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特表2022-508316セルローススパンボンド不織布の製造における溶媒およびセルロース再循環のための方法
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  • 特表-セルローススパンボンド不織布の製造における溶媒およびセルロース再循環のための方法 図1
  • 特表-セルローススパンボンド不織布の製造における溶媒およびセルロース再循環のための方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】セルローススパンボンド不織布の製造における溶媒およびセルロース再循環のための方法
(51)【国際特許分類】
   D04H 3/16 20060101AFI20220112BHJP
   D04H 3/03 20120101ALI20220112BHJP
   D04H 3/013 20120101ALI20220112BHJP
   D01D 5/04 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
D04H3/16
D04H3/03
D04H3/013
D01D5/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531717
(86)(22)【出願日】2019-12-04
(85)【翻訳文提出日】2021-07-30
(86)【国際出願番号】 EP2019083693
(87)【国際公開番号】W WO2020115142
(87)【国際公開日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】18210510.6
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507127314
【氏名又は名称】レンチング アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 慎介
(72)【発明者】
【氏名】ザゲレル-フォリク,イブラヒム
(72)【発明者】
【氏名】マルズナー,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】リヒテンタール,マルティン
【テーマコード(参考)】
4L045
4L047
【Fターム(参考)】
4L045AA01
4L045BA03
4L045BA56
4L045DA27
4L045DA34
4L045DA45
4L045DC50
4L047AA08
4L047AB03
4L047EA01
4L047EA22
(57)【要約】
紡糸溶液製造システム(3)、紡糸システム(2)、凝固液を分配するための装置(6)、スパンボンド不織布(8)を支持するための少なくとも1つの搬送手段(7、9)、およびスパンボンド不織布(8)のための収集装置を備え、少なくとも1つの外向き移送装置(14)が、凝固液を分配するための装置(6)とスパンボンド不織布(8)のための収集装置(13)との間に設けられる、スパンボンド不織布(8)を生産するための設備(1)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパンボンド不織布(8)の生産のためのプラント(1)であって、
紡糸溶液製造部(3)、
紡糸システム(2)、
凝固液の送達のためのデバイス(6)、
前記スパンボンド不織布(8)を堆積させるための少なくとも1つの搬送デバイス(7、9)、および、
前記スパンボンド不織布(8)のための収集デバイス(13)
を備え、
少なくとも1つの排出デバイス(14)が、前記凝固液の送達のための前記デバイス(6)と前記スパンボンド不織布(8)のための前記収集デバイス(13)との間に設けられることを特徴とする、プラント(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの排出デバイス(14)が、前記紡糸溶液製造部(3)に伝導的に接続されることを特徴とする、請求項1に記載のプラント。
【請求項3】
前記少なくとも1つの排出デバイス(14)が、前記スパンボンド不織布(8)の前記堆積の領域内で前記搬送デバイス(7、9)に設けられることを特徴とする、請求項1または2に記載のプラント。
【請求項4】
乾燥デバイス(12)を特徴とし、前記少なくとも1つの排出デバイス(14)が、前記搬送デバイス(7、9)と前記乾燥デバイス(12)との間に設けられる、請求項1から3のいずれか一項に記載のプラント。
【請求項5】
乾燥デバイス(12)および収集デバイス(13)を特徴とし、前記少なくとも1つの排出デバイス(14)が、前記乾燥デバイス(12)と前記収集デバイス(13)との間に設けられる、請求項1から4のいずれか一項に記載のプラント。
【請求項6】
前記搬送デバイス(7、9)が、複数部分のものであり、前記少なくとも1つの排出デバイス(14)が、前記搬送デバイス(7、9)の2つの部分間に設けられることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のプラント。
【請求項7】
前記搬送デバイス(7、9)の一部分が、洗浄デバイス(10)を備え、前記少なくとも1つの排出デバイス(14)が、前記洗浄デバイス(10)の上流に設けられることを特徴とする、請求項6に記載のプラント。
【請求項8】
前記搬送デバイス(7、9)の一部分が、洗浄デバイス(10)を備え、前記少なくとも1つの排出デバイス(14)が、前記洗浄デバイス(10)の下流に設けられることを特徴とする、請求項6に記載のプラント。
【請求項9】
破砕デバイス(15)を特徴とし、前記破砕デバイス(15)の入力が、前記少なくとも1つの排出デバイス(14)に接続される、請求項1から8のいずれか一項に記載のプラント。
【請求項10】
前記破砕デバイス(15)の出力が、前記紡糸溶液製造部(3)に接続されることを特徴とする、請求項9に記載のプラント。
【請求項11】
懸濁液容器(16)が、前記破砕デバイス(15)と前記紡糸溶液製造部(3)との間に設けられることを特徴とする、請求項8から10のいずれか一項に記載のプラント。
【請求項12】
紡糸液フィラメント(5)が、紡糸システム(2)から押し出され、引き出された状態で堆積されてスパンボンド不織布(8)を形成し、後で収集される、前記スパンボンド不織布(8)の生産のためのプラント(1)において溶媒またはセルロースを再循環させる方法であって、前記プラント(1)の始動中、前記プラント(1)の運転停止中、または前記プラント(1)の動作上の問題が生じた場合に堆積されたスパンボンド不織布(8)が、前記収集の前に排出され、(a)前記溶媒が、前記排出されたスパンボンド不織布(8)から除去され、かつ/または(b)前記排出されたスパンボンド不織布(8)が、紡糸溶液製造部(3)に供給されることを特徴とする、方法。
【請求項13】
前記排出されたスパンボンド不織布(8)が、前記紡糸溶液製造部(3)に供給される前に破砕されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記排出されたスパンボンド不織布(8)が、前記紡糸溶液製造部(3)に供給される前に溶媒と混合されることを特徴とする、請求項12または13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紡糸システム、凝固液を送達するためのデバイス、スパンボンド不織布を堆積させるための少なくとも1つの搬送デバイス、およびスパンボンド不織布のための収集デバイスを備える、スパンボンド不織布の生産のためのプラントに関する。さらに、本発明は、紡糸液フィラメントが紡糸システムから押し出され、スパンボンド不織布を形成するために引き出された状態で堆積されて、その後で収集される、スパンボンド不織布の生産のためのプラントにおいて溶媒またはセルロースを再循環するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
何年もの間、スパンボンド不織布は、スパンボンドプロセスまたはメルトブローンプロセスに従って生産されてきた。例えばGB2114052およびEP3088585で説明されているようなスパンボンドプロセスでは、フィラメントが、ノズルを通して押し出されて、下方に位置決めされた引出しユニットによって移送されかつ引き出される。対照的に、例えば米国特許第5,080,569号、米国特許第4,380,570号、および米国特許第5,695,377号で説明されているようなメルトブローンプロセスでは、押し出されたフィラメントは、ノズルから現れるとすぐに高温高速のプロセス空気によって同伴されかつ引き出される。
【0003】
どちらの技術においても、フィラメントは、例えば有孔コンベヤベルトである堆積表面上に不規則な配向で堆積されて不織布を形成し、仕上げ段階へ搬送されて、最終的に不織布ロールとして巻き取られる。
【0004】
知られた方法およびデバイスは、例えばポリプロピレンなどの合成フィラメントの生産のために主に開発されており、また、先の刊行物は、ノズル、使用される原料、および不織布の堆積に必要とされる堆積システムに主に関する。実際には、採算に合いかつ安全性に対応した生産プラントの運転は、スパンボンディングプラントにおける運転条件をさらに吟味することを必要とする。熱可塑性スパンボンディングプラントの始動中、押し出されたフィラメントは、例えば、紡糸システムの下方のデバイスによって収集されて処分されるか、または、いわゆるキャリヤウェブ上に堆積される。キャリヤウェブは不織布の堆積より前には巻かれていないので、一方では、コンベヤベルトが、高温のフィラメントによってもたらされる損傷から保護され、また他方では、押し出されたばかりのフィラメントが、すぐに移送されて、固化デバイスおよび場合により下流に配置された乾燥デバイスを介して巻き取られる。一方では、つなぎ合わせ(piecing)中に堆積コンベヤベルトが高温のフィラメントによって損傷を受けることが防止され、他方では、スパンボンド不織布のスレッディングが自動的に起こる。所望の品質のスパンボンド不織布が得られるとすぐに、キャリヤウェブは、スパンボンド不織布が堆積される前に切り離されるか、あるいは引きちぎられる。次いで、スパンボンド不織布は、堆積表面上に直接にかつ即座に堆積される。プラントがオフにされる前に、キャリヤウェブは、先に説明された開始プロセスを次回の始動のために繰り返すことができるように、再び広げられる。熱可塑性スパンボンド不織布のための知られたスパンボンディングプラントでは、始動中、運転停止中、およびスパンボンド不織布の生産中に問題が生じた際の高温融解物の取扱いおよび搬送デバイスの保護に、特別な注意が払われる。
【0005】
すでに非常に良く知られている熱可塑性物質のためのスパンボンドプロセスおよびメルトブローンプロセスとは対照的に、例えばライオセル紡糸液からのセルローススパンボンド不織布の生産のための不織布移送は、さらなる問題を解決しなければならない。スパンボンド技術を使用したセルローススパンボンド不織布の生産は、例えば米国特許第8,366,988号で説明されており、また、メルトブローン技術によるセルローススパンボンド不織布の生産は、米国特許第6,358,461号および米国特許第6,306,334号で説明されている。これらのプロセスでは、ライオセル紡糸液は、すでに知られているスパンボンドプロセスおよびメルトブローンプロセスにおけるように引き出されるが、フィラメントは、セルロースを再生させるために、また、寸法的に安定したフィラメントを作り出すために、不織布の堆積に先立って凝固剤とさらに接触される。空気の乱流により、湿ったフィラメントは、不織布として不規則な配向で堆積される。
【0006】
セルローススパンボンド不織布の生産のために、再循環されなければならない溶媒が使用される。さらに、生産された紡糸液あるいはライオセル紡糸液は、可燃性であり、かつ、下流のプラント部分に損傷を与える可能性があり、そのため、始動手順および運転停止手順は、熱可塑性スパンボンディングプラントと同様には起こり得ない。最初はまだ粗い、高温の紡糸液フィラメントは、単純にキャリヤウェブ上に堆積されて乾燥機を介して巻取機へ搬送されることができない。特に少量の引出し空気によるプラントの始動中、押し出されたフィラメントは、WO2018/071928A1で説明されている洗浄プロセスの後ですら、スパンボンド不織布のさらなる処理中に溶媒が失われるくらいの大量の溶媒残留物を示すほどになおも粗いことが、示されている。AT503625で説明されている水流絡合機(hydroentanglement)、乾燥機、および巻取機などの下流のプラント部分が、溶媒によってさらに汚染されかつ腐食する。極端な場合、溶媒を多く含むスパンボンド不織布は、なおも大部分が紡糸液からなり、乾燥機内で燃え始める可能性がある。
【0007】
溶媒の損失、ならびに腐食および火災によって損傷を受けるプラント部分の損失は、かなりの経済的リスクを生む。セルローススパンボンド不織布の生産では特に、溶媒の損失、および溶媒と下流の設備との接触は、安全上、経済上、および環境上の理由から、回避されるべきである。
【0008】
すでに言及されたように、(米国特許第3,849,241号で説明されているような)熱可塑性スパンボンド不織布を生産する方法に関する先の刊行物の焦点は、第一に、メルトブローンおよびスパンボンドのために使用される紡糸システムにある。米国特許第6,358,461号および米国特許第8,282,877号は、セルローススパンボンド不織布の生産を説明しており、また、米国特許第8,366,988号は、原料および製品の再循環に関する詳細を提供しているが、従来技術は、プラントの始動中および生産上の問題が起きた際の運転停止中の動作モードに関する情報、ならびにセルローススパンボンディングプラントの運転中の溶媒およびセルロースの再循環に関する情報を何も提供しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、上記の欠点を回避することである。具体的には、溶媒の損失が、最初に述べられたプラントおよび最初に述べられた方法において最小限に抑えられるべきであり、また、下流のプラント部分の動作信頼性が、確保されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
目的は、スパンボンド不織布の生産のためのプラントであって、
・ 紡糸溶液製造部、
・ 紡糸システム、
・ 凝固液の送達のためのデバイス、
・ スパンボンド不織布を堆積させるための少なくとも1つの搬送デバイス、および、
・ スパンボンド不織布のための収集デバイス
を備え、
凝固液を送達するためのデバイスとスパンボンド不織布のための収集デバイスとの間に少なくとも1つの排出デバイスが設けられることを特徴とする、プラントによって達成される。
【0011】
さらに、目的は、紡糸液フィラメントが紡糸システムから押し出され、スパンボンド不織布を形成するために引き出された状態で堆積されて、その後で収集される、スパンボンド不織布の生産のためのプラントにおいて溶媒またはセルロースを再循環する方法であって、プラントの始動中、プラントの運転停止中、またはプラントの動作上の問題が生じた際に堆積されたスパンボンド不織布が、収集に先立って排出され、(a)溶媒が、排出されたスパンボンド不織布から除去され、かつ/または(b)排出されたスパンボンド不織布が、紡糸溶液製造部に供給される方法によって達成される。
【0012】
始動中、運転停止中、または生産中に動作上の問題(紡糸不良、粗い繊維の集積、スパンボンド不織布がなおも紡糸液からなる、…)が生じた場合に溶媒を多く含むスパンボンド不織布を排出するために、また、溶媒を再循環させることを可能にするほかに乾燥デバイスまたは収集デバイスにおける汚染および例えば水流絡合中の火災の危険性を回避するために、本発明によるプラントは、所望の特性を示さないこの溶媒を多く含むスパンボンド不織布を排出しかつそのスパンボンド不織布を生産プロセスに送り返すというさらなる目的を達成する。
【0013】
ライオセル紡糸液からのスパンボンド不織布の生産の例を使用すると、排出されたスパンボンド不織布片は、NMMO再循環中にさらなる精製ステップに供給され、続いて、精製され濃縮されかつ紡糸液製造部に加えられ得るNMMO溶液が再度形成されるように例えば濾過、デカンテーション、圧搾、または遠心分離され得ることが、示されている。本発明によれば、プラントの始動および運転停止中または生産上の問題が生じた際に失われていたであろうNMMOは、生産プラントから特異的に排出され、その後で再循環され得る。固体/液体分離に応じて、残っているセルロースもまた、処分されるのではなく紡糸液の製造のために再利用され得ることが、示されている。
【0014】
本発明による方法のさらなる利点は、溶媒およびセルロースの再循環の結果としてのスパンボンディングプラントの経済的かつ環境的に改善された運転に加えて、下流のプラント部分の保護である。溶媒を多く含むスパンボンド不織布は、移送デバイス後、または洗浄デバイス後、または固化デバイス後に排出されるので、可燃性の溶媒あるいは紡糸液が乾燥デバイスの高温の乾燥機表面と接触するのを防ぐことが可能である。
【0015】
固化に先立って水噴射によりスパンボンド不織布が排出される場合、現時点ではプラントの部品およびノズルストリップに腐食作用をもたらし得ることである水流絡合の水循環に溶媒が入ることも、防ぐことができる。
【0016】
さらなる利点は、プラントの始動および運転停止中のいくつかの時点において、しかし生産不良が生じた際にも、特に高速度でスパンボンド不織布を排出する可能性であることが分かる。例えば、スパンボンド不織布が水流絡合中に真空ドラムまたは偏向ローラに巻き付く場合、スパンボンド不織布は、引きちぎられかつ上流に排出される可能性があり、水流絡合の速度は低下され、絡合が断ち切られ、プラントは、全紡糸プロセスまたは紡糸液製造すら停止する必要なしに再始動され得る。特にセルローススパンボンド不織布の生産においては、紡糸液製造部は一様な製品品質を得るために絶えず動作されるべきであることが、明らかになっている。本発明による方法によれば、紡糸液システムおよび紡糸システムを止めるまたは絞る必要なしに下流のプラント部分に対して調節がなされ得るので、ダウンタイムは最小限に抑えられ得る。移送デバイスの速度だけが調節され、スパンボンド不織布は、作業が行われるプラントの部分の前に排出され、NMMOは-すでに説明されたように排出されたスパンボンド不織布から再循環されるか、または、排出されたスパンボンド不織布は、懸濁されかつ紡糸液製造部に直接戻される。
【0017】
説明を容易にするために、本発明の文脈において、スパンボンド不織布は、一方では、通常動作中に、0.1μmから250μmまでのフィラメント径および<500mg/kg溶媒の範囲内で、場合により交点においてくっつき合う、再生セルロースフィラメントで作られた不織構造体であると理解される。他方では、スパンボンド不織布は、始動中、運転停止中、または生産不良が生じた際に、部分的に再生されているかまたは全く再生されていない、0.1から50,000μmの直径および>500mg/kgから数百万mg/kgまでの溶媒濃度を有する紡糸液フィラメントで作られた平面状の組立体であると理解される。実際の状態は、動作モードに応じて、上述の2つの例の間でもあり得る。
【0018】
システムに関して、多数の有利な実施形態変形例(embodiment variant)が存在する。
【0019】
押し出された紡糸液フィラメント、また、すでに再生されたフィラメントは、堆積後に移送方向に逆らって排出され得る。紡糸液が所望の品質をまだ有していない場合、または、下流の移送デバイスに関する問題が排除されなければならない場合、排出は、紡糸システムからの押出しの直後に、あるいは移送デバイスを逆行させることにより移送デバイスの前に行われ得る。
【0020】
さらに、プラントは、少なくとも1つの洗浄システムを備えることができ、排出デバイスが、移送デバイスと洗浄システムとの間に設けられる。
【0021】
さらに、プラントは、少なくとも1つの固化システムを備えることができ、排出デバイスが、移送デバイスと固化システムとの間に設けられる。
【0022】
さらに、プラントは、乾燥デバイスを備えることができ、排出デバイスが、移送デバイスあるいは上流に配置された固化システムと乾燥デバイスとの間に設けられる。
【0023】
さらに、プラントは、乾燥デバイスの下流に排出デバイスを備えることができる。
【0024】
移送デバイスが複数部分のものであり、移送デバイスの2つの部分間に排出デバイスが設けられることが、好ましい。したがって、移送デバイスは、例えば、コンベヤベルトであり得る。最も単純な場合では、移送デバイスは、複数部分コンベヤベルトであり、排出デバイスは、2つのコンベヤベルト部分間に配置される。
【0025】
最も単純な場合では、排出デバイスは、スパンボンド不織布が通り抜けて落ちる開口部を有し得る。1つの実施形態変形例では、排出デバイスは、移送デバイスの部分間の間隙の下の立坑として設計される。搬送デバイス間の間隙は、2から200cmの間、好ましくは5から100cmの間、より好ましくは10から50cmの間であり得る。立坑は、移送デバイスの全幅に及び得るか、または、移送デバイスの幅の一部にのみ及び得る。スパンボンド不織布は、受動的に立坑内に落ちて破砕デバイスに向かってよく、または、空気ノズル、水ノズル、または当業者に知られている他の搬送デバイスにより積極的に破砕デバイスに運ばれてよい。
【0026】
溶媒を多く含む排出されたスパンボンド不織布は、再利用され得る。この目的のために、破砕デバイスが設けられてよく、その場合、破砕デバイスの入力は、排出デバイスに接続される。すると、溶媒を多く含むスパンボンド不織布は、破砕され得る。
【0027】
1つの実施形態変形例では、破砕デバイスの出力が紡糸溶液製造部に接続されることが提供される。この場合、破砕された材料は、スパンボンディングプロセスに戻され得る。
【0028】
場合により、さらなる排出デバイスが、破砕デバイスと紡糸溶液製造部との間に設けられ得る。この場合、過度の量の破砕材料が保持され得るか、または、汚染された材料がすっかり排除され得る。
【0029】
懸濁液容器が破砕デバイスと紡糸溶液製造部との間に設けられることが、好ましい。したがって、破砕された材料は、次回の紡糸プロセスのために最適に準備され得る。
【0030】
スパンボンド不織布を排出するための位置は、例えば刃物で切断された(edge cut)材料を紡糸液製造部に再利用するために、紡糸システムの後、堆積コンベヤベルトの後、洗浄の後、固化の後、および乾燥機の後であってよい。
【0031】
各排出デバイスの後には、少なくとも1つの破砕デバイスおよび懸濁液容器が続いてもよい。プラントの設計に応じて、さらなる実施形態変形例が考えられる。
【0032】
排出されたスパンボンド不織布はまた、いくつかの排出デバイスから搬送デバイスを介して破砕デバイスへ移送され得る。
【0033】
破砕デバイスは、1つの懸濁液容器、または代わる代わる満たされるいくつかの懸濁液容器を備え得る。したがって、懸濁液容器は、技術的機器設計に応じて、連続的にまたは不連続的に動作され得る。懸濁液ポンプが、懸濁を持続し得る。
【0034】
セルロース含有量が低い場合、懸濁液ポンプは、例えば、歯車ポンプまたはウォーム歯車ポンプとして設計され得る。セルロース含有量が高い場合、新たな紡糸液製造のための再循環セルロースを計量するために、例えば、ねじコンベヤ、計量スクリュー、コンベヤベルト、または定量コンベヤばかり(proportioning belt weigher)も使用され得る。
【0035】
排出プロセスは、5から1000m/minの間、好ましくは10から500m/minの間、より好ましくは15から250m/minの間の不織布移送速度において行われ得る。
【0036】
搬送デバイスはまた、回転ローラまたはドラムであってよい。移送デバイスのレイアウトに応じて、排出デバイスは、それらの位置においてスパンボンド不織布が排出されるように、また、本発明による方法が実施され得るように、調整される。
【0037】
方法に関して、排出されたスパンボンド不織布は、紡糸溶液製造部に供給される前に再度懸濁されかつ新鮮なパルプおよび新鮮な溶媒と混合されるものとされ得る。
【0038】
破砕されたスパンボンド不織布は、紡糸溶液製造部に供給される前に溶媒と混合されるものとされることが、好ましい。意外にも、調製された懸濁液すら、紡糸液製造部に直接供給されてよく、したがって、すでに使用されたNMMO、および、すでにスパンボンド不織布に加工されているセルロースが、紡糸性または製品特性に関していかなる制限も認められることなしに、紡糸液のために再び溶かされて紡がれ得る。
【0039】
本発明による方法は、セルロースを溶解するために使用される溶媒、例えば第三級アミンオキシドまたはイオン性液体を回収するために、セルローススパンボンド不織布の生産に使用され得る。
【0040】
本発明では、溶媒を多く含むスパンボンド不織布を排出して、排出されたスパンボンド不織布を破砕しかつ懸濁させ、続いて製造された懸濁液を溶媒処理に供給するかまたは紡糸液製造部に直接加えるために、2つのプラント部分または移送デバイス間の間隔あるいは間隙を使用することを可能にする方法およびプラントが、提供される。
【0041】
本発明による方法は、紡糸液製造部または紡糸システムのスイッチを切ることなしにスパンボンド不織布を排出することができかつ下流の機器に対して調節を行うことができるので、セルローススパンボンド不織布の生産のためのスパンボンディングプラントの経済的、環境的、安全的、および動作的に改善された運転を可能にする。続いて、溶媒を再循環することができ、また、下流の機器の汚染を防止することができ、したがって、腐食および火災の危険性を最小限に抑えることができる。
【0042】
本発明をより良く示すために、本質的な特徴が、以下の図を参照しながら本発明による方法の好ましい実施形態に基づいて示される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明によるプラントを概略的に示す図である。
図2】スパンボンド不織布からの再利用セルロースと比較した、新鮮なパルプからの紡糸液の粘性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、本発明によるプラント1を示し、プロセス段階もプラント1に関連して説明されている。紡糸システム2により、押し出されかつ引き出された紡糸液フィラメント5は、堆積されてスパンボンド不織布8を形成し、かつ、主プロセス流れの中断を介していくつかの排出デバイス14において排出される。通常動作中、フィラメント5は、セルロースを再生するために、また、プロセス空気4およびフィラメント5がコンベヤベルトの形態をした搬送デバイス7に衝突してスパンボンド不織布8が形成される前にフィラメント5の形状を安定させるために、凝固液を送達するためのデバイス6から凝固液を吹き付けられ得る。次いで、スパンボンド不織布4は、洗浄デバイス10において主プロセス流れ内で洗浄され、場合により固化システム11において固化され、乾燥デバイス12において乾燥されて、収集デバイス13においてロールに巻き取られる。
【0045】
始動中、運転停止中、または生産上の問題が生じた場合、例えば凝固液を送達するためのデバイス6または洗浄デバイス10の故障が生じた場合に、500ppmを超えるNMMO、場合により5000ppmを超えるNMMO、極端な場合では50,000ppmを超えるNMMOがライオセル紡糸液からのスパンボンド不織布の生産中にスパンボンド不織布内に残ることが、示されている。本発明による方法なしでは、溶媒を多く含むスパンボンド不織布は、固化システム11および乾燥デバイス12を介して収集デバイス13に移送されるであろう。長期間にわたって、NMMOは、固化システム11の水循環に集積し、かつ、プラント部分および固化ノズルの腐食をもたらし得る。長期にわたる動作中、NMMOは、乾燥デバイス12に集積して、乾燥デバイス12における火災をもたらし得る。いかなる場合でも、NMMOは失われ、これは、上述の安全性の問題に加えて、経済的にも環境的にも受け入れられることではない。
【0046】
10kg/h/mから1000kg/h/mの間のセルロース処理量の紡糸システム2の生産性の場合、溶媒の損失は、すでに説明された問題を解決するための新たな方法が開発されなければならないほどに大きいことが、示されている。
【0047】
本発明によれば、コンベヤベルト7、9間の間隙は、溶媒を多く含むスパンボンド不織布が排出されることを可能にする排出デバイス14(詳細には図示せず)が取り付けられ得る範囲で使用される。本発明によれば、プラントオペレータは紡糸溶液製造部3および紡糸システム2を事前にオフにするまたは絞ることなしに下流のプラント部分に対して活動を行うことが可能になるので、主プロセス流れからの除去により、プラントオペレータのためのより高度な柔軟性がすぐにもたらされる。
【0048】
排出されたスパンボンド不織布は、破砕デバイス15において破砕されてスパンボンド不織布片を形成し、そして例えば供給ポンプ18により管路19を介してNMMO回収部(詳細には図示せず)へ搬送され得るかまたは管路20を介して紡糸溶液製造部3(詳細には図示せず)へ搬送され得る程度まで、液体17の追加により懸濁液容器16において懸濁される。排出されたスパンボンド不織布は、破砕ステップおよび液体との混合により、移送可能な懸濁液になるまで混合され得ることが、示されている。NMMOの再循環または紡糸溶液製造部への追加を可能にするのは、このステップである。
【0049】
排出デバイス14は、紡糸液管路の下流、紡糸システム2の下流、移送デバイス7の上流または下流、および洗浄デバイス10に関連付けられた移送デバイス9の上流または下流に配置され得る。さらに、排出デバイス14は、固化システム11と乾燥デバイス12との間に配置され得る。排出デバイス14はまた、低品質の製品を排出するため、それらを再循環に供給するため、および、それらをもう一度紡糸液に加工するために、乾燥デバイス12の下流および収集デバイス13の上流に配置されてもよい。プロセス制御およびプラントレイアウトに応じて、排出デバイス14のための他の位置も可能である。したがって、プラント1は、1つまたはいくつかの排出デバイス14を有し得る。セルロース1kg当たりの排出されたスパンボンド不織布の水分負荷は、洗浄の領域では0.1kg/kgから10kg/kg、乾燥後では0から4kg/kgであり得る。
【0050】
排出されたスパンボンド不織布は、排出デバイス14を介して破砕デバイス15へ案内される。例えば、破砕デバイス15は、10から5000kg/h、好ましくは100から2000kg/h、より好ましくは200から1000kg/hのスパンボンド不織布を破砕することが可能なミル、好ましくはカッティングミルであり得る。スパンボンド不織布の破砕片は、10μmから100mm、好ましくは0.1mmから50mm、より好ましくは1mmから10mmに及ぶ長さを有する。強度、およびスパンボンド不織布の破砕の所望の程度に応じて、当業者に知られている他の破砕デバイスも使用され得る。
【0051】
スパンボンド不織布の破砕片は、懸濁液槽16において液体17と混合され、かつ、移送可能な懸濁液を形成するために融和される。懸濁液容器16は、懸濁液の均質性を高めるための攪拌機を備え得る。1つの実施形態変形例では、懸濁液容器はまた、セルロースの水分吸収を改善するために、また、膨張を増大するために、加熱され得る。
【0052】
懸濁液のために使用される液体17は、脱塩水、または紡糸液の生産に使用される溶媒と水との溶液であってよい。スパンボンド不織布がライオセル紡糸液から生産される場合、懸濁液のための液体17は、0から85%の間のNMMO、好ましくは10から80%のNMMO、より好ましくは20から78%の間のNMMOを有し得る。調製された懸濁液は、1から95%の間、好ましくは2から50%、より好ましくは3から30%のセルロース含有量を有する。調製された懸濁液は、溶媒再循環に圧送されるかまたは添加物として紡糸液製造部に圧送され、また、懸濁液の粘性は、セルロース含有量および溶媒のタイプに大きく依存するので、セルロース含有量および溶媒の濃度は、排出デバイスの位置(この位置におけるスパンボンド不織布の水分含有量)および懸濁液の使用に応じて調節されなければならない。懸濁液のセルロース含有量は、後の精製ステップ、固体/液体分離、および続くNMMO希釈がすでに何らかの形で存在するライオセルプロセスのNMMO処理サイクルにおいてより良好に行われ得るように、懸濁液がNMMO再循環に移送されるときに好ましくは20%を下回るべきであることが、示されている。紡糸液の生産のために懸濁液が再利用される場合、セルロース含有量は最終的な紡糸液においてより良く調節され得るので、>20%のより高いセルロース含有量が好都合である。
【0053】
図2は、紡糸液の粘性が、スパンボンド不織布の新たな破砕および溶解に関わらず、新鮮なセルロースで作られた紡糸液の粘性からわずかにしか逸脱しないことを示す(Malvern Messsystem CP4/40社によるレオメータKinexus、0.004および30Hzによる100℃での振動測定、KinexusのためのrSpaceを用いた評価によって測定され、どちらの試料も同じパルプ含有量および水分含有量で測定された)。したがって、本発明による方法により、すでに生産されかつ排出されたスパンボンド不織布が、再利用され得る。したがって、例えば、4から17%のパルプ含有量のライオセル紡糸液が、再循環されたスパンボンド不織布で作られた再利用セルロースを100%、好ましくは1から50%、より好ましくは2から30%使用して製造され得る。
図1
図2
【国際調査報告】