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<図1>
  • 特表-接触ユニット及び充電システム 図1
  • 特表-接触ユニット及び充電システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】接触ユニット及び充電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220112BHJP
   B60L 53/16 20190101ALI20220112BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
B60L53/16
B60L5/00 A
H02J7/00 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021526434
(86)(22)【出願日】2019-11-05
(85)【翻訳文提出日】2021-07-09
(86)【国際出願番号】 EP2019080278
(87)【国際公開番号】W WO2020104188
(87)【国際公開日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】102018129430.1
(32)【優先日】2018-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521205102
【氏名又は名称】シュンク トランジット ジステムズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイスハー ビヨルン
(72)【発明者】
【氏名】ヘンスタマン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー ローター
【テーマコード(参考)】
5G503
5H105
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA03
5G503FA06
5H105AA20
5H105BA09
5H105BB05
5H105CC07
5H105DD12
5H105EE02
5H105EE13
5H105EE15
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC22
5H125FF12
(57)【要約】
本発明は電気駆動車両、特に乗用車、トラック、バス等のための充電システム(10)用の接触ユニット(16)、及び充電システムに関する。充電システムは、充電接触装置と、接触ユニットキャリアを有する接触装置とを備え、接触ユニットキャリアは接触ユニットを有する。接触対を形成するために、充電接触装置の充電接点は接触ユニットを用いて接触可能である。接触ユニットは金属製の接触子(19)を有し、接触ユニットは車両又は充電ステーションへの接続のための接続線(20)を有する。接触子は接触隆起(21)を有し、接触隆起は充電接点に接触するための接触面(22)を形成する。接触子は、接触面の領域において炭素製の接触片(23)で少なくとも部分的に作られる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気駆動車両、特に乗用車、トラック、バス等のための充電システム(10)用の接触ユニット(16)であって、前記充電システムは、充電接触装置(12)と、接触ユニットキャリア(15)を有する接触装置(13)とを備え、前記接触ユニットキャリアは接触ユニットを有し、前記接触ユニットは接触対を形成するために前記充電接触装置の充電接点に電気的に接続可能であり、前記接触ユニットは金属製の接触子(19,28,32,36)を有し、前記接触ユニットは前記車両又は前記充電ステーションへの接続のための接続線(20)を有し、前記接触子は接触隆起(21)を有し、前記接触隆起は前記充電接点と電気的な接触を形成するための接触面(22,31,35,39)を形成し、
前記接触子は、前記接触面の領域において炭素接触片(23,29,33,37)によって少なくとも部分的に形成される
ことを特徴とする接触ユニット。
【請求項2】
前記接触子(19,28,32,36)は、ボルト状の形状であるように実現され、及び/又は、前記接触面(22,31,35,39)は、部分的に湾曲しているように、好ましくはドーム状の形状であるように実現される
ことを特徴とする請求項1に記載の接触ユニット。
【請求項3】
前記接触片(23,29,33,37)は、前記接触面(22,31,35,39)と同じ高さになるように実現される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の接触ユニット。
【請求項4】
前記接触片(23,29,33,37)は、グラファイト製又はハードコール製である
ことを特徴とする請求項1-3のいずれか1項に記載の接触ユニット。
【請求項5】
前記接触片(23,29,33,37)は前記接触子(19,28,32,36)の長手方向の軸(26)に関して同軸に配置され、前記接触片は充電接点に最も近い前記接触面(22,31,35,39)の点(27)を形成する
ことを特徴とする請求項1-4のいずれか1項に記載の接触ユニット。
【請求項6】
前記接触面(22,31,35,39)の第1部分面は前記接触片(23,29,33,37)によって形成され、前記接触面の第2部分面は前記接触隆起(21)によって形成され、前記第1部分面は円形、矩形、正方形、星形又は十字形である
ことを特徴とする請求項1-5のいずれか1項に記載の接触ユニット。
【請求項7】
前記接触片(23,29,33,37)は前記接触隆起(21)内に形成されたくぼみ(24)に挿入される
ことを特徴とする請求項1-6のいずれか1項に記載の接触ユニット。
【請求項8】
前記接触片(23,29,33,37)は導電性の接着材料又ははんだによって前記くぼみ(24)内に取り付けられる
ことを特徴とする請求項7に記載の接触ユニット。
【請求項9】
前記接触片(23,29,33,37)は焼結によって前記くぼみ(24)内に形成される
ことを特徴とする請求項7に記載の接触ユニット。
【請求項10】
前記接触ユニット(16)のばねは、前記接触子が充電接点の方向に押されるように、前記接触子(19,28,32,36)にばね力を作用させる
ことを特徴とする請求項1-9のいずれか1項に記載の接触ユニット。
【請求項11】
前記接触装置は少なくとも2つの更なる接触ユニット(17)を有し、前記充電接点と電気的接触を形成するための対応する前記接触面は全部が金属製である
ことを特徴とする請求項1-10のいずれか1項に記載の接触ユニット。
【請求項12】
前記接触ユニット(16)は、信号が前記接触子(19,28,32,36)を経由して送信可能であるように実現され、60Vから1500V、好ましくは750Vで、100Aから1000Aの、好ましくは500Aから1000Aの電流が、前記更なる接触ユニットを経由して伝送可能である
ことを特徴とする請求項11に記載の接触ユニット。
【請求項13】
前記接続線(20)は、前記接触子(19,28,32,36)に直接又は間接的に取り付けられる
ことを特徴とする請求項1-12のいずれか1項に記載の接触ユニット。
【請求項14】
少なくとも2つの接触子(19,28,32,36)が接触ユニットキャリア(15)の表面に対して異なる高さに突出し、前記表面は前記充電接触装置に面する
ことを特徴とする請求項1-13のいずれか1項に記載の接触ユニット。
【請求項15】
前記充電接点は金属及び/又はグラファイトの回路基板によって形成される
ことを特徴とする請求項1-14のいずれか1項に記載の接触ユニット。
【請求項16】
充電接触装置(12)と、請求項1-15のいずれか1項に記載の接触ユニット(16)を有する接触装置(13)とを有する充電システム(10)であって、前記接触装置又は前記充電接触装置は位置決め装置を備える
充電システム。
【請求項17】
前記充電システム(10)は、前記接触ユニットキャリア(15)を有する前記接触装置(13)と、前記充電接触装置(12)とを備え、前記接触装置(13)は車両の車両屋根に配置され、前記位置決め装置はパンタグラフ又はロッカーを有し、前記パンタグラフ又は前記ロッカーによって、前記接触ユニットキャリアが、前記車両と静止充電ステーションとの間で導電接続が形成可能であるように、前記充電接触ユニットに対して少なくとも垂直方向に位置決め可能である
ことを特徴とする請求項16に記載の充電システム。
【請求項18】
前記充電システム(10)は前記充電接触装置(12)を備え、前記充電接触装置は車両の車両床に配置され、前記接触装置(13)は前記接触ユニットキャリア(15)を有し、前記接触ユニット(16)は、前記車両と静止充電ステーションとの間で導電接続が形成可能であるように、前記位置決め装置によって前記充電接点に対して位置決め可能である
ことを特徴とする請求項16に記載の充電システム。
【請求項19】
前記充電システム(10)は、前記接触ユニットキャリア(15)を有する前記接触装置(13)と、前記充電接触装置(12)とを備え、前記充電接触装置は車両の車両屋根に配置され、前記位置決め装置は、パンタグラフ又はロッカーを有し、前記パンタグラフ又は前記ロッカーによって前記充電接触装置が、前記車両と静止充電ステーションとの間で導電接続が形成可能であるように、前記接触ユニットキャリアに対して少なくとも垂直方向に位置決め可能である
ことを特徴とする請求項16に記載の充電システム。
【請求項20】
前記充電システム(10)は、前記接触ユニットキャリア(15)を有する前記接触装置(13)と、前記充電接触装置(12)とを備え、前記充電接触装置は車両の車両床に配置され、前記充電接点は、前記車両と静止充電ステーションとの間で導電接続が形成可能であるように、前記位置決め装置によって前記接触ユニット(16)に対して位置決め可能である
ことを特徴とする請求項16に記載の充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気駆動車両、特に乗用車、トラック、バス等のための充電システム用の接触ユニット、及び充電システムに関し、前記充電システムは、充電接触装置と、接触ユニットキャリアを有する接触装置とを備え、前記接触ユニットキャリアは接触ユニットを有し、前記接触ユニットは接触対を形成するために前記充電接触装置の充電接点に電気的に接続可能であり、前記接触ユニットは金属製の接触子を有し、前記接触ユニットは前記車両又は前記充電ステーションへの接続のための接続線を有し、前記接触子は接触隆起を有し、前記接触隆起は前記充電接点と電気的な接触を形成するための接触面を形成する。
【背景技術】
【0002】
この種の接触ユニット及び充電システムは、最新技術から知られており、典型的には、例えば停留所において電気駆動車両を充電するために用いられる。車両の屋根の上に配置される充電システムと車両の床下に配置される充電システムとの間には、違いがある。充電接触装置に(形状が)適合する接触装置の接触ユニットキャリアが屋根状の充電接触装置と電気的に接続される充電システムが、WO 2015/018889 A1から知られている。接触ユニットキャリアは接触位置に案内され、接触ユニットキャリア内の接触子は充電接触装置の屋根状の斜面に沿って滑り、接触ユニットキャリアは充電接触装置の中心になる。接触装置と充電接触装置とは、車両の屋根に配置された位置決め装置によってロッカーのようにつながる。車両の電池は、静止した充電ステーションにおいて車両の停車中に充電され得る。次に接触対が、例えば充電回路、制御線、接地又はデータ伝送のために形成される。したがって、複数の接触子が割り当てられた充電接点とそれぞれ電気的に接続されることが常に想定される。
【発明の概要】
【0003】
いくつかのタイプの車両、例えば自動車では、実用的及び美的な理由で、充電システムは車両の下に配置される。トラック又はバスのためにこの位置を使用することも可能である。最新技術から知られ、750Vで500Aから1,000Aのような大電流を伝送することを実現する充電システムは、それに対応する大きな寸法及び導体断面積を接触ユニット又は接触子が有することを常に必要とする。
【0004】
接触対を形成することについての一般的な問題は、接触子又は充電接点の汚れ、及び、接触子又は充電接点の表面の酸化又は腐食である。接触子又は充電接点はともに、できるだけ大きな電流を伝送することができるように銅又は銅合金で構成され、その場合、酸化層が比較的早く生成される。接触子が接触位置に入るときに接触子が充電接触装置の表面を引きずると、汚れ及び酸化層が、該当する場合には接触子又は充電接点から取り除かれ得る。更に、接触対上のこれらの種類の汚れは、高電圧及び充電中の熱の発生のため、汚れ及び酸化層が容易に橋絡され、必要であれば取り除かれもするので、例えば750Vでの充電回路にとって重要ではないしかし、これは、制御線、接地又はデータ伝送のための接触対の場合には当てはまらず、これが、汚れ又は酸化層が摩耗によって取り除かれない場合に好ましくない接触の破壊が生じ得る理由である。これらの接触対で使用される低電圧のため、例えば安全な信号伝送又は接地が常に保証され得るわけではなく、これらの接触対は腐食の問題により影響されやすい。
【0005】
したがって、本発明の目的は、ともに信頼性のある接触品質を確実にする接触ユニット及び充電システムを提案することである。
【0006】
この目的は、請求項1の特徴を有する接触ユニット及び請求項16の特徴を有する充電システムによって達成される。
【0007】
電気駆動車両、特に乗用車、トラック、バス等のための充電システム用の本発明による接触ユニットにおいて、前記充電システムは、充電接触装置と、接触ユニットキャリアを有する接触装置とを備え、前記接触ユニットキャリアは接触ユニットを有し、前記接触ユニットは接触対を形成するために前記充電接触装置の充電接点に電気的に接続可能であり、前記接触ユニットは金属製の接触子を有し、前記接触ユニットは前記車両又は前記充電ステーションへの接続のための接続線を有し、前記接触子は接触隆起を有し、前記接触隆起は前記充電接点と電気的な接触を形成するための接触面を形成し、前記接触子は、前記接触面の領域において炭素接触片によって少なくとも部分的に形成される。
【0008】
よって、接触子は接触隆起を有して形成され、それは接触子の一部分に充電接点との電気的接触を形成するための接触面を形成する。接触隆起は、一般にいかなる形状をも有し得て、接触子がその外縁に面取り又は湾曲を有するように形成され得る。充電接点に最も近い又は面している接触隆起の点又は表面は、接触面の一部分である。この接触面は炭素接触片によって少なくとも部分的に形成される。接触子は金属製であるので、したがって接触片は接触子に配置又は取り付けされる。この場合接触片は接触面全体を形成することもし得る。接触面は接触片によって少なくとも部分的に形成されるので、接触面を形成す炭素のため、これらの領域において接触面は酸化し得ない。特に接触対の場合、信号を送信するために大電流が伝送される必要がないので、炭素は接触面を形成するための導電材料として適している。更に、炭素は環境的に共存可能であり、堅牢であり、滑り特性がよい。接触片が使用されるので、より長く続く使用の結果として生じる炭素の摩耗は信号の送信を妨げない。更に、炭素製の接触片は、容易に、製造され接触子に装着され得るので、接触ユニットが安価に製造され得る。
【0009】
前記接触子は、ボルト状の形状であるように実現され得て、及び/又は、前記接触面は、部分的に湾曲しているように、好ましくはドーム状の形状であるように実現され得る。ボルト状の形状である接触隆起は、充電接点との電気的接触を形成するための接触面を形成し得て、接触子の遠位端は、球状の形状であるように、湾曲しているように、又はドーム状の形状であるように形成可能である。よって、充電接点に対して異なる位置の場合であっても、接触子は、選択的接触によって充電接点に常に接触する。この場合、接触子も充電接点に沿って動かされ得るが、充電接点又は接触子は大きな機械的損傷を受けることがない。代替として、接触子は、任意の他の適切な形状を有し得る。もしボルト状の形状である接触子が、接触ユニット上でその長手方向軸の方向に沿って移動可能であるように又は回転可能であるように設けられるなら、もし必要なら充電接点との大規模な接触が形成され得るが、これは、接触子の接触端が完全な湾曲又は球形の端部であるからである。
【0010】
前記接触片は、前記接触面と同じ高さになるように実現され得る。例えば、接触子に対するフライス削り、回転又は研磨のような機械的加工による接触子の組付けの後で接触面と同じ高さになるように、接触片は形成され得る。この場合、接触面はいかなるへこみも突出部も有さない。更に、接触子は、銅又は銅合金で作られ得て、平坦又はコーティングなしであり得る。この場合、接触面は、少なくとも部分的に炭素及び銅で作られ、又はこれらの材料で作られる。しかし、一般に、接触子の金属にコーティングを施すことも可能である。例えば、銀は比較的高価であり機械的な力に影響されやすいのであるが、接触子の金属は銀でコーティングされ得る。
【0011】
前記接触片は、グラファイト製又はハードコール製であり得る。工業的に製造されたグラファイト又はハードコールは、安価に利用可能であり、この場合、銅又は銀のような金属の混合物も、グラファイト又はハードコールに含有され得る。グラファイト又はハードコールは、腐食に耐性があり、摩耗に耐性があり、かつ堅牢である。
【0012】
前記接触片は前記接触子の長手方向の軸に関して同軸に配置され得て、前記接触片は充電接点に最も近い前記接触面の点を形成し得る。よって接触片は、特に接触面も接触子によって形成される場合には、接触面の外側の輪郭に関して接触面の中央に配置され得る。例えば、接触子及び充電接点を一緒に案内するときに接触片が充電接点と直接接触するように、接触片は接触面の最高点も形成し得る。よって、安全な電気的接触が好都合に形成され得る。
【0013】
前記接触面の第1部分面は前記接触片によって形成され得、前記接触面の第2部分面は前記接触隆起によって形成され得、前記第1部分面は円形、矩形、正方形、星形又は十字形である。したがって第1部分面は、接触片の長手方向の軸に対して横切るようにも配置され得る。第2部分面は第1部分面を囲み得る、又は第1部分面によって散在させられもし得る。例えば、第1部分面が正方形であるように形成されるとき、第1部分面は第1部分面を通って伸びる帯板のように形成され得る。
【0014】
前記接触片は前記接触隆起内に形成されたくぼみに挿入され得る。くぼみは、例えば、穴、又は接触子の長手方向の軸を横切って伸びる溝であり得る。この場合、接触片は、くぼみを実質的に完全に満たす。原則として、接触片をくぼみ内に、ぴったり合うように又は圧入ばめで取り付けることも可能である。簡単なぴったり合うようにするアタッチメントが、ピン連結によって実現され得る。
【0015】
前記接触片は導電性の接着材料又ははんだによって前記くぼみ内に取り付けられ得る。この場合、接触片は、くぼみ内にはんだ付け又は接着され得る。これにより、接触片と接触子の金属との間に良好な導電性接続が常に形成されることが、いかなる場合にも確実になる。
【0016】
代替として、前記接触片は焼結によって前記くぼみ内に形成され得る。この場合、接触片は、くぼみ内に直接形成され得、よって、その中で強くしっかりと固定され得る。焼結によって接触片を形成することは、接触子の未加工の材料片において実現され得、このように形成された半完成品の機械的加工が、その後行われ得る。
【0017】
前記接触ユニットのばねは、前記接触子が充電接点の方向に押されるように、前記接触子にばね力を作用させ得る。接触子は、圧縮ばね、特にコイルばねを用いて、接触子に、又は接触ユニットのピボットベアリング若しくはガイドの領域内に、弾性を持って取り付けられ得る。結果として、充電接点との点接触がばねの与圧の下で確立され得る。ばね力は、接触子が充電接点と接触していないときに接触子が充電接点に向かって前端位置まで常に押されるように選択され得る。ばねは、接触子のピボットベアリングの軸に取り付けられ得るコイルねじりばねでもあり得る。例えば接触子は、ばね力によってピボットベアリングの端部位置にこのように旋回し得る。
【0018】
前記接触装置は少なくとも2つの更なる接触ユニットを有し得て、前記充電接点と電気的接触を形成するためのそれぞれの前記接触面は全部が金属製である。更なる接触ユニットの更なる接触子の接触面の金属は、例えば銅又は銅合金であり得る。更に、更なる接触子は、コーティング、例えば銀コーティングを有し得る。2つの更なる接触子は、よって充電回路の充電接点を形成し得て、それを経由して比較的高電圧かつ大電流が伝送され得る。この場合、炭素製の接触片を使用することは、更なる接触子には必要ない。
【0019】
前記接触ユニットは、信号が前記接触子を経由して送信可能であるように実現され、60Vから1500V、好ましくは750Vで、100Aから1000Aの、好ましくは500Aから1000Aの、特に好ましくは800Aの電流が、前記更なる接触ユニットを経由して伝送可能である。その結果として、更なる接触ユニットを経由して375kWから750kW、好ましくは600kWが伝送され得る能力がある。また、より大きな電流がより短い時間で伝送され得るので、車両がより速く充電され得る。適用できる場合には、接触ユニットキャリア上のいくつかの接触ユニットも減少させられ得るので、接触装置の製造の費用対効果がよりよくなる。
【0020】
前記接続線は、前記接触子に直接又は間接的に取り付けられ得る。最新技術から知られるような接触子ガイドを有する接触子とは対照的に、直接配置の場合に電流を伝送するために接触子ガイドと接触子との間の間隙を利用する必要はもはやない。この場合、接続線も接触子とともに動かされ得る。更に、摺動グリース、又は接触子ガイド若しくはピボットベアリングの領域において電流の伝達を促進するための他の構成要素は、もはや必要ない。接続線と接触子との間の境界抵抗は、よって大きく減少し得る。接続線は、少なくとも50mm、好ましくは95mmの導体断面積を有し得る。これにより、接触ユニットが特に大電流を伝送することが可能になる。
【0021】
少なくとも2つの接触子が接触ユニットキャリアの表面に対して異なる高さに突出し得る。前記表面は前記充電接触装置に面する。よって、少なくとも2つの接触対が1つの接触子と1つの充電接点との間にそれぞれ形成されるとき、接触対の生成において規定されたシーケンスを確実にすることが可能である。接触ユニットキャリアと充電接触装置とが一緒に案内されるとき、接触のシーケンスは、接触ユニットキャリアの上面又は面に対する接触子の幾何学的な配置によって、必然的に常に維持されかつ確実になる。意図的でない若しくは誤った電気的接触の形成、又は接触対の形成は、このようにして容易に防止され得る。
【0022】
前記充電接点は金属及び/又はグラファイトの回路基板によって形成され得る。回路基板は、充電接触装置の充電接触キャリアに順に配置され得る。充電接触キャリアは、誘電性材料で作られている。回路基板は、銅、銅合金、又はステンレス鋼で作られ得て、互いに離れるように誘電体に、又は誘電体内のくぼみに配置され得る。接触装置に対して車両が配置されるときに、いかなる誤差も補償され得て、かつ同時に、正しくない電気的接触が形成されないように、回路基板の下面の表面は、実質的に平坦かつ接触子に対して比較的大きくあり得る。充電システムが、方向に関係なく、すなわち、車両が接触装置と電気的に接続され、又は接触装置で駆動される側に関係なく、車両の充電工程を可能にすることも想定され得る。接触装置が実質的に矩形であるとき、それぞれ長手方向の軸を有する接触装置及び充電接触装置が、充電工程の間、車両の長手の延長方向に配置されるように、充電接触装置又は充電接触キャリアも矩形であり得る。
【0023】
本発明による充電システムは、充電接触装置と、本発明による接触ユニットを有する接触装置とを有し、前記接触装置又は前記充電接触装置は位置決め装置を備える。
【0024】
前記充電システムは、前記接触ユニットキャリアを有する前記接触装置と、前記充電接触装置とを備え、前記接触装置は車両の車両屋根に配置され、前記位置決め装置はパンタグラフ又はロッカーを有し、前記パンタグラフ又は前記ロッカーによって、前記接触ユニットキャリアが、前記車両と静止充電ステーションとの間で導電接続が形成可能であるように、前記充電接触ユニットに対して少なくとも垂直方向に位置決め可能である。ロッカーの場合、更なるリンク機構を備え得る。リンク機構は、接触ユニットキャリアを充電接触装置に対して安定させ、又は接触ユニットキャリアをそれぞれの方向にそろえる。パンタグラフ又はロッカー又は対応する機械的駆動装置は、特に製造するのに簡単で費用対効果がよい。更に、位置決め装置は横方向の案内装置をも有し得る。それによって、接触ユニットキャリアは、充電接触装置に対して、又は車両の移動方向に対して横切る方向に位置決めされ得る。横方向の案内装置は、車両に、又は位置決め装置のパンタグラフ若しくはロッカーに配置され得る。どちらの場合も、位置決め装置又は位置決め装置に配置された接触ユニットキャリアは、車両の移動方向を横切る方向に移動し得る。この移動可能性により、バス停留所において車両が移動方向を横切る方向に不適切な位置にあることを補償することが可能になる。更に、車両に乗車及び車両から下車する乗客のために車両の片側を低くするために生じ得る車両の動きが、接触ユニットキャリアが充電接触装置に対して横切る方向に移動し得ないように、補償され得る。接触装置は、例えば車両屋根に配置され得、位置決め装置によって、接触ユニットキャリアが車両屋根から充電接触装置に向かって動かされ、戻ることが可能になる。代替として、接触装置は充電ステーションに配置され得る。この場合、接触ユニットキャリアは、バス停留所において、充電接触装置を有する車両屋根の方向に、柱又はブリッジのような支持物から動かされ、戻り得る。
【0025】
代替として、前記充電システムは前記充電接触装置を備え得る。前記充電接触装置は車両の車両床に配置され、前記接触装置は前記接触ユニットキャリアを有し、前記接触ユニットは、前記車両と静止充電ステーションとの間で導電接続が形成可能であるように、前記位置決め装置によって前記充電接点に対して位置決め可能である。この場合、位置決め装置は車両のレベル制御によっても実現され得る。これによって充電接触装置は、少なくとも鉛直方向に位置決め可能である。車両のレベル制御は、よく知られており、車両又は地面上の車両床を下げる及び上げることによって調整するために使用される。レベル制御は、例えば車両の空気圧シャーシサスペンションによって実現され得る。レベル制御によって、充電工程のために充電接触装置とともに車両を接触装置上に下げることも可能である。接触装置は、車両の下の車両が進み得る地面上に配置されることも可能であり、そのため、空洞を掘ることのような地面上の構造上の手段はもはや必要ない。この場合、接触装置は、簡単に、いかなるアクセス可能な地面にも柔軟に配置され得る。地面又はその表面での接触装置の組み立て及び分解が簡単であるので、必要に応じて停留所で接触装置を一時的に配置又は準備することが、大きな労力なしに、特に可能である。接触ユニットキャリアは、接触装置のベースフレームに取り付け、又はその中に挿入され得る。よって、接触装置は、車両がその上、及び/又はその上方を進むことができるように有利に実現されることもできる。接触装置は、車両のタイヤの対の間に収まるように、正方形又は矩形であり得る。同時に、接触装置の部分又は代替として接触装置全体は、その上を車両が進めるように、充電工程の間に車両がそのタイヤで接触装置の上に停止しているような態様で、実現され得る。接触装置の大きさは、例えば駐車場所のサイズに従って、車両の大きさに適合されもし得る。
【0026】
代替として、前記充電システムは、前記接触ユニットキャリアを有する前記接触装置と、車両の車両屋根に配置された前記充電接触装置とを備え、前記位置決め装置は、パンタグラフ又はロッカーを有し、前記パンタグラフ又は前記ロッカーによって前記充電接触装置が、前記車両と静止充電ステーションとの間で導電接続が形成可能であるように、前記接触ユニットキャリアに対して少なくとも垂直方向に位置決め可能である。
【0027】
代替として、前記充電システムは、前記接触ユニットキャリアを有する前記接触装置と、前記充電接触装置とを備え、前記充電接触装置は車両の車両床に配置され、前記充電接点は、前記車両と静止充電ステーションとの間で導電接続が形成可能であるように、前記位置決め装置によって前記接触ユニットに対して位置決め可能である。
【0028】
更に、充電システムの有利な実施形態が、請求項1を参照する従属請求項から明らかである。
【0029】
一般に、本発明は、例えば電池、蓄電池、キャパシタ又はスーパーキャパシタによって給電される任意の電気車両に使用可能であり、これらは全て充電される必要がある。
【0030】
以下では、本発明の好ましい実施形態が、添付の図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、充電システムの側面図を示す。
図2図2は、充電システムの接触子の詳細図を示す。
図3図3は、図2の接触子の上面図を示す。
図4図4は、第2実施形態における接触子の上面図を示す。
図5図5は、第3実施形態における接触子の上面図を示す。
図6図6は、第4実施形態における接触子の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1から3の組合せは、接触ユニット配列11を有する充電システム10を示す。充電システム10は、車両(図示せず)の床に配置され、かつ、回路基板で作られた充電接点(図示せず)を有する充電接触装置12を備える。更に、充電システム10は、車両が走行できる地面14に配置された接触装置13を備える。接触装置13は、接触ユニットキャリア15と、接触ユニット配列11のいくつかの接触ユニット16及び17とを備え、接触ユニットキャリア15はこの場合トラフの形状に形成されている。充電システム10の位置決め装置(図示せず)によって、充電接触装置12は、充電接触装置12の導体板と割り当てられた接触ユニット16及び17との間に接触対が形成され得るように、接触装置13の上に下げられる。
【0033】
接触ユニット16は、充電接触装置12と接触装置13との間で信号を伝送する働きをし、接触ユニット17は、充電電流を伝送する働きをする。よって接触装置13は複数の接触ユニット17(図示せず)を有する。接触ユニット17は、実質的に銅又は銅合金で作られた接触子18を有する。接触ユニット16及び17、又は対応付けられた接触子18及び19は、弾性があるように、又は移動可能なように、接触装置13に取り付けられる。接触ユニット16は、図2及び3においてより詳細に示される接触子19を有する。
【0034】
接触子19は金属製であり、接続線20は接触子19に直接取り付けられている。接触子19は、ボルト状の形状を有しており、接触隆起21を有する。接触隆起21は、充電接触装置12の充電接点又は導体板(いずれも図示せず)との電気的接触を形成するための接触面22を形成する。接触子19は、接触面22の領域において、炭素又はグラファイト製の接触片23によって部分的に形成されている。接触面22はドーム状の形状を有しており、接触片23は接触面22と同じ高さになるように接触隆起21内のくぼみ(Ausnehmung)24に挿入される。この場合、くぼみ24は、その中に導電性の接着材料によって接触片23が接着される溝25である。溝25は、接触片23がボルト状の形状の接触子19の長手方向の軸に関して同軸に又は対称に配置されるように、接触隆起21内に形成される。このため、接触面22の中央の最高点27は、接触片23によって形成される。したがって、接触子19が充電接触装置12の充電接点に近づくとき、電気的接触は最初に点27によって確立される。
【0035】
図4は、図3の接触子とは対象的に接触片29を有する接触子28の実施形態を示し、接触片29は接触子28の接触面31において円形の輪郭(contour)30を形成する。
【0036】
図5は、接触子32の接触面35において実質的に十字形の輪郭34を形成する接触片33を有する接触子32を示す。
【0037】
図6は、接触子36の接触面39において正方形の輪郭38を実質的に形成する接触片37を有する接触子36を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】