(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】フルダルポリエステル延伸糸およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
D01F 6/92 20060101AFI20220112BHJP
C08G 63/12 20060101ALI20220112BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20220112BHJP
C08L 67/02 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
D01F6/92 301B
C08G63/12
C08K3/22
C08L67/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021530178
(86)(22)【出願日】2019-10-29
(85)【翻訳文提出日】2021-05-27
(86)【国際出願番号】 CN2019113843
(87)【国際公開番号】W WO2020134495
(87)【国際公開日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】201811614058.X
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518015734
【氏名又は名称】江蘇恒力化繊股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尹 立新
(72)【発明者】
【氏名】陳 鋒
(72)【発明者】
【氏名】孫 暁華
【テーマコード(参考)】
4J002
4J029
4L035
【Fターム(参考)】
4J002CF031
4J002CF041
4J002CF051
4J002CF061
4J002CF091
4J002CF121
4J002DE096
4J002DE137
4J002EW048
4J002FD038
4J002FD206
4J002FD207
4J002GK01
4J029AA03
4J029AB07
4J029AC02
4J029AD01
4J029AE02
4J029BA02
4J029BA03
4J029CA03
4J029CA04
4J029CG01
4J029HA01
4J029HB01
4J029KE03
4L035AA05
4L035BB31
4L035BB36
4L035BB89
4L035BB91
4L035JJ05
4L035JJ15
4L035KK05
(57)【要約】
フルダルポリエステル延伸糸およびその製造方法を提供することを課題とする。フルダルポリエステル延伸糸の製造方法は、テレフタル酸、エチレングリコール、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオール、フッ素含有ジカルボン酸、艶消し剤、高温カ焼した多相固体酸・塩基粉末、及びドーピングにより改質されたBi2O3粉末を均一に混合した後、エステル化させさらに重縮合させて改質ポリエステルを準備し、それで延伸糸(Fully Oriented Yarn,FDY)技術により該改質ポリエステルの融液を繊維になさせることである。得られた繊維は、25℃と65%の相対湿度との条件下で60月間をかけて置いた後、固有粘度下りは18~25%である。本発明は、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオール、フッ素含有ジカルボン酸、艶消し剤、高温カ焼した多相固体酸・塩基粉末、及びドーピングにより改質されたBi2O3粉末により、ポリエステル繊維の分解性能を促進する。
【選択図】無し
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルダルポリエステル延伸糸の製造方法において、
FDYプロセスにより改質ポリエステル溶融体から改質ポリエステルFDY糸、即ちフルダルポリエステル延伸糸を製造し、
改質ポリエステルは、テレフタル酸、エチレングリコール、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオール、フッ素含有ジカルボン酸、艶消し剤、高温で焙焼した多相固体酸・塩基粉末、及びドーピングにより改質されたBi
2O
3粉末を均一に混合した後、エステル化反応及び重縮合反応をこの順で行うことにより製造され、
前記2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールの構造式は、
【化1】
であり、
前記フッ素含有ジカルボン酸は、2,2-ジフルオロ-1,3-マロン酸、2,2-ジフルオロ-1,4-コハク酸、2,2-ジフルオロ-1,5-グルタル酸、または2,2,3,3-テトラフルオロ-1,4-コハク酸であり、
前記改質ポリエステルにおける艶消し剤の含有量は、2wt%以上であり、
前記多相固体酸・塩基の焙焼温度は、400~700℃であり、前記多相固体酸・塩基は、SiO
2-Al
2O
3及び/又はSiO
2-MgOであり、
ドーピングによりBi
2O
3を改質する方法は、以下の通りであり、
Ca
2+を含有する溶液とBi
3+を含有する溶液を均一に混合し、得られた混合溶液のpH値が9~10になるまで沈殿剤を滴下し、沈殿した生成物を仮焼する
ことを特徴とするフルダルポリエステル延伸糸の製造方法。
【請求項2】
前記Ca
2+を含有する溶液は、濃度が2~3wt%であり、溶剤が水であり、溶液におけるアニオンがNO
3
-であり、
前記Bi
3+を含有する溶液は、濃度が20~25wt%のBi
2O
3溶液であり、溶剤が硝酸であり、
前記沈殿剤は、濃度が2mol/Lの濃度のアンモニア水であり、沈殿開始時に、混合溶液におけるCa
2+とBi
3+とのモル比は、5~8:100であり、
仮焼前に沈殿した生成物を洗浄して乾燥させ、乾燥温度は、105~110℃であり、乾燥時間は、2~3時間であり、
仮焼プロセスは、以下の通りであり、
400℃まで昇温した後2~3時間保持し、その後、700℃まで昇温した後1~2時間保持し、最後に空気中で冷却し、
Bi
2O
3をドーピングにより改質した後に粉碎して平均粒度が0.5μm未満の粉末が得られ、
前記多相固体酸・塩基を2~4時間高温で焙焼した後に粉砕して平均粒度が0.5μm未満の粉末が得られ、SiO
2-Al
2O
3とSiO
2-MgOにおけるSiO
2の含有量は、20~60wt%である
ことを特徴とする請求項1に記載のフルダルポリエステル延伸糸の製造方法。
【請求項3】
前記2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールの合成方法は、以下の通りであり、
(1)KOH粉末、3-メチル-3-ヒドロキシブチン、3,3-ジメチル-2-ブタノン及びイソプロピルエーテルを、モル比が1~1.2:1:1.2~1.3:2.0~3.0となるように混合し、氷浴で2~4時間反応させ、反応が完了した後冷却して結晶化させ、遠心分離、洗浄、精製、乾燥を行い、オクチンジオールを取得し、
(2)オクチンジオール、エタノール及びパラジウム触媒を、重量比が2~3:10:0.01~0.03となるように混合し、40~50℃の下で水素ガスを持続的に供給して50~60分間反応させ、反応が完了した後分離、精製して2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールを取得する
ことを特徴とする請求項2に記載のフルダルポリエステル延伸糸の製造方法。
【請求項4】
前記改質ポリエステルの製造工程は、以下のステップを含み、
ステップ(1)エステル化反応
テレフタル酸、エチレングリコール、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオール、及びフッ素含有ジカルボン酸をスラリーに調製し、高温で焙焼した多相固体酸・塩基粉末、ドーピングにより改質されたBi
2O
3粉末、触媒、艶消し剤及び安定剤を添加して均一に混合した後、窒素雰囲気中、常圧~0.3MPaの加圧環境及び250~260℃の温度の下でエステル化反応を行い、生成した水の蒸留量が理論値の90%以上を超える時点で反応を終了し、
ステップ(2)重縮合反応
エステル化反応終了後、負圧で低真空段階の重縮合反応を開始し、この段階において250~260℃の反応温度で30~50分間かけて常圧から500Pa以下の絶対圧力まで真空引きし、その後、引き続き真空引きし、高真空段階の重縮合反応を行い、さらに反応圧力を100Pa以下の絶対圧力まで減圧し、270~282℃の反応温度で50~90分間反応させる
ことを特徴とする請求項3に記載のフルダルポリエステル延伸糸の製造方法。
【請求項5】
前記テレフタル酸と前記エチレングリコールとのモル比は1:1.2~2.0であり、
前記2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールと前記フッ素含有ジカルボン酸との総合添加量は、前記テレフタル酸の添加量の3~5mol%であり、
前記2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールと前記フッ素含有ジカルボン酸とのモル比は、2~3:3~4であり、
高温で焙焼した多相固体酸・塩基粉末、ドーピングにより改質されたBi
2O
3粉末、触媒、艶消し剤及び安定剤の添加量は、それぞれテレフタル酸の添加量の0.03~0.05wt%、0.04~0.07wt%、0.03~0.05wt%、2~3wt%、0.01~0.05wt%である
ことを特徴とする請求項4に記載のフルダルポリエステル延伸糸の製造方法。
【請求項6】
前記触媒は、三酸化アンチモン、アンチモングリコレートまたは酢酸アンチモンであり、
前記艶消し剤は、二酸化チタンであり、
前記安定剤は、リン酸トリフェニル、リン酸トリメチルまたは亜リン酸トリメチルである
ことを特徴とする請求項5に記載のフルダルポリエステル延伸糸の製造方法。
【請求項7】
前記改質ポリエステルは、数平均分子量が25000~30000であり、分子量分布指数が1.8~2.2である
ことを特徴とする請求項6に記載のフルダルポリエステル延伸糸の製造方法。
【請求項8】
前記FDYプロセスの手順は、計量、紡糸口金の押出し、冷却、オイリング、延伸、熱定型及び巻取りであり、
前記FDYプロセスにおいて、紡糸温度は、285~295℃であり、冷却温度は、20~25℃であり、ネットワーク圧力は、0.20~0.30MPaであり、第1ローラ速度は、1600~1800m/minであり、第1ローラ温度は、70~80℃であり、第2ローラ速度は、3000~3200m/minであり、第2ローラ温度は、105~130℃であり、巻取速度は、2950~3130m/minである
ことを特徴とする請求項1に記載のフルダルポリエステル延伸糸の製造方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の製造方法により製造されたフルダルポリエステル延伸糸であって、
前記フルダルポリエステル延伸糸は、改質ポリエステルFDY糸であり、
改質ポリエステルの分子鎖は、テレフタル酸セグメント、エチレングリコールセグメント、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールセグメント及びフッ素含有ジカルボン酸セグメントを含み、
前記改質ポリエステルには、艶消し剤、ドーピングにより改質されたBi
2O
3粉末及び高温で焙焼した多相固体酸・塩基粉末が分散されており、前記艶消し剤の含有量は、2wt%である
ことを特徴とするフルダルポリエステル延伸糸。
【請求項10】
前記フルダルポリエステル延伸糸は、単糸繊度が1.0~3.0dtexであり、破断強度が2.0cN/dtex以上であり、破断伸び率が42.0±4.0%であり、ネットワーク度が19±4個/mであり、線密度偏差率が1.0%以下であり、破断強度CV値が8.0%以下であり、破断伸度CV値が10.0%以下であり、沸水収縮率が50.0±10.5%であり、25℃の温度及び65%の相対湿度で60月間置いた後、固有粘度が18~25%低下する
ことを特徴とする請求項9に記載のフルダルポリエステル延伸糸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概してポリエステル繊維製造技術に関し、より詳しくは、一種のフルダルポリエステル延伸糸およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国内外のポリエステル産能の急増とともに、ポリエステル長繊維における市場競争はますます熾烈になり、利潤率は持続的に低下している。市場優位を求める企業によって、高技術・高付加価値の産品の開発はしなければならない。それゆえ、ポリエステル繊維は差別化と機能化の方向に進めさせている。普通のポリエステル繊維は規則的な形状、滑らかな表面またはある透明度がしているが、異なる屈折率の物質を添付されると光の乱反射が起きるため、光沢が暗くなっている。こんなフルダルポリエステル繊維製品は、良い遮光性とともに一定の紫外線耐性もあるので、広い前景に応用でき、より高い利潤率が得られる。
【0003】
通常のポリエステル繊維に対する艶消し剤は酸化チタンになる。酸化チタンは、屈折率が大きく(空気の1.00に対する2.60である)、化学的安定性が高く、分散性が良く、水に溶けなく、高温による変動が少なく、繊維の後加工及び洗濯に安定性もあるため、広く使われている。なお、ナノサイズ酸化チタンは、毒性や臭いもなくて安定的な紫外線吸収剤として、ポリエステル生地に耐紫外線性を与えって、スポーツウェア、水着またはテント等の場合に適用できる。市場調査によっては、国内のフルダルポリエステル長繊維の需要量がもう高くしている。フルダルポリエステルによる生地は、滑らかな手触り、柔らかい光沢、鮮やか色、ドレープ性がある風合を持って、高級衣類や掛け布の分野に広く使用されている。
【0004】
ポリエステル産業の急速な発展に絆って、環境に直接的な害を及ぼさないだけど、廃棄物の排出量が膨大で大気環境と微生物に高い耐性を持つポリエステルは、世界的な有機環境汚染物質となっている。圧倒的多数のポリエステルは衣類に使用されている、それで、衣料品の消費量の急増とともに衣類廃棄物も年々増えている。毎年中国だけで衣類廃棄物の排出量は約3000万トンとなっている。今のポリエステル廃棄物処理は、埋立、焼却または再生利用等によって行っている。埋立や焼却は便利だが環境に悪影響もあるし、再生利用は有効的で科学的な適正処理である。しかしながら、緻密な構造・高い結晶度を持つポリエステルは自然分解が遅いだから、再生利用処理の割合はまだ小さく、リサイクルの比率が最も高い米国でも13%にとどまっている。近年中国のポリエステル再生利用はますます推し進められているが、回収率はまだ10%未満である。実用化のポリエステル分解方法は多く化学分解と採用している。化学分解は主に水、アルコール、アンモニア、アミンまたは熱などにより行うことで分けられている。しかしながら、今の化学分解によるポリエステル処理は、速度が遅くて効率が低いため、大量の衣類廃棄物の再生利用問題がまだ解決できない。とにかく、環境の保全、資源の有効な利用及び持続可能な発展を目指すことに対して、衣料品用ポリエステル繊維すなわちポリエステル長繊維の自然分解は喫緊の課題となっている。
【0005】
それゆえ、分解速度が速くて分解効果が良いフルダルポリエステル延伸糸に関する研究は重要な意味を持つ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、一種の分解速度が速くて分解効果が良いフルダルポリエステル延伸糸及びその製造方法を提供し、従来技術における困難問題を克服した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題に対して、本発明は以下の解決手段を選択する。
【0008】
改質ポリエステル融液を延伸糸(Fully Oriented Yarn,FDY)の技術により繊維にすることによって、フルダルポリエステル延伸糸を得る。
【0009】
前記改質ポリエステルの製造方法は、テレフタル酸、エチレングリコール、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオール、フッ素含有ジカルボン酸、艶消し剤、高温でカ焼した多相固体酸・塩基粉及びドーピング修飾Bi2O3粉を均一に混合させた後、エステル化させさらに重縮合させることである。
【0010】
該2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールは、以下の構造式と示す。
【化1】
【0011】
該フッ素含有ジカルボン酸は2,2-ジフルオロ-1,3-マロン酸、2,2-ジフルオロ-1,4-コハク酸、2,2-ジフルオロ-1,5-グルタル酸、または2,2,3,3-テトラフルオロ-1,4-コハク酸とする。
【0012】
該艶消し剤は2wt%以上の量で改質ポリエステルに存在する。
【0013】
該多相固体酸・塩基はSiO2-Al2O3及び/又はSiO2-MgOとし、その高温カ焼の温度は400~700℃とする。
【0014】
該Bi2O3粉のドーピング修飾工程は、まずCa2+の溶液とBi3+の溶液を均一に混合し、次に沈殿剤を滴加して混合液のpH値を9~10に調整し、最後に沈殿物をカ焼することである。
【0015】
本発明は、ポリエステルの空孔型自由体積が著しく増大できる2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールによりポリエステルを改質した。2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールに含まれるテルトブチル基は、ポリエステル主鎖の活動性を変えて主鎖の間の相互作用力さらに主鎖の間の距離を変化させる。よって、ポリエステルの空孔型自由体積は増大して、スリット型自由体積より空気や水の繊維内部へ浸透することにもっと有利であって、ポリエステルの自然分解をある程度で促進する。
【0016】
なお、本発明はフッ素含有ジカルボン酸、高温でカ焼した多相固体酸・塩基粉及びド
ーピング修飾Bi2O3粉によりポリエステルの自然分解性をさらに改進する。
【0017】
本発明におけるフッ素含有ジカルボン酸はフッ素がα炭素に結合してあることを特徴とする。それで、改質ポリエステルの加水分解の際に、α炭素に結合するフッ素の強い電子吸引性のため、エステル基のC-O結合の電子密度が低下して四面体中間体アニオンの安定性も減って、エステルの加水分解に関する求核アシル置換反応がやすくなってある。一方、α炭素に結合するフッ素を有するジカルボン酸はテレフタル酸より立体障害が小さなので、求核アシル置換反応を利する。つまり、フッ素含有ジカルボン酸の利用はポリエステルの分解を著しく加速させる。
【0018】
ドーピング修飾Bi2O3粉のポリエステルの自然分解性能を促進する根拠は以下に示す。酸素が吸着できる酸素還元触媒はポリエステル内部に含まれると、酸素が空気からポリエステルの自由体積によりポリエステルの内部に浸透しエステル結合を破断してポリエステルの分解を加速できる。ところが、純粋な酸素還元触媒だけで分解を加速する効果がまだ不十分である。本発明におけるBi2O3粉はCaOにドーピング修飾されてその結晶面構造を改質するため、CaOとBi2O3との直接的な混合物に比べて、一方では表面積が広くなって単位質量当たりの酸素吸着量が向上しって、他方では酸素の吸着形式が本来の端式吸着から側式吸着になってBi素原子による立体障害を避ける。つまり、Bi素原子に対する酸素分子の吸着が強くなって酸素還元の効率が向上できる。よって、本発明におけるドーピング修飾Bi2O3粉を含むポリエステル繊維は回収処理にあたりの分解効率が高くなって、環境保護に役立つ。
【0019】
そのうえ、本発明はポリエステルに多相固体酸・塩基を入れてポリエステルの分解をさらに加速する。H2Oはエステル基RCOOR’のカルボニル炭素に対する求核攻撃能力がより弱くて、求核アシル置換反応に関する四面体中間体が生成しくいだから、ポリエステルの水分解が遅いことである。個体塩基は水と反応してH2Oよりもっと強い求核能力を持つイオンOH-を放出してこの困難を除く。一方、ポリエステルのカルボニル炭素の隣にあるのは多く電気陰性基だから、カルボニル炭素の求核剤に攻撃される能力が低下である。固体酸は電離してプロトンH+が放出でき、H+がカルボニル基を攻撃すると四面体中間体カチオンが生じ、そしてカルボニル基酸素が正の電荷を帯びてカルボニル基炭素から電子を吸引してその炭素にある正電気を与える。よって、カルボニル基炭素の求核剤に攻撃される能力が向上できる。または、固体酸と個体塩基は協同作用(求電子剤の酸及び求核剤の塩基が誘発する有機化合物の反応において反応物は多相固体酸・塩基とのプロトンまたは電子対の授受作用により活発な陽イオンまたは陰イオンになってさらに産物になり、そのうえ、酸と塩素は触媒として循環利用ができること)がして、ポリエステルと選択的に配位して、生じた中間体において酸・アルカリ触媒機構によりC=O二重結合を形成させてまたは破断させて、ポリエステルの水分解を加速する。
【0020】
SiO2-Al2O3またはSiO2-MgOの調製方法としては、
SiO2含有量が10~15wt%とするケイ酸ナトリウム溶液を準備し、ケイ酸ナトリウム溶液の3~5%重量部の分散剤ポリエチレングリコール6000を加え、溶解するまで40~50℃で混合液をよくかき混ぜ、pH値の10まで濃度の10~15wt%の硫酸を一定の速度で滴加し、エイジングの0.5~1.0時間後pHの8まで硫酸滴加を続け、90~95℃まで加熱し、2時間のエイジングで沈殿を完結させ、水で洗浄してSO4
2-を除去し、吸引ろ過した沈殿物を無水エタノールでよく洗浄し80~85℃で乾燥し研磨で粉末のSiO2になさせ、
SiO2粉末の1重量部と水の50~60重量部をかき混ぜ、硫酸アルミニウムまたは硫酸マグネシウムの濃度が4~5wt%とする溶液の2~3重量部を滴加し、混合液のpH値を濃度の0.5~1.0mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で中性に調整しさらに濃度の8~10wt%の硫酸で8に調整し、1~2時間のエイジングで沈殿を完結させ、SO4
2-不検出まで水で洗浄し、吸引ろ過したケーキを無水エタノールでよく洗浄し100℃で乾燥し最後に400~700℃で2~4時間かけてカ焼して多相固体ポリ酸のSiO2-Al2O3またはSiO2-MgOになさせることである。
本発明の高温カ焼は、上記の調製工程における不要な硫酸イオンや硝酸イオンを除去
し、一定の雰囲気と温度の下で多相固体酸・塩基の中間体を分解させさらに活性化させ、そこで中間体の塩を金属酸化物になさせることを目指して、その温度が中間体の分解と活性化条件に合えばもう十分とする。実に、多相固体酸・塩基のSiO2-Al2O3及び/又はSiO2-MgOに対して、カ焼の温度は高すぎると部分のSiO2を気化させてしまう。
【0021】
本発明の好適態様は以下に示す。
【0022】
前記フルダルポリエステル延伸糸の製造方法において、述べたCa2+の溶液は濃度の2~3wt%のCaNO3の水溶液とし、述べたBi3+の溶液はBi2O3を20~25wt%の濃度で硝酸に溶解するものとし、述べた沈殿剤は2mol/Lの濃度のアンモニア水とする。沈殿が始まる際に、混合した溶液においてCa2+のBi3+に対するモル比は5~8:100とする。本発明は主触媒とするBi2O3にCa2+を入れることによって酸素イオンの伝導を加速して酸素還元反応を促進する。それゆえ、該モル比は大き過ぎるとBi2O3の性能に悪影響を与える一方、小さすぎると酸素イオンの伝導速度の向上にあまり動きかけない。
【0023】
上記カ焼工程前の沈殿物処理に関する乾燥は、105~110℃で2~3時間をかけて
行うことである。カ焼工程としては、沈殿物をまず400℃まで加熱し2~3時間保温し、次に700℃まで加熱し1~2時間保温し、最後に空気中に置いて冷却させることである。本発明はカ焼工程によりカルシウムをBi2O3の結晶格子に入れて多くの高分散化の結晶欠陥を生じさせてBi2O3の結晶面を改質する。カ焼後の冷却が遅すぎると、Bi2O3に分散したカルシウムは集まって自分で結晶化する傾向がある。それに対して、本発明はカルシウムの結晶化を抑制してBi2O3の結晶面を変える空気冷却を採用した。または、ドーピング修飾したBi2O3は粉砕で平均粒度の0.5ミクロン以下である粉末になさせる。
【0024】
なお、固体酸・塩基における高温カ焼にかける時は2~4時間とし、SiO2-Al2O3またはSiO2-MgOに含まれるSiO2の含有量は20~60wt%とする。こんな好ましい範囲内で存在するSiO2は、多相固体酸・塩基の酸もアルカリも両方の性質を出させて酸とアルカリとの協同作用を利して、ポリエステルの分解をさらに加速できる。同様的に、高温カ焼した多相固体酸・塩基も粉砕で平均粒度の0.5ミクロン以下である粉末になさせる。
【0025】
前記フルダルポリエステル延伸糸の製造方法における2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールは、
(1)KOH粉末、3-メチル-3-ヒドロキシブチン、3,3-ジメチル-2-ブタノン及びイソプロピルエーテルを、モル比の1~1.2:1:1.2~1.3:2.0~3.0により混合し、氷浴による反応を2~4時間行い、反応済みになると冷却で結晶化し、遠心分離し、洗浄し、精製しさらに乾燥し、オクチンジオールとなさせ、
(2)オクチンジオール、エタノール及びパラジウム触媒を、重量比の2~3:10:0.01~0.03により混合し、40~50℃の下で水素を続けて与える反応を50~60分間行い、反応済みになると分離しさらに精製することにより得られたものである。
【0026】
前記フルダルポリエステル延伸糸の製造方法における改質ポリエステルは、以下のステップを含む方法で合成する。
(1)エステル化反応では、
テレフタル酸、エチレングリコール、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールならびにフッ素含有ジカルボン酸をスラリーに調製し、高温カ焼した多相固体酸・塩基粉末、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末、重合触媒、艶消し剤及び安定剤を添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に常圧~0.3MPaの圧力及び250~260℃の温度の下で反応をさせ、生じた水の抜き出す量が理論値の90%以上を超える際に反応終点を決めることである。
(2)重縮合反応では、
エステル化反応の産物に常圧から絶対圧力500Pa以下まで30~50分間をかけて徐々に下がる負圧を与えて250~260℃の温度の下で反応を30~50分間続け、さらに負圧を100Pa以下まで持続的に与えて温度を270~282℃に制御して反応を50~90分間行うことである。
【0027】
そのうちに、テレフタル酸のエチレングリコールに対するモル比は1:1.2~2.0とし、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールとフッ素含有ジカルボン酸との総合添加量はテレフタル酸の添加量の3~5mol%とし、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールのフッ素含有ジカルボン酸に対するモル比は2~3:3~4とし、高温カ焼した多相固体酸・塩基粉末、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末、重合触媒、艶消し剤及び安定剤の添加量は別々にテレフタル酸の添加量の0.33~0.05wt%、0.04~0.07wt%、0.03~0.05wt%、2~3wt%及び0.01~0.05wt%とする。本発明における2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオール、フッ素含有ジカルボン酸、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末及び高温カ焼した多相固体酸・塩基粉末の添加量は、改質した繊維の必要な機械物性と結晶度を保証することも繊維の分解性能を著しく改進することも両方を目指して最適化したけど、実運用により適度な調整ができる。しかし調整幅は大きすぎるべきではない。添加量は大き過ぎると繊維の結晶度や機械物性に悪影響与えてしまう一方で小さすぎると繊維の分解に改善効果があまり現れない。
【0028】
そのうちに、重合触媒は三酸化アンチモン、アンチモングリコレートまたは酢酸アンチモンとし、艶消し剤は二酸化チタンとし、安定剤はリン酸トリフェニル、リン酸トリメチルまたは亜リン酸トリメチルとする。
【0029】
そのうちに、改質ポリエステルの数平均分子量は25000~30000Daとし、分子量分布指数は1.8~2.2とする。
【0030】
前記フルダルポリエステル延伸糸の製造方法におけるFDY技術は、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱定型及び巻取りの流れを含む工程であり;
それにおけるパラメータは、紡糸温度285~295℃、冷却温度20~25℃、ネットワーク圧力0.20~0.30MPa、第1ローラ速度1600~1800m/min、第1ローラ温度70~80℃、第2ローラ速度3000~3200m/min、第1ローラ温度105~130℃ならびに巻取り速度2950~3130m/minとする。
【0031】
本発明は前記フルダルポリエステル延伸糸の製造方法によるフルダルポリエステル延伸糸も提供し、それが改質ポリエステルのFDYである。
【0032】
該改質ポリエステルは、テレフタル酸のセグメント、エチレングリコールのセグメント、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールのセグメント及びフッ素含有ジカルボン酸のセグメントを含む分子鎖とする。
【0033】
該改質ポリエステルは、艶消し剤、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末及び高温カ焼した多相固体酸・塩基粉末を分散されている。そのうちに艶消し剤の添加量が2wt%以上としてある。
【0034】
前記製造方法の好適態様によれば、本発明の2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールとフッ素含有ジカルボン酸が主鎖に含まれ、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末と高温カ焼した多相固体酸・塩基粉末を含有するポリエステルによるフルダル延伸糸は、
従来技術より低下しない、単糸繊度1.0~3.0dtex、破断強度2.0cN/dtex以上、破断伸度42.0±4.0%、ネットワーク度19±4個/m、線密度偏差率1.0%以下、破断強度CV値8.0%以下、破断伸度CV値10.0%以下、ならびに沸水収縮率50.0±10.5%とし、多相固体酸・塩基の長い時間効果によって3~5年間保持できる良い基礎物性を有し、
25℃の温度と65%の相対湿度との条件下で60月間をかけて置いた後、通常のポリエステルの5%に対する18~25%の固有粘度下りとして著しく向上させ、条件によってさらに促進できる分解性能を有する。
【0035】
発明原理とするのは、以下の通りである。
【0036】
本発明は、フルダルポリエステル延伸糸の自然分解性能を、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールでさらにフッ素含有ジカルボン酸とドーピングにより改質されたBi2O3粉末と高温カ焼した多相固体酸・塩基粉末との協同でポリエステルを改質することにより、著しく改進した。よって、ポリエステル繊維の再生利用問題を有効的に解決する。
【0037】
2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールのポリエステルの分解性能向上に効果があるメカニズムは、以下に示してある。
【0038】
ポリマーは全て緻密な分子鎖凝集体ではない。分子鎖と分子鎖との間に、いつも自由体積という空間がある。低分子の高分子内部に浸透することに対して、適度な大きさの空間すなわち自由体積は必要なければならない。ある程度に、高分子の自由体積が大きければ大きいほど低分子の浸透率または拡散性が高い。自由体積は空孔型自由体積とスリット型自由体積に分けられるが、スリット型自由体積よりもっと大きなサイズを持つ空孔型自由体積は低分子の拡散に更に有利である。自由体積のサイズと類型は高分子構造に決められている。そのうえ、高分子構造は置換基による立体障害、置換基寸法、置換基構造に関する。高分子主鎖のある位置に結合した側基は、主鎖の活動性に影響を与えて、主鎖の間の相互作用力さらに主鎖の間の距離を変える。よって、高分子の凝集エネルギーと自由体積も変化する。詳しくは、側基の極性や大きさや長さなどが主鎖の剛性、主鎖の間の相互作用力ならびに高分子の自由体積分率にすべてある程度の影響を与える。つまり、異なる側基を含むポリマーは別々の浸透性能がしてある。
【0039】
ポリマーに含まれるエチレングリコールや1,4-ブタンジオールなどのようなジオールにおいては、複数のメチレン基がエネルギー的に安定で平面ジグザグのコンホメーションをとる。メチレン基の二つの水素はメチル基に置換されると、中心炭素がsp3混成軌道により隣の炭素と四つの等価なσ結合を作って、隣の炭素が頂点に位置する正四面体構造は得られる。なお、メチル基の三つの水素はさらに他のメチル基で置換するいわゆるテルトブチル基を作れば、もっと大きな正四面体が形成できる。こんな置換基の重なりため、ポリマーの自由体積は著しく増大して、低分子の浸透または拡散に有利する。しかしながら、メチレン基の二つの水素は長鎖を持つ基に置換されると、増大するのは主にスリット型自由体積であって、増大幅がより小さいため、改進効果は限りがある。一方、長鎖の置換基は剛性が低い、よって、大分子鎖の絡み合いが起きる。そこで、自由体積は増大しにくい。本発明はポリエステルに2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールのセグメントを入れることによって、フルダルポリエステル延伸糸の自然分解性能を著しく促進する。2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールに含まれるテルトブチル基は、ポリエステル主鎖の活動性を変えて主鎖の間の相互作用力さらに主鎖の間の距離を変化させて、ポリエステルの空孔型自由体積は増大する。原因の一方では、テトラブチルが短い置換基(例えば、メチル基やエチル基など)よりもっと広い空間を位置する。他方では、テトラブチルが主にスリット型自由体積を増大する長鎖の置換基に比べて空孔型自由体積を増大し、さらに長鎖の置換基による分子鎖の絡み合いを避ける。本発明はスリット型自由体積よりもっと有効な空孔型自由体積をとって、水分子や酸素分子のポリエステルの内部に浸透することを利して、ポリエステル分解に関する反応物の濃度を高くして、分解反応を加速する。
【0040】
フッ素含有ジカルボン酸、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末及び高温カ焼した多相固体酸・塩基粉末のポリエステルの分解性能向上に効果があるメカニズムは、以下に示してある。
【0041】
アルカリによるポリエステルの加水分解はアシル置換反応の典型例であり,そこに強い求核試薬であるOH-イオンはエステル基RCOOR’のカルボニル炭素を求核攻撃して,四面体中間体アニオンを与える。四面体中間体アニオンよりアルコキシドイオンOR’を放出してエステル基を破断させるとカルボン酸を与える。さらに、プロトンH+がカルボン酸からアルコキシドイオンに移動してアルコールHOR’に変換される。しかしながら、込み合う構造がする四面体中間体により立体障害が生じるため、通常にポリエステルの分解は遅い速度がしている。さて、本発明は、フッ素がα炭素に結合することを特徴とするフッ素含有ジカルボン酸を利用した。それで、改質ポリエステルの加水分解の際に、α炭素に結合するフッ素の強い電子吸引性のため、エステル基のC-O結合の電子密度が低下して四面体中間体アニオンの安定性も減って、エステルの加水分解に関する求核アシル置換反応がやすくなってある。一方、α炭素に結合するフッ素を有するジカルボン酸はテレフタル酸より立体障害が小さなので、求核アシル置換反応を利する。つまり、フッ素含有ジカルボン酸の利用はポリエステルの分解が著しく加速できる。実に、フッ素をジカルボン酸のβ炭素に結合させると、上記分解の加速効果ができない。原因はフッ素の電子吸引性が隣の原子の範囲内に限って、エステル基のC-O結合にあまり影響を与えなくて、OH-のエステルのカルボニル炭素を求核攻撃することによるアシル置換反応に動きかけない。
【0042】
なお、ポリエステル製品は通常に酸素を有する空気中にとどまっている。酸素が吸着できる酸素還元触媒はポリエステル内部に含まれると、ポリエステルの内と外の間に酸素グラジエントが形成できる。そこで、酸素が空気からポリエステルの自由体積(空孔型自由体積および/またはスリット型自由体積)によりポリエステルの内部に徐々に浸透することもある。結局は酸素が酸素還元触媒の表面に集まって吸着層になり、さらに還元されて過酸化物になる。それで、エステル基RCOOR’は過酸化物によりRCOOOR’になり、そしてRCOOOR’はプロトンに攻撃されて過酸結合が破断してカルボン酸RCOOHを与え、同時にOR’はH+と結合してHOR’になる。そういうふうに、酸素還元触媒はエステル基を破断してその分解を加速する。
【0043】
本発明は、Ca2+とBi3+を溶液と混合し、沈殿剤で共沈させ、最後にカ焼する工程
流れにより、Bi2O3のCaOによるドーピング修飾を行って、Bi2O3の酸素還元反応を促進して、ポリエステルの分解を加速する。ある程度に、ドープイオンの半径がドープされたイオンの半径に近いほど,酸素活性点の形成及び酸素イオンの伝導に有利である。よって、本発明はBi3+と同じ半径のCa2+(同様の0.103nmとする)を選択する。ドーピング修飾のBi2O3に与える影響を以下に示す。
【0044】
本発明のおけるドーピング修飾工程はBi2O3の表面積を広くさせてその単位質量当たりの酸素吸着量が向上する一方で、Bi2O3の酸素吸着形式と酸素還元メカニズムも変える。一般的に、酸素はより弱い物理的なまたは弱い化学的な相互作用によってBi2O3の表面に吸着されて過酸化物に還元されている。本来のBi2O3においては、酸素が単斜のBi2O3の表面に端式で吸着されて、異なるBi2O3単斜晶面に吸着されてもずっとBi素原子による立体障害を受ける。ドーピング修飾済みのBi2O3においては、酸素の吸着形式は側式になってBi素原子による立体障害を避けて、酸素の化学吸着さらにO-O結合の破断による還元が促進されている。そこでポリエステルの分解は加速できる。それに対して、ただ物理的混合をすれば、CaOはBi2O3の結晶構造、酸素吸着形式及び酸素還元メカニズムに影響を及ぼされずに、ポリエステルの分解効率が向上できない。従来技術におけるポリエステルの分解はポリエステルの表面により始まることである。ところが、本発明の新規採用の改質ポリエステルに含まれる酸素還元触媒は、酸素がポリエステル内部で長い間にとどまることができって、エステル基の酸化反応を促進して、ポリエステルの分解を加速する。
【0045】
本発明は、二酸化ケイ素粉末、水、水酸化ナトリウム水溶液及び硫酸アルミニウムまたは硫酸マグネシウムを混合しさらに400~700℃の高温でカ焼することにより多相固体酸・塩基のSiO2-Al2O3またはSiO2-MgOを調製した。本発明における高温カ焼は不要な硫酸イオンや硝酸イオンを除去し、一定の雰囲気と温度の下で多相固体酸・塩基の中間体を分解させさらに活性化させ、そこで中間体の塩を金属酸化物になさせることを目指して、その温度が中間体の分解と活性化条件に合う。そうでなければ、多相固体酸・塩基のSiO2-Al2O3及び/又はSiO2-MgOに対するカ焼の温度は高すぎると部分のSiO2を気化させてしまう。
【0046】
ポリエステルの水分解はエステル化反応の逆反応であり、すなわち求核試薬がエステルのカルボニル炭素を求核攻撃して、四面体中間体を与えて、さらにアニオンを消去することである。通常のポリエステルの水分解が遅いことの重要な理由は、一方では求核試薬とするH2Oの求核攻撃能力が低いでああり、他方ではポリエステルのカルボニル炭素の隣にあるのは多く電気陰性基だからカルボニル炭素の求核剤に攻撃される能力が低くいである
【0047】
本発明はポリエステルに多相固体酸・塩基を入れてポリエステルの分解をさらに加速する。一方では、固体塩基は水と反応してH2Oよりもっと強い求核能力を持つイオンOH-を放出してH2Oの低い求核攻撃能力の困難を除く。他方では、固体酸は電離してプロトンH+が放出でき、H+がカルボニル基を攻撃すると四面体中間体カチオンが生じ、正電荷を帯びるカルボニル基酸素がカルボニル基炭素から電子を吸引してその炭素にある正電気を与えるため、カルボニル基炭素の求核剤に攻撃される能力が向上できる。または、固体酸と個体塩基は協同作用(求電子剤の酸及び求核剤の塩基が誘発する有機化合物の反応において反応物は多相固体酸・塩基とのプロトンまたは電子対の授受作用により活発な陽イオンまたは陰イオンになってさらに産物になり、そのうえ、酸と塩素は触媒として循環利用ができること)がして、ポリエステルと選択的に配位して、生じた中間体において酸・アルカリ触媒機構によりC=O二重結合を形成させてまたは破断させて、ポリエステルの水分解を加速する。
【0048】
ポリエステルの末端カルボン基において、酸素の非共有電子対がカルボニル基のπ電子と共役することによる電子非局在化はO―H結合を弱めてカルボン基をアニオンとプロトンに電離させる。得られたカルボン基アニオンにおいて負電荷が同様に電子非局在化により二つの酸素原子に均一に分配されてあるため、カルボン基アニオンはエネルギーに安定性がある。本発明は、固体塩基によるカルボニル炭素の求電子能力向上ならびに固体酸による求核剤の求核能力向上を同時に実現して、エステル結合のカルボン酸とアルコールに水分解することを促進して、安定性がある末端カルボン基を持続的に形成することのようなメカニズムにより、ポリエステルの遅い自然分解性能の問題を解決する。
【発明の効果】
【0049】
本発明の利点としては、
1.本発明に提出したフルダルポリエステル延伸糸は、改質しない通常の製品より品質が低減しなくて再生利用がしやすい、良い前景に応用できる。
2.本発明に提出したフルダルポリエステル延伸糸の製造方法は、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオール、フッ素含有ジカルボン酸、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末及び高温カ焼した多相固体酸・塩基粉末により繊維の自然分解を著しく促進して環境保護を利する。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、実施例を挙げてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、本発明の内容を読んだこの分野の技術者のいろいろな本発明を改正することを許されても、それは本発明の等価形として、本発明の請求の範囲内にも限定されている。
【0051】
実施例1
フルダルポリエステル延伸糸の製造方法は、以下の流れによる。
(1)改質ポリエステルの重合として、
(1.1)多相固体酸・塩基SiO
2-Al
2O
3の調製として、
SiO
2含有量が12wt%とするケイ酸ナトリウム溶液を準備し、ケイ酸ナトリウム溶液の4wt%の分散剤ポリエチレングリコール6000を加え、溶解するまで45℃で混合液をよくかき混ぜ、pH値の10まで濃度の12wt%の硫酸を一定の速度で滴加し、エイジングの1.0時間後pHの8まで硫酸滴加を続け、95℃まで加熱し、2時間のエイジングで沈殿を完結させ、水で洗浄してSO
4
2-を除去し、吸引ろ過した沈殿物を無水エタノールでよく洗浄し80℃で乾燥し研磨で粉末のSiO
2になさせ、
1重量部のSiO
2粉末と55重量部の水をかき混ぜ、2重量部の濃度の4.5wt%の硫酸アルミニウム溶液を滴加し、混合液のpH値を濃度の0.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で中性に調整しさらに濃度の8wt%の硫酸で8に調整し、2時間のエイジングで沈殿を完結させ、SO
4
2-不検出まで水で洗浄し、吸引ろ過したケーキを無水エタノールでよく洗浄し、100℃で乾燥し、500℃で3時間かけてカ焼し、最後に粉砕してSiO
2の含有量が40wt%とする多相固体酸・塩基SiO
2-Al
2O
3の平均粒度の0.4ミクロンの粉末となさせる。
(1.2)Bi
2O
3粉のドーピング修飾として、
(1.2.1)2.5wt%のCa(NO
3)
2の水溶液と22wt%のBi
2O
3の硝酸溶液を、Ca
2+のBi
3+に対するモル比は7:100として、均一に混合し、
(1.2.2)混合液に2mol/Lの濃度のアンモニア水を滴加してpH値が10に調整して沈殿を完結させ、沈殿物を洗浄し、105℃で2.5時間をかけて乾燥し、
(1.2.3)乾燥した産物を400℃まで加熱し2.5時間保温し、さらに700℃まで加熱し1.5時間保温し、そして空気に置いて冷却させ、最後に粉砕して平均粒度の0.45ミクロンの粉末となさせる。
(1.3)2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールの合成として、
(1.3.1)KOH粉末、3-メチル-3-ヒドロキシブチン、3,3-ジメチル-2-ブタノン及びイソプロピルエーテルを、モル比の1:1:1.2:2.0により混合し、氷浴による反応を2時間行い、反応済みになると冷却で結晶化し、遠心分離し、洗浄し、精製しさらに乾燥し、オクチンジオールとなさせ、
(1.3.2)オクチンジオール、エタノール及びパラジウム触媒を、重量比の2:10:0.01により混合し、40℃の下で水素を続けて与える反応を50分間行い、反応済みになると分離し精製して構造式の
【化2】
とする2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールとなさせる。
(1.4)エステル化として、
テレフタル酸、エチレングリコール、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールならびに2,2-ジフルオロ-1,3-マロン酸をスラリーに調製し、多相固体酸・塩基SiO
2-Al
2O
3粉末、ドーピングにより改質されたBi
2O
3粉末、三酸化アンチモン、二酸化チタン及びリン酸トリフェニルを添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に0.3MPaの圧力と250℃の温度の下で反応させ、生じた水の抜き出す量が理論値の90.1%に達する際に反応終点を決め、そのうちに、テレフタル酸のエチレングリコールに対するモル比は1:1.2とし、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールと2,2-ジフルオロ-1,3-マロン酸との添加量はテレフタル酸の添加量の3mol%とし、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールの2,2-ジフルオロ-1,3-マロン酸に対するモル比は2:3とし、多相固体酸・塩基SiO
2-Al
2O
3粉末、ドーピングにより改質されたBi
2O
3粉末、三酸化アンチモン、二酸化チタン及びリン酸トリフェニルの添加量は別々にテレフタル酸の添加量の0.03wt%、0.04wt%、0.03wt%、2wt%及び0.01wt%とする。
(1.5)重合として、
エステル化反応の産物に常圧から絶対圧力499Paまで30分間をかけて徐々に下がる負圧を与え、250℃の温度の下で30分間をかけて反応を続け、さらに負圧を99Paまで持続的に与え、温度を270℃に制御し、50分間かけて反応を行い、最後に数平均分子量が25000Daであり分子量分布指数が1.8である改質ポリエステルを得る。
(2)フルダルポリエステル延伸糸の紡糸工程として、
改質ポリエステルを、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱定型及び巻取りのスッテプにより、FDYになさせ、そのうちに、紡糸温度は285℃、冷却温度は20℃、ネットワーク圧力は0.20MPa、第1ローラ速度は1600m/min、第1ローラ温度は70℃、第2ローラ速度は3000m/min、第1ローラ温度は105℃ならびに巻取り速度は2950m/minとする。
それで、最終的に得られたフルダルポリエステル延伸糸は、(表1)で示す基礎物性を有し、または、25℃と65%の相対湿度との条件下で60月間をかけて置いた後、18%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
【0052】
比較例1
フルダルポリエステル延伸糸の製造方法は、ステップ(1)において2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオール、2,2-ジフルオロ-1,3-マロン酸、高温カ焼した多相固体酸・塩基SiO2-Al2O3粉末、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末を添加しないことを除外して、実施例1と同じである。最終的に得られたフルダルポリエステル延伸糸は、(表1)で示す基礎物性を有し、または、25℃と65%の相対湿度との条件下で60月間をかけて置いた後、4.8%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
【0053】
比較例2
フルダルポリエステル延伸糸の製造方法は、ステップ(1)において2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールを添加しないことを除外して、実施例1と同じである。最終的に得られたフルダルポリエステル延伸糸は、(表1)で示す基礎物性を有し、または、25℃と65%の相対湿度との条件下で60月間をかけて置いた後、12.6%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
【0054】
比較例3
フルダルポリエステル延伸糸の製造方法は、ステップ(1)において2,2-ジフルオロ-1,3-マロン酸を添加しないことを除外して、実施例1と同じである。最終的に得られたフルダルポリエステル延伸糸は、(表1)で示す基礎物性を有し、または、25℃と65%の相対湿度との条件下で60月間をかけて置いた後、11.1%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
【0055】
比較例4
フルダルポリエステル延伸糸の製造方法は、ステップ(1)においてドーピングにより改質されたBi2O3粉末を添加しないことを除外して、実施例1と同じである。最終的に得られたフルダルポリエステル延伸糸は、(表1)で示す基礎物性を有し、または、25℃と65%の相対湿度との条件下で60月間をかけて置いた後、12.7%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
【0056】
比較例5
フルダルポリエステル延伸糸の製造方法は、ステップ(1)において多相固体酸・塩基SiO2-Al2O3粉末を添加しないことを除外して、実施例1と同じである。最終的に得られたフルダルポリエステル延伸糸は、(表1)で示す基礎物性を有し、または、25℃と65%の相対湿度との条件下で60月間をかけて置いた後、13.2%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
実施例1と比較例1~5に係る検討によれば、本発明の2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオール、2,2-ジフルオロ-1,3-マロン酸、多相固体酸・塩基SiO2-Al2O3粉末、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末によるポリエステルの自然分解性能向上は結論できる。詳しくは、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末は酸素の伝導速度を加速して酸素還元反応程度を高め、2,2-ジフルオロ-1,3-マロン酸はカルボニル基のC-O結合の電子密度を減らしてエステル水分解の求核置換反応を促進し、多相固体酸・塩基SiO2-Al2O3粉末は水と結合して強い求核剤のOH‐を与えて求核置換反応をさらに促進し、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールはポリエステルの空孔型自由体積を増大して酸素と水の分子の拡散を利することと示す協同作用により、ポリエステルは加工性と機械物性が低減しらずに自然分解が著しく加速できる。
【0057】
比較例6
フルダルポリエステル延伸糸の製造方法は、ステップ(1)において2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールの代わりに1,2-ドデシルジオールを使うことを除外して、実施例1と同じである。最終的に得られたフルダルポリエステル延伸糸は、単糸繊度2.95dtex、破断強度2.2cN/dtex、破断伸度45.1%、ネットワーク度22個/m、線密度偏差率0.82%、破断強度CV値6.5%、破断伸度CV値10.4%、及び沸水収縮率40.5%と示す基礎物性を有し、または、25℃と65%の相対湿度との条件下で60月間をかけて置いた後、13.7%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
実施例1と比較例6に係る検討によれば、本発明における2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールは長鎖の側基を持つ1,2-ドデシルジオールよりポリエステル繊維の自然分解性能向上にもっと有利することが結論できる。詳しくは、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールが1,2-ドデシルジオールによるスリット型自由体積より低分子拡散にもっと有効的な空孔型自由体積を増大する一方、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールのより大きな剛性のテトラブチル基が1,2-ドデシルジオールの長い側基による大分子鎖の絡み合いを避ける。したがって、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールはもっと多い自由体積をとって、繊維の自然分解性能を利する。
【0058】
実施例2
フルダルポリエステル延伸糸の製造方法は、以下の流れによる。
(1)改質ポリエステルの重合として、
(1.1)多相固体酸・塩基SiO2-MgOの調製として、
SiO2含有量が10wt%とするケイ酸ナトリウム溶液を準備し、ケイ酸ナトリウム溶液の3wt%の分散剤ポリエチレングリコール6000を加え、溶解するまで40℃で混合液をよくかき混ぜ、pH値の10まで濃度の10wt%の硫酸を一定の速度で滴加し、エイジングの0.5時間後pHの8まで硫酸滴加を続け、90℃まで加熱し、2時間のエイジングで沈殿を完結させ、水で洗浄してSO4
2-を除去し、吸引ろ過した沈殿物を無水エタノールでよく洗浄し80℃で乾燥し研磨で粉末のSiO2になさせ、
1重量部のSiO2粉末と50重量部の水をかき混ぜ、3重量部の濃度の4wt%の硫酸マグネシウム溶液を滴加し、混合液のpH値を濃度の0.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で中性に調整しさらに濃度の8wt%の硫酸で8に調整し、2時間のエイジングで沈殿を完結させ、SO4
2-不検出まで水で洗浄し、吸引ろ過したケーキを無水エタノールでよく洗浄し、100℃で乾燥し、400℃で4時間かけてカ焼し、最後に粉砕してSiO2の含有量が20wt%とする多相固体酸・塩基SiO2-MgOの平均粒度の0.4ミクロンの粉末となさせる。
(1.2)Bi2O3粉のドーピング修飾として、
(1.2.1)2wt%のCa(NO3)2の水溶液と20wt%のBi2O3の硝酸溶液を、Ca2+のBi3+に対するモル比は5:100として、均一に混合し、
(1.2.2)混合液に2mol/Lの濃度のアンモニア水を滴加してpH値が9に調整して沈殿を完結させ、沈殿物を洗浄し、105℃で2時間をかけて乾燥し、
(1.2.3)乾燥した産物を400℃まで加熱し2時間保温し、さらに700℃まで加熱し1時間保温し、そして空気に置いて冷却させ、最後に粉砕して平均粒度の0.4ミクロンの粉末となさせる。
(1.3)2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールの合成として、
(1.3.1)KOH粉末、3-メチル-3-ヒドロキシブチン、3,3-ジメチル-2-ブタノン及びイソプロピルエーテルを、モル比の1.1:1:1.2:2.3により混合し、氷浴による反応を2時間行い、反応済みになると冷却で結晶化し、遠心分離し、洗浄し、精製しさらに乾燥し、オクチンジオールとなさせ、
(1.3.2)オクチンジオール、エタノール及びパラジウム触媒を、重量比の2:10:0.01により混合し、45℃の下で水素を続けて与える反応を50分間行い、反応済みになると分離し精製して構造式の(式1)とする2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールとなさせる。
(1.4)エステル化として、
テレフタル酸、エチレングリコール、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールならびに2,2-ジフルオロ-1,4-コハク酸をスラリーに調製し、多相固体酸・塩基SiO2-MgO粉末、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末、アンチモングリコレート、二酸化チタン及びリン酸トリメチルを添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に常圧と260℃の温度の下で反応させ、生じた水の抜き出す量が理論値の95%に達する際に反応終点を決め、そのうちに、テレフタル酸のエチレングリコールに対するモル比は1:2.0とし、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールと2,2-ジフルオロ-1,4-コハク酸との添加量はテレフタル酸の添加量の5mol%とし、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールの2,2-ジフルオロ-1,4-コハク酸に対するモル比は3:4とし、多相固体酸・塩基SiO2-MgO粉末、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末、アンチモングリコレート、二酸化チタン及びリン酸トリメチルの添加量は別々にテレフタル酸の添加量の0.05wt%、0.07wt%、0.05wt%、3wt%及び0.05wt%とする。
(1.5)重合として、
エステル化反応の産物に常圧から絶対圧力450Paまで50分間をかけて徐々に下がる負圧を与え、260℃の温度の下で50分間をかけて反応を続け、さらに負圧を90Paまで持続的に与え、温度を282℃に制御し、90分間かけて反応を行い、最後に数平均分子量が30000Daであり分子量分布指数が2.2である改質ポリエステルを得る。
(2)フルダルポリエステル延伸糸の紡糸工程として、
改質ポリエステルを、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱定型及び巻取りのスッテプにより、FDYになさせ、そのうちに、紡糸温度は295℃、冷却温度は25℃、ネットワーク圧力は0.30MPa、第1ローラ速度は1800m/min、第1ローラ温度は80℃、第2ローラ速度は3200m/min、第1ローラ温度は130℃ならびに巻取り速度は3130m/minとする。
それで、最終的に得られたフルダルポリエステル延伸糸は、(表1)で示す基礎物性を
有し、または、25℃と65%の相対湿度との条件下で60月間をかけて置いた後、25%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
【0059】
実施例3
フルダルポリエステル延伸糸の製造方法は、以下の流れによる。
(1)改質ポリエステルの重合として、
(1.1)多相固体酸・塩基SiO2-Al2O3の調製として、
SiO2含有量が10wt%とするケイ酸ナトリウム溶液を準備し、ケイ酸ナトリウム溶液の3wt%の分散剤ポリエチレングリコール6000を加え、溶解するまで40℃で混合液をよくかき混ぜ、pH値の10まで濃度の10wt%の硫酸を一定の速度で滴加し、エイジングの0.5時間後pHの8まで硫酸滴加を続け、90℃まで加熱し、2時間のエイジングで沈殿を完結させ、水で洗浄してSO4
2-を除去し、吸引ろ過した沈殿物を無水エタノールでよく洗浄し80℃で乾燥し研磨で粉末のSiO2になさせ、
1重量部のSiO2粉末と60重量部の水をかき混ぜ、2重量部の濃度の4wt%の硫酸アルミニウム溶液を滴加し、混合液のpH値を濃度の1.0mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で中性に調整しさらに濃度の10wt%の硫酸で8に調整し、2時間のエイジングで沈殿を完結させ、SO4
2-不検出まで水で洗浄し、吸引ろ過したケーキを無水エタノールでよく洗浄し、100℃で乾燥し、700℃で2時間かけてカ焼し、最後に粉砕してSiO2の含有量が60wt%とする多相固体酸・塩基SiO2-Al2O3の平均粒度の0.4ミクロンの粉末となさせる。
(1.2)Bi2O3粉のドーピング修飾として、
(1.2.1)3wt%のCa(NO3)2の水溶液と25wt%のBi2O3の硝酸溶液を、Ca2+のBi3+に対するモル比は8:100として、均一に混合し、
(1.2.2)混合液に2mol/Lの濃度のアンモニア水を滴加してpH値が9に調整して沈殿を完結させ、沈殿物を洗浄し、110℃で3時間をかけて乾燥し、
(1.2.3)乾燥した産物を400℃まで加熱し3時間保温し、さらに700℃まで加熱し2時間保温し、そして空気に置いて冷却させ、最後に粉砕して平均粒度の0.4ミクロンの粉末となさせる。
(1.3)2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールの合成として、
(1.3.1)KOH粉末、3-メチル-3-ヒドロキシブチン、3,3-ジメチル-2-ブタノン及びイソプロピルエーテルを、モル比の1.2:1:1.25:2.0により混合し、氷浴による反応を3時間行い、反応済みになると冷却で結晶化し、遠心分離し、洗浄し、精製しさらに乾燥し、オクチンジオールとなさせ、
(1.3.2)オクチンジオール、エタノール及びパラジウム触媒を、重量比の3:10:0.03により混合し、40℃の下で水素を続けて与える反応を50分間行い、反応済みになると分離し精製して構造式の(式1)とする2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールとなさせる。
(1.4)エステル化として、
テレフタル酸、エチレングリコール、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールならびに2,2-ジフルオロ-1,5-グルタル酸をスラリーに調製し、多相固体酸・塩基SiO2-Al2O3粉末、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末、酢酸アンチモン、二酸化チタン及び亜リン酸トリフメチルを添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に0.2MPaの圧力と255℃の温度の下で反応させ、生じた水の抜き出す量が理論値の92%に達する際に反応終点を決め、そのうちに、テレフタル酸のエチレングリコールに対するモル比は1:1.6とし、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールと2,2-ジフルオロ-1,5-グルタル酸との添加量はテレフタル酸の添加量の4mol%とし、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールの2,2-ジフルオロ-1,5-グルタル酸に対するモル比は2:4とし、多相固体酸・塩基SiO2-Al2O3粉末、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末、酢酸アンチモン、二酸化チタン及び亜リン酸トリメチルの添加量は別々にテレフタル酸の添加量の0.04wt%、0.055wt%、0.04wt%、2.5wt%及び0.03wt%とする。
(1.5)重合として、
エステル化反応の産物に常圧から絶対圧力480Paまで40分間をかけて徐々に下がる負圧を与え、255℃の温度の下で40分間をかけて反応を続け、さらに負圧を95Paまで持続的に与え、温度を276℃に制御し、70分間かけて反応を行い、最後に数平均分子量が27000Daであり分子量分布指数が2.0である改質ポリエステルを得る。
(2)フルダルポリエステル延伸糸の紡糸工程として、
改質ポリエステルを、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱定型及び巻取りのスッテプにより、FDYになさせ、そのうちに、紡糸温度は290℃、冷却温度は22℃、ネットワーク圧力は0.25MPa、第1ローラ速度は1700m/min、第1ローラ温度は75℃、第2ローラ速度は3100m/min、第1ローラ温度は118℃ならびに巻取り速度は3030m/minとする。
それで、最終的に得られたフルダルポリエステル延伸糸は、(表1)で示す基礎物性を
有し、または、25℃と65%の相対湿度との条件下で60月間をかけて置いた後、21%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
【0060】
実施例4
フルダルポリエステル延伸糸の製造方法は、以下の流れによる。
(1)改質ポリエステルの重合として、
(1.1)多相固体酸・塩基SiO2-MgOの調製として、
SiO2含有量が14wt%とするケイ酸ナトリウム溶液を準備し、ケイ酸ナトリウム溶液の4wt%の分散剤ポリエチレングリコール6000を加え、溶解するまで45℃で混合液をよくかき混ぜ、pH値の10まで濃度の13wt%の硫酸を一定の速度で滴加し、エイジングの1.0時間後pHの8まで硫酸滴加を続け、95℃まで加熱し、2時間のエイジングで沈殿を完結させ、水で洗浄してSO4
2-を除去し、吸引ろ過した沈殿物を無水エタノールでよく洗浄し85℃で乾燥し研磨で粉末のSiO2になさせ、
1重量部のSiO2粉末と57重量部の水をかき混ぜ、2重量部の濃度の4wt%の硫酸マグネシウム溶液を滴加し、混合液のpH値を濃度の0.8mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で中性に調整しさらに濃度の9wt%の硫酸で8に調整し、1.5時間のエイジングで沈殿を完結させ、SO4
2-不検出まで水で洗浄し、吸引ろ過したケーキを無水エタノールでよく洗浄し、100℃で乾燥し、600℃で3時間かけてカ焼し、最後に粉砕してSiO2の含有量が45wt%とする多相固体酸・塩基SiO2-MgOの平均粒度の0.4ミクロンの粉末となさせる。
(1.2)Bi2O3粉のドーピング修飾として、
(1.2.1)2.5wt%のCa(NO3)2の水溶液と25wt%のBi2O3の硝酸溶液を、Ca2+のBi3+に対するモル比は8:100として、均一に混合し、
(1.2.2)混合液に2mol/Lの濃度のアンモニア水を滴加してpH値が10に調整して沈殿を完結させ、沈殿物を洗浄し、110℃で3時間をかけて乾燥し、
(1.2.3)乾燥した産物を400℃まで加熱し2.5時間保温し、さらに700℃まで加熱し2時間保温し、そして空気に置いて冷却させ、最後に粉砕して平均粒度の0.4ミクロンの粉末となさせる。
(1.3)2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールの合成として、
(1.3.1)KOH粉末、3-メチル-3-ヒドロキシブチン、3,3-ジメチル-2-ブタノン及びイソプロピルエーテルを、モル比の1.2:1:1.3:2.5により混合し、氷浴による反応を3時間行い、反応済みになると冷却で結晶化し、遠心分離し、洗浄し、精製しさらに乾燥し、オクチンジオールとなさせ、
(1.3.2)オクチンジオール、エタノール及びパラジウム触媒を、重量比の2.5:10:0.02により混合し、45℃の下で水素を続けて与える反応を60分間行い、反応済みになると分離し精製して構造式の(式1)とする2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールとなさせる。
(1.4)エステル化として、
テレフタル酸、エチレングリコール、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールならびに2,2,3,3-テトラフルオロ-1,4-コハク酸をスラリーに調製し、多相固体酸・塩基SiO2-MgO粉末、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末、アンチモングリコレート、二酸化チタン及びリン酸トリフェニルを添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に0.25MPaの圧力と250℃の温度の下で反応させ、生じた水の抜き出す量が理論値の94%に達する際に反応終点を決め、そのうちに、テレフタル酸のエチレングリコールに対するモル比は1:1.9とし、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールと2,2,3,3-テトラフルオロ-1,4-コハク酸との添加量はテレフタル酸の添加量の5mol%とし、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールの2,2,3,3-テトラフルオロ-1,4-コハク酸に対するモル比は2.5:3.5とし、多相固体酸・塩基SiO2-MgO粉末、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末、アンチモングリコレート、二酸化チタン及びリン酸トリフェニルの添加量は別々にテレフタル酸の添加量の0.03wt%、0.04wt%、0.03wt%、2wt%及び0.05wt%とする。
(1.5)重合として、
エステル化反応の産物に常圧から絶対圧力480Paまで35分間をかけて徐々に下がる負圧を与え、258℃の温度の下で45分間をかけて反応を続け、さらに負圧を96Paまで持続的に与え、温度を270℃に制御し、55分間かけて反応を行い、最後に数平均分子量が26000Daであり分子量分布指数が1.9である改質ポリエステルを得る。
(2)フルダルポリエステル延伸糸の紡糸工程として、
改質ポリエステルを、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱定型及び巻取りのスッテプにより、FDYになさせ、そのうちに、紡糸温度は285℃、冷却温度は25℃、ネットワーク圧力は0.25MPa、第1ローラ速度は1800m/min、第1ローラ温度は75℃、第2ローラ速度は3100m/min、第1ローラ温度は105℃ならびに巻取り速度は2950m/minとする。
それで、最終的に得られたフルダルポリエステル延伸糸は、(表1)で示す基礎物性を
有し、または、25℃と65%の相対湿度との条件下で60月間をかけて置いた後、18%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
【0061】
実施例5
フルダルポリエステル延伸糸の製造方法は、以下の流れによる。
(1)改質ポリエステルの重合として、
(1.1)多相固体酸・塩基SiO2-MgOの調製として、
SiO2含有量が15wt%とするケイ酸ナトリウム溶液を準備し、ケイ酸ナトリウム溶液の5wt%の分散剤ポリエチレングリコール6000を加え、溶解するまで45℃で混合液をよくかき混ぜ、pH値の10まで濃度の10wt%の硫酸を一定の速度で滴加し、エイジングの1.0時間後pHの8まで硫酸滴加を続け、95℃まで加熱し、2時間のエイジングで沈殿を完結させ、水で洗浄してSO4
2-を除去し、吸引ろ過した沈殿物を無水エタノールでよく洗浄し80℃で乾燥し研磨で粉末のSiO2になさせ、
1重量部のSiO2粉末と59重量部の水をかき混ぜ、2重量部の濃度の4wt%の硫酸マグネシウム溶液を滴加し、混合液のpH値を濃度の0.7mol/Lの水酸化ナトリウム溶液で中性に調整しさらに濃度の10wt%の硫酸で8に調整し、2時間のエイジングで沈殿を完結させ、SO4
2-不検出まで水で洗浄し、吸引ろ過したケーキを無水エノールでよく洗浄し、100℃で乾燥し、650℃で3.5時間かけてカ焼し、最後に粉砕してSiO2の含有量が51wt%とする多相固体酸・塩基SiO2-MgOの平均粒度の0.45ミクロンの粉末となさせる。
(1.2)Bi2O3粉のドーピング修飾として、
(1.2.1)2.5wt%のCa(NO3)2の水溶液と24wt%のBi2O3の硝酸溶液を、Ca2+のBi3+に対するモル比は6:100として、均一に混合し、
(1.2.2)混合液に2mol/Lの濃度のアンモニア水を滴加してpH値が10に調整して沈殿を完結させ、沈殿物を洗浄し、107℃で2.5時間をかけて乾燥し、
(1.2.3)乾燥した産物を400℃まで加熱し2.5時間保温し、さらに700℃まで加熱し2時間保温し、そして空気に置いて冷却させ、最後に粉砕して平均粒度の0.45ミクロンの粉末となさせる。
(1.3)2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールの合成として、
(1.3.1)KOH粉末、3-メチル-3-ヒドロキシブチン、3,3-ジメチル-2-ブタノン及びイソプロピルエーテルを、モル比の1:1:1.3:3.0により混合し、氷浴による反応を4時間行い、反応済みになると冷却で結晶化し、遠心分離し、洗浄し、精製しさらに乾燥し、オクチンジオールとなさせ、
(1.3.2)オクチンジオール、エタノール及びパラジウム触媒を、重量比の2.5:10:0.02により混合し、50℃の下で水素を続けて与える反応を55分間行い、反応済みになると分離し精製して構造式の(式1)とする2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールとなさせる。
(1.4)エステル化として、
テレフタル酸、エチレングリコール、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールならびに2,2-ジフルオロ-1,3-マロン酸をスラリーに調製し、多相固体酸・塩基SiO2-MgO粉末、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末、酢酸アンチモン、二酸化チタン及びリン酸トリフェニルを添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に0.15MPaの圧力と260℃の温度の下で反応させ、生じた水の抜き出す量が理論値の96%に達する際に反応終点を決め、そのうちに、テレフタル酸のエチレングリコールに対するモル比は1:2.0とし、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールと2,2-ジフルオロ-1,3-マロン酸との添加量はテレフタル酸の添加量の3mol%とし、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールの2,2-ジフルオロ-1,3-マロン酸に対するモル比は2:4とし、多相固体酸・塩基SiO2-MgO粉末、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末、酢酸アンチモン、二酸化チタン及びリン酸トリフェニルの添加量は別々にテレフタル酸の添加量の0.04wt%、0.05wt%、0.04wt%、3wt%及び0.04wt%とする。
(1.5)重合として、
エステル化反応の産物に常圧から絶対圧力480Paまで50分間をかけて徐々に下がる負圧を与え、255℃の温度の下で50分間をかけて反応を続け、さらに負圧を95Paまで持続的に与え、温度を282℃に制御し、80分間かけて反応を行い、最後に数平均分子量が29000Daであり分子量分布指数が2.1である改質ポリエステルを得る。
(2)フルダルポリエステル延伸糸の紡糸工程として、
改質ポリエステルを、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱定型及び巻取りのスッテプにより、FDYになさせ、そのうちに、紡糸温度は295℃、冷却温度は25℃、ネットワーク圧力は0.20MPa、第1ローラ速度は1600m/min、第1ローラ温度は70℃、第2ローラ速度は3200m/min、第1ローラ温度は105℃ならびに巻取り速度は3130m/minとする。
それで、最終的に得られたフルダルポリエステル延伸糸は、(表1)で示す基礎物性を
有し、または、25℃と65%の相対湿度との条件下で60月間をかけて置いた後、20%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
【0062】
実施例6
フルダルポリエステル延伸糸の製造方法は、以下の流れによる。
(1)改質ポリエステルの重合として、
(1.1)多相固体酸・塩基の調製として、
実施例3と同じ方法によるSiO2-Al2O3ならびに実施例4と同じ方法によるSiO2-MgOを重量比の1:1で混合して多相固体酸・塩基を得る。
(1.2)Bi2O3粉のドーピング修飾として、
(1.2.1)3wt%のCa(NO3)2の水溶液と24wt%のBi2O3の硝酸溶液を、Ca2+のBi3+に対するモル比は7:100として、均一に混合し、
(1.2.2)混合液に2mol/Lの濃度のアンモニア水を滴加してpH値が10に調整して沈殿を完結させ、沈殿物を洗浄し、110℃で2.5時間をかけて乾燥し、
(1.2.3)乾燥した産物を400℃まで加熱し3時間保温し、さらに700℃まで加熱し1.5時間保温し、そして空気に置いて冷却させ、最後に粉砕して平均粒度の0.45ミクロンの粉末となさせる。
(1.3)2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールの合成として、
(1.3.1)KOH粉末、3-メチル-3-ヒドロキシブチン、3,3-ジメチル-2-ブタノン及びイソプロピルエーテルを、モル比の1.1:1:1.2:3.0により混合し、氷浴による反応を4時間行い、反応済みになると冷却で結晶化し、遠心分離し、洗浄し、精製しさらに乾燥し、オクチンジオールとなさせ、
(1.3.2)オクチンジオール、エタノール及びパラジウム触媒を、重量比の3:10:0.03により混合し、50℃の下で水素を続けて与える反応を60分間行い、反応済みになると分離し精製して構造式の(式1)とする2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールとなさせる。
(1.4)エステル化として、
テレフタル酸、エチレングリコール、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールならびに2,2-ジフルオロ-1,4-コハク酸をスラリーに調製し、多相固体酸・塩基粉末、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末、酢酸アンチモン、二酸化チタン及びリン酸トリフェニルを添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に0.3MPaの圧力と250℃の温度の下で反応させ、生じた水の抜き出す量が理論値の94%に達する際に反応終点を決め、そのうちに、テレフタル酸のエチレングリコールに対するモル比は1:1.2とし、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールと2,2-ジフルオロ-1,4-コハク酸との添加量はテレフタル酸の添加量の4mol%とし、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールの2,2-ジフルオロ-1,4-コハク酸に対するモル比は2:3とし、多相固体酸・塩基粉末、ドーピングにより改質されたBi2O3粉末、酢酸アンチモン、二酸化チタン及びリン酸トリフェニルの添加量は別々にテレフタル酸の添加量の0.05wt%、0.07wt%、0.05wt%、2wt%及び0.01wt%とする。
(1.5)重合として、
エステル化反応の産物に常圧から絶対圧力450Paまで30分間をかけて徐々に下がる負圧を与え、260℃の温度の下で30分間をかけて反応を続け、さらに負圧を92Paまで持続的に与え、温度を277℃に制御し、85分間かけて反応を行い、最後に数平均分子量が28000Daであり分子量分布指数が1.8である改質ポリエステルを得る。
(2)フルダルポリエステル延伸糸の紡糸工程として、
改質ポリエステルを、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱定型及び巻取りのスッテプにより、FDYになさせ、そのうちに、紡糸温度は295℃、冷却温度は25℃、ネットワーク圧力は0.20MPa、第1ローラ速度は1600m/min、第1ローラ温度は80℃、第2ローラ速度は3000m/min、第1ローラ温度は105℃ならびに巻取り速度は3130m/minとする。
それで、最終的に得られたフルダルポリエステル延伸糸は、(表1)で示す基礎物性を有し、または、25℃と65%の相対湿度との条件下で60月間をかけて置いた後、25%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
【0063】
実施例7
フルダルポリエステル延伸糸の製造方法は、以下の流れによる。
(1)改質ポリエステルの重合として、
(1.1)多相固体酸・塩基の調製として、
実施例3と同じ方法によるSiO
2-Al
2O
3ならびに実施例4と同じ方法によるSiO
2-MgOを重量比の1:1で混合して多相固体酸・塩基を得る。
(1.2)Bi
2O
3粉のドーピング修飾として、
(1.2.1)2.5wt%のCa(NO
3)
2の水溶液と25wt%のBi
2O
3の硝酸溶液を、Ca
2+のBi
3+に対するモル比は8:100として、均一に混合し、
(1.2.2)混合液に2mol/Lの濃度のアンモニア水を滴加してpH値が10に調整して沈殿を完結させ、沈殿物を洗浄し、110℃で3時間をかけて乾燥し、
(1.2.3)乾燥した産物を400℃まで加熱し3時間保温し、さらに700℃まで加熱し2時間保温し、そして空気に置いて冷却させ、最後に粉砕して平均粒度の0.45ミクロンの粉末となさせる。
(1.3)2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールの合成として、
(1.3.1)KOH粉末、3-メチル-3-ヒドロキシブチン、3,3-ジメチル-2-ブタノン及びイソプロピルエーテルを、モル比の1.2:1:1.2:3.0により混合し、氷浴による反応を3時間行い、反応済みになると冷却で結晶化し、遠心分離し、洗浄し、精製しさらに乾燥し、オクチンジオールとなさせ、
(1.3.2)オクチンジオール、エタノール及びパラジウム触媒を、重量比の3:10:0.02により混合し、42℃の下で水素を続けて与える反応を55分間行い、反応済みになると分離し精製して構造式の(式1)とする2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールとなさせる。
(1.4)エステル化として、
テレフタル酸、エチレングリコール、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールならびに2,2-ジフルオロ-1,5-グルタル酸をスラリーに調製し、多相固体酸・塩基粉末、ドーピングにより改質されたBi
2O
3粉末、三酸化アンチモン、二酸化チタン及び亜リン酸トリメチルを添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に0.2MPaの圧力と255℃の温度の下で反応させ、生じた水の抜き出す量が理論値の91%に達する際に反応終点を決め、そのうちに、テレフタル酸のエチレングリコールに対するモル比は1:1.4とし、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールと2,2-ジフルオロ-1,5-グルタル酸との添加量はテレフタル酸の添加量の4mol%とし、2,5,6,6-テトラメチル-2,5-ヘプタンジオールの2,2-ジフルオロ-1,5-グルタル酸に対するモル比は3:3.5とし、多相固体酸・塩基粉末、ドーピングにより改質されたBi
2O
3粉末、三酸化アンチモン、二酸化チタン及び亜リン酸トリメチルの添加量は別々にテレフタル酸の添加量の0.03wt%、0.06wt%、0.03wt%、2.5wt%及び0.01wt%とする。
(1.5)重合として、
エステル化反応の産物に常圧から絶対圧力490Paまで50分間をかけて徐々に下がる負圧を与え、255℃の温度の下で50分間をかけて反応を続け、さらに負圧を95Paまで持続的に与え、温度を270℃に制御し、55分間かけて反応を行い、最後に数平均分子量が25000Daであり分子量分布指数が2.2である改質ポリエステルを得る。
(2)フルダルポリエステル延伸糸の紡糸工程として、
改質ポリエステルを、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱定型及び巻取りのスッテプにより、FDYになさせ、そのうちに、紡糸温度は285℃、冷却温度は20℃、ネットワーク圧力は0.20MPa、第1ローラ速度は1600m/min、第1ローラ温度は80℃、第2ローラ速度は3000m/min、第1ローラ温度は130℃ならびに巻取り速度は3130m/minとする。
それで、最終的に得られたフルダルポリエステル延伸糸は、(表1)で示す基礎物性を
有し、または、25℃と65%の相対湿度との条件下で60月間をかけて置いた後、22%の固有粘度下りと示す自然分解性能を有する。
【表1】
【国際調査報告】