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特表2022-508459湿地の底部から汚泥及び/又は砂を除去する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】湿地の底部から汚泥及び/又は砂を除去する装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/88 20060101AFI20220112BHJP
【FI】
E02F3/88 B
E02F3/88 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021538941
(86)(22)【出願日】2019-09-12
(85)【翻訳文提出日】2021-05-07
(86)【国際出願番号】 IB2019057693
(87)【国際公開番号】W WO2020053801
(87)【国際公開日】2020-03-19
(31)【優先権主張番号】2018/5630
(32)【優先日】2018-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521105938
【氏名又は名称】ファン ロンペイ,ボウデヴィン ガブリエル
【氏名又は名称原語表記】VAN ROMPAY, Boudewijn Gabriel
【住所又は居所原語表記】307 Spottis Woode CT, Clearwater, Florida 33756 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】ファン ロンペイ,ボウデヴィン ガブリエル
(57)【要約】
湿地の底部から汚泥及び/又は砂の層を水中でその場で除去する装置であって、開口底部(7)及び下側フリーエッジ(10)を備えた潜水鐘(5)と、前記下側フリーエッジで潜水鐘を、除去すべき汚泥層内の所望の深さまで駆動する手段と、潜水鐘の空間内に設けられ、汚泥を汲み上げるための吸込口(13)及び/又は汲み上げた汚泥及び/又は砂をコレクタに送るパイプに接続された排出口(15)を備えた浚渫ポンプ(11)と、浚渫中に潜水鐘の空間に圧力下でガスを供給するコンプレッサ(21)とを備え、潜水鐘に、圧縮ガス用のガス排気口(25)が設けられ、前記ガス排気口が、それを汚泥上で浮き得るフロート(27)に取り付けることによって、潜水鐘内で高さを調整可能にされていることを特徴とする装置。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿地の底部から汚泥及び/又は砂の層を水中でその場で除去する装置であって、
・開口底部及び下側フリーエッジを備えた潜水鐘と、
・前記下側フリーエッジで潜水鐘を、除去すべき汚泥層内の所望の深さまで駆動する手段と、
・潜水鐘の空間内に設けられ、汚泥を汲み上げるための吸込口及び/又は汲み上げた汚泥及び/又は砂をコレクタに送るパイプに接続された排出口を備えた浚渫ポンプと、
・浚渫中に潜水鐘の空間に圧力下でガスを供給するコンプレッサと
を備え、
潜水鐘に、圧縮ガス用のガス排気口が設けられ、前記ガス排気口が、それを汚泥上で浮き得るフロートに取り付けることによって、潜水鐘内で高さを調整可能にされている
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
ガス排気口が、潜水鐘の頂部に設けられた開口を介して外気に開放されるパイプの開放端によって形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記パイプが湿地の水位より上で排気する
ことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ガス排気口が、その上端がフロートから僅かに高い高さになるよう配置されている
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の装置。
【請求項5】
ガス排気口が設けられるフロートが、チェーン等を用いて潜水鐘内で吊り下げられ、前記チェーン等の長さが、潜水鐘を水から出した時に、フロートの下面が、潜水鐘の下側フリーエッジとほぼ同じレベルになる長さである
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記フロートが、汚泥上に浮くが、前記パイプ及び排気口の重量と合わせて、圧縮ガス排気口を水中に浮かせることを可能にする十分な浮力を有していいない
ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記フロートが、シート上のパイプの重量を汚泥上で支持するのに十分な寸法のシートによって形成されている
ことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記パイプが、剛性金属管で形成され、その一端がフロートに載って、それに取り付けられ、その多端が可撓性連結部を介して、潜水鐘の頂部で、潜水鐘の外部環境に開放される
ことを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の装置。
【請求項9】
浚渫ポンプが、潜水鐘の固定位置に取り付けられ、その入口が、潜水鐘の下側フリーエッジのレベルにある
ことを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載の装置。
【請求項10】
コンプレッサに設定される最大圧力が、湿地の水面と潜水鐘の下側フリーエッジとの間のレベル差に等しい高さのウォータカラムの圧力より高い
ことを特徴とする請求項1~9の何れか一項に記載の装置。
【請求項11】
潜水鐘の下側フリーエッジがブレードとして形成されている
ことを特徴とする請求項1~10の何れか一項に記載の装置。
【請求項12】
潜水鐘の下側フリーエッジの近くに、汚泥内部に水を噴射するジェットポンプによって供給されるウォータジェットが設けられている
ことを特徴とする請求項1~11の何れか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記ジェットポンプが潜水鐘の外側に設けられ、パイプを介して潜水鐘の壁にある通路に接続され、前記パイプが、潜水鐘内に、前記壁に対して垂直方向に噴射する
ことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
潜水鐘を汚泥内に駆動する手段が、油圧クレーンによって形成され、前記油圧クレーンが、浚渫ポンプ及び選択的にジェットポンプを駆動するための油圧力を供給する油圧ユニットを備えている
ことを特徴とする請求項1~13の何れか一項に記載の装置。
【請求項15】
油圧クレーンが、前記コンプレッサと共に作業船又は平底船に設置される
ことを特徴とする請求項1~14の何れか一項に記載の装置。
【請求項16】
汚泥の層内の潜水壁の深さにアクセスする手段が設けられている
ことを特徴とする請求項1~15の何れか一項に記載の装置。
【請求項17】
汚泥内の潜水鐘の深さにアクセスする前記手段が、潜水鐘の側壁に設けられた深さスケール及びカメラによって形成されている
ことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項18】
汚泥の層の厚さにアクセスする手段が設けられている
ことを特徴とする請求項1~17の何れか一項に記載の装置。
【請求項19】
湿地の底部から汚泥及び/又は砂の層を除去するために請求項1~18の何れか一項に記載の装置を使用することを特徴とする
請求項1~18の何れか一項に記載の装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿地の底部から汚泥及び/又は砂を除去する方法に関する。
【0002】
本発明は、汚泥の除去及びある深さまでの下層の砂層の除去の両方に適用される。簡単化のために、以下の説明では「汚泥」という用語が使用されるが、これは「下層の砂層」も参照する。
【0003】
より具体的には、該方法は、水中の汚染された汚泥を最小限の乱流で、その場で汲み上げる方法に関する。
【背景技術】
【0004】
一般的に、海の水路の汚泥は、事故、違法廃棄又は産業現場からの漏出により有害化学物質や重金属で汚染されている可能性があることは知られており、例えば、船体にしばしば存在する海洋生物の生育を阻害する有害物質による汚染が挙げられる。
【0005】
これらの有害物質は、港湾領域や海の水路の汚泥に残っている。このような港湾領域周辺の汚染は、地域固有の海洋生物に悪影響を及ぼす。
【0006】
しかしながら、湿地の底から汚泥を除去する現在の浚渫技術は、多くの乱流を生じさせ、汚泥の攪拌や水の濁りを引き起こすという意味で、比較的効率が悪いことが多いという問題がある。
【0007】
浚渫中の攪拌によって、汚泥における含水量が増える。汲み上げた汚泥を洗浄するために水分を完全に又は部分的に除去する必要があるため、これは望ましくない。従って、含水量の増加は、浚渫作業を比較的高額にし、汲み上げられた汚泥の洗浄にかかる時間をより長くする。
【0008】
乱流が生じることのもう一つの欠点は、実際には汚泥の浚渫及び除去は可能な限り現場に留まるべきであるが、攪拌された汚染汚泥が汚泥の再懸濁によって湿地帯に拡がり、場合によっては汚染されていない汚泥と混ざってしまうことにある。
【0009】
加えて、再懸濁した汚泥の沈殿により、土壌生物が完全に害してしまい、また、完全に死滅させてしまうことさえある。
【0010】
従来の汚泥除去技術を使用すると多くの乱流が発生するリスクがあるため、そのような汚染された水域は、攪拌や非効率な除去によるさらなる拡散のリスクを避けるために、当局によってそのまま放置されることもある。
【0011】
これは、汚染された港湾領域が、それ以上深刻な状態にならず、また、拡張されないことを意味し、潜在的に高い経済的価値を持つこれらの領域が使われないままになることを意味する。
【0012】
同じ発明者のベルギー特許BE 1.018.005号及びBE 1.021.095では、除去すべき汚泥の中に潜水鐘を押し込み、封入された汚泥をポンプで汲み上げる現場浚渫の技術が既に公知である。
【発明の概要】
【0013】
本発明の目的は、潜水鐘を使用するこれらの公知の技術をさらに改良することにある。
【0014】
この目的のために、本発明は、湿地の底部から汚泥及び/又は砂を水中でその場で除去する装置であって、
・開口底部及び下側フリーエッジを有する潜水鐘と、
・除去すべき汚泥及び/又は砂の層内の所定の深さで下側フリーエッジを有する潜水鐘を浮遊させる手段と、
・潜水鐘の空間に設けられ、汚泥を汲み上げるための吸込口及び/又は、汲み上げられた汚泥及び/又は砂をコレクタに送るためのパイプに接続される排出口が設けられた浚渫ポンプと、
・浚渫中に潜水鐘の空間内に圧力下のガスを送るためのコンプレッサと
を備え、
潜水鐘に、圧縮ガス用のガス排気口が設けられ、潜水鐘のガス排気口が、汚泥に浮かび得るフロートに排気口を取り付けることによって、高さを調整することができるように構成されている
ことを特徴とする装置に関する。
【0015】
この圧縮ガスの可動排気口により、潜水鐘を汚泥又は砂の中に入れた時に、汚泥や砂の上の空気を自由に逃がすことが可能になり、潜水鐘を、水を追い出すことなく、可能な限り多くの汚泥や砂で満たすことが可能になる。
【0016】
前記排気口は、常に、除去すべき汚泥又は砂の内に位置することになり、フロートは、可動排気口及び圧縮ガスの供給と共に、潜水鐘内の水位及び水面上の圧力が自己調整されることを保証する。
【0017】
潜水鐘内の空気が排気口を介して逃げることができるようになるので、水位は排気口の上端のレベルで安定するようになる。
【0018】
フロート及びそれに設けられた排気口が、汚泥のレベルに追従するので、水位もまた、汚泥又は砂のレベルに追従することになり、従って、汚泥又は砂が汲み出されるにつれて、水位は一緒に低下することになる。
【0019】
両方のレベルが同時に下がるので、汚泥を介して外部に水が流れ出ることはなく、その結果、汚染物質は外部に逃げることができず、言い換えれば、浚渫中に、汚染物質が潜水鐘の内部に保持されることになる。
【0020】
このようなレベル及び圧力の自動調節が、非常に簡単であり、かつ、効果的であることは、既に、非公開の試験で実証されている。
【0021】
実用可能な実施形態によれば、前記排気口は、パイプの開放端によって形成され、それは、潜水鐘の頂部にある開口部を介して、外部に解放され、例えば、気泡の上昇によって生じる乱流や濁りを防止するために、又は、必要に応じて有毒な空気を浄化できるようにするために、別のパイプを介して水面上に導かれる。
【0022】
排気口を備えたフロートは、好ましくは、チェーン等によって潜水鐘内に吊り下げられ、このチェーンの長さは、潜水鐘を水から出した時に、フロートの下側が、潜水鐘の下側フリーエッジのレベルとほぼ同じレベルになり、かつ、潜水鐘を汚泥中に入れる時に、フロートが、潜水鐘内で上昇する汚泥に直ぐに接触するような長さにされる。
【0023】
好ましくは、フロートは、汚泥又は砂の上に浮くようにされるが、パイプの重量と合わせて、圧縮ガス排気口を水面に浮かべるのに十分な浮力は有していない。
【0024】
フロートは、例えば、汚泥又は砂上で、シート上でパイプの重量を支えるのに十分な寸法のシートで形成される。
【0025】
簡単な実用的実施形態によれば、パイプは、剛性金属管によって形成され、その一端がフロートに取り付けられ、その他端は、潜水鐘の頂部で可撓性連結具を介して潜水鐘の外部環境に解放される。
【0026】
好ましくは、浚渫ポンプは、潜水鐘内の固定された位置に取り付けられ、潜水鐘と共に汚泥中で浮き、かつ、浚渫ポンプの吸込口が、潜水鐘の下側フリーエッジのレベルに位置するようにされている。
【0027】
潜水鐘における前記バランスを得るために、コンプレッサが使用され、その圧力は、湿地の水面と潜水鐘の下側フリーエッジとの間のレベルの差に等しい高さのウォータカラムの圧力より高い最大圧力に設定される。
【0028】
選択的に、潜水鐘の下側フリーエッジ付近に、汚泥が硬い物質である場合に有用であり得る、汚泥や砂内に水を噴射するジェットポンプによって供給される一つ又は複数のウォータジェットが設けられ得る。
【0029】
汚泥内に潜水鐘を入れるために、例えば、浚渫ポンプとオプションのジェットポンプとを駆動する油圧を供給する油圧ユニット群を備えた油圧クレーン又は掘削機が使用され得、潜水鐘はクレーンのアームから吊り下げられる。
【0030】
例えば、油圧クレーンは、作業船や平底船上に、前記コンプレッサと共に設置される。
【0031】
潜水鐘を汚泥又は砂の中に入れる手段は、例えば、クレーンに設けられ得る振動又は杭打ち設備を含み得る。
【0032】
クレーンのオペレータが、自分の行動を見たり知ったりすることを可能にするために、汚泥や砂の層内の潜水鐘の深さにアクセスする手段に加えて、汚泥層の厚さにアクセスする手段が設けられ得る。
【0033】
本発明はまた、汚泥又は砂を、水中でその場で浚渫する方法に関する。
【0034】
本発明の特徴をより良く示すために、本発明による幾つかの好ましい実施例を、添付図面を参照して、限定するものではない実施例を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明に係る装置の浚渫開始時の状態を示す概略図である。
図2図1に示した装置の一つの同じ場所での浚渫の連続した段階を示す図である。
図3図1に示した装置の一つの同じ場所での浚渫の連続した段階を示す図である。
図4図1に示した装置の一つの同じ場所での浚渫の連続した段階を示す図である。
図5図1の装置の別の実施形態を示す図である。
図6】他の実施形態を示す図である。
図7】他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
一実施例として図1に示すように本発明に係る装置1は、以下の構成要素を備えている。
・平底船3に配置された油圧クレーン2
・クレーン2のアーム4から吊り下げられた潜水鐘5であって、上壁8及び側壁9によって区画された開放底部7を有する内部空間6を有し、その下側フリーエッジ10がブレード状に形成されている潜水鐘5
・剛性サスペンション12によって潜水鐘5の内部空間6に取り付けられ、汚泥14を汲み上げるための吸込口13と、汲み上げた汚泥をコレクタ17へ送るパイプ16が接続された排出口15とが設けられた浚渫ポンプ11
・浚渫ポンプ11を駆動するために、パイプ19を介してクレーン2の油圧ユニット20に接続された油圧モータ18
・供給パイプ22及び上壁8の通路23を介して、浚渫中に、潜水鐘5の内部空間6内に加圧空気を送り込む、平底船3に設けられたコンプレッサ21
・送り込まれた空気を、ガス排気口25を介して、潜水鐘5から水位26の上の外気に排気する排気管24であって、潜水鐘5内の該排気管24の一部が剛性金属管24aとして形成され、剛性金属管24aの一端が可撓性連結部24bを介して、潜水鐘5の外側にある排気管24の一部24cに接続され、他端にガス排気口25が設けられた管部分24aが、可撓性連結部24bを中心に上下に回転できるようにされた排気管24
・汚泥14上に浮くことができ、管部分24aの排出口25を備えた端部が取り付けられるフロート27
・潜水鐘5の内部で管部分24aの下端を吊り下げるチェーン28であって、その長さが、フロート27の下面が潜水鐘5の下側フリーエッジ10と同じレベルにある図1に示すような状態に、フロート27の移動の自由を制限する長さにされているチェーン28
【0037】
本発明による装置1の使用方法は以下に示すように簡単である。
【0038】
油圧クレーン2を使用して潜水鐘5が押し下げられ、潜水鐘5は、その下側フリーエッジ10のブレードが水平になった状態で、浚渫ポンプ11と共に汚泥14の中に入れられる。
【0039】
潜水鐘5が、図1の初期状態のように汚泥14のレベルに到達した時に、フロート27は汚泥14の真上に位置する。
【0040】
図2に示すように、潜水鐘5が汚泥14内の深さAの位置に打ち込まれると、フロート27は潜水鐘5内で汚泥14の上側レベルの動きに追従し、管部分24aは、フロート27によって駆動され、可撓性連結部24bを中心として回転しながら上昇する。
【0041】
汚泥14の上側の潜水鐘5内の空間6は、常に外気と繋がっているので、潜水鐘5の空間6で汚泥14のレベルが上昇すると、空気が追い出される。
【0042】
図2の位置では、潜水鐘5の空間6における圧縮空気の供給及び排気により、潜水鐘5内の水30のレベル29が、ガス排出口25の上側縁部31とほぼ等しくなり、従って、潜水鐘5における汚泥14のレベルよりも一定の高さB上にあるというバランスが自動的に達成される。
【0043】
浚渫ポンプ11が駆動されると、潜水鐘5で囲まれた汚泥14はコレクタ17に汲み上げられる。
【0044】
浚渫が進むと、潜水鐘5内の汚泥14のレベルが下がり、フロート27、ひいては水30のレベル29が潜水鐘内で汚泥14のレベルに追従して下がる。
【0045】
水位30は、潜水鐘5内の汚泥14が図3に示すように全て汲み出されるまで、浚渫ポンプ114による汲み上げによって制御される。
【0046】
言い換えれば、汚泥内に存在する汚染物質を洗い落とす原因となり得る水の流出はない。
この方法では、潜水鐘5内の汚泥14だけが、汚泥14を周囲にかき乱すことなく浚渫される。
【0047】
従って、汚泥のレベルの上にある水30のレベル29は、排出口25の上側縁部31の高さに依存するので、フロート27に対して、それを高く又は低く位置決めすることによって調整することができる。
【0048】
好ましくは、フロート27は、汚泥14上に浮くが、管部分24aの重量と合わせて水に浮くほどの水中での十分な浮力を有さないように設計され、その結果、フロート27は、汚泥14上まで下降し得る。
【0049】
この目的のために、フロート27は単純なシートで形成され得、前記シートは、管部分24aの重量によって汚泥上のシートに及ぼされる圧力が、汚泥の耐荷重よりも小さくなるような寸法にされ得る。
【0050】
また、管部分24aは、その下端がフロート27に取り付けられる可撓性ホースによって置き換えられ得、必要に応じてフロート27を水中に沈めて汚泥に載せることができるようにフロート27に加重することもできる。
【0051】
コンプレッサ21は、最大圧力が、湿地の水位26と、潜水鐘5の下部フリーエッジ10にあるブレードとの間のレベル差Cに等しい高さを有するウォータカラムの圧力より高くなるように設定される。
【0052】
潜水鐘5から全ての汚泥14が汲み上げられた後、潜水鐘5を汚泥14にさらに深く打ち込み、より深い汚泥14を除去することが可能である。
【0053】
必要に応じて、密度の高い下層の砂層14'も、一定の深さまで除去することができ、その場合には、潜水鐘5を、その深さまで砂層14'に打ち込む必要がある。
【0054】
この場合又は比較的コンパクトな汚泥14の場合、潜水鐘を砂又は汚泥に振動又は杭打ちで打ち込むために、油圧クレーンに振動設備や杭打ち設備が設けられ得る。
【0055】
所望の深さまで浚渫した後、潜水鐘5は再び引き上げられ、別の場所でそこを浚渫するために汚泥に再び撃ち込まれ得る。このように、連続浚渫作業により、短時間で効率的に一帯を清掃することが可能になる。
【0056】
クレーン2及びコンプレッサ21は、必ずしも、平底船3上に搭載される必要はなく、例えば、岸壁に設置することも可能である。
【0057】
油圧クレーン2の代わりに、潜水鐘5を汚泥に打ち込むための他の手段も考えられることは明らかである。
【0058】
浚渫ポンプ11は、必ずしも、潜水鐘5内の固定位置を必要とせず、例えば、潜水鐘5内で浚渫ポンプ11を動かすことができる装置に取り付けてもよい。
【0059】
また、複数の浚渫ポンプ11を設けてもよい。
【0060】
図5は、以下の付加的要素が設けられた、図1の装置に関連する本発明に係る装置1の別の実施例を示している。
・例えば、潜水鐘5の側壁9に設けられた深さスケール32及びクレーン2におけるクレーン作業者が潜水鐘5内で起こっていることを見ることができるカメラ33のような、汚泥14内の潜水鐘5の深さAを測定する手段
・例えば、ソナーを用いて汚泥の層の厚さDを測定する手段(図示せず)
・潜水鐘5内の堅い汚泥を破壊するために、言い換えれば、それを分解するためにウォータジェットを発生させる装置
・潜水鐘5の外側に設けられた入力部35及び潜水鐘5の側壁9の下側の通路38にパイプ37によって接続される出力部36を備え、水平方向にウォータチェットを生じさせるようにしたジェットポンプ34
前記ジェットポンプには、クレーン2の油圧ユニット20に接続された油圧モータ39が設けられている。
【0061】
図6は、本発明による装置1の別の実施形態を示しており、この実施例では、潜水鐘5は、双胴船40等からケーブルによって吊り下げられており、潜水鐘5は、ウィンチ41等を使用して汚泥内に降ろされ、かつ、浚渫作業が完了した後に引き上げられて、次の領域の浚渫を行うことができる。この場合も、潜水鐘5に振動設備又は杭打ち設備を設けることが有用である。
【0062】
図7は、さらに別の実施形態を示しており、この実施例では、汚泥14を除去するために潜水鐘5が完全に水中にあるのではなく、一部が水から飛び出している。
【0063】
図示実施例では、潜水鐘5には、潜水鐘5内で浚渫ポンプ11を水平及び/又は垂直に移動させるための移動手段42と、汚泥14及び/又は砂層14'内で潜水鐘5を振動させるための振動装置43とが設けられている。
【0064】
本発明は、実施例として説明された図示された装置に限定されるものではなく、本発明に係る汚泥除去装置及び方法は、本発明の範囲から逸脱することなく、あらゆる種類の方法で実現され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】