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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】タイムシフト再生
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/44 20110101AFI20220111BHJP
   H04N 21/438 20110101ALI20220111BHJP
   H04H 40/18 20080101ALI20220111BHJP
【FI】
H04N21/44
H04N21/438
H04H40/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021528942
(86)(22)【出願日】2019-11-20
(85)【翻訳文提出日】2021-07-20
(86)【国際出願番号】 IB2019060005
(87)【国際公開番号】W WO2020104976
(87)【国際公開日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】16/199,110
(32)【優先日】2018-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ANDROID
2.JAVA
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 信行
(72)【発明者】
【氏名】クリフト グラハム
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164FA11
5C164SB27S
5C164UB04P
5C164UB21P
5C164UB38S
5C164UC27S
(57)【要約】
受信装置が、(i)ユーザによって選択された第1の放送局サービス及び(ii)第2の放送局サービスを含む放送ストリームを受け取るように構成された受信機回路を含む。受信装置は、放送ストリームを複数のデータパケットに復調するように構成された復調器をさらに含む。受信装置は、第1及び第2の放送局サービスに対応する複数のデータパケットをポーズバッファに記憶し、選択された第1の放送局サービスに関連する各データパケットを処理してオーディオ及びビデオコンテンツを抽出し、第1の放送局サービスに関連する抽出されたオーディオ及びビデオコンテンツを第1の期間中にライブTV放送の一部としてユーザに出力するように構成された処理回路をさらに含む。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信装置であって、
(i)ユーザによって選択された第1の放送局サービス及び(ii)第2の放送局サービスを含む放送ストリームを受け取るように構成された受信機回路と、
前記放送ストリームを複数のデータパケットに復調するように構成された復調器と、
処理回路と、
を備え、前記処理回路は、
前記第1及び前記第2の放送局サービスに対応する前記複数のデータパケットをポーズバッファに記憶し、
前記選択された第1の放送局サービスに関連する各データパケットを処理してオーディオ及びビデオコンテンツを抽出し、
前記第1の放送局サービスに関連する前記抽出されたオーディオ及びビデオコンテンツを第1の期間中にライブTV放送の一部として前記ユーザに出力する、
ように構成される、
ことを特徴とする受信装置。
【請求項2】
前記処理回路は、
前記第1の期間よりも後の第2の期間中に、前記第1の期間と前記第2の期間との間の中間期間中に利用できる前記第2の放送局サービスに関連するオーディオ及びビデオコンテンツを生成するための要求を示すユーザ入力を受け取り、
前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツに関連するデータパケットを前記ポーズバッファから検索し、
前記ポーズバッファから検索された各データパケットを処理して、前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツを抽出し、
前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツを、前記第2の放送局サービスのためにタイムシフト再生の一部として出力する、
ようにさらに構成される、請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記処理回路は、前記放送ストリームに含まれる少なくとも1つのコンテンツサービス特徴を、前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツの前記タイムシフト再生中に前記第2の放送局サービスのために提供するようにさらに構成される、
請求項2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記処理回路は、
前記第1の期間よりも後の第2の期間中に、前記第1の期間と前記第2の期間との間の中間期間中に利用できる前記第1の放送局サービスに関連するオーディオ及びビデオコンテンツを生成するための要求を示すユーザ入力を受け取り、
前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツに関連するデータパケットを前記ポーズバッファから検索し、
前記ポーズバッファから検索された各データパケットを処理して、前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツを抽出し、
前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツを、前記第2の放送局サービスのためにタイムシフト再生の一部として出力し、
前記放送ストリームに含まれる少なくとも1つのコンテンツサービス特徴を、前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツの前記タイムシフト再生中に前記第1の放送局サービスのために提供する、
ようにさらに構成される、請求項1に記載の受信装置。
【請求項5】
前記第1の放送局サービスに関連する前記少なくとも1つのコンテンツサービスは、クローズドキャプショニング、非主要言語オーディオ、非主要言語サブタイトル、及び代替視聴角度から成る群から選択される、
請求項3に記載の受信装置。
【請求項6】
前記処理回路は、前記受け取られた放送ストリームと共に提供される放送局アプリケーションを実行するように構成され、前記放送局アプリケーションは、前記少なくとも1つのコンテンツサービス特徴を含む複数のユーザ選択可能オプションを表示する、
請求項3に記載の受信装置。
【請求項7】
前記放送局アプリケーションは、前記少なくとも1つのコンテンツサービス特徴を、前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツの前記タイムシフト再生と同期させるように構成される、
請求項6に記載の受信装置。
【請求項8】
前記処理回路は、
各データパケットの前記処理から生成された各ファイルが前記ポーズバッファに記憶されているかどうかを判定し、
前記生成されたファイルからのファイルが前記ポーズバッファに記憶されていないとの判定に応答して、前記ファイルを前記ポーズバッファに記憶し、
前記生成されたファイルからのファイルが前記ポーズバッファに記憶されているとの判定に応答して、前記ファイルを廃棄する、
ようにさらに構成される、請求項1に記載の受信装置。
【請求項9】
前記受け取られた放送ストリームに含まれる各放送局サービスは、高度テレビジョンシステムズ委員会(ATSC)サービスであり、前記複数のデータパケットは、ATSCリンク層プロトコル(ALP)パケットである、
請求項1に記載の受信装置。
【請求項10】
受信装置であって、
ユーザによって選択された放送局サービスを含む放送ストリームを受け取るように構成された受信機回路と、
前記放送ストリームを複数のデータパケットに復調するように構成された復調器と、
処理回路と、
を備え、前記処理回路は、
前記複数のデータパケットをポーズバッファに記憶し、
前記選択された放送局サービスに関連する各データパケットを処理してオーディオ及びビデオコンテンツを抽出し、
前記抽出されたオーディオ及びビデオコンテンツを第1の期間中にライブTV放送の一部として前記ユーザに出力し、
前記第1の期間よりも後の第2の期間中に、前記第1の期間と前記第2の期間との間の中間期間中に利用できる前記第1の放送局サービスに関連するオーディオ及びビデオコンテンツを生成するための要求を示すユーザ入力を受け取り、
前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツに関連するデータパケットを前記ポーズバッファから検索し、
前記ポーズバッファから検索された各データパケットを処理して、前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツを抽出し、
前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツをタイムシフト再生の一部として出力し、
前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツの前記タイムシフト再生中に、少なくとも1つのコンテンツサービス特徴を提供する、
ように構成され、前記少なくとも1つのコンテンツサービス特徴は、前記ポーズバッファに記憶されて該ポーズバッファから検索される前記複数のデータパケットに含まれる、
ことを特徴とする受信装置。
【請求項11】
前記ポーズバッファに記憶されて該ポーズバッファから検索される前記複数のデータパケットは、IPパケット又は高度テレビジョンシステムズ委員会(ATSC)リンク層プロトコル(ALP)パケットである、
請求項10に記載の受信装置。
【請求項12】
前記ポーズバッファに記憶されて該ポーズバッファから検索される前記複数のデータパケットは、Dynamic Adaptive Streaming over HTTP(DASH)コンテンツ、又はMPEG Media Transport(MMT)コンテンツを含む、
請求項10に記載の受信装置。
【請求項13】
前記放送局サービスに関連する前記少なくとも1つのコンテンツサービスは、クローズドキャプショニング、非主要言語オーディオ、非主要言語サブタイトル、及び代替視聴角度から成る群から選択される、
請求項10に記載の受信装置。
【請求項14】
受信装置であって、
ユーザによって選択された放送局サービスを含む放送ストリームを受け取るように構成された受信機回路と、
前記放送ストリームを複数のデータパケットに復調するように構成された復調器と、
処理回路と、
を備え、前記処理回路は、
オペレーティングシステム時刻を決定し、
前記データパケットを処理して、前記放送局サービスに関連するテレビコンテンツのシグナリングされた可用性開始時間(AST)を決定し、
前記シグナリングされたASTに基づいて、前記テレビコンテンツに対応するメディアセグメントの予想受信時刻を決定し、
前記テレビコンテンツに対応するメディアセグメントの実際の受信時刻を決定し、
前記シグナリングされたASTと、前記メディアセグメントの前記受信時刻と前記メディアセグメントの前記予想受信時刻との間の差分とを加算したものを表す観測ASTを決定し、
前記観測ASTに従って、前記オペレーティングシステム時刻からオフセットされた再生時刻を決定し、
前記決定された再生時刻に従って、前記受け取られた放送局サービスに関連するオーディオ及びビデオコンテンツを出力する、
ように構成される、
ことを特徴とする受信装置。
【請求項15】
前記再生時刻は、前記シグナリングされたASTと前記観測ASTとの間の差分を前記オペレーティングシステムクロックに加算することによって前記オペレーティングシステムクロックからオフセットされる、
請求項14に記載の受信装置。
【請求項16】
前記シグナリングされたASTは、メディアプレゼンテーション記述ファイルに含まれる、
請求項14に記載の受信装置。
【請求項17】
前記放送ストリームに含まれる前記放送局サービスは、高度テレビジョンシステムズ委員会(ATSC)サービスであり、前記複数のデータパケットは、ATSCリンク層プロトコル(ALP)パケットである、
請求項14に記載の受信装置。
【請求項18】
受信装置内のプロセッサによって実行された時に前記プロセッサに方法を実行させる命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記方法は、
ユーザによって選択された第1の放送局サービス及び第2の放送局サービスに対応する複数のデータパケットをポーズバッファに記憶することを含み、前記第1及び第2の放送局サービスは、前記複数のデータパケットに復調された放送ストリームで受け取られ、前記方法は、
前記選択された第1の放送局サービスに関連する各データパケットを処理してオーディオ及びビデオコンテンツを抽出することと、
前記第1の放送局サービスとに関連する前記抽出されたオーディオ及びビデオコンテンツを第1の期間中にライブTV放送の一部としてユーザに出力することと、
をさらに含む、ことを特徴とする非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
受信装置内のプロセッサによって実行された時に前記プロセッサに方法を実行させる命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記方法は、
前記選択された放送局サービスに関連する各データパケットを処理してオーディオ及びビデオコンテンツを抽出することと、
前記抽出されたオーディオ及びビデオコンテンツを第1の期間中にライブTV放送の一部として前記ユーザに出力することと、
前記第1の期間よりも後の第2の期間中に、前記第1の期間と前記第2の期間との間の中間期間中に利用できる前記第1の放送局サービスに関連するオーディオ及びビデオコンテンツを生成するための要求を示すユーザ入力を受け取ることと、
前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツに関連するデータパケットを前記ポーズバッファから検索することと、
前記ポーズバッファから検索された各データパケットを処理して、前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツを抽出することと、
前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツをタイムシフト再生の一部として出力することと、
前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツの前記タイムシフト再生中に、少なくとも1つのコンテンツサービス特徴を提供することと、
を含み、前記少なくとも1つのコンテンツサービス特徴は、前記ポーズバッファに記憶されて該ポーズバッファから検索される前記複数のデータパケットに含まれる、
ことを特徴とする非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
受信装置内のプロセッサによって実行された時に前記プロセッサに方法を実行させる命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記方法は、
受け取られた放送ストリームから復調されたデータパケットを処理して、前記受け取られた放送ストリームに含まれる放送局サービスに関連するテレビコンテンツのシグナリングされた可用性開始時間(AST)を決定することと、
前記シグナリングされたASTに基づいて、前記テレビコンテンツに対応するメディアセグメントの予想受信時刻を決定することと、
前記テレビコンテンツに対応するメディアセグメントの実際の受信時刻を決定することと、
前記シグナリングされたASTと、前記メディアセグメントの前記受信時刻と前記メディアセグメントの前記予想受信時刻との間の差分とを加算したものを表す観測ASTを決定することと、
前記観測ASTに従って、前記オペレーティングシステム時刻からオフセットされた再生時刻を決定することと、
前記決定された再生時刻に従って、前記受け取られた放送局サービスに関連するオーディオ及びビデオコンテンツを出力することと、
を含む、ことを特徴とする非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ライブ放送中に双方向コンテンツが利用可能な状態でタイムシフト再生を可能にする装置、コンピュータ可読媒体及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、パーソナルビデオレコーダ(PVR)は、ユーザが以前に録画したコンテンツの再生を楽しめるようにするものである。ユーザは、パーソナルビデオレコーダ(PVR)の特徴を満喫するために、ライブ放送番組を後で視聴できるようにメモリに取り込むことを選択することができる。電子番組ガイド(EPG)内のデータが、対象番組のサービス、時刻及び継続時間を識別する。番組の放送が予定されている場合、受信機は、指示されたサービスにチューニングしてメディアセグメントを永続ストレージに保存し始める。後でユーザが戻ってくると、又は番組が録画中の場合であっても、これらのメディアセグメントを復号及び提示のためにメディアエンジンに供給することができる。さらに、再生中に一時停止、早送り、巻戻しなどのトリックプレイモードを提供することもできる。
【0003】
通常のライブTV動作では、復号及び提示のためにメディアエンジンに供給するのに十分な長さだけメディアセグメント(例えば、MPEG DASHメディアセグメント又はMPEG MMTメディアプロセッシングユニット[MPU])が収集されてバッファリングされる。受信機がPVR機能を含む場合には、これらのメディアセグメントを後で視聴できるようにバッファリングすることができる。例えば、DTVは、「ライブTV一時停止」機能を提供することができる。
【0004】
さらに、テレビの視聴には、オーディオ及びビデオの正確な時間同期に従うコンテンツの再生が不可欠である。高度テレビジョンシステムズ委員会(Advanced Television Systems Committee)(ATSC)3.0受信機は、ソフトウェアオペレーティングシステム(OS)プラットフォーム上で動作する専用アプリケーションとして書くことができる。OSプラットフォーム例である「Android TV」では、テレビ受信機アプリケーションの一例であるATSC3.0アプリケーションが、そのOSをサポートするデジタルテレビ(DTV)製品内のAndroidアプリケーションとして書かれており、従ってアプリ設計者は、標準的なシステムコールを通じてAndroid OSの特徴及び機能を利用することができる。
【0005】
テレビ受信機アプリケーションは、ライブテレビ放送を取得して提示するために、選択されたサービスに関連するシグナリングを受け取って処理し、サービスのMPEG DASHメディアプレゼンテーション記述(Media Presentation Description)(MPD)ファイルを調べ、MPD内の可用性開始時間(Availability Start Time)(AST)パラメータを処理して、どのメディアセグメントファイル(例えば、時間セグメントのための独立ファイル、並びにオーディオ、ビデオ及びキャプションのための独立ファイルセット)が直前に送信されたものであるかを判定することができる。これらのファイルの中から選択を行うことで、テレビ受信機アプリケーションは、(「高速チャネル変更」を実装して)最低の待ち時間でライブ放送に参加することができる。
【0006】
MPEG DASH標準(ISO/IEC 23009-1)では、ASTが、「メディアプレゼンテーションにおけるいずれかのセグメントの最早可用性時間を(UTCで)計算するためのアンカー」をシグナリングするUTC時間として規定されている。MPEG DASH標準は、ISO/IEC 23009-1:2014、「情報技術-HTTPを介した動的適応ストリーミング(Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)(DASH)-第1部:メディアプレゼンテーション記述及びセグメントフォーマット」、国際標準化機構、2014年5月15日(以下、「MPEG DASH標準」)に記載されており、この文書の内容は全体が引用により組み入れられる。ASTは、MPDにおいて絶対的フォーマットで指定される唯一の時間であり、MPDにおける他の全ての時間はASTのアンカーポイントに対する相対的なものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「実装のためのガイドライン:DASH-IF相互運用性要点(Guidelines for Implementation:DASH-IF Interoperability Points)」、Dash Industry Forum、V.4.1、2017年9月7日
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の実施形態によれば、(i)ユーザによって選択された第1の放送局サービス及び(ii)第2の放送局サービスを含む放送ストリームを受け取るように構成された受信機回路を含む受信装置が提供される。受信装置は、放送ストリームを複数のデータパケットに復調するように構成された復調器をさらに含む。受信装置は、第1及び第2の放送局サービスに対応する複数のデータパケットをポーズバッファに記憶し、選択された第1の放送局サービスに関連する各データパケットを処理してオーディオ及びビデオコンテンツを抽出し、第1の放送局サービスに関連する抽出されたオーディオ及びビデオコンテンツを第1の期間中にライブTV放送の一部としてユーザに出力するように構成された処理回路をさらに含む。
【0009】
本開示の実施形態によれば、ユーザによって選択された放送局サービスを含む放送ストリームを受け取るように構成された受信機回路を含む受信装置が提供される。受信装置は、放送ストリームを複数のデータパケットに復調するように構成された復調器をさらに含む。受信装置は、複数のデータパケットをポーズバッファに記憶し、選択された放送局サービスに関連する各データパケットを処理してオーディオ及びビデオコンテンツを抽出し、抽出されたオーディオ及びビデオコンテンツを第1の期間中にライブTV放送の一部としてユーザに出力し、第1の期間よりも後の第2の期間中に、第1の期間と第2の期間との間の中間期間中に利用できる第1の放送局サービスに関連するオーディオ及びビデオコンテンツを生成するための要求を示すユーザ入力を受け取り、中間期間中に利用できるオーディオ及びビデオコンテンツに関連するデータパケットをポーズバッファから検索し、ポーズバッファから検索された各データパケットを処理して、中間期間中に利用できるオーディオ及びビデオコンテンツを抽出し、中間期間中に利用できるオーディオ及びビデオコンテンツをタイムシフト再生の一部として出力し、中間期間中に利用できるオーディオ及びビデオコンテンツのタイムシフト再生中に、少なくとも1つのコンテンツサービス特徴を提供するように構成された処理回路をさらに含み、少なくとも1つのコンテンツサービス特徴は、ポーズバッファに記憶されてポーズバッファから検索される複数のデータパケットに含まれる。
【0010】
本開示の実施形態によれば、ユーザによって選択された放送局サービスを含む放送ストリームを受け取るように構成された受信機回路を含む受信装置が提供される。受信装置は、放送ストリームを複数のデータパケットに復調するように構成された復調器をさらに含む。受信装置は、オペレーティングシステム時刻を決定し、データパケットを処理して、放送局サービスに関連するテレビコンテンツのシグナリングされた可用性開始時間(AST)を決定し、シグナリングされたASTに基づいて、テレビコンテンツに対応するメディアセグメントの予想受信時刻を決定し、テレビコンテンツに対応するメディアセグメントの実際の受信時刻を決定し、シグナリングされたASTと、メディアセグメントの受信時刻とメディアセグメントの予想受信時刻との間の差分とを加算したものを表す観測ASTを決定し、観測ASTに従って、オペレーティングシステム時刻からオフセットされた再生時刻を決定し、決定された再生時刻に従って、受け取られた放送局サービスに関連するオーディオ及びビデオコンテンツを出力するように構成された処理回路をさらに含む。
【0011】
本開示の実施形態によれば、受信装置内のプロセッサによって実行された時にプロセッサに方法を実行させる命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体であって、方法が、ユーザによって選択された第1の放送局サービス及び第2の放送局サービスに対応する複数のデータパケットをポーズバッファに記憶することを含み、第1及び第2の放送局サービスは、複数のデータパケットに復調された放送ストリームで受け取られ、方法が、選択された第1の放送局サービスに関連する各データパケットを処理してオーディオ及びビデオコンテンツを抽出することと、第1の放送局サービスとに関連する抽出されたオーディオ及びビデオコンテンツを第1の期間中にライブTV放送の一部としてユーザに出力することとをさらに含む、非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。
【0012】
本開示の実施形態によれば、受信装置内のプロセッサによって実行された時にプロセッサに方法を実行させる命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体であって、方法が、選択された放送局サービスに関連する各データパケットを処理してオーディオ及びビデオコンテンツを抽出することと、抽出されたオーディオ及びビデオコンテンツを第1の期間中にライブTV放送の一部としてユーザに出力することと、第1の期間よりも後の第2の期間中に、第1の期間と第2の期間との間の中間期間中に利用できる第1の放送局サービスに関連するオーディオ及びビデオコンテンツを生成するための要求を示すユーザ入力を受け取ることと、中間期間中に利用できるオーディオ及びビデオコンテンツに関連するデータパケットをポーズバッファから検索することと、ポーズバッファから検索された各データパケットを処理して、中間期間中に利用できるオーディオ及びビデオコンテンツを抽出することと、中間期間中に利用できるオーディオ及びビデオコンテンツをタイムシフト再生の一部として出力することと、中間期間中に利用できるオーディオ及びビデオコンテンツのタイムシフト再生中に、少なくとも1つのコンテンツサービス特徴を提供することとを含み、少なくとも1つのコンテンツサービス特徴が、ポーズバッファに記憶されてポーズバッファから検索される複数のデータパケットに含まれる、非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。
【0013】
本開示の実施形態によれば、受信装置内のプロセッサによって実行された時にプロセッサに方法を実行させる命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体であって、方法が、受け取られた放送ストリームから復調されたデータパケットを処理して、受け取られた放送ストリームに含まれる放送局サービスに関連するテレビコンテンツのシグナリングされた可用性開始時間(AST)を決定することと、シグナリングされたASTに基づいて、テレビコンテンツに対応するメディアセグメントの予想受信時刻を決定することと、テレビコンテンツに対応するメディアセグメントの実際の受信時刻を決定することと、シグナリングされたASTと、メディアセグメントの受信時刻とメディアセグメントの予想受信時刻との間の差分とを加算したものを表す観測ASTを決定することと、観測ASTに従って、オペレーティングシステム時刻からオフセットされた再生時刻を決定することと、決定された再生時刻に従って、受け取られた放送局サービスに関連するオーディオ及びビデオコンテンツを出力することとを含む、非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。
【0014】
本開示のより完全な理解及びこれに付随する利点の多くは、添付図面と併せて検討する以下の詳細な説明を参照することによってこれらがより良く理解されるようになるにつれて容易に取得されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】例示的なデジタルテレビ放送システムを示す図である。
図2】例示的な受信装置を示す図である。
図3】例示的な受信装置のプロセッサ中心的なブロック図である。
図4】例示的な放送ストリームを示す図である。
図5】ポーズバッファ内の例示的なデータベース構造を示す図である。
図6】電子番組ガイドを含む例示的な表示を示す図である。
図7】例示的なタイムシフト視聴例を示す図である。
図8】複数のコンテンツサービス特徴を含む例示的な表示を示す図である。
図9】オペレーティングシステムクロックとメディア到着時刻秒との間の例示的な関係を示す図である。
図10】受信装置によって実行される例示的なプロセスを示す図である。
図11】受信装置によって実行される例示的なプロセスを示す図である。
図12】コンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は多くの異なる形の実施形態が可能であるが、図面には特定の実施形態を示して本明細書ではこれらについて詳細に説明しており、このような実施形態の開示は本原理の一例とみなすべきであって、図示及び説明する特定の実施形態に本開示を限定することを意図するものではないと理解されたい。
【0017】
本明細書で使用する「1つの(英文不定冠詞)」という用語は、1つ又は1つよりも多くとして定義される。本明細書で使用する「複数の」という用語は、2つ又は2つよりも多くとして定義される。本明細書で使用する「別の」という用語は、少なくとも第2の又はそれ以降のとして定義される。本明細書で使用する「含む(including)」及び/又は「有する(having)」という用語は、「備える(comprising)」(すなわちオープンランゲージ)として定義される。本明細書で使用する「結合される(coupled)」という用語は、「接続される」として定義されるが、必ずしも直接的なものではなく、必ずしも機械的なものでもない。本明細書で使用する「プログラム」又は「コンピュータプログラム」という用語又は同様の用語は、コンピュータシステム上で実行されるように設計された一連の命令として定義される。「プログラム」又は「コンピュータプログラム」は、実行可能アプリケーション、アプレット、サーブレット、ソースコード、オブジェクトコード、スクリプト、プログラムモジュール、共有ライブラリ/動的ロードライブラリ及び/又はコンピュータシステム上で実行するように設計されたその他の一連の命令におけるサブルーチン、プログラムモジュール、スクリプト、関数、手順、オブジェクト方法、オブジェクト実装を含むことができる。
【0018】
本明細書で使用する「プログラム(program)」という用語は、第2の文脈で使用することもできる(上記の定義を第1の文脈とする)。第2の文脈では、この用語は「テレビ番組」の意味で使用される。この文脈では、この用語は、単一のテレビ番組として解釈されて電子番組ガイド(EPG)で伝えられるものなどのいずれかのコヒーレントな一連のオーディオビデオコンテンツを意味するために使用され、このコンテンツが映画、スポーツイベント、連続番組の一部、ニュース放送などのいずれであるかは関係ない。この用語は、EPGでは番組として伝えられないこともあるコマーシャルスポット及びその他の番組様コンテンツを含むと解釈することもできる。
【0019】
本明細書全体を通じて、「1つの実施形態」、「いくつかの実施形態」、「ある実施形態」、「ある実装」、「ある実施例」又は同様の用語に対する言及は、実施形態に関連して説明する特定の特徴、構造又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書を通じて至るところに出現するこのような語句は、必ずしも全てが同じ実施形態を意味するわけではない。さらに、これらの特定の特徴、構造又は特性は、1又は2以上の実施形態においていずれかの好適な方法で無制限に組み合わせることもできる。
【0020】
本明細書で使用する「又は(or)」という用語は、包括的なもの、すなわちいずれか1つ又はいずれかの組み合わせを意味するものとして解釈されたい。従って、「A、B又はC」は、「A、B、C、AとB、AとC、BとC、AとBとC」のうちのいずれかを意味する。この定義に対する例外は、要素、機能、ステップ又は行為の組み合わせが何らかの点で本質的に互いに相容れない場合にのみ生じる。
【0021】
ここで複数の図全体を通じて同一の又は対応する部分を同じ参照数字によって示す図面を参照すると、以下の説明は、保護コンテンツへのアクセスを提供することに関する。
【0022】
本開示の実施形態は、ライブ放送中に放送局が提供しておくことができるいずれかの双方向特徴をタイムシフト再生中にサポートすることを含む、従来のPVR能力に比べて複数の新規特徴を提供するPVRをテレビ受信装置(例えば、ATSC3.0受信機)に実装することを開示する。ユーザは、番組の再生中に、異なる言語のオーディオトラック又はキャプションなどの異なる提示オプションを楽しむことができる。本開示の実施形態は、放送からのオーディオ/ビデオ/キャプション/アプリケーションデータを、2017年10月19日付のATSC標準 A/300-ATSC3.0システムに記載されているインターネットプロトコル(IP)パケット又はATSC3.0リンク層プロトコル(ALP)パケットの形態で記憶することをさらに含み、この文書はその全体が引用により本明細書に組み入れられる(以下、「A/300標準」)。
【0023】
本開示の実施形態は、以下のようなPVR能力を含む特徴を受信機に追加することに関する。
(1)番組が放送ライブであるかのようにタイムシフト再生中に番組と相互作用できる能力。
(2)ユーザが録画番組の所望の提示を番組が放送ライブであるかのように選択できるような、複数のオーディオ言語又はビデオトラックの記録の利用可能性。
(3)従来の受信機は、ユーザが現在視聴しているサービスしかバッファリングしないのに対し、ATSC3.0放送が複数のサブチャネルを含む場合に「ポーズバッファ」に複数のサービスをバッファリングすること。
【0024】
例えば、ATSC3.0放送プロトコルでは、オーディオ、ビデオ、キャプション及びアプリケーションなどの番組要素を別個のファイルベースのコンテンツストリームで配信することができる。全ての利用可能な番組要素が記憶されたPVR設計は、番組を(タイムシフトされたものではなく)リアルタイムでライブ視聴した場合と同じように、再生時に所望の提示を選択する能力を視聴者に提供する。さらに、1又は2以上の要素を以前とは異なるように選択して番組を再生することもできる(例えば、同じコンテンツの繰り返し再生中に異なる言語又は視聴角度を再生することができる)。
【0025】
いくつかの実施形態では、テレビ受信装置が、視聴中の番組と同時に起動できる放送局アプリケーション(例えば、HTML5アプリケーション)を放送局が供給することを可能にする「ランタイムアプリケーション環境」で動作する。放送局アプリケーションは、バックグラウンドで静かに動作してサービス使用モニタリング又は個人向け広告などのタスクを実行することができ、或いはユーザが番組のコンテンツと相互作用できるようにユーザにテキスト及びグラフィクスを提供することができる。放送局アプリケーションの設計者は、異なるサービス、異なるオーディオ、ビデオ又はキャプショントラックが選択されるように放送局アプリケーションを設計する能力、並びにビデオ提示が画面上でスケーリングされて配置されるようにする能力を含む豊富な一連のテレビ関連機能を利用することができる。
【0026】
[日付を挿入]に出願されたネイティブ放送局アプリケーションを含む受信機装置(eceiver Device Including Native Broadcaster Application)という名称の特許出願第[出願番号を挿入]号に記載されるように、例えば受信機がAndroidプラットフォームに基づいて構築されている場合、放送局は、放送信号内で配信される放送局アプリケーションと協働する、又はこれにとって代わるネイティブ放送局アプリケーション(例えば、Androidアプリケーション)を供給することができ、この文書の内容は全体が引用により本明細書に組み入れられる。放送局アプリケーション又はネイティブ放送局アプリケーションの一方又は両方は、ユーザに双方向体験を提供することができる。
【0027】
本開示の実施形態は、放送局から供給されるMPDファイルの分析に基づく受信機内の「実経過時間(Wall Clock Time)」の導出方法も含む。受信機は、ASTを処理して高速なサービスの取得に利用するために、シグナリングされたAST値を受信機のオペレーティングシステムによって指定される時刻と比較して、どの(単複の)メディアセグメントが直前に利用可能になったものであるかを計算することができる。これらは受信機に到着したばかりのファイルであり、すなわち受信機がこれらの到着したばかりのファイルを復号して提示することによって開始した場合、受信機はいわゆる「ライブエッジ」においてサービスに参加したようになる。DASH相互運用性フォーラム(DASH Interoperability Forum:DASH-IF)は、「実装のためのガイドライン:DASH-IF相互運用性要点(Guidelines for Implementation:DASH-IF Interoperability Points)」、Dash Industry Forum、V.4.1、2017年9月7日、においてDASH実装のためのガイドライン文書を公開しており、この文書の内容は全体が引用により本明細書に組み入れられる。当業者であれば理解するように、DASH-IFガイドラインには、動的MPD及びライブストリーミングの「ライブエッジ」の特徴が開示されている。
【0028】
ATSC標準は、全地球測位システム(GPS)ソースに同期した極めて正確な時刻機構を使用して放送を運営するように放送局に要求することができる。受信機によるライブエッジにおけるサービスの取得には、受信機が良好な精度で正しい時刻を知っていることが必要である(例えば、100ミリ秒が許容範囲である)。しかしながら、典型的な消費者向け受信機の時刻機構は正確でない場合もある。オペレーティングシステムによっては、アプリケーションに時刻サービスを提供するシステムクロックの再同期を週に1回しか行わないものもある。従って、システムクロックの再同期の合間の1週間の時間中に、クロックが進み又は遅れることがある。
【0029】
システム時間に誤った値が使用されている場合には、サービス取得に使用するための正しいメディアセグメントの計算が、未だ送信されていないメディアセグメントを参照したり、又は直前に受け取られたものよりも古いものを示したりする恐れがある。前者の場合には、受信機が要求ファイルの到着を待っている間に取得が遅れ、従って取得が遅くなってしまう。後者の場合には、受信機がサービス取得プロセスを開始した時点よりも前に被参照ファイルが放送されているので、被参照ファイルが一切利用できなくなる恐れがある。従って、本発明の実施形態は、放送局から供給されたMPDファイルの分析に基づく受信機内の「実経過時間」の導出によってこれらの不正確さに対処する。
【0030】
図1は、テレビコンテンツへのアクセスを提供する例示的なデジタルテレビ放送システム100である。このシステムは、サービスプロバイダ102、受信装置120及び入力装置140を含む。受信装置102は、アンテナを介してデータを受け取るように構成することができる。受信装置102は、データを受け取るためにインターネット130に接続するようにさらに構成することができる。
【0031】
1つの例では、サービスプロバイダ102がテレビコンテンツの放送局であり、受信装置120は、テレビとして動作するように構成された、フラット画面TV、ラップトップ、タブレット又はスマートフォンなどのいずれかの装置とすることができる。入力装置140は、受信装置120に物理的に又は無線で接続することができ、数字キー及び/又は英数字キー又はQWERTYキーボードを有するリモコンなどの、受信装置120を操作するのに適したいずれかの装置とすることができる。入力装置140のキーは、物理的ボタン、或いはタッチ画面上の数字又は英数字キーのデジタル表現とすることができる。本開示の実施形態は、他の放送コンテンツ(例えば、HTML5アプリケーションなどの実行可能アプリケーション)へのアクセスを提供するために利用することができる。サービスプロバイダ102は、テレビコンテンツを含む放送ストリームを送信し、デジタルテレビ放送信号を介して配信することができる。
【0032】
1つの実施形態では、サービスプロバイダ102(例えば、放送エンティティ又は放送局)が、受信装置120にデータストリーム(例えば、放送ストリーム)でコンテンツ、アプリケーション及び/又はサービスを送信するように構成された送信機を有する送信装置を含むサービス配信システムである。送信機は、例えばデジタル地上波放送を介して受信装置120にデータストリームを提供するように構成される。他の例では、デジタル地上波放送、携帯電話ネットワーク、インターネットなどのブロードバンドネットワーク、ケーブルネットワーク及び衛星リンクのうちの1つ又はこれらの組み合わせを介して受信装置120にデータストリームを送信することができる。サービス配信システムは、いずれか1つの又は様々な送信技術を使用して受信装置120にデータストリームを伝達することができる。
【0033】
1つの実施形態によるサービス配信システムは、ソースエンコーダ、チャネルエンコーダ及び変調器を含む。ソースエンコーダは、ソースから受け取られたオーディオデータ、ビデオデータ、シグナリングデータ、制御データ又はその他のデータを圧縮するデータエンコーダ、オーディオエンコーダ及びビデオエンコーダを含む。チャネルエンコーダは、圧縮されたメディアデータ及びシグナリングデータをランダム化し、インターレース化し、チャネルコード化してフレームマッピングする。例えば、チャネルエンコーダは、多くのデータセルを直行周波数分割多重(OFDM)記号で伝えられるシーケンスに形成するフレームビルダを含む。変調器(例えば、マルチプレクサ)は、処理されたデジタルデータを、例えばOFDM記号とすることができる変調記号に変換する。次に、この多重化されたデータは、周波数領域信号を時間領域信号に変換する逆高速フーリエ変換器(IFTF)に受け渡される。時間領域信号は、記号間のガードインターバル(GI)を生成するガード挿入モジュールに供給された後に、デジタル-アナログ(D/A)コンバータに供給される。その後、アップコンバージョン、RF増幅及びover-the-air放送を実行して放送ストリームを送信する。
【0034】
他の実施形態では、送信装置又は受信装置のいくつかのコンポーネントが不要な場合もある。OFDM送信機及び受信機の詳細は、例えば、DVB-T2標準(ETSI EN 302 755 V1.4.1、2015年7月1日付)、ATSC標準A/322-物理層プロトコル(Physical Layer Protocol)2017年6月6日付(以下、「A/322標準」)、及びATSC標準A/321-システム発見及びシグナリング(System Discovery and Signaling)、2016年3月23日付(以下、「A/321標準」)において見出すことができ、これらの各文書はその全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0035】
図2に、テレビコンテンツ及び放送局アプリケーションにアクセスするように構成された例示的な受信装置120を示す。受信装置120は、テレビ受像機、セットトップボックス、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップ、ポータブルコンピュータ、又はテレビコンテンツを受け取るように構成された他のいずれかの装置などの固定装置又はモバイル装置とすることができる。さらに、受信装置120は、車両、或いは上述した固定装置又はモバイル装置のうちのいずれかに組み込まれたデジタルテレビ受信機とすることができる。
【0036】
受信装置120は、1又は2以上のサービスプロバイダ102からデータストリーム(例えば、放送ストリーム)を受け取るように構成された受信機回路と、受信装置120の様々な機能を実行するように構成された処理回路とを含む。1つの実施形態では、チューナ/復調器202が、放送ストリームを含む放送排出物(broadcast emissions)を受け取る。これに代えて又はこれに加えて、受信装置200は、実施形態によってはケーブルテレビ送信又は衛星放送を受信するように構成することもできる。
【0037】
チューナ/復調器202によってATSC3.0放送排出物が取得されると、ALPパケットなどのデータパケットは、これらのパケットをさらなる処理のためにインターネットプロトコル(IP)パケットに変換するプロセッサ270に転送される。また、ALPパケットは、放送をタイムシフトする目的でバッファリングして永続ストレージ280に保存することもできる。永続ストレージ280は、ディスクストレージ形態と、例えばネットワークメモリデバイス、磁気記憶要素、光磁気記憶要素、フラッシュメモリ、コアメモリ及び/又はその他の不揮発性記憶技術を含む非一時的記憶装置などの他の形態のストレージとを使用して実装することができる。
【0038】
デマルチプレクサ204は、ストレージ280からのいずれかの必要なファイルを使用して、IPパケットに変換されたデータストリームを多重分離し、多重分離されたデータを、別個のオーディオ及びビデオ(A/V)ストリームに復号するためにメディアエンジン290に供給することができる。メタデータ、低水準シグナリング(LLS)及びサービス層シグナリング(SLS)ファイル、メディアファイル、並びに電子サービスガイド(ESG)ファイルなどの、デマルチプレクサ204によって出力されたファイルは、処理のためにCPU238に提供することができる。全体が引用により組み入れられる2017年12月6日付のATSC標準A/331-シグナリング、配信、同期及びエラー保護(Signaling,Delivery,Synchronization,and Error Protection)(以下、「A/331標準」)には、ATSC3.0のLLS及びSLSが規定されている。オーディオはオーディオデコーダ210によって復号され、ビデオはビデオデコーダ214によって復号される。
【0039】
一般に、受信装置200は、1又は2以上のバス(例えば、バス250)を介して永続ストレージ280、ワーキングメモリ240、プログラムメモリ242及びグラフィクスサブシステム244に結合されたCPU238などの少なくとも1つのプロセッサの制御下で動作する。1つの実施形態によれば、CPU238は、ユーザがライセンス情報を取得して保護サービスにアクセスするためのユーザインターフェイスを生成するように構成される。グラフィクスサブシステム244によって出力されたグラフィクスは、ビデオディスプレイ上での表示に適した出力を生成する合成器及びビデオインターフェイス260によってビデオ画像と合成される。
【0040】
CPU238は、例えばプログラムメモリ242に記憶されたHTML5ユーザエージェントを使用して放送局アプリケーション(例えば、HTML5アプリケーション)に含まれるスクリプトオブジェクト(制御オブジェクト)を実行することを含む、受信装置200の機能を実行するように動作する。プログラムメモリ242には、ネイティブ放送局アプリケーションも常駐することができる。
【0041】
1つの実施形態では、放送局アプリケーションを構成する一群のファイルを、例えばA/331標準に記載されているROUTEプロトコルを介して放送を通じてパッケージとして配信することができる。2017年12月18日付のATSC標準A/344-ATSC3.0双方向コンテンツ(ATSC 3.0 Interactive Content)には例示的な放送局アプリケーションフレームワークが記載されており、この文書はその全体が引用により組み入れられる。
【0042】
いくつかの実施形態では、CPU238を受信装置120のリソースのうちのいずれか1つ又はこれらの組み合わせに結合して、1又は2以上の機能の制御を集中化させることができる。1つの実施形態では、CPU238が、チューナ/復調器202及びその他のテレビリソースを含む受信装置120の制御を監視するようにも動作する。
【0043】
図3に、受信装置120のよりプロセッサ中心的な図を示す。メモリ240及び242は、集合的にメモリ310として示す。さらに、プロセッサ300は、CPU238などの1又は2以上のプロセッシングユニットを含む。同様に、最初にデジタルテレビ信号を処理する様々な復調器、デコーダなども、集合的にテレビ受信機/チューナ320として示す。受信装置120は、リモコン受信機インターフェイス340と通信するリモコン装置360をさらに含む。また、ディスプレイ350は、例えば合成器260を含むディスプレイインターフェイス330に接続され、テレビ受像機として受信装置120に一体化されたディスプレイであり、又は受信装置120がセットトップボックスに統合されている場合には接続ディスプレイ装置である。
【0044】
メモリ310は、様々な機能的プログラムモジュール及びデータを含む。メモリ310は、受信装置120によって使用されるデータを記憶する。受信装置120内のメモリ310は、ディスクストレージ形態と、例えばネットワークメモリデバイス、磁気記憶要素、磁気光学記憶要素、フラッシュメモリ、コアメモリ及び/又はその他の不揮発性ストレージ技術を含む非一時的記憶装置などの他の形態のストレージとを使用して実装することができる。「非一時的」という用語は、データストレージの永続性の限定(例えば、RAM対ROM)とは対照的に、媒体自体の限定(すなわち、有形の、信号ではないもの)である。タイムシフト再生の録画を記憶するために、ストレージ280(図2)に対応できるストレージ380も含まれる。
【0045】
メモリ310は、テレビ受信機アプリケーション311を含む。メモリ310には、放送局アプリケーション316a及びネイティブ放送局アプリケーション316bの両方が記憶される。放送局アプリケーション316aは、放送ストリームに含まれるHTML5アプリケーションとすることができる。ネイティブ放送局アプリケーション316bは、受信装置120と共に提供することも、又は後の時点でインストール(例えば、Appストアからダウンロード)することもできる。放送局アプリケーション316a及びネイティブ放送局316bは、プロセッサ300によって実行される。さらに、これらのアプリケーションは、後で検索できるようにメモリ310に記憶されている代替コンテンツ318を取得するように受信装置120を制御することをプロセッサ300に行わせることができる。別の実施形態では、プロセッサ300が、提示時に受信装置120に代替コンテンツ318を検索又はストリーミングさせる。
【0046】
上述した特徴をユーザが利用できるようになるPVR設計の技術的態様は、例えば以下を含む。
(1)デフォルト言語又はユーザ選択言語に対応する主要ビデオトラック及びオーディオトラック以外のコンテンツを(揮発性又は不揮発性)メモリに記憶すること。
(2)(以下で詳述する)タイムシフト再生を達成するための、サービス層シグナリングデータの適切な修正。
(3)再生中に番組のオーディオ、ビデオ、キャプション及び双方向コンテンツ部分の同期を達成するための、放送局アプリケーション及び/又はネイティブ放送局アプリケーションの管理。
【0047】
ATSC1.0(既存のDTVシステム)標準に基づいてデジタルテレビコンテンツをタイムシフトすることを含む関連するPVRの設計、或いはアナログTV信号がデジタル化され、圧縮されてディスクに記憶される設計では、通常、主要ビデオ及び1つのオーディオトラックのみが後で再生できるように記憶されていた。関連するDTVシステムでは、トランスポート機構としてMPEG-2トランスポートストリーム(TS)が使用されていた。この状況では、PVRが、ビデオエレメンタリストリーム(ES)及びオーディオエレメンタリストリームから、MPEG-2 TSパケットのみから成る「パーシャル」トランスポートストリームを生成する。キャプションは、ビデオES内で符号化されていた。パーシャルTSは、タイムシフト方式で再生することができた。ES要素は、プログラムクロックリファレンス(Program Clock Reference:PCR)をビデオに含み、プレゼンテーションタイムスタンプ(Presentation Time Stamp:PTS)をビデオ及びオーディオの両方に含んでいたため、同期及びタイミング調整は容易であった。ATSC1.0システムは、放送局アプリケーションを標準化していなかった。
【0048】
デジタルビデオ圧縮技術の進歩(HEVC対MPEG-2)、並びに物理層(例えば、変調及び符号化)の効率性の改善は、より高容量の放送信号をもたらした。いくつかの実施形態では、ATSC3.0放送信号などの放送ストリームが、2又は3以上のATSC3.0サービスを含む。従って、放送ストリームは、複数の放送局の放送を搬送するように構成することができ、各放送局は、放送ストリームの割り当て帯域幅(例えば、米国の地上波放送システムでは6MHz)内で1つの主チャネルと1つ又は2つの副チャネルとを提供する。
【0049】
図4に、受信装置120によって受け取られる放送ストリームの実施形態を示す。一例として、ユーザは、テレビを操作している時に、放送局に関連する特定のチャネルを選択することがある。チャネルが選択されると、少なくともユーザによって選択されたチャネルを含む放送ストリームが提示される。さらに、放送ストリームは、同じ放送局による複数のチャネルを含むことも、別の放送局(例えば、放送局B)による複数のチャネルを含むこともできる。
【0050】
図5に、ポーズバッファとして機能するいずれかのタイプのメモリに記憶されたファイルを表すデータベース構造500の実施形態を示す。図5に示すように、このデータベース構造は、各放送局サービス(例えば、A_1)のためにメディアプレゼンテーション記述ファイル500aを記憶することができる。メディアプレゼンテーション記述ファイルは、ASTと、選択されたサービスに対応するメディアセグメント500bの位置とを示すことができる。データベース構造500は、各放送局サービスのLLS及びSLSファイル500cを含む。また、放送局サービスのためのデータベース構造は、放送局アプリケーションなどのいずれかの関連するアプリケーションファイル500dを含むこともできる。
【0051】
放送ストリームからのパケットのバッファリングは、どのサービスを再生に利用できるかを判定することができる。いくつかの実施形態では、受信装置が、いずれかの放送ストリーム(例えば、ATSC3.0放送信号)内の全てのIPパケットを「ポーズバッファ」にバッファリングすることができる。さらに、「PVR能力」を有するものとして広告又は初期設定されていないDTV製品は、揮発性メモリ又は永続ストレージなどのDTV製品の既存のメモリを使用してポーズバッファを実装することができる。DTV製品が、放送ストリームで放送される全てのデータを記憶する場合には、以下のような著しく有利な特徴が達成される。
(1)ユーザが同じ放送信号で伝送された異なるサービスに切り替えることを選択する場合、切り替え時間がほぼ瞬間的である。
(2)たとえポーズバッファからコンテンツを再生する場合でも、利用可能な一連のオーディオ及びキャプション言語オプションからユーザが選択を行うことができる。
(3)双方向要素と番組再生との間の同期を維持しながら、双方向要素をオーディオ/ビデオ/キャプションと共に一時停止することができる。
(4)ユーザが、サービスAを見始めてしばらくしてから同じ信号で放送されているサービスBに切り替える場合、ポーズバッファの深さ及び受信機がこの放送信号にチューニングしていた時間に従って、このサービスで既に放送されたコンテンツの一部を「巻き戻して」見ることができる。
【0052】
いくつかのパケットは、放送に参加したばかりの受信機のために放送信号内で繰り返されるファイルを配信するので、全ての放送パケットをしらみつぶしに録画することは非効率的である。繰り返されるファイルの例としては、低水準シグナリング(LLS)及びサービス層シグナリング(SLS)ファイル、初期化セグメント(IS)ファイル(MPEG DASH標準を参照)、並びに放送局アプリケーションを含むファイルが挙げられる。
【0053】
いくつかの実施形態では、いずれかの繰り返されるファイルの最初のインスタンスのみを記憶することによって、全ての放送パケットを記憶する方法を凌ぐ有利な最適化が達成される。例えば、放送内の全てのIP又はALPパケットを記憶する代わりに、IP又はALPパケットを処理することによって得られる個々のファイルが記憶される。従って、放送内で見つかったファイルが既に保存されているファイルの複製であると判明した場合には、メモリに新たなコピーが保存された時点で重複ファイルを廃棄し、又は既に記憶されているコピーを消去する(すなわち、ファイルが占めるメモリを解放する)ことができる。
【0054】
所与のATSC3.0送信信号で配信される全てのファイルオブジェクトを記憶すると、受信機の処理に大きな負担が加わる恐れがある。チューナ/復調器202は、復調後にALPパケットをもたらすが、ALPパケットをファイルに変換するプロセスは、1)ALPパケットをIPパケットに変換し、2)放送信号に多重化された各サービスの下位層シグナリング(LLS)及びサービス層シグナリング(SLS)ファイルを処理して、放送ストリーム内の各ファイルオブジェクトに関する情報を発見し、3)各ファイルオブジェクトを検索してファイルシステムに保存することを含む。
【0055】
開示する実施形態は、ALPパケットを直接ポーズバッファにバッファリングすることにより、放送ストリームに含まれる全てのALPパケット及びファイルを処理する必要がないという著しく有利な特徴を提供する。図2に示すように、ALPパケットは、直接ライブ再生(例えば、復号オーディオ及びビデオの出力)のために下流に流れることも、或いはストレージ280に実装できるポーズバッファに保存することもできる。ポーズバッファに保存されたALPパケットは、ポーズバッファから検索して同じ復号及びメディア提示機能に転送することができる。いくつかの実施形態では、チューナ/復調器202から到来する全てのALPパケットがポーズバッファに記憶される。いくつかの実施形態では、ALPパケットから導出された全てのファイルがポーズバッファに記憶される。さらに、いくつかの実施形態では、所与のサービスに関連する全てのALPパケットがポーズバッファに記憶される。また、いくつかの実施形態では、所与のサービスに関連する全てのファイルがポーズバッファに記憶される。
【0056】
いくつかの実施形態では、テレビ受信機アプリケーションが、放送ストリーム内のファイルを利用して、タイムシフト再生に使用されるパラメータを決定する。A/331標準は、トランスポートプロトコルのための2つのオプションである(ROUTEと呼ばれるFLUTE様の放送ファイル配信プロトコルと共に)MPEG Dynamic adaptive streaming over HTTP(DASH)、及びMPEG MMT(ISO/IEC 23008-1:2017、「情報技術-異種環境における高効率復号及びメディア配信(High Efficiency coding and media delivery in heterogeneous environments)-第1部:MPEGメディアトランスポート(MMT)」、国際標準化機構、2017年8月、この文書の内容は全体が引用により本明細書に組み入れられる)を規定する。上述したように、MPEG DASHは、ISO/IEC 23009-1において標準化されている。いくつかの実施形態によれば、受信装置がDASH/ROUTE伝送をサポートする。
【0057】
MPEG DASHでは、メディアプレゼンテーション記述(MPD)ファイルが、オーディオ、ビデオ及びキャプションを搬送するメディアセグメントの位置を参照するデータ構造である。いくつかの実施形態では、MPDが、MPDファイル内でMPD@availabilityStartTime属性として識別できる可用性開始時間(AST)と呼ばれるパラメータを含む。ASTは、放送の全てのタイミング面を時刻(日付及び時刻)に固定する。現在時刻に対応する情報を有する受信機は、ASTパラメータを使用して、サービスのコンテンツの初期再生を開始するためにどのメディアセグメントを検索できるかを判定する。
【0058】
Android OSプラットフォームに基づくATSC3.0受信機として動作する受信装置のいくつかの実施形態では、コンテンツを復号してレンダリングするためにメディアプレーヤライブラリが含まれる。メディアプレーヤの標準的なオーディオ及びビデオコンポーネントは、Android MediaCodec APIに基づくことができる。さらに、メディアプレーヤは、DASHをサポートすることができる。
【0059】
メディアプレーヤがライブストリーミングコンテンツ再生要求を受け取ると、受信機が最初にサービスを取得した時に、メディアプレーヤが選択されたサービスを最速で取得するのに最適なメディアセグメントを取り出そうと試みるように、放送MPD内に与えられたASTを調整することができる。この方法は、最も短いチャネル変更時間をもたらすことができる。ASTの調整は、Android OSによって使用される内部時刻機構が放送局によって使用されるGPS時刻と正確に合致していない場合に必要となり得る。以下、このクロック調整を開示する。
【0060】
受信装置又はPVRが、ライブTVを一時停止するためのポーズバッファを含む場合には、例えば一時停止及び巻戻し操作をサポートするために、メディアプレーヤに古いメディアセグメントの利用可能性を認識させることができる。DASH MPDは、古いメディアセグメントの利用可能性を示す目的で、MPD@timeShiftBufferDepthと呼ばれる属性を含む。放送局は、メディアセグメントがHTTPサーバからのプル配信に利用可能であるというよりもむしろ放送を介してプッシュ配信されるという事実を認識して、このパラメータを低い値に設定することができる。受信装置は、メディアプレーヤがより効果的に動作してユーザに最も柔軟な再生体験を提供できるように、MPD@timeShiftBufferDepthの値を、タイムシフトバッファ内のメディアセグメントの利用可能性を反映するように調整することができる。例えば、タイムシフトバッファが過去5分間のオーディオ/ビデオ/キャプションセグメントを含む場合、受信機は、MPD@timeShiftBufferDepthを5分の値に設定することができる(例えば、属性値を「PT5M」に設定することができる)。
【0061】
いくつかの実施形態では、メディアプレーヤを使用して、例えばPVR機能を実行することによって後で視聴できるように録画され記憶されたコンテンツなどのタイムシフトコンテンツを再生することができる。放送局によって送信されるMPDは、「動的」な種類のものとすることができる(MPD@type、MPEG DASH標準、第5.3.9.5.3節、メディアセグメント情報を参照)。いくつかの実施形態では、DASHコンテンツが記憶されると、「静的」MPDを作成して、記憶されたメディアセグメントファイルを参照することができる。静的MPDはビデオオンデマンドコンテンツに適しており、コンテンツは記憶された後にビデオオンデマンドコンテンツになる。タイトル、評価、あらすじ、初回放送日時などの番組コンテンツを表す情報は、別のマニフェストファイルに記憶することができる。
【0062】
一般に、ユーザ装置内のDASHクライアントは、DASHサーバにアクセスしてMPDにアクセスした後に、参照されるメディアセグメントファイルにアクセスする。このアクセスは、HTTPプロトコルを使用してインターネットを介して行われる。しかしながら、ATSC3.0受信機にDASHが実装されている場合には、コンテンツがローカルに記憶されてローカルに消費されるので、完全なHTTPスタックを使用する必要はない。例えば、HTTP GET動作は、ATSC3.0受信機アプリケーションをホストするOSでサポートされているファイルシステムを通じたファイルのフェッチに置き換えることができる。
【0063】
いくつかの実施形態によれば、メディアレンダリングのためにメディアプレーヤを採用するATSC3.0受信機の実装では、MPEG DASHのメディアプレーヤネイティブサポートが使用される。DASH MPDは、DASHクライアントとして動作するいずれかの装置と同様に、どのメディアセグメントファイル(例えば、番組のどの部分)をレンダリングするかについての選択を促す。DASHクライアントは、ライブTV放送をレンダリングするように要求されると、時刻、並びに放送MPDに含まれているAST(例えば、MPD@availabilityStartTime)をMPD内の他パラメータと共に処理することに基づいて、どのメディアセグメントが最新であるか(すなわち、直前に送信されたか)を計算し、これを再生の開始に使用することができる。このプロセスは、受信機がチャネル変更後に最初に放送サービスに遭遇した時に行うことができる。
【0064】
いくつかの実施形態によれば、受信機は、DASHクライアントを使用してタイムシフトコンテンツをレンダリングするように構成されている場合、ASTを実際の時刻よりも所定量だけ早い時刻を示すように調整することができる。DASHクライアントは、この調整に基づいてバッファに古いメディアセグメントファイルを要求する。
【0065】
図2に示すように、いくつかの実施形態では、受信装置120のチューナ/復調器202によって提供されたALPパケットを、ストレージ280に実装できるポーズバッファに直接記憶することができる。さらなる実施形態では、ポーズバッファをワーキングメモリ240(例えば、RAM)に実装することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、ATSC3.0標準(A/330、A/331、A/337、A/344など)に規定されるIPプロトコルを放送局が使用しているATSC3.0放送排出物の場合、ALPパケットは、少数のシグナリングパケットが散在した圧縮IPパケットの組み合わせである。A/337標準は、ATSC標準:アプリケーションシグナリング(Application Signaling)(2018年1月2日付の文書A/337:2018)(以下、「A/337標準」に規定されており、この文書の内容は全体が引用により組み入れられる。IPパケットの圧縮は、主に放送内でのマルチキャストUDP/IPパケットの配信効率を最適化するために採用されるヘッダ圧縮である。
【0067】
A/330標準に規定されるALPプロトコルを処理して、例えばALPパケットを解凍してIPパケットを得るためには、一定量のCPUオーバヘッドが使用される。いくつかの実施形態では、放送ストリームに含まれる(場合によっては多くの)サービスのうちの1つの視聴をユーザが要求した時には常に、要求されたサービスに関連するALPパケットがリアルタイムで処理される。一方で、選択されたサービス以外のサービスを搬送するALPパケットはリアルタイムで処理する必要がなく、直接ポーズバッファに記憶することができる。
【0068】
当業者であれば理解するように、所与のIPソース/宛先アドレス及びポート番号に対応するUDP/IPパケットは、A/321標準及びA/322標準に定められるような特定の物理層パイプ(PLP)で送信することができる。いくつかの実施形態では、所与の放送排出物が最大64個の異なるPLPを有することができる。ユーザがサービスAを視聴することを選択し、サービスAの全てのコンポーネント及びシグナリング(SLS)がPLP#1で搬送される場合、いくつかの実施形態では、サービスAのリアルタイム視聴を達成できるように、PLP#1からの全てのALPパケットがIPパケットに処理される。PLP#1以外のPLPからのALPパケットは、IPパケットに処理することなくポーズバッファに記憶することができる。
【0069】
その後、ユーザがサービスBに切り替えたいと望み、そのサービスのALPパケットがポーズバッファ内に存在する場合、受信機は、ポーズバッファから適切なALPパケット及び/又はファイルを検索することによってサービスBを再生することができ、さらにはユーザがサービスAを見ている間に見逃していた番組の一部を見るように巻き戻しを行うことを可能にすることもできる。その後、受信機は、ポーズバッファからサービスBに対応する適切なALPパケットを検索した後に、検索されたALPパケットを、サービスBが最初にライブ放送視聴のために選択されたかのように処理することができる。
【0070】
あらゆるサービスに関連する全てのALP(及びIP)パケットがバッファリングされるので、ユーザは、ライブTVを視聴する際に、複数の言語選択肢を含むクローズドキャプションをオンにし、或いは利用可能な場合には異なるタイプの言語の代替オーディオトラックを入れ替える選択を含む異なるオプションを選択して番組を視聴し、楽しむことができる。放送ストリームに含まれるあらゆるサービスに関連する全てのALPパケットがポーズバッファに記憶されるので、ユーザは、タイムシフトコンテンツを視聴する際にもこれらの同じ選択肢を利用することができる。
【0071】
図6に、電子番組ガイド602も表示されている例示的な表示600を示す。電子番組ガイド602に示すように、放送局は、3つのチャネルA_1、A_2及びA_3を有することができる。チャネルA_1は、午後7:00~午後9:00に利用できる番組1を有することができる。チャネルA_2は、午後7:00~午後8:00に利用できる番組2と、午後8:00~午後9:00に利用できる番組3とを有することができる。チャネルA_3は、午後7:00~午後7:30に利用できる番組4と、午後7:30~午後8時に利用できる番組5と、午後8時~午後9時に利用できる番組6とを有することができる。
【0072】
図7に、図6に示す利用可能な番組に基づく視聴シナリオの例を示す。例えば、図7(a)では、ユーザがチャネルA_1を選択し、午後7時に番組1を見始めたものとすることができる。図7(b)では、ユーザが午後8時に、番組1を午後8時よりも前の時刻(例えば、午後7時15分頃)から開始して再生するように要求している。番組1に関連するコンテンツはポーズバッファに記憶されているので、再生時刻である午後7:15に対応する番組1のオーディオ及びビデオコンテンツ、並びにユーザが午後7:15にユーザが番組1をライブで視聴していれば利用できたはずの言語選択又は視聴角度選択などのコンテンツサービス特徴を利用することができる。図7(c)には、ユーザが午後8:00に番組1の再生を停止して、チャネルA_2によって提供されている番組2の視聴を選択できる別のシナリオを示す。さらに、ユーザは、午後8:00よりも前(例えば、午後7:15)に利用可能であった番組2のコンテンツの再生を要求することもできる。番組2は、ユーザ1によって番組1が選択された時に放送ストリームでダウンロードされていたはずであるため、再生時刻である午後7:15に対応する番組2のオーディオ及びビデオコンテンツ、並びにユーザが午後7:15にユーザが番組2をライブで視聴していれば利用できたはずのコンテンツサービス特徴(例えば、言語選択、視聴角度など)を利用することができる。
【0073】
上述したように、いくつかの実施形態によれば、受信装置のランタイム環境は、(1)放送局アプリケーション(例えば、放送局HTML5アプリケーション)、及び(2)ネイティブ放送局アプリケーション(例えば、受信機がAndroidプラットフォームに基づく場合にはAndroidアプリケーション)、という少なくとも2つの異なるアプリケーションを実行するように構成される。
【0074】
いくつかの実施形態では、放送局アプリケーションが、選択されたサービスを含むオーディオ/ビデオ/キャプションコンテンツと同時に送信される。放送局アプリケーションは、A/337標準に規定されるHELD(すなわち、HTML Entry pages Location Descriptionの頭文字)と呼ばれるSLSテーブルによって参照されるファイルを含むことができる。
【0075】
放送局アプリケーションは、実行されると、番組コンテンツと同期した双方向体験を提供することができる。例えば、ゲーム番組との双方向体験では、放送局アプリケーションが、番組中の1つの時点で出題されるクイズ問題の答えをユーザに言い当てさせることができる。この例では、放送局アプリケーションが、適切な時点で「イエスかノーか?」との対話文を表示し、後で結果を確認できるようにあらゆる回答を記録することができる。
【0076】
いくつかの実施形態によれば、放送局アプリケーションは、イベント(A/344標準、第6.3.2節、放送局アプリケーションイベント[静的/動的](Broadcaster Application Events[Static/Dynamic])を参照)に応答することによって、イベント(例えば、ゲーム番組の例における対話文など)の適切なタイミングを決定する。イベントは、「動的」又は「静的」とすることができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、イベントが動的イベントである場合、放送局が、表現のメディアセグメントファイルのうちの1つに‘emsg(イベントメッセージ)ボックスを埋め込むことにより、再生の適切な時点で‘emsgに遭遇してこれが処理されるようにする。表現は、1又は2以上のメディアストリームを収集して配信フォーマットにカプセル化したものであり、記述メタデータに関連することができる。例えば、表現は、オーディオストリーム(例えば、1言語当たりに1つの表現)、或いは1又は2以上のビデオトラック、又はキャプショントラックとすることができる。受信装置は、放送局アプリケーションによって登録されていたタイプのイベントに対応する‘emsgボックスにストリーム内で遭遇した場合(A/344標準、第9.5節を参照)、放送局アプリケーションにEvent Stream Event WebSocketメッセージ(A/344標準、第9.5.3節を参照)を送信することによって動的イベントプロセスを処理することができる。このメッセージは、放送局アプリケーションが特定の対話ボックスを表示するために知っておく必要がある情報を含むことができる。例えば、コンテンツの再生における特定の時点で、放送局アプリケーションがユーザに双方向情報(例えば、選択可能アイコン)を表示することを行わせる‘emsgに遭遇することができる。
【0078】
静的イベントの場合、いくつかの実施形態では、再生中にトリック再生モード(例えば、一時停止、早送り、巻戻しなど)が発生する場合があるので、放送局アプリケーションは、ユーザが再生のタイムライン内のどこを現在視聴中であるかを知る必要がある。例えば、MPDは、静的イベントを知らせるために、MPD期間(MPD Period)の文脈内で所与のイベントが発生する予定のタイミングを識別するEventStream要素を含む。ISO/IEC 23009-1、第5.10.2項、「MPDイベント(MPD Events)」を参照されたい。
【0079】
静的イベントは、所与のイベントが発生する予定のメディア内の時点を受信装置が認識している場合に、事実上ユーザがコンテンツを再生する際に受信装置がメディアタイムラインに同期して、再生中の適切な時点が生じた時に双方向性を実行できるように処理することができる。例えば、ATSC3.0ランタイムアプリケーション環境は、A/344標準、第9.13節、RMP、コンテンツ同期API(Content Synchronization APIs)に規定されるような当業者に周知のWebSocket APIを通じてアプリケーション/コンテンツ再生同期をサポートすることができる。放送局アプリケーションが、提示中のコンテンツの現在の提示時間を知る必要がある場合には、コンテンツ同期APIを呼び出して、提示されているコンテンツに同期した補助コンテンツを放送局アプリケーションが提示すること(例えば、番組内の所定の時点におけるグラフィカルオーバレイの表示)を可能にすることができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、再生時にユーザがいずれかのトリック再生操作を行った場合、RMPメディア時間変更イベント通知(A/344標準、第9.6.12節、Subscribe RMPメディア時間変更通知API(Subscribe RMP Media Time Change Notification API)を参照)に同意することによって、このトリック再生操作を放送局アプリケーションに通知することができる。従って、放送局アプリケーションは、放送局アプリケーションにトリック再生操作を知らせ続けることによって、ポーズバッファから再生中であるコンテンツに同期したコンテンツを提示することができる。
【0081】
アプリケーションとコンテンツの再生との間の時間同期を確立するWebSocket APIが規定されている放送局アプリケーションとは異なり、ネイティブ放送局アプリケーションは、これらのアプリケーションが受信装置と通信することを可能にする標準化法を有していない。[日付を挿入]に出願された「放送局アプリケーションリモコンキー操作(Broadcaster Application Remote Control Key Handling)」という名称の米国特許出願第[出願番号を挿入]号には、メーカーが放送局ネイティブアプリケーションと放送局アプリケーションとの間に汎用通信経路を提供する専用APIが開示されており、この文書の内容は全体が引用により本明細書に組み入れられる。上記で開示したように、いくつかの実施形態によれば、放送局アプリケーションは、ポーズバッファから再生されているコンテンツに同期することができるので、この通信経路を使用して、ポーズバッファから再生されているコンテンツのタイムラインと、ユーザがコンテンツと相互作用することによって生じるタイムラインのいずれかの調整(例えば、早送り、巻戻し、一時停止)とをネイティブ放送局アプリケーションに通知することができる。
【0082】
いくつかの実施形態によれば、どの視点で番組を見たいと望むかをユーザが選択できるようにする複数のビデオトラックを使用して放送局サービス(例えば、ATSC3.0サービス)を放送することができる。例えば、カーレースは、異なる車の操縦席内からの眺めを提供することができる。所与の視聴者が所与の時点でどのビデオビューを見るかの選択は、その視聴者が放送局アプリケーションと相互作用する際に行われる見込みである。放送局アプリケーションは、ユーザがビューの選択を行えるようにするユーザインターフェイスを提供することができる。
【0083】
図8に、コンテンツの例示的な表示800、及び利用可能なコンテンツサービス特徴を示す。例えば、コンテンツサービス特徴800a~800cは、ビュー1~ビュー3という異なる視聴選択のオプションをそれぞれ提供する。さらに、コンテンツサービス特徴800d~800fは、英語、スペイン語、フランス語などの利用可能な言語選択をそれぞれ示す。従って、コンテンツサービス特徴800a~800fは、表示800に示すコンテンツのライブ放送中に利用することができる。また、これらのコンテンツサービス特徴は、ユーザがコンテンツをライブで視聴しているかのようなコンテンツのタイムシフト再生中にも利用することができる。当業者であれば理解するように、本実施形態は、図8に示すコンテンツサービス特徴に限定されず、当業者に周知のあらゆるコンテンツサービス特徴を含むことができる。
【0084】
従って、タイムシフトコンテンツに全ての可能なビデオトラックを含めるという特徴を含む本開示の実施形態は、ライブ放送中に利用可能できたはずの視聴特徴を選択するという著しく有利な特徴をユーザに提供する。さらに、ユーザは、同じ番組又は番組の一部を複数回再生して、異なる視聴時に異なるビデオビューを選択することもできる。
【0085】
いくつかの実施形態によれば、受信装置は、放送局によって参照又は使用されるクロックに基づいてオペレーティングシステムクロックを調整することができる。この点、受信装置は、以下のような標準的システムコールを使用して現在時刻を取得することができる。
import java.util.Calendar
Calendar rightNow=Calendar.getInstance()
【0086】
しかしながら、この標準的システムコールは、多かれ少なかれ誤った現在時刻値をもたらす恐れがある。受信装置内の現在時刻機構と放送局のクロックとの間のいずれかの不一致は、サービスの取得に問題を生じる恐れがある。従って、受信装置の時刻機構が不正確であることによって生じる重大な不利点を軽減して排除するために、受信装置内での正確なクロックの取得を改善することが必要である。
【0087】
いくつかの実施形態では、受信装置によって実行されるテレビ受信機アプリケーションが、サービス取得プロセスを管理するために使用すべき時刻機構を、受け取られたメディアセグメント自体のAST値及びタイミングから導出する。放送局は、GPSシステムを介して番組のタイミングを同期させていると思われるので、放送局によって観測されるクロックは、テレビ受信装置のクロックよりも正確であると考えられる。例えば、ASTが、受け取られたばかりの所与のメディアセグメントが放送局の時刻の理解に基づいて時刻Xに利用可能になることを示す場合、いくつかの実施形態では、対応するシステム時間が以下のように導出される。
Wall Clock Time(実経過時間)=OS_clock+(signaled_AST-observed_AST)
ここで、
(a) Wall Clock Timeは、テレビ受信機アプリケーションが時刻を伴う計算において使用する時間であり、
(b) OS_clockは、オペレーティングシステムによって報告される時刻であり、
(c) signaled_ASTは、放送MPDでシグナリングされるavailabilityStartTime(可用性開始時間)であり、
(d) observed_ASTは、OS_clockが正確である場合に所与のメディアセグメントが受け取られると予想された時点に対する受け取られた時点の観測に基づいて受信機が計算したASTである(例えば、observed_AST=signaled_AST+(メディア到着時刻-メディア到着予想時刻))。
【0088】
上記の方程式例によれば、観測されるASTがシグナリングされたASTと同じである場合、OS_clockは正確であり、調整を行う必要はない。一方で、観測されるASTがシグナリングされたASTから進んだ時刻(すなわち、シグナリングされたASTに対して将来の時刻)を示す場合、メディアセグメントは、OS_clockが正しい場合に予想されるよりも早く到着している。従って、このシナリオでは、Wall Clock Timeが、OS_clockに対する不一致に対応する量だけ減分される。
【0089】
観測されるASTがシグナリングされたASTから遅れた時刻(すなわち、シグナリングされたASTに対して過去の時刻)を示す場合、メディアセグメントは、OS_clockが正しい場合に予想されるよりも遅れて到着している。従って、このシナリオでは、Wall Clock Timeが、OS_clockに対する不一致に対応する量に設定される。初期時間(例えば、受信装置の電源投入時などのtime=0)中には、Wall Clock TimeをOS_clockに設定することができる。Wall Clock Timeが調整されている間は、OS_clockは調整されない。
【0090】
この方法に基づいて、放送局によって使用される正確な時刻に対するOS_clockのさらに大きな誤差にも対応する。図9に、メディアセグメントが到着すると予想される予想時刻、及びメディアセグメントの実際の到着時刻に関するシナリオ例を示す。例えば、図9(a)には、OS_clockが20秒遅れているシナリオを示す。この状況では、メディアセグメントが、予想された時刻よりも20秒前に到着して「利用可能」になることが観測される。図9(a)に示すように、メディアセグメントは7:00に到着すると予想されているが、到着すると予想される時刻(例えば、7:00:00)よりも20秒早く(例えば、6:59:40に)到着している。従って、観測されるASTは、シグナリングされたASTよりも20秒小さくなる(例えば、signaled_AST-observed_AST=20秒)。従って、正確なWall Clock Timeを得るために、OS_clockに20秒を加算することによって20秒の調整が行われる。
【0091】
例えば、図9(b)には、OS_clockが20秒進みすぎているシナリオを示す。図9(b)に示すように、メディアセグメントは、到着すると予想された時刻(例えば、7:00:00)に比べて20秒遅れて(例えば、7:00:20に)到着して「利用可能」になることが観測されている。従って、観測されるASTは、シグナリングされたASTよりも20秒大きくなる(例えば、signaled_AST-observed_AST=-20秒)。従って、正確なWall Clock Timeを得るために、-20秒の調整を行うことによってOS_clockから20秒を減算する。
【0092】
図10に、受信装置120によって実行されるプロセスの実施形態を示す。一般に、このプロセスは、ユーザが放送サービスを選択する(例えば、EPGを見ながら番組を選択する)ステップS1000から開始する。プロセスはステップS1002に進み、受信装置が、選択された放送サービスを含む放送ストリーム(例えば、図4に示す放送ストリーム)を受け取る。プロセスはステップS1004に進み、受信装置が、ALPパケットをポーズバッファ(例えば、ストレージ280)に記憶する。
【0093】
プロセスはステップS1006に進み、1)ALPパケットをIPパケットに変換すること、2)放送信号に多重化された各サービスの下位層シグナリング(LLS)及びサービスレベルシグナリング(SLS)ファイルを処理して、放送ストリーム内の各ファイルオブジェクトに関する情報を発見すること、及び3)各ファイルオブジェクトを検索してファイルシステムに保存することなどの、選択された放送サービスに対応するALPパケット及びファイルの処理が行われる。プロセスはステップS1008に進み、処理されたALPパケットから生成されたファイルがポーズバッファに記憶されているかどうかを判定する。処理されたALPパケットから生成されたファイルがポーズバッファに記憶されていない場合、プロセスはステップS1010に進み、生成されたファイルをポーズバッファに記憶する。処理されたALPパケットから生成されたファイルがポーズバッファに記憶されている場合、プロセスはステップS1012に進み、オーディオ及びビデオコンテンツをディスプレイに出力し、言語選択などのコンテンツサービス特徴が利用可能になり、ユーザはボタンを押してこれらのコンテンツサービス特徴のうちの1つを有効にすることができる。
【0094】
プロセスはステップS1014に進み、タイムシフト再生要求が受け取られたかどうかを判定する。例えば、タイムシフト再生要求は、現在ユーザが視聴しているコンテンツを巻き戻し又は早送りするための要求、或いは選択された放送サービスから別の放送サービスに変更するための要求に対応することができ、後者の場合、ユーザは、選択された放送サービスを現在見ている時点に対して別の放送サービスを巻き戻し又は早送りすることができる。
【0095】
タイムシフト再生要求が受け取られていない場合、プロセスはステップS1012に戻り、ユーザはコンテンツの再生を視聴し続けることができる。タイムシフト再生要求が受け取られた場合、プロセスはステップS1016に進み、要求されたコンテンツがポーズバッファ内に存在するかどうかを判定する。ポーズバッファにコンテンツが書き込まれ、又はファイルが削除されると、受信機は、番組の全ての要素(例えば、ビデオ、オーディオ、キャプション及び双方向コンテンツ)を考慮して、バッファ内で利用可能な再生時間の期間を追跡することができる。その後、この期間を使用して、要求されたコンテンツがポーズバッファ内で利用可能であるかどうかを判定することができる。要求されたコンテンツがポーズバッファ内に存在する場合、プロセスはステップS1018に進み、要求されたコンテンツに関連するALPパケット及びファイルをポーズバッファから検索する。プロセスはステップS1018からステップ1006に進み、タイムシフト再生要求に関連する要求されたコンテンツに対応する検索されたALPパケット及びファイルを処理する。
【0096】
要求されたコンテンツがポーズバッファ内に存在しない場合、プロセスはステップS1016からステップS1020に進み、ユーザがコンテンツを逆向きにタイムシフトしている(例えば、ユーザが巻戻しボタンを押している)かどうかを判定する。ユーザがコンテンツを逆向きにタイムシフトしている場合、プロセスはステップS1022に進み、ポーズバッファ内の最も近い利用可能なコンテンツが選択される。例えば、このようなシナリオは、ユーザがコンテンツを5分だけ逆行させたいと望んでいるにもかかわらずポーズバッファ内で3分間の録画しか利用できない場合に発生する場合がある。このような状況が発生すると、所望のタイムシフトコンテンツに最も近い利用可能なコンテンツがユーザに提供される。プロセスは、ステップS1022からステップS1014に戻る。
【0097】
ステップS1020に戻り、ユーザがコンテンツを逆向きにタイムシフトしていない場合、ユーザはコンテンツを前方にタイムシフトしている(例えば、ユーザが早送りボタンを押している)。従って、プロセスはステップS1020からステップS1002に戻って最新の利用可能なコンテンツを取得する。図10に示すプロセスは、ユーザがテレビ受信機アプリケーション又はテレビ受信装置を停止した時点で終了することができる。
【0098】
図11に、受信装置によって実行されるプロセスの実施形態を示す。一般に、このプロセスは、オペレーティングシステム時刻(例えば、OS_clock)を決定するステップS1100から開始する。プロセスはステップS1102に進み、受け取られた放送ストリームから放送局サービスのテレビコンテンツの可用性開始時間を決定する(例えば、signaled_AST)。この可用性開始時間は、放送ストリームに含まれるMPDファイルから検索することができる。プロセスはステップS1104に進み、可用性開始時間に基づいて、テレビコンテンツに対応するメディアセグメントの予想受信時刻を決定する。メディアセグメントの予想受信時刻は、MPDファイルに含まれる可用性開始時間に基づいて決定することができる。
【0099】
プロセスはステップS1106に進み、テレビコンテンツに対応するメディアセグメントの実際の受信時刻を決定する。プロセスはステップS1108に進み、可用性開始時間(例えば、signaled_AST)と、メディアセグメントの受信時刻とメディアセグメントの予想受信時刻との間の差分とを加算したものを表す観測AST(observed AST)を決定する(例えば、observed_AST=signaled_AST+(メディア到着時刻-予想メディア到着時刻))。プロセスはステップS1110に進み、観測ASTに従ってオペレーティングシステムクロックを調整する(例えば、Wall Clock Time=OS_clock+(signaled_AST-observed_AST))。
【0100】
図12は、受信装置及びサービス配信システムのいずれか一方又はこれらの組み合わせの機能を実行するように構成できるコンピュータのハードウェア構成の例を示すブロック図である。例えば、1つの実施形態では、コンピュータが、本明細書で受信装置20及び/又はサービスプロバイダ102に関して説明した機能のうちの1つ又はこれらの組み合わせを実行するように構成される。
【0101】
図12に示すように、コンピュータは、1又は2以上のバス1208を介して互いに相互接続されたCPU1202、ROM(リードオンリメモリ)1204及びRAM(ランダムアクセスメモリ)1206を含む。1又は2以上のバス1208は、入力-出力インターフェイス1210にさらに接続される。入力-出力インターフェイス1210は、キーボード、マウス、マイク、リモコン装置などによって形成される入力部1212に接続される。入力-出力インターフェイス1210は、オーディオインターフェイス、ビデオインターフェイス、ディスプレイ及びスピーカなどによって形成される出力部1214、ハードディスクによって形成される記録部1216、不揮発性メモリ又はその他の非一時的コンピュータ可読記憶媒体、ネットワークインターフェイス、モデム、USBインターフェイス、ファイアワイヤインターフェイスなどによって形成される通信部1218、並びに磁気ディスク、光学ディスク、磁気-光学ディスク、半導体メモリなどの取り外し可能媒体1222を駆動するドライブ1220にも接続される。
【0102】
1つの実施形態によれば、CPU1202は、記録部1216に記憶されたプログラムを入力-出力インターフェイス1210及びバス1208経由でRAM1206にロードした後に、本明細書において受信装置120及び/又はサービスプロバイダ102に関して説明した機能のうちの1つ又はこれらの組み合わせの機能を提供するように構成されたプログラムを実行する。
【0103】
図2及び図12に示す構造例のうちのいずれか1つによって例示される上述したハードウェアの説明は、例えば図10及び図11を参照して上述したアルゴリズムを実行するようにプログラム又は構成された専門的な対応する構造を構成し又は含む。例えば、図10及び図11に示すアルゴリズムのうちのいずれか1つ又はこれらの組み合わせは、図2に示す単一の装置に含まれる回路によって完全に実行することができる。
【0104】
上記の教示に照らして、数多くの修正例及び変形例が可能なことが明らかである。従って、添付の特許請求の範囲内では、本明細書において具体的に説明したものとは別様に本開示を実施することができると理解されたい。
【0105】
従って、上記の説明は、本開示の例示的な実施形態を開示して説明したものにすぎない。当業者であれば理解するように、本開示は、本開示の趣旨又は基本的特徴から逸脱することなく他の特定の形態で具体化することもできる。従って、本開示は例示であることを意図するものであり、本開示及び他の請求項の範囲を限定するものではない。本開示は、本明細書における教示のあらゆる容易に識別できる変種を含め、本発明の主題が一般公衆に開放されないように、上述した請求項の用語の範囲を部分的に定義する。
【0106】
本開示の実施形態は、以下のような著しく有利な特徴を含む。
(1)相当量のコンテンツをバッファリングするのに十分な容量を有する利用可能ストレージ。
(2)ポーズバッファからの再生のために、チューナ/復調器から受け取られたALPパケットを直接バッファリングすること。
(3)設定すべきタイムシフト量が、ポーズバッファの空きメモリ容量に従ってゼロ(例えば、ライブTV視聴)からいずれかの所望の量に調整可能であること。
(4)複数のTVサービスをポーズバッファに録画して、同じ放送ストリームで搬送されるサービスへの即時チャネル変更を提供する能力、及びこのようなサービスに切り替えた後に、そのサービスで以前に放送されたコンテンツを巻き戻して見る能力。
(5)ポーズバッファからコンテンツを再生する際のトリック再生(例えば、早送り、巻戻し、一時停止など)の利用可能性。
(6)コンテンツがライブで再生されているかのような、タイムシフト再生時におけるオーディオ又はキャプションの言語、或いは異なるビデオトラックの選択などの再生オプション(例えば、コンテンツサービス特徴)を選択する能力。
(7)タイムシフトコンテンツと相互作用する能力。
(8)放送局が使用するGPSの正確な時間に対するオペレーティングシステム時間の精度の誤差に対処する能力。
【0107】
上記の開示は、以下に列挙する実施形態も含む。
【0108】
(1)受信装置であって、(i)ユーザによって選択された第1の放送局サービス及び(ii)第2の放送局サービスを含む放送ストリームを受け取るように構成された受信機回路と、前記放送ストリームを複数のデータパケットに復調するように構成された復調器と、処理回路とを含み、前記処理回路が、前記第1及び前記第2の放送局サービスに対応する前記複数のデータパケットをポーズバッファに記憶し、前記選択された第1の放送局サービスに関連する各データパケットを処理してオーディオ及びビデオコンテンツを抽出し、前記第1の放送局サービスに関連する前記抽出されたオーディオ及びビデオコンテンツを第1の期間中にライブTV放送の一部として前記ユーザに出力するように構成される、受信装置。
【0109】
(2)前記処理回路は、前記第1の期間よりも後の第2の期間中に、前記第1の期間と前記第2の期間との間の中間期間中に利用できる前記第2の放送局サービスに関連するオーディオ及びビデオコンテンツを生成するための要求を示すユーザ入力を受け取り、前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツに関連するデータパケットを前記ポーズバッファから検索し、前記ポーズバッファから検索された各データパケットを処理して、前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツを抽出し、前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツを、前記第2の放送局サービスのためにタイムシフト再生の一部として出力するようにさらに構成される、特徴(1)に記載の受信装置。
【0110】
(3)前記処理回路は、前記放送ストリームに含まれる少なくとも1つのコンテンツサービス特徴を、前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツの前記タイムシフト再生中に前記第2の放送局サービスのために提供するようにさらに構成される、特徴(2)に記載の受信装置。
【0111】
(4)前記処理回路は、前記第1の期間よりも後の第2の期間中に、前記第1の期間と前記第2の期間との間の中間期間中に利用できる前記第1の放送局サービスに関連するオーディオ及びビデオコンテンツを生成するための要求を示すユーザ入力を受け取り、前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツに関連するデータパケットを前記ポーズバッファから検索し、前記ポーズバッファから検索された各データパケットを処理して、前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツを抽出し、前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツを、前記第2の放送局サービスのためにタイムシフト再生の一部として出力し、前記放送ストリームに含まれる少なくとも1つのコンテンツサービス特徴を、前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツの前記タイムシフト再生中に前記第1の放送局サービスのために提供するようにさらに構成される、特徴(1)~(3)のいずれか1つに記載の受信装置。
【0112】
(5)前記第1の放送局サービスに関連する前記少なくとも1つのコンテンツサービスは、クローズドキャプショニング、非主要言語オーディオ、非主要言語サブタイトル、及び代替視聴角度から成る群から選択される、特徴(3)又は(4)に記載の受信装置。
【0113】
(6)前記処理回路は、前記受け取られた放送ストリームと共に提供される放送局アプリケーションを実行するように構成され、前記放送局アプリケーションは、前記少なくとも1つのコンテンツサービス特徴を含む複数のユーザ選択可能オプションを表示する、特徴(3)~(5)のいずれか1つに記載の受信装置。
【0114】
(7)前記放送局アプリケーションは、前記少なくとも1つのコンテンツサービス特徴を、前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツの前記タイムシフト再生と同期させるように構成される、特徴(6)に記載の受信装置。
【0115】
(8)前記処理回路は、各データパケットの前記処理から生成された各ファイルが前記ポーズバッファに記憶されているかどうかを判定し、前記生成されたファイルからのファイルが前記ポーズバッファに記憶されていないとの判定に応答して、前記ファイルを前記ポーズバッファに記憶し、前記生成されたファイルからのファイルが前記ポーズバッファに記憶されているとの判定に応答して、前記ファイルを廃棄するようにさらに構成される、特徴(1)~(7)のいずれか1つに記載の受信装置。
【0116】
(9)前記受け取られた放送ストリームに含まれる各放送局サービスは、高度テレビジョンシステムズ委員会(ATSC)サービスであり、前記複数のデータパケットは、ATSCリンク層プロトコル(ALP)パケットである、特徴(1)~(7)のいずれか1つに記載の受信装置。
【0117】
(10)受信装置であって、ユーザによって選択された放送局サービスを含む放送ストリームを受け取るように構成された受信機回路と、前記放送ストリームを複数のデータパケットに復調するように構成された復調器と、処理回路とを含み、前記処理回路が、前記複数のデータパケットをポーズバッファに記憶し、前記選択された放送局サービスに関連する各データパケットを処理してオーディオ及びビデオコンテンツを抽出し、前記抽出されたオーディオ及びビデオコンテンツを第1の期間中にライブTV放送の一部として前記ユーザに出力し、前記第1の期間よりも後の第2の期間中に、前記第1の期間と前記第2の期間との間の中間期間中に利用できる前記第1の放送局サービスに関連するオーディオ及びビデオコンテンツを生成するための要求を示すユーザ入力を受け取り、前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツに関連するデータパケットを前記ポーズバッファから検索し、前記ポーズバッファから検索された各データパケットを処理して、前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツを抽出し、前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツをタイムシフト再生の一部として出力し、前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツの前記タイムシフト再生中に、少なくとも1つのコンテンツサービス特徴を提供するように構成され、前記少なくとも1つのコンテンツサービス特徴が、前記ポーズバッファに記憶されて該ポーズバッファから検索される前記複数のデータパケットに含まれる、受信装置。
【0118】
(11)前記ポーズバッファに記憶されて該ポーズバッファから検索される前記複数のデータパケットは、IPパケット又は高度テレビジョンシステムズ委員会(ATSC)リンク層プロトコル(ALP)パケットである、特徴(10)に記載の受信装置。
【0119】
(12)前記ポーズバッファに記憶されて該ポーズバッファから検索される前記複数のデータパケットは、Dynamic Adaptive Streaming over HTTP(DASH)コンテンツ、又はMPEG Media Transport(MMT)コンテンツを含む、特徴(10)又は(11)に記載の受信装置。
【0120】
(13)前記放送局サービスに関連する前記少なくとも1つのコンテンツサービスは、クローズドキャプショニング、非主要言語オーディオ、非主要言語サブタイトル、及び代替視聴角度から成る群から選択される、特徴(10)~(12)のいずれか1つに記載の受信装置。
【0121】
(14)受信装置であって、ユーザによって選択された放送局サービスを含む放送ストリームを受け取るように構成された受信機回路と、前記放送ストリームを複数のデータパケットに復調するように構成された復調器と、処理回路とを含み、前記処理回路が、オペレーティングシステム時刻を決定し、前記データパケットを処理して、前記放送局サービスに関連するテレビコンテンツのシグナリングされた可用性開始時間(AST)を決定し、前記シグナリングされたASTに基づいて、前記テレビコンテンツに対応するメディアセグメントの予想受信時刻を決定し、前記テレビコンテンツに対応するメディアセグメントの実際の受信時刻を決定し、前記シグナリングされたASTと、前記メディアセグメントの前記受信時刻と前記メディアセグメントの前記予想受信時刻との間の差分とを加算したものを表す観測ASTを決定し、前記観測ASTに従って、前記オペレーティングシステム時刻からオフセットされた再生時刻を決定し、前記決定された再生時刻に従って、前記受け取られた放送局サービスに関連するオーディオ及びビデオコンテンツを出力するように構成される、受信装置。
【0122】
(15)前記再生時刻は、前記シグナリングされたASTと前記観測ASTとの間の差分を前記オペレーティングシステムクロックに加算することによって前記オペレーティングシステムクロックからオフセットされる、特徴(14)に記載の受信装置。
【0123】
(16)前記シグナリングされたASTは、メディアプレゼンテーション記述ファイルに含まれる、特徴(14)又は(15)に記載の受信装置。
【0124】
(17)前記放送ストリームに含まれる前記放送局サービスは、高度テレビジョンシステムズ委員会(ATSC)サービスであり、前記複数のデータパケットは、ATSCリンク層プロトコル(ALP)パケットである、特徴(14)に記載の受信装置。
【0125】
(18)受信装置内のプロセッサによって実行された時に前記プロセッサに方法を実行させる命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記方法が、ユーザによって選択された第1の放送局サービス及び第2の放送局サービスに対応する複数のデータパケットをポーズバッファに記憶することを含み、前記第1及び第2の放送局サービスは、前記複数のデータパケットに復調された放送ストリームで受け取られ、前記方法が、前記選択された第1の放送局サービスに関連する各データパケットを処理してオーディオ及びビデオコンテンツを抽出することと、前記第1の放送局サービスとに関連する前記抽出されたオーディオ及びビデオコンテンツを第1の期間中にライブTV放送の一部としてユーザに出力することとをさらに含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0126】
(19)受信装置内のプロセッサによって実行された時に前記プロセッサに方法を実行させる命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記方法が、前記選択された放送局サービスに関連する各データパケットを処理してオーディオ及びビデオコンテンツを抽出することと、前記抽出されたオーディオ及びビデオコンテンツを第1の期間中にライブTV放送の一部として前記ユーザに出力することと、前記第1の期間よりも後の第2の期間中に、前記第1の期間と前記第2の期間との間の中間期間中に利用できる前記第1の放送局サービスに関連するオーディオ及びビデオコンテンツを生成するための要求を示すユーザ入力を受け取ることと、前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツに関連するデータパケットを前記ポーズバッファから検索することと、前記ポーズバッファから検索された各データパケットを処理して、前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツを抽出することと、前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツをタイムシフト再生の一部として出力することと、前記中間期間中に利用できる前記オーディオ及びビデオコンテンツの前記タイムシフト再生中に、少なくとも1つのコンテンツサービス特徴を提供することとを含み、前記少なくとも1つのコンテンツサービス特徴は、前記ポーズバッファに記憶されて該ポーズバッファから検索される前記複数のデータパケットに含まれる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0127】
(20)受信装置内のプロセッサによって実行された時に前記プロセッサに方法を実行させる命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記方法が、受け取られた放送ストリームから復調されたデータパケットを処理して、前記受け取られた放送ストリームに含まれる放送局サービスに関連するテレビコンテンツのシグナリングされた可用性開始時間(AST)を決定することと、前記シグナリングされたASTに基づいて、前記テレビコンテンツに対応するメディアセグメントの予想受信時刻を決定することと、前記テレビコンテンツに対応するメディアセグメントの実際の受信時刻を決定することと、前記シグナリングされたASTと、前記メディアセグメントの前記受信時刻と前記メディアセグメントの前記予想受信時刻との間の差分とを加算したものを表す観測ASTを決定することと、前記観測ASTに従って、前記オペレーティングシステム時刻からオフセットされた再生時刻を決定することと、前記決定された再生時刻に従って、前記受け取られた放送局サービスに関連するオーディオ及びビデオコンテンツを出力することと含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
図1
図2
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図10
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図12
【国際調査報告】