(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】ミドルウェアによるチューナ制御のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H04N 21/436 20110101AFI20220111BHJP
H04N 21/442 20110101ALI20220111BHJP
H04N 21/432 20110101ALI20220111BHJP
H04N 5/765 20060101ALI20220111BHJP
H04L 49/201 20220101ALI20220111BHJP
G06F 16/483 20190101ALI20220111BHJP
【FI】
H04N21/436
H04N21/442
H04N21/432
H04N5/765
H04L12/70 F
G06F16/483
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021528944
(86)(22)【出願日】2019-11-21
(85)【翻訳文提出日】2021-07-20
(86)【国際出願番号】 IB2019060009
(87)【国際公開番号】W WO2020104980
(87)【国際公開日】2020-05-28
(32)【優先日】2018-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【氏名又は名称】谷口 信行
(72)【発明者】
【氏名】クリフト グラハム
【テーマコード(参考)】
5B175
5C164
5K030
【Fターム(参考)】
5B175DA04
5B175DA05
5B175DA07
5C164FA11
5C164UA23S
5C164UA51S
5C164UB31P
5C164UB37S
5C164UB41P
5C164UB71P
5C164YA21
5K030GA19
5K030HB02
5K030HC01
5K030JL01
5K030JT04
5K030LD04
(57)【要約】
受信装置が、処理回路を含む。処理回路は、各物理層パイプ(PLP)が複数のATSCリンク層プロトコル(ALP)パケットを含む複数のPLPを含む、チューナ装置によって受け取られた高度テレビジョンシステムズ委員会(ATSC)放送ストリームに由来するシグナリング情報を含むIPパケットを受け取るように構成される。処理回路は、IPパケットから、リンクマッピングテーブル(LMT)と少なくとも1つの低水準シグナリング(LLS)テーブルとを含むシグナリング情報を抽出するように構成される。LMTは、LMTの存在を示すように指定された所定のIPアドレス及びポートに基づいて識別される。処理回路は、抽出されたLMT及び抽出された少なくとも1つのLLSテーブルに基づいて、放送ストリームに関連するサービスに対応するオーディオ及びビデオコンテンツを検索するようにさらに構成される。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理回路を備えた受信装置であって、前記処理回路は、
各物理層パイプ(PLP)が複数のATSCリンク層プロトコル(ALP)パケットを含む複数のPLPを含む、チューナ装置によって受け取られた高度テレビジョンシステムズ委員会(ATSC)放送ストリームに由来するシグナリング情報を含むIPパケットを受け取り、
前記IPパケットから、リンクマッピングテーブル(LMT)の存在を示すように指定された所定のIPアドレス及びポートに基づいて識別される前記LMTと、少なくとも1つの低水準シグナリング(LLS)テーブルとを含む前記シグナリング情報を抽出し、
前記抽出されたLMT及び抽出された少なくとも1つのLLSテーブルに基づいて、前記放送ストリームに関連するサービスに対応するオーディオ及びビデオコンテンツを検索する、
ように構成される、
ことを特徴とする受信装置。
【請求項2】
ALPパケットを出力する前記チューナ装置と、
各出力されたALPパケットをIPパケットに変換するように構成されたALP-IP変換回路と、
をさらに備える、請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
ユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェイスをさらに備え、前記チューナ装置は、前記USBインターフェイスを介して前記受信装置に接続するように構成される、
請求項1に記載の受信装置。
【請求項4】
前記チューナ装置は、該チューナ装置から出力された各ALPパケットをIPパケットに変換するように構成されたALP-IP変換回路を含む、
請求項3に記載の受信装置。
【請求項5】
前記LMTを含む前記IPパケットは、(i)LMTバージョンと、(ii)前記LMTを含む前記PLPを識別するPLP IDフィールドとを指定するLMTヘッダをさらに含み、前記LMTバージョンと前記PLP IDとの組み合わせは、前記LMTの参照識別子を提供する、
請求項1に記載の受信装置。
【請求項6】
前記処理回路は、
前記少なくとも1つのLLSテーブル内に指定された、前記放送ストリームに関連する前記サービスに対応するIPアドレスを識別し、
前記複数のPLPから、前記指定されたIPアドレスに関連する未処理のPLPを前記LMTが指定しているかどうかを判定し、
前記LMTが前記未処理のPLPを指定しているとの判定に応答して、前記未処理のPLPに関連する前記ALPパケットを出力するように前記チューナ装置に命令するコマンドを前記チューナ装置に伝える、
ようにさらに構成される、請求項1に記載の受信装置。
【請求項7】
チューナ装置であって、
テレビ受信機アプリケーションを実行する受信装置に接続するように構成された通信インターフェイスと、
処理回路と、
を備え、前記処理回路は、
(i)各物理層パイプ(PLP)が複数のATSCリンク層プロトコル(ALP)パケットを含む複数のPLPを含むデジタルテレビ放送信号を受信し、
(ii)前記複数のPLPから低水準シグナリング(LLS)を含む少なくとも1つのPLPを識別し、
(iii)前記LLSを含む前記少なくとも1つのPLPからリンクマッピングテーブル(LMT)を抽出し、
(iv)前記LMTを含んで所定のIPアドレス及びポートを有するIPパケットを含むALPパケットを生成し、
(v)前記LMTを含む前記IPパケットを含む前記ALPパケットを前記テレビ受信機アプリケーションに転送する、
ように構成される、
ことを特徴とするチューナ装置。
【請求項8】
前記所定のIPアドレス及びポートは、前記LMTのために指定される、
請求項7に記載のチューナ装置。
【請求項9】
前記LMTを含む前記IPパケットは、(i)LMTバージョンと、(ii)前記LMTを含む前記PLPを識別するPLP IDフィールドとを指定するLMTヘッダをさらに含み、前記LMTバージョンと前記PLP IDとの組み合わせは、前記LMTの参照識別子を提供する、
請求項8に記載のチューナ装置。
【請求項10】
LLSを含む前記少なくとも1つの識別されるPLPは、前記LLSの存在を示すフラグに基づいて識別される、
請求項7に記載のチューナ装置。
【請求項11】
前記LMTを含む前記IPパケット、及び少なくとも1つのLLSテーブルは、前記テレビ受信機アプリケーションに同じIPパケットストリームで送信される、
請求項7に記載のチューナ装置。
【請求項12】
前記チューナ装置は、前記複数のPLPからの1又は2以上のPLPを処理するためのコマンドを前記テレビ受信機アプリケーションから受け取り、前記LLSを含む前記識別される少なくとも1つのPLPは、前記処理される1又は2以上のPLPに含まれる、
請求項7に記載のチューナ装置。
【請求項13】
プロセッサによって実行された時に前記プロセッサに方法を実行させる命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記方法は、
各物理層パイプ(PLP)が複数のATSCリンク層プロトコル(ALP)パケットを含む複数のPLPを含む、チューナ装置によって受け取られた高度テレビジョンシステムズ委員会(ATSC)放送ストリームに由来するシグナリング情報を含むIPパケットを受け取ることと、
前記IPパケットから、リンクマッピングテーブル(LMT)の存在を示すように指定された所定のIPアドレス及びポートに基づいて識別される前記LMTと、少なくとも1つの低水準シグナリング(LLS)テーブルとを含む前記シグナリング情報を抽出することと、
前記抽出されたLMT及び抽出された少なくとも1つのLLSテーブルに基づいて、前記放送ストリームに関連するサービスに対応するオーディオ及びビデオコンテンツを検索することと、
を含む、ことを特徴とする非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記LMTを含む前記IPパケットは、(i)LMTバージョンと、(ii)前記LMTを含む前記PLPを識別するPLP IDフィールドとを指定するLMTヘッダをさらに含み、前記LMTバージョンと前記PLP IDとの組み合わせは、前記LMTの参照識別子を提供する、
請求項13に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記方法は、
前記少なくとも1つのLLSテーブル内に指定された、前記放送ストリームに関連する前記サービスに対応するIPアドレスを識別することと、
前記複数のPLPから、前記指定されたIPアドレスに関連する未処理のPLPを前記LMTが指定しているかどうかを判定することと、
前記LMTが前記未処理のPLPを指定しているとの判定に応答して、前記未処理のPLPに関連する前記ALPパケットを出力するように前記チューナ装置に命令するコマンドを前記チューナ装置に伝えることと、
をさらに含む、請求項13に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
プロセッサによって実行された時に前記プロセッサに方法を実行させる命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記方法は、
各物理層パイプ(PLP)が複数のATSCリンク層プロトコル(ALP)パケットを含む複数のPLPを含むデジタルテレビ放送信号を受信することと、
前記複数のPLPから低水準シグナリング(LLS)を含む少なくとも1つのPLPを識別することと、
前記LLSを含む前記少なくとも1つのPLPからリンクマッピングテーブル(LMT)を抽出することと、
前記LMTを含んで所定のIPアドレス及びポートを有するIPパケットを含むALPパケットを生成することと、
前記LMTを含む前記IPパケットを含む前記ALPパケットを、前記テレビ受信機アプリケーションを実行する受信装置に転送することと、
を含む、ことを特徴とする非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記所定のIPアドレス及びポートは、前記LMTのために指定される、
請求項16に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記LMTを含む前記IPパケットは、(i)LMTバージョンと、(ii)前記LMTを含む前記PLPを識別するPLP IDフィールドとを指定するLMTヘッダをさらに含み、前記LMTバージョンと前記PLP IDとの組み合わせは、前記LMTの参照識別子を提供する、
請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
LLSを含む前記少なくとも1つの識別されるPLPは、前記LLSの存在を示すフラグに基づいて識別される、
請求項16に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記LMTを含む前記IPパケット、及び少なくとも1つのLLSテーブルは、前記テレビ受信機アプリケーションに同じIPパケットストリームで送信される、
請求項16に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にミドルウェアを通じてチューナを制御するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高度テレビジョンシステムズ委員会(Advanced Television Systems Committee)(ATSC)3.0放送信号は、1又は2以上の物理層パイプ(Physical Layer Pipes:PLP)を含むことができる。各PLPは、全体が引用により組み込まれる2017年6月6日付のATSC標準A/322-物理層プロトコル(Physical Layer Protocol)(以下、「A/322標準」)に規定されるモードのうちの1つを使用して変調し、符号化することができる。従って、いくつかのPLPは、他のPLPよりもロバストなものとなり得る。1つのATSC3.0放送は、少なくとも1つのPLPを含まなければならず、上限として64個のPLPを含むことができる。しかしながら、放送ストリームを処理する受信機は、受信機のチューナ/復調サブモジュール内の各PLPプロセッサに著しいハードウェアリソースが必要とされるので、実用的な受信機設計を確実に行うことができるように最大4つのPLPの取り扱いに制限されることがある。さらに、放送局が特定のPLPを配信するために選択した時間インターリービングのタイプによっては、実用的な受信機がいかなる時点においてもそのタイプのPLPを1つしか処理できないことがある。従って、放送内に複数のPLPが存在する場合、受信機は、サービスを提供するためにどのPLPを復調する必要があるかを判定する効率的な方法を必要とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の実施形態によれば、処理回路を含む受信装置が提供される。処理回路は、各物理層パイプ(PLP)が複数のATSCリンク層プロトコル(ALP)パケットを含む複数のPLPを含む、チューナ装置によって受け取られた高度テレビジョンシステムズ委員会(ATSC)放送ストリームに由来するシグナリング情報を含むIPパケットを受け取るように構成される。処理回路は、IPパケットから、リンクマッピングテーブル(LMT)の存在を示すように指定された所定のIPアドレス及びポートに基づいて識別されるLMTと、少なくとも1つの低水準シグナリング(LLS)テーブルとを含むシグナリング情報を抽出するようにさらに構成される。処理回路は、抽出されたLMT及び抽出された少なくとも1つのLLSテーブルに基づいて、放送ストリームに関連するサービスに対応するオーディオ及びビデオコンテンツを検索するようにさらに構成される。
【0004】
本開示の実施形態によれば、テレビ受信機アプリケーションを実行する受信装置に接続するように構成された通信インターフェイスと、処理回路とを含むチューナ装置が提供される。処理回路は、(i)各物理層パイプ(PLP)が複数のATSCリンク層プロトコル(ALP)パケットを含む複数のPLPを含むデジタルテレビ放送信号を受信し、(ii)複数のPLPから低水準シグナリング(LLS)を含む少なくとも1つのPLPを識別し、(iii)LLSを含む少なくとも1つのPLPからリンクマッピングテーブル(LMT)を抽出し、(iv)LMTを含んで所定のIPアドレス及びポートを有するIPパケットを含むALPパケットを生成し、(v)LMTを含むIPパケットを含むALPパケットをテレビ受信機アプリケーションに転送するように構成される。
【0005】
本開示の実施形態によれば、プロセッサによって実行された時にプロセッサに方法を実行させる命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。方法は、各物理層パイプ(PLP)が複数のATSCリンク層プロトコル(ALP)パケットを含む複数のPLPを含む、チューナ装置によって受け取られた高度テレビジョンシステムズ委員会(ATSC)放送ストリームに由来するシグナリング情報を含むIPパケットを受け取ることを含む。方法は、IPパケットから、リンクマッピングテーブル(LMT)の存在を示すように指定された所定のIPアドレス及びポートに基づいて識別されるLMTと、少なくとも1つの低水準シグナリング(LLS)テーブルとを含むシグナリング情報を抽出することをさらに含む。方法は、抽出されたLMT及び抽出された少なくとも1つのLLSテーブルに基づいて、放送ストリームに関連するサービスに対応するオーディオ及びビデオコンテンツを検索することをさらに含む。
【0006】
本開示の実施形態によれば、プロセッサによって実行された時にプロセッサに方法を実行させる命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。方法は、各物理層パイプ(PLP)が複数のATSCリンク層プロトコル(ALP)パケットを含む複数のPLPを含むデジタルテレビ放送信号を受信することを含む。方法は、複数のPLPから低水準シグナリング(LLS)を含む少なくとも1つのPLPを識別することを含む。方法は、LLSを含む少なくとも1つのPLPからリンクマッピングテーブル(LMT)を抽出することを含む。方法は、LMTを含んで所定のIPアドレス及びポートを有するIPパケットを含むALPパケットを生成することを含む。方法はさらに、LMTを含むIPパケットを含むALPパケットを、テレビ受信機アプリケーションを実行する受信装置に転送することをさらに含む。
【0007】
本開示のより完全な理解及びこれに付随する利点の多くは、添付図面と併せて検討する以下の詳細な説明を参照することによってこれらがより良く理解されるようになるにつれて容易に取得されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】ATSC3.0標準に基づくデジタルテレビ(DTV)システムの基本コンポーネントを示す概略図である。
【
図4】一群のPLPの例示的な選択を示す図である。
【
図5】例示的なプロトコルスタックを示す図である。
【
図6】チューナ装置を組み込んだ例示的な受信機を示す図である。
【
図7】ユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェイスを介してチューナ装置に接続された例示的な受信機を示す図である。
【
図8】チューナ装置及びALP-IPパケット変換器を含む外部ハードウェアにUSBインターフェイスを介して接続された例示的な受信機を示す図である。
【
図9】例示的なリンクマッピングテーブル(LMT)を示す図である。
【
図10】LMTをカプセル化した例示的なALPパケットを示す図である。
【
図11】LMTを含むIPパケットを有する例示的なALPパケットを示す図である。
【
図12】チューナ装置によって実行される例示的なプロセスを示す図である。
【
図13】受信機によって実行される例示的なプロセスを示す図である。
【
図14】コンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は多くの異なる形の実施形態が可能であるが、図面には特定の実施形態を示して本明細書ではこれらについて詳細に説明しており、このような実施形態の開示は本原理の一例とみなすべきであって、図示及び説明する特定の実施形態に本開示を限定することを意図するものではないと理解されたい。
【0010】
本明細書で使用する「1つの(英文不定冠詞)」という用語は、1つ又は1つよりも多くとして定義される。本明細書で使用する「複数の」という用語は、2つ又は2つよりも多くとして定義される。本明細書で使用する「別の」という用語は、少なくとも第2の又はそれ以降のとして定義される。本明細書で使用する「含む(including)」及び/又は「有する(having)」という用語は、「備える(comprising)」(すなわちオープンランゲージ)として定義される。本明細書で使用する「結合される(coupled)」という用語は、「接続される」として定義されるが、必ずしも直接的なものではなく、必ずしも機械的なものでもない。本明細書で使用する「プログラム」又は「コンピュータプログラム」という用語又は同様の用語は、コンピュータシステム上で実行されるように設計された一連の命令として定義される。「プログラム」又は「コンピュータプログラム」は、実行可能アプリケーション、アプレット、サーブレット、ソースコード、オブジェクトコード、スクリプト、プログラムモジュール、共有ライブラリ/動的ロードライブラリ及び/又はコンピュータシステム上で実行するように設計されたその他の一連の命令におけるサブルーチン、プログラムモジュール、スクリプト、関数、手順、オブジェクト方法、オブジェクト実装を含むことができる。
【0011】
本明細書で使用する「プログラム(program)」という用語は、第2の文脈で使用することもできる(上記の定義を第1の文脈とする)。第2の文脈では、この用語は「テレビ番組」の意味で使用される。この文脈では、この用語は、単一のテレビ番組として解釈されて電子番組ガイド(EPG)で伝えられるものなどのいずれかのコヒーレントな一連のオーディオビデオコンテンツを意味するために使用され、このコンテンツが映画、スポーツイベント、連続番組の一部、ニュース放送などのいずれであるかは関係ない。この用語は、電子番組ガイドでは番組として伝えられないこともあるコマーシャルスポット及びその他の番組様コンテンツを含むと解釈することもできる。
【0012】
本明細書全体を通じて、「1つの実施形態」、「いくつかの実施形態」、「ある実施形態」、「ある実装」、「ある実施例」又は同様の用語に対する言及は、実施形態に関連して説明する特定の特徴、構造又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書を通じて至るところに出現するこのような語句は、必ずしも全てが同じ実施形態を意味するわけではない。さらに、これらの特定の特徴、構造又は特性は、1又は2以上の実施形態においていずれかの好適な方法で無制限に組み合わせることもできる。
【0013】
本明細書で使用する「又は(or)」という用語は、包括的なもの、すなわちいずれか1つ又はいずれかの組み合わせを意味するものとして解釈されたい。従って、「A、B又はC」は、「A、B、C、AとB、AとC、BとC、AとBとC」のうちのいずれかを意味する。この定義に対する例外は、要素、機能、ステップ又は行為の組み合わせが何らかの点で本質的に互いに相容れない場合にのみ生じる。
【0014】
本開示におけるAndroidは、Google社によって維持されるモバイルオペレーティングシステムであり、主にタッチ画面装置のために設計されたものである。アプリケーションソフトウェアは、オープンJDKに基づくJavaライブラリを含むアプリケーションフレームワーク上で動作する。本開示では、現在のUSBのバージョンが、最大5Gbit/sのデータ転送速度に対応できるUSB3.0である。
【0015】
本開示のいくつかの実施形態は、スマートフォン、タブレット、ラップトップなどの電子装置に関する。これらのタイプの装置は、コンテンツをストリーミングできる一方で、さらなるハードウェア及びソフトウェアを使用することなくテレビ放送にチューニングする能力を有していないため、非TV装置とみなされる。本開示は、追加のハードウェア及びソフトウェアを伴わずにテレビ放送にチューニングする能力を有していないテレビ(例えば、ATSC1.0チューナを含んでATSC3.0チューナを含まないテレビ)、或いはさらなるチューナ機能(例えば、既にATSC3.0チューナを含むテレビに追加されるさらなる又は代替ATSC3.0チューナ)を追加すべきテレビなどの電子装置にも関する。
【0016】
いくつかの実施形態では、ATSC「サービス」が、全体として受信機に配信されるメディアコンポーネント及び/又はメタデータの集合である。コンポーネントは、複数のメディアタイプのものとすることができる。サービスは、連続的又は断続的とすることができる。サービスはリアルタイム又は非リアルタイムとすることができ、リアルタイムサービスは一連のTV番組を含むことができる。
【0017】
リアルタイムサービスの例は、ライブ放送ストリーミングオーディオ/ビデオコンテンツである。非リアルタイムサービスの例としては、以下に限定するわけではないが、ビデオオンデマンド、又はウェブページ上で見られるもののような他の双方向コンテンツが挙げられる。また、ATSC3.0サービスの一部又は全部のコンポーネントは、ブロードバンド(インターネット)経路を介して配信することができる。放送及びブロードバンドの両方からのコンポーネントを含むサービスは、「ハイブリッド」サービスと呼ばれる。
【0018】
図1は、ATSC3.0システムの基本コンポーネントの構成を示す図である。ビデオ技術は、高精細(HD)デジタルテレビから、4K及び8Kビデオ、高ダイナミックレンジ(HDR)、広色域(wide color gamut)、並びに高フレームレートを含むさらなる高解像度技術へと移行しつつある。この結果、ATSC3.0システムは、場合によってはTV局105の信号を供給する移動送信ユニット103と遠隔的に連携して超高精細(UHD)ビデオを取り込むことができるデジタルビデオカメラ101を含むことができる。TV局105は、数ある中でも特に、テレビ番組製作及び放送制御のための設備を含む。エンコーダ及びマルチプレクサは、ATSC3.0を使用してテレビ放送のためのIPパケットを生成することができる。テレビ放送は、EPGと共に1又は2以上の送信機サイト107に送信することができる。ATSC3.0送信機サイトは、タワー送信アンテナ111を介して無線周波数(RF)信号を送信するATSC3.0波形送信機を含むことができる。ATSC3.0コンテンツは、家庭、オフィスビル、図書館、店舗又はレストラン109において、ATSC3.0TV131、ATSC3.0ゲートウェイ又はコンバータ133、或いはATSC3.0対応モバイル装置121によって受信することができる。タブレット又はスマートフォン135は、この放送コンテンツを、ゲートウェイ又はコンバータから供給されたWiFi信号を介して取得することができる。或いは、事務所外又は家庭外では、タブレット、スマートフォン又はその他のモバイル装置121がタワー送信アンテナ111からの放送波形を拾うことができる。このようなモバイル装置121は、歩行者が個人用車両内又は公共交通機関内で使用することができる。さらに、ATSC3.0ゲートウェイと、TV局105のネットワーク及びプレイアウトサーバとは、インターネット30を介して互いに通信することができる。
【0019】
Google社によって開発されたAndroidオペレーティングシステムなどのモバイルオペレーティングシステムは、電話機、タブレット、スマートウォッチ又はその他のモバイル装置のためのオペレーティングシステムであり、モバイル又はハンドヘルド使用のための特徴を含む。例えば、モバイル装置は、セルラー通信、全地球測位システム(GPS)ナビゲーション、ビデオ又はシングルフレームカメラ、音声認識、及び典型的にはタッチ画面というモバイル特徴を含むことができる。他のモバイルオペレーティングシステムの例としては、iOS、Windows10Mobileなどが挙げられる。とりわけ、Androidオペレーティングシステムは、主にタッチ画面装置用に設計されたものである。通常、Androidオペレーティングシステムのアプリケーションソフトウェアは、Open JDK(Java開発キット)に基づくJavaライブラリを含むアプリケーションフレームワーク上で動作する。
【0020】
本開示では、DTV放送局、又は本明細書で使用する単純に放送局が、電波を介して地上波テレビ送信としてコンテンツを送信するローカルテレビ局に関連する。
【0021】
ATSC3.0システムは、物理層、プロトコル層、管理層、並びにアプリケーション及び提示層として規定される階層化アーキテクチャを有する。ATSC3.0システムの詳細は、例えば2017年10月19日付のATSC標準A/300-ATSC3.0システム(以下、A/300標準)に見出され、この文書は全体が引用により組み入れられる。送信機側では、RFチャネルのシステムアーキテクチャが、入力フォーマッティング(Input Formatting)、ビットインターリーブド及びコード化変調(Bit Interleaved and Coded Modulation:BICM)、フレーミング及びインターリービング(Framing and Interleaving)、並びに波形生成(Waveform Generation)という4つの主要部分を含むことができる。入力フォーマッティング及びBICM部分では、物理層パイプ(PLP)が、特定の変調、コードレート及び長さで符号化されたデータのストリームである。RFチャネルには、1つのPLPしか存在しないこともできる。1つの実施形態によれば、各RFチャネルにおけるPLPの最大数は64である。PLPは、畳み込み時間インターリービング(CTI)又はハイブリッド時間インタリービング(HTI)のいずれかの動作モードを採用する時間インタリーブフォーマットで配信することができる。入力フォーマッティング部分は、入力データパケットをATSCリンク層プロトコル(ALP)パケットと呼ばれる出力パケットにフォーマットする。各ALPパケットの長さは可変である。入力フォーマッティング部分は、ALPパケットを、少なくともヘッダとALPパケットを含むペイロードとを含むベースバンドパケットにマッピングする。ベースバンドパケットは、標的PLPのために選択された外側コードタイプ、内側コードレート及びコード長によって決定された固定長を有する。
【0022】
図2に、テレビコンテンツ及び放送局アプリケーションにアクセスするように構成された、TV131(
図1)などの例示的なTV装置200を示す。TV装置200は、車両に組み込まれたデジタルテレビ受信機、或いは上述した固定又はモバイル装置のいずれかとすることができる。
【0023】
TV装置200は、放送局からデータストリーム(例えば、放送ストリーム)を受け取るように構成された受信機回路と、TV装置200の様々な機能を実行するように構成された処理回路とを含む。1つの実施形態では、チューナ/復調器202が、放送ストリームを含む放送排出物(broadcast emissions)を受け取る。これに代えて又はこれに加えて、実施形態によっては、TV装置200を、ケーブルテレビ送信又は衛星放送を受信するように構成することもできる。TV装置は、ネットワークインターフェイス226を介してインターネット30と通信することもできる。
【0024】
チューナ/復調器202によってATSC3.0放送排出物が取得されると、ALPパケットなどのデータパケットをさらなる処理のためにインターネットプロトコル(IP)パケットに変換するALP-IPプロセッサ270にこれらのパケットが転送される。ALPパケットは、バッファリングして永続ストレージ280に保存することもできる。
【0025】
デマルチプレクサ204は、ストレージ280からのいずれかの必要なファイルを使用して、IPパケットに変換されたデータストリームを多重分離し、多重分離されたデータを別個のオーディオ及びビデオ(A/V)ストリームに復号するためにメディアエンジン290に配信することができる。デマルチプレクサ204によって出力された、メタデータ、低水準シグナリング(LLS)及びサービス層シグナリング(SLS)ファイル、メディアファイル、並びにESGファイルなどのファイルは、処理のためにCPU238に提供することができる。オーディオはオーディオデコーダ210によって復号され、ビデオはビデオデコーダ214によって復号される。さらに、利用可能な場合には非圧縮A/Vインターフェイス(例えば、HDMI(登録商標)インターフェイス)を介して非圧縮A/Vデータを受け取ることもできる。
【0026】
一般に、TV装置200は、1又は2以上のバス(例えば、バス250)を介して永続ストレージ280、ワーキングメモリ240、プログラムメモリ242及びグラフィクスサブシステム244に結合されたCPU238などの少なくとも1つのプロセッサの制御下で動作する。グラフィクスサブシステム244によって出力されたグラフィクスは、ビデオディスプレイ上での表示に適した出力を生成する合成器及びビデオインターフェイス260によってビデオ画像と合成される。
【0027】
CPU238は、例えばプログラムメモリ242に記憶されたHTML5ユーザエージェントを使用して放送局アプリケーション(例えば、HTML5アプリケーション)、ネイティブな放送局アプリケーションなどに含まれるスクリプトオブジェクト(制御オブジェクト)を実行することを含む、テレビ装置200の機能を実行するように動作する。
【0028】
1つの実施形態では、放送局アプリケーションを構成する一群のファイルを、例えば2017年12月6日付のATSC標準A/331-シグナリング、配信、同期及びエラー保護(Signaling,Delivery,Synchronization, and Error Protection)(以下、「A/331標準」)に記載されているROUTEプロトコルを介して放送を通じてパッケージとして配信することができ、この文書はその全体が引用により組み入れられる。放送局アプリケーションを配信するための例示的なプロトコルは、2017年12月18日付のATSC標準A/344-ATSC3.0双方向コンテンツ(ATSC 3.0 Interactive Content)(以下、「A/344標準」)に記載されており、この文書はその全体が引用により組み入れられる。
【0029】
いくつかの実施形態では、CPU238をTV装置200のリソースのうちのいずれか1つ又はこれらの組み合わせに結合して、1又は2以上の機能の制御を集中化させることができる。1つの実施形態では、CPU238が、チューナ/復調器202及びその他のテレビリソースを含むTV装置200の制御を監視するようにも動作する。
【0030】
図3に、USBを介して電子装置300に接続するように構成された(例えば、チューナ/復調器を含む)チューナ装置302を介してテレビコンテンツ及びアプリケーションにアクセスするように構成された電子装置300の実施形態を示す。他の実施形態では、チューナ装置302が、他の無線(例えば、WiFi)又は有線インターフェイスを介して電子装置300に接続する。電子装置300は、セットトップボックスなどの固定装置、或いはスマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップ又はポータブルコンピュータなどのモバイル又はポータブル装置とすることができる。電子装置300は、さらなるチューナ機能が追加されたテレビとすることもできる。テレビ装置200に関するものと同様の番号のコンポーネントを有する電子装置300のコンポーネントは、TV装置200について上述した機能と同じ機能を提供することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、チューナ装置302が、特定のRFチャンネル(例えば、6MHz周波数帯)にチューニングしてRF放送信号を取得するための命令を受け取る。チューナが取得するように設定された6MHz周波数がATSC3.0放送信号を含む場合、復調プロセスは、最初にUDP/IPパケットに変換された後に受信機内のミドルウェア及び上位層ソフトウェア処理に供給されるALPパケットをもたらす。
【0032】
放送信号は、1又は2以上のPLPを含む。A/322標準に記載されるように、放送局は、所与のPLPを配信するために、無時間、HTI又はCTIという複数の時間インタリーバモードのうちの1つを選択することができる。受信機は、その設計に対する実用的制約により、CTIインタリーバモードを使用するいずれかのPLPを処理するには、その処理リソースを全て使用しなければならない。対照的に、HTIインタリーバモードを使用するPLPでは、実用的な受信機が、このようなPLPを4つ同時に処理できるほど十分なリソースを有する。ATSC3.0標準は、実用的な受信機設計に固有の限界に対応するために、1つのサービスを提供するために同時に処理しなければならないPLPの数がこれらの限界を超えないようにATSCサービスを構築することを放送局に要求する。従って、放送局は、HTIインタリーバモードが使用される場合には、受信機が同時に処理しなければならないPLPの数が4を超えないように多重送信を構築しなければならず、サービスの配信にCTIインタリーバモードが使用される場合には、そのサービスの全てのコンポーネントを1つのPLP内で配信しなければならない。
【0033】
上述したように、このPLPのタイプ及び使用に関する制限は、受信機のチューナ内の各PLPプロセッサに著しいハードウェアリソースが必要であることに起因して実用的な受信機設計を確実に行うことができるように確立されたものである。チューナ装置が外部ハードウェアに配置される場合には、この外部ハードウェアにPLPプロセッサを含めることもできる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのPLPが低水準シグナリング(LLS)テーブルを搬送する。放送排出物内のLLSテーブルは、各ATSC3.0サービスの存在及び特性を識別するために受信機によって使用される。各サービスに関するデータは、チャンネル名及びチャンネル番号と、そのサービスに関連するメディアを配信するために使用される発信元/宛先IPアドレス/ポート値とを含むことができる。1つのタイプのLLSテーブルは、A/331標準に規定されるサービスリストテーブル(SLT)である。
【0034】
各PLPは、ALPパケットを搬送する。ALPパケットは、インターネットプロトコル(IP)パケット、MPEG-2トランスポートストリーム(MPEG-2 TS)パケット、リンク層シグナリングパケットをカプセル化することができ、或いはヌルパケットとすることもできる。いくつかの実施形態では、ATSC3.0標準に規定される放送排出物が、マルチキャストUDP/IPパケットでのサービスシグナリング及びストリーミングメディアコンテンツのデータ伝送を定める。
【0035】
図4に、HTI時間インタリーバモードを使用して配信される、PLP ID値1~6を有する6つのPLPを含む放送排出物例を示す。PLP IDは、A/322標準に指定されるL1D_plp_idなどの、各PLPに関連する参照番号とすることができる。この例では、*で表記するPLPがLLSテーブルを搬送する。
【0036】
いくつかのALPパケットは、リンクマッピングテーブル(LMT)を含むリンク層シグナリングテーブルを搬送することができる。LMTは、2016年9月19日付のATSC標準A/330のセクション7.1.1-リンク層プロトコル(Link-Layer Protocol)(以下、「A/330標準」)に従って定めることができる。A/330標準は、その全体が引用により本明細書に組み入れられる。いくつかの実施形態では、LLSを搬送するものとして識別されたいずれかのPLP内にLMTが存在する。PLPは、LLSの存在を示すように指定されたフラグ(例えば、A/322標準のセクション9.3.4に規定されるL1D_plp_lls_flag)が「1」に設定されている場合にLLSを搬送するものとして識別することができる。LMTの各インスタンスは、LLSテーブルを搬送する識別されたPLPで搬送されるサービスリストテーブル(SLT)(A/331標準、セクション6.3を参照)内で参照されるいずれかのサービスに関連するいずれかのIPアドレス/ポートについて、PLPとIPアドレス/ポートとの間のマッピングを記述することができる。例えば、SLTは、選択されたサービスの複数のIPアドレスを指定することができ、LMTは、SLTで指定されるIPアドレスとPLPとの間のマッピングを提供する。
【0037】
図4の例では、PLP#2及び#4がLLSテーブルを搬送する。
図4に示す選択/多重分離ロジックは、6つの送信されたPLPのうちの4つを選択し、これらの選択されたPLPに含まれるALPパケットを受信機の中位及び上位処理層に配信するように構成することができる。選択された4つのPLPは、#2及び#4、並びに#5及び#6を含む。これら4つのPLPからのALPパケットが、受信機内の次の処理レベルに受け渡される。
図4に示す選択/多重分離ロジックは、チューナ内に位置することができる。
【0038】
従って、
図4に示すように、受け取られたATSC3.0放送を受信機が処理する際のある時点で、どのPLPを処理してモニタすべきであり、どのPLPを無視することができるかを判定することが必要となり得る。さらに、受信機における「チャンネルスキャン」などのいくつかの動作では、LLSを搬送する全てのPLPに時間を費やすことが必要であり、放送は、LLSを搬送する4つよりも多くのPLP、或いは少なくとも1つがCTIタイムインタリーバモードを使用する複数のPLPを含むことができる。このシナリオでは、LLSを搬送する全てのPLPを同時にモニタすることが不可能な場合もあり、スキャン中に放送から全てのLLSテーブルを収集できるようにPLPを順に処理するプロセスを実行しなければならない。
【0039】
いくつかの実施形態によれば、単一のATSC3.0放送排出物で所定数(例えば、HTIモードでは4つ、CTIモードでは1つ)を上回るPLPが放送された場合、チューナ装置は、利用可能な集合から最大でこの所定数を選択しなければならない。他の実施形態では、一度に選択して処理できるPLPの数を3以下又は5以上とすることもできる。受信機は、処理すべきPLPの選択を決定するロジックを含むことができるが、このロジックは、低水準では利用できない何らかの情報を必要とする場合がある。
【0040】
例えば、ユーザは、(1)1つがLLSテーブル及びビデオコンポーネントを配信し、(2)もう1つがユーザの好みの言語でオーディオトラックを配信し、(3)3つ目がクローズドキャプション及び双方向コンテンツ(例えば、アプリケーション)ファイルを配信する、3つのPLPを必要とするサービスを視聴のために選択することができる。チューナ装置は、このサービスに対するユーザの要求を満たすようにこれら3つのPLPを選択する。しかしながら、チューナ装置は、この選択の前には、ユーザがどの(単複の)サービスを選択したかについての知識、又はそのサービスの構造に関する可視性を有していない。
【0041】
図5に、ATSC3.0受信機の「概念的プロトコルスタック」の実施形態を示す。この概念的スタックに指定される各フィールドの情報は、A/331標準で見出される。
図5に示すように、このプロトコルスタックの低水準は、UDP/IPパケットをALPパケットで配信する物理層放送である。SLTは、SLTのために指定された所定のIPソースアドレス及びポート番号を有するUDP/IPパケットで配信することができる。SLTで参照される他のシグナリングテーブルは、IPパケットで配信することができる。さらなるIPパケットは、サービスを含むストリーミングマルチメディアファイルを含むことができる。
【0042】
どのALP及びIPパケットが上位層に到達するかに関する判定は、チューナ装置がどのPLPを処理するように構成されているかに基づく。従って、本開示の実施形態は、チューナ装置が特定のPLPを処理することを可能にするコマンドをチューナ装置に与えるために必要な情報に受信機のミドルウェアプロセスがアクセスできるようにすることに関する。
【0043】
図6は、ATSC3.0テレビ受信機アプリケーションなどのテレビ受信機アプリケーション603を有するDTV受信機600の実施形態のブロック図である。テレビ受信機アプリケーション603は、ユーザに対する放送(及びOTT)ストリーミングビデオ、並びにオーディオ及びクローズドキャプションデータのレンダリング及び表示を可能にする機能を提供する。さらに、テレビ受信機アプリケーション603は、放送局アプリケーションを実行できるようにする「ランタイム環境」をサポートすることができる。放送局アプリケーションは、HTMLマークアップ、JavaScript、及びA/344標準に指定されているCSSを含むコンテンツを含むことができる。標準的ウェブブラウザによってサポートされる機能に加え、ウェブソケット(Web Sockets)プロトコルを通じて追加機能を組み込むこともできる。A/344標準で指定されるウェブソケットAPIは、数ある中でも特に、チューニング機能へのアクセス、メモリ管理、放送局アプリケーションと受信機のメディアプレーヤ(RMP)との間の相互作用を含む能力のサポートを追加する。
【0044】
いくつかの実施形態では、放送局が、双方向性をもたらすように、或いは例えばユーザによるサービスの使用をモニタするためにバックグラウンドで動作するように、放送局アプリケーションを通常のストリーミング放送テレビサービスの付属物として提供することができる。さらに、放送局は、このサービスに関連する放送局アプリケーションの出力として提示されるサービスタイプを定めることもできる。A/344標準の双方向コンテンツ仕様をサポートしていないATSC3.0受信機は、このようなサービスを提供しないこともある。
【0045】
DTV受信機600は、関連するAndroidアクティビティ601コンポーネントを含む。ユーザが「TV」入力を選択することによって、又は例えば「ATSC3.0TV」アイコン602を選択することによってDTV受信機600内のテレビ受信機アプリケーション603を作動させると、アクティビティ601が起動する。メディアプレーヤ613は、ExoPlayerなどのAndroid用アプリケーションレベルメディアプレーヤとすることができる。メディアプレーヤ613は、Dynamic Adaptive Streaming over HTTP(DASH)、SmoothStreaming、及びCommon Encryptionをサポートすることもできる。
【0046】
アクティビティ601コンポーネントは、リモコン装置(RCU)又はキーパッドからのユーザ入力を受け入れて、「tune()」関数によって反映されるチャネルの変更又は選択をサポートすることができる。アクティビティ601が実行できる機能は、サービスに関連するビデオのビュー(「プレーヤサーフェス(Player Surface)」)と、放送局アプリケーション(例えば、HTML5ウェブアプリケーション)が生成できるオーバレイ(「オーバレイサーフェス(Overlay Surface)」)とをユーザに示す2つのビューイングサーフェス(viewing surfaces)を形成することである。プレーヤサーフェスは、メディアプレーヤ613によって取り扱うことができ、オーバレイサーフェスは、Webview615によって取り扱うことができる。
【0047】
図6では、チューナ装置605が、ATSC3.0放送信号にチューニングし、これを復調して、一連のATSC3.0リンク層プロトコル(ALP)パケットを生成できるハードウェア装置である。いくつかの実施形態では、ALPパケットが、ALP-IP変換器621によってIPパケットに変換される。チューナ装置605内又はテレビ受信機アプリケーション603内では、ALPパケットからIPパケットを検索するために使用される(主にIPヘッダの解凍に関与する)リンク層処理を実行することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、テレビ受信機アプリケーション603が、OSシステム(例えば、Android)コールの特殊な拡張を通じてチューナ装置605と連動する。チューナ装置605は、チューナ装置605が処理するように構成されたPLPの中からALPパケットを配信する。テレビ受信機アプリケーション603は、特定のRF周波数にチューニングして特定のPLPを処理するように命令することを含む様々な設定動作をチューナ装置605に対して実行することができる。テレビ受信機アプリケーション603は、特定のPLPを処理するようにチューナ装置605を設定すると、放送からのオーディオ、ビデオ及びキャプションパケットの検出を開始するために必要な情報を有し、これらを復号及びレンダリングのためにメディアプレーヤ613に送信させることができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、チューナ装置605が、PLPを復調して、低水準及びサービス層シグナリング(SLS)のテーブルと、サービスに関連するファイルとを含むパケットに加えて、LMTを含むリンク層シグナリングを搬送するALPパケットと、IPパケットを解凍するために必要なデータを含むALPパケットとを生成する。「ALP-IP」機能621は、解凍を実行することによってIPパケットを含むALPパケットをIPパケットに変換し、いくつかの実施形態では、「ALP-IP」機能621とミドルウェアとの間のインターフェイスを越えた配信のために、ALPパケットで搬送されるLMTインスタンスをIPパケットに変換する。
【0050】
図7に、電子装置700内の受信機を示す。電子装置700は、例えばネイティブなチューニング能力を含まないセットトップボックス、タブレットコンピュータ、ラップトップ、又はスマートフォンとすることができる。電子装置700は、さらなるチューニング機能を追加すべきテレビとすることもできる。いくつかの実施形態では、チューナ装置705が、USBポートを介して電子装置700に接続する外部USB接続装置である。テレビ受信機アプリケーション603は、起動すると、UsbManager Androidクラス723を使用して、USBインターフェイス725を越えて情報の配信及び受信を行うことができる。さらに、他の実施形態では、インターフェイス725がWiFiインターフェイスであり、この場合は外部ハードウェア800が電子装置700と無線で通信する。
【0051】
図7に示す実施形態では、チューナ装置705が、USBインターフェイス725を越えて放送からのALPパケットを配信し、ALP-IP変換器ブロック621が、本明細書に開示する実施形態に従って、LMTを含むALPパケットのIPパケットへの変換を実行する。いくつかの実施形態では、
図6及び
図7に示す受信機のアーキテクチャにおいて、上位層又は中位層ソフトウェアプロセスが、いずれかの指定されたPLPをチューナ装置に処理させるコマンドをチューナ装置605及び705にそれぞれ送信する能力を有する。電子装置700内のテレビ受信機アプリケーション603がUSBインターフェイスを越えてチューナ装置705と通信することを可能にするAPI及びコマンドの例は、[日付を挿入]に出願された「非TV装置のためのテレビ受信機アプリケーション(Television Receiver Application for Non-Television Devices)」という名称の特許出願第[出願を挿入]号に開示されており、この文献の内容はその全体が引用により組み入れられる。
【0052】
図8に、外部ハードウェア800がチューナ装置805及び「ALP-IP」変換器ブロック821を含む電子装置700の実施形態を示す。ALP-IP変換器ブロック821は、LMTを含むALPパケットを本開示の実施形態に従って変換する能力を含む。
図8の実装によるいくつかの実施形態では、IPパケットのみがUSB又はWiFiインターフェイスの部分を越えて流れる。
【0053】
いくつかの実施形態によれば、PLPを識別するATSC3.0放送のリンク層シグナリング部分に、所与のソースと宛先IPアドレス及びポートとに関連するIPパケットを配信するシグナリングテーブルが存在する。これらのリンク層シグナリングテーブルは、放送排出物内のIPパケットでは配信されない。一方で、いくつかの実施形態では、受信機の中位層及び上位層ソフトウェアプロセスが、IPパケットで伝送されるファイル及び配信オブジェクトのみを処理する。本開示の実施形態は、中位層及び上位層ソフトウェアプロセスがこれらのリンク層シグナリングテーブルにアクセスできるようにする方法について説明するものである。
【0054】
いくつかの実施形態によれば、UPD/IPパケットの内部で中位層及び上位層ソフトウェアスタックにLMTを伝送することができる。これらのLMTは、チューナ装置がどのPLPを活性化すべきであるかを決定するために電子装置700の中位層及び上位層プロセスによって使用される。いくつかの実施形態では、LMTが
図9に示すようなデータ構造900であり、A/330標準のセクション7.1に規定される。
【0055】
いくつかの実施形態では、LMTインスタンスを含むIPパケットについて所定のIPアドレス/ポートが指定される。チューナ装置805は、LMTテーブルを含むALPパケットを取り込み、これらのALPパケットを、LMTインスタンスのために指定された所定のIPアドレス/ポートを使用するIPパケットを搬送するALPパケットに変換する。電子装置700の中位又は上位ソフトウェアプロセスは、チューナ装置805内でどのPLPを活性化するかを決定するために、所定のIPアドレス/ポートに関連するIPパケットを処理して(単複の)LMTを抽出することができる。さらに、いくつかの実施形態では、LLSテーブルが、A/331標準のセクション6.1に記載されるSLTなどのLLSテーブルのために指定されたIPアドレス/ポートを有するIPパケットでミドルウェアに配信される。
【0056】
1つの実施形態では、LMTインスタンスを指定するために使用できるIPアドレス/ポートが、その使用のためにATSCに割り当てられた同じマルチキャストIPアドレス(224.0.23.60)であるが、IANAによってATSCに割り当てられたものよりも1つ高い宛先ポート値、すなわち4938を有する。現在のところ、ポート4938は、インターネット番号割当機関(Internet Assigned Numbers Authority)(IANA)によって割り当てられていない。IANAは、224.0.23.60を「AtscSvcSig」に割り当てている。
【0057】
図10に、LMTを含むALPパケット例1000を示す。いくつかの実施形態では、2048バイト未満のLMTを含むALPパケットが以下のように構造化される。
a.ALP_packet_header()(例えば、A/330標準、テーブル5.1)
・「リンク層シグナリングパケット」を示すpacket_type=‘100’
・ALPパケットが1つのオブジェクト全体を含むこと(連結なし)を示すpayload_configuration=‘0’
・2048バイト未満のペイロードを示すheader_mode=‘0’
・length={LMTの長さ}
b.シグナリング情報のための追加ヘッダ(signaling_information_hdr()、A/330標準、テーブル5.10)
・LMTを示すsignaling_type=0x01
・signaling_type_extension=0xFFFF
・signaling_version-下記参照
・signaling_format,signaling_encoding,reserved bits=0x0F
c. link_mapping_table()(
図9)
【0058】
図11に、LMTを含むIPパケットを含むALPパケット例1100を示す。例えば、ALPパケット1100は、ALPパケットヘッダ1100a、IPヘッダ1100b、UDPヘッダ1100c、及びLMTヘッダ1100dを含む。IPヘッダ1100bは、所定のIPアドレス(例えば、宛先アドレス)を含むことができ、UDPヘッダ1100cは、所定のポート番号(例えば、宛先ポート)を含むことができ、これらはいずれも、ALPパケット1100がLMT900(
図9)などのLMTを含むことを示すために指定される。いくつかの実施形態では、LMTを含むALPパケット1000(
図10)がチューナ装置によって検出されると、LMTが抽出されて、LMTヘッダ1100d、UDPヘッダ1100c、IPヘッダ1100b及びALPヘッダ1100aと共にカプセル化される。
【0059】
いくつかの実施形態では、
図11に示すように、2048バイト未満の非圧縮IPv4パケットを含んでこのようなパケット内に収まるLMTをカプセル化したALPパケットが以下のように構造化される。
a.ALP_packet_header()(例えば、A/330標準、テーブル5.1)
・「IPv4パケット」を示すpacket_type=‘000’
・ALPパケットが1つのオブジェクト全体を含むこと(連結なし)を示すpayload_configuration=‘0’
・2048バイト未満のペイロードを示すheader_mode=‘0’
・length={UDP/IPパケットの長さ}
b.IPヘッダ(例えば、インターネット制御メッセージプロトコル:DARPAインターネットプログラムプロトコル仕様、RFC792、1981年9月付、その全体が引用により本明細書に組み入れられる)
・「IPv4」を示すVersion=4
・ヘッダ内の5つの32ビットワードを示すIHL=5
・標準を示すType of Service=0
・Total Length=全てのヘッダ及びデータを含むIPデータグラムの全長
・Identification=0(フラグメント化なし)
・Flags=0(最後かつ唯一のフラグメント)
・Fragment Offset=0(フラグメント化なし)
・Time to Live=0xFF(非ゼロは全てパケットが残存できることを意味する)
・Protocol=0xFF(使用せず)
・Header Checksum=0x0000(使用せず)
・Source Address=0.0.0.0(使用せず)
・Destination Address=224.0.23.60-IANAによってATSCに「AtscSvcSig」として割り当てられる
c.UDP Header(ユーザデータグラムプロトコル、RFC768、1980年8月28日付)
・Source Port=0x0000(使用せず)
・ペイロードがLMTになることを示すDestination Port=4938(16進数で0x134A)
・Length=(UDPヘッダの)オクテット単位でのLMTの長さ+8
・Checksum=0x0000(使用せず)
d.LMT Header(下記参照)
・LMT_version=このLMTを含むALPパケットのsignaling_versionフィールドの値
・LMT_PLP_ID=ここに含まれるLMTが伝送されたPLPの識別
e.link_mapping_table()(
図9)
【0060】
いくつかの実施形態では、LMTの長さが先に開示した例の約2000バイトを上回る場合、2048バイトよりも長いALPパケットに対応することができる。いくつかの実施形態では、A/330標準に規定されるように、header_modeフィールドが「1」に設定されると、単一のパケットに追加ヘッダが存在することを示す。追加ヘッダは、ALPパケットの先頭の11ビット長フィールドで表すことができる長さを超える場合、5MSbitの長さを搬送することができる。header_mode及び追加ヘッダを使用すると16ビットの長さが表され、65,535バイトのALPパケットを伝送することができる。これらの開示した例は、LMTをその元々のALPパケット内での配信からUDP/IPパケットのペイロード内で伝送されるように転送できることを示す。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、LMTの各インスタンスが、LLSテーブルを搬送する識別されたPLPで搬送されるSLT(例えば、A/331標準、セクション6.3を参照)において参照されるいずれかのサービスに関連するいずれかのIPアドレス/ポートについてPLPとIPアドレス/ポートとの間のマッピングを記述する。さらに、いくつかの実施形態では、LLSを搬送するものとして識別されたいずれかのPLPにLMTが存在するはずである。
【0062】
複数のPLPがLLSを搬送できるので、所与のATSC3.0放送排出物は、LMTの複数の異なるインスタンスを含むことができる。いくつかの実施形態では、ミドルウェア層がこれらの複数の異なるLMTにアクセスし、これらを追跡して、排出物全体のPLPからIPアドレス/ポートへのマッピングの全体像をまとめることができる。一例として、LMTバージョンと、このLMTインスタンスに関連するPLPの識別とを含む「LMTヘッダ」を使用して、複数のLMTインスタンスを追跡することができる。受信機は、所与のLMTインスタンスに関連するバージョンを使用して、LMTのいずれかの所与のインスタンスを処理する必要があるか否か、或いは重複として廃棄できるか否かを判定することができる。例えば、
図4を参照すると、PLP#2で配信されるLMTはバージョン2とすることができるのに対し、PLP#4で配信されるLMTはバージョン6である。このバージョンは、そのLMTインスタンスの配信に関連するPLPと相関する。
【0063】
LMTがALPパケットで配信される場合には、LMTの変更を示すようにパケットのLMTヘッダ部に8ビットのsignaling_versionフィールド(A/330標準、テーブル5.10を参照)が含まれる。例えば、LMTのいずれかのデータが変化した時には、常にこのフィールドの値が1ずつ増分される。LMTがIPパケットで配信される際には、この情報を伝えるために、signaling_versionフィールドを、IPパケット内のLMT自体の直前に位置するLMT_versionフィールドで伝送することができる。
【0064】
図12に、チューナ装置605、705又は805などのチューナ装置によって実行されるプロセスの実施形態を示す。
図12に示すプロセスは、ユーザが特定のATSC3.0テレビサービスへのアクセスを要求したことに応答してテレビ受信機アプリケーションによって開始することができる。特定のRFチャンネルにチューニングするためのチューナへのコマンドは、通常はチャンネルスキャンプロセスによって発見される、要求されたサービスがどのRFチャンネルで送信されているかに関するテレビ受信機アプリケーションの予備知識によって生じることができる。
【0065】
一般に、このプロセスは、チューナ装置が特定のRFチャンネルにチューニングするためのコマンドをテレビ受信機アプリケーションから受け取るステップS1200から開始することができる。例えば、最初にDTV受信機がオンになると、テレビ受信機アプリケーションが起動して、最後にチューニングされたチャンネルを再取得するための命令をチューナ装置に送信することができる。同様に、チューナ装置がUSBを介して電子装置に接続された時にも、テレビ受信機アプリケーションは、最後にチューニングされたチャンネルにチューニングするための命令を送信することができる。プロセスはステップS1202に進み、要求されたRFチャンネルにチューニングされてデジタル放送信号が取得される。
【0066】
ステップS1204において、チューナが、1又は2以上のPLPを処理するためのコマンドをテレビ受信機アプリケーションから受け取る。いくつかの実施形態では、要求できる最大数が、実用的なチューナ装置の能力に対応する4である。受信機アプリケーションがS1204において要求するPLPの組は、予め決められたサービスに関する情報、具体的にはサービスがどのPLPを使用している可能性があるかに基づくことができる。いくつかの稀な事例では、放送局が放送信号の設定を変更して、例えばそのサービスについて異なるPLPを使用し始めることもある。このシナリオでは、受信機アプリケーションが、全てのLMT及びSLTを検索して記録できるように最初に放送信号内の全てのPLPを(場合によっては順番に、一度に最大で4つ)処理することを伴う、チューニングされたRFチャンネルの「チャンネルマップリフレッシュ」を実行することができる。「チャンネルマップリフレッシュ」が実行された後に、指示されたPLPを要求することができる。
【0067】
ステップS1206において、各選択されたPLPについてLLSを含むかどうかが判定される。LLSを含んでいない(例えば、L1D_plp_lls_flagが‘0’に設定されている)各処理済みのPLPについては、ステップS1214においてプロセスが継続し、選択されたPLPからの全てのALPパケットが受信機アプリケーションのミドルウェア層に転送される。S1206に戻り、LLSを含む(例えば、L1D_plp_lls_flagが‘1’に設定されている)各選択されたPLPについては、プロセスがステップS1210に進んでLMTを含むALPパケットを抽出する。プロセスはステップS1210に進み、ALPパケット1100などの、LMTを有するIPパケットを含むALPパケットが生成される。ステップS1210において生成されるALPパケットは、ステップS1208において抽出されたLMTを含む。ステップS1210において生成されるALPパケットは、LMTバージョンフィールドとLMTを搬送するPLPのIDを指定するフィールドとを含むLMTヘッダ1100dを含む。なお、S1206から開始するプロセスは、各選択されたPLPについて連続して実行される。
【0068】
ステップS1210において生成されるALPパケットは、UDPヘッダ1100c及びIPヘッダ1100dも含む。さらに、UDPヘッダ1100cは宛先ポートを指定することができ、IPヘッダ1100dは宛先アドレスを指定することができ、これらはいずれもLMTの存在を示すように指定される。また、ステップS1210において生成されるALPパケットは、ALPパケットヘッダ1100aを含む。プロセスはステップS1212に進み、選択されたPLPからのALPパケット、及びLMTを搬送するIPパケットを有するALPパケットがミドルウェアプロセスに転送される。チューナ装置がIPパケットを出力するように構成されたいくつかの実施形態では、ALP-IP変換器を迂回することができる。
【0069】
図13に、テレビ受信機アプリケーションによって実行されるプロセスの実施形態を示す。一般に、このプロセスは、IPパケットストリームを受信するステップS1300から開始することができる。IPパケットストリームは、チューナ装置(例えば、605、705、805)からALPパケットのストリームとして生じることができ、この場合はIPパケットストリームを生成するためにALPパケットのストリームがALP-IP変換器(例えば、621,821)に通される。
【0070】
プロセスはステップ1302に進み、IPストリームからLMTが抽出される。例えば、LMTの存在を示すように指定されたアドレス及びポート(例えば、IPヘッダ1100bの宛先アドレス及びUDPヘッダ1100cの宛先ポート)をIPパケットが含む場合には、LMTを含むIPパケットが検出される。
【0071】
プロセスはステップ1304に進み、受信したIPパケットストリームからLLSテーブルが検索される。一例として、LLSテーブルは、LLSテーブルの存在を示すように指定されたアドレス及びポートを有するIPパケットに含まれる。いくつかの実施形態では、LLSテーブルが、LMTを含むものと同じIPパケットストリームで送信される。さらに、一例として、LLSテーブルは、サービスのための1又は2以上のIPアドレスを指定するSLTを含むことができる。
【0072】
プロセスはステップS1306に進み、LMT及びLLSが、未だ処理のために選択すべきPLPを示しているかどうかが判定される。例えば、この状況は、サービスAがIPアドレスAを必要としていることをSLTが指定し、PLP#5(
図4)がIPアドレスAのALPパケットを含むことをLMTが指定し、PLP#5がステップS1204(
図12)においてチューナによって処理されたPLPのうちの1つではなかった場合に発生することができる。LMT及びLLSが未処理のPLPを示している場合、プロセスはステップS1308に進み、テレビ受信機アプリケーションが、未処理のPLPを処理するようにチューナ装置に命令するコマンドをチューナ装置に送信する。一方で、LMT及びLLSが未処理のPLPを示していなければ、
図13のプロセスは終了する。抽出されたLMT及びLLSテーブルに示されるような必要とする全てのパケットをテレビ受信機が有すると、テレビ受信機アプリケーションは、放送ストリームに関連するサービスに対応するオーディオ及びビデオコンテンツを復号して出力することができる。
【0073】
図14は、受信装置及びサービス配信システムのいずれか一方又はこれらの組み合わせの機能を実行するように構成できるコンピュータのハードウェア構成の例を示すブロック図である。例えば、1つの実施形態では、コンピュータが、本明細書でTV装置、電子装置及び/又はチューナ装置に関して説明した機能又はステップのうちの1つ又はこれらの組み合わせを実行するように構成される。
【0074】
図14に示すように、コンピュータは、1又は2以上のバス1408を介して互いに相互接続されたCPU1402、ROM(リードオンリメモリ)1404及びRAM(ランダムアクセスメモリ)1406を含む。1又は2以上のバス1408は、入力-出力インターフェイス1410にさらに接続される。入力-出力インターフェイス1410は、キーボード、マウス、マイク、リモコン装置などによって形成される入力部1412に接続される。入力-出力インターフェイス1410は、オーディオインターフェイス、ビデオインターフェイス、ディスプレイ及びスピーカなどによって形成される出力部1414、ハードディスクによって形成される記録部1416、不揮発性メモリ又はその他の非一時的コンピュータ可読記憶媒体、ネットワークインターフェイス、モデム、USBインターフェイス、ファイアワイヤインターフェイスなどによって形成される通信部1418、並びに磁気ディスク、光学ディスク、磁気-光学ディスク、半導体メモリなどの取り外し可能媒体1422を駆動するドライブ1420にも接続される。
【0075】
1つの実施形態によれば、CPU1402は、記録部1416に記憶されたプログラムを入力-出力インターフェイス1410及びバス1408経由でRAM1406にロードした後に、本明細書においてTV装置、電子装置及び/又はチューナ装置に関して説明した機能のうちの1つ又はこれらの組み合わせの機能を提供するように構成されたプログラムを実行する。
【0076】
図2、
図3及び
図14に示す構造例のいずれか1つによって例示される上述したハードウェアの説明は、例えば
図12及び
図13を参照して上述したアルゴリズムを実行するようにプログラム又は構成された専門的な対応する構造を構成し又は含む。例えば、
図12及び
図13に示すアルゴリズムのうちのいずれか1つ又はこれらの組み合わせは、
図2に示すTV装置に含まれる回路によって完全に実行することができる。さらに、外部的に接続されたチューナ装置を有する電子装置が
図12及び13に示すアルゴリズムを実行する場合には、
図3に示すチューナ装置に含まれる回路を
図12のアルゴリズムに使用することができ、
図3に示す電子装置に含まれる回路を
図13のアルゴリズムに使用することができる。
【0077】
本開示の実施形態は、以下のような著しく有利な特徴を提供する。
1.ATSC3.0受信機の中位及び上位ソフトウェアプロセスが、どのPLPを処理すべきであるかについてのチューナ装置の選択を最適に制御するために、ATSC3.0放送信号でリンク層シグナリングとして配信される(単複の)LMTに都合良くアクセスすることを可能にする方法。
2.チューナ装置がATSC3.0放送から受信した全てのデータをマルチキャストIPパケットの形態で中位及び上位ソフトウェアプロセスに配信することを可能にすることにより、他の何らかのフォーマットでリンク層シグナリングを配信する必要性を排除する方法。
3.ATSC3.0放送排出物の各部分が異なるPLP上でLLSを伝送する異なる部分に由来するリンク層シグナリングテーブルがATSC3.0受信機の中位及び上位ソフトウェアプロセスに単一のIPパケットストリームで伝送されることを可能にする方法。
【0078】
上記の教示に照らして、数多くの修正例及び変形例が可能なことが明らかである。従って、添付の特許請求の範囲内では、本明細書において具体的に説明したものとは別様に本開示を実施することができると理解されたい。
【0079】
従って、上記の説明は、本開示の例示的な実施形態を開示して説明したものにすぎない。当業者であれば理解するように、本開示は、本開示の趣旨又は基本的特徴から逸脱することなく他の特定の形態で具体化することもできる。従って、本開示は例示であることを意図するものであり、本開示及び他の請求項の範囲を限定するものではない。本開示は、本明細書における教示のあらゆる容易に識別できる変種を含め、本発明の主題が一般公衆に開放されないように、上述した請求項の用語の範囲を部分的に定義する。
【0080】
上記の開示は、以下に列挙する実施形態も含む。
【0081】
(1)処理回路を含む受信装置であって、処理回路が、(i)各物理層パイプ(PLP)が複数のATSCリンク層プロトコル(ALP)パケットを含む複数のPLPを含む、チューナ装置によって受け取られた高度テレビジョンシステムズ委員会(ATSC)放送ストリームに由来するシグナリング情報を含むIPパケットを受け取り、(ii)IPパケットから、リンクマッピングテーブル(LMT)の存在を示すように指定された所定のIPアドレス及びポートに基づいて識別されるLMTと、少なくとも1つの低水準シグナリング(LLS)テーブルとを含むシグナリング情報を抽出し、(iii)抽出されたLMT及び抽出された少なくとも1つのLLSテーブルに基づいて、放送ストリームに関連するサービスに対応するオーディオ及びビデオコンテンツを検索するように構成される、受信装置。
【0082】
(2)ALPパケットを出力するチューナ装置と、各出力されたALPパケットをIPパケットに変換するように構成されたALP-IP変換回路とをさらに含む、特徴(1)に記載の受信装置。
【0083】
(3)ユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェイスをさらに含み、チューナ装置は、USBインターフェイスを介して受信装置に接続するように構成される、特徴(1)又は特徴(2)に記載の受信装置。
【0084】
(4)チューナ装置は、チューナ装置から出力された各ALPパケットをIPパケットに変換するように構成されたALP-IP変換回路を含む、特徴(3)に記載の受信装置。
【0085】
(5)LMTを含むIPパケットは、(i)LMTバージョンと、(ii)LMTを含むPLPを識別するPLP IDフィールドとを指定するLMTヘッダをさらに含み、LMTバージョンとPLP IDとの組み合わせは、LMTの参照識別子を提供する、特徴(1)~(4)のいずれか1つに記載の受信装置。
【0086】
(6)処理回路は、少なくとも1つのLLSテーブル内に指定された、放送ストリームに関連するサービスに対応するIPアドレスを識別し、複数のPLPから、指定されたIPアドレスに関連する未処理のPLPをLMTが指定しているかどうかを判定し、LMTが未処理のPLPを指定しているとの判定に応答して、未処理のPLPに関連するALPパケットを出力するようにチューナ装置に命令するコマンドをチューナ装置に伝えるようにさらに構成される、特徴(1)~(5)のいずれか1つに記載の受信装置。
【0087】
(7)チューナ装置であって、テレビ受信機アプリケーションを実行する受信装置に接続するように構成された通信インターフェイスと、処理回路とを含み、処理回路が、(i)各物理層パイプ(PLP)が複数のATSCリンク層プロトコル(ALP)パケットを含む複数のPLPを含むデジタルテレビ放送信号を受信し、(ii)複数のPLPから低水準シグナリング(LLS)を含む少なくとも1つのPLPを識別し、(iii)LLSを含む少なくとも1つのPLPからリンクマッピングテーブル(LMT)を抽出し、(iv)LMTを含んで所定のIPアドレス及びポートを有するIPパケットを含むALPパケットを生成し、(v)LMTを含むIPパケットを含むALPパケットをテレビ受信機アプリケーションに転送するように構成される、チューナ装置。
【0088】
(8)所定のIPアドレス及びポートは、LMTのために指定される、特徴(7)に記載のチューナ装置。
【0089】
(9)LMTを含むIPパケットは、(i)LMTバージョンと、(ii)LMTを含むPLPを識別するPLP IDフィールドとを指定するLMTヘッダをさらに含み、LMTバージョンとPLP IDとの組み合わせは、LMTの参照識別子を提供する、特徴(8)に記載のチューナ装置。
【0090】
(10)LLSを含む少なくとも1つの識別されるPLPは、LLSの存在を示すフラグに基づいて識別される、特徴(7)~(9)のいずれか1つに記載のチューナ装置。
【0091】
(11)LMTを含むIPパケット、及び少なくとも1つのLLSテーブルは、テレビ受信機アプリケーションに同じIPパケットストリームで送信される、特徴(7)~(10)のいずれか1つに記載のチューナ装置。
【0092】
(12)チューナ装置は、複数のPLPからの1又は2以上のPLPを処理するためのコマンドをテレビ受信機アプリケーションから受け取り、LLSを含む識別される少なくとも1つのPLPは、処理される1又は2以上のPLPに含まれる、特徴(7)~(11)のいずれか1つに記載のチューナ装置。
【0093】
プロセッサによって実行された時にプロセッサに方法を実行させる命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体であって、方法が、各物理層パイプ(PLP)が複数のATSCリンク層プロトコル(ALP)パケットを含む複数のPLPを含む、チューナ装置によって受け取られた高度テレビジョンシステムズ委員会(ATSC)放送ストリームに由来するシグナリング情報を含むIPパケットを受け取ることと、IPパケットから、リンクマッピングテーブル(LMT)の存在を示すように指定された所定のIPアドレス及びポートに基づいて識別されるLMTと、少なくとも1つの低水準シグナリング(LLS)テーブルとを含むシグナリング情報を抽出することと、抽出されたLMT及び抽出された少なくとも1つのLLSテーブルに基づいて、放送ストリームに関連するサービスに対応するオーディオ及びビデオコンテンツを検索することとを含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0094】
(14)LMTを含むIPパケットは、(i)LMTバージョンと、(ii)LMTを含むPLPを識別するPLP IDフィールドとを指定するLMTヘッダをさらに含み、LMTバージョンとPLP IDとの組み合わせは、LMTの参照識別子を提供する、特徴(13)に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0095】
(15)方法は、少なくとも1つのLLSテーブル内に指定された、放送ストリームに関連するサービスに対応するIPアドレスを識別することと、複数のPLPから、指定されたIPアドレスに関連する未処理のPLPをLMTが指定しているかどうかを判定することと、LMTが未処理のPLPを指定しているとの判定に応答して、未処理のPLPに関連するALPパケットを出力するようにチューナ装置に命令するコマンドをチューナ装置に伝えることとをさらに含む、特徴(13)又は特徴(14)に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0096】
(16)プロセッサによって実行された時にプロセッサに方法を実行させる命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体であって、方法が、各物理層パイプ(PLP)が複数のATSCリンク層プロトコル(ALP)パケットを含む複数のPLPを含むデジタルテレビ放送信号を受信することと、複数のPLPから低水準シグナリング(LLS)を含む少なくとも1つのPLPを識別することと、LLSを含む少なくとも1つのPLPからリンクマッピングテーブル(LMT)を抽出することと、LMTを含んで所定のIPアドレス及びポートを有するIPパケットを含むALPパケットを生成することと、LMTを含むIPパケットを含むALPパケットを、テレビ受信機アプリケーションを実行する受信装置に転送することとを含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0097】
(17) 所定のIPアドレス及びポートは、LMTのために指定される、特徴(16)に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0098】
(18)LMTを含むIPパケットは、(i)LMTバージョンと、(ii)LMTを含むPLPを識別するPLP IDフィールドとを指定するLMTヘッダをさらに含み、LMTバージョンとPLP IDとの組み合わせは、LMTの参照識別子を提供する、特徴(17)に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0099】
(19)LLSを含む少なくとも1つの識別されるPLPは、LLSの存在を示すフラグに基づいて識別される、特徴(16)~(18)のいずれか1つに記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0100】
(20)LMTを含むIPパケット、及び少なくとも1つのLLSテーブルは、テレビ受信機アプリケーションに同じIPパケットストリームで送信される、特徴(16)に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【国際調査報告】