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特表2022-508034電池セル監視用電池モジュールガスセンサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】電池セル監視用電池モジュールガスセンサ
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20220112BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20220112BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20220112BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20220112BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20220112BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220112BHJP
   H02J 7/04 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
H01M10/48 A
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6556
H01M10/6568
H01M10/48 301
H02J7/00 S
H02J7/04 J
H02J7/04 L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021521792
(86)(22)【出願日】2020-02-20
(85)【翻訳文提出日】2021-04-21
(86)【国際出願番号】 US2020019067
(87)【国際公開番号】W WO2020172427
(87)【国際公開日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】62/808,220
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520490406
【氏名又は名称】リヴィアン アイピー ホールディングス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100103182
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 真美
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141025
【弁理士】
【氏名又は名称】阿久津 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ポコラ,マーク
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
5H031
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA07
5G503BA03
5G503BB02
5G503CB04
5G503CB11
5G503CC02
5G503DA08
5G503EA08
5G503FA06
5G503FA18
5G503FA19
5H030AA06
5H030AS08
5H030FF22
5H030FF31
5H031AA09
5H031HH06
5H031KK08
(57)【要約】
電池監視システムおよび方法が提供される。電池監視システムは、電池モジュールおよび電池管理回路を含み得る。電池モジュールは、電池セルと、電池モジュール内のガスの存在を検出するように構成されたガスセンサとを備える。電池管理回路は、ガスセンサからセンサ信号を受信し、センサ信号が電池モジュール内のガスの存在を示すかを判定し、センサ信号がガスの存在を示すと判定することに応答して、所定の動作を行うように構成される。動作には、電池セルへの冷却の増加、電池モジュールに付加され得る最大負荷の制限、電池モジュールの切断、または警告の提供が含まれ得る。電池モジュールはまた、活性化温度を超えるガスを排出し始める化学物質でドープされた構成要素を含んでもよい。ガスセンサは、化学物質を検出するように構成され得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池モジュール及び電池管理回路を備えるシステムであって、
前記電池モジュールは、
複数の電池セルと、
前記電池モジュール内のガスの存在を検出するように構成されたガスセンサと、を備え、
前記電池管理回路は、
前記ガスセンサからセンサ信号を受信し、
前記センサ信号が、前記電池モジュール内のガスの存在を示すかどうかを判定し、
前記センサ信号がガスの存在を示すと判定することに応答して、所定の動作を行うように構成される、システム。
【請求項2】
前記複数の電池セルに冷却を提供するように構成された電池冷却システムをさらに備え、前記動作は、前記電池冷却システムを使用して、前記複数の電池セルに増加した冷却を提供することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記動作は、前記電池モジュールに適用され得る最大負荷を制限すること、および前記電池モジュールを負荷から切断することのうちの一方を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
ユーザインターフェースをさらに備え、前記動作は、前記ユーザインターフェースを使用して警告を提供することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記電池モジュールは、化学物質でドープされた構成要素を備え、
前記構成要素の温度が活性化温度超に上昇すると、前記構成要素は前記化学物質のガスを放出し始め、
前記ガスセンサは、前記化学物質を検出するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記構成要素は、前記複数の電池セルを前記電池モジュール内に固定するために使用される接着剤を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記ガスセンサは、電池セルの過熱を示す少なくとも一つの化学物質を検出するように構成された第一のガスセンサを備え、
前記電池モジュールは、
電池セルの換気を示す少なくとも一つの化学物質を検出するように構成された第二のガスセンサをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ガスセンサは、電池セルの換気を示す少なくとも一つの化学物質を検出するように構成された第一のガスセンサを備え、
前記電池モジュールは、
電池セルの熱暴走イベントを示す少なくとも一つの化学物質を検出するように構成された第二のガスセンサをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記電池管理回路は、
前記センサ信号が、ガスの濃度が閾値よりも大きいことを示すかどうかを判定することによって、前記センサ信号が、前記電池モジュール内のガスの存在を示すかどうかを判定するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記電池管理回路は、
前記センサ信号が、ガスの濃度が第一の閾値よりも大きいと示す時に、第一の電池モジュールの状態を判定し、
前記センサ信号が、ガスの濃度が、前記第一の閾値よりも大きい第二の閾値よりも大きいと示す時に、第二の電池モジュールの状態を判定するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記システムは、少なくとも一つの温度センサを備え、
前記電池管理回路が、
前記少なくとも一つの温度センサから少なくとも一つの温度センサ信号を受信し、
前記センサ信号および前記少なくとも一つの温度センサ信号に基づいて、電池モジュールの状態を判定するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
方法であって、
ガスセンサからセンサ信号を受信するステップであって、前記ガスセンサは、電池モジュール内のガスの存在を検出するように構成され、前記電池モジュールが複数の電池セルを備える、センサ信号を受信するステップと、
電池管理回路を使用して、前記センサ信号が前記電池モジュール内のガスの存在を示すかどうかを判定するステップと、
前記センサ信号が、ガスの存在を示すと判定することに応答して、所定の動作を行うステップと、を含む、方法。
【請求項13】
前記動作を行うステップは、電池冷却システムを使用して前記複数の電池セルに増加した冷却を提供することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記動作を行うステップは、前記電池モジュールに付加され得る最大負荷を制限するステップ、および前記電池モジュールを負荷から切断するステップのうちの一方を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記動作を行うステップは、ユーザインターフェースを使用して警告を提供するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、
前記電池モジュールの構成要素を化学物質でドーピングするステップであって、前記構成要素の温度が活性化温度を超えて上昇すると、前記構成要素が前記化学物質のガスを排出し始める、ドーピングするステップと、
前記ガスセンサを使用して前記化学物質を検出するステップと、をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記構成要素は接着剤を含み、
前記方法は、
前記接着剤を使用して、前記複数の電池セルを前記電池モジュールに固定するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ガスセンサは、電池セルの過熱を示す少なくとも一つの化学物質を検出するように構成された第一のガスセンサを備え、
前記方法は、
電池セルの換気を示す少なくとも一つの化学物質を検出するように構成された第二のガスセンサから第二のセンサ信号を受信するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記ガスセンサは、電池セルの換気を示す少なくとも一つの化学物質を検出するように構成された第一のガスセンサを備え、
前記方法は、
電池セルの熱暴走イベントを示す少なくとも一つの化学物質を検出するように構成された第二のガスセンサから第二のセンサ信号を受信するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記センサ信号が、前記電池モジュール内のガスの存在を示すかを判定するステップは、前記センサ信号が、ガスの濃度が閾値よりも大きいことを示すかを判定するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記センサ信号が、前記電池モジュール内のガスの存在を示すかを判定するステップは、
前記センサ信号が、ガスの濃度が第一の閾値よりも大きいことを示す時に、第一の電池モジュールの状態を判定するステップと、
前記センサ信号が、ガスの濃度が前記第一の閾値よりも大きい第二の閾値よりも大きいと示す時に、第二の電池モジュールの状態を判定するステップと、を含み、
前記動作を行うステップは、
前記第一の電池モジュールの状態を判定することに応答して、第一の動作を行うステップと、
前記第二の電池モジュールの状態を判定することに応答して、第二の動作を行うステップと、を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記方法は、
少なくとも一つの温度センサから少なくとも一つの温度センサ信号を受信するステップと、
前記センサ信号および前記少なくとも一つの温度センサ信号に基づいて、電池モジュールの状態を判定するステップと、をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年2月20日に出願された米国仮特許出願第62/808,220号の利益を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
複数の電池セルを有する電池モジュールは、様々な用途で使用される。例えば、電気車両は、多数の電池セル(例えば、モジュール当たり数百または数千の電池セル)を有する電池モジュールを使用できる。電池モジュールは、その安全な動作領域の外部で動作しないことが重要である。リチウムイオン電池セルなどの電池セルが安全な動作温度を超えて動作する場合、損傷するおそれがある。温度が上昇すると、電池セルに圧力が蓄積する場合がある。例えば、電池セルの内部の電解質ゲルは、泡立ち始めるまたは蒸気を生成し始めることができ、これが電池セルの内部の圧力を増加させる。電池セルは、典型的には、通気孔の作動圧力を超えて圧力が増大する時に、ガスまたは液体が漏れることを可能にする通気孔を有する。電池セルが換気に到達しないようにすることが望ましい。さらに、電池セルの内部の温度が上昇し続けると、熱暴走イベントが発生する可能性がある。また、熱暴走イベントを防止することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電池管理システムは、電池モジュールの動作を監視し、安全な動作領域内で確実に動作するために使用される。電池セルの温度を監視する一つの方法は、サーミスタまたは熱電対などの温度センサを使用することである。電池モジュールが複数の電池セルを含む場合、電池セルの温度を十分に監視するために、複数の温度センサが必要とされ得る。一部のシステムでは、電池モジュールの熱特性がモデル化され、モデルを使用して温度センサの数を低減することができる。しかしながら、こうしたシステムは、一つまたは複数の電池セルの損傷を防止するための時間における局所的な温度上昇を検出できない場合がある。したがって、電池モジュール内部の局所的な温度上昇を識別することが望ましい。また、各電池セルに対して温度センサを使用することなく、局所的な温度上昇を識別することが望ましい。また、電池セルの換気の可能性を予測し、防止することが望ましい。また、電池セルの換気の発生を検出することが望ましい。また、熱暴走イベントを予測し、防止することが望ましい。本開示の一部の実施形態によれば、一つまたは複数のガスセンサは、電池モジュールで使用され、電池モジュールの改善された監視を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの実施形態では、本開示の電池監視システムは、電池モジュールおよび電池管理回路を含み得る。電池モジュールは、複数の電池セルと、電池モジュール内のガスの存在を検出するように構成されたガスセンサとを備える。電池管理回路は、ガスセンサからセンサ信号を受信し、センサ信号が電池モジュール内のガスの存在を示すかを判定し、センサ信号がガスの存在を示すと判定することに応答して、所定の動作(措置、アクション)を行うように構成される。
【0005】
いくつかの実施形態では、動作は、複数の電池セルに増加した冷却を提供するために、電池冷却システムを使用することを含む。いくつかの実施形態では、動作は、電池モジュールに付加され得る最大負荷を制限することを含む。いくつかの実施形態では、動作は、電池モジュールを負荷から切断することを含む。実施形態によっては、動作は、ユーザインターフェースを使用して警告を提供することを含む。
【0006】
一部の実施形態では、電池モジュールは、化学物質でドープされた構成要素を備える。構成要素の温度が活性化温度を超えて上昇すると、構成要素は化学物質のガスを排出し始める。いくつかの実施形態では、ガスセンサは、化学物質を検出するように構成される。いくつかの実施形態では、構成要素は、複数の電池セルを電池モジュールに固定するために使用される接着剤を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、電池モジュールは、第一および第二のガスセンサを備え、第一のガスセンサは、電池セルの過熱を示す少なくとも一つの化学物質を検出するように構成され、第二のガスセンサは、電池セルの換気(通気(ventilation))を示す少なくとも一つの化学物質を検出するように構成される。
【0008】
いくつかの実施形態では、電池モジュールは、第一および第二のガスセンサを備え、第一のガスセンサは、電池セルの換気を示す少なくとも一つの化学物質を検出するように構成され、第二のガスセンサは、電池セルの熱暴走イベントを示す少なくとも一つの化学物質を検出するように構成される。
【0009】
いくつかの実施形態では、電池管理回路は、センサ信号が、ガスの濃度が閾値よりも大きいことを示すかどうかを判定することによって、センサ信号が電池モジュール内のガスの存在を示すかを判定するように構成される。
【0010】
いくつかの実施形態では、電池管理回路は、センサ信号が、ガスの濃度が第一の閾値よりも大きいと示すときに第一の電池モジュールの状態を判定し、センサ信号が、ガスの濃度が第一の閾値よりも大きい第二の閾値より大きいと示すときに、第二の電池モジュールの状態を判定するように構成される。
【0011】
いくつかの実施形態では、システムは、温度センサをさらに備え、電池管理回路は、温度センサから温度センサ信号を受信し、センサ信号および温度センサ信号に基づいて電池モジュールの状態を判定するように構成される。
【0012】
本開示の一部の実施形態では、電池監視方法が提供される。方法は、電池モジュール内のガスの存在を検出するように構成されたガスセンサからセンサ信号を受信するステップを含み、電池モジュールは、複数の電池セルを含む。方法はさらに、電池管理回路を使用して、センサ信号が電池モジュール内のガスの存在を示すかを判定するステップ、およびセンサ信号がガスの存在を示すことを判定するステップに応答して、所定の動作を行うステップを含む。一部の実施形態では、動作は、上述の動作を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、方法は、電池モジュールの構成要素を化学物質でドーピングするステップをさらに含み、構成要素の温度が活性化温度を超えて上昇すると、構成要素は化学物質のガスを排出し始める。方法は、ガスセンサを使用して化学物質を検出するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、構成要素は、接着剤を含み、方法は、複数の電池セルを電池モジュールに固定するために接着剤を使用するステップをさらに含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、方法は、第一および第二のガスセンサから第一および第二のセンサ信号を受信するステップを含む。いくつかの実施形態では、第一のガスセンサは、電池セルの過熱を示す少なくとも一つの化学物質を検出するように構成され、第二のガスセンサは、電池セルの換気を示す少なくとも一つの化学物質を検出するように構成される。いくつかの実施形態では、第一のガスセンサは、電池セルの換気を示す少なくとも一つの化学物質を検出するように構成され、第二のガスセンサは、電池セルの熱暴走イベントを示す少なくとも一つの化学物質を検出するように構成される。
【0015】
いくつかの実施形態では、センサ信号が、電池モジュール内のガスの存在を示すかを判定するステップは、センサ信号が、ガスの濃度が閾値よりも大きいことを示すかを判定するステップを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、センサ信号が、電池モジュール内のガスの存在を示すかを判定するステップは、センサ信号が、ガスの濃度が第一の閾値よりも大きいと示す時に第一の電池モジュールの状態を判定するステップ、およびセンサ信号が、ガスの濃度が第一の閾値よりも大きい第二の閾値よりも大きいと示す時に、第二の電池モジュールの状態を判定するステップを含む。いくつかの実施形態では、前記動作を行うステップは、第一の電池モジュールの状態を判定することに応答して第一の動作を行い、第二の電池モジュールの状態を判定することに応答して第二の動作を行うステップを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、方法は、温度センサから温度センサ信号を受信するステップと、センサ信号および温度センサ信号に基づいて、電池モジュールの状態を判定するステップと、をさらに含む。
【0018】
本開示は、一つまたは複数のさまざまな実施形態に従って、以下の図を参照して詳細に説明される。図面は、例示のみを目的として提供されており、典型的または例示的実施形態を単に描写しているにすぎない。これらの図面は、本明細書に開示された概念の理解を容易にするために提供されており、これらの概念の幅、範囲、または適用可能性を制限するとみなされるべきではない。わかりやすく説明しやすいように、これらの図面は必ずしも縮尺どおりに作成されるわけではないことに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本開示のいくつかの実施形態による、電池モジュール内のガス濃度の例示的プロットを示す。
【0020】
図2図2は、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な電池モジュール200のブロック図を示す。
【0021】
図3図3は、本開示のいくつかの実施形態による、電池モジュール内のガス濃度および温度の例示的プロットを示す。
【0022】
図4図4は、本開示のいくつかの実施形態による、電池モジュール内のガス濃度および調整可能な閾値の例示的プロットを示す。
【0023】
図5図5は、本開示のいくつかの実施形態による、電気車両で使用する例示的な電池システム100のシステム図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示によれば、電池モジュールの状態を判定するために、電池モジュール内にガスセンサが提供される。いくつかの実施形態では、ガスセンサは、電池セルの温度を判定するために使用される。いくつかの実施形態では、ガスセンサは、電池セルの換気イベントを予測するために使用される。いくつかの実施形態では、ガスセンサは、電池セルの換気の発生を検出するために使用される。いくつかの実施形態では、ガスセンサは、熱暴走の発生を予測するために使用される。いくつかの実施形態では、ガスセンサは、熱イベントの発生を検出するために使用される。
【0025】
電池セルの換気は危険なイベントであり、爆発や火災につながる可能性があり、その後、他の近くの電池セルに伝播する可能性がある。電気車両の設計では、機械的設計およびソフトウェア制御により電池セルの換気を防止することが重要である。これらの機構が十分でない場合、例えば、運転者に警告し、車両電源を安全に停止させるために、換気イベントを検出することが有用である。
【0026】
電池セルを意図的に過熱してセルの換気を誘導したときの、電池モジュール内部の状態を分析するために試験を実施した。電池セルの過熱は、ニクロム線を使用して達成された。ガスセンサは、電池モジュール封入物の内側に含まれていた。試験データのレビューは、例えば、加熱された電池セルが実際に通気する20分前まで、検出されたガス濃度の着実な増加を示した。リチウムイオン電池セルは、約130℃で通気する。試験が進行するにつれて、セルを周囲温度から最大130℃まで加熱し、ガス濃度は、100℃~130℃の間で顕著に上昇した。
【0027】
電池セルは、全換気前にガスを放出していたか、または電池セルと熱的に接触する何かがガスを放出していたかのいずれかであると考えられる。ガスは、例えば、材料が溶融するとき、または材料が加熱されてガスを排出し始めるときに放出され得る。
【0028】
図1は、本開示の一部の実施形態による、電池モジュール内のガス濃度の例示的プロット100を示す。プロット100は、電池セルの温度が上昇するにつれてガス濃度を示す単純化されたプロットである。プロット100は、図示するように四つの温度領域に分割される。第一の温度領域は、安全な動作領域である。この領域では、電池セルの温度は、通常の動作領域にある。示されるように、ガス濃度は無視できる程度である。第二の温度領域は、セル過熱領域である。この領域では、電池セルの温度は、通常の動作温度よりも高い。セル過熱領域の低端では、ガス濃度はまだ無視できる程度であり得る。電池セルの温度がセル過熱領域内で上昇すると、温度がセル換気領域に到達するまで、ガス濃度は比較的低い速度で上昇し始める。セル換気領域では、電池セルの内部の圧力は、その通気孔の起動圧力を超え、電池セルは、ガスおよび/または液体を電池モジュール内に通気し始める。示されるように、ガス濃度は、セル換気領域でより高い速度で増加する。最後の温度領域は、熱暴走領域である。この領域では、電池セルの過熱は、電池の内部構造に損傷を与え、短絡を引き起こす。これは、その後、火災と潜在的に爆発を引き起こす。この領域では、電池モジュール内の電池セルの温度およびガス濃度が非常に急速に増加する。
【0029】
電池モジュールの特定の温度領域およびガス濃度は、使用される特定の電池セルおよび電池モジュールの全体的な設計に基づいて決定されることが理解されよう。例えば、異なる種類の電池は、異なる温度で換気および熱暴走を受ける。別の例として、電池モジュールの内部容量は、ガス濃度のレベルに影響を与える。また、電池モジュールは、電池セルの温度とガス濃度との所望の関係を達成するように設計され得ることも理解されるであろう。例えば、一部の電池モジュールでは、接着剤を使用して、電池モジュールの内部に電池セルを固定する。接着剤は、電池セルと直接接触してもよく、一部の接着剤は、接着剤が特定の温度を超えて加熱された時に揮発性有機化合物(VOC)を放出する。例えば、接着剤は、電池セルの換気温度よりも低い約100℃でガス蒸気を排出し始めることができる。したがって、接着剤は、潜在的な電池セルの換気の事前警告を提供するために選択され得る。このような事前警告によって、電池セルの損傷を防止するための一つまたは複数の動作を行うことができるようになる。
【0030】
いくつかの実施形態では、材料は、ガス濃度と電池セルの温度との間の所望の関係を得るために、電池モジュールに追加され得る。例えば、電池モジュールの一つまたは複数の構成要素(例えば、接着剤)は、構成要素の温度が活性化温度を超えて上昇すると、構成要素がガスセンサで検出できるように、化学物質のガスを排出し始めるように、化学物質でドープすることができる。別の例として、所望の温度でガスの排出を開始するために、コンポーネントを電池モジュールに追加することができる。こうした構成要素(例えば、ゲルまたは接着剤)を電池セルの外側に添加して、局所的過熱の正確な識別を可能にすることができる。
【0031】
一部の実施形態では、特定の化学的特性を検出し(例えば、適切に合致したガスセンサ基材を使用して)、それらの濃度を測定することによって、濃度は、一つまたは複数の特定の温度点と相関させることができる。したがって、単一のセンサは、電池モジュール内のすべてのセルを完全に網羅することができる。例えば、電池モジュールは、単一のセンサによって測定されたガス濃度を、一つまたは複数の所望の電池セルの温度と相関させることができるようにモデル化または設計することができる。
【0032】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な電池モジュール200のブロック図を示す。電池モジュール200は、層の間に位置する冷却プレート204を有する二つの層に配置された複数の電池セル202を含む。いくつかの実施形態では、電池セル202の端部は、接着剤を介して冷却プレート204に固定される。接着剤は、電池セル202と冷却プレート204との間に良好な物理的および熱的結合を提供することができる。冷却プレート204は、一方の側面上の電池モジュール200の外側ハウジングを超えて延在し、入力ポートおよび出力ポートを含む。図2に図示されていない冷却システムは、冷却プレート204の入力ポートに冷却流体の供給を提供し、冷却流体の出力ポートからの戻りを受け取る。冷却流体の流量および/または温度は、冷却システムによって制御される。冷却システムは、動作中、電池セル202の温度を通常の動作温度範囲に維持する。
【0033】
電池モジュール200はまた、ガスセンサ206aおよび206b、ならびに温度センサ208aおよび208bを含む。ガスセンサ206aおよび206bは、電池セル202の一つ以上の温度がその通常の温度範囲を超えて増加する時に放射されるガスを検出するための任意の適切なガスセンサとすることができる。示されるように、ガスセンサ206aは、電池モジュールの上部に位置する。一部の実施形態では、高温の空気が上昇し、過熱により放射されるガスも上昇することが予想されるため、この位置が好ましい。この位置によって、他の位置よりも早くガスを検出することができる。示されるように、ガスセンサ206bは、電池モジュールの底部に位置する。いくつかの実施形態では、冷却プレート204の位置決めは、この位置を電池モジュールの下半分で好ましくし得る。高温空気が上昇する間、冷却プレート204は、電池モジュールの下半分の上部で空気を冷却し、対流電流を発生させ、それによって放射されたガスがガスセンサ206bを通過して移動する。温度センサ208aおよび208bは、電池モジュール200内の測定温度のため、任意の適切な位置に位置してもよい。温度センサは、電池セル内の局所的温度上昇を即座に検出することができない場合があるが、局所的温度上昇が続く場合、そのような上昇を検出し得る。したがって、ガス濃度および一つまたは複数の温度読み取り値を一緒に使用して、電池モジュールの状態を判定することができる。当然のことながら、電池モジュール200の設計およびレイアウトは、単に例示に過ぎず、センサは任意の適切な位置に位置し得る。いくつかの実施形態では、一つまたは複数のガイドを使用して、高温ガスの流れを一つまたは複数のガスセンサの位置に向けることができる。また、電池モジュール200は、電池セル202の二つの層で示されているが、より多いまたはより少ない電池セルの層を使用できることも理解されよう。また、より多いまたはより少ないガスセンサおよび温度センサを使用できることも理解されよう。いくつかの実施形態では、電池モジュールは、電池セルの単層と単一のガスセンサとを含む。
【0034】
図3は、本開示の一部の実施形態による、電池モジュール内のガス濃度および温度の例示的プロットを示す。プロット300は、電池モジュール内の経時的なガス濃度302を示す単純化されたプロットである。プロット310は、電池モジュール内の経時的な温度312を示す単純化されたプロットである。プロット300および310の時間軸は、整列され、同じ時間に対応する。時間tの前に、ガス濃度302および温度312は比較的一定のレベルに留まり、これは、通常の動作領域で動作している電池モジュールに対応し得る。時間tと時間tとの間で、温度312がその一定レベルに留まっている間、ガス濃度302は増加し始める。この時間間隔中、電池モジュールは、電池セルの過熱状態を経験し始める場合があるが、過熱が温度センサに反映される前である。時間tでは、温度312もまた上昇し始め、従って、ガス濃度302および温度312の両方が時間tの後に上昇している。これは、電池セルの過熱状態が持続または悪化するのに対応する場合がある。
【0035】
プロット300は、二つの閾値、下限閾値304aおよび上限閾値304bを示す。いくつかの実施形態では、ガス濃度302が上限閾値304と交差すると、電池モジュールの状態(例えば、電池の過熱イベント)が宣言され得る。例えば、上限閾値304は、ガス濃度302がこの閾値を交差するとき、電池モジュールの状態を高信頼度で宣言することができるように選択され得る。いくつかの実施形態では、温度312をガス濃度302と組み合わせて使用することによって、電池モジュールの状態を、より早期に高信頼度で検出することができる。例えば、ガス濃度302が下限閾値304aを交差するが、上限閾値304bより低い場合、温度312を分析して、高信頼度で電池モジュールの状態を宣言するかどうかを判定することができる。いくつかの実施形態では、温度の変化、または温度レベルと閾値との比較は、ガス濃度302と組み合わせて使用され得る。例えば、ガス濃度302が閾値(例えば、下方閾値304a)を交差し、(1)温度312の勾配が正である、(2)温度312の勾配が閾値よりも大きい、(3)温度312が閾値よりも大きい、またはそれらの組み合わせ、のうちの一つが満たされた場合、電池モジュールの状態を宣言することができる。
【0036】
上述のように、ガスセンサは、電池セルの温度がその通常の温度範囲を超えて増加する時に放射されるガスを検出するための任意の適切なガスセンサとすることができる。こうしたガスセンサは、(a)電池セルが過熱状態にある時に接着剤からのガスの排出、(b)換気中に電池セルから発散するガス、および(c)熱暴走中に放射されるガスを検出し得る。いくつかの実施形態では、複数の異なるように調整されたガスセンサを使用して、異なる種類のガスを検出する。第一のガスセンサを使用して、接着剤(例えば、化学物質でドープされた接着剤)からのガスの排出を検出してもよい。第二のガスセンサを使用して、セルの換気および熱暴走中に放射されるガス(例えば、CO、CO、およびH)を検出してもよい。第三のガスセンサを使用して、セルの換気および熱暴走中に放射されるガスを検出してもよい。いくつかの実施形態では、単一のガスセンサは、異なる種類のガスを別々に検出するように構成されてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、一つまたは複数のガス濃度の閾値を使用して、電池モジュールの状態を判定してもよい。例えば、閾値は、電池モジュールが、電池セルが換気に到達する前に、電池セル過熱領域に入る時を識別するように設定され得る。こうした閾値は、図1の下方の横破線より下のレベルに設定されてもよい。ガス濃度が閾値を下回ると、電池モジュールの状態は正常であると判定される。ガス濃度が閾値を超える時、電池モジュールの状態は、電池セルの過熱状態にあると判定され、これはセルの換気の開始を予測する。第二のより高い閾値を使用して、セルの換気が起こる時を識別することができる。例えば、こうした閾値は、図1の二本の横破線の間のレベルに設定することができる。ガス濃度が第二のより高い閾値を超えるとき、電池モジュールの状態は、セルの換気状態であると判定され、これは熱暴走イベントの開始を予測する。第三の高い閾値を使用して、熱暴走イベントが発生する時を識別することができる。こうした閾値は、図1の上方の横破線より上のレベルに設定されてもよい。
【0038】
一部の実施形態では、電池モジュール内のガス濃度は、電池モジュールの通常の動作中に変化し得る。例えば、ガス濃度は、電池モジュールが動作されるのが長いほど徐々に増加し得る。別の例として、ガス濃度はまた、高負荷下で増加し得る。したがって、電池モジュールの使用および状態を監視でき、使用の関数として閾値を調整できる。例えば、電池モジュールの連続動作中にガス濃度が徐々に上昇すると予想される場合、一つまたは複数の閾値も徐々に増加させることができる。別の例として、電池モジュールが使用されていない場合、電池モジュール内のガス濃度は、経時的に減少すると予想される。したがって、一つまたは複数の閾値は、ガス濃度の最後の読み取り値、および電池モジュールが使用されていない時間に基づいて減少され得る。電池モジュールの動作状態に基づいて一つまたは複数の閾値を調整することによって、偽陽性を除去することができる。予想されるガス濃度の通常の変化は、通常の動作状態の範囲の下で電池モジュールを動作させ、ガス濃度の変化を観察することによって判定することができる。
【0039】
図4は、本開示の一部の実施形態による、電池モジュール内のガス濃度402および調整可能な閾値404の例示的プロット400を示す。プロット400は、電池モジュールが負荷(例えば、比較的一定の負荷)下にある時、経時的なガス濃度402を示す単純化されたプロットである。示されるように、閾値404は経時的に変化するため、電池モジュールの動作状態に基づいて調整可能である。いくつかの実施形態では、電池管理回路は、調整可能な閾値を決定するために使用される。例えば、調整可能な閾値は、最初に、経時的な負荷および電池モジュールが負荷下でどのように動作することが予想されるかについての情報に基づいて、電池モジュール内の予想されるガス濃度を計算し、次にオフセット(例えば、固定量またはパーセンテージ量)を追加することによって決定することができる。図4では、閾値404は、比較的一定の負荷下で経時的に直線的に増加する。調整可能な閾値(例えば、予想されるガス濃度に基づく)を使用することによって、電池の過熱イベントを予測または迅速に識別することができる。電池モジュールのガス濃度402は、予想通り時間tの前に線的に増加する。しかしながら、時間tで、ガス濃度402は、電池の過熱状態が起ころうとする可能性があることを示すより速い速度で増加し始める。時間tで、ガス濃度402は、調整可能な閾値404と交差する。この時点で、電池管理回路は、電池モジュールの状態(例えば、電池の過熱イベント)を宣言し、本明細書に記述されるように、一つまたは複数の動作を行う。
【0040】
図2の電池モジュール200などの本開示の電池モジュールは、様々な用途で使用され得る。例えば、電池モジュールは、グリッドエネルギー貯蔵に使用することができる。別の例として、電池モジュールは、電気車両で使用することができる。
【0041】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による、電気車両で使用する例示的な電池システム500のシステム図を示す。電池システム500は、電気車両サブシステム510に結合された一つまたは複数の電池モジュール502を含む。いくつかの実施形態では、一つまたは複数の電池モジュール502の各々は、複数の電池セルを含む。いくつかの実施形態では、一つまたは複数の電池モジュール502はそれぞれ、図2の電池モジュール200に対応する。図3に示す電気車両サブシステムは例示的であり、追加的またはより少ないサブシステムが電気車両に含まれてもよい。当然のことながら、電気車両サブシステムは、機能を実行するための回路を備え得る。実施形態によっては、回路は、ハードウェア(例えば、一つまたは複数のASIC)、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせ(例えば、メモリに格納されたソフトウェア命令を実行するための一つまたは複数のハードウェアCPU)、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。示されるように、電気車両サブシステムは、電池管理システム512、一つまたは複数の電気駆動ユニット514、電池冷却システム516、およびユーザインターフェース518を含む。
【0042】
電池管理システム512は、電池モジュール502の動作を監視および制御する。電池管理システム512は、電池モジュール502からセンサ信号を受信する。いくつかの実施形態では、電池管理システム512は、ガスセンサ(例えば、図2のガスセンサ206aおよび206b)からセンサ信号を受信する。いくつかの実施形態では、電池管理システム512は、ガスセンサおよび温度センサ(例えば、図2の温度センサ208aおよび208b)からセンサ信号を受信する。電池管理システム512(例えば、電池管理回路)は、センサ信号を評価し、電池モジュールの状態を判定する。電池モジュールの状態が通常の動作状態から外れている時、電池管理システム512は、一つまたは複数の動作を行うことができる。
【0043】
電池冷却システム516は、一つまたは複数の電池モジュール502に冷却を提供する。いくつかの実施形態では、電池冷却システム516は独立して、各電池モジュールに冷却流体を提供する。電池管理システム512は、電池冷却システム516を制御して、一つまたは複数の電池モジュール502を通常の温度範囲に維持するように構成される。
【0044】
一つまたは複数の電気駆動ユニット514は、電気車両に推進を提供する。電気車両が急速に加速されると、一つまたは複数の電気駆動ユニット514は、一つまたは複数の電池モジュール502に大きな負荷を提供する。これにより、電池モジュールの温度が上昇する可能性がある。電池管理システム512は、電池冷却システム516に電池モジュール502への冷却の増加をもたらすことによって、大きな負荷に応答することができる。例えば、冷却剤の流量を増大させてもよく、および/または冷却剤の温度を低減して、大きな負荷によって生成される熱を除去してもよい。
【0045】
ユーザインターフェース518は、任意の適切なユーザインターフェースとすることができる。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェースは、表示画面(例えば、計器パネルディスプレイ)を含む。表示画面は、LCDディスプレイ、OLEDディスプレイ、およびLEDディスプレイ、または任意の他の種類のディスプレイとすることができる。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェースは、スピーカを含む。ユーザインターフェースは、電池管理システム512の制御下で動作して、ユーザに情報(例えば、視覚情報および/または音声情報)を提示することができる。
【0046】
本開示によれば、電池管理システム512は、一つまたは複数のガスセンサを使用して、ガス濃度を電池セルの温度に相関させ得る。ガス濃度を監視することによって、電池管理システム512は、上述のように、電池セルが動作している温度領域(例えば、安全な手術領域、セル過熱領域、セル換気領域、または熱暴走領域)を判定することができる。いくつかの実施形態では、電池管理回路は、ガスセンサからセンサ信号を受信し、センサ信号が、電池モジュール内のガスの存在を示すか(例えば、図1、3、および4に関連して上述した一つまたは複数の閾値とセンサ信号を比較することによって)を判定し、センサ信号がガスの存在を示すと判定することに応答して、所定の動作を行うように構成される。いくつかの実施形態では、電池管理回路は、電池モジュールの使用に基づいて閾値を調整する。ガスの存在が電池モジュールがセルの過熱状態にあることを示す場合、これはセルの換気の開始を予測する。こうした判定は、セルの過熱の原因に応じて、換気が発生しないように十分な時間(例えば、数分または最大20分またはそれ以上)を提供し得る。
【0047】
電池管理回路は、換気が発生しないように、一つまたは複数の動作を行うことができる。例えば 電池管理回路は、冷却を増加することと(例えば、電池冷却システムに冷却を増加するよう指示することによって)、電池モジュール内の電流の流れを低減することと(例えば、電池モジュールに付加され得る最大負荷を制限することによって)、ユーザに警告を提供すること(例えば、ユーザインターフェースを使用して警告を表示するかまたは警報を鳴らすこと)、電池モジュールを切断することと(例えば、電池モジュールの電気出力に連結されたコンタクタを起動することによって)、のうちの一つ以上を実行し得る。いくつかの実施形態では、電池管理回路は、ガスの濃度が増加し続ける場合、漸次所定の動作を行うことができる。例えば、電池管理回路は、最初に冷却を増加し得る。ガス濃度が増加し続ける場合、電池管理回路は、電池モジュール内の電流の流れをさらに低減し得る。ガス濃度が増加し続ける場合、電池管理回路は、ユーザに警告を表示し得る。ガス濃度が増加し続ける場合、電池管理回路は、電池モジュールを切断して車両を停止する場合がある。いくつかの実施形態では、電池管理回路は、電池セルがセル過熱領域内で動作している(例えば、セルの換気を防止するために)時に、一つまたは複数の第一の動作を行ってもよく、電池セルがセル換気領域内で動作している(例えば、熱暴走を防止するために)時に、一つまたは複数の第二の動作を行ってもよい。電池管理回路は、電池セルが熱暴走領域内で動作している時に、一つまたは複数の第三の動作(例えば、電池の切断)を行ってもよい。
【0048】
当然のことながら、電池管理回路は、単一のガスセンサのガス濃度、またはそれぞれが異なる種類のガスを検出するように構成された複数のガスセンサの濃度を評価し、電池セルがどの温度領域内で動作しているかを判定することができる。当然のことながら、電池管理回路は、一つまたは複数の追加のセンサ信号(例えば、温度センサ信号または圧力センサ信号)を受信して、電池セルの温度を判定するための追加情報を評価し得る。例えば、電池セルがゆっくりと過熱している場合、ガス濃度は、最初に上昇し始めてもよく、次いで、温度センサの温度読み取り値は、上昇し始めてもよく、次いで、圧力センサからの圧力読み取り値は、換気または熱暴走後に上昇し始めてもよい(例えば、換気後、および熱暴走後に再び、大きな圧力上昇が起こる場合がある)。したがって、一つまたは複数の追加のセンサからの情報を使用することにより、電池管理回路は、電池セルの温度をより正確に判定し、セルの換気または熱暴走の開始をより正確に予測することができる。例えば、ガス濃度が低速で増加し、閾値と交差する場合、電池管理回路は、温度読み取り値も温度の増加を示していない限り、電池セルがセル過熱領域で動作していると判定しない可能性がある。しかしながら、ガス濃度に比較的速い増加(例えば、高い変化率)がある場合、電池管理回路は、温度読み取り値が温度の増加を示すかどうかに関わらず、電池セルがセル過熱領域で動作していると判定し得る。したがって、電池管理回路は、ガス濃度およびガス濃度の変化の両方を使用して、電池モジュールの状態を判定することができる。
【0049】
また、本開示の技術は、単一のガスセンサによって測定される検出されたガス(例えば、接着剤から放出される)の濃度を、その材料の温度に相関させることができることも理解されるであろう。代理によって、本開示の技術はまた、濃度を電池セルの温度と相関させることも可能にする。したがって、電池セルの温度は、電池モジュール内のガスの存在(例えば、材料が特定の温度でガスを排出するように構成されているとき)または電池モジュール内のガスの濃度(例えば、電池セルの温度とガス濃度を相関させる経験的データに基づく)に基づいて判定され得る。
【0050】
本開示の技術は、電池モジュールの設計および動作に様々な改善をもたらす。電池モジュールでは、モジュール内のすべてのセルが独自の温度センサ測定値を有していない限り、常に不完全な温度感知範囲が存在する。多数の電池セルを有する電池モジュールについては、各電池セルに独自の温度センサを提供することは現実的ではない。すべての電池セルが独自の温度センサを有するわけではない場合、電池セルの温度測定値が推定またはモデル化され、セルの換気に先立って局所的または単一セルの温度上昇を検出することが困難または不可能である。本開示のガスセンサの使用は、これらの問題を克服し、セルの換気の開始の早期警告を提供し、それによって、セルの換気および熱暴走の可能性を低減するための動作を行うることができる。
【0051】
上記は、本開示の原理の単なる例示であり、本開示の範囲から逸脱することなく、当業者によってさまざまな修正を行うことができる。上記の実施形態は、限定ではなく例示の目的で提示される。本開示はまた、本明細書に明示的に記載されたもの以外の多くの形態をとることができる。従って、本開示は、明示的に開示された方法、システム、および装置に限定されず、以下の特許請求の範囲の趣旨内にあるそれらの変形および修正を含むことを意図していることが強調される。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】