(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】セミダルポリエステル延伸糸およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
D01F 6/92 20060101AFI20220112BHJP
D01F 6/62 20060101ALI20220112BHJP
C08G 63/672 20060101ALI20220112BHJP
C08L 67/02 20060101ALI20220112BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
D01F6/92 309
D01F6/62 306C
D01F6/62 301Z
C08G63/672
C08L67/02
C08K3/22
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021530144
(86)(22)【出願日】2019-10-29
(85)【翻訳文提出日】2021-05-27
(86)【国際出願番号】 CN2019113839
(87)【国際公開番号】W WO2020134494
(87)【国際公開日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】201811615755.7
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518015734
【氏名又は名称】江蘇恒力化繊股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 麗麗
(72)【発明者】
【氏名】鈕 臧臧
(72)【発明者】
【氏名】楊 超明
【テーマコード(参考)】
4J002
4J029
4L035
【Fターム(参考)】
4J002CF051
4J002CF061
4J002CF071
4J002CF111
4J002CF121
4J002DE096
4J002DE137
4J002EW048
4J002FB076
4J002FD038
4J002FD206
4J002FD207
4J002GK01
4J029AA03
4J029AB07
4J029AC02
4J029AD01
4J029AE02
4J029BA03
4J029BF08
4J029BH04
4J029CA02
4J029CA03
4J029CA04
4J029CB06A
4J029CG01
4J029JA042
4J029JC712
4J029KE03
4L035AA05
4L035BB31
4L035BB81
4L035BB89
4L035BB91
4L035HH01
4L035JJ05
4L035JJ26
(57)【要約】
セミダルポリエステル延伸糸およびその製造方法を提供することを課題とする。セミダルポリエステル延伸糸の製造方法は、テレフタル酸、エチレングリコール、主鎖にケイ素を有するジオール、フッ素含有ジカルボン酸、艶消し剤及びドーピングにより改質されたBi2O3粉末を均一に混合した後、エステル化させさらに重縮合させ、該フッ素含有ジカルボン酸は2,2-ジフルオロ-1,3-マロン酸、2,2-ジフルオロ-1,4-コハク酸、2,2-ジフルオロ-1,5-グルタル酸、または2,2,3,3-テトラフルオロ-1,4-コハク酸とすることにより改質ポリエステルを準備し、さらに延伸糸(Fully Oriented Yarn,FDY)技術により該改質ポリエステルの融液を繊維になさせることである。本発明によれば、簡単な工程で染色性能と分解性能に優れたセミダルポリエステル延伸糸が製造できる。
【選択図】無し
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セミダルポリエステル延伸糸の製造方法において、
FDYプロセスにより改質ポリエステル溶融体から改質ポリエステルFDY糸、即ちセミダルポリエステル延伸糸を製造し、
改質ポリエステルは、テレフタル酸、エチレングリコール、主鎖にケイ素を有するジオール、フッ素含有ジカルボン酸、艶消し剤及びドーピングにより改質されたBi
2O
3粉末を均一に混合した後、エステル化反応及び重縮合反応をこの順で行うことにより製造され、
前記主鎖にケイ素を有するジオールは、ジメチルシランジオール、ジメチルジフェニルジシロキサンジオール、またはテトラメチルジシロキサンジオールであり、
前記フッ素含有ジカルボン酸は、2,2-ジフルオロ-1,3-マロン酸、2,2-ジフルオロ-1,4-コハク酸、2,2-ジフルオロ-1,5-グルタル酸、または2,2,3,3-テトラフルオロ-1,4-コハク酸であり、
前記改質ポリエステルにおける艶消し剤の含有量は、0.20~0.25wt%であり、
ドーピングによりBi
2O
3を改質する方法は、以下の通りであり、
Ca
2+を含有する溶液とBi
3+を含有する溶液を均一に混合し、得られた混合溶液のpH値が9~10になるまで沈殿剤を滴下し、沈殿した生成物を仮焼する
ことを特徴とするセミダルポリエステル延伸糸の製造方法。
【請求項2】
前記Ca
2+を含有する溶液は、濃度が2~3wt%であり、溶剤が水であり、溶液におけるアニオンがNO
3
-であり、
前記Bi
3+を含有する溶液は、濃度が20~25wt%のBi
2O
3溶液であり、溶剤が硝酸であり、
前記沈殿剤は、濃度が2mol/Lのアンモニア水であり、沈殿開始時に、混合溶液におけるCa
2+とBi
3+とのモル比は、5~8:100であり、
仮焼前に沈殿した生成物を洗浄して乾燥させ、乾燥温度は、105~110℃であり、乾燥時間は、2~3時間であり、
仮焼プロセスは、以下の通りであり、
400℃まで昇温した後2~3時間保持し、その後、700℃まで昇温した後1~2時間保持し、最後に空気中で冷却し、
Bi
2O
3をドーピングにより改質した後に粉碎して平均粒度が0.5μm未満の粉末が得られる
ことを特徴とする請求項1に記載のセミダルポリエステル延伸糸の製造方法。
【請求項3】
前記改質ポリエステルの製造工程は、以下のステップを含み、
ステップ(1)エステル化反応
テレフタル酸、エチレングリコール、主鎖にケイ素を有するジオール、及びフッ素含有ジカルボン酸をスラリーに調製し、ドーピングにより改質されたBi
2O
3粉末、触媒、艶消し剤及び安定剤を添加して均一に混合た後、窒素雰囲気中、常圧~0.3MPaの加圧圧力及び250~260℃の温度の下でエステル化反応を行い、生じた水の蒸留量が理論値の90%以上を超える時点で反応を終了し、
ステップ(2)重縮合反応
エステル化反応終了後、負圧で低真空段階の重縮合反応を開始し、この段階において250~260℃の反応温度で30~50分間かけて常圧から500Pa以下の絶対圧力まで真空引きし、その後、引き続き真空引きし、高真空段階の重縮合反応を行い、さらに反応圧力を100Pa以下の絶対圧力まで減圧し、270~282℃の反応温度で50~90分間反応させる
ことを特徴とする請求項2に記載のセミダルポリエステル延伸糸の製造方法。
【請求項4】
前記テレフタル酸と前記エチレングリコールとのモル比は、1:1.2~2.0であり、
主鎖にケイ素を有するジオールとフッ素含有ジカルボン酸との総合添加量は、テレフタル酸の添加量の3~5mol%であり、
主鎖にケイ素を有するジオールとフッ素含有ジカルボン酸とのモル比は、2~3:3~5であり、
ドーピングにより改質されたBi
2O
3粉末、触媒、艶消し剤及び安定剤の添加量は、それぞれテレフタル酸の添加量の0.04~0.07wt%、0.03~0.05wt%、0.20~0.25wt%及び0.01~0.05wt%である
ことを特徴とする請求項3に記載のセミダルポリエステル延伸糸の製造方法。
【請求項5】
前記触媒は、三酸化アンチモン、アンチモングリコレートまたは酢酸アンチモンであり、
前記艶消し剤は、二酸化チタンであり、
前記安定剤は、リン酸トリフェニル、リン酸トリメチルまたは亜リン酸トリメチルである
ことを特徴とする請求項4に記載のセミダルポリエステル延伸糸の製造方法。
【請求項6】
前記改質ポリエステルは、数平均分子量が25000~30000であり、分子量分布指数が1.8~2.2である
ことを特徴とする請求項5に記載のセミダルポリエステル延伸糸の製造方法。
【請求項7】
前記FDYプロセスの手順は、計量、紡糸口金の押出し、冷却、オイリング、延伸、熱定型及び巻取りであり、
前記FDYプロセスにおいて、紡糸温度は、285~295℃であり、冷却温度は、17~22℃であり、ネットワーク圧力は、0.20~0.30MPaであり、第1ローラ速度は、2300~2700m/minであり、第1ローラ温度は、80~90℃であり、第2ローラ速度は、4200~4500m/minであり、第2ローラ温度は、125~140℃であり、巻取速度は、4130~4420m/minである
ことを特徴とする請求項1に記載のセミダルポリエステル延伸糸の製造方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の製造方法により製造されたセミダルポリエステル延伸糸であって、
前記セミダルポリエステル延伸糸は、改質ポリエステルFDY糸であり、
改質ポリエステルの分子鎖は、テレフタル酸セグメント、エチレングリコールセグメント、主鎖にケイ素を有するジオールセグメント、及びフッ素含有ジカルボン酸セグメントを含み、
前記改質ポリエステルには、艶消し剤及びドーピングにより改質されたBi
2O
3粉末が分散されており、前記艶消し剤の含有量は、0.20~0.25wt%である
ことを特徴するセミダルポリエステル延伸糸。
【請求項9】
前記セミダルポリエステル延伸糸は、単糸繊度が0.7~3.0dtexであり、破断強度が3.5cN/dtex以上であり、破断伸び率が32.0±4.0%であり、ネットワーク度が13±2個/mであり、線密度偏差率が1.0%以下であり、破断強度CV値が5.0%以下であり、破断伸度CV値が9.0%以下であり、沸水収縮率が6.5±0.5%である
ことを特徴とする請求項8に記載のセミダルポリエステル延伸糸。
【請求項10】
前記セミダルポリエステル延伸糸は、120℃において、染着率が87.5~91.8%であり、K/S値が22.17~25.56であり、ソーピングに対する色堅ろう度が5級であり、乾摩擦堅ろう度が5級であり、湿摩擦堅ろう度が4級超えであり、25℃の温度及び65%の相対湿度で60月間置いた後、固有粘度が18~26%低下する
ことを特徴とする請求項8に記載のセミダルポリエステル延伸糸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概してポリエステル繊維製造技術に関し、より詳しくは、一種のセミダルポリエステル延伸糸およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル繊維は、高強度・高弾性率、適度な伸縮性、優れた熱固定性、良い耐熱・耐光性及び好ましい耐酸・耐アルカリ・耐腐食性などの機能を持って、生地にした時に防シワ性とハリコシある風合いが出られることもあるため、服地やホームテキスタイルやなどの分野に広く用いられている。昨今、社会発展と人々の生活水準の向上に伴って、スポーツ・レジャー・ファッション・快適で健康的な織物に対する要求はますます高くなっている。
【0003】
ポリエステル繊維は表面が滑らかで透明度があるため、光に照射されると、「つや」という強い反射光が見た目に不快感を与える。さて、繊維内に異なる屈折率の微粒子を添加すると、光を様々な方向へ乱反射させ、繊維の光沢が暗くなる。こんな処理は艶消し加工、該添加物は艶消し剤と呼びならわす。通常のポリエステル繊維に対する艶消し剤は酸化チタンになる。酸化チタンは、屈折率が大きく(空気の1.00に対する2.60である)、化学的安定性が高く、分散性が良く、水に溶けなく、高温による変動が少なく、繊維の後加工及び洗濯に安定性もあるので、広く使われている。
【0004】
以上の方法によりセミダルポリエステル繊維が得られるが、疎水性繊維に属して親水基がなし、レーヨン又はタンパク質系繊維のような染料親活基もないポリエステル繊維は、染めにくい素材である。更に、ポリエステル繊維が半結晶性のものであって、結晶領域には分子鎖が互いに平行し大体トランス型の立体配座としてならびに非晶領域には分子鎖が大体シス型の立体配座として、緻密な分子凝集状態を持つこととともに、その染色性がもっと悪くなる。今のポリエステル繊維の染色について、染着率の保証には通常高温(130℃)高圧で分散染料によって行えばならない。しかしながら、高温高圧染色においては、設備に対する要求が高くてエネルギー消費量が膨大で時間もかかるため、染色コストが高いである。なお、ポリエステル産業の急速な発展とともに、環境に直接的な害がないけれども、ポリエステル廃棄物は量が巨大で大気や微生物に安定性が固いので、もう世界的な汚染有機物となっている。
【0005】
それゆえ、染色性に優れ高効率な分解・回収ができるセミダルポリエステル延伸糸の製造方法は重要な意味を持つ課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、一種の染色性に優れ高効率な分解・回収ができるセミダルポリエステル延伸糸及びその製造方法を提供し、従来技術における困難問題を克服した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題に対して、本発明は以下の解決手段を選択する。
【0008】
改質ポリエステル融液を延伸糸(Fully Oriented Yarn,FDY)の技術により繊維にすることによって、セミダルポリエステル延伸糸を得る。
【0009】
前記改質ポリエステルの製造方法は、テレフタル酸、エチレングリコール、主鎖にケイ素を有するジオール、フッ素含有ジカルボン酸、艶消し剤及びドーピングにより改質されたBi2O3粉末を均一に混合させた後、エステル化させさらに重縮合させることである。
【0010】
該主鎖にケイ素を有するジオールがジメチルシランジオール、ジメチルジフェニルジシロキサンジオール、またはテトラメチルジシロキサンジオールとし、該フッ素含有ジカルボン酸が2,2-ジフルオロ-1,3-マロン酸、2,2-ジフルオロ-1,4-コハク酸、2,2-ジフルオロ-1,5-グルタル酸、または2,2,3,3-テトラフルオロ-1,4-コハク酸とする。
【0011】
該改質ポリエステルには艶消し剤が0.20~0.25wt%の範囲で存在する。該Bi2O3粉のドーピング修飾工程は、まずCa2+の溶液とBi3+の溶液を均一に混合し、次に沈殿剤を滴加して混合液のpH値を9~10に調整し、最後に沈殿物をカ焼することである。
【0012】
つまり、本発明は主鎖にケイ素を有するジオール、フッ素含有ジカルボン酸ならびにドーピングにより改質されたBi2O3粉末によって、セミダルポリエステル延伸糸の染色性及び自然分解性を改進する。
【0013】
そのうちに、主鎖にケイ素を有するジオールは主にポリエステル空孔型自由体積を増大してセミダルポリエステル延伸糸の染色性を著しく改進し、一方、その自然分解性の向上にある程度まで役立つ。
【0014】
分散染料が一種類の比較的小さい分子とし水溶性基を持たない染料であり、多くは数百ナノメートルないし1ミクロンの粒子の形で存在する。本発明における改質ポリエステルに含まれるケイ素-酸素結合(Si-O-Si)は、炭素-酸素結合に比べて、結合長が長くて内部回転の活性化エネルギーが比較的に低いである。染浴の120~130℃の温度に当たると、ケイ素-酸素結合を含む分子鎖は炭素-酸素結合を含む分子鎖より先に運動が始まりさらに運動の激しさがもっと強いだから、大きな空孔型自由体積が生じる効率が高くなる。よって、本発明の改質ポリエステル繊維の染色においては、染料粒子の繊維内部向けの拡散が速くなり染料分子が改質ポリエステル分子鎖内部向けの浸透が易くなって、低い染色温度、短い染色時間、少ないエネルギー消費及び高い染着率が得られる。
【0015】
本発明におけるフッ素含有ジカルボン酸はフッ素がα炭素に結合してあることを特徴とする。それで、改質ポリエステルの加水分解の際に、α炭素に結合するフッ素の強い電子吸引性のため、エステル基のC-O結合の電子密度が低下して四面体中間体アニオンの安定性も減って、エステルの加水分解に関する求核アシル置換反応がやすくなってある。一方、α炭素に結合するフッ素を有するジカルボン酸はテレフタル酸より立体障害が小さなので、求核アシル置換反応を利する。つまり、フッ素含有ジカルボン酸の利用はポリエステルの分解を著しく加速させる。
【0016】
一方、本発明はBi2O3粉のドーピング修飾工程によってポリエステルの自然分解性を著しく改進する。Bi2O3のような酸素還元触媒を含むポリエステルにおいて、空気の酸素は自由体積によりポリエステルの内部に入って、触媒の表面で還元反応が発生して、エステル結合を破壊し、ポリエステルの分解を加速させる。しかしながら、単一な酸素還元触媒だけで分解効率があまり上げらない。本発明におけるドーピングにより改質されたBi2O3粉末は、CaOとBi2O3との直接的な混合物に比べて、一方では表面積が広くなって単位質量当たりの酸素吸着量が向上しって、他方では酸素の吸着形式が本来の端式吸着から側式吸着になってBi素原子による立体障害を避ける。つまり、Bi素原子に対する酸素分子の吸着が強くなって酸素還元の効率が向上して、本発明におけるドーピングにより改質されたBi2O3粉末を含むポリエステル繊維は回収処理にあたりの分解効率が高くなって、環境保護に役立つ。
【0017】
本発明に係る好適態様を以下に示す。
【0018】
前記セミダルポリエステル延伸糸の製造方法において、述べたCa2+の溶液は2~3wt%の濃度のCaNO3の水溶液とし、述べたBi3+の溶液はBi2O3を20~25wt%の濃度で硝酸に溶解するものとし、述べた沈殿剤は2mol/Lの濃度のアンモニア水とする。
【0019】
沈殿が始まる際に、混合した溶液においてCa2+のBi3+に対するモル比は5~8:100とする。本発明は主触媒とするBi2O3にCa2+を入れることによって酸素イオンの伝導を加速して酸素還元反応を促進する。よって、該モル比は、大き過ぎるとBi2O3の性能に悪影響を与える一方、小さすぎると酸素イオンの伝導速度の向上があまりできない。
【0020】
前記カ焼の前に、沈殿物の洗浄と乾燥もある。該乾燥は105~110℃で2~3時
間をかけて行うことである。
【0021】
前記カ焼工程は、まず沈殿物を400℃まで加熱し2~3時間保温し、次に700℃
まで加熱し1~2時間保温し、最後に空気中に置いて冷却させることである。さらに、ドーピング修飾したBi2O3は粉砕して平均径が0.5ミクロン以下である粉末になさせる。本発明はカ焼工程によりカルシウムをBi2O3の結晶格子に入れて多くの高分散化の結晶欠陥を生じさせてBi2O3の結晶面を改質する。カ焼における冷却が遅すぎるとBi2O3に分散したカルシウムは集まって自分で結晶化する傾向がある。それに対して、空気で冷却するのはカルシウムの結晶化を抑制してBi2O3の結晶面の改質を利する。
【0022】
前記セミダルポリエステル延伸糸の製造方法における改質ポリエステルの合成は、以下のステップを含む。
【0023】
(1)エステル化反応では、
テレフタル酸、エチレングリコール、主鎖にケイ素を有するジオールならびにフッ素含有ジカルボン酸をスラリーに調製し、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末、重合触媒、艶消し剤及び安定剤を添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に常圧~0.3MPaの圧力及び250~260℃の温度の下で反応させ、生じた水の抜き出す量が理論値の90%以上を超える際に反応終点を決めてある。
(2)重縮合反応では、
エステル化反応の産物に常圧から絶対圧力500Pa以下まで30~50分間をかけて徐々に下がる負圧を与え、250~260℃の温度の下で30~50分間をかけて反応を続け、さらに負圧を100Pa以下まで持続的に与え、温度を270~282℃に制御し、50~90分間かけて反応を行ってある。
【0024】
前記セミダルポリエステル延伸糸の製造方法において、テレフタル酸のエチレングリコールに対するモル比は1:1.2~2.0とし、主鎖にケイ素を有するジオールとフッ素含有ジカルボン酸との添加量はテレフタル酸の添加量の3~5mol%とし、主鎖にケイ素を有するジオールのフッ素含有ジカルボン酸に対するモル比は2~3:3~5とし、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末、重合触媒、艶消し剤及び安定剤の添加量は別々にテレフタル酸の添加量の0.04~0.07wt%、0.03~0.05wt%、0.20~0.25wt%及び0.01~0.05wt%とする。本発明における主鎖にケイ素を有するジオール、フッ素含有ジカルボン酸またはドーピングにより改質されたBi2O3粉末の添加量は実運用により調整できるが、調整幅は大きすぎるべきではない。添加量は大き過ぎると繊維の機械物性などの性能に悪影響与える一方で小さすぎると繊維の染色及び自然分解に改善効果があまり現れない。
【0025】
前記セミダルポリエステル延伸糸の製造方法において、述べた重合触媒は三酸化アンチモン、アンチモングリコレートまたは酢酸アンチモンとし、述べた艶消し剤は二酸化チタンとし、述べた安定剤はリン酸トリフェニル、リン酸トリメチルまたは亜リン酸トリメチルとする。
【0026】
前記セミダルポリエステル延伸糸の製造方法において、改質ポリエステルは数平均分子量が25000~30000Daとし、分子量分布指数が1.8~2.2とする。
【0027】
前記セミダルポリエステル延伸糸の製造方法において、述べたFDYの技術は計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱定型及び巻取りの流れを含む工程であり;
【0028】
そこにおけるパラメータは、紡糸温度285~295℃、冷却温度17~22℃、ネットワーク圧力0.20~0.30MPa、第1ローラ速度2300~2700m/min、第1ローラ温度80~90℃、第2ローラ速度4200~4500m/min、第1ローラ温度125~140℃ならびに巻取り速度4130~4420m/minとする。
【0029】
本発明は前記セミダルポリエステル延伸糸の製造方法によるセミダルポリエステル延伸糸も提供し、それが改質ポリエステルのFDYである。
【0030】
該改質ポリエステルは、テレフタル酸のセグメント、エチレングリコールのセグメント、主鎖にケイ素を有するジオールのセグメント及びフッ素含有ジカルボン酸のセグメントを含む。
【0031】
該改質ポリエステルには、艶消し剤とドーピングにより改質されたBi2O3粉末を分散させてある。ならびに、艶消し剤の添加量が0.20~0.25wt%としてある。
【0032】
前記製造方法の好適態様によれば、本発明の主鎖にケイ素を有するジオールとフッ素含有ジカルボン酸とドーピングにより改質されたBi2O3粉末とを含有するセミダルポリエステル延伸糸は、
従来技術に比べて低下しないで、単糸繊度0.7~3.0dtex、破断強度3.5cN/dtex以上、破断伸度32.0±4.0%、ネットワーク度13±2個/m、線密度偏差率1.0%以下、破断強度CV値5.0%以下、破断伸度CV値9.0%以下、及び沸水収縮率6.5±0.5%とする基礎物性を有し、
通常のポリエステルに基づく繊維の染着率85.6%(130℃)、K/S値21.28、ソーピングに対する色堅ろう度5級以下(添付のポリエステル白布にあたる4~5級、添付の綿白布にあたる4級)、乾摩擦堅ろう度4~5級、ならびに湿摩擦堅ろう度3~4級とする染色性能に対して、染着率87.5~91.8%(120℃)、K/S値22.17~25.56、ソーピングに対する色堅ろう度5級(添付のポリエステル白布または添付の綿白布にあたる)、乾摩擦堅ろう度5級、ならびに湿摩擦堅ろう度4級超えとする染色性能を有し、
通常のポリエステルに比べて、25℃と65%の相対湿度との条件下で60月間をかけて置いた後の18~26%の固有粘度下りを示す著しく向上させる自然分解性能を有する。
【0033】
発明原理とするのは、以下の通りである。
【0034】
本発明は、主鎖にケイ素を有するジオールによりポリエステルを改質してポリエステル繊維の染色性能を改進し、同時にフッ素含有ジカルボン酸とドーピングにより改質されたBi2O3粉末との協同によりポリエステルをさらに改質してポリエステル繊維の分解を加速して繊維の回収問題を解決する。
【0035】
本発明における主鎖にケイ素を有するジオールは、ジメチルシランジオール、ジメチルジフェニルジシロキサンジオール、あるいはテトラメチルジシロキサンジオールであり、それらの構造式はそれぞれ
【化1】
【化2】
【化3】
である。
【0036】
高分子鎖は、分子鎖内部回転ポテンシャルに関する異なる主鎖構造すなわち異なる結合角、異なる結合長あるいは異なる結合様式により様々な剛直性を示している。本発明のケイ素を有るジオールを含む改質ポリエステル分子鎖においては、より長い-Si-O-Si-結合があるために分子鎖内部回転活性化エネルギーが低いであり、なお、より長いSi-Cが致した弱い立体障害のために-Si-O-Si-が通る平面に直交しSi素に隣接した-CH3基の三つの水素が伸び伸びとしている。こんな-CH3基は、互いに隣接するSi-Oセグメントの間隔を長くなさせる一方、惰性の側基として分子鎖と分子鎖との近寄ることを防ぐ。よって、本発明のケイ素を有するジオールを含むポリエステルは、分子鎖がとても柔らかいであり、空孔型自由体積がケイ素のない高分子より著しく増加する。しかしながら、高分子主鎖にあるケイ素に結合する置換基は小さい-CH3基に代わる長い側鎖とすれば、増加する自由体積が主にスリット型となって自由体積があまり増幅できない。さらに、長い側鎖によれば、高分子鎖の絡み合いが生じやすくなる。膨大な空孔型自由体積により水や染料粒子の繊維内部向けの浸透が易くなるため、本発明の改質ポリエステル繊維については、低い染色温度、短い染色時間、少ないエネルギー消費及び高い染着率が得られる。
【0037】
一方、アルカリによるポリエステルの加水分解は求核アシル置換反応の典型例であり,そこに強い求核試薬であるOH-イオンはエステル基RCOOR’のカルボニル炭素を求核攻撃して,四面体中間体アニオンを与える。四面体中間体アニオンよりアルコキシドイオンOR’を放出してエステル基を破断させるとカルボン酸を与える。さらに、プロトンH+がカルボン酸からアルコキシドイオンに移動してアルコールHOR’に変換される。しかしながら、込み合う構造がする四面体中間体により立体障害が生じるため、通常にポリエステルの分解は遅い速度がしている。さて、本発明は、フッ素がα炭素に結合することを特徴とするフッ素含有ジカルボン酸を利用した。それで、改質ポリエステルの加水分解の際に、α炭素に結合するフッ素の強い電子吸引性のため、エステル基のC-O結合の電子密度が低下して四面体中間体アニオンの安定性も減って、エステルの加水分解に関する求核アシル置換反応がやすくなってある。一方、α炭素に結合するフッ素を有するジカルボン酸はテレフタル酸より立体障害が小さなので、求核アシル置換反応を利する。つまり、フッ素含有ジカルボン酸の利用はポリエステルの分解が著しく加速できる。実に、フッ素をジカルボン酸のβ炭素に結合させると、上記分解の加速効果ができない。原因はフッ素の電子吸引性が隣の原子の範囲内に限って、エステル基のC-O結合にあまり影響を与えなくて、OH-のエステルのカルボニル炭素を求核攻撃することによるアシル置換反応に動きかけない。
【0038】
ポリエステル製品は通常に酸素を有する空気中にとどまている。一方で、酸素が吸着できる酸素還元触媒はポリエステル内部に含まれると、ポリエステルの内と外の間に酸素グラジエントが形成できる。そこで、酸素が空気からポリエステルの自由体積(空孔型自由体積および/またはスリット型自由体積)によりポリエステルの内部に徐々に浸透することもある。結局は酸素が酸素還元触媒の表面に集まって吸着層になり、さらに還元されて過酸化物になる。それで、エステル基RCOOR’は過酸化物によりRCOOOR’になり、そしてRCOOOR’はプロトンに攻撃されて過酸結合が破断してカルボン酸RCOOHを与え、同時にOR’はH+と結合してHOR’になる。そういうふうに、酸素還元触媒はエステル基を破断してその分解を加速する。
【0039】
本発明は、Ca2+とBi3+を溶液と混合し、沈殿剤で共沈させ、最後にカ焼する工程
流れにより、Bi2O3のCaOによるドーピング修飾を行って、Bi2O3の酸素還元反応を促進して、ポリエステルの分解を加速する。ある程度に、ドープイオンの半径がドープされたイオンの半径に近いほど,酸素活性点の形成及び酸素イオンの伝導に有利である。よって、本発明はBi3+と同じ半径のCa2+(同様の0.103nmとする)を選択する。ドーピング修飾のBi2O3に与える影響を以下に示す。
【0040】
本発明のおけるドーピング修飾工程はBi2O3の表面積を広くさせてその単位質量当たりの酸素吸着量が向上する一方で、Bi2O3の酸素吸着形式と酸素還元メカニズムも変える。一般的に、酸素はより弱い物理的なまたは弱い化学的な相互作用によってBi2O3の表面に吸着されて過酸化物に還元されている。本来のBi2O3においては、酸素が単斜のBi2O3の表面に端式で吸着されて、異なるBi2O3単斜晶面に吸着されてもずっとBi素原子による立体障害を受ける。ドーピング修飾済みのBi2O3においては、酸素の吸着形式は側式になってBi素原子による立体障害を避けて、酸素の化学吸着さらにO-O結合の破断による還元が促進されている。そこでポリエステルの分解は加速できる。それに対して、ただ物理的混合をすれば、CaOはBi2O3の結晶構造、酸素吸着形式及び酸素還元メカニズムに影響を及ぼされずに、ポリエステルの分解効率が向上できない。
【0041】
従来技術におけるポリエステルの分解はポリエステルの表面により始まることである。ところが、本発明の新規採用の改質ポリエステルに含まれる酸素還元触媒は、酸素がポリエステル内部で長い間にとどまることができって、エステル基の酸化反応を促進して、ポリエステルの分解を加速する。
【0042】
なお、本発明に利用した主鎖にケイ素を有するジオールは、ポリエステルの空孔型自由体積を増大して空気の酸素と水分子のポリエステル内部に浸透することを促進して、フッ素含有ジカルボン酸及びドーピングにより改質されたBi2O3粉末と協同してポリエステルの分解を加速する。
【発明の効果】
【0043】
本発明の利点としては、
1.本発明に提出したセミダルポリエステル延伸糸は、染色性能と機械的性質に優れ、分解で回収しやすい、改質しない通常の製品より品質が低減しなくて良い前景に応用できる。
2.本発明に提出したセミダルポリエステル延伸糸の製造方法は、主鎖にケイ素を有するジオールによりポリエステルの空孔型自由体積を増大させて空気の酸素と水分子の繊維内部に浸透することを促進して繊維の染色性能と自然分解を改進する一方、フッ素含有ジカルボン酸及びドーピングにより改質されたBi2O3粉末により繊維の自然分解をさらに促進して環境保護を利する。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、実施例を挙げてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、本発明の内容を読んだこの分野の技術者のいろいろな本発明を改正することを許されても、それは本発明の等価形として、本発明の請求の範囲内にも限定されている。
【0045】
実施例1
セミダルポリエステル延伸糸の製造方法は、以下の流れによる。
(1)改質ポリエステルの重合として、
(1.1)Bi2O3粉のドーピング修飾として、
(a)2.5wt%のCa(NO3)2の水溶液と22wt%のBi2O3の硝酸溶液を、Ca2+のBi3+に対するモル比は7:100として、均一に混合し、
(b)混合液に2mol/Lの濃度のアンモニア水を滴加してそのpH値が10とさせて沈殿を完結させ、沈殿物を洗浄し105℃で2.5時間をかけて乾燥し、
(c)乾燥した産物を400℃まで加熱し2.5時間保温し、さらに700℃まで加熱し1.5時間保温し、そして空気に置いて冷却させ、最後に粉砕して平均径の0.45ミクロンの粉末となさせる。
(1.2)エステル化として、
テレフタル酸、エチレングリコール、ジメチルシランジオールならびに2,2-ジフルオロ-1,3-マロン酸をスラリーに調製し、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末、三酸化アンチモン、二酸化チタン及びリン酸トリフェニルを添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に0.3MPaの圧力と250℃の温度の下で反応させ、生じた水の抜き出す量が理論値の95%に達する際に反応終点を決める。そのうちに、テレフタル酸のエチレングリコールに対するモル比は1:1.2とし、ジメチルシランジオールと2,2-ジフルオロ-1,3-マロン酸との添加量はテレフタル酸の添加量の3mol%とし、ジメチルシランジオールの2,2-ジフルオロ-1,3-マロン酸に対するモル比は2:3とし、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末、三酸化アンチモン、二酸化チタン及びリン酸トリフェニルの添加量は別々にテレフタル酸の添加量の0.05wt%、0.03wt%、0.22wt%及び0.02wt%とする。
(1.3)重合として、
エステル化反応の産物に常圧から絶対圧力490Paまで30分間をかけて徐々に下がる負圧を与え、252℃の温度の下で35分間をかけて反応を続け、さらに負圧を100Paまで持続的に与え、温度を270℃に制御し、50分間かけて反応を行い、最後に数平均分子量が30000Daであり分子量分布指数が2.0である改質ポリエステルを得る。
(2)セミダルポリエステル延伸糸の紡糸工程として、
改質ポリエステルを、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱定型及び巻取りのスッテプにより、FDYになる。そのうちに、紡糸温度は290℃、冷却温度は22℃、ネットワーク圧力は0.26MPa、第1ローラ速度は2300m/min、第1ローラ温度は85℃、第2ローラ速度は4500m/min、第1ローラ温度は140℃ならびに巻取り速度は4420m/minとする。
そこで、最終的に得られたセミダルポリエステル延伸糸は
単糸繊度0.7dtex、破断強度3.6cN/dtex、破断伸度32.0%、ネットワーク度13個/m、線密度偏差率0.95%、破断強度CV値4.45%、破断伸度CV値8.8%、及び沸水収縮率6.0%とする基礎物性を有し、
120℃で染められた時、染着率87.5%、K/S値24.22、ソーピングに対する色堅ろう度5級、乾摩擦堅ろう度5級、ならびに湿摩擦堅ろう度5級とする染色性能を有し、
25℃と65%の相対湿度との条件下で60月間をかけて置いた後、26%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
【0046】
比較例1
セミダルポリエステル延伸糸の製造方法は、ポリエステルに改質を与えないことを除外して、実施例1と同じである。そこで得られたセミダルポリエステル延伸糸は単糸繊度0.7dtex、破断強度3.5cN/dtex、破断伸度33.0%、ネットワーク度13個/m、線密度偏差率0.95%、破断強度CV値4.5%、破断伸度CV値8.8%、及び沸水収縮率6.2%とする基礎物性を有し、130℃で染められた時、染着率85.6%、K/S値21.28、ソーピングに対する色堅ろう度4級、乾摩擦堅ろう度4~5級、ならびに湿摩擦堅ろう度3~4級とする染色性能を有する。実施例1の結果に比べると、本発明のポリエステルに与える改質は繊維の機械的性能を減らずに繊維の染色性能を著しく改進することが結論できる。
【0047】
比較例2
セミダルポリエステル延伸糸の製造方法は、スッテプ(1)においてジメチルシランジオールを1,6-ヘキサンジオールで置換することを除外して、実施例1と同じである。そこで得られたセミダルポリエステル延伸糸は単糸繊度0.7dtex、破断強度3.4cN/dtex、破断伸度35.0%、ネットワーク度13個/m、線密度偏差率0.95%、破断強度CV値4.30%、破断伸度CV値8.8%、及び沸水収縮率6.5%とする基礎物性を有し、25℃と65%の相対湿度との条件下で60月間をかけて置いた後16.7%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有し、130℃(その他の条件が実施例1と同じである)で染められた時、染着率84.8%、K/S値20.56、ソーピングに対する色堅ろう度4~5級、ならびに湿摩擦堅ろう度4級とする染色性能を有する。
実施例1の結果に比べると、本発明におけるケイ素を含むジオールによりポリエステルに入れる-Si-O-Si-結合は、内部回転活性化エネルギーが低いために原子の自由回転を利してポリエステルの空孔型自由体積を増大させて、長鎖の置換基より繊維の染色性能と自然分解性能の向上にもっと有利にする。
【0048】
比較例3
セミダルポリエステル延伸糸の製造方法は、スッテプ(2)においてドーピングにより改質されたBi2O3粉末を与えないことを除外して、実施例1と同じである。そこで得られたセミダルポリエステル延伸糸は単糸繊度0.7dtex、破断強度3.5cN/dtex、破断伸度34.0%、ネットワーク度13個/m、線密度偏差率0.95%、破断強度CV値4.20%、破断伸度CV値8.8%、及び沸水収縮率6.4%とする基礎物性を有し、130℃(その他の条件が実施例1と同じである)で染められた時、染着率87.2%、K/S値23.98、ソーピングに対する色堅ろう度4~5級、乾摩擦堅ろう度4級、ならびに湿摩擦堅ろう度4級とする染色性能を有し、実施例1と同じ条件の下で13.7%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
実施例1の結果に比べると、本発明はドーピングにより改質されたBi2O3粉末を利用して、繊維の加工性能と機械的性能を減らずに繊維の自然分解を著しく加速する。なお、分解条件を調整すると繊維の分解をさらに加速することもできる。これは繊維の回収にきっと役立つ。
【0049】
比較例4
セミダルポリエステル延伸糸の製造方法は、スッテプ(1)において2,2-ジフルオロ-1,3-マロン酸を3,3-ジフルオロ-1,5-グルタル酸で置換すること除外して、実施例1と同じである。そこで得られたセミダルポリエステル延伸糸は単糸繊度0.7dtex、破断強度3.3cN/dtex、破断伸度35.0%、ネットワーク度13個/m、線密度偏差率0.95%、破断強度CV値4.00%、破断伸度CV値8.8%、及び沸水収縮率6.5%とする基礎物性を有し、25℃と65%の相対湿度との条件下で60月間をかけて置いた後12.8%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有し、130℃(その他の条件が実施例1と同じである)で染められた時、染着率86.97%、K/S値24.05、ソーピングに対する色堅ろう度4~5級、乾摩擦堅ろう度4級、ならびに湿摩擦堅ろう度4級とする染色性能を有する。
実施例1の結果に比べると、フッ素がα炭素に結合するジカルボン酸はフッ素がβ炭素に結合するジカルボン酸より繊維の自然分解の加速にもっと高い効率がしてある。原因は、β炭素に結合するフッ素の電子吸引性が隣の原子の範囲内に限って、エステル基のC-O結合にあまり影響を与えなくて、OH-のエステルのカルボニル炭素を求核攻撃することによるアシル置換反応に動きかけないことである。
【0050】
実施例2
セミダルポリエステル延伸糸の製造方法は、以下の流れによる。
(1)改質ポリエステルの重合として、
(1.1)Bi2O3粉のドーピング修飾として、
(a)2wt%のCa(NO3)2の水溶液と20wt%のBi2O3の硝酸溶液を、Ca2+のBi3+に対するモル比は5:100として、均一に混合し、
(b)混合液に2mol/Lの濃度のアンモニア水を滴加してそのpH値が9とさせて沈殿を完結させ、沈殿物を洗浄し105℃で2時間をかけて乾燥し、
(c)乾燥した産物を400℃まで加熱し2時間保温し、さらに700℃まで加熱し1時間保温し、そして空気に置いて冷却させ、最後に粉砕して平均径の0.4ミクロンの粉末となさせる。
(1.2)エステル化として、
テレフタル酸、エチレングリコール、ジメチルジフェニルジシロキサンジオールならびに2,2-ジフルオロ-1,4-コハク酸をスラリーに調製し、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末、三酸化アンチモン、二酸化チタン及びリン酸トリメチルを添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に0.2MPaの圧力と252℃の温度の下で反応させ、生じた水の抜き出す量が理論値の90%に達する際に反応終点を決める。そのうちに、テレフタル酸のエチレングリコールに対するモル比は1:1.5とし、ジメチルジフェニルジシロキサンジオールと2,2-ジフルオロ-1,4-コハク酸との添加量はテレフタル酸の添加量の3.2mol%とし、ジメチルジフェニルジシロキサンジオールの2,2-ジフルオロ-1,4-コハク酸に対するモル比は2:5とし、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末、三酸化アンチモン、二酸化チタン及びリン酸トリメチルの添加量は別々にテレフタル酸の添加量の0.04wt%、0.04wt%、0.20wt%及び0.04wt%とする。
(1.3)重合として、
エステル化反応の産物に常圧から絶対圧力420Paまで35分間をかけて徐々に下がる負圧を与え、250℃の温度の下で40分間をかけて反応を続け、さらに負圧を95Paまで持続的に与え、温度を271℃に制御し、55分間かけて反応を行い、最後に数平均分子量が28000Daであり分子量分布指数が2.0である改質ポリエステルを得る。
(2)セミダルポリエステル延伸糸の紡糸工程として、
改質ポリエステルを、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱定型及び巻取りのスッテプにより、FDYになる。そのうちに、紡糸温度は285℃、冷却温度は20℃、ネットワーク圧力は0.24MPa、第1ローラ速度は2700m/min、第1ローラ温度は90℃、第2ローラ速度は4300m/min、第1ローラ温度は125℃ならびに巻取り速度は4130m/minとする。
そこで、最終的に得られたセミダルポリエステル延伸糸は
単糸繊度1.5dtex、破断強度3.5cN/dtex、破断伸度28.0%、ネットワーク度11個/m、線密度偏差率0.9%、破断強度CV値4.9%、破断伸度CV値8.8%、及び沸水収縮率7.0%とする基礎物性を有し、
120℃で染められた時、染着率91.8%、K/S値22.17、ソーピングに対する色堅ろう度5級、乾摩擦堅ろう度5級、ならびに湿摩擦堅ろう度6級とする染色性能を有し、
25℃と65%の相対湿度との条件下で60月間をかけて置いた後、20%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
【0051】
実施例3
セミダルポリエステル延伸糸の製造方法は、以下の流れによる。
(1)改質ポリエステルの重合として、
(1.1)Bi2O3粉のドーピング修飾として、
(a)3wt%のCa(NO3)2の水溶液と25wt%のBi2O3の硝酸溶液を、Ca2+のBi3+に対するモル比は8:100として、均一に混合し、
(b)混合液に2mol/Lの濃度のアンモニア水を滴加してそのpH値が9とさせて沈殿を完結させ、沈殿物を洗浄し110℃で3時間をかけて乾燥し、
(c)乾燥した産物を400℃まで加熱し3時間保温し、さらに700℃まで加熱し2時間保温し、そして空気に置いて冷却させ、最後に粉砕して平均径の0.4ミクロンの粉末となさせる。
(1.2)エステル化として、
テレフタル酸、エチレングリコール、テトラメチルジシロキサンジオールならびに2,2-ジフルオロ-1,5-グルタル酸をスラリーに調製し、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末、アンチモングリコレート、二酸化チタン及び亜リン酸トリメチルを添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に0.1MPaの圧力と255℃の温度の下で反応させ、生じた水の抜き出す量が理論値の92%に達する際に反応終点を決める。そのうちに、テレフタル酸のエチレングリコールに対するモル比は1:1.3とし、テトラメチルジシロキサンジオールと2,2-ジフルオロ-1,5-グルタル酸との添加量はテレフタル酸の添加量の3.5mol%とし、テトラメチルジシロキサンジオールの2,2-ジフルオロ-1,5-グルタル酸に対するモル比は2.5:3とし、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末、アンチモングリコレート、二酸化チタン及び亜リン酸トリメチルの添加量は別々にテレフタル酸の添加量の0.04wt%、0.05wt%、0.24wt%及び0.01wt%とする。
(1.3)重合として、
エステル化反応の産物に常圧から絶対圧力500Paまで45分間をかけて徐々に下がる負圧を与え、260℃の温度の下で30分間をかけて反応を続け、さらに負圧を96Paまで持続的に与え、温度を273℃に制御し、60分間かけて反応を行い、最後に数平均分子量が25000Daであり分子量分布指数が2.2である改質ポリエステルを得る。
(2)セミダルポリエステル延伸糸の紡糸工程として、
改質ポリエステルを、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱定型及び巻取りのスッテプにより、FDYになる。そのうちに、紡糸温度は285℃、冷却温度は17℃、ネットワーク圧力は0.30MPa、第1ローラ速度は2400m/min、第1ローラ温度は83℃、第2ローラ速度は4500m/min、第1ローラ温度は125℃ならびに巻取り速度は4130m/minとする。
そこで、最終的に得られたセミダルポリエステル延伸糸は
単糸繊度2.0dtex、破断強度3.6cN/dtex、破断伸度36.0%、ネットワーク度15個/m、線密度偏差率0.95%、破断強度CV値4.4%、破断伸度CV値8.6%、及び沸水収縮率6.5%とする基礎物性を有し、
120℃で染められた時、染着率87.5%、K/S値22.17、ソーピングに対する色堅ろう度5級、乾摩擦堅ろう度5級、ならびに湿摩擦堅ろう度5級とする染色性能を有し、
25℃と65%の相対湿度との条件下で60月間をかけて置いた後、18%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
【0052】
実施例4
セミダルポリエステル延伸糸の製造方法は、以下の流れによる。
(1)改質ポリエステルの重合として、
(1.1)Bi2O3粉のドーピング修飾として、
(a)2.5wt%のCa(NO3)2の水溶液と25wt%のBi2O3の硝酸溶液を、Ca2+のBi3+に対するモル比は8:100として、均一に混合し、
(b)混合液に2mol/Lの濃度のアンモニア水を滴加してそのpH値が10とさせて沈殿を完結させ、沈殿物を洗浄し110℃で3時間をかけて乾燥し、
(c)乾燥した産物を400℃まで加熱し2.5時間保温し、さらに700℃まで加熱し2時間保温し、そして空気に置いて冷却させ、最後に粉砕して平均径の0.4ミクロンの粉末となさせる。
(1.2)エステル化として、
テレフタル酸、エチレングリコール、ジメチルシランジオールならびに2,2,3,3-テトラフルオロ-1,4-コハク酸をスラリーに調製し、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末、アンチモングリコレート、二酸化チタン及びリン酸トリフェニルを添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に0.1MPaの圧力と250℃の温度の下で反応させ、生じた水の抜き出す量が理論値の95%に達する際に反応終点を決める。そのうちに、テレフタル酸のエチレングリコールに対するモル比は1:1.6とし、ジメチルシランジオールと2,2,3,3-テトラフルオロ-1,4-コハク酸との添加量はテレフタル酸の添加量の4mol%とし、ジメチルシランジオールの2,2,3,3-テトラフルオロ-1,4-コハク酸に対するモル比は2.2:4とし、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末、アンチモングリコレート、二酸化チタン及びリン酸トリフェニルの添加量は別々にテレフタル酸の添加量の0.07wt%、0.04wt%、0.25wt%及び0.03wt%とする。
(1.3)重合として、
エステル化反応の産物に常圧から絶対圧力440Paまで40分間をかけて徐々に下がる負圧を与え、258℃の温度の下で40分間をかけて反応を続け、さらに負圧を99Paまで持続的に与え、温度を273℃に制御し、75分間かけて反応を行い、最後に数平均分子量が25000Daであり分子量分布指数が1.8である改質ポリエステルを得る。
(2)セミダルポリエステル延伸糸の紡糸工程として、
改質ポリエステルを、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱定型及び巻取りのスッテプにより、FDYになる。そのうちに、紡糸温度は295℃、冷却温度は17℃、ネットワーク圧力は0.20MPa、第1ローラ速度は2600m/min、第1ローラ温度は90℃、第2ローラ速度は4200m/min、第1ローラ温度は125℃ならびに巻取り速度は4360m/minとする。
そこで、最終的に得られたセミダルポリエステル延伸糸は
単糸繊度3.0dtex、破断強度3.5cN/dtex、破断伸度32.0%、ネットワーク度12個/m、線密度偏差率1.0%、破断強度CV値4.9%、破断伸度CV値9.0%、及び沸水収縮率6.8%とする基礎物性を有し、
120℃で染められた時、染着率89.63%、K/S値25.56、ソーピングに対する色堅ろう度5級、乾摩擦堅ろう度5級、ならびに湿摩擦堅ろう度5級とする染色性能を有し、
25℃と65%の相対湿度との条件下で60月間をかけて置いた後、18%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
【0053】
実施例5
セミダルポリエステル延伸糸の製造方法は、以下の流れによる。
(1)改質ポリエステルの重合として、
(1.1)Bi2O3粉のドーピング修飾として、
(a)2.5wt%のCa(NO3)2の水溶液と24wt%のBi2O3の硝酸溶液を、Ca2+のBi3+に対するモル比は6:100として、均一に混合し、
(b)混合液に2mol/Lの濃度のアンモニア水を滴加してそのpH値が10とさせて沈殿を完結させ、沈殿物を洗浄し107℃で2.5時間をかけて乾燥し、
(c)乾燥した産物を400℃まで加熱し2.5時間保温し、さらに700℃まで加熱し2時間保温し、そして空気に置いて冷却させ、最後に粉砕して平均径の0.45ミクロンの粉末となさせる。
(1.2)エステル化として、
テレフタル酸、エチレングリコール、ジメチルジフェニルジシロキサンジオールならびに2,2-ジフルオロ-1,3-マロン酸をスラリーに調製し、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末、酢酸アンチモン、二酸化チタン及びリン酸トリメチルを添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に常圧と260℃の温度の下で反応させ、生じた水の抜き出す量が理論値の91%に達する際に反応終点を決める。そのうちに、テレフタル酸のエチレングリコールに対するモル比は1:1.8とし、ジメチルジフェニルジシロキサンジオールと2,2-ジフルオロ-1,3-マロン酸との添加量はテレフタル酸の添加量の4mol%とし、ジメチルジフェニルジシロキサンジオールの2,2-ジフルオロ-1,3-マロン酸に対するモル比は3:4とし、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末、酢酸アンチモン、二酸化チタン及びリン酸トリメチルの添加量は別々にテレフタル酸の添加量の0.05wt%、0.03wt%、0.25wt%及び0.01wt%とする。
(1.3)重合として、
エステル化反応の産物に常圧から絶対圧力490Paまで50分間をかけて徐々に下がる負圧を与え、252℃の温度の下で35分間をかけて反応を続け、さらに負圧を100Paまで持続的に与え、温度を274℃に制御し、80分間かけて反応を行い、最後に数平均分子量が30000Daであり分子量分布指数が1.8である改質ポリエステルを得る。
(2)セミダルポリエステル延伸糸の紡糸工程として、
改質ポリエステルを、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱定型及び巻取りのスッテプにより、FDYになる。そのうちに、紡糸温度は292℃、冷却温度は22℃、ネットワーク圧力は0.20MPa、第1ローラ速度は2300m/min、第1ローラ温度は80℃、第2ローラ速度は4200m/min、第1ローラ温度は125℃ならびに巻取り速度は4420m/minとする。
そこで、最終的に得られたセミダルポリエステル延伸糸は
単糸繊度1.6dtex、破断強度3.7cN/dtex、破断伸度31.0%、ネットワーク度15個/m、線密度偏差率0.92%、破断強度CV値5.0%、破断伸度CV値8.4%、及び沸水収縮率7.0%とする基礎物性を有し、
120℃で染められた時、染着率89.20%、K/S値23.44、ソーピングに対する色堅ろう度5級、乾摩擦堅ろう度5級、ならびに湿摩擦堅ろう度6級とする染色性能を有し、
25℃と65%の相対湿度との条件下で60月間をかけて置いた後、21%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
【0054】
実施例6
セミダルポリエステル延伸糸の製造方法は、以下の流れによる。
(1)改質ポリエステルの重合として、
(1.1)Bi2O3粉のドーピング修飾として、
(a)3wt%のCa(NO3)2の水溶液と24wt%のBi2O3の硝酸溶液を、Ca2+のBi3+に対するモル比は7:100として、均一に混合し、
(b)混合液に2mol/Lの濃度のアンモニア水を滴加してそのpH値が10とさせて沈殿を完結させ、沈殿物を洗浄し110℃で2.5時間をかけて乾燥し、
(c)乾燥した産物を400℃まで加熱し3時間保温し、さらに700℃まで加熱し1.5時間保温し、そして空気に置いて冷却させ、最後に粉砕して平均径の0.45ミクロンの粉末となさせる。
(1.2)エステル化として、
テレフタル酸、エチレングリコール、テトラメチルジシロキサンジオールならびに2,2-ジフルオロ-1,4-コハク酸をスラリーに調製し、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末、酢酸アンチモン、二酸化チタン及び亜リン酸トリメチルを添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に常圧と254℃の温度の下で反応させ、生じた水の抜き出す量が理論値の94%に達する際に反応終点を決める。そのうちに、テレフタル酸のエチレングリコールに対するモル比は1:2.0とし、テトラメチルジシロキサンジオールと2,2-ジフルオロ-1,4-コハク酸との添加量はテレフタル酸の添加量の4.5mol%とし、テトラメチルジシロキサンジオールの2,2-ジフルオロ-1,4-コハク酸に対するモル比は3:5とし、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末、酢酸アンチモン、二酸化チタン及び亜リン酸トリメチルの添加量は別々にテレフタル酸の添加量の0.07wt%、0.04wt%、0.20wt%及び0.05wt%とする。
(1.3)重合として、
エステル化反応の産物に常圧から絶対圧力450Paまで35分間をかけて徐々に下がる負圧を与え、250℃の温度の下で50分間をかけて反応を続け、さらに負圧を100Paまで持続的に与え、温度を275℃に制御し、85分間かけて反応を行い、最後に数平均分子量が27800Daであり分子量分布指数が1.8である改質ポリエステルを得る。
(2)セミダルポリエステル延伸糸の紡糸工程として、
改質ポリエステルを、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱定型及び巻取りのスッテプにより、FDYになる。そのうちに、紡糸温度は295℃、冷却温度は18℃、ネットワーク圧力は0.20MPa、第1ローラ速度は2300m/min、第1ローラ温度は80℃、第2ローラ速度は4400m/min、第1ローラ温度は130℃ならびに巻取り速度は4420m/minとする。
そこで、最終的に得られたセミダルポリエステル延伸糸は
単糸繊度2.5dtex、破断強度3.5cN/dtex、破断伸度33.0%、ネットワーク度11個/m、線密度偏差率1.0%、破断強度CV値5.0%、破断伸度CV値8.2%、及び沸水収縮率6.5%とする基礎物性を有し、
120℃で染められた時、染着率91.8%、K/S値25.56、ソーピングに対する色堅ろう度5級、乾摩擦堅ろう度5級、ならびに湿摩擦堅ろう度6級とする染色性能を有し、
25℃と65%の相対湿度との条件下で60月間をかけて置いた後、22%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
【0055】
実施例7
セミダルポリエステル延伸糸の製造方法は、以下の流れによる。
(1)改質ポリエステルの重合として、
(1.1)Bi2O3粉のドーピング修飾として、
(a)2.5wt%のCa(NO3)2の水溶液と25wt%のBi2O3の硝酸溶液を、Ca2+のBi3+に対するモル比は8:100として、均一に混合し、
(b)混合液に2mol/Lの濃度のアンモニア水を滴加してそのpH値が10とさせて沈殿を完結させ、沈殿物を洗浄し110℃で3時間をかけて乾燥し、
(c)乾燥した産物を400℃まで加熱し3時間保温し、さらに700℃まで加熱し2時間保温し、そして空気に置いて冷却させ、最後に粉砕して平均径の0.45ミクロンの粉末となさせる。
(1.2)エステル化として、
テレフタル酸、エチレングリコール、テトラメチルジシロキサンジオールならびに2,2-ジフルオロ-1,5-グルタル酸をスラリーに調製し、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末、三酸化アンチモン、二酸化チタン及びリン酸トリメチルを添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に0.3MPaの圧力と254℃の温度の下で反応させ、生じた水の抜き出す量が理論値の99%に達する際に反応終点を決める。そのうちに、テレフタル酸のエチレングリコールに対するモル比は1:1.3とし、テトラメチルジシロキサンジオールと2,2-ジフルオロ-1,5-グルタル酸との添加量はテレフタル酸の添加量の5mol%とし、テトラメチルジシロキサンジオールの2,2-ジフルオロ-1,5-グルタル酸に対するモル比は2.5:3とし、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末、三酸化アンチモン、二酸化チタン及びリン酸トリメチルの添加量は別々にテレフタル酸の添加量の0.06wt%、0.04wt%、0.21wt%及び0.01wt%とする。
(1.3)重合として、
エステル化反応の産物に常圧から絶対圧力500Paまで45分間をかけて徐々に下がる負圧を与え、260℃の温度の下で50分間をかけて反応を続け、さらに負圧を90Paまで持続的に与え、温度を277℃に制御し、90分間かけて反応を行い、最後に数平均分子量が30000Daであり分子量分布指数が2.2である改質ポリエステルを得る。
(2)セミダルポリエステル延伸糸の紡糸工程として、
改質ポリエステルを、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱定型及び巻取りのスッテプにより、FDYになる。そのうちに、紡糸温度は295℃、冷却温度は22℃、ネットワーク圧力は0.30MPa、第1ローラ速度は2700m/min、第1ローラ温度は86℃、第2ローラ速度は4500m/min、第1ローラ温度は135℃ならびに巻取り速度は4130m/minとする。
そこで、最終的に得られたセミダルポリエステル延伸糸は
単糸繊度1.2dtex、破断強度3.5cN/dtex、破断伸度32.0%、ネットワーク度13個/m、線密度偏差率0.88%、破断強度CV値4.5%、破断伸度CV値9.0%、及び沸水収縮率7.0%とする基礎物性を有し、
120℃で染められた時、染着率87.5%、K/S値23.55、ソーピングに対する色堅ろう度5級、乾摩擦堅ろう度5級、ならびに湿摩擦堅ろう度6級とする染色性能を有し、
25℃と65%の相対湿度との条件下で60月間をかけて置いた後、26%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
【国際調査報告】