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特表2022-508121保護ベローズと保護ベローズを備えるトランスミッションジョイント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】保護ベローズと保護ベローズを備えるトランスミッションジョイント
(51)【国際特許分類】
   F16D 3/84 20060101AFI20220112BHJP
【FI】
F16D3/84 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021526421
(86)(22)【出願日】2019-12-02
(85)【翻訳文提出日】2021-06-18
(86)【国際出願番号】 FR2019052888
(87)【国際公開番号】W WO2020115414
(87)【国際公開日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】1872230
(32)【優先日】2018-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521204600
【氏名又は名称】トレルボルグ カルクフー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブールビゴット,リオネル
(57)【要約】
端部の各々で開口する管形本体(2)の形の保護ベローズ(1)が開示される。本体(2)は断面が区別された二つのゾーン(3,4)を有し、ゾーン(3,4)のうち断面の小さい一方のゾーン(3)は本体(2)の小型ベース(3)と呼ばれ、断面の大きい他方のゾーン(4)は本体の大型ベース(4)と呼ばれ、本体(2)の変形可能な外方径方向壁部と称される壁部によりゾーン(3,4)が互いから分離される。壁部(6)は、本体(2)の長手軸線に対して横向きに延在する。本体(2)の外方径方向壁部(6)は、本体(2)の大型ベース(4)に接続されるゾーン(12)に、外方径方向開口部(8)を備える外方周溝部(7)を備える。溝部(7)は、本体(2)の小型ベース(3)の方を向く変形可能な外方径方向壁部(6)の面(61)から突出する溝部(7)の側面(9,10)の一方と底面(11)とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にトランスミッションジョイント(20)の雄型要素(21)および雌型要素(22)の少なくとも部分的な保護のための保護ブーツ(1)であって、
端部の各々で開口している管形の本体(2)を備え、
前記本体(2)は、断面の異なる二つのゾーン(3,4)を有し、
前記ゾーン(3,4)のうち断面の小さい一方のゾーン(3)は前記本体(2)の小型ベース(3)と呼ばれ、断面の大きい他方のゾーン(4)は前記本体の大型ベース(4)と呼ばれ、前記本体(2)の変形可能な外側径方向壁部(6)により前記ゾーン(3,4)が互いに分離され、
前記変形可能な外側径方向壁部(6)は、前記本体(2)の長手軸線に対して横向きに延在し、
前記本体(2)の前記変形可能な外側径方向壁部(6)と前記小型ベース(3)と前記大型ベース(4)とが一部品として製作されることと、前記本体(2)の前記小型ベース(3)の方を向く面(61)を有する前記本体(2)の前記変形可能な外側径方向壁部(6)が、前記本体(2)の前記大型ベース(4)への接続のためのゾーン(12)に、外側径方向開口部(8)を備える外側周溝部(7)を備えることと、前記溝部(7)が少なくとも二つの側面(9,10)と底面(11)とを包含することと、前記溝部(7)の前記側面(9,10)のうち、前記本体(2)の前記長手軸線に垂直であって前記溝部(7)の前記底面(11)を通る平面の片側に一方が延在するとともに、前記平面の他の側に他方が延在することと、前記溝部(7)の前記側面(9,10)の一方と前記底面(11)とが、補強リブを形成するように前記本体(2)の前記小型ベース(3)を向いた前記変形可能な外側径方向壁部(6)の前記面(61)から突出することとを特徴とする、保護ブーツ(1)。
【請求項2】
前記変形可能な外側径方向壁部(6)が、一以上のプリーツ(15,16,17)を包含するプリーツ状壁部であり、前記一以上のプリーツ(15,16,17)が、前記本体(2)の前記長手軸線に垂直であって前記溝部(7)の前記底面(11)を通る前記平面の同じ側に延在し、前記平面の前記同じ側が、前記本体(2)の前記大型ベース(4)の方を向く前記平面の側に対応することを特徴とする、請求項1に記載の保護ブーツ(1)。
【請求項3】
前記変形可能な外側径方向壁部(6)が、前記外側径方向壁部(6)の外側周縁部(13)を形成する前記本体(2)の前記大型ベース(4)への接続のための前記ゾーン(12)から反対の周縁部(14)の方向に、少なくとも三つの連続プリーツ(15,16,17)を包含することを特徴とする、請求項1または2に記載の保護ブーツ(1)。
【請求項4】
前記少なくとも三つの連続プリーツ(15,16,17)が、前記小型ベース(3)の方を向く凹部を備える凹状プリーツ(15)と、前記小型ベース(3)の方を向く凸部を備える凸状プリーツ(16)と、前記小型ベース(3)の方を向く凹部を備える凹状プリーツ(17)とを包含することを特徴とする、請求項3に記載の保護ブーツ(1)。
【請求項5】
前記小型ベース(3)が、移行ゾーン(32)と呼ばれる前記本体(2)の管形部分により前記変形可能な外側径方向壁部(6)から分離される能動的締結部(31)を有し、前記変形可能な外側径方向壁部(6)と前記小型ベース(3)の前記能動的締結部(31)との間の前記移行ゾーンが、前記移行ゾーンを画定する前記本体(2)の前記管形部分の高さにおいて、前記変形可能な外側径方向壁部(6)の厚さより大きい前記本体(2)の厚さを有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の保護ブーツ(1)。
【請求項6】
前記外側径方向壁部(6)と前記小型ベース(3)の前記能動的締結部(31)との間の前記移行ゾーン(32)が、前記外側径方向壁部(6)から前記小型ベース(3)の自由端部の方向に増加する前記本体(2)の厚さを有することを特徴とする、請求項5に記載の保護ブーツ(1)。
【請求項7】
前記本体(2)の前記大型ベース(4)に前記変形可能な外側径方向壁部(6)を接続するための前記ゾーン(12)により形成される前記外側径方向壁部(6)の前記外側周縁部(13)から前記本体(2)の前記小型ベース(3)の前記自由端部の方向に増加する厚さを前記本体(2)が有することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の保護ブーツ(1)。
【請求項8】
前記本体(2)の前記小型ベース(3)の方を向く前記変形可能な外側径方向壁部(6)の前記面(61)から突出する前記溝部(7)の前記側面(10)が、前記本体(2)の前記大型ベース(4)を画定するように機能する前記本体の部分から後退した自由縁部(100)を有することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の保護ブーツ(1)。
【請求項9】
前記溝部(7)が断面で見た時にCまたはU形状を有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の保護ブーツ(1)。
【請求項10】
雄型要素(21)と、雌型要素(22)と、前記雄型要素(21)と前記雌型要素(22)との少なくとも部分的な保護のためのブーツ(1)とを包含し、前記保護ブーツ(1)が請求項1から9のいずれか一項に記載のものであることを特徴とする、車両トランスミッションのためのトランスミッションジョイント(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスミッションジョイントの雄型要素および雌型要素の少なくとも部分的な保護に特に適した保護ブーツと、このようなブーツを装備するトランスミッションジョイントとに関する。
【背景技術】
【0002】
より詳しくは、端部の各々で開口している管形本体の形の保護ブーツに関しており、本体は断面の異なる二つのゾーンを有し、断面の小さいゾーンの一方は本体の小型締結ベースと呼ばれて断面の大きい他方のゾーンは本体の大型締結ベースと呼ばれ、本体の変形可能な外側径方向壁部と呼ばれる壁部によりゾーンが互いに分離され、変形可能な外側径方向壁部と呼ばれるこの壁部は、本体の長手軸線に対して横向きに延在する。
【0003】
このような保護ブーツは、先行技術を示す図1に図示されているように周知である。具体的に記すと、車両駆動シャフトと車両のホイールとの間で回転駆動力を伝達するためのパワートランスミッション要素としての、等速ジョイントと呼ばれるジョイントの使用は、従来のものである。
【0004】
自動車では、例えば車両のギヤボックスと各ホイールとの間に、潤滑を必要とする機械的トランスミッション部材により互いに接続される2本のシャフトから成るトランスミッションが設けられる。概して、ギヤボックスから延びるシャフトは、この第1シャフトを第2トランスミッションシャフトに接続するトランスミッション部材の雌型部材を構成するチューリップを装備する。この雌型要素は空洞を有する。そのため、空洞は、ローラを受容することが想定される凹部を画定する。各ローラは、ローラトラニオンを有する雄型要素により支承される。この雄型要素自体は第2トランスミッションシャフトに結合される。このような上述のタイプの等速ジョイントの保護ブーツは、取り付け状態でチューリップつまりジョイントのカップの外側表面に押圧される大型ベースを一端部に有するブーツを包含しうる。そのため、この大型ベースは、チューリップの外側形状に相補的な形状を有する内側表面を有する。ブーツがチューリップに取り付けられた状態で、この大型ベースの表面をチューリップの周囲に押圧するために、ブーツの長手軸線と同心の円形表面の形のリングまたはカラーがブーツの大型ベースを囲繞する。ブーツの小型ベースの方は、ジョイントの雄型要素に接合されたトランスミッションシャフトに締結される。
【0005】
このようなブーツの欠点は、ジョイントの雄型要素および雌型要素のシャフトが互いの間に角度を成す時には特に、変形の際のその挙動にある。この場合、本体の変形可能な外側径方向表面は、「水疱化」する、つまり水疱のように膨張により変形する傾向を有する。この結果、ブーツの早期摩耗のリスクが生じる。
【0006】
特許文献1に図示されているように、ブーツの本体の大型ベースと小型ベースとの間の接続壁部が軸方向溝部を備えるプリーツ状壁部である幾つかの部材から構成されるブーツが、さらに知られている。これは、特許文献2または特許文献3にも当てはまる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0287546号明細書
【特許文献2】独国特許発明第102017104442号明細書
【特許文献3】独国実用新案第9405633号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、先行技術で観察される水疱化現象を抑制もしくは解消することを可能にする構成を有するブーツを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のため、本発明の一つの主題は、特に、トランスミッションジョイントの雄型要素および雌型要素の少なくとも部分的な保護のための保護ブーツであり、前記ブーツは端部の各々で開口している管形の本体を備え、前記本体は断面の異なる二つのゾーンを有し、前記二つのゾーンのうち断面の小さい一方のゾーンは前記本体の小型ベースと呼ばれ、断面の大きい他方のゾーンは前記本体の大型ベースと呼ばれ、前記二つのゾーンは、前記本体の変形可能な外側径方向壁部により互いに分離され、変形可能な外側径方向壁部が本体の長手軸線に対して横向きに延在し、前記本体の前記変形可能な外側径方向壁部と前記小型ベースと前記大型ベースとが一部品(単体)として製作されることと、前記本体の前記小型ベースの方を向く面を有する前記本体の前記変形可能な外側径方向壁部が、前記本体の前記大型ベースへの接続のためのゾーンにおいて、外側径方向開口部を備える外側周溝部を備えることと、溝部が少なくとも二つの側面と底面とを包含することと、前記溝部の前記側面の一方が、前記本体の前記長手軸線に対して垂直であって前記溝部の前記底面を通る平面の一方の側に延在するとともに、前記側面の他方が前記平面の他の側に延在することと、前記溝部の前記側面の一方と前記底面とが、補強リブを形成するように前記本体の前記小型ベースの方を向く前記変形可能な外側径方向壁部の前記面から突出することとを特徴とする。
【0010】
本体の小型ベースの方を向く変形可能な外側径方向壁部の面の側での円形の補強リブを形成させるための外側径方向開口部、つまり、径方向外向きの開口部を備える外側周溝部の存在は、この変形可能な外側径方向壁部の「水疱化」のリスクを制限することを可能にする。溝部の側面は径方向側面である。そのため、溝部の開口部を形成する側面の間に残る自由空間により径方向開口部が設けられる。
【0011】
一実施形態によれば、前記変形可能な外側径方向壁部は、一以上のプリーツを包含するプリーツ状壁部であり、前記一以上のプリーツは、前記本体の前記長手軸線に対して垂直であって前記溝部の前記底面を通る前記平面の同じ側に延在し、前記平面のこの同じ側は、前記本体の前記大型ベースの方を向く前記平面の側に対応する。
【0012】
一実施形態によれば、前記変形可能な外側径方向壁部は、前記壁部の外側周縁部を形成する前記本体の前記大型ベースへの接続のための前記ゾーンから反対の周縁部の方向に、少なくとも三つの連続プリーツを包含する。これらの軸方向プリーツの存在は、トランスミッションジョイントの雄型要素および雌型要素のシャフトが角度を成す時にブーツの延出範囲を増加させることを可能にする。
【0013】
一実施形態によれば、前記少なくとも三つの連続プリーツは、前記小型ベースの方を向く凹部を備える凹状プリーツと、前記小型ベースの方を向く凸部を備える凸状プリーツと、前記小型ベースの方を向く凹部を備える凹状プリーツとを包含する。
【0014】
一実施形態によれば、前記小型ベースは、移行ゾーンと呼ばれる前記本体の管形部分により前記変形可能な外側径方向壁部から分離される能動的締結部を有し、前記変形可能な外側径方向壁部と前記小型ベースの前記能動的締結部との間のこの移行ゾーンは、これを画定する前記本体の前記管形部分の高さにおいて、前記変形可能な外側径方向壁部の厚さより大きい前記本体の厚さを有する。
【0015】
一実施形態によれば、前記外側径方向壁部と前記小型ベースの前記能動的締結部との間のこの移行ゾーンは、前記外側径方向壁部から前記小型ベースの自由端部の方向に増加する前記本体の厚さを有する。
【0016】
一実施形態によれば、前記本体の前記大型ベースに前記変形可能な外側径方向壁部を接続するための前記ゾーンにより形成される前記壁部の前記外側周縁部から前記本体の前記小型ベースの前記自由端部の方向に増加する厚さを前記本体が有する。
【0017】
一実施形態によれば、前記本体の前記小型ベースの方を向く前記変形可能な外側径方向壁部の前記面から突出する前記溝部の前記側面は、前記本体の前記大型ベースを画定するように機能する前記本体の部分から後退した自由縁部を有する。この仕組みは、ブーツが取り付けられる前の保管段階中にブーツを積み重ねることを容易にする。
【0018】
一実施形態によれば、前記溝部は、断面で見た時にCまたはU形状を有する。
【0019】
本発明のさらなる主題は、雄型要素および雌型要素を包含する車両トランスミッションのためのトランスミッションジョイントと、雄型要素および雌型要素の少なくとも部分的な保護のためのブーツであって、保護ブーツが上記の記載によるものであることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
添付図面を参照して例示的実施形態の以下の説明を読むと、本発明が明白に理解されるだろう。
図1】先行技術のトランスミッションジョイントの断面図を示す。
図2】本発明によるトランスミッションジョイントの断面図を示す。
図3】本発明によるブーツの断面図を示す。
図4】本発明によるブーツの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
上述のように、本発明は、等速トランスミッションジョイント20の雄型要素21および雌型要素22の保護に特に適した保護ブーツ1に、そしてこのようなジョイントにも関する。このジョイント20は、例えば、ギヤボックスから延びるシャフトと車両トランスミッションのホイールシャフトとの間で回転運動を伝達させる。上述のように、雄型要素21は、それ自体が周知のように径方向ローラ支承アームを備えるトランスミッションシャフトにより形成されうる。ジョイント20は、ギヤボックスから延びるシャフトが装備する雌型要素22も包含する。チューリップとも呼ばれるこの雌型要素22は、雄型要素21のローラを少なくとも部分的に収容することが可能なハウジングの形を取り、このローラは、ハウジングの開口端部を介してハウジングへ挿入されうる。図示の例において、このハウジングは、円筒体に内接する底面および側壁部を有する。このハウジングは、ステムと呼ばれる外側延長部を底面に備える。このステムは、ジョイントが接続されるシャフトの延長部を形成する。保護ブーツ1は、このようなジョイントの雄型要素21および雌型要素22を少なくとも部分的に保護しうる。このブーツ1は、端部の各々で開口しており、それゆえ長手軸線を有する管形本体2の形である。この管形本体2は好ましくは合成材料から、特にコポリエステルエーテルタイプの熱可塑性エラストマその他から製作される。概して、このようなブーツは成形コンポーネントである。このブーツ1は好ましくは射出成形により製造される。
【0022】
ブーツ1の本体2は、図3に図示されているように、符号3および符号4で示されている断面の異なる二つのゾーンを有し、ゾーンの一方4は他方のゾーン3の断面より大きい断面を持つ。断面の異なるこれらのゾーン3,4は、本体2に沿って軸方向にオフセットしている。符号3で示されている断面の小さいゾーンは、本体2の小型ベースと呼ばれる。この断面の小さいゾーン3は、例えば本体2の断面の大きいゾーン4を介して雄型要素21がブーツ1へ導入されると保護ブーツ1をジョイント20の雄型要素21に締結させる。この目的のため、断面の小さいゾーン3を構成する管形本体2の部分をジョイント20の雄型要素21に押圧するように、本体2の自由端部の近傍でクランプリングがこの断面の小さいゾーン3を囲繞できる。クランプリングが押圧される断面の小さいゾーンのこの部分は、小型ベース3の能動的締結部31と呼ばれる。本体2の大型ベース4と呼ばれる断面の大きいゾーン4は、ジョイント20の雌型要素22に保護ブーツ1を締結させる。この目的のため、本体2の大型ベース4は、クランプリングが内側に収納される凹部を画定する円形の外側径方向突出部18を外側に備える。
【0023】
断面の異なるこれらのゾーン3,4は、本体の変形可能な壁部6により互いから分離されている。この壁部6は本体の長手軸線に対して横向きに延在して、本体の外側径方向壁部6と呼ばれる。そのため、管形本体2は段状の本体を形成し、その段状部分は変形可能な外側径方向壁部6により形成される。
【0024】
外側径方向壁部6は、本体2の小型ベース3および大型ベース4を互いに接続するための壁部である。本体2の変形可能な外側径方向壁部6と小型ベース3と大型ベース4とは、一部品(単体)として製作される。
【0025】
外側径方向壁部6は、本体の大型ベース4に壁部6を接続するためにゾーン12により形成される外側周縁部13と、本体2の小型ベース3に壁部6を接続するためにゾーン12により形成されて内側縁部と呼ばれる反対の周縁部14とを包含する。この外側径方向壁部6は、本体2の小型ベース3の方を向く面61と、大型ベース4の方を向く反対の面62とを包含する。
【0026】
水疱化のリスクを制限するため、ブーツ1は、本体2の小型ベースの方を向く変形可能な外側径方向壁部6の面の側に円形補強リブを形成させるための外側径方向開口部8、つまり径方向外向きの開口部を備える外側周溝部7を備える。この円形の外側周溝部7は、変形可能な外側径方向壁部6を本体2の大型ベース4に接続するためにゾーン12の高さに配設される。この溝部7は断面で見た時にCまたはU形状を有する。溝部7は少なくとも二つの側面9,10と底面11とを包含する。側面の一方、すなわち溝部7の側面10は、本体2の小型ベース3の方を向く変形可能な外側径方向壁部6の面61から突出する。本体2の小型ベース3の方を向く変形可能な外側径方向壁部6の面61から突出するこの側面10と、溝部7の底面11とは、この箇所でのブーツ1の変形を抑制するための補強リブを形成する。本体2の小型ベース3の方を向く変形可能な外側径方向壁部6の面61から突出する溝部7の側面10は、本体2の大型ベース4を画定するように機能する本体2の部分から後退した自由縁部100を有する。そのため、このようなブーツは、使用前に類似のブーツ1と積み重ねられた状態で保管されうる。
【0027】
溝部7の側面9,10は、本体2の長手軸線に垂直であって溝部7の底面11を通る平面Pの片側に一方が、平面Pの他の側に他方が延在する。この平面Pは溝部7の底面11と交差する。言い換えると、溝部7の側面9,10は平面Pのいずれかの側に延在する。そのため、溝部7の開口部8は外側径方向開口部であり、溝部により形成されるCまたは横向きUの開口部はブーツの外側の方を向いている。
【0028】
図示の例において、変形可能な外側径方向壁部6はプリーツ状壁部である。このプリーツ状壁部は一以上のプリーツを包含しうる。好ましくは、一以上のプリーツは、本体2の長手軸線に垂直であって溝部7の底面11を通る平面Pの同じ側に延在する。平面のこの(同じ)側は、本体2の大型ベース4の方を向く平面の側に対応する。ゆえに、本体2の小型ベース3の方を向く外側径方向壁部6の面から突出する側面10は平面Pの片側に延在するのに対して、壁部6と一体的に製造される溝部の他の側面9と変形可能な外側径方向壁部6のプリーツとは平面Pの他の側に延在する。
【0029】
このプリーツ状壁部6は、壁部6の外側周縁部13から壁部の反対の周縁部14の方向に、図では符号15,16,17により示されている少なくとも三つの連続プリーツを包含し、これらのプリーツは軸方向プリーツと呼ばれる。この少なくとも三つの連続プリーツ15,16,17は、小型ベース3の方を向く凹部を備える凹状プリーツ15と、小型ベース3の方を向く凸部を備える凸状プリーツ16と、小型ベース3の方を向く凹部を備える凹状プリーツ17とを包含する。この連続プリーツは、トランスミッションジョイント20の雄型要素および雌型要素のシャフトが角度を成す時に、ブーツが著しい延出範囲を有することを可能にする。
【0030】
ブーツの水疱化を生じずに延出の目的を達成しようとするため、保護ブーツ1は管形本体2を画定する壁に可変の厚さを有する。そのため、図示の例において、小型ベース3は、移行ゾーン32と呼ばれる本体2の管形部分により、プリーツ状外側径方向壁部6から分離されて能動的締結部と呼ばれる部分31を有する。プリーツ状外側径方向壁部6と小型ベース3の能動的締結部31との間のこの移行ゾーン32は、これを画定する本体2の管形部分の高さにおいて、プリーツ状外側径方向壁部6の厚さより大きい本体2の厚さを有する。特に、外側径方向壁部6と小型ベース3の能動的締結部31との間のこの移行ゾーン32は、外側径方向壁部6から小型ベース3の自由端部の方向に増加する本体2の厚さを有する。同様に、プリーツ状の変形可能な外側径方向壁部6は、外側周縁部13から反対の周縁部14の方向に増加する厚さを有する。そのため、本体2の大型ベース4に壁部6を接続するためにゾーン12により形成されるプリーツ状の変形可能な外側径方向壁部6の外側周縁部13から本体2の小型ベース3の自由端部の方向に増加する厚さを本体2が有する。図示の例では、本体の長手軸線が垂直に延在して小型ベースが本体の大型ベースの上に配設される配置状態にブーツがある時に、外側周縁部から壁部の内側周縁部の方向での下向き傾斜が、変形可能な外側径方向壁部6に見られることにも留意されたい。
【0031】
上記のジョイントは、先行技術のジョイントと同様にして組み立てられる。そのため、ジョイントの組立中に、ブーツの小型ベースから突出するまでローラ支承アームを備えるシャフトをブーツの大型ベースの側に導入することにより、雄型要素21がブーツに挿入される。その後、雌型要素22がブーツ1の大型ベースの側に部分的挿入により装着され、ブーツの大型ベースにより雌型要素22のハウジングの開放端部が部分的に被覆される。その後、雄型要素21と雌型要素22の両方にブーツ1を締結するようにクランプリングがブーツに配置される。
【符号の説明】
【0032】
1 保護ベローズ、保護ブーツ
2 管形本体
3 小型ベース
4 大型ベース
6 外側径方向壁部
7 外側周溝部
8 外側径方向開口部
9,10 周溝部の側面
11 周溝部の底面
12 ゾーン
13 外側周縁部
14 周縁部
15 凹状プリーツ
16 凸状プリーツ
17 凹状プリーツ
18 外側径方向突出部
20 等速トランスミッションジョイント
21 雄型要素
22 雌型要素
31 能動的締結部分
32 移行ゾーン
61,62 面
100 自由縁部
P 平面
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】