IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフトの特許一覧

特表2022-507981動く歩道のパレットベルト用コンベヤチェーンの取付方法
<>
  • 特表-動く歩道のパレットベルト用コンベヤチェーンの取付方法 図1
  • 特表-動く歩道のパレットベルト用コンベヤチェーンの取付方法 図2
  • 特表-動く歩道のパレットベルト用コンベヤチェーンの取付方法 図3
  • 特表-動く歩道のパレットベルト用コンベヤチェーンの取付方法 図4a
  • 特表-動く歩道のパレットベルト用コンベヤチェーンの取付方法 図4b
  • 特表-動く歩道のパレットベルト用コンベヤチェーンの取付方法 図4c
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】動く歩道のパレットベルト用コンベヤチェーンの取付方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 23/02 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
B66B23/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021529403
(86)(22)【出願日】2019-10-25
(85)【翻訳文提出日】2021-06-22
(86)【国際出願番号】 EP2019079258
(87)【国際公開番号】W WO2020108895
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】18208432.7
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040729
【氏名又は名称】インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プラクスマーラー,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】クレーバイン,ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】シュトライビヒ,クルト
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321AA01
3F321CA25
(57)【要約】
動く歩道(1)のパレットベルト(3)用コンベヤチェーン(5)の取付方法、およびコンベヤチェーン(5)が提案される。(i)接続要素(39)が、コンベヤチェーン(5)の延在方向(17)に平行に前後に配置され、(ii)各接続要素(39)が、第1の端部(41)において、2部品チェーンピン(37)のうち関連する第1の2部品チェーンピン(37)へと連結され、かつ各接続要素(39)が、第2の端部(43)において、2部品チェーンピン(37)のうち関連する第2の2部品チェーンピン(37)へと連結され、第1の2部品チェーンピンと第2の2部品チェーンピン(37)との間の接続要素の間隔距離(T2)がチェーンの間隔距離(T1)の整数倍であるように、提供されるパレット(7)を締結する細長接続要素(39)は、連結プロセスにおいて互いにおよび互いに連結されるチェーンリンク(27)へと連結される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動く歩道(1)のパレットベルト(3)用コンベヤチェーン(5)の取付方法であって、
コンベヤチェーン(5)の延在方向(17)において前後にチェーンの間隔距離(T1)で配置される、複数の細長チェーンリンク(27)を提供する工程であって、延在方向(17)において隣接する2つのチェーンリンク(27)は、チェーンピン(35、37)によって接合面(33)における張力に関して一緒に応力をかけられ、チェーンピン(35、37)の中心長手方向軸線(M)を中心として延在方向(17)に対して横断方向に互いに枢動可能に連結される、コンベヤチェーン(5)の延在方向(17)において、前後にチェーンの間隔距離(T1)で配置される複数の細長チェーンリンク(27)を提供する工程を備え、
第1のチェーンピン部品(36)および第2のチェーンピン部品(38)を有する、2部品の設計を有する少なくとも1つのチェーンピン(37)が使用されることを特徴とし、
パレット(7)が取り付けられることができる複数の細長接続要素(39)を提供し、
連結プロセスにおいて接続要素(39)を互いにおよびチェーンリンク(27)へと連結する工程であって、
-接続要素(39)が、コンベヤチェーン(5)の延在方向に平行に、前後に配置され、
-各接続要素(39)が、第1の端部(41)において、チェーンリンク(27)を連結する2部品チェーンピン(37)のうち関連する第1のチェーンピン(37)へと連結され、第2の端部(43)において、各接続要素(39)が、チェーンリンク(27)を連結する2部品チェーンピン(37)のうち関連する第2のチェーンピン(37)へと連結され、第1の2部品チェーンピンと第2の2部品チェーンピンとの間の接続要素の間隔距離(T2)は、チェーンの間隔距離(T1)の整数倍であり、
-接続要素(39)が、2部品チェーンピン(37)の中心長手方向軸線(M)を中心として、延在方向(17)に対して横断方向に枢動されることができるように、2部品チェーンピン(37)へと連結される工程をさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
延在方向(17)において隣接する2つの接続要素(39)が互いにオーバーラップするように配置され、2つの接続要素(39)のうち前方の接続要素の第2の端部(43)および2つの接続要素(39)のうち後方の航続要素の第1の端部(41)が、共通の2部品チェーンピン(37)へとそれぞれ連結され、共通する2部品チェーンピン(37)の第1のチェーンピン部品(36)が、2つの接続要素(39)のうち前方の接続要素の第2の端部(43)へと連結され、共通する2部品チェーンピン(37)の第2のチェーンピン部品(38)が、2つの接続要素(39)のうち後方の接続要素の第1の端部(41)へと連結される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各接続要素(39)の第1の端部(41)が、枢動可能にかつ共軸線方向に位置づけられる方法において、それぞれの第1のチェーンピン(37)へと連結されることができ、各接続要素(39)の第2の端部(43)が、枢動可能にそれぞれの第2の2部品チェーンピン(37)へと連結されることができ、所定の距離(d)を越えて直線状に移動可能に延在方向(17)において案内されることができ、
連結プロセス中、接続要素(39)の少なくとも1つが、軸線方向において移動させることにより、第2の端部(43)を用いて、それぞれの第1の2部品チェーンピン(37)の関連する第1のチェーンピン部品(36)へと連結され、続いて、第1の端部(41)が、第2のチェーンピン部品(38)をそれぞれの第2の2部品チェーンピン(37)の第1のチェーンピン部品(36)へとしっかりと接続することにより、それぞれの第2の2部品チェーンピン(37)の関連する第2のチェーンピン部品(38)へと連結される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
接続要素(39)が、第1の端部および第2の端部(41、43)の両方に通過開口部(45、47)を有し、連結された状態で、それぞれ関連するチェーンピン(37)を有するそれぞれの2部品チェーンピン(37)が、前記通過開口部(45、47)を通って延在する、請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
接続要素(39)の第1の端部(41)が、摺動要素(51)を介して関連する2部品チェーンピン(37)上にそれぞれ保持され、接続要素(39)の軸線方向移動前に、摺動要素(51)が関連する2部品チェーンピン(37)上に配置され、接続要素(39)の軸線方向移動中に、接続要素(39)の対向する表面と関連する2部品チェーンピン(37)との間に介挿される、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
接続要素(39)の第2の端部(43)が、関連する2部品チェーンピン(37)上にブシュ(53)によって保持され、ブシュ(53)が、接続要素(39)の軸線方向移動中に、接続要素(39)の通過開口部(45)と、関連する2部品チェーンピン(37)との間に介挿される、請求項2~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
連結プロセス後に、各接続要素(39)が、軸線方向において着脱可能な締結要素(63)によって、その端部(41、43)のそれぞれと、それぞれ関連する2部品チェーンピン(37)とが締結されることができる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
差し込み可能な構造体(49)が、第1のチェーンピン部品(36)と第2のチェーンピン部品(38)との間に提供され、第2のチェーンピン部品(38)が、取付け中に第1のチェーンピン部品(36)と組み立てられることができる、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
インターロック方式でおよび/または一体接着方式において、第2のチェーンピン部品(38)に対して、第1のチェーンピン部品(36)の回転を防止する回転止め手段(48)が、第1のチェーンピン部品(36)と第2のチェーンピン部品(38)との間に、組立て後に提供される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項2~9のいずれか一項に記載の方法によって取り付けられた、コンベヤチェーン(5)の接続要素(39)の取換方法であって、方法は、
取り換えられる接続要素(39)に関連する第2の2部品チェーンピン(37)の第2のチェーンピン部品(38)を取り外し、取り換えられる接続要素(39)の第2の端部を解放するために、取り換えられる接続要素(39)に続く接続要素(39)を枢動し、続いて第1の端部(41)および第2の端部(43)を軸線方向において関連するチェーンピン(37)から取り外すことにより、取り換えられる接続要素(39)を切り離すことと、
これにより着脱された接続要素(39)と、取換接続要素を取り換えることと、
関連する第1の2部品チェーンピンおよび第2の2部品チェーンピン(37)上へと軸線方向において押圧することにより、取換接続要素を連結し、続いて、続く接続要素(39)を枢動することにより、および第2のチェーンピン部品(38)を、第2の関連する2部品チェーンピン(37)の第1のチェーンピン部品(36)へと強固に接続することにより、続く接続要素(39)と、取換接続要素に関連する第2の2部品チェーンピン(37)と、を連結することと、
を備える方法。
【請求項11】
動く歩道(1)用パレットベルト(3)の取付方法であって、
請求項1~9のうちいずれか一項によって第1のコンベヤチェーンおよび第2のコンベヤチェーン(5)を取り付けることと、
2つのコンベヤチェーン(5)を互いに平行に配置することと、
複数のパレット(7)を2つのコンベヤチェーン(5)へと取り付けることであって、パレット(7)がコンベヤチェーン(5)の延在方向(17)において前後に配置される、複数のパレット(7)を2つのコンベヤチェーン(5)へと取り付けることと、
を備え、
各パレット(7)が、第1の横方向端部で第1のコンベヤチェーン(5)の接続要素(39)のうち一方に、および対向する第2の横方向端部で第2のコンベヤチェーン(5)の接続要素(39)のうち一方に締結される、方法。
【請求項12】
動く歩道(1)のパレットベルト(3)用のコンベヤチェーン(5)であって、コンベヤチェーン(5)の延在方向(17)において、前後にチェーンの間隔距離(T1)で配置される複数の細長チェーンリンク(27)であって、延在方向(17)において隣接する2つのチェーンリンク(27)は、チェーンピン(35、37)によって接合面(33)における張力に関して一緒に応力をかけられ、チェーンピン(35、37)の中心長手方向軸線(M)を中心として延在方向(17)に対して横断方向に互いに枢動可能に連結される、複数の細長チェーンリンク(27)を備え、
チェーンピン(37)の少なくとも1つは2部品設計を有し、第1のチェーンピン部品(36)および第2のチェーンピン部品(38)を備え、
コンベヤチェーン(5)がまた、パレット(7)が取り付けられることができる複数の細長い接続要素(39)を有し、
接続要素(39)は、互いにかつチェーンリンク(27)に接続され、それによって、
-接続要素(39)が、コンベヤチェーン(5)の延在方向(17)に平行に、前後に配置され、
-各接続要素(39)が、第1の端部(41)において、チェーンリンク(27)を連結する2部品チェーンピン(37)のうち関連する第1のチェーンピン(37)へと連結され、第2の端部(43)において、各接続要素(39)が、チェーンリンク(27)を連結する2部品チェーンピン(37)のうち関連する第2のチェーンピン(37)へと連結され、第1の2部品チェーンピンと第2の2部品チェーンピン(37)との間の接続要素の間隔距離(T2)は、チェーンの間隔距離(T1)の整数倍であり、
-接続要素(39)が、2部品チェーンピン(37)の中心長手方向軸線(M)を中心として、延在方向(17)に対して横断方向に枢動可能であるように、2部品チェーンピン(37)へと連結されるように、互いにおよびチェーンリンク(27)へと連結されることを特徴とする、コンベヤチェーン(5)。
【請求項13】
第1のチェーンピン部品(36)が、接続要素(39)の第2の通過開口部(47)を通ってそれぞれ突出し、第2のチェーンピン部品(38)が、接続要素(39)の第1の通過開口部(45)を通ってそれぞれ突出する、請求項12に記載のコンベヤチェーン(5)。
【請求項14】
動く歩道(1)用のパレットベルト(3)であって、
請求項12または13のいずれか一項に記載の第1のコンベヤチェーンおよび第2のコンベヤチェーン(5)であって、2つのコンベヤチェーン(5)が互いに平行に配置される、第1のコンベヤチェーン(5)および第2のコンベヤチェーン(5)と、
コンベヤチェーン(5)の延在方向(17)に前後に配置される複数のパレット(7)であって、
各パレット(7)が、第1の横方向端部において第1のコンベヤチェーン(5)の接続要素(39)のうち一方に、および対向する第2の横方向端部において第2のコンベヤチェーン(5)の接続要素(39)のうち一方に締結される、複数のパレット(7)と、
を備える、パレットベルト(3)。
【請求項15】
パレット(7)のそれぞれが、少なくとも整数倍だけチェーンリンク(27)より長い、請求項13に記載のパレットベルト。
【請求項16】
動く歩道(1)であって、
請求項14または15のいずれか一項に記載のパレットベルト(3)と、
動く歩道(1)の対向する端部上の偏向領域(19)において、パレットベルト(3)を偏向させる偏向スプロケット(9)をそれぞれ有する、2つの偏向装置(21)と、
を備える、動く歩道(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動く歩道のパレットベルト用コンベヤチェーンの取付方法、コンベヤチェーンの接続要素の取換方法、および動く歩道用パレットベルトの取付方法に関し、前記コンベヤチェーン、前記コンベヤチェーンを有するパレットベルト、および前記パレットベルトを有する動く歩道に関する。
【背景技術】
【0002】
動く歩道は、通常は水平な移動経路、またはわずかにのみ傾斜した移動経路に沿って構造物内部の人間を輸送する目的の乗客輸送システムとして使用される。前記目的のため、動く歩道は、乗客がその上に直立可能であり、かつ移動経路に沿って連続的に移動されることが可能であるパレットベルトを有する。パレットベルト上には、非常に多数のパレットが前後に配置される。パレットのそれぞれは、パレットベルトの対向する側面に沿って配置されている2つのコンベヤチェーン間に通常は取り付けられる。次に、コンベヤチェーンのそれぞれは、間隔距離で前後に配置され、かつチェーンピンによって互いに枢動可能に接続されている非常に多数の細長いチェーンリンクからなり、したがって全体のコンベヤチェーンは、張力に関して非常に高い応力がかけられる。この場合、間隔距離は、チェーンピンの中心長手方向軸線間の距離に本質的には対応する。
【0003】
パレットベルトは連続的に配置される。これは、パレットが、コンベヤチェーンを用いることで移動経路に沿って進行方向に移動されることができることを意味する。移動経路の終点では、パレットベルトは偏向装置によって偏向され、その結果パレットは、移動経路の最初へと戻る対向する戻り方向において、環状に閉じたパレットベルトにより移動されることができる。対応する偏向装置は、前記コンベヤチェーンを進行方向から戻り方向へ、またはその逆において、180°だけ概して偏向させるために、コンベヤチェーンのうち1つとそれぞれ相互作用する偏向スプロケットを一般には有する。
【0004】
仮に動く歩道が新規建設される構造物内に設置されることが想定される場合、動く歩道の少なくとも一部は、構造物の床に一体化された状態で提供されることができ、したがって進行方向にあるパレットにより形成された走行面は、前記床の表面に関して可能な限り同一平面とすることができる。この目的のため、動く歩道が提供されることができる構造物の床に深い空洞を提供するのを防止するために、設計高さが低い動く歩道を提供することが有利となることができる。
【0005】
動く歩道が既存の構造物内で改造されなければならない場合、いくつかの場合では、例えば静止といった理由から前記動く歩道を構造物の床へと少なくとも部分的に下げることが不可能であるか、または少なくとも非常に高額となる可能性がある。この場合では、動く歩道は構造物の床の上に構築されなければならない。有利には、動く歩道の走行面が走る高さと、周囲の床の高さの間の高さの差は、可能な限り小さくなければならない。こうした用途の場合にとって、これにより、特定の設計高さが低い動く歩道を使用することが特に望ましい。
【0006】
動く歩道の設計高さは、この偏向装置の設計高さによって大きく、そして中に挿入される通常垂直に配置されている偏向スプロケットの径によって特に決定される。非常に小さな径を有する偏向スプロケットを用いる時、結果、任意の種類ではない狭いパレットが利用できるといった事実により、いわゆる多角形効果が発生する可能性がある。代わりに実用のため、パレットは最小の長さ(移動経路の方向で測定される)を有する。こうした多角形効果は、パレットの長さ、および結果的にはコンベヤチェーンの間隔距離も偏向スプロケットの径と比較すると十分小さくない場合に、目に見える形で発生し得る。多角形効果を防止するために、歯の最小数が17ほどの偏向スプロケットおよびこれによる最小の設計高さが従来の動く歩道に概して使用された。
【0007】
国際公開第2013/152714号は、特に動く歩道といったコンベヤシステムにおいて使用するためのパレットベルトを記載している。記載のパレットベルトは、2つのコンベヤチェーンおよびそれらの間に配置されるパレットを有する。その構造設計により、このパレットベルトは、小さな偏向スプロケットを使用した場合であっても、ある程度は多角形効果を制限する一助となる。ただし、記載のパレットベルトの構造設計は比較的壊れやすく、自身の間違った設置または欠陥の場合にはユーザにとって危険な状況を招きかねない、多数の安全関連構成要素を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2013/152714号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
とりわけ、取り付けられたコンベヤチェーンまたは取り付けられたパレットベルトにおいて、とりわけ有利に克服される上述の問題または制限のうちいくつかについて、またはこれを用いる、パレットベルト用コンベヤチェーンの取付方法、コンベヤチェーン要素の取換方法、および/またはパレットベルトの取付方法に対する必要が存在する場合がある。特に、パレットベルトが単純な方法でかつ比較的少しの労力で取り付けられることができ、過度の多角形効果を引き起こすことなく、設計高さが小さい動く歩道において、高い信頼性で使用可能な、コンベヤチェーンまたはパレットベルトを取り付ける方法に対する必要が存在する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
こうした必要は、独立請求項の1つによる手段と一致されることができる。有利な実施形態は、従属請求項および以下の詳細な説明において定義される。
【0011】
本発明の第1の態様により、パレットベルト用コンベヤチェーンの取付方法が提案される。本方法は、場合によっては、しかし必ずしもではないが、提供された順で少なくとも以下の工程を備える。すなわち、複数の細長いチェーンリンクが提供されており、これはコンベヤチェーンの延在方向で、前後にチェーンの間隔距離で配置される。この場合、延在方向において隣接する2つのチェーンリンクは、チェーンピンを用いることで、接合面における張力に関して一緒に応力をかけられ、更にこの2つのチェーンリンクは、チェーンピンの中心長手方向軸線を中心として延在方向に対し横断方向において、互いに枢動可能に連結される。加えて、チェーンピンの少なくとも1つは2部品の設計を有し、これにより第1のチェーンピン部品および第2のチェーンピン部品を備える。更には、複数の細長の接続要素が提供されるが、これにはパレットが取り付けられることができる。接続要素は、連結プロセスにおいて互いにおよびチェーンリンクへと連結され、
-接続要素は、コンベヤチェーンの延在方向に対し平行に前後に配置され、
-接続要素のそれぞれは、第1の端部で、チェーンリンクを接続する関連する2部品チェーンピンのうち第1のピンへと連結され、第2の端部で、接続要素のそれぞれはチェーンリンクを接続する関連する2部品チェーンピンのうち第2のピンへと連結され、この場合、第1のチェーンピンと第2のチェーンピンとの間の接続要素の間隔距離はチェーンの間隔距離の整数倍であり、
-接続要素は、2部品チェーンピンの中心長手方向軸線を中心として延在方向に対し横断方向において枢動されることが可能であるように、2部品チェーンピンへと連結される。
【0012】
本発明の第1の態様の一実施形態では、延在方向において隣接する2つの接続要素は、互いに重複するようにそれぞれ配置されることができる。前述の目的のため、2つの接続要素のうち前方の接続要素の第2の端部、および2つの接続要素のうち後方の接続要素の第1の端部は、それぞれ共通の2部品チェーンピンへと連結される。これは、共通の2部品チェーンピンのうち第1のチェーンピン部品を2つの接続要素のうち前方の接続要素の第2の端部へと連結することにより、および共通の2部品チェーンピンのうち第2のチェーンピン部品を2つの接続要素のうち後方の接続要素の第1の端部へと連結することにより、達成される。
【0013】
本発明の第1の態様の更なる実施形態では、接続要素のそれぞれの第1の端部は、それぞれの第1の2部品チェーンピンへと、枢動可能にかつ共軸線方向に位置づけられる方法で連結されることができ、それぞれの接続要素の第2の端部は、それぞれの第2の2部品チェーンピンへと枢動可能に連結されることができ、かつ所定の距離を越えて移動可能に直線状に、延在方向において案内されることができる。連結プロセス中、接続要素の少なくとも1つは、この場合には、軸線方向においてこれを移動させることにより、それぞれの第1の2部品チェーンピンのうち、関連する第1のチェーンピン部品へと第2の端部を用いて最初に連結される。続いて、第1の端部は、第2のチェーンピン部品をそれぞれの第2の2部品チェーンピンのうち第1のチェーンピン部品へと強固に接続することにより、それぞれの第2の2部品チェーンピンのうち関連する第2のチェーンピン部品へと連結される。
【0014】
本明細書では、特徴「連結」、「連結する」、「連結された」は、少なくとも1つの運動方向において連結された部品間の相対運動を可能とする接続を指すが、追加の作用力なしに、連結された部品を分離することは可能ではない。前述の追加の作用力は、部品の連結を解除する目的のための、例えばねじ、ナット、止めピンを緩めること、スナップ作動デバイスの起動、または連結構成要素の不可逆的な破壊などとすることができる。
【0015】
本発明の第1の態様の更なる実施形態では、差し込み可能な構造体は、第1のチェーンピン部品と第2のチェーンピン部品の間に提供され、したがって第2のチェーンピン部品は、組立て中に第1のチェーンピン部品と組み立てられることができる。
【0016】
本発明の第1の態様の更なる実施形態では、インターロック方式でおよび/または一体接着方式によって、第2のチェーンピン部品に対して第1のチェーンピン部品の回転を防止する回転止め手段は、第1のチェーンピン部品と第2のチェーンピン部品との間に提供されることができる。例えばDIN 6796によるスプリングワッシャを、この回転止め器具が有する時には、例えばチェーンピン部品上に形成された突起-くぼみ構造体といった、一体接着された回転止め手段が提供されることができる。この場合、こうした構造はまた、チェーンピン部品のうち1つのみに提供されることができる。この場合、チェーンピン部品の突出部は、組立て中に他のチェーンピン部品へと自身を押し込む。ピンなどの追加の機械要素もまた可能である。嫌気性硬化接着剤といった一体接着回転止め手段が特に有利である。
【0017】
本発明の第1の態様の更なる実施形態では、接続要素は、第1の端部および第2の端部の両方に通過開口部を有することができる。連結された状態では、それぞれの2部品チェーンピンは、前記通過開口部を通って延在することができる。
【0018】
本発明の第1の態様の更なる実施形態では、接続要素の第1の端部は、摺動要素によって関連する2部品チェーンピン上にそれぞれ保持されることができ、この場合摺動要素は、接続要素の軸線方向移動の前に、関連する2部品チェーンピンに配置される。接続要素の軸線方向での移動の後、摺動要素は接続要素の対向する表面と関連する2部品チェーンピンとの間に挿置される。
【0019】
本発明の第1の態様の更なる実施形態では、接続要素のうち第2の端部は、関連する2部品チェーンピン上にブシュを介して保持されることができ、したがって、ブシュは、軸線方向に移動させる間に接続要素の通過開口部と関連する2部品チェーンピンとの間に接続要素を介挿される。
【0020】
本発明の第1の態様の更なる実施形態では、それぞれの接続要素は、連結プロセスの後に、接続要素の各端部と共に、軸線方向において着脱可能である各締結要素を用いることで、それぞれの関連する2部品チェーンピンへと取り付けられることができる。この場合、第2のチェーンピン部品はまた、好ましくは第1のチェーンピン部品上に強固に接続されるか、または固定される。
【0021】
本発明の第2の態様により、コンベヤチェーン接続要素の取換方法が提案される。前述の目的のため、コンベヤチェーンは上記の種類の方法によって取り付けられ、前記取付方法から生じた、対応する構造的特性を有する。本方法は、場合によっては、しかし必須ではないが、提供された順で少なくとも以下の工程を備える。すなわち、最初に取り換えられる接続要素に関連する、第2の2部品チェーンピンの第2のチェーンピン部品は取り外される。続いて、取り換えられる接続要素の第2の端部は、取り換えられる接続要素に続く接続要素を枢動することにより解放され、その結果、関連する第2のチェーンピンから切り離されることができる。次いで、取り換えられる接続要素は、軸線方向において第1の端部および第2の端部を取り外すことにより、関連する2部品チェーンピンから切り離されることができる。
【0022】
こうして緩められ、かつ取り外された接続要素は、ここで、取り換え接続要素により取り換えられることができる。これは、関連する第1の2部品チェーンピンおよび第2の2部品チェーンピン上へと軸線方向において移動されるため、取り換え接続要素を連結することにより達成される。続いて、続く接続要素は、取り換え接続要素に関連する第2の2部品チェーンピンへと連結されなければならない。これは、意図された位置へと続く接続要素を枢動することにより、および第2の関連する2部品チェーンピンのうち第1のチェーンピン部品へと第2のチェーンピン部品を強固に接続することにより達成される。
【0023】
本発明の第3の態様により、動く歩道用パレットベルトの取付方法が提案される。本方法は、場合によっては、しかし必須ではないが、提供された順で少なくとも以下の工程を備える。すなわち、第1のコンベヤチェーンおよび第2のコンベヤチェーンは、本発明の第1の態様の一実施形態によって取り付けられる。次に、2つのコンベヤチェーンは、互いに平行に配置される。続いて、複数のパレットが2つのコンベヤチェーンへと取り付けられ、この場合、パレットはコンベヤチェーンの延在方向に前後に配置される。前述の目的のため、パレットのそれぞれは、第1の横方向端部において第1のコンベヤチェーンの接続要素のうち1つに締結され、対向する第2の横方向端部において第2のコンベヤチェーンの接続要素のうち1つに締結される。
【0024】
本発明による方法により、コンベヤチェーンまたはパレットベルトの、インターロック要素および重複要素または構成要素を、構造化されかつ固定的に取り付けることが可能となる。こうしたインターロック要素およびオーバーラップ要素を用いることで、高度の動作安定性が保証されることができる。インターロック要素およびオーバーラップ要素の特有の設計はまた、要素の取り換えのための構造化アプローチを必要とする。
【0025】
簡潔に要約すると、本発明の実施形態の可能な特徴および利点は、とりわけ本発明を限定することなく、以下に記載される理念および知見に基づくと考えられることができる。
【0026】
動く歩道用の従来のパレットベルトの場合、パレットは通常は、場合によっては細長いコンベヤチェーンのチェーンピンへと直接接続されていた。大半の場合、比較的大きな間隔距離を有するコンベヤチェーンが使用され、したがってパレットの長さは、コンベヤチェーンの間隔距離に本質的には対応した。
【0027】
例えば、国際公開第2013/152714号に記載されるアプローチにおける場合のように、仮にコンベヤチェーンにとって間隔距離が短い、短いチェーンリンクを用いて実現されなければならない場合には、パレットは依然としてコンベヤチェーンのチェーンピンへと直接接続されていた。ただし、単一のパレットは複数のチェーンリンクの長さにわたっており、したがってパレットの前方のチェーンピンへの連結とパレットの後方のチェーンピンへの連結の間に、パレットに接続されていない1つまたは複数のチェーンピンが残っていた。
【0028】
こうした構成では、偏向スプロケットにおいてコンベヤチェーンの偏向により、偏向スプロケットの円周に沿って走行しているコンベヤチェーンの領域とその間で直線状に延在するパレットとの間の長さにおいて差が生じるため、長さにおける前記差は、好適な機構により補正されなければならない。従来、この機構は、パレットが連結されることが想定されるチェーンピンの1つまたは複数へとパレットを接続する領域において提供される。こうした機構の構造は、複雑および/かつ不安定なものとなり得る。加えて、パレットのコンベヤチェーンへのこの種類での接続については、例えばメンテナンスプロセスの一部として、および/または例えばパレットベルトの不完全部分を取り付けるために、パレットベルトを取り付けるおよび/または取り外すことは、非常に高額なものとなり得る。
【0029】
本明細書に記載の取付方法の実施形態により、単純な方法で、構造的および機能的に特に設計されたコンベヤチェーンを取り付けること、または中に含有される構成要素を簡単に取り外し可能か、または取り換え可能とすることができる。加えて、本明細書による設計により、平行なチェーン構造物を形成することによって、コンベヤチェーンの破断に対する安全性が増加する。
【0030】
このコンベヤチェーンの場合、パレットはコンベヤチェーンのチェーンピンへと直接接続されない。代わりに、パレットが取り付けられることができる特定の接続要素が提供される。これらの接続要素は、それぞれのコンベヤチェーンに平行に走行する、ある種類の追加のチェーンを形成し、この場合、接続要素はコンベヤチェーンのチェーンリンクより数倍長い。すなわち、接続要素により形成された追加のチェーンは、チェーンリンクにより形成されたチェーンよりも大きい間隔距離を有する。換言すると、接続要素は複数のチェーンリンクと重なり合う。こうした場合では、接続要素はコンベヤチェーンのチェーンピンの一部へと連結されるが、これはまたチェーンリンクと連結する。接続要素はコンベヤチェーンのチェーンリンクよりも長いことから、接続要素の対向する端部は、2つおきの、3つおきの、または概してn個(n>2)おきのチェーンピンにそれぞれ連結される。すなわち、接続要素に連結されない少なくとも1つのチェーンピンは、接続要素に連結される2つのチェーンピン間に配置される。
【0031】
この場合、上記のチェーンピンの2部品の設計と組み合わせられる接続要素は、コンベヤチェーンのより短いチェーンリンクとコンベヤチェーンの偏向中に、比較的より長い接続要素との間で発生する長さにおける差を補正可能とするために、構造的に好適であるように設計される。結果として、コンベヤチェーンは、望ましくない影響を有する多角形効果を含まない、小さな径を有する偏向スプロケットを用いて一様に偏向させられることができる。
【0032】
パレットはチェーンピンに直接接続されないが、接続要素によって2部品チェーンピンへと間接的に接続されることから、とりわけ、単純な方法でパレットベルトおよび/またはパレットベルトの他の構成要素を取り付け、取り外し、または取り換えることが可能である。
【0033】
特に、接続要素および2部品チェーンピンは、接続要素が第2のチェーンピン部品を取り外すことにより枢動されることができ、これにより接線方向において第1のチェーンピン部品から切り離されることができるように設計されることができる。このようにして、対向する端部を用いて共通の2部品チェーンピンへと連結される、隣接する接続要素は、大量の取り外し作業なしに、それぞれの2部品チェーンピンから独立して着脱されることができる。
【0034】
したがって、取り付けられた個々の接続要素またはパレットが、例えば摩耗により取り換えられることが想定される場合には、全ての接続要素がチェーンリンクにより形成されたチェーンから着脱される必要はない。例えば、個々の接続要素が代わりに着脱され、かつ取り換えられることができる。
【0035】
換言すると、本明細書による方法では、複数の細長チェーンリンクを有し、コンベヤチェーンの延在方向においてチェーンの間隔距離に前後に配置される、動く歩道のパレットベルト用コンベヤチェーンを作成することが可能であり、延在方向において隣接する2つのチェーンリンクは、チェーンピンを用いることで、接合面における張力に関して一緒に応力をかけられ、チェーンピンの中心長手方向軸線を中心として、延在方向に対し横断方向に互いに枢動可能に連結される。加えて、チェーンピンの少なくとも1つは2部品設計を有し、第1のチェーンピン部品および第2のチェーンピン部品を備える。更には、コンベヤチェーンは複数の細長接続要素を有するが、これにはパレットが取り付けられることができる。接続要素は、
-接続要素が、コンベヤチェーンの延在方向に対し前後にかつ平行に配置され、
-接続要素のそれぞれが、第1の端部において、チェーンリンクを接続する関連する2部品チェーンピンのうち第1のピンへと連結され、第2の端部において、これはチェーンリンクを接続する関連する2部品チェーンピンのうち第2のピンへと連結され、この場合、第1の2部品チェーンピンと第2の2部品チェーンピンとの間の接続要素の間隔距離は、チェーンの間隔距離の整数倍であり、
-接続要素が、2部品チェーンピンの中心長手方向軸線を中心として延在方向に対し横断方向にて枢動可能であるように、2部品チェーンピンへと連結されるような方法で、互いにおよびチェーンリンクへと連結される。
【0036】
コンベヤチェーンの一実施形態では、第1のチェーンピン部品は、接続要素の第2の通過開口部を通ってそれぞれ突出することができ、第2のチェーンピン部品は、接続要素の第1の通過開口部を通ってそれぞれ突出することができる。
【0037】
本発明により、動く歩道のためのパレットベルトが作成されることができるが、これは上述の設計の第1のコンベヤチェーンおよび第2のコンベヤチェーンを有し、コンベヤチェーンの延在方向において前後に配置される複数のパレットを備える。この場合、2つのコンベヤチェーンは互いに平行に配置され、この場合パレットのそれぞれは、第1の横方向端部で第1のコンベヤチェーンの接続要素のうち1つに締結され、対向する第2の横方向端部で第2のコンベヤチェーンの接続要素のうち1つに締結される。
【0038】
コンベヤチェーンの設計により、パレットのそれぞれは、チェーンリンクよりも少なくとも整数倍だけ長いものとすることができる。
【0039】
このパレットベルトは、2つの偏向装置を有する動く歩道で使用されることができ、そのそれぞれが、動く歩道の対向する端部に、偏向領域においてパレットベルトを偏向させるための偏向スプロケットを有する。
【0040】
以下にて、本発明の実施形態は添付の図面を参照して記載され、図面および説明のいずれも本発明を限定することを意図するものではない。本明細書における本発明の考えられる特徴および利点の一部は、コンベヤチェーン、パレットベルト、もしくは動く歩道の異なる実施形態を参照して、またはコンベヤチェーンの取付方法、コンベヤチェーンの接続要素の取換方法、もしくは動く歩道用パレットベルトの取付方法の異なる実施形態を参照して記載されることが留意されなければならない。当業者は本発明の更なる実施形態へと到達させるために、特徴が好適な方法で組み合わせられるか、移動されるか、適合されるか、または取り換えられることを理解する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】動く歩道の、長手方向の大まかな概略断面図を示す。
図2】本発明の一実施形態によって取り付けられたコンベヤチェーンを備える、動く歩道用のパレットベルトの一部の斜視図を示す。
図3】部分的に分解図にて図1に示される、コンベヤベルトの一部の更なる斜視図を示す。
図4a】本発明の一実施形態によって取り付けられたコンベヤチェーンのセグメントの分解斜視図を示す。
図4b】本発明の一実施形態によって取り付けられたコンベヤチェーンのセグメントの正面斜視図を示す。
図4c】本発明の一実施形態によって取り付けられたコンベヤチェーンのセグメントの背面斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図面は単に概略的なものであり、縮尺通りではない。異なる図面では、同一の参照符号は同一の特徴または同様の特徴を示す。
【0043】
本発明による取付方法の方法工程を良好に理解することを可能とするために、取付方法がこれに基づくパレットベルト3の種々の構成要素および、互いに対するそれらの配置は、図1図4cを参照して最初に記載されるであろう。
【0044】
図1は、動く歩道1を大まかに概略示し、この動く歩道によって、乗客は水平な移動経路に沿って輸送されることができる。動く歩道1は、移動経路に沿って延在方向17で延在する、アクセス可能な上向き部分であるパレットベルト3を有する。動く歩道1の運転中、パレットベルト3の前記アクセス可能な部分は進行方向に移動される。パレットベルト3は環状に閉じられるか、連続的に配置され、更に偏向スプロケット9を用いることで、動く歩道1の対向する端部にて。したがって、パレットベルトの下向き部分は、戻り方向へ戻って移動される。簡単にかつ無段階方式でパレットベルト3にアクセスすることができるようにするために、斜めになった傾斜面11は、入口領域および出口領域に提供される。加えて、手すり13は移動経路に沿って配置されるが、これは明瞭さといった理由のために破線でのみ示される。
【0045】
パレットベルト3は、本質的に、2つのコンベヤチェーン5および前記コンベヤチェーン5上に保持された複数のパレット7からになる。コンベヤチェーン5は、互いに、および動く歩道1の幅方向(画像平面に垂直)に対して動く歩道1の対向する側面上に、平行に配置される。各コンベヤチェーン5は非常に多数のチェーンリンクから構成され、チェーンピンを用いることで互いに枢動可能に連結される。パレット7は、2つのコンベヤチェーン5に機械的に接続され、したがって、コンベヤチェーン5が移動される時にはパレット7は移動経路に沿って移動される。
【0046】
示される例では、動く歩道1は床15上に構築される。こうした場合では、設計高さhは、例えば傾斜面11の長さまたは傾斜を限定するために、可能な限り低くしなければならない。こうした所望の低い設計高さhにより、偏向スプロケット9の径はまた、可能な限り小さくなければならない。
【0047】
従来の動く歩道では、コンベヤチェーンを形成しているチェーンリンクの長さは、延在方向に沿って測定され、本質的にはパレットの長さに対応する。換言すると、従来のコンベヤチェーンの間隔距離は、本質的には前記コンベヤチェーンに形成された従来のパレットベルトの間隔距離に対応する。このようにして、その前方端部およびその後方端部の両方において、パレットは、パレット7に平行に延びているチェーンリンクの対向する端部においてチェーンピンのうち1つへと接続される。
【0048】
ただし、チェーンリンクへと接続されたパレット7を含む、比較的長いチェーンリンクの偏向は、コンベヤチェーン5またはパレットベルト3の間隔距離が偏向スプロケット9の径よりも著しく小さくはない場合には、著しい多角形効果をもたらし得る。歯付き車輪として設計され、それぞれの歯がチェーンリンクに形成されたくぼみとかみ合うことが想定される偏向スプロケット9の場合には、偏向スプロケット9が歯数17未満の歯を有する場合、顕著な多角形効果が生じることが特に明らかとなった。
【0049】
本発明は、動く歩道1およびその構成要素、特にパレットベルト3およびコンベヤチェーン5、ならびにこうした構成要素を取り付ける、または補修する方法に関し、この方法では、その構造的特性および機能的特性に起因して、パレットベルト3が偏向している間に生じるアクセス不可能な強固な多角形効果を含むことなく、動く歩道1が低い設計高さhを提供されることができる。更には、本発明は、その特有の構造的特徴に起因して、動く歩道1の操作信頼性を増加させる。加えて、前記コンベヤチェーン5により形成されたコンベヤチェーン5またはパレットベルト3は容易に取り付けられることができ、その中に含有される構成要素は必要な場合には容易に取り換えられることができる。
【0050】
以下において、本発明の実施形態の起こりうる詳細および利点は、図面を参照して記載される。最初に、コンベヤチェーン5、前記コンベヤチェーン5により形成されたパレットベルト3の構造的特性または機能的特性、またはここで最終的には提供される動く歩道1の構造的特性または機能的特性が記載されるであろう。続いて、こうしたコンベヤチェーン5またはこうしたパレットベルト3の取付方法、およびこうしたコンベヤチェーン5における接続要素の取換方法の可能な実施形態が記載されるであろう。
【0051】
コンベヤチェーン5、パレットベルト3、または動く歩道1といった装置に記載された特徴は、それぞれの取り付けおよび補修方法に関する対応する効果を有することができるが、逆に言えば、本明細書に記載の方法の特徴は、次に、こうして形成された装置の特性と一致することに留意しなければならない。
【0052】
図2は、偏向領域19において動く歩道1の一部を遠近法で示す。偏向領域19では、パレットベルト3は、進行方向から戻り方向へと偏向装置21を用いることで偏向させられるか、その逆の場合もある。この目的のために、偏向装置21は歯付き車輪23の形状をなす偏向スプロケット9を有する。これらは、パレットベルト3の対向する側面上に配置されており、前記側面上で走行しているコンベヤチェーン5と相互作用する。偏向スプロケット9は例えば、40cm未満、好ましくは30cm未満、より好ましくは25cm未満の小さな径を有し、したがって全体の動く歩道1は、例えば良好には50cm以下、好ましくは35cm以下でさえある低い設計高さhを有することができる。
【0053】
ただし、コンベヤチェーン5にとってのチェーンの間隔距離T1は短く、歯付き車輪23上に形成された歯25は、コンベヤチェーン5の個々のチェーンリンク27とかみ合うが、これは互いに近くで隣接した状態で配置されることができる。したがって、少なくとも歯数17の歯25は、小さな偏向スプロケット9についてであっても外周上に提供されることができる。そのため、多角形効果はコンベヤチェーン5が円運動する時には無視したままとすることができる。
【0054】
図3および図4a~図4cは、中に挿入されたパレットベルト3およびコンベヤチェーン5の詳細を、部分的に分解図として遠近法にて示す。以下にて、この図は一緒に記載されることになる。
【0055】
コンベヤチェーン5は、複数の細長チェーンリンク27を有する。チェーンリンク27は、コンベヤチェーン5の延在方向17に沿って前後に配置される。示される例では(特に図4aを参照)、各チェーンリンク27は平行な方法で配置される2つのシート状ブラケット29を有して設計される。ブラケット29は、スリーブ31によって互いに離間されている。チェーンリンク27は、延在方向17にて隣接しているが、チェーンピン35を用いることで接合面33において互いにそれぞれ接続される。結果として、コンベヤチェーン5は張力に関して応力をかけられ、チェーンピン35のそれぞれの中心長手方向軸線Mを中心として延在方向17に対し横断方向にて枢動可能である。
【0056】
コンベヤチェーン5における、2つの隣接するチェーンピン35間の中心長手方向軸線Mの距離は、チェーンの間隔距離T1に対応する。コンベヤチェーン5が偏向する間、所望の無視できる多角形効果を得るために、コンベヤチェーン5の個々のチェーンリンク27は非常に短く、チェーンの間隔距離T1は、好ましくは10cmより短く、より好ましくは6cmより短く、特に50mm±2mmである。
【0057】
従来のパレットベルト3では、パレット7はコンベヤチェーン5のチェーンピン35に通常では直接接続される。例えば、パレット7は、横向きの端面において、コンベヤチェーン5にわたって横方向に突出する細長チェーンピン35へと直接接続される。
【0058】
対照的に、本明細書に提案されるパレットベルト3では、追加の細長接続要素39はコンベヤチェーン5上に提供される。チェーンリンク27と同様に、接続要素39は延在方向17にて前後に、または前記延在方向17に平行に配置される。この場合には、延在方向17にて隣接している2つの接続要素39は、延在方向17に対し横断方向において互いに枢動可能に連結される。例えば、こうした連結はコンベヤチェーン5の2部品チェーンピン37によって達成されることができ、これはチェーンリンク27にわたって横方向に突出し、接続要素39はこのチェーンピンを用いて接続されることができる。この場合、2部品チェーンピン37は、第1のチェーンピン部品36および第2のチェーンピン部品38を有する。
【0059】
2部品チェーンピン37が剛性であることが想定されることから、取付け状態である支持ユニットである差し込み可能な構造体49は、第1のチェーンピン部品36と第2チェーンピン部品38との間に好ましくは提供される。結果として、第2のチェーンピン部品38は、組み立て中に第1のチェーンピン部品36と組み立てられることができる。したがって、2つのチェーンピン部品36、38は互いに対して正確に位置づけられ、組み立ては大幅に円滑に進められる。特に、2つのチェーンピン部品36、38間で作用しているせん断応力および曲げモーメントは、差し込み可能な構造体49によって効果的に伝達される。
【0060】
更には、組み立て後、インターロック方式でおよび/または一体接着方式にて第2のチェーンピン部品38に対して、第1のチェーンピン部品36の回転を防止する回転止め手段48は、第1のチェーンピン部品36と第2のチェーンピン部品38との間に提供されることができる。この回転止め器具が、例えばDIN 6796によるスプリングワッシャを有する時には、例えばチェーンピン部品上に形成された突出-くぼみ構造体のような一体接着された回転止め手段が提供されることができる。この場合、こうした構造はまた、チェーンピン部品のうち1つのみに提供されることができる。この場合、チェーンピン部品の突出部は、組立て中に他のチェーンピン部品へと自身を押し込む。ピンなどの追加の機械要素もまた可能である。嫌気性硬化接着剤などの一体接着回転止め手段が特に有利である。
【0061】
接続要素39のそれぞれは、第1の端部41において、2部品チェーンピン37のうち関連する第1のチェーンピンへと連結されることができ、第2の端部43において、2部品チェーンピン37のうち関連する第2のチェーンピンへと連結されることができる。
【0062】
延在方向17での第1の2部品チェーンピンおよび第2の2部品チェーンピン37の中心長手方向軸線M間の距離は、本明細書では接続要素の間隔距離T2と呼ばれる。本明細書に記載のコンベヤチェーン5については、この接続要素の間隔距離T2は、チェーンの間隔距離T1、すなわちT2=n*T1(n=2、3、4…)の整数倍となると想定される。示された例では、接続要素の間隔距離T2は、チェーンの間隔距離の3倍である。すなわち、T2=3*T1である。換言すると、接続要素39は、チェーンリンク27よりも整数倍だけ長い状態(例えば、チェーンリンク27の2倍または3倍の長さ)であると想定される。
【0063】
結果として、接続要素39のそれぞれは、その対向する端部41、43において隣接するチェーンピン35、37へと直接接続されない。代わりに、接続要素39へと連結されていない少なくとも1つのチェーンピン35、37は、接続要素39のそれぞれの端部41、43のうち一方へと接続される2つのチェーンピン35、37の間に置かれる。換言すると、接続要素39のそれぞれは、1つおきの、3つおきの、または概してn個おきのチェーンピン35、37のみに連結される。
【0064】
示される例では、接続要素39は、3つおきのチェーンピン35、37へとその端部41、43において連結される。この場合、前記チェーンピン35、37はこの結果、2部品チェーンピン37として設計される。こうした2部品チェーンピン37の間に2つのより短いチェーンピン35が配置されるが、これらはコンベヤチェーン5のチェーンリンク27の接続のみを行い、自身に平行に延びてている接続要素39へは接続されない。
【0065】
記載のパレットベルト3では、パレット7はコンベヤチェーン5へと直接接続されない。代わりに、パレット7は接続要素39にそれぞれ取り付けられ、コンベヤチェーン5のチェーンリンク27へと、前記接続要素39によって間接的に接続される。
【0066】
こうした場合では、延在方向17において測定されたパレット7の長さLは、接続要素の間隔距離T2におおよそ対応することができる。これにより、この長さはチェーンリンク27の長さおよびそれらのチェーンの間隔距離T1よりも数倍長くなる。概して、パレット7は、これにより接続要素の間隔距離T2よりもわずかに短い。このため、小さな隙間が隣接するパレット7の間に残り、したがってパレット7は互いに対して移動可能となる。具体的には、例えばおおよそ150mmのパレット長さは、50mmのチェーンの間隔距離T1を有するコンベヤチェーン5に使用されることができ、したがって、パレット7のそれぞれが、複数のチェーンリンク27に及ぶか、または「オーバーラップする」。
【0067】
こうしたパレットベルト3が偏向領域19において偏向される時、そのチェーンリンク27を有するコンベヤチェーン5は次に、偏向スプロケット9のうち1つの外周に沿ってピッチ円のラジアン単位を実質的に移動する。ただし、長いパレット7は、前記パレット7によりオーバーラップされているチェーンリンク27間でテンドンに沿って延在する。換言すると、パレット7は、偏向中のチェーンピン35、37によって画定された横断に沿ってではなく、接続要素39が接続される2部品チェーンピン37に接続する直線に沿って延在する。前記テンドンの長さは円周の長さまたは前記横断よりも短い。これはテンドン短縮と呼ばれることができる。
【0068】
チェーンリンク27と比較される場合、より長い接続要素39によるテンドン短縮の発生の補正を可能にするために、接続要素39の特有の設計またはコンベヤチェーン5に接続される方法が必要となる。特に、各接続要素39の端部41、43の少なくとも一方は、テンドン短縮を補正するための長さ調整が生成されることができるように、コンベヤチェーン5へと連結されることができる。
【0069】
更なる明瞭さのために、特定の接続要素39について記載された2部品チェーンピン37は、以下において関連2部品チェーンピン37と呼ばれることになる。更には、接続要素39の特定領域と相互作用する2部品チェーンピン37は、関連する接続要素39に関するそれらの配置の記載を可能とするために、2部品チェーンピン37の第1のチェーンピンおよび2部品チェーンピン37の第2のチェーンピン、または第1の2部品チェーンピン37および第2の2部品チェーンピン37と呼ばれる。同様の理由で、接続要素39の端部は第1の端部41および第2の端部43と呼ばれ、これらの名称は、延在方向において接続要素39の運動方向を明記すると想定されていない。
【0070】
テンドン短縮を補正するために、例えば接続要素39の第1の端部41は、第1のチェーンピン37へと枢動可能にかつ共軸線方向に位置づけられる方法によって連結されることができる。
【0071】
換言すると、接続要素39が、第1の2部品チェーンピン37の中心長手方向軸線Mを中心として枢動可能となるように接続要素39の第1の端部41は、第1の2部品チェーンピン37へと連結されることができる。ただし、チェーンピン37の中心長手方向軸線Mに対して横断する方向では、この接続要素39の第1の端部41は、2部品チェーンピン37に相対的な位置に固定される。したがって、接続要素39の第1の端部41が2部品チェーンピン37の中心長手方向軸線Mを中心としてコンベヤチェーン5に枢動可能に接続されるとしても、前記コンベヤチェーン5に対してこれが直線状に移動されることはできない。換言すると、接続要素39は、2部品チェーンピン37の中心長手方向軸線Mを中心とする枢動運動のみが可能となるようにその第1の端部41において第1の2部品チェーンピン37へと互いにロックするように接続されることができるが、2部品チェーンピン37に対する延在方向17での並進運動は不可能である。
【0072】
対照的に、接続要素39のそれぞれの第2の端部43は、枢動可能にかつ所定の距離dを越えて延在方向17においての両方で、第2の2部品チェーンピン37へと連結され、移動可能に直線状に案内される。
【0073】
換言すると、接続要素39の第2の端部43は、接続要素39が、第2の2部品チェーンピン37の中心長手方向軸線Mを中心として枢動可能であり、かつ前記中心長手方向軸線Mを横断する方向において、所定の距離dを越えて、2部品チェーンピン37に対して追加的に移動可能であるように第2の2部品チェーンピン37へと連結されることができ、接続要素39と第22部品チェーンピン37との間の連結の設計により、直線運動において案内される。更に換言すると、接続要素39の第2の端部43の、第2のチェーンピン37への接続は、前記第2の端部43が2部品チェーンピン37の中心長手方向軸線Mを横断する方向において、第2の2部品チェーンピン37に対して並進方向に移動することが可能であるように設計されることができる。
【0074】
この場合、距離dを超える直線運動が可能であると想定される。前記距離dは、上述のテンドン短縮の長さ以上とすることができる。換言すると、距離dは長さに対応することができるが、この長さにより、第1の2部品チェーンピン37と第2の2部品チェーンピン37との間のテンドンは、コンベヤチェーン5が輪状セグメントの周りで偏向される時には、輪状セグメントに沿って円周と一致しない。例えば、距離dは第2のチェーンピン37の径の少なくとも150%、または好ましくは少なくとも200%対応することができる。
【0075】
本明細書に記載の接続要素39およびコンベヤチェーン5へのそれらの接続は、平行チェーンを実質的に形成する。この平行チェーンの間隔距離は、チェーンリンク27の間隔距離よりも著しく大きく、パレット7の長さに本質的には対応する。接続要素39の第1の端部および第2の端部41、43における、接続要素39の構造的および機能的設計、ならびにこれらがコンベヤチェーン5の2部品チェーンピン37へと連結される方法によって、パレットベルト3が偏向される場合にテンドン短縮が実施されるように、このテンドン短縮が接続要素39において補正され得ることが達成されることができる。
【0076】
一実施形態により、接続要素39は、第1の端部および第2の端部41、43の両方において通過開口部45、47を有する。この場合、連結された状態でそれぞれ関連するチェーンピン37を有するそれぞれの2部品チェーンピン37は、前記通過開口部45、47を通って延在する。
【0077】
換言すると、接続要素39の対向する端部41、43のそれぞれにおいて、2部品チェーンピン37には、これを通って延在可能である通過開口部45、47が形成されると想定される。これらの通過開口部45、47は、例えば第1の通過開口部45の場合には、円筒形の2部品チェーンピン37を有する部分的なインターロック接続が作成されるように寸法決めされることができる。したがって、第1の通過開口部45は、少なくともその部分内で、2部品チェーンピン37の径とおおよそ同じ径を有する状態で円形であるように設計されることができる。接続要素39における第2の通過開口部47は、好ましくは、例えば矩形状または準矩形状に引き延ばされるように設計されることができる。前記第2の通過開口部47の延在方向17での長さは距離dに対応することができ、この距離分、接続要素39は、関連する2部品チェーンピン37に対して移動されることができると想定される。前記第2の通過開口部47の高さは、関連する2部品チェーンピン37の径におおよそ対応することができる。
【0078】
一実施形態により、隣接する接続要素39は延在方向17において互いにオーバーラップすることができ、前方接続要素39の第2の端部43および後方接続要素39の第1の端部41は、共通の2部品チェーンピン37にそれぞれ連結されることができる。
【0079】
換言すると、本明細書に記載のコンベヤチェーン5の接続要素39は、チェーンリンク27のブラケット29と同様に、延在方向17においてオーバーラップし、隣接する接続要素39は、それらの端部41、43のうち一方を用いて、共通の2部品チェーンピン37へとそれぞれ連結されることができる。
【0080】
接続要素39が重複するにも関わらず、かつ2部品チェーンピン37により、接続要素39のそれぞれは、延在方向17に対し横断する方向およびそれぞれの端部41、43が連結される2部品チェーンピン37の中心長手方向軸線Mに対して横断する方向において、それぞれの端部41、43が連結されている、それぞれの関連する2部品チェーンピン37のうち少なくとも1つに着脱可能に連結されることができる。この目的のために、第2のチェーンピン部品38のみが、対応する2部品チェーンピン37上の第1のチェーンピン部品36から着脱され、軸線方向において接続要素39の対応する通過開口部45、47から取り外されなければならない。
【0081】
換言すると、接続要素39は、前記端部41、43が第2のチェーンピン部品38が取り外された後、延在方向17に対して横断する方向および2部品チェーンピン37の中心長手方向軸線Mを横断する方向に移動されるため、関連する2部品チェーンピン37からそれらの端部のうち一方で着脱されることが可能である。換言すると、第1のチェーンピン部品36と第2のチェーンピン部品38との間の分離点は、第2のチェーンピン部品38の取り外し後、接続要素39のうち少なくとも1つは、延在方向17から上方にまたは下方に枢動されることができ、これにより関連する2部品チェーンピン37から着脱されることが可能であるように構造的に設計されなければならない。
【0082】
関連する2部品チェーンピン37のこうした着脱性により、特に接続要素39を枢動することにより実施されるように、接続要素39は、コンベヤチェーン5への連結から、関連する2部品チェーンピン37から軸線方向に接続要素39を取り外しする必要なしに、少なくともそれぞれの端部41、43において解放されることができる。以下により詳細に記載されるように、これにより、単純な方法でその上に配置された接続要素39と一緒に本明細書において提案されたコンベヤチェーン5を取り付けまたは取り外しすることができる、または、個々の接続要素39を取り換え可能とすることができるという単純なオプションを実現することができる。
【0083】
コンベヤチェーン5の全ての接続要素39は、好ましくは同一であるように設計されることができる。これはすなわち、この全ての接続要素39が同じ幾何学的形状を有するということである。接続要素39により形成されたチェーンは、したがって単純な設計を有するが、1種類の接続要素39のみが生産され、供給され、最終的に取り付けられる必要がある。平行に走行し、対向するパレットベルト3のコンベヤチェーン5のために、2つの鏡面対称的な種類の接続要素39(右/左)が必要とされてもよい。
【0084】
例えば、接続要素39はクランク部材として形成されることができる。したがって、例えば接続要素39の第2の端部43の全ては、関連する2部品チェーンピン37上のチェーンリンク27に、同じ2部品チェーンピン37上に配置された隣接する接続要素39の第1の端部41よりも近くに配置される。
【0085】
こうした構成では、接続要素39の第2の端部43は、コンベヤチェーン5を取り付けるために、関連する2部品チェーンピン37の第1のチェーンピン部品36を越えて軸線方向へと第2の通過開口部47と共に移動されることができる。全ての接続要素39が関連する2部品チェーンピン37へとこのようにして取り付けられた後、接続要素39は次に、隣接する2部品チェーンピン37に、それらの第1の通過開口部45を一直線上に置くために枢動されることができる。したがって、それぞれの第2のチェーンピン部品38は、それぞれの通過開口部43を通って挿入されることができ、それぞれの第1のチェーンピン部品36へと強固に接続される。接続要素39が延在方向において互いにオーバーラップするとしても、これらはコンベヤチェーン5上のチェーンリンク27に平行なチェーンを実用的に形成するように、このようにして組み立てられることができる。
【0086】
一実施形態により、接続要素39の第2の端部43は、摺動要素51によって関連する2部品チェーンピン37上にそれぞれ保持されることができる。この目的のために、摺動要素51は接続要素39および2部品チェーンピン37の対向する表面の間に挿置されることができる。
【0087】
換言すると、接続要素39はそれらの第2の端部43において、摺動要素51を介して関連する2部品チェーンピン37へとそれぞれ連結されることができる。摺動要素51は、これにより、2部品チェーンピン37と、例えば接続要素39の通過開口部47の領域における内部表面との間に、特定の方向において所望の強制ロック接続を提供することができるか、または特定の方向において特有のインターロック接続を提供することができる。
【0088】
特定の実施形態により、接続要素39は、その第2の端部43において、平行な内部表面を有する細長い穴形状の通過開口部47を有することができる。摺動要素51は次に、通過開口部47の内部表面に接する平行な外部表面を有する外部輪郭を有することができる。
【0089】
換言すると、摺動要素51は例えば、矩形状または準矩形状の外部輪郭を有することができ、接続要素39の第2の端部43における通過開口部47はまた、矩形状または準矩形状とすることができる。摺動要素51の高さは、通過開口部47の高さに対応することができる。ただし、摺動要素51の長さは通過開口部47の長さよりも短くなければならない。例えば、摺動要素51の長さは、通過開口部の長さの50%未満または30%未満とすることができる。こうした構成により、摺動要素51は、例えば上記の距離dの分だけ、通過開口部47内部において直線状に移動することができる。換言すると、摺動要素51は四角形の構成要素として設計されることができ、接続要素39内の細長い穴として形成された通過開口部47を有する直線ガイドを形成することができる。
【0090】
換言すると、接続要素39のための直線ガイドは、コンベヤチェーン5が偏向する間に生じるテンドン短縮を補正するために、摺動要素51および通過開口部47の設計により実施されることができる。
【0091】
互いに平行な表面を有する摺動要素51および通過開口部47の構成により、摺動要素51が接続要素39上の通過開口部47の内部表面に当接する接触面が増大されることができる。このようにして、面圧力は接続要素39が関連する2部品チェーンピン37へと接続される場合には減少されることができる。結果として、例えばコンベヤチェーン5上の摩耗は減少されることができる。
【0092】
更には、接続要素39の第1の端部41はまた、ブシュ53を介して関連する2部品チェーンピン35上で保持されることができる。
【0093】
ブシュ53は、関連する2部品チェーンピン37の外部表面と、接続要素39の通過開口部45の領域における内部表面との間に介挿されることができる。ブシュ53は環状に閉じられることができ、かつ特に環状または円筒形に設計されることができる。コンベヤチェーン5の設置中、例えば、接続要素39の第1の端部41が関連するチェーンピン37に一直線上に置くために、その通過開口部45と共に枢動され、かつ第2のチェーンピン部品38が第1のチェーンピン部品36へと接続された後、ブシュ53は2部品チェーンピン37上へと軸線方向において押圧されることができる。結果として、2部品チェーンピン37と、その第1の横方向に開いた状態の通過開口部45の領域にある接続要素39との間に、インターロック接続が作成されることができる。
【0094】
一実施形態により、摺動要素51および/またはブシュ53は、少なくとも部分的にはポリマー材料から作製されることができる(すなわち、ポリマー材料からなる)か、または例えばポリマー材料で被覆されることができる。好ましくは、ポリマー材料が使用されることができる。ポリマー材料は、十分な強度を有するだけでなく、摺動要素51またはブシュ53と、関連する2部品チェーンピン37およびこうした構成要素に対して連結または枢動可能に移動しなければならない接続要素39との間の十分な摺動特性も可能となる。例えば、PA、PMMA、POM、GRP、CFRP、PVC、PTFEなどといった熱硬化性プラスチックまたは熱可塑性プラスチックは、ポリマー材料として使用されることができる。
【0095】
一実施形態により、接続要素39は金属から作製されることができる。結果として、接続要素39は、それに取り付けられたパレット7と、コンベヤチェーン5の連結されたチェーンリンク27との間の中間リンクとして作用可能にするために、および、例えば、チェーンリンク27を破断する場合にコンベヤチェーン5の張力を吸収可能であるように、十分な機械的安定性を有する。例えば、鋼などの高強度金属が使用されることができる。
【0096】
一実施形態により、ガイドローラ55はそれぞれ、一部のチェーンピン35、37の少なくとも上において追加的に配置されることができる。この場合には、ガイドローラ55はその中心長手方向軸線Mを中心としてそれぞれのチェーンピン35、37に対して回転可能に取り付けられなければならない。従来のコンベヤチェーンと同様に、こうしたガイドローラ55は、ガイドレール(図示せず)に対してコンベヤチェーン5を支持するためおよび延在方向17に沿った運動中にそれを案内するため、またはコンベヤチェーン5と支持構造体および/もしくは案内構造体の間の摩擦を低減させるために使用されることができる。ガイドローラ55は例えば、金属材料またはポリマー材料から作製されることができる。ガイドローラ55は、例えば滑り軸受または玉軸受によってそれぞれのチェーンピン35、37上の摩擦が低減された状態で取り付けられることができる。ガイドローラ55は、チェーンリンク27と接続要素39との間に配置されることができる。本実施形態では、ガイドローラ55は2部品チェーンピン37上のみに配置される。
【0097】
既に言及され、詳細に記載された構成要素に加えて、更なる構成要素がコンベヤチェーン5に提供されることができる。例えば、1つまたは複数の摺動ディスクまたはスペーサ57は、2部品チェーンピン37に沿って軸線方向に提供されることができる。加えて、固定ねじ59は、2部品チェーンピン37の軸線方向端部にそれぞれ提供されることができる。この場合、前記固定ねじ59は、それぞれ2部品チェーンピン37にねじ留めされることができ、これは第1のチェーンピン部品および第2のチェーンピン部品36、38の結合を特に確実なものとし、前記2部品チェーンピン部品37へと連結される構成要素(すなわち、2部品チェーンピン37からの軸線方向スリップに対する接続要素39、摺動要素51およびブシュ53)を固定する。
【0098】
以下において、本明細書に記載の特徴を有する、コンベヤチェーン5を取り付ける方法の可能な設計および実施形態が記載される。更には、こうしたコンベヤチェーン5を備えるパレットベルト3の取付方法、およびかかるコンベヤチェーン5における接続要素39の取換方法の可能な設計および実施形態が記載される。
【0099】
最初に、複数の細長いチェーンリンク27および複数の細長い接続要素39が提供される。チェーンリンク27および接続要素39は、上記のように構造的特性および/または機能的特性を有することができる。特に、チェーンリンク27は、チェーンピン35および2部品チェーンピン37を用いることで、張力に関して非常に高い応力をかけられることができる。また、これはチェーンピン35、37のそれぞれの中心長手方向軸線Mに対して、横断方向に互いに枢動可能に連結されることができる。続いて、接続要素39は、連結プロセスにおいて互いにおよびチェーンリンク27へと連結されることができる。この目的のために、全てではないが、方法段階は、同じ設置箇所において、および単一の時間間隔内において必ず実行されなければならない。具体的には、例えば、チェーンリンク27およびチェーンピン35、37は、こうしたチェーンに特化する下請業者から完全に組み立てられたチェーンとして既に得られることができる。
【0100】
連結プロセスは、取り付けられたコンベヤチェーン5が、本明細書に記載の全ての構造的特定および/または機能的特性を最終的に有するように設計されることができる。特に、連結プロセスは、完全に組み立てられたコンベヤチェーン5の場合には、
-接続要素39は、コンベヤチェーン5の延在方向17に平行に前後に配置され、
-接続要素39のそれぞれは、第1の端部41において、2部品チェーンピン37のうち関連する第1の端部へと連結され、第2の端部43において、2部品チェーンピン37のうち関連する第2の端部へと連結され、この場合、接続要素の間隔距離T2は、チェーンの間隔距離T1の整数倍であり、
-延在方向17において隣接する2つの接続要素39は互いにオーバーラップし、2つの接続要素39のうち前方の接続要素の第2の端部43および2つの接続要素39のうち後方の接続要素の第1の端部41が、共通の2部品チェーンピン37へとそれぞれ連結され、隣接する接続要素39は、これにより、延在方向17に対し横断方向において互いに枢動可能に連結され、
-接続要素39のそれぞれの第1の端部41は、それぞれの第1の2部品チェーンピン37へと枢動可能にかつ共軸線方向に位置づけられる方法において、ならびに、
-接続要素39のそれぞれの第2の端部43は、それぞれの第2の2部品チェーンピン37へと枢動可能に連結され、所定の距離dを越えて移動可能に直線状に、延在方向17において案内されるように設計される。
【0101】
接続要素39の連結プロセス中、接続要素39のそれぞれは、軸線方向において移動させることにより、関連する2部品チェーンピン37へと、第1の端部を用いて最初に連結されることができる。続いて、接続要素39のうち少なくとも1つ、または代替的には接続要素39の一部またはそれぞれは、接続要素39の対向する第2の端部が、枢動方向61での枢動運動により接線方向での関連する2部品チェーンピン37との整列がもたらされる(例えば、図4aにおいて示されるものを確認されたい)ため、関連する2部品のチェーンピン37へと連結され、第1のチェーンピン部品36は、前記2部品チェーンピン37の第2のチェーンピン部品38へと接続される。
【0102】
換言すると、接続要素39により形成されたチェーンと共にコンベヤチェーン5を取り付けるため、接続要素39のそれぞれは、第1の端部を用いて、2部品チェーンピン37の一方へと軸線方向で最初に連結される。例えば、それぞれの端部は、前記端部上に提供された通過開口部45、47を有する2部品チェーンピン37のうち一方を越えて押圧されることができる。続いて、接続要素39のうち少なくとも1つは、その第1の端部に既に連結される2部品チェーンピン37の中心長手方向軸線Mを中心として枢動方向61に枢動され、かつこれは関連する他の2部品チェーンピン37へと接線方向において最終的に連結される。この場合、前記2部品チェーンピン37の第2のチェーンピン部品38は、可能である正確に整列された位置へと枢動する状態とするために、第1のチェーンピン部品36から分離した状態とされなければならない。
【0103】
原則として、コンベヤチェーン5上に提供された、第1の端部を有する全ての接続要素39を、それぞれ関連する2部品チェーンピン37へと、最初に軸線方向で連結することと、続いて枢動することにより、接続要素39のそれぞれの第2の端部を接線方向において隣接する2部品チェーンピン37へと連結することが可能である。
【0104】
ただし代替的には、それらの2つの端部のそれぞれを有する接続要素39を、関連する2部品チェーンピン37へと引き続き軸線方向に連結することもまた可能である。最後尾の接続要素39を除いて、これは連続的に閉じたコンベヤチェーン5上に提供される全ての接続要素39のために達成されることができる。前記最後尾の接続要素39は、同じように取り付けられることができない。これは、連結されることが想定される2つの2部品チェーンピン37のうち1つが、別の事前に取り付けられた接続要素39によって既に「遮断」されているからである。したがって、少なくともこの最後尾の接続要素39は、続いて、接線方向に2つのチェーンピン部品36、38へと「取り外される」2部品チェーンピン37へと連結可能とするために、その第2の端部と共に枢動方向61において枢動されなければならない。
【0105】
接続要素39の設計に応じて、第1の端部および第2の端部が、これまでに本明細書に記載の第1の端部および第2の端部41、43と対応することができることが留意されなければならない。
【0106】
図面に示される例では、接続要素39の第1の端部は第2の端部43に対応する。これは、細長の穴形状および環状に取り囲まれた通過開口部47を用いて、2部品チェーンピン37のうち1つの上へと押される。接続要素39がその第1の端部を用いて関連するチェーンピン37へと連結される後で、前記接続要素39は次に枢動方向61において枢動され、こうしてその対向する第2の第1の端部41と共に接線方向において移動され、これにより上述の方法において関連する他の2部品チェーンピン37へと連結される。
【0107】
一実施形態により、各接続要素39は、延在方向17に対して横断する方向において、および関連する2部品チェーンピン37の中心長手方向軸線Mに対して横断する方向において、その第2の端部で関連する2部品チェーンピン37へと着脱可能に連結される。
【0108】
換言すると、各接続要素39は、第2のチェーンピン部品38を第1のチェーンピン部品36から分離することにより、延在方向17に対して横断する方向および関連する2部品チェーンピン37の中心長手方向軸線Mに対して横断する方向において連結から再び解放されることができるように、好ましくは少なくともその第2の端部において、関連する2部品チェーンピン37へと連結されることが想定される。
【0109】
一実施形態により、接続要素39の第1の端部は、摺動要素51によって関連する2部品チェーンピン37上にそれぞれ保持されることができる。接続要素39を軸線方向に移動する前に、摺動要素51は、この場合では関連する2部品チェーンピン39上に配置され、次に接続要素39の軸線方向移動中に、接続要素39の対向する表面と関連する2部品チェーンピン37との間に挿置される。
【0110】
換言すると、接続要素39の第1の端部は、前記関連する2部品チェーンピン37に直接的に当接しないが、介挿された摺動要素51によって2部品チェーンピン37上に保持されるため、関連する2部品チェーンピン37へと連結されることができる。上記のように、前記摺動要素51は、例えば、四角形または矩形状とすることができ、接続要素39の第1の端部において、細長穴形状の通過開口部47とかみ合うことができる。
【0111】
連結プロセス中、摺動要素51は、この場合では、例えばチェーンピン37上へと軸線方向に押されるため、関連する2部品チェーンピン37に最初に取り付けられることができる。したがって、締結された摺動要素51は次に接続要素39の第1の端部へと軸線方向に連結されることができる。すなわち、例えば接続要素39は摺動要素51の上へと軸線方向に押圧される。
【0112】
特定の実施形態により、接続要素39の第2の端部は、ブシュ53によって関連する2部品チェーンピン37上に保持されることができる。この場合、ブシュ53は、接線方向において接続要素39を枢動した後に、関連する第1のチェーンピン部品36上で、第2のチェーンピン部品38と一緒に配置されることができる。この場合では、ブシュ53は、前記配置後に接続要素39の第2の端部において、通過開口部45と互いにロックする状態で相互作用するように設計されることができる。これにより、枢動方向61に対して接続要素39の枢動を停止させる。
【0113】
換言すると、接続要素39の第2の端部はまた、前記2部品チェーンピン37に直接的には当接しないが、介挿されたブシュ53によって2部品チェーンピン37上に保持されるため、関連する2部品チェーンピン37へと連結されることができる。
【0114】
連結プロセスの間、その通過開口部45と共に第2の端部は、この目的のために、2部品チェーンピン37の第1のチェーンピン部品36を越えて枢動されることができる。続いて、第2の端部は、ブシュ53および第2のチェーンピン部品38を用いることで第1のチェーンピン部品36へと強固に取り付けられることができる。この目的のため、ブシュ53は例えば、第2のチェーンピン部品38を越えて軸線方向に押圧されることができる。
【0115】
前記ブシュ53は、2部品チェーンピン37と、接続要素39の第2の端部における通過開口部45の縁との間の最初に存在している隙間を埋めるように設計されることができ、これによりインターロック方式で前記通過開口部45と相互作用することが可能となる。ブシュ53により、接続要素39はしたがって関連する2部品チェーンピン37上にインターロック方式で保持される。
【0116】
一実施形態により、各接続要素39は、連結プロセスの後、軸線方向において着脱可能な締結要素63を用いることで、その端部のそれぞれと共に、それぞれ関連する2部品チェーンピン37へと締結されることができる。
【0117】
換言すると、締結要素63は、例えば、接続要素39が、例えば最初に2部品チェーンピン37のうち1つの上へとその第1の端部と共に軸線方向で押圧され、次に第2の端部と共に、隣接する2部品チェーンピン37と枢動可能にかみ合わされた後に、固定ねじ59の形式で、2部品チェーンピン37へと固定的に締結されることができる。前記締結要素63は、軸線方向において、2部品チェーンピン37からの接続要素39の解放を防止することができる。ただし、締結要素63それ自身は、例えば固定ねじ59を緩めることにより2部品チェーンピン37から解放されることができるが、その結果、接続要素39は続いて軸線方向において2部品チェーンピン37から引き出されることができる。
【0118】
本明細書に記載されるように、コンベヤチェーン5を取り付ける方法の一実施形態に関して連結プロセスの例示的な設計は、図3および図4a~図4cを参照して以下のように記載されることができる。すなわち、コンベヤチェーン5上に接続要素39を設置することができるようにするために、これは接合点3カ所ごとに2部品チェーンピン37を有する。最初に、ガイドローラ55は前記チェーンピン37において配置される。すなわち、例えば前記チェーンピン37上へと軸線方向に押圧される。次に、摺動要素51は、2部品チェーンピン37上へと軸線方向に押圧される。続いて、接続要素39が取り付けられる。この目的のため、上述の方法において、それぞれ第2の端部を隣接する2部品チェーンピン37へと連結するために、接続要素39は、チェーンピン37上へとそれらの第1の端部と共に軸線方向でそれぞれ押圧され、次いで枢動方向61で枢動されることができる。最後尾の接続要素39を除いて、代替的には、全ての接続要素39は、隣接する2部品チェーンピン37上へと連続してそれらの2つの端部と共に軸線方向に押圧されることができる。ただし、少なくとも最後尾の接続要素39は、こうした方法で軸線方向に押圧されることがない。代わりに、この接続要素は、関連するチェーンピン37へと連結されるために、その第2の端部と共に接線方向において枢動されなければならない。続いて、接続要素39は例えば、ブシュ53の軸線方向挿入および固定ねじ59を用いた2部品チェーンピン37への軸線方向の締結により固定されることができる。必要な場合には、接続要素39の側面を互いから特に離間させることができる摺動ディスクおよび/またはスペーサ57は、個々の要素間にもまた提供されることができる。
【0119】
本明細書に記載のコンベヤチェーン5または本明細書に記載の方法で取り付けられたコンベヤチェーン5により、コンベヤチェーン5における接続要素39の特に簡単な取り換えが可能となることができる。
【0120】
この目的に使用される方法では、関連する2部品チェーンピンの2部品の設計は、それらの第2のチェーンピン部品38が取り外されるため、最初に分割される。続いて、取り換えられる接続要素39に隣接する接続要素39は、取り換えられる接続要素39の第2の端部を解放するために、接線方向において枢動方向61と反対に、その第2の端部と共に枢動される。次に、取り換えられる接続要素39は、軸線方向において第1の端部および第2の端部を進ませることにより、関連する2部品チェーンピン37から着脱される。次に、このようにして解放される接続要素39は、取り換え接続要素によって取り換えられる。コンベヤチェーン5の元の取り付けと同様に、前記取り換え接続要素は、次いで、軸線方向において移動させることにより、関連する2部品チェーンピン37へと、その第1の端部を用いて最初に連結される。その後枢動方向61において枢動し、チェーンピン部品36、38を接続することにより、次いで接線方向において対向する第2の端部を用いて2部品チェーンピン37へと連結される。
【0121】
特に接続要素39のこうした取り換えの過程で、コンベヤチェーン5のそれぞれの個々の接続要素39は、その第2の端部において、関連する2部品チェーンピン37を用いて着脱可能に連結され、前記連結は、接続要素39を軸線方向に引き抜くことでは実施されることができないが、接続要素39の接線方向での枢動によっては実施されることができることは有利である。隣接する接続要素39が延在方向17において互いに重複するとしても、個々の接続要素39は、第1の端部において隣接する接続要素39も着脱する必要なく、その第2の端部においてチェーンから枢動可能に着脱されることができ、この目的のために2部品チェーンピン37から軸線方向に接続要素39を進行させる。
【0122】
結果として、個々の接続要素39および/またはここに取り付けられたパレット7の取り換えは、相当に単純化されることができる。特に、摩耗した接続要素39は独立してかつ単純な方法で取り換えられることができる。
【0123】
換言すると、図面に示される例では、単一の接続要素39は、例えば、メンテナンス中に2つの固定ねじ59、第2のチェーンピン部品38および前記接続要素39の領域におけるコンベヤチェーン5の、関連する2部品チェーンピン37上のブシュ53を取り外すことで取り外されることができる。次に、隣接する接続要素39の重複する端部は枢動されなければならない。結果として、取り外される接続要素39はここで露出され、チェーンからそれ自身着脱されることができる。この目的のために、第1の端部41は最初に上方に枢動されることができ、次いで第2の端部43は、それに関連するチェーンピン37から軸線方向に引き出されることができる。
【0124】
本明細書に記載のコンベヤチェーン5または本明細書に記載の方法によって取り付けられたコンベヤチェーン5に関して、動く歩道1のためのパレットベルト3もまた、有利な方法で取り付けられることができる。
【0125】
この目的のため、2つのコンベヤチェーン5は、本明細書に提示された方法により最初に取り付けられ、次いで互いに平行に配置される。続いて、複数のパレット7は2つのコンベヤチェーン5上に取り付けられる。前述の目的のため、パレット7はコンベヤチェーン5の延在方向17において前後に配置され、パレット7のそれぞれは、第1の横方向端部において第1のコンベヤチェーン5の接続要素39のうち1つに締結され、対向する第2の横方向端部において第2のコンベヤチェーン5の接続要素39のうち1つに締結される。
【0126】
換言すると、パレットベルト3は、接続要素39に追加された2つのコンベヤチェーン5および接続要素39にねじ留めされたパレット7により形成されることができる。例えば工場で組み立てられる場合には取付け装置が使用されることができるが、これは位置づけ部分として異なるパレット幅に調整可能な2つのチェーンガイドを有する。これは、例えばスプロケットを有する回転可能に取り付けられた車軸により、最も単純な方法で実現される。取り付け装置は、例えばロボットといった形態である取り換え機械を用いることで完全自動化されることができる。
【0127】
最後に、「有する」「備える」などといった用語は、任意の他の要素または工程を排除するものではなく、「1つの(an)」または「1つの(a)」は複数形を排除することがないことは留意されるべきである。上記実施形態のうち1つを参照して記載された特徴または工程はまた、上記の他の実施形態の他の特徴または工程と組み合わされて使用されることができることも更に留意されなければならない。特許請求の範囲内の参照符号は、範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
【国際調査報告】