、固形腫瘍の抗原に結合する。実施形態では、固形腫瘍抗原は、tMUC1、PRLR、CLCA1、MUC12、GUCY2C、GPR35、CR1L、MUC17、TMPRSS11B、MUC21、TMPRSS11E、CD207、SLC30A8、CFC1、SLC12A3、SSTR1、GPR27、FZD10、TSHR、SIGLEC15、SLC6A3、KISS1R、QRFPR、GPR119、CLDN6、UPK2、ADAM12、SLC45A3、ACPP、MUC21、MUC16、MS4A12、ALPP、CEA、EphA2、FAP、GPC3、IL13-Rα2、メソテリン、PSMA、ROR1、VEGFR-II、 GD2、FR-α、ErbB2、EpCAM、EGFRvIII、PSCA、またはEGFRであり、B細胞抗原は、CD19、CD20、CD22、またはBCMAである。
【0123】
実施形態では、CARは、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含み、細胞外ドメインは抗原に結合する。
【0124】
実施形態では、細胞内ドメインが、CD27、CD28、4-1BB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む共刺激ドメインを含む。
【0125】
実施形態では、抗原は、上皮成長因子受容体(EGFR)、上皮成長因子受容体の変異体III(EGFRvIII)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、メソテリン(MSLN)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、癌胎児性抗原(CEA)、ジシアロガングリオシド2(GD2)、インターロイキン-13Ra2(IL13Rα2)、グリピカン-3(GPC3)、炭酸脱水酵素IX(CAIX)、L1細胞接着分子(L1-CAM)、癌抗原125(CA125)、分化クラスター133(CD133)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、癌/精巣抗原1B(CTAG1B)、ムチン1(MUC1)、葉酸受容体-α(FR-α)、CD19、FZD10、TSHR、PRLR、MUC17、GUCY2C、CD207、CD3、CD5、B細胞成熟抗原(BCMA)、またはCD4である。
【0126】
実施形態では、改変細胞またはT細胞は、細胞のPD-1/PDL1シグナル伝達経路を妨害するためのドミナントネガティブ(dn)PD-1変異体を含む。例えば、改変細胞またはT細胞は、PD-1変異体のドミナントネガティブ形態をコードするポリヌクレオチドを含む。実施形態では、ポリヌクレオチドは、細胞におけるPD-1変異体の発現を調節する転写モジュレーター(例えば、転写因子)の結合部位を含むプロモーターをさらに含み得る。ポリヌクレオチドの例は、表2-4に記載さている。これらの構築物は、順方向または逆方向のいずれかでベクター(例えば、レンチウイルスベクター)に配置することができる。実施形態では、転写モジュレーターの例は、Hif1a、NFAT、FOXP3、NFkB、および表2-4中の他のモジュレーターである。
【0127】
実施形態では、治療薬が、組換えDNA構築物、mRNA、またはウイルスベクターで改変細胞に存在する。実施形態では、改変細胞は、治療薬をコードする治療薬mRNAを含み、前記mRNAは、改変細胞のゲノムに組み込まれない。実施形態では、治療薬mRNAは、治療薬の発現および/または分泌が一過性となるように、改変細胞に導入(例えば、エレクトロポレーション)されてもよい。合成mRNAを注入することで、一過性の遺伝子発現を実現することができる。例えば、mRNAによって提供される治療薬は一過性であるため、治療薬の放出は、特に、IFN-γ、IL-4、IL-10、TNFα、IL-8、IL-5、IL-6、GM-CSFやMIP-lαなどの炎症性サイトカインに対して制御可能である。
【0128】
実施形態では、治療薬は、表2に記載されている少なくとも1つを含むか、またはそれ自体である。実施形態では、治療薬は、表2に記載されている配列を含むか、またはその配列を有する。
【0129】
実施形態では、改変細胞は、本明細書に記載される単離核酸を含むポリヌクレオチドを含み、単離核酸は、細胞における治療薬の発現を調節する転写モジュレーター(例えば、転写因子)の結合部位を含むプロモーターを含む。単離ポリヌクレオチドの例は、表2-4に記載されている。これらの構築物は、順方向または逆方向のいずれかでベクター(例えば、レンチウイルスベクター)に配置し得る。実施形態では、転写モジュレーターは、Hif1a、NFAT、FOXP3、および/またはNFkBを含む。実施形態では、プロモーターは、転写モジュレーターに応答する。実施形態では、プロモーターは、プロモーターが細胞における治療薬の発現を促進するように、治療薬をコードするポリヌクレオチドに動作可能に連結される。実施形態では、治療薬は、所望の状態で治療薬の発現を誘導するために、特定のプロモーターにライゲートされる。プロモーターは、転写因子の結合部位を含む特定の制御領域と、最小のプロモーターとの2つの部分に分かれている。実施形態では、プロモーターおよび結合部位は、表2-4に記載される配列を含む。NFATの詳細についてはWO2018006882に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。実施形態では、転写モジュレーターは、Stat5応答要素(IL2、IL3、IL7、IL15などのサイトカインによって活性化され、それに関連する転写因子がSTAT5)、Stat3応答要素(IL6などのサイトカインによって活性化され、転写因子がSTAT3)、インターフェロン刺激応答要素(IFN-αによって活性化され、転写因子がSTAT1およびSTAT2)、AP1応答要素(APK/JNK経路によって活性化され、転写因子がAP1)、SMAD結合要素(TGF-βによって活性化され、転写因子がSMAD3およびSMAD4)、血清応答要素(MAP/ERK経路によって活性化され、転写因子がElk1/SRF)、血清応答因子応答要素(RhoA経路によって活性化され、転写因子がSRF)、サイクリックAMP応答要素(cAMP/PKA経路によって活性化され、転写因子がCREB)、またはTCF-LEF応答要素(Wnt経路によって活性化され、転写因子がTCF-LEF)を含むことができる。
【0130】
実施形態は、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする(第1の)核酸と、治療薬をコードする追加の(第2の)ポリヌクレオチドとを含む単離ポリヌクレオチドに関する。例えば、治療薬は、IL-6もしくはIFN-γ、またはそれらの組み合わせを含む。例えば、治療薬は、IL-15またはIL-12、またはそれらの組み合わせを含む。実施形態は、単離核酸を含むCAR細胞集団に関し、CAR細胞は、リンパ球、白血球、またはPBMCを含む。実施形態では、CAR細胞集団は、ポリタンパク質の形態で産生されたCARおよび治療薬を含み、前記ポリタンパク質が切断されて別個のCARおよび治療薬分子を生成する。実施形態では、ポリタンパク質が、CARと治療薬の間の切断性部分を含み、切断性部分が、P2AまたはT2Aを含む2Aペプチドを含む。実施形態では、CARと治療薬が、それぞれ構成的に発現される。実施形態では、CAR細胞は、第1のCARと異なる抗原に結合する第2のCARをコードする第3のポリヌクレオチドを含む。実施形態では、第2のCARは、固形腫瘍抗原に結合し、第1のCARは、白血球の抗原に結合する。
【0131】
実施形態は、1つ以上のCAR分子を含む細胞集団(CAR細胞)と、1つ以上の治療薬とを含む医薬組成物に関する。実施形態はまた、それを必要とする被検体においてT細胞応答を誘導または誘発する方法に関し、前記方法は、本明細書に記載の医薬組成物の有効量を被検体に投与することを含む。実施形態では、CAR細胞または改変細胞は、T細胞、NK細胞、マクロファージ、または樹状細胞である。実施形態では、CAR細胞または改変細胞は、T細胞である。
【0132】
実施形態では、追加の(第2の)核酸は、IL6をコードするものと、IFN-γをコードするものとの2つの核酸を含み、2つの核酸は、IRES要素、または2Aペプチドをコードする別の核酸によって接続される。実施形態では、追加の(第2の)核酸は、配列番号287または328、またはそれらの組み合わせのポリヌクレオチドを含む。実施形態では、追加の(第2の)核酸の発現は、治療薬が標的抗原の結合に応答して発現されるように、条件付き発現系によって制御される。実施形態では、追加のポリヌクレオチドの発現は、SynNotchポリペプチドによって制御される。
【0133】
実施形態は、本明細書に記載の小タンパク質(例えば、サイトカイン)に関連するFC融合タンパク質に関する。実施形態では、治療薬は、FC融合タンパク質を含み得る。例えば、IL15、IFN-γやIL6などのサイトカインは、1つ以上の免疫グロビンFcドメインに連結され得る。実施形態では、Fcドメインは、独立して折り畳まれ、インビトロおよびインビボの両方で小タンパク質の溶解性および安定性を向上させることができる。実施形態では、Fc領域があることで、製造中のプロテインG/Aアフィニティークロマトグラフィーによる費用対効果の高い精製が容易になる。実施形態では、FC融合タンパク質は、複数の小タンパク質を含む明確に定義された複合体に重合するように改変され得る。実施形態では、融合タンパク質は、癌および/または他の疾患を有する被検体を治療するために使用される改変細胞(例えば、CAR T細胞)によって発現および分泌され得る。実施形態では、融合タンパク質の投与は、融合タンパク質を発現および分泌するCAR T細胞の治療と組み合わせ得る。例えば、T細胞応答を増強する、および/または、癌または他の疾患を有する被検体を治療する方法は、小タンパク質(例えば、IFN-γ)に関連する融合タンパク質を被検体に投与することと、CARを含み、かつ小タンパク質に関連する融合タンパク質を発現および分泌するT細胞集団の有効量の組成物を被検体に投与することと、を含む。実施形態では、融合タンパク質の投与は、CAR T治療の初期段階(例えば、CAR T細胞を注入した後の1日、2日、3日、4日、5日、または6日間)において、CAR T細胞の増殖を増強し得る。例えば、融合タンパク質は、CAR T細胞を注入した後の1日、2日、3日、4日、5日、または6日間において被検体に投与し得る。実施形態では、前記方法は、小タンパク質(例えば、IFN-γ)に関連する融合タンパク質を被検体に投与することと、CARを含み、かつ小タンパク質に関連する融合タンパク質を発現または分泌しないT細胞集団の有効量の組成物を被検体に投与することと、を含む。例えば、融合タンパク質は、所定の期間内に被検体投与し得る。FC融合タンパク質についての詳細は、J Immunol 2004; 172:2925-2934およびEMBO Mol Med.2012 Oct; 4(10):1015-1028に記載されており、これらは参照により組み込まれる。治療薬(例えば、サイトカイン)の投与についての詳細は、J Interferon Cytokine Res.2019 Jan;39(1):6-21に記載されており、これらは参照により組み込まれる。
【0134】
実施形態は、1つ以上のCARを含む改変細胞に関し、細胞は、1つ以上の治療薬を発現および分泌するように操作される。例えば、治療薬は、IL-6もしくはIFN-γ、またはそれらの組み合わせを含む。実施形態は、T細胞応答を誘導または増強し、癌を治療し、または癌治療を増強する方法に関し、前記方法は、1つ以上のCARを含むT細胞の医薬組成物の有効量を投与することを含み、細胞は1つ以上の治療薬を発現および分泌するように操作される。例えば、治療薬は、IL-6もしくはIFN-γ、またはそれらの組み合わせを含む。実施形態では、治療薬は、IL-6またはIFN-γに関連する小タンパク質である。例えば、被検体にIL-15を投与すると、IL-6およびIFN-γの濃度を最大50倍まで増加させることができる。実施形態は、T細胞応答を誘発または増強し、癌を治療し、または癌治療を増強する方法に関し、前記方法は、CARを含むT細胞集団の有効量の組成物を投与することと、治療薬の有効量を投与することと、を含む。例えば、治療薬は、IL-6もしくはIFN-γ、またはそれらの組み合わせを含む。実施形態では、CAR細胞、改変細胞、細胞は、T細胞、NK細胞、マクロファージまたは樹状細胞である。例えば、CAR細胞、改変細胞、細胞はT細胞である。実施形態は、T細胞応答を増強し、および/または、癌または他の疾患を有する被検体を治療する方法に関し、前記方法は、治療薬(例えば、組換えまたは天然のIFN-γ)を被検体に投与することと、CARを含み、かつ1つ以上の治療薬を発現および分泌するT細胞集団を含む組成物の有効量を被検体に投与することと、を含み得る。実施形態では、治療薬は、CAR T治療の初期段階(例えば、CAR T細胞を注入した後の1日、2日、3日、4日、5日、または6日間)において、CAR T細胞の増殖を増強し得る。例えば、治療薬は、CAR T細胞を注入した後の1日、2日、3日、4日、5日、または6日間において被検体に投与され得る。実施形態では、前記方法は、治療薬を被検体に投与することと、CARを含み、かつ治療薬を発現または分泌しないT細胞集団の有効量の組成物を被検体に投与することと、を含み得る。例えば、治療薬は、所定の期間内に被検体に投与され得る。実施形態では、治療薬は、治療薬の生物学的および/または薬理学的特性が増強され得るように改変され得る。例えば、ハイブリッドFC融合技術は、治療薬の有効成分の溶解性および/または安定性のために実施し得る。
【0135】
実施形態では、治療薬は、単離されたヒトサイトカイン、合成されたヒトサイトカイン、天然のヒトサイトカイン、または組換えヒトサイトカインであり得る。例えば、組換えヒトIL-15は、3mcg/kg/日および1mcg/kg/日で所定の日数の間、毎日のボーラス注入として投与され得る。組換えヒトIFN-γは、所定の期間にわたって、週に5日間、毎日200万単位の用量で投与され得る。実施形態では、治療薬の有効量を投与することは、被検体の血液中のIL-6および/またはIFN-γの濃度が5-1000倍(例えば、50倍)増加するように、治療薬の有効量を投与することを含む。例えば、治療薬はIL-15を含む。
【0136】
実施形態では、治療薬を発現または分泌しないT細胞を投与した場合と比較してT細胞応答が増強され、または、治療薬を投与せずにCAR T細胞を投与した場合と比較してT細胞応答が増強される。
【0137】
実施形態では、治療薬の発現および/または分泌は、誘導性発現系によって制御され、および/または、改変細胞は、誘導性自殺系をコードするポリヌクレオチドを含む。実施形態では、誘導性発現系はrtTA-TRE系である。実施形態では、誘導性自殺系は、HSV-TK系または誘導性カスパーゼ-9系である。
【0138】
実施形態では、改変T細胞は、改変T細胞の活性化に応答して、1つ以上の治療薬を発現および/または分泌する。このような条件付きの発現および/または分泌は、様々な方法で実施し得る。改変細胞における1つ以上の治療薬の発現および/または分泌は、転写モジュレーター(例えば、NFAT)によって調節され得る。TRUCK(普遍的なサイトカインを殺すためにリダイレクトされたT細胞)、CARリダイレクトされたT細胞は、これらのT細胞が活性化されると、1つ以上の治療薬を発現および/または分泌するために使用され得る。改変細胞における1つ以上の治療薬の発現および/または分泌はまた、SynNotchポリペプチドによって制御され得る。
【0139】
実施形態では、IL6の濃度値の範囲は、被検体の血液中で60-5000pg/ml、200-5000pg/ml、または2000-5000pg/mlである。実施形態では、IFN-γの濃度値の範囲が、被検体の血液中で20-5000pg/ml、200-5000pg/ml、または500-5000pg/mlである。実施形態では、治療薬の有効量を投与することは、体重1キログラム当たり約0.5-50ugの範囲の量のIL-6を静脈内送達することを含む。IFN-γの臨床使用に関するより詳細な情報は、Cancer Med.2018,7:4509-4516に記載されており、これは参照により組み込まれる。
【0140】
実施形態では、被検体の血液中のIL-6および/またはIFN-γの濃度が5-1000倍(例えば、50倍)増加するように、改変細胞が治療薬を発現する。例えば、治療薬はIL-15を含む。IL15をトランスジェニックに発現させると、抗IL13Rα2 CAR T細胞の抗神経膠腫活性が向上するが、IL13Rα2の発現がダウンレギュレートされたようなロスバリアントが生じることが報告されている。その結果、神経膠腫は、抗IL13Rα2 CAR T細胞の初期反応後に再発した。実施形態では、改変細胞は、抗CD19 CARおよびIL-15を発現するように操作された第1群の改変細胞と、固形腫瘍抗原に結合するCARを発現するように操作された第2群の改変細胞とを含む。改変細胞を含む医薬組成物は、被検体の固形腫瘍を治療するために被検体に投与され得る。この場合、抗CA19 CAR細胞(例えば、T細胞)は、少なくとも治療の初期段階で、抗固形腫瘍抗原CAR細胞(例えば、T細胞)の活性化/増殖を増強するために使用される。CD19抗原の低減は、抗固形腫瘍抗原CAR細胞を用いた固形腫瘍の治療に最小限の影響を与えるか、またはほとんど影響を与えない。したがって、IL-15の発現と、様々な改変細胞を含む医薬組成物との組み合わせは、IL-15を発現するCAR T細胞を用いた従来の治療と比較して、免疫療法を改善し得る。実施形態では、抗CA19 CARによるIL-15の発現は、本開示に記載された様々な方法で制御することができる。
【0141】
実施形態では、改変細胞またはT細胞は、WBCの抗原に結合する追加の(第2の)CARを含み、CARは、固形腫瘍の抗原に結合する。実施形態では、固形腫瘍抗原は、tMUC1、PRLR、CLCA1、MUC12、GUCY2C、GPR35、CR1L、MUC17、TMPRSS11B、MUC21、TMPRSS11E、CD207、SLC30A8、CFC1、SLC12A3、SSTR1、GPR27、FZD10、TSHR、SIGLEC15、SLC6A3、KISS1R、QRFPR、GPR119、CLDN6、UPK2、ADAM12、SLC45A3、ACPP、MUC21、MUC16、MS4A12、ALPP、CEA、EphA2、FAP、GPC3、IL13-Rα2、メソテリン、PSMA、ROR1、VEGFR-II、 GD2、FR-α、ErbB2、EpCAM、EGFRvIII、PSCA、またはEGFRであり、B細胞抗原は、CD19、CD20、CD22、またはBCMAである。
【0142】
実施形態では、改変細胞またはT細胞は、PD-1のドミナントネガティブ形態を含む。実施形態では、改変細胞またはT細胞は、機能的なPD-1細胞内ドメインを欠く改変PD-1を含む。
【0143】
実施形態では、CARは、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含み、細胞外ドメインは抗原に結合する。実施形態では、細胞内ドメインは、CD27、CD28、4-1BB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む共刺激ドメインを含む。実施形態では、抗原は、上皮成長因子受容体(EGFR)、上皮成長因子受容体の変異体III(EGFRvIII)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、メソテリン(MSLN)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、癌胎児性抗原(CEA)、ジシアロガングリオシド2(GD2)、インターロイキン-13Ra2(IL13Rα2)、グリピカン-3(GPC3)、炭酸脱水酵素IX(CAIX)、L1細胞接着分子(L1-CAM)、癌抗原125(CA125)、分化クラスター133(CD133)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、癌/精巣抗原1B(CTAG1B)、ムチン1(MUC1)、葉酸受容体-α(FR-α)、CD19、FZD10、TSHR、PRLR、MUC17、GUCY2C、CD207、CD3、CD5、B細胞成熟抗原(BCMA)、またはCD4である。
【0144】
実施形態では、治療薬が、組換えDNA構築物、mRNA、またはウイルスベクターで改変細胞に存在する。実施形態では、改変細胞は、治療薬をコードする治療薬mRNAを含み、前記mRNAは、改変細胞のゲノムに組み込まれない。実施形態では、改変細胞は、細胞における治療薬の発現および/または分泌を調節する転写モジュレーターへの結合部位を含むプロモーターを含むポリヌクレオチドを含む。実施形態では、転写モジュレーターは、Hif1a、NFAT、FOXP3、および/またはNFkBを含む。実施形態では、プロモーターは、転写モジュレーターに応答する。実施形態では、プロモーターは、プロモーターが細胞における治療薬の発現および/または分泌を駆動するように、治療薬をコードするポリヌクレオチドに動作可能に連結される。実施形態では、プロモーターは、配列番号323-325のうちの少なくとも1つを含む。
【0145】
実施形態では、CAR細胞、改変細胞、細胞は、T細胞、NK細胞、マクロファージ、または樹状細胞である。例えば、CAR細胞、改変細胞、細胞は、T細胞である。
【0146】
実施形態では、本明細書に記載された細胞集団は、自己CAR T細胞療法に使用される。実施形態では、CAR T細胞療法は、同種異系のCAR T細胞療法、TCR T細胞療法、およびNK細胞療法である。
【0147】
<CAR分子>
本明細書に記載されている実施形態に加えて、本開示は、少なくとも2つの異なる抗原結合ドメインをコードする単離核酸を記載する。実施形態では、WBCの表面上の抗原に結合する第1の抗原結合ドメインが存在し、かつ、WBCの表面上の抗原と異なる腫瘍上の抗原に結合する第2の抗原結合ドメインが存在する。第1の抗原結合ドメインは、導入された細胞を増殖するように機能するが、第2の抗原結合ドメインは、標的抗原に結合すると、標的腫瘍抗原を含む腫瘍細胞の成長を阻害するか、またはを殺すように機能する。実施形態では、本明細書に記載の単離核酸は、同じ核酸分子上の第1および第2の抗原結合ドメインの両方をコードする。実施形態では、2つの抗原結合ドメインは、2つの別個の核酸分子によってコードされる。例えば、第1の核酸は、第1の抗原結合ドメインをコードし、第2の核酸は、第2の抗原結合ドメインをコードする。
【0148】
実施形態では、本開示は、結合分子の第1の抗原結合ドメイン、および結合分子の第2の抗原結合ドメインをコードする核酸を記載し、第1の抗原結合ドメインは、WBCの細胞表面分子に結合し、第2の抗原結合ドメインは、WBCの細胞表面分子と異なる抗原に結合する。実施形態では、第2の結合ドメインは、B細胞 マーカーに結合しない。実施形態では、第2の結合ドメインは、配列番号264または265のアミノ酸配列を含むScFvを含む。例えば、第2の抗原結合ドメインは、配列番号271-277のアミノ酸配列のうちの少なくとも1つを有するCAR上に存在する。
【0149】
実施形態では、第1および第2の抗原結合ドメインは、第1のCARおよび第2のCARのような2つの異なる結合分子(第1および第2の結合分子)上に存在し得る。一例として、第1のCARは、B細胞の表面上のマーカーに結合する細胞外結合ドメインを含み、第2のCARは、腫瘍細胞の標的抗原に結合する細胞外結合ドメインを含む。実施形態では、第1のCARおよび第2のCARは、異なる核酸によってコードされる。実施形態では、第1のCARおよび第2のCARは、2つの異なる結合分子であるが、単一の核酸によってコードされる。
【0150】
実施形態では、2つの異なる抗原結合ドメインは、同じ結合分子、例えば二重特異性CAR上に存在し、単一の核酸によってコードすることができる。実施形態では、二重特異性CARは、リンカーによって連結された2つの異なるscFv分子を有してもよい。
【0151】
実施形態では、2つの異なる抗原結合ドメインは、CARおよびT細胞受容体(TCR)の上に存在し、別個の核酸によってコードすることができる。TCRの結合ドメインは、腫瘍の細胞上の特定の腫瘍抗原または腫瘍マーカーを標的とすることができる。実施形態では、TCR結合ドメインは、特定の腫瘍抗原を標的とするTCRアルファ結合ドメインまたはTCRベータ結合ドメインである。実施形態では、TCRは、TCRγとTCRδ鎖、またはTCRαとTCRβ鎖を含む。本開示はさらに、本明細書に記載される単離核酸を含むベクターを記載する。実施形態では、単一のベクターは、第1のCARおよび第2のCARまたはTCRをコードする単離核酸を含む。実施形態では、第1のベクターは、第1のCARをコードする第1の核酸を含み、第2のベクターは、第2のCARまたはTCRをコードする核酸を含む。実施形態では、ベクターは、少なくとも2つの抗原結合ドメインを含む二重特異性CARを含む。
【0152】
さらに、本開示は、本明細書に記載された単離核酸またはベクターを含む細胞を記載する。細胞は、本明細書に記載された単離核酸またはベクターが導入され、少なくとも2つ以上の結合ドメインを発現する。実施形態では、細胞は、2つ以上の異なる結合ドメイン、第1の抗原結合ドメイン、および第2の抗原結合ドメインを含み、第1の抗原結合ドメインは、WBCの細胞表面分子に結合し、第2の抗原結合ドメインは、WBCの細胞表面分子と異なる抗原に結合する。さらに、本開示は、本明細書に記載された細胞集団を含む組成物を記載する。実施形態では、細胞は、リンパ球などの末梢血単核細胞(PBMC)である。実施形態では、リンパ球は、T細胞、NK細胞、または樹状細胞である。
【0153】
本開示はまた、本明細書に記載された細胞を培養する方法を記載する。本明細書に記載の方法は、WBCの細胞表面分子に結合する第1の抗原結合ドメイン、およびWBCの細胞表面分子と異なる抗原に結合する第2の抗原結合ドメインを含む細胞を取得することと、WBCの細胞表面分子に由来する薬剤、または第2の抗原結合ドメインが結合する抗原に由来する薬剤の存在下で細胞を培養することと、を含む。実施形態では、薬剤は、WBCの細胞表面分子の細胞外ドメインである。
【0154】
本開示は、インビトロ細胞調製のための方法を記載し、前記方法は、細胞を提供することと、WBCの細胞表面分子に結合する第1の抗原結合ドメイン、およびWBCの細胞表面分子と異なる抗原に結合する第2の抗原結合ドメインをコードする1つ以上の核酸を細胞に導入することと、WBCの細胞表面分子に由来する薬剤、または第2の抗原結合ドメインが結合する抗原に由来する薬剤の存在下で細胞を培養することと、を含む。
【0155】
本開示は、癌を有する被検体におけるT細胞増殖を増強するために、調製された細胞を使用することを記載する。実施形態では、前記方法は、複数の核酸をT細胞に導入することと、複数の核酸は、固形腫瘍抗原に結合するキメラ抗原受容体(CAR)をコードし、かつB細胞抗原に結合するCARをコードし、T細胞の少なくとも一部は、固形腫瘍抗原に結合するCAR、およびB細胞抗原に結合するCARを含む;T細胞の有効量を被検体に投与することと、を含む。前記被検体におけるT細胞増殖が、1つのCARのみをコードする複数の核酸を含むT細胞を投与された被検体と比較して、増強されるか、またはT細胞の数が増加する。
【0156】
加えて、本開示は、被検体におけるリンパ球(T細胞)の反応を導入および/または増強する方法を記載する。本明細書に記載の実施形態は、リンパ球を増殖するメカニズムと、CAR上の抗原の腫瘍細胞への結合に関するメカニズムとを含む。実施形態では、第1のメカニズムは、被検体におけるリンパ球の増殖に関与するシグナルに関連する分子を含み、追加のメカニズムは、被検体における腫瘍細胞に結合し、その成長を阻害し、または殺すことに向けられたシグナルに関連する分子を含む。例えば、第1のメカニズムは、血球や血漿などの血液、または非必須組織に関連する抗原に結合するCARを含み、追加のメカニズムは、腫瘍細胞に関連する抗原を標的とするCARまたはTCRを含む。非必須組織の例としては、乳腺、結腸、胃腺、卵巣、WBCなどの血液成分、甲状腺が含まれる。実施形態では、第1のメカニズムは、分子の第1の結合ドメインを含み、追加のメカニズムは、分子の第2のドメインを含む。実施形態では、第1のメカニズムおよび追加のメカニズムは、同じ分子または別個の分子によって実行される。特定の実施形態では、メカニズムは、腫瘍細胞に関連する抗原を発現する細胞を含み、追加のメカニズムは、抗原結合ドメインを有するリンパ球を含む。
【0157】
本明細書に記載の方法では、増殖分子および機能分子を含むリンパ球を使用する。実施形態では、増殖分子は、被検体におけるリンパ球を増殖し、および/または、機能分子は、被検体における腫瘍細胞の成長を阻害するか、または殺す。実施形態では、増殖分子および機能分子は、単一のCAR分子、例えば、二重特異性CAR分子上に存在する。実施形態では、増殖分子および機能分子は、別個の分子、例えば、CARおよびTCRまたは2つの異なるCAR上に存在する。増殖分子は、血液(例えば、血球や血漿)または非必須組織に関連する抗原に結合するCARを含み得、機能分子は、腫瘍細胞に関連する抗原を標的とするCARまたはTCRを含み得る。
【0158】
被検体におけるリンパ球またはT細胞応答とは、ヘルパー、キラー、制御などのT細胞に関連する細胞媒介性の免疫を意味する。例えば、T細胞応答は、免疫プロセスにおいて他のWBCを補助したり、ウイルス感染細胞および腫瘍細胞を識別して破壊したりするなどの活動を含み得る。被検体におけるT細胞応答は、T細胞が殺すウイルス感染細胞および/または腫瘍細胞の数、ウイルス感染細胞および/または腫瘍細胞との共培養においてT細胞が放出するサイトカインの量、被検体におけるT細胞の増殖レベル、T細胞の表現型の変化(例えば、記憶T細胞への変化)、被検体におけるT細胞の寿命または寿命のレベルなど、様々な指標を介して測定することができる。
【0159】
実施形態では、T細胞応答を増強する方法は、それを必要とする被検体、例えば、腫瘍と診断された被検体を治療することを含む。腫瘍という用語は、血液などの流体の集合体や、固体塊である場合がある塊を指す。腫瘍は、悪性(癌性)または良性の場合がある。血液癌の例としては、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、および多発性骨髄腫がある。
【0160】
固形腫瘍は通常、嚢胞や液状領域を含まない。悪性固形腫瘍の主な種類には、肉腫と癌腫がある。肉腫は、血管、骨、脂肪組織、靭帯リンパ管、神経、軟骨、筋肉、靭帯、または腱に存在する間葉系細胞と呼ばれる軟部組織細胞に発生する腫瘍であり、癌腫は、皮膚や粘膜に存在する上皮細胞に形成される腫瘍である。最も一般的な肉腫としては、軟部組織や骨細胞が関与する未分化多形性肉腫、血管や消化管、子宮を覆う平滑筋細胞が関与する平滑筋肉腫、骨細胞が関与する骨肉腫、および脂肪細胞が関与する脂肪肉腫が含まれる。肉腫の例としては、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、軟骨肉腫、中皮腫、線維肉腫、および神経膠腫が含まれる。
【0161】
代表的な5つの癌腫としては、副乳房や前立腺など体液や粘液を生成する臓器に発生する副腎癌、皮膚癌など皮膚の最外層の細胞に発生する基底細胞癌、皮膚の基底細胞に発生する扁平上皮癌、および膀胱、腎臓、尿管などの尿路の移行細胞に発生する移行細胞癌が含まれる。癌腫の例としては、甲状腺癌、乳癌、前立腺癌、肺癌、腸癌、皮膚癌、膵臓癌、肝臓癌、腎臓癌、膀胱癌、胆管癌が含まれる。
【0162】
本明細書に記載の方法は、癌と診断された被検体を治療するために使用することができる。癌には、血液の癌、または肉腫や癌などの固形腫瘍がある。治療方法は、第1の抗原結合ドメインおよび第2の抗原結合ドメインを含むT細胞の有効量を被検体に投与してT細胞応答を提供することを含み、第1の抗原結合ドメインはWBCの細胞表面分子に結合し、第2の抗原結合ドメインはWBCの細胞表面分子と異なる抗原に結合する。実施形態では、被検体におけるT細胞応答を増強することは、インビボで第1の抗原結合ドメインおよび第2の抗原結合ドメインを発現するT細胞の増殖を選択的に増強することを含む。
【0163】
実施形態では、被検体におけるT細胞応答を増強するためのT細胞は、被検体に、2つの異なる結合ドメインを含む二重特異性CARを含むT細胞を投与すること、または第1のCARおよび第2のCARを含むT細胞を投与することを含み、第1のCARおよび第2のCARは、それぞれ異なる抗原結合ドメインを含む。
【0164】
実施形態では、被検体におけるT細胞応答を増強するための方法は、CAR分子およびTCR分子を含むT細胞を投与することを含む。CAR分子は、白血球の表面マーカーを標的または結合し、TCR分子は、腫瘍細胞の表面または内部に発現している腫瘍のマーカーまたは抗原に結合する。
【0165】
本開示は、抗原結合ドメインを発現する細胞をインビボで増殖する方法を記載する。前記方法は、第1の抗原結合ドメインおよび第2の抗原結合ドメインを含むT細胞の有効量を、それを必要とする被検体に投与することを含み、第1の抗原結合ドメインは、WBCの細胞表面分子に結合し、第2の抗原結合ドメインは、WBCの細胞表面分子と異なる抗原に結合する。前記方法は、T細胞、NK細胞、樹状細胞の数を増幅または増加することに寄与する。
【0166】
実施形態では、第1の抗原結合ドメインは、第1のキメラ抗原受容体(CAR)上に存在し、第2の抗原結合ドメインは、第2のCARまたはTCR上に存在する。例えば、第1のCARおよび第2のCARまたはTCRは、細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメインを含む。第1のCARの細胞質ドメインは、細胞応答を活性化するためのシグナルを伝達するための共刺激ドメインおよびCd3ゼータドメインを含む。実施形態では、第1のCARの細胞質ドメインは、第1のCARの活性化または刺激が、WBCの殺傷機能を導入および/または活性化することなく、リンパ球などのWBCを増殖するように、CD3ゼータドメインがない場合に、1つ以上の共刺激ドメインを含む。実施形態では、リンパ球はT細胞である。
【0167】
実施形態では、第1のおよび第2の抗原結合ドメインは、同じCAR(第1のCAR)、例えば、細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメインを有する二重特異性CAR上に存在する。細胞外抗原結合ドメインは、少なくとも2つのscFvsを含み、scFvsのうちの少なくとも1つは、WBCの細胞表面分子に結合するための第1の抗原結合ドメインとして機能する。
【0168】
実施形態では、WBCの細胞表面分子と異なる抗原は、CD19、CD22、CD20、BCMA、CD5、CD7、CD2、CD16、CD56、CD30、CD14、CD68、CD11b、CD18、CD169、CD1c、CD33、CD38、CD138、CD13、B7、CAIX、CD123、CD133、CD171、CD171/L1-CAM、CEA、クローディン18.2、cMet、CS1、CSPG4、Dectin1、EGFR、EGFR vIII、EphA2、ERBB受容体、ErbB T4、ERBB2、FAP、葉酸受容体1、FITC、葉酸受容体1、FSH、GD2、GPC3、HA-1 H/HLA-A2、HER2、IL-11Ra、IL13受容体a2、IL13R、IL13Rα2(ゼタカイン)、カッパ、白血病、LewisY、メソテリン、MUC1、NKG2D、NY-ESO-1、PSMA、ROR-1、TRAIL-受容体1、またはVEGFR2である。
【0169】
実施形態では、MUC1は、ヒトMUC1の腫瘍排他的エピトープであり、第1のCARおよび第2のCARまたはTCRは、別個のポリペプチドとして発現される。実施形態では、MUC1は、ヒトMUC1(tMUC1)の腫瘍形態である。
【0170】
実施形態では、第1のCARは、CD3ゼータドメインなどのシグナル伝達ドメインを有さない共刺激ドメインを含み、MUC1 CAR(第2のCAR)は、MUC1結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメイン、およびCD3ゼータドメインを含む。
【0171】
本明細書では、「MUC1」という用語は、以下のように定義される分子を意味する。MUC1は、上皮性ムチンファミリーの分子の1つである。MUC1は、膜貫通型ムチン糖タンパク質であり、通常、主要な臓器のすべての腺上皮細胞に発現される。正常細胞では、MUC1は、頂端表面にのみ発現し、炭水化物によって隔離されたコアタンパク質で高度にグリコシル化される。細胞が悪性の表現型に変化すると、MUC1の発現は数倍に増加し、その発現はもはや頂端表面に限定されるものではなく、細胞表面全体および細胞質内に見られるようになる。さらに、腫瘍関連MUC1は、正常組織で発現しているMUC1に比べて、ペプチドコアの露出度が高く、グリコシル化に異常が見られる。異常なグリコシル化の詳細についてはほとんど知られていない。
【0172】
MUC1は、多くの上皮性癌に広く発現しており、異常にグリコシル化されているため、非悪性細胞で発現するものとは構造的および抗原的に異なる(例えば、Barratt-Boyes,1996;Priceら,1998;Petersonら,1991を参照)。MUC1の優性形態は、多数の20アミノ酸タンデムリピートを有する免疫原性の高い外ムチン様ドメイン、膜貫通領域、および細胞質尾部を含む高分子量分子である(Quinら,2000;McGuckenら,1995;Dongら,1997)。
【0173】
乳房や膵臓を含むほとんどの上皮性腺癌では、MUC1が過剰発現し、異常にグリコシル化される。乳房や膵臓の腺癌は、MUC1を過剰発現するだけでなく、MUC1を血中に排出している。高いMUC1血清レベルは、進行性疾患に関連している。MUC1は、抗原内で発現するエピトープが複雑で不均一であるため、将来のバイオマーカーとして利用されている。癌性組織で合成されたMUC1(例えば、腫瘍関連MUC1)は通常、異常なオリゴ糖プロファイルを示し、シアリル-Lea(CA19-9試験で測定)、シアリル-Lex、およびシアリル-Tn(TAG-72)などのネオマーカー、Tnなどのクリプティックエピトープの発現を引き起こす。
【0174】
MUC1に対する治療用の抗体がいくつか開発されている。ペムツモマブ(HMFG1としても知られる)は、放射性同位元素であるイットリウム-90を卵巣癌の腫瘍内に送達するためのキャリアとして、第III相臨床試験が行われている(Scottら, 2012に掲載)。CA15-3(HMFG1抗体でもある)、CA27-29、およびCA19-9は、いずれもMUC1に対する抗体で、癌患者の循環MUC1レベルを評価するために用いられる。しかしながら、これらの抗体は、正常な腫瘍上皮と形質転換された腫瘍上皮で発現するMUC1を効果的に区別できないため、治療薬またはバイオマーカーとしての有用性が限られている。言い換えれば、これらの抗体はいずれも腫瘍特異的MUC1エピトープを標的としているとは思われない。
【0175】
腫瘍特異的形態のMUC1(tMUC)に高い特異性を持つ新しい抗体は、TAB-004と称され、米国特許出願第8,518,405号に記載されている(Curryら, 2013も参照)。ペムツモマブ(HMFG1)は、抗原としてヒトの乳脂肪球を使用して開発されたが(Parhamら, 1988)、TAB-004は、MUC1の変化した形態を発現している腫瘍を使用して開発された(Tinderら, 2008)。TAB-004は、MUC1のタンデムリピート配列内の変化したグリコシル化エピトープを認識する。この領域は、tMUCでの抗原検出に使用され得るが、通常のMUC1ではグリコシル化の分岐が大きいため、抗原の検出が妨害される(Gendler, 2001;Mukherjeeら, 2003b;Hollingsworth&Swanson, 2004;Kufe, 2009)。重要なことに、TAB-004は、他のMUC1抗体が認識するエピトープとは異なり、重鎖および軽鎖の固有の相補性決定領域(CDR)を有する。抗体は、3ng/ml(20pM)の高い結合親和性で標的抗原に結合し、かつ無関係な抗原に結合しない(Curryら, 2013)。したがって、TAB-004は、MUC1の正常および腫瘍形態を区別するが、HMFG1(ペムツモマブ)は区別しない(米国特許出願第8,518,405号を参照)。
【0176】
実施形態では、WBCは、顆粒球、単球、および/またはリンパ球である。実施形態では、WBCはB細胞である。
【0177】
実施形態では、第1のCARは、第1の抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメイン、およびCD3ゼータドメインを含み、および/または第2のCARは、第2の抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメイン、およびCD3ゼータドメインを含む。
【0178】
実施形態では、抗原結合ドメインは、FabまたはscFvである。実施形態では、第1のCARは、配列番号5、6、および53-58のうちの1つのアミノ酸配列を含み、第2のCARは、配列番号5-17、29、33、37、71、および72のうちの1つのアミノ酸配列、または配列番号41、45、63、67、および68のうちの1つのポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列を含む。実施形態では、第1のCARをコードするポリヌクレオチドは、配列番号59または60のポリヌクレオチドを含み、第2のCARをコードするポリヌクレオチドは、配列番号61のポリヌクレオチドを含む。実施形態では、単離核酸は、配列番号62-69のポリヌクレオチドのうちの1つを含む。実施形態では、第1のCARおよび第2のCARは、別個のポリペプチドとして発現される。
【0179】
実施形態では、第1の抗原結合ドメインはCAR上に存在し、第2の抗原結合ドメインはT細胞受容体(TCR)上に存在する。実施形態では、TCRは改変TCRである。実施形態では、TCRは、患者において自然発生した腫瘍特異的T細胞に由来する。実施形態では、TCRは腫瘍抗原に結合する。実施形態では、腫瘍抗原は、CEA、gp100、MART-1、p53、MAGE-A3、またはNY-ESO-1を含む。
【0180】
実施形態では、標的抗原に対して高い親和性でTCRを発現するT細胞クローンは、単離され得る。腫瘍浸潤リンパ球(TIL)またはPBMCは、定義されたHLA対立遺伝子の背景で提示された場合に優性T細胞反応を引き起こすことが知られているエピトープを表すペプチドでパルスされた抗原提示細胞(APC)の存在下で培養することができる。次に、MHC-ペプチドテトラマー染色および/また低滴定濃度の同族ペプチド抗原でパルスされた標的細胞を認識および溶解する能力に基づいて、高親和性クローンを選択することができる。クローンが選択された後、TCRα鎖とTCRβ鎖、またはTCRγ鎖とTCRδ鎖は、分子クローニングによって同定および単離される。例えば、TCRα鎖およびTCRβ鎖の場合、TCRαおよびTCRβの遺伝子配列を使用して、ヒトT細胞における両方のTCR鎖の安定した高レベルの発現を理想的に促進する発現構築物を生成する。次に、形質導入媒体、例えば、ガンマレトロウイルスまたはレンチウイルスを生成して、その機能性(抗原特異性および機能親和性)について試験を行い、かつ臨床用ベクターを多く製造するために使用することができる。最終製品のアリコートを使用して、被検体への注入前に増殖される標的T細胞集団(通常、患者のPBMCから精製)に形質導入することができる。
【0181】
腫瘍反応性TCRをコードする遺伝子を得るために、様々な方法を実施し得る。詳細は、Kershawら., Clin Transl Immunology.2014 May;3(5): e16に記載されている。実施形態では、特異的TCRは、患者において自然発生した腫瘍特異的T細胞に由来することができる。このカテゴリーに含まれる抗原は、メラノサイト分化抗原MART-1およびgp100、さらにMAGE抗原およびNY-ESO-1を含み、それらはより広範な癌で発現している。ウイルスタンパク質が形質転換細胞によって発現される限り、ウイルス関連悪性腫瘍に特異的なTCRも単離することができる。このカテゴリーの悪性腫瘍には、肝炎ウイルスおよび乳頭腫ウイルスに関連する肝臓癌および子宮頸癌、ならびにエプスタインバーウイルス関連の悪性腫瘍が含まれる。実施形態では、TCRの標的抗原は、CEA(例えば、結腸直腸癌)、gp100、MART-1、p53(例えば、黒色腫)、MAGE-A3(例えば、黒色腫、食道および滑膜肉腫)、NY-ESO-1(例えば、黒色腫、肉腫および多発性骨髄腫)を含み得る。
【0182】
実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の調製および輸血は、以下のように実施され得る。例えば、外科手術や生検からの腫瘍組織は、無菌状態で採取され、アイスボックスの細胞培養室に輸送することができる。壊死組織や脂肪組織を取り除くことができる。腫瘍組織は、1-3立方ミリメートル程度の小片に切り分けられる。コラゲナーゼ、ヒアルロニダーゼ、およびDNA酵素を加えて、4℃で一晩で分解できる。0.2umフィルターでろ過し、細胞をリンパ球分離液で、1500rpmで5分間分離および回収することができ、PHA、2-メルカプトエタノール、およびCD3 モノクローナル抗体を含む培地で細胞を増殖し、活性化および増殖を誘導するために少量のIL-2(10-20IU/ml)を添加することができる。成長状況に応じて、37℃、5%CO2の条件で7ー14日間、細胞密度を注意深く検出し、0.5-2×10/mlの範囲に維持することができる。TIL陽性細胞は、相同癌細胞を殺す能力を持っており、共培養によってスクリーニングすることができる。高用量のIL2(5000-6000 IU/ml)を含む無血清培地で、1×1011以上のTILが得られるまで陽性細胞を増殖させることができる。TILを投与するために、まず連続フロー遠心分離で生理食塩水に採取し、次に血小板投与セットでろ過して、5%アルブミンおよび450 000IUのIL-2を含む200-300mLの体積にすることができる。TILは、中心静脈カテーテルを介して、30-60分かけて患者に注入してもよい。実施形態では、TILは、2~4個の別々のバッグに分けて注入してもよく、注入は、数時間間隔で行ってもよい。
【0183】
実施形態では、第1のCARの結合ドメインは、CD19に結合し、第2のCARの結合ドメインは、腫瘍関連MUC1に結合する。実施形態では、第2のCARの結合ドメインは、(i)SEQ ID:76または85のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域1と、SEQ ID:77または86のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域2と、SEQ ID:78または87のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域3と、(ii)SEQ ID:73または82のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域1と、TRP-ALA-SER(WAS)またはSEQ ID:83のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域2と、SEQ ID:75または84のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域3と、を含む。
【0184】
実施形態では、第2のCARの結合ドメインは、(i)配列番号76のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域1と、配列番号77のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域2と、配列番号78のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域3と、(ii)配列番号73のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域1と、TRP-ALA-SER(WAS)のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域2と、配列番号75のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域3と、を含む。
【0185】
実施形態では、第2のCARの結合ドメインは、(i)SEQ ID:85のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域1と、SEQ ID:86のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域2と、SEQ ID:87のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域3と、(ii)SEQ ID:82のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域1と、SEQ ID:83のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域2と、SEQ ID:84のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域3と、を含む。実施形態では、第1のCARの結合ドメインは、SEQ ID:5または6のアミノ酸配列を含む。実施形態では、第2のCARの結合ドメインは、70-72および79-81のアミノ酸配列のうちの1つを含む。
【0186】
実施形態では、第1のCARは、第1の抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメイン、およびCD3ゼータドメインを含み、および/または第2のCARは、第2の抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメイン、およびCD3ゼータドメインを含む。
【0187】
実施形態では、第1のCARおよび第2のCARは、別個のポリペプチドとして発現される。
【0188】
実施形態では、第2のCARの細胞質ドメインまたは膜貫通ドメインは、第2のCARが、CD19を発現している細胞を損傷することなく、CD19を発現している細胞を介して改変T細胞を活性化できるように改変される。
【0189】
本明細書に記載の実施形態は、第1の抗原結合ドメイン、第2の抗原結合ドメイン、細胞質ドメイン、および膜貫通ドメインを含む二重特異性キメラ抗原受容体に関し、第1の抗原結合ドメインが第1の抗原を認識し、第2の抗原結合ドメインが第2の抗原を認識し、第1の抗原が第2の抗原と異なる。
【0190】
実施形態では、第1の抗原および第2の抗原は、同じ細胞上に発現しない。実施形態では、第1の抗原は、血液成分の抗原であり、第2の抗原は、固形腫瘍の抗原である。
【0191】
血球とは、赤血球(RBC)、白血球(WBC)、血小板、または他の血球を指す。例えば、RBCは、循環系の血流を介して体組織に酸素(O2)を送達する血球である。血小板は、止血に関与する細胞であり、血栓の形成に繋がっている。WBCは、感染症および異物から体を守るための免疫系の細胞である。WBCには様々な種類と亜種があり、それぞれが異なる役割を担っている。例えば、顆粒球、単球、およびリンパ球は、白血球の3つの主要な種類である。顆粒球には、好中球、好酸球、好塩基球の3種類がある。
【0192】
WBCの細胞表面分子は、WBCの表面に発現される分子を指す。例えば、リンパ球の細胞表面分子は、CD19、CD22、CD20、BCMA、CD5、CD7、CD2、CD16、CD56、およびCD30を含み得る。B細胞の細胞表面分子は、CD19、CD20、CD22、BCMAを含み得る。単球の細胞表面分子は、CD14、CD68、CD11b、CD18、CD169、およびCD1cを含み得る。顆粒球の細胞表面分子は、CD33、CD38、CD138、およびCD13を含み得る。
【0193】
実施形態では、第1の抗原はCD19であり、第2の抗原は腫瘍関連MUC1である。実施形態では、第1の抗原結合ドメインは、SEQ ID:5および6のアミノ酸配列のうちの1つを含む。実施形態では、第2の抗原結合ドメインは、SEQ ID:70-72および79-81のアミノ酸配列のうちの1つを含む。
【0194】
実施形態では、本開示は、被検におけるT細胞応答を増強する方法、または被検体の腫瘍を治療する方法を記載しており、前記方法は、CAR T細胞がCD19を発現する細胞を介して被検体の血液中に増殖するようなT細胞応答を提供するために、増殖T細胞の有効量を被検体に投与することを含む。
【0195】
実施形態では、腫瘍関連MUC1は、腫瘍細胞に発現されるが、対応する非悪性細胞には発現されない。実施形態では、腫瘍関連MUC1に対するscFvは、o-グリコシル化されたGSTAモチーフ(配列番号88)と直接相互作用する。
【0196】
本明細書に記載の実施形態は、二重特異性CARを含む細胞、および二重特異性CARをコードする単離核酸に関する。
【0197】
実施形態では、本開示は、インビボでの細胞増殖方法を記載する。実施形態では、前記方法は、T細胞応答を提供するために、CARを含むT細胞の有効量を被検体に投与することと、CARの細胞外ドメインが認識する可溶性薬剤を発現する提示細胞(例えば、T細胞)の有効量を投与することと、を含み得る。実施形態では、前記方法は、被検体におけるT細胞応答を増強するために実現され得る。前記方法は、T細胞応答を提供するために、CARを含むT細胞の有効量を被検体に投与することと、被検体におけるT細胞応答を増強するために、CARの細胞外ドメインが認識する可溶性薬剤を発現する提示細胞の有効量を投与することと、を含み得る。特定の実施形態では、提示細胞は、T細胞、樹状細胞、および/または抗原提示細胞である。特定の実施形態では、被検体におけるT細胞応答を増強することは、CARを含むT細胞の増殖を選択的に増強することを含み得る。実施形態では、前記方法は、CAR T細胞を用いて被検体の病状の治療を強化するために使用され得る。前記方法は、薬剤を発現する細胞集団を投与すること、またはワクチンとして製剤化された薬剤を投与することを含み得る。これらの例では、CAR T細胞は、CARをコードする核酸を含み、CARの細胞外ドメインが薬剤を認識する。実施形態では、前記方法は、疾患を有する被検体におけるCAR T細胞の増殖を増強するために実施され得る。前記方法は、CARを含むCAR T細胞を調製することと、CAR T細胞の有効量を被検体に投与することと、CARの細胞外ドメインが認識する薬剤をコードする核酸を細胞に導入することと、(薬剤をコードする核酸が導入された)細胞の有効量を被検体に投与することと、を含み得る。実施形態では、T細胞の増殖またはT細胞の数の増加は、T細胞のゲノムDNAにおけるCAR分子のコピー数の増加に基づいて測定され得る。実施形態では、T細胞の増殖またはT細胞の数の増加は、T細胞に発現する分子に関するフローサイトメトリー分析に基づいて測定され得る。
【0198】
本明細書に記載の実施形態は、第1のCARおよび第2のCARを含む単離T細胞に関し、第1のCARの抗原結合ドメインは、CD19、CD33、CD14、およびBCMAなどの抗原に結合し、第2のCARの抗原結合ドメインは、腫瘍関連MUCに結合する。実施形態では、腫瘍関連MUCは、MUC1またはMUC2である。本明細書に記載の実施形態は、単離T細胞集団を含む組成物、および被検体におけるT細胞応答を増強する方法、または被検体の腫瘍を治療する方法に関し、前記方法は、単離T細胞の有効量を投与することを含む。
【0199】
実施形態では、第1のCARは、配列番号207のアミノ酸配列を含み、第2のCARは、配列番号202のアミノ酸配列を含む。実施形態では、第1のCARは、配列番号203、207、216、または219のアミノ酸配列を含み、第2のCARは、配列番号202または205のアミノ酸配列を含む。実施形態では、第2のCARの抗原結合ドメインは、配列番号70のアミノ酸配列を含む。実施形態では、第2のCARの抗原結合ドメインは、配列番号5または6のアミノ酸配列を含む。実施形態では、単離T細胞は、配列番号201、204、206、208、215、217、218、または220のポリヌクレオチドを含む。実施形態では、第1のCARおよび第2のCARはそれぞれ、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメインを含む。
【0200】
実施形態では、細胞質ドメインは、共刺激ドメインおよびCD3ゼータドメインを含む。
【0201】
実施形態では、単離T細胞は、プログラム死1(PD-1)の受容体のドミナントネガティブ変異体、細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)、Bリンパ球およびTリンパ球アッテネーター(BTLA)、T細胞免疫グロブリンムチン-3(TIM-3)、リンパ球活性化タンパク質3(LAG-3)、IgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)、白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIRl)、ナチュラルキラー細胞受容体2B4(2B4)、またはCD160を含む。実施形態では、単離T細胞は、対応する野生型のT細胞と比較して、TCRの量が減少している。ドミナントネガティブ変異では、野生型対立遺伝子に対して拮抗する遺伝子産物が変化している。これらの変異は、通常、分子機能(多くの場合、不活性)の変化をもたらし、優性または半優性の表現型を特徴とする。
【0202】
本開示は、医薬組成物を記載する。前記医薬組成物は、本明細書に記載のCAR分子、TCR分子、改変CAR T細胞、CARまたはTCRを含む改変細胞、改変細胞、核酸、およびベクターのうちの1つ以上を含む。医薬組成物は、治療(または予防)すべき疾患に適した方法で投与される。用量や頻度は、患者の状態や疾患の種類、重症度などに応じて決定されるが、適切な用量は臨床試験によって決定され得る。
【0203】
「免疫学的有効量」、「抗腫瘍有効量」、「腫瘍抑制有効量」、または「治療量」が指示される場合、投与される本開示の組成物の正確な量は、患者(被検体)の年齢、体重、腫瘍の大きさ、感染または転移の程度、および病状の個人差を考慮して、医師が決定できる。本明細書に記載のT細胞を含む医薬組成物は、10 ~10細胞/kg体重、好ましくは10 ~10 細胞/kg体重(前記範囲のすべての整数値を含む)の用量で投与し得ると言える。T細胞組成物は、T細胞組成物はまた、これらの用量で複数回投与され得る。細胞は、免疫療法において一般的に知られている注入技術を使用して投与することができる(例えば、Rosenbergら.,New Eng.J.of Med.319:1676,1988を参照)。当業者は、患者の疾患徴候をモニタリングし、それに応じて治療方法を調整することにより、特定の患者に対する最適な用量および治療レジームを容易に決定することができる。特定の実施形態では、被検体に活性化のT細胞を投与してから、血液を採取し(またはアフェレーシスを実施する)、活性化および増殖されたT細胞を収集し、かつ、これらの活性化および増殖されたT細胞を患者に再注入することが望しい場合がある。このプロセスは、数週間ごとに複数回実施することができる。特定の実施形態では、10cc~400ccの採血からT細胞を活性化することができる。特定の実施形態では、20cc、30cc、40cc、50cc、60cc、70cc、80cc、90ccまたは100ccの採血からT細胞を活性化することができる。理論に縛られることなく、このような複数回の採血/複数回の再注入の手段を採用すれば、特定のT細胞集団を選択することができる。
【0204】
本明細書に記載の医薬組成物の投与は、エアロゾル吸入、注射、摂取、注入、インプラントまたは移植を含む、任意の便利な方法で行われ得る。本明細書に記載の組成物は、皮下、皮内、腫瘍内、結節内、髓内、筋肉内、静脈内(i.v.)注射または腹腔内投与で患者に投与することができる。実施形態では、本明細書に記載のT細胞組成物は、皮内または皮下注射によって被検体に投与される。実施形態では、本開示のT細胞組成物は、静脈内注射によって投与される。T細胞の組成物は、腫瘍、リンパ節または感染部位に直接注入され得る。実施形態では、本明細書に記載の方法、またはT細胞を治療レベルまで増殖する当技術分野で知られている他の方法を用いて活性化および増殖された細胞は、任意の数の関連する治療方法と組み合わせて(例えば、治療の前に、同時に、または後に)患者に投与され、前記治療方法は、抗ウイルス剤、シドホビル、インターロイキン-2、シタラビン(ARA-Cとしても知られる)による治療、またはMS患者に対するナタリズマブ治療、または乾癬患者に対するエファリズマブ治療、またはPML患者に対する他の治療などを含むが、これらに限定されない。さらなる実施形態では、本明細書に記載のT細胞は、化学療法、放射線、免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、マイコフェノレートおよびFK506)、抗体、または他の免疫消失薬(例えば、CAM PATH)、抗CD3抗体または他の抗体療法、サイトキシン、フルダリビン、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸、ステロイド、FR901228、サイトカイン、および照射と組み合わせて使用することができる。これらの薬物は、カルシウム依存性ホスファターゼであるカルシニューリン(シクロスポリンおよびFK506)を阻害するか、または成長因子誘導シグナルの伝達に重要なp70S6キナーゼ(ラパマイシン)を阻害する。(Liuら.,Cell 66:807-815,1991;Hendersonら.,Immun 73:316-321,1991;Biererら.,Curr.Opin.Immun 5:763-773,1993;Isoniemi(上記))。実施形態では、本明細書に記載の細胞組成物は、骨髓移植、フルダラビンなどの化学治療薬のいずれかを使用したT細胞切除療法、外部ビーム放射線療法(XRT)、シクロホスファミド、またはOKT3やCAMPATHなどの抗体のいずれかと組み合わせて(例えば、前に、同時に、または後に)患者に投与される。実施形態では、本明細書に記載の細胞組成物は、B細胞切除療法に続いて投与される。例えば、CD20と反応する薬剤は、例えば、リツキサンを患者に投与され得る。実施形態では、被検体は、高用量化学療法による標準的な治療の後に、末梢血幹細胞移植を受けることができる。特定の実施形態では、移植の後に、被検体は、本開示の増殖された免疫細胞の注入を受ける。実施形態では、増殖された細胞は、手術の前または後に投与される。
【0205】
実施形態では、CpGオリゴヌクレオチド(例えば、クラスB CpGオリゴヌクレオチド)は、マクロファージの活性化を導入することにより、本明細書に記載の医薬品(例えば、CAR T細胞)の抗腫瘍作用を増強するために、被検体に全身的かつ繰り返し投与され得る。例えば、CAR T細胞およびCpGオリゴヌクレオチドの投与を組み合わせて、固形腫瘍を有する被検体を治療することができる。CpGオリゴヌクレオチドの投与に関する情報は、Nat Immunol.2019 Mar;20(3):265-275で参照することができ、そのすべての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0206】
それを必要とする被検体に投与する上記治療薬の用量は、治療される病状の正確な性質、および治療を受ける人によって異なる。ヒトへの投与量のスケーリングは、様々な要因に応じて、医師が当技術分野で周知される慣行に従って実行することができる。
【0207】
工学処理または改変されたT細胞を用いた癌治療の方法の追加情報は、米国特許出願第US8,906,682に記載されており、参照によりそのすべての内容が組み込まれる。
【0208】
本明細書に記載の実施形態は、改変細胞を調製するためのインビトロ法に関する。前記方法は、被検体からサンプルを取得することを含み得る。例えば、サンプルは、T細胞またはT細胞前駆細胞を含み得る。前記方法は、少なくともCARをコードするDNAで細胞のサンプルをトランスフェクトすることと、CARを発現するT細胞の増殖を選択的に強化する培地でCAR細胞集団をエクスビボで培養することと、をさらに含み得る。
【0209】
実施形態では、サンプルは、凍結保存されたサンプルである。実施形態では、細胞のサンプルは、臍帯血から得られるものであり、または被検体からの末梢血サンプルである。実施形態では、細胞のサンプルは、細胞サンプルは、アフェレシスまたは静脈穿刺によって得られる。実施形態では、細胞のサンプルは、T細胞の亜集団である。
【0210】
いくつかの実施形態は、少なくとも2つのサイトカインを含む1つ以上の治療薬をコードするポリヌクレオチド、1つ以上の治療薬をコードするポリヌクレオチドを含む改変細胞(例えば、図55および56中の改変細胞)、および/またはインビトロおよび/またはインビボでT細胞応答(例えば、増殖および/または活性化)を増強する方法に関し、前記方法は、1つ以上の治療薬をコードするポリヌクレオチドを導入して改変細胞を得ることと、改変細胞を培養して改変細胞集団を得ることと、抗原を含む細胞を改変細胞集団と接触させることと、を含み、改変細胞は、対応する野生型細胞、またはポリヌクレオチドを含まない改変細胞と比較して、T細胞応答を増強する。いくつかの実施形態は、改変細胞集団に関する。
【0211】
実施形態では、1つ以上の治療薬が、IL6、IL12、またはIFNγのうちの少なくとも2つを含む。実施形態では、1つ以上の治療薬が、少なくともIL12およびIFNγを含む。実施形態では、1つ以上の治療薬が、IL12、IL6、IFNγ、IFNβ、TNFα、またはNeo-2/15のうちの少なくとも2つを含む。実施形態では、改変細胞が、IL12およびIFNγをコードするポリヌクレオチドを含む。実施形態では、改変細胞が、TNFαをコードするポリヌクレオチドを含む。例えば、TNFαをコードするポリヌクレオチドが、HIF VHL結合ドメイン(すなわち、VHLドメイン)に連結される。例えば、VHL相互作用ドメインは、TNF-αをコードするポリヌクレオチドに連結され得る。そのため、ポリヌクレオチドがリンパ球に導入されると、TNF-αは、低酸素環境(例えば、腫瘍環境)で安定して発現され得る。これにより、臨床実験における患者の末梢血中のTNF-α濃度が高くなることが避けられる。実施形態では、リンパ球はさらに、CARを条件付きで発現し得る。例えば、Hif1aのVHL相互作用ドメインを、CARをコードするポリヌクレオチドに連結することで、CARの発現を低酸素で誘導することができる。
【0212】
実施形態では、改変細胞集団は、機能性成分細胞および結合性成分細胞の2種類を含む。機能構成細胞は、腫瘍細胞を阻害することができる。実施形態では、機能性成分細胞は、腫瘍抗原(例えば、固形腫瘍抗原)に結合する結合分子を含む。例えば、結合分子は、固形腫瘍に結合するCARまたはTCRを含む。実施形態では、結合性成分細胞は、白血球抗原を標的とするCARを含む。実施形態では、結合性成分細胞は、HIF VHL結合ドメインに連結されたIL-12をコードするポリヌクレオチドを含む改変細胞、および/または、2Aで連結されたIL-6およびIFNγをコードするポリヌクレオチドを含む改変細胞、を含む。改変細胞集団の例は、図55または56に示される。
【0213】
実施形態では、1つ以上の治療薬が、酸素感受性ポリペプチドドメインに関連する少なくとも1つのサイトカインを含む。実施形態では、酸素感受性ポリペプチドドメインがHIF VHL結合ドメインを含む。実施形態では、酸素感受性ポリペプチドドメインが、配列番号457であるか、またはこれを含む。実施形態では、ポリヌクレオチドが、サイトカイン、EAリンカー、および配列番号457をコードする。実施形態では、ポリヌクレオチドが、配列番号470-489および491-495のうちの少なくとも1つをコードし、または、改変細胞が、配列番号470-489および491-495のうちの少なくとも1つを含む。
【0214】
実施形態では、ポリヌクレオチドが、細胞における治療薬の発現および/または分泌を調節する転写モジュレーターへの結合部位を含むプロモーターを含む。実施形態では、転写モジュレーターは、Hif1a、NFAT、FOXP3、および/またはNFkBであるか、またはそれらを含む。
【0215】
実施形態では、ポリヌクレオチドは、結合分子(例えば、CARまたはTCR)をコードする。実施形態では、改変細胞は、結合分子(例えば、CARまたはTCR)を含む。
【0216】
実施形態では、ポリヌクレオチドが、組換えDNA構築物、mRNA、またはウイルスベクターで改変細胞に存在する。実施形態では、ポリヌクレオチドは、改変細胞のゲノムに組み込まれないmRNAである。
【0217】
実施形態では、ポリヌクレオチドは、少なくとも2つのサイトカインの間に配置された、切断可能なペプチド(例えば、2AまたはIRES)をコードする配列を含む。
【0218】
いくつかの実施形態は、癌を有する被検体を治療するための組成物に関し、前記組成物は、第1の細胞集団および第2の細胞集団を含み、第1の細胞集団は、固形腫瘍抗原に結合する結合分子をコードするポリヌクレオチドを含み、第2の細胞集団は、本明細書に記載のポリヌクレオチドを含む。実施形態では、ポリヌクレオチドは、CD19に結合するCARをコードする配列、IL-6をコードする配列、およびIFNγをコードする配列を含む。実施形態では、ポリヌクレオチドは、CD19に結合するCARをコードする配列、IL-12をコードする配列、およびIFNγをコードする配列を含む。実施形態では、結合分子は、CARまたはTCRである。実施形態では、第1の細胞集団が、HIF VHL結合ドメインに連結されたTNFαをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0219】
実施形態は、癌を有する被検体を治療するための組成物に関し、第1の細胞集団および第2の細胞集団を含み、第1の細胞集団は、白血球抗原に結合する結合分子をコードするポリヌクレオチドを含み、第2の細胞集団は、本明細書に記載のポリヌクレオチドを含む。実施形態では、ポリヌクレオチドは、固形腫瘍抗原に結合する結合分子をコードする配列、IL-6をコードする配列、およびIFNγをコードする配列を含む。実施形態では、ポリヌクレオチドは、固形腫瘍抗原に結合する結合分子をコードする配列、IL-12をコードする配列、およびIFNγをコードする配列を含み、結合分子はCARまたはTCRである。実施形態では、第1の細胞集団が、HIF VHL結合ドメインに連結されたTNFαをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0220】
いくつかの実施形態は、T細胞応答を誘発または誘導し、T細胞応答を増強し、癌を有する被検体を治療し、またはその治療を増強する方法に関し、前記方法は、癌を有する被検体に、本明細書に記載の組成物の有効量を投与することを含む。
【0221】
【表2】

【0222】
【表3】
【0223】
【表4】
【0224】
以下の例示的な実施形態および実施例を参照して、本開示をさらに説明する。これらの例示的な実施形態および実施例は、例示のみを目的として提供され、特に指定されていない限り、本発明を限定することを意図しない。したがって、本開示は、以下の例示的な実施形態および実施例に限定されると解釈されるべきではなく、本明細書に記載される示唆の結果として明らかになる一切の変形形態を包含するように解釈されるべきである。
【0225】
例示的な実施形態
例示的な実施形態は以下のとおりである。
【0226】
1、第1のポリヌクレオチド、および第2のまたは追加のポリヌクレオチドを含む単離ポリヌクレオチドであって、第1のポリヌクレオチドがキメラ抗原受容体(CAR)をコードし、第2のまたは追加のポリヌクレオチドが1つ以上の治療薬をコードし、1つ以上の治療薬が、IFNγ、IL-2、IL-6、IL-7、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-23、またはそれらの組み合わせであるか、またはそれらを含む、単離ポリヌクレオチド。
【0227】
2、第1のポリヌクレオチドおよび第2のまたは追加のポリヌクレオチドを含む単離ポリヌクレオチドであって、第1のポリヌクレオチド(CAR)がキメラ抗原受容体をコードし、第2のまたは追加のポリヌクレオチドが、TNFRSFスーパーファミリーに属する受容体活性化抗体またはその膜結合型、TNFRSFスーパーファミリーに属するリガンドまたはその膜結合型、ケモカインまたはその膜結合型、ケモカインに対する抗体、ケモカインの受容体に対する抗体またはその膜結合型、または表2-4の配列に対応するD28ファミリーのリガンドのうちの少なくとも1つであるか、それらを含む治療薬をコードする、単離ポリヌクレオチド。
【0228】
3、実施形態1または2に記載の第1のポリヌクレオチドおよび第2のまたは追加のポリヌクレオチドを含むCAR細胞集団であって、CAR細胞がリンパ球、白血球、またはPBMCを含む、CAR細胞集団。
【0229】
4、CARおよび1つ以上の治療薬がポリタンパク質の形態で産生され、前記ポリタンパク質が切断されて別個のCARおよび治療薬分子を生成する、実施形態3に記載のCAR細胞集団。
【0230】
5、ポリタンパク質が、CARと治療薬の間の切断性部分を含み、前記切断性部分が、P2AまたはT2Aを含む2Aペプチドを含み、および/または、CARと治療薬がそれぞれ構成的に発現される、実施形態4に記載のCAR細胞集団。
【0231】
6、CAR細胞は、
第1のCARが結合する抗原と異なる抗原に結合する第2の、または追加のCARをコードする第3のポリヌクレオチドを含み、前記第2のまたは追加のCARが固形腫瘍抗原に結合し、前記第1のCARが白血球の抗原に結合する、実施形態3に記載のCAR細胞集団。
【0232】
7、実施形態3-6のいずれか一項に記載のCAR細胞集団を含む医薬組成物であって、前記医薬組成物が固形腫瘍および/またはリンパ腫を有する患者を治療するために使用される、医薬組成物。例えば、CAR細胞は、IL-6、IL-12を発現するCD19CAR T細胞であり、および/またはIFNγは、リンパ腫を治療するために使用され得る。
【0233】
8、それを必要とする被検体におけるT細胞応答を誘導または誘発し、および/または被検体の腫瘍を治療する方法であって、実施形態7に記載の組成物の有効量を被検体に投与することを含む、方法。
【0234】
9、1つ以上のCARを含む改変細胞であって、前記細胞が、IFNγ、IL-2、IL-6、IL-7、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、またはIL-23のうちの少なくとも1つであるか、またはそれらを含む治療薬を発現および分泌するように操作される、改変細胞。
【0235】
10、T細胞応答を誘導または誘発または増強し、癌を治療し、または癌治療を増強する方法であって、1つ以上のCARを含むT細胞の組成物の有効量を、それを必要とする被検体に投与することを含み、細胞が、1つ以上の治療薬を発現および分泌するように操作され、治療薬が、IFNγ、IL-2、IL-6、IL-7、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-23、またはそれらの組み合わせであるか、またはそれらを含み、被検体におけるT細胞応答が、治療薬を発現または分泌しないT細胞を投与された被検体におけるT細胞応答と比較して増強される、方法。
【0236】
11、T細胞応答を誘導または誘発または増強し、癌を治療し、また癌治療を増強する方法であって、CARを含むT細胞集団の組成物の有効量を、それを必要とする被検体に投与することと、1つ以上の治療薬の有効量を被検体に投与することとを含み、治療薬が、IFNγ、IL-2、IL-6、IL-7、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-23、またはそれらの組み合わせであるか、またはそれらを含み、被検体におけるT細胞応答が、治療薬を投与されずにCARを含むT細胞集団を投与された被検体におけるT細胞応答と比較して増強される、方法。
【0237】
12、治療薬の有効量を投与することが、体重1キログラム当たり約0.5-50ugの範囲の量のIL-6を静脈内送達することを含む、実施形態11に記載の方法。
【0238】
13、T細胞が、固形腫瘍抗原に結合する第2のまたは追加のCARを含み、第1のCARが白血球の抗原に結合する、実施形態9-12のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0239】
14、固形腫瘍抗原が、tMUC1、PRLR、CLCA1、MUC12、GUCY2C、GPR35、CR1L、MUC17、TMPRSS11B、MUC21、TMPRSS11E、CD207、SLC30A8、CFC1、SLC12A3、SSTR1、GPR27、FZD10、TSHR、SIGLEC15、SLC6A3、KISS1R、QRFPR、GPR119、CLDN6、UPK2、ADAM12、SLC45A3、ACPP、MUC21、MUC16、MS4A12、ALPP、CEA、EphA2、FAP、GPC3、IL13-Rα2、メソテリン、PSMA、ROR1、VEGFR-II、 GD2、FR-α、ErbB2、EpCAM、EGFRvIII、PSCA、またはEGFRであり、白血球の抗原がB細胞抗原である、実施形態13に記載の改変細胞または方法。例えば、B細胞抗原が、CD19、CD20、CD22、またはBCMAである。
【0240】
15、治療薬がIL-6またはIL-7である、実施形態2-14のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、改変細胞または方法。
【0241】
16、CARが、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含み、細胞外ドメインが抗原に結合する、実施形態2-14のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、改変細胞または方法。
【0242】
17、細胞内ドメインが、CD27、CD28、4-1BB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む共刺激ドメインを含む、実施形態16に記載の単離ポリヌクレオチド、改変細胞または方法。
【0243】
18、抗原が、上皮成長因子受容体(EGFR)、上皮成長因子受容体の変異体III(EGFRvIII)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、メソテリン(MSLN)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、癌胎児性抗原(CEA)、ジシアロガングリオシド2(GD2)、インターロイキン-13Ra2(IL13Rα2)、グリピカン-3(GPC3)、炭酸脱水酵素IX(CAIX)、L1細胞接着分子(L1-CAM)、癌抗原125(CA125)、分化クラスター133(CD133)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、癌/精巣抗原1B(CTAG1B)、ムチン1(MUC1)、葉酸受容体-α(FR-α)、CD19、FZD10、TSHR、PRLR、MUC17、GUCY2C、CD207、CD3、CD5、B細胞成熟抗原(BCMA)、またはCD4である、実施形態17に記載の単離ポリヌクレオチド、改変細胞または方法。
【0244】
19、改変細胞またはT細胞が、細胞のPD-1/PDL-1シグナル伝達経路が妨害または遮断されるようなPD-1変異体のドミナントネガティブ形態を含む、実施形態2-18のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、改変細胞または方法。
【0245】
20、治療薬をコードするポリヌクレオチドが、組換えDNA構築物、mRNA、またはウイルスベクターで改変細胞に存在する、実施形態2-19のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、改変細胞または方法。
【0246】
21、改変細胞が、治療薬をコードするmRNAを含み、mRNAが改変細胞のゲノムに組み込まれない、実施形態2-19のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、改変細胞または方法。
【0247】
22、治療薬が、表2-4に記載された配列の少なくとも1つに対応する、実施形態2-21のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、改変細胞または方法。
【0248】
23、改変細胞が、細胞における治療薬の発現を調節する転写モジュレーターへの結合部位を含むプロモーターを含むポリヌクレオチドを含む、実施形態2-21のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、改変細胞または方法。
【0249】
24、転写モジュレーターが、Hif1a、NFAT、FOXP3、および/またはNFkBであるか、またはそれらを含む、実施形態23に記載の単離ポリヌクレオチド、改変細胞または方法。
【0250】
25、プロモーターが転写モジュレーターに応答する、実施形態24に記載の単離ポリヌクレオチド、改変細胞または方法。
【0251】
26、プロモーターが、プロモーターが細胞における治療薬の発現を駆動するように、治療薬をコードするポリヌクレオチドに動作可能に連結される、実施形態25に記載の単離ポリヌクレオチド、改変細胞または方法。
【0252】
27、プロモーターおよび結合部位が、表2-4に記載された配列対応する、実施形態23に記載の単離ポリヌクレオチド、改変細胞または方法。
【0253】
28、第1のポリヌクレオチドおよび第2のポリヌクレオチドを含む単離ポリヌクレオチドであって、第1のポリヌクレオチド(CAR)がキメラ抗原受容体をコードし、第2のポリヌクレオチドが、治療薬と、治療薬が細胞膜に関連または結合するような膜貫通ドメインとをコードする、単離ポリヌクレオチド。単離ポリヌクレオチドの例は、表4(1-4)に記載される。
【0254】
29、実施形態28に記載の単離ポリヌクレオチドを含む、改変細胞。
【0255】
30、実施形態3に記載の細胞集団を含む、医薬組成物。
【0256】
31、それを必要とする被検体におけるT細胞応答を誘導または誘発し、および/または被検体の腫瘍(例えば、固形腫瘍および/またはリンパ腫(例えば、CD19 CAR))を治療する方法であって、実施形態30に記載の組成物の有効量を被検体に投与することを含む、方法。
【0257】
32、CARをコードする第1のポリヌクレオチドと、治療薬、および治療薬が改変細胞の膜に関連または結合するような膜貫通ドメインをコードする第2のポリヌクレオチドとを含む、改変細胞。
【0258】
33、治療薬はサイトカインである、実施形態29-32のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0259】
34、サイトカインは複数のサブユニットを含み、第2の核酸は、複数のサブユニット、複数のサブユニットを接続する1つ以上のリンカー、および膜貫通ドメインをコードする、実施形態33に記載の改変細胞。
【0260】
35、第2のポリヌクレオチドは、配列番号283、284、286、288、290、292、294、296、298、300、302、304、306、または308のポリヌクレオチド、または配列番号281、282、285、287、289、291、293、295、297、299、301、303、305、307、309、310、311、312、または313のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含む、実施形態33に記載の改変細胞。
【0261】
36、サイトカインは、IFNγ、IL-2、IL-6、IL-7、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、またはIL-23のうちの少なくとも1つであるか、またはそれらを含む、実施形態33に記載の改変細胞。
【0262】
37、CARは、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含み、細胞外ドメインが抗原に結合する、実施形態29-36のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0263】
38、細胞内ドメインが、CD27、CD28、4-1BB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む共刺激ドメインを含む、実施形態37に記載の改変細胞。
【0264】
39、抗原が、上皮成長因子受容体(EGFR)、上皮成長因子受容体の変異体III(EGFRvIII)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、メソテリン(MSLN)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、癌胎児性抗原(CEA)、ジシアロガングリオシド2(GD2)、インターロイキン-13Ra2(IL13Rα2)、グリピカン-3(GPC3)、炭酸脱水酵素IX(CAIX)、L1細胞接着分子(L1-CAM)、癌抗原125(CA125)、分化クラスター133(CD133)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、癌/精巣抗原1B(CTAG1B)、ムチン1(MUC1)、葉酸受容体-α(FR-α)、CD19、FZD10、TSHR、PRLR、MUC17、GUCY2C、CD207、CD3、CD5、B細胞成熟抗原(BCMA)、またはCD4である、実施形態37に記載の改変細胞。
【0265】
40、第2のポリヌクレオチドが、細胞における治療薬の発現を調節する転写モジュレーターへの結合部位を含むプロモーターを含む、実施形態29-39のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0266】
41、転写モジュレーターが、Hif1a、NFAT、FOXP3、および/またはNFkBであるか、またはそれらを含む、実施形態40に記載の改変細胞。
【0267】
42、T細胞応答を誘導または誘発または増強し、癌を治療し、または癌治療を増強する方法であって、実施形態29-41のいずれか一項に記載の改変細胞の組成物の有効量を、それを必要とする被検体に投与することを含む、方法。
【0268】
43、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含む結合分子をコードする単離ポリヌクレオチドであって、細胞外ドメインが抗原に結合し、細胞内ドメインが、治療薬の受容体の細胞質ドメインを含む、単離ポリヌクレオチド。単離ポリヌクレオチドの例は、表4に記載されている。
【0269】
44、実施形態43に記載の単離ポリヌクレオチドを含む、細胞。
【0270】
45、実施形態44に記載の細胞集団を含む、医薬組成物。
【0271】
46、それを必要とする被検体におけるT細胞応を誘導または誘発し、および/または被検体の腫瘍を治療する方法であって、実施形態45に記載の組成物の有効量を被検体に投与することを含む、方法。
【0272】
47、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含む結合分子を含む改変細胞であって、細胞外ドメインが抗原に結合し、細胞内ドメインが、治療薬の受容体の細胞質ドメインを含む、改変細胞。
【0273】
48、治療薬がサイトカインである、実施形態43-47のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチドおよび改変細胞。
【0274】
49、治療薬の受容体が、IL12Rβ2、IL18R1、IL123R、GP130、IL15Ra、またはIL12Rβ1であるか、またはそれらを含む、実施形態43-47のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチドおよび改変細胞。
【0275】
50、治療薬が、IFNγ、IL-2、IL-6、IL-7、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、またはIL-23であるか、またはそれらを含む、実施形態43-47のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチドおよび改変細胞。
【0276】
51、受容体の細胞質ドメインが、配列番号314-319のアミノ酸配列のうちの少なくとも1つであるか、またはそれらを含む、実施形態43-47のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチドおよび改変細胞。
【0277】
52、改変細胞が、配列番号320-322のアミノ酸配列のうちの少なくとも1つであるか、またはそれらを含む、実施形態43-47のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチドおよび改変細胞。
【0278】
53、改変細胞が追加のポリヌクレオチドを含み、単離ポリヌクレオチドが追加のポリヌクレオチドを含み、追加のポリヌクレオチドが、4-1BBドメインおよびCD3ゼータドメインをコードし、受容体の細胞質ドメインをコードするポリヌクレオチドが、4-1BBドメインとCD3ゼータドメインの間に位置している、実施形態43-51のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチドおよび改変細胞。
【0279】
54、改変細胞が追加のポリヌクレオチドを含み、単離ポリヌクレオチドが追加のポリヌクレオチドを含み、追加のポリヌクレオチドが、4-1BBドメインおよびCD3ゼータドメインをコードし、受容体の細胞質ドメインをコードするポリヌクレオチドが、細胞質ドメインのN末端から順序付けられた4-1BBドメインの前に位置している、実施形態43-51のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチドおよび改変細胞。
【0280】
55、改変細胞が追加のポリヌクレオチドを含み、単離ポリヌクレオチドが追加のポリヌクレオチドを含み、追加のポリヌクレオチドが、4-1BBドメインおよびCD3ゼータドメインをコードし、受容体の細胞質ドメインをコードするポリヌクレオチドが、細胞質ドメインのN末端から順序付けられたCD3ゼータドメインの後に位置している、実施形態43-51のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチドおよび改変細胞。
【0281】
56、細胞内ドメインが、CD27、CD28、4-1BB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む共刺激ドメインを含む、実施形態43-55のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチドおよび改変細胞。
【0282】
57、抗原が、上皮成長因子受容体(EGFR)、上皮成長因子受容体の変異体III(EGFRvIII)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、メソテリン(MSLN)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、癌胎児性抗原(CEA)、ジシアロガングリオシド2(GD2)、インターロイキン-13Ra2(IL13Rα2)、グリピカン-3(GPC3)、炭酸脱水酵素IX(CAIX)、L1細胞接着分子(L1-CAM)、癌抗原125(CA125)、分化クラスター133(CD133)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、癌/精巣抗原1B(CTAG1B)、ムチン1(MUC1)、葉酸受容体-α(FR-α)、CD19、FZD10、TSHR、PRLR、MUC17、GUCY2C、CD207、CD3、CD5、B細胞成熟抗原(BCMA)、またはCD4である、実施形態56に記載の単離ポリヌクレオチドおよび改変細胞。
【0283】
58、結合分子が抗原に結合するときに、シグナル伝達経路が活性化される、実施形態44-57のいずれか一項に記載の改変細胞または細胞。
【0284】
59、第1のポリヌクレオチド、および第2のまたは追加のポリヌクレオチドを含む単離ポリヌクレオチドであって、第1のポリヌクレオチドがキメラ抗原受容体(CAR)をコードし、第2のまたは追加のポリヌクレオチドが、IFNγ、IL-2、IL-6、IL-7、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、またはIL-23のうちの少なくとも1つであるか、またはそれらを含む治療薬をコードする、単離ポリヌクレオチド。
【0285】
60、第1のポリヌクレオチド、および第2のまたは追加のポリヌクレオチドを含む単離ポリヌクレオチドであって、第1のポリヌクレオチドがキメラ抗原受容体(CAR)をコードし、第2のまたは追加のポリヌクレオチドが、TNFRSFスーパーファミリーに属する受容体活性化抗体またはその膜結合型、TNFRSFスーパーファミリーに属するリガンドまたはその膜結合型、ケモカインまたはその膜結合型、ケモカインに対する抗体、またはケモカインの受容体またはその膜結合型に対するに対する抗体、および表2-4の配列に対応するD28ファミリーのリガンドのうちの少なくとも1つであるか、またはそれらを含む治療薬をコードする、単離ポリヌクレオチド。
【0286】
61、実施形態59または60に記載のポリヌクレオチドおよび追加のポリヌクレオチドを含むCAR細胞集団であって、CAR細胞が、リンパ球、白血球、またはPBMCを含む、CAR細胞集団。
【0287】
62、CARおよび治療薬がポリタンパク質の形態で産生され、前記ポリタンパク質が切断されて別個のCARおよび治療薬分子を生成する、実施形態61に記載のCAR細胞集団。
【0288】
63、ポリタンパク質が、CARと治療薬の間の切断性部分を含み、切断性部分が、P2AまたはT2Aを含む2Aペプチドを含み、および/または、CARと治療薬がそれぞれ構成的に発現される、実施形態61または62に記載のCAR細胞集団。
【0289】
64、CAR細胞が、CARと異なる抗原に結合する追加のCARをコードする第3のポリヌクレオチド、または固形腫瘍抗原に結合する追加のCARを含み、かつCARが白血球の抗原に結合する、実施形態61-63のいずれか一項に記載のCAR細胞集団。
【0290】
65、実施形態61-64のいずれか一項に記載のCAR細胞集団を含む、医薬組成物。
【0291】
66、それを必要とする被検体におけるT細胞応答を誘発または誘導し、および/または被検体の腫瘍を治療する方法であって、実施形態65に記載の組成物の有効量を被検体に投与することを含む、方法。
【0292】
67、1つ以上のCARを含む改変細胞であって、前記細胞が、IFNγ、IL-2、IL-6、IL-7、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、またはIL-23のうちの少なくとも1つであるか、またはそれらを含む治療薬を発現および分泌するように操作される、改変細胞。
【0293】
68、T細胞応答の誘発、誘導または増強、癌の治療、または癌治療の増強における、1つ以上のCARを含むT細胞の組成物の使用であって、1つ以上のCARを含むT細胞の組成物の有効量を投与することを含み、細胞が、IFNγ、IL-2、IL-6、IL-7、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-23、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つであるか、またはそれらを含む治療薬を発現および分泌するように操作され、かつT細胞応答が、治療薬を発現または分泌しないT細胞の組成物を投与した場合と比較して増強される、使用。
【0294】
69、T細胞応答の誘発、誘導または増強、癌の治療、または癌治療の増強における、1つ以上のCARを含むT細胞の組成物の使用であって、
CARを含むT細胞集団の組成物の有効量を投与することと、
IFNγ、IL-2、IL-6、IL-7、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-23、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つであるか、またはそれらを含む治療薬の有効量を投与することと、を含み、前記T細胞応答は治療薬を投与せずにCAR T細胞を投与した場合と比較して増強される、使用。
【0295】
70、治療薬の有効量を投与することが、体重1キログラム当たり約0.5-50ugの範囲の量のIL-6を静脈内送達することを含む、実施形態69に記載の使用。
【0296】
71、T細胞が、固形腫瘍抗原に結合する追加のCARを含み、CARが白血球の抗原に結合する、実施形態67-70のいずれか一項に記載の使用。
【0297】
72、固形腫瘍抗原が、tMUC1、PRLR、CLCA1、MUC12、GUCY2C、GPR35、CR1L、MUC17、TMPRSS11B、MUC21、TMPRSS11E、CD207、SLC30A8、CFC1、SLC12A3、SSTR1、GPR27、FZD10、TSHR、SIGLEC15、SLC6A3、KISS1R、QRFPR、GPR119、CLDN6、UPK2、ADAM12、SLC45A3、ACPP、MUC21、MUC16、MS4A12、ALPP、CEA、EphA2、FAP、GPC3、IL13-Rα2、メソテリン、PSMA、ROR1、VEGFR-II、GD2、FR-α、ErbB2、EpCAM、EGFRvIII、PSCA、またはEGFRであり、B細胞抗原が、CD19、CD20、CD22、またはBCMAである、実施形態71に記載の使用。
【0298】
73、治療薬がIL-6またはIL-7である、実施形態60-72のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、改変細胞または使用。
【0299】
74、CARが、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含み、細胞外ドメインが抗原に結合する、実施形態60-72のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、改変細胞または使用。
【0300】
75、細胞内ドメインが、CD27、CD28、4-1BB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む共刺激ドメインを含む、実施形態74に記載の単離ポリヌクレオチド、改変細胞または使用。
【0301】
76、抗原が、上皮成長因子受容体(EGFR)、上皮成長因子受容体の変異体III(EGFRvIII)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、メソテリン(MSLN)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、癌胎児性抗原(CEA)、ジシアロガングリオシド2(GD2)、インターロイキン-13Ra2(IL13Rα2)、グリピカン-3(GPC3)、炭酸脱水酵素IX(CAIX)、L1細胞接着分子(L1-CAM)、癌抗原125(CA125)、分化クラスター133(CD133)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、癌/精巣抗原1B(CTAG1B)、ムチン1(MUC1)、葉酸受容体-α(FR-α)、CD19、FZD10、TSHR、PRLR、MUC17、GUCY2C、CD207、CD3、CD5、B細胞成熟抗原(BCMA)、またはCD4である、実施形態75に記載の単離ポリヌクレオチド、改変細胞または使用。
【0302】
77、改変細胞またはT細胞が、細胞のPD-1/PDL-1シグナル伝達経路が妨害または遮断されるようなPD-1変異体のドミナントネガティブ形態を含む、実施形態60-76のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、改変細胞または使用。
【0303】
78、治療薬が、組換えDNA構築物、mRNA、またはウイルスベクターで改変細胞に存在する、実施形態60-77のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、改変細胞または使用。
【0304】
79、改変細胞が、治療薬をコードする治療薬mRNAを含み、mRNAが、改変細胞のゲノムに組み込まれない、実施形態60-77のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、改変細胞または使用。
【0305】
80、治療薬が、表2-4に記載された配列の少なくとも1つに対応する、実施形態60-79のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、細胞または使用。
【0306】
81、改変細胞が、細胞における治療薬の発現を調節する転写モジュレーターへの結合部位を含むプロモーターを含むポリヌクレオチドを含む、実施形態60-79のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、改変細胞または使用。
【0307】
82、転写モジュレーターが、Hif1a、NFAT、FOXP3、および/またはNFkBであるか、またはそれらを含む、実施形態81に記載の単離ポリヌクレオチド、改変細胞または使用。
【0308】
83、プロモーターが転写モジュレーターに応答する、実施形態82に記載の単離ポリヌクレオチド、改変細胞または使用。
【0309】
84、プロモーターが、プロモーターが細胞における治療薬の発現を駆動するように、治療薬をコードするポリヌクレオチドに動作可能に連結される、実施形態83に記載の単離ポリヌクレオチド、改変細胞または使用。
【0310】
85、プロモーターおよび結合部位が、表2-4に記載された配列対応する、実施形態81に記載の単離ポリヌクレオチド、改変細胞または使用。
【0311】
86、1つ以上のCARを含む改変細胞であって、前記細胞が、サイトカインなどの治療薬を発現および分泌するように操作され、かつ改変細胞の例が図5-10、および55、56に示される、改変細胞。
【0312】
87、T細胞応答を誘発、誘導または増強し、癌を治療し、または癌治療を増強する方法であって、1つ以上のCARを含むT細胞の組成物の有効量を投与することを含み、細胞が、サイトカインなどの治療薬を発現および分泌するように操作される、方法。
【0313】
88、治療薬が、IFN-γであるか、またはそれを含む、実施形態86または87に記載の改変細胞または方法。
【0314】
89、治療薬が、IL-6、IFN-γ、またはそれらの組み合わせであるか、またはそれらを含み、治療薬が、配列番号287または328を含む、実施形態86-88のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0315】
90、治療薬が、IL-15、IL-12、またはそれらの組み合わせであるか、またはそれらを含む、実施形態86-89のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0316】
91、小タンパク質または治療薬が、組換えまたは天然のサイトカインであるか、またはそれらを含む、実施形態86-90のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0317】
92、治療薬が、小タンパク質に結合したFC融合タンパク質を含む、実施形態86-91のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0318】
93、小タンパク質が、IL-12、IL-15、IL-6、IFN-γ、またはそれらの組み合わせであるか、またはそれらを含む、実施形態86-92のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0319】
94、発現および/または分泌が、誘導性発現系などの制御系によって制御され、または、改変細胞が誘導性自殺発現によって制御される、実施形態86-93のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0320】
95、治療薬が、マクロファージおよび/または樹状細胞を活性化する、実施形態86-94のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0321】
96、治療薬が、マクロファージによる顆粒球の除去を引き起こすか、または促進する、実施形態86-95のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0322】
97、治療薬が、癌細胞の成長を阻害または抑制する、実施形態86-96のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0323】
98、治療薬が、組換えまたは天然のタンパク質であるか、またはそれらを含む、実施形態86-97のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0324】
99、改変細胞が、PD-1のドミナントネガティブ形態である改変プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)を含む、実施形態86-98のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0325】
100、1つ以上のCARが、腫瘍細胞を標的とするCARを含む、実施形態86-99のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0326】
101、1つ以上のCARが、固形腫瘍抗原に結合するCARと、B細胞抗原などの血球抗原に結合する追加のCARとを含む、実施形態86-100のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0327】
102、固形腫瘍抗原が、tMUC1、PRLR、CLCA1、MUC12、GUCY2C、GPR35、CR1L、MUC17、TMPRSS11B、MUC21、TMPRSS11E、CD207、SLC30A8、CFC1、SLC12A3、SSTR1、GPR27、FZD10、TSHR、SIGLEC15、SLC6A3、KISS1R、QRFPR、GPR119、CLDN6、UPK2、ADAM12、SLC45A3、ACPP、MUC21、MUC16、MS4A12、ALPP、CEA、EphA2、FAP、GPC3、IL13-Rα2、メソテリン、PSMA、ROR1、VEGFR-II、 GD2、FR-α、ErbB2、EpCAM、EGFRvIII、またはEGFRであり、B細胞抗原が、CD19、CD20、CD22、またはBCMAである、実施形態86-100のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0328】
103、固形腫瘍抗原が、B7、CAIX、CD123、CD133、CD171、CD171/L1-CAM、CEA、クローディン18.2、cMet、CS1、CSPG4、Dectin1、EGFR、EGFR vIII、EphA2、ERBB受容体、ErbB T4、ERBB2、FAP、葉酸受容体1、FITC、葉酸受容体1、FSH、GD2、GPC3、HA-1 H/HLA- A2、HER2、IL-11Ra、IL13受容体 a2、IL13R、IL13Rα2(ゼタカイン)、カッパ、白血病、LewisY、メソテリン、MUC1、NKG2D、NY-ESO-1、PSMA、ROR-1、TRAIL-受容体1、またはVEGFR2を含み、B細胞抗原が、CD19、CD20、CD22、またはBCMAである、実施形態86-102のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0329】
104、治療薬を発現するCAR T細胞を投与された被検体におけるT細胞応答が、治療薬を発現または分泌しないCAR T細胞を投与された被検体におけるT細胞応答と比較して増強される、実施形態86-103のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0330】
105、改変細胞が、hTERTをコードするポリヌクレオチド、またはSV40LTをコードする核酸、またはそれらの組み合わせを含み、hTERTをコードするポリヌクレオチド、SV40LTをコードする核酸、またはそれらの組み合わせは、改変T細胞のゲノムに組み込まれ、かつ改変T細胞が、hTERT、SV40LT、またはそれらの組み合わせを構成的に発現する、実施形態86-104のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0331】
106、hTERTをコードするポリヌクレオチド、SV40LTをコードする核酸、またはそれらの組み合わせの発現が、誘導性発現系によって制御され、および/または、改変T細胞が、自殺遺伝子をコードするポリヌクレオチドを含む、実施形態86-105のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0332】
107、改変細胞が、健康なドナーまたは被検体に由来する、実施形態86-106のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0333】
108、改変細胞のTRAC遺伝子が不活性化される、実施形態86-107のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0334】
109、改変細胞が、同種CAR T治療における一次ヒトT細胞のGVHD応答と比較して、生体不適合ヒトレシピエントにおける移植片対宿主病(GVHD)応答が低減される、実施形態86-108のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0335】
110、改変細胞が、PD-1のシグナル伝達経路が遮断されるように、PD-1の量が減少しているか、またはPD-1のドミナントネガティブ形態を有している、実施形態86-109のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0336】
111、改変細胞が、PD-1のシグナル伝達経路が遮断されるように、PD-1の量が減少しているか、またはPD-1のドミナントネガティブ形態を有しており、治療薬は、IL-12、IFN-γ、またはそれらの組み合わせである、実施形態86-110のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0337】
112、改変細胞が、PD-1のシグナル伝達経路が妨害されるように、PD-1の量が減少しているか、またはPD-1のドミナントネガティブ形態を有しており、治療薬は、Cp-870、893(Pfizer社)などのCD40アゴニストである、実施形態86-111のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0338】
113、改変細胞が追加の治療薬を含み、改変細胞が、治療薬をコードするポリヌクレオチド、および追加の治療薬をコードする追加のポリヌクレオチドを含み、ポリヌクレオチドと追加のポリヌクレオチドが、IRES要素または2Aペプチドをコードする第3のポリヌクレオチドによって接続される、実施形態86-112のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0339】
114、治療薬がIL-6であり、追加の治療薬がIFN-γである、実施形態113に記載の改変細胞または方法。
【0340】
115、治療薬がIL-12であり、追加の治療薬がIFN-γである、実施形態113に記載の改変細胞または方法。
【0341】
116、治療薬がCD40であり、追加の治療薬がIFN-γである、実施形態113に記載の改変細胞または方法。
【0342】
117、改変細胞が、細胞における治療薬の発現および/または分泌を調節する転写モジュレーターへの結合部位を含むプロモーターを含むポリヌクレオチドを含む、実施形態86-116のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0343】
118、転写モジュレーターが、Hif1a、NFAT、FOXP3、および/またはNFkBであるか、またはそれらを含む、実施形態86-116のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0344】
119、ロモーターが転写モジュレーターに応答する、実施形態118に記載の改変細胞または方法。
【0345】
120、プロモーターは、プロモーターが細胞における治療薬の発現および/または分泌を駆動するように、治療薬をコードするポリヌクレオチドに動作可能に連結される、実施形態118-119のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0346】
121、プロモーターが、配列番号323-325のアミノ酸配列のうちの少なくとも1つであるか、またはそれらを含む、実施形態43-47のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチドおよび改変細胞。
【0347】
122、改変細胞が、刺激応答要素をコードし、かつ1つ以上のCARおよび/または治療薬をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含み、刺激応答要素が、cGMP特異的3’,5’-環状ホスホジエステラーゼまたはそれに由来する分子、例えば配列番号329の少なくとも一部を含む、実施形態86-120のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0348】
123、1つ以上のCARおよび/または治療薬の発現が、リガンド依存性である、実施形態122に記載の改変細胞または方法。
【0349】
124、1つ以上のCARおよび/または治療薬が、対応するリガンドの非存在下で不安定化または分解される、実施形態122に記載の改変細胞または方法。
【0350】
125、改変細胞が、cGMP特異的3’,5’-環状ホスホジエステラーゼまたはそれに由来する分子、例えば、治療薬の発現がリガンド依存するように治療薬に付加または関連した配列番号329の少なくとも一部をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含み、かつ治療薬は、IL6、IFN-γ、またはそれらの組み合わせであるか、またはそれらを含む、実施形態122-124のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0351】
126、PD-1またはPDL1に結合するscFv、リンカー、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメインを含む融合タンパク質であって、膜貫通ドメインが、IL15、IL2、IL7、IL6、IL12、IL18、IL21、IL23、IL33、TNFα、TNFβ、IFNα、IFNγ、IFNβ、およびsiglec-15抗原の受容体の膜貫通ドメインからなる群から選択され、細胞質ドメインが、IL15、IL2、IL7、IL6、IL12、IL18、IL21、IL23、IL33、TNFα、TNFβ、IFNα、IFNγ、IFNβ、およびsiglec-15抗原の受容体の細胞質ドメインからなる群から選択され、細胞外ドメインが、IL15、IL2、IL7、IL6、IL12、IL18、IL21、IL23、IL33、TNFα、TNFβ、IFNα、IFNγ、IFNβ、およびsiglec-15抗原の受容体の細胞外ドメインからなる群から選択される、融合タンパク質。
【0352】
127、PD-1またはPDL1に結合するscFv、リンカー、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメインを含む融合タンパク質であって、膜貫通ドメインが、CD4、CD8、CD28、CD27、CD25、CD137、PD1、PDL1、およびsiglec-15抗原の受容体の膜貫通ドメインからなる群から選択され、細胞質ドメインが、CD4、CD8、CD28、CD27、CD25、CD137、PD1 PDL1、およびsiglec-15抗原の受容体の細胞質ドメインからなる群から選択される、融合タンパク質。
【0353】
128、サイトカインを含む融合タンパク質は、IL15、IL2、IL7、IL6、IL12、IL18、IL21、IL23、IL33、TNFα、TNFβ、IFNα、およびIFNβからなる群から選択され、膜貫通ドメインは、IL15、IL2、IL7、IL6、IL12、IL18、IL21、IL23、IL33、TNFα、TNFβ、IFNα、IFNγ、IFNβ、およびsiglec-15抗原の受容体の膜貫通ドメインからなる群から選択され、細胞質ドメインは、IL15、IL2、IL7、IL6、IL12、IL18、IL21、IL23、IL33、TNFα、TNFβ、IFNα、およびIFNβの受容体の細胞質ドメインからなる群から選択され、細胞外ドメインは、IL15、IL2、IL7、IL6、IL12、IL18、IL21、IL23、IL33、TNFα、TNFβ、IFNα、およびIFNβの受容体の細胞外ドメインからなる群から選択される、融合タンパク質。
【0354】
129、サイトカインを含む融合タンパク質が、IL15、IL2、IL7、IL6、IL12、IL18、IL21、IL23、IL33、TNFα、TNFβ、IFNα、およびIFNβからなる群から選択され、膜貫通ドメインがが、CD4、CD8、CD28、CD27、CD25、CD137、PD1、PDL1、およびsiglec-15抗原の受容体の膜貫通ドメインからなる群から選択され、細胞質ドメイン、CD4、CD8、CD28、CD27、CD25、CD137、PD1、PDL1、およびsiglec-15抗原の受容体の細胞質ドメインからなる群から選択される、融合タンパク質。融合タンパク質の例は図4に示される。
【0355】
130、免疫チェックポイント分子およびドッキング分子のリガンドまたは受容体に結合する結合ドメインを含む融合タンパク質であって、免疫チェックポイント分子が、プログラム死1(PD-1)、細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA- 4)、Bリンパ球およびTリンパ球アッテネーター(BTLA)、T細胞免疫グロブリンムチン-3(TIM-3)、リンパ球活性化タンパク質3(LAG-3)、IgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)、白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIRl)、ナチュラルキラー細胞受容体2B4(2B4)、VISTA(その受容体)、およびCD160からなる群から選択され、ドッキング分子は、結合ドメインを細胞と結合させる、融合タンパク質。
【0356】
131、ドッキング分子が、リンカー、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメインを含む、実施形態130に記載の融合タンパク質。
【0357】
132、膜貫通ドメインが、IL15、IL2、IL7、IL6、IL12、IL18、IL21、IL23、IL33、TNFα、TNFβ、IFNα、およびIFNβの受容体の膜貫通ドメインからなる群から選択され、細胞質ドメインは、IL15、IL2、IL7、IL6、IL12、IL18、IL21、IL23、IL33、TNFα、TNFβ、IFNα、およびIFNβの受容体の細胞質ドメインからなる群から選択される、実施形態131に記載の融合タンパク質。
【0358】
133、ドッキング分子が、細胞外ドメインをさらに含む、実施形態131に記載の融合タンパク質。
【0359】
134、細胞外ドメインが、IL15、IL2、IL7、IL6、IL12、IL18、IL21、IL23、IL33、TNFα、TNFβ、IFNα、およびIFNβの受容体の細胞外ドメインからなる群から選択される、実施形態133に記載の融合タンパク質。
【0360】
135、ドッキング分子が、リンカー、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメインを含む、実施形態130に記載の融合タンパク質。
【0361】
136、膜貫通ドメインが、CD4、CD8、CD28、CD27、CD25、CD137、PD1、PDL1、およびsiglec-15抗原の受容体の膜貫通ドメインからなる群から選択され、細胞質ドメインは、CD4、CD8、CD28、CD27、CD25、CD137、PD1、PDL1、およびsiglec-15抗原の受容体の細胞質ドメインからなる群から選択される、実施形態135に記載の融合タンパク質。
【0362】
137、結合ドメインがscFvである、実施形態130-136のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【0363】
138、結合ドメインが、CD80またはCD86に結合するscFvである、実施形態130に記載の融合タンパク質。
【0364】
139、ドッキング分子が、野生型または改変されたCTLA4またはPD-1を含むか、またはそれらである、実施形態138に記載の融合タンパク質。
【0365】
140、結合ドメインが、VISTAに結合するscFvである、実施形態130に記載の融合タンパク質。
【0366】
141、ドッキング分子が、野生型または改変されたVISTA受容体またはPD-1を含むか、またはそれらである、実施形態140に記載の融合タンパク質。
【0367】
142、結合ドメインが、PDL1またはPD1に結合するscFvであり、および/または、ドッキング分子が、野生型または改変PD-1を含むか、またはそれらである、実施形態130に記載の融合タンパク質。
【0368】
143、結合ドメインが、B7-H3に結合するscFvである、実施形態130に記載の融合タンパク質。
【0369】
144、ドッキング分子が、野生型または改変されたB7-H3受容体またはPD-1を含むか、またはそれらである、実施形態143に記載の融合タンパク質。
【0370】
145、治療薬およびドッキング分子を含む融合タンパク質であって、ドッキング分子が、細胞を治療薬と結合させる細胞質ドメインおよび膜貫通ドメインを含む、融合タンパク質。
【0371】
146、治療薬が、実施形態126-145に記載の結合ドメイン、または実施形態129または130に記載のサイトカインを含むか、またはそれらである、実施形態142に記載の融合タンパク質。
【0372】
147、実施形態126-146のいずれか一項に記載の融合タンパク質をコードする、ポリヌクレオチド。
【0373】
148、実施形態126-148のいずれか一項に記載の融合タンパク質、または実施形態147に記載のポリヌクレオチドを含む、改変細胞。
【0374】
149、実施形態148に記載の改変細胞の集団を含む、医薬組成物。
【0375】
150、それを必要とする被検体におけるT細胞応答を誘発または誘導し、および/または被検体の腫瘍を治療する方法であって、実施形態148に記載の組成物の有効量を被検体に投与することを含む、方法。
【0376】
151、ドッキング分子がリンカーを含み、リンカーがGSリンカーである、実施形態148-150のいずれか一項に記載の医薬組成物、改変細胞、および方法。
【0377】
152、改変細胞がCARを含む、実施形態148-150のいずれか一項に記載の医薬組成物、改変細胞、および方法。
【0378】
153、CARが、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含み、細胞外ドメインが抗原に結合する、実施形態148-150のいずれか一項に記載の医薬組成物、改変細胞、および方法。
【0379】
154、細胞内ドメインが、CD27、CD28、4-1BB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む共刺激ドメインを含む、実施形態148-150のいずれか一項に記載の医薬組成物、改変細胞、および方法。
【0380】
155、抗原が、上皮成長因子受容体(EGFR)、上皮成長因子受容体の変異体III(EGFRvIII)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、メソテリン(MSLN)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、癌胎児性抗原(CEA)、ジシアロガングリオシド2(GD2)、インターロイキン-13Ra2(IL13Rα2)、グリピカン-3(GPC3)、炭酸脱水酵素IX(CAIX)、L1細胞接着分子(L1-CAM)、癌抗原125(CA125)、分化クラスター133(CD133)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、癌/精巣抗原1B(CTAG1B)、ムチン1(MUC1)、葉酸受容体-α(FR-α)、CD19、FZD10、TSHR、PRLR、MUC17、GUCY2C、CD207、CD3、CD5、B細胞成熟抗原(BCMA)、またはCD4である、実施形態148-26のいずれか一項に記載の医薬組成物、改変細胞、および方法。
【0381】
156、融合タンパク質が、誘導可能な遺伝子発現系によって制御される、実施形態151-156のいずれか一項に記載の医薬組成物、改変細胞、および方法。
【0382】
157、サイトカインおよび酸素感受性ポリペプチドドメインを含む、融合タンパク質。
【0383】
158、酸素感受性ポリペプチドドメインが、HIFlα、HIF3α、または、Hif VHL相互作用ドメイン、Hifアミノ酸344-417、もしくはHifアミノ酸380-603とそれぞれ80%超、90%超、95%超の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである、実施形態157に記載の融合タンパク質。
【0384】
159、酸素感受性ポリペプチドドメインが、HIF VHL結合ドメインを含む、実施形態158に記載の融合タンパク質。
【0385】
160、HIF1αが、酸素感知であるHIFa特異的プロリルヒドロキシラーゼ(PHDl-3)によってヒドロキシル化される、実施形態157に記載の融合タンパク質。
【0386】
161、実施形態157-160のいずれか一項に記載の融合タンパク質をコードし、または図5-10に示される1つ以上の成分を含む、ポリヌクレオチド。
【0387】
162、実施形態157-160のいずれか一項に記載の融合タンパク質、および/または実施形態161に記載の核酸配列を含む、改変細胞。
【0388】
163、融合タンパク質がNFATによって制御される、実施形態162に記載の改変細胞。
【0389】
164、実施形態162または163に記載の改変細胞の集団を含む、医薬組成物。
【0390】
165、それを必要とする被検体におけるT細胞応答を誘発または誘導し、および/または被検体の腫瘍を治療する方法であって、実施形態164に記載の組成物の有効量を被検体に投与することを含む、方法。
【0391】
166、改変細胞が、リンパ球、白血球、またはPBMCであり、または、細胞、NK細胞、または樹状細胞である、実施形態162-165のいずれか一項に記載の改変細胞、医薬組成物、または方法。
【0392】
167、改変細胞が、キメラ抗原受容体(CAR)または改変TCRをさらに含む、実施形態162-166のいずれか一項に記載の改変細胞、医薬組成物、または方法。
【0393】
168、TCRが改変TCRである、実施形態167に記載の改変細胞、医薬組成物、または方法。
【0394】
169、TCRが、患者において自然発生した腫瘍特異的T細胞に由来する、実施形態167に記載の改変細胞、医薬組成物、または方法。
【0395】
170、TCRが腫瘍抗原に結合する、実施形態167に記載の改変細胞、医薬組成物または方法。
【0396】
171、腫瘍抗原が、CEA、gp100、MART-1、p53、MAGE-A3、またはNY-ESO-1を含み、または、TCRが、TCRγとTCRδ鎖またはTCRαとTCRβ鎖、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態170に記載の改変細胞、医薬組成物または方法。
【0397】
172、CARが、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含み、細胞外ドメインが抗原に結合する、実施形態167に記載の改変細胞、医薬組成物または方法。
【0398】
173、細胞内ドメインが、CD27、CD28、4-1BB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む共刺激ドメインを含む、実施形態172に記載の改変細胞、医薬組成物または方法。
【0399】
174、抗原が、上皮成長因子受容体(EGFR)、上皮成長因子受容体の変異体III(EGFRvIII)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、メソテリン(MSLN)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、癌胎児性抗原(CEA)、ジシアロガングリオシド2(GD2)、インターロイキン-13Ra2(IL13Rα2)、グリピカン-3(GPC3)、炭酸脱水酵素IX(CAIX)、L1細胞接着分子(L1-CAM)、癌抗原125(CA125)、分化クラスター133(CD133)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、癌/精巣抗原1B(CTAG1B)、ムチン1(MUC1)、葉酸受容体-α(FR-α)、CD19、FZD10、TSHR、PRLR、MUC17、GUCY2C、CD207、CD3、CD5、B細胞成熟抗原(BCMA)、またはCD4である、実施形態173に記載の改変細胞、医薬組成物または方法。
【0400】
175、改変細胞またはT細胞が、固形腫瘍抗原に結合する追加のCAを含み、(第1の)CARが白血球の抗原に結合する、実施形態162-174のいずれか一項に記載の改変細胞、医薬組成物または方法。
【0401】
176、改変細胞またはT細胞が、PD-1のドミナントネガティブ形態を含む、実施形態162-174のいずれか一項に記載の改変細胞、医薬組成物または方法。
【0402】
177、改変細胞またはT細胞が、機能的なPD-1細胞内ドメインを欠く改変PD-1を含む、実施形態162-174のいずれか一項に記載の改変細胞、医薬組成物または方法。
【0403】
178、改変細胞が、治療薬をコードするポリヌクレオチドをさらに含む、実施形態162-177のいずれか一項に記載の改変細胞、医薬組成物、または方法。
【0404】
179、単離ポリヌクレオチドが、細胞における治療薬の発現および/または分泌を調節する転写モジュレーターへの結合部位を含むプロモーターを含む、実施形態178に記載の改変細胞、医薬組成物、または方法。
【0405】
180、転写モジュレーターが、Hif1a、NFAT、FOXP3、および/またはNFkBであるか、またはそれらを含む、実施形態179に記載の改変細胞、医薬組成物、または方法。
【0406】
181、ロモーターが転写モジュレーターに応答する、実施形態180に記載の改変細胞、医薬組成物、または方法。
【0407】
182、プロモーターが、プロモーターが細胞における治療薬の発現および/または分泌を駆動するように、治療薬をコードするポリヌクレオチドに動作可能に連結される、実施形態180に記載の改変細胞、医薬組成物、または方法。
【0408】
183、治療薬の発現が、誘導可能な遺伝子発現系によって制御される、実施形態180に記載の改変細胞、医薬組成物、または方法。
【0409】
184、誘導可能な遺伝子発現系が、lac系、テトラサイクリン系、またはガラクトース系を含むか、またはそれらである、実施形態183に記載の改変細胞、医薬組成物、または方法。
【0410】
185、誘導可能な遺伝子発現系が、テトラサイクリン系を含むか、またはそれである、実施形態183に記載の改変細胞、医薬組成物または方法。
【0411】
186、誘導可能な遺伝子発現系が、テトラサイクリンオン系を含むか、またはそれであり、誘導可能な遺伝子発現系の誘導剤が、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、またはそれらのアナログである、実施形態185に記載の改変細胞、医薬組成物または方法。
【0412】
187、改変細胞が、ヒトドナーから単離された一次ヒトT細胞に由来するT細胞である、実施形態162-186のいずれか一項に記載の改変細胞、医薬組成物、または方法。
【0413】
188、細胞が、内因性TRAC遺伝子の発現が低下している、実施形態187に記載の改変細胞、医薬組成物、または方法。
【0414】
189、改変細胞が、癌を有する被検体から単離された一次ヒトT細胞に由来するT細胞である、実施形態162-186のいずれか一項に記載の改変細胞、医薬組成物、または方法。
【0415】
190、第1の抗原に結合する第1の分子を含む第1の細胞集団と、第2の抗原に結合する第2の分子を含む第2の細胞集団とを含む組成物であって、第2の抗原が腫瘍抗原であり、第1の抗原と第2の抗原が異なる抗原であり、第1の細胞集団および/または第2の細胞集団は、IL-6もしくはIFN-γ、またはそれらの組み合わせであるか、またはそれらを含む治療薬をコードするポリヌクレオチドを含む、組成物。
【0416】
191、第1の分子が第1のCARであり、かつ第2の分子が第2のCARであり、または、第1の分子が第1のCARであり、かつ第2の分子がTCRである、実施形態190に記載の組成物。
【0417】
192、第1の細胞集団が第2のCARを含まず、および/または第2の細胞集団が第1のCARを含まない、実施形態191に記載の組成物。
【0418】
193、組成物が、第1のCARおよび第2のCARをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含む第3の細胞集団をさらに含む、実施形態192に記載の組成物。
【0419】
194、第2の細胞集団が第1のCARを含み、第1の細胞集団が第2のCARを含まなく、または第1の細胞集団が第2のCARを含む、実施形態191に記載の組成物。
【0420】
195、第2の細胞集団が第1のCARを含まず、第1の細胞集団が第2のCARを含む、実施形態194に記載の組成物。
【0421】
196、第2の細胞集団(固形腫瘍および/またはリンパ腫を標的とする細胞)の増殖を増強する方法であって、腫瘍抗原に関連する、または腫瘍抗原を発現する癌の形態を有する被検体に、実施形態190-195のいずれかに記載の組成物の有効量を投与することを含む、方法。
【0422】
197、被検体におけるT細胞応答を増強し、または癌を有する被検体を治療する方法であって、腫瘍抗原に関連する、または腫瘍抗原を発現する癌を有する被検体に、実施形態190-195のいずれか一項に記載の組成物の有効量を投与することを含む、方法。
【0423】
198、被検体における細胞の増殖を増強する方法であって、実施形態190-195のいずれか一項に記載の組成物を得るために、細胞を、第1のCARをコードする第1のポリヌクレオチドを含む第1のベクター、および第2のCARをコードする第2のポリヌクレオチドを含む第2のベクターと接触させることと、腫瘍抗原に関連する、または腫瘍抗原を発現する癌の形態を有する被検体に、組成物の有効量を投与することとを含む、方法。
【0424】
199、被検体におけるT細胞応答を増強し、または癌を有する被検体を治療する方法であって、実施形態190-195のいずれか一項に記載の組成物を得るために、第1のCARをコードする第1のポリヌクレオチドを含む第1のベクター、および第2のCARをコードする第2のポリヌクレオチドを含む第2のベクターを細胞に導入することと、腫瘍抗原に関連する、または腫瘍抗原を発現する癌の形態を有する被検体に、組成物の有効量を投与することとを含む、方法。
【0425】
200、被検体における細胞の増殖を増強する方法であって、実施形態190-195のいずれか一項に記載の第1の細胞集団の有効量を投与することと、第2の細胞集団の有効量を投与することとを含む、方法。
【0426】
201、第1のベクターおよび第2のベクターがレンチウイルスベクターを含む、実施形態198-200のいずれか一項に記載の方法。
【0427】
202、第1のまたは第2の抗原が、白血球(WBC)の表面分子、腫瘍抗原、または固形腫瘍抗原であるか、またはそれらを含む、実施形態190-201のいずれか一項に記載の組成物または方法。
【0428】
203、細胞が、改変T細胞、改変NK細胞、または改変樹状細胞である、実施形態190-201のいずれか一項に記載の組成物または方法。
【0429】
204、WBCが、顆粒球、単球、またはリンパ球である、実施形態202に記載の組成物または方法。
【0430】
205、WBCがB細胞である、実施形態204に記載の組成物または方法。
【0431】
206、WBCの細胞表面分子が、CD19、CD22、CD20、BCMA、CD5、CD7、CD2、CD16、CD56、CD30、CD14、CD68、CD11b、CD18、CD169、CD1c、CD33、CD38、CD138、またはCD13である、実施形態205に記載の組成物または方法。
【0432】
207、WBCの細胞表面分子が、CD19、CD20、CD22、またはBCMAである、実施形態202に記載の組成物または方法。
【0433】
208、WBCの細胞表面分子がCD19である、実施形態202に記載の組成物または方法。
【0434】
209、腫瘍抗原が固形腫瘍抗原である、実施形態202に記載の組成物または方法。
【0435】
210、固形腫瘍抗原が、tMUC1、PRLR、CLCA1、MUC12、GUCY2C、GPR35、CR1L、MUC17、TMPRSS11B、MUC21、TMPRSS11E、CD207、SLC30A8、CFC1、SLC12A3、SSTR1、GPR27、FZD10、TSHR、SIGLEC15、SLC6A3、KISS1R、QRFPR、GPR119、CLDN6、UPK2、ADAM12、SLC45A3、ACPP、MUC21、MUC16、MS4A12、ALPP、CEA、EphA2、FAP、GPC3、IL13-Rα2、メソテリン、PSMA、ROR1、VEGFR-II、GD2、FR-α、ErbB2、EpCAM、EGFRvIII、B7-H3、またはEGFRである、実施形態202に記載の組成物または方法。
【0436】
211、固形腫瘍抗原が、腫瘍関連MUC1であるか、またはそれを含む、実施形態202に記載の組成物または方法。
【0437】
212、CARが、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメイン、およびCD3ゼータドメインを含む、実施形態191-211のいずれか一項に記載の組成物または方法。
【0438】
213、共刺激ドメインが、CD27、CD28、4-1BB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3の細胞内ドメイン、CD83に特異的に結合するリガンド、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態212に記載の組成物または方法。
【0439】
214、第2のCARの共刺激ドメインが4-1BBの細胞内ドメインを含むか、またはそれであり、かつ第2のCARの結合ドメインがTSHRに結合し、および/または、第1のCARの結合ドメインがCD19に結合し、かつ第2のCARの共刺激ドメインがCD28の細胞内ドメインを含むか、またはそれである、実施形態213に記載の組成物または方法。
【0440】
215、第1の細胞集団および/または第2の細胞集団が、PD-1のドミナントネガティブ形態をさらに含む、実施形態191-214のいずれか一項に記載の組成物または方法。
【0441】
216、第1の細胞集団が、第1のCARおよびPD-1のドミナントネガティブ形態をコードするベクターを含む、実施形態215に記載の組成物または方法。
【0442】
217、第1のCARが、TSHRに結合するscFv、4-1BBまたはCD28の細胞内ドメイン、およびCD3ゼータドメインを含み、第2のCARが、CD19に結合するscFv、4-1BBまたはCD28の細胞内ドメイン、およびCD3ゼータドメインを含む、実施形態191-216のいずれか一項に記載の組成物または方法。
【0443】
218、第1のCARが配列番号5を含み、第2のCARが配列番号70を含む、実施形態191-217のいずれか一項に記載の組成物または方法。
【0444】
219、第2の細胞集団が、第1のCARをコードするレンチウイルスベクターと治療薬を含み、第1の細胞集団が、第2のCARをコードするレンチウイルスベクターとPD-1のドミナントネガティブ形態を含む、実施形態191-218のいずれか一項に記載の組成物または方法。
【0445】
220、第1の細胞集団が第1のCARおよび治療薬を含み、第2の細胞集団が第2のCARおよびPD-1のドミナントネガティブ形態を含む、実施形態191-219のいずれか一項に記載の組成物または方法。
【0446】
221、治療薬がサイトカインを含むか、またはそれである、実施形態219および220のいずれか一項に記載の組成物または方法。
【0447】
222、サイトカインがIL6および/またはINFγである、実施形態221に記載の組成物または方法。
【0448】
223、方法であって、
患者における第1のT細胞集団の増殖を増強するために、CD19に結合するscFv、4-1BBまたはCD28の細胞内ドメイン、CD3ゼータドメインを含むCARを含む第1のT細胞集団の有効量を患者に投与することと、
癌を有する患者に、TSHRに結合するscFv、4-1BBまたはCD28の細胞内ドメイン、およびCD3ゼータドメインを含むCARを含む第2のT細胞集団の有効量を投与することと、を含む、方法。
【0449】
224、第1の細胞集団が、tMUC1に結合するscFv、4-1BBまたはCD28の細胞内ドメイン、およびCD3ゼータドメインを含む追加のCARをさらに含む、実施形態223に記載の方法。
【0450】
225、第2の細胞集団が、CD19に結合するscFvを含まない、実施形態223に記載の方法。
【0451】
226、第1の細胞集団が、TSHRに結合するscFvを含まない、実施形態223に記載の方法。
【0452】
227、第1の分子が改変TCRである、実施形態190に記載の組成物。
【0453】
228、TCRが、患者において自然発生した腫瘍特異的T細胞に由来する、実施形態227に記載の組成物。
【0454】
229、TCRが腫瘍抗原に結合する、実施形態227に記載の組成物。
【0455】
230、腫瘍抗原が、CEA、gp100、MART-1、p53、MAGE-A3、またはNY-ESO-1を含み、またはTCRが、TCRγとTCRδ鎖、またはTCRαとTCRβ鎖、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態227に記載の組成物。
【0456】
231、改変細胞が、ヒトドナーから単離された一次ヒトT細胞に由来するT細胞である、実施形態190-230のいずれか一項に記載の改変細胞、医薬組成物または方法。
【0457】
232、細胞が、内因性TRAC遺伝子の発現が低下している、実施形態231に記載の改変細胞、医薬組成物、または方法。
【0458】
233、改変細胞が、癌を有する被検体から単離された一次ヒトT細胞に由来するT細胞である、実施形態190-230のいずれか一項に記載の改変細胞、医薬組成物または方法。
【0459】
234、ポリヌクレオチドが、IL6をコードする第1のポリヌクレオチド、およびIFN-γをコードする第2のポリヌクレオチドを含み、第1のポリヌクレオチドと第2のポリヌクレオチドが、IRES要素または2Aペプチドをコードする第3のポリヌクレオチドによって接続される、実施形態190-233のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、CAR細胞集団、医薬組成物、または方法。
【0460】
235、ポリヌクレオチドが、配列番号287および/または328の1つ以上のアミノ酸配列、またはそれらの組み合わせをコードするポリヌクレオチドであるか、またはそれらを含む、実施形態190-234のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、CAR細胞集団、医薬組成物、または方法。
【0461】
236、実施形態190-235のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、CAR細胞集団、医薬組成物、または方法であって、ポリヌクレオチドの発現が、治療薬が標的抗原の結合に応答して発現するように条件付き発現系によって制御され、または実施形態1-47のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、CAR細胞集団、医薬組成物、または方法であって、追加のポリヌクレオチドの発現が、SynNotchポリペプチドによって制御される。
【0462】
237、治療薬を発現または分泌するT細胞を投与された被検体におけるT細胞応答が、治療薬を発現または分泌しないT細胞を投与された被検体におけるT細胞応答と比較して増強される、または、CAR T細胞および治療薬を投与された被検体におけるT細胞応答が、治療薬を投与せずにCAR T細胞を投与された被検体におけるT細胞応答と比較して増強される、実施形態190-236のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、CAR細胞集団、医薬組成物、改変細胞、または方法。
【0463】
238、治療薬の発現および/または分泌が、誘導性発現系によって制御され、および/または改変細胞が、誘導性自殺系をコードするポリヌクレオチドを含む、実施形態190-237のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、CAR細胞集団、医薬組成物、改変細胞、または方法。
【0464】
239、IL6の濃度値の範囲が、被検体の血液中で60-5000pg/ml、200-5000pg/ml、または2000-5000pg/mlである、実施形態190-238のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、CAR細胞集団、医薬組成物、改変細胞、または方法。
【0465】
240、IFN-γの濃度値の範囲が、被検体の血液中で20-5000pg/ml、200-5000pg/ml、または500-5000pg/mlである、実施形態190-239のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、CAR細胞集団、医薬組成物、改変細胞、または方法。
【0466】
241、改変細胞が、細胞における治療薬の発現および/または分泌を調節する転写モジュレーターへの結合部位を含むポリヌクレオチドを含む、実施形態190-240のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、CAR細胞集団、医薬組成物、改変細胞、または方法。
【0467】
242、転写モジュレーターが、Hif1a、NFAT、FOXP3、および/またはNFkBであるか、またはそれらを含み、プロモーターが転写モジュレーターに応答する、実施形態241に記載の単離ポリヌクレオチド、CAR細胞集団、医薬組成物、改変細胞、または方法。
【0468】
243、プロモーターが、プロモーターが細胞における治療薬の発現および/または分泌を駆動するように、治療薬をコードするポリヌクレオチドに動作可能に連結される、実施形態241に記載の単離ポリヌクレオチド、CAR細胞集団、医薬組成物、改変細胞、または方法。
【0469】
244、プロモーターが、配列番号332、333、341、469、または342のうちの少なくとも1つを含む、実施形態241-243のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、CAR細胞集団、医薬組成物、改変細胞、または方法。
【0470】
245、第1のおよび第2の細胞集団が、TSHR-CAR(CARのscFv:配列番号8):およびhCD19-CAR-NATF-IL6-2A-IFNγ(CD19 CARのscFv:配列番号5;NATFのアミノ酸配列(aa):配列番号469;IL6のaa:配列番号287;2Aが配列番号327:およびIFN-γのaa:配列番号328である)を含む、実施形態190-57のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、CAR細胞集団、医薬組成物、改変細胞、または方法。
【0471】
246、ポリヌクレオチドおよび追加のポリヌクレオチドを含む単離ポリヌクレオチドであって、ポリヌクレオチドがキメラ抗原受容体(CAR)をコードし、追加のポリヌクレオチドが、IL-6もしくはIFN-γ、またはそれらの組み合わせであるか、またはそれらを含む治療薬をコードする、単離ポリヌクレオチド。
【0472】
247、実施形態246に記載のポリヌクレオチドおよび追加のポリヌクレオチドを含むCAR細胞集団であって、CAR細胞が、リンパ球、白血球、またはPBMCを含む、CAR細胞集団。
【0473】
248、CARおよび治療薬がポリタンパク質の形態で産生され、前記ポリタンパク質が切断されて別個のCARおよび治療薬分子を生成する、実施形態247に記載のCAR細胞集団。
【0474】
249、ポリタンパク質が、CARと治療薬の間の切断性部分を含み、切断性部分が、P2AまたはT2Aを含む2Aペプチドを含み、および/または、CARと治療薬がそれぞれ構成的に発現される、実施形態247-248のいずれか一項に記載のCAR細胞集団。
【0475】
250、CAR細胞が、
CARが結合する抗原と異なる抗原に結合する追加のCARをコードする第3のポリヌクレオチド、または固形腫瘍抗原に結合する追加のCARを含み、かつCARが白血球の抗原に結合する、実施形態61-63のいずれか一項に記載のCAR細胞集団。
【0476】
251、実施形態247-250のいずれか一項に記載のCAR細胞集団を含む、医薬組成物。
【0477】
252.それを必要とする被検体におけるT細胞応答を誘発または誘導し、および/または被検体の腫瘍を治療する方法であって、実施形態251に記載の組成物の有効量を被検体に投与することを含む、方法。
【0478】
253.追加のポリヌクレオチドが、IL6をコードする第1のポリヌクレオチドおよびIFN-γをコードする第2のポリヌクレオチドを含み、第1のポリヌクレオチドと第2のポリヌクレオチドが、IRES要素または2Aペプチドをコードする第3のポリヌクレオチドによって接続される、実施形態246-252のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、CAR細胞集団、医薬組成物、または方法。
【0479】
254.追加のポリヌクレオチドが、配列番号287もしくは328、またはそれらの組み合わせのポリヌクレオチドであるか、またはそれらを含む、実施形態246-253のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、CAR細胞集団、医薬組成物、または方法。
【0480】
255.追加のポリヌクレオチドの発現が、治療薬が標的抗原の結合に応答して発現されるように条件付き発現系によって制御され、および/または、追加のポリヌクレオチドの発現が、SynNotchポリペプチドによって制御される、実施形態246-254のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、CAR細胞集団、医薬組成物、または方法。
【0481】
256、1つ以上のCARを含み、細胞が、IL-6もしくはIFN-γ、またはそれらの組み合わせであるか、またはそれらを含む治療薬を発現および分泌するように操作される、改変細胞。
【0482】
257、T細胞応答を誘発、誘導または増強し、癌を治療、または癌治療を増強する方法であって、1つ以上のCARを含むT細胞の組成物の有効量を投与することを含み、前記細胞が、IL-6もしくはIFN-γ、またはそれらの組み合わせであるか、またはそれらを含む治療薬を発現および分泌するように操作される、方法。
【0483】
258、T細胞応答を誘発、誘導または増強し、癌をし、または癌治療を増強する方法であって、
CARを含むT細胞集団の組成物の有効量を投与することと、
IL-6もしくはIFN-γ、またはそれらの組み合わせであるか、またはそれらを含む治療薬の有効量を投与することと、を含む、方法。
【0484】
259、実施形態252、257、および258のいずれか一項に記載の改変細胞または方法であって、治療薬を発現または分泌するT細胞を投与された被検体におけるT細胞応答が、治療薬を発現または分泌しないT細胞を投与された被検体におけるT細胞応答と比較して増強される、または、CAR T細胞および治療薬を投与された被検体におけるT細胞応答が、治療薬を投与せずにCAR T細胞を投与された被検体におけるT細胞応答と比較して増強される、方法。
【0485】
260、治療薬の発現および/または分泌が、誘導性発現系によって制御され、および/または改変細胞が、誘導性自殺系をコードするポリヌクレオチドを含む、実施形態256-259のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0486】
261、IL6の濃度値の範囲が、被検体の血液中で60-5000pg/ml、200-5000pg/ml、または2000-5000pg/mlである、実施形態256-259のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0487】
262、IFN-γの濃度値の範囲が、被検体の血液中で20-5000pg/ml、200-5000pg/ml、または500-5000pg/mlである、実施形態256-259のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0488】
263、治療薬の有効量を投与することが、体重1キログラム当たり約0.5-50ugの範囲の量のIL-6を静脈内送達することを含む、実施形態256-262のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0489】
264、改変細胞またはT細胞が、固形腫瘍抗原に結合する追加のCARを含み、(第1の)CARが白血球の抗原に結合する、実施形態256-263のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0490】
265、固形腫瘍抗原が、tMUC1、PRLR、CLCA1、MUC12、GUCY2C、GPR35、CR1L、MUC17、TMPRSS11B、MUC21、TMPRSS11E、CD207、SLC30A8、CFC1、SLC12A3、SSTR1、GPR27、FZD10、TSHR、SIGLEC15、SLC6A3、KISS1R、QRFPR、GPR119、CLDN6、UPK2、ADAM12、SLC45A3、ACPP、MUC21、MUC16、MS4A12、ALPP、CEA、EphA2、FAP、GPC3、IL13-Rα2、メソテリン、PSMA、ROR1、VEGFR-II、GD2、FR-α、ErbB2、EpCAM、EGFRvIII、PSCA、またはEGFRであり、白血球がB細胞抗原であり、B細胞抗原がCD19、CD20、CD22、またはBCMAである、実施形態264に記載の改変細胞または方法。
【0491】
266、改変細胞またはT細胞がPD-1のドミナントネガティブ形態を含む、実施形態256-265のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0492】
267、改変細胞またはT細胞が、機能的なPD-1細胞内ドメインを欠く改変PD-1を含む、実施形態259-266のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0493】
268、CARが、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含み、細胞外ドメインが抗原に結合する、実施形態246-267のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、CAR細胞集団、医薬組成物、改変細胞、または方法。
【0494】
269、細胞内ドメインが、CD27、CD28、4-1BB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む共刺激ドメインを含む、実施形態246-268のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、CAR細胞集団、医薬組成物、改変細胞、または方法。
【0495】
270、抗原が、上皮成長因子受容体(EGFR)、上皮成長因子受容体の変異体III(EGFRvIII)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、メソテリン(MSLN)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、癌胎児性抗原(CEA)、ジシアロガングリオシド2(GD2)、インターロイキン-13Ra2(IL13Rα2)、グリピカン-3(GPC3)、炭酸脱水酵素IX(CAIX)、L1細胞接着分子(L1-CAM)、癌抗原125(CA125)、分化クラスター133(CD133)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、癌/精巣抗原1B(CTAG1B)、ムチン1(MUC1)、葉酸受容体-α(FR-α)、CD19、FZD10、TSHR、PRLR、MUC17、GUCY2C、CD207、CD3、CD5、B細胞成熟抗原(BCMA)、またはCD4である、実施形態246-269のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、CAR細胞集団、医薬組成物、改変細胞、または方法。
【0496】
271、治療薬が、組換えDNA構築物、mRNA、またはウイルスベクターで改変細胞に存在する、実施形態246-270のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、CAR細胞集団、医薬組成物、改変細胞、または方法。
【0497】
272、改変細胞が、治療薬をコードする治療薬mRNAを含み、mRNAが、改変細胞のゲノムに組み込まれない、実施形態246-271のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、CAR細胞集団、医薬組成物、改変細胞、または方法。
【0498】
273、改変細胞が、細胞における治療薬の発現および/または分泌を調節する転写モジュレーターへの結合部位を含むプロモーターを含むポリヌクレオチドを含む、実施形態246-272のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、CAR細胞集団、医薬組成物、改変細胞、または方法。
【0499】
274、転写モジュレーターが、Hif1a、NFAT、FOXP3、および/またはNFkBであるか、またはそれらを含む、実施形態273に記載の単離ポリヌクレオチド、CAR細胞集団、医薬組成物、改変細胞、または方法。
【0500】
275、プロモーターが転写モジュレーターに応答する、実施形態273に記載の単離ポリヌクレオチド、CAR細胞集団、医薬組成物、改変細胞、または方法。
【0501】
276、プロモーターが、プロモーターが細胞における治療薬の発現および/または分泌を駆動するように、治療薬をコードするポリヌクレオチドに動作可能に連結される、実施形態273に記載の単離ポリヌクレオチド、CAR細胞集団、医薬組成物、改変細胞、または方法。
【0502】
277、プロモーターが、配列番号323-325のアミノ酸配列のうちの少なくとも1つであるか、またはそれらを含む、実施形態43-47のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチドおよび改変細胞。
【0503】
278、自己T細胞療法、同種T細胞療法、TCR T細胞療法、またはNK細胞療法において、前述の実施形態(1-277)のいずれかを使用する方法。
【0504】
279、前述の実施形態(1-278)のいずれか一項に記載のCARであって、目的の抗原に結合する相補性決定領域(CDR)の1つ以上を含む、CAR。
【0505】
280、少なくとも2つのサイトカインを含む1つ以上の治療薬をコードする、ポリヌクレオチド。
【0506】
281、1つ以上の治療薬をコードするポリヌクレオチドを含む、改変細胞。
【0507】
282、インビトロおよび/またはインビボでT細胞応答を増強(例えば、増殖および/または活性化)するための方法であって、1つ以上の治療薬をコードするポリヌクレオチドを導入して改変細胞を得ることと、改変細胞を培養して改変細胞集団を得ることと、抗原を含む細胞を改変細胞集団と接触させることと、を含み、改変細胞が、ポリヌクレオチドを含まない改変細胞と接触させた細胞と比較して、T細胞応答を増強する、方法。
【0508】
283、1つ以上の治療薬が、IL6、IL12、またはIFNγのうちの少なくとも2つを含む、実施形態280-282のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、改変細胞、または方法。
【0509】
284、1つ以上の治療薬が、少なくともIL12およびIFNγを含む、実施形態280-282のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、改変細胞、または方法。
【0510】
285、1つ以上の治療薬が、IL12、IL6、IFNγ、IFNβ、TNFα、またはNeo-2/15のうちの少なくとも2つを含む、実施形態280-282のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、改変細胞、または方法。
【0511】
286、改変細胞が、IL12およびIFNγをコードするポリヌクレオチドを含む、実施形態281に記載の改変細胞。
【0512】
287、改変細胞が、TNFαをコードするポリヌクレオチドを含む、実施形態281に記載の改変細胞。
【0513】
288、TNFαをコードするポリヌクレオチドが、HIF VHL結合ドメインに連結される、実施形態287に記載の改変細胞。
【0514】
289、1つ以上の治療薬が、酸素感受性ポリペプチドドメインに関連する少なくとも1つのサイトカインを含む、実施形態283-288のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、改変細胞、または方法。
【0515】
290、酸素感受性ポリペプチドドメインがHIF VHL結合ドメインを含む、実施形態289に記載のポリヌクレオチド、改変細胞、または方法。
【0516】
291、酸素感受性ポリペプチドドメインが、配列番号457であるか、またはこれを含む。
【0517】
292、ポリヌクレオチドが、サイトカイン、EAリンカー、および配列番号457をコードする、実施形態289に記載のポリヌクレオチド、改変細胞または方法。
【0518】
293、ポリヌクレオチドが、配列番号470-489または491-495のうちの少なくとも1つをコードし、または、改変細胞が、配列番号470-489および491-495のうちの少なくとも1つを含む、実施形態289に記載のポリヌクレオチド、改変細胞、または方法。
【0519】
294、ポリヌクレオチドが、細胞における治療薬の発現および/または分泌を調節する転写モジュレーターへの結合部位を含むプロモーターを含む、実施形態280-293のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、改変細胞、または方法。
【0520】
295、転写モジュレーターが、Hif1a、NFAT、FOXP3、および/またはNFkBであるか、またはそれらを含む、実施形態294に記載のポリヌクレオチド、改変細胞、または方法。
【0521】
296、ポリヌクレオチドが結合分子をコードする、実施形態280-295のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、改変細胞、または方法。
【0522】
297、結合分子がCARまたはTCRである、実施形態280-296のいずれか一項に記載の改変細胞または方法。
【0523】
298、ポリヌクレオチドが、組換えDNA構築物、mRNA、またはウイルスベクターで改変細胞に存在する、実施形態297に記載のポリヌクレオチド、改変細胞、または方法。
【0524】
299、ポリヌクレオチドが、改変細胞のゲノムに組み込まれないmRNAである、実施形態298に記載のポリヌクレオチド、改変細胞、または方法。
【0525】
300、ポリヌクレオチドが、少なくとも2つのサイトカインの間に配置される、切断可能なペプチド(例えば、2AペプチドまたはIRES)をコードする配列を含む、実施形態280-299のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、改変細胞、または方法。
【0526】
301、癌を有する被検体を治療するための組成物であって、第1の細胞集団および第2の細胞集団を含み、第1の細胞集団が、固形腫瘍抗原に結合する結合分子をコードするポリヌクレオチドを含み、第2の細胞集団が、実施形態280-300のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む、組成物。
【0527】
302、ポリヌクレオチドが、CD19に結合するCARをコードする配列、IL6をコードする配列、およびIFNγをコードする配列を含む、実施形態301に記載の組成物。
【0528】
303、ポリヌクレオチドが、CD19に結合するCARをコードする配列、IL12をコードする配列、およびIFNγをコードする配列を含む、実施形態301に記載の組成物。
【0529】
304、結合分子がCARまたはTCRである、実施形態301に記載の組成物。
305、第1の細胞集団が、HIF VHL結合ドメインに連結されたTNFαをコードするポリヌクレオチドを含む、実施形態301に記載の組成物。
【0530】
306、癌を有する被検体を治療するための組成物であって、第1の細胞集団および第2の細胞集団を含み、第1の細胞集団が、白血球抗原に結合する結合分子をコードするポリヌクレオチドを含み、第2の細胞集団が、実施形態280-300のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む、組成物。
【0531】
307、ポリヌクレオチドが、固形腫瘍抗原に結合する結合分子をコードする配列、IL6をコードする配列、およびIFNγをコードする配列を含む、実施形態306に記載の組成物。
【0532】
308、ポリヌクレオチドが、固形腫瘍抗原に結合する結合分子をコードする配列、IL12をコードする配列、およびIFNγをコードする配列を含む、実施形態306に記載の組成物。
【0533】
309、結合分子がCARまたはTCRである、実施形態306-308のいずれか一項に記載の組成物。
【0534】
310、第1の細胞集団が、HIF VHL結合ドメインに連結されたTNFαをコードするポリヌクレオチドを含む、実施形態306に記載の組成物。
【0535】
311、T細胞応答を誘発または誘導し、T細胞応答を増強し、方法、癌を有する被検体を治療し、またはその治療を増強する方法であって、癌を有する被検体に実施形態301-310のいずれか一項に記載の組成物の有効量を投与することを含む、方法。
【0536】
312、1つ以上の分子を発現するように改変されていない細胞によって発現される1つ以上の分子のレベルよりも高いレベルで1つ以上の分子を発現するように改変された細胞であって、1つ以上の分子が、サイトカイン(例えば、IFN-γ、IL-12、およびIL-6)またはそれらの誘導体を含む、細胞。
【0537】
313、抗原結合分子および1つ以上の分子を含む改変細胞であって、前記改変細胞における1つ以上の分子の発現および/または機能が増強され、1つ以上の分子がサイトカイン(例えば、IFN-γ、IL-12、およびIL-6)を含む、改変細胞。
【0538】
314、1つ以上の分子の生合成経路または輸送経路に関連する内因性遺伝子の破壊または外因性遺伝子の追加を含む、実施形態312および313のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0539】
315、ポリヌクレオチドの方法または使用であって、前記方法が、
ベクターゲノムを含むウイルス粒子(例えば、AAV、レンチウイルスまたはそれらの変異体)を提供することと、ベクターゲノムが、1つ以上のサイトカインをコードするポリヌクレオチド、および結合分子をコードするポリヌクレオチドを含み、ポリヌクレオチドがポリヌクレオチドの転写を付与する発現制御要素に動作可能に連結される、
ポリヌクレオチドが被検体において発現されるような量のウイルス粒子を被検体に投与することと、を含む方法または使用。サイトカインの例が、IFN-γ、IL-12、およびIL-6を含む。
【0540】
316、AAV調製物が、AAVベクター粒子、空キャプシドおよび宿主細胞の不純物を含み、それによって2Aペプチドが、AAV空キャプシドを実質的に含まないAAV製品を提供し得る、実施形態315に記載の方法。
【0541】
317、実施形態312-314のいずれか一項に記載の細胞集団を含む、医薬組成物。
【0542】
318、それを必要とする被検体におけるT細胞応答を誘発または誘致し、および/または被検体の腫瘍を治療する方法であって、実施形態317に記載の組成物の有効量を被検体に投与することを含む、方法。
【0543】
319、細胞療法を増強する方法であって、実施形態317に記載の組成物の有効量を被検体に投与することを含み、被検体におけるM2マクロファージの数が、IFN-γの発現が増強されていない改変細胞の有効量を投与された被検体におけるM2マクロファージと比較して減少しており、かつサイトカインがIFNγである、方法。
【0544】
320、M2マクロファージの数を減少させる方法であって、M2マクロファージを実施形態317に記載の組成物の有効量と被検体に接触させることを含み、被検体におけるM2マクロファージの数が、IFN-γの発現が増強されていない改変細胞の有効量を投与された被検体におけるM2マクロファージと比較して減少しており、かつサイトカインがIFNγである、方法。
【0545】
321、改変細胞が改変細胞の活性化に応答してより高いレベルのIFN-γを発現するように、IFN-γの発現が制御される、実施形態319および320のいずれか一項に記載の方法。
【0546】
322、IFN-γを含む1つ以上の分子をコードする、単離ポリヌクレオチド。
【0547】
323、1つ以上の分子がIL-16をさらに含む、実施形態312-322のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド、改変細胞、方法、または医薬組成物。
【0548】
324、改変細胞が抗原結合分子を含み、前記抗原結合分子が、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)である、実施形態312-323のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0549】
325、抗原結合ドメインが、TSHR、CD19、CD123、CD22、CD30、CD171、CS-1、CLL-1、CD33、EGFRvIII、GD2、GD3、BCMA、Tn Ag、PSMA、ROR1、FLT3、FAP、TAG72、CD38、CD44v6、CEA、EPCAM、B7H3、KIT、IL-13Ra2、メソテリン、IL-11Ra、PSCA、PRSS21、VEGFR2、LewisY、CD24、PDGFR-ベータ、SSEA-4、CD20、葉酸受容体α、ERBB2(Her2/neu)、MUC1、EGFR、NCAM、プロスターゼ、PAP、ELF2M、エフリンB2、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gp100、bcr-abl、チロシナーゼ、EphA2、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体ベータ、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WT1、NY-ESO-1、LAGE-1a、MAGE-A1、レグマイン、HPV E6、E7、MAGE A1、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie 2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、プロスタイン、サバイビンおよびテロメラーゼ、PCTA-1/ガレクチン8、MelanA/MART1、Ras変異体、hTERT、肉腫 転座切断点、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸内カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5、およびIGLL1からなる群から選択される腫瘍抗原に結合する、実施形態324に記載の改変細胞。
【0550】
326、細胞内シグナル伝達ドメインが、共刺激シグナル伝達ドメイン、または一次シグナル伝達ドメインおよび共刺激シグナル伝達ドメインを含み、前記共刺激シグナル伝達ドメインが、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83に特異的に結合するリガンド、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、CD160、CD19、CD4、CD8α、CD8ベータ、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7R α、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、NKp44、NKp30、NKp46、およびNKG2Dからなる群から選択されるタンパク質の機能的シグナル伝達ドメインを含む、実施形態324および325のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0551】
327、改変細胞が抗原結合分子を含み、前記抗原結合分子が改変TCRである、実施形態312-318および319-323のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0552】
328、TCRが、患者において自然発生した腫瘍特異的T細胞に由来する、実施形態327に記載の改変細胞。
【0553】
329、TCRが腫瘍抗原に結合する、実施形態328に記載の改変細胞。
【0554】
330、腫瘍抗原が、CEA、gp100、MART-1、p53、MAGE-A3、またはNY-ESO-1を含む、実施形態329に記載の改変細胞。
【0555】
331、TCRが、TCRγとTCRδ鎖またはTCRαとTCRβ鎖、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態329に記載の改変細胞。
【0556】
332、細胞が、免疫エフェクター細胞(例えば、免疫エフェクター細胞の集団)である、前述の実施形態(312-331)のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0557】
333、免疫エフェクター細胞がT細胞またはNK細胞である、実施形態332に記載の改変細胞。
【0558】
334、免疫エフェクター細胞がT細胞である、実施形態333に記載の改変細胞。
【0559】
335、T細胞が、CD4+T細胞、CD8+T細胞、またはそれらの組み合わせである、実施形態333に記載の改変細胞。
【0560】
336、細胞がヒト細胞である、実施形態312-336のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0561】
337、1つ以上の分子の増強された発現および/または機能が、1つ以上の分子および/または結合分子をコードするポリヌクレオチドを導入することによって実現され、前記ポリヌクレオチドが、組換えDNA構築物、mRNA、またはウイルスベクターで改変細胞に存在する、前述の実施形態312-336のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0562】
338、ポリヌクレオチドが、改変細胞のゲノムに組み込まれないmRNAである、実施形態337に記載の改変細胞。
【0563】
339、ポリヌクレオチドが酸素感受性ポリペプチドドメインに関連する、実施形態337に記載の改変細胞。
【0564】
340、酸素感受性ポリペプチドドメインがHIF VHL結合ドメインを含む、実施形態339に記載の改変細胞。
【0565】
341、ポリヌクレオチドが、細胞における治療薬の発現および/または分泌を調節する転写モジュレーターへの結合部位を含むプロモーターによって制御される、実施形態337に記載の改変細胞。
【0566】
342、転写モジュレーターが、Hif1a、NFAT、FOXP3、および/またはNFkBであるか、またはそれらを含む、実施形態341に記載の改変細胞。
【0567】
343、細胞がT細胞である、実施形態311-342のいずれか一項に記載の改変細胞の集団を含む医薬組成物。
【0568】
344、プロモーターが転写モジュレーターに応答する、実施形態343に記載の医薬組成物。
【0569】
335、プロモーターが、1つ以上の分子をコードするポリヌクレオチドに動作可能に連結され、かつプロモーターが、細胞における1つ以上の分子の発現および/または分泌を駆動する、実施形態323に記載の医薬組成物。
【0570】
346、プロモーターが、配列番号323、324、または325の配列の少なくとも1つを含む、実施形態343に記載の医薬組成物。
【0571】
347、改変T細胞が、配列番号286および469をコードするポリヌクレオチドと、配列番号328をコードするポリヌクレオチドとを含む、実施形態343に記載の医薬組成物。
【0572】
348、CARおよび1つ以上の分子がポリタンパク質の形態で産生され、前記ポリタンパク質が切断されて別個のCARおよび1つ以上の治療薬を生成し、切断性部分がCARと1つ以上の治療薬の間に存在し、前記切断性部分が、P2AまたはT2Aを含む2Aペプチドを含む、実施形態343に記載の医薬組成物。
【0573】
349、改変T細胞が追加のCARを含み、CARが白血球(例えば、CD19)に結合し、追加のCARが固形腫瘍抗原に結合する、実施形態343に記載の医薬組成物。
【0574】
350、改変T細胞が追加のCARを含み、CARが固形腫瘍抗原に結合し、追加のCARが白血球の抗原に結合する、実施形態343に記載の医薬組成物。
【0575】
351、固形腫瘍抗原が、tMUC1、PRLR、CLCA1、MUC12、GUCY2C、GPR35、CR1L、MUC17、TMPRSS11B、MUC21、TMPRSS11E、CD207、SLC30A8、CFC1、SLC12A3、SSTR1、GPR27、FZD10、TSHR、SIGLEC15、SLC6A3、KISS1R、QRFPR、GPR119、CLDN6、UPK2、ADAM12、SLC45A3、ACPP、MUC21、MUC16、MS4A12、ALPP、CEA、EphA2、FAP、GPC3、IL13-Rα2、メソテリン、PSMA、ROR1、VEGFR-II、GD2、FR-α、ErbB2、EpCAM、EGFRvIII、PSCA、またはEGFRであり、白血球の抗原がCD19、CD20、CD22、またはBCMAである、実施形態349に記載の医薬組成物。
【0576】
352、改変T細胞がPD-1のドミナントネガティブ形態を含む、実施形態349に記載の医薬組成物。
【0577】
353、改変細胞が、M2マクロファージを減少させ、および/またはM2マクロファージをM1マクロファージに変換することが可能である、実施形態311-352のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0578】
354、抗原結合分子を含む改変細胞であって、前記改変細胞における1つ以上の分子の発現および/または機能が増加または増強され、前記1つ以上の分子がサイトカインを含む、改変細胞。
【0579】
355、抗原結合分子を含む改変細胞であって、前記改変細胞における1つ以上の分子の発現および/または機能が増加または増強され、前記1つ以上の分子が、IL-6、IL-12、IL-7、IL-15、およびIFNγのうちの少なくとも1つを含む、改変細胞。
【0580】
356、抗原結合分子を含む改変細胞であって、前記改変細胞における1つ以上の分子の発現および/または機能が増加または増強され、前記1つ以上の分子がIL-6およびIFNγを含む、改変細胞。
【0581】
357、抗原結合分子を含む改変細胞であって、前記改変細胞における1つ以上の分子の発現および/または機能が増加または増強され、前記1つ以上の分子がIL-12を含む、改変細胞。
【0582】
358、抗原結合分子を含む複数の改変細胞であって、複数の改変細胞における1つ以上の分子の発現および/または機能が増加または増強され、前記1つ以上の分子が、IL-6、IL-12、およびIFNγのうちの少なくとも1つを含む、複数の改変細胞。
【0583】
359、複数の改変細胞が、実施形態357に記載の改変細胞、および実施形態358に記載の改変細胞を含む、実施形態358に記載の複数の改変細胞。
【0584】
360、実施形態354-359のいずれか一項に記載の改変細胞の集団を含む、医薬組成物。
【0585】
361、それを必要とする被検体におけるT細胞応答を増強、誘発または誘致し、T細胞増殖を増強し、腫瘍成長の治療または阻害を増強し、および/または被検体の腫瘍を治療する方法であって、実施形態360に記載の組成物の有効量を被検体に投与することを含み、1つ以上の分子の発現および/または機能が増強されていない改変細胞と比較して、改変細胞の増殖、改変細胞によるT細胞応答、または腫瘍成長の阻害が増強される、方法。
【0586】
362、1つ以上の分子が、1つ以上の分子の誘導体を含む、前述の実施形態354-361のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0587】
363、改変細胞が、1つ以上の遺伝子に関連する遺伝子編集システムの1つ以上の構成要素をコードするポリヌクレオチドを含む、実施形態354-362のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0588】
364、1つ以上の遺伝子の増強された発現および/または機能が、1つ以上の分子をコードする1つ以上の遺伝子のポリヌクレオチドを導入することによって実現され、前記ポリヌクレオチドが、組換えDNA構築物、mRNA、またはウイルスベクターで改変細胞に存在する、実施形態354-362のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0589】
365、ポリヌクレオチドが、改変細胞のゲノムに組み込まれないmRNAである、実施形態363または364に記載の改変細胞。
【0590】
366、改変細胞が、1つ以上の分子をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含み、1つ以上のポリヌクレオチドが酸素感受性ポリペプチドドメインに関連する、実施形態354-362のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0591】
367、酸素感受性ポリペプチドドメインがHIF VHL結合ドメインを含む、実施形態366に記載の改変細胞。
【0592】
368、1つ以上のポリヌクレオチドが、細胞における治療薬の発現および/または分泌を調節する転写モジュレーターへの結合部位を含むプロモーターによって制御される、実施形態366または367に記載の改変細胞。
【0593】
369、転写モジュレーターが、Hif1a、NFAT、FOXP3、および/またはNFkBであるか、またはそれらを含む、実施形態368に記載の改変細胞。
【0594】
370、改変細胞が、IL-6およびIFNγをコードするポリヌクレオチドと作動的に関連する活性化T細胞の核因子(NFAT)プロモーターをコードするヌクレオチド配列を含む、実施形態356-361のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0595】
371、改変細胞が、IL-6、2Aペプチド、およびIFNγをコードするポリヌクレオチドと作動的に関連する活性化T細胞の核因子(NFAT)プロモーターをコードするヌクレオチド配列を含む、実施形態356-361のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0596】
372,改変細胞が、HIF VHL結合ドメインに関連するIL-12をコードするポリヌクレオチドと作動的に関連する活性化T細胞の核因子(NFAT)プロモーターをコードするヌクレオチド配列を含む、実施形態356-361、370、および371のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0597】
373、改変細胞が、IL-12をコードするポリヌクレオチドと作動的に関連する活性化T細胞の核因子(NFAT)プロモーターをコードするヌクレオチド配列を含む、実施形態356-361、370、および371のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0598】
374、NFATプロモーターが、1つ以上の分子をコードするヌクレオチド配列の3’に位置する、実施形態370-373のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0599】
375、1つ以上の分子が1つ以上のヒトサイトカインである、実施形態354-374のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0600】
376、改変細胞が、配列番号328または456のうちの少なくとも1つの配列を含む、実施形態354-375のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0601】
377、改変細胞が、配列番号511-525のアミノ酸配列のうちの少なくとも1つであるか、またはそれらを含む、実施形態43-47のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチドおよび改変細胞。
【0602】
378、改変細胞が、配列番号328、456、470、471、474、475、478-480、482、483、488、489、483、494、または511-525のうちの少なくとも1つの配列を含む、実施形態354-375のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0603】
379、改変細胞が、配列番号278、327、または328のうちの少なくとも1つの配列を含む、実施形態354-375のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0604】
380、改変細胞が、配列番号478または479のうちの少なくとも1つの配列を含む、実施形態354-375のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0605】
381、改変細胞が、配列番号450、470-473、480、481、486、または487のうちの少なくとも1つの配列を含む、実施形態354-375のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0606】
382、改変細胞が、配列番号328、287、または450のうちの少なくとも1つの配列を含む、実施形態354-375のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0607】
383、複数の改変細胞が、実施形態370-383に記載の改変細胞のうちの少なくとも1つを含む、実施形態358に記載の複数の改変細胞。
【0608】
384、実施形態363-383のいずれか一項に記載のヌクレオチド配列、および/または結合分子に結合するヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド。
【0609】
385、改変細胞が、1つ以上の分子の生合成経路または輸送経路に関連する外因性遺伝子の追加を含む、実施形態354-374のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0610】
386、抗原結合分子が、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)である、実施形態354-385のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0611】
387、抗原結合ドメインが、TSHR、CD19、CD123、CD22、CD30、CD171、CS-1、CLL-1、CD33、EGFRvIII、GD2、GD3、BCMA、Tn Ag、PSMA、ROR1、FLT3、FAP、TAG72、CD38、CD44v6、CEA、EPCAM、B7H3、KIT、IL-13Ra2、メソテリン、IL-11Ra、PSCA、PRSS21、VEGFR2、LewisY、CD24、PDGFR-ベータ、SSEA-4、CD20、葉酸受容体α、ERBB2(Her2/neu)、MUC1、EGFR、NCAM、プロスターゼ、PAP、ELF2M、エフリンB2、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gp100、bcr-abl、チロシナーゼ、EphA2、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体ベータ、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WT1、NY-ESO-1、LAGE-1a、MAGE-A1、レグマイン、HPV E6、E7、MAGE A1、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie 2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、プロスタイン、サバイビンおよびテロメラーゼ、PCTA-1/ガレクチン8、MelanA/MART1、Ras変異体、hTERT、肉腫 転座切断点、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸内カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5、およびIGLL1からなる群から選択される腫瘍抗原に結合する、実施形態386に記載の改変細胞。
【0612】
388、細胞内シグナル伝達ドメインが、共刺激シグナル伝達ドメイン、または一次シグナル伝達ドメインおよび共刺激シグナル伝達ドメインを含み、共刺激シグナル伝達ドメインが、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83に特異的に結合するリガンド、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、CD160、CD19、CD4、CD8α、CD8ベータ、IL2R ベータ、IL2R ガンマ、IL7R α、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、NKp44、NKp30、NKp46、およびNKG2Dからなる群から選択されるタンパク質の機能的シグナル伝達ドメインを含む、実施形態386および387のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0613】
389、抗原結合分子が改変TCRである、実施形態354-384のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0614】
390、TCRが、患者において自然発生した腫瘍特異的T細胞に由来する、実施形態389に記載の改変細胞。
【0615】
391、TCRが腫瘍抗原に結合する、実施形態390に記載の改変細胞。
【0616】
392、腫瘍抗原が、CEA、gp100、MART-1、p53、MAGE-A3、またはNY-ESO-1を含む、実施形態391に記載の改変細胞。
【0617】
393、TCRが、TCRγとTCRδ鎖またはTCRαとTCRβ鎖、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態391に記載の改変細胞。
【0618】
394、抗原結合分子を含む改変細胞であって、前記改変細胞におけるIL-12の発現および/または機能が増加または増強される、改変細胞。
【0619】
395、抗原結合分子を含む改変細胞であって、前記改変細胞におけるIL-6の発現および/または機能が増加または増強される、改変細胞。
【0620】
396、抗原結合分子を含む改変細胞であって、前記改変細胞におけるIL-6およびIFNγの発現および/または機能が増加または増強される、改変細胞。
【0621】
397、抗原結合分子を含む改変細胞であって、前記改変細胞におけるIFNγの発現および/または機能が増加または増強される、改変細胞。
【0622】
398、実施形態394および396に記載の改変細胞を含む、複数の改変細胞。
【0623】
399、実施形態394、395、396、または397に記載の改変細胞のうちの少なくとも1つを含む、複数の改変細胞。
【0624】
400、抗原結合分子が、WBCの抗原(例えば、CD19)に結合するCARである、実施形態398または399に記載の改変細胞。
【0625】
401、抗原結合分子が、固形腫瘍抗原(例えば、tMUC1)に結合するCARである、実施形態398および399のいずれか一項に記載の複数の改変細胞。
【0626】
402、IL-12をコードするポリヌクレオチドを含む第1の改変細胞、および/またはIL-6およびIFNγをコードするポリヌクレオチドを含む第2の改変細胞を含み、抗原結合分子が、WBCの抗原(例えば、CD19)に結合するCARであり、IL-12、IL-6、およびIFNγの発現がNFATプロモーターによって制御される、実施形態398および399のいずれか一項に記載の複数の改変細胞。
【0627】
403、改変細胞が、IL-12、IL-6およびIFNγ、IL-16、またはIFNγをコードするポリヌクレオチドを含む、前述の実施形態394-401のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0628】
404、ポリヌクレオチドが、NFATをコードするポリヌクレオチドに作動的に連結される、実施形態403に記載の改変細胞。
【0629】
405、IL-12、IL-6およびIFNγ、IL-16、またはIFNγの発現が、改変細胞が活性化されたときに、改変細胞において増強される、実施形態404に記載の改変細胞。
【0630】
406、IL-12をコードするポリヌクレオチドが、発現されたIL-12の維持および/または機能が酸素感受性であるように、HIF VHL結合ドメインに関連している、実施形態404に記載の改変細胞。
【0631】
407、複数の改変細胞が、固形腫瘍抗原に結合する追加の結合分子(例えば、CARまたはTCR)を含む追加の改変細胞をさらに含む、実施形態400に記載の複数の改変細胞。
【0632】
408、追加の改変細胞が、固形腫瘍抗原に結合する追加のCARである、実施形態407に記載の複数の改変細胞。
【0633】
409、改変細胞が、被検体または健康なドナーに由来するヒトT細胞である、実施形態394-408のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0634】
410、細胞が免疫エフェクター細胞である、実施形態394-409のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0635】
411、免疫エフェクター細胞がT細胞またはNK細胞である、実施形態410に記載の改変細胞。
【0636】
412、免疫エフェクター細胞がT細胞である、実施形態411に記載の改変細胞。
【0637】
413、T細胞が、CD4+T細胞、CD8+T細胞、またはそれらの組み合わせである、実施形態412に記載の改変細胞。
【0638】
414、細胞がヒト細胞である、実施形態354-412のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0639】
415、改変細胞が2つ以上の結合分子を含む、実施形態354-412のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0640】
416、複数の改変細胞が、WBCの抗原(例えば、CD19)に結合するCARと、固形腫瘍抗原(例えば、tMUC1)に結合するCARとを含む改変細胞を含む、実施形態354-415のいずれか一項に記載の複数の改変細胞。
【0641】
417、改変細胞が、PD1のドミナントネガティブ形態を含む、実施形態354-416のいずれか一項に記載の改変細胞。
【0642】
418、治療薬をコードするポリヌクレオチドに動作可能に連結されたプロモーターをコードするポリヌクレオチドと、WBCの細胞表面分子に結合するCARをコードするポリヌクレオチドとを含む、ポリヌクレオチド。ポリヌクレオチドの例を図56に示す。
【0643】
419、プロモーターが、Hif1a、NFAT、FOXP3、NFKB、AP-1、AT-hook、および/またはNFkBのうちの少なくとも1つを含む、実施形態418に記載のポリヌクレオチド。
【0644】
420、プロモーターが、ポリヌクレオチドを含む細胞が細胞の活性化に応答して治療薬を発現するようなNFATである、実施形態418に記載のポリヌクレオチド。
【0645】
421、細胞表面分子が、CD19、CD22、CD20、BCMA、CD5、CD7、CD2、CD16、CD56、CD30、CD14、CD68、CD11b、CD18、CD169、CD1c、CD33、CD38、CD138、またはCD13である、実施形態418-420のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【0646】
422、細胞表面分子が、CD19、CD20、CD22、またはBCMAである、実施形態418-420のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【0647】
423、細胞表面分子が、CD19またはBCMAである、実施形態418-420のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【0648】
424、治療薬がサイトカインを含む、実施形態418-423のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【0649】
425、治療薬が、IFN-γ、IL-2、IL-6、IL-7、IL-15、IL-17、またはIL-23のうちの少なくとも1つを含む、実施形態418-423のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【0650】
426、治療薬がIL-12を含む、実施形態418-423のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【0651】
427、治療薬が、IL-6、IFNγ、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態418-423のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【0652】
428、治療薬をコードするポリヌクレオチドが、ポリヌクレオチドを含む細胞による治療薬の発現が酸素レベルによって制御されるように、治療薬に連結されたHIF VHL結合ドメインをさらにコードする、実施形態418-427のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【0653】
429、実施形態418-428のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドと、固形腫瘍抗原に結合するCARをコードする追加のポリヌクレオチドとを含む複数のポリヌクレオチドを含む、組成物。
【0654】
430、実施形態418-428のいずれか一項に記載の2つポリヌクレオチドと、固形腫瘍抗原に結合するCARをコードする追加のポリヌクレオチドとを含む組成物であって、2つのポリヌクレオチドの治療薬が異なる、組成物。
【0655】
431、固形腫瘍抗原に結合するCARをコードする追加のポリヌクレオチドが、実施形態418-428のいずれか一項に記載の分子または治療薬をコードするポリヌクレオチドをさらに含む、実施形態429および430のいずれか一項に記載の組成物。
【0656】
432、分子が、改変されたチェックポイントタンパク質(例えば、PD1またはPDL-1のドミナントネガティブ形態)である、実施形態431に記載の組成物。
【0657】
433、実施形態418-428のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、および/または実施形態429-432のいずれか一項に記載の組成物を含む、改変細胞。
【0658】
434、腫瘍を有する被検体のT細胞応答を誘発、誘導または増強し、または被検体を治療する方法であって、実施形態433に記載の改変細胞を含む医薬組成物の有効量を投与することを含む、方法。
【0659】
434、腫瘍が固形腫瘍である、実施形態434に記載の方法。
【0660】
435、実施形態418-428のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む、改変細胞。
【0661】
436、白血病、リンパ腫、または多発性骨髄腫を有する被検体のT細胞応答を誘発、誘導または増強し、または被検体を治療する方法であって、実施形態435に記載の改変細胞を含む医薬組成物の有効量を投与することを含む、方法。
【0662】
437、CARがCD19に結合し、被検体が白血病またはリンパ腫を有し、治療薬がIL-6およびIFNγを含む、実施形態436に記載の方法。
【0663】
438、改変細胞が、IL-12をコードするポリヌクレオチドをさらに含む、実施形態437に記載の方法。
【0664】
439、CARがBCMAに結合し、被検体が骨髄腫を有し、治療薬がIL-6およびIFNγを含む、実施形態436に記載の方法。
【0665】
440、改変細胞が、IL-12をコードするポリヌクレオチドをさらに含む、実施形態439に記載の方法。
【0666】
441、癌を有する被検体を治療する方法であって、
T細胞を、B細胞抗原および1つ以上のサイトカインに結合するCARをコードする第1のポリヌクレオチドと、固形腫瘍抗原に結合するCARをコードする第2のポリヌクレオチドとを含む複数のポリヌクレオチドと接触させて、改変T細胞を得ることと、
改変T細胞の有効量を被検体に投与することと、を含む、方法。
【0667】
442、癌を有する被検体の治療を増強するための方法であって、
T細胞を、B細胞抗原および1つ以上のサイトカインに結合するCARをコードする第1のポリヌクレオチドと、固形腫瘍抗原に結合するCARをコードする第2のポリヌクレオチドとを含む複数のポリヌクレオチドと接触させて、改変T細胞を得ることと、
改変細胞の有効量を被検体に投与することと、を含み、改変T細胞が、CAR T細胞注入に対するT細胞応答を増強し、前記T細胞応答が、固形腫瘍抗原に結合するCARを含む改変T細胞を投与された被検体、B細胞抗原に結合するCARを含む改変T細胞を投与された被検体、またはそれらの組み合わせと比較して、T細胞増殖、T細胞の活性化、サイトカインの放出、および腫瘍成長の阻害の少なくとも1つを含む、方法。
【0668】
443、改変T細胞を培養することをさらに含む、実施形態441または442に記載の方法。
【0669】
444、1つ以上のサイトカインが、IL-6および/またはIFNγを含む、実施形態441または442に記載の方法。
【0670】
445、改変T細胞の少なくとも一部における1つ以上のタンパク質の発現および/または機能が増加または増強され、1つ以上のタンパク質が、IL-6もしくはその誘導体、IFNγもしくはその誘導体、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態441または442に記載の方法。
【0671】
446、改変T細胞の少なくとも一部が、改変T細胞の少なくとも一部の活性化または低酸素、またはそれらの組み合わせに応答して、1つ以上のタンパク質を発現または分泌する、実施形態444に記載の方法。
【0672】
447、IL-6がヒトIL-6であり、IFNγがヒトIFNγである、実施形態444に記載の方法。
【0673】
448、改変T細胞が、1つ以上のタンパク質をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、実施形態444に記載の方法。
【0674】
449、外因性ポリヌクレオチドが、組換えDNA構築物、mRNA、またはウイルスベクターで改変T細胞に存在する、実施形態448に記載の方法。
【0675】
450、外因性ポリヌクレオチドが、配列番号287をコードするポリヌクレオチドと、配列番号328をコードするポリヌクレオチドとを含む、実施形態448に記載の方法。
【0676】
451、外因性ポリヌクレオチドが、改変細胞における1つ以上のタンパク質の発現および/または分泌を調節する転写モジュレーターへの結合部位を含むプロモーターを含む、実施形態448に記載の方法。
【0677】
452、転写モジュレーターが、Hif1a、NFAT、FOXP3、またはNFkBであるか、またはそれらを含む、実施形態451に記載の方法。
【0678】
453、抗原結合分子および1つ以上のタンパク質がポリタンパク質の形態で産生され、前記ポリタンパク質が切断されて別個の抗原結合分子および1つ以上の治療薬分子を生成し、切断性部分が抗原結合分子と1つ以上のタンパク質の間に存在する、実施形態444に記載の方法。
【0679】
454、複数のポリヌクレオチドが、B細胞抗原およびIL-12またはその誘導体に結合するCARをコードする第3のポリヌクレオチドを含む、実施形態444に記載の方法。
【0680】
455、改変T細胞が、改変T細胞の活性化もしくは低酸素、またはそれらの組み合わせに応答して、ヒトIL-12を発現および分泌する、実施形態454に記載の方法。
456、CARが、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含み、細胞外ドメインが抗原に結合する、実施形態441-455のいずれか一項に記載の方法。
【0681】
457、CARが、TSHR、CD19、CD123、CD22、CD30、CD171、CS-1、CLL-1、CD33、EGFRvIII、GD2、GD3、BCMA、Tn Ag、PSMA、ROR1、FLT3、FAP、TAG72、CD38、CD44v6、CEA、EPCAM、B7H3、KIT、IL-13Ra2、メソテリン、IL-11Ra、PSCA、PRSS21、VEGFR2、LewisY、CD24、PDGFR-ベータ、SSEA-4、CD20、葉酸受容体α、ERBB2(Her2/neu)、MUC1、EGFR、NCAM、プロスターゼ、PAP、ELF2M、エフリンB2、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gp100、bcr-abl、チロシナーゼ、EphA2、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体ベータ、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WT1、NY-ESO-1、LAGE-1a、MAGE-A1、レグマイン、HPV E6、E7、MAGE A1、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie 2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、プロスタイン、サバイビンおよびテロメラーゼ、PCTA-1/ガレクチン8、MelanA/MART1、Ras変異体、hTERT、肉腫 転座切断点、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸内カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5、およびIGLL1に結合する、実施形態456に記載の方法。
【0682】
458、細胞内ドメインが、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83に特異的に結合するリガンド、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、CD160、CD19、CD4、CD8α、CD8ベータ、IL2R ベータ、IL2R ガンマ、IL7R α、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、NKp44、NKp30、NKp46、およびNKG2Dからなる群から選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む共刺激ドメインを含む、実施形態457に記載の方法。
【0683】
459、CARが、CD19、CD22、CD20、BCMA、CD5、CD7、CD2、CD16、CD56、CD30、CD14、CD68、CD11b、CD18、CD169、CD1c、CD33、CD38、CD138、およびCD13からなる群から選択されるB細胞抗原に結合する、実施形態456に記載の方法。
【0684】
460、癌が甲状腺癌であり、B細胞抗原がCD19であり、固形腫瘍抗原がTSHRである、実施形態441-459のいずれか一項に記載の方法。
【0685】
461、癌が結腸直腸癌であり、B細胞抗原がCD19であり、固形腫瘍抗原がGUCY2Cである、実施形態441-459のいずれか一項に記載の方法。
【0686】
462、TSHRまたはGUCY2Cに結合する第1のCAR T細胞集団と、CD19に結合する第2のCAR T細胞集団とを含む医薬組成物であって、第2のCAR細胞集団の1つ以上のサイトカインの発現が増強され、1つ以上のサイトカインが、IL-6、IL-12、およびIFNγのうちの少なくとも1つを含む、医薬組成物。
【0687】
463、CD10およびTSHRまたはGUCY2Cに結合する第3のCAR T細胞をさらに含む、実施形態462に記載の医薬組成物。
【0688】
464、実施形態441-461のいずれか一項に記載の改変細胞を含む、医薬組成物。
【0689】
465、サイトカインの放出を増強する方法であって、
1つ以上のサイトカインをコードするポリヌクレオチドを細胞に導入して改変細胞を得ること、または1つ以上のサイトカインの発現および/または機能を増強する分子を細胞に導入して改変細胞を得ることと、改変細胞を、抗原(例えば、固形腫瘍抗原)を含む細胞と接触させることと、
改変細胞が放出するサイトカインのレベルを測定することと、を含み、抗原を発現する細胞に応答して放出されるサイトカインのレベルが、ポリヌクレオチドまたは分子を導入せず、抗原を発現する細胞と接触させた細胞によって放出されるサイトカインのレベルよりも高い、方法。
【0690】
466、1つ以上のサイトカインがIL-6および/またはIFNγを含み、改変細胞が、抗原を発現する細胞に応答してIL-6および/またはIFNγを過剰発現し、細胞に応答して改変細胞によって放出されるサイトカインのレベルが、IL-6および/またはIFNγを過剰発現しない細胞によって放出されるサイトカインのレベルよりも高い、実施形態465に記載の方法。
【0691】
467、改変細胞がさらにIL-12を過剰発現し、抗原を発現する細胞に応答して改変細胞によって放出されるサイトカインのレベルが、IL-12ではなくIL-6および/またはIFNγを過剰発現する細胞によって放出されるサイトカインのレベルよりも高い、実施形態466に記載の方法。
【0692】
468、サイトカインの放出が、IL6、IFNγ、TNF-α、GZMBのうちの少なくとも1つのサイトカインの放出を含む、実施形態467に記載の方法。
【0693】
468、T細胞応答を増強する方法であって、IFNγをコードするポリヌクレオチドをT細胞に導入することと、T細胞を培養することと、T細胞を、抗原を発現する細胞と接触させることと、抗原を発現する細胞に応答するT細胞のT細胞応答を測定することと、を含み、T細胞のT細胞応答のレベルが、IFNγをコードするポリヌクレオチドを含まないT細胞のT細胞応答のレベルよりも高い、方法。
【0694】
469、IL-6をコードするポリヌクレオチドをT細胞に導入することをさらに含み、T細胞のT細胞応答のレベルが、IL-6をコードするポリヌクレオチドを含まずIFNγをコードするポリヌクレオチドを含むT細胞のT細胞応答のレベルよりも高い、実施形態468に記載の方法。
【0695】
470、T細胞応答が、IL-2、IL-6、TNFα、またはIFNγのうちの少なくとも1つを含むサイトカインの放出を含む、実施形態468または469に記載の方法。
【0696】
471、T細胞応答を増強する方法であって、IL-6をコードするポリヌクレオチドをT細胞に導入することと、T細胞を培養することと、T細胞を、抗原を発現する細胞と接触させることと、抗原を発現する細胞に応答するT細胞のT細胞応答のレベルを測定することと、を含み、T細胞のT細胞応答のレベルが、IL-6をコードするポリヌクレオチドを含まないT細胞のT細胞応答のレベルよりも高い、方法。
【0697】
472、IL-12をコードするポリヌクレオチドをT細胞に導入することをさらに含み、T細胞のT細胞応答のレベルが、IL-12をコードするポリヌクレオチドを含まずIL-6をコードするポリヌクレオチドを含むT細胞のT細胞応答のレベルよりも高い、実施形態471に記載の方法。
【0698】
473、T細胞応答が、IL-12、TNFα、およびIFNγのうちの少なくとも1つを含むサイトカインの放出を含む、実施形態471または472に記載の方法。
【0699】
474、改変細胞またはT細胞が、実施形態465-473のいずれか一項に記載の結合分子を含む、実施形態465-473のいずれか一項に記載の方法。
【0700】
475、抗原が固形腫瘍抗原またはWBC抗原である、実施形態465-473のいずれか一項に記載の方法。
【0701】
476、細胞が、T細胞、NK細胞、DCs、および/またはマクロファージである、実施形態465-468、474、または475のいずれか一項に記載の方法。
【0702】
477、細胞またはT細胞がヒト細胞である、実施形態465-475のいずれか一項に記載の方法。
【0703】
478、細胞がヒトT細胞である、実施形態465-468、474、または475のいずれか一項に記載の方法。
【0704】
479、図56の実施形態1および実施形態2、および/または表11に記載の1つ以上のベクターを含む、組成物。実施形態では、1つ以上のベクターが、表11のベクター1、ベクター2、ベクター3、またはベクター4である。
【0705】
480、CAR T細胞を調製する方法であって、健康なドナーまたは被検体からT細胞を得ることと、T細胞を実施形態479に記載の組成物と接触させてCAR T細胞を得ることと、CAR T細胞を培養することと、を含む、方法。
【0706】
481、単一種類のCAR分子(例えば、CD19 CARまたはTSHR CAR)を発現するT細胞の数が、2種類以上のCAR(例えば、CD19 CARおよびTSHR CARの両方)を発現するT細胞の1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6 1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、または50倍以上(例えば、100、500、1000倍)になるように、接触に関連した感染多重度値を決定することをさらに含む、実施形態480に記載の方法。
【0707】
482、単一種類のCAR分子(例えば、CD19 CARまたはTSHR CAR)を発現するT細胞の数が、2種類以上のCAR(例えば、CD19 CARおよびTSHR CARの両方)を発現するT細胞の少なくとも2、5、10、または20倍である、実施形態480または481に記載の方法。
【0708】
482、単一種類のCAR分子(例えば、CD19 CARまたはTSHR CAR)を発現するT細胞の数が、2種類以上のCAR(例えば、CD19 CARおよびTSHR CARの両方)を発現するT細胞の1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6 1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、または50倍以上(例えば、100、500、1000倍)である、実施形態480に記載の方法。
【0709】
483、癌を有する被検体を治療する方法であって、実施形態480-482のいずれか一項に記載の方法を用いて調製されたCAR T細胞を含む医薬組成物の有効量を被検体に投与することを含む、方法。
【0710】
484、実施形態1ー483のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、改変細胞、細胞集団、融合タンパク質、組成物、または方法を使用して、それを必要とする被検体を治療する、方法。
【0711】
485、被検体が癌を有する、実施形態484に記載の方法。
【実施例
【0712】
キメラ受容体を発現する細胞による、再発/難治性(R/R)の急性リンパ球性白血病(ALL)の患者における抗腫瘍効果の確立
【0713】
本臨床試験は、CD19特異的CAR/4-1BB/CD3-ζを発現するように改変された自己T細胞をR/R ALL患者に注入することの安全性と有効性を評価するために設計された。選択基準は以下のとおりである。1)年齢が60歳以下であること、2)再発または難治性のCD19+ ALL、3)移植片対宿主病(GVHD)の証拠がなく、免疫抑制療法を必要としない再発したallo-HSCT、4)測定可能な疾患と十分な機能状態および臓器機能。中枢神経系白血病(CNSL)の患者は不適格とした。このプロトコルは、機関審査委員会によって承認された。すべての患者から、書面によるインフォームドコンセントを得た。
【0714】
CD19に特異的な一本鎖フラグメント可変(scFv)配列は、クローンFMC63に由来する(Zola H.ら., Immunol Cell Biol 1991;69:411-22を参照)。4-1BB共刺激ドメイン、CD3ζシグナル伝達ドメイン、およびヒンジと膜貫通ドメインが生成された。抗CD19 scFv(SEQ ID:6)およびヒト4-1BBとCD3ζシグナル伝達ドメインを保有するCART19-4-1BBベクターを、以前に記載されたようにレンチウイルス骨格にクローン化した(Hu Y. Journal of Hematology&Oncology 2016; 9:70を参照)。
【0715】
レンチウイルスは、293T細胞にCART19-4-1BBベクターとウイルスパッケージングプラスミドをトランスフェクトし、-80℃で凍結し、形質導入の直前に解凍することで産生された。レンチウイルスの上清を回収した。CD3+T細胞は、記載されるように単離、活性化した(Kalos M.ら., Sci Transl Med 2011;3:95ra73を参照)。次に、細胞を、100 U/mlのインターロイキン-2(IL-2)を含むX-VIVO 15培地(Lonza社)で培養し、24-48時間以内に5:1-10:1の高感染多重度(MOI)でレンチウイルスの上清を形質導入した。CAR形質導入T細胞(CD19CAR T細胞)を入手し、11日間培養した。投与の3日前に、新鮮な培地に交換した。その後、注入のために輸送されるまで、細胞に対して操作は行われなかった。形質導入効率は、レンチウイルス形質導入後5-7日目にフローサイトメトリー(FACS)によって評価された。次の抗ヒト抗体として、抗hCD45 APC(BD Bioscience)、抗hCD3 FITC(BD Bioscience)、F(ab’)2フラグメントに特異的なビオチン標識ヤギ-抗マウスIgG(Jackson immuno-Research、カタログ番号115-065-072)およびPEストレプトアビジン(BD Bioscience)を使用した。CytoFLEXフローサイトメーター(Beckman社)を使用してデータを収集した。
【0716】
CD19CAR Tを注入する前に、フローサイトメトリー(FACS)による形質導入効率の分析およびCD19 CAR Tのインビトロ細胞毒性アッセイを、本明細書に記載されているように各患者に対して実行した。加えて、CD19CAR T培養物について、真菌、細菌、マイコプラズマ、クラミジア、およびエンドトキシンによる汚染の可能性を2度チェックした。CD19CAR Tを調製するために8日目に患者から白血球アフェレーシスによりPBMCを得て、CD19CAR T細胞注入の初日を試験日0とした。患者には、リンパ球枯渇のコンディショニング治療を実施した。フルダラビンとシクロホスファミドを用いたコンディショニング治療は、骨髄(BM)と末梢血(PB)の腫瘍量に応じて変化した。CD19CAR T細胞は、前投薬をせずに、3日間連続して用量を増やしながら患者に直接移入された。毎日、CD19CAR T細胞を病院に輸送し、洗浄、カウント、生存率のチェックを経て、患者への投与準備の後、前記患者を少なくとも2時間綿密に観察した。CRSは、改訂された評価システムに従って評価された(Lee DW.ら., Blood 2014;124:188-95を参照)。治療中および治療後のその他の毒性は、治療中および治療後の他の毒性は、国立衛生研究所の有害事象共通用語基準バージョン4.0(http://ctep.cancer.gov/)に従って評価された。治療応答は、フローサイトメトリーおよび形態学的分析によって評価された。可能であれば、患者はキメラ遺伝子の発現レベルについて評価された。応答タイプは、最小残存病変(MRD)陰性、完全応答、不完全なカウント回復を伴う完全応答、安定した疾患、および進行性疾患として定義された。
【0717】
CD19CAR T細胞注入後の連続BMおよびPBサンプルをK2EDTA BDバキュテナーチューブ(BD)に収集した。患者の新鮮なPBおよびBMからのCD19CAR T細胞の持続性をFACSで決定した。測定された絶対CD3+ Tリンパ球数に基づいて、μlあたりの循環CD19CAR T細胞数を算出した。同時に、CAR DNAコピーが、CD19CAR T細胞増殖と持続性を決定する別の方法として評価された。凍結保存されたPBおよびBMからQIAamp DNA Blood Mini Kit(Qiagen社)を用いてゲノムDNAを抽出した。CD19CAR DNAコピーを、補足資料に記載されているように、定量的リアルタイムPCRによって評価した。
【0718】
血清および脳脊髄液(CSF)中のIFN-γ、TNF-α、IL-4、IL-6、IL-10、IL-17などのサイトカインのレベルを、メーカーの指示に従ってマルチプレックス方式で測定した。グレード3または4のCRS開発の変動に影響を及ぼす可能性のある連続変数と危険因子の比較について、2群間でマンホイットニーU検定を用いて比較した。フィッシャーの正確検定を用いて、2群間のグレード3のCRSに対するカテゴリー変数の影響を評価した。相関関係は、順位ベースのスピアマン検定を用いて算出した。全生存期間(OS)と無白血病生存期間(LFS)の確率は、OSについては登録されたすべての患者を、LFSについてはMRD陰性の奏効を得た患者を用いて、カプランマイヤー法により決定した。引用されたP値はすべて両面性であり、P値が0.05未満の場合は統計的に有意であると考えられた。
【0719】
CD19+-RFPと赤色蛍光タンパク質(RFP)をK562細胞にレンチウイルスで形質導入し、それぞれCD19-RFP-K562細胞とK562-RFP細胞を産生した。CD19CAR T細胞の毒性活性は、輸液前に、エフェクター細胞と標的細胞(E:T)の比率を変えて、標的細胞、CD19-RFP-K562細胞またはK562-RFP細胞と共培養することにより測定した。96ウェルマイクロウェルプレート(Nunc社)に、10%のFBS(Gibco社)を添加したRPMI 1640培地50μlの中に、1ウェルあたり10個の標的細胞をプレーティングした。CD3/CD28ビーズを除去し、エフェクターT細胞をウェル内の標的細胞と表示されたE:T比で混合した。総体積は1ウェル200μlであった。24時間インキュベーションした後、マルチチャネルピペッターを使用して96ウェルマイクロウェルプレートで細胞を上下にピペッティングし、細胞を単細胞懸濁液に解離させた。各ウェルで生き残ったRFP標的細胞の写真を撮り、生き残ったRFP標的細胞の数をカウントし、エフェクター細胞のないウェルのものと比較した。細胞死率は、(対照サンプル)/対照×100%として算出した。また、上清を回収し、ヒトIFN-γバルカインELISAキット(R&D Systems社)を使用して定量した。
【0720】
QIAamp DNAブラッドミニキット(Qiagen社)を用いて、凍結保存された末梢血および骨髄からゲノムDNAを抽出した。定量的なリアルタイムPCRは、7500リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems社)で、ABI 2×TaqManユニバーサルマスターミックスとAmpErase UNG(Applied Biosystems社)を使用して3回実施した。ゲノムDNAのマイクログラムあたりのコピー数、102-108コピー/μLを含む精製CARプラスミドの10倍連続希釈液の標準曲線から算出した。DNA量の正規化には、内部対照遺伝子の増殖を用いた。CD19CAR導入遺伝子および内部対照遺伝子に特異的なプライマー/プローブは、以前に記載されたとおりである(Gokbuget N.ら., Blood 2012;120:2032-41およびO’Brien S.ら., J Clin Oncol 2013;31:676-83を参照)。
【0721】
治療応答は、フローサイトメトリーと形態によって評価された。可能であれば、キメラ遺伝子(CD19CAR)の発現レベルを患者で評価した。応答タイプは、前述のように、MRD陰性、完全応答、不完全なカウント回復を伴う完全応答、安定した疾患、および進行性疾患として定義された。MRD陰性は、フローサイトメトリーで骨髄芽球が0.01% 未満であると定義された。完全応答は、骨髄芽球が5%未満で、循環芽球がなく、髄外疾患部位がなく、好中球の絶対数が1000/μL以上、血小板が100,00/μL以上であると定義された。不完全なカウント回復を伴う完全応答は、血球減少症を伴う完全応答として定義された。安定した疾患は、完全応答、不完全なカウント回復を伴う完全応答、または進行性疾患の基準を満たさなかった疾患として定義された。進行性疾患は、M状態が悪化しているか、M状態に変化がないが、末梢芽球の絶対数が50%以上増加していると定義された。CD19CAR T細胞療法後、患者は1週間ごとにフォローアップされ、4週間ごとに形態、MRD状態、キメラ遺伝子発現およびCAR T細胞を含む骨髄検査を受けた。
【0722】
サンプルをゲルチューブに収集し、同日中に遠心分離を行うまで4°Cで保存した。次に、すべての血液およびCSFサンプルを5000rpmで6分間遠心分離した。その後の分析のために上清を移した。BDサイトメトリービーズアレイヒトTh1/Th2/Th17サイトカインキット(BD Biosciences社)、FCAPアレイv3.0ソフトウェア(BD Biosciences社)、およびBD FACS CANTOII(BD Biosciences社)を用いて、メーカーの指示に従って、IL-2、IL-4、IL-6、IL-10、IL-17A、IFN-γ、およびTNF-αなどのサイトカインの濃度を測定および分析した。
【0723】
骨髄穿刺の日に、赤血球溶解した全BMサンプルを、免疫表現型検査に使用した。芽球の抗原発現、モノクローナル抗体(mAbs)とフルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フィコエリスリン(PE)、アロフィコシアニン(APC)、およびフィコエリスリン-シアニン7(PE-Cy7)の4色の組み合わせを用いて、フローサイトメトリー(FACSCalibur フローサイトメーター, BD Biosciences, San Jose, CA)により、芽球の抗原発現を系統的に分析した。データ分析には、Cell-Questソフトウェア(Becton Dickinson Biosciences社)を使用した。モノクローナル抗体は、BD Biosciences社のCD10-APC、CD19-FITC、CD22-PE、CD34-PE、CD45-PE-Cy7、cyCD79a-PE、表面免疫グロブリン(sIg)M-PE、細胞質免疫グロブリン(cIg)M-APC、およびBeckman Coulter社の、CD20-APC、sIg-Lamda-FITC、sIg-カッパ-APCから購入した。
【0724】
最小残存病変(MRD)の調査では、個別に診断された白血病芽球の異常な表現型に基づいて、mAbの組み合わせを行った。MRDの結果は、有核細胞の中で異常な表現型を持つ細胞の割合として表された。分析したすべてのサンプルにおいて、0.01%の感度が得られた。装置のセットアップは、品質管理のためにCalibriteTMビーズと標準血液サンプル(BD Biosciences社のBDTMマルチチェックコントロール、またはStreck社のCD-chexTM Plus)を分析することで毎日校正された。
【0725】
従来のCAR T細胞は、固形腫瘍の治療には効果的ではなかったようである。したがって、CAR T細胞を使用して血液腫瘍を治療するデータは、CAR T細胞を使用して固形腫瘍を治療する際の強化に役立ち得る。ここでは、再発/難治性の慢性リンパ性白血病(R/R ALL)の患者3名がCD19CAR T細胞で治療された(表5を参照)。これらの結果は、R/R ALL患者において、CD19edCARを発現するT細胞が抗腫瘍効果を確立することを示している。さらに、CD19CAR T細胞を注入した後の患者の血中では、IL-6、IFNγ、およびIL-10が他の因子と比較して有意に上昇していた(図11-13を参照)。そのため、これらのサイトカインの1つ以上をCAR T細胞で発現させて、固形腫瘍の治療を増強し得る。IL-10が抗腫瘍活性を阻害し、IFNγがM2マクロファージを減少させることを考えると(以下の例を参照)、まずIL-6およびIFNγを選択し、改変T細胞で発現または過剰発現させて固形腫瘍およびリンパ腫を治療する。さらに、IL-6および/またはIFNγの誘導性発現を有する改変細胞をさらに産生することで、被検体の改変細胞によって引き起こされる重篤な副作用のリスクを低減または回避する。
【0726】
【表5】
【0727】
<IFNγを発現する改変細胞によるM2マクロファージの減少>
固形腫瘍組織には、腫瘍細胞や一部の免疫細胞など、様々な種類の細胞が存在することが報告されている。その中で、マクロファージは免疫細胞の主要な細胞で、主にM2マクロファージである。この固形腫瘍M2型マクロファージは、腫瘍組織内に存在し、サイトカインを継続的に分泌して腫瘍細胞に栄養を与えている。図14および15は、マクロファージの培養のサイトメトリーアッセイの結果、および添加されたサイトカインに応答した細胞表現型の変化を示す。M2マクロファージはCD80ではなく、CD613を発現しているが、M1マクロファージはCD163ではなく、CD80を発現している。CD14マイクロビーズで選別することにより、健康なボランティアの血液から単核細胞を選択した。細胞をM2培地(IL4を含む)とともに1×10個の細胞/mlの密度で3日間インキュベートした。3日後、培地を交換し、細胞培養密度を1×10個の細胞/mlに調整した。4-6日後、1×10個の細胞を取り出し、CD14およびCD163の発現をフローサイトメトリーで検出した(図14)。7日目に同じボランティアから1×10個のCAR+細胞を取り出し、6ウェルプレートに加えた。M2マクロファージの4×10個の細胞を各ウェルに加え、次に200ngのIFNγ、200ngのIL6、および200ngのIL2を各ウェルに加え、細胞を2日間培養した。62日後、1×10個の細胞を除去し、CD14およびCD163の発現をフローサイトメトリーで検出した。図15は、様々な群におけるCD163またはCD80を持つマクロファージの発現を示している。これらの結果から、M2マクロファージがM1マクロファージに変換され得、IFNγなどのサイトカインはM2マクロファージの数を減らし、かつM2マクロファージをM1マクロファージに変換させることがわかった。
【0728】
図16は、IFN-γおよび/またはIL-6を発現する様々なCAR T細胞と共培養されたマクロファージのサイトメトリーアッセイの結果を示す。CD14マイクロビーズで選別することにより、健康なボランティアの血液から単核細胞を選択した。細胞をM2培地(IL4を含む)とともに1×10個の細胞/mlの密度で3日間インキュベートした。3日後、培地を交換し、細胞培養密度を1×10個の細胞/mlに調整した。4-6日後、1×10個の細胞を除去し、CD14およびCD163の発現をフローサイトメトリーで検出した。7日目に同じボランティアから1×10個のCAR+細胞を取り出し、6ウェルプレートに加えた。M2マクロファージの4×10個の細胞を各ウェルに加えて3日間培養した。63日後、1×10個の細胞を除去し、CD14およびCD163の発現をフローサイトメトリーで検出した。これらの結果から、IFNγを発現するCAR T細胞は、M2マクロファージを減らし、それらをM1マクロファージに変換させることがわかった。
【0729】
<サイトカインを発現する改変細胞とインビトロアッセイ>
図18は、様々なタンパク質を発現するT細胞のコピー数を示す。1日目、健康なドナーからのT細胞を選別し、CD3/CD28ビーズを用いて活性化した。2日目、10個の細胞にそれぞれベクター1230(1230はh19CARを表す)(MOI 10:1)、6205(hCD19CAR--GFP)(MOI 60:1)、および6221(hCD19CAR-6xNFAT-IL6-2a-IFNg)(MOI 60:1)をトランスフェクトした。3日目に、細胞培地を交換した。4日目に、細胞数をカウントした。5日目、6日目、および8日目に、培養因子、CARのコピー数、表現型、および発現を測定するアッセイを行った。8日目に、毒性アッセイを行い、培養因子を検出した。コピー数を以下の表6に示す。この例および以下の例では、NFATの配列が配列番号469であり、TSHRCARのNFATが配列番号279であり、TSHRCARのscFvの配列が配列番号8であり、CD19CARのscFvの配列が配列番号5であり、IL6の配列が配列番号287であり、ペプチド 2Aの配列が配列番号327であり、およびIFNγの配列が配列番号328である。他の成分の配列は、表2に記載されている。表6は、CAR T細胞あたりのCARのコピー数を示している。
【0730】
【表6】
【0731】
図18は、図17に示される様々なタンパク質を発現するT細胞のフローサイトメトリーアッセイの結果を示す。0日目に、健康なボランティアの末梢血を採取し、そのサンプルからCD3+T細胞を選別した。CD3/CD28ダイナビーズを保存されたCD3+T細胞に1:1の比率で加えた。2日目に、以下のベクターを含むレンチウイルスを用いてT細胞をトランスフェクトした。CD19CARを、MOI=10:1の感染率に従って感染させ、hCD19CAR、hCD19CAR-6xNFAT-GFP、hCD19CAR-6xNFAT-GFP、hCD19CAR-6xNFAT-IL6-2a-IFNγ細胞を、MOI=60:1の感染率に従って感染させた。3日目に、培地を交換し、レンチウイルスを除去し、細胞を新鮮な培地に再懸濁した。7日目に、フローサイトメトリーアッセイを用いてCAR発現を検出した。CD19CARはヒト化された抗体であるため、ヒトCAR抗体で検出される。CD19CARの表現は23.99%、hCD19CAR-6xNFAT-GFP CARの発現は25%、hCD19CAR-6xNFAT-IL6-2a-IFNg CARの発現は17.6%であった。ヒトCAR抗体を用いてフローサイトメトリーアッセイを行い、CARの発現強度と発現レベルRを検出した。
【0732】
図19は、CD3/CD28ダイナビーズの活性化に応答したIL6の放出を示す。0日目に、健康なボランティアの末梢血を採取し、そのサンプルからCD3+T細胞を選別した。CD3/CD28ダイナビーズを保存されたCD3+細胞に1:1の比率で加えた。2日目に、以下のベクターを含むレンチウイルスを用いてT細胞をトランスフェクトした。CD19CARを、MOI=10:1の感染率に従って感染させ、hCD19CAR、hCD19CAR-6xNFAT-GFP、hCD19CAR-6xNFAT-GFP、hCD19CAR-6xNFAT-IL6-2a-IFNg細胞を、MOI=60:1の感染率に従って感染させた。3日目に、培地を交換し、レンチウイルスを除去し、細胞を新鮮な培地に再懸濁した。5日目、6日目、および8日目に、200 ulの細胞上清を用いてIL6の放出を検出した。図19に示すように、5日目、6日目、および8日目に、培地から200 ulの細胞上清を採取し、IL6因子の放出を検出するために使用した。CD19CARおよびCD19CAR-6xNFAT-GFPの10個あたりに放出されたIL6の量は、5日目、6日目、および8日目に0-10pg/mlであった。10個のCD19CAR-6xNFAT-IL6-2A-IFNgは、5日目および6日目のIL6放出量は498pg/mlと378pg/mlであり、8日目のIL6放出量は9.8pg/mlであった。5日目および6日目に、CD3/CD28ダイナビーズを用いて細胞を培養することで、細胞を活性化し、NFAT素子を活性化し、IL6を転写可能にし、IL6を放出させた。しかしながら、8日目に、ダイナビーズ刺激の効果はより低いレベルに低下し、細胞は活性化されなかった。そのため、NFAT素子がオフになり、IL6の転写ができなくなった。したがって、IL6は放出されなかった。T細胞がCD3/28ダイナビーズによって刺激されると、短時間で細胞が活性化される。NFAT素子は、活性化に応答して遺伝子の転写・翻訳を誘導し、その対応する遺伝子が発現される。細胞が静止しているとき、または活性化レベルが低いとき、NFAT素子は目的遺伝子の転写・翻訳を開始しない。そのため、NFAT素子が活性化しているかどうか、誘導遺伝子が発現しているかどうかは、CAR T細胞の活性化状態と不活性化状態における標的遺伝子の発現によって決定することができる。
【0733】
図20は、Nalm6細胞との共培養に応答したIL6放出を示す(以下の表7を参照)。細胞を8日目まで培養した後、NT細胞でレベリングして、CD19CAR T細胞およびCD19CAR-6xNFAT-GFPとCD19CAR-6xNFAT-IL6-2a-IFNg細胞のCAR比を区別した。10個のCAR+細胞を10個の4 Nalm-6細胞と共培養するか、別々に培養した。24時間後、上清を回収し、放出されたIL6の量を測定した。細胞は、Nalm6細胞と共培養され、かつ活性化状態であった。したがって、NFAT素子は、活性化状態でIL6の転写を開始し、IL6の放出を可能にする。CARが結合する抗原を発現する細胞(標的細胞)をCAR T細胞と共培養すると、CAR T細胞が腫瘍細胞表面の膜タンパク質を認識するため、細胞が活性化される。NFAT素子は、活性化に応答して遺伝子の転写・翻訳を開始し、対応する遺伝子が発現される。細胞が静止しているとき、または活性化レベルが低いとき、NFAT素子は目的遺伝子の転写・翻訳を開始しない。そのため、NFAT素子が活性化しているかどうか、誘導遺伝子が発現しているかどうかは、CAR T細胞の活性化状態と不活性化状態における標的遺伝子の発現によって決定することができる。
【0734】
【表7】
【0735】
図21は、CD3/CD28ダイナビーズの活性化に応答したIFNγ(すなわち、IFNg)の放出を示す。0日目に、健康なボランティアの末梢血を採取し、CD3+T細胞を選別した。CD3/CD28ダイナビーズを1:1の比率で加えた。2日目に、以下のベクターを含むレンチウイルスを用いてT細胞をトランスフェクトした。CD19CAR T細胞を、MOI=10:1の感染率に従って感染させ、hCD19CAR、hCD19CAR-6xNFAT-GFP、hCD19CAR-6xNFAT-GFP、hCD19CAR-6xNFAT-IL6-2a-IFNγ細胞を、MOI=60:1の感染率に従って感染させた。レンチウイルスを除去し、細胞を新鮮な培地に最懸濁した。5日目、6日目および8日目に、200 ulの細胞上清を用いてIFNγの放出を検出した。5日目および6日目に、CD3/CD28ダイナビーズを用いて細胞を培養することで、細胞を活性化し、NFAT素子を活性化し、IFNγの転写およびIFNγの放出を可能にした。しかしながら、8日目に、ダイナビーズ刺激の効果はより低いレベルに低下し、細胞はもはや活性化されなかった。そのため、NFAT素子がオフになり、IFNγの転写ができなくなった。したがって、IFNγは放出されなかった。T細胞がCD3/28ダイナビーズによって刺激されると、短時間で細胞が活性化される。NFAT素子は、活性化に応答して遺伝子の転写・翻訳を開始し、その対応する遺伝子が発現される。細胞が静止しているとき、または活性化レベルが低いとき、NFAT素子は目的遺伝子の転写・翻訳を開始しない。そのため、NFAT素子が活性化しているかどうか、誘導遺伝子が発現しているかどうかは、CAR T細胞の活性化状態と不活性化状態における標的遺伝子の発現によって決定することができる。
【0736】
図22は、Nalm6細胞との共培養に応答したIFNγ放出を示す(以下の表8を参照)。細胞を、8日目まで培養した後、NT細胞でレベリングして、CD19 CAR T細胞およびCD19CAR-6xNFAT-GFPとCD19CAR-6xNFAT-IL6-2a-IFNgの細胞とのCAR比を区別した。10個のCAR+細胞を10個のNalm-6細胞と共培養するか、別々に培養した。24時間後、上清を回収し、放出されたIFNγの量を測定した。細胞は、Nalm6細胞と共培養され、かつ活性化状態であった。したがって、NFAT素子は、活性化状態でIFNγの転写を開始し、IFNγの放出を可能にする。CAR T細胞を標的細胞と共培養すると、CAR T細胞が腫瘍細胞表面の膜タンパク質を認識するため、細胞が活性化される。NFAT素子は、活性化により発現する遺伝子の転写・翻訳を開始し、対応する遺伝子が発現される。細胞が静止しているとき、または活性化レベルが低いとき、NFAT素子は目的遺伝子の転写・翻訳を開始しない。そのため、NFAT素子が活性化しているかどうか、誘導遺伝子が発現しているかどうかは、CAR T細胞の活性化状態と不活性化状態における標的遺伝子の発現によって決定することができる。
【0737】
【表8】
【0738】
図23は、CAR T細胞に関する毒性アッセイを示す。健康なドナーからのT細胞を、8日目まで培養した後、NT細胞でレベリングして、CD19 CAR T細胞およびCD19CAR-6xNFAT-GFPとCD19CAR-6xNFAT-IL6-2a-IFNγの細胞とのCAR比を区別した。3×10個のCAR+細胞を、10個のNalm-6細胞および90個のNalm-6 細胞とそれぞれ共培養した。24時間後にNalm6細胞の残存を検出した。CD19CAR T細胞、CD19CAR-6xNFAT-GFP細胞、およびCD19CAR-6xNFAT-IL6-2a-IFNg細胞を、異なる比率でNalm6細胞と共培養した。3つの細胞群の間には有意な差はなかった。CD19CAR、CD19CAR-6xNFAT-GFP、およびCD19CAR-6xNFAT-IL6-2a-IFNγの細胞が腫瘍によって活性化された後、T細胞は殺傷機能を実行し、標的細胞に作用して標的細胞を死滅させた。
【0739】
図25は、Nalm6細胞との共培養に応答したIFNγ放出をそれぞれ示す。0日目に、ボランティアから末梢血T細胞を入手し、1:1の比率でダイナビーズを用いて刺激を与えた。1日目に、細胞をレンチウイルスベクターに感染させた。2日目に、培地を交換した。7日目に、フローサイトメトリーアッセイを用いて、CARの発現およびCARのコピー数を検出した。1204はhCD19CAR細胞を表し、6107は、IL12を継続的に発現するhCD19CAR-2A-IL12細胞を表す。CARの発現は17%に正規化された。10個のCAR陽性細胞と10個のNalm6またはNalm6-PDL1腫瘍細胞を24ウェルプレートで24時間共培養し、上清をIFNγについてアッセイした。1204はCARの発現が49.50%、CAR T細胞1個あたりのコピー数が1.5、6107はCARの発現が23.76%、CAR T細胞1個あたりのコピー数が0.94であった。CARは共培養の場合に17%に正規化された。ヒストグラムに示すように、共培養の結果としては、1204のNalm6-PDL1刺激によって生成されたIFNγが、T細胞に対するPDL1の阻害効果のために、Nalm6 wtによって刺激されたIFNγの約半分であることが示された。6107からのIFNγの放出は1230の約10倍に達し、CAR Tから放出されたIL12がIFNγの放出を著しく促進することが示された。
【0740】
図26および27は、CD3/CD28ダイナビーズの活性化に応答したIL12およびIFNγの放出を示す。0日目に、ボランティアから末梢血T細胞を入手し、1:1の比率でダイナビーズを用いて刺激を与えた。1日目に、細胞をレンチウイルスベクターに感染させた。2日目に、培地を交換した。9日目に、フローサイトメトリーを用いてCARの発現を検出した。1230はh19CARを表し、6209はh19CAR-6xNFAT-IL12(T細胞活性化下でのIL12の条件付き放出)を表す。CARの発現は30%に正規化された。同じ数の細胞を1:3の比率でダイナビーズを用いて刺激し、上清をIL12およびIFNγについてアッセイした。1230で65%のCAR発現があり、6209で34%のCAR発現があった。30%に正規化した後、CD3/CD28ダイナビーズを加えた。24時間後、上清をアッセイしてサイトカインの情報を収集し、結果をヒストグラムで示した。ダイナビーズの刺激で、6209は10個のT細胞あたり平均55pgのIL12を放出した。1230は刺激の有無にかかわらずIL12を放出せず、6209は刺激なしでIL12を放出しなかった。このことから、左図に示すように、もともとNFATはダイナビーズの刺激下で、IL12の転写を活性化したことがわかる。右図のようにIFNが放出された。どちらのCAR T細胞も刺激なしでIFNγを放出せず、ダイナビーズの刺激下で6209がより多くのIFNγを放出したことから、IL12が6209のCART細胞と相乗効果を発揮してより多くのIFNγを放出することが示された。
【0741】
図28および29は、CD3/CD28ダイナビーズの活性化に応答したIL6およびIFNγの放出を示す。0日目に、ボランティアから末梢血T細胞を入手し、1:1の比率でダイナビーズを用いて刺激を与えた。1日目に、細胞をレンチウイルスベクターに感染させた。2日目に、培地を交換した。7日目に、フローサイトメトリーを用いてCARの発現を検出した。1230はhCD19CARを表し、6221はhCD19CAR-6xNFAT-IL6-2A-IFNγ(T細胞活性化でのIL6およびIFNγの条件付き放出)を表す。CARの発現は12.66%に正規化された。同じ数の細胞を1:3の比率でダイナビーズを用いて刺激し、上清をIL6およびIFNγについてアッセイした。1230で67%のCAR発現があり、6221で29%のCAR発現があった。CARの発現を12.66%に正規化し、ダイナビーズを加えた。24時間後、上清をアッセイしてサイトカインを測定した。アッセイの結果をヒストグラムで示した。いずれの細胞も、ダイナビーズの活性化なしにIL6またはIFNγを放出しなかった。ダイナビーズを添加した後、6221はIL6とIFNγを有意に多く放出した(10個のT細胞あたりに放出されたpgの平均数に基づく)。
【0742】
図30-38は、CAR T細胞によるサイトカインの発現の誘導を示す。様々な固形腫瘍マーカー(例えば、TSHR、ACPP、およびGUCY2C)を用いて実験を行った。このデータは、活性化されたCAR T細胞は、IL-6、IL-12および/またはIFNγの発現を誘導することができ、各種因子の発現が嫌気性条件下よりも好気性条件下で有意に低いということを示している。また、サイトカインの発現が制御されることで、他のサイトカイン(例えば、IFNγおよびGZMB)の殺傷機能に関連する因子がアップレギュレートされ得ることも示されている。図30-38に記載されている各種ベクター、ならびに細胞とそれらの参照を表9に示す。
【0743】
【表9】
【0744】
図30は、嫌気性アッセイの結果を示す。CAR T細胞の製造および細胞培養のプロトコルは、ここで記載されているインビトロのアッセイと同様であった。図30CoCl2で模擬した嫌気性システムでは、IL-12の放出が酸素によって制御されていることが、図30からわかる。CoCl2の延長に伴い、IL-12の放出は徐々に増加し、IL-12はCoCl2を除去した48時間後に大幅に減少する。図31は、TSHR-CARTシステムにおける低酸素に応答したサイトカインの放出を示す。このように、IL-12は、6270および6271が活性化され、かつ嫌気性スイッチVHLによって制御された場合にのみ発現し、IL12の放出は嫌気性条件下で有意に増加した。図32および33は、CAR T細胞におけるIL-12発現の誘導に応答したサイトカインの放出を示す。IL12の発現は、IFNγおよびTNF-αの発現を効果的にアップレギュレートすることから、本システムはIL-12の発現を制御することで、IFNγ/TNF-αの発現をさらに増加し、CAR T細胞の機能を増強することができると思われる。図34は、GUCY2C-CAR Tシステムにおける低酸素に応答したサイトカインの放出を示す。図35は、CAR T細胞におけるIL-12発現の誘導に応答したIFNγ放出を示す。図36は、IL-6がT細胞の活性化によって誘導され、T細胞の不活性化がIL-6を発現しないことを示しており、IL-6発現の誘導は、TNF-α、IFNγ、およびGZMBなどのT細胞殺傷機能関連因子の放出をアップレギュレートさせることができる。図37および38は、ACPP-CAR Tシステムにおける低酸素に応答したサイトカインの放出を示す。さらなるデータは、IL-6、IFNγ、および/またはIL-12の発現が、GZMBやTNF-αなどの他の炎症性因子の発現を効果的にアップレギュレートさせることで、CAR T細胞の機能を増強することを示す。
【0745】
図39は、CAR T細胞が抗原の有無にかかわらず24時間培養された後、異なる条件下で様々な種類のCAR T細胞によって放出されたIL-6およびIFNγを示すサイトカイン放出アッセイである。その結果、IFNγ-2A-IL-6を発現するCAR T細胞は、(1)IL-6およびIFNγを発現しないCAR T細胞、(2)IL-6-2A-IFNγを発現するCAR T細胞と比較して、抗原活性化に応答してより多くのIL-6およびIFNγを放出した。このデータは、構築物IFNγ-2A-IL-6を含むCAR T細胞が、構築物IL-6-2A-IFNγを含むCAR T細胞よりも抗腫瘍作用が増加し得ることを示している。
【0746】
<インビボでの細胞増殖および癌の治療>
これらの臨床研究は、TSHR特異的CAR/4-1BB/CD3-ζを発現するように改変された自己T細胞を患者に注入することの安全性と有効性を評価するために設計された。本研究の第1の群では、患者はTSHRCAR T細胞のみを投与された。第2の群では、患者は、CD19およびTSHRに結合し、かつIL-6、IFNγ、および/またはIL-12を発現するCAR T細胞を投与された。TSHR特異的CAR/4-1BB/CD3-ζ(TSHRCAR)、CD19特異的CAR/4-1BB/CD3-ζ(CD19CAR)、およびIL-6とIFNγ、および/またはIL-12を発現するように改変された自己T細胞を患者に注入した。患者からT細胞を入手し、改変し、患者に注入した。第1と第2の群の患者のT細胞応答を測定し、試験を実施した病院で承認された以下のプロトコルを用いて比較した。すべての患者は、書面によるインフォームドコンセントを得た。以下の説明では、次のような略語を使用する。SD:安定した疾患、PD:進行性疾患、PR:部分寛解、CR: 完全寛解、NR:応答なし。
【0747】
【表10】
【0748】
患者からPBMCを入手した。様々なレンチウイルスベクターを生成し、PBMCからT細胞をトランスフェクトし、共培養アッセイを行う前にさらに数日間培養した。患者004-007についての情報は、表11および以下の説明に記載されている。細胞培養および細胞傷害性Tリンパ球のアッセイに関連する技術は、「Control of large, established tumor xenografts with genetically retargeted human T cells containing CD28 and CD137 domains」、PNAS、2009年3月3日、第106巻第9号、3360-3365に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0749】
【表11】
【0750】
IL-2を含むTEXMACS培養液を用いてPBMCを培養した。CD4およびCD8の磁気ビーズを用いて、PBMC中のT細胞を選別した。適切な培養開始量を選択し、TransActアクチベーターを用いてT細胞(CD3+細胞)を活性化した。MACS(R) GMP T Cell TransActTMには、ヒトCD3およびCD28に対するヒト化組換えアゴニストに共有結合したコロイド状高分子ナノマトリックスが含まれる。ナノマトリックスMACSにより、GMP T Cell TransAct は無菌ろ過でき、余分な試薬は、遠心分離して従来の上清を交換し、または単に培地を洗浄して除去することができる。この試薬は、CliniMACS Prodigy(登録商標) Instrumentなどの自動培養システムでの使用に適している。必要なベクターMOIに応じて、対応するベクターの数とベクターの体積を算出し(表11を参照)。患者004の場合、ベクター1を含むレンチウイルスベクターをT細胞と24時間混合し、さらに洗浄して8日間培養した後、病院に搬送した。患者005および007の場合、ベクター1およびベクター2を含むレンチウイルスベクターをT細胞と24時間混合した。T細胞をさらに洗浄して8日間培養した後、病院に搬送した。患者006の場合、T細胞を4群に分け、各群のT細胞を1つ以上のレンチウイルスベクターと24時間混合し(表12を参照)、これらのT細胞を洗浄して8日間培養した。これらの4群のトランスフェクトされたT細胞を混合して、病院に搬送した。
【0751】
これらのCAR T細胞の有効性を確認するために様々なアッセイ(例えば、フローサイトメトリーを用いた結合アッセイ、およびTSHR/CD19を発現する細胞を用いた培養アッセイを用いた殺傷アッセイ)を実施し、CAR T細胞を患者に投与する際の安全性を確保するために品質保証手順を行った。TSHR、IL-6とIFN-γ、および/またはIL-12の独立したプライマーを使用して、定量的PCR(qPCR)により、CAR T細胞内の全ベクターの割合を検出した。3つのベクターを用いて相対的な定量化によってその割合を得た。サンプルの開始量を決定するために、閾値でのサイクル数を用いた。例えば、患者006の場合、IL-12の開始量を1と定義し、IL-6、IFN-γ、およびTSHRの相対的な定量を算出した後、3つのベクターの相対的な定量を分母として、総量に占める各ベクターの割合を算出した。さらに、4-1BBユニバーサルプライマーを用いて、CAR T細胞のCARコピー数(すなわち、合計CARコピー数)をqPCRで検出した。さらに、患者006’のCAR T細胞が6日目に増殖された際、T細胞のサンプルを採取した。サンプルのT細胞をhCD3に対する抗体で標識し、CD19CARおよび/またはIL-6/IFN-γベクターを有するT細胞をhCD19 scFvに対する抗体で標識した。フローサイトメトリー分析を行い、その結果を利用して、トランスフェクトされた全T細胞におけるCD19 CARを発現するT細胞の比率を計算して取得した。これらの結果は、表12および13、ならびに各群のT細胞の増殖を示す図52に示されている。
【0752】
【表12】
【0753】
【表13】
【0754】
新鮮な細胞の場合、磁気ビーズを除去した後、形質導入された細胞を遠心分離するか、95%の複合電解質注射液と5%のヒトアルブミンの溶液と交換し、返送用バッグに装填し、密封後15-25℃で輸送した。新鮮な製剤は直接返送された。凍結保存された細胞の場合、形質導入された細胞は、33.75%のヒトアルブミン、25%のデキストラン、40%のグルコース、および33.75%のDMSO7.5%の複合電解質注射液を含む培地に移した。細胞懸濁液を凍結保存用バッグに入れた後、-90℃まで冷却し、気相液体窒素タンクに移して保管した。蘇生後30分以内に凍結製剤の再構成を完了した。PBMCは、CAR T細胞調製のための白血球アフェレーシスによって患者から得られ、CAR T細胞の調製のために、患者から白血球穿刺によってPBMCを入手し、CAR T注入の初日を0日目とした。
【0755】
患者には、リンパ球枯渇のコンディショニング治療を実行した。フルダラビンとシクロホスファミドを用いたコンディショニング治療は、骨髄(BM)と末梢血(PB)の腫瘍量に応じて変化した。CAR T細胞を患者に輸血した。CAR T細胞を病院に輸送し、洗浄、カウント、生存率のチェックを経て、患者への投与に備えられた。投与後、患者を少なくとも2時間綿密に観察した。サイトカイン放出症候群(CRS)は、改訂された評価システムに従って評価された(Lee DW.ら., Blood 2014;124:188-95を参照)。治療中および治療後のその他の毒性は、治療中および治療後の他の毒性は、国立衛生研究所の有害事象共通用語基準バージョン4.0(http://ctep.cancer.gov/)に従って評価された。治療応答は、フローサイトメトリーおよび形態学的分析によって評価された。可能であれば、患者はキメラ遺伝子の発現レベルについて評価された。応答タイプは、最小残存病変(MRD)陰性、完全応答、不完全なカウント回復を伴う完全応答、安定した疾患、および進行性疾患として定義された。
【0756】
CAR T細胞注入後の連続したBMおよびPBサンプルをK2EDTA BDバキュテナーチューブ(BD)に収集した。患者の新鮮なPBおよびBMからのCD19CAR T細胞の持続性をFACSで決定した。測定された絶対CD3+ Tリンパ球数に基づいて、μlあたりの循環CAR T細胞数を算出した。同時に、CAR DNAコピーは、CAR T細胞増殖と持続性を決定する別の方法として評価された。凍結保存されたPBおよびBMからQIAamp DNA Blood Mini Kit(Qiagen社)を用いてゲノムDNAを抽出した。CAR DNAコピーを、補足資料に記載されているように、定量的リアルタイムPCRによって評価した。血清およびCSF中のIFN-γ、TNF-α、IL-2、IL-4、IL-6、IL-10、IL-17などのサイトカインのレベルを、メーカーの指示に従ってマルチプレックス方式で測定した(図40-47を参照)。凍結保存された末梢血および骨髄から、QIAamp DNA Blood Mini Kit(Qiagen社)を用いてゲノムDNAを抽出した。定量的なPCR(q-PCR)は、7500リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems社)で、ABI 2×TaqManユニバーサルマスターミックスとAmpErase UNG(Applied Biosystems社)を使用して3回実施した。ゲノムDNAのマイクログラムあたりのコピー数は、102-108コピー/μを含む精製CARプラスミドの10倍連続希釈液の標準曲線から算出した。DNA量の正規化には、内部対照遺伝子の増殖を用いた。CAR19および他の導入遺伝子および内部対照遺伝子に特的なプライマー/プローブは、以前に記載されたとおりである(Gokbuget N.ら., Blood 2012;120:2032-41およびO’Brien S.ら., J Clin Oncol 2013;31:676-83を参照)。CTスキャンおよび/またはPET CTスキャンは、患者のCAR T療法を評価するために実施された。
【0757】
患者004の場合、細胞注入後に明らかな反応(例えば、標的病変の消失または縮小)は観察されなかった。また、患者には副作用はなかった。
【0758】
患者005は、甲状腺切除術を受けていた。注入から29日後、右の腫瘍は消失し、左の腫瘍のサイズが減少した。PET CTスキャン画像の例を図48に示す。注入から3ヶ月後、右の腫瘍は再発せず、左の腫瘍は消失した。PET CT画像では、特に手術領域に観察可能な腫瘍の再発はないことが示された。走査信号を増強した後、上記の領域には異常な増強信号は観察されていない。ダブルネックIIおよびIII領域には、CT走査信号に基づく両側顎下腺の形態に異常は観察されなかった。同時に、頸髄の形態やCTシグナルも正常であった。患者は、少なくとも部分寛解(PR)を達成していると思われた。治療中、患者005では重度のCRS(例えば、レベル2以下のCRS)は観察されなかった。患者は、PRを達成したと評価された。
【0759】
患者006は、甲状腺の神経内分泌癌を伴う低分化濾胞性乳頭癌と診断された。甲状腺二葉切除を行った。その後、患者を診察したところ、複数の肺転移が確認された。縦隔には複数の肥大したリンパ節が認められた。CAR T細胞を注入してから30日後のCTスキャンでは、小さな腫瘍は消失し、2つの大きな腫瘍は70%以上減少した(表14を参照)。図49は、大きな腫瘍が縮小し、小さな腫瘍が消失したことを示す(図49の線と丸を参照)。治療中、患者006では重度のCRS(例えば、レベル2以下のCRS)が観察されなかった(図46および47を参照)。患者は、PRを達成したと評価された。
【0760】
【表14】
【0761】
患者007は結腸直腸癌と診断され、8サイクルの化学療法と、CAR T細胞注入前の手術などの他の治療を受けた。注入してから1ヶ月後、PET-CTスキャンの結果は、ほとんどの標的病変が50%以上大幅に減少し、腫瘍減少の総合計算が44.7%であったことを示している。患者は、PRを達成したと評価された(図53の矢印を参照)。
【0762】
これらの結果から、TSHRのみを標的とするCAR T細胞を注入した場合と比較して、CD19CAR、TSHRCAR、およびIL6/IFNγとIL-12を発現するT細胞が、甲状腺癌の成長に対する阻害効果を増強したことが明らかになった。さらに、CD19CARおよびTSHRCARを発現するT細胞は、TSHRのみを標的とするCAR T細胞を注入した場合と比較して、さらに増殖し、より多くのサイトカイン(例えば、IL-6、IL-12またはIFN-γ)を放出した。さらに、IFNγおよびIL-6を発現するCAR T細胞は、従来のCAR T技術では示されていなかった腫瘍細胞の成長を効果的に阻害した。上記の実施例の結果と本実施例の結果を合わせると、IFN-γを発現するT細胞によるM2マクロファージの減少が、腫瘍微小環境を攻撃し、腫瘍細胞の成長阻害に寄与している可能性があると考えられる。
【0763】
図50および51は、患者004、005、および006のサイトカイン放出の比較を示す。図50に示すように、比較の結果、患者005および006におけるCAR T細胞は、患者004の場合よりも高いレベルのIL-6およびIFNγ放出を引き起こした。また、患者006におけるCAR T細胞は、患者005の場合よりも高いレベルのL-6およびIFNγ放出を引き起こした。図50および51に示すように、誘導性IL-12は、特定のサイトカインの放出(例えば、IL-6およびIFNγ)を増加させることによって抗腫瘍活性を増強し得るが、抗腫瘍活性を阻害するサイトカイン(例えば、IL-10)については増強し得ない。
【0764】
本明細書で引用されたすべての刊行物、特許および特許出願は、個々の刊行物、特許または特許出願が参照により組み込まれたことが明確かつ個別に示されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。上記のことを様々な実施形態で説明したが、当業者は、その趣旨から逸脱することなく、様々な修正、置換、省略および変更が可能であることを理解するべきである。
図1
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【配列表】
2022507830000001.app
【国際調査報告】