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特表2022-507990オルガノポリシロキサンを含む消泡性配合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】オルガノポリシロキサンを含む消泡性配合物
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/14 20060101AFI20220111BHJP
   C08L 83/06 20060101ALI20220111BHJP
   C08K 3/32 20060101ALI20220111BHJP
   C08G 77/50 20060101ALI20220111BHJP
   B01D 19/04 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
C08L83/14
C08L83/06
C08K3/32
C08G77/50
B01D19/04 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021529445
(86)(22)【出願日】2018-11-28
(85)【翻訳文提出日】2021-05-25
(86)【国際出願番号】 EP2018082900
(87)【国際公開番号】W WO2020108751
(87)【国際公開日】2020-06-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns-Seidel-Platz 4, D-81737 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(72)【発明者】
【氏名】マルクス、グランドル
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ、デッカート
(72)【発明者】
【氏名】エリーザベト、ヘルツルビィンマー
(72)【発明者】
【氏名】コリーナ、セイジ
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゼフ ビィンマー
【テーマコード(参考)】
4D011
4J002
4J246
【Fターム(参考)】
4D011CA01
4D011CB01
4D011CB03
4D011CB04
4D011CB08
4D011CB12
4D011CC03
4D011CC04
4J002CP03Z
4J002CP06Y
4J002CP18Z
4J002CP19W
4J002CP19X
4J002DE057
4J002DH046
4J002DJ018
4J002FD018
4J002GT00
4J002HA07
4J246AA11
4J246BA02
4J246BA02X
4J246BB020
4J246BB022
4J246BB02X
4J246BB140
4J246BB142
4J246BB14X
4J246CA010
4J246CA01U
4J246CA01X
4J246CA240
4J246CA24X
4J246CA340
4J246CA34U
4J246CA34X
4J246FA221
4J246FA271
4J246FA381
4J246FA471
4J246FB251
4J246FC161
4J246FC231
4J246FE26
4J246GA04
4J246GB02
4J246HA43
4J246HA56
(57)【要約】
本発明は、(1)1分子当たり、一般式O1/22Si-Y-SiRO2/2 (I)の構造単位を少なくとも1つと、一般式R12SiO1/2 (II)の単位を少なくとも2つと、一般式R2SiO2/2 (III)の単位とを含むオルガノポリシロキサン[式中、R、R1及びYは、請求項1においてそれらについて規定された意味を有し、ただし、上記オルガノポリシロキサンは、式R22SiO-(SiR2O)x1-SiRY1O-(SiR2O)x2-SiR21 (IV)の構造要素を含み、式(IV)中、Y1及びY2は、請求項1においてそれぞれ規定された意味を有し、x1及びx2は、0に等しく又は整数であり、ただし、合計x1+x2はxであり、ここで、xは平均して5超、100未満である。];(2)充填剤、(3)一般式R2 e(R3O)fSiO(4-e-f)/2 (V)の単位で構成されるオルガノポリシロキサン樹脂[式中、R2、R3、e及びfは、請求項1においてそれらについて規定された意味を有する。];並びに(5)リン酸を含む、新規な消泡性配合物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)1分子当たり、
一般式O1/22Si-Y-SiRO2/2 (I)
の構造単位を少なくとも1つと、
一般式R12SiO1/2 (II)
の単位を少なくとも2つと、
一般式R2SiO2/2 (III)
の単位と
を含むオルガノポリシロキサン、
(2)フィラー、
(3)一般式R2 e(R3O)fSiO(4-e-f)/2 (V)
の単位で構成されるオルガノポリシロキサン樹脂、並びに
(4)リン酸
を含む消泡剤配合物。
[前記式(I)~(III)中、
Rは、同一でも異なってもよく、炭素数1~30の一価のSiC結合炭化水素基を表し、前記SiC結合炭化水素基は、隣接しない酸素原子を1つ以上含んでもよく、脂肪族炭素-炭素多重結合を含まず、
1は、R又は炭素数2~30のアルケニル基であり、好ましくはメチル基又はビニル基であり、1分子当たり少なくとも1つのアルケニル基が存在し、
Yは、炭素数2~30の二価の炭化水素基を表し、
ただし、前記オルガノポリシロキサンは、式R22SiO-(SiR2O)x1-SiRY1O-(SiR2O)x2-SiR21 (IV)の構造要素を含む。
前記式(IV)中、
R及びR1は、上記で定義したとおりであり、
1は、式SiR21/2を有する基に結合している、炭素数2~30の二価の炭化水素基を表し、
2は、式SiRO2/2を有する基に結合している、炭素数2~30の二価の炭化水素基を表し、
1及びx2は、0又は整数であり、
ただし、合計x1+x2はxであり、ここで、xは平均して5超、好ましくは10超であり、100未満、望ましくは80未満、好ましくは60未満である。]
[前記式(V)中、
2は、同一でも異なってもよく、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1~30の一価のSiC結合炭化水素基を表し、
3は、同一でも異なってもよく、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1~4の一価の炭化水素基を表し、
eは、0、1、2又は3であり、
fは、0、1、2又は3であり、
ただし、合計e+fは3以下であり、前記オルガノポリシロキサン樹脂中の式(V)の全単位の50%未満において合計e+fが2である。]
【請求項2】
Y並びにY1及びY2が、それぞれ式-CH2CH2-の基であることを特徴とする、請求項1に記載の消泡剤配合物。
【請求項3】
前記オルガノポリシロキサン(1)が、
(A)一般式R12SiO1/2 (II)の単位、
一般式R2SiO2/2 (III)の単位、及び
一般式HRSiO2/2 (VII)の単位
を含むオリゴマー状又はポリマー状有機ケイ素化合物と、
任意に、
(B)一般式R62SiO1/2 (VIII)の単位、及び
一般式R2SiO2/2 (III)の単位
を含むオリゴマー状又はポリマー状有機ケイ素化合物と
を、
(C)脂肪族二重結合へのSi結合水素の付加を促進する触媒
の存在下に反応させて製造され、
前記成分(A)及び任意に前記成分(B)中の脂肪族二重結合の、前記成分(A)中のSi結合水素に対する使用比が、1.2~10、望ましくは1.5~5.0、好ましくは1.7~3.0である
ことを特徴とする、請求項1に記載の消泡剤配合物。
[前記式(II)、(III)及び(VII)中、
R及びR1は、請求項1で定義したとおりであり、
ただし、1分子当たり少なくとも1つのアルケニル基R1が存在し、単位HRSiO2/2と単位R12SiO1/2との合計は、平均して2.0よりも大きく、アルケニル基R1の数は、平均してSi結合水素原子の数よりも大きい。]
[前記式(VIII)及び(III)中、
Rは、請求項1で定義したとおりであり、
6は、炭素数2~30のアルケニル基であり、好ましくはビニル基である。]
【請求項4】
使用される前記有機ケイ素化合物(A)が、
式R12SiO-(SiR2O)x-(HSiR)y-O-SiR21 (IX)
のものであることを特徴とする、請求項3に記載の消泡剤配合物。
[前記式(IX)中、
R、R1及びxは、請求項1で定義したとおりであり、
yは、平均して少なくとも0.5、好ましくは少なくとも0.6、特に好ましくは少なくとも0.7であり、平均して最大で1.5、好ましくは最大で1.2、特に好ましくは最大で1.0であり、
ただし、1分子当たり少なくとも1つのアルケニル基R1が存在し、
単位HRSiO2/2と単位R12SiO1/2との合計は、平均して2.0より大きく、アルケニル基R1の数は、平均してSi結合水素原子の数よりも大きい。]
【請求項5】
使用される前記有機ケイ素化合物(B)が、
式R62SiO-(SiR2O)z-O-SiR26 (X)
のものであることを特徴とする、請求項3又は4に記載の消泡剤配合物。
[前記式(X)中、
R及びR6は、請求項3で定義したとおりであり、
zは、平均して5超、好ましくは10超であり、1000未満、好ましくは500未満、特に好ましくは250未満である。]
【請求項6】
さらなる構成要素として、
任意に、
(5)一般式
42SiO(SiR2O)mSiR24 (VIa)、又は
【化1】
のポリオルガノシロキサン、
任意に、
(6)非水溶性有機化合物、
任意に、
(7)直鎖状でも分岐状でもよい、少なくとも1つのポリエーテル基を含むポリエーテル変性ポリシロキサン、
並びに任意に、
(8)アルカリ性若しくは酸性の触媒、又は前記成分(1)~(7)とのその反応生成物
を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の消泡剤配合物。
[前記式(VIa)及び(VIb)中、
Rは、同一でも異なってもよく、上記で定義したとおりであり、
4は、同一でも異なってもよく、Rでも-OR6でもよく、ここでR5は、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1~25の一価の炭化水素基を表し、
mは、整数であり、好ましくは1~2500であり、
nは、整数であり、好ましくは2~20であり、
ここで、前記ポリオルガノシロキサンはまた、小さな割合の分岐、好ましくはT単位(R4SiO3/2)及びQ単位(SiO2)を含んでもよい。]
【請求項7】
使用される前記オルガノポリシロキサン樹脂(3)が、
式SiO2(Q単位)、及び
式R2 3SiO1/2(M単位)
の単位で構成されるMQ樹脂であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の消泡剤配合物。
[前記式中、R2及びR3は、請求項1で定義したとおりであり、ここでのQ単位に対するM単位のモル比は、好ましくは0.5~2.0の範囲であり、前記MQ樹脂は、前記M単位及び前記Q単位に加えて、少量のR2SiO3/2若しくは(R3O)SiO3/2(T)単位又はR2 2SiO2/2(D)単位を、全シロキサン単位の合計に対して、好ましくは0.01~20mol%の量で含んでもよく、前記MQ樹脂は、遊離のSi結合ヒドロキシル又はアルコキシ基を最大で10重量%含んでもよい。]
【請求項8】
使用される前記非水溶性有機化合物(6)が、900~1100hPaで100℃を超える沸点を有するものであり、特に、鉱油、天然油、イソパラフィン、ポリイソブチレン、オキソアルコール合成の残渣、低分子量合成カルボン酸のエステル、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、低分子量アルコールのエーテル、フタル酸エステル、リン酸エステル、及びワックスから選択されるものであることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の消泡剤配合物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の消泡剤配合物、
乳化剤、及び

を含む、消泡剤配合物のエマルション。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の消泡剤配合物と、
担体物質と
を含む粉体。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか一項に記載の消泡剤配合物、又は請求項9に記載のそのエマルション、又は請求項10に記載のその粉体を含む、洗浄又はクリーニング組成物。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか一項に記載の消泡剤配合物、又は請求項9に記載のそのエマルション、又は請求項10に記載のその粉体と、媒体とを混合することにより、媒体を消泡する、及び/又は媒体の発泡を防止する方法。
【請求項13】
化学パルプ製造時に生成する水性媒体を用いることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オルガノポリシロキサンを含む消泡剤配合物、及び特に水性界面活性剤系での消泡剤としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
所望の又は非所望の構成要素として界面活性化合物を含む多くの液体の(特に水性)系において、これらの系が、例えば、廃水のガス処理中、液体の激しい攪拌中、蒸留工程、スクラビング工程若しくは染色工程、又は充填方法において、ガス状物質と多少激しく接触する際に、発泡が問題となりえる。
【0003】
この泡は、機械的な手段又は消泡剤の添加によって制御することができる。シロキサン系消泡剤が特に有効であることがわかっている。
【0004】
シロキサン系消泡剤の性能向上は、進行中のプロセスである。多数の科学論文(例えば、Denkovら,Langmuir,1999,15,8514、Langmuir,1999,15,8530、又は概説では、P.Garrett,The science of defoaming,CRC Press,2014,Chapter 4.5 “Oil Bridges and Antifoam Mechanism”,v.a.pp.152 ff.)が消泡機構に関係しており、シロキサン系消泡剤の場合は、いわゆる架橋-伸長機構が支持されている。この機構は、シロキサン系消泡剤がまず発泡体ラメラに架橋を形成し、それが引き裂かれることで発泡体ラメラが破壊されることに基づいている。したがって、消泡剤の充分に低い粘度及び良好な分散性は、発泡体ラメラに架橋を形成するために必要である。
【0005】
シロキサン系消泡剤の改良過程において、多くの論文が、この消泡剤架橋の形成速度を高め、その結果、消泡剤の瞬間的な性能(フォームノックダウンとしても知られる)を高めることに焦点を当ててきた。ここでは、疎水性フィラー(特にシリカ)を組み込むことで、効率の顕著な向上が達成されている。例えば独国特許出願公開第29 25 722A号明細書に従い、(事前に)疎水化されたシリカをポリジメチルシロキサン中に分布させることで、上記組込みを行うことができる。また、例えば米国特許第3,383,327A号明細書に従い、例えばポリジメチルシロキサン中に分布させた親水性シリカを加熱することで、又は塩基性触媒を使用して(米国特許第3,560,401A号明細書)、(in situ)疎水化を実施することも可能である。
【0006】
シロキサン系消泡剤がポリジオルガノシロキサン及びシリカだけでなく、例えば米国特許第4,145,308A号明細書に記載されているような(CH33SiO1/2とSiO2との構造ブロックで構成される共重合体も含む場合には、さらなる性能向上をなしえる。
【0007】
シリコーン系消泡剤の性能向上は、ポリエーテル-ポリシロキサン共重合体の添加によっても可能である。米国特許第7,105,581B1号明細書には、ポリエーテル-ポリシロキサン共重合体系消泡剤が記載されている。これらの添加された共重合体は、界面活性剤である。
【0008】
典型的なシリコーン系消泡剤組成物は、したがって、ポリシロキサン、疎水化シリカなどのフィラー、(CH33SiO1/2単位とSiO2単位とで構成される共重合体、並びにポリエーテル-ポリシロキサン共重合体などを含むことができる。
【0009】
近年の主な焦点は、シロキサン系消泡剤の長期性能を向上させることである。この側面については、一連の科学論文(例えば、Denkovら,Langmuir,2000,16,2515や、Marinovaら,Langmuir,2003,19,3084など)で検討されている。一定の使用時間後の性能低下は、そこでは「消泡剤の消耗」又は「消泡剤の不活性化」として記述されており、例えば、消泡剤小滴の粒子径の減少、表面に存在する消泡剤の乳化、又は消泡剤小滴の2つの異なる集団(シリカ枯渇型とシリカ濃縮型)へのポリジメチルシロキサンとシリカとの分離、などの一連の影響に起因するとしている。
【0010】
これらの影響に対抗して、長期性能を向上させるために、初期架橋された、又は場合によっては既にゴム状のポリジメチルシロキサンを消泡剤の一部として使用し、消泡剤に弾性モーメントを付与することが、ここ数十年で提案されている。
【0011】
このような初期架橋された、又は場合によっては既にゴム状のポリジメチルシロキサンは、例えば、シルセスキオキサン単位をポリジメチルシロキサンに(共加水分解により)組み込むことによって(米国特許第2,632,736A号明細書)、アルコキシシラン若しくは(CH33SiO1/2単位とSiO2単位とで構成される共重合体をポリジメチルシロキサンに(平衡化及び/又は縮合により)組み込むことによって(欧州特許出願公開第163 541A2号明細書及び欧州特許出願公開第217 501A2号明細書)、又はポリジメチルシロキサンのフリーラジカル架橋によって(例えば、独国特許出願公開第3805661A1号明細書及び欧州特許出願公開第273 448A2号明細書)、製造されている。また、ヒドロシリル化の観点から、末端ビニル含有シロキサンとSi-H官能性シロキサンとの反応による、初期架橋及び分岐シロキサンの製造が代替案として提案されている(例えば、欧州特許出願公開第434 060A2号明細書、欧州特許出願公開第516 109A1号明細書、独国特許出願公開第44 44 175A1号明細書及び英国特許出願公開第2257709A1号明細書)。
【0012】
しかしながら、これらの方法は非常に非特異的で、しばしば再現性に乏しく、また、ゲル化点付近で作用するために取扱いが困難な生成物が得られることが多い。そのため、これらの方法は、不活性なポリシロキサン中で、あるいは溶媒として大過剰の一つの反応相手(通常はビニル含有成分)の存在下で行われる。意図的に高度に架橋された又はさらにはゲル化された生成物も製造されているが、取扱い性のために、当該生成物は比較的大過剰の直鎖状ポリシロキサンと混合されている(例えば、欧州特許出願公開第499 364A1号明細書)。
【0013】
初期架橋された、又は場合によっては既にゴム状のポリジメチルシロキサンの特性評価は、例えば、侵入度(欧州特許出願公開第434 060A2号明細書)、ワイセンベルク効果(独国特許第38 05 661号明細書)などのエラストマー特性評価、又はレオロジー特性評価で知られている方法によって実施されることが多い。例えば、欧州特許出願公開第499 364A1号明細書では、消泡剤をゲル化させたり、エマルション中でゲル化させたりして、周波数10Hz、25℃及び振幅2%未満での損失係数(tanδ)及び動的弾性率(G’)により、エラストマー物性を特徴付けている。国際公開第2011/069868A2号によると、非常に高い粘度(1 Mio mPas超)のポリシロキサンを組み込むことで、シロキサン系消泡剤に、1Hz及び振幅1%での損失係数(tanδ)の測定によって記述される弾性モーメントが付与されている。
【0014】
初期架橋された、又は場合によってはゴム状のポリジメチルシロキサンを使用した場合の不利な点は、消泡剤化合物の保存期間が長くなると、そのような配合物の粘度が大きく上昇することである。ポリエーテル-ポリシロキサン共重合体を含む消泡剤配合物では、それが添加されていない配合物に比べて、記載した粘度の上昇が著しく速くなる。このことは、その取扱い性、特にその流動性、計量性及び乳化性に不利な影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
その目的は、良好な保存安定性(特に数週間にわたってほぼ一定の粘度)を有するとともに、調製直後だけでなく保存後も高い消泡効率を有するシロキサン系消泡剤配合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、
(1)1分子当たり、
一般式O1/22Si-Y-SiRO2/2 (I)
の構造単位を少なくとも1つと、
一般式R12SiO1/2 (II)
の単位を少なくとも2つと、
一般式R2SiO2/2 (III)
の単位と
を含むオルガノポリシロキサン、
(2)フィラー、
(3)一般式R2 e(R3O)fSiO(4-e-f)/2 (V)
の単位で構成されるオルガノポリシロキサン樹脂、並びに
(4)リン酸
を含む消泡剤配合物に関する。
【0017】
上記式(I)~(III)中、
Rは、同一でも異なってもよく、炭素数1~30の一価のSiC結合炭化水素基を表し、SiC結合炭化水素基は、隣接しない酸素原子を1つ以上含んでもよく、脂肪族炭素-炭素多重結合を含まない。
1は、R又は炭素数2~30のアルケニル基であり、好ましくはメチル基又はビニル基であり、1分子当たり少なくとも1つのアルケニル基が存在する。
Yは、炭素数2~30の二価の炭化水素基を表す。
ただし、オルガノポリシロキサンは、式R22SiO-(SiR2O)x1-SiRY1O-(SiR2O)x2-SiR21 (IV)の構造要素を含む。
【0018】
上記式(IV)中、
R及びR1は、上記で定義したとおりである。
1は、式SiR21/2を有する基に結合している、炭素数2~30の二価の炭化水素基を表す。
2は、式SiRO2/2を有する基に結合している、炭素数2~30の二価の炭化水素基を表す。
1及びx2は、0又は整数である。
ただし、合計x1+x2はxであり、ここで、xは平均して5超、好ましくは10超であり、100未満、望ましくは80未満、好ましくは60未満である。
【0019】
上記式(V)中、
2は、同一でも異なってもよく、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1~30の一価のSiC結合炭化水素基を表す。
3は、同一でも異なってもよく、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1~4の一価の炭化水素基を表す。
eは、0、1、2又は3である。
fは、0、1、2又は3である。
ただし、合計e+fは3以下であり、オルガノポリシロキサン樹脂中の式(V)の全単位の50%未満において合計e+fが2である。
【0020】
本発明の消泡剤配合物は、さらなる構成要素として、
任意に、
(5)一般式
42SiO(SiR2O)mSiR24 (VIa)、又は
【化1】
のポリオルガノシロキサン、
任意に、
(6)非水溶性有機化合物、
任意に、
(7)直鎖状でも分岐状でもよい、少なくとも1つのポリエーテル基を含むポリエーテル変性ポリシロキサン、
並びに任意に、
(8)アルカリ性若しくは酸性の触媒、又は成分(1)~(7)とのその反応生成物
を含んでもよい。
【0021】
上記式(VIa)及び(VIb)中、
Rは、同一でも異なってもよく、上記で定義したとおりである。
4は、同一でも異なってもよく、Rでも-OR6でもよく、ここでR5は、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1~25の一価の炭化水素基を表す。
mは、整数であり、好ましくは1~2500であり、mは、式(VIa)のポリオルガノシロキサンが25℃及び101.425kPaで10~1,000,000mPa・sの粘度を有するように好ましくは選択される。
nは、整数であり、好ましくは2~20であり、nは、式(VIb)のポリオルガノシロキサンが25℃及び101.425kPaで2~15mPa・sの粘度を有するように好ましくは選択される。
ここで、ポリオルガノシロキサンはまた、小さな割合の分岐、好ましくはT単位(R4SiO3/2)及びQ単位(SiO2)を含んでもよい。
【0022】
オルガノポリシロキサン(1)は、本発明の消泡剤配合物における主成分であり、したがって、任意のさらなる成分(2)~(8)より多い量で存在する。
【0023】
消泡剤配合物は、それぞれの場合において、消泡剤配合物の総重量を基準として、
(1)少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも40重量%、特に好ましくは少なくとも50重量%の、そして好ましくは最大で97重量%、好ましくは最大で90重量%、特に好ましくは最大で85重量%の、オルガノポリシロキサン、
(2)少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも2重量%、特に好ましくは少なくとも3重量%の、そして好ましくは最大で15重量%、好ましくは最大で12重量%、特に好ましくは最大で10重量%の、フィラー、
(3)少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも2重量%、特に好ましくは少なくとも3重量%の、そして好ましくは最大で15重量%、好ましくは最大で12重量%、特に好ましくは最大で10重量%の、式(V)の単位で構成されるオルガノポリシロキサン樹脂、
(4)少なくとも0.01重量%の、好ましくは最大で3重量%、特に好ましくは最大で1重量%の、オルトリン酸、
(5)少なくとも0重量%、好ましくは少なくとも3重量%、特に好ましくは少なくとも5重量%の、そして好ましくは最大で40重量%、好ましくは最大で30重量%、特に好ましくは最大で20重量%の、一般式(VIa)又は(VIb)のポリオルガノシロキサン、
(6)少なくとも0重量%の、そして好ましくは最大で15重量%、好ましくは最大で10重量%、特に好ましくは最大で7.5重量%の、非水溶性有機化合物、
(7)少なくとも0重量%の、そして好ましくは最大で15重量%、好ましくは最大で10重量%、特に好ましくは最大で7.5重量%の、直鎖状でも分岐状でもよい、少なくとも1つのポリエーテル基を有するポリエーテル変性ポリシロキサン、及び
(8)少なくとも0重量%、好ましくは少なくとも0.05重量%、特に好ましくは少なくとも0.1重量%の、そして好ましくは最大で1重量%、好ましくは最大で0.5重量%、特に好ましくは最大で0.3重量%の、アルカリ性若しくは酸性の触媒、又は成分(1)~(7)とのその反応生成物
を含む場合が好ましい。
【0024】
消泡剤配合物は、成分(1)~(4)と、任意に成分(5)と、任意に成分(6)と、任意に成分(7)と、任意に成分(8)とのみからなる場合が好ましい。
【0025】
消泡剤配合物において使用されるオルガノポリシロキサン(1)は、
(A)一般式R12SiO1/2 (II)の単位、
一般式R2SiO2/2 (III)の単位、及び
一般式HRSiO2/2 (VII)の単位
を含むオリゴマー状又はポリマー状有機ケイ素化合物と、
任意に、
(B)一般式R62SiO1/2 (VIII)の単位、及び
一般式R2SiO2/2 (III)の単位
を含むオリゴマー状又はポリマー状有機ケイ素化合物と
を、
(C)脂肪族二重結合へのSi結合水素の付加を促進する触媒
の存在下に反応させて生成可能なオルガノポリシロキサンである場合が好ましく、
ここで、成分(A)及び任意に成分(B)中の脂肪族二重結合の、成分(A)中のSi結合水素に対する使用比は、1.2~10、望ましくは1.5~5.0、好ましくは1.7~3.0である。
【0026】
上記式(II)、(III)及び(VII)中、
R及びR1は、上記で定義したとおりであり、
ただし、1分子当たり少なくとも1つのアルケニル基R1が存在し、単位HRSiO2/2と単位R12SiO1/2との合計は、平均して2.0よりも大きく、アルケニル基R1の数は、平均してSi結合水素原子の数よりも大きい。
【0027】
上記式(VIII)及び(III)中、
Rは、上記で定義したとおりであり、
6は、炭素数2~30のアルケニル基であり、好ましくはビニル基である。
【0028】
消泡剤配合物において使用されるオルガノポリシロキサン(1)を製造するために使用されるオリゴマー状又はポリマー状有機ケイ素化合物(A)は、
式R12SiO-(SiR2O)x-(HSiR)y-O-SiR21 (IX)
のものである場合が好ましい。
【0029】
上記式(IX)中、
R、R1及びxは、上記で定義したとおりであり、
yは、平均して少なくとも0.5、好ましくは少なくとも0.6、特に好ましくは少なくとも0.7であり、平均して最大で1.5、好ましくは最大で1.2、特に好ましくは最大で1.0であり、
ただし、1分子当たり少なくとも1つのアルケニル基R1が存在し、
単位HRSiO2/2と単位R12SiO1/2との合計は、平均して2.0より大きく、アルケニル基R1の数は、平均してSi結合水素原子の数よりも大きい。
【0030】
消泡剤配合物において使用されるオルガノポリシロキサン(1)を製造するために使用してもよいオリゴマー状又はポリマー状有機ケイ素化合物(B)は、
式R62SiO-(SiR2O)z-O-SiR26 (X)
のものである場合が好ましい。
【0031】
上記式(X)中、
R及びR6は、上記で定義したとおりであり、
zは、平均して5超、好ましくは10超であり、1000未満、好ましくは500未満、特に好ましくは250未満である。
【0032】
炭化水素基Rの例は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、1-n-ブチル基、2-n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基などのヘキシル基、n-ヘプチル基などのヘプチル基、n-オクチル基並びに2,2,4-トリメチルペンチル基及び2-エチルヘキシル基などのイソオクチル基などのオクチル基、n-ノニル基などのノニル基、n-デシル基などのデシル基、n-ドデシル基などのドデシル基、n-テトラデシル基などのテトラデシル基、n-ヘキサデシル基などのヘキサデシル基、並びにn-オクタデシル基などのオクタデシル基、などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロヘキシル基及び4-エチルシクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基及びフェナントリル基などのアリール基;o-,m-,p-トリル基、キシリル基及びエチルフェニル基などのアルカリール基;並びにベンジル基及びα-,β-フェニルエチル基などのアラルキル基である。
【0033】
炭化水素基Rは、エーテル基又はポリエーテル基を含んでもよい。
Rの好ましい例は、メチル基、エチル基及びフェニル基である。特に好ましい例は、メチル基である。
【0034】
1がRの定義を有する場合、Rについて上述した例だけでなく、Rについて明記された好ましい例もR1に適用される。
【0035】
1がアルケニル基である場合、アルケニル基R1の例は、ビニル基、アリル基及び3-ブテニル基、5-ヘキセニル基、7-オクテニル基、9-デセニル基並びに11-ドデセニル基であり、ビニル基及び5-ヘキセニル基が好ましく、ビニル基が特に好ましい。
【0036】
オルガノポリシロキサン(1)が、アルケニル基R1を平均して2つ超で含む場合が好ましい。
【0037】
Yが、炭素数1~12、特に好ましくは炭素数2の二価の炭化水素基である場合が好ましく、式-CH2CH2-の基が特に好ましい。
【0038】
1及びY2は、それぞれの場合において、炭素数1~12、特に好ましくは炭素数2の二価の炭化水素基である場合が好ましく、式-CH2CH2-の基が特に好ましい。
【0039】
構造単位(I)中のY、並びに構造単位(IV)中のY1及びY2の例は、式-CH2CH2-、-CH(CH3)-、-(CH24-、-(CH25-、-(CH26-、-(CH28-、-(CH210-、-(CH212-の基であり、式-CH2CH2-、-CH(CH3)-、-(CH26-及び-(CH28-の基が好ましく、式-CH2CH2-の基が特に好ましい。
【0040】
また、Y並びにY1及びY2は、不飽和でもよい。これらの例は、式-CH=CH-(シス又はトランス)の基、及び式-C(=CH2)-の基である。
【0041】
本発明のオルガノポリシロキサン(1)において、式(II)の単位の好ましい例は、トリメチルシロキサン単位又はビニルジメチルシロキサン単位であり、特に、1分子当たり少なくとも1つのビニルジメチルシロキサン単位が存在する。
式(III)の単位の好ましい例は、ジメチルシロキサン単位である。
【0042】
2は、好ましくは、炭素数1~30の炭化水素基を表す。
炭化水素基Rの例は、その全体が炭化水素基R2に適用される。
基R2の好ましい例は、メチル基、エチル基及びフェニル基である。
【0043】
基R3の例は、水素原子、並びにメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基及びn-ブチル基などのアルキル基である。
基R3は、水素原子、又はメチル基若しくはエチル基である場合が好ましい。
【0044】
基R5の例としては、水素原子、並びにメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基及びn-ブチル基、並びにイソトリデシル基、n-オクチル基、ステアリル基、4-エチルヘキサデシル基、2-オクチル-1-ドデシル基又はエイコサニル基などのアルキル基である。
【0045】
基R5は、水素原子、又はメチル基、エチル基若しくは2-オクチル-1-ドデシル基などのC1-C25-アルキル基である場合が好ましい。
【0046】
基R4の好ましい例は、メチル基、エチル基及びフェニル基、並びにヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基及び2-オクチル-1-ドデシルオキシ基である。
【0047】
使用してもよい、R4が基-OR5である式(VIa)のポリオルガノシロキサンは、例えば、シラノール末端のポリジメチルシロキサンと、イソトリデシルアルコール、n-オクタノール、ステアリルアルコール、4-エチルヘキサデカノール、2-オクチル-1-ドデカノール又はエイコサノールなどの脂肪族アルコールとのアルカリ触媒縮合によって得ることができる。
【0048】
基R6の例は、ビニル基、アリル基及び3-ブテニル基、5-ヘキセニル基、7-オクテニル基、9-デセニル基並びに11-ドデセニル基であり、ビニル基及び5-ヘキセニル基が好ましく、ビニル基が特に好ましい。
【0049】
本発明の消泡剤配合物において使用されるオルガノポリシロキサン(1)の25℃及び101.425kPaにおける粘度は、それぞれの場合において、好ましくは少なくとも50mPa・s、好ましくは少なくとも500mPa・sであり、望ましくは最大で10,000mPa・s、好ましくは最大で5000mPa・sである。
【0050】
オルガノポリシロキサン(1)はまた、RSiO3/2(T)単位又はSiO2(Q)単位(ここでRは上記で定義したとおりである)などの他のシロキサン単位を、全シロキサン単位の合計に対して、少量、好ましくは0~1mol%、特に好ましくは0~0.02mol%含んでもよい。
【0051】
オルガノポリシロキサン(1)及びその製造方法は、例えば、米国特許第6,258,913B1号明細書、特に11欄6行目から12欄50行目に記載されている(参照により組み込まれる)。
【0052】
1種のオルガノポリシロキサン(1)を使用することも、少なくとも2種のオルガノポリシロキサン(1)の混合物を使用することも可能である。
【0053】
本発明の消泡剤配合物に使用されるオルガノポリシロキサン(1)を製造するために使用される有機ケイ素化合物(A)の場合、式(II)の単位の好ましい例は、トリメチルシロキサン単位又はビニルジメチルシロキサン単位であり、特に、1分子当たり少なくとも1つのビニルジメチルシロキサン単位が存在する。
【0054】
式(III)の単位の好ましい例は、ジメチルシロキサン単位である。
式(VII)の単位の好ましい例は、ハイドロジェンメチルシロキサン単位である。
【0055】
式(IX)のものなどの有機ケイ素化合物(A)は、例えば、式R12SiO1/2の末端単位を有するオルガノポリシロキサンと、HRSiO2/2単位中のSi結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンとの平衡化によって製造され、ここでR及びR1は上記で定義したとおりである。
【0056】
有機ケイ素化合物(A)の25℃における粘度は、好ましくは5~150mPa・sである。
【0057】
本発明の消泡剤配合物において使用されるオルガノポリシロキサン(1)を製造するために使用してもよい有機ケイ素化合物(B)の場合、式(IX)の単位の好ましい例は、ビニルジメチルシロキサン単位である。
式(III)の単位の好ましい例は、ジメチルシロキサン単位である。
【0058】
有機ケイ素化合物(B)(特に式(X)の化合物)は、既知であり、式R72SiO1/2の末端単位を有するオルガノポリシロキサンと、環状オルガノポリシロキサン又は式R2SiOの単位を有するHO若しくはアルコキシ末端オルガノポリシロキサンとの平衡化によって製造され、ここでR及びR6は上記で定義したとおりである。
【0059】
有機ケイ素化合物(B)の25℃における粘度は、好ましくは5~100,000mPa・sである。
【0060】
本発明の方法において、脂肪族二重結合へのSi結合水素の付加を促進する使用可能な触媒(C)としては、脂肪族二重結合へのSi結合水素の付加を促進するために従来から使用しえるものと同じ触媒が挙げられる。
【0061】
触媒(C)は、白金族金属からの金属又は白金族金属からの化合物若しくは錯体から好ましくは選択される。このような触媒の例は、微粉化金属白金(二酸化ケイ素、酸化アルミニウム又は活性炭などの担体上に存在してもよい);白金の化合物又は錯体、例えば、ハロゲン化白金(例えば、PtCl4、H2PtCl6・6H2O、Na2PtCl4・4H2O)、白金-オレフィン錯体、白金-アルコール錯体、白金-アルコキシド錯体、白金-エーテル錯体、白金-アルデヒド錯体、白金-ケトン錯体(H2PtCl6・6H2Oとシクロヘキサノンとの反応生成物など)、白金-ビニルシロキサン錯体(検出可能な無機結合ハロゲンの含有量の有無にかかわらず、白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体など)、ビス(γ-ピコリン)白金ジクロリド、トリメチレンジピリジン白金ジクロリド、ジシクロペンタジエン白金ジクロリド、ジメチルスルホキシドエチレン白金(II)ジクロリド、シクロオクタジエン白金ジクロリド、ノルボルナジエン白金ジクロリド、γ-ピコリン白金ジクロリド、シクロペンタジエン白金ジクロリド、また、米国特許第4,292,434A号明細書による四塩化白金とオレフィン、及び第一級アミン若しくは第二級アミン、又は第一級及び第二級アミンとの反応生成物(1-オクテンに溶解した四塩化白金とsec-ブチルアミンとの反応生成物など)、又は欧州特許第110 370B号明細書によるアンモニウム白金錯体である。
【0062】
触媒(C)は、それぞれの場合において元素白金として計算され、成分(A)及び任意に成分(B)の合計重量に対して、好ましくは1~100ppmw(100万重量部当たりの重量部)、好ましくは4~20ppmwの量で使用される。
【0063】
本発明の消泡剤配合物において使用されるオルガノポリシロキサン(1)の製造方法は、好ましくは、環境大気圧(すなわち約1020hPa(abs.))で行われるが、より高い圧力又はより低い圧力で行われることもある。
【0064】
さらに、上記方法は、望ましくは50℃~180℃、好ましくは60℃~140℃の温度で行われる。
【0065】
不活性有機溶媒の併用は好ましくないが、不活性有機溶媒は、上記製造方法で併用してもよい。不活性有機溶媒の例は、トルエン、キシレン、オクタン異性体、酢酸ブチル、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン及びシクロヘキサンである。
【0066】
併用してもよい不活性有機溶媒は、その後、蒸留によって除去される。高分子量生成物は、好ましくは不活性溶媒に溶解したままである。
【0067】
本発明の消泡剤配合物において使用されるフィラー(2)は、20~1000m2/gのBET表面積を有することが好ましい。フィラー(2)は、10μm未満の粒径及び100μm未満の凝集サイズを有することが好ましい。
【0068】
フィラー(2)の例は、二酸化ケイ素(シリカ)、二酸化チタン、酸化アルミニウム、金属石鹸、石英粉、PTFE粉、脂肪酸アミド(例えば、エチレンビスステアルアミド)、及び微粉化疎水性ポリウレタンである。
【0069】
20~1000m2/gのBET表面積を有する、二酸化ケイ素(シリカ)、二酸化チタン又は酸化アルミニウムが、フィラー(2)として好ましく使用される。これらのフィラーは、10μm未満の粒径及び100μm未満の凝集サイズを有することが好ましい。
【0070】
シリカ、特にBET表面積が50~800m2/gのシリカが、フィラー(2)として好ましい。これらのシリカは、焼成シリカ又は沈降シリカでもよい。前処理された両方のシリカ、すなわち疎水性シリカ及び親水性シリカも、フィラー(2)として使用可能である。本発明において使用してもよい市販の疎水性シリカの例は、HDK(登録商標)H2000、ヘキサメチルジシラザンで処理され、140m2/gのBET表面積を有する焼成シリカ(ドイツのWacker Chemie AGから市販されている)、及びポリジメチルシロキサンで処理され、90m2/gのBET表面積を有する沈降シリカ(ドイツのDegussa AGから「Sipernat D10」の名称で市販されている)である。
【0071】
親水性シリカは、消泡剤配合物の所望の性能に有利な場合、その場で(in situ)疎水化することもできる。シリカを疎水化する方法はよく知られている。親水性シリカのin situ疎水化は、したがって、例えば、成分(1)若しくは成分(5)中、又は成分(1)、成分(3)、任意に成分(5)及び任意に成分(6)の混合物中に分散されたシリカを、100℃~200℃の温度に数時間加熱することによって行ってもよい。KOHなどの触媒や、短鎖OH末端ポリジメチルシロキサン、シラン又はシラザンなどの疎水化剤を添加することで、反応をサポートすることができる。
【0072】
本発明の消泡剤配合物において使用される成分(3)は、樹脂中の単位の好ましくは30%未満、好ましくは5%未満において、合計e+fが2に等しい式(V)の単位で構成されるシリコーン樹脂の形態をとる。
【0073】
式(V)の単位で構成されるオルガノポリシロキサン樹脂(3)は、好ましくは、
式SiO2(Q単位)、及び
式R2 3SiO1/2(M単位)
の単位で構成されるMQ樹脂であり、ここでR2は上記で定義したとおりである。
【0074】
Q単位に対するM単位のモル比は、好ましくは0.5~2.0の範囲であり、好ましくは0.6~1.0の範囲である。MQ樹脂は、M単位及びQ単位に加えて、少量のR2SiO3/2若しくは(R3O)SiO3/2(T)単位又はR2 2SiO2/2(D)単位を、全シロキサン単位の合計に対して、好ましくは0.01~20mol%、好ましくは0.01~5mol%の量で含んでもよく、ここでR3は上記で定義したとおりである。これらのMQ樹脂はまた、メトキシ基又はエトキシ基などの、遊離のSi結合ヒドロキシル又はアルコキシ基を最大で10重量%含んでもよい。
【0075】
これらのオルガノポリシロキサン樹脂(3)は、好ましくは、25℃及び101.425kPaで、1000mPa・s超の粘度を有するか、又は固体である。これらの樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(ポリスチレン標準に基づく)によって測定される重量平均分子量は、好ましくは200~200,000g/mol、特に好ましくは1000~20,000g/molである。
【0076】
本発明の消泡剤配合物において使用してもよいポリオルガノシロキサン(5)の例は、それぞれの場合において25℃及び101.425kPaで、10~1,000,000mPa・sの粘度を有する式(VIa)のポリジメチルシロキサン、又は2~15mPa・sの粘度を有する式(VIb)の環状ポリジメチルシロキサンである。
【0077】
式(VIa)には示されていないが、これらのポリオルガノシロキサン(5)は、RSiO3/2(T)単位及びSiO2(Q)単位などの他のシロキサン単位(ここで、Rは上記で定義したとおりである)を、全シロキサン単位の合計に対して、0~1mol%、好ましくは0~0.02mol%含んでもよい。
【0078】
リン酸(4)は、任意の濃度で水に溶かして添加することができる。
【0079】
非水溶性有機化合物(6)は、本発明の消泡剤配合物において使用することができる。
【0080】
本発明の文脈において、「非水溶性」という用語は、25℃及び101.425kPaの圧力における水への溶解度が3重量%以下であることを意味すると理解されるべきである。
【0081】
使用してもよい成分(6)は、環境大気圧(すなわち900~1100hPa)で100℃を超える沸点を有する非水溶性有機化合物から好ましくは選択され、特に、鉱油、天然油、イソパラフィン、ポリイソブチレン、オキソアルコール合成の残渣、低分子量合成カルボン酸のエステル(例えば、ペンタンジオール-1,3-ジイソブチレート)、脂肪酸エステル(例えば、ステアリン酸オクチル、パルミチン酸ドデシル又はミリスチン酸イソプロピル)、脂肪アルコール、低分子量アルコールのエーテル、フタル酸エステル、リン酸エステル、及びワックスから選択される。
【0082】
直鎖状でも分岐状でもよい、少なくとも1つのポリエーテル基を有するポリエーテル変性ポリシロキサン(7)は、本発明の消泡剤配合物において使用することができる。そのようなポリエーテル変性ポリシロキサンは、既知であり、例えば欧州特許出願公開第1076073A1号明細書、特に2ページの35行から4ページの46行に記載されている(参照により組み込まれる)。
【0083】
アルカリ性触媒(8)の例は、NaOH、KOH、CsOH、LiOH及びCa(OH)2などの、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物である。酸性触媒(8)の例は、塩酸、硫酸及びホスホニトリル塩化物である。
【0084】
成分(1)~(7)との(8)の反応生成物は、例えば、フィラー(2)として好ましいシリカと、アルカリ金属水酸化物、例えばケイ酸カリウム又はケイ酸ナトリウムとの生成物である。
【0085】
触媒の計量添加は、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール)又はエステル(例えば、酢酸エチル)などの典型的な有機溶媒中で行ってもよい。
【0086】
本発明の消泡剤配合物において使用される成分(2)~(8)は、それぞれの場合において、そのような成分の1種でもよく、それぞれの成分の少なくとも2種の混合物でもよい。
【0087】
本発明の消泡剤組成物の25℃及び101.425kPaにおける粘度は、その調製から1日後では、好ましくは少なくとも5000mPa・sであり、好ましくは最大で150,000mPa・s、好ましくは最大で20,000mPa・sであり、25℃及び101.425kPaでの8週間の保存後では、好ましくは最大で400,000mPa・s、好ましくは最大で30,000mPa・sである。
【0088】
本発明の消泡剤配合物は、例えば、コロイドミル、ディゾルバー又はローター・ステーター・ホモジナイザーにおける高剪断力を用いて、すべての成分を混合するなどにより、既知の方法によって製造することができる。その際、例えば高分散性のフィラー中に存在する空気の混入を防ぐために、混合手順を減圧下で行うことができる。必要であれば、フィラーのin situ疎水化を続いて行ってもよい。
【0089】
また、最初に成分(1)を装入し、任意に加熱した後、成分(2)、成分(3)、成分(4)、任意に成分(5)、任意に成分(6)、任意に成分(7)、及び任意に成分(8)を連続して加えることも可能である。
【0090】
好ましい実施形態では、成分(3)を、成分(5)若しくは成分(5)の一部の溶液として、又は成分(6)若しくは成分(6)の一部の溶液として、溶解した形態で加える。
【0091】
本発明はまた、本発明の消泡剤配合物、乳化剤及び水を含むエマルションを提供する。
【0092】
本発明の消泡剤配合物がエマルションである場合、シリコーンエマルションを製造するために当業者に知られているすべての乳化剤、例えばノニオン性、アニオン性又はカチオン性乳化剤、を使用することができる。
【0093】
少なくとも1つのノニオン性乳化剤が存在する、乳化剤の混合物を使用することが好ましい。
【0094】
使用されるノニオン性乳化剤の例(非限定的)は、以下のとおりである。
1.アルキルポリグリコールエーテル、好ましくは、3~30個のEO単位と炭素数8~20のアルキル基とを有するもの。
2.カルボン酸ポリグリコールエステル、特に脂肪酸ポリグリコールエステル、好ましくは、6個超のEO単位と炭素数8~20のカルボン酸基とを有するもの。
3.エトキシ化又は非エトキシ化ソルビタン脂肪酸エステル。
4.エトキシ化ヒマシ油又は水添変種。
5.ポリグリセロールカルボン酸エステル。
6.一般式R*-O-ZOのアルキルポリグリコシド。ここで、R*は、平均して炭素数8~24の直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和アルキル基を表し、ZOは、平均してo=1~10のヘキソース単位若しくはペントース単位又はその混合単位を有するオリゴグリコシド基を表す。
7.アルキルアリールポリグリコールエーテル、好ましくは、5~30個のEO単位を有し、アルキル基及びアリール基中に8~20個の炭素原子を有するもの。
8.エチレンオキシド/プロピレンオキシド(EO/PO)ブロック共重合体、好ましくは、8~30個のEO/PO単位を有するもの。
9.酢酸ビニル単位を5~50%、好ましくは8~20%さらに含み、重合度が500~3000のポリビニルアルコール。
10.炭素数8~22のアルキル基を有するアルキルアミンと、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドとの付加生成物。
11.レシチン、ラノリン、サポニン、セルロース;セルロースアルキルエーテル及びカルボキシアルキルセルロース(アルキル基は、それぞれ4個以下の炭素原子からなる)などの天然物質及びその誘導体。
12.特に元素O、N、C、S、P、Siを含む、極性基含有直鎖状オルガノ(ポリ)シロキサン、特に、炭素数24以下のアルコキシ基及び/又は40個以下のEO基及び/又はPO基を有するもの。
【0095】
好ましいノニオン性乳化剤は、以下のとおりである。
1.アルキルポリグリコールエーテル、好ましくは、3~30個のEO単位と炭素数8~20のアルキル基とを有するもの。例えば、セテアレス-20、オレス-10、オレス-20、ラウレス-3、ラウレス-4、ラウレス-20、ラウレス-23、トリデセス-5、トリデセス-6、トリデセス-8、トリデセス-10、トリデセス-12、トリデセス-16、トリデセス-20、ステアレス-20又はステアレス-21(INCIによる)など。
2.カルボン酸ポリグリコールエステル、特に脂肪酸ポリグリコールエステル、好ましくは、6個超のEO単位と炭素数8~20のカルボン酸基とを有するもの。例えば、PEG-20ステアレート、PEG-20ラウレート、PEG-7オリベート、PEG-8オレート、PEG-8ラウレート HLB PEG-6ステアレート、PEG-20-ステアレート又はPEG-100ステアレート(INCIによる)。
3.エトキシ化又は非エトキシ化ソルビタン脂肪酸エステル。例えば、ソルビタンラウレート、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80又はポリソルベート85(INCIに従う)など。
4.エトキシ化ヒマシ油又は水添変種。例えば、PEG200ヒマシ油又はPEG-60水添ヒマシ油(INCIの命名法による)など。
5.ポリグリセロールカルボン酸エステル。例えば、ポリグリセロール-10オレート、ポリグリセロール-10ラウレート又はポリグリセロール-10ステアレート。
6.一般式R*-O-ZOのアルキルポリグリコシド。ここで、R*は、平均して炭素数8~24の直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和アルキル基を表し、ZOは、平均してo=1~10のヘキソース単位若しくはペントース単位又はその混合単位を有するオリゴグリコシド基を表す。例えば、Glucopon 215、Glucopon 225、Glucopon 600(商品名)など。
【0096】
アニオン性乳化剤の例(非限定的)は、以下のとおりである。
1.アルキル硫酸塩、特に炭素数8~18の鎖長を有するもの、疎水性基中に8~18個の炭素原子を有し、1~30個のエチレンオキシド(EO)単位/プロピレンオキシド(PO)単位を有するアルキル及びアルカリールエーテル硫酸塩。
2.スルホン酸塩、特に、8~18個の炭素原子を有するアルキルスルホン酸塩、8~18個の炭素原子を有するアルキルアリールスルホン酸塩。
3.アルキル基、アリール基、アルカリール基又はアラルキル基中に8~20個の炭素原子を有するカルボン酸のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩、特に、脂肪酸のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩、好ましくは、炭素数8~20のカルボン酸基を有するもの。
【0097】
好ましいアニオン性乳化剤は、アルキル基、アリール基、アルカリール基又はアラルキル基中に8~20個の炭素原子を有するカルボン酸のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩であり、特に好ましいアニオン性乳化剤は、脂肪酸のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩であり、好ましくは炭素数8~20のカルボン酸基を有するもの、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸又はオレイン酸の、ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアンモニウム塩である。
【0098】
カチオン性乳化剤の例(非限定的)は、以下のとおりである。
1.炭素数8~24の第一級、第二級及び第三級脂肪アミンと、酢酸、硫酸、塩酸及びリン酸との塩。
2.アルキルピリジニウム、アルキルイミダゾリニウム及びアルキルオキサゾリニウムの塩、特にアルキル鎖の炭素数が18以下のもの、特にハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩及び酢酸塩。
3.第四級アルキルアンモニウム塩及びアルキルベンゼンアンモニウム塩、特にアルキル基の炭素数が6~24のもの、特にハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩及び酢酸塩。
【0099】
また、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロースなどのセルロースエーテル、ポリウレタン、キサンタンガムなどの天然増粘剤などの増粘剤として知られる化合物、及び防腐剤として知られる化合物、並びに当業者に知られている他の慣用的な添加剤などを加えることも可能である。
【0100】
本発明のエマルションの連続相は、好ましくは水である。しかしながら、連続相が成分(1)、(2)、(3)、(4)、任意に成分(5)、任意に成分(7)及び任意に成分(8)によって形成されているか、又は成分(6)によって形成されているエマルションの形態で、本発明の消泡剤配合物を製造することも可能である。
また、多重エマルションに関するものでもよい。
【0101】
シリコーンエマルションの製造方法は、既知である。その製造は、典型的には、すべての構成要素を単純に撹拌し、ジェットディスペンサー、ローター・ステーター・ホモジナイザー、コロイドミル又は高圧ホモジナイザーを用いて、任意に続いて均質化して行われる。
【0102】
本発明の組成物がエマルションから選択される場合、成分(1)~(4)、任意に成分(5)、任意に成分(6)、任意に成分(7)及び任意に成分(8)を含む本発明の消泡剤配合物を5~50重量%、乳化剤を1~20重量%、任意に増粘剤、並びに水を30~94重量%含む水中油型エマルションが好ましい。
【0103】
また、本発明の組成物は、自由流動性粉体として製剤化してもよい。これらは、例えば、粉末状洗浄組成物において使用することが好ましい。成分(1)~(4)、任意に成分(5)、任意に成分(6)、任意に成分(7)及び任意に成分(8)を含む本発明の消泡剤配合物からのこれらの粉体は、噴霧乾燥又はビルドアップ造粒などの当業者に既知の方法及び当業者に既知の添加剤を用いて製造される。
【0104】
本発明はさらに、本発明の消泡剤配合物と、担体物質とを含む粉体を提供する。
【0105】
本発明の粉体は、成分(1)~(4)、任意に成分(5)、任意に成分(6)、任意に成分(7)及び任意に成分(8)を含む本発明の消泡剤配合物を2~20重量%含むことが好ましい。
【0106】
使用される担体は、例えば、ゼオライト、硫酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、セルロース誘導体、尿素及び尿素誘導体、並びに糖類である。
【0107】
本発明の粉体は、担体物質を80~98重量%含むことが好ましい。本発明の粉体のさらなる可能な構成要素は、例えば、欧州特許出願公開第887097A号明細書及び欧州特許出願公開第1060778A号明細書に記載されているような、例えば、ワックス又は有機ポリマーである。
【0108】
本発明の消泡剤配合物、及びそのエマルション又は粉体は、有機ケイ素化合物系消泡剤配合物が従来使用されているいかなる箇所においても使用することができる。
【0109】
これは特に、水性界面活性剤系での泡の制御に、洗浄及びクリーニング組成物における使用に、廃水プラント、織物染色工程、天然ガス洗浄、ポリマー分散液での泡の制御に、並びに化学パルプ製造で生成する水性媒体の消泡のために、適用される。
【0110】
タール蒸留又は原油処理などの非水系での本発明の消泡剤配合物の使用は、除外する。
【0111】
したがって、本発明はさらに、本発明の消泡剤配合物、又はそのエマルション若しくは粉体と、媒体とを混合することにより、媒体を消泡する、及び/又は媒体の発泡を防止する方法を提供する。
【0112】
本発明の消泡剤配合物は、化学パルプ製造時に生成する水性媒体の消泡に、及び/又は発泡防止に使用することが好ましい。
【0113】
本発明の消泡剤配合物は、さらに、洗浄及びクリーニング組成物やケア組成物(例えば柔軟剤)において使用することができ、ここで、本発明の消泡剤配合物は、そのような物質としても、又はエマルション若しくは粉体の形態でも使用することができる。
【0114】
したがって、本発明はさらに、本発明の消泡剤配合物を含む、又は本発明の消泡剤配合物をエマルションの形態若しくは粉体の形態で含む、洗浄及びクリーニング組成物を提供する。
【0115】
発泡性媒体への本発明の消泡剤配合物の添加は、直接行ってもよく、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン若しくはtert-ブタノールなどの適切な溶媒に溶解して行ってもよく、粉体として又はエマルションとして行ってもよい。所望の消泡性能を得るために必要な量は、例えば、媒体の性質、温度、及び発生する乱流に依存する。
【0116】
本発明の消泡剤配合物は、消泡される媒体の総重量に対して、0.1ppmw~1重量%の量、特に1~100ppmwの量で発泡性媒体に添加されることが好ましい。
【0117】
驚くべきことに、本発明の消泡剤配合物の性能及び取扱い性が、本発明の方法によって実質的に向上することが見出された。特に、本発明の消泡剤配合物は、非常に優れた取扱い性及び計量性を特徴とし、また、瞬間的な泡の崩壊と長期性能との両方に関して高い性能を有する。
【0118】
本発明の消泡剤配合物は、低添加量で、非常に広い範囲の媒体において高い長期持続性能を特徴とするという利点がある。これは、経済的にも環境的にも非常に有利である。
【0119】
本発明の消泡剤配合物は、室温(20℃及び1000hPa)で、数週間の保存後、例えば8週間の保存後でも粘度がほとんど変化しないという、良好な保存安定性を有するという利点がある。したがって、本発明の消泡剤配合物は、保存後であっても、流動性を維持しているので、非常に良好な取扱い性及び計量性を有しており、また、保存後であっても、瞬間的な泡の破壊に関しても長期効果に関しても、非常に有効である。
【実施例
【0120】
以下の例では、特に明記しない限り、すべての部数及び割合の情報は重量によるものである。特に明記しない限り、以下に記載される例は、周囲圧力(すなわち約1000hPa)で、室温(すなわち約20℃)、又は追加の加熱若しくは冷却なしに室温で反応物を混合する際に到達する温度で実施される。
【0121】
消泡剤配合物の振動測定は、Anton Paar社のレオメーター「MCR 302」、プレート-プレートシステム(PP25)を用いて行った。この装置は、ドイツ国立計量研究所の標準オイル10,000で較正した。測定温度は25.00℃+/-0.05℃、測定時間は3分である。力学的粘度(dynamic viscosity)の測定不確かさは1.5%である。示された測定値は、変形1%及び周波数1Hzで測定されたものである。
【0122】
動粘度(Kinematic viscosities)は、Schott社の粘度測定システムViscoSystem(登録商標)AVS 350を用いて、DIN 51562-part 1又はISO/DIS 3105(その較正を含む)に準拠した定数を持つウベローデ粘度計管(例えば、Windaus又はVWRから)を使用して測定する。測定は、25.0℃(+-0.1℃)の温度で行う。報告した粘度(単位:mm2/s)は、独立して行われた3回の個別測定の算術平均値である。動粘度の測定不確かさは1.05%である。測定範囲に応じて、対応する方向性定数を有する異なる粘度計管を使用する。
【0123】
【表1】
【0124】
報告した測定範囲、対応する毛細管番号、及び定数は、VWR-Laborkatalog、2011-2013、p.645.8のとおりである。
【0125】
1H-NMRスペクトルは、CDCl3溶液として、Bruker Avance III HD NMRスペクトロメーター(ATMA及びZグラジエントを備える5mmブロードバンドプローブ)を用いて、測定周波数500.13MHzで記録する。
【0126】
29Si-NMRスペクトルは、C66-トルエン溶液として、Bruker Avance III HD NMRスペクトロメーター(ATMA及びZ-グラジエントを備える5mmブロードバンドプローブ)を用いて、測定周波数90.34MHzで記録する。
【0127】
スペクトルは、当業者に知られた、以下の文献に記載されている方法で評価する:“Ueber die 1H-,13C- und 29Si-NMR chemischen Verschiebungen einiger linearer,verzweigter und cyclischer Methyl-Siloxan-Verbindungen”[直鎖状、分岐状及び環状のメチルシロキサン化合物の1H-、13C-及び29Si-NMRケミカルシフトについて]、G.Engelhardt,H.Jancke;J.Organometal.Chem.28(1971),293-300;“Chapter 8-NMR spectroscopy of organosilicon compounds”,Elizabeth A.Williams,The Chemistry of Organic Silicon Compounds,1989 John Wiley and Sons Ltd,511-533。
【0128】
Wijsヨウ素価の測定は、DIN 53241-1:1995-05に準拠して行う。ヨウ素価は、100gの物質に結合しているヨウ素の量(グラム)で定義される。物質中に存在する二重結合をヨウ素化し、消費されなかったヨウ素をチオ硫酸ナトリウム溶液で逆滴定することで、オレフィン含有量の程度についての測定基準が得られる。この測定では、ケイ素に結合した水素も捕捉していることに注意しなければならない。
【0129】
例1:
有機ケイ素化合物(A)の調製:
a)有機ケイ素化合物A1:
500mlの三口フラスコ中で、ヨウ素価22.0の、ジメチルシロキシ単位及びビニルジメチルシロキシ単位の平衡体(equilibrate)101.0gと、トリメチルシロキシ単位で終端し、約55Si単位の鎖長を有するハイドロジェンメチルジクロロシランの加水分解物2.7gと、62mm2/sの粘度(25.0℃;毛細管No.II)を有するOH末端ポリジメチルシロキサン120.0gと、35mm2/sの粘度(25.0℃;毛細管No.II)を有する、ジメチルシロキシ単位及びトリメチルシロキシ単位の平衡体28.6gとを、250ppmのPNCl2を用いて、120℃及び20mbarの減圧下で2時間平衡化する。触媒は、NaHCO3の添加により不活性化する。濾過と160℃及び40mbarの減圧下での揮発性成分の除去とを行った後、81mm2/sの粘度(25.0℃;毛細管No.II)、13.3のヨウ素価、及び0.016重量%のH含有量を有するポリシロキサンA1が得られる。29Si-NMR測定の結果、ジメチルシロキシ単位の含有量(インデックスxに相当)は52であった。
【0130】
b)有機ケイ素化合物A2:
4リットルの三口フラスコ中で、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン197gと、トリメチルシロキシ単位で終端し、約55Si単位の鎖長を有するハイドロジェンメチルジクロロシランの加水分解物75gと、オクタメチルシクロテトラシロキサン2745gと、ヘキサメチルジシロキサン55gとを、200ppmのPNCl2を用いて、120℃で2.5時間平衡化する。触媒は、MgOの添加により不活性化する。濾過と135℃及び10mbarの減圧下での揮発性成分の除去とを行った後、23mm2/sの粘度(25.0℃;毛細管No.II)、26.6のヨウ素価、及び0.038重量%のH含有量を有するポリシロキサンA2が得られる。29Si-NMR測定の結果、ジメチルシロキシ単位の含有量(インデックスxに相当)は26であった。
【0131】
c)有機ケイ素化合物A3:
1000mlの三口フラスコ中で、ヨウ素価24.7の、ジメチルシロキシ単位及びビニルジメチルシロキシ単位の平衡体497.4gと、トリメチルシロキシ単位で終端し、約55Si単位の鎖長を有するハイドロジェンメチルジクロロシランの加水分解物17.1gと、34mm2/sの粘度(25.0℃;毛細管No.II)を有する、ジメチルシロキシ単位及びトリメチルシロキシ単位の平衡体192.0gとを、200ppmのPNCl2を用いて、120℃で2時間平衡化する。触媒は、MgOの添加により不活性化する。濾過後、24mm2/sの粘度(25.0℃;毛細管No.II)、25.7のヨウ素価、及び0.037重量%のH含有量を有するポリシロキサンA3が得られる。揮発性成分は生成物中に残っている。分析のために、少量の得られた生成物から135℃及び10mbarの減圧下で揮発性成分を除去した。この分析サンプルの29Si-NMR測定の結果、ジメチルシロキシ単位の含有量(インデックスxに相当)は27であった。
【0132】
例2:
オルガノポリシロキサン(1)の調製:
a)オルガノポリシロキサン(1-1):
250mlの三口フラスコ中で、50mlのキシレンに溶解させた100.0gのポリシロキサンA1と、KarstedtのPt触媒のトルエン溶液0.2g(Pt含有量:0.3重量%)とを、90℃に3.5時間加熱する。最終冷却中に0.3gのマレイン酸ジアリルを加える。キシレンを90℃及び32mbarの減圧下で除去する。425mPa・sの粘度(25℃及び1(1/s)の剪断速度で測定)を有するポリシロキサン(1-1)が得られる。
【0133】
オルガノポリシロキサン(1-1)の調製では、もっぱらポリシロキサンA1を使用し、したがって、存在する主な成分は、x=52の構造要素(IV)である。(1-1)は、ゲル化する傾向のない流動性化合物の形態である。そのため、不活性溶媒を使用する必要はない。
【0134】
b)オルガノポリシロキサン(1-2):
250mlの三口フラスコ中で、100.0gのポリシロキサンA2と、ヨウ素価1.99の直鎖状ビニルジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン55.0gと、直鎖状ビニルジメチルシロキサン末端ポリジメチルシロキサン中のKarstedtのPt触媒の溶液0.08g(Pt含有量:1.0重量%)とを、135℃にゆっくりと加熱し、この温度で1時間保持する。冷却後、2020mPa・sの粘度(25℃及び剪断速度1(1/s)で測定)を有するオルガノポリシロキサン(1-2)が得られる。
【0135】
オルガノポリシロキサン(1-2)の調製では、ポリシロキサンA2を大過剰に使用し、したがってx=26の構造要素(IV)が主たる程度に存在する。Si-Hに対するビニルの比は2.37である。直鎖状ビニルジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン(成分(B))は、このように反応によって主たる程度に組み込まれており、したがって最小限の過剰量で存在する。それにもかかわらず、(1-2)はゲル化する傾向のない流動性化合物の形態である。
【0136】
c)オルガノポリシロキサン(1-3):
500mlの三口フラスコ中で、150.0gのポリシロキサンA3と、ヨウ素価6.6のジメチルシロキシ単位及びビニルジメチルシロキシ単位の平衡体30.0gと、直鎖状ビニルジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン中のKarstedtのPt触媒の溶液0.09g(Pt含有量:1.0重量%)とを、90℃にゆっくりと加熱し、この温度で2時間保持する。冷却後、130℃及び10mbarの減圧下で揮発性成分を除去し、1692mPa・sの粘度(25℃及び剪断速度1(1/s)で測定)を有するオルガノポリシロキサン(1-3)を得る。
【0137】
オルガノポリシロキサン(1-3)の調製でも、ポリシロキサンA3を大過剰に使用し、したがってx=27の構造要素(IV)が主たる程度に存在する。Si-Hに対するビニルの比は1.87である。直鎖状ビニルジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン(成分(B))は、このように同様に反応によって主たる程度に組み込まれており、したがって同様に最小限の過剰量で存在する。それにもかかわらず、(1-3)はゲル化する傾向のない流動性化合物の形態である。
【0138】
d)オルガノポリシロキサン(V1):
欧州特許出願公開第434 060A2号明細書による構造単位O2/2RSi-Y-SiR21/2を介して架橋されたオルガノポリシロキサン(V1)の調製(非本発明):
2リットルの三つ口フラスコに、組成Me3Si-(OSiMe24-(OSiHMe)4-OSiMe3を有する有機ケイ素化合物7.3gを、1.23mol%のビニル含量を有する、ジメチルシロキシ単位及びビニルジメチルシロキシ単位の平衡体900.0gと共に最初に装入する。
【0139】
Si-H基に対するビニル基の比は3.4:1である。直鎖状ビニルジメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン中のKarstedtのPt触媒の溶液0.28g(Pt含有量:1.0重量%)を加え、反応混合物を80℃にゆっくりと加熱し、この温度で1時間保持する。冷却後、7000mm2/sの粘度(25.0℃;毛細管No.IV)を有するポリシロキサンV1が得られる。
【0140】
例3:
オルガノポリシロキサンV1を用いた非本発明の消泡剤配合物VFの調製:
消泡剤配合物を調製するために、表1に記載の物質(1)、(2)、(3)、任意に物質(5)、及び物質(8)をディゾルバーを用いて混合し、150℃に4時間加熱する。冷却後、再びディゾルバーを使用して成分(7)を組み込み、均質化する。
【0141】
本発明のオルガノポリシロキサンを用いた本発明の消泡剤配合物Fを調製するための一般的な手順:
消泡剤配合物を調製するために、表1に記載の物質(1)、(2)、(3)、任意に物質(5)、及び物質(8)をディゾルバーを用いて混合し、150℃に4時間加熱する。冷却後、再びディゾルバーを用いて成分(4)及び(7)を組み込み、均質化する。
【0142】
使用物質:
(1-2):例2bで調製したオルガノポリシロキサン
(V1):例2dで調製したオルガノポリシロキサン
(2-1):300m2/gのBET表面積を有する親水性焼成シリカ(ドイツのWacker Chemie AGからHDK(登録商標)T30の名称で入手可能)。
(3-1):室温で固体であり、(29Si-NMR及びIR分析によれば)40mol%の(CH33SiO1/2、50mol%のSiO4/2、8mol%のC25OSiO3/2及び2mol%のHOSiO3/2単位のみからなり、重量平均モル質量が(ポリスチレン標準に基づいて)7900g/molであるシリコーン樹脂。
(4-1):オルトリン酸、85%水溶液
(5-1):25℃で100mPa・sの粘度を有する、トリメチルシロキサン基で終端したポリジメチルシロキサン(Wacker Chemie AGからWacker(登録商標)AK 100シリコーンオイルの名称で入手可能)。
(7-1):構造が(H3C)3Si-[Si(CH32O]u-[GSi(CH3)O]v-Si(CH33のポリエーテル変性シリコーン共重合体、ここで、G=(CH23-(O-CH2CH2w-(O-CH(CH3)-CH2x-OHであり、u、v、w及びxは、上記ポリマーが1100mPa・sの粘度及び25℃の曇り点(DIN EN 1890に準拠)を有するように選択される。
(8-1):KOHの20%メタノール溶液。
【0143】
【表2】
【0144】
例4:
【表3】
【0145】
表2は、8週間の保存(20℃及び1000hPa)後であっても、本発明の消泡剤配合物F1は、G”>G’であるため、依然として流動性があることを示す。消泡剤配合物の粘度はわずかに上昇しただけである。
【0146】
例5:
黒液消泡における、本発明の消泡剤配合物F1と非本発明の消泡剤配合物VFとの消泡剤有効性テスト:
このようにして得られた本発明の消泡剤配合物と非本発明の消泡剤配合物とを、黒液でのテストに関して試験した。これらのテストの結果を、表3にまとめる。
【0147】
より良い(より正確な)計量のために、表1に特定された消泡剤配合物40重量部と、3mm2/sの粘度及び100℃超の引火点を有する脂肪族炭化水素の混合物60重量部との混合物を、1000min-1で実験室用ディゾルバーを用いて製造した。
【0148】
化学パルププロセスからの黒液400mlを、80℃に温度制御された1000mlの再循環装置において1.5(l/min)の再循環速度で再循環させる。泡レベルが75mmの高さに達するとすぐに、消泡剤を計量注入し、消泡剤の添加及び泡崩壊の開始後に達成された泡崩壊時間と最低泡レベルとを記録する。
【0149】
泡崩壊時間t1が短いほど、また、泡レベルh1が低いほど、消泡剤の応答は迅速である。これに続いて、最低泡レベルから元の泡レベル(75mm)に戻るのに必要な時間間隔t2で表される、消泡剤の長期性能を測定する。
【0150】
【表4】
【0151】
【表5】
【0152】
表3は、硬材の黒液を消泡するためのこれらのテストにおいて、調製直後の本発明の配合物F1が、比較配合物VFと比較して、同じ泡の高さで同等の泡崩壊時間t1を有するが、先行技術に従って調製された配合物VFと比較して、顕著に優れた長期効果t2を有することを示している。
【0153】
表4は、配合物を50℃で9週間保存後の硬材の黒液の消泡結果をまとめており、本発明の消泡剤配合物F1を先行技術による消泡剤配合物VFと比較すると、酸成分の添加により、泡崩壊時間t1及び泡崩壊後の泡レベルの悪化は見られないことを示している。しかしながら、保存後であっても、本発明の配合物F1は、先行技術に対応する消泡剤配合物VFと比較して、著しく良好な長期効果t2を達成することができた。
【0154】
表3と表4の絶対値の違いは、異なる黒液を使用したことによるものであり、当業者にとって異常な測定特性や新たな知見をもたらすものではなく、異なる硬材の黒液に対する本発明の消泡剤配合物F1の優位性を示すものである。
【国際調査報告】