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特表2022-508457フラッシュランプ制御のための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】フラッシュランプ制御のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 61/56 20060101AFI20220112BHJP
   H01J 61/54 20060101ALI20220112BHJP
   H05B 47/10 20200101ALI20220112BHJP
【FI】
H01J61/56 H
H01J61/54 H
H05B47/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021538892
(86)(22)【出願日】2019-09-13
(85)【翻訳文提出日】2021-03-19
(86)【国際出願番号】 EP2019000265
(87)【国際公開番号】W WO2020052798
(87)【国際公開日】2020-03-19
(31)【優先権主張番号】18194343.2
(32)【優先日】2018-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521106212
【氏名又は名称】ローヴァク・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ライヒマン・ウード
(72)【発明者】
【氏名】オホリヒ・ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】ノイベルト・マルセル
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA04
3K273CA05
3K273FA07
3K273FA14
3K273FA25
3K273FA27
(57)【要約】
本発明は、フラッシュを生成する、ランプ電流の主パルスが生成され、ランプ電流のプレパルスが、バイアス電圧の印加によって先に生成される、フラッシュランプ制御のための方法、ならびに点火用電極をもつフラッシュランプ、バイアス電圧源、主電圧源および制御システムを含む装置に関する。本発明の目的は、主パルスの生成中に事前点火によってフラッシュランプの負荷を最小限にすること、および単純な電子回路を使用してこれを行うこと、ならびにそれが他の用途のために有用で好都合になるように事前点火を設計することである。この目的のため、バイアス電圧よりも高いプラズマ電圧を、電極電圧として印加することによりプレパルスが生成され、フラッシュランプ内のプラズマを点火用電極で点火し、それを、プレパルスの間、バイアス電圧によって維持する。これに関して、プラズマ電圧源はバイアス電圧源と並列に非応答に接続され、プラズマ電圧源の動作は点火用電極によって制御可能であり、プラズマ電圧はバイアス電圧よりも高い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラッシュランプ制御のための方法であって、フラッシュを生成する前記ランプ電流Iの主パルス(27)が、電極電圧をフラッシュランプ(1)の前記電極(2、3)に印加することによって達成され、前記フラッシュ生成の前に、前記ランプ電流Iのプレパルス(25)が、バイアス電圧を印加することによって生成され、
前記プレパルス(25)は、前記バイアス電圧よりも高いプラズマ電圧が電極電圧として印加されるという点において生成され、かつプラズマは点火用電極(4)による点火によってフラッシュランプ(1)内で点火されて、前記プレパルス(25)の間、前記バイアス電圧によって維持されることを特徴とする、フラッシュランプ制御のための方法。
【請求項2】
-第1の静電容量(C)をもつバイアス電圧源(5)からの前記バイアス電圧が電極電圧として印加されることと、
-前記バイアス電圧と並列であるが、前記バイアス電圧源(5)に関して非応答で、前記第1の静電容量(C)よりも少なくとも1桁小さい(C<<C)、第2の静電容量(C)をもつプラズマ電圧源(6)からの前記プラズマ電圧が、追加の電極電圧として印加されることと、
-前記プレパルス(25)は、前記プラズマ電圧で生成される点火パルス(26)を達成する点火電圧を前記点火用電極(4)に印加することによって生成されて、ブレイクダウンは前記プラズマ電圧によって達成され、前記バイアス電圧によって維持されることと
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バイアス電圧源(5)および前記プラズマ電圧源(6)と並列であるが、前記バイアス電圧源(5)および前記プラズマ電圧源(6)から切断可能な、主電圧源(7)は、前記主パルス(27)を生成するために主電圧を電極電圧として印加することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記主電圧源(7)は、前記プレパルス(25)中は前記電極(2、3)から切断され、前記主パルス(27)の間だけ前記電極(2、3)に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
フラッシュランプ制御のための装置であって、その間に電極電圧が印加できる2つの電極(2、3)が備わっているフラッシュランプ(1)と、前記フラッシュランプ(1)に動作可能に接続されている点火用電極(4)と、バイアス電圧を生成するバイアス電圧源(5)と、主電圧源(7)と、制御システム(16)とを備え、
その効果が前記点火用電極(4)によって制御できる、プラズマ電圧を生成するプラズマ電圧源(6)が、前記バイアス電圧源(5)と並列に非応答に接続され、前記プラズマ電圧は前記バイアス電圧よりも大きいことを特徴とする、
フラッシュランプ制御のための装置。
【請求項6】
-前記バイアス電圧源(5)は、第1のコンデンサ(8)を充電する第1の充電ユニット(9)に接続されている前記第1のコンデンサ(8)を有することと、
-前記プラズマ電圧源(5)は、第1のデカップリング手段によって前記バイアス電圧源(6)と並列に接続されていることと、
-前記プラズマ電圧源(6)は、第2のコンデンサ(11)を充電する第2の充電ユニット(12)に接続されていて、前記第1のコンデンサ(8)の前記静電容量(C)よりも少なくとも1桁小さい静電容量(C)を有する、前記第2のコンデンサ(11)を有することと、
-前記フラッシュランプ(1)の前記点火用電極(4)は、前記制御システム(16)に接続されていて前記制御システム(16)によって制御可能な点火電圧発生器(15)に接続されていることと
を特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記主電圧源(7)は、第3のコンデンサ(17)に充電する第3の充電ユニット(18)に接続されている前記第3のコンデンサ(17)を備えることと、前記主電圧源(7)は前記制御システム(16)によって制御できるスイッチ(20)を用いて前記電極(2、3)に接続されていることとを特徴とする、請求項5または6に記載の装置。
【請求項8】
前記スイッチはサイリスタ(20)として設計されることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記充電ユニット(9、12、18)の少なくとも1つが前記制御システム(16)に接続されていて前記制御システム(16)によって制御可能であることを特徴とする、請求項6~8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記プラズマ電圧源(6)が前記バイアス電圧源(5)に関して応答がないことは、前記バイアス電圧源(5)および前記プラズマ電圧源(6)の両方が、いずれの場合にも、流れ方向に分極された1つのダイオード(13、14)によって前記フラッシュランプ(1)の電極(2、3)に接続されるという点において実装されることを特徴とする、請求項6~9のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラッシュを生成するランプ電流の主パルスが、電極電圧をフラッシュランプの電極に印加することによって達成され、ランプ電流のプレパルスが、フラッシュ生成の前にバイアス電圧を印加することによって生成される、フラッシュランプ制御のための方法に関する。
【0002】
本発明は、両端で密封されていて、その間に電極電圧が印加できる2つの電極が備わっている、石英ガラス管を有するフラッシュランプ、フラッシュランプに動作可能に接続された点火用電極、バイアス電圧を生成するバイアス電圧源、主電圧源および制御システムを含む、フラッシュランプ制御のための装置にさらに関する。
【背景技術】
【0003】
フラッシュランプによる焼き戻しは、FLA(フラッシュランプアニール)とも呼ばれて、キセノンランプによる千分の数秒の時間範囲での熱による前処理および後処理のための革新的プロセスである。非常に短いプロセス時間は、完全に新しい技術的可能性を開く。従来型の方法と比較して重要な優位性は、所望の基板領域に限定された、局所的に正確な熱供給であり、それにより基板上の温度負荷が減少して大幅なエネルギー節約が実現される。
【0004】
既存のプロセスチェーンへの統合は、コンパクト設計に起因してほぼ無制限である。
【0005】
フラッシュランプアニールの原理は、石英ガラス管のパルス状(pulse-like)点火、例えば、不活性ガスキセノンで充填された、フラッシュランプに基づく。この過程で放出される電磁スペクトルは基板によって吸収され、吸収されたエネルギーは、千分の数秒間、表面近くでの加熱となる。
【0006】
プロセスは、パルス時間のパラメータ、すなわち、ランプの照射期間、および基板に供給されるエネルギー密度、によって調整および制御される。
【0007】
簡単に言えば、電子機器は減衰発振回路から構成され、パルス時間は、発振回路内のインダクタの選択によって、およびコンデンサの静電容量によって主に決定される。コンデンサは放電のためのエネルギー貯蔵として機能する。
【0008】
ランプの点火は、-外部電場(Eext)の助けを借りて、または電極で生成された電圧によって-電荷担体が生成される、という点において、パルス状に起こる。
【0009】
パルス、例えば、点火パルス、主パルス、プレパルスなど、は、本明細書ではランプ電流の挙動内のパルスとして見なされる。
【0010】
石英ガラス管の内径がプラズマ量を制限する。点火時から最大プラズマ膨張に達するまで、プラズマ量は同様にパルス状に(数μs)増加して、ランプ上の最高応力がこのフェーズで起こる。各フラッシュで、本質的にランプの電極および石英ガラスが損傷を受ける。電極温度は室温から数百℃まで上昇して、対応するランプ構成要素上の熱負荷となる。重要なパラメータは主に、ランプ構成要素領域における温度変化および時間当たりの圧力上昇である。ランプ固有のエネルギー閾値(供給エネルギーは
【数1】
に対応する)を上回ると、電極の破壊が起こる。電流増大(dI/dt)が許容値を超えるとすぐに、または最大電流(Ipeak)が許容値を超えると、破壊に至る。その上、通常の動作中に繰り返されるフラッシングは基本的に電極の不可避の劣化となり、従って、ランプの限られた耐用年数となる。
【0011】
問題を最小限にするために、ランプの冷却に加えて、実質的により小さいエネルギーをもち、および/または(実際のフラッシュと比べて)より短時間の、事前点火されたプラズマの助けを借りて、電極の予熱を達成する電子追加部品もある。その電子機器は、点火挙動の時間的再現性も改善させて、最大許容電流密度を増大させる。
【0012】
1つのソリューションは、Analog Modules Inc.製品にFlashlamp Simmer Supply Model 864 Aの形で存在することが知られており、それは、パルス状レーザーシステム内のフラッシュランプを主放電パルスの間の時間にシマーする(simmer)ために使用される。シマーは、トリクル電流(50mA~10A)がパルスの間にランプに流入するのを可能にするのにすぎない。それは、主放電パルス時にフラッシュランプ内に確立された伝導経路を有するために適用されて、主パルス間でより少ないエネルギー変動となる。さらに、パルス中のアーク拡張はあまり激しくなく、ランプの耐用年数を向上させる。一般に、ランプの安定性および寿命の両方はシマー電流が増加するにつれて向上する。
【0013】
このソリューションでは、プラズマフィラメント(部分電離)が生成されるが、それは、しかし、低出力に起因してプラズマ空間を完全には満たさない。シマーによって生成されたDC電流は、電極の予熱を達成し、それは、点火挙動の再現性の改善となる。印加される電流は平均で約0.5Aである。しかし、前述した重要な条件(圧力上昇、温度上昇、電流増加)は、シマーによって大きな影響は受けない。シマー動作中の陰極の永久イオン衝撃は、電極材料をスパッタリングオフすることによりランプに対する損傷となる。
【0014】
Jia,Shenliらの“The Plasma Channel of Pulsed Flashlamps Working in an Array”、Plasma Science and Technology、Vol.15、No.7;July 1013、を通して知られているのは、以下で「プレパルス」と呼ばれる時間限定プラズマを生成するためのソリューションである。ここでは、4μFの静電容量をもつコンデンサが使用される。時間遅延された主パルスを生成するための並列に接続された回路の静電容量は19倍大きい。同じ電圧が印加されるので、主パルスのエネルギーも静電容量の倍数だけ大きい。例示された変形では、事前点火はランプのより円滑な動作をもたらし、それにより衝撃波によって引き起こされる機械的負荷が低減されることが説明されている。点火時におけるプラズマ抵抗は既に無限大より小さいので、事前点火は、主パルスのより急速な放電も可能にする。プレパルスのパルス整形は提供されていない。
【0015】
追加として、主パルスの点火時に、プラズマは最大許容膨張に達していないことがはっきりと見られる。
【0016】
最近似な従来技術は、T.Thrumらの論文、Development of a Powerful Vortex Stabilized Water-Wall Flash Lamp for RTP Applications、0-7803-8486-5/04 IEEE 2004と考えられる。その中で、事前点火は、シマーと比較してずっと高出力で提供される。事前点火は、コンデンサを放電することによって起こるだけでなく、いわゆるIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタによる電力供給)によっても生じる。純粋なコンデンサ放電の助けを借りて、実際の主パルスが時間遅延で生じる。事前点火の期間に起因して、プラズマが最大空間的膨張(電流ほぼ200~800A)に達している状態に達する。事前点火がなければ、主パルスの結果として著しく高い圧力上昇が予期される。
【0017】
このソリューションは、比較的高いガス消費を伴い、それは経済的に実行可能なキセノンの代わりにアルゴンを利用する。しかし、アルゴンの使用はキセノンと比較して有効性が減少する。
【0018】
最近似な従来技術に従ったフラッシュアークランプの動作のために協働する様々な電力供給構成要素ならびに保護ダイオードおよびスイッチが図1に示されている。
【0019】
フラッシュアークランプは次の3つの異なる電力供給によって起動および動作される:
【0020】
初期ブレイクダウンのために最大で45kVを印加するため、およびアーク電流を増大させるのに十分なエネルギーを供給し、そのためアーク駆動電圧が約650Vよりも下がって電力供給(SUST電力供給装置)によって維持できるようにするための電圧増幅装置としての始動回路(SCCT)。この電力供給装置は15Aの保持電流をもつアークランプに電力を供給するための低リップル定電流供給として設計される。
【0021】
主電力供給装置(MPSU)はランプを動作させるために必要な全てのエネルギーをその無効電流によって供給する。
【0022】
さらに、フラッシュ放電電力供給(FPSU)が回路に接続される。
【0023】
フラッシュランプの典型的な動作は、始動回路によってアークを起動して維持した後、主電力供給がアークランプを所定の電流値(いわゆるプレパルス)まで少なくとも数百ミリ秒の間に上昇させることである。
【0024】
プレパルスは、プラズマ膨張中に圧力上昇を可能にしてフラッシュが始まる前に消散するのに十分な長さである。プレパルスはフラッシュの前にランプ空間をホットプラズマで満たすので、無負荷電流フェーズによって直接生成されるフラッシュと比較して、プレパルス中の一時的な圧力上昇は著しく低下し、それにより、フラッシュ中の温度上昇率が低下する。フラッシュ動作中の典型的なアークランプ電流が図2に示されている。
【0025】
この事例における事前点火は非常に高価な電子機器を必要とする。
【0026】
加えて、IGBTの最大可能電圧および最大可能電流は制限されている。事前点火のエネルギーは従って、IGBTによって制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
従って、事前点火によって主パルスの生成中にフラッシュランプ上の負荷を最小限にすること、および事前点火を、一方では、単純な電子回路によって実装し、他方では、事前点火をさらなる用途のために利用可能で好適な方法で構成することは、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0028】
方法に関して、目的は、バイアス電圧よりも高いプラズマ電圧が電極電圧として印加されて、フラッシュランプ内のプラズマが点火用電極で点火され、プレパルス中にバイアス電圧によって維持されるという、プレパルスが生成される前述のタイプの方法によって達成される。このように、フラッシュランプ内のプラズマは、主パルス時には既に最大可能プラズマ量に達しており、IGBTは必要とされないので電圧および電流はIGBTの制限値によって制限されていない。プラズマの点火の再現性は、点火用電極で点火パルスを生成することによって達成される。これは、正確なタイミング制御の可能性および、これに関連して、並列に配列された複数のランプを同時に点火する可能性を開く。
【0029】
本方法の一実施形態では、
-第1の静電容量をもつバイアス電圧源からのバイアス電圧が電極電圧として印加されること、
-バイアス電圧と並列であるが、バイアス電圧源に関して非応答(nonreactive)で、第1の静電容量(C)よりも少なくとも1桁小さい(C<<C)、第2の静電容量をもつプラズマ電圧源からのプラズマ電圧が、追加の電極電圧として印加されること、
-プレパルスは、プラズマ電圧で生成される点火パルスを達成する点火電圧を点火用電極に印加することによって生成されて、ブレイクダウンはプラズマ電圧によって達成され、バイアス電圧によって維持されること
が提供される。
【0030】
通常、ランプ内のプラズマを点火することは、バイアス電圧によっては達成されず、プラズマ電圧を印加することによってのみ達成される。原理上は、外部点火補助がない場合でさえ、プラズマに点火するのに十分に高いプラズマ電圧を選択することが可能である。しかし、これ単独ではプラズマに点火しないが、プラズマ電圧が印加された場合に点火電圧を点火用電極に印加することによってのみプラズマの点火を可能にするために点火用電極が使用されるような方法で、プラズマ電圧を設定することは適切である。これは、点火時間を正確に決定するのを可能にする。このようにして、ランプ電流の点火パルスが達成される。
【0031】
点火パルスは、比較的小さい静電容量および高電圧(バイアス電圧および主電圧と比較して)を使用して短いブースト電流を生成する。
【0032】
点火用電極による点火は、複数のランプが並列で操作される場合にも利点がある。すなわち、複数のランプ(電気的に独立した)が同期して操作される場合、点火パルスは同時点火を実装するために不可欠である。
【0033】
本方法の一実施形態では、バイアス電圧およびプラズマ電圧源と並列であるが、それらから切断可能である、主電圧源は、主電圧を電極電圧として印加して主パルスを生成し、主パルスは主電圧によって生成された主パルスを生成する点火電圧を点火用電極に印加することによって生成されることが提供される。
【0034】
これは、フラッシュは現在、3つの独立した重畳部分パルス-点火パルス、プレパルスおよび主パルス-から構成されるが、しかし、それらは全て各々1つのコンデンサ放電に基づくことを示す。これは、費用効率が高くて、長持ちする電子機器だけが使用できることを可能にする。
【0035】
プレパルスおよび主パルスは相互に無関係に調整できる、すなわち、プレパルスおよび主パルスの場合、
-パルス持続時間、
-静電容量(C)
-インダクタンス(L)
-エネルギー
を相互に独立して調整することが可能である(IGBTによる制限はない)。プレパルスのエネルギーは、技術的に必要な場合には、主パルスのエネルギーを超えることもでき、それは、提示した従来技術では可能ではない。
【0036】
本方法のさらなる実施形態では、主電圧源がプレパルス中に電極から切断され、主パルスの間にだけ電極に接続されることが提供される。
【0037】
そうすることで、主電圧源に貯蔵されているエネルギーがプレパルス中に既に引き出されることが回避される。
【0038】
前述のタイプの装置を用いると、その効果が点火用電極によって制御できる、プラズマ電圧を生成するプラズマ電圧源が、バイアス電圧源と並列に非応答に接続され、プラズマ電圧はバイアス電圧よりも大きい、という本発明に従った目的が達成される。
【0039】
これは、プラズマ電圧源をプラズマ電圧で充電するのを可能にし、それは、点火電圧を点火用電極に印加することによりプラズマの点火を達成し、次いでバイアス電圧源がプラズマ維持のために使用される。並列回路は、プラズマ電圧源がバイアス電圧源に放電するのを防ぐための手段を提供することによって非応答になる。
【0040】
本装置の一実施形態では、
-バイアス電圧源は、第1のコンデンサを充電する第1の充電ユニットに接続されている第1のコンデンサ(1)を有すること、
-プラズマ電圧源は、第1のデカップリング手段によってバイアス電圧源と並列に接続されていること、
-プラズマ電圧源は、第2のコンデンサを充電する第2の充電ユニットに接続されていて第1のコンデンサの静電容量よりも少なくとも1桁小さい静電容量をもつ、第2のコンデンサ(5)を有すること、および
-フラッシュランプの点火用電極は、制御システムに接続されていて制御システムによって制御可能な点火電圧発生器に接続されていること
が提供される。
【0041】
本機能はここで、第1のコンデンサが第1の充電ユニットによってバイアス電圧に充電されるという事実に見ることができる。同様に、第2のコンデンサは、第2の充電ユニットによってプラズマ電圧に充電される。プラズマ電圧は、バイアス電圧よりも高い。プラズマ電圧源は、バイアス電圧源をデカップリングすることによって並列に接続されているので、プラズマ電圧源はバイアス電圧源に放電されない。すなわち、第1のコンデンサは、例えば、プラズマ電圧まで充電できない。他方、プラズマ電圧は従って、ランプの電極に印加される。
【0042】
既に述べたように、プラズマ電圧は、プラズマ電圧自体がランプ内のプラズマにまだ点火できないように選択される。点火電圧が点火用電極に印加される場合に限り、プラズマの点火が起こって、ランプ電流の点火パルスが生じる。第1のコンデンサと比較して第2のコンデンサの低静電容量は、点火パルス中に第2のコンデンサに放電させる。これは、バイアス電圧がここで電極に電極電圧として印加されることを意味する。第1のコンデンサの比較的大きな静電容量は、第1のコンデンサが大量の充電を受けることができることを達成する。これは、第1のコンデンサからのランプ電流は、プレパルスの全期間にわたって流れることができることを確実にする。この比較的長いプレパルスの利点および使用可能性は、以下でさらに説明される。
【0043】
本装置の別の実施形態では、主電圧源は第3のコンデンサに充電する第3の充電ユニットに接続された第3のコンデンサを含むこと、および主電圧源は制御システムによって制御可能なスイッチを用いて電極に接続されていることが提供される。
【0044】
本機能は、点火パルスおよびプレパルスの間、主電圧源からの主電圧は電極に印加されないということである。主パルスが点火される場合に限り、スイッチがオンにされ、それにより主電圧が電極電圧として印加される。同時に、点火電圧の点火用電極への印加は、ランプを点火させる。主電圧および第3のコンデンサ内に貯蔵された充電量の結果として、ランプ電流の主パルスが生成され、それがフラッシュを生成する。
【0045】
便宜上、スイッチはサイリスタとして設計される。
【0046】
スイッチの制御入力、具体的にはサイリスタのゲートは、制御装置に接続される。これは、正確に時間を決められた方法でフラッシュを生成するのを可能にする。
【0047】
時間的に調整された充電および点火は、具体的には充電ユニットの少なくとも1つが制御システムに接続されていて制御システムによって制御可能であるという点において達成できる。
【0048】
本発明の別の実施形態では、プラズマ電圧源がバイアス電圧源に関して応答がないことは、バイアス電圧源およびプラズマ電圧源の両方が各々、いずれの場合にも、流れ方向に分極された1つのダイオードによってフラッシュランプの電極に接続されるという点において実装される。
【0049】
これは、プラズマ電圧がバイアス電圧よりも高い場合に順方向バイアスされるプラズマ電圧源のデイオードを達成する。第2のコンデンサが放電されるとき、プラズマ電圧源電圧はもはやバイアス電圧よりも高くない。従って、プラズマ電圧源のダイオードがブロックされてバイアス電圧源のダイオードが開かれる。バイアス電圧はこのとき、電極電圧として機能するが、第2のコンデンサによって放電できない。
【0050】
本発明は、例示的な実施形態を参照して以下でさらに詳細に説明される。関連図面では:
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】従来技術に従った装置を示す。
図2】従来技術に従ったプレパルスをもつランプ電流のプロファイルを示す。
図3】本発明に従ったフラッシュランプ制御のための装置を示す。
図4】3つの部分パルスをもつ本発明に従ったフラッシュ生成の図を示す。
図5】プレパルスおよび主パルスの、ならびに結果として生じる総パルスのシミュレーションを示す。
図6】二次回路をもつフラッシュランプ制御のための装置を示す。
図7】二次回路をもつ電流プロファイルの図表を示す。
図8】電流増加の拡大図の図表を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1および図2は、従来技術の提示において既に説明されている。
【0053】
図3はここで、本発明に従った特徴をもつ装置を示す。それは、2つの電極2、3が備わっているフラッシュランプ1を含む。さらに、点火用電極4が提供され、それは、点火用電極4における電場がフラッシュランプ1の点火挙動に影響を及ぼすことができるので、フラッシュランプ1に直接隣接して配置されて、従ってそれに動作可能に接続されている。かかる点火用電極は、ランプ本体の外側上の単純なワイヤーによって、または反射電極(reflector)もしくは同様のものによって、実装できる。
【0054】
電極2と3との間に、電極電圧が印加でき、それは本発明に従い、プラズマ電圧、バイアス電圧または主電圧として構成できる。それに応じて、バイアス電圧を生成するバイアス電圧源、プラズマ電圧を生成するプラズマ電圧源、および主電圧を生成する主電圧源7が提供される。
【0055】
バイアス電圧源5は、第1のコンデンサ8を充電する第1の充電ユニット9に接続された第1のコンデンサ8を有する。第1のコンデンサ8は第1のインダクタ10と一緒に発振回路を形成する。
【0056】
プラズマ電圧源6は、第2のコンデンサ11を充電する第2の充電ユニット12に接続された第2のコンデンサ11を有する。
【0057】
第2のコンデンサ11の静電容量Cは、第1のコンデンサ8の静電容量Cよりも少なくとも1桁小さい。
【0058】
プラズマ電圧源6は、第1のデカップリング手段によってバイアス電圧源5と並列に接続されている。この第1のデカップリング手段は、並列接続を非応答にする。この第1のデカップリング手段は第1のダイオード13を含み、それは第1のコンデンサ8および第1のインダクタ10と直列に接続されて、フラッシュランプ1に流れるランプ電流Iの流れ方向に分極されている。同様に、第1のデカップリング手段は、第2のコンデンサ11と直列に接続されている第2のダイオード14を有し、同様に、フラッシュランプ1に流れるランプ電流Iの流れ方向に分極されている。
【0059】
第2の充電ユニット12は第2のコンデンサをプラズマ電圧まで充電し、それは、再現性点火が起こるのに十分な高さ、好ましくは、第1のコンデンサ8が充電されるバイアス電圧よりも高くなるように選択される。従って、第1のダイオード13の陰極に印加される電圧はその陽極に印加されるものよりも高くて、それをブロックする。他方、第2のダイオード14は、その陽極に印加される電圧がその陰極に印加されるものよりも高いので、順方向バイアスされる。
【0060】
第2のコンデンサが放電されるとき、その電圧はバイアス電圧よりも低く、第2のダイオード14はブロックし、第1のダイオード13は順方向バイアスされる。
【0061】
プラズマ電圧源6の動作は点火用電極4によって制御可能である。この目的のために、点火用電極は点火電圧発生器15に接続され、それは、制御システム16に接続されて制御システム16によって制御可能である。
【0062】
主電圧源7は、第3のコンデンサ17を主電圧に充電する第3の充電ユニット18に接続されている第3のコンデンサ17を有する。第3のコンデンサ17は第2のインダクタ19と一緒に発振回路を形成する。
【0063】
主電圧源7は第2のデカップリング手段によって電極2および3に接続されている。第2のデカップリング手段は、サイリスタ20および第3のダイオード21から構成される。主電圧源7は、スイッチとして機能するサイリスタ20を用いて制御システム16によって制御できる。
【0064】
充電ユニット9、12または18は制御システム16にも接続して、制御システム16によって制御可能にできる。スイッチ22、23および24によって記号で表されるように、それらはある時刻に制御システム16によってスイッチオフにでき、例えば、第1の充電ユニット9および/または第2の充電ユニット12は主パルスの生成中にスイッチオフにできる。
【0065】
しかし、充電ユニットがフラッシュのタイミングを単独で検知するか、または電圧が設定値に達するとすぐに検知する場合、制御は必須ではない。
【0066】
スイッチ20、22、23および24の制御入力の制御システム16への割当ては、文字A~Dによって表されている。
【0067】
本装置の機能はここで、第1のコンデンサ8およびその第1の静電容量C1をもつバイアス電圧源5からのバイアス電圧が電極電圧として印加されるという事実において見ることができる。バイアス電圧と並列に、しかし、-前述のとおり、バイアス電圧源に関して非応答に-プラズマ電圧源6からの、すなわち、その第2の静電容量Cをもち、それは第1の静電容量Cよりも少なくとも1桁小さい(C2<<C1)、充電された第2のコンデンサ11からの、プラズマ電圧は、追加の電極電圧として印加される。電極電圧はここではプラズマ電圧に対応し、それはバイアス電圧よりも著しく高い。
【0068】
図4に示すプレパルス25はここで、バイアス電圧よりも高いプラズマ電圧を電極電圧として印加することにより、かつ点火用電極4を用いた点火によってランプ電流Iの点火パルスを生成することにより、生成され、それにより、プラズマがフラッシュランプ1内で点火され、プレパルス25の間バイアス電圧によって維持される。点火パルス26の終わりに、その少ない静電容量をもつ第2のコンデンサ12が放電される。初期の高いプラズマ電圧を供給するというその機能が遂行される。
【0069】
バイアス電圧源5およびプラズマ電圧源6と並列であるが、それらから切断可能な、主電圧源7を通して、主電圧は、プレパルス25の間、電極電圧として印加されて、主パルス27を生成する。主パルス27を生成する主電圧が、サイリスタ20を切り替えることによりコンデンサ17によって印加されるという点において主パルス27が生成される。
【0070】
既に説明した従来技術の概念に類似して、プラズマは、実際のフラッシュの前に点火される。実際のフラッシュ(主パルス)の発振回路に加えて、プレパルス25を生成するのに役立つ、別の発振回路(全てのパラメータに関して独立した)が並列に接続される。主パルス27の時に、プラズマは既に最大可能プラズマ量に達している。
【0071】
点火電圧発生器15の第3の並列回路はプレパルス25の点火の再現性をサポートし、それは、点火用電極4を通して起こる。点火パルス26は、比較的小さい静電容量Cおよび高電圧(他の回路と比較して)短いブースト電流で発生する。いくつかのランプ(電気的に独立した)が同期して操作される場合、点火パルスは同時点火を実装するために不可欠である。
【0072】
図2に示すように、フラッシュはここで、3つの独立した重畳部分パルスから構成されるが、それらは、しかし、全てコンデンサ放電に基づく。これは、費用効率が高くて、長持ちする電子機器だけを使用できることを意味する。
【0073】
プラズマ抵抗の実質的な変化はランプ長および/またはランプ直径に応じて生じる。総フラッシュは、プレパルス25および主パルス27の電気的パラメータ(Iならびにインダクタンス(L)10および19)を自由に組み合わせることによってのみ最適にできる。
【0074】
図5では、プレパルス25中のランプ電流が点線で、主パルス27中が破線で、および両方の加算28が実線で示されている。
【0075】
図5に従った例証では、静電容量はそれに応じて、放電が完全に理想的な電流プロファイル(ランプ負荷に関して)で起こるように設定される。具体的には長いランプ(大きなプラズマ抵抗)の場合、発振回路の減衰は非常に高い(長時間、コンデンサは完全には放電しない)。減衰を低減させるために、静電容量を低減でき、かつ/またはインダクタンスを増加できる(より高いインダクタンスは、しかし、より長いパルス持続時間を意味する)。より小さい静電容量はその結果として、同じ電圧でのより低いエネルギーを意味する。これを相殺するために、電圧を上昇させる必要があり、それはシステムの構成要素の種類および安全性を技術的に制限し、経済的により高い費用を招く。目的は、従って、十分なエネルギーを適度な電圧で供給するのを可能にすることである。
【0076】
図5からさらに見ることができるように、プレパルス25のエネルギーは、主パルス27のエネルギーと適合する。プレパルス25のエネルギーが低すぎる場合、例えば、ランプは破壊されるであろう(圧力上昇および電流増加が高すぎる)。フラッシュランプ1は、主パルス27の発生時に既に最小抵抗にほぼ達しており、それは、主パルス27の減衰を低減させるか、またはパルス時間を短縮する(プレパルス25なしと比較して)。電気的パラメータの調整は、例示した変形での動作に対して必須である。誤って調整された回路網は、例えば、たとえコンデンサがまだ実質的に放電されていなくても、プラズマを消すであろう。
【0077】
加えて、本発明によってまだ実装されていない技術的可能性があり、それらは以下で説明される。
【0078】
プレパルスと主パルスの賢い組み合わせにより、フラッシュランプまたは複数のフラッシュランプの配列によって照射される基板は、2段階においてであるが、1つだけのパルス内で、加熱できる。従って、知られているように、例えば、IRエミッターによる、予熱は、完全に、または一部省略できる。予熱は実質的に、基板の破壊を防ぎながら、必要な温度上昇を達成する働きをする。
【0079】
本発明による従来型の予熱の削減は、全体的なサーマルバジェットを低減して、例えば、基板または基板層における拡散プロセスを抑止する。
【0080】
その上、従来型の予熱と組み合わせて、より高い最高温度が2段階パルスによって実装できる。これは、以前のプロセスで実装できない新規の材料を製造するのを可能にする。
【0081】
本発明を使用する場合の別の可能な実施形態は、基板の裏面からの1つおよび基板の上面から1つの、2つのフラッシュランプアレイの組み合わせである。プレパルスは、両方のランプフィールドに対して同期して印加される。さらに、主パルスの点火が上面から追加的に実行される。このタイプの印加では、基板は両面から効率的に予熱され(熱応力の低下)上面が追加的に短い主パルスで要求されるターゲット温度にされる。
【0082】
別の例示的な実施形態では、以前の装置の基本原理はそのままで、以下で一次回路と呼ばれる。図6に示すように、拡張部分は、好ましくは、100μF~2000μFの範囲の静電容量をもつ、追加の第4のコンデンサ29、ならびに第2のサイリスタ30と第4のダイオード31、第5のダイオード32および第6のダイオード33から構成される。拡張部分は以下で二次回路34と呼ばれる。その中で、第5のダイオードと直列の第4のコンデンサ29は、電極2に接続されている。電極2への配線に挿入されているのは第6のダイオード33であり、その陽極へ第4のダイオード31および第2のサイリスタの直列接続が接続され、その直列接続は第4のダイオード31と並列である。
【0083】
本質的要素の第1のコンデンサ8、コイル35およびフラッシュランプ1はそのままで、さらに、発振回路を形成する。パルスは、コイル35のインダクタンスI、第1のコンデンサ8の静電容量Cおよびフラッシュランプ1の抵抗Rによって整形される(電流曲線)。静電容量Cおよび抵抗Rの増加は、発振回路の減衰を引き起こし、インダクタンスIの増加はこれを相殺する。フラッシュランプ1によって放出されたスペクトルおよびフラッシュランプ1の効率(電気エネルギー
【数2】
の電磁放射への変換)は実質的に、フラッシュランプ1を通って流れる電流Iによって影響を受ける。ここで、収量に影響を及ぼすための他の全ての要因は既に最適に選択されていると仮定する。高すぎる減衰は長引く放電プロセスを引き起こし、それは非最適な電流フローとなる、すなわち、パルス時間が広がって、流れる電流が低すぎる(効率に関して)。このため、とりわけ、コンデンサ8の静電容量Cは任意に高くなるように選択できない。
【0084】
フラッシュランプ1の動作中、プラズマ直径は石英管の内径に達し、それはプラズマの範囲を定める。プラズマ膨張のこの程度に達するまで、フラッシュランプ1に供給されるエネルギーはプラズマを発生させる必要がある(電磁放射の形での収量なし)。このため、フラッシュランプ1の直径は任意に大きくなるように選択できない。フラッシュランプの抵抗は
【数3】
によって単純化された形で与えることができ、式中、次の記号が使用される:
K フラッシュランプインピーダンス
P 充填圧力
l ランプ長
d(t) 時間依存のプラズマ直径
g ガスタイプ依存定数
最大プラズマ膨張時、計算式は、d(t)=dquarzを用いて次のように単純化される:
【数4】
【0085】
抵抗は充填圧力の上昇に伴って増加し、抵抗は石英ガラス管の内径の増大に伴って減少する。充填圧力および石英ガラス管の内径は最適に選択される。
【0086】
ランプ長が増加すると、抵抗も増加する。
【0087】
印加の範囲を増大させるために、より長いフラッシュランプを使用する必要がある。しかし、ランプ長の増大に伴って、ランププラズマの抵抗は増加し、それを相殺するための影響の決定的な可能性はない。その値はランプの幾何形状によって定義される。加えて、より長いランプ長では、対応する必要なエネルギー密度を生成するためにより多くのエネルギーが供給される必要がある。電圧における増加はコスト面の理由から5kVに制限される。従って、エネルギー増加も、一次回路内の静電容量を増加させてエネルギーを増加させることによって達成される。しかし、これは、発振回路のさらなる減衰となる。
【0088】
点火時に、フラッシュランプは無限大の抵抗を有し、それは、電荷担体を生成することによりランプ依存の最小値Kまで減少する。コンデンサ8の放電によって生成される電流は主にランプ抵抗によって制限されるか、または上で示した依存におけるランプインピーダンスKと相関する。より長いランプ(より大きな抵抗)に対して、これは、サイリスタ20の点火の望ましい時間までの、コンデンサ8の部分放電となる。コンデンサ8の残留電荷に起因して、コンデンサ8の残留電圧に達する場合コンデンサ17の部分放電もあり、電位差がなく、電流フローが生じないので、サイリスタは消える。コンデンサ8および17は再現性よく放電されないか、または一部のみ放電される。
【0089】
二次回路34をもつ拡張部分は、プラズマの点火のための要素4、6および15の機能を影響を受けないままにする。
【0090】
点火プロセスの後、まず、電流がフラッシュランプ1を通って流れるという点においてコンデンサ8は放電され、加えて、二次回路34の追加の第4のコンデンサ29が充電される。拡張部分で、放電電流が増加するか、または第1のコンデンサ8の完全な放電がより短時間で達成される。従って、サイリスタ20の点火は、コンデンサ8を十分に放電して、より短時間で可能である。第1のコンデンサ8のエネルギーは従って、一時的に貯蔵され、二次回路34の第4のコンデンサ29の放電が、コンデンサ17の放電と同時に起こる。
【0091】
図7および図8に従った図表に示されるとおり二次回路34の結果として生じる利点は、
a)より高いピーク電流(1)、
b)コンデンサ8の放電中のより低い電流増加(ランプ電流)、
c)両方のコンデンサの完全な放電(3)、および
d)より短いパルス幅(4)/より高いピーク電流
である。
【0092】
a)に対して
ランプは、電流に関して最適な動作点を有する。電流が高ければそれだけ、効率が高く(電気エネルギーの放射エネルギーへの変換)UV成分が大きい(示された動作範囲に対して)。
【0093】
b)に対して
電流における小さな増加(重要なことには、ここでは追加のインダクタンスなしで達成される)は完全なプラズマ膨張が達成されるまでランプ電極にあまり損傷を与えない。同等な効果は、インダクタンスを増加させることによって達成し得るが、これはパルス時間を増加させる。これはより低いピーク電流となる。
【0094】
c)に対して
一次回路のコンデンサが完全に放電される場合、貯蔵されたエネルギー全体が使用される。
【0095】
d)に対して
より短いパルス時間はある用途に対して好都合であり、基板上の表面温度も(同じエネルギーで)上昇させるか、またはエネルギーが削減できる(エネルギー節約)。
【0096】
二次回路による拡張部分は、増加したランプインピーダンスK>20の場合に特に好都合である。この値は、200mmを上回るランプ長で、最適なランプパラメータの場合に達成される。同じ関係は、例えば、より広い範囲をカバーするために幾何学的に並列に配置されている、複数のランプの直列接続の場合に効果的である。
【0097】
本発明の別の実施形態では、詳細には図示していないが、追加のサイリスタが統合されて、コンデンサ8の放電プロセスの時間を決定する(以前は1つのダイオードだけ)。追加のサイリスタを用いて、一時的に貯蔵されたエネルギーが、最適なパルス整形のために時間的に制御された方法でランププラズマに供給できる。
【0098】
参照リスト
1 フラッシュランプ
2 電極
3 電極
4 点火用電極
5 バイアス電圧源
6 プラズマ電圧源
7 主電圧源
8 第1のコンデンサ
9 第1の充電ユニット
10 第1のインダクタ
11 第2のコンデンサ
12 第2の充電ユニット
13 第1のダイオード
14 第2のダイオード
15 点火電圧発生器
16 制御システム
17 第3のコンデンサ
18 第3の充電ユニット
19 第2のインダクタ
20 サイリスタ
21 第3のダイオード
22 スイッチ
23 スイッチ
24 スイッチ
25 プレパルス
26 点火パルス
27 主パルス
28 加算
29 第4のコンデンサ
30 第2のサイリスタ
31 第4のダイオード
32 第5のダイオード
33 第6のダイオード
34 二次回路
35 コイル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】