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▶ ヘイガン、クリスの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】ドローン・ドッキング・システム
(51)【国際特許分類】
   B64F 1/12 20060101AFI20220112BHJP
   B64C 27/08 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
B64F1/12
B64C27/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021529713
(86)(22)【出願日】2019-08-09
(85)【翻訳文提出日】2021-05-25
(86)【国際出願番号】 GB2019052235
(87)【国際公開番号】W WO2020030919
(87)【国際公開日】2020-02-13
(31)【優先権主張番号】1813056.7
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1909150.3
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521225775
【氏名又は名称】ヘイガン、クリス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘイガン、クリス
(57)【要約】
マルチコプター・ドローン(50)のためのドローン・ドッキング・システム(10)は、レシーバー(26)を有するドッキング・ステーション(20)を含む。レシーバー(26)は、ドローン(50)の上に装着されたドッキング・フォーメーション(52)に接続するように適合されており、ドローン(50)がドッキング・ステーション(20)とドッキングされているときに、ドローン(50)がドッキング・ステーション(20)からドッキング・ステーション(20)の下方に吊り下げられるようになっている。フェイルセーフの機械的な接続(56、32)が、ドッキング・フォーメーション(52)をレシーバー(26)に接続するために提供されている。1つまたは複数の電磁石(34、58)が、ドッキング・フォーメーション(52)をレシーバー(26)に接続するために使用され得り、電磁石(34、58)は、適切には、ドローン(50)のドッキングされた状態と自由飛行状態との間の滑らかな移行を提供するように、および、随意的に、レシーバー(26)とのアライメント状態へとドッキング・フォーメーション(52)をガイドするように制御可能である。ドローン(50)は、適切には、それを監視目的および犯罪防止/検出目的のために有用なものにするペイロードを有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドローン・ドッキング・システムであって、前記ドローン・ドッキング・システムは、
ドッキング・フォーメーションを有する胴体部分を含むドローンと;
前記ドローンのためのドッキング・ステーションであって、前記ドッキング・ステーションは、前記ドッキング・フォーメーションを解放可能に受け入れるためのレシーバーを含む、ドッキング・ステーションと
を含み、
前記レシーバーは、前記ドッキング・フォーメーションの上方に位置付けされており、前記ドローンが前記ドッキング・ステーションとドッキングされているときには、前記ドローンが、前記ドッキング・ステーションによって前記ドッキング・ステーションの下方に吊り下げられるようになっており、
前記ドローン・ドッキング・システムは、前記ドローンと前記ドッキング・ステーションとの間で動作する機械的な係合デバイスをさらに含み、前記機械的な係合デバイスは、選択的に、前記ドッキング・ステーションに前記ドローンを係合するか、または、前記ドッキング・ステーションから前記ドローンを解除する、ドローン・ドッキング・システム。
【請求項2】
前記機械的な係合デバイスは、1つまたは複数のソレノイド作動式のロッキング・ピンを含み、前記ロッキング・ピンは、前記ドッキング・フォーメーションの周囲の周りに延在する溝部に係合する、請求項1に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項3】
前記機械的な係合デバイスは、キャッチ・タイプのデバイスを含む、請求項1または2に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項4】
1つまたは複数の前記ソレノイド作動式のロッキング・ピンは、前記ロッキング・ピンが前記溝部に係合する位置に向けて付勢されており、1つまたは複数のソレノイドは、前記ソレノイドが通電されているときには、前記ロッキング・ピンを後退させるように構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項5】
前記機械的な係合デバイスは、1つまたは複数のスプリット・プレートを含み、前記スプリット・プレートは、前記ドッキング・フォーメーションの周囲の周りに延在する溝部に係合し、前記スプリット・プレートは、第1の位置と第2の位置との間で、互いに対して半径方向に移動可能であり、前記第1の位置では、前記スプリット・プレートは、前記溝部に係合しており、前記第2の位置では、前記スプリット・プレートは、前記溝部から解除している、請求項1から4のいずれか一項に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項6】
前記スプリット・プレートは、前記第1の位置に向けて半径方向に付勢されており、前記第2の位置に向けて前記スプリット・プレートを促す手段が提供されている、請求項5に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項7】
前記第2の位置に向けて前記スプリット・プレートを促す前記手段は、ソレノイド、カム、リニア・アクチュエーター、ラックおよびピニオン、ウェッジ、およびスクリュー・ネジのうちの任意の1つまたは複数を含む、請求項6に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項8】
前記機械的な係合デバイスは、
前記ドローンまたはドッキング・ステーションのうちの第1のものの上に、複数の枢動可能に装着されたフックを含み、前記フックの運動の範囲は、当接部によって第1のフック方向に制約されているが、前記フックは、前記第1のフック方向とは反対側の第2のフック方向に、前記当接部から自由に枢動することができ、
前記機械的な係合デバイスは、
前記ドローンまたはドッキング・ステーションのうちの他方の上に、当接部を含み、
それによって、前記当接部は、前記ドッキング・ステーションに対する前記ドローンの移動によって、前記フックに対して移動可能であり、
第1のドローン移動方向への前記当接部の移動の間に、前記当接部は、前記フックを前記第2のフック方向に所定の位置へ移動させるようになっており、それによって、前記フックは、最終的に前記当接部を通り過ぎ、前記フックは、次いで、前記フックがそのそれぞれの当接部に係合するまで、前記第1のフック方向に移動するようになっており、
前記第1のドローン移動方向の反対側の第2のドローン移動方向への前記当接部のその後の移動のときに、前記当接部は、前記フックによって係合され、前記ドローンを前記ドッキング・ステーションと係合させるようになっている、請求項1または2に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項9】
前記第1のフック方向および前記第2のドローン移動方向は、実質的に重力の方向になっており、前記第2のフック方向および前記第1のドローン移動方向は、実質的に前記重力の方向から離れるようになっている、請求項8に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項10】
前記機械的な係合デバイスは、
前記ドローンおよびドッキング・ステーションのうちの第1のものの上に、係合部を含み、
前記ドローンおよびドッキング・ステーションの他方の上に、複数のフックを含み、
前記フックは、シャフト部分およびフック部分を含み、前記フック部分は、前記シャフト部分から半径方向に延在しており、第1の位置と第2の位置との間で前記シャフト部分の軸線の周りに回転可能になっており、前記第1の位置および第2の位置において、前記フック部分の遠位端部同士の間の間隔は異なっており、
前記フックのそれぞれの軸線の周りでの前記フックの回転によって、前記フック部分が、第1の位置へ移動させられ得るようになっており、前記第1の位置では、前記フック部分が、前記係合部に係合しており、また、前記フック部分が、第2の位置へ移動させられ得るようになっており、前記第2の位置では、前記フック部分が、前記係合部に係合していない、請求項1または2に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項11】
それぞれのフックのそれぞれのシャフト部分は、ピニオン・ギアに接続されており、前記ピニオン・ギアは、マスター・ギアによる回転のために駆動され、前記ドローン・ドッキング・システムは、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記フックを回転させるために前記マスター・ギアを回転させるためのモーターを含む、請求項10に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項12】
前記レシーバーは、電磁石をさらに含み、前記ドッキング・フォーメーションは、金属プレートを含み、前記電磁石が通電されているときには、前記電磁石は、前記ドッキング・フォーメーションの前記金属プレートを引き付けて保持し、それによって、前記ドローンを前記ドッキング・ステーションの下方に支持するが、前記電磁石は、非通電にされているときには、前記ドッキング・フォーメーションの前記金属プレートを解放し、それによって、前記ドッキング・ステーションから前記ドローンを解放する、請求項1から11のいずれか一項に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項13】
前記ドローン・システムは、前記ドローンが自重を支持するのに十分な揚力を発生させるときまで、前記ドッキング・ステーションからの前記ドローンの解放を遅らせるための手段をさらに含み、前記ドローン・ドッキング・システムは、前記レシーバーとドッキング・フォーメーションとの間に間置された力センシング・デバイスと、コントローラーとを含み、前記力センシング・デバイスは、前記ドローンによって前記ドッキング・ステーションの上に付与される力(重量)をセンシングするように適合されており、前記コントローラーは、前記力センシング・デバイスを使用して、前記ドローンが自重を支持するのに不十分な揚力を発生させているということが決定されるときには、前記ドッキング・ステーションから前記ドローンを解放することを防止するおよび/または遅らせるように適合されている、請求項1から12のいずれか一項に記載のドローン・システム。
【請求項14】
前記ドローン・ドッキング・システムは、前記ドローンの1つまたは複数のローターの速度をセンシングするためのローター速度センサーと、コントローラーとを含み、前記コントローラーは、前記ドローンのローター速度および結果として生じる揚力との間の既知の関係を使用して、前記ドローンが自重を支持するのに不十分な揚力を発生させているということが決定されるときには、前記ドッキング・ステーションから前記ドローンを解放することを防止するおよび/または遅らせるように適合されている、請求項1から13のいずれか一項に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項15】
前記コントローラーは、前記ドローンによって発生させられる検出されたまたは測定された揚力に比例して、前記電磁石の中の電流を制御するように適合されており、ドッキングされた状態から自由飛行への移行、または、その逆の移行が、漸進的に行われるようになっている、請求項12に従属する、請求項13または14に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項16】
ドッキング手順の前および間に、前記電磁石が通電され、磁界プロファイルを有する磁界を生成させ、前記磁界プロファイルは、前記ドッキング・フォーメーションを前記レシーバーとのアライメント状態へと促すように構成されている、請求項12から15のいずれか一項に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項17】
前記ドローン・ドッキング・システムは、磁界プロファイルをそれぞれ有するそれ自身の磁界をそれぞれ形成する複数の独立して制御可能な電磁石と、電磁石コントローラーとを含み、前記電磁石コントローラーは、前記電磁石の中の電流を調節するように構成されており、前記磁界プロファイルが、前記ドッキング・フォーメーションを前記レシーバーとのアライメント状態へと変位させるようになっている、請求項16に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項18】
前記電磁石コントローラーは、垂直方向のおよび/もしくは水平方向の平面の中で前記ドッキング・フォーメーションを変位させるように構成されており、ならびに/または、ピッチ軸線、ヨー軸線、およびロール軸線のうちの任意の1つまたは複数の周りに前記ドッキング・フォーメーションをチルトさせるように構成されている、請求項17に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項19】
前記ドッキング・ステーションは、補助的な拘束システムをさらに含み、前記補助的な拘束システムは、前記ドローンが前記ドッキング・ステーションから不注意に分離する場合に、前記ドローンを自動的にキャッチする、請求項1から18のいずれか一項に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項20】
前記補助的な拘束システムは、
1つまたは複数の伸縮性のあるコードであって、前記伸縮性のあるコードは、伸長位置および後退位置をそれぞれ有しており、
前記伸長位置では、前記伸縮性のあるコードは、前記ドローンの下方のレベルにおいて前記ドッキング・ステーションの下側の少なくとも一部に渡されており、
前記後退位置では、前記伸縮性のあるコードは後退させられており、前記ドローンが妨げられずにまたは実質的に妨げられずに前記ドッキング・ステーションに進入するかまたは前記ドッキング・ステーションから離れることを可能にするようになっている、1つまたは複数の伸縮性のあるコードと;
前記伸縮性のあるコードまたはそれぞれの伸縮性のあるコードを前記後退位置に保持するための、前記伸縮性のあるコードまたはそれぞれの伸縮性のあるコードのためのリトラクターと;
前記ドローンが前記ドッキング・ステーションから不注意に分離する場合に、前記リトラクターを解放するための手段と
を含む、請求項19に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項21】
前記リトラクターを解放するための前記手段は、前記ドッキング・ステーションに固着された電磁石と、金属プレートとを含み、前記金属プレートは、前記リトラクターに接続されているか、前記リトラクターの一部を形成しており、それによって、前記電磁石が通電されているときには、前記金属プレートが前記電磁石に引き付けられ、前記伸縮性のあるコードが前記後退位置に保持されるが、前記電磁石が非通電にされているときには、前記金属プレートは、前記電磁石から解放され、前記伸縮性のあるコードは、前記伸長位置に移動する、請求項20に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項22】
前記ドローンは、ペイロードを担持するように適合されており、前記ペイロードは、ビデオ監視カメラであって、前記ビデオ監視カメラは、カメラ制御インストラクションにしたがってパン/チルト/ズームするように遠隔から操作可能である、ビデオ監視カメラと;拡声システムであって、前記拡声システムは、パイロット/オペレーター/コンピューター・システムが前記ドローンの付近の人々に音声および/または事前に録音されたメッセージを放送することを可能にする、拡声システムと;LIDARスキャナーと;トラッキング・システム;SmartWater(登録商標)デプロイメント・システムであって、前記SmartWater(登録商標)デプロイメント・システムは、前記ドローンからその下方の人々または物体の上にSmartWater(登録商標)を堆積/スプレーすることができる、SmartWater(登録商標)デプロイメント・システムと;パラシュート回収システムとからなる群の任意の1つまたは複数である、請求項1から21のいずれか一項に記載のドローン・システム。
【請求項23】
前記ドッキング・ステーションは、外側ハウジングを含み、前記外側ハウジングは、前記ドッキング・ステーションから下向きに垂れ下がっており、前記ドローンがドッキングされているときに、前記ドローンの周りに保護カーテンを提供する、請求項1から22のいずれか一項に記載のドローン・システム。
【請求項24】
前記ドッキング・ステーションは、前記ドローンのローターによって発生させられる空気フローを前記ドッキング・ステーションの中へおよび/または前記ドッキング・ステーションから外へ滑らかに方向付けるためのフェアリングを含む、請求項1から23のいずれか一項に記載のドローン・システム。
【請求項25】
前記ドローンは、バンパー・システムを含み、前記バンパー・システムは、軽量のメッシュを含み、前記軽量のメッシュは、前記ドローンの脆弱なパーツを取り囲み、その胴体、尾部、および/またはローターを物体との衝突から保護する、請求項1から24のいずれか一項に記載のドローン・システム。
【請求項26】
前記ドローン・システムは、前記ドローンが前記ドッキング・ステーションとドッキングされているときに前記ドローンのバッテリーをワイヤレスに再充電するための誘導充電システムをさらに含む、請求項1から25のいずれか一項に記載のドローン・システム。
【請求項27】
前記ドローンは、防水性である、請求項1から26のいずれか一項に記載のドローン・システム。
【請求項28】
前記ドローンの密度は、1gcm-3よりも小さくなっており、前記ドローンが水に浮くようになっている、請求項1から27のいずれか一項に記載のドローン・システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドローン・ドッキング・システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドローン(すなわち、遠隔操作式のまたは自律的な飛行機械またはUAV(無人航空機))は、確立された技術であり、今日では、さまざまな測量/監視用途において使用されている。ドローンは、カメラおよび他の機器(たとえば、LIDARスキャナー、ペイロード・ベイ、ロボットの手足など)を取り付けられていることが多く、それらは、ドローンがさまざまな高所作業を実施することを可能にする。
【0003】
ほとんどのドローンは、マルチコプター・タイプのものであり、すなわち、主胴体部分を有しており、手足が主胴体部分から横方向に延在した状態になっている。それぞれの手足は、その遠位端部に、ローター/プロペラを担持しており、ローター/プロペラは、ドローンを空中に保持するための揚力スラストを提供する。ドローンは、ローターの相対速度を制御することによって、および/または、特定のケースでは、ローターをベクタリング(vectoring)することによって、ピッチ、ヨー、ロール、X軸、Y軸、およびZ軸において制御され得る。たとえば、気球/飛行船および固定翼ドローン(すなわち、飛行機タイプのもの)など、他のタイプのドローンまたは遠隔操作式の航空機が存在しており、それらは、一般的に、より長距離の動作のために使用されている。本発明は、主に、マルチコプター、タイプのドローンに関する。
【0004】
公知のドッキング・システムが、KR1020170104186[KIM]、EP3492379[POLITECHNIKA]、およびKR1020180029676[UNIV KYUNGHEE]に説明されている。
【0005】
マルチコプター・タイプのドローンが使用中でないときには、それが「発射台」または「ドッキング」タイプのデバイスの上に収納されることが有用および/または便利である。これは、典型的に、プラットフォームであり、ドローンがプラットフォームの上に着陸する(または、プラットフォームの上に設置される)ことが可能であり、それは、ドローンのための保護および特定の他の機能(たとえば、充電など)を提供する。したがって、特定の実用的な利点は、その発射台からドローンを飛ばすこと、および、その発射台にドローンを戻すことによって得られる。たとえば、遠隔の発射台(ドローンのオペレーターから離れている)の中/上にドローンを収容することが可能であり、それは、間隔を離して配置された複数のドローンが監視目的のために使用される場合に有用である可能性がある。
【0006】
しかし、従来のドローン/発射台技術に伴って存在する問題は、ドローンがその発射台とドッキングされている間の、破壊行為、盗難、および/または妨害行為に対するドローンの脆弱性である。これに関する理由は、発射台が典型的に地上に位置付けされているということ、および、ドローンはドッキングされている間に通常は「スリープ」状態になっているということである。公知の発射台を高い位置にし、発射台をよりアクセス不可能にすることが可能であるが、これは、たとえば、正当な目的のためのアクセス可能性の低減、見苦しさ、および、被視認性の増加などのような、悪影響をもたらす可能性があり、それは、多くのドローン設備の秘密の性質を損なう。また、隆起した発射台は、より風化作用を受ける傾向もあり、メンテナンス目的のためにアクセスすることがより困難になる可能性もある。
【0007】
したがって、上記の問題のうちの1つまたは複数に対する解決策に対する必要性、ならびに/または、改善されたおよび/もしくは代替的なドローン・システムに対する必要性が存在している。
【0008】
本発明の態様は、添付された独立請求項に記載されている。本発明の好適なおよび/または随意的な特徴が、従属請求項に記載されている。
【0009】
本発明は、ドローンがそのドッキング・ステーションによって下方から支持されているというよりもむしろ、ドローンがそのドッキング・ステーションから吊り下げられているという限りにおいて公知のドローン・システムとは異なっている。
【0010】
従来の通念は、ドローンがその揚力を増加させることによって浮かび上がるという事実に起因して、ドローンがそのドッキング・ステーションから上に飛ばされるということを必要とする。公知の構成は、ドローンがドッキング・ステーションから上に離れるように飛ぶことができるようにするために、ドッキング・ステーションの上方に特定の量の垂直方向のクリアランスを必要とする。
【0011】
しかし、本発明のケースでは、ドローンは、最初にドッキング・ステーションの下方に吊り下げられており、したがって、飛行は、ドローンが最初にドッキング・ステーションから離れるように下に落ちることによって開始する。これは、たとえば、ドッキング・ステーションから解放される前に、ドローンがその重量を支持するのに十分な揚力を発生させることを失敗することを防ぐなどのような、複数の技術的な暗示を有している。そうであるので、提案される構成は、直感に反している。
【発明の概要】
【0012】
この問題に対処するために、本発明は、ドッキング・フォーメーションを解放可能に受け入れるためのレシーバーを使用することを提案する。
【0013】
本発明の特定の実施形態において、機械的な係合デバイスは、複数の枢動可能に装着されたフックを含み、フックは、当接部と係合する。フックは、ドッキング・ステーションの上に提供され得り、当接部は、ドローンの上に提供され得り、または、その逆もまた可能である。適切には、フックの運動の範囲は、当接部によって第1の方向に制約されているが、フックは、第1の方向とは反対側の第2の方向に、当接部から離れるように自由に枢動することができる。ドローンおよびドッキング・ステーションの相対的な移動に起因して、当接部がフックに対して移動可能であるという事実に起因して、機械的な係合デバイスは働く。そうであるので、第1の方向への当接部の移動の間に、当接部は、当接部から離れるようにフックを移動させる(たとえば、押す)ことが可能であり、フックが最終的に当接部を通り過ぎるようになっており、次いで、フック、たとえば重力によって第1の方向に移動することが可能である。次いで、当接部(ドローン)が反対側方向に移動させられるときには、フックが所定の位置に移動しており、それによって、フックは、当接部に係合し、ドッキング・ステーションからのドローンのさらなる移動を防止する。
【0014】
このタイプ機械的な係合の利点は、ドローンがドッキング・ステーションと係合されているときには、重力が、当接部をフックと係合した状態に保持するように作用するということである。これは、ドローンがドッキング・ステーションから事故的にアンドッキングされる可能性を防ぐ。その理由は、デフォルトの構成が、ドローンがドッキング・ステーションと積極的に係合されるためのものであるからである。しかし、フックは、たとえば、アクチュエーターを使用することによって、解除位置に移動させられ得り、フックが、当接部から解除し、ドッキング・ステーションからドローンを解放するようになっている。これは、より詳細に後に説明されるものとする。
【0015】
追加的にまたは代替的に、機械的な係合デバイスは、複数のフックを含むことが可能であり、複数のフックは、シャフトおよびフック部分を有しており、フック部分は、シャフトから半径方向に延在している。シャフトの回転は、異なる位置同士の間でフック部分が移動させられることを可能にし、必要に応じて、フック部分が当接部に係合するかまたは係合しないかのいずれかであることが可能であるようになっている。したがって、フックのシャフトの回転は、フック部分が係合するかまたは解除するかのいずれかを引き起こし、これは、たとえば、図面を参照して後に説明されるように、モーター・システムを使用して実現され得る。
【0016】
本発明の特定の他の実施形態において、レシーバーは、キャッチ・タイプのデバイス(たとえば、1つもしくは複数のソレノイド制御式またはソレノイド活性化式のピンなど)を含むことが可能であり、キャッチ・タイプのデバイスは、ドッキング・フォーメーションの相補的なパーツに選択的に係合/解除する。適切には、ドッキング・フォーメーションの相補的なパーツは、ドッキング・フォーメーションの周囲の周りに延在する溝部を含み、ソレノイド作動式のピンまたは1セットのソレノイド作動式のピンは、溝部に選択的に係合するかまたは解除することが可能である。1つまたは複数のソレノイド作動式のピンが溝部と係合されているときには、ドローンの重量は、ピンを介してドッキング・ステーションによって支持されているが、1つまたは複数のピンが溝部から解除されている(すなわち、後退させられている)ときには、ドローンは、ドッキング・ステーションから解放される。
【0017】
好ましくは、1つまたは複数のピンは、たとえば、バネ荷重式になっていることなどによって、係合位置に向けて付勢されている。換言すれば、ソレノイドは、ピンを後退させるために通電される必要があるが、ソレノイドが非通電にされているときには、ピンは、係合位置へとスプリングバックする。この構成は、電力喪失の場合に、ピンが後退する(それによって、ドローンを解放する)というよりもむしろ、ピンがドローンに係合することを保証することによって、電力喪失から保護する。
【0018】
本発明の他の実施形態では、ソレノイドのピンが直接的にドッキング・フォーメーションに係合するというよりもむしろ、ソレノイドが複数のスプリット・プレートに作用し、複数のスプリット・プレートがドッキング・フォーメーションに係合するということを除いて、直前に説明されたものと同様の構成が提案される。ソレノイド以外に、たとえば、カム、リニア・アクチュエーター、スクリュー・ネジなど、スプリット・プレートを作動させるための他の手段が使用され得る。
【0019】
追加的にまたは代替的に、ドッキング・フォーメーションは、金属プレートを含み、レシーバーは、磁石を含むことが可能である。適切には、磁石は、電磁石であり、電磁石は、通電されているときには、ドッキング・フォーメーションの金属プレートを引き付けて保持するが、電磁石は、非通電にされているときには、ドッキング・フォーメーションの金属プレートを解放し、それによって、ドッキング・ステーションからドローンを解放する。
【0020】
本発明の好適な実施形態では、磁気的な接続および機械的な接続の両方が、ドッキング・フォーメーションとレシーバーとの間に提供され、それらは、一緒にまたはシーケンシャルに使用され得る。たとえば、ドッキング/アンドッキング手順の間に、機械的な接続が解除され得り、電磁石の通電状態によって、ドッキング・ステーションの中にドローンを保持することが達成されることを可能にする。
【0021】
飛行の初期局面の間に、ホバリング構成またはクライミング構成でドローンを保持するのに十分な揚力をローターが発生させる前に、ドローンの重量がローターによって発生させられる揚力よりも大きくなっている移行期間が存在しているということが当業者によって認識されることとなる。ドッキング・ステーションからドローンを単に解放するというよりもむしろ、本発明は、適切には、ドッキング・ステーションによってドローンに働かされる力の量が、ドローンによって発生させられる揚力の量に比例するように構成されている。これは、ドローンがドッキング・ステーションによって支持されている状態と、ドローンがそのローターを使用して自重を支持している状態との間の漸進的な移行を可能にする。
【0022】
これは、有利である可能性がある。その理由は、たとえば、そのローターがスピンアップするときにドローンによって発生させられる揚力の量に比例して、ドッキング・ステーションからドローンを徐々に解放するように、磁力が低減され得るからである。逆に、電磁力は、ドローンがドッキングするときに上昇させられ得り、それによって、ドローンとドッキング・ステーションとのより制御されたおよび/または漸進的な係合を可能にする。ドッキングされると、機械的な接続が係合され得り、電磁石が非通電にされ得り、それによって、電力を節約する。
【0023】
そのうえ、ソレノイド作動式のロッキング・ピンまたはスプリット・プレートは、たとえば、バネを使用して、ドローン係合位置に向けて付勢され得り、ソレノイドまたは他の分離デバイスが非通電にされているときには、ピンが後退させられる(ドローンが解除される)ようになっている。したがって、機械的な係合のゼロ電力状態または低電力状態は、ドローンが係合されているようになっており、それは、そのドッキング・ステーションの中にドローンを保持するために電力が消費される必要がないということを意味している。
【0024】
バネ荷重式のロッキング・ピンまたはスプリット・プレートを使用する追加的な利益は、それらが、ドローンがドッキングされているときに、溝部または他のフォーメーションの中へクリップするためのキャッチとして作用するということである。したがって、電力は、ドッキング・ステーションからドローンを解除するために、短期間にソレノイドに加えられることを必要とするだけであり、それによって、電力をさらに節約する。
【0025】
適切には、レシーバーおよびドッキング・フォーメーションは、テーパーが付けられており、ドローンがドッキングされているときに、ドローンをドッキング・ステーションの中心に合わせる(centralise)ようになっている。また、この構成は、先行する段落で概説されたバネ荷重式のピン・キャッチ・メカニズムを支援することが可能である。
【0026】
特定の実施形態において、本発明は、ドローンをドッキング・ステーションと係合させるために電磁石を使用するので、磁界は、また、ドローンのドッキングを支援するために使用され得る。電磁石のコイルおよび強磁性のエレメントを適当に構成することによって、ドローンをドッキング・ステーションの中心に合わせる傾向のあるプロファイルを有する磁界を生成させることが可能である。これは、ドッキング手順および/またはアンドッキング手順の間に、ドッキング・ステーションに対するドローンのアライメントにおけるエラーを打ち消すことを助けることが可能である。そのうえ、磁界は「非接触」であるので、ドローンが実際にドッキング・ステーションとドッキングするときまで、磁界プロファイルは、動的に調節され、必要に応じてドローンを左/右/上/下に引っ張るかまたは押し、ドローンをドッキング・ステーションと正しくドッキングすることを支援することが可能である。
【0027】
ドローンが十分な揚力を発生させる前に、ドローンがドッキング・ステーションから解放される場合には、ドローンは、制御されない様式で落下する可能性があるということが認識されることとなる。
【0028】
特定のドローンは、「オートセーブ」機能を有するように事前構成されており、それは、一般的に、ドローンが自由落下状態にあるときを検出する加速度計および方位センサーを含む。自由落下条件が検出されるときには、多くのドローンは、ローターを自動的に起動するソフトウェア/制御システムを有しており、ドローンがホバリング飛行構成をとるようになっており、特定の実施形態では、この機能性は、ドローンを発射するために使用され得る。たとえば、ドッキング・ステーションは、ドローンを単に「解放する」ことが可能であり、ドローンは、重力の下で降下する。次いで、自由落下が、ドローンのセンサーによって検出され、ドローンが自動的に飛行を行い、ドローンの「発射」は、ドローンが自動的に自分自身を安定化させた時点から効果的になっている。
【0029】
しかし、好ましくは、ドローンが自重を支持するのに十分な揚力を発生させるときまで、ドッキング・ステーションからドローンを完全に解放することを遅らせるための手段が提供される。これは、さまざまな方式で達成され得る。
【0030】
1つの実施形態では、力センシング・デバイスが、レシーバーとドッキング・フォーメーションとの間に間置されており、力センシング・デバイスは、ドローンによってドッキング・ステーションの上に付与される力(重量)をセンシングするように適合されている。ドローンがその重量よりも小さい揚力を発生させているときには、正味の下向きの力が検出され得り、または、その逆もまた同様である。コントローラーは、適切には、ドッキング・ステーションからのドローンの解放を制御するために使用され、それは、適切には、測定された正味の下向きの力が特定の値(それは、ゼロであるかまたは実質的にゼロであることが可能である)よりも大きくなっているときに、ドローンを保持するように構成されている。特定の実施形態では、検出される下向きの力と電磁石(提供される場合)の中の電流(すなわち、ドッキング・ステーションの中にドローンを保持するために使用される磁力)とのバランスをとるために、フィードバックまたは制御回路が提供され得る。これは、ドローンの支持されている(ドッキングされている)状態とドローンの自由飛行状態との間の滑らかな移行を保証するために使用され得る。
【0031】
追加的にまたは代替的に、ドローンの1つまたは複数のローターの速度をセンシングするためのローター速度センサーが提供され得る。必然的に、ドローンのローター速度と結果として生じる揚力との間に関係があることとなり、したがって、ローターが特定のRPMよりも大きいRPMでスピンしているときには、ドローンが自重を支持することができるということが仮定され得る。したがって、特定の最小RPMがドローンのローターのうちの1つまたは複数において測定されるときに、ドッキング・ステーションからドローンを解放するコントローラーが提供され得る。
【0032】
適切には、故障の場合にドローンがドッキング・ステーションから落下することを防止するためにフェイルセーフが提供されるということが当業者によって認識されることとなる。たとえば、ドッキング・ステーションの下方に位置付けされているキャッチ・ネットまたは棚など、任意の適切な手段がこれのために提供され得り、ドッキング故障の場合に、ドローンが単に床に落下することが可能ではなく、ドローンおよび/または周囲のエリアへの任意の重大な損傷が引き起こされ得る前にキャッチされるようになっている。
【0033】
好ましくは、アクティブな補助的な拘束システムが提供され、それは、特定の実施形態では、1セットの伸縮性のあるバンドを含むことが可能であり、1セットの伸縮性のあるバンドは、ドローンがドッキング・ステーションの中にあるときに、ドローンの下に延在している。適切には、伸縮性のあるバンドは、たとえば、ウィンチまたは他のデバイス(たとえば、電磁石など)を使用することによって後退させられ、伸縮性のあるバンドが、通常は、ドローンの邪魔にならないように引っ張られており、ドローンが飛び去ることを可能にするようになっている。しかし、故障の場合に、伸縮性のあるバンドの後退は解放され得り、伸縮性のあるバンドがドッキング・ステーションの下側に渡されるようになっており、故障の間にドローンがドッキング・ステーションから落下する場合には、ドローンをキャッチするようになっている。これは、より詳細に下記に解明されるものとする。
【0034】
ドローンは、適切には、ペイロードを担持している。ペイロードは、以下の任意の1つまたは複数を含むことが可能である。
● 監視カメラ(たとえば、CCTVカメラ、IR/暗視カメラ、サーマル・イメージング・カメラ、LIDARデバイスなどなど):それは、適切には、ビデオ・カメラであり、それは、好ましくは、カメラ制御インストラクションにしたがってパン/チルト/ズームするように遠隔から操作可能であり、カメラ制御インストラクションは、人間の工作員もしくはパイロットによって、または、コンピューター・システムによって発生させられ得る。
● 拡声システム(たとえば、スピーカーなど):それは、パイロット/オペレーター/コンピューター・システムがドローンの付近の人々に音声および/または事前に録音されたメッセージを放送することを可能にする。
● トラッキング・システム:それは、SmartWater(登録商標)デプロイメント/噴射システムであることが可能であり、それは、ドローンからその下方の人々または物体の上にSmartWater(登録商標)を堆積/スプレーすることができる。
【0035】
ドローンがドッキングされているときにドローンを保護するために、ドッキング・ステーションは、適切には、外側ハウジングを含み、外側ハウジングは、ドッキング・ステーションから下向きに垂れ下がっており、ドローンがドッキングされているときに、ドローンの周りにカーテンを提供する。外側ハウジングは、当然ながら、その下側に開口部を有しており、ドローンが下方からドッキング・ステーションの中へおよび/またはドッキング・ステーションから外へ飛ぶことを可能にする。
【0036】
好ましくは、ドッキング・ステーションの下側は、フォーメーションを有しており、フォーメーションの中へのおよびフォーメーションから外への空気フローを可能にし、それは、ドッキング/アンドッキング手順の間にドローンの揚力および/または安定した飛行特性を発生させるために必要である可能性がある。1つの可能な実施形態において、部分的なトロイダル・キャビティーが、ドッキング・ステーションの下側に提供されており、それは、空気がドローンのローターを通ってドッキング・ステーションの中へ流れて再び外に戻るように滑らかに流れることを可能にする(そのように流れるように方向付ける)。
【0037】
ドローンは、適切には、バンパー・システムを含み、その胴体、尾部、および/またはローターを物体(ドッキング・ステーションを含む)との衝突から保護する。バンパー・システムは、適切には、軽量の(たとえば、プラスチック)メッシュを含み、軽量のメッシュは、ドローンの脆弱なパーツ(たとえば、なそのローターど)を取り囲む。メッシュは網状になっているので、メッシュは、メッシュを通る比較的に抑制されない空気フローを可能にし、それは、ローターへの/ローターからの空気フローの乱流/閉塞の影響を低減させる。
【0038】
たとえば、BRS(緊急着用パラシュート回収システム)などのような、追加的な保護デバイスがドローンに提供され得り、それは、ドローンの機能性が飛行の間に損なわれている場合に展開され得る。BRSシステムは、適切には、ドローンが飛行中に故障した場合には、ドローグまたはパラシュートを展開し、それは、制御された様式でおよび/または損傷の無い様式で、ドローンが地面まで降下することを可能にする。
【0039】
ここで、本発明の好適な実施形態が、添付の図面を参照して、例として説明されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】ドローンがドッキングされた状態の、本発明によるドローン・システムの実施形態の概略断面図である。
図2】ドローンがアンドッキングされた状態の、図1のドローン・システムの実施形態の概略断面図である。
図3】ドローンがドッキングされた状態の、図2に示されている実施形態のバリエーションの概略断面図である。
図4図3に示されているドッキング・フォーメーションの部分的な斜視図である。
図5】ドローンに係合するために、どのようにスプリット・プレートが使用され得るかということを示すシーケンスである。
図6】ドローンを解除するために、どのようにスプリット・プレートが使用され得るかということを示すシーケンスである。
図7図5および図6に示されているスプリット・プレートのための代替的な作動メカニズムを示す図である。
図8図5および図6に示されているスプリット・プレートのための代替的な作動メカニズムを示す図である。
図9】本発明によるいくつかのドローン・システムを組み込む遠隔の自律的なセントリー・タワーの概略斜視図である。
図10】本発明によるドローン・ドッキング・システムのための可能な機械的な係合システムの概略斜視図である。
図11】VI-VIに関する図5の概略断面を示す図である。
図12図5および図6に示されている機械的なロッキングシステムの係合シーケンスおよび解除シーケンスを示す概略的なシーケンスである。
図13】本発明によるドローン・ドッキング・システムのための代替的な機械的な係合デバイスの概略斜視図である。
図14A】アンロックされた構成の、図8の機械的な係合デバイスを示す図である。
図14B】ロックされた構成の、図8の機械的な係合デバイスを示す図である。
図15A】補助的な拘束システムを含む、本発明によるドローン・ドッキング・システムの概略断面図である。
図15B】拘束されていない構成の、図10Aのドローン・ドッキング・システムの概略的な下側面図である。
図15C】拘束されている構成の、図10Aのドローン・ドッキング・システムの概略的な下側面図である。
図15D図15A図15B、および図15Cに示されているバンドに関する代替的な拘束を示す図である。
図16】下方からのドッキング・ステーション20の実施形態の概略的な斜視部分切り欠き図である。
図17A】ドローンに取り付けられた上向きのカメラの視野の概略的な図示である。
図17B】ドローンに取り付けられた上向きのカメラの視野の概略的な図示である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図面の図1図2、および図3を参照すると、ドローン・システム10は、ドッキング・ステーション20およびドローン50を含む。
【0042】
ドッキング・ステーション20は、主本体部分22を含み、主本体部分22は、中空のハウジングとして形成されており、主本体部分22は、使用時に、たとえば、建物の軒裏24に固着されている。主本体部分22は、その下側に、切頭円錐形状の中空部を有しており、それは、ドローン50のためのレシーバー26である。レシーバー26は、内向きにテーパーの付けられた側壁部28を有しており、それは、概して平坦な上側壁部30につながっており、それによって、ドローン50の相補的に形状決めされたドッキング・フォーメーション52のための「セントラライザー」機能を提供する。
【0043】
ドローン50は、主本体(胴体)54を有しており、その上側パーツは、前述のドッキング・フォーメーション52である。ドッキング・フォーメーション52は、その上部の近くに形成された円周方向の溝部56を有しており、円周方向の溝部56は、レシーバー26の中に形成されたロッキング・ピン32によって選択的に係合される。ドッキング・フォーメーション52の上部は、円形の金属プレート58によって形成されており、円形の金属プレート58は、電磁石34に選択的に引き付けられ、電磁石34は、レシーバー26の平坦な表面30の上方に、ドッキング・ステーション20の主本体22の中に提供されている。コントローラー36が、とりわけ、ロッキング・ピン32を移動させるソレノイド38および/または電磁石34の動作を制御するために、ドッキング・ステーション20の中に提供されている。
【0044】
また、誘導充電コイル40が、ドローン50のバッテリー(図示せず)をワイヤレスに再充電するために、ドッキング・ステーションの中に提供されている。ドローン50は、相補的な誘導充電コイル60を有しており、誘導充電コイル60は、ドッキング・ステーション20とドッキングされているときに、ドッキング・ステーション20から電荷をピックアップする。
【0045】
力センサー42が、ドローン50とドッキング・ステーション20との間の力をセンシングするために提供されている。
【0046】
また、ドローンは、1セットのモーター駆動ローター62を有しており、1セットのモーター駆動ローター62は、胴体54から横方向に延在するアーム64の遠位端部に装着されている。網状のプラスチック・バンパー66が提供されており、プラスチック・バンパー66は、ローター62を取り囲んでおり、異物との衝突からローター62を保護する。
【0047】
ドローン50は、ペイロードを担持しており、ペイロードは、可動式ビデオ・カメラ68、拡声スピーカー70、およびSmartWater(登録商標)デプロイメント・ノズル72を含む。
【0048】
ドローンは、適切には、防水性になっており、たとえば、Ingress Protection(IP)等級になっており、好ましくは、最大でIP68であり、好ましくは、水に浮くように設計されている。これは、気象条件からドローンを保護し、また、クラッシュの場合にドローンが水域から回収されることを可能にする。
【0049】
ドローン50の電源を入れ、ローター62に動力を提供し、ローター62を加速して揚力を作り出すことによって、ドローン50は発射され得る。力センサー42および/またはローター速度センサー(図示せず)が使用され、ドローン50が自重を支持するのに十分に軽くなったときを決定する。これが起こるとき、電磁石34は、徐々にパワーダウンもしくはスイッチオフされ得り、および/または、ロッキング・ピン32は、ソレノイド38を使用して後退させられ、ドッキング・ステーション20からドローン50を解放する。次いで、ドローン50は、ドッキング・ステーション20から下へ離れるように飛び70、ミッションを遂行することが可能である。
【0050】
特定の用途において、ドローン50の発射は、侵入者の検出によってトリガーされ得る。したがって、ドローン50は、侵入者の疑いのある場所へ飛び、カメラ68が、監視ビデオ映像をキャプチャーするために使用される。侵入者が識別される場合には、PAシステム70が使用され、疑わしい侵入者に話しかけること、および/または、可聴警告を発することが可能である。必要な場合には、物体または人々は、オンボード・ノズル72を使用して、SmartWater(登録商標)をスプレーされ、追跡/犯罪検出を支援することが可能である。
【0051】
ミッションの終わりに、ドローン650は、ドッキング・ステーション20に戻る。ドローン650がドッキング・ステーション20に接近するにつれて、ドッキング・フォーメーション52は、ドッキング・ステーションのレシーバー26の中に入れ子になり始める。ドッキング・フォーメーション52およびレシーバー26のテーパーの付けられた側壁部に起因して、ドローン50は、完全にホーム状態になるまで、レシーバー26の上に自己中心合わせする。
【0052】
図面の図3を参照すると(図3は、以前に説明されたドローン・システム10のわずかなバリエーションを示している)、この実施形態におけるドッキング・フォーメーション52は、以前の実施形態よりも拡張された切頭円錐形形状になっているが、その他の点では、ドローン12は、大部分が以前に説明された通りである。
【0053】
図3に示されているドッキング・ステーション20は、フェアリング80を追加的に含み、フェアリング80は、その中に形成された部分的なトロイダル・キャビティー82を有している。これは、ドローン20のドッキング手順およびアンドッキング手順の間に、ハウジングの中へのおよびハウジングから外への空気84のフローを促進させる。
【0054】
さらに、ロッキング・ピン32、バネ荷重式33になっており、伸長(ロッキング)位置に向けてそれらを付勢するようになっているということが留意されることとなる。ドローン50がドッキング・ステーション20と係合するとき、ドッキング・フォーメーション52のチャンファー付きパーツ86は、ロッキング・ピン32が溝部56と整合するまで、ロッキング・ピン32を離すように促し、整合すると、バネ33の力は、ドローン50がカチッと入ってドッキング・ステーションと係合した状態になることを引き起こす。したがって、ソレノイド38は、ドッキング・ステーション20からドローン50を解放するために通電されることを必要とするだけであり、それは、電力を節約する。
【0055】
以前に説明されたように、電磁石34は、ドローン50がドッキング・ステーション20に接近するにつれて事前通電され得る。電磁石34によって作り出される磁界は、ドッキング・フォーメーション52をレシーバー26の中心に合わせることを支援するために使用され得る。本発明の特定の実施形態において、いくつかの電磁石が提供されており、それらは、独立して制御可能である。電磁石の中の相対電流を変化させることによって、ドローン50は、ドッキング・ステーションに対して左/右/上/下に引っ張られ、ドッキング手順の任意のドリフトまたはエラーを補正することを支援することが可能である。また、磁界は、電磁石からの距離とともに減少し、この磁界減衰効果は、ドッキング・ステーション20の中のドローン50を自己中心合わせするためにも使用され得るということも当業者によって認識されることとなる。
【0056】
図面の図4は、ドローンのドッキング・フォーメーション52の周りに120度離して配置されているソレノイド38作動式のピン作動式のピン32を示している。ソレノイド38が非通電にされているときには、ロッキング・ピン32がプレート58の下の溝部56の中へ前方に突き出しているということが破線によって見られ得る。しかし、ソレノイド38が通電されているときには、ロッキング・ピン32は後退し、プレート58の外周部がピン32の先端部をクリアするようになっており、ドローンが飛び去ることおよび/または解放されることを可能にする。また、上向きのカメラ59が、図4に示されており、上向きのカメラ59は、プレート58の中央に位置付けされており、その機能は、下記の図17および図18を参照して、後に説明されるものとする。
【0057】
図面の図5および図6は、ドローン50をドッキング・ステーション20と機械的に係合させるための代替的な配置を示している。このケースでは、1対のスプリット・プレート320が提供されており、1対のスプリット・プレート320は、部分的な円形のカットアウト322をその中に有している。スプリット・プレート320は、図5に示されているように、たとえばバネによって一緒に押され得り、カットアウト322が、プレート58の下方の溝部56の中にドッキング・フォーメーション52を係合させるようになっている。しかし、図6に示されているように、スプリット・プレート320が後退させられているときには、カットアウト32同士の間の間隔は、プレート58のサイズを超え、ドローンが解放されることおよび/または飛び去ることを可能にする。
【0058】
図面の図7および図8は、スプリット・プレート320を作動させるための代替的な構成を示している。図7に示されている実施形態において、それぞれのスプリット・プレート320は、スロット付きアパーチャー324を提供されており、ピン326が、スロット付きアパーチャー324の中に配置され、スライドするようになっている。ピン326は、回転可能なディスク328の上に装着されており、ディスク328の回転が、図7の中の点線によって示されているように、スプリット・プレート320をこじ開けて離すようになっている。
【0059】
図8では、今回はスプリット・プレート320のスプリット・ラインにカムが提供されていることを除いて、同様の構成が示されている。カム320を回転させることによって、スプリット・プレート320はこじ開けられて離され得り、それによって、ドローンが解放されることを可能にする。
【0060】
図面の図5から図8に示されている実施形態は、1対のスプリット・プレートを示しているが、これは、純粋に図面を簡単にするためであり、たとえば、プレート58の中心線の周りにそれぞれ120度または90度に配置されている3つのまたは4つのスプリット・プレートなど、任意の数のスプリット・プレートが提供され得るということが認識されることとなる。
【0061】
電磁石34は、(徐々にまたは瞬間的に)通電され、レシーバー26の平坦な上側壁部30に対してドローン50の金属プレート58を一時的に保持することが可能であり、ロッキング・ピン32は、ソレノイド38を非通電にすることによって伸長させられ得り、ロッキング・ピン32がスプリングバックし、ドローンのドッキング・フォーメーション52の円周方向の溝部56と係合するようになっている。
【0062】
今では、ドローン50がドッキング・ステーション20によって完全に支持されているので、そのローター62は、電源オフにされ得り、ドローンの重量が今ではドッキング・ステーションによって支持され、ドッキング・ステーションから吊り下げられるようになっている。次いで、コントローラー36が、充電回路をスイッチオンすることが可能であり、以前に説明された誘導コイル・システム40、60を使用して、ドローン50を再充電する。次いで、ドローン50は、再び使用の準備ができている。
【0063】
ドッキング・ステーション20の中のモーション・センサーなどのような、環境センシング・デバイスが提供され得り、それは、漸進的なまたは突然の条件の変化を検出する。たとえば、ドローンのローターは、たとえば、巣を作る鳥および/またはコウモリを阻止するために、時折ゆっくりと回転するようにプログラムされ得る。追加的に、ドローン50が完全にドッキングされている間に、そのローターは、ドッキング・ステーションの中にならびに/またはドローンの上および/もしくはドローンの周りに蓄積した可能性のある葉、ごみ、または他のデブリを取り除くために、突然の通風を生成させるような速度でスピンさせられ得る。
【0064】
本発明による3つのドローン・システム10を組み込んだ自律的な遠隔セントリー・ポスト100が、図面の図9に示されている。
【0065】
遠隔セントリー・ポスト100は、中央支持ポール102を有しており、中央支持ポール102は、3つのドッキング・ステーション20を支持しており、ドッキング・ステーション20のそれぞれは、以前に説明されたように、それ自身のドロップ・ドローン50を有している。ドッキング・ステーション20のそれぞれの上側表面104は、ソーラーPVパネル106を提供されており、ソーラーPVパネル106は、バッテリー(見ることができない)を充電するために使用され、バッテリーは、ポール102の中に収容されている。バッテリーは、遠隔セントリー・ポスト100に給電するために、および、ドローン50を再充電するために使用される。
【0066】
遠隔セントリー・ポスト100は、監視カメラ110を取り付けられており、監視カメラ110は、適切には、モニタリング・システムに接続されており、モニタリング・システムは、必要に応じてドロップ・ドローン50を配備/制御することが可能である。ワイヤレス接続が、ポール102の上に装着されたアンテナ112を介して遠隔モニタリング・ステーションに提供される。加えて、全方位型投光照明114が提供されており、同様に、全方位型スピーカーシステム116が提供されており、起こり得る活性化の場合に、サイレン(PAメッセージなど)が放送されるようになっており、悪意のある活動を阻止することが可能である。投光照明(可視光またはIRであり得る)の使用は、カメラ110の視野を改善するために、ならびに/または、近くの人々、車両、および/もしくは物体のために一般的な照明を提供するために使用され得る。
【0067】
ここで図面の図10を参照すると、本発明によるドローン・ドッキング・システム10は、実質的に前述されているようなドローン50を含み、ドッキング・フォーメーション52がその胴体54の上に装着された状態になっている。
【0068】
ドッキング・フォーメーション52は、ドーム形状の隆起したパーツ520を含み、隆起したパーツ520は、円形プレート522を支持しており、円形プレート522は、ドローン50の胴体54から間隔を離して配置されている。プレート522の直径は、隆起したパーツ520の上側端部よりもわずかに大きくなっており、アンダーカット524を形成するようになっており、アンダーカット524は、当接表面を形成している。
【0069】
プレート522は、複数のフック560と係合し、複数のフック560は、この実施形態では、リング562の上に枢動可能に装着されている。図示されている実施形態では、3つのフック560が示されているが、ドッキング・ステーションの下方に吊り下げられているときにそれらがドローン50を安定して支持することができる限りにおいて、任意の数のフックが提供され得る。この実施形態は、リング562がドッキング・ステーション(明確化のために示されていない)の下側に固着されているということを示しており、フック560は、リング562の周りに自由に枢動することができる。
【0070】
当接リング564が同様に提供されており、当接リング564は、特定の範囲を超えるフックのそれぞれの下向きの移動566の範囲を制限している。しかし、ドローン50がフック560の下方で上昇させられ、プレート522の外側縁部がフックのそれぞれの下側に接触しているときに、フックのそれぞれは、一般的に、反対側方向568に自由に枢動することができる。アクチュエーター・リング570が、それらの支持リング562の半径方向外向きに、フック560のそれぞれに係合しており、したがって、アクチュエーター・リング570を下572に移動させることによって、フック560は、方向568に上に枢動させられ得る。
【0071】
図面の図11を参照すると、フック560のうちの1つが、概略的に、側面図で、および、図示の目的のために示されており、アクチュエーター・リング570は、リニア・アクチュエーター570によって交換されている。フック560のそれぞれは、それら自身のリニア・アクチュエーターによって作動させられ得るか、または、アクチュエーター・リング570によって一斉に作動させられ得るということが認識されることとなる。
【0072】
図面の図11において、フック560は、支持リング562の半径方向内向きに、湾曲した表面580を有しているということ、および、ドローン50のプレート522の上側縁部は、チャンファー付きの角部582を有しているということが見られ得る。したがって、プレート522が上向き584に移動させられるとき、プレート582の外側縁部が、フック560の湾曲した表面580を支え、フック560が邪魔にならないように支持リング562の周りで枢動することを引き起こすこととなる。それを行う際に、フックの反対側表面586は、アクチュエーター・リング/リニア・アクチュエーター570から離れるように移動させられ、それは、本明細書で下記に説明されるものとする。
【0073】
図12は、図5および図6に以前に示されているように、機械的な係合デバイスを使用したドッキング・ステーションからのドローン50のドッキングおよびアンドッキングに関わるシーケンスを示している。図12A図12Eは、ドッキング手順を示している。一方、図12F図12Iは、アンドッキング手順を示している。図12Aは、フック560が部分的に移動させられた後ではあるが、図11をほとんど写している。
【0074】
図12A図12B、および図12Cから見られ得るように、ドローン50が上584に移動させられるとき、外側縁部582は、湾曲した下側580を押し、支持リング562の周りでフック560を枢動させる。
【0075】
プレート522は、図12Cに示されているように、プレート522が最終的にフック560の先端部を通過するときまで、フック560を移動させ続けることとなる。
【0076】
これが起こるときには、図面の図12Dに示されているように、フック560は、湾曲した表面580が当接リング564に係合するまで、支持リング562の周りで枢動して戻る。ここで、図12Eに示されているように、ドローンが反対側方向に(すなわち、下に)移動させられるときには、フックは、プレート522の下方のアンダーカット524に係合する。これは、係合位置を結果として生じさせ、重力(g)が、フックと係合した状態にドローン50を保持し、当接リング564と係合した状態にフック560を保持する役割を果たしている。この構成では、デバイスが完全にパワーダウンされる場合にも、ドローンは、重力のみによって、しっかりと適切な位置に保持され、これは、ドローンを保持するために安定したフェイルセーフの構成を提供する。
【0077】
ドッキング・ステーションからドローンをアンドッキングするために、逆の動作が必要とされ、これは、図面の図12Fから図12Iに示されているように、下向きにおよび支持リング562の半径方向外向きにフック560の上を押す572ように、アクチュエーター・リング570を作動させることを伴う。ここで、これは、フック560が反対側方向に枢動することを引き起こし、フック560は、フックの先端部がプレート522の下側を上向きに支えるので、ドローン50を上向きに押し上げる。図面の図12Gに示されているように、フックは、最終的に、その先端部がプレート522の縁部にある位置に到達し、任意のさらなる移動は、図12Hに示されているように、フック560がプレート522から解除することを引き起こし、ドローン50が解放されることを可能にする。
【0078】
最後に、図面の図12Iに示されているように、アクチュエーター・リング570は後退させられ、図面の図11に示されているように、フック560をスタート位置にリセットすることが可能である。
【0079】
代替的な機械的な係合デバイスが、図面の図13および図14に示されており、図13および図14では、ドローン50が、以前に説明されたようなドッキング・フォーメーション52を有しているが、今回は、ドローン50が、1セットの3つの回転式フックを有しており、1セットの3つの回転式フックは、ドッキング・ステーション(明確化のために示されていない)に固着されたリング602と係合すること、または、リング602から解除することが可能である。それぞれのフック600は、シャフト部分604およびフック部分606を有している。フック600は、図面の図9Aおよび図9Bに示されているものなどのようなメカニズムを使用して、シャフト部分604の軸線の周りに回転可能になっており、そのメカニズムは、ドッキング・フォーメーション52の中に含有されている。
【0080】
メカニズムは、マスター・ギア612を含み、マスター・ギア612は、モーター(明確化のために示されていない)によって回転のために駆動される。マスター・ギアは、ピニオン・ギア614と係合しており、ピニオン・ギア614は、フック600のシャフト部分604に接続している。図14A図14Bを比較することによって見られ得るように、1つの方向へのマスター・ギア612の回転は、フック部分606が半径方向内向きの方向に移動することを引き起こし、一方では、その後の回転、または、反対側方向への回転は、フック部分606が半径方向外向き方向に向くことを引き起こす。
【0081】
図14Aおよび図14Bの下部から見られ得るように、フックが半径方向内向きの構成になっているときには、それらの外側周囲部は、係合リング602の外側周囲部よりも小さくなっており、したがって、それらは、係合リング602の内側を通過することが可能である。しかし、マスター・ギアが回転させられるときには、フック600が回転し、それらのフック部分が外向きになるようになっており、それによって、係合リング602よりも大きい外径を有するようになっている。これは、フックが係合リングと係合することを可能にし、それによって、ハウジング(図示せず)の中にドローン50を保持する。
【0082】
以前に述べられたように、補助的な拘束システムが、適切には、ドローンが故障の場合にドッキング・ステーションから落下することを防止するために提供されている。補助的な拘束システムの例は、図面の図15Aから図15Dに示されている。
【0083】
図面の図15Aにおいて、実質的に図3を参照して説明されているようなハウジングが、それとドッキングされたドローン50を有していることが見られ得る。ドローンのドッキング・フォーメーション52とドッキング・ステーション20のレシーバー26との間の接続が失敗する場合には、次いで、ドローン50は、単にドッキング・ステーション20から落下し、それ自身および/または近くの物体および/または人々への損傷を引き起こす可能性がある。これを防ぐために、1セットの伸縮性のあるバンド800が、ドッキング・ステーション20の下部に渡されており、それによって、そのような故障の場合にドローン50がドッキング・ステーション20から落下することを防止する。
【0084】
図面の図15Bおよび図15Cは、下方から図15Aのドッキング・ステーションを示しており、図10Bでは、ドローン50が妨げられずにドッキング・ステーション20を離れることができる程度に、伸縮性のあるコード800が後退させられていることが見られ得る。
【0085】
伸縮性のあるコード800は、それらの両側端部802において、ドローンを取り囲むアンカー・ポイントにアンカー固定されており、それらの中間点804は、リトラクター806によって半径方向外向きに引っ張られている。
【0086】
通常では、リトラクター806は、図15Aに示されているように、伸縮性のあるコード800を邪魔にならないように引っ張っている。しかし、ドローン/ドッキング・ステーション故障の場合には、リトラクター806は、長くなることが可能であり、伸縮性のあるコード800がドッキング・ステーション20の下側に渡されるようになっており、ドローン50がドッキング・ステーション20から落下することを防止する。
【0087】
2つの伸縮性のあるコード800を使用する補助的な拘束システムが図示されているが、故障の場合にドッキング・ステーション20の中にドローン50を安全に保持することを保証するために、任意の適切な数の伸縮性のあるコード800が提供され得るということが認識されることとなる。
【0088】
図面の図15Dは、伸縮性のあるコード800のための代替的な後退メカニズムを示しており、伸縮性のあるコード800は、以前に説明されたように、それらの両側端部802においてアンカー固定されている。しかし、中間点804は、金属プレート810に接続されており、金属プレート810は、電磁石812に引き付けられる。ハウジング20が起動されるとき、電磁石812が通電され、金属プレート810が電磁石812にしっかりと接続することを引き起こす。しかし、電源障害の場合に、電磁石812は非通電になり、それによって、プレート810を解放し、伸縮性のあるコード800が、図15Cの中の点線によって示されているように、渡されている位置をとることを可能にする。
【0089】
本発明の特定の実施形態において、伸縮性のあるコードは、キャッチ・ネットを展開するために使用され得る。すなわち、キャッチ・ネットの縁部は、コードに固定され得り、コード800が真っ直ぐな構成になっているときには、キャッチ・ネット(図示せず)がドッキング・ステーション20の下にあるようになっている。
【0090】
リトラクター806は、ウィンチによって作動させられ得るが、特定の実施形態では、リトラクター806は、固定の長さのものであり、電磁石によって後退位置に保持され得る。したがって、電源障害の場合に、電磁石は非通電になることとなり、それによって、自動的にそれら自身を解放し、伸縮性のあるコード800が図面の図10Cに示されている構成をとることを可能にする。
【0091】
図16は、下方からのドッキング・ステーション20の実施形態の概略的な斜視部分切り欠き図である。ドッキング・ステーション20は、以前に説明された部分的に円錐形状のレシーバー凹部26を有しており、その側壁部は、ロッキング・ピン32を有しており、ロッキング・ピン32は、側壁部を通って部分的に突出している。基準マーカー260が、凹部26の平坦な壁部261の上に位置付けされており、基準マーカー260は、その上に1セットの機械可読特徴を有している。基準マーカー260は、バーコード、QRコード(登録商標)、または記号(示されているように)を含むことが可能である。凹部の平坦な壁部261の基準マーカー260の場所に起因して、それは、上記の図4を参照して以前に述べられているように、ドローン50の上向きのカメラ50によって観察可能である。
【0092】
図17Aおよび図17Bは、ドローン50の上の上向きのカメラ59が「見る」ものを図示している。図17Aにおいて、ドローンのドッキング・フォーメーション52は、並進方向および回転方向の両方において、凹部とミスアライメント状態になっている。これは、上向きのカメラ59の視野590の中の仮想十字線592に対する基準マーカーのライン・フィーチャーの横方向および垂直方向の変位によって検出され得る。したがって、ドローンのコントローラーは、飛行制御入力を適用し、偏差を補正することが可能であり、基準マーカー290が、図17Bに示されているように、上向きのカメラ59の視野590の中の十字線592と正しく整合するようになっている。そうであるので、ドローンのカメラ(とりわけ、上向きのカメラ59)のいずれかの視野590の中のドッキング・ステーション20の上に設置された1つまたは複数の基準マーカー260を提供することは、ドッキング・ステーション20と正しく整合および/またはドッキングする際にドローン50を支援するために使用され得る。
【0093】
本発明は、先述の実施形態の詳細に制限されず、先述の実施形態は、単に、本発明の実施形態の例示的なものに過ぎない。しかし、保護の範囲は、添付の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図15D
図16
図17A
図17B
【手続補正書】
【提出日】2021-06-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドローン・ドッキング・システムであって、前記ドローン・ドッキング・システムは、
ドッキング・フォーメーションを有する胴体部分を含むドローンと;
前記ドローンのためのドッキング・ステーションであって、前記ドッキング・ステーションは、前記ドッキング・フォーメーションを解放可能に受け入れるためのレシーバーを含む、ドッキング・ステーションと
を含み、
前記レシーバーは、前記ドッキング・フォーメーションの上方に位置付けされており、前記ドローンが前記ドッキング・ステーションとドッキングされているときには、前記ドローンが、前記ドッキング・ステーションによって前記ドッキング・ステーションの下方に吊り下げられるようになっており、
前記ドローン・ドッキング・システムは、前記ドローンと前記ドッキング・ステーションとの間で動作する機械的な係合デバイスをさらに含み、前記機械的な係合デバイスは、選択的に、前記ドッキング・ステーションに前記ドローンを係合するか、または、前記ドッキング・ステーションから前記ドローンを解除し、
前記機械的な係合デバイスは、1つまたは複数のソレノイド作動式のロッキング・ピンを含み、前記ロッキング・ピンは、前記ドッキング・フォーメーションの周囲の周りに延在する溝部に係合し、
1つまたは複数の前記ソレノイド作動式のロッキング・ピンは、前記ロッキング・ピンが前記溝部に係合する位置に向けて付勢されており、1つまたは複数のソレノイドは、前記ソレノイドが通電されているときには、前記ロッキング・ピンを後退させるように構成されている、ドローン・ドッキング・システム。
【請求項2】
前記機械的な係合デバイスは、1つまたは複数のスプリット・プレートを含み、前記スプリット・プレートは、前記ドッキング・フォーメーションの周囲の周りに延在する溝部に係合し、前記スプリット・プレートは、第1の位置と第2の位置との間で、互いに対して半径方向に移動可能であり、前記第1の位置では、前記スプリット・プレートは、前記溝部に係合しており、前記第2の位置では、前記スプリット・プレートは、前記溝部から解除している、請求項1に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項3】
前記スプリット・プレートは、前記第1の位置に向けて半径方向に付勢されており、前記第2の位置に向けて前記スプリット・プレートを促す手段が提供されており、
前記第2の位置に向けて前記スプリット・プレートを促す前記手段は、ソレノイド、カム、リニア・アクチュエーター、ラックおよびピニオン、ウェッジ、およびスクリュー・ネジのうちの任意の1つまたは複数である、請求項に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項4】
前記機械的な係合デバイスは、キャッチ・タイプのデバイスをさらに含み、前記キャッチ・タイプのデバイスは、
前記ドローンまたはドッキング・ステーションのうちの第1のものの上、複数の枢動可能に装着されたフックであり、前記フックの運動の範囲は、当接部によって第1のフック方向に制約されているが、前記フックは、前記第1のフック方向とは反対側の第2のフック方向に、前記当接部から自由に枢動することができ、
前記キャッチ・タイプのデバイスは、
前記ドローンまたはドッキング・ステーションのうちの他方の上、当接部であり
それによって、前記当接部は、前記ドッキング・ステーションに対する前記ドローンの移動によって、前記フックに対して移動可能であり、
第1のドローン移動方向への前記当接部の移動の間に、前記当接部は、前記フックを前記第2のフック方向に所定の位置へ移動させるようになっており、それによって、前記フックは、最終的に前記当接部を通り過ぎ、前記フックは、次いで、前記フックがそのそれぞれの当接部に係合するまで、前記第1のフック方向に移動するようになっており、
前記第1のドローン移動方向の反対側の第2のドローン移動方向への前記当接部のその後の移動のときに、前記当接部は、前記フックによって係合され、前記ドローンを前記ドッキング・ステーションと係合させるようになっている、請求項1に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項5】
前記第1のフック方向および前記第2のドローン移動方向は、実質的に重力の方向になっており、前記第2のフック方向および前記第1のドローン移動方向は、実質的に前記重力の方向から離れるようになっている、請求項に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項6】
前記レシーバーは、電磁石をさらに含み、前記ドッキング・フォーメーションは、金属プレートを含み、前記電磁石が通電されているときには、前記電磁石は、前記ドッキング・フォーメーションの前記金属プレートを引き付けて保持し、それによって、前記ドローンを前記ドッキング・ステーションの下方に支持するが、前記電磁石は、非通電にされているときには、前記ドッキング・フォーメーションの前記金属プレートを解放し、それによって、前記ドッキング・ステーションから前記ドローンを解放する、請求項1に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項7】
前記ドローン・ドッキング・システムは、前記ドローンが自重を支持するのに十分な揚力を発生させるときまで、前記ドッキング・ステーションからの前記ドローンの解放を遅らせるための手段をさらに含み、前記ドローン・ドッキング・システムは、前記レシーバーとドッキング・フォーメーションとの間に間置された力センシング・デバイスと、コントローラーとを含み、前記力センシング・デバイスは、前記ドローンによって前記ドッキング・ステーションの上に付与される力(重量)をセンシングするように適合されており、前記コントローラーは、前記力センシング・デバイスを使用して、前記ドローンが自重を支持するのに不十分な揚力を発生させているということが決定されるときには、前記ドッキング・ステーションから前記ドローンを解放することを防止するおよび/または遅らせるように適合されている、請求項1に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項8】
前記ドローン・ドッキング・システムは、前記ドローンの1つまたは複数のローターの速度をセンシングするためのローター速度センサーと、コントローラーとを含み、前記コントローラーは、前記ドローンのローター速度および結果として生じる揚力との間の既知の関係を使用して、前記ドローンが自重を支持するのに不十分な揚力を発生させているということが決定されるときには、前記ドッキング・ステーションから前記ドローンを解放することを防止するおよび/または遅らせるように適合されている、請求項に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項9】
前記コントローラーは、前記ドローンによって発生させられる検出されたまたは測定された揚力に比例して、前記電磁石の中の電流を制御するように適合されており、ドッキングされた状態から自由飛行への移行、または、その逆の移行が、漸進的に行われるようになっている、請求項に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項10】
ドッキング手順の前および間に、前記電磁石が通電され、磁界プロファイルを有する磁界を生成させ、前記磁界プロファイルは、前記ドッキング・フォーメーションを前記レシーバーとのアライメント状態へと促すように構成されている、請求項に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項11】
前記ドローン・ドッキング・システムは、磁界プロファイルをそれぞれ有するそれ自身の磁界をそれぞれ形成する複数の独立して制御可能な電磁石と、電磁石コントローラーとを含み、前記電磁石コントローラーは、前記電磁石の中の電流を調節するように構成されており、前記磁界プロファイルが、前記ドッキング・フォーメーションを前記レシーバーとのアライメント状態へと変位させるようになっており、
前記電磁石コントローラーは、垂直方向のおよび/もしくは水平方向の平面の中で前記ドッキング・フォーメーションを変位させるように構成されており、ならびに/または、ピッチ軸線、ヨー軸線、およびロール軸線のうちの任意の1つまたは複数の周りに前記ドッキング・フォーメーションをチルトさせるように構成されている、請求項10に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項12】
前記ドッキング・ステーションは、補助的な拘束システムをさらに含み、前記補助的な拘束システムは、前記ドローンが前記ドッキング・ステーションから不注意に分離する場合に、前記ドローンを自動的にキャッチし、
前記補助的な拘束システムは、
1つまたは複数の伸縮性のあるコードであって、前記伸縮性のあるコードは、伸長位置および後退位置をそれぞれ有しており、
前記伸長位置では、前記伸縮性のあるコードは、前記ドローンの下方のレベルにおいて前記ドッキング・ステーションの下側の少なくとも一部に渡されており、
前記後退位置では、前記伸縮性のあるコードは後退させられており、前記ドローンが妨げられずにまたは実質的に妨げられずに前記ドッキング・ステーションに進入するかまたは前記ドッキング・ステーションから離れることを可能にするようになっている、1つまたは複数の伸縮性のあるコードと;
前記伸縮性のあるコードまたはそれぞれの伸縮性のあるコードを前記後退位置に保持するための、前記伸縮性のあるコードまたはそれぞれの伸縮性のあるコードのためのリトラクターと;
前記ドローンが前記ドッキング・ステーションから不注意に分離する場合に、前記リトラクターを解放するための手段と
を含む、請求項に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項13】
前記ドローンは、ペイロードを担持するように適合されており、前記ペイロードは、ビデオ監視カメラであって、前記ビデオ監視カメラは、カメラ制御インストラクションにしたがってパン/チルト/ズームするように遠隔から操作可能である、ビデオ監視カメラと;拡声システムであって、前記拡声システムは、パイロット/オペレーター/コンピューター・システムが前記ドローンの付近の人々に音声および/または事前に録音されたメッセージを放送することを可能にする、拡声システムと;LIDARスキャナーと;トラッキング・システム;SmartWater(登録商標)デプロイメント・システムであって、前記SmartWater(登録商標)デプロイメント・システムは、前記ドローンからその下方の人々または物体の上にSmartWater(登録商標)を堆積/スプレーすることができる、SmartWater(登録商標)デプロイメント・システムと;パラシュート回収システムとからなる群の任意の1つまたは複数である、請求項1に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項14】
前記ドッキング・ステーションは、外側ハウジングを含み、前記外側ハウジングは、前記ドッキング・ステーションから下向きに垂れ下がっており、前記ドローンがドッキングされているときに、前記ドローンの周りに保護カーテンを提供し、
前記ドッキング・ステーションは、前記ドローンのローターによって発生させられる空気フローを前記ドッキング・ステーションの中へおよび/または前記ドッキング・ステーションから外へ滑らかに方向付けるためのフェアリングを含む、請求項1に記載のドローン・ドッキング・システム。
【請求項15】
前記ドローンは、防水性であり、
前記ドローンの密度は、1gcm -3 よりも小さくなっており、前記ドローンが水に浮くようになっている、請求項1から14のいずれか一項に記載のドローン・ドッキング・システム。
【国際調査報告】