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特表2022-507892患者の健康状態を監視するための血管アクセスデバイス、システム、および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】患者の健康状態を監視するための血管アクセスデバイス、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20220111BHJP
   A61B 5/145 20060101ALI20220111BHJP
   A61M 1/36 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
A61B5/00 B
A61B5/145
A61M1/36 141
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021528874
(86)(22)【出願日】2019-11-20
(85)【翻訳文提出日】2021-07-13
(86)【国際出願番号】 US2019062483
(87)【国際公開番号】W WO2020106890
(87)【国際公開日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】62/809,689
(32)【優先日】2019-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/770,033
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521216511
【氏名又は名称】オンコディスク, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル, ジェイムズ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン, セオドア シー.
(72)【発明者】
【氏名】ソールソン, アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】コーツ, ジェイミー オーミストン
【テーマコード(参考)】
4C038
4C077
4C117
【Fターム(参考)】
4C038KK01
4C038KK03
4C038KK08
4C038KK10
4C038KL02
4C038KY01
4C077CC04
4C077CC09
4C077HH18
4C117XB01
4C117XB02
4C117XB11
4C117XC21
4C117XD22
4C117XE05
4C117XE13
4C117XE15
4C117XE16
4C117XE17
4C117XE23
4C117XE24
4C117XE26
4C117XE27
4C117XE28
4C117XE37
4C117XH16
4C117XH27
4C117XL27
(57)【要約】
埋め込み型血管アクセスデバイスは、流体リザーバと、リザーバの上を覆って配置された自己シールカバーと、カテーテルと嵌め合うように構成された出口ポートであって、流体リザーバに流体的に結合されている、出口ポートとを含む。デバイスに結合される1つ以上のセンサは、デバイスが患者内に埋め込まれている間、生理学的データを捕捉するように構成される。デバイスは、1つ以上のセンサから生理学的データを受信し、生理学的データを1つ以上の遠隔コンピューティングデバイスに伝送するように構成されたデータ通信ユニットを含むこともできる。デバイスは、誘導的に給電され得、および/または、無線照会に応答して位置特定信号を放出することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管アクセスデバイスであって、前記デバイスは、
リザーバコンポーネントであって、前記リザーバコンポーネントは、
内部チャンバを画定するリザーバ本体であって、前記内部チャンバは、その中に流体を受け取るように構成されている、リザーバ本体と、
前記チャンバを覆っている自己シール隔壁と、
前記チャンバと流体連通している出口ポートと
を備え、
前記出口ポートは、カテーテルと嵌め合わせられるように構成されている、リザーバコンポーネントと、
前記リザーバコンポーネントに側方に隣接して配置された電子コンポーネントであって、前記電子コンポーネントは、
生理学的測定値を取得するように構成された1つ以上の感知要素と、
無線通信モジュールと、
前記感知要素および前記無線通信モジュールと電気通信するバッテリと
を備えている、電子コンポーネントと、
柔軟な筐体と
を備え、
前記筐体は、その中に前記リザーバコンポーネントおよび前記電子コンポーネントの両方を封入しており、前記筐体は、触診を介した位置特定を促進するための1つ以上の局所構造的特徴を備えている、デバイス。
【請求項2】
前記局所構造的特徴は、前記電子コンポーネントの上を覆う傾斜部分を備え、前記傾斜部分の高さは、前記リザーバから離れる方向に沿って増加し、前記デバイスの側方縁に向かって増加する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記傾斜部分は、前記リザーバコンポーネントに向かって凹状である湾曲部分を画定する略U字形である、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記局所構造的特徴は、前記隔壁の円周を包囲する環状隆起をさらに備えている、請求項1-3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記デバイスの側方外側縁に沿って延び、前記リザーバコンポーネントおよび/または前記電子コンポーネントに側方に隣接した縫合補強部をさらに備え、前記縫合補強部は、それを通して固定デバイスを受け取るように構成されている、請求項1-4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記縫合補強部は、前記柔軟な筐体内に封入されている、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記電子コンポーネントの下面に配置された透明窓をさらに備え、前記窓は、光学パルスオキシメータと実質的に整列させられている、請求項1-6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記電子コンポーネントは、包装ケースを備え、前記包装ケースは、その中に前記1つ以上の感知要素、前記無線通信モジュール、および前記バッテリを封入している、請求項1-7のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記電子コンポーネントは、前記電子コンポーネントから離れるように延びている導線に電気的に結合されるように構成された電気接点を備えている、請求項1-8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
第1の端部において前記電気接点に、第2の端部において電極に結合された電気導線をさらに備えている、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
複数の導線をさらに備え、前記複数の導線の各々は、前記電子コンポーネントの電気接点に結合され、前記電子コンポーネントから離れるように延びており、各導線は、それぞれの電極に結合されている、請求項9に記載のデバイス。
【請求項12】
前記電極は、1つ以上の心臓パラメータを測定するように構成されている、請求項10に記載のデバイス。
【請求項13】
前記デバイスは、約30mm~約70mmの最長横寸法を有する、請求項1-12のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記デバイスは、約10mm~約30mmの最大厚さを有する、請求項1-13のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記1つ以上の感知要素は、温度感知要素、心拍数感知要素、呼吸数感知要素、移動感知要素、圧力感知要素、電気信号感知要素、および電気光学感知要素のうちの1つ以上を備えている、請求項1-14のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記生理学的測定値は、温度パラメータ、酸素飽和度パラメータ、心拍数パラメータ、呼吸数パラメータ、および活動レベルパラメータのうちの1つ以上を備えている、請求項1-15のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記無線通信モジュールは、近距離通信(NFC)、赤外線無線、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Wi-Fi、誘導結合、または容量結合のうちの1つ以上を使用して、データを無線で伝送するように構成されている、請求項1-16のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記筐体は、前記リザーバコンポーネントおよび前記電子コンポーネントが互いに対して撓曲することまたは曲がることができるように、撓曲することができる、請求項1-17のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項19】
前記バッテリと電気通信する無線再充電ユニットをさらに備えている、請求項1-18のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記無線再充電ユニットは、コイルを備えている、請求項19に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、各々が参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる2018年11月20日に出願された米国仮出願第62/770,033号および2019年2月24日に出願された米国仮出願第62/809,689号の優先権の利益を主張する。
(技術分野)
【0002】
本技術は、埋め込み型医療デバイスおよび関連付けられたシステムおよび使用方法に関する。特に、本技術は、患者の健康状態を監視するための血管アクセスデバイス、システム、および方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
血管アクセスデバイス(例えば、血管アクセスポート)は、化学療法薬等の静脈内薬剤を投与する目的のために、患者の中心静脈系への比較的に迅速かつ容易なアクセスを提供する低侵襲性の外科的に埋め込まれるデバイスである。従来の血管アクセスデバイスは、一般的に、療法薬または流体の頻繁な繰り返しの静脈内投与、繰り返しの採血を要求する患者のために、および/または困難な血管アクセスを伴う患者のために使用される。
【0004】
血管アクセスポート等の血管アクセスデバイスは、典型的に、カテーテルに取り付けられたリザーバを含む。ユニット全体は、低侵襲性外科的手技を使用して、患者の身体内に完全に設置される。殆どの場合、リザーバは、鎖骨のちょうど下方の上側胸壁に生成される小型ポケット内に設置され、カテーテルは、上大静脈または右心房内に置かれた先端を伴って内頸静脈または鎖骨下静脈の中に挿入される。しかしながら、そのような血管アクセスデバイスは、身体の他の部分内に、および/または代替部位に位置付けられたカテーテルも伴って、設置されることができる。従来のデバイスでは、リザーバは、典型的に、嵩張り、それによって、上を覆う皮膚は、突出し、臨床医が触診を使用し、薬剤注入または検査のための血液の吸引のために使用されることになるときのアクセスのためにデバイスを位置特定することを可能にする。自己シールカバー(例えば、厚いシリコーン膜)が、リザーバの上を覆って配置され、それをシールし、皮膚を通してポートの中に挿入される非コアリング(例えば、ヒューバー型)針を使用して、繰り返しのアクセスを可能にする。このアクセス手技は、針、血管アクセスデバイス、カテーテル、および血管空間の間に流体連通が存在し、それによって、経皮針を介した薬剤の注入または血液の吸引を可能にするシステムを確立する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
従来の血管アクセスデバイスは、臨床医が触診によってデバイスを位置特定することを可能にするための設計によって嵩張る。臨床医によって正確にアクセスされるために、血管アクセスデバイスは、皮膚の下で可視化される必要、または触診される必要がある。加えて、従来の血管アクセスポートは、電子コンポーネントおよび、内部電源を有していない。故に、改良された血管アクセスデバイスの必要性が存在する。
【0006】
本開示の多くの側面が、以下の図面を参照して、さらに理解されることができる。図面内のコンポーネントは、必ずしも一定の縮尺ではない。代わりに、本開示の原理を明確に図示することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本技術による、埋め込まれた医療デバイスを介して患者の健康を監視するためのシステムの概略表現である。
【0008】
図2図2は、図1のシステムとの使用のために構成される血管アクセスデバイスの例を示す。
【0009】
図3図3は、患者の身体内に埋め込まれた図2の血管アクセスデバイスを示す。
【0010】
図4A図4Aは、本技術による、血管アクセスデバイスの上面斜視図である。
【0011】
図4B図4Bは、包装ケースが透明に示された図4Aの血管アクセスデバイスの上面斜視図である。
【0012】
図4C図4Cは、図4Aおよび4Bの血管アクセスデバイスの底面図である。
【0013】
図4D図4Dは、包装ケースが透明に示された図4A-4Cの血管アクセスデバイスの底面図である。
【0014】
図5図5Aおよび5Bは、それぞれ、図4A-4Dに示される血管アクセスデバイスのリザーバコンポーネントの上面斜視図および側面断面図である。
【0015】
図6図6は、本技術による、別の例示的血管アクセスデバイスを図示する。
【0016】
図7図7は、本技術による、別の例示的血管アクセスデバイスを図示する。
【0017】
図8図8A-8Cは、それぞれ、図7の血管アクセスデバイスのバッテリ、電子、およびコイルコンポーネントの上面斜視図、上面図、および底面図を図示する。
【0018】
図9図9は、それぞれ、図7の血管アクセスデバイスのリザーバコンポーネントの側面断面図および上面斜視図を図示する。
【0019】
図10図10は、本技術による、別の例示的血管アクセスデバイスを図示する。
【0020】
図11図11Aおよび11Bは、それぞれ、本技術による、別の例示的血管アクセスデバイスの上面斜視図および底面図を図示する。
【0021】
図12-1】図12A-12Cは、それぞれ、本技術による、別の例示的血管アクセスデバイスの上面斜視図、上面図、および底面図を図示する。
図12-2】図12A-12Cは、それぞれ、本技術による、別の例示的血管アクセスデバイスの上面斜視図、上面図、および底面図を図示する。
【0022】
図13図13Aおよび13Bは、それぞれ、本技術による、別の例示的血管アクセスデバイスの上面図および側面断面図を図示する。
【0023】
図14図14A-14Dは、それぞれ、本技術による、別の例示的血管アクセスデバイスの上面図、正面図、側面図、および側面断面図を図示する。
【0024】
図15図15Aおよび15Bは、それぞれ、本技術による、別の例示的血管アクセスデバイスの上面図および側面断面図を図示する。
【0025】
図16図16A-16Cは、それぞれ、本技術による、別の例示的血管アクセスデバイスの上面図、側面図、および側面断面図を図示する。
【0026】
図17図17A-17Dは、それぞれ、本技術による、別の血管アクセスデバイスの上面図、側面図、底面図、および側面断面図を図示する。
【0027】
図18A図18Aおよび18Bは、それぞれ、本技術による、別の血管アクセスデバイスの等角図および側面図を図示する。
図18B図18Aおよび18Bは、それぞれ、本技術による、別の血管アクセスデバイスの等角図および側面図を図示する。
【0028】
図19図19Aおよび19Bは、それぞれ、隔壁を通してデバイスのリザーバの中に送達された針を伴って示される図18Aおよび18Bに示される血管アクセスデバイスの等角図および断面側面図を図示する。
【0029】
図20図20Aおよび20Bは、本技術による、別の血管アクセスデバイスの2つの等角図を図示する。
【0030】
図21-1】図21Aおよび21Bは、それぞれ、本技術による、監視デバイスの上面図および底面図を図示する。
【0031】
図21-2】図21Cは、図21Aおよび21Bの監視デバイスの上面図を図示し、EKG導線が、監視デバイスから延びている。
【0032】
図22図22は、本技術による、血管アクセスデバイスと除去可能に結合され得る監視デバイスの上面図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本技術は、血管アクセスデバイス等の埋め込み型医療デバイスおよび関連付けられるシステムおよび使用方法に関する。本技術のいくつかの実施形態の具体的詳細が、図1-22を参照して下で説明される。
【0034】
本技術の血管アクセスデバイスおよびシステムは、遠隔患者監視のためのプラットフォームを提供する、電子コンポーネントを装備し得る。例えば、本明細書に開示される血管アクセスデバイスは、血管アクセスデバイスが患者内に埋め込まれている間、患者生理学的データを取得し、データに基づいて、1つ以上の生理学的パラメータを決定するように構成された感知要素を含み得る。システムは、例えば、即時の医療処置または入院を要求する病状の1つ以上の症状を示すある生理学的パラメータを決定し得る。そのような生理学的パラメータは、温度、患者移動/活動レベル、心拍数、呼吸数、血液酸素飽和度に関連するもの、および/または本明細書に説明される他の好適なパラメータを含むことができる。これらのパラメータに基づいて、システムは、患者が病気に罹患している、または罹患する危険性がある、または療法による合併症を被っているという指示を患者および/または臨床医に提供し得る。本技術のシステムは、化学療法が、即時に治療されなかった場合に患者に致死的であり得る多くの副作用を有するため、化学療法を受ける癌患者に特に有益であり得る。本明細書に開示される血管アクセスデバイス、システム、および方法は、公知の症状の早期検出を可能にし、それによって、患者生存率および全体的な生活の質を改良する。
【0035】
加えて、埋め込まれたデバイスは、生理学的パラメータを監視し、デバイス通信履歴を記録するだけではなく、患者の人口統計、診断、治療歴、およびPOLST(生命維持治療に関する医師の指示書)ステータスについての情報も含む、データ記憶および通信技術を含み得る。いくつかの実施形態において、血管アクセスデバイスは、照会デバイスまたは他の遠隔コンピューティングデバイスとの無線通信のために構成されることができる。照会デバイスはまた、例えば、電磁誘導充電を介して、血管アクセスデバイスのバッテリを無線で再充電し得る。
(患者監視システム概観)
【0036】
図1は、本技術による、血管アクセスデバイス100(または「デバイス100」)を介して患者の健康を監視するためのシステム10の概略表現である。デバイス100は、患者の胸部の上側領域に沿った皮下場所等のヒト患者H内に埋め込まれるように構成される。図1に示されるように、デバイス100は、患者の健康を示す1つ以上の生理学的パラメータを決定するためにシステム10によって使用される、生理学的測定値を取得するように構成される感知要素110を含み得る。いくつかの実施形態において、システム10は、生理学的パラメータに基づいて病状(敗血症等)または関連付けられる症状を検出し、検出された状態の指示を患者、介護者、および/または医療処置チームに提供し得る。
【0037】
図1に図式的に示されるように、デバイス100は、例えば、スマートデバイス(例えば、スマートフォン、タブレット、またはプロセッサおよびメモリを有する他のハンドヘルドデバイス)、特殊用途照会デバイス、または他の好適なデバイスであり得るローカルコンピューティングデバイス150と無線で通信するように構成され得る。デバイス100とローカルコンピューティングデバイス150との間の通信は、例えば、近距離通信(NFC)、赤外線無線、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Wi-Fi、誘導結合、容量結合、または任意の他の好適な無線通信リンクによって仲介されることができる。デバイス100は、例えば、感知要素110を介して取得される生理学的測定値、患者医療記録、デバイス性能メトリック(例えば、バッテリレベル、エラーログ等)、またはデバイス100によって記憶された任意の他のそのようなデータを含む、データを伝送し得る。いくつかの実施形態において、伝送されたデータは、ローカルコンピューティングデバイス150への伝送の間にセキュリティを維持するように、暗号化または別様に難読化される。ローカルコンピューティングデバイス150はまた、例えば、感知要素110を介して、ある生理学的測定値を取得するため、位置特定信号を放出するため、または他の機能を実施するために、命令を血管アクセスデバイス100に提供し得る。いくつかの実施形態において、ローカルコンピューティングデバイス150は、例えば、電磁誘導充電を介して、デバイス100のバッテリを無線で再充電するように構成され得る。
【0038】
システム10はさらに、第1の遠隔コンピューティングデバイス160(またはサーバ)を含み得、ローカルコンピューティングデバイス150は、次に、有線または無線通信リンク(例えば、インターネット、公衆および私設イントラネット、ローカルまたは拡張Wi-Fiネットワーク、携帯電話の基地局、旧来の電話システム(POTS)等)を経由して、第1の遠隔コンピューティングデバイス160と通信し得る。第1の遠隔コンピューティングデバイス160は、1つ以上の自身のプロセッサと、メモリとを含み得る。メモリは、プロセッサによって実行可能な命令を記憶するように構成された有形の非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体であり得る。メモリはまた、遠隔データベースとして機能するように構成され得る、すなわち、メモリは、ローカルコンピューティングデバイス150から受信されるデータ(1つ以上の生理学的測定値またはパラメータおよび/または他の患者情報等)を恒久的または一時的に記憶するように構成され得る。
【0039】
いくつかの実施形態において、第1の遠隔コンピューティングデバイス160は、加えて、または代替として、例えば、病院、医療提供者、医療記録データベース、保険会社、または患者データおよび/またはデバイスデータをセキュアに記憶する責任を負う他のエンティティに関連付けられるサーバコンピュータを含むことができる。遠隔場所170(例えば、病院、診療所、保険事務所、医療記録データベース、オペレータの自宅等)で、オペレータが、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートデバイス(例えば、スマートフォン、タブレット、またはプロセッサおよびメモリを有する他のハンドヘルドデバイス)、または他の好適なデバイスであり得る第2の遠隔コンピューティングデバイス172を介して、データにアクセスし得る。オペレータは、例えば、ウェブベースのアプリケーションを介して、データにアクセスし得る。いくつかの実施形態において、デバイス100によって提供される難読化されたデータは、遠隔場所170において難読化解除(例えば、非暗号化)されることができる。
【0040】
いくつかの実施形態において、デバイス100は、ローカルコンピューティングデバイス150の仲介を伴わずに、遠隔コンピューティングデバイス160および/または172と通信し得る。例えば、血管アクセスデバイス100は、Wi-Fiまたは他の無線通信リンクを介して、インターネット等のネットワークに接続され得る。他の実施形態において、デバイス100は、次に、遠隔コンピューティングデバイス160および/または172と通信する、ローカルコンピューティングデバイス150のみと通信し得る。
【0041】
図2は、本技術のシステム10との使用のために構成される血管アクセスデバイス100(または「デバイス100」)の例を示す。図2に示されるように、デバイス100は、ヒト患者内に埋め込まれるように構成された筐体102と、筐体102内に含まれる流体リザーバ104と、リザーバ104に隣接し、(図3に関して下記にさらに詳細に説明されるように)リザーバ104への流体(療法または診断薬等)の送達のためにそれを通して針を受け取るように構成された隔壁106とを備えている。筐体102は、針の穿刺を防止するために十分な剛直性および強度を提供する生体適合性プラスチック、金属、セラミック、医療グレードシリコーン、または他の材料から作製され得る。隔壁106は、例えば、シリコーンまたは他の変形可能な自己シール生体適合性材料から作製される自己シール膜であり得る。いくつかの実施形態において、デバイス100は、筐体102から遠位に延び、リザーバ104と流体連通するカテーテル130を含み得る。例えば、カテーテル130は、返しコネクタまたは他の好適な機械的接続を介して、デバイス100の出口ポートと嵌め合うように構成されることができる。カテーテル130は、単一または多重管腔カテーテルであり得る。いくつかの実施形態において、デバイス100は、複数の別個のカテーテルを含む。
【0042】
図3に示されるように、動作時、デバイス100は、例えば、鎖骨のちょうど下方の上側胸壁に生成される小型ポケット内で、皮膚Sの下で患者に埋め込まれる。リザーバ104と流体連通するカテーテル130は、上大静脈または右心房内に置かれた先端を伴って、血管V、例えば、内頸静脈または鎖骨下静脈の中に挿入される。臨床医は、皮膚Sを通して、自己シール隔壁106を通して、流体リザーバ104の中に針N(例えば、非コアリングまたはヒューバー型針)を挿入する。流体(例えば、薬剤)を患者の血管Vの中に導入するために、臨床医は、針Nを通して流体を前進させ得、それは、次いで、リザーバ104、カテーテル130を通して、血管Vの中に流動する、または医師が、血管Vの中への延期された送達のために、針を通して流体を前進させ、リザーバを充填し得る。血管Vから流体を除去するために(例えば、検査のために血管Vから血液を吸引するために)、臨床医は、針Nを介して吸引力を印加し、それによって、血管Vからカテーテル130の中、流体リザーバ104の中、および針Nの中に流体(例えば、血液)を引き込むことができる。手技が完了したとき、臨床医は、針Nを除去し、自己シール隔壁106は、閉鎖構成を再開し、デバイス100は、患者の皮膚Sの下の定位置に留まり得る。
【0043】
前述で述べられたような図2を再び参照すると、デバイス10は、筐体102に結合され、生理学的測定値を取得するように構成された感知要素110を含む。単一の感知要素110が、明確にするために図示されるが、種々の実施形態において、デバイス100は、筐体102内に配置されるか、または、別様にそれに結合された複数の感知要素110を含み得る。いくつかの実施形態において、1つ以上のそのような感知要素110が、筐体102から分離される別個の構造コンポーネント上に配置され得る。本明細書で使用されるように、用語「感知要素」は、単一のセンサまたは複数の別々の別個のセンサを指し得る。
【0044】
デバイス100は、感知要素110に通信可能に結合された少なくとも1つのコントローラ112を含み得る。コントローラ112は、1つ以上のプロセッサと、ソフトウェアコンポーネントと、メモリ(図示せず)とを含み得る。いくつかの例において、1つ以上のプロセッサは、メモリ内に記憶された命令に従って、感知要素110から受信される生理学的測定値を処理するように構成された1つ以上のコンピューティングコンポーネントを含む。メモリは、1つ以上のプロセッサによって実行可能な命令を記憶するように構成された有形の非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体であり得る。例えば、メモリは、ある機能を達成するように1つ以上のプロセッサによって実行可能なソフトウェアコンポーネントのうちの1つ以上のものをロードされ得るデータ記憶装置であり得る。いくつかの例において、機能は、感知要素110に患者から生理学的データを取得させるステップを伴い得る。別の例において、機能は、生理学的データを処理し、1つ以上の生理学的パラメータを決定する、および/または決定された生理学的パラメータに関連付けられる1つ以上の症状または病状の指示を患者および/または臨床医に提供するステップを伴い得る。
【0045】
コントローラ112はまた、デバイス100と外部コンピューティングデバイス(例えば、ローカルコンピューティングデバイス150、遠隔コンピューティングデバイス160、および170等)との間でデータをセキュアに伝送するように構成されたデータ通信ユニットを含み得る。いくつかの実施形態において、コントローラ112は、患者内に埋め込まれたとき、位置特定信号(例えば、患者の皮膚を透照する光、振動、磁場等)を放出し、デバイス100を位置特定する際に臨床医を支援するように構成された位置特定ユニットを含む。コントローラ112はまた、照会デバイス(例えば、ローカルデバイス150または別の好適なデバイス)の存在下にあるとき、デバイス100のバッテリ(図示せず)を再充電するように構成された無線充電ユニット(コイル等)を含むこともできる。
【0046】
システム10は、デバイス100と通信する感知要素110を介して生理学的測定値を持続的および/または周期的に取得するように構成され得る。感知要素110は、筐体102および/またはカテーテル130によって保持され得る、および/または筐体102およびカテーテル130と別個であるが、筐体102および/またはカテーテル130に物理的または通信可能に結合された感知コンポーネントを含み得る。感知要素110は、デバイス100と同一の場所に、または異なる場所に埋め込まれ得る、または外部場所で患者上に(例えば、患者の皮膚上に)位置付けられ得る。感知要素110は、デバイス100に恒久的に結合され得る、またはデバイス100に一時的に結合するように構成され得る。
【0047】
いくつかの実施形態において、感知要素110は、デバイス100が埋め込まれるとき、感知要素110の一部のみが局所生理学的環境にさらされるように、筐体102に内蔵される。例えば、感知要素110は、筐体102の外部表面に位置付けられる外部部分と、筐体102内に位置付けられ、コントローラ112に配線される内部部分とを有する1つ以上の電極を備え得る。いくつかの実施形態において、感知要素110は、ポートリザーバ104との界面またはリザーバ104およびカテーテル130の接合点において筐体102の内部表面に位置付けられる、またはカテーテル130の中に延びている内部部分を有する1つ以上の電極を備え得る。
【0048】
いくつかの実施形態において、感知要素110は、完全に筐体102内に含まれ得る。例えば、感知要素110は、筐体102によって封入され、それを通して、パルスオキシメータから放出される光が外部場所まで通過し得、それを通して戻るように、外部場所から反射される光がパルスオキシメータのフォトダイオードによる検出のために通過し得る筐体102内の窓に隣接して位置付けられる、1つ以上のパルスオキシメータを備え得る。そのような実施形態において、窓は、例えば、筐体102の外壁内の定位置にろう付けされるサファイア窓であり得る。
【0049】
感知要素110は、筐体102によって完全に封入される少なくとも1つのセンサと、筐体102および/またはカテーテル130の直接上にあるか、または筐体102および/またはカテーテル130から分離されている(但し、例えば、有線接続を介して筐体102および/またはカテーテル130に依然として物理的に結合されている)かどうかにかかわらず、部分的または完全に外部場所に位置付けられた少なくとも1つのセンサとを備え得る。いくつかの実施形態において、感知要素110の少なくとも一部は、リザーバ104の内部領域に位置付けられ、および/または、それにさらされる。
【0050】
いくつかの実施形態において、感知要素110は、1つ以上のプロセッサおよび/またはソフトウェアコンポーネントを備えている、別個のコントローラ(図示せず)を含み得る。そのような実施形態において、感知要素110は、生理学的測定値のうちの少なくともいくつかを処理し、1つ以上の生理学的パラメータを決定し、次いで、(基礎的な生理学的データの有無を問わず)それらの生理学的パラメータをデバイス100のコントローラ112に伝送し得る。いくつかの例において、感知要素110は、データをコントローラ112に伝送する前に、生理学的測定値のうちの少なくともいくつかを部分的にのみ処理し得る。そのような実施形態において、コントローラ112はさらに、受信された生理学的データを処理し、1つ以上の生理学的パラメータを決定し得る。ローカルコンピューティングデバイス150および/または遠隔コンピューティングデバイス160、170はまた、感知要素110によって取得される生理学的測定値、および/または感知要素110および/またはコントローラ112によって決定される生理学的パラメータのうちのいくつかまたは全てを処理し得る。
【0051】
本技術のいくつかの側面によると、感知要素110は、メモリを含み得る。メモリは、感知要素110によって取得される生理学的測定値を恒久的および/または一時的に記憶するように構成された非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体であり得る。感知要素110が、その自身のプロセッサを含むそれらの実施形態において、メモリは、プロセッサによって実行可能な命令を記憶するように構成された有形の非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体であり得る。
【0052】
いくつかの実施形態において、感知要素110および/またはコントローラ112は、電磁、音響、運動、光学、熱、または生化学感知要素または手段によって、患者情報を識別、監視、および通信し得る。感知要素110は、例えば、1つ以上の温度感知要素(例えば、1つ以上の熱電対、1つ以上のデジタル温度センサ、1つ以上のサーミスタ、または他のタイプの抵抗温度検出器等)、1つ以上のインピーダンス感知要素(例えば、1つ以上の電極)、1つ以上の圧力感知要素、1つ以上の光学感知要素、1つ以上の流量感知要素(例えば、ドップラ速度感知要素、超音波流量計等)、1つ以上の超音波感知要素、1つ以上のパルスオキシメータ、1つ以上の化学感知要素、1つ以上の移動感知要素(例えば、1つ以上の加速度計)、1つ以上のpH感知要素、心電図(「ECG」または「EKG」)ユニット、1つ以上の電気化学感知要素、1つ以上の血液動態感知要素、および/または他の好適な感知デバイスを含み得る。
【0053】
感知要素110は、ワイヤ、複数のワイヤ、ワイヤ束、磁気ノード、および/またはノードのアレイを用いて、例えば、インピーダンス、電圧、電流、または磁場感知能力を測定および/または検出するように構成された1つ以上の電磁感知要素を備え得る。感知要素110は、例えば、ヒト聴覚範囲内、またはヒト聴覚範囲の周波数を下回る、または上回る音声周波数、鼓動または脈拍パターン、音調ピッチメロディ、および/または楽曲を測定および/または検出するように構成された1つ以上の音響感知要素を備え得る。感知要素110は、例えば、振動、移動パルス、移動のパターンまたはリズム、移動の強度、および/または移動の速度を測定および/または検出するように構成された1つ以上の運動感知要素を備え得る。運動通信は、信号への認識可能な応答によって生じ得る。この応答は、振動、パルス、移動パターン、方向、加速度、または移動率によるものであり得る。運動通信はまた、応答の欠如によるものであり得、その場合、物理的信号、振動、または環境への衝突が、感知要素110の運動応答と区別され得る周辺組織内の運動応答を生じさせる。運動通信はまた、特徴的な入力信号および応答共振によるものであり得る。感知要素110は、例えば、照明光波長、光強度、オン/オフ光パルス周波数、オン/オフ光パルスパターン、UVまたは「ブラックライト」等の特殊な光で照明されたときの受動グローまたは能動グロー、または認識可能な形状または文字の表示を含み得る1つ以上の光学感知要素を備え得る。これはまた、分光法、干渉法、赤外線照明への応答、および/または光学コヒーレンストモグラフィによる特性評価も含む。感知要素110は、デバイス環境が外部手段によって加熱または冷却されたとき、例えば、周辺環境に対するデバイス100温度、デバイス100(またはその一部)の温度、デバイス100および/または感知要素110を包囲する環境の温度、または周辺に対する微分デバイス温度変化率を測定および/または検出するように構成された1つ以上の熱感知要素を備え得る。感知要素110は、例えば、マイクロアレイチップを用いた、タンパク質、RNA、DNA、抗原、および/またはウイルスの感知のための体液のマイクロ流体輸送を可能にするためのカテーテル、細管、吸い上げ紙、または吸い上げ繊維の使用を含み得る1つ以上の生化学デバイスを備え得る。
【0054】
本技術のいくつかの側面では、コントローラ112および/または感知要素110は、ナトリウム、カリウム、塩化物、重炭酸塩、クレアチニン、血中尿素窒素、カルシウム、マグネシウム、およびリン等の血液成分の濃度を検出および/または測定するように構成され得る。システム10および/または感知要素110は、肝機能(例えば、AST、ALT、アルカリホスファターゼ、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ、トロポニン等の評価および/または検出によって)、心臓機能(例えば、トロポニンの評価および/または検出によって)、凝固(例えば、プロトロンビン時間(PT)、部分トロンボプラスチン時間(PTT)、および国際標準化比(INR)の決定を介して)、および/または血球数(例えば、ヘモグロビンまたはヘマトクリット、差を伴う白血球レベル、および血小板)を評価するように構成され得る。いくつかの実施形態において、システム10および/または感知要素110は、循環腫瘍細胞、循環腫瘍DNA、循環RNA、生殖細胞系または腫瘍DNAの多重遺伝子シークエンシング、サイトカイン、C反応性タンパク質、赤血球沈降率、腫瘍マーカ(PSA、ベータHCG、AFP、LDH、CA125、CA19-9、CEA等)、およびその他等の炎症のマーカを検出および/または測定するように構成され得る。
【0055】
前述で述べられたように、システム10は、生理学的測定値および/または1つ以上の他の生理学的パラメータに基づいて、1つ以上の生理学的パラメータを決定し得る。例えば、システム10は、心拍数、温度、血圧(例えば、収縮期血圧、拡張期血圧、平均血圧)、血流率、血液速度、パルス波速度、体積流率、反射圧力波振幅、増大指数、血流予備能、抵抗予備能、抵抗指数、静電容量予備能、ヘマトクリット、心調律、心電図(ECG)トレーシング、体脂肪率、活動レベル、身体移動、転倒、歩行分析、発作活動、血糖レベル、薬物/薬剤レベル、血液ガス成分および血液ガスレベル(例えば、酸素、二酸化炭素等)、乳酸レベル、ホルモンレベル(コルチゾール、甲状腺ホルモン(T4、T3、遊離T4、遊離T3)、TSH、ACTH、副甲状腺ホルモン等)、および/または前述の測定値およびパラメータの任意の相関および/または導関数(例えば、電圧および/または他の直接測定される値を含む、未加工データ値)等の生理学的パラメータを決定するように構成され得る。いくつかの実施形態において、生理学的測定値のうちの1つ以上のものは、システム10によるいずれの追加の処理も伴わずに、生理学的パラメータとして利用される、または特徴付けられることができる。
【0056】
システム10はまた、特定のパラメータの変化率、特定の時間枠にわたる特定のパラメータの変化等の前述の生理学的パラメータ(本明細書では「生理学的パラメータ」とも称される)のうちのいずれかの導関数を決定および/または監視し得る。ほんのいくつかの例として、システム10は、規定時間にわたる温度、最高温度、最高平均温度、最低温度、所定または計算された温度に対する所定または計算された時間における温度、規定時間にわたる平均温度、最大血流、最小血流、所定または計算された血流に対する所定または計算された時間における血流、経時的な平均血流、最大インピーダンス、最小インピーダンス、所定または計算されたインピーダンスに対する所定または計算された時間におけるインピーダンス、規定時間にわたるインピーダンスの変化、規定時間にわたる温度の変化に対するインピーダンスの変化、経時的な心拍数の変化、経時的な呼吸数の変化、規定時間にわたる、および/または規定日時における活動レベル、および他の好適な導関数として決定するように構成され得る。
【0057】
測定値が、1つ以上の所定の時間、時間の範囲、計算された時間、および/または測定された事象が生じるとき、またはそれに対する時間に、持続的または周期的に取得され得る。同様に、生理学的パラメータは、1つ以上の所定の時間、時間の範囲、計算された時間、および/または測定された事象が生じるとき、またはそれに対する時間に、持続的または周期的に決定され得る。
【0058】
決定された生理学的パラメータに基づいて、本技術のシステム10は、患者の健康の指示を患者および/または臨床医に提供するように構成される。例えば、コントローラ112は、生理学的パラメータのうちの1つ以上のものを所定の閾値または範囲と比較し、比較に基づいて、患者の健康の指示を提供し得る。例えば、決定された生理学的パラメータが、所定の閾値を上回る、または下回る、または所定の範囲外である場合、システム10は、患者が決定された生理学的パラメータに関連付けられる症状によって特徴付けられる病状の危険性がある、またはそれをすでに発症しているという指示を提供し得る。本明細書で使用されるように、「所定の範囲」は、値の設定された範囲を指し、「所定の範囲外」は、(a)所定の範囲に部分的にのみ重複する、または値の所定の範囲のいずれの部分にも重複しない、値の測定または計算された範囲を指す。本明細書で使用されるように、「所定の閾値」は、単一の値または値の範囲を指し、「所定の閾値」「外」であるパラメータは、パラメータが、(a)所定の値を超える、または満たすことができない、測定または計算された値、(b)値の所定の範囲外に該当する、測定または計算された値、(c)値の所定の範囲に部分的にのみ重複する、または値の所定の範囲のいずれの部分にも重複しない、値の測定または計算された範囲、または、(d)値のうちのいずれも所定の値と重複しない、値の測定または計算された範囲である状況を指す。
【0059】
所定のパラメータ閾値および/または範囲は、ルックアップテーブルを生成するように実験的に決定されることができる。ルックアップテーブル値は、例えば、臨床試験、および/または公知の健康または正常な値または値の範囲に基づいて、実験的に決定されることができる。所定の閾値は、加えて、または代替として、特定の患者のベースライン生理学的パラメータに基づき得る。
【0060】
システム10によって検出される、および/または示される病状は、例えば、敗血症、肺塞栓症、転移性脊髄圧迫、貧血、脱水症/体液量減少、嘔吐、肺炎、鬱血性心不全、パフォーマンスステータス、不整脈、好中球減少性発熱、急性心筋梗塞、疼痛、オピオイド毒性、ニコチンまたは他の薬物中毒または依存、高血糖性/糖尿病性ケトアシドーシス、低血糖症、高カリウム血症、高カルシウム血症、低ナトリウム血症、1つ以上の脳転移、上大静脈症候群、消化管出血、免疫療法誘発型または放射線肺臓炎、免疫療法誘発型大腸炎、下痢、脳血管障害、脳卒中、病理学的骨折、喀血、吐血、薬剤誘発型QT延長、心臓ブロック、腫瘍溶解症候群、鎌状赤血球貧血クリーゼ、胃不全麻痺/周期性嘔吐症候群、血友病、嚢胞性線維症、慢性疼痛、および/または発作を含み得る。本明細書に開示されるシステムおよび/またはデバイス(デバイス4A-19B等)のうちのいずれかが、前述の病状のうちのいずれかに関して患者を監視するために使用され得る。
【0061】
本明細書および添付の請求項の目的のために、別様に示されない限り、温度、生理学的パラメータの変化率、血液成分の濃度、心拍数、呼吸数、および本明細書および請求項で使用される他の数値を表す、全ての数字は、全ての事例において用語「約」によって修飾されるものとして理解されることになる。故に、そうではないと示されない限り、以下の本明細書および添付の請求項に記載される数値パラメータは、本発明によって取得されることが求められる所望の性質に応じて変動し得る、近似である。少なくとも、均等物の原則の適用を請求項の範囲に限定するための試行としてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告される有効桁数を踏まえて、通常の丸め技法を適用することによって、解釈されるべきである。
【0062】
本発明の広い範囲を記載する数値範囲およびパラメータが近似であるにもかかわらず、具体的例に記載される数値は、可能な限り精密に報告される。しかしながら、任意の数値は、本質的に、それらのそれぞれの試験測定値で見出される標準偏差に必然的に起因する、ある誤差を含む。さらに、本明細書に開示される全ての範囲は、その中に組み込まれるありとあらゆる部分範囲を包含すると理解されることになる。例えば、「1~10」の範囲は、1の最小値と10の最大値との間の(かつそれを含む)ありとあらゆる部分範囲、すなわち、1に等しいまたはそれを上回る最小値と、10に等しいまたはそれ未満の最大値とを有する、ありとあらゆる部分範囲、例えば、5.5~10を含む。
【0063】
本明細書および添付の請求項で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、1つの指示対象に明示的かつ明白に限定されない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「a sensing element(感知要素)」の言及は、1つ、2つ、3つ、またはそれを上回る感知要素を含む。
【0064】
本明細書で使用されるように、用語「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」は、個別に、A、B、またはCのうちのいずれか、およびA、B、およびCのうちの2つ以上のものの任意の組み合わせを意味する。例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」は、A、B、C、AB、AC、BC、およびABCを含む。
(血管アクセスデバイスの選択された例)
【0065】
図4A-20Bは、生理学的センサおよび/または他の電子要素を有する、血管アクセスデバイスの種々の例示的構成を図示する。血管アクセスデバイス400は、図1-3に関して上記に説明される血管アクセスデバイス100の特徴のうちのいくつかまたは全てを含むことができる。以下の例の多くでは、血管アクセスデバイス400は、リザーバコンポーネント404、電子コンポーネント406、バッテリコンポーネント408、およびコイルコンポーネント410を画定または封入する、外側筐体402を含む。筐体402は、したがって、デバイス400の種々の要素をともに保定することができる。筐体402は、金属(例えば、チタン)、セラミック、ポリマー(例えば、PEEK、シリコーン)、または他の生体適合性材料等の生体適合性材料から作製されることができる。いくつかの実施形態において、外部筐体402は、柔軟であり、それによって、埋め込まれたときに患者快適性を増加させ、隣接する生体構造との一致を改良し得る。いくつかの実施形態において、筐体402は、デバイス400の内部要素のうちのいくつかまたは全てを密閉してシールすることができる。より詳細に説明されるように、これらのコンポーネント(またはこれらのコンポーネントの要素)は、異なる幾何学的および電気的構成で配置され得る。いくつかの実施形態において、それは、より薄型の外形、より小さい占有面積、さらなる機械的柔軟性、および/または製造におけるコンポーネントの変動を可能にする、さらなるモジュール性を有する、デバイスをもたらし得る。加えて、あるコンポーネントの形状、配置、および構成は、臨床医の使いやすさを改良する、および/または患者快適性を増加させ得る。
【0066】
リザーバコンポーネント404は、その中に流体を受け取るための内部チャンバ412(図5B)を画定する、本体405(筐体402の一部であり得る)を含むことができる。自己シール隔壁414または他のカバーは、チャンバ412を封入し、それを通して針が挿入され得る、アクセス経路を画定し得る。隔壁414は、例えば、シリコーンまたは他の変形可能な自己シール生体適合性材料から作製される膜であり得る。リザーバコンポーネント404はまた、カテーテルと嵌め合わせられるように構成される、出口ポート416も含む。例えば、出口ポート416は、その上にカテーテルを除去可能に受け取るための返し付き接続または他の好適な機械的接続を有する、筐体402の一部によって画定されることができる。使用時、針が、隔壁414を通してチャンバ412の中に除去可能に挿入されることができ、カテーテルが、出口ポート416に流体的に結合され、それによって、流体(例えば、薬剤)の導入または流体の抜去(例えば、検査のための血液の吸引)のための針とカテーテルとの間の流体経路を確立することができる。
【0067】
種々の実施形態において、血管アクセスデバイス400は、約10mm~約100mm、約20mm~約80mm、約30mm~約70mm、約40mm~約60mm、または約50mmの最長の長さを有することができる。種々の実施形態において、血管アクセスデバイス400は、約5mm~約40mm、約10mm~約30mm、または約25mmのその長さに略直交して測定されるような幅を有することができる。いくつかの実施形態において、血管アクセスデバイス400は、約5mm~約50mm、約10mm~約30mm、または約15mmの高さを有することができる。種々の実施形態において、血管アクセスデバイスの隔壁は、約3mm~約15mm、約5mm~約12mm、または約10mmの直径を有することができる。種々の実施形態において、血管アクセスデバイスの隔壁は、約2mm~約10mm、約3mm~約8mm、約4mm~約6mm、または約5mmの厚さを有することができる。種々の実施形態において、血管アクセスデバイス400のリザーバコンポーネント404は、デバイスの平面的な底面に対してある角度で、例えば、約0度~約45度、約10度~約30度、または約25度の角度で、隔壁414を通して針アクセス経路を画定する、漏斗部分を含み得る。他の実施形態において、リザーバコンポーネント404の隔壁414は、針のためのアクセス経路が、デバイス400の底面の平面に略直交し得るように、頂面にわたって配置され得る。
【0068】
いくつかの実施形態において、バッテリコンポーネント408は、電力を電子コンポーネントに提供するように構成される、再充電可能または非再充電可能バッテリを含む。例示的バッテリは、血管アクセスデバイスの内蔵電気コンポーネントに給電するように構成される、リチウムイオン、マグネシウムイオン、ニッケルカドミウム、ニッケル水素、または任意の他の好適なバッテリを含む。バッテリは、多種多様な形状因子、例えば、円盤形、円筒形、環状、不規則、または他の形状を成すことができる。いくつかの実施形態において、バッテリは、約10~30mmの直径を有する、コイン形のバッテリであり得るが、他のサイズも、可能である。バッテリコンポーネント408は、下でより詳細に説明されるように、デバイス400の他のコンポーネントに対して種々の位置において筐体402内に封入されることができる。
【0069】
電子コンポーネント406は、例えば、感知要素418、メモリ、1つ以上のコントローラ(例えば、中央処理ユニット、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路、または任意の他の論理処理ユニット)、無線通信要素(例えば、無線通信チップ、アンテナ等)、無線電力受信機、および任意の他の好適な電子要素(例えば、フィルタ、アナログ/デジタルコンバータ等)等の1つ以上の電子要素を支持する、プリント回路基板(柔軟、剛体、または半剛体)または他の好適な基板を含むことができる。いくつかの実施形態において、電子コンポーネント406は、電子コンポーネント406(例えば、プロセッサ、メモリ、無線通信チップ等)の第1の部分が、デバイス400の第1の領域内に位置付けられ、電子コンポーネント406(例えば、感知要素418)の別の部分が、デバイス400の第2の領域内に位置付けられるように、デバイス400を中心として分配されることができる。いくつかの実施形態において、バッテリコンポーネント408および電子コンポーネント406は、単一のユニットとしてともに組み合わせられる、同時搭載されるか、または、別様に配置されることができる。他の実施形態において、バッテリコンポーネント408および電子コンポーネント406は、相互から分離され、電気導線を介してのみ接続されることができ、電子コンポーネント406の種々の要素は、相互から分離され、電気導線を介してのみ接続されることができる。
【0070】
いくつかの実施形態において、バッテリコンポーネント408および/または電子コンポーネント406の少なくとも一部は、外側筐体402内に完全に配置され得る、包装ケース409内に封入される。包装ケース409は、伝導性導線が、バッテリコンポーネント408または電子コンポーネント406の一部と、感知要素418、コイルコンポーネント410等の包装ケース409の外部の任意の要素との間に延びていることを可能にする、1つ以上の開口部を含むことができる。いくつかの実施形態において、包装ケース409は、金属(例えば、チタン)、プラスチック、医療グレードシリコーン、セラミック、または他の好適な材料であり得る。いくつかの実施形態において、包装ケース409は、生体適合性密閉シールを提供し、その中の内部コンポーネント(例えば、バッテリコンポーネント408および/または電子コンポーネント406)を保護する。
【0071】
電子コンポーネントの感知要素418は、身体内に埋め込まれている間に1つ以上の生理学的測定値を取得するように構成される。いくつかの実施形態において、感知要素418は、図1-3に関して上記に説明される感知要素110のうちのいずれかを含むことができる。感知要素418は、2018年11月20日に出願された米国特許出願第16/197,083号(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に開示されるもののうちのいずれか等の任意の数の異なる生理学的測定値および/または1つ以上の他の生理学的パラメータを取得するように構成されることができる。感知要素418は、温度センサ、パルスオキシメータ、加速度計、EKGセンサ、磁力計、pHセンサ、および他の好適なセンサを含むことができる。これらまたは他のそのようなセンサは、体温、心拍数、温度、血圧(例えば、収縮期血圧、拡張期血圧、平均血圧)、血流率、血液速度、パルス波速度、体積流率、反射圧力波振幅、増大指数、血流予備能、抵抗予備能、抵抗指数、静電容量予備能、ヘマトクリット、心調律、心電図(ECG)トレーシング、体脂肪率、活動レベル、身体移動、転倒、歩行分析、発作活動、血糖レベル、薬物/薬剤レベル、血液ガス成分および血液ガスレベル(例えば、酸素、二酸化炭素等)、乳酸レベル、ホルモンレベル(コルチゾール、甲状腺ホルモン(T4、T3、遊離T4、遊離T3)、TSH、ACTH、副甲状腺ホルモン等)、および/または前述の測定値およびパラメータの任意の相関および/または導関数(例えば、電圧および/または他の直接測定される値を含む、未加工データ値)等の生理学的パラメータを決定するように構成され得る。追加の詳細が、感知要素418を介して生理学的測定値を取得すること、1つ以上の生理学的パラメータを決定すること、および1つ以上の生理学的パラメータを決定することに基づいて、病状の指示を提供することに関して、2018年11月20日に出願された米国特許出願第16/197,083号(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)で見出されることができる。
【0072】
いくつかの実施形態において、血管アクセスデバイス400の電子コンポーネント406は、位置特定ユニットを含むことができる。そのような位置特定ユニットは、好適な動作を実施するようにメモリから命令を読み取る、コントローラ(例えば、コントローラ112(図1)、中央処理ユニット、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路、または任意の他の論理処理ユニット)に加えて、位置特定信号を放出するように構成されるエミッタを含むことができる。位置特定ユニットは、患者内に埋め込まれたとき、血管アクセスデバイス400から1つ以上の位置特定信号を放出し、デバイスの場所を識別する際に臨床医を支援するように構成されることができる。一例において、位置特定ユニットは、デバイスを中心として配置される1つ以上の光源を含むことができ、位置特定信号は、光源からの光の放出を含むことができる。放出された光は、皮膚を透照し、埋め込み型デバイスの場所を臨床医に示すように構成されることができる。この事例において、位置特定リーダは、患者の皮膚を透照する光を識別するように構成される、光センサまたはセンサのアレイを含むことができる。さらなる例において、位置特定信号は、放出される音、1つ以上の磁石によって発生されるシグネチャ磁場、放出されるRF信号、崩壊する放射性同位体からの放射線、超音波、振動、デバイスの表面から隆起した突出部、加熱要素からの温度の上昇等を含み得る。電子コンポーネント406を介した位置特定信号の放出に関する追加の詳細が、2018年11月20日に出願された米国仮特許出願第62/769,698号(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)で見出されることができる。
【0073】
血管アクセスデバイス400の電子コンポーネント406はまた、ペアリングされたデバイスと無線で通信するように構成されたデータ通信ユニットを含むこともできる。データ通信ユニットは、例えば、無線通信チップ(例えば、Bluetooth(登録商標) Low Energyチップ)、無線アンテナ、または他の好適な無線通信要素を含むことができる。データ通信ユニットとペアリングされたデバイスとの間の通信は、例えば、近距離通信(NFC)、赤外線無線、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Wi-Fi、誘導結合、容量結合、または任意の他の好適な無線通信リンクによって仲介されることができる。データ通信ユニットは、例えば、感知要素を介して取得される生理学的測定値、患者医療記録、デバイス性能メトリック(例えば、バッテリレベル、エラーログ等)、または血管アクセスデバイス400によって記憶された任意の他のそのようなデータを含む、データを伝送し得る。電子コンポーネント406を介したデータ通信に関する追加の詳細が、2018年11月20日に出願された米国仮特許出願第62/769,698号(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)で見出されることができる。
【0074】
血管アクセスデバイス400のコイルコンポーネント410は、円形、楕円形、正方形、または他の形状に連続的に包被される、銅ワイヤ等の伝導性材料の長さを含むことができる。コイルコンポーネント410は、例えば、伝導性導線または他の好適な接続を介して、バッテリコンポーネント408および電子コンポーネント406と電気通信することができる。いくつかの実施形態において、コイルコンポーネント410は、コイルコンポーネントに近接して位置付けられる充電コイルの存在下で誘導電流を受け取るように構成される。例えば、血管アクセスデバイス400が、患者内に埋め込まれ、充電コイルが、埋め込まれたデバイス400に隣接して患者の皮膚にわたって位置付けられるとき、充電コイルを通して駆動される交流電流が、交流磁場を生成し、それは、次に、血管アクセスデバイス400のコイルコンポーネント410内で電流を誘導する。コイルコンポーネント410内の本誘導電流は、バッテリコンポーネント408を再充電するために、および/または電子コンポーネント406の他の要素に給電し、データ伝送、位置特定信号の放出等の他の動作を実施するために、使用されることができる。いくつかの実施形態において、電子コンポーネント406は、コイルコンポーネント410から電気エネルギーを獲得し、バッテリコンポーネント408を再充電するように構成された無線電力受信機を含む。コイルコンポーネント410を介した無線充電に関する追加の詳細が、2018年11月20日に出願された米国仮特許出願第62/769,698号(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)で見出されることができる。
【0075】
図4A-4Dは、例示的血管アクセスデバイス400の上面斜視図および底面図である。明確にするために、筐体402は、これらの図面のそれぞれでは透明に示され、包装ケース409は、図4Bおよび4Cでは透明に示される。図5Aおよび5Bは、それぞれ、図4Aおよび4Bに示される血管アクセスデバイス400のリザーバコンポーネント404の上面斜視図および側面断面図である。図4A-5をともに参照すると、電子コンポーネント406およびバッテリコンポーネント408が、包装ケース409内のデバイス400の第1の領域内にともに搭載される一方、コイルコンポーネント410およびリザーバコンポーネント404は、第1の領域から側方に変位される第2の領域内に搭載される。図示されるように、コイルコンポーネント410は、リザーバコンポーネント404の本体405の下に配置され、伝導性導線を介してバッテリコンポーネント408および/または電子コンポーネント406に電気的に結合される。
【0076】
本実施形態において、バッテリコンポーネント408は、略円筒形である。図4Bおよび4Dで最良に見られるように、電子コンポーネント406は、プリント回路基板420の片側または両側に搭載される複数の個々の要素を含むことができる。これらは、無線通信モジュール422(例えば、Bluetooth(登録商標) Low Energyチップまたはデバイス400と1つ以上の遠隔コンピューティングデバイスとの間の短距離または長距離無線通信を可能にするように構成される類似モジュール)と、無線充電モジュール424(例えば、無線電力受信機チップ)と、複数の感知要素418a-d(集合的に「感知要素418」)とを含む。これらの感知要素は、加速度計418aと、温度センサ418bと、パルスオキシメータ418cと、複数のEKG電極418dとを含むことができる。デバイス400は、デバイス400が身体内に埋め込まれるとき、光学信号が、パルスオキシメータ418cと隣接する組織または流体との間に伝送され得るように、包装ケース409および/または筐体402の下側部分内に配置され、パルスオキシメータ418cと実質的に整列させられる、窓426を含むことができる。窓426は、透明または半透明であり得、例えば、それを通した光学信号の伝送を可能にする、サファイア、強化ガラス、または他の好適な材料から作製される。EKG電極418dは、筐体402に結合され、身体内に埋め込まれたときに組織または流体と接触するように、デバイス400の外部にさらされることができる。EKG電極418dは、EKG電極からの測定値を受信、処理、および記憶するために、処理ユニットまたは他の好適なモジュールに電気的に結合されることができる。
【0077】
前述で記述されたように、いくつかの実施形態において、電子コンポーネント406は、追加のまたは異なる感知要素418を含むことができる。例えば、感知要素418は、例えば、1つ以上の温度感知要素(例えば、1つ以上の熱電対、1つ以上のサーミスタ、統合メモリを伴うデジタル温度センサ等)、1つ以上のインピーダンス感知要素(例えば、1つ以上の電極)、1つ以上の圧力感知要素、1つ以上の光学感知要素、1つ以上の流量感知要素(例えば、ドップラ速度感知要素、超音波流量計等)、1つ以上の超音波感知要素、1つ以上のパルスオキシメータ、1つ以上の化学感知要素、1つ以上の移動感知要素(例えば、1つ以上の加速度計)、1つ以上のpH感知要素、心電図(「ECG」)ユニット、1つ以上の電気化学感知要素、1つ以上の血液動態感知要素、および/または他の好適な感知デバイスを含むことができる。感知要素418は、前述で説明されたように、異なる実施形態において種々の生理学的パラメータを検出するように構成されることができる。
【0078】
図5Aおよび5Bで最良に見られるように、リザーバコンポーネント404は、略平面的な底面405aおよび湾曲上面405bを伴う本体405を有する。隔壁414は、底面405aに対して略垂直に配向される第1の端面405cに配置される。出口ポート416は、第1の端面405cの反対側である第2の端面405dから離れるように延びている。湾曲上面405bは、本体405の高さが第2の端面405dよりも第1の端面405cにおいて高い傾斜部分を画定する。隔壁414が位置付けられる第1の端面は、第1の端面405cがリザーバコンポーネント404の底面405aから離れるように上方に延びているにつれて、内向きにテーパ状になるように、底面405aに対して非直交して配向されることができる。
【0079】
隔壁414は、略円形の形状を成し、本体405および外部筐体402によって画定される開口内に配置されることができる。いくつかの実施形態において、隔壁の直径は、約5~約20mm、例えば、約10mmであり得る。隔壁414の位置および配向は、デバイス400が患者内に埋め込まれる(上面405bが患者の皮膚の最近傍に位置付けられる)とき、隔壁414の中への針の挿入の軸が、患者の皮膚に対して急な角度を付けられ、臨床医に周知であるような標準IV針のための挿入角に類似し得るようなものである。リザーバコンポーネント404の上面の上に、縦隆起428がある。いくつかの実施形態において、本隆起428は、触診を介して検出され得る、突出表面を提供し得る。隆起が、隔壁414と軸方向に整列させられるにつれて、触診または他の手段を介して隆起を特定することは、隔壁414を通して針を挿入するときに臨床医を誘導することに役立ち得る。
【0080】
図6-19Bは、追加の例示的血管アクセスデバイス400を図示する。これらの例示的デバイスは、図4A-5に関して上記に説明されるコンポーネントのうちのいくつかまたは全てを有することができ、図4A-5に関して上記に説明されるデバイスの任意の特徴または特徴の組み合わせを省略し得る。例えば、以下の例のうちのいくつかでは、デバイスは、コイルコンポーネント410を含まない。同様に、いくつかの例において、より多いまたはより少ない感知要素418が、デバイス400内に含まれる。加えて、これらおよび他の例において、種々のコンポーネントの構成、相対的位置付け、定寸、および配置は、変動し得る。例えば、いくつかの実施形態において、バッテリコンポーネント408は、電子コンポーネント406の少なくとも一部とスタックまたは別様に垂直に整列させられ得る一方、他の実施形態において、バッテリコンポーネント408は、電子コンポーネント406に側方に隣接して位置付けられ得る。
【0081】
図6は、別の例示的血管アクセスデバイス400を図示する。図示される実施形態において、電子コンポーネント406、バッテリコンポーネント408、および/またはコイルコンポーネント410は、図4A-5に関して上記に説明されるものに実質的に類似し得る。前述で説明された実施形態と同様に、リザーバコンポーネント404は、電子コンポーネント406と、バッテリコンポーネント408とを含む、包装ケース409に隣接して横に配置される。コイルコンポーネント410は、リザーバコンポーネント404の下に配置され、包装ケース409の中に延びている伝導性導線を介して、バッテリコンポーネント408および/または電子コンポーネント406に電気的に結合される。しかしながら、図示される例において、リザーバコンポーネント404は、図4A-5の例と異なる形状を成す。図6に示されるように、リザーバコンポーネント404は、略円筒形を画定する本体405を含む。略円形の隔壁414が、リザーバコンポーネント404の本体405の上面405b内に配置される。本実施形態において、臨床医が、デバイス400が患者内に埋め込まれるとき、患者の皮膚に略直交して針を挿入し、リザーバコンポーネント404の隔壁414を穿刺することによって、リザーバコンポーネント404にアクセスし得る。
【0082】
図7は、別の例示的血管アクセスデバイス400を図示する。図8A-8Cは、それぞれ、図7の血管アクセスデバイス400のバッテリ、電子、およびコイルコンポーネントの上面斜視図、上面図、および底面図を図示し、図9は、それぞれ、図7の血管アクセスデバイス400のリザーバコンポーネントの側面断面図および上面斜視図を図示する。図7-9をともに参照すると、バッテリコンポーネント408および電子コンポーネント406を封入する包装ケース409は、第1の端部においてより広い丸みを帯びた部分、およびリザーバコンポーネント404に隣接して配置される第2の端部においてより狭い部分を伴って、略平坦な側面を画定する、不規則な形状を有する。示されるように、リザーバコンポーネント404は、第1の端部において隔壁414と、返し付きコネクタを有する第2の端部において出口ポート416とを含む。
【0083】
図8A-8Cで見られるように、デバイス400は、略円筒形のバッテリの形態でバッテリコンポーネント408を含むことができる。電子コンポーネント406は、無線通信モジュール422、無線充電モジュール424、および複数の感知要素418a-d(加速度計418aと、温度センサ418bと、パルスオキシメータ418cと、複数のEKG電極418dとを含み得る)が搭載される、プリント回路基板420を含む。デバイス400は、デバイス400が身体内に埋め込まれるとき、光学信号が、パルスオキシメータ418cと隣接する組織または流体との間に伝送され得るように、包装ケース409および/または筐体402の下側部分内に配置され、パルスオキシメータ418cと実質的に整列させられる、窓を含むことができる。加えて、アンテナ430(例えば、Bluetooth(登録商標) Low Energyアンテナ)が、コイルコンポーネント410の下および/または内に位置付けられることができる。本アンテナは、電子コンポーネント406の一部であり、いくつかの実施形態において、無線通信モジュール422に電気的に結合されることができる。
【0084】
隔壁414の位置および配向は、デバイスが患者内に埋め込まれるとき、隔壁414の中への針の挿入の軸が、患者の皮膚に対して急な角度を付けられ、臨床医に周知であるような標準IV針のための挿入角に類似し得るようなものである。リザーバコンポーネント404の上面の上に、隔壁414にわたって位置付けられ、それと実質的に整列させられる隆起428がある。いくつかの実施形態において、本隆起428は、触診を介して検出され得る、不規則な表面を提供し得る。加えて、リザーバコンポーネント404の本体405は、デバイス400が隔壁414の中への針の注入の間に皮膚を通して臨床医によって保持されることを可能にするためのより狭い中心部分または「サドル」グリップを含むことができる。
【0085】
図10は、別の例示的血管アクセスデバイス400を図示する。図10に図示される実施形態は、リザーバコンポーネント404が、前述で説明された実施形態のように、包装ケース409と軸方向に整列させられる遠位位置ではなく、包装ケース409の長縁に側方に隣接して位置付けられ得ることを除いて、図7-9に関して上記に説明されるものに実質的に類似し得る。図7-9の実施形態と比較して、図10に示される実施形態は、リザーバコンポーネント404がコイルコンポーネント410にわたって垂直にスタックされないので、より大きい占有面積を有するが、より薄型の外形を有し得る。ある場合には、それは、患者の皮膚を通したデバイス400の突出を低減させることによって、患者快適性を改良し得る。いくつかの実施形態において、外側筐体402は、リザーバコンポーネント404が、コイルコンポーネント410を封入する包装ケース409および/または筐体402の一部に対して撓曲または変形し得るように、十分に柔軟であり得る。そのような撓曲は、患者快適性をさらに改良し得る。
【0086】
図11Aおよび11Bは、それぞれ、別の例示的血管アクセスデバイス400の上面斜視図および底面図を図示する。図11Aおよび11Bに図示される実施形態は、コイルコンポーネント410およびアンテナ430が、包装ケース409とリザーバコンポーネント404との間に位置付けられるように、リザーバコンポーネント404がデバイス400の一方の端部に位置付けられることを除いて、図7-11のものに類似し得る。加えて、リザーバコンポーネント404は、上面にわたって配置される隆起した周縁432を伴って略長方形を画定する、本体405を有する。本隆起した周縁432は、触診可能であり、隔壁414を包囲し、臨床医がデバイス400のリザーバコンポーネント404をより容易に特定し、それにアクセスすることを可能にし得る。
【0087】
図12A-12Cは、それぞれ、別の例示的血管アクセスデバイス400の上面斜視図、上面図、および底面図を図示する。図示されたデバイス400は、本実施形態において、電子コンポーネント406がバッテリ408から側方に分離され、2つが単一の包装ケース409内に封入されないことを除いて、図11A-Bに関して上記に説明されるものに類似し得る。むしろ、バッテリコンポーネント409は、包装ケース409内に配置され、電子コンポーネント406は、別個に位置付けられ、バッテリコンポーネント408から側方に変位される。リザーバコンポーネント404は、デバイスの反対側に位置付けられる。筐体402は、デバイス400全体を包含し、リザーバコンポーネント404(コイルコンポーネント410に重なる)、バッテリコンポーネント409、および電子コンポーネント406を機械的に接続する。筐体402は、3つの区画が、互いに対して少なくとも部分的に撓曲または屈曲することができるように、柔軟であり得る。本移動は、患者移動またはデバイスの不要な突出に対するより少ない抵抗を提供することによって、患者快適性を増加させ得る。
【0088】
図13A-17Dは、コイルコンポーネント410が省略された、血管アクセスデバイス400の追加の例を図示する。これらの例において、デバイス400は、図4A-12Cに関して上記に説明されるものに類似する、リザーバコンポーネント404と、バッテリコンポーネント406と、電子コンポーネント408とを含む。
【0089】
図13Aおよび13Bを参照すると、デバイス400は、リザーバコンポーネント404が、バッテリコンポーネント408に対して陥凹状であるように、交互形状を有する。リザーバコンポーネント404はまた、隔壁414が配置され、隔壁414を通した針の角度を付けられた挿入を可能にする、角度付き漏斗を含むこともできる。本陥凹状構成は、デバイス400の任意の部分の突出を低減させ、それによって、患者不快感を低減させ、患者の皮膚上のデバイスの任意の可視指示を排除または低減させることができる。
【0090】
図14A-14Dは、それぞれ、別の例示的血管アクセスデバイス400の上面図、正面図、側面図、および側面断面図を図示する。図示される実施形態は、ここでは、リザーバ部分404がバッテリ部分408に対して陥凹状ではないことを除いて、図13Aおよび13Bに示されるものに類似し得る。むしろ、デバイス400全体の底部は、平面的であり、リザーバ部分404の隔壁414は、バッテリコンポーネント408の表面の上方に突出する。
【0091】
図15Aおよび15Bは、それぞれ、別の例示的血管アクセスデバイス400の上面図および側面断面図を図示する。本例において、バッテリコンポーネント408および電子コンポーネント406は、リザーバコンポーネント404から物理的に分離される一部内にともに収納されることができる。いくつかの実施形態において、2つのコンポーネントは、2つの間の相対移動を可能にするように、柔軟テザーまたは基板を介して接続されることができる。図示されるように、リザーバコンポーネント404は、上面にわたって配置される隔壁414、およびリザーバコンポーネント404の側面から離れるように側方に延びている出口ポート416を伴って、略円筒形の本体を含むことができる。
【0092】
図16A-16Cは、それぞれ、別の例示的血管アクセスデバイス400の上面図、側面図、および側面断面図を図示する。図示される実施形態は、第1のより広い端部に配置されるバッテリコンポーネント408および電子コンポーネント406、および第2のより狭い端部に配置されるリザーバコンポーネント404の出口ポート416を伴う、斜交レイアウトを有する。リザーバコンポーネント404はまた、隔壁414が配置され、隔壁414を通した針の角度を付けられた挿入を可能にする、角度付き漏斗を含むこともできる。
【0093】
図17A-17Dは、それぞれ、別の血管アクセスデバイス400の上面図、側面図、底面図、および側面断面図を図示する。本例は、第1の部分が、バッテリコンポーネント408および電子コンポーネント406(感知要素418を含む)を収納する包装ケース409を含む、「8の字」を形成する2つの接続された部分を含む。筐体402の一区画を介して第1の部分に接続される第2の部分は、ここでは、リザーバ部分404の上端に配置される隔壁414を伴って略円筒形を有する、リザーバコンポーネント404を含む。いくつかの実施形態において、2つの部分を接続する筐体402の区画は、2つの間の相対移動を可能にするように柔軟であり得る。
【0094】
図18Aおよび18Bは、それぞれ、本技術による、別の血管アクセスデバイス400の等角図および側面図を図示する。図19Aおよび19Bは、それぞれ、隔壁414を通してリザーバ404の内部の中に送達された針Nを伴って、血管アクセスデバイス400の等角図および断面側面図を図示する。図6に説明される実施形態と同様に、リザーバコンポーネント404は、電子コンポーネント400に隣接して横に配置される。デバイス400はさらに、筐体402から離れるように延び、第1および第2の電極442aおよび442b(集合的に「電極442」と称される)を有する、導線440を含む。身体に埋め込まれたとき、導線440の少なくとも一部および電極442は、身体組織または体液と直接接触する。電極442は、導線440を介して電子コンポーネント406に電気的に結合され得る。例えば、電極442は、電極442からの測定値を受信、処理、および記憶し、心拍数、呼吸数等の1つ以上の生理学的パラメータを決定するための処理ユニットまたは他の好適なモジュールに電気的に結合され得る。
【0095】
いくつかの実施形態において、導線440が、出口ポート416の側面と反対のデバイス400の側面から突出し、出口ポート416に結合される任意の管類との係合を回避することが有益であり得る。加えて、出口ポート416の反対の導線440の位置付けは、デバイス400が、導線440が下方に延び、概して、心臓の脱分極軸と整列させられ、したがって、電気信号検出を最大限にするような配向で埋め込まれることを可能にする。導線440は、例えば、リザーバ404と電子コンポーネント406との間で筐体402の一部から延在し得る(または別様にリザーバ404および電子コンポーネント406の隣接する部分と整列させられる)。他の実施形態において、導線440は、筐体402の側面、上部、または底部の任意の部分から延在し得る。
【0096】
図18Aに示されるように、いくつかの実施形態において、導線440は、少なくともデバイス400が埋め込まれる前に、(示されるように)筐体402と略同一平面内で筐体402の長さに略直交して延在し得る。他の実施形態において、導線440は、筐体402の長さに対する非直交角度において延在し得る。前述の実施形態のうちのいずれかでは、導線440は、筐体402に対して上向きまたは下向きに延在し得る。デバイス400は、2つの電極442を含むが、他の実施形態において、デバイス400は、単一の電極または2つを上回る電極を含み得る。同様に、デバイス400は、単一の導線440を含むが、他の実施形態において、デバイス400は、各々が単一の電極または複数の電極を含み得る、複数の導線を含み得る。いくつかの実施形態によると、導線440は、身体内に設置されたときに下層の生体構造への一致を可能にするように、柔軟材料から作製される。
【0097】
いくつかの実施形態において、導線440は、デバイス400が身体内に埋め込まれるとき、導線440が筐体402に対して下方に延びているように、配置される。加えて、導線440は、第1の電極442aと第2の電極442との間の間隔を提供するように配置されることができる。動作時、電極の間のより大きい距離が、心調律監視のために信号対雑音比を改良し得る。加えて、デバイス400を埋め込むためのポケット切開が、上側面から生成され、下方に解離されるため、トンネリングデバイスが、皮下組織内の導線440のための経路を解離するために使用され得る。さらに、本構成で電極442を設置することは、導線440を、伝導の主要な経路である、心臓の心室中隔の脱分極ベクトルと若干整合させ、改良された信号検出を可能にする。
【0098】
デバイス400はまた、触診を介して検出され得る1つ以上の局所構造的特徴を含み得る。特徴は、患者の皮膚の下のデバイス400を特定する、および/またはデバイス400および/またはデバイス400の1つ以上のコンポーネントの相対配向を決定する際に、臨床医を支援するように構成される。例えば、デバイス400は、電子コンポーネント406の一部と重ね合わせられた傾斜部分446を含み得る。図18Aおよび18Bで最良に見られるように、傾斜部分446の高さは、リザーバ404から離れた方向に増加し得、また、デバイス400の側方縁に向かって増加し得る。いくつかの実施形態において、傾斜部分446は、リザーバ404に向かって凹状である湾曲部分を伴って略U字形である。そのような特徴は、臨床医がデバイス400を特定する、および/またはデバイス400の正中線を決定することに役立つために有益であり得る。加えて、または代替として、デバイス400は、隔壁414の円周の全てまたは一部を包囲する、環状隆起444を含み得る。触診または他の手段を介して隆起444を特定することは、隔壁414を通して針を挿入するときに臨床医を誘導することに役立ち得る。
【0099】
傾斜部分446および/または隆起444に加えて、または代替として、位置特定特徴は、他の形態、例えば、触診を介して位置特定を促進する、突起、ビーズ、突出部、くぼみ、または任意の他の好適な局所構造的特徴を成すことができる。いくつかの実施形態において、そのような局所構造的特徴は、実質的に省略されることができ、位置特定は、他のアプローチ、例えば、光、電磁センサ等を使用して、促進されることができる。
【0100】
いくつかの実施形態において、局所構造的特徴は、筐体402から形成され得る。例えば、本明細書に説明される血管アクセスデバイス実施形態のうちのいずれかに関して、筐体402は、少なくともリザーバコンポーネント404および電子コンポーネント406を被包化する、軟質シース(軟質シリコーンオーバーモールド等)から形成され得る。シースは、局所構造的特徴を含むように成型され得る、またはシースが、下層のより堅い構造の特徴または突出部が(シースが依然として被覆している状態で)突出することを可能にするように、成型可能であり得る。図18A-19Bに示される実施形態において、導線440は、筐体402内の開口部を通して延びている。軟質の可鍛性モールドの使用は、患者のための快適性、およびデバイス400が患者の生体構造内により良好に嵌合するようにある程度の柔軟性も提供しながら、構造をデバイス400に提供する。
【0101】
いくつかの実施形態において、デバイス400は、筐体402の全てまたは一部に沿って延びている、縫合補強部448を含み得る。本縫合補強部は、筐体402内に埋め込まれる、メッシュ等の微細な柔軟材料であり得る。オペレータが、補強部448の任意の部分を通して、縫合糸、鋲、ねじ、または他の固定手段を設置し、安定性および係留を下層の解剖学的構造に提供することができる。
【0102】
図19Bを参照すると、コイルコンポーネント(例えば、本明細書の他の場所に説明されるコイルコンポーネント410)は、包装ケース409内に位置付けられ、包装ケース409内の他の要素を包囲し得る。他の実施形態において、コイルコンポーネントは、リザーバコンポーネント404の下に配置され得、包装ケース409の中に延びている伝導性導線を介して、バッテリコンポーネント408および/または電子コンポーネント406に電気的に結合される。図示される実施形態において、バッテリコンポーネント408は、円盤形であり、したがって、上記に説明される円筒形の実施形態よりも薄型の外形を有する。さらに他の実施形態において、コイルコンポーネントは、完全に省略されることができる。
【0103】
電子コンポーネント406は、プリント回路基板(PCB)420の片側または両側に搭載される複数の個々の要素を含むことができる。本明細書に説明される実施形態のうちのいずれかでは、デバイス400は、水平または垂直に分配され得る、複数のPCBを含み得る。電子コンポーネント406とともに含まれる要素は、無線通信モジュール422(例えば、Bluetooth(登録商標) Low Energyチップまたはデバイス400と1つ以上の遠隔コンピューティングデバイスとの間の短距離または長距離無線通信を可能にするように構成される類似モジュール)、図4A-17Dを参照して上記に説明される感知要素のうちのいずれか(パルスオキシメータ、温度感知要素等)、および無線充電モジュール(例えば、無線電力受信機チップ)(図示せず)のうちの1つ以上のものを含み得る。上記に説明されるように、感知要素のうちのいずれかは、デバイス400が埋め込まれるとき、感知要素が生物学的組織または流体にさらされる、および/または周辺組織および/または流体との任意の必要な測定を行うように、包装ケース409および/または筐体402を通して少なくとも部分的に露出され得る。例えば、デバイス400は、デバイス400が身体内に埋め込まれるとき、光学信号が、それぞれの感知要素と隣接する組織または流体との間に伝送され得るように、包装ケース409および/または筐体402の下側部分内に配置され、パルスオキシメータ等の感知要素のうちの1つ以上のものと実質的に整列させられる、窓(図示せず)を含むことができる。
【0104】
図19Aおよび19Bに示されるように、臨床医は、デバイス400が患者内に埋め込まれるとき、隔壁414に略直交して(例えば、約15度の直交以内に)針Nを挿入することによって、リザーバコンポーネント404にアクセスし得る。
【0105】
図20Aおよび20Bは、本技術による、別の血管アクセスデバイス400の2つの等角図を図示する。図20Aおよび20Bに示されるデバイス400は、図20Aおよび20Bに示されるデバイス400が導線440を除外することを除いて、図18A-19Bに関して上記に説明されるデバイスと実質的に同一であり得る。図20Aおよび20Bに示されるように、カテーテル130は、出口ポート416にわたってカテーテル130の一方の端部を挿入することによって、デバイス400と嵌め合わせられる(例えば、除去可能に結合される)ことができる。
(埋め込み型患者監視デバイスの選択された例)
【0106】
図21Aおよび21Bは、それぞれ、埋め込み型患者監視デバイス500の上面図および底面図を図示し、図21Cは、そこから延びているEKG導線440を伴う監視デバイス500の上面図を図示する。下でより詳細に説明されるように、種々の実施形態において、患者監視デバイス500は、本明細書に前述で説明された血管アクセスデバイスのいくつかのコンポーネント、特に、電子コンポーネント406(感知要素418を含む)およびバッテリコンポーネント408を含むことができる。しかしながら、監視デバイス500は、任意の血管アクセスデバイスから独立して動作し、使用され得る。例えば、そのような監視デバイス500は、血管アクセスデバイスを使用する治療を受けている患者からの1つ以上の生理学的信号を監視するように、血管アクセスデバイスと並行して埋め込まれ得る。いくつかの実施形態において、デバイス500は、血管アクセスデバイスに結合されることができる、またはそれに隣接して(例えば、同一のポケット内に)埋め込まれ得る。加えて、または代替として、本明細書に開示されるような患者監視デバイス500は、いずれの血管アクセスデバイスも伴わずに使用されることができる。例えば、患者監視デバイスは、血管アクセスポートを有していない癌患者、心臓発作から回復している患者、または任意の他の好適な状態を監視するために使用されることができる。
【0107】
いくつかの実施形態において、患者監視デバイス500は、図1-20Bに関して本明細書に前述で説明されたもののうちのいずれかに類似する、電子コンポーネント406およびバッテリコンポーネント408を収納し得る、包装ケース409を含み得る。例えば、電子コンポーネントは、感知要素418、メモリ、1つ以上のコントローラ(例えば、中央処理ユニット、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路、または任意の他の論理処理ユニット)、無線通信要素(例えば、無線通信チップ、アンテナ等)、無線電力受信機、および任意の他の好適な電子要素(例えば、フィルタ、アナログ/デジタルコンバータ等)等の1つ以上の電子要素を支持する、プリント回路基板(柔軟、剛体、または半剛体)または他の好適な基板を含むことができる。いくつかの実施形態において、バッテリコンポーネントは、電力を電子コンポーネントに提供するように構成される、再充電可能または非再充電可能バッテリを含む。いくつかの実施形態において、バッテリコンポーネントおよび電子コンポーネントは、包装ケース409内の単一のユニットとしてともに組み合わせられる、同時搭載されるか、または、別様に配置されることができる。いくつかの実施形態において、包装ケース409は、金属(例えば、チタン)、プラスチック、医療グレードシリコーン、セラミック、または他の好適な材料であり得る。包装ケース409は、好適な材料、例えば、柔軟生体適合性ポリマー、シリコーン等によって部分的または完全に包囲される、またはそれを用いてオーバーモールドされることができる。
【0108】
デバイス500は、包装ケース409内に収納される、または外側に配置される、任意の好適な感知要素418を含むことができる。感知要素418は、デバイス500が本体内に埋め込まれている間に1つ以上の生理学的測定値を取得するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、感知要素418は、図1-20Bに関して上記に説明される感知要素418のうちのいずれかを含むことができる。例えば、感知要素418は、EKGセンサ、温度センサ、パルスオキシメータ、加速度計、磁力計、pHセンサ、および他の好適なセンサを含むことができる。図示される実施形態において、複数の感知要素418が、包装ケース409の下面にわたって配置され、身体内に埋め込まれたときに身体組織または体液と接触して設置されるように構成され得る。
【0109】
監視デバイス500は、デバイス400が身体内に埋め込まれるとき、光学信号が、パルスオキシメータ418cと隣接する組織または流体との間に伝送され得るように、包装ケース409の下側部分内に配置され、パルスオキシメータ418cと実質的に整列させられる、窓426を含むことができる。窓426は、透明または半透明であり得、例えば、それを通した光学信号の伝送を可能にする、サファイア、強化ガラス、または他の好適な材料から作製される。
【0110】
包装ケース409は、伝導性導線440が、図21Cに示されるように、内部コンポーネント(例えば、バッテリコンポーネント408または電子コンポーネント406の一部)および電極442等の包装ケース409の外部の任意の要素に電気的に結合することを可能にする、1つ以上の接点441を含むことができる。導線440は、包装ケース409から離れるように延び、第1および第2の電極442aおよび442b(集合的に「電極442」)に結合する。身体に埋め込まれたとき、導線440の少なくとも一部および電極442は、身体組織または体液と直接接触する。電極442は、導線440を介して電子コンポーネントに電気的に結合され得る。
【0111】
前述で記述されたように、いくつかの実施形態において、監視デバイス500は、電子コンポーネント内の感知要素418を利用して、任意の数の生理学的パラメータを監視するように、患者内に埋め込まれ得る。故に、監視デバイス500は、血管アクセスデバイスの範囲を超えて有用に採用され得る。
【0112】
図22に示されるように、いくつかの実施形態において、監視デバイス500は、血管アクセスデバイス502(例えば、血管アクセスポート)に除去可能に結合されることができる。例えば、監視デバイス500は、別個の血管アクセスデバイス502または一連の異なる血管アクセスデバイスと結合するように構成されることができる。これは、監視デバイス500が、任意の従来の血管アクセスデバイス502を、いくつかの異なる生理学的パラメータを監視することが可能なスマートデバイスに変換することを可能にすることができる。種々の実施形態において、監視デバイス500および血管アクセスデバイス502は、任意の好適な手段を使用して、除去可能または除去不可能に(すなわち、実質的に恒久的に)ともに結合されることができる。例えば、図22に図示される実施形態において、デバイスは、レセプタクル506を画定する周辺筐体504内に配置される、包装ケース409を含む。筐体504は、生体適合性金属またはポリマーから作製され、その中で包装ケース409を保定するように、かつレセプタクル506を画定するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、レセプタクル506は、血管アクセスデバイス502を受け取る、および/またはそれと相互係止するように構成される、空隙、開口、窓、陥凹、留め金、アーム、または任意の他の好適な構造であり得る。動作時、血管アクセスデバイス502は、筐体504によって画定されるレセプタクル506内に設置されることができる。アセンブリ(例えば、監視デバイス500および血管アクセスデバイス502)は、身体内に埋め込まれることができる。代替として、血管アクセスデバイス502は、監視デバイス500がすでに身体内に埋め込まれた後に、レセプタクル506内に配置されるか、または、別様に筐体504に結合されることができる。
【0113】
図4A-22で上で詳述される血管アクセスデバイスおよび/または監視デバイス実施形態のうちのいずれかに関して、包装ケース409、リザーバ404、隔壁414、および筐体402のうちのいくつかまたは全ては、異なる材料から作製され得る。例えば、包装ケース409は、セラミック、チタン、および/または他の材料を含み得る。リザーバ404は、熱可塑性ポリマー(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(「PEEK」))等の1つ以上の生体適合性ポリマーを含み、またはそれによって完全に形成され得、隔壁414は、生体適合性ポリマー(例えば、シリコーン)を含む、またはそれによって完全に形成され得る。筐体402および隔壁414が両方とも、シリコーン等の同一の材料から作製される、それらの実施形態において、隔壁414内のシリコーンは、筐体のシリコーンよりも堅くあり得る(例えば、より高いデュロメータを有する)。さらに、図4A-22で上で詳述される血管アクセスデバイスのうちのいずれかは、図18A-19Bに関して詳述される導線440等の1つ以上の導線を含み得る。
(結論)
【0114】
実施形態の多くが、患者監視のための血管アクセスデバイスに関して上記に説明されるが、本技術は、他のタイプの埋め込み型医療デバイス(例えば、ペースメーカ、埋め込み型心臓除細動器(ICD)、深部脳刺激装置、インスリンポンプ、注入ポート、整形外科デバイス、および肺動脈圧モニタ等の監視デバイス)等の他の用途および/または他のアプローチに適用可能である。さらに、本明細書に説明されるものに加えた他の実施形態も、本技術の範囲内に該当する。加えて、本技術のいくつかの他の実施形態は、本明細書に説明されるものと異なる構成、コンポーネント、または手順を有することができる。当業者は、したがって、故に、本技術が、追加の要素を伴う他の実施形態を有し得ること、または本技術が、図1-22を参照して上記に示され、説明される、いくつかの特徴を伴わずに他の実施形態を有し得ることを理解するであろう。
【0115】
本技術の実施形態の上記の詳細な説明は、包括的であること、または本技術を上記に開示される精密な形態に限定することを意図していない。文脈が許容する場合、単数形または複数形の用語はまた、それぞれ、複数形または単数形の用語も含み得る。本技術の具体的実施形態および例が、例証目的のために上記に説明されるが、当業者が認識するであろうように、種々の同等の修正が、本技術の範囲内で可能である。例えば、ステップが、所与の順序で提示されるが、代替実施形態は、異なる順序でステップを実施し得る。本明細書に説明される種々の実施形態はまた、さらなる実施形態を提供するように組み合わせられ得る。
【0116】
値の範囲が提供される場合、文脈が明確に別様に決定付けない限り、下限の単位の10分の1まで、その範囲の上限と下限との間の各介在値も、具体的に開示されることを理解されたい。記述される範囲内の任意の記述される値または介在値と、その記述される範囲内の任意の他の記述される値または介在値との間の各より小さい範囲が、本開示内に包含される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立して範囲に含まれ、または除外され得、いずれか一方の限界がより小さい範囲に含まれる、いずれも含まれない、または両方が含まれる、各範囲も、記述される範囲内の任意の具体的に除外された限界を受けて、本開示内に包含される。記述される範囲が、限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界のいずれか一方または両方を除外する範囲も、本開示に含まれる。
【0117】
さらに、用語「または」が、2つ以上の項目のリストを参照して、他の項目から排他的な単一の項目のみを意味するように明示的に限定されない限り、次いで、そのようなリスト内の「または」の使用は、(a)リスト内の任意の単一の項目、(b)リスト内の項目の全て、または、(c)リスト内の項目の任意の組み合わせを含むものとして解釈されることになる。加えて、用語「~を備えている」は、任意のより多数の同一の特徴および/または追加のタイプの他の特徴が除外されないように、少なくとも列挙される特徴を含むことを意味するために、全体を通して使用される。また、具体的実施形態が、例証の目的のために本明細書に説明されているが、種々の修正が、本技術から逸脱することなく行われ得ることも理解されたい。さらに、本技術のある実施形態に関連付けられる利点が、それらの実施形態との関連で説明されているが、他の実施形態はまた、そのような利点を呈し得、全ての実施形態が、必ずしも本技術の範囲内に該当するためにそのような利点を示す必要があるわけではない。故に、本開示および関連付けられる技術は、本明細書に明示的に示されない、または説明されない、他の実施形態を包含することができる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図17C
図17D
図18A
図18B
図19A
図19B
図20A
図20B
図21A
図21B
図21C
図22
【国際調査報告】