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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】固定化バクテリオファージの生産
(51)【国際特許分類】
   C12N 11/04 20060101AFI20220111BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20220111BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20220111BHJP
   C12N 11/08 20200101ALI20220111BHJP
【FI】
C12N11/04
C12M1/00 A
C12N7/01
C12N11/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021528974
(86)(22)【出願日】2019-11-22
(85)【翻訳文提出日】2021-07-16
(86)【国際出願番号】 EP2019082323
(87)【国際公開番号】W WO2020104691
(87)【国際公開日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】18207889.9
(32)【優先日】2018-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516236805
【氏名又は名称】フィクスド ファージ リミテッド
【住所又は居所原語表記】West of Scotland Science Park,Block 2,Units 1 & 2,Kelvin Campus,2317 Maryhill Road,Glasgow G20 0SP United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100182084
【弁理士】
【氏名又は名称】中道 佳博
(74)【代理人】
【識別番号】100207136
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 有希
(72)【発明者】
【氏名】マティ,マイケル
【テーマコード(参考)】
4B029
4B033
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA27
4B029BB13
4B029CC05
4B033NA11
4B033NB33
4B033NB62
4B033NC07
4B033ND10
4B033ND20
4B033NE01
4B033NF04
4B033NF05
4B033NG01
4B033NH10
4B033NJ03
4B033NK01
4B065AA98X
4B065BD06
4B065CA60
(57)【要約】
バクテリオファージは、(a)(i)基材を(ii)バクテリオファージと組み合わせることによって基材に共有結合し、組み合わせの前または最中に、(i)または(ii)、あるいは(i)および(ii)の両方を活性化し、そして(b)組み合わせ中、バクテリオファージは平均直径150ミクロンまたはそれ以下の液滴内に含まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バクテリオファージを基材に共有結合させる方法であって、
(a)(i)基材を(ii)バクテリオファージと組み合わせる工程であって、該組み合わせの前または最中に、(i)または(ii)、あるいは(i)と(ii)との両方が活性化され、そして
(b)該組み合わせ中、該バクテリオファージが液滴内に含まれる、工程、
を含む、方法。
【請求項2】
前記液滴が平均直径150ミクロンまたはそれ以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記液滴が平均直径100ミクロンまたはそれ以下である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記基材が平均直径500ミクロンまたはそれ以下の粒子を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記基材が平均直径200ミクロンまたはそれ以下の粒子を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記液が水性である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記液が水である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記液が非水性である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記液が、大気圧および20℃にて気体である化合物であるかまたはそれを含み、そして前記方法が、該化合物が液滴を形成するような温度および圧力の条件下で実施される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記共有結合したバクテリオファージおよび基材生成物が、前記化合物が蒸発するように温度および/または圧力の変更された条件に供され、乾燥生成物を生成する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
バクテリオファージを水感受性基材に付着させるための、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記基材が超吸収性ポリマーを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記基材を活性化する工程、および活性化された基材を前記液滴と組み合わせる工程を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記液滴を活性化する工程、および該活性化された液滴を前記基材と組み合わせる工程を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
基材および液滴の両方を活性化する工程、およびそれらを組み合わせる工程を含む、任先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記基材に付着したバクテリオファージの数および/または密度を制御するために、所定の濃度のバクテリオファージの懸濁液から調製された所定のサイズの液滴を組み合わせる工程を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
質量メジアン直径1~200ミクロンの液滴を質量メジアン直径1~200ミクロンの粒子と組み合わせる工程を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
直径100ミクロンまたはそれ以下の液滴を直径100ミクロンまたはそれ以下の粒子と組み合わせる工程を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
液滴および粒子のそれぞれの直径の比が1:3~3:1である、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
粒子と基材との両方を活性化する工程であって、該粒子が放電を使用して活性化され、該基材が反対に帯電した放電を使用して活性化される工程を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記放電がコロナ放電である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
負に帯電したコロナ放電を使用して前記粒子を活性化する工程、および正に帯電したコロナ放電を使用して前記液滴を活性化する工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記粒子を同時に形成かつ活性化する工程を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
先行する請求項のいずれかに記載の方法を実行するための装置。
【請求項25】
バクテリオファージを基材に共有結合させるための、請求項24に記載の装置であって、
(d)バクテリオファージを含む液滴を発生させるための手段;
(e)(i)液滴活性化ステーションと組み合わせてプラズマを発生させて(a)の液滴をプラズマと接触させるためのプラズマ発生器、または(ii)基材活性化ステーションと組み合わせて該プラズマを発生させて該基材をプラズマと接触させるためのプラズマ発生器;および
(f)該バクテリオファージと該基材との間に共有結合を形成するために、該プラズマとの接触と同時にまたは接触後に該基材と該バクテリオファージとを組み合わせることができるチャンバー;
を含む、装置。
【請求項26】
バクテリオファージを含む室温および20℃にてガスである溶媒または溶液の液滴を発生させるように適合された、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
b(ii)の前記プラズマ発生器が、前記基材を活性化するためのプラズマを発生させるように適合されている、請求項25または26に記載の装置。
【請求項28】
b(i)の前記プラズマ発生器が、バクテリオファージを含む前記液滴を活性化するためのプラズマを発生させるように適合されている、請求項25または26に記載の装置。
【請求項29】
前記バクテリオファージおよび前記基材が組み合わされ、かつ前記プラズマと接触して、同時にかつ同じチャンバー内で活性化されるように、前記プラズマ発生器および前記チャンバーが配置される、請求項25または26に記載の装置。
【請求項30】
前記基材が平均直径500ミクロンまたはそれ以下の粒子を含む、請求項25から29のいずれかに記載の装置。
【請求項31】
異なる株またはタイプの2つのバクテリオファージを単一の基材粒子に共有結合させる方法であって、
(c)該粒子を第1のバクテリオファージと組み合わせる工程であって、該組み合わせの前または最中に、該粒子または該バクテリオファージ、あるいはその両方を活性化して、該第1のバクテリオファージが共有結合している粒子を含む中間生成物を生成する工程;および
(d)(a)の該中間生成物を、該第1のバクテリオファージとは異なる株またはタイプの第2のバクテリオファージと組み合わせる工程であって、該組み合わせの前または最中に、該中間生成物または該第2のバクテリオファージ、あるいはその両方を活性化して、該第1および第2バクテリオファージが共有結合している粒子を含む生成物を生成する工程、
を含む、方法。
【請求項32】
前記生成物を、前記第1および第2に対して異なる株またはタイプの第3のバクテリオファージと組み合わせる工程を含み、該組み合わせの前または最中に、該生成物または該第3のバクテリオファージ、あるいはその両方を活性化して、該第1、第2および第3のバクテリオファージが共有結合している粒子を含むさらなる生成物を生成する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
基材またはバクテリオファージまたは中間生成物が、放電によって工程aおよびbで活性化される、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
異なる株またはタイプの第1および第2のバクテリオファージが共有結合している複数の粒子を含む組成物であって、該粒子の数の少なくとも50%が少なくとも1つの第1のバクテリオファージおよび少なくとも1つの第2のバクテリオファージを含む、組成物。
【請求項35】
粒子の数の少なくとも60%が、少なくとも1つの第1のバクテリオファージおよび少なくとも1つの第2のバクテリオファージを含む、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
前記粒子の数の少なくとも70%が、少なくとも1つの第1のバクテリオファージおよび少なくとも1つの第2のバクテリオファージを含む、請求項34に記載の組成物。
【請求項37】
バクテリオファージを基材に共有結合させる方法であって、
2つの電極間にプラズマを発生させる工程;
該電極間に流体を流し、該プラズマまたは該プラズマの一部を、該電極間ではなく変位ゾーンに変位させる工程、ならびに
(i)該基材が該電極間を通過することなく該基材を該変位ゾーンのプラズマに導入し、該基材を該バクテリオファージと組み合わせる工程、または(ii)該バクテリオファージが該電極間を通過することなく該変位ゾーンのプラズマに該バクテリオファージを導入し、該バクテリオファージを該基材と組み合わせる工程;
を含む、方法。
【請求項38】
前記基材を活性化するために前記変位ゾーンのプラズマに該基材を導入する工程、および活性化された基材をバクテリオファージと組み合わせて、該基材に共有結合したバクテリオファージを生じさせる工程を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記バクテリオファージを活性化するために前記変位ゾーンのプラズマに該バクテリオファージを導入する工程、および活性化バクテリオファージを該基材と組み合わせて該基材に共有結合したバクテリオファージを生じさせる工程を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
バクテリオファージと基材との両方を前記変位ゾーンのプラズマに導入して両方を活性化する工程、および
活性化基材を活性化バクテリオファージと組み合わせて、該基材に共有結合したバクテリオファージを生じさせる工程を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記基材を静止状態に保持する工程、および該基材に対して前記変位ゾーンを移動させる工程を含む、請求項37から40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記変位ゾーンを前記基材の表面を横切って移動させる工程を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
バクテリオファージを前記表面に適用する工程、およびバクテリオファージが適用された前記基材の表面を横切って前記変位ゾーンを移動させる工程を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記流体が気体である、請求項37から43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
前記プラズマが前記電極間の放電によって形成される、請求項37から44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
前記放電がコロナ放電である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記放電がパルスフィールドコロナ放電である、請求項45または46に記載の方法。
【請求項48】
前記基材が粒子を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
前記バクテリオファージが液滴中の懸濁液として提供される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
前記液滴が直径150ミクロンまたはそれ以下である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
請求項37から50のいずれかに記載の方法を実施するための装置。
【請求項52】
基材に共有結合したバクテリオファージのための、請求項51に記載の装置であって、
(a)第1および第2の電極、ならびに該電極間にプラズマを生成するためのプラズマ発生器;
(b)該電極間に流体の流れを導入するための圧力下での流体の供給部に接続された第1の導管であって、該流体の流れが、該プラズマまたは該プラズマの一部を、該電極間にない変位ゾーンに変位させる、第1の導管;
(c)バクテリオファージまたは基材を該電極間を通過せずに変位ゾーンに導入するための該バクテリオファージまたは該基材の供給部に接続された第2の導管;
(d)バクテリオファージと基材とを組み合わせて該バクテリオファージを該基材に共有結合させるチャンバー;
を含む、装置。
【請求項53】
前記第2の導管がバクテリオファージを前記変位ゾーンに導入するためのものであり、かつ基材を該変位ゾーンに導入するための第3の導管をさらに含み、バクテリオファージと基材とが該変位ゾーンで組み合わされる、請求項52に記載の装置。
【請求項54】
パルスフィールドコロナ放電を発生させるためのプラズマ発生器を含む、請求項51から53のいずれかに記載の装置。
【請求項55】
前記第2の導管が、バクテリオファージを液滴中の懸濁液として前記変位ゾーンに導入するための、液体中の懸濁液中のバクテリオファージの供給部に接続されている、請求項51から54のいずれかに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バクテリオファージを粒子、フィラメント、および平面などの基材に固定化するための方法および装置、ならびにそれによって作製される組成物に関する。特に、本発明は、バクテリオファージの、特に粒子への固定化のための大規模プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、従来の抗生物質に対する耐性が高まり続け、化学殺生物剤の適用が環境上の理由でますます受け入れられなくなっているため、細菌汚染を制御するための代替方法に注目が集まっている。有望なアプローチの1つは、バクテリオファージの適用である。
【0003】
WO03/093462から、化学的方法または放電を使用してバクテリオファージを基材に付着させ、例えば、粒子またはポリマーストリップに共有結合したバクテリオファージを生成することが知られている。
【0004】
WO2007/072049では、これらの方法は、パルスフィールドコロナ放電を使用して、放電によって活性化された粒子がバクテリオファージ溶液に滴下されるために開発された。同様に、WO2012/175749では、バクテリオファージ溶液が活性化種子と組み合わされた。
【0005】
重要なことに、このように固定化されたバクテリオファージは抗菌力を保持し、有益なことに、分解および乾燥に対する耐性が大幅に強化されるように、追加の安定性が付与される。
【0006】
それにも関わらず、既知の方法には多くの問題が存在する。従来技術に記載された方法では、粒子を放電に通すことによる粒子の活性化は、粒子の過熱および/または粒子の装置への接着をもたらす可能性がある。粒子あたりのバクテリオファージの数または平面またはフィラメント状の基材上の付着の均一性の制御は一般に不可能であり、不規則で一貫性のない結果につながる。さらに、微粒子(粉末として扱われなければならない)の場合、粒子(微粉末を含む)の表面をバクテリオファージと迅速かつ確実に並置して固定化を行うことができるようにするための現在利用可能な方法はない。放電を使用して生成されたフリーラジカルの崩壊は急速であり、既存のシステムは、効率的な結合に十分な速さで基材とバクテリオファージを一緒にしない可能性がある。
【0007】
当該分野では、バッチ製造方法のみが実用的である。例えば、材料は浅い活性化容器に入れられ、上からコロナ活性化を受け、次に固定化されるバクテリオファージを含む溶液と迅速に接触させられる。この方法は、フィラメント状および粒子状の材料にも非効率的に使用されるが、片面に固定化が発生するシート(平面)材料には多かれ少なかれ受け入れられる。例えば、球状粒子の表面の自明の特定の側面は、他のものよりも大量のバクテリオファージが固定化されている可能性があるが、より均一な分布が好ましい場合がある。同様の効果は、任意の断面のフィラメント状の材料で見られる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の1つの目的は、基材上に共有結合的に固定化されたバクテリオファージを含む組成物を製造するための代替の方法を提供することである。好ましい実施形態の目的は、特にバクテリオファージがそれが付着している生成物全体により均一に分布している、改善された方法を提供することである。好ましい実施形態のさらなる目的は、バクテリオファージが付着した新生成物を提供することである。好ましい実施形態のさらに別の目的は、連続的に使用することができる方法を提供することである。この方法を実施するための装置を考案することはさらなる目的である。特定の実施形態の別の目的は、活性化された基材およびバクテリオファージを迅速に、継続的に、そして大規模に一緒にする方法およびシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明は、バクテリオファージを基材に共有結合させる方法であって、
a)2つの電極間にプラズマを発生させる工程;
b)電極間に流体を流して、プラズマまたはプラズマの一部を、電極間ではなく変位ゾーンに移動させる工程;
c)(i)基材が電極間を通過することなく変位ゾーンのプラズマに基材を導入し、基材をバクテリオファージと組み合わせる工程、または(ii)バクテリオファージが電極間を通過することなく変位ゾーンのプラズマにバクテリオファージを導入し、バクテリオファージを基材と組み合わせる工程;
を含む方法を提供する。
【0010】
このような方法を実施するための本発明の装置は、以下を含む:
a)第1および第2の電極、ならびに電極間にプラズマを生成するためのプラズマ発生器;
b)電極間に流体の流れを導入するための圧力下の流体の供給部に接続された第1の導管であって、流体の流れが、プラズマまたはプラズマの一部を、電極間にない変位ゾーンに変位させる、第1の導管;
c)バクテリオファージまたは基材を電極間を通過せずに変位ゾーンに導入するためのバクテリオファージまたは基材の供給部に接続された第2の導管;
d)バクテリオファージと基材とを組み合わせてバクテリオファージを基材に共有結合させるチャンバー。
【0011】
また、本発明によって提供されるのは、バクテリオファージを基材に共有結合させる方法であり、以下を含む。
a)(i)基材を(ii)バクテリオファージと組み合わせる工程であって、組み合わせの前または最中に、(i)または(ii)、あるいは(i)と(ii)の両方が活性化され、そして
b)組み合わせ中、バクテリオファージが液滴内に含まれる工程。
【0012】
このような方法を実行するための本発明の装置は、以下を含む:
a)(i)基材の供給部、および(ii)バクテリオファージを含む液滴を生成する手段;
b)(i)(a)の液滴をプラズマと接触させるための液滴活性化ステーションと組み合わせてプラズマを生成するためのプラズマ発生器、または(ii)基材をプラズマと接触させるための基材活性化ステーションと組み合わせてプラズマを生成するためのプラズマ発生器;ならびに
c)バクテリオファージと基材との間に共有結合を形成するために、プラズマとの接触と同時にまたは接触後に基材とバクテリオファージとを組み合わせることができるチャンバー。
【0013】
本発明によってさらに提供されるのは、異なる株またはタイプの2つのバクテリオファージを単一の基材粒子に共有結合させる方法であり、以下を含む:
a)粒子を第1のバクテリオファージと組み合わせる工程であって、組み合わせの前または最中に、粒子またはバクテリオファージ、あるいはその両方を活性化して、第1のバクテリオファージが共有結合している粒子を含む中間生成物を生成する工程;ならびに
b)中間生成物を、第1とは異なる株またはタイプの第2のバクテリオファージと組み合わせる工程であって、組み合わせの前または最中に、中間生成物または第2のバクテリオファージ、あるいはその両方を活性化して、第1および第2のバクテリオファージが共有結合する粒子を含む生成物を生成する工程。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、活性化ポリマー粒子を生成するための本発明で使用するための装置の概略図を示す。
図2図2は、固定化バクテリオファージを生産するための本発明の装置の概略図を示す。
図3図3は、固定化バクテリオファージを生産するための本発明のさらなる装置の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明によって対処される問題は、放電によって活性化される間の基材の損傷または喪失の問題である。
【0016】
したがって、本発明は、バクテリオファージを基材に共有結合させる方法を提供し、以下を含む:
・2つの電極間にプラズマを発生させる工程;
・電極間に流体を流して、プラズマまたはプラズマの一部を電極間ではなく変位ゾーンに移動させる工程;
・電極間を通過せずに、変位ゾーンのプラズマに基材またはバクテリオファージを導入する工程;および
・バクテリオファージと基材とを組み合わせる工程。
【0017】
それゆえ、基材またはバクテリオファージは、活性化場を形成する帯電電極間を通過しない。電極間を通過することによる過度の加熱効果のリスクが低減または排除され得る。さらに、電極との衝突のリスク、例えば、粒子と電極との融合および粒子の電極への溶融も同様に低減または排除することができる。このプロセスはより効率的になる。
【0018】
バクテリオファージまたは基材、あるいはその両方を活性化することができる。したがって、1つの方法では、基材を変位ゾーンのプラズマに導入して基材を活性化し、次にバクテリオファージと組み合わせられる。他の方法は、バクテリオファージを変位ゾーンのプラズマに導入してバクテリオファージを活性化し、活性化バクテリオファージを基材と組み合わせて生成物、すなわち、基材に共有結合したバクテリオファージを生成することを含む。さらなるオプションは、バクテリオファージと基材の両方を変位ゾーンのプラズマに導入して両方を活性化し、活性化された基材を活性化されたバクテリオファージと組み合わせて生成物を生成することである。
【0019】
基材またはバクテリオファージは、電極の側および隣接する変位ゾーンに入り得る。流体の流れは、変位ゾーンが電極から離間するようなものであり得、従来技術の方法に関連する加熱および衝突のリスクをさらに低減する。流体の流れを変えることにより、プラズマは電極から1mmまたはそれ以上、5mmまたはそれ以上または10mmまたはそれ以上離間することができ、流れを増加させてプラズマを電極からさらに遠ざける。
【0020】
一般に、電極と変位ゾーンは静止したままであり、基材/バクテリオファージはゾーン内を移動する。基材を静止状態に保ち、携帯用装置を使用して、変位ゾーンを基材に対して移動させることも任意である。方法は、変位ゾーンを基材の表面を横切って移動させること(例えば、移動しない基材に対して電界およびプラズマを生成する装置をスキャンすること)を含み得る。1つの特定の例では、この方法は、バクテリオファージを基材表面に適用すること、およびバクテリオファージが適用された基材の表面を横切って変位ゾーンを移動させることを含む。プラズマは表面のバクテリオファージと接触し、一方または他方、あるいは両方を活性化して、共有結合をもたらす。
【0021】
適切には、流体は気体である。これは管を通して吹き込まれ、電極間からプラズマを移動させるのに十分な速度の移動流で電極の近くに出ていくことができる。
【0022】
電極間の放電を介してプラズマを生成するための既知の方法および手段を使用することができる。コロナ放電、特にパルスまたはパルスフィールドコロナ放電が使用され得る。
【0023】
以下により詳細に記載される本発明の特定の実施形態では、基材は粒子であるか、または粒子を含む。これらは、(変位された)プラズマを連続的に流すか通過させることができ、これは、本発明が連続操作を可能にすることを意味する。好ましい粒子材料および直径は、本明細書の他の場所に記載されている通りである。
【0024】
他の実施形態では、バクテリオファージがプラズマに導入される。好ましくは、バクテリオファージは、液滴中の懸濁液として提供される。さらに、これにより連続操作が可能になる。適切な液滴は、250ミクロンまたはそれ以下の直径を有する。この方法は、一般に、体積メジアン直径が150ミクロンまたはそれ以下、好ましくは体積メジアン直径が100ミクロンまたはそれ以下、より好ましくは50ミクロンまたはそれ以下の液滴を用いて実施される。本明細書における液滴サイズは、例えば、Malvern Analyster(Malvern Instruments Ltd、ウスターシャー、英国)などのレーザー回折装置および方法を使用する従来の手段によって測定される。
【0025】
また、本発明によって提供されるのは、本発明の方法を実施するための装置である。それゆえ、本発明の装置は、回路、電極、および流体の流れを発生させて電極間にプラズマを発生させる手段を含み、粒子またはバクテリオファージが電極間を通過せずにプラズマを通過できるように、全体または一部を移動させることができる。
【0026】
以下により詳細に記載される本発明の特定の装置は、以下を含む:
a)第1および第2の電極、ならびに電極間にプラズマを生成するためのプラズマ発生器;
b)電極間に流体の流れを導入するための圧力下の流体の供給部に接続された第1の導管であって、流体の流れが、プラズマまたはプラズマの一部を、電極間にない変位ゾーンに変位させる第1の導管;
c)バクテリオファージまたは基材を電極間を通過せずに変位ゾーンに導入するためのバクテリオファージまたは基材の供給部に接続された第2の導管;
d)必要に応じて、バクテリオファージと基材とを組み合わせてバクテリオファージを基材に共有結合させることができるチャンバー。
【0027】
変位されたプラズマを提供することにより、基材またはバクテリオファージを活性化することができ、その材料が電極間を通過することのリスクおよび不利な点を回避することができる。プラズマの変位ゾーンの位置を制御するために、制御メカニズムを含めることができるので、流れを変化させて、プラズマの変位を変化させることができる。
【0028】
オプションは、装置が第3の導管を含むことであり、第2の導管は、バクテリオファージを変位ゾーンに導入するためのものであり、第3の導管は基材を変位ゾーンに導入するためのものであり、バクテリオファージと基材が変位ゾーンで組み合わされる。装置はさらに、本発明の方法の他の任意の好ましい実施形態に従って任意選択で適合される。
【0029】
可搬性があり、組み合わせチャンバーを省略した装置の実施形態では、荷電粒子の出力が提供される。これは、バクテリオファージ、例えば、より単純な材料または創傷被覆材などの担体基材に適用されたバクテリオファージ液滴に向けることができる。したがって、装置は、標的バクテリオファージに向けられる活性化粒子の流れを提供するための銃を提供する。
【0030】
本発明のこの局面のすべての実施形態は、基材(例えば、粒子)またはバクテリオファージ(例えば、液滴中)の活性化が電極間の通過を回避するという利点を有する。本発明のこの局面の任意の好ましい特徴は、以下に記載されるものを含む、本明細書に記載される本発明の他の局面の任意の好ましい特徴と組み合わせて使用することができる。
【0031】
本発明で扱われるさらなる問題は、バクテリオファージの基材への付着が不均一であるか、さもなければ制御が困難であるか、または連続的または大規模に実施することが困難である可能性があることである。
【0032】
したがって、本発明は、バクテリオファージを基材に共有結合させる方法を提供し、以下を含む:
a)(i)基材を(ii)バクテリオファージと組み合わせる工程であって、組み合わせの前または最中に、(i)または(ii)、あるいは(i)と(ii)との両方が活性化され、そして
b)組み合わせ中、バクテリオファージは液滴内に含まれる、工程。
【0033】
バクテリオファージが代表的には懸濁している液滴を使用すると、基材への付着を改善することができる。例えば、所定の濃度のバクテリオファージ(液体1mLあたりのバクテリオファージの数)および既知のサイズまたは所与のサイズ範囲内の液滴を使用することにより、基材と組み合わされるバクテリオファージの数を制御することができる。本発明の実施形態では、所与のサイズまたは所与のサイズ範囲内の粒子が活性化され、液滴と組み合わされて、合理的な境界および標準偏差内で、粒子あたりのバクテリオファージの数を制御する。
【0034】
本発明の方法は、活性化粒子とバクテリオファージの溶液との既知の組み合わせとは異なる。典型的な方法、特にバクテリオファージの液滴および粒子を使用する場合、液滴は、直径が150ミクロンまたはそれ以下であり、例えば、体積メジアン直径が150ミクロンまたはそれ以下、好ましくは100ミクロンまたはそれ以下、より好ましくは70ミクロンまたがそれ以下である。これとは別に、基材粒子は一般に直径500ミクロンまたはそれ以下であり、適切には500ミクロンまたはそれ以下、300ミクロンまたはそれ以下、適切には150ミクロンまたはそれ以下、好ましくは100ミクロンまたはそれ以下、より好ましくは70ミクロンまたはそれ以下の質量メジアン直径を有する。以下に説明する特定の例では、直径約10ミクロンの液滴がほぼ同じサイズの粒子と組み合わされた。
【0035】
液滴によく使用される液体は水である。そして、他の水溶液も使用することができる。以下により詳細に記載される特定の実施形態において、バクテリオファージの水性懸濁液の微細なミストは、パルスフィールドコロナ放電を使用して事前に活性化された超吸収性ポリマーと接触させられた。試験により、活性バクテリオファージがポリマーに付着していることが確認され、前後のポリマーの重量測定により、ポリマーによる吸水によるわずかな重量増加(約25~30%)のみが確認された。他の方法では、液滴は非水性の液体である。すべての場合において、理解されるように、使用される液体はバクテリオファージに適しているべきであり、例えば、バクテリオファージの非変性または他の方法で非破壊的である-本発明による共有結合の生成物は、感染性バクテリオファージを含む。
【0036】
非水性液体の例には、大気圧および20℃で気体である化合物および組成物が含まれ、この方法は、化合物が液滴を形成するような温度および圧力の条件下で実施される。液体二酸化炭素の液滴は、特定の実施形態において、バクテリオファージを含むために使用され、バクテリオファージは、基材に共有結合し、次いで、例えば、温度または圧力、あるいはその両方を調整することによって、液体成分を除去することができる。
【0037】
したがって、本発明は、そのような液滴を使用する場合、共有結合したバクテリオファージおよび基材生成物が、化合物が蒸発するように温度および/または圧力の変更された条件に供され、乾燥生成物を生じる方法を含む。これらの方法は、バクテリオファージを水感受性基材に付着させるなど、選択された製造状況で使用できる。特定の実施形態では、基材は超吸収性ポリマーを含む。このようにして、バクテリオファージをそのような基材に付着させる一方で、有害に反応し(例えば、吸収され)、最終生成物の吸収を損傷または低下させる危険性のある水または水溶液を回避する方法を実施することができる。
【0038】
したがって、本発明によっても提供されるのは、バクテリオファージが共有結合している超吸収性ポリマーを含む組成物であり、これは、本発明によって作製することができ、ポリマーは、好ましくは実質的に非湿潤である。組成物の例には、布地、織物、おむつ、おむつ、生理用ナプキン、生理用ナプキン、衣類および下着が含まれる。
【0039】
低密度および高密度の両方の架橋超吸収性ポリマーを含む、すべての超吸収性ポリマーがこれらの組成物に適していると考えられている。ポリアクリレート含有ポリマー、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、およびそれに基づくポリマーが適切である。他の適切なこのようなポリマーは、ポリアクリルアミドコポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、架橋カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールコポリマー、架橋ポリエチレンオキシド、およびポリアクリロニトリルのデンプングラフトコポリマーである。
【0040】
有利には、ポリマーの濡れを回避するように付着を行うことができる。適切には、ポリマーは、ポリマー重量の3倍以下(ポリマー重量の数百倍であり得るこれらのポリマーの容量を念頭に置いて)、好ましくはポリマー重量の1倍以下、好ましくはポリマー重量の50%以下、好ましくはポリマー重量の25%以下、そして非常に好ましくはポリマー重量の10%以下まで液滴の液体を吸収する。
【0041】
本発明の使用において、他の様々なオプションが存在する。方法は、基材を活性化して活性化された基材を液滴と組み合わせるか、または液滴を活性化して活性化された液滴を基材と組み合わせることを含むことができる。基材と液滴との両方を活性化し、それらを組み合わせることがさらなるオプションである。
【0042】
他の場所で述べられているように、本発明は生成物形成の制御を可能にする。それゆえ、方法は、基材に付着したバクテリオファージの数および/または密度を制御するために、所定の濃度のバクテリオファージの懸濁液から調製された所定のサイズの液滴を組み合わせることを含む。適切なバクテリオファージ濃度は、1mLあたり10個~1010の範囲である。
【0043】
粒子と液滴を組み合わせ、それらのサイズを特定の制限内に収まるように制御することが好ましい。それゆえ、この方法は、直径150ミクロンまたはそれ以下の液滴を直径150ミクロンまたはそれ以下の粒子と組み合わせる、好ましくは、体積メジアン直径100ミクロンまたはそれ以下の液滴を質量メジアン直径100ミクロンまたはそれ以下の粒子と組み合わせることを含み得る。これとは別に、この方法は、体積メジアン直径が最大200ミクロンまたは最大100ミクロンまたは最大20ミクロンの液滴を、最大200ミクロンまたは最大100ミクロンまたは最大20ミクロンの質量メジアン直径の粒子と組み合わせることを含み得る。
【0044】
粒子および液滴のそれぞれのサイズが制御されることがさらに好ましい。したがって、方法は、それぞれの直径(液滴の体積平均直径および粒子の質量メジアン直径)の比が1:10~10:1、1:3~3:1、または1:2~2:1である粒子および液滴を組み合わせることを含み得る。実施例で実施された特定の方法では、比率は約1:1であった。
【0045】
液滴ベースの発明の操作において、活性化粒子は一般に限られた数の液滴と組み合わせれ、上記のそれぞれのサイズおよびサイズの比は、生成物の特性、特に粒子あたりのバクテリオファージの数の制御を可能にすることが見出された。粒子に近いサイズのバクテリオファージを含む液滴を使用すると、付着点が基材全体により均一に分布する傾向があり、さらに強化された生成物が得られる。
【0046】
1つまたはそれ以上の他の実施形態と組み合わせて採用することができる本発明のさらに別の実施形態は、組み合わせを促進するように粒子および液滴上の電荷を設計することを含む。それゆえ、方法は、粒子と基材との両方を活性化することを含み、粒子は放電を使用して活性化され、基材は反対に帯電した放電を使用して活性化される。
【0047】
放電は、適切にはコロナ放電、好ましくはパルスまたはパルスフィールドである。負のコロナと正のコロナの両方を使用できる。特定の実施形態では、粒子は負に帯電したコロナ放電を使用して活性化され、液滴は正に帯電したコロナ放電を使用して活性化される。実施例で実施された特定の方法において、負のパルスフィールドコロナ放電で活性化されたサイズ約10ミクロンのポリマー粒子は、正のコロナ放電との接触によって活性化されたサイズ約10ミクロンの液滴と組み合わされた。
【0048】
さらなる実施形態は、粒子を同時に形成および活性化することを含むことを含む。
【0049】
また、本発明によって提供されるのは、液滴ベースの方法を実行するための装置である。装置は、バクテリオファージを含む液滴を作製するための液滴発生器、および液滴を基材と組み合わせる手段を含む。この装置は、(例えば、コロナ放電を介して)液滴を活性化するためのステーションまたは(再び、例えば、コロナ放電を介して)基材を活性化するためのステーションを含むことができる。
【0050】
方法を実行するための特定の装置は、以下を含む:
a)バクテリオファージを含む液滴を発生させるための手段;
b)(i)液滴をプラズマと接触させるための液滴活性化ステーション、または(ii)基材をプラズマと接触させるための基材活性化ステーションと組み合わせてプラズマを発生させるためのプラズマ発生器;および
c)バクテリオファージと基材との間に共有結合を形成するために、プラズマとの接触と同時にまたは接触後に基材とバクテリオファージを組み合わせることができるチャンバー。
【0051】
特定の実施形態の装置は、例えば、液体二酸化炭素の液滴で動作する。それゆえ、このような装置の1つは、室温および20℃で気体である溶媒または溶液の液滴を生成するように適合されている。
【0052】
本発明の1つの装置は、プラズマを発生させて基材を活性化するように適合されたプラズマ発生器を有する。別のものは、バクテリオファージを含む液滴を活性化するためにプラズマを発生させるように適合されたプラズマ発生器を有する。他の実施形態では、プラズマ発生器およびチャンバーは、バクテリオファージおよび基材が組み合わされ、プラズマと接触して、同時に同じチャンバー内で活性化されるように配置される。
【0053】
本明細書で扱われる別の問題は、生成物内に、それらに異なる株のバクテリオファージを共有結合した個々の粒子を含むことである。
【0054】
液滴発明を順次操作することにより、2つのバクテリオファージが確実に付着した生成物を提供することが可能である。したがって、本発明はさらに、異なる株またはタイプの2つのバクテリオファージを単一の基材粒子に共有結合させる方法を提供し、以下を含む:
a)粒子を第1のバクテリオファージと組み合わせる工程であって、組み合わせの前または最中に、粒子またはバクテリオファージ、あるいはその両方を活性化して、第1のバクテリオファージが共有結合している粒子を含む中間生成物を生成する工程;および
b)中間生成物を、第1のバクテリオファージとは異なる株またはタイプの第2のバクテリオファージと組み合わせる工程であって、組み合わせの前または最中に、中間生成物または第2のバクテリオファージ、あるいはその両方を活性化して、第1および第2のバクテリオファージが共有結合している粒子を含む生成物を生成する工程。
【0055】
既知の方法は、バクテリオファージの溶液、またはバクテリオファージの混合物を含む溶液を使用する傾向があった。しかし、得られた生成物は、例えば、溶液中に存在する両方のタイプのバクテリオファージが付着した粒子を確実に提供しなかった。
【0056】
この方法のさらなるオプションにおいて、これらのステップの生成物は、次に、第1および第2とは異なる株またはタイプの第3のバクテリオファージと組み合わされ、組み合わせの前または最中に、生成物または第3のバクテリオファージ、あるいは両方を活性化して、第1、第2および第3のバクテリオファージが共有結合している粒子を含むさらなる生成物を生成する。
【0057】
本方法は、当該技術分野の欠陥を克服し、より均質な生成物を生み出す。この方法を使用して得られる組成物は、異なる株またはタイプの第1および第2のバクテリオファージが共有結合している複数の粒子を含み、粒子の数の少なくとも50%は、少なくとも1つの第1のバクテリオファージおよび少なくとも1つの第2のバクテリオファージを含む。
【0058】
一般に、粒子の数の少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%が、少なくとも1つの第1のバクテリオファージおよび少なくとも1つの第2のバクテリオファージを含む。
【0059】
本明細書に記載されている他の発明の本発明の任意の好ましい実施形態は、2つまたはそれ以上のバクテリオファージが付着した生成物の調製に使用することができる。次に、さらなる実施形態および特徴について説明する。
【0060】
(基材およびファージの組み合わせ)
本発明の一連の例の使用において、基材およびバクテリオファージは、溶液またはスラリーとして、または蒸気または気体の形態で混合チャンバー内に一緒にされる。反応物は、単独でまたは一緒に、混合チャンバー中または混合チャンバー内に入る前にコロナ放電活性化に供され、粒子の乾燥および収集に適したチャンバーに移される。乾燥チャンバーへの排出は、例えば、乾燥した不活性気体の渦を使用して、乾燥された粒子を用いた噴霧(空気圧または機械的)によるものであり得、最終的に回収される。
【0061】
基材およびバクテリオファージは、それぞれが互いに反対の電荷を帯びるように帯電していることが好ましく、コロナ放電活性化に続いてバクテリオファージが粒子の表面にほぼ均等に分布するように、基材およびバクテリオファージが互いに引き付けられて分布される。
【0062】
本発明は、バクテリオファージを基材(ビーズ、粉末または他の粒子)に共有結合させるためのプロセスを提供し、エレクトロスプレー法によって作製された粒子などの基材の製造中に、ファージが粒子に付着する前に溶媒が蒸発させられる。
【0063】
本発明の方法の一例では、ファージ粒子は、基材の粒子に共有結合している。これは、気体の流動流に設定されたサイズの粒子を同伴し、気体の第2の流動流にファージを含む設定されたサイズの液体の液滴を同伴することによって達成される。コロナ放電を使用して同伴粒子および/または液滴を処理し、気体流を組み合わせると、液滴と粒子が一緒になり、ファージが粒子に共有結合するようになる。このように結合されているファージは、それらの感染力を保持する。ファージが粒子に共有結合した後、粒子は回収され、必要に応じて乾燥される。
【0064】
本発明の方法は、ファージが粒子に共有結合する分布および頻度の一貫性に関して、ファージの基材粒子への共有結合の以前の方法に対する改善を表す。粒子サイズに実質的に一致するように、例えば、約4:1から1:4、好ましくは1:3から3:1の直径比内で、液滴サイズを一致させることにより、粒子の表面全体にファージがより均一に分布するようになる。さらに、液体中のファージの濃度は、個々の粒子に結合したファージの数を正確に制御するように設定され得る。
【0065】
本発明の実施形態では、装置を通して粒子を同伴および運搬するために気体流れが使用され、それによって、それはコロナ放電への曝露によって処理され、したがって活性化される。すなわち、粒子の表面は、短命であるが、接触する分子と共有結合を非常に形成し易くなるフリーラジカルを含む。第2の気体流は、バクテリオファージ(ファージ)を含む液体の液滴を装置を通して同伴および運ぶために使用され、この液滴はコロナ放電への曝露によって処理され、したがって活性化するようにもなる。液滴は、ファージ溶液を同伴気体流に噴霧することによって形成される。
【0066】
液滴は、好ましくは水性であるが、液体二酸化炭素または揮発性有機溶媒などの別の液体を含み得る。粒子および液滴を同伴するために使用される気体は、好ましくは空気であるが、窒素、水素またはアルゴンなどの他の気体を使用することができる。
【0067】
次に、活性化された物質が同伴される2つの気体流が組み合わされ、それによって粒子と液滴が互いに接触する。この接触により、ファージは粒子に共有結合する。コロナ放電による処理の活性化効果は非常に短命であるため、気体流に同伴される物質は、コロナ放電処理の1秒以内に適切に組み合わされる。
【0068】
正または負のコロナ放電を使用して、粒子または液滴を処理することができる。正のコロナ放電は処理された物質に正の電荷を与え、負のコロナ放電は負の電荷を与える。同様に帯電した物質の粒子と液滴は互いに反発するため、粒子と液滴は通常、さまざまなタイプのコロナ放電を使用して処理される。しかし、粒子または液滴のいずれかを未処理のままにすることを含め、コロナ放電処理のすべての組み合わせが可能である。
【0069】
好ましくは、粒子は負のコロナ放電を使用して処理され、液滴は正のコロナ放電を使用して処理される。本発明者らによって実施された例では、これは良好な結果をもたらした。
【0070】
この処理パターンの利点には、少なくとも、コロナ放電処理された粒子がコロナ放電処理された液滴に静電的に引き付けられるが、他の処理された粒子によって反発され、同様に、処理された液滴が互いに反発される方法が含まれる。
【0071】
液滴および粒子を同伴する気体の流量は、コロナ放電処理の活性化効果の効率、したがってファージの粒子への付着の効率を最適化するように調整することができる。
【0072】
次に、ファージが共有結合した粒子が気体流から収集され、液滴から残っている液体が除去される。好ましくは、液体は、収集前に気体流中で気化するであろう。ファージを含む液滴に揮発性溶媒を使用することの特定の利点は、処理された粒子が気体流に同伴されている間に処理された粒子を比較的容易に乾燥できるため、乾燥プロセスがより迅速であり、単純化されることである。気体の経路とその流量は、粒子を乾燥させるプロセスを最適化するために適切に調整される。
【0073】
本発明のさらなる要素は、それらに共有結合したファージを有する粒子が、別のタイプまたは複数のタイプのファージを粒子に共有結合させるために、同様のプロセスによって1回またはそれ以上の回数再処理できることである。このようにして、均一に分布し、明確に定義されたファージの集団を有する粒子を生成することができる。
【0074】
本発明の特定の実施形態は、以下の要素を使用する:
(i)粒子およびファージを含む液体の液滴を同伴するための2つの気体流を形成するためのノズルまたはインジェクターであって、それぞれが定義されたサイズであり、気体の流量および経路が装置の効率を最適化するように調整可能である、ノズルまたはインジェクター;
(ii)粒子を気体流に導入し、コロナ放電でそれらを処理する装置;これは、変位プラズマ粉体コーティングガンを適合させることによって提供される場合がある。このような装置は、大量のイオン化気体を生成するために使用されるコロナ放電電極を備える。この体積のイオン化気体は、電極間の空間で形成されるが、電極間の空間の体積を通って移動する気体の流れによって、電極間のこの位置から変位する。気体に同伴された粒子は、この量のイオン化気体に導入され、それによってコロナ放電が活性化される可能性がある。
【0075】
このように変位された量のイオン化気体を使用して粒子を処理するコロナ放電には、処理される粒子の加熱が少ないという利点がある。粒子の材料に応じて、これにより、たとえば、融合または溶融の影響を受けにくくなることにより、粒子の形状をより良く保つことができる。さらに、粒子を処理するために使用される量の気体を変位させることは、電極間を移動する必要なしに粒子を処理できることを意味する。電極間を移動する粒子は、しばしば逸脱して電極に融合するため、粒子が破壊され、電極の効率が低下する。これらおよび他の実施形態の装置は、この欠点を回避する。また、電極間からその体積のイオン化気体を変位させるために使用される気体の流れは、粒子を同伴するために使用される気体の流れと同じであり得る。したがって、装置の操作を単純化することができ、それに応じてより少ない量の気体を使用することができる。
【0076】
電極から生成されるコロナ放電は一定であってもよいが、好ましくはパルス化される。パルスフィールドコロナ放電には、処理中の粒子の加熱が少なく、したがって処理された粒子が溶融または融合するリスクが低減されるという利点がある。
【0077】
定義されたサイズのファージを含む液体の液滴は、ノズルから噴霧することによって生成され得る。次に、これらの液滴を気体流に同伴し、上記の粒子と同じ方法でコロナ放電によって処理することができる。
【0078】
特定の実施形態では、液滴は、ファージ含有溶液を静電噴霧器のノズルに通すことによって生成される。これには、定義されたサイズの液滴のスプレーを生成すると同時に、これらの液滴を気体流に同伴する前に静電的に(コロナ放電)活性化するという利点がある。したがって、粒子と組み合わされる液滴は、この装置を使用することによって、簡単に、正確にかつ効率的に生成される。
【0079】
この装置はまた、気体流が組み合わされてコロナ放電処理された粒子および液滴を一緒にするチャンバーまたは空間を含む。ファージを粒子に結合する反応が完了すると、気体流の長さは、ファージ結合粒子を十分遠くまで運ぶように調整され、液滴からの液体は、粒子がまだ気体流に同伴される間かつ収集エリアに到達する前に、蒸発によって粒子から除去される。あるいは、収集後に液体を粒子から除去し得る。
【0080】
(直列の装置)
ファージが共有結合している粒子を製造するための装置は、直列に設置され得る。1つの例では、反応チャンバーからの活性化された粒子生成物は、バクテリオファージの付着のために下流のチャンバーに移される。別の場合では、順序が逆になる。反応チャンバーからのバクテリオファージ液滴生成物は、活性化された粒子に付着するために下流のチャンバーに移される。同様の配置を適用してフィラメントを活性化することができる:フィラメント状の材料は、(例えば、コロナ放電による)活性化がバクテリオファージの導入直前に発生するような連続的なスプーリングによって反応チャンバーに導入される。
【0081】
(溶液中の基材)
ポリマーまたは他の基材が溶液中にある場合、好ましい実施形態は3段階プロセスを含み、最初に帯電した液滴がガス乾燥され、最初の液滴生成フィールドと同じ極性のコロナフィールドを通過し、粒子ごとに結合しかつ反対の電荷を持つバクテリオファージの所望の数を与えるサイズでバクテリオファージの懸濁液の液滴と混合される。これに続いて、乾燥が行われ、中性の最終生成物が収集される。
【0082】
(溶媒無しの基材)
初期の粒子生成におけるポリマーまたは他の材料が溶融形態(溶液ではない)である場合、1実施形態は、バクテリオファージまたは他の懸濁液からの反対の電荷の粒子と混合される粒子を生成するためのコロナ生成電圧範囲の電気スプレーフィールドを含む。実施形態では、バクテリオファージまたは他の粒子は、ポリマーの粒子と組み合わせる前に乾燥される。一般に、バクテリオファージ懸濁液の溶媒は、水、水性有機溶媒、または液体COなどの液体ガスであり得る。
【0083】
(粒子の調製およびスプレー)
従来の機械的スプレーシステムおよび電気スプレーは、液滴のノズルからの制御された出現に基づいて、本発明で使用するための粒子または微粒子の生成に使用することができる。各液滴は、所望の粒子を形成する溶液に懸濁された材料を含む。液滴の液体が蒸発すると、その中に浮遊している微粉末が密集したクラスターを形成する。溶液から生成された液滴の場合、残りの物質は結晶化して固体粒子を形成する傾向があり、そのような粒子のサイズは、溶解または懸濁した物質の濃度を変えることによって制御することができる。
【0084】
電気スプレー(電気流体力学的スプレー)は、電気力による液体噴霧の方法である。電気スプレーでは、ノズルを高い電位(例えば、3~30kV)に維持することにより、ノズルの出口にある液体に電気的せん断応力がかかる。電気スプレーの利点は、液滴を非常に小さくすることができ、液滴の電荷とサイズを、ノズルに印加される流量と電圧とを調整することによって制御できることである。さらに、電気スプレーには、液滴が誘導によって帯電する従来の機械的スプレーシステムに比べて追加の利点がある:(1)液滴は、従来の機械的アトマイザーから得られるサイズよりも小さく、1μmより小さくすることができる;(2)液滴のサイズ分布は通常狭く、標準偏差は低い;(3)帯電した液滴は空間内で自己分散する;そして(4)帯電した液滴の動きは、電界によって簡単に制御できる(たわみや集束を含む)。
【0085】
電気スプレープロセスは、Hayatiら[1,2]、CloupeauとPrunet-Foch[3,4]、GraceとMarijnisen[5]、JaworekとKrupa[6,7]、Schultze[8]、ShoreyとMichelson[9]、Mutohrら[10]、およびSmith[11]によってレビューおよび要約されており、液体について、電気力によって液体を噴霧できる物理的パラメータの範囲(主にその電気伝導率の値)が決定されている。
【0086】
本発明で使用するために、電気スプレーによる固体粒子生成のプロセスは、所与の条件で発生する液滴のサイズおよびそれらの放出の頻度に関して適切である。液滴はまた、電界の存在下での機械的な力による噴霧の過程で帯電し得る。コーンジェットモードでので電気スプレーによって生成される液滴は、1μmまで小さくすることができ、このサイズの水滴の場合、比電荷は14C/kgとすることができる。誘導による帯電で機械的に発生した液滴は、電気スプレーによって生成されたものよりも1桁少ないレベルまで帯電するが、大量の液体を使用する場合は、機械的噴霧法が使用され得る。制御されたサイズの液滴が必要とされる場合、機械的または電気的方法のいずれかによる液体ジェットの同期励起が使用され得る。ジェット励起には、ノズル出口の近くの液体容器に配置された圧電トランスデューサが用いられ得る。ジェット励起の機械的方法の場合、DCバイアス電圧に重ね合わせたパルス電圧またはAC電圧を印加すると、AC周波数と液体体積流量の両方を制御することにより、液滴サイズを制御し、必要な平均サイズの液滴を生成できる。電気スプレーによって発生した液滴からの溶媒蒸発によっても、微粒子の生成が可能である。
【0087】
本発明の特定の方法および装置の操作において、コロナ活性化場の最初の作用は、材料表面上にフリーラジカルを生成させ、その後、より安定した親水性基に急速に崩壊することである。粒子とバクテリオファージとの間に共有結合を生成するために、本発明は、バクテリオファージを処理された表面と迅速に(通常1秒未満で)接触させることを可能にし、その結果、フリーラジカルベースの反応が起こり、共有結合形成をもたらすことができる。これは、これまで、懸濁液中のバクテリオファージを様々な手段によってフィルム表面に迅速に適用することができるフィルム表面で達成されてきたが、これが粉末および類似の粒子で効率的かつ制御可能になったのは本発明による。本発明は、活性化された粉末(粒子)を作製および収集/誘導し、それをバクテリオファージ(または他の粒子)と接触させるために、より短い時間で操作することができる。
【0088】
(本発明の特定のシステム)
本発明のシステムは、粒子およびスプレーガンを含み、圧縮空気噴霧器(例えば、粒子(粒子サイズから粉末とも呼ばれる)に電荷(代表的には正電荷)を与える静電ガンまたはコロナガン)などの荷電粒子のスプレーを生成する。粉末は通常、装置のホッパーに含まれ、放出時に粒子を帯電させる静電スプレーガンを通過する。
【0089】
通常30~100kVの可変電圧を供給するように指定されている高電圧発生器は、通常、粉末供給ホッパーとスプレー装置のすぐ近くに配置される。
【0090】
したがって、典型的な静電粒子発生システムは、以下を含む:
・粉末ホッパー
・ホッパーからガンに粉末を輸送するための、制御された湿度の圧縮空気の供給源
・高電圧発電機(代表的には30~100kV)
・次であり得る粉末アプリケーションガン:
・手動
・自動で、静的、往復式または揺動式のいずれか。
・必要に応じて、特別に設計されたユニットであって、余分な粉末を空気流によって除去して、以下を含む回収ユニットに送ることができるユニット:
・以下からなり得る回収ユニット:
・サイクロンユニット
・バッグまたはフレームフィルター、あるいは
・両方の組み合わせ。
・荷電粒子をバクテリオファージを含む液滴と組み合わせるためのチャンバー。
【0091】
(ナイロン粒子への固定化)
以下の実施例により詳細に記載される装置を用いる本発明の特定の実施形態の使用において、ナイロン6ポリマーの粉末粒子が電気スプレーシステムによって生成され、正のコロナ放電によって活性化された。活性化された粉末は、平行式の電気スプレー装置からの出力と直ちに混合され、直径約50ミクロンのバクテリオファージ懸濁液の負に帯電した液滴を生成した。粒子を空気流で乾燥させ、標準的なプラークアッセイでバクテリオファージ活性をテストした。このアッセイでは、活性ファージがナイロン粒子に付着していることが確認された。
【0092】
(特定の実施形態)
上記から明らかなように、本発明は、とりわけ、以下の実施形態を提供する。
【0093】
1.バクテリオファージを基材に共有結合させる方法であって、
2つの電極間にプラズマを発生させる工程;
電極間に流体を流し、プラズマまたはプラズマの一部を、電極間ではなく変位ゾーンに変位させる工程;および
(i)基材が電極間を通過することなく変位ゾーンのプラズマに基材を導入して、基材をバクテリオファージと組み合わせる工程、または(ii)バクテリオファージが電極間を通過することなく変位ゾーンのプラズマにバクテリオファージを導入して、バクテリオファージを基材と組み合わせる工程;
を含む、方法。
【0094】
2.変位ゾーンのプラズマに基材を導入して基材を活性化する工程、および活性化された基材をバクテリオファージと組み合わせて、基材に共有結合したバクテリオファージを生成する工程を含む、実施形態1に記載の方法。
【0095】
3.バクテリオファージを変位ゾーンのプラズマに導入してバクテリオファージを活性化する工程、および活性化バクテリオファージを基材と組み合わせて、基材に共有結合したバクテリオファージを生成する工程を含む、実施形態1に記載の方法。
【0096】
4.バクテリオファージと基材との両方を変位ゾーンのプラズマに導入して両方を活性化する工程、および活性化した基材を活性化バクテリオファージと組み合わせて基材に共有結合したバクテリオファージを生成する工程を含む、実施形態1に記載の方法。
【0097】
5.基材を静止状態に保持する工程、および変位ゾーンを基材に対して移動させる工程を含む、任意の先の実施形態による方法。
【0098】
6.基材の表面を横切って変位ゾーンを移動させる工程を含む、実施形態5に記載の方法。
【0099】
7.バクテリオファージを表面に適用する工程、およびバクテリオファージが適用された基材の表面を横切って変位ゾーンを移動させる工程を含む、実施形態6に記載の方法。
【0100】
8.流体が気体である、任意の先の実施形態による方法。
【0101】
9.プラズマが電極間の放電によって形成される、任意の先の実施形態による方法。
【0102】
10.放電がコロナ放電である、実施形態9に記載の方法。
【0103】
11.放電がパルスフィールドコロナ放電である、実施形態9または10に記載の方法。
【0104】
12.基材が粒子を含む、任意の先の実施形態による方法。
【0105】
13.バクテリオファージが液滴中の懸濁液として提供される、任意の先の実施形態による方法。
【0106】
14.液滴が直径150ミクロンまたはそれ以下である、実施形態13に記載の方法。
【0107】
15.実施形態1から14のいずれかの方法を実施するための装置。
【0108】
16.基材に共有結合したバクテリオファージのための、実施形態15に記載の装置であって、
(a)第1および第2の電極、ならびに電極間にプラズマを生成するためのプラズマ発生器;
(b)電極間に流体の流れを導入するための圧力下の流体の供給部に接続された第1の導管であって、流体の流れがプラズマまたはプラズマの一部を電極間にない変位ゾーンに変位させる、第1の導管;
(c)バクテリオファージまたは基材を電極間を通過せずに変位ゾーンに導入するためのバクテリオファージまたは基材の供給部に接続された第2の導管;
(d)バクテリオファージと基材とを組み合わせてバクテリオファージを基材に共有結合させるチャンバー;
を含む、装置。
【0109】
17.第2の導管がバクテリオファージを変位ゾーンに導入するためのものであり、基材を変位ゾーンに導入するための第3の導管をさらに含み、バクテリオファージと基材とが変位ゾーンで組み合わされる、実施形態16に記載の装置。
【0110】
18.パルスフィールドコロナ放電を生成するためのプラズマ発生器を含む、実施形態15から17のいずれかに記載の装置。
【0111】
19.第2の導管が、バクテリオファージを液滴中の懸濁液として変位ゾーンに導入するための、液体中の懸濁液中のバクテリオファージの供給部に接続されている、実施形態15から18のいずれかに記載の装置。
【0112】
20.バクテリオファージを基材に共有結合させる方法であって、
(a)(i)基材を(ii)バクテリオファージと組み合わせる工程であって、組み合わせの前または最中に、(i)または(ii)、あるいは(i)と(ii)の両方が活性化され、そして
(b)組み合わせ中、バクテリオファージは液滴内に含まれる、工程
を含む、方法。
【0113】
21.液滴が平均直径150ミクロンまたはそれ以下である、実施形態20に記載の方法。
【0114】
22.液滴が平均直径100ミクロンまたはそれ以下である、実施形態21に記載の方法。
【0115】
23.基材が平均直径500ミクロンまたはそれ以下の粒子を含む、任意の先の実施形態による方法。
【0116】
24.基材が平均直径200ミクロンまたはそれ以下の粒子を含む、任意の先の実施形態による方法。
【0117】
25.液体が水性である、実施形態20から24のいずれかに記載の方法。
【0118】
26.液体が水である、実施形態25に記載の方法。
【0119】
27.液体が非水性である、実施形態20から24のいずれかに記載の方法。
【0120】
28.液体が、大気圧および20℃にて気体である化合物であるかまたはその化合物を含み、この方法が、化合物が液滴を形成するような温度および圧力の条件下で実施される、実施形態27に記載の方法。
【0121】
29.共有結合したバクテリオファージおよび基材生成物が、化合物が蒸発するように温度および/または圧力の改変された条件に供され、乾燥生成物を生じる、実施形態28に記載の方法。
【0122】
30.バクテリオファージを水感受性基材に付着させるための、実施形態20から29のいずれかに記載の方法。
【0123】
31.基材が超吸収性ポリマーを含む、実施形態30に記載の方法。
【0124】
32.基材を活性化する工程、および活性化された基材を液滴と組み合わせる工程を含む、実施形態20から31のいずれかに記載の方法。
【0125】
33.液滴を活性化する工程、および活性化された液滴を基材と組み合わせる工程を含む、実施形態20から32のいずれかに記載の方法。
【0126】
34.基材と液滴の両方を活性化する工程、およびそれらを組み合わせる工程を含む、実施形態20から33のいずれかに記載の方法。
【0127】
35.基材に付着したバクテリオファージの数および/または密度を制御するために、所定の濃度のバクテリオファージの懸濁液から調製された所定のサイズの液滴を組み合わせる工程を含む、実施形態20から34のいずれかに記載の方法。
【0128】
36.質量メジアン直径1~200ミクロンの液滴を質量メジアン直径1~200ミクロンの粒子と組み合わせる工程を含む、実施形態20から35のいずれかに記載の方法。
【0129】
37.直径100ミクロンまたはそれ以下の液滴を直径100ミクロンまたはそれ以下の粒子と組み合わせる工程を含む、実施形態36に記載の方法。
【0130】
38.液滴および粒子のそれぞれの直径の比が1:3~3:1である、実施形態36または37に記載の方法。
【0131】
39.粒子と基材の両方を活性化する工程であって、粒子が放電を使用して活性化され、基材が反対に帯電した放電を使用して活性化される工程を含む、実施形態20から38のいずれかに記載の方法。
【0132】
40.放電がコロナ放電である、実施形態39に記載の方法。
【0133】
41.負に帯電したコロナ放電を使用して粒子を活性化する工程と、正に帯電したコロナ放電を使用して液滴を活性化する工程とを含む、実施形態40に記載の方法。
【0134】
42.粒子を同時に形成かつ活性化する工程を含む、実施形態20から41のいずれかに記載の方法。
【0135】
43.実施形態20から42のいずれかの方法を実施するための装置。
【0136】
44.バクテリオファージを基材に共有結合させるための、実施形態43に記載の装置であって、
(a)バクテリオファージを含む液滴を発生させるための手段;
(b)(i)液滴活性化ステーションと組み合わせてプラズマを発生させて(a)の液滴をプラズマと接触させるためのプラズマ発生器、または(ii)基材活性化ステーションと組み合わせてプラズマを発生させて基材をプラズマと接触させるためのプラズマ発生器;および
(c)バクテリオファージと基材との間に共有結合を形成するために、プラズマとの接触と同時にまたは接触後に基材とバクテリオファージとを組み合わせることができるチャンバー;
を含む、装置。
【0137】
45.バクテリオファージを含む室温および20℃にて気体である溶媒または溶液の液滴を生成するように適合された、実施形態44に記載の装置。
【0138】
46.b(ii)のプラズマ発生器が、基材を活性化するためのプラズマを発生させるように適合されている、実施形態44または45に記載の装置。
【0139】
47.b(i)のプラズマ発生器が、バクテリオファージを含む液滴を活性化するためのプラズマを発生させるように適合されている、実施形態44または45に記載の装置。
【0140】
48.バクテリオファージおよび基材が組み合わされ、プラズマと接触して、同時に同じチャンバー内で活性化されるように、プラズマ発生器およびチャンバーが配置される、実施形態44または45に記載の装置。
【0141】
49.基材が平均直径500ミクロンまたはそれ以下の粒子を含む、実施形態44から48のいずれかに記載の装置。
【0142】
50.異なる株またはタイプの2つのバクテリオファージを単一の基材粒子に共有結合させる方法であって、
(a)粒子を第1のバクテリオファージと組み合わせる工程であって、組み合わせの前または最中に、粒子またはバクテリオファージ、あるいはその両方を活性化して、第1のバクテリオファージが共有結合している粒子を含む中間生成物を生成する工程;および
(b)(a)の中間生成物を、第1のバクテリオファージとは異なる株またはタイプの第2のバクテリオファージと組み合わせる工程であって、組み合わせの前または最中に、中間生成物または第2のバクテリオファージ、あるいはその両方を活性化して、第1および第2のバクテリオファージが共有結合している粒子を含む生成物を生成する工程;
を含む、方法。
【0143】
51.生成物を、第1および第2に対して異なる株またはタイプの第3のバクテリオファージと組み合わせる工程であって、組み合わせの前または最中に、生成物または第3のバクテリオファージ、あるいはその両方を活性化して、第1、第2および第3のバクテリオファージが共有結合している粒子を含むさらなる生成物を生成する工程を含む、実施形態50に記載の方法。
【0144】
52.基材またはバクテリオファージまたは中間生成物が、放電によって工程aおよびbで活性化される、実施形態50または51に記載の方法。
【0145】
53.異なる株またはタイプの第1および第2のバクテリオファージが共有結合している複数の粒子を含む組成物であって、粒子の数の少なくとも50%が少なくとも1つの第1のバクテリオファージおよび少なくとも1つの第2のバクテリオファージを含む、組成物。
【0146】
54.粒子の数の少なくとも60%が、少なくとも1つの第1のバクテリオファージおよび少なくとも1つの第2のバクテリオファージを含む、実施形態53に記載の組成物。
【0147】
55.粒子の数の少なくとも70%が、少なくとも1つの第1のバクテリオファージおよび少なくとも1つの第2のバクテリオファージを含む、実施形態53に記載の組成物。
【0148】
本発明は、添付の図面を参照して説明される。
【実施例
【0149】
(実施例1)
装置を、バルク生成物の製造のために、バクテリオファージ(および他の分子)を粒子およびフィラメントの活性化された表面に固定化するために設計した。この装置は、材料、特に粒子のコロナ活性化、およびバクテリオファージまたは他のウイルスおよび物質との反応が非常に迅速にかつ誘導されたフリーラジカルの寿命内に起こることを可能にするように設計した。
【0150】
図1を参照すると、これは、誘導電極と液体ノズルとの間にコロナを生成する高電圧供給部を含む基本的な電気スプレーシステムを示し、動作中に、活性化されたかつバクテリオファージへの共有結合の準備ができたポリマー粒子の流れを生成する。
【0151】
図2は、図1の粒子活性化剤が反対の極性を持つ第2の液体摂取とどのように統合されているかを示す。
【0152】
入口Aを介して、適切な濃度と十分な電界でバクテリオファージ懸濁液を導入し、出現する液滴を負に帯電させる。並行して、入口Bを介してポリマー溶液を導入し、電気スプレーノズルから放電して、バクテリオファージを含む液滴の近くに正に帯電した液滴を形成する。
【0153】
動作中、粒子表面を、電気スプレーノズルからの出現時にコロナ放電によって活性化させ、反対に帯電した粒子/液滴との組み合わせおよび固定化(共有結合)を反応チャンバー内で発生させる。反応チャンバーを通る乾燥ガスの流れは、粒子の輸送と収集とを容易にする。
【0154】
(実施例2)
バクテリオファージを粒子に固定化するための第2の装置を、材料、特に粒子のコロナ活性化、およびバクテリオファージまたは他のウイルスおよび物質との反応が非常に迅速にかつ誘導されたフリーラジカルの寿命内に起こることを可能にするように同様に設計した。
【0155】
図3に概略的に示されている第2の装置では、電気スプレーシステムを使用した粒子生成が2次コロナステージと組み合わされている。
【0156】
2次コロナステージは同じ極性を持ち、不活性ガスを使用した粒子の流れを利用するように配置されている。第2のスプレーノズルを、反対の極性を有するバクテリオファージ液滴の生成およびバクテリオファージ液滴の混合チャンバーへの導入のために使用する。帯電したバクテリオファージ液滴を反対の荷電ポリマー液滴と混合すると、1秒未満で迅速な接触と組み合わせが起こり、共有結合を形成する。
【0157】
(参考文献)
[1] I. Hayati, A.l. Bailey, T.F. Tadros, Investigations into the mechanisms of electrohydrodynamic spraying of liquids. Pt. I. Effect of electric field and the environment on pendant drop and factors affecting the formation of stable jets and atomisation, J. Colloid Interface Sci. 117 (1) (1987), pp205-221.
[2] I. Hayati, A.l. Bailey, T.F. Tadros, Investigations into the mechanisms of electrohydrodynamic spraying of liquids. Pt. II. Mechanism of stable jet formation and electrical forces acting on a liquid cone, J. Colloid Interface Sci. 117 (1) (1987), pp222-230.
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図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】