(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】尿素製造プロセス及び低圧回収部における熱統合を有するプラント
(51)【国際特許分類】
C07C 273/16 20060101AFI20220112BHJP
C07C 273/04 20060101ALI20220112BHJP
B01J 3/00 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
C07C273/16
C07C273/04
B01J3/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021536197
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(85)【翻訳文提出日】2021-06-21
(86)【国際出願番号】 NL2019050851
(87)【国際公開番号】W WO2020130817
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512061836
【氏名又は名称】スタミカーボン・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ラフル・パティル
(72)【発明者】
【氏名】フレデリクス・ヘンリクス・マリア・ブイティンク
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AA04
4H006AC57
4H006AD18
4H006BC51
4H006BC52
4H006BD60
4H006BD84
4H006BE14
4H006BE41
(57)【要約】
本発明は、高圧ストリッパ及び低圧分解器から得た尿素液が処理される準大気圧分解器と壁を通した熱交換している、低圧カルバメート凝縮器に接続した低圧分解器を使用する尿素製造プロセスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)高圧反応ゾーン(R)内で、アンモニア及び二酸化炭素を尿素形成条件にさらすことによって、カルバメートも含む第1の尿素液(U1)を形成することと、
B)前記第1の尿素液を高圧ストリッピング(S)にさらして、熱(H1、S1)を使用してカルバメートを分解することによって、ガス流(SG)及びカルバメートも含有する第2の尿素液(U2)を形成すること、及び高圧カルバメート凝縮器(HPCC)内で、前記ガス流(SG)を凝縮させることによって、前記高圧反応ゾーンに供給される第1のカルバメート含有液(C1)を形成し、凝縮熱(H2、S2)を放出することと、
C)前記第2の尿素液(U2)を低圧カルバメート分解させるか、又は最初に中圧(MPP)で前記第2の尿素液(U2)を処理して、前記処理された第2の尿素液(U2a)を低圧分解させることであって、前記低圧カルバメート分解が、低圧分解器(LPD)内で、前記高圧カルバメート凝縮器からの前記凝縮熱(H2、S2)を使用して、カルバメートを含有する前記尿素液(U2、U2a)を加熱して、カルバメートを分解することによって、第1の蒸気(V1)及びカルバメートも含有する第3の尿素液(U3)を得て、前記第3の尿素液を準大気圧(F1、X1)まで膨張させることによって、膨張した第3の尿素液(U3a)を得ることを含むことと、
D)第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)内で、前記第1の蒸気(V1)を凝縮させることよって、第2のカルバメート含有液(C2)及び第2の蒸気(V2)を得て、追加の凝縮熱(H3)を放出することであって、前記第1の低圧カルバメート凝縮器が、前記高圧反応ゾーン(R)の注入口と液体連通している前記第2のカルバメート含有液(C2)のための排出口を有すること、
及び準大気圧分解器(LLPD)内で、前記膨張した第3の尿素液(U3a)を、前記第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)と前記準大気圧分解器(LLPD)との間の熱交換壁(LPHX)を通した熱伝達による前記第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)からの前記追加の凝縮熱(H3)を使用して、分解することによって、第4の尿素液(U4)及び第3の蒸気(V3)を得ることと、
E)準大気圧カルバメート凝縮器(LLPC)内で、前記第3の蒸気(V3)を、冷却流体との間接熱交換において凝縮させることによって、第4のカルバメート含有液(C4)を得ることと、
を含む尿素製造プロセス。
【請求項2】
前記準大気圧カルバメート凝縮器(LLPC)が、前記高圧反応ゾーン(R)と液体連通している前記第4のカルバメート含有液(C4)の少なくとも一部のための排出口を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
第2の低圧カルバメート凝縮器(LPC2)内で、前記第2の蒸気(V2)を、冷却流体(CW)との間接熱交換において、凝縮させることによって、第3のカルバメート含有液(C3)を得ることを更に含み、前記第2の低圧カルバメート凝縮器(LPC2)が、前記高圧反応ゾーン(R)の注入口と液体連通している前記第3のカルバメート含有液(C3)のための排出口を有する、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記第3の尿素液の準大気圧への膨張が、第4の蒸気(V4)を得るための大気フラッシュ(F1)及び準大気圧まで更に膨張させて、前記膨張した第3の尿素液(U3a)を得るための尿素液を含み、前記プロセスが、大気圧凝縮器(APC)内で、第4の蒸気(V4)を凝縮させて、第5のカルバメート含有液(C5)を得て、前記第1及び/又は第2の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)及び/又は前記第2の低圧カルバメート凝縮器(LPC2)に、前記第5のカルバメート含有液(C5)を供給することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記方法が、最初に中圧(MPP)で前記第2の尿素液(U2)を処理して、カルバメートも含有する処理された第2の尿素液(U2a)及び第5の蒸気(V5)を得ること、及び中圧凝縮器(MPC)内で、前記第5の蒸気を凝縮して、第6のカルバメート含有液(C6)を得ることを含み、前記第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)からの前記第2のカルバメート含有液(C2)及び/又は前記準大気圧カルバメート凝縮器(LLPC)からの前記第3のカルバメート含有液(C3)が、前記中圧凝縮器(MPC)に供給され、前記中圧凝縮器(MPC)は、前記高圧反応ゾーン(R)の注入口と液体連通する前記第6のカルバメート含有液(C6)のための排出口を有し、
前記方法が、前記処理された第2の尿素液(U2a)を前記低圧カルバメート分解(LPD)にさらすこと、及び予備蒸発器(PEV)内で、前記第4の尿素液(U4)を加熱して、前記中圧凝縮器(MPC)内に放出された凝縮熱(H4)を使用して水を蒸発させることによって、第5の尿素液(U5)及び第6の蒸気(V6)を得ることを更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記中圧での処理が、中圧フラッシュ容器(MPF)における、前記第2の尿素液(U2)の断熱フラッシュを含み、前記処理された尿素液が、フラッシュされた第2の尿素液(U2a)である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記中圧での処理が、中圧分解器内において、前記第2の尿素液(U2)を加熱することよって、カルバメートを分解すること含む、請求項5に記載のプロセス。
【請求項8】
前記第3のカルバメート含有液(C3)が、前記第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)に供給され、前記第4のカルバメート含有液(C4)が、前記第2の低圧カルバメート凝縮器(LPC2)に供給される、請求項3~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記第2のカルバメート含有液(C2)が、前記第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)から前記第2の低圧カルバメート凝縮器(LPC2)に供給され、前記第4のカルバメート含有液(C4)が、前記第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)に供給される、請求項3~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記高圧ストリッパが、ストリップガスとしてCO2を使用し、60~70%のストリッピング効率で操作される、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
A)アンモニア及び二酸化炭素を尿素形成条件にさらすことによって、カルバメートも含有する第1の尿素液(U1)を形成するための高圧反応ゾーン(R)と、
B)前記第1の尿素液を高圧ストリッピングにさらして、熱(H1、S1)を使用してカルバメートを分解することによって、ガス流(SG)及びカルバメートも含有する第2の尿素液(U2)を形成するための高圧ストリッパ(S)と、
及び前記ガス流(SG)を凝縮させることによって、第1のカルバメート含有液(C1)を形成し、凝縮熱(H2、S2)を放出するための高圧カルバメート凝縮器(HPCC)と、
C)低圧分解器(LPD)であって、
前記第2の尿素液(U2)を低圧分解するように構成されるか、又は前記プラントが、最初に中圧部(MPP)内で、中圧(MPP)で少なくとも一部の第2の尿素液(U2)を処理して、処理された第2の尿素液を得るように構成され、前記低圧分解器(LPD)が、前記処理された第2の尿素液を低圧分解するように構成され、前記低圧カルバメート分解が、前記高圧カルバメート凝縮器からの前記凝縮熱(H2、S2)を使用してカルバメートを含有する尿素液を加熱して、カルバメートを分解することによって、第1の蒸気(V1)及びカルバメートも含有する第3の尿素液(U3)を得ることを含む、低圧分解器(LPD)及び、
前記第3の尿素液を準大気圧まで膨張させることによって、膨張した第3の尿素液(U3a)を得るための膨張システム(F1、X1)と、
D)前記第1の蒸気(V1)を凝縮させることによって、第2のカルバメート含有液(C2)及び第2の蒸気(V2)を得て、追加の凝縮熱(H3)を放出する第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)であって、前記高圧反応ゾーン(R)と液体連通している前記第2のカルバメート含有液(C2)のための排出口を有する第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)及び、
前記膨張した第3の尿素液(U3a)を、前記第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)と前記準大気圧分解器(LLPD)との間の熱交換壁(LPHX)を通した熱伝達による前記第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)からの前記追加の凝縮熱(H3)を使用して、分解することによって、第4の尿素液(U4)及び第3の蒸気(V3)を得るための準大気圧分解器(LLPD)と、
E)冷却流体との間接熱交換において、前記第3の蒸気(V3)を凝縮させることによって、第4のカルバメート含有液(C4)を得るように構成され、好ましくは、前記高圧反応ゾーン(R)の注入口と液体連通している第4のカルバメート含有液(C4)の全て又は一部のための排出口を有する、準大気圧カルバメート凝縮器(LLPC)と、
を含む尿素プラント(UP)。
【請求項12】
冷却流体(CW)との間接熱交換において、前記第2の蒸気(V2)を凝縮させることによって、第3のカルバメート含有液(C3)を得るように構成され、前記高圧反応ゾーン(R)の注入口と液体連通する前記第3のカルバメート含有液(C3)のための排出口を有する、第2の低圧カルバメート凝縮器(LPC2)を更に含む、請求項11に記載の尿素プラント。
【請求項13】
前記プラントが、中圧で前記第2の尿素液(U2)を処理して、カルバメートも含有する処理された第2の尿素液(U2a)及び第5の蒸気(V5)を得るための中圧処理部(MPP)を含み、前記プラントが、前記第5の蒸気を凝縮させて、第6のカルバメート含有液(C6)を得るための中圧凝縮器(MPC)であって、前記第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)からの第2のカルバメート含有液(C2)のための排出口及び/又は前記中圧凝縮器(MPC)に接続した準大気圧カルバメート凝縮器(LLPC)からの第3のカルバメート含有液(C3)のための排出口を有する中圧凝縮器(MPC)を更に含み、前記中圧凝縮器(MPC)は、前記高圧反応ゾーン(R)の注入口と液体連通している前記第6のカルバメート含有液(C6)のための排出口を有し、前記中圧処理部(MPP)は、前記低圧カルバメート分解器(LPD)に接続している前記処理された第2の尿素液(U2a)のための排出口を有し、
前記プラントは、前記第4の尿素液(U4)を加熱して、前記中圧凝縮器(MPC)内に放出された凝縮熱(H4)を使用して水を蒸発させることによって、第5の尿素液(U5)及び第6の蒸気(V6)を得るための予備蒸発器(PEV)を更に含み、
中圧処理部(MPP)は、第2の尿素液(U2)の断熱フラッシュのための中圧フラッシュ容器(MPF)である、請求項11又は12に記載の尿素プラント。
【請求項14】
好ましくは請求項11の尿素プラントを達成することである、既存の尿素プラントを改質する方法であって、前記既存の尿素プラントが、
A)カルバメートも含有する第1の尿素液(U1)を形成するための高圧反応ゾーン(R)と、
B)前記第1の尿素液を高圧ストリッピングにさらして、熱(H1、S1)を使用してカルバメートを分解することによって、ガス流(SG)及びカルバメートも含有する第2の尿素液(U2)を形成するための高圧ストリッパ(S)及び、
前記ガス流(SG)を凝縮させることによって、第1のカルバメート含有液(C1)を形成し、凝縮熱(H2、S2)を放出するための高圧カルバメート凝縮器(HPCC)であって、前記高圧反応ゾーンにカルバメート含有液(C1)を供給するための接続を有する高圧カルバメート凝縮器(HPCC)と、
C)前記第2の尿素液(U2)を低圧分解するように構成されるか、又は
前記処理された第2の尿素液を低圧カルバメート分解するように構成される低圧分解器(LPD)であって、前記既存のプラントが、最初に中圧部内で、中圧(MPP)で前記第2の尿素液(U2)を処理して、前記処理された第2の尿素液を得るように構成され、前記低圧カルバメート分解が、カルバメートを含有する前記第2の尿素液(U2)を、前記高圧カルバメート凝縮器からの前記凝縮熱(H2、S2)を使用して加熱して、カルバメートを分解することによって、第1の蒸気(V1)及びカルバメートも含有する第3の尿素液(U3)を得ることを含む、低圧分解器(LPD)と、
D)第1の蒸気(V1)を凝縮させるように構成された既存の低圧カルバメート凝縮器(LPC2)と、
を含み、
前記方法は、
前記第3の尿素液を準大気圧まで膨張させることによって、膨張した第3の尿素液(U3a)を得るための膨張システム(F1、X1)を、既存のプラントがこのような膨張容器を備えない場合、追加することと、
第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)及び準大気圧分解器(LLPD)を含むユニットを追加することと、
を含み、
D1)前記第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)が、前記第1の蒸気(V1)を凝縮させることによって、第2のカルバメート含有液(C2)及び第2の蒸気(V2)を得て、追加の凝縮熱(H3)を放出しするように構成され、前記第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)が、前記高圧反応ゾーン(R)への前記第2のカルバメート含有液(C2)の輸送のための排出口を有し、
D2)前記準大気圧分解器(LLPD)が、前記膨張した第3の尿素液(U3a)を、前記第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)と前記準大気圧分解器(LLPD)との間の熱交換壁(LPHX)を通した熱伝達による前記第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)からの前記追加の凝縮熱(H3)を使用して、カルバメート分解することによって、第4の尿素液(U4)及び第3の蒸気(V3)を得るように構成され、
任意に、既存の低圧カルバメート凝縮器を、前記第2の蒸気(V2)のための注入口を有し、冷却流体(CW)との間接熱交換において、第2の蒸気(V2)を凝縮させることによって、第3のカルバメート含有液(C3)を得るように構成され、前記第3のカルバメート含有液(C3)を前記高圧反応ゾーン(R)に輸送するための排出口を有する、第2の低圧カルバメート凝縮器(LPC2)に改質することと、
前記第3の蒸気(V3)を冷却流体との間接熱交換において、凝縮させることによって、第4のカルバメート含有液(C4)を得るように構成され、前記第4のカルバメート含有液(C4)の一部又は全てを前記高圧反応ゾーン(R)に輸送するための排出口を有する、準大気圧カルバメート凝縮器(LLPC)を追加することと、
を含む既存の尿素プラントを改質する方法であって、前記改質されたプラントが、好ましくは、請求項1に記載の尿素製造プロセスに好適である、既存のプラントの改質方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿素製造プロセス及びストリッピング型のプラント、並びに既存の尿素プラントを改質する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧ストリッパを含む尿素プロセス及び高圧ストリッパを含まない尿素プロセスが知られている。高圧ストリッパを含まない尿素プロセスでは、尿素合成液に供給される熱は、典型的には1回のみ使用される。したがって、このタイプのプロセスは、N=1プロセスと示すことができる。高圧ストリッピングを使用する尿素プロセスでは、熱は、第1の加熱器(ストリッパ)に導入され、高圧カルバメート凝縮器で回収され、低圧加熱器で再使用される。供給される熱は、効果的に2回使用される。したがって、用語「N=2プロセス」が使用される。ストリッピングプロセスの平均エネルギー消費は、尿素1トン当たり、スチーム0.8~1.0トンである。
【0003】
Stamicarbon CO2ストリッピング型の典型的な尿素プロセスの例では、低圧分解器からのガスは、整流カラムを通過し(流入尿素液との逆流接触のために)、その後、冷却水を使用する低圧カルバメート凝縮器に直接供給される。低圧分解器からの尿素液は、フラッシュ容器に供給され、次いで、加熱を行う予備蒸発器に供給される(非特許文献1)。
【0004】
非特許文献1では、1980年代に、第1の加熱器(ストリッパ)に供給される熱が、効果的に3回使用される(N=3)、N=3の複数の効果を更に適用することによる、エネルギー消費のより大きな低減を目的とするいくつかのプロセスについて記載されたことが言及されている。具体的には、概念的な形態では、3つの加熱器を順に通過させることによって、尿素合成液を尿素溶融物に変換し、第2の加熱器は、第1の加熱器からのガスのための凝縮器の凝縮熱を使用し、第3の加熱器は、第2の加熱器からのガスを凝縮するために使用される凝縮器によって提供される凝縮熱を使用する。
【0005】
特許文献1は、横型のプール凝縮器を備えた高圧合成部を含む尿素プラントにおける、アンモニア及び二酸化炭素からの尿素の製造方法を記載する。本方法は、プール凝縮器のシェル部で受け取った高圧プロセス媒体からの熱を、プール凝縮器内に設けられた第1の熱交換部で受け取った中圧尿素含有液に変換して、少なくともアンモニウムカルバメートをNH3及びCO2に分解することを含む。一実施形態では、第1の熱交換部で製造されたガスは、ガスが少なくとも部分的に凝縮される中圧凝縮器に供給され、そこで尿素-水混合物からの水が真空条件下で蒸発する。特許文献1のプロセスでは、熱が効果的に3回使用されることが理解できる。
【0006】
特許文献1の欠点は、第1の熱交換器部、例えばU字型のチューブ束が、両側のプロセス媒体と接触することである。プロセス媒体は、アンモニウムカルバメートを含有し、高圧及び中圧操作に関連する温度において非常に腐食性である。このため、チューブ内の腐食性流体が、2枚の耐食性ライナーに挟まれた炭素鋼からなるチューブシートのボアホールを通過することを考慮すると、縦型プール凝縮器、具体的には、チューブとチューブシートとの連結を構築することが困難となる。
【0007】
特許文献2は、チューブシートに挿入したスリーブの使用を含む、チューブシート及びU字型のチューブ熱交換器を組み立てるための方法を記載する。スリーブは、耐腐食性二相系ステンレス鋼からなる。
【0008】
www.stamicarbon.comのパンフレット「Launch Melt Ultra Low Energy Design」は、高圧凝縮器と中圧整流加熱器との間の直接熱統合によって、続いて、中圧凝縮器と第1段階蒸発加熱器との間の直接熱交換によって、尿素プラントのスチーム摂取は、先例のない低いレベルである、製造される尿素1トン当たり600kg未満にまで最小化されると言及する。本文書では、「直接」熱交換及び「直接熱統合」は、伝熱流体を使用することなく壁を通した別々の流れ間の熱交換を指す。
【0009】
特許文献3は、一実施形態において、分解されたガスの凝縮熱によって生じたスチームを使用して、原料アンモニアを加熱する尿素製造方法を記載する。
【0010】
特許文献4は、ストリッパからの尿素液が、液体が第1の回収部に入る前に、断熱膨張並びに蒸気及び液体の分離にさらされる、尿素製造プロセスを記載する。蒸気は凝縮させることができ、それによって放出される凝縮熱は、尿素液を凝縮するために使用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0119603号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2015/0086440号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2018/0258034号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2012/0302789号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Ullmann’s Encyclopaedia、chapter Urea、2010
【0013】
本発明の目的は、エネルギー効率の良い尿素製造プロセス及び簡単な設計の高圧部を有するプラントを提供することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、第1の態様では、尿素製造プロセスに関し、
A)高圧反応ゾーン内で、アンモニア及び二酸化炭素を尿素形成条件にさらすことによって、カルバメートも含む第1の尿素液を形成することと、
B)第1の尿素液を高圧ストリッピングにさらして、熱を使用してカルバメートを分解することによって、ガス流及びカルバメートも含有する第2の尿素液を形成すること、及び高圧カルバメート凝縮器内で、当該ガス流を凝縮させることによって、高圧反応ゾーンに供給される第1のカルバメート含有液を形成し、凝縮熱を放出することと、
C)当該第2の尿素液を低圧カルバメート分解にさせるか、又は最初に当該第2の尿素液を中圧で処理して、処理された第2の尿素液を低圧分解させることであって、当該低圧カルバメート分解は、低圧分解器で、高圧カルバメート凝縮器からの凝縮熱を使用して、カルバメートを含有する尿素液を加熱して、カルバメートを分解することによって、第1の蒸気及びカルバメートも含有する第3の尿素液を得て、第3の尿素液を準大気圧まで膨張させることによって、膨張した第3の尿素液を得ることを含むことと、
D)高圧反応ゾーンの注入口と液体連通している第2のカルバメート含有液への排出口を有する第1の低圧カルバメート凝縮器内で、当該第1の蒸気を凝縮させることによって、第2のカルバメート含有溶液及び第2の蒸気を得て、追加の凝縮熱を放出すること、及び準大気圧分解器内で、当該膨張した第3の尿素液を、当該第1の低圧カルバメート凝縮器と当該準大気圧分解器との間の熱交換壁を通した熱伝達による、当該第1の低圧カルバメート凝縮器からの当該追加の凝縮熱を使用して、カルバメート分解することによって、第4の尿素液及び第3の蒸気を得ることと、
E)準大気圧カルバメート凝縮器内で、冷却流体との間接熱交換において、当該第3の蒸気を凝縮させることによって、第4のカルバメート含有液を得ることと、
を含む。
【0015】
更なる態様では、本発明は、尿素プラントに関し、
A)アンモニア及び二酸化炭素を尿素形成条件にさらすことによって、カルバメートも含む第1の尿素液を形成するための高圧反応ゾーンと、
B)第1の尿素液を高圧ストリッピングにさらして、熱を使用してカルバメートを分解することによって、ガス流及びカルバメートも含有する第2の尿素液を形成するための高圧ストリッパ及び、
当該ガス流を凝縮させることによって、第1のカルバメート含有液を形成し、凝縮熱を放出するための高圧カルバメート凝縮器と、
C)低圧分解器であって、当該第2の尿素液を低圧分解するように構成されるか、又はプラントが最初に中圧部内で、中圧で少なくとも一部の第2の尿素液を処理して、処理された第2の尿素液を得るように構成され、低圧分解器が、当該処理された第2の尿素液を低圧分解するように構成され、当該低圧カルバメート分解が、高圧カルバメート凝縮器からの当該凝縮熱を使用して、カルバメートを含有する尿素液を加熱して、カルバメートを分解することによって、第1の蒸気及びカルバメートも含有する第3の尿素液を得ることを含む低圧分解器、及び第3の尿素液を準大気圧まで膨張させることによって、膨張した第3の尿素液を得るための膨張システムと、
D)当該第1の蒸気を凝縮させることによって、第2のカルバメート含有液及び第2の蒸気を得て、追加の凝縮熱を放出するための第1の低圧カルバメート凝縮器であって、高圧反応ゾーンと液体連通している第2のカルバメート含有液のための排出口を有する第1の低圧カルバメート凝縮器と、及び準大気圧分解器であって、当該膨張した第3の尿素液を、当該第1の低圧カルバメート凝縮器と当該準大気圧分解器との間の熱交換壁を通した熱伝達による当該第1の低圧カルバメート凝縮器からの当該追加の凝縮熱を使用して、カルバメート分解することによって、第4の尿素液及び第3の蒸気を得るための準大気圧分解器と、
E)冷却流体との間接熱交換において、当該第3の蒸気を凝縮させることによって、第4のカルバメート含有液を得るように構成され、好ましくは、高圧反応ゾーンの注入口と液体連通している第4のカルバメート含有液の全て又は一部のための排出口を有する、準大気圧カルバメート凝縮器と、
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明による例示的な実施形態のプロセス概略図を示す。
【
図2】本発明による例示的な実施形態のプロセス概略図を示す。
【
図3】本発明による例示的な実施形態のプロセス概略図を示す。
【
図4】既存のプラントを改質する本発明による方法の例示的な実施形態を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本出願は、高圧ストリッパを有する型の尿素プロセスにおいて、低圧回収部の分解器からのガスを、2つの凝縮器に順に供給すること、及び低圧分解器から得た尿素液におけるカルバメートの準大気圧分解のために、当該2つの凝縮器のうち上流の凝縮器内で放出された凝縮熱を使用することに対する賢明な洞察に広く基づいている。
【0018】
このようにして、熱は、最初に高圧ストリッパ(S)で使用され、高圧カルバメート凝縮器(High Pressure Carbamate Condenser:HPCC)内に放出され、高圧カルバメート凝縮器からの熱は、カルバメート分解のために、低圧(Low Pressure:LP)分解器(LPD)で2度目に使用され、この熱は、LP分解器からのガスの部分的凝縮のために使用される上流の第1のLPカルバメート凝縮器(LPC1)内に放出され、第1のLPカルバメート凝縮器内で放出された熱は、準大気圧(LLP)凝縮器(LLPD)内で、低圧分解器(LPD)から得られた尿素液のカルバメートを、第1のLPカルバメート凝縮器と準大気圧分解器との間の壁を通した熱交換によって、したがって、LPC1からLLPDに熱を伝達するための伝熱流体なしの熱交換によって分解するために、3度目に使用される。これにより、低圧回収部における良好な熱統合がもたらされる。更に、準大気圧分解器(LLPD)内で、一部の水は尿素液から蒸発する。
【0019】
したがって、第1のLPカルバメート凝縮器(LPC1)は、これらのユニット間の伝熱流体を使用するのではなく、壁を通した熱交換によって、準大気圧分解器(LLPD)と熱統合される。このような準大気圧分解器の使用は、好ましくは、CO2ストリッピング型の既知の尿素プロセスにおける78%超のストリッピング効率αと比較して、高圧ストリッパの低いストリッピング効率α(alfa)、例えば75%未満、より好ましくは60~70%のストリッピング効率αで、好ましくはストリップガスとしてCO2を使用して、高圧ストリッピングを実施することと組み合わされる。
【0020】
好ましい実施形態では、HPストリッパは、ストリッピング効率(α)75%以下、例えば50%~75%、又は好ましくは60~70%、例えば63~68%で実施され、ストリッパは、好ましくは、ストリップガスとしてCO2を使用する。
【0021】
したがって、高圧ストリッピングのストリッピング効率が低いほど(例えばαが75%未満)、必要とする熱が大幅に少なく、すなわち、スチームの消費がはるかに低い。加えて、高いストリッピング効率におけるストリッピングと比べて、高圧ストリッピングは、低温を必要とし、これはストリッパにおける尿素の加水分解を低減させる。加水分解の低減により、変換の増加又は少なくとも尿素収率の増加が効果的にもたらされる。したがって、原料の流出量(kg/hでのCO2及びNH3)を低減させることができ(kg/hでの尿素生産量が同じの場合)、滞留時間が長くなる(一定の反応ゾーンの体積に対して)。これは、尿素変換(又は尿素収率)を更に増加させる。例示的な実施形態では、合計で約7%~約10%の追加の尿素生産容量を達成することができ(一定の反応ゾーンの体積に基づいて)、あるいは反応ゾーンは、同じ尿素生産容量で、7%~10%小さい体積とすることができる。反応ゾーンは、多くの場合、高価な建築材料である尿素グレード鋼からなる反応器である。
【0022】
更に、ストリッピング効率が低いほど、HPCCの熱交換負荷(凝縮負荷)は、例えば、30~40%等の25%超で低減され、このため熱交換表面積を小さくすることができ(例えばチューブ束を小さくできる)、又は熱交換表面積が一定の場合、HPCCで発生したスチームの圧力が増加すると、例えば1barの圧力が増加すると、スチームの更なる使用に対してより有益となる。
【0023】
加えて、LLPD内の尿素含有流からNH3、CO2、及び水を分離するためにLPC1に放出された凝縮熱を使用すると、温度差が小さくなるために、熱交換壁(壁LPHX)の温度が有利に低くなる。これにより、ビウレット形成が低減される。具体的には、熱交換壁温度は、典型的な伝熱流体、例えば、約4.5barの絶対圧のLPスチーム等を使用する場合よりも低い。同様に、中圧カルバメート凝縮器MPCを備える任意の実施形態における壁MPHXの熱交換壁は、予備蒸発にLPスチームを使用する場合よりも低くすることができる。
【0024】
ストリッピング効率が低いほど、有利なことに、ストリッパ上のビウレット形成の低減ももたらす。
【0025】
低いストリッピング効率と共に、LPC1及び好ましいMPC内で、カルバメート凝縮熱を使用する全体的な効果は、最終生成物における0.04重量%~0.06重量%のビウレットの減少として定量化される。
【0026】
準大気圧分解器からの蒸気は、準大気圧凝縮器(LLPC)内で凝縮され、結果として、水、カルバメート、及び若干の尿素(例えば、35~45重量%のカルバメート、残りは主に水、及び約0.5~2%(例えば重量%)の混入尿素)を含むカルバメート含有液が生じる。本発明の好ましい実施形態では、このカルバメート含有液は、水の比率が高くても(例えば、少なくとも40重量%の水、例えば65~55重量%の水)、最終的には高圧反応ゾーンに部分的又は全体的に、好ましくは全体的に供給される。反応ゾーンへの多少高い水の再利用は、特に高圧ストリッピングのために大幅に低減されたスチーム消費の利点とバランスがとれている。準大気圧分解器は、より低い程度の高圧ストリッピングを用いたとしても、尿素液の十分な精製を確実にする。好ましい実施形態では、例えば、最初にカルバメート含有液を、例えば、少なくとも50重量%の水を含有するカルバメート含有液を、カルバメートの結晶化を回避するために水の比率が有利に使用されている別のカルバメート凝縮器に供給することによって、LLPCからのカルバメート含有液を、一部又は全体的に、好ましくは全体的に、高圧反応ゾーンの注入口に間接的に供給する。
【0027】
対照的に、既知の尿素製造プラントでは、少量のアンモニア及び尿素を含有する(又はそれに応じて大部分に水を含有する)水性流は、例えば真空蒸発部の凝縮器によって得られ、典型的には、精製のために廃棄水処理部に送られる。精製には、例えば、脱着(アンモニア除去のため)及び加水分解(尿素を除去するため)を含んでもよい。精製は、特に加水分解装置に関しては、高度にエネルギー集約的である(スチーム消費が高い)。したがって、LLPCからの凝縮物をHP合成反応ゾーンに完全に再利用することができ、それによって、良好な変換を達成しながら、廃水処理部の負荷を増加させないことは有利である。
【0028】
理論に束縛されるものではないが、LLPCからの凝縮物中の尿素の存在は、主に、又は完全に、蒸気流における、LLPDからの飛沫の物理的な飛沫同伴によるものであると考えられる。
【0029】
任意の実施形態では、カルバメート含有液の一部又は全て、例えばLPCCからの凝縮物は、例えば、最終的に高圧反応ゾーンに供給される部分と脱着カラム又は廃水処理部に供給される部分とに凝縮物を分けることによって、脱着カラム又は廃水処理部で、例えば、凝縮物の10~90重量%の割合で処理される。脱着及び/又は廃水処理部における凝縮物の処理は、2つの流れ、第1の流れとして精製凝縮物(例えば、本質的に純粋な水)が得られ、この精製凝縮物は、典型的には、高圧反応ゾーン内のプロセス流に再導入されない。第2の流れは、典型的には、10重量%超のカルバメートを有するカルバメート含有液であり、例えば、高圧反応ゾーンに再利用される。
【0030】
第1のLPカルバメート凝縮器内の蒸気(NH3及びCO2を含む未凝縮ガス)は、冷却水を使用する第2の下流LPカルバメート凝縮器(LPC2)内で任意に凝縮され、凝縮物(カルバメート含有液)は、尿素合成反応ゾーンに再利用され、いくつかの別の実施形態では、蒸気は、任意のスクラビングの後に、代わりに排出される。第1の好ましい実施形態では、LPC1におけるカルバメートの結晶化を回避するために、LPC1で水の供給が必要とされることが多いため、LPC2からのカルバメート含有液は、LPC1に供給される。第2の好ましい実施形態では、LPC1からのカルバメート含有液をLPC2に供給し、LLPCからのカルバメート含有液をLPC1に供給する。この実施形態では、LPC1から受け取った液体(C2)の存在下における冷却流体(例えば冷却水)に対する蒸気(V2)の更なる凝縮のために、例えば混合物として、具体的には、蒸気(V2)及び液体(C2)がLPC1からLPC2に供給される。LPC2からのカルバメート含有液(C2)は、例えば、高圧合成部に供給され、具体的には、HP反応ゾーンで再利用される。このようにして、LLPCからのカルバメート(C4)は、LPC1におけるカルバメートの結晶化を回避するために、LPC1に必要な水の供給を最初に提供する。LPC1からLPC2に供給される液体(C2)は、必要な水の供給をLPC2に提供する。この第2の好ましい実施形態は、エネルギー効果に関して、第1の好ましい実施形態よりも好ましくないが、CO2ストリッピングを有する既存の尿素プロセスと比較して、依然として有意なエネルギー効果を提供する。
【0031】
好ましくは、ストリッパからの尿素液を、中圧(MP)まで膨張させ、中圧処理にさらした後、低圧まで膨張させ、LP分解器に供給する。より好ましくは、中圧処理は断熱フラッシュであり、フラッシュされた尿素液及び中圧蒸気を得る。あるいは、中圧処理は、処理された尿素液及び中圧蒸気を得る中圧分解である。中圧分解は、加熱を含むことができ、その中で使用される熱は、例えば、スチームとして、例えばHPCCから供給することができる。例えば、HPCC内の凝縮媒体との壁を通した熱交換によって、より具体的には、HPCCがチューブ束を備えるシェル&チューブ熱交換器である場合には、高圧プロセス媒体がシェル側に存在し、シェル側で凝縮している間に、HPCCのチューブを通して中圧尿素液を供給し、それによって熱を放出することによって、熱を供給することもできる。好ましいMP処理、MPフラッシュ及びMP分解の両方に関して、カルバメートの結晶化を回避するために、LPC1から及び/又は任意のLPC2(液は若干の水を含む)からカルバメート含有液も好ましくは受け取るMP凝縮器(MPC)内で、好ましくはMP蒸気を凝縮する。得られたカルバメート含有液は、例えば高圧カルバメート凝縮器を通して、高圧反応ゾーンにポンプで注入及び供給される。MP凝縮器内で放出される凝縮熱は、好ましくは、壁を通した熱交換により、準大気圧分解器の尿素液から水を蒸発させるために使用される。
【0032】
非常に有利なことに、高圧部の特別な設計(基礎プラント用)は必要ではなく、同様に、(既存の尿素プラントの改造のための)高圧部の特別な改質は必要ではない。LPC1/LLPDのための熱交換容器等の追加の装置は、任意に熱交換容器MPC/PEV等の追加の中圧装置を伴う低圧装置であり、したがって、カルバメートの腐食性の低い低温で作動する。これは、例えば二相系ステンレス鋼合金等の特別な耐腐食性材料を使用する必要がないため、高圧装置と比較して、装置のコストが大幅に削減される。
【0033】
本発明の尿素製造プロセスは、高圧反応ゾーン(R)で、アンモニア及び二酸化炭素を尿素形成条件にさらすことによって、カルバメートも含有する第1の尿素液(U1)を形成することを含む。プロセスは、第1の尿素液を高圧ストリッピング(S)にさらして、熱(H1、S1)を使用してカルバメートを分解することによって、ガス流(SG)及びカルバメートも含有する第2の尿素液(U2)を形成すること、及び高圧カルバメート凝縮器(HPCC)で、ガス流(SG)を凝縮させることによって、第1のカルバメート含有液(C1)形成し、凝縮熱(H2、S2)を放出することを更に含み、カルバメート含有液(C1)は、高圧反応ゾーンに供給される。
【0034】
プロセスは、第2の尿素液(U2)を低圧カルバメート分解すること、又は最初に当該第2の尿素液(U2)を中圧(MPP)で処理して、処理された第2の尿素液(U2a)を低圧分解することを更に含む。低圧カルバメート分解は、低圧分解器(LPD)で、高圧カルバメート凝縮器からの当該凝縮熱(H2、S2)を使用して、カルバメートを含有する尿素液(U2、U2a)を加熱して、カルバメートを分解することによって、第1の蒸気(V1)及びカルバメートも含有する第3の尿素液(U3)を得ること、及び第3の尿素液を準大気圧(F1、X1)まで膨張させることによって、膨張した第3の尿素液(U3a)を得ることを含む。
【0035】
プロセスは、第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)で、第1の蒸気(V1)を凝縮させることによって、第2のカルバメート含有液(C2)及び第2の蒸気(V2)を得、追加の凝縮熱(H3)を放出することを更に含む。第1の低圧カルバメート凝縮器は、高圧反応ゾーン(R)の注入口と液体連通している第2のカルバメート含有液(C2)のための排出口を有する。
【0036】
プロセスは、準大気圧分解器(LLPD)で、当該膨張した第3の尿素液(U3a)を、当該第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)と当該準大気圧分解器(LLPD)との間の熱交換壁(LPHX)を通した熱伝達による当該第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)からの当該追加の凝縮熱(H3)を使用して、カルバメートを分解することによって、第4の尿素液(U4)及び第3の蒸気(V3)を得ることを更に含む。プロセスは、準大気圧カルバメート凝縮器(LLPC)で、冷却流体との間接熱交換において、当該第3の蒸気(V3)を凝縮させることによって、第4のカルバメート含有液(C4)を得ることを更に含む。
【0037】
プロセスは任意に、第2の低圧カルバメート凝縮器(LPC2)内で、第2の蒸気(V2)を、冷却流体(CW)との間接熱交換において、凝縮させることによって、第3のカルバメート含有液(C3)を得ることを更に含み、第2の低圧カルバメート凝縮器(LPC2)は、高圧反応ゾーン(R)の注入口と液体連通している第3のカルバメート含有液(C3)のための排出口を有する。いくつかの実施形態では、第2の蒸気(V2)は、スクラビング後に、任意選択的に代わりに排出される。
【0038】
好ましい実施形態では、準大気圧カルバメート凝縮器(LLPC)は、高圧反応ゾーン(R)と液体連通している第4のカルバメート含有液(C4)の少なくとも一部のための排出口を有する。
【0039】
本発明の尿素プラント(UP)は、アンモニア及び二酸化炭素を尿素形成条件にさらすことによって、カルバメートも含有する第1の尿素液(U1)を形成するための高圧反応ゾーン(R)、並びに第1の尿素液を高圧ストリッピングにさらして、熱(H1、S1)を使用してカルバメートを分解することによって、ガス流(SG)及びカルバメートも含有する第2の尿素液(U2)を形成するための高圧ストリッパ(S)、並びに当該ガス流(SG)を凝縮することによって、第1のカルバメート含有液(C1)を形成し、凝縮熱(H2、S2)を放出するための高圧カルバメート凝縮器(HPCC)を含む。
【0040】
尿素プラントは、低圧分解器(LPD)を更に含む。低圧分解器(LPD)は、当該第2の尿素液(U2)を低圧分解するように構成されるか、又はプラントは、最初に中圧部(MPP)で、第2の尿素液(U2)の少なくとも一部を中圧(MPP)で処理して、処理された第2の尿素液を得るように構成され、低圧分解器(LPD)は、当該処理された第2の尿素液を低圧分解するように構成されている。低圧カルバメート分解は、高圧カルバメート凝縮器からの当該凝縮熱(H2、S2)を使用して、カルバメートを含有する尿素液を加熱して、カルバメートを分解することによって、第1の蒸気(V1)及びカルバメートも含有する第3の尿素液(U3)を得ることを含む。尿素プラントは、第3の尿素液を準大気圧まで膨張させることによって、膨張した第3の尿素液(U3a)を得るための膨張システム(F1、X1)を更に含む。尿素プラントは、当該第1の蒸気(V1)を凝縮させることによって、第2のカルバメート含有液(C2)及び第2の蒸気(V2)を得て、追加の凝縮熱(H3)を放出するための第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)を更に含む。第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)は、高圧反応ゾーン(R)と液体連通している第2のカルバメート含有液(C2)のための排出口を有する。
【0041】
尿素プラントは、当該膨張した第3の尿素液(U3a)を、当該第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)と当該準大気圧分解器(LLPD)との間の熱交換壁(LPHX)を通した熱伝達による当該第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)からの当該追加の凝縮熱(H3)を使用して、カルバメート分解することによって、第4の尿素液(U4)及び第3の蒸気(V3)を得るための準大気圧分解器(LLPD)を更に含む。
【0042】
尿素プラントは、冷却流体との間接熱交換おいて、当該第3の蒸気(V3)を凝縮させることによって、第4のカルバメート含有液(C4)を得るように構成される、好ましくは、高圧反応ゾーン(R)の注入口と液体連通している第4のカルバメート含有液(C4)の全て又は一部のための排出口を有する、準大気圧カルバメート凝縮器(LLPC)を更に含む。
【0043】
本発明は、尿素製造プロセス及びこのプロセスのために好ましく構成される尿素プラントに関する。例示的なプロセス及びプラントを
図1に示す。
【0044】
尿素プラント(UP)は、HP反応ゾーン(R)、HPストリッパ(S)及びHPカルバメート凝縮器(HPCC)を備えるHP合成部を含む。HP反応ゾーン(R)は、アンモニア及び二酸化炭素を尿素形成条件にさらすことによって、カルバメート(アンモニウムカルバメート)も含み、典型的には、水及びアンモニアも含有する第1の尿素液(U1)を形成するように構成される。プロセスは、HP反応ゾーン(R)で、アンモニア及び二酸化炭素を尿素形成条件にさらすことによって、第1の尿素液(U1)を形成することを含む。反応は、例えば、2.5~3.5、好ましくは3.0~3.2のN/C比で実施される。N/C比は、理論的な初期混合物に基づいた、反応ゾーンにおけるNH3とCO2とのモル比である。
【0045】
HPストリッパ(S)は、第1の尿素液(U1)(尿素合成液)を高圧ストリッピングにさらして、熱(H1)、具体的には、第1のスチーム(S1)を使用して、カルバメートの一部をNH
3及びCO
2に分解することによって、NH
3及びCO
2を含有するガス流(SG)(例えば混合ガス)、並びにカルバメート、アンモニア、及び水を含有する第2の尿素液(U2)(ストリップした尿素液)を形成するように構成される。HPストリッパは、
図1に示すように、CO
2ストリッピングプラントの尿素プラントのストリップガスとして、例えばCO
2を使用する。アンモニアストリッピング及びセルフストリッピングも反応ゾーン(R)へのCO
2原料供給との組み合わせで使用できる。高圧ストリッピングは、典型的には、流入する第1の尿素液と、第1の尿素液よりもNH
3又はCO
2に対する蒸気圧が低いガス流との間の逆流接触を伴う。
【0046】
好ましい実施形態では、第1の尿素液(U1)は、約3(例えば、2.5~3.5)のN/C比を有し、ストリッパの排出口のストリッピングした尿素液尿素液(U2)は、2.0~2.3、任意に2.10~2.30のN/C比を有する。
【0047】
第1のスチーム(S1)は、例えば、尿素プラントのCO2原料圧縮機のスチームタービンから抽出される。第1のスチームは、例えば及び典型的には、ユーティリティプラント、例えば、任意にスチームタービンを通した化石燃料を使用する専用の沸騰システムから取り出すか、又は例えば上流アンモニアプラントから取り出すか、又は例えば任意のプラントから受け取った飽和スチーム(例えば、18~20bara)である。
【0048】
HPカルバメート凝縮器(HPCC)は、プロセス媒体側及び冷却流体側、並びにこれらの間の熱交換壁を含み、当該ガス流(SG)をカルバメートの凝縮にさらすことによって、プロセス媒体側に、第1のカルバメート含有液(C1)を形成するように構成されている。このカルバメートの凝縮は、好ましくは冷却流体側で第2のスチーム(S2)を上昇させることによる、凝縮熱(H2)の放出を含む。高圧カルバメート凝縮器(HPCC)は、第1のカルバメート含有液(C1)を高圧反応ゾーン(R)に供給するための接続を有する。尿素プラントは、任意に、別々の容器間の接続を使用するか、又は組み合わせた容器内の液の輸送を伴って、高圧カルバメート凝縮器(HPCC)からの第1のカルバメート含有液(C1)を高圧反応ゾーンに供給するように構成される。プロセスは、カルバメート含有液(C1)を高圧反応ゾーンに供給することを含む。
【0049】
方法は、NH3原料をHP反応ゾーンに、任意にHPCCを通して供給することを含む。既に一部の尿素は、プロセスで形成される尿素の総量のうち例えば10重量%超、30重量%超、及び/又は90重量%未満は、高圧カルバメート凝縮器で形成されてもよい。したがって、HP反応ゾーンは、いくつかの実施形態では、HPカルバメート凝縮器の少なくとも一部に設けられる。HPカルバメート凝縮器は、例えば冷却液として冷却水を使用する熱交換器であり、例えば、U字型のチューブ束を有し、例えばチューブ内に冷却水、シェル側にプロセス媒体を有する、例えばシェル&チューブ熱交換器である。
【0050】
尿素プラントは、1つ又は複数のHP反応ゾーンを含んでもよい。少なくとも1つのHP反応ゾーンは、いくつかの実施形態では、反応器であり、例えば、HPカルバメート凝縮器とは別個の容器である縦型反応器である。いくつかの実施形態では、HP反応ゾーン及びHPカルバメート凝縮器は、別個の容器で設けることができる。いくつかの実施形態では、HP反応ゾーン又はHP反応ゾーン及びHPカルバメート凝縮器のうちの少なくとも1つは、単一の容器内で組み合わされ、単一の容器は、好ましくは、横型の浸漬凝縮器部分を有する容器であり、任意に、プラントは、例えば縦型反応器として、容器の下流にHP反応ゾーンを更に含む。このような組み合わせた容器内の凝縮器は、例えば、チューブ束を有するシェル&チューブ熱交換器である。チューブ束は、例えばU字型のチューブ束又は直線型のチューブ束とすることができる。作動中、冷却流体は、典型的には、チューブを通って供給され、ストリッパからのガス流(SG)はシェル部に供給される。容器は、例えば、米国特許第5767313号明細書に記載されているようなプール反応器、又は米国特許第6680407号明細書に記載されているような縦型組合わせ反応器である。
【0051】
HP装置、例えば、反応器、ストリッパ、及びHPカルバメート凝縮器は、少なくともプロセス媒体と接触する部分に関しては、尿素グレード鋼、例えば、フェライト-オーステナイト系二相ステンレス鋼等の耐腐食性材料でからなる。
【0052】
尿素プラントは、HP反応ゾーンの排出口と第1の尿素液のためのHPストリッパの注入口との間の接続、ストリッパの排出口とガス流(SG)のためのHPカルバメート凝縮器の注入口との間の接続を含み、いくつかの実施形態では、HPカルバメート凝縮器の排出口と第1のカルバメート液のためのHP反応ゾーンの注入口との間の接続を含む。ストリッパは、好ましくは、ストリップガスのための注入口を有し、HPカルバメート凝縮器は好ましくは、アンモニア原料のための注入口を有する。
【0053】
いくつかの実施形態では、尿素プラントは、HP合成部の排出口から、例えばHPCCからのガスをスクラビングするためのHPスクラバを含む。これらのガスは、具体的には、不活性(使用される場合、例えば不動態化空気)である。中圧凝縮器を有する好ましい実施形態では、尿素プラントは、好ましくはHPスクラバを含まない。
【0054】
尿素プラントは、ストリッパからの第2の尿素液(U2)の少なくとも一部、例えば全てを受け取る低圧回収部、及び任意に、第2の尿素液(U2)の少なくとも一部、任意に全てを処理して、処理された第2の尿素液(U2a)を得るための、ストリッパと低圧回収部との間の中圧部(MPP)を更に含む。
【0055】
尿素プラント、具体的には、LP回収部は、低圧分解器(LPD)を含む。低圧分解器(LPD)は、第2の尿素液(U2)及び/又は処理された第2の尿素液(U2a)を低圧でカルバメート分解するように構成され、ストリッパの排出口への接続及び/又は中圧部(MPP)の排出口への接続を有するこれらの流れのための注入口を有する。LP分解は、カルバメートを含有する任意に処理された第2の尿素液(U2、U2a)を、HPカルバメート凝縮器からの凝縮熱(H2)を使用して加熱して、好ましくは第2のスチーム(S2)との熱交換によって、カルバメートを分解することによって、CO2、NH3、及び水蒸気を含む第1の蒸気(V1)、並びにカルバメート及び水も含有する第3の尿素液(U3)を得ることを含む。
【0056】
LP分解器は、例えば、カルバメートを含む流入する(任意に処理された)第2の尿素液(U2、U2a)と第1の蒸気(V1)との間の接触のための、具体的にはこれらの流れの間の逆流接触のための整流カラムを含む。整流カラムは、例えば、第1の蒸気(V1)の水の含有量を減少させるために使用される。整流カラムは、例えば、充填材を含み、例えば、底部でスチームと熱交換するための熱交換器ゾーンを有する。
【0057】
好ましい実施形態では、CO2原料の一部は、大気フラッシュ(F1)に供給されて、第1の蒸気(V1)のより良好な凝縮のために望ましい低いN/C比を有するように第1の蒸気(V1)のN/C比を調節する。好ましい実施形態では、断熱フラッシュ容器(F1)は、ガス状CO2流と尿素液との間の逆流接触のために構成され、それによって尿素液中のNH3種の一部を、好ましくは断熱的にストリッピングする。
【0058】
好ましくは、フラッシュ容器(F1)は、この接触のために充填床を含む。好ましい実施形態では、フラッシュ容器(F1)は大気圧ストリッパである。好ましい実施形態では、CO2原料の一部は大気フラッシュ(F1)に供給され、当該一部は、例えば、尿素プラントへのCO2原料の総量の1~10重量%、より好ましくは3~8重量%の量である。好ましい実施形態では、大気フラッシュに供給されるCO2のストリッピング効果は、尿素液(U3)のための注入口における約4.0から、尿素液(U3a)のための排出口における約2.6まで、N/C比の減少をもたらす。フラッシュ容器におけるN/Cの補正は、LLPCにおける凝縮温度が、準大気圧でのカルバメート凝縮のために、LLPCにおいて典型的に利用可能な冷却水(例えば、30~40℃)を使用するのに十分に高い(例えば30℃超)という利点をもたらす。
【0059】
プラント、具体的には低圧回復部は、第3の尿素液(U3)を準大気圧(1.0bar未満の絶対圧、例えば0.10~0.9bara、好ましくは0.3~0.5bara)まで膨張させることによって、膨張した第3の尿素液(U3a)を得るための膨張システム(F1、X1)を更に含む。プロセスは、このような膨張を更に含む。
【0060】
好ましい実施形態では、膨張システムは、例えば断熱フラッシュによって、尿素液を大気圧(例えば1~2bar絶対圧、例えば1.0~1.8bara、好ましくは1.0~1.3bara)まで膨張させて、第4の蒸気(V4)及び尿素液を得るための、第3の尿素液(U3)のための注入口を有する大気フラッシュ容器(F1)、並びに尿素液を準大気圧まで更に膨張させて、膨張した第3の尿素液を(U3a)を得るための膨張バルブ(X1)を含む。プロセスは、好ましくは、大気圧凝縮器(Atmospheric Pressure Condenser:APC)で、第4の蒸気(V4)を凝縮させて、第5のカルバメート含有液(C5)を得ることを更に含む。大気圧凝縮器(APC)は、カルバメートの効果的な再利用のための、高圧反応器(R)と間接液体接続している、第5のカルバメート含有液(C5)のための排出口を有する。好ましくは、プロセスは、第5のカルバメート含有液(C5)を第1及び/又は第2の低圧カルバメート凝縮器(LPC1、LPC2)に供給することを含む。このようにして、第5のカルバメート含有液(C5)の水の一部分は、第1及び/又は第2の低圧カルバメート凝縮器(LPC1、LPC2)におけるカルバメートの結晶化を回避するために見事に使用される。
【0061】
低圧回収部は、第1の蒸気(V1)をカルバメートの凝縮さらすことによって、第2のカルバメート含有液(C2)及び第2の蒸気(V2)を得て、追加の凝縮熱(H3)を放出するための第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)を更に含む。凝縮は部分的である。第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)は、低圧分解器の第1の蒸気(V1)のための排出口への接続を有する注入口を有する。LPC1作動圧は、好ましくは6~9baraであり、より好ましくは8baraであり、これらの圧力は、LLPDとの熱統合のための、LPC1における最適な凝縮温度を提供する。
【0062】
第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)は、高圧反応ゾーン(R)と液体連通している第2のカルバメート含有液(C2)のための排出口を有する。したがって、プロセスは、第2のカルバメート含有液(C2)を、高圧反応ゾーン(R)に、任意に第2のLPカルバメート凝縮器を通して、例えばHPカルバメート凝縮器を通して、及びポンプを使用して、間接的に供給することを含む。この方法では、プロセスは、HP合成部へのカルバメートの再利用を含む。
【0063】
尿素プラントは、当該膨張した第3の尿素液(U3a)を、第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)からの追加の凝縮熱(H3)を使用して、カルバメート分解することによって、第4の尿素液(U4)及び第3の蒸気(V3)を得るように構成されている準大気圧分解器(LLPD)を更に含む。準大気圧分解器(LLPD)は、膨張システムの膨張した第3の尿素液(U3a)のための排出口への接続を有する注入口を有し、第4の尿素液(U4)のための排出口及び第3の蒸気(V3)のための排出口を有する。
【0064】
尿素プラントは、当該第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)と当該準大気圧分解器(LLPD)との間に熱交換壁(LPHX)を含む。したがって、実際には、単一の容器内で、より具体的には、熱交換器内で、例えば、熱交換壁(LPHX)による大量輸送のために分離されている、膨張した第3の尿素液(U3a)を第1の側(例えばチューブ側)、第1の蒸気(V1)を熱交換器の第2側(例えばシェル側)を有する、シェル&チューブ熱交換器において、低圧カルバメート凝縮器(LPC1)及び当該準大気圧分解器(LLPD)を組み合わせる。単一の容器は、好ましくは、チューブ及びシェル側を有する逆流シェル&チューブ熱交換器を構成され、より好ましくは、シェル側で液体相中にチューブが浸漬し、チューブ(LPD1)に流下膜式蒸発器を有し、チューブにおける流れはシェル側の流れに逆流している、シェル側(LPC1)浸漬凝縮器で構成される。
【0065】
プロセスは、この熱交換壁(LPHX)を通した熱伝達を含む。第4の尿素液(U4)は、好ましくは、少なくとも60重量%の尿素、より好ましくは少なくとも70重量%の尿素、例えば70~80重量%の尿素、例えば70~76重量%の尿素を含む。
【0066】
尿素プラントは、間接熱交換において、典型的には、冷却水(CW)等の冷却流体と共に当該第2の蒸気(V2)を凝縮させることによって、第3のカルバメート含有液(C3)を得るように構成される第2の低圧カルバメート凝縮器(LPC2)を更に含む。
【0067】
第2の低圧カルバメート凝縮器(LPC2)は、第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)の第2の蒸気(V2)のための排出口と接続する注入口を有し、HP反応ゾーン(R)の注入口と液体連通している第3のカルバメート含有液(C3)のための排出口を有して、典型的にはHPカルバメート凝縮器を通し、ポンプを使用して、第3のカルバメート含有液(C3)を最終的にHP反応ゾーン(R)に供給する。第2の低圧カルバメート凝縮器(LPC2)は、例えば、シェル&チューブ熱交換器である。
【0068】
任意の実施形態では、LPC2を省略することができる。LPC1/LLPDユニットの適切な作動条件及びLPC1とLLPDとの間の熱統合では、LPC2の熱負荷(冷却水に対する冷却のための熱負荷)は非常に低いか、存在しない可能性がある。したがって、任意の実施形態では、LPC2は省略される。このような実施形態では、準大気圧凝縮器(LLPC)からのカルバメート液(C4)は、例えば、第1のLP凝縮器(LPC1)に供給され、第1のLP凝縮器(LPC1)からの蒸気(V2)は、スクラビング後に任意に排出される。
【0069】
尿素プラントは、冷却流体(CW)との間接熱交換において、第3の蒸気(V3)をカルバメートの凝縮することによって、第4のカルバメート含有液(C4)を得るように構成される準大気圧カルバメート凝縮器(LLPC)を更に含む。準大気圧カルバメート凝縮器(LLPC)は、準大気圧分解器(LLPD)の第3の蒸気(V3)のための排出口と接続している第3の蒸気(V3)のための注入口を有し、第4のカルバメート含有液(C4)のための排出口を有する。
【0070】
第4のカルバメート含有液(C4)は、例えば、少なくとも20重量%のカルバメート、例えば70重量%未満のカルバメート、例えば30~50重量%のカルバメートを、典型的には残留した本質的な水と共に含む。
【0071】
準大気圧カルバメート凝縮器(LLPC)の排出口は、好ましくは、第4のカルバメート含有液(C4)の全て又は一部のためのものであり、好ましくは、高圧反応ゾーン(R)の注入口と液体連通している。最適には、準大気圧カルバメート凝縮器(LLPC)は、脱着カラム及び/又は廃水処理部の注入口と液体連通している第4のカルバメート含有液(C4)の全て又は一部のための排出口を有する。プロセスは、好ましくは、第1及び/又は第2の低圧カルバメート凝縮器(LPC1、LPC2)を通して、次いでHPカルバメート凝縮器を通して、好ましくは、第4のカルバメート含有液(C4)の全部又は一部を高圧反応ゾーン(R)に間接的に供給することを含む。準大気圧カルバメート凝縮器(LLPC)は、好ましくは、シェル側に凝縮物及びチューブ内に冷却水を有するシェル&チューブ熱交換器であり、更に好ましくは、横型チューブ束を備え、チューブの表面上に凝縮体を有する横型表面凝縮器、又は更に好ましくは、縦型チューブ束を有する縦型流下膜式凝縮器である。好ましくは、チューブは直線型チューブ束として提供される。好ましくは、チューブの両側はカルバメートを含むプロセス媒体にさらされているため、両面(チューブ壁の内側及び外側表面)は、ステンレス鋼材料で提供される。特に好ましい実施形態では、シェル側(チューブ外側表面)に316Lの鋼を有する直線型チューブ束を、チューブ側(チューブ内側表面)に304Lの鋼を使用する。
【0072】
好ましい実施形態では、準大気圧カルバメート凝縮器(LLPC)は、好ましくは第1及び/又は第2の低圧カルバメート凝縮器(LPC1、LPC2)を通じて、及び任意にHPカルバメート凝縮器(HPCC)を通じて、高圧反応ゾーン(R)と液体連通している第4のカルバメート含有液(C4)の少なくとも一部のための排出口を有する。尿素プラントが中圧凝縮器を含まない任意の実施形態では、第4のカルバメート含有液は、好ましくは尿素プラントのHPスクラバに供給され、HPスクラバは、HPカルバメート凝縮器の注入口に接続されたカルバメート液のための排出口を有する。
【0073】
好ましい実施形態では、第3のカルバメート含有液(C3)は、第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)に供給され、第4のカルバメート含有液(C4)は、第2の低圧カルバメート凝縮器(LPC2)に供給され、したがって、プラントは、第3のカルバメート含有液(C3)のためのLPC2の排出口とLPC1の注入口との間の接続、及び第4のカルバメート含有液(C4)のためのLLPCの排出口からLPC2の注入口への接続を含む。第2のカルバメート含有液(C2)は、HP反応ゾーンに供給される。これにより、エネルギー効率の良い尿素製造プロセス及びプラントが提供される。
【0074】
図1は、更にストリッパがCO
2ストリッパであり、好ましい大気凝縮器(APC)が使用されるような実施形態の一例のプロセス概略図を表す。任意に、中圧処理ユニット(MPP)が使用される。CO
2原料の一部は、大気フラッシュ(F1)におけるN/C補正に使用される。更に、膨張バルブ(図示せず)は、HPストリッパと低圧分解器との間等の膨張/圧力低減の各工程に含まれる。加えて、LLPCからLPCへの流れC4等の、液体流の圧力上昇のためのポンプ及び/又は放出装置が含まれる(図示せず)。更に、LLPC、LPC2及びMPCは、典型的には、未凝縮蒸気(具体的には、例えば任意に使用される不動態化空気から及び/又はCO
2原料及び/又はNH
3原料からの水素及び又はN
2の痕跡からの不活性物質)のための排出口を有する。いくつかの実施形態では、HPカルバメート凝縮器HPCCは、HPスクラバ又はMPスクラバに接続されたガスのための排出口を有し、他の実施形態では、HP合成部はHPスクラバを含まない。これらの排出口は、
図1には示されていない。更に、熱(H1、H2、H3)に関する矢印は、プロセスの流れではなく、概念的な熱流を示し、
図3の熱流H4についても同様である。
【0075】
別の実施形態では、第2のカルバメート含有液(C2)は、第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)の排出口から、第2の低圧カルバメート凝縮器(LPC2)の注入口に供給され、第4のカルバメート含有液(C4)は、準大気圧カルバメート凝縮器(LLPC)の排出口から、第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)の注入口に供給され、プラントは、これらの注入口と排出口との間の接続を含む。
【0076】
図2は、液C4が、LLPCからLPC2に供給される、
図1の実施形態よりは好ましくない実施形態の例を概略的に示す。
【0077】
第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)及び第2の低圧カルバメート凝縮器(LPC2)は、それぞれ独立して、好ましくは、連続相として液体を有する浸漬凝縮器であり、例えば、好ましくはチューブ内に冷却流体を有するシェル&チューブ熱交換器であり、好ましくは、第1及び第2の低圧カルバメート凝縮器の両方は、このような凝縮器である。第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)は、準大気圧分解器(LLPD)と組み合わされたユニットであり、この組み合わされたユニットは、好ましくは、チューブ束を有するシェル&チューブ熱交換器であり、シェル側に蒸気(V1)の凝縮物及びチューブ内に尿素液(U3a)の加熱を伴い、より好ましくは、浸漬凝縮器として構成される。好ましくは、尿素液の加熱は、チューブ内で流下膜式蒸発を使用するか、あるいはチューブ内で上昇膜式蒸発を使用することができ、更に好ましくは、チューブは、シェル側で、カルバメート含有液の液相に浸漬し、あるいは流下膜式凝縮は、例えばシェル側で使用することができる。チューブ束は、好ましくは縦型である。
【0078】
第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)は、好ましくは、第2の低圧カルバメート凝縮器(LPC2)よりも高い温度、例えば、少なくとも10℃又は少なくとも20℃高い温度で作動する。LPC1は、好ましくは、蒸気を部分的に凝縮させるために使用され、LPC2は、蒸気V2中の残存CO2及びNH3をカルバメートに凝縮させるために使用される。いくつかの実施形態では、LPC1及びLPC2は、単一のシェルに統合される。
【0079】
LP回収部は、例えば、ユニットLPD、LPC1、LPC2、F1、APC、LLPD、及びLLPCを含むが、F1、APC、LLPD、及びLLPCは、2bar未満の絶対圧で作動する。
【0080】
好ましい実施形態では、プロセスは、最初に当該第2の尿素液(U2)を中圧(MPP)で処理して、処理された第2の尿素液(U2a)を低圧カルバメート分解(LPD)にさらすことを含む。中圧処理は、好ましくは、尿素液からアンモニア及び/又はカルバメートを除去することによって、カルバメートも含有する処理された第2の尿素液(U2a)、並びにNH3及びCO2を含有する(例えば、60重量%のCO2、5重量%の水、残りはNH3)第5の蒸気(V5)を得ることを含む。ストリッピングされた尿素液(U2)の中圧への圧力低下は、カルバメート分解をもたらす。
【0081】
プロセスは、好ましくは、第5のカルバメートを含有液を中圧凝縮器(MPC)で凝縮させて、第6のカルバメート含有液(C6)を得ることを含む。好ましくは、当該第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)からの第2のカルバメート含有液(C2)及び/又は準大気圧カルバメート凝縮器(LLPC)からの第3のカルバメート含有液(C3)は、中圧凝縮器(MPC)に供給され、プラントは、このような流れのための注入口と排出口との間の接続を備える。好ましくは、中圧凝縮器(MPC)は、高圧反応ゾーン(R)の注入口と液体連通している第6のカルバメート含有液(C6)のための排出口を有し、好ましくは、プロセスは、第6のカルバメート含有液(C6)を高圧反応ゾーン(R)に直接又は間接的に供給することを含む。
【0082】
好ましくは、本方法は、予備蒸発器(PEV)内で、準大気圧カルバメート凝縮器(LLPD)からの第4の尿素液(U4)を、(任意に、尿素貯蔵タンクを通して)加熱して、尿素液から水を蒸発させ、当該中圧凝縮器(MPC)内のカルバメート凝縮によって放出された凝縮熱(H4)を使用して、一部の残存カルバメートを任意に分解することによって、水の含有量が減少した第5の尿素液(U5)及び主に水蒸気である第6の蒸気(V6)を得ることを更に含む。第6の蒸気は、例えば凝縮され、凝縮物は、例えば、廃水処理部に送られる。第5の尿素液(U5)は、例えば、少なくとも80重量%の尿素、好ましくは少なくとも85重量%の尿素、例えば86~95重量%の尿素、例えば93重量%の尿素を含む。この実施形態による例示的なプロセスを
図3に示す。
【0083】
好ましくは、中圧カルバメート凝縮器(MPC)は、予備蒸発器(PEV)と組み合わされた容器であり、より好ましくは、シェル側でMP蒸気(V5)の凝縮、及びチューブ内で尿素液(U4)の加熱を行う、より好ましくは、浸漬凝縮器として構成される、チューブ束を有するシェル&チューブ熱交換器である。好ましくは、尿素液の加熱は、チューブ内で流下膜式蒸発を使用するか、あるいはチューブ内で上昇膜式蒸発を使用することができ、好ましくは、チューブは、カルバメート含有液の液相に浸漬したシェル側にある。好ましくは、シェル&チューブ熱交換器は、蒸気注入口が尿素液排出口の近くにあるように、チューブ内のフローがシェル側のフローに逆流するように構成される。MPCのチューブ束は、好ましくは縦型である。
【0084】
好ましくは、中圧での処理は、処理された尿素液がフラッシュされた第2の尿素液(U2a)であるように、中圧フラッシュ容器(MPF)内で、第2の尿素液(U2)を断熱フラッシュすることを含む。この実施形態を
図3に示す。
【0085】
本発明による低圧回収部と組み合わせて、非常にエネルギー効率の高いプロセスは、有利なことに、中圧処理としての断熱フラッシュによって達成することができる。更に、中圧断熱フラッシュ容器は、比較的単純な装置である。
【0086】
図3は、HPストリッパからのストリッパ第2の尿素液(U2)の断熱フラッシュのための中圧フラッシュ容器(MPF)の例示的実施形態を概略的に示す。また、
図3は、LP回収部が
図1に示されるようなものであることも概略的に示し、すなわち、液C2は、LPC1からLPC2に供給され、液C4は、LLPCからLPC1に供給され、この構成は、MP処理の使用から独立しており、他の構成も可能である。例えば、更なる例示的な尿素プラントは、中圧フラッシュ容器(MPF)を含み、LP回収部の構成は
図2に示す通りである。
【0087】
別の実施形態では、中圧での処理は、中圧分解器内で、第2の尿素液(U2)を加熱することによって、カルバメートを分解することを含む。中圧加熱は、例えば、スチームを加熱流体として使用する。一実施形態では、中圧加熱は、HPカルバメート凝縮器内の凝縮高圧プロセス媒体を有する壁を通した熱交換を含み、例えば、2つのチューブ束を有するHPカルバメート凝縮器において、1つは、任意のフラッシュ後の第2の尿素液(U2)用であり、他方は、スチームを上昇させる冷却水用である。
【0088】
準大気圧分解器(LPD)からの尿素液(U4)及び/又は予備蒸発器(PEV)からの尿素液(U5)は、例えば尿素プラント(UP)の蒸発部に供給され、この蒸発部は、水を蒸発させるために、例えば順に1、2、又は3以上の真空蒸発段階を含み、蒸気及び尿素溶融物(例えば少なくとも95重量%又は少なくとも99重量%の尿素を有する)を得る。蒸気は、例えば、凝縮され、廃水処理部に供給される。廃水処理部(Waste-Water Treatment Section:WWT)は、例えば、脱着カラム及び深い加水分解ユニットを含む。深い加水分解は、典型的には、加熱流体として、スチーム、例えば10bar超のスチームを使用して加熱することを含む。WWTからの洗浄された凝縮物は、典型的には、処理媒体としてHP合成部に再利用されないが、例えば、冷却流体として使用された後に、任意に、バッテリーリミットに配置される。尿素溶融物は、例えば、造粒機又は噴射塔等の固体尿素製品へと固体化するための仕上げ部に供給される。尿素液は、例えば、ディーゼルエキゾーストフルード(Diesel Exhaust Fluid:DEF)及び/又は尿素硝酸アンモニウム(UAN)等の液体肥料の製造のために、液体として使用することができる。
【0089】
本発明はまた、既存の尿素プラントを改質して、本発明によるプラントを得る方法に関する。
【0090】
既存の尿素プラントを改質する好ましい方法では、既存のLPカルバメート凝縮器は、任意の第2のLPカルバメート凝縮器となり、LPC1/LLPDのための熱交換容器が追加され、任意に、MPC/PEVのための熱交換器、例えばMPフラッシュ容器MPF又は中圧分解器を含むMP処理部が更に追加される。
【0091】
既存の尿素プラントを改質する好ましい方法に関して、既存の尿素プラントは、カルバメートも含む第1の尿素液(U1)を形成するための高圧反応ゾーン(R)と、第1の尿素液を高圧ストリッピングにさらして、熱(H1、S1)を使用してカルバメートを分解することによって、ガス流(SG)及びカルバメートも含有する第2の尿素液(U2)を形成するための高圧ストリッパ(S)と、当該ガス流(SG)を凝縮することによって、第1のカルバメート含有液(C1)を形成し、凝縮熱(H2、S2)を放出するための高圧カルバメート凝縮器(HPCC)と、を含み、高圧カルバメート凝縮器(HPCC)は、カルバメート含有液(C1)を高圧反応ゾーンに供給するための接続を有する。既存のプラントは、低圧分解器(LPD)を更に含み、低圧分解器(LPD)は、当該第2の尿素液(U2)を低圧分解するように構成されるか、又は当該低圧分解器(LPD)は、処理された第2の尿素液を低圧カルバメート分解するように構成されて、既存のプラントは、最初に中圧部で、中圧(MPP)で当該第2の尿素液(U2)を処理して、当該処理された第2の尿素液を得るように構成されている。低圧カルバメート分解は、高圧カルバメート凝縮器からの当該凝縮熱(H2、S2)を使用して、カルバメートを含有する第2の尿素液(U2)を加熱して、カルバメートを分解することによって、第1の蒸気(V1)及びカルバメートも含有する第3の尿素液(U3)を得ることを含む。
【0092】
本方法は、第1の蒸気(V1)を凝縮するように構成された既存の低圧カルバメート凝縮器、及び既存のプラントが膨張容器を含んでいない場合、第3の尿素液を準大気圧まで膨張させることによって、膨張した第3の尿素液(U3a)を得るための膨張システム(F1、X1)を追加することを含む。本方法は、第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)及び準大気圧分解器(LLPD)を含むユニットを追加することを更に含み、第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)は、当該第1の蒸気(V1)を凝縮させることによって、第2のカルバメート含有液(C2)及び第2の蒸気(V2)を得、追加の凝縮熱(H3)を放出するように構成され、第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)は、第2のカルバメート含有液(C2)を高圧反応ゾーン(R)に輸送するための排出口を有し、準大気圧分解器は(LLPD)は、当該膨張した第3の尿素液(U3a)を、当該第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)と当該準大気圧分解器(LLPD)との間の熱交換壁(LPHX)を通じた熱交換による当該第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)からの当該追加の凝縮熱(H3)を使用して、カルバメートを分解することによって、第4の尿素液(U4)及び第3の蒸気(V3)を得るように構成されている。本方法は、任意に、既存の低圧カルバメート凝縮器を、当該第2の蒸気(V2)のための注入口を有し、冷却流体(CW)との間接熱交換における第2の蒸気(V2)を凝縮することによって、第3のカルバメート含有液(C3)を得るように構成され、及び第3のカルバメート含有液(C3)を高圧反応ゾーン(R)に輸送するための排出口を有する、第2の低圧カルバメート凝縮器(LPC2)に改質することを更に含む。本方法は、冷却流体との間接熱交換において、当該第3の蒸気(V3)を凝縮することによって、第4のカルバメート含有液(C4)を得るように構成され、第4のカルバメート含有液(C4)の一部又は全てを高圧反応ゾーン(R)に輸送するための排出口を有する、準大気圧カルバメート凝縮器(LLPC)を追加することを更に含む。改質プラントは、好ましくは本発明のプラントであり、本明細書で上述したような好ましいプロセス特性及びプラント特性を好ましくは有する、本発明の尿素製造プロセスを行うために好ましく構成される。
【0093】
図4は、既存の尿素プラントを改質するような方法の一例を示す。既存のプラントは、反応器R、ストリッパS、及びHPカルバメート凝縮器HPCCを有するHP合成ゾーン、並びに例えば、U字型のチューブ束を有するシェル&チューブ熱交換器として、LP分解器LPD及びLPDからの蒸気V1のための冷却水CWを使用する既存のLP凝縮器を含むLP回収部を含む。第1のLPカルバメート凝縮器LPC1及び準大気圧分解器LLPDを備える熱交換ユニット、例えば、記載されるような容器、好ましくは直線型のチューブ束を有するシェル&チューブ熱交換器が追加され、準大気圧カルバメート凝縮器LLPCも追加される。本方法で追加されるユニットは、影付きで示される。既存のLP凝縮器は、任意に、追加ユニットLPC1から蒸気V2を受け取るLPC2となる。LLPCからのカルバメート液C4は、例えば、LPC2に供給され、LPC2からのカルバメート液C3は、例えば、LPC1に供給される。あるいは、
図2の構成を使用することもできる。
【0094】
好ましくは、改質されたプラントでは、大気圧凝縮器(APC)は、第2の低圧カルバメート凝縮器(LPC2)に接続された第5のカルバメート含有液(C5)のための排出口を有する。
【0095】
更なる好ましい実施形態では、プラントを改質する方法は、MP処理部(MPP)、好ましくは、記載されるような断熱フラッシュ容器(MPF)を追加することを含む。
【0096】
本発明のプロセスは、好ましくは、本発明のプラントにおいて実施される。本発明のプラントは、好ましくは、本発明のプラントに好適である。プラントに関連して説明される選択もプロセスに適用される。プロセスに関連して説明される選択もプラントに適用される。
【0097】
本明細書で使用するとき、HPは、少なくとも100bara、例えば110~160bara、MPは20~60baraであり、LPは4~10baraであり、大気は1~2bara、例えば、1.0~1.8baraであり、及び準大気圧(LLP)は、1.0bara未満、例えば0.2~0.5baraであり、これらの圧力範囲は、プロセス液に対するものであり、スチーム及び加熱流体に対しては、必ずしも同じではない。略語「bara」は、絶対圧を意味する。
【0098】
用語「液体連通」は、任意に多数の中間ユニットを通して、2つのユニット間の液体の通過を可能にする流路(例えば、チューブ又はダクト)を指す。液体連通は、ガス相輸送を含まず、したがって、蒸発器、蒸気のための流路、及び凝縮器によって接続している2つのユニットは、流体連通(ガス相輸送及び液体輸送の両方を含む)をしているが、液体連通をしていない。例えば、第1のユニットの液体のための排出口が凝縮器の注入口と接続され、凝縮器の液体の排出口が第2のユニットの注入口と接続される場合、第1のユニットは、第2のユニットと液体連通している。
【0099】
ストリッパ効率(alfa)は、典型的にストリッパの液体排出口で測定される、尿素(及びビウレット)に変換されたアンモニアの量をアンモニアの総量で割ったものとして定義される。この定義は、ストリッパの排出口に基づく、NH3変換のストリッパ効率と同等である。したがって、alfa=(2*重量%尿素/60)/((2*重量%尿素/60)+(重量%NH3/17))であり、ストリッパの液体排出口で測定され、重量%NH3は、アンモニウムカルバメートを含む全てのアンモニア種を含んでいる。当業者であれば、「ストリッピング効率」は、ストリッパ液体排出口における尿素純度を指し、ストリッパのエネルギー効率を指すものではないことを理解する。
【0100】
カルバメート凝縮器における凝縮は、いわゆるカルバメート凝縮を指し、これは、効果的なガス状NH3及びCO2が液相中でカルバメートとなるような、液体であるアンモニウムカルバメートへのNH3及びCO2の反応を含む。カルバメート分解は、カルバメートのNH3及びCO2への解離反応を指す。
【0101】
実施例1
例示的なプロセスは、
図3のプロセス概略図によって実行される。HPストリッパは、0.63のストリッピング効率(alfa)の例で作動し、ストリッパは、170~180℃及び140~145bar(HP)でストリッピングされた尿素液U1(全ての圧力は絶対圧である)を排出口に有し、これはMPF内で、断熱的にフラッシュされて、20~30bar(MP)及び140~150℃のフラッシュされた尿素液U2aを得る。流れU2aは、カルバメートの分解のため、整流カラムを有し、5~8bar及び130~140℃で流れU3を得る、分解器LPDに供給され、これはフラッシュ容器F1内で1~1.3barにフラッシュされ、バルブX1内で、LLPDの注入口で、60~70℃で絶対圧0.3~0.5bar(LLP)まで膨張する。任意に、一部の新しいCO
2が、N/C補正のためにフラッシュ容器F1に追加される。LLPDからの蒸気V3は、70~85℃及び0.3~0.5barである。LLPDの排出口及びPEVの注入口における尿素液U4は、0.3~0.5bar及び75~90℃であり、加熱され、125~135℃及び0.3~0.5barの尿素液U5を得る。MPFからの蒸気V5は、20~30bar及び140~150℃であり、MPC内で20~30bar及び105~115℃のカルバメート液C6に凝縮される。MPCは、シェル及びチューブ内の逆流のためのシェル&チューブ熱交換器であり、ガス注入口温度は、シェル側では140~150℃であり、これは尿素液のためのチューブ排出口と同じ端部にある。
【0102】
LLPCは、32℃から35℃に冷却水CWを加熱し、LLPCの排出口の液C4は0.3~0.5bar及び35~40℃であり、LPC2にポンプで注入され、5~8bar及び75~85℃のカルバメート液C3を得て、LPC1に供給される冷却水を55℃から65℃まで加熱する。LPC1からの蒸気V2は、5~8barで85~95℃である。尿素製品1トン当たり580~660kgのスチームの非常に低エネルギー消費が達成される。更に、HPカルバメート凝縮器の熱負荷は、37%まで低減する。MPFを省略しても(例えば、
図1のように)、依然として、尿素製品1トン当たり720~800kgのスチームの低エネルギー消費が達成される。これらのスチーム消費値は、18~23bara及び約300℃におけるスチームに基づき、例えば、18~23baraの飽和スチームを使用することも可能である。実施例では、ストリッピングされた尿素液U2は、例えば、44重量%の尿素、15重量%のNH
3、16重量%のCO
2、及び25重量%のH
2Oを含む。PEVからの尿素液U5は、86~95重量%、好ましくは93重量%の尿素濃度を有する。LLPDからの尿素液U4は、70~76重量%、好ましくは73重量%の尿素濃度を有する。
【手続補正書】
【提出日】2021-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)高圧反応ゾーン(R)内で、アンモニア及び二酸化炭素を尿素形成条件にさらすことによって、カルバメートも含む第1の尿素液(U1)を形成することと、
B)前記第1の尿素液を高圧ストリッピング(S)にさらして、熱(H1、S1)を使用してカルバメートを分解することによって、ガス流(SG)及びカルバメートも含有する第2の尿素液(U2)を形成すること、及び高圧カルバメート凝縮器(HPCC)内で、前記ガス流(SG)を凝縮させることによって、前記高圧反応ゾーンに供給される第1のカルバメート含有液(C1)を形成し、凝縮熱(H2、S2)を放出することと、
C)前記第2の尿素液(U2)を低圧カルバメート分解させるか、又は最初に中圧(MPP)で前記第2の尿素液(U2)を処理して、前記処理された第2の尿素液(U2a)を低圧分解させることであって、前記低圧カルバメート分解が、低圧分解器(LPD)内で、前記高圧カルバメート凝縮器からの前記凝縮熱(H2、S2)を使用して、カルバメートを含有する前記尿素液(U2、U2a)を加熱して、カルバメートを分解することによって、第1の蒸気(V1)及びカルバメートも含有する第3の尿素液(U3)を得て、前記第3の尿素液を準大気圧(F1、X1)まで膨張させることによって、膨張した第3の尿素液(U3a)を得ることを含むことと、
D)第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)内で、前記第1の蒸気(V1)を凝縮させることよって、第2のカルバメート含有液(C2)及び第2の蒸気(V2)を得て、追加の凝縮熱(H3)を放出することであって、前記第1の低圧カルバメート凝縮器が、前記高圧反応ゾーン(R)の注入口と液体連通している前記第2のカルバメート含有液(C2)のための排出口を有すること、
及び準大気圧分解器(LLPD)内で、前記膨張した第3の尿素液(U3a)を、前記第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)と前記準大気圧分解器(LLPD)との間の熱交換壁(LPHX)を通した熱伝達による前記第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)からの前記追加の凝縮熱(H3)を使用して、分解することによって、第4の尿素液(U4)及び第3の蒸気(V3)を得ることと、
E)準大気圧カルバメート凝縮器(LLPC)内で、前記第3の蒸気(V3)を、冷却流体との間接熱交換において凝縮させることによって、第4のカルバメート含有液(C4)を得ることと、
を含む尿素製造プロセス。
【請求項2】
前記準大気圧カルバメート凝縮器(LLPC)が、前記高圧反応ゾーン(R)と液体連通している前記第4のカルバメート含有液(C4)の少なくとも一部のための排出口を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
第2の低圧カルバメート凝縮器(LPC2)内で、前記第2の蒸気(V2)を、冷却流体(CW)との間接熱交換において、凝縮させることによって、第3のカルバメート含有液(C3)を得ることを更に含み、前記第2の低圧カルバメート凝縮器(LPC2)が、前記高圧反応ゾーン(R)の注入口と液体連通している前記第3のカルバメート含有液(C3)のための排出口を有する、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記第3の尿素液の準大気圧への膨張が、第4の蒸気(V4)を得るための大気フラッシュ(F1)及び準大気圧まで更に膨張させて、前記膨張した第3の尿素液(U3a)を得るための尿素液を含み、前記プロセスが、大気圧凝縮器(APC)内で、第4の蒸気(V4)を凝縮させて、第5のカルバメート含有液(C5)を得て、前記第
1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)及び/又は前記第2の低圧カルバメート凝縮器(LPC2)に、前記第5のカルバメート含有液(C5)を供給することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記方法が、最初に中圧(MPP)で前記第2の尿素液(U2)を処理して、カルバメートも含有する処理された第2の尿素液(U2a)及び第5の蒸気(V5)を得ること、及び中圧凝縮器(MPC)内で、前記第5の蒸気を凝縮して、第6のカルバメート含有液(C6)を得ることを含み、前記第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)からの前記第2のカルバメート含有液(C2)及び/又は前記準大気圧カルバメート凝縮器(LLPC)からの前記第3のカルバメート含有液(C3)が、前記中圧凝縮器(MPC)に供給され、前記中圧凝縮器(MPC)は、前記高圧反応ゾーン(R)の注入口と液体連通する前記第6のカルバメート含有液(C6)のための排出口を有し、
前記方法が、前記処理された第2の尿素液(U2a)を前記低圧カルバメート分解(LPD)にさらすこと、及び予備蒸発器(PEV)内で、前記第4の尿素液(U4)を加熱して、前記中圧凝縮器(MPC)内に放出された凝縮熱(H4)を使用して水を蒸発させることによって、第5の尿素液(U5)及び第6の蒸気(V6)を得ることを更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記中圧での処理が、中圧フラッシュ容器(MPF)における、前記第2の尿素液(U2)の断熱フラッシュを含み、前記処理された尿素液が、フラッシュされた第2の尿素液(U2a)である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記中圧での処理が、中圧分解器内において、前記第2の尿素液(U2)を加熱することよって、カルバメートを分解すること含む、請求項5に記載のプロセス。
【請求項8】
前記第3のカルバメート含有液(C3)が、前記第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)に供給され、前記第4のカルバメート含有液(C4)が、前記第2の低圧カルバメート凝縮器(LPC2)に供給される、請求項3~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記第2のカルバメート含有液(C2)が、前記第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)から前記第2の低圧カルバメート凝縮器(LPC2)に供給され、前記第4のカルバメート含有液(C4)が、前記第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)に供給される、請求項3~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記高圧ストリッパが、ストリップガスとして
CO
2
を使用し、60~70%のストリッピング効率で操作される、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
A)アンモニア及び二酸化炭素を尿素形成条件にさらすことによって、カルバメートも含有する第1の尿素液(U1)を形成するための高圧反応ゾーン(R)と、
B)前記第1の尿素液を高圧ストリッピングにさらして、熱(H1、S1)を使用してカルバメートを分解することによって、ガス流(SG)及びカルバメートも含有する第2の尿素液(U2)を形成するための高圧ストリッパ(S)と、
及び前記ガス流(SG)を凝縮させることによって、第1のカルバメート含有液(C1)を形成し、凝縮熱(H2、S2)を放出するための高圧カルバメート凝縮器(HPCC)と、
C)低圧分解器(LPD)であって、
前記第2の尿素液(U2)を低圧分解するように構成されるか、又は前記プラントが、最初に中圧部(MPP)内で、中圧(MPP)で少なくとも一部の第2の尿素液(U2)を処理して、処理された第2の尿素液を得るように構成され、前記低圧分解器(LPD)が、前記処理された第2の尿素液を低圧分解するように構成され、前記低圧カルバメート分解が、前記高圧カルバメート凝縮器からの前記凝縮熱(H2、S2)を使用してカルバメートを含有する尿素液を加熱して、カルバメートを分解することによって、第1の蒸気(V1)及びカルバメートも含有する第3の尿素液(U3)を得ることを含む、低圧分解器(LPD)及び、
前記第3の尿素液を準大気圧まで膨張させることによって、膨張した第3の尿素液(U3a)を得るための膨張システム(F1、X1)と、
D)前記第1の蒸気(V1)を凝縮させることによって、第2のカルバメート含有液(C2)及び第2の蒸気(V2)を得て、追加の凝縮熱(H3)を放出する第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)であって、前記高圧反応ゾーン(R)と液体連通している前記第2のカルバメート含有液(C2)のための排出口を有する第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)及び、
前記膨張した第3の尿素液(U3a)を、前記第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)と前記準大気圧分解器(LLPD)との間の熱交換壁(LPHX)を通した熱伝達による前記第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)からの前記追加の凝縮熱(H3)を使用して、分解することによって、第4の尿素液(U4)及び第3の蒸気(V3)を得るための準大気圧分解器(LLPD)と、
E)冷却流体との間接熱交換において、前記第3の蒸気(V3)を凝縮させることによって、第4のカルバメート含有液(C4)を得るように構成され、好ましくは、前記高圧反応ゾーン(R)の注入口と液体連通している第4のカルバメート含有液(C4)の全て又は一部のための排出口を有する、準大気圧カルバメート凝縮器(LLPC)と、
を含む尿素プラント(UP)。
【請求項12】
冷却流体(CW)との間接熱交換において、前記第2の蒸気(V2)を凝縮させることによって、第3のカルバメート含有液(C3)を得るように構成され、前記高圧反応ゾーン(R)の注入口と液体連通する前記第3のカルバメート含有液(C3)のための排出口を有する、第2の低圧カルバメート凝縮器(LPC2)を更に含む、請求項11に記載の尿素プラント。
【請求項13】
前記プラントが、中圧で前記第2の尿素液(U2)を処理して、カルバメートも含有する処理された第2の尿素液(U2a)及び第5の蒸気(V5)を得るための中圧処理部(MPP)を含み、前記プラントが、前記第5の蒸気を凝縮させて、第6のカルバメート含有液(C6)を得るための中圧凝縮器(MPC)であって、前記第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)からの第2のカルバメート含有液(C2)のための排出口及び/又は前記中圧凝縮器(MPC)に接続した準大気圧カルバメート凝縮器(LLPC)からの第3のカルバメート含有液(C3)のための排出口を有する中圧凝縮器(MPC)を更に含み、前記中圧凝縮器(MPC)は、前記高圧反応ゾーン(R)の注入口と液体連通している前記第6のカルバメート含有液(C6)のための排出口を有し、前記中圧処理部(MPP)は、前記低圧カルバメート分解器(LPD)に接続している前記処理された第2の尿素液(U2a)のための排出口を有し、
前記プラントは、前記第4の尿素液(U4)を加熱して、前記中圧凝縮器(MPC)内に放出された凝縮熱(H4)を使用して水を蒸発させることによって、第5の尿素液(U5)及び第6の蒸気(V6)を得るための予備蒸発器(PEV)を更に含み、
中圧処理部(MPP)は、第2の尿素液(U2)の断熱フラッシュのための中圧フラッシュ容器(MPF)である、請求項11又は12に記載の尿素プラント。
【請求項14】
好ましくは請求項11の尿素プラントを達成することである、既存の尿素プラントを改質する方法であって、前記既存の尿素プラントが、
A)カルバメートも含有する第1の尿素液(U1)を形成するための高圧反応ゾーン(R)と、
B)前記第1の尿素液を高圧ストリッピングにさらして、熱(H1、S1)を使用してカルバメートを分解することによって、ガス流(SG)及びカルバメートも含有する第2の尿素液(U2)を形成するための高圧ストリッパ(S)及び、
前記ガス流(SG)を凝縮させることによって、第1のカルバメート含有液(C1)を形成し、凝縮熱(H2、S2)を放出するための高圧カルバメート凝縮器(HPCC)であって、前記高圧反応ゾーンにカルバメート含有液(C1)を供給するための接続を有する高圧カルバメート凝縮器(HPCC)と、
C)前記第2の尿素液(U2)を低圧分解するように構成されるか、又は
前記処理された第2の尿素液を低圧カルバメート分解するように構成される低圧分解器(LPD)であって、前記既存のプラントが、最初に中圧部内で、中圧(MPP)で前記第2の尿素液(U2)を処理して、前記処理された第2の尿素液を得るように構成され、前記低圧カルバメート分解が、カルバメートを含有する前記第2の尿素液(U2)を、前記高圧カルバメート凝縮器からの前記凝縮熱(H2、S2)を使用して加熱して、カルバメートを分解することによって、第1の蒸気(V1)及びカルバメートも含有する第3の尿素液(U3)を得ることを含む、低圧分解器(LPD)と、
D)第1の蒸気(V1)を凝縮させるように構成された既存の低圧カルバメート凝縮器(LPC2)と、
を含み、
前記方法は、
前記第3の尿素液を準大気圧まで膨張させることによって、膨張した第3の尿素液(U3a)を得るための膨張システム(F1、X1)を、既存のプラントがこのような膨張容器を備えない場合、追加することと、
第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)及び準大気圧分解器(LLPD)を含むユニットを追加することと、
を含み、
D1)前記第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)が、前記第1の蒸気(V1)を凝縮させることによって、第2のカルバメート含有液(C2)及び第2の蒸気(V2)を得て、追加の凝縮熱(H3)を放出しするように構成され、前記第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)が、前記高圧反応ゾーン(R)への前記第2のカルバメート含有液(C2)の輸送のための排出口を有し、
D2)前記準大気圧分解器(LLPD)が、前記膨張した第3の尿素液(U3a)を、前記第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)と前記準大気圧分解器(LLPD)との間の熱交換壁(LPHX)を通した熱伝達による前記第1の低圧カルバメート凝縮器(LPC1)からの前記追加の凝縮熱(H3)を使用して、カルバメート分解することによって、第4の尿素液(U4)及び第3の蒸気(V3)を得るように構成され、
任意に、既存の低圧カルバメート凝縮器を、前記第2の蒸気(V2)のための注入口を有し、冷却流体(CW)との間接熱交換において、第2の蒸気(V2)を凝縮させることによって、第3のカルバメート含有液(C3)を得るように構成され、前記第3のカルバメート含有液(C3)を前記高圧反応ゾーン(R)に輸送するための排出口を有する、第2の低圧カルバメート凝縮器(LPC2)に改質することと、
前記第3の蒸気(V3)を冷却流体との間接熱交換において、凝縮させることによって、第4のカルバメート含有液(C4)を得るように構成され、前記第4のカルバメート含有液(C4)の一部又は全てを前記高圧反応ゾーン(R)に輸送するための排出口を有する、準大気圧カルバメート凝縮器(LLPC)を追加することと、
を含む既存の尿素プラントを改質する方法であって、前記改質されたプラントが、好ましくは、請求項1に記載の尿素製造プロセスに好適である、既存のプラントの改質方法。
【国際調査報告】