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▶ インダール エレクトリック,ソシエダッド リミターダの特許一覧

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  • 特表-同期機の運転制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】同期機の運転制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 9/30 20060101AFI20220112BHJP
   H02P 101/25 20150101ALN20220112BHJP
   H02P 103/20 20150101ALN20220112BHJP
【FI】
H02P9/30 K
H02P101:25
H02P103:20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021537481
(86)(22)【出願日】2019-07-29
(85)【翻訳文提出日】2021-04-21
(86)【国際出願番号】 EP2019070369
(87)【国際公開番号】W WO2020048683
(87)【国際公開日】2020-03-12
(31)【優先権主張番号】18382643.7
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521094850
【氏名又は名称】インダール エレクトリック,ソシエダッド リミターダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ガルメンディア オラリーガ,イケル
(72)【発明者】
【氏名】ガラッラガ テレリア,アレキサンダー
(72)【発明者】
【氏名】カンポ カバレッロ,ネストル
【テーマコード(参考)】
5H590
【Fターム(参考)】
5H590BB09
5H590CA07
5H590CC01
5H590CE01
5H590DD34
5H590DD64
5H590FA01
5H590FA06
5H590FC15
5H590FC25
5H590HA28
5H590JA14
5H590KK06
(57)【要約】
同期機を動作させるための制御方法に関する発明であって、この機械は同期発電機に接続される励磁機と、機械場励起を制御するためのコントローラ(40)とを備える。この方法は機械の安定動作が生じる安定動作トルク微分範囲を事前定義するステップと、機械のトルク測定または計算を実行するステップと、前記トルクの微分を計算するステップと、計算されたトルク微分が機械の事前定義された安定動作トルク微分範囲内にあるかどうかを判定するステップと、トルク微分が事前定義された安定動作トルク微分範囲内にない場合に、トルク微分を事前定義された安定動作トルク微分範囲内にするように機械場励起を修正するステップとを含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期機を動作させるための制御方法であって、前記同期機は、同期発電機(2、3)に接続された励磁機(4、5)と、前記同期機の界励磁を制御するためのコントローラ(40)とを備え、前記方法が、
前記同期機が安定して動作する安定動作トルク微分範囲を事前定義することと、
前記同期機のトルク測定または計算を実行することと、
前記トルクの微分を計算することと、
計算された前記トルクの微分が前記同期機について事前定義された安定動作トルク微分範囲内にあるかどうかを判定することと、
前記トルクの微分が事前定義された安定動作トルク微分範囲内にない場合、前記同期機の界励磁を変更して、前記トルクの微分を事前定義された安定動作トルク微分範囲内にすることと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記トルクは周期的に測定または計算され、前記トルク微分は2つの連続するトルク測定または計算を比較することによって計算される、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記トルク測定または計算を実行することは、前記発電機(2、3)のトルクを測定または計算を実行することである、請求項1または2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記トルク測定または計算を実行することは、トルクセンサ(10)によって実行され、前記トルクはこのように測定される、請求項3に記載の制御方法。
【請求項5】
前記励磁機は回転部(4)と固定部(5)とを含み、前記励磁機の回転部(4)はその出力が前記発電機に接続された電力変換器(6)を提供し、前記電力変換器(6)は前記コントローラ(40)によって生成される制御信号(CS)によって制御され、前記同期機の界励磁は前記制御信号(CS)を変更することによって変更される、請求項1から4のいずれかに記載の制御方法。
【請求項6】
前記同期機の前記発電機は回転部(3)と固定部(2)とを含み、前記電力変換器(6)の出力は前記発電機の回転部(3)に接続されている、請求項5に記載の制御方法。
【請求項7】
前記電力変換器(6)はサイリスタ電力変換器である、請求項5または6に記載の制御方法。
【請求項8】
前記同期機は機械シャフト(8)を介して原動機(1)に連結可能であり、前記トルクの微分が事前定義された安定動作トルク微分範囲内にないことを検出されたとき、およびその状態の間、前記コントローラ(40)は、前記原動機(1)のトルク基準を生成する、請求項1~7のいずれかに記載の制御方法。
【請求項9】
前記トルク基準は原動機調速機(11)に送られ、前記原動機調速機(11)は前記トルク基準を受け取ると、前記トルク基準に従って前記原動機(1)を制御するように構成される、請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】
前記同期機はグリッドに接続されるためのスイッチング装置(9)も備え、前記コントローラ(40)は前記同期機が損傷を受けようとすることが検出または決定されたときに、前記同期機を前記グリッドから切断するために、前記スイッチング装置(9)を開放させる、請求項1~9のいずれかに記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は同期機に関し、より詳細には、過渡時に同期機を制御する制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
同期機は、モータまたは発電機のいずれかとして使用できる回転電気機械機である。同期機は一般に、例えばディーゼル機械によって回転される発電機として使用され、または蒸気、ガス、または油圧タービンなど他の種類の原動機によって回転される発電機として使用され、グリッドに電力を供給する。
【0003】
そして、同期機は、回転部(ロータ)および固定部(ステータ)の2つの機械部品を含む発電機と、固定部および回転部を含む励磁機とを備える。励磁機の固定部には励磁機の回転部に交流電圧を誘起する直流電流が供給される。励磁機の回転部において誘起された交流電圧は電力変換器で整流され、この整流電圧は発電機のロータに供給される。このことは、発電機のロータにおいて、直流電流を誘起する。
【0004】
直流電流は電機子巻線と相互作用する磁束を伴う磁界を生成し、電機子巻線にAC(交流)電圧を誘起する。界磁巻線は、直流電流が流れる結果、磁界を生成する。
【0005】
同期機が発電機として動作するとき、発電機のロータは原動機によって回転され、機械的シャフトは、ディーゼル機械によって駆動され、またはガス、蒸気、または油圧タービンなど他の種類の供給分野によって駆動される。DC界磁電流によるロータ界磁巻線内の界励磁は、機械(同期機)が同期される(機械の安定動作ゾーン内で)と、原動機によるロータの回転速度で機械の周りを回転する。過渡時、前記同期は失われることがあり、機械に対する制御も失われることがある。
【0006】
US9906176B2は、同期機の過渡安定度がその負荷角曲線上の機械の動作点によって主に定義されることを開示しており、過渡時に機械に対する制御を失わないように、これを考慮に入れた制御方法を提案している。したがって、決定された負荷角度が負荷角曲線内であれば、安定した状況が決定される。
【発明の概要】
【0007】
発明の開示
本発明の目的は、独立請求項1に定義されているように、同期機を動作させるための制御方法を提供することである。
【0008】
機械は励磁機とメインシャフト手段によって固定されたおよび発電機とを含み、該方法は以下のステップを含む。前記機械の安定動作が発生する安定動作トルク微分範囲を事前定義することと、前記メインシャフトのトルク測定または計算を行うことと、前記トルクの微分を計算することと、計算された前記トルクの微分が前記メインシャフトに対して事前定義された安定動作トルク微分範囲の範囲内にあるか否かを判定することと、前記トルクの微分が事前定義された安定動作トルク微分範囲内にない場合、前記機械の界励磁を変更して、前記トルクの微分を事前定義された安定動作トルク微分範囲内にすること。
【0009】
機械が安定状態で作動しているときの機械のトルクの変動又は微分は、一定に維持されるか、又は制御された方法で変更される。したがって、安定状態で作動する機械ではトルクの微分の進化を知ることができ、ゆえに、機械の安定作動が可能な安定作動トルク微分範囲を定義することができる。その結果、過電流が存在しない場合(原動機と発電機との連結が失われた場合には、電流は安定値に維持される)であっても、非安定状態が検出されるので、機械のトルク微分を制御することは、例えば、原動機と発電機との連結の損傷、原動機の故障、グリッドの故障又は突然の負荷変動のような機械の不安定状態を検出するためにも使用することができる。
【0010】
実際のトルク微分を計算し、事前定義された安定動作トルク微分範囲内にあるかどうかを判定することにより、機械が安定状態で動作しているかどうかを容易に判定することができる。そうでない場合には、機械を安定状態にしようとして、機械の界励磁が修正される。
【0011】
したがって、提案したソリューションにより、安定状態にするために、非安定状態の機械を操作する容易で迅速な方法が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の方法の実施形態が実施される機械を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
制御方法は図1に示された同期機の操作に適用される。同期機は、回転部3(ロータ)と固定部2(ステータ)の2つの機械部品を有する発電機と、励磁機とを含む。励磁機は回転部4と、固定部5と、電力変換器6とを含み、励磁機は前述の機械の界励磁の生成を担当する。電力変換器6は、励磁機の回転部4と発電機の回転部3との間に接続されている。
【0014】
機械は、従来の自動電圧調整器(AVR)の動作を少なくとも果たすコントローラ40をさらに含む。コントローラ40は、このように、少なくとも、電力変換器6に作用する機械の界励磁を制御するように構成される。この目的のために、コントローラ40は、電力変換器6の制御信号CSを生成する。電力変換器6は、好ましくはサイリスタ電力変換器であり、制御信号CSは電力変換器6のサイリスタの状態を制御する。
【0015】
発電機の回転部3は、ディーゼル機械によって駆動される機械シャフトのような外部の原動機1によって回転される。原動機1は、原動機調速機11によって調速され、調速機11は機械が安定した状態で動作するとき、プラント要件に従って原動機1の基準を生成する。コントローラ40は、安定状態の間、機械を同期させて維持するために、電力変換器6を制御するよう構成される。
【0016】
この方法は、以下のステップを含む。機械の安定動作が発生する安定動作トルク微分範囲を事前定義することと、前記機械のトルク測定または計算を行うことと(好ましくは、トルクはトルクセンサまたはメータ10によって測定されるが、他の測定値に基づいて間接的に計算することもできる)、前記トルクの微分を計算することと、計算された前記トルクの微分が前記機械に対して事前定義された安定動作トルク微分範囲の範囲内にあるか否かを判定することと、前記トルクの微分が事前定義された安定動作トルク微分範囲内にない場合、前記機械の界励磁を変更して、前記トルクの微分を事前定義された安定動作トルク微分範囲内にすること。
【0017】
トルクは周期的に(事前定義された時間サイクルに従って)測定または計算され、トルク微分は好ましくは2つの連続するトルクの測定または計算を比較することによって計算される。このようにして、トルクの急激な変化を迅速に検出することができ、この方法は、機械を安定状態にするために迅速に作用することができる。トルクを計算する場合、それを行うための既知の方法を使用することができる。
【0018】
トルク微分の許容範囲は、グリッドコードの要件および原動機1の要件から得られることが好ましい。一般的に、グリッドコードは発電機の時間応答を確立し、使用される原動機1のタイプは、発電機の最大トルク及び最小トルクを制限する。したがって、グリッドコードの要件と使用される原動機1のタイプを考慮して、トルクの微分の許容範囲を事前に定義することができる。
【0019】
トルク測定または計算を実行するステップは、発電機のトルクを測定または計算することによって実行される。前述したように、好ましくは、トルクがトルクセンサまたはメータ10を使用して測定される。
【0020】
励磁機の回転部4は、電力変換器6を供給する。電力変換器6の出力は、発電機(発電機の回転部3)に接続されており、電力変換器6はコントローラ40によって生成される制御信号CSによって制御される。機械の界励磁は、この制御信号CSに応じて変更され、従って、トルク微分が事前定義された安定動作トルク微分範囲内にないと判断される場合、コントローラ40自体が電力変換器6に作用する制御信号CSを適応させて、機械の界励磁を変更し、トルクの微分を事前定義された安定動作トルク微分範囲内にする。
【0021】
好ましくは、トルクの微分が事前定義された安定動作トルク微分範囲内にないことを検出すると、前記状態が克服されるまで、コントローラ40は原動機1のトルク基準を生成する。原動機調速機11は、トルク微分が事前定義された安定動作トルク微分範囲内にある場合に、プラント要件に従ってそれが受け取る基準にアテンドするように構成され、トルク微分が事前定義された安定動作トルク微分範囲内にない場合には、コントローラ40によって生成されるトルク基準にアテンドするように構成される。好ましくは、原動機調速機11はトルク微分が事前定義された安定動作トルク微分範囲内にない場合にのみ、コントローラ40からトルク基準を受け取り、原動機調速機11は前記トルク基準を受け取ると、プラント要件に従った基準ではなく、前記トルク基準にアテンドする。したがって、この方法は、機械が安定状態で動作していないときに原動機1のトルク基準を生成し、トルク微分がトルク微分範囲に沿って変化している間にその値を調整し、機械の安定状態への戻りを容易にし、提供されている機械に対するより安全な制御は、機械の制御を失う危険性を大幅に低減する。
【0022】
機械はまた、グリッドに接続されるためのスイッチング装置を含み、このスイッチング装置は、好ましくは、少なくとも1つの発電機回路遮断器9を備える。スイッチング装置が閉じられると、機械はグリッドに接続され、スイッチング装置が開かれると、機械はグリッドから切り離される。該方法はさらに、コントローラ40によってスイッチング装置の開閉を制御するステップを含み、コントローラ40は、機械が損傷を受けようとするときに、スイッチング装置を開かせて機械をグリッドから切り離させるように構成される。機械は過電流、ポールスリップ、または他の故障によって損傷を受ける可能性があり、コントローラ40はこのような状況のうちの少なくとも1つを検出し、機械をグリッドから切断するように構成される。
図1
【国際調査報告】