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特表2022-508087加飾的及び機能的効果を生成するための3次元表面の選択的めっき
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  • 特表-加飾的及び機能的効果を生成するための3次元表面の選択的めっき 図1
  • 特表-加飾的及び機能的効果を生成するための3次元表面の選択的めっき 図2
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  • 特表-加飾的及び機能的効果を生成するための3次元表面の選択的めっき 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】加飾的及び機能的効果を生成するための3次元表面の選択的めっき
(51)【国際特許分類】
   C25D 5/56 20060101AFI20220112BHJP
   B41M 1/30 20060101ALI20220112BHJP
   B29C 51/10 20060101ALI20220112BHJP
   C25D 7/00 20060101ALI20220112BHJP
   C25D 5/02 20060101ALI20220112BHJP
   C23C 18/20 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
C25D5/56 A
B41M1/30 B
B29C51/10
C25D7/00 Z
C25D5/02 Z
C23C18/20 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525275
(86)(22)【出願日】2019-09-25
(85)【翻訳文提出日】2021-05-10
(86)【国際出願番号】 US2019052869
(87)【国際公開番号】W WO2020112224
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】16/201,092
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501407311
【氏名又は名称】マクダーミッド エンソン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】ブレイ、ポール、エー.
(72)【発明者】
【氏名】ハーバート、マーティン、ヴィ.
(72)【発明者】
【氏名】パーソンズ、キース、ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ワーウィック、ピーター、エー.
【テーマコード(参考)】
2H113
4F208
4K022
4K024
【Fターム(参考)】
2H113AA01
2H113AA06
2H113BA01
2H113BA03
2H113BA05
2H113BA09
2H113BA28
2H113BB07
2H113BB08
2H113BB22
2H113BB32
2H113DA04
2H113DA58
2H113EA07
2H113FA05
2H113FA10
2H113FA43
4F208AA28
4F208AC03
4F208AG03
4F208MA01
4F208MB01
4F208MG04
4F208MW02
4F208MW34
4F208MW37
4K022AA20
4K022AA47
4K022BA08
4K022BA14
4K022BA35
4K022CA04
4K022CA06
4K022CA13
4K022DA01
4K022EA04
4K024AA02
4K024AA03
4K024AA09
4K024AA14
4K024AB01
4K024AB03
4K024AB17
4K024BA14
4K024BB20
4K024BB28
4K024BC01
4K024DA04
4K024DA06
4K024DB01
4K024DB10
4K024FA01
(57)【要約】
選択的にめっきされた3次元熱可塑性部品を作製する方法である。本方法は、a)フィルムの第1の表面上にハードコート層を有する未硬化のポリカーボネートフィルムのフィルムを提供する工程と、b)ポリカーボネートフィルムの第1の表面上に所望のパターンで触媒を堆積させることによって、ポリカーボネートフィルムを選択的に触媒する工程と、c)3次元ポリカーボネートフィルムを形成するためにポリカーボネートフィルムを熱成形する工程と、d)フィルムを紫外線で照射することによって、ハードコートポリカーボネートフィルムをUV硬化させる工程と、e)ハードコートポリカーボネートフィルムを成形して、ハードコートポリカーボネートフィルムを含む3次元成形部品を製造する工程と、f)選択的に触媒されたハードコートポリカーボネートフィルムを活性化する工程と、g)ハードコートポリカーボネートフィルムの触媒された部分上に金属層をめっきする工程であって、めっきされた金属は、ハードコートポリカーボネートフィルムの触媒された部分上にのみ堆積する、めっきする工程と、を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択的にめっきされた3次元熱可塑性部品を作製する方法であって、
a)未硬化ポリカーボネートフィルムのフィルムを提供する工程であって、前記未硬化ポリカーボネートフィルムが、フィルムの第1の表面上にハードコート層を含む、提供する工程と、
b)ポリカーボネートフィルムの第1の表面上に所望のパターンで触媒を堆積させることによって、前記ポリカーボネートフィルムを選択的に触媒する工程と、
c)3次元ポリカーボネートフィルムを形成するために前記ポリカーボネートフィルムを熱成形する工程と、
d)前記フィルムを紫外線で照射することによって、ハードコートポリカーボネートフィルムをUV硬化させる工程と、
e)選択的に触媒されたハードコートポリカーボネートフィルムを活性化する工程と、
f)前記ハードコートポリカーボネートフィルムの触媒された部分上に金属層をめっきする工程であって、めっきされた金属が、前記ハードコートポリカーボネートフィルムの前記触媒された部分上にのみ堆積する、めっきする工程と、を含む、方法。
【請求項2】
工程b)の前に、ポリカーボネートフィルムの第2の表面にインクを適用する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記インクが、印刷によって適用される着色インクであり、前記インクが、前記ポリカーボネートフィルムの前記第2の表面上に所望の色、又はパターン、又は仕上げを呈する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程d)の後に、前記ハードコートポリカーボネートフィルムを含む、3次元成形部品を製造するために、前記ハードコートポリカーボネートフィルムを成形する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリカーボネートフィルムが、約50ミクロン~約500ミクロンの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリカーボネートフィルムが、約100ミクロン~約300ミクロンの厚さを有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ハードコートポリカーボネートフィルムの前記触媒された部分上に前記金属層をめっきする工程が、
a)前記触媒を還元することと、
b)前記ハードコートポリカーボネートフィルムの前記触媒された部分上に無電解金属のシード層を無電解めっきすることと、
c)無電解金属堆積物の上部にわたって金属層を電解めっきすることと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
還元剤が、次亜リン酸塩又は水素化ホウ素塩を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
無電解めっき金属が、銅、ニッケル、又はニッケル合金を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
電解めっき金属が、銅、銅合金、亜鉛、亜鉛合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、鉛合金、クロム、及びこれらのうちの1つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
めっきされた金属堆積物が、約10ミクロン~約300ミクロンの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記めっきされた金属堆積物が、約30ミクロン~約150ミクロンの厚さを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
熱可塑性物品が、透明又は透光性である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記選択的にめっきされた3次元熱可塑性部品を、約150~約220℃の温度で熱硬化させる工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
1つ以上の追加の金属めっき層を適用する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記金属めっき層が、銅の層、続いてニッケル又はニッケル合金の層、続いてクロムの層を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
熱成形前に、前記ポリカーボネートフィルムが、予備乾燥される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
請求項1に記載のプロセスによって作製された、選択的にめっきされた3次元熱可塑性部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、加飾的及び機能的効果を生成するための3次元表面を選択的にめっきする改善された方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多種多様な必要性が熱可塑性構成要素上に在り、限定されるものではないが、耐磨耗性及び耐擦傷性であり、色及び高い色密度の多様性を可能にし、また2次元加飾及び/又は記号を可能にする表面コーティングを含む。
【0003】
加えて、いくつかの領域が金属外面を有し、他が透明な表面を有するように、3次元部品を選択的に加飾することが、多くの場合望ましい。1つのかかる例は、「secret-until-lit」自動車内装部品を含み、記号(複数可)及び/又はテキストを含み得る物品は、部品の背後の照明のスイッチが入るまで、金属仕上げとして現れる。透明な非めっき領域は、光及び画像の透過が現れることを可能にする。典型的には、実質的に平面のプラスチック成形製品が、めっきされ、これは、プラスチック成形製品の裏側から照明することによって、めっき無しで残された部分が灯る利点を有する。
【0004】
「secret-until-lit」部品を製造する1つの方法は、ポリカーボネート上のアクリロニトリルブタジエンスチレン(acrylonitrile-butadiene-styrene、ABS)の多層表面の使用を含む。ABS層は、露出したポリカーボネートのパターン化された領域を生成するために、レーザアブレーションされた像様である。次いで、これを、既存のめっきオンプラスチック法に従って、めっきすることができる。しかしながら、このプロセスは、高価であり、時間がかかり、かつ労働集約型の両方の状態である多数のプロセス工程を必要とする。
【0005】
Sonyの日本国特許公開第61288094号は、所望のパターンを除いて、光透過性プラスチックプレートをめっきするための方法を記載する。透光性(透明又は半透明)プラスチックは、様々なデバイスの部分を表示するために使用され、裏側から照明することによって、めっきされていない文字及びパターンを照明するという利点を有する。本方法は、基材に適用され、次いで、アルカリ可溶性インクで画像化される無電解銅層を含む。次いで、表面は、ニッケル、クロム、又は同様の金属で電気めっきされ、アルカリに浸漬されて、画像化領域(すなわち、インク及び電気めっき金属)を除去する。次いで、露出した銅層は、化学エッチングによって除去される。しかしながら、この構造は、加工中に3次元形状に形成することはできない。
【0006】
Kuirihara Mekki Kojoの日本国特許公開第62235495号は、フォトレジストでコーティングされ、次いで、UV光で硬化された像様である基材を記載する。未硬化領域は、現像溶液中で溶解され、露出した基材は、電気めっきされる。次いで、第2の現像段階は、UV硬化レジストを除去し、非めっき基材を露出させる。しかしながら、このプロセスは、非めっき領域においてハードコートを生じさせず、完成した部品は、それゆえ、より容易に損傷を受ける可能性がある。
【0007】
Mitsubishiの日本国特許公開第63182110号は、パターン化されたセラミック層でマスキングされる金型キャビティを記載する。金属は、オーバめっきされて、マスク内の間隙を埋める。次いで、成形樹脂が、キャビティに注入され、金属パターンは、成形樹脂に固着する。このプロセスもまた、非めっき領域においてハードコートを生じさせない。
【0008】
Haoらの米国特許出願公開第2002/0197492号は、その主題は参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、金属コーティングをプラスチック構成要素の表面上に無電解で堆積させ、画像化及び現像されて、フォトレジストパターンを形成する、フォトレジストコーティングが続く工程を含む、2次元又は3次元プラスチック構成要素の表面上に金属パターンを選択的にめっきするプロセスを記載する。現像中にフォトレジストが除去された領域は、次いで、残りのフォトレジスト及び無電解金属が気散する前に、電気めっきされる。しかしながら、このプロセスは、プラスチック構成要素の後続の成形又は熱成形を可能にしない。
【0009】
Wollachらの米国特許出願公開第2007/0226994号は、その主題は参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、真空蒸着によってベース導電層を適用し、次いで、電気絶縁性フォトレジストを像様に適用するためのプロセスを記載する。電気めっきは、フォトレジストが全くない領域上で実行され、残りのフォトレジストが、除去され、真空蒸着されたベース層が、エッチングされる。しかしながら、このプロセスは、3次元形状で使用することができず、非めっき領域においてハードコートを生じさせず、完成した製品は、より容易に損傷を受ける可能性がある。
【0010】
Simmonsらの米国特許出願公開第2009/0317609号は、その主題は参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、パラジウム活性剤溶液を適用すること(すなわち、インクジェットによって)、次いで、画像化された領域を無電解めっきすることによって画像化される基材を記載する。次いで、構造体が、硬化される。しかしながら、構造体は、強化繊維樹脂に限定され、構造体は、3次元形状を生じさせるために形成又は成形することができない。ハードコート層も存在しない。
【0011】
それゆえ、「secret-until-lit」部品として使用することに好適な3次元形状を含む、3次元形状を製造するために、プラスチック基材を選択的にめっきする改善された方法に関して、当該技術分野において依然として必要性が存在することが分かり得る。
【0012】
また、非めっき領域内にハードコートされた外面を備える、選択的にめっきされた部品を提供して、改善された耐久性を提供することも有益であろう。
【0013】
フィルムインサート成形(Film Insert Molding、FIM)は、成形プロセス中に、ラベリング及び図形がプラスチック部品に適用されることを可能にする、成形同時加飾(In-Mold Decorating、IMD)の形態である。FIMは、構成要素を単一ユニットに一体化して、非常に耐久性がある、耐擦傷性ハードコーティングを有する製品を作製することを可能にする。それは、複数の用途で使用され得るが、一般的に、自動車内装品及び携帯型電子デバイスと関連付けられる。
【0014】
典型的なFIMプロセスでは、完成した加飾構成要素は、射出成形プロセス中に、加飾され、再成形され、及びトリミングされた半仕上げフィルム製品を金型に挿入することによって、製造することができる。このように、複雑な屈曲を有する構成要素は、記号、透過光デザイン、及び多色2次元加飾、同時に、ショットからショットで変化する単純な加飾を用いて製造することができる。
【0015】
FIMは、対象とする方式で熱可塑性構成要素の外観をデザインすることを可能にする。加飾(例えば、単色、多色、統合記号、透過光デザインなど)が可能であるだけでなく、表面印象(例えば、光沢、構造化、艶消しなど)、及び高光沢も選択的に設定することができる。
【0016】
それゆえ、FIMの強みは、複雑な形状の加飾面を生成する能力、及び加飾を変更する際の極端な順応性を含む。
【発明の概要】
【0017】
本発明の目的は、3次元表面を選択的にめっきする方法を提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、3次元非導電性基材を選択的にめっきする方法を提供することである。
【0019】
本発明の更に別の目的は、3次元ポリカーボネート基材を選択的にめっきする方法を提供することである。
【0020】
本発明の更に別の目的は、ハードコート層を有する3次元ポリカーボネート基材を選択的にめっきして、耐久性を増加させる方法を提供することである。
【0021】
本発明の更に別の目的は、「secret-until-lit」部品を製造する改善された方法を提供することである。
【0022】
そのために、一実施形態において、本発明は、概して、選択的にめっきされた3次元熱可塑性部品を作製する方法に関し、本方法は、
【0023】
a)未硬化ポリカーボネートフィルムのフィルムを提供する工程であって、未硬化ポリカーボネートフィルムが、フィルムの第1の表面上にハードコート層を含む、提供する工程と、
【0024】
b)ポリカーボネートフィルムの第1の表面上に所望のパターンで触媒を堆積させることによって、ポリカーボネートフィルムを選択的に触媒する工程と、
【0025】
c)3次元ポリカーボネートフィルムを形成するためにポリカーボネートフィルムを熱成形する工程と、
【0026】
d)フィルムを紫外線で照射することによって、ハードコートポリカーボネートフィルムをUV硬化させる工程と、
【0027】
e)選択的に触媒されたハードコートポリカーボネートフィルムを活性化する工程と、
【0028】
g)ハードコートポリカーボネートフィルムの触媒された部分上に金属層をめっきする工程であって、めっきされた金属は、ハードコートポリカーボネートフィルムの触媒された部分上にのみ堆積する、めっきする工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】めっきされた金属のメッシュタイプパターンが可視である、完全めっきプロセス後の実施例1のプロセスに従って製造された試料部品の図を図示する。
【0030】
図2】背面から白色光で照明されたときの、図1と同じ試料部品の図を図示する。
【0031】
図3】めっきされた金属のメッシュタイプパターンが可視である、完全めっきプロセス後の、実施例2のプロセスに従って製造された試料部品の図を図示する。
【0032】
図4】背面から白色光で照明されたときの、図3と同じ部品の図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本明細書で使用するとき、「1つ(a)」、「1つ(an)」、及び「その(the)」は、文脈がそうでない旨を明確に指示しない限り、単数及び複数の両方の指示対象を指す。
【0034】
本明細書で使用するとき、「約」という用語は、パラメータ、量、持続時間などの測定可能な値を指し、具体的に列挙された値の、及びその値からの、+/-15%以下の変動、好ましくは+/-10%以下の変動、より好ましくは+/-5%以下の変動、更により好ましくは+/-1%以下の変動、及びまた更により好ましくは+/-0.1%以下の変動を、そのような変動が本明細書に説明される本発明で実施するために適切である限り、含むことを意味する。更に、修飾語「約」が指す値は、それ自体が本明細書に具体的に開示されていることも理解されたい。
【0035】
本明細書で使用するとき、「下(beneath)」、「下方(below)」、「下側(lower)」、「上方(above)」、「上側(upper)」等のような空間的に相対的な用語は、図で示されるように、別の要素(複数可)又は特徴(複数可)に対する1つの要素又は特徴の関係を説明するための説明を容易にするために使用される。空間的に相対的な用語は、図内に図示される配向に加えて、使用中又は動作中のデバイスの異なる配向を包含することが意図され得る。例えば、図中のデバイスが裏返される場合、他の要素又は特徴部の「下方」又は「下」として記載される要素は、次いで、他の要素又は特徴部の「上方」に配向されることになる。それゆえ、「下方」という例示的な用語は、上方及び下方の配向の両方を包含する可能性がある。デバイスは、(90度で又は他の配向で回転させて)別様に配向されてもよく、及び空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈されて本明細書で使用されてもよい。用語「前部(front)」及び「後部(back)」は、限定することを意図するものではなく、適切な場合に交換可能であることが意図されていることが更に理解される。
【0036】
本明細書で使用するとき、用語「含む(comprises)」及び/又は「含む(comprising)」という用語は、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を除外しない。
【0037】
本発明の発明者らは、フィルムインサート成形プロセスが、修正及び改善されて、耐擦傷性、耐衝撃性ハードコートを含み、効率的な方式で、secret-until-lit、又は他の同様の部品を製造するのに好適である、選択的にめっきされた3次元部品を作製することができることを発見した。本明細書に記載される方法は、一部の領域が金属外面を有する一方で、他の領域がハードコートされた透明表面を有するように、3次元部品の選択的加飾を提供する。一実施形態では、部品の外面は、部品の背後の照明のスイッチが入るまで、金属仕上げとして現れる。次いで、透明な非めっき領域は、光及び画像の透過が現れることを可能にし得る。
【0038】
一実施形態では、本発明は、概して、選択的にめっきされた3次元熱可塑性部品を作製する方法に関し、本方法は、
【0039】
a)未硬化ポリカーボネートフィルムのフィルムを提供する工程であって、未硬化ポリカーボネートフィルムが、フィルムの第1の表面上にハードコート層を含む、提供する工程と、
【0040】
b)ポリカーボネートフィルムの第1の表面上に所望のパターンで触媒を堆積させることによって、ポリカーボネートフィルムを選択的に触媒する工程と、
【0041】
c)ポリカーボネートフィルムを熱成形して、3次元ポリカーボネートフィルムを形成する工程と、
【0042】
d)フィルムを紫外線で照射することによって、ハードコートポリカーボネートフィルムをUV硬化させる工程と、
【0043】
e)選択的に触媒されたハードコートポリカーボネートフィルムを活性化する工程と、
【0044】
f)ハードコートポリカーボネートフィルムの触媒された部分上に金属層をめっきする工程であって、めっきされた金属が、ハードコートポリカーボネートフィルムの触媒された部分上にのみ堆積する、めっきする工程と、を含む。
【0045】
一実施形態では、3次元熱可塑性部品は、熱成形され、3次元ポリカーボネート部品を製造するように形成されたポリカーボネートフィルム又は層を含む。一実施形態では、ポリカーボネートフィルム又は層は、透明、半透明、又は透光性のうちの少なくとも1つである。本明細書に記載されるように、一実施形態では、ポリカーボネート部品は、照明されたときに非めっきのまま残された部分が灯るように、部品の裏側から照明することができる、3次元ポリカーボネート部品内の「secret-until-lit」パターン、記号、アイコン、又は図形を調製するように加工される。
【0046】
更に、本発明はハードコートポリカーボネートフィルムに関するものとして記載されながら、プラスチック上のめっきプロセスにおいて使用されることが可能であり、熱成形され得る他の熱可塑性材料もまた、本明細書に記載の工程に従って加工されるハードコート層を有する3次元熱可塑性部品を製造するために、本発明の実践において使用され得ることに留意されたい。
【0047】
ハードコートポリカーボネートフィルムは、使用される成形プロセス及び所望の仕上げ製品の構成並びに属性に部分的に応じて、約50μ~500μ、より好ましくは約100μ~約300μの厚さを好ましくは有する。「ハードコート」とは、コーティングが、耐磨耗性、耐擦傷性、耐溶剤性、及び耐久性のうちの少なくとも1つであることを意味する。
【0048】
ハードコートポリカーボネートフィルムはまた、熱成形に好適でなければならない。本明細書に記載されるように、ハードコートポリカーボネートフィルムは、様々なプロセス工程に供され、したがって、熱成形プロセス中に亀裂又は破断することなく熱成形に耐えることが可能でなくてはならない。
【0049】
1つの好適なハードコートポリカーボネートフィルムは、MacDermid Enthone Inc.社から商品名XtraForm(商標)M HCLで入手可能である。XtraForm(商標)M HCLは、ハードコートされた側面上の光沢仕上げ及び艶消しの第2の表面を有する、180μ~250μの厚さで入手可能な成形可能なハードコートポリカーボネートフィルムである。保護積層体は、ハードコート表面上に供給されて、輸送中のフィルムを保護する。
【0050】
任意選択的に、しかし好ましくは、ポリカーボネートフィルムの第2の表面(すなわち、ハードコート層の反対側)は、最終製品が所望の色、パターン、又は仕上げを呈するために、着色インクで加飾、印刷、又は別様にコーティングすることができる。
【0051】
それゆえ、一実施形態では、透明又は着色された、透明若しくは透光性インク又は樹脂は、ポリカーボネート基材の第2の表面に印刷されるか、又は別様に適用されて、選択的な着色及び/又は不透明なデザインを作製し得る。例えば、黄色の透明又は透光性インクは、選択的な方式(すなわち、ストライプ)で、基材の第2の表面上に印刷されてもよく、それによって、ポリカーボネート基材が裏から点灯されるとき、基材の前面を通して見たときに、加飾された、印刷された、及び/又はパターン化された外観を作製する。代替的には、黒色又は暗色のインクなどの不透明インクが、基材の第2の表面上に選択的に印刷され得、その結果、部品が裏から点灯されるとき、所望の図形デザイン又はアイコンが、ポリカーボネート部品の前面から可視となる。これらの技術はまた、互いに組み合わせて使用されてもよい。例えば、黒色又は他の暗色のインクは、スクリーン印刷、又は別様にパターン化されて、ポリカーボネート基材の第2の表面上に1つ又は画像を作成してもよく、その後、1つ以上の透明又は透光性着色インクが、1つ以上にわたって適用され得る。別の実施形態では、透明又は透光性着色インクの均一層は、第2の表面の全て、第2の表面の実質的に全てにわたって、又は第2の表面の選択された部分上に均一に適用され、次いで、黒色又は暗色のインクが、透明又は透光性着色インクの上部にあるパターンで刷り込まれるか、又は別様に適用される。
【0052】
本明細書に記載されるように、熱可塑性フィルムの第1の側面(すなわち、ハードコート層を有する熱可塑性フィルムの側面)は、ハードコートポリカーボネートフィルムであってもよく、触媒活性剤で活性化される。一実施形態では、触媒活性剤は、ハードコートポリカーボネートフィルムに所望のパターンで印刷され、又は別様に適用され、及び乾燥される、めっき触媒である。
【0053】
めっき触媒は、ハードコートポリカーボネートフィルム上にスクリーン印刷されて、所望のパターンを作製し得る。限定されるものではないが、グラビア、リソグラフィ、及びフレキソ印刷を含む、他の印刷手段がまた使用されて、基板上の所望のパターン内にめっき触媒を印刷することもできる。典型的な触媒成分としては、例えば、パラジウム、金、銀、スズ、ニッケル、ルテニウム、白金、及びロジウムが挙げられる。1つの好適な印刷可能なめっき触媒は、熱又はUV硬化性結合剤中のパラジウム塩の分散体を含む。
【0054】
めっき触媒は、UV硬化性及び成形可能な配合物であることが非常に望ましい。かかるめっき触媒の1つは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Crouseの米国特許第7,255,782号に記載されているような触媒インクを含む。
【0055】
熱成形の前に、ポリカーボネートフィルムは、高速で水分を吸収する傾向を有するため、予備乾燥される。閉じ込められた水分は、約120℃を上回る蒸気を形成し、蒸気膨張はシート内に気泡を生成する。予備乾燥の持続時間は、シートによって吸収される湿度の量、及びその厚さによって部分的に依存し、当業者によって容易に判定することができる。一実施形態では、ポリカーボネートフィルムは、約90℃~約135℃の温度、より好ましくは約115℃~約125℃の温度で予備乾燥のために、除湿空気循環オーブン内に配置される。加えて、ポリカーボネートシートは、予備乾燥オーブンから取り出した直後に水分を吸収し始め、吸収速度は、周囲露点に依存する。この理由から、ポリカーボネートフィルムは、直ちに形成機械に転送される。
【0056】
熱成形は、使用される成形プロセスのタイプに応じて、中程度~高温で実行することができる。ポリカーボネートは、より高い温度でより柔軟になり、温度は、典型的にはガラス転移温度に近づくか又はそれを超える温度である。一実施形態では、温度は、ガラス転移温度(すなわち、約150℃)を上回り、融解温度(すなわち、約267℃)を下回るものである。別の実施形態では、温度は、約110~約130℃の中程度の温度である。
【0057】
例えば、高圧熱成形及び真空熱成形を含む、様々な熱成形プロセスが、使用される可能性がある。真空成形では、フィルムは、そのガラス転移温度を上回るように加熱され、真空ポンプを使用して、フィルムの下に低圧領域を作製し、外部空気圧がフィルムを形成物にわたって押圧することを可能にする。
【0058】
高圧成形では、高圧(最大約300バール)下で、高温の空気が、フィルムに適用される。基材が、真空成形と比較して比較的低い熱でかかる高圧に供される際、フィルムは、その軟化温度を下回って形成され得、これは印刷から形成の位置合わせを改善することができる。高圧熱成形は、例えば、Nieblingらの米国特許第5,217,563号及び同第5,108,530号の両方において記載され、これらの各々の主題は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0059】
ポリカーボネートシートがその形成温度に達するとき、均一な「たるみ」が生じる。たるみの量は、シートのサイズ及び厚さに依存する。熱成形は、ハードコートされた前面を有する所望の3次元形状を作製する。最適な加熱時間及び温度は、限定されるものではないが、シートの厚さ、使用されている成形型のタイプ、及び必要とされる延伸の程度を含む、多数の要因に依存する。
【0060】
必要とされる形状に熱成形した後、3次元生成物を、UV硬化させて、最大の体擦傷性及び耐薬品性を提供する。
【0061】
一実施形態では、任意選択的に、しかし好ましくは、熱成形及びUV硬化された3次元部品は、射出成形ツール内に配置されて、完成した熱成形及び成形された3次元部品を作製するために熱可塑性樹脂で後方に注入されてもよい。熱可塑性樹脂は、熱可塑性フィルムに使用される樹脂と同じであっても異なってもよい。好ましい一実施形態では、熱可塑性フィルム及び熱可塑性樹脂の両方が、ポリカーボネートを含む。しかしながら、本発明のプロセスでは、他の同様の熱可塑性材料が使用されてもよく、本発明はポリカーボネートに限定されない。
【0062】
3次元ポリカーボネート部品は、金属めっき層で選択的にめっきされる。めっき金属は、印刷触媒が存在する領域上のみに堆積する。めっきされる金属は、例えば、銅、亜鉛、ニッケル、前述の合金、及び前述の1つ以上の組み合わせからなる群から選択されてもよい。他の好適な金属もまた、本明細書に記載される方法でめっきされてもよい。
【0063】
更に、めっきは、無電解めっき、電解めっき、又は前述の組み合わせによって適用され得るめっき金属の1つ以上の層を含む、多層プロセスであり得ることにも留意されたい。本発明における使用に好適な1つのかかるめっき技法は、例えば、Crouseの米国特許第7,255,782号に記載されており、その主題は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0064】
これらのめっき浴は、概して、水溶液中に溶解した塩の形態で堆積される金属、並びに金属塩のための還元剤を含有する。金属化工程は、所望の金属仕上げを得るために、無電解及び/又は電解コーティングを含み得る。無電解めっきによって堆積され得る典型的な金属としては、銅、ニッケル、又はリン及び/若しくはホウ素を含有するニッケル合金が挙げられる。
【0065】
一実施形態では、めっきプロセスは、約10~約75ミクロン、より好ましくは約20~約35ミクロンの深さまでの銅などの無電解金属の堆積、次いで、約1~約10ミクロン、より好ましくは約3~約8ミクロンの深さまでの銅などの電解金属の堆積を含む。その後、部品は、約150~約220℃の温度で熱硬化される。最後に、部品は、銅の層、続いてニッケル層、次いでクロム層で電解めっきされる。これらの層の各々は、好ましくは約10~約50ミクロン、より好ましくは約20~約35ミクロンの厚さを有する。
【0066】
一実施形態では、好適な一連のプロセス工程は、以下の通りである:
【0067】
1)フィルムの第1の表面上にハードコート層を有する未硬化のポリカーボネートフィルムのフィルムを提供する工程、
【0068】
2)所望の色、パターン、金属様仕上げなどを、ポリカーボネートフィルムの第2の表面(すなわち、ハードコーティングなしの表面)に印刷する工程、
【0069】
3)印刷可能な触媒を所望のパターンで(すなわち、スクリーン印刷、グラビア印刷、リソグラフィ、フレキソ印刷などによって)ポリカーボネートフィルムの第1の表面上に印刷することによって、ポリカーボネートフィルムを選択的に触媒する工程、
【0070】
4)3次元部品を形成するためにポリカーボネートフィルムを熱成形する工程であって、ハードコート層が、外部表面上にある、熱成形する工程、
【0071】
5)フィルムを紫外線で照射することによって、ハードコートポリカーボネートフィルムをUV硬化させる工程、
【0072】
6)ハードコートポリカーボネートフィルムを所望の3次元形状に成形する工程、
【0073】
7)選択的に触媒されたハードコートポリカーボネートフィルムを活性化する工程、
【0074】
8)ハードコートポリカーボネートフィルムの触媒された部分上に銅又は他の無電解金属のシード層を無電解めっきする工程であって、めっき金属は、ハードコートポリカーボネートフィルムの触媒された部分上にのみ堆積する、無電解めっきする工程、
【0075】
9)無電解金属堆積物の上部にわたって金属層を電解めっきする工程であって、電解めっき金属は、限定するものではないが、例として、銅、銅合金、亜鉛、亜鉛合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、鉛合金、又は他の同様の金属からなる群から選択されてもよい、電界めっきする工程、
【0076】
10)最終製品を焼成する工程、
【0077】
11)所望される場合、電解めっきによって追加の金属めっき層を適用する工程、である。
【0078】
本明細書に記載されるプロセスは、金属特徴部で選択的に「加飾される」が、また疎水性でハードコーティングされた耐擦傷性表面も含む、3次元ポリカーボネート部品を製造するために使用することができる。
【0079】
上記の一連の工程を使用して、良好な耐久性を有し、耐磨耗性、耐擦傷性、及び耐溶剤性のうちの少なくとも1つである、選択的に加飾された形成されたハードコート熱可塑性部品を製造する。これらの3次元部品は、3次元部品の透明部分が、点灯されたときに画像を表すように裏から点灯されてもよい(すなわち、「secret-until-lit」の3次元部分が作製される)。
【0080】
本発明は、これより、以下の非限定的な実施例を参照して説明される。
実施例1:
XtraForm(商標)G2502Lでコーティングされたポリカーボネートフィルムの305×458mmのシートを、透明な緑色インク(Noriphan 669、Proell社、Germany)の均一層をシート全体に適用することにより、第2の(コーティングされていない)表面上にスクリーン印刷する。次いで、黒色インクの第2の層(Noriphan HTR 953、Proell社、Germany)が、緑色インク層の上にテキストフレーズを形成するために適用された像様であるような、テキストパターンを含むステンシルを適用する。製造業者の推奨により、各インクを、10%のNoriphan M201遅延剤(Proell、Germany)及び5%のNoriphan F013希釈剤(Proell、Germany)で希釈する。各インク層を、80℃で2分間、ベルト速度1m/分で、Trumax Infra Redコンベヤシステム(Natgraph Ltd社、Nottingham、UK)を通るフィルムの通路によって乾燥させる。
【0081】
次いで、印刷されたフィルムを、裏返し、ドットのパターンを含む第2のスクリーン印刷ステンシルを、第1の表面に適用する。これを使用して、MacDermid Enthone Electronic Solutions社、Waterbury、CT、USAから入手可能な、触媒インクMicrocatを使用して、第1の表面上にパターンをスクリーン印刷する。Microcatインクは、パートA:パートBが98:2の比で、印刷前に予め混合される必要がある2つの部品(パートA及びパートB)を含む。Microcatの印刷後、フィルムを、各通過、80℃で2分間、ベルト速度1m/分の状態で、Trumax Infra Red Dryerに3回通過させる。次いで、印刷及び乾燥させたフィルムを、フィルムを変形させるための形成工具を装備したClarke 725 FLB Vacuum Former(CR Clarke社、Ammanford、UK)を使用して、ツール温度200℃及び形成時間10秒で、3D形状に形成する。フィルムを、Microcat印刷を有する表面が、ツールから離れるように、形成ツールの隣に着色インク層を有して形成する。形成後、フィルムを、Fusion DRSE-120コンベヤ(UVio Systems社、Thatcham、UK)上で2J/cmの線量までUV硬化させる。
調製されたフィルムを、めっきして、Microcatがスクリーン印刷工程から存在する領域においてのみ金属を堆積させる。めっきプロセスは、以下の工程を含む。
【表1】
【0082】
図1は、めっきされた金属のメッシュタイプパターンが可視である、完全めっきプロセス後に得られた試料を示す。
【0083】
図2は、白色光で背面から照射されたときの同じ部品を示し、出現するグラフィック画像を示す。
実施例2:
【0084】
XtraForm(商標)G2502Lでコーティングされたポリカーボネートフィルムの305×458mmのシートを、3つの領域にパターン化されて画像を作成するステンシルを通して、黒色インク(Noriphan HTR953)の層を適用することによって、第2の(コーティングされていない)表面上にスクリーン印刷する。着色インクのブロック、1つが透明な赤色(Noriphan 372、Proell社、Germany)、1つが透明な青色(Noriphan 566、Proell社、Germany)、及び1つが透明な緑色(Noriphan 669)を、黒色インクの上に印刷し、1つの色のインクが、パターン化された黒色領域の各々に適用される。製造業者の推奨により、各インクを、10%のNoriphan M201遅延剤(Proell、Germany)及び5%のNoriphan F013希釈剤(Proell、Germany)で希釈する。各インク層を、80℃で2分間、ベルト速度1m/分で、Trumax Infra Redコンベヤシステム(Natgraph Ltd社、Nottingham、UK)を通るフィルムの通路によって乾燥させる。次いで、更なる加工を、Microcatドットパターン、真空形成、UV硬化、及び後続のめっき工程を含む、実施例1と同一の様式で実施する。図3は、めっきされた金属のメッシュタイプパターンが可視である、完全めっきプロセス後に得られた試料を示す。図4は、白色光で背面から照射されたときの同じ部品を示し、出現するグラフィック画像を示す。
【0085】
本発明は、金属特徴部で選択的に加飾されるが、また疎水性でハードコートされた耐擦傷性及び耐磨耗性表面も含む、3次元熱可塑性部品を製造するための解決策を記載する。
【0086】
本発明は、全てのタイプの印刷(スクリーン印刷、インクジェット印刷など)に適合可能である。加えて、コーティングは、第1の表面、第2の表面、又はその両方から硬化され得る。同様に、無電解めっき及び/又は電解めっきは、形成工程及び成形工程後に実行することができる。本明細書に記載されるように、完成した物品は、第1の表面上で選択的にめっきされ、第2の表面上で色加飾(すなわち、インク)され得る。本方法は、エッチングを全く含まず、したがってトポグラフィを最小限に抑える。本明細書に記載される方法はまた、任意の水性めっき化学物質と適合可能である。
【0087】
最後に、以下の「特許請求の範囲」は、本明細書に記載の本発明の一般的な特徴及び具体的な特徴の全て、並びに言語の問題としてその間にあり得る本発明の範囲の全ての記述を網羅することを意図していることも理解されたい。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択的にめっきされた3次元熱可塑性部品を作製する方法であって、
a)未硬化熱可塑性フィルムのフィルムを提供する工程であって、前記未硬化熱可塑性フィルムが、フィルムの第1の表面上にハードコート層を含む、提供する工程と、
b)熱可塑性フィルムの第1の表面上に所望のパターンで触媒を印刷することによって、前記熱可塑性フィルムを選択的に触媒する工程と、
c)3次元熱可塑性フィルムを形成するために前記熱可塑性フィルムを熱成形する工程と、
d)前記フィルムに紫外線を照射することによって、前記ハードコート熱可塑性フィルムをUV硬化させる工程と、
e)選択的に触媒されたハードコート熱可塑性フィルムを活性化する工程と、
f)前記ハードコート熱可塑性フィルムの触媒された部分上に金属層をめっきする工程であって、めっきされた金属が、前記ハードコート熱可塑性フィルムの前記触媒された部分上にのみ堆積する、めっきする工程と、を順に含む、方法。
【請求項2】
工程b)の前に、インクを前記熱可塑性フィルムの第2の表面に適用する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記インクが、印刷によって適用される着色インクであり、前記インクが、前記熱可塑性フィルムの前記第2の表面上に所望の色、又はパターン、又は仕上げを呈する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程d)の後に、前記ハードコート熱可塑性フィルムを含む3次元成形部品を製造するために、前記ハードコート熱可塑性フィルムを成形する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記熱可塑性フィルムが、50ミクロン~500ミクロンの厚さを有し、好ましくは、前記熱可塑性フィルムが、100ミクロン~300ミクロンの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ハードコート熱可塑性フィルムの前記触媒された部分上に前記金属層をめっきする工程が、
a)前記触媒を還元することと、
b)前記ハードコート熱可塑性フィルムの前記触媒された部分上に無電解金属のシード層を無電解めっきすることと、
c)無電解金属堆積物の上部にわたって金属層を電解めっきすることと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
還元剤が、次亜リン酸塩又は水素化ホウ素塩を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
無電解めっき金属が、銅、ニッケル、又はニッケル合金を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
電解めっき金属が、銅、銅合金、亜鉛、亜鉛合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、鉛合金、クロム、及びこれらのうちの1つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
めっき金属堆積物が、10ミクロン~300ミクロンの厚さを有し、好ましくは、前記めっき金属堆積物が、30ミクロン~150ミクロンの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
熱可塑性物品が、透明又は透光性である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記選択的にめっきされた3次元熱可塑性部品を、約150~約220℃の温度で熱硬化させる工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
工程f)の後に、1つ以上の追加の金属めっき層を適用する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記金属めっき層が、銅の層、続いてニッケル又はニッケル合金の層、続いてクロムの層を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
熱成形前に、前記熱可塑性フィルムが、予備乾燥される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
請求項1に記載のプロセスによって作製された、選択的にめっきされた3次元熱可塑性部品。
【請求項17】
前記熱可塑性フィルムが、ポリカーボネートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記熱可塑性フィルムが、多層フィルムである、請求項1に記載の方法。
【国際調査報告】