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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】チャネルホッピング送信制御
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/713 20110101AFI20220112BHJP
【FI】
H04B1/713
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525872
(86)(22)【出願日】2019-11-06
(85)【翻訳文提出日】2021-05-12
(86)【国際出願番号】 GB2019053147
(87)【国際公開番号】W WO2020109750
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】16/206,219
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500395107
【氏名又は名称】アーム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】テルヴォネン、ミカ アンテロ
(72)【発明者】
【氏名】パソ、ジャルッコ
(57)【要約】
電子デバイスからデータを送信する、機械実装方法であって、パケットの送信を、パケットが送信されるネットワーク内のメッセージフローの少なくとも1つの構成要素の統計プロファイルに従って、チャネルスロットインスタンスのチャネルスロット好適ゾーン内に位置決めすることを含む、機械実装方法が提供される。本方法は、メッセージフローの構成要素の統計プロファイルを判定し、チャネルスロット好適ゾーンを構成するための基準として、少なくとも1つの統計プロファイルを選択することができる。メッセージフローの構成要素は、送信機電子デバイス、ネットワーク、送信用パケット、繰り返しチャネルスロット、及び受信機電子デバイスを備え得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスからデータを送信する機械実装方法であって、
データパケットの送信を、前記データパケットが送信されるチャネルホッピングネットワーク内のメッセージフローの少なくとも1つの構成要素の統計プロファイルに従って、チャネルスロットインスタンスのチャネルスロット好適ゾーン内に位置決めすること
を含む、電子デバイスからデータを送信する機械実装方法。
【請求項2】
前記メッセージフローの少なくとも1つの構成要素の少なくとも1つの統計プロファイルを判定すること
を更に含む、請求項1に記載の機械実装方法。
【請求項3】
前記チャネルスロット好適ゾーンを構成するために少なくとも1つの前記統計プロファイルを選択すること
を更に含む、請求項1又は請求項2に記載の機械実装方法。
【請求項4】
前記メッセージフローの前記少なくとも1つの構成要素は、送信機電子デバイス、ネットワーク、送信用パケット、繰り返しチャネルスロット、及び受信機電子デバイスのうちの少なくとも1つを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の機械実装方法。
【請求項5】
少なくとも1つの統計プロファイルを前記判定することは、前記送信機電子デバイス、前記ネットワーク、前記送信用パケット、前記繰り返しチャネルスロット、及び前記受信機電子デバイスのうちの少なくとも1つについての統計データを判定することを含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の機械実装方法。
【請求項6】
少なくとも1つの前記統計プロファイルを前記選択することは、前記送信機電子デバイス、前記ネットワーク、前記送信用パケット、前記繰り返しチャネルスロット、及び前記受信機電子デバイスのうちの少なくとも1つについての前記統計データに従って選択することを含む、請求項3~5のいずれか一項に記載の機械実施方法。
【請求項7】
前記選択することは、ランク付けスキーマに従って、前記送信機電子デバイス、前記ネットワーク、前記送信用パケット、前記繰り返しチャネルスロット、及び前記受信機電子デバイスのうちの少なくとも1つについての前記統計データを、ランクに基づいて選択することを更に含む、請求項3~6のいずれか一項に記載の機械実装方法。
【請求項8】
前記チャネルスロット好適ゾーンを構成するために少なくとも1つの前記統計プロファイルを前記選択することは、前記送信機電子デバイス、前記ネットワーク、前記送信用パケット、前記繰り返しチャネルスロット、及び前記受信機電子デバイスのうちの少なくとも2つについての前記統計データの複数のインスタンスを組み合わせることを含む、請求項3~7のいずれか一項に記載の機械実装方法。
【請求項9】
前記統計データの複数のインスタンスを前記組み合わせることは、前記複数のインスタンスのそれぞれを重み付けするルールエンジンを動作させることを更に含む、請求項8に記載の機械実装方法。
【請求項10】
現在の前記チャネルスロットインスタンスの前記チャネルスロット好適ゾーンが、前記インスタンスの満了前には前記パケットに適応することができないとの判定に応じて、後続のチャネルスロットインスタンスの前記チャネルスロット好適ゾーンの開始まで、前記パケットの送信を延期することを更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の機械実装方法。
【請求項11】
ネットワーク内のメッセージフローの少なくとも1つの構成要素の統計プロファイルに応じて、パケットの送信を、前記パケットが送信されるネットワーク内のチャネルスロットのチャネルスロット好適ゾーン内に位置決める、電子送信機デバイス。
【請求項12】
前記メッセージフローの少なくとも1つの構成要素の少なくとも1つの統計プロファイルを判定し、前記チャネルスロット好適ゾーンを構成するために少なくとも1つの前記統計プロファイルを選択するように動作可能である、請求項11に記載の電子送信機デバイス。
【請求項13】
コンピュータ可読プログラムコードが実装されたコンピュータ可読プログラムコードであって、前記コンピュータ可読プログラムコードは、コンピュータにロードされ、コンピュータ上で実行されると、前記コンピュータに、パケットの送信を、前記パケットが送信されるチャネルホッピングネットワーク内のメッセージフローの少なくとも1つの構成要素の統計プロファイルに従って、チャネルスロットインスタンスのチャネルスロット好適ゾーン内に位置決めさせるように動作可能である、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記メッセージフローの少なくとも1つの構成要素の少なくとも1つの統計プロファイルを判定し、前記チャネルスロット好適ゾーンを構成するために少なくとも1つの前記統計プロファイルを選択するコンピュータプログラムコードを更に備える、請求項13に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記メッセージフローの前記少なくとも1つの構成要素は、送信機電子デバイス、ネットワーク、送信用パケット、繰り返しチャネルスロット、及び受信機電子デバイスのうちの少なくとも1つを備える、請求項13~14のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
少なくとも1つの統計プロファイルを判定する前記プログラムコードは、前記送信機電子デバイス、前記ネットワーク、前記送信用パケット、前記繰り返しチャネルスロット、及び前記受信機電子デバイスのうちの少なくとも1つについての統計データを判定するコンピュータプログラムコードを含む、請求項14~15のいずれか一項に非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
少なくとも1つの前記統計プロファイルを選択する前記コンピュータプログラムコードは、前記送信機電子デバイス、前記ネットワーク、前記送信用パケット、前記繰り返しチャネルスロット、及び前記受信機電子デバイスのうちの少なくとも1つについての前記統計データに従って選択するコンピュータプログラムコードを含む、請求項14~16のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
選択する前記コンピュータプログラムコードは、ランク付けスキーマに従って、前記送信機電子デバイス、前記ネットワーク、前記送信用パケット、前記繰り返しチャネルスロット、及び前記受信機電子デバイスのうちの少なくとも1つについての前記統計データを、ランクに基づいて選択するためのコンピュータプログラムコードを更に含む、請求項14~17のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記チャネルスロット好適ゾーンを構成するために前記少なくとも1つの前記統計プロファイルを選択する前記コンピュータプログラムコードは、前記送信機電子デバイス、前記ネットワーク、前記送信用パケット、前記繰り返しチャネルスロット、及び前記受信機電子デバイスのうちの少なくとも2つについての前記統計データの複数のインスタンスを組み合わせるコンピュータプログラムコードを含む、請求項14~18のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
データパケットの送信を、前記データパケットが送信されるチャネルホッピングネットワーク内のメッセージフローの少なくとも1つの構成要素の統計プロファイルに従って、チャネルスロットインスタンスのチャネルスロット好適ゾーン内に位置決めする
ように構成されている、電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、チャネルホッピング(周波数ホッピング又は周波数ホッピングスペクトル拡散とも呼ばれる)ネットワークにおけるパケット送信の制御を目的とする。
【0002】
チャネルホッピングネットワークでは、送信機デバイス又は受信機デバイスは、所定の様式でチャネルを(周波数を)切り替え、各チャネルに特定の期間(スロット)を割り当てる。これにより、チャネルスイッチ及びチャネルスロットを備えるパターンが確立され、繰り返しチャネルスロットインスタンスのパターンが形成され、各チャネルスロットインスタンスは、1つ以上の信号パケットが送信又は受信され得る期間にわたって持続する。
【0003】
当業者には明らかになるように、送信機と受信機との間のメッセージフローのいくつかの構成要素に関する多数の因子は、そのようなネットワークにおけるパケット送信の有効性に影響を及ぼすことがあり、これらの因子の影響は、典型的には、とりわけ、パケット送信が試行されるチャネルスロットの開始境界と終了境界との間の位置に応じて変動する。メッセージフローの構成要素としては、例えば、送信機デバイス、メッセージパケット自体、送信チャネル、及び受信機デバイスが挙げられる。
【0004】
チャネルホッピングネットワークにおけるパケット送信において遭遇する多くの問題に対する第1の手法では、本技術は、電子デバイスからデータを送信する機械実装方法であって、パケットの送信を、パケットが送信されるネットワーク内のメッセージフローの少なくとも1つの構成要素の統計プロファイルに従って、チャネルスロットインスタンスのチャネルスロット好適ゾーンに位置決めすることを含む、機械実装方法を提供する。
【0005】
ハードウェア手法では、本技術の方法を実現するように動作可能な論理要素を備える電子装置が提供される。別の手法では、コンピュータ実装方法は、非一過性記憶媒体に有形に記憶され、使用時に、コンピュータシステムに本技術のプロセスを実行させるように動作可能であるコンピュータプログラム製品の形態で実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
開示された技術の実装形態を、単なる例として、添付図面を参照して説明する。
図1】チャネルホッピングネットワークにおけるパケット送信を制御するための電子装置の動作方法を示す。
図2】論理、ファームウェア構成要素若しくはソフトウェア構成要素、又はそれらの任意の組み合わせの一構成のブロック図を示し、本明細書に記載される技術は、この構成によって実現され得る。
図3】チャネルスロットの統計プロファイリングにおける因子としてのタイミングドリフトの影響を示す。
図4】チャネルスロットの統計プロファイリングにおける因子としての平均パケットサイズの影響を示す。
図5】チャネルスロットの統計プロファイリングにおける因子としての平均ネットワーク負荷の影響を示す。
図6】マルチキャスト送信用のチャネルスロットの統計プロファイリングにおける因子としての現在のパケットサイズの影響を示す。
【0007】
上述のように、送信機と受信機との間のメッセージフローのいくつかの構成要素に関する多数の因子は、チャネルホッピングネットワークにおけるパケット送信の有効性に影響を及ぼすことがあり、これらの因子の影響は、典型的には、とりわけ、パケット送信が試行されるチャネルスロットの開始境界と終了境界との間の位置に応じて変動する。「メッセージフロー」は、本明細書及び本出願の公報全体において、メッセージ(パケットなど)、メッセージソース、メッセージ宛先、及びメッセージ送信チャネルを含む、ハードウェア構成要素、ファームウェア構成要素、及びソフトウェア構成要素のセットという意味で使用される。メッセージフローの各構成要素の特性及び挙動は、パケット送信の有効性に影響を及ぼし得ることが明らかである。
【0008】
例えば、チャネルスイッチの周囲における送信チャネル及び受信機デバイスの挙動は、受信機にパケットを送信するための最適時間に影響を及ぼし得る。例えば、多くの場合、チャネルスロットの開始時又は転送の直後にパケットを送信することは最適ではない。また、チャネルスロット内に複数のパケットを送信するための十分な時間が存在する場合、パケットを集中させるのではなく、チャネルスロット全体に分散させるものの、チャネルスロットインスタンスの好適ゾーンを選択し、可能な場合には、あまり好適でないゾーンを回避することが好ましいことがある。
【0009】
同期されたチャネルシーケンスの場合、チャネルスイッチの直後にパケットを送信すると、パケットコリジョンを理由にしたパケット損失が生じることがあるが、その結果、パケットが正常に送信されるまで、1回以上、送信をリトライすることがある。例えば、低電力無線パーソナルエリアネットワーク上のIPv6(IPv6 over Low-Power Wireless Personal Area Network、6loWPAN)構成のような多くの低電力ネットワークなど、任意の種類のリソース制約を受けるネットワークでは、リトライを必然的に伴うリソースの浪費を回避することが好ましい。ワイヤレススマートユーティリティネットワーク(Wireless Smart Uuse Network、Wi-SUN)構成では、例えば、同期されたブロードキャストをWi-SUNが提供するので、ブロードキャストメッセージ送信についてこの問題が生じる。また、他のネットワークは、同期されたユニキャストチャネルも提供するので、ユニキャストの場合にこの問題に悩まされることがある。
【0010】
同期されたチャネルシーケンスを有さないチャネルホッピングシステムの場合、宛先デバイスは、スケジュールされたチャネルを変更したばかりである、あるいはスケジュールされたチャネルを変更しようとしている可能性があり、これにより、パケットを損失させることがある。
【0011】
当業者には、多くの他の因子が、チャネルスロットが占める期間内の任意の時点におけるメッセージフロー構成要素の有効性に、例えば、メッセージ送信機デバイスの能力、ネットワーク負荷、現在の送信パケット又は平均送信パケットの性質、繰り返しチャネルスロットの特性、並びに受信機デバイスの能力に影響を及ぼす役割を果たし得ることが明らかになるであろう。一実施例では、送信機への受信機により利用可能とされるチャネルスロットに関するタイミング情報は、経時的に「ドリフト」する、すなわち、タイミング情報は、最後のクロック同期以降、経時的に正確性を失うことがある。また、スロットの開始時及び終了時のタイミング情報が不正確である場合、タイミングジッタ及びチャネルノイズによって、任意の信号が失われる、又は歪むことがある。別の実施例では、大きいパケットを繰り返し受信することにより、チャネルスロットの開始に悪影響を及ぼし得るオーバーフローを引き起こすことがある。
【0012】
したがって、本技術は、特に、ネットワーク統計の分析に基づいてチャネルスロット内にパケット送信を分散させて送信の堅牢性を改善することによって、チャネルホッピングネットワークにおけるパケット送信を制御するためのコンピュータにより実装される技術及び論理装置を提供する。
【0013】
したがって、本技術は、コリジョン又は他のパケットエラーの可能性を回避又は低減し、ネットワーク内のメッセージフロー構成要素からのネットワーク統計に基づいて複数のデバイス間のチャネル使用を最適化するために、送信機電子デバイスにおいて、パケットを送信するチャネルスロット内の好ましい統計的ゾーンを計算する。一実装形態では、現在のスロットの好適ゾーンがパケットサイズに適応できない場合、繰り返しチャネルスロットの後続のインスタンス内の好適ゾーンを使用することができる。
【0014】
ここで図1を参照すると、チャネルホッピングネットワークにおけるパケット送信を制御するための電子装置の動作の方法100が示されており、開始102で始まる。104において、例えば、メッセージ送信機デバイスの能力、ネットワーク負荷、現在の送信パケット又は平均送信パケットの性質、繰り返しチャネルスロットの特性、並びに受信機デバイスの能力を含む、メッセージフローの構成要素の統計プロファイルを判定する。
【0015】
当業者には、メッセージフローの構成要素の統計プロファイルは、様々な方法で導出され得ることが理解されよう。例えば、パケット待ち行列の非侵襲的な加工(non-invasive tooling)は、個々のパケットのパケットサイズ設定を行うことができ、また、平均的なパケットサイズ設定も行うことができるが、従来から、デバイス性能及びネットワーク負荷並びに性能統計を提供するために様々なモニターが利用可能である。例えば、構成データを問い合わせることによって、送信機デバイス及び受信機デバイスの能力を導出することができる。チャネルタイミングの減衰データは、例えば、同期以降の経過時間から、あるいは送信の失敗及びリトライの検出統計に基づいて推定することができる。
【0016】
106において、更なる処理のための基礎として機能するように、1つ以上のプロファイルを選択する。単一のプロファイルが選択される場合、ステップ108は、統計プロファイルに基づいて、パケットを送信するための好適ゾーンをチャネルスロット内に構成する。例えば、統計プロファイルが、チャネルスロットの寿命の早期に好適ゾーンを配置することが好ましいと示す場合、そのプロファイルを単独で使用する。106において複数の統計プロファイルが選択された場合、108において好適ゾーンを構成する際に、複数の統計プロファイルを、それらの組み合わせを統制するルールに従って処理してもよく、したがって、メッセージフローの効率に影響を及ぼし得る多数の因子が考慮される。ルールは、例えば、パケット送信の失敗の原因となる可能性が最も大きい因子が、失敗の原因となる可能性がより低い因子よりも、好適ゾーンの構成に対して大きい影響を有し得るように、様々な因子に対して相対的な重みを提供することができる。
【0017】
一実装形態では、110において、現在のチャネルスロットに対して更なる試験が行われる。108において構成された好適ゾーンが、送信されるパケットに適切に適応する場合、112において、現在の好適ゾーンを使用してパケットを送信する。(例えば、好適ゾーン内の残りの時間が、送信される現在のパケットに対して十分な長さではないことを理由に)108において構成された好適ゾーンが、送信されるパケットに適切に適応しない場合、114において、パケットの送信を遅延させる。いずれの場合でも、本方法は、終了116において完了する。
【0018】
ここで図2を参照すると、上述の方法は、メッセージフロー構成要素200のセットを形成する、送信機電子デバイス202のハードウェア要素、ソフトウェア要素、又はファームウェア要素において実装することができ、メッセージフロー構成要素200のセットは、送信機電子デバイス202及び受信機電子デバイス204に動作可能に結合されたネットワークチャネル206を更に含む。送信機電子デバイスは、パケット待ち行列208を含み、ネットワークのチャネル206上でパケットを送信するのに好適な周知の送受信機要素のいずれかのものであり得る送受信機要素(図示せず)の一部を形成することができる。従来のパケット待ち行列は、典型的には、好適なネットワーク上で送信するための固定サイズの又は可変サイズのパケットに適応する。例示的なインスタンスでは、パケット待ち行列208は、可変サイズのパケットを含み、平均パケットサイズ及び現在のパケットサイズは、メッセージフローの動作の効率の1つの因子を表し得る。
【0019】
送信機電子デバイス202及び受信機電子デバイス204は、チャネルホッピング技術を使用するので、パケット待ち行列208からの各パケットは、チャネルセレクタ210によって選択されたチャネル206を通過する。送信機電子デバイスにあるチャネルセレクタ206は、チャネル切り替えの所定のパターンに従うように動作可能であり、受信機電子デバイス204にある機能的に同等の構成要素(簡略化のために図示せず)と類似している。
【0020】
本開示の技術による送信機電子デバイス202は、送信機電子デバイス202への内部接続、及び送信機電子デバイス202を介したより広い処理及びネットワーク環境に加えて、受信機電子デバイス204、パケット待ち行列208及びチャネルセレクタ210と電子通信するように構成されたスロットコントローラ212を更に備えている。スロットコントローラ212は、パケット待ち行列208、受信機電子デバイス204、チャネルセレクタ210、及び他のソースのうちの少なくとも1つから取得されたデータから導出された統計プロファイルを確立するプロファイラ214を備える。他のソースは、例えば、送信機電子デバイス202を含み得るが、ネットワークの構成要素のいずれか、又はチャネル206上のパケット送信の有効性に影響を及ぼし得る他の付属デバイスを含んでもよい。プロファイラ214は、統計プロファイル(単数又は複数)をプロファイルセレクタ216に供給する。単一のプロファイルのみが作成される場合、プロファイルセレクタ216の機能は固定される。複数のプロファイルが作成される場合、プロファイルセレクタ216にはルールが提供されてもよく、このルールに従って1つ以上のプロファイルを選択することができ、実装形態では、プロファイルの重み付け及び組み合わせのために、スロットコンポーザ218への入力として更なるルールが提供されてもよい。スロットコンポーザ218は、プロファイルセレクタ218によって供給される統計プロファイルに基づいて、チャネルスロットの好適ゾーンを構成し、好適ゾーンにおいて、チャネルスロットの境界内で送信されるパケットに最良の利用可能な機会が与えられる。スロットコンポーザ218によって提供される好適ゾーン情報により、スロットコントローラ212が、チャネルセレクタ210及びパケット待ち行列208への入力を提供して、チャネル206上での現在のパケットの送信を制御することが可能になる。チャネルセレクタ210及びパケット待ち行列208によって保持された情報と共に好適ゾーン情報を更に使用して、チャネル206の現在のチャネルスロットインスタンスが現在のパケットの送信に適していないと判定することがあり、したがって、好適ゾーン情報は、遅延タイマー220を呼び出して、チャネル206の後続のチャネルスロットインスタンス内の好適ゾーンの開始まで送信を遅延させることができる。
【0021】
これにより、最も広範には、本技術は、ネットワーク内のメッセージフロー構成要素の動作特性を統計的に評価し、それを使用して、チャネルスロット内でパケットをいつ送信すべきかを制御するために、ネットワークに関する1つ以上の異なる因子を送信機電子デバイスが使用できることを提供する。これは、パケットの送信を、前記パケットが送信されるネットワーク内のメッセージフローの少なくとも1つの構成要素の統計プロファイルに従って、チャネルスロットインスタンスのチャネルスロット好適ゾーン内に位置決めすることによって達成される。この目的を達成するために、本技術は、メッセージフローの少なくとも1つの構成要素の少なくとも1つの統計プロファイルを判定し、チャネルスロット好適ゾーンを構成するために少なくとも1つの前記統計プロファイルを選択するように動作可能である。上述のように、前記メッセージフローの構成要素は、例えば、送信機電子デバイス、ネットワーク、送信用パケット、繰り返しチャネルスロット、及び受信機電子デバイスを備える。一実装形態では、選択プロセスは、ランク付けスキーマに従って、送信機電子デバイス、ネットワーク、送信用パケット、繰り返しチャネルスロット、及び受信機電子デバイスのうちの少なくとも1つを、統計データのランクに基づいて選択することを含むことができる。プロセスはまた、メッセージフロー構成要素のうちの少なくとも2つについての統計データの複数のインスタンスを組み合わせることができる。一実装形態では、現在のチャネルスロットインスタンスのチャネルスロット好適ゾーンが、インスタンスの満了前にはパケットに適応できないとの判定に応じて、本技術はまた、後続のチャネルスロットインスタンスの好適ゾーンの開始まで、パケットの送信を延期させることを可能にする。
【0022】
上述のように、多数の異なる統計分析を使用してチャネルスロットをモデル化することができ、これらの例について、図面を参照して以下に提示する。
【0023】
図3では、例えば、チャネルスロットインスタンスの3つの状態が、受信機デバイスにおけるタイミングドリフトの様々な状態で示されている。この場合、推定されたクロックタイミングドリフトに基づいて、スロット内の送信時間の最も有効な分布を判定することができる。第1の例示的なチャネルスロットインスタンス302では、受信機デバイスから送信機デバイスが受信したタイミング情報は最近のものであり、受信機のチャネルスロットクロックは最近同期され、したがって、スロットのほぼ全体が有効なパケット送信のために利用可能である。インスタンス304ではタイミング情報が経時劣化するにつれて、チャネルスロットインスタンスの初期段階及び後期段階では有効性の低減を示し、タイミング情報が十分に経時劣化したインスタンス306では、チャネルスロットインスタンスの中央部分のみが有効である結果となる。304及び306では、好適ゾーンに基づくパケット分布は、スロットの縁部での送信量を減少させ、クロックドリフトを補償するためにスロットの中央に向かって送信を集中させることによって、潜在的なコリジョンを緩和し得る。したがって、広くは、送信機デバイスが受信機デバイスのタイミングに関する最近の情報を有する場合、チャネルスロットの開始及び終了の近くでパケットを送信することができるが、タイミング情報が古くなると、クロックドリフトの推定値が必然的に増大し、したがって、好ましい送信時間は、チャネルスロットの中央の近くに移動する。送信機デバイスが新しいタイミング情報を受信機デバイスから受信すると、好適ゾーンは、再び、チャネルスロットの開始及び終了に近づくように拡張することが可能になる。
【0024】
図4には、異なるサイズを平均化しているパケットの送信中のチャネルスロットの3つの例示的な状態が示されている。402では、チャネルスロットのサイズを基準にして通常のパケットサイズであるときに実行する際のチャネルスロットインスタンスを見ることができる。404には、通常よりも大きい以前のパケットのわずかなオーバーフローの影響が示され、406には、以前の大きいパケットの有意なオーバーフローの影響が示されている。パケットサイズが大きい場合、受信機デバイスが、受信機でのチャネルスイッチを防止した以前のチャネルからパケットを依然として受信している可能性がより高く、したがって、新しいパケットを受信する能力に影響を与える。404及び406では、例えば各スロットインスタンスのより早期に送信を開始することによって、大きいパケットオーバーフローの影響を緩和するために、本技術による現在の平均パケットサイズに基づく好適ゾーンを使用して、チャネルスロット内の送信時間を分散させてもよい。一実装形態では、現在のチャネルスロットの好適ゾーンが既に部分的に使用されており、したがって、更なる大きいパケットに適応することができない場合、前述のように、後続のチャネルスロットの開始まで送信を遅延させることができる。
【0025】
図5では、例えば、チャネルスロットインスタンスの3つの状態が、平均ネットワーク負荷の様々な状態で示されている。502に示されるように、ネットワーク負荷が低い場合、パケット転送の遅延を低減するために、スロットの開始時にパケットを送信することが好ましい。したがって、好適ゾーンは、送信機デバイスに、チャネルスロットインスタンスのより早期の部分を優先的に使用させるように調整することができる。ネットワーク負荷が増大すると、504に示されるように、好適ゾーンは、チャネルスロットインスタンスのより後期にもパケットを送信するように拡張することができ、ネットワーク負荷が大きい場合には、506に示されるように、送信されるパケットの数に適応するために、チャネルスロットの全長が必要とされ得る。したがって、スロット内の送信時間を分散させるための好適ゾーンは、現在のネットワーク負荷によって著しく影響を受けることがある。
【0026】
図6には、チャネルスロット内の好適ゾーンを判定する際に、マルチキャストスロット内の現在のパケットのサイズを考慮することができる様式を示す。例えば、602では、現在のパケットは大きい。したがって、チャネルスイッチ内の任意の遅延を防止するために、チャネルスロットインスタンスの早期にそのパケットを送信することが好ましい。604では、より小さいパケットが送信される。したがって、オーバーランが発生して、チャネルスイッチの遅延を引き起こす可能性が低いので、チャネルスロットのより後の部分が使用され得る。しかしながら、604では、大きなネットワーク負荷は、可能な限り多くのチャネルスロットを含むように好適ゾーンを拡張しなければならないことを意味し、この必要性は、パケットサイズの因子にオーバーライドする。
【0027】
ブロードキャストチャネル上でパケットを送信するための一実装形態では、例えば、全ての統計値を一緒に乗算し、チャネルスロット内のパケットの好適な送信時間を求めるための重み付けを計算することによって、全ての統計値を組み合わせることができる。一実装形態では、好適な送信時間を判定するためのコンピュータコードは、統計データの複数のインスタンスのそれぞれに重み付けるするためのルールエンジンコードを更に備え得る。ユニキャスト宛先に送信する場合、同様のアルゴリズムは、チャネルスロットインスタンス内の現在の位置を考慮して、現在のパケットを送信する際の最適遅延を判定するために使用され得る範囲を提供することができる。
【0028】
当業者には理解されるように、本技術は、システム、方法、又はコンピュータプログラム製品として具現化され得る。したがって、本技術は、完全なハードウェア実施形態、完全なソフトウェア実施形態、又はソフトウェアとハードウェアとを組み合わせる実施形態の形態をとることができる。用語「構成要素(component)」が使用される場合、上記実施形態のうちのいずれかの任意の部分を指すことが当業者には理解されるであろう。
【0029】
更に、本技術は、コンピュータ可読プログラムコードがその上に具現化されている非一時的コンピュータ可読媒体内で有形的に具現化されるコンピュータプログラム製品の形態をとることができる。コンピュータ可読媒体は、例えば、電子、磁気、光学、電磁、赤外線又は半導体のシステム、装置又はデバイス、又は前述の任意の好適な組み合わせであり得るが、これらに限定されない。
【0030】
本技術の動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、オブジェクト指向プログラミング言語及び従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書き込まれてもよい。
【0031】
例えば、本技術の動作を実行するためのプログラムコードは、ソース、C又はアセンブリコードなどの従来の(インタープリタ型又はコンパイル型の)プログラミング言語におけるオブジェクト又は実行可能コード、ASIC(特定用途向け集積回路)又はFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)を設定又は制御するためのコード、又はVerilog(商標)又はVHDL(超高速集積回路ハードウェア記述言語)などのハードウェア記述言語のためのコードを含み得る。
【0032】
プログラムコードは、ユーザのコンピュータ上で全体的に実行しても、ユーザのコンピュータ上で部分的にかつリモートコンピュータ上で部分的に実行しても、あるいはリモートコンピュータ又はサーバ上で全体的に実行してもよい。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続され得る。コード構成要素は、手順、方法などとして具現化されてもよく、ネイティブな命令セットの直接機械命令から高レベルのコンパイル型又は解釈型言語構築まで、抽象化のレベルのいずれかにおいて命令又は命令のシーケンスの形態をとり得る下位構成要素を含み得る。
【0033】
また、本技術の実施形態による論理方法の全て又は一部は、方法のステップを実行するための論理要素を備える論理装置内で具現化されることが好ましいことがあり、このような論理要素は、例えば、プログラム可能な論理アレイ又は特定用途向け集積回路内の論理ゲートなどの構成要素を含み得ることが当業者には明らかであろう。このような論理構成は、例えば、固定キャリア媒体を使用して記憶され得る仮想ハードウェア記述子言語を使用して、このようなアレイ又は回路内に論理構造を一時的又は永久的に確立するための要素を可能にする更に具現化され得る。
【0034】
1つの代替例では、本技術の実施形態は、コンピュータインフラストラクチャ又はネットワーク内に配備され、その上で実行されると、前記コンピュータシステム又はネットワークに、方法の全てのステップを実行させるように動作可能なコンピュータプログラムコードを配備するステップを含む、サービスを配備するコンピュータ実装方法の形態で実現されてもよい。
【0035】
更なる代替例では、本技術の実施形態は、機能データをその上に有するデータキャリアの形態で実現されてもよく、前記機能データは、コンピュータシステム又はネットワークにロードされ、それによって動作されると、前記コンピュータシステムが方法の全てのステップを実行することを可能にする、機能コンピュータデータ構造を備える。
【0036】
本技術の範囲から逸脱することなく、前述の例示的な実施形態に対して多くの改良及び修正を行い得ることが、当業者には明らかになるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】