IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソレニス・テクノロジーズ・ケイマン・エル・ピーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】元素状硫黄を水に懸濁させる方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/52 20060101AFI20220112BHJP
   C02F 1/56 20060101ALI20220112BHJP
   B01D 21/01 20060101ALI20220112BHJP
   C09K 23/12 20220101ALI20220112BHJP
   C09K 23/42 20220101ALI20220112BHJP
   C09K 23/46 20220101ALI20220112BHJP
【FI】
C02F1/52 Z
C02F1/56 Z
B01D21/01 104
B01D21/01 107
B01F17/12
B01F17/42
B01F17/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021542060
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(85)【翻訳文提出日】2021-05-26
(86)【国際出願番号】 US2019053106
(87)【国際公開番号】W WO2020069091
(87)【国際公開日】2020-04-02
(31)【優先権主張番号】62/736,636
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521127723
【氏名又は名称】ソレニス・テクノロジーズ・ケイマン・エル・ピー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】コリーヌ・イー・コンサロ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・エス・チャップマン
【テーマコード(参考)】
4D015
4D077
【Fターム(参考)】
4D015BA02
4D015BA19
4D015BB05
4D015CA20
4D015DB23
4D015DB41
4D077AC05
4D077DB07X
4D077DC19X
4D077DC45X
4D077DC64X
(57)【要約】
元素状硫黄及び硫化水素を含む水を準備する工程、及び、水100万重量部に対して約1~約100重量部の硫黄懸濁添加剤を水に添加して、前記元素状硫黄を水中に懸濁させる工程を含む、元素状硫黄を水に懸濁させる方法。前記硫黄懸濁添加剤は、アルキルジフェニルオキシドジスルホネートまたはその塩、第二級アルコールエトキシレート、非イオン性エチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドコポリマー、並びにこれらの組み合わせから選択される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
元素状硫黄を水に懸濁させる方法であって、
A.元素状硫黄及び硫化水素を含む水を準備する工程、
B.水100万重量部に対して約1~約100重量部の硫黄懸濁添加剤を水に添加して、前記元素状硫黄を水中に懸濁させる工程、
を含み、
前記硫黄懸濁添加剤が、アルキルジフェニルオキシドジスルホネートまたはその塩、第二級アルコールエトキシレート、非イオン性エチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドコポリマー、並びにこれらの組み合わせから選択される、方法。
【請求項2】
前記アルキルジフェニルオキシドジスルホネートまたはその塩が、以下の構造:
【化1】
[式中、Rは1~35の炭素原子を有するアルキル基であり、各Xは個別にカチオンである]
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Rが10~14の炭素原子を有するアルキル基であり、XがNa+である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
Rが12の炭素原子を有するアルキル基である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
Rが30~32の炭素原子を有するアルキル基であり、XがNa+である請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記第二級アルコールエトキシレートが、少なくとも1モルのエチレンオキシドでエトキシル化された、6~20の炭素原子を有する炭素骨格を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第二級アルコールエトキシレートが、約7~約9モルのエチレンオキシドでエトキシル化された、12~14の炭素原子を有する炭素骨格を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記非イオン性エチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドコポリマーが、N-アルキルジエタノールアミンコアと1モル以上のエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドとの反応生成物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記非イオン性エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマーが、下記:
【化2】
[式中、nは1~15である]
の構造を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記硫黄懸濁添加剤が、水100万重量部に対して約10~約50重量部の量で添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
元素状硫黄及び硫化水素を含み、且つ硫黄懸濁添加剤を含まない水が、UV-vis分光光度計を用い、230nmで測定して、約0.006の光学密度を有する場合に、前記添加の工程が、UV-vis分光光度計を用い、230nmで測定して、少なくとも0.05の光学密度を有する混合物を生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
元素状硫黄を水に懸濁させる方法であって、
A.元素状硫黄及び硫化水素を含む水を準備する工程、
B.水100万重量部に対して約10~約50重量部の硫黄懸濁添加剤を水に添加して、前記元素状硫黄を水中に懸濁させる工程、
を含み、
前記硫黄懸濁添加剤が、アルキルジフェニルオキシドジスルホネートまたはその塩、第二級アルコールエトキシレート、非イオン性エチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドコポリマー、並びにこれらの組み合わせから選択され、
前記アルキルジフェニルオキシドジスルホネートまたはその塩は、以下:
【化3】
[式中、Rは10~35の炭素原子を有するアルキル基であり、各XはNa+である]
の構造を有し、
前記第二級アルコールエトキシレートが、少なくとも1モルのエチレンオキシドでエトキシル化された、6~20の炭素原子を有する炭素骨格を含み、
前記非イオン性エチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドコポリマーが、N-アルキルジエタノールアミンコアと1モル以上のエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドとの反応生成物を含み、且つ、
元素状硫黄及び硫化水素を含み、且つ硫黄懸濁添加剤を含まない水が、UV-vis分光光度計を用い、230nmで測定して、約0.006の光学密度を有する場合に、前記添加の工程が、UV-vis分光光度計を用い、230nmで測定して、少なくとも0.05の光学密度を有する混合物を生成する、方法。
【請求項13】
水、
元素状硫黄及び硫化水素、及び
アルキルジフェニルオキシドジスルホネートまたはその塩、第二級アルコールエトキシレート、非イオン性エチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドコポリマー、並びにこれらの組み合わせから選択される硫黄懸濁添加剤
を含む硫黄懸濁液組成物であって、
前記硫黄懸濁添加剤が、前記組成物100万重量部に対して約1~約100重量部の量で存在する、組成物。
【請求項14】
元素状硫黄及び硫化水素を含み、且つ硫黄懸濁添加剤を含まない水が、UV-Vis分光光度計を用い、230nmで測定して、約0.006の光学密度を有する場合に、UV-Vis分光光度計を用い、230nmで測定して、少なくとも0.05の光学密度を有する、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
アルキルジフェニルオキシドジスルホネートまたはその塩が、下記の構造:
【化4】
[式中、Rは1~35の炭素原子を有するアルキル基であり、各Xは個別にカチオンである]
を有する、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
Rが10~14の炭素原子を有するアルキル基であり、XがNa+である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
Rが30~32の炭素原子を有するアルキル基であり、XがNa+である、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
前記第二級アルコールエトキシレートが、約7~約9モルのエチレンオキシドでエトキシル化された12~14の炭素原子を有する炭素骨格を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項19】
前記非イオン性エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマーが、下記:
【化5】
[式中、nは1~15である]
の構造を有する、請求項13に記載の組成物。
【請求項20】
前記硫黄懸濁添加剤が、組成物100万重量部に対して約10~約50重量部の量で存在する、請求項13に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年9月26日に出願された米国仮出願第62/736,636号の利益を主張するものであり、この仮出願は、参照によりその全体を本明細書に明示的に組み込まれることとする。
【背景技術】
【0002】
本開示は、一般に、元素状硫黄を水に懸濁させる方法に関する。より具体的には、本開示は、元素状硫黄及び硫化水素を含む水に特定の硫黄懸濁添加剤を添加して、水中に硫黄を懸濁させることに関する。
【0003】
地熱発電所及び石油・ガス産業における固形鉱物堆積物の問題は、実質的で費用のかかるものである。発電に使用される地熱流体は、しばしば高レベルの硫化水素及び炭酸塩を含み、これらは熱交換器の表面、冷却塔の充填物、及びパイプ内に固形堆積物を生成しうる。これらの堆積物は熱伝達効率を低下させ、ノズルを詰まらせ、且つ定期的にシステム停止を要し、結果として、発電損失、コスト増、及び収益性の低減をもたらす。調査したところ、地熱冷却システム由来の堆積物は、元素状硫黄、ポリスルフィド、及び金属硫化物を含む。
【0004】
硫黄堆積物の問題は、硫化物捕捉剤を用いて水から硫化水素を除去すること、堆積物を原位置で化学処理によって溶解すること、または機械的除去によって対処されてきた。硫化物捕捉剤は、硫化水素の除去には効果的であるかもしれないが、反応生成物自体が不溶性であるか、炭酸塩のスケーリングまたは望ましからぬpHシフトを引き起こし得る。機械的洗浄は、システム停止及び多大な労働力を要する堆積物の除去を必要とする。
【0005】
硫黄の懸濁状態の維持及び/または堆積した硫黄固形物の再懸濁により、費用のかかる停止をすることなく、この問題に原位置で対処することができる。この問題を解決するための初期の試みの1つは、米国特許2,028,482号に記載されており、これは、有効な薬剤としてナフタレン系列のスルホン酸と縮合したアルデヒドの使用に焦点を当てたものである。別の特許である米国特許5,223,160号は、10%の低級アルコール、10~20%の非イオン性界面活性剤、及び15~35%のアルコールのクロルヒドロキシフェニルエーテルの混合物の使用に焦点を当てている。しかしならが、多くのシステムでは溶媒の使用が問題となっている。さらなる試みは、ジアルキルスルフィド、特にジメチルスルフィドの硫黄分散剤としての使用を含む。とはいえ、これらはコストが高く、また溶媒をリサイクルする必要があるため、広く使用することが不可能であった。現在市販の硫黄分散剤は、2-デシルチオ-エナンアミン塩酸塩であるDTEA II(Amsa, Inc.)であり、これは米国特許9,355,444に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第2,028,482号明細書
【特許文献2】米国特許第5,223,160号明細書
【特許文献3】米国特許第9,355,444号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
地熱発電事業及び石油・ガス採掘システムにおける元素状硫黄及び硫化物の堆積を最小限に抑え、また防止するために、依然として、有効かつ安価であり、また環境に配慮した、原位置処理のための解決策が必要である。また、この処理は、起泡性が実質的に低く、非腐食性であり、且つ、水処理操作の他の構成要素と干渉しないものであるべきである。したがって、改善の余地が残っている。さらにまた、本開示の他の望ましい特徴及び特性は、本開示のこの後に続く詳細な説明及び添付の請求項を、本開示のこの背景を併せて検討することにより理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、元素状硫黄を水に懸濁させる方法を提供する。この方法には、元素状硫黄及び硫化水素を含む水を準備する工程と、水100万重量部に対して約1~約100重量部の硫黄懸濁添加剤を水に添加して、元素状硫黄を水中に懸濁させる工程とが含まれる。硫黄懸濁添加剤は、アルキルジフェニルオキシドジスルホネートまたはその塩、第二級アルコールエトキシレート、非イオン性エチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドコポリマー、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0009】
本開示はまた、水を準備する工程と、水100万重量部に対して約10~約50重量部の硫黄懸濁添加剤を水に添加して、元素状硫黄を水中に懸濁させる工程とを含む、元素状硫黄を水中に懸濁させる方法を提供する。この実施態様においては、アルキルジフェニルオキシドジスルホネートまたはその塩は、以下の構造を有する。
【化1】
式中、Rは10~35の炭素原子を有するアルキル基であり、各Xはナトリウム原子である。
第二級アルコールエトキシレートには、少なくとも1モルのエチレンオキシドでエトキシル化された、6~20の炭素原子を有する炭素骨格が含まれる。非イオン性のエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドコポリマーには、N-アルキルジエタノールアミンコアと1モル以上のエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドとの反応生成物が含まれる。さらに、この実施態様では、添加の工程により、元素状硫黄及び硫化水素を含み、且つ硫黄懸濁添加剤を含まない水が、UV-Vis分光光度計を用いて230nmで測定して約0.006である光学密度を有する場合に、UV-Vis分光光度計を用いて230nmで測定して、少なくとも0.05の光学密度を有する混合物が生成される。
【0010】
本開示はさらに、水、元素状硫黄、硫化水素、及び、アルキルジフェニルオキシドジスルホネートまたはその塩、第二級アルコールエトキシレート、非イオン性エチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドコポリマー、並びにこれらの組み合わせから選択される硫黄懸濁添加剤を含む硫黄懸濁組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細な説明は、事実上単なる例示であり、本開示を限定することを意図するものではない。さらにまた、前述の背景または以下の詳細な説明に提示されるいかなる理論にも拘束されることを意図するものではない。本開示の実施態様は、一般に、元素状硫黄を水中に懸濁させる方法及びそのための組成物に関する。簡潔にするため、従来の技術は、本明細書中では必ずしも詳細には説明しない。さらにまた、本明細書に記載された様々な作業及び処理工程は、本明細書に詳細には記載されていない追加の工程または機能を有する、より包括的な手順または処理に組み込まれてもよい。特に、前記組成物の構成要素の製造における様々な工程は周知であり得ることから、簡潔にするために、従来の工程の多くは、本明細書では簡潔に言及されるのみであるか、または周知の処理の詳細を提供することなく完全に省略されるであろう。
【0012】
本開示は、元素状硫黄を水中に懸濁させる方法を提供する。典型的には、水は、少なくとも元素状硫黄及び硫化水素を含む。しかしながら、水は、硫化水素を含まないか、または典型的な検出限界よりも少ない量で含んでもよいことが企図される。水中における硫黄及び硫化水素の量は、特に限定されず、任意の量、例えば、地熱、天然ガス、石油、フラッキング、及び発電の各業界で使用される水に見られる任意の量であってよい。様々な実施態様では、硫化水素の量は、水100万重量部に対して、約2、1、0.5、または0.1以下である。元素状硫黄が前述の産業で使用される機械に付着する可能性を低減するために、元素状硫黄を水に懸濁させることが好ましい。例えば、元素状硫黄は、熱交換器の表面、冷却塔の充填物、及び配管内の固形堆積物に寄与して、伝熱効率を低下させ、ノズルを詰まらせ、また定期的なシステム停止を要して、効率低下、コスト増大、及び収益性の低下を招く。
【0013】
「懸濁する」なる語は、典型的には、元素状硫黄が湿潤化されて、元素状硫黄の固形粒子が水に分散することを意味する。典型的には、元素状硫黄が水の上に浮遊するか、または試験管などの容器の底に沈んでいる場合には、硫黄は懸濁しているとはみなされない。元素状硫黄が水中に懸濁しているか否かの判断は、以下に詳説するように、水の濁り及び光学密度に基づいてよい。例えば、元素状硫黄が水の上に浮遊するか、または底に沈んでいる場合には、水の濁りまたは光学密度は影響を受けない可能性があり、しかるに元素状硫黄が懸濁していないことを示す。元素硫黄が水の上に浮遊する場合、これは、一般的に、後述の通り、元素状硫黄が硫黄懸濁添加剤によって湿潤化されていないことを示す。元素状硫黄は、湿潤化されていない場合は、機械類に付着しがちであり、望ましからぬ堆積物を発生しがちである。元素状硫黄が水の底に沈む場合は、元素状硫黄はやはり望ましからぬ堆積物に寄与しうる。
【0014】
本方法は、元素状硫黄及び硫化水素を含む水を準備する工程を含む。水はまた、以下に限定されるものではないが、ポリスルフィド、金属スルフィド、及び地熱、天然ガス、石油、フラッキング、及び発電産業で使用される水中に典型的に見いだされることが当業者に知られた任意の化合物を含む、別の多数の化合物をさらに含んでも、全く含まなくてもよい。別の実施態様では、水及び/または水と硫黄懸濁添加剤の組み合わせは、本明細書に記載の1つ以上の任意の添加剤または化合物を、全く含まないか、または、約1、0.5、0.1、0.05、または0.01質量%未満含んでもよい。
【0015】
本方法は、水100万重量部に対して約1~約100重量部の硫黄懸濁添加剤を水に添加して、元素状硫黄を水中に懸濁させる工程をさらに含む。様々な実施態様では、水100万重量部に対して約5~約95、約10~約90、約15~約85、約20~約80、約25~約75、約30~約70、約35~約65、約40~約60、約45~約55、約45~約50、約50~約75、約75~約100、約25~約50、約25~約75、約25~約100、約50~約100などの重量部で硫黄懸濁添加剤を水に添加し、元素状硫黄を水に懸濁させる。様々な非限定的実施態様においては、上記のものを含む全ての値及び値の範囲、並びに上記のものの間の値及び値の範囲は、ここに明示的にその採用が企図される。
【0016】
典型的には、硫黄懸濁添加剤は、アルキルジフェニルオキシドジスルホネートまたはその塩、第二級アルコールエトキシレート、非イオン性エチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドコポリマー、並びにこれらの組み合わせから選択される。これらの化合物は、種類としては特に限定されず、本明細書において使用される特定の化合物は、当業者には理解されるであろう通り、その関連の種類の中の任意のものであってよい。
【0017】
例えば、前記アルキルジフェニルオキシドジスルホネートまたはその塩は、当該技術分野で既知の任意のものであってよく、典型的には、以下の構造:
【化2】
[式中、Rは1~35の炭素原子を有するアルキル基であり、各Xは個別にカチオンである]
を有する。また、アルキル基は、直鎖状、分枝状、または環状であってよい。さらにまた、カチオンは、硫酸アニオンの(-1)負電荷と釣り合う任意のものであってよい。典型的には、前記カチオンは、(+1)カチオン、例えば、Na+1、K+1などである。しかしながら、別の任意の無機カチオンを使用してよい。あるいはまた、任意の有機(+1)カチオンも使用してよい。様々な実施態様において、Rは、5~35、10~30、15~25、15~20、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18の炭素原子を有するアルキル基である。他の実施態様では、Rは、6~18、8~16、10~14、10~12、12~14、12~16、12~18、10~16、10~18、8~18、8~16、8~14、8~12、8~10、30~34、30~32、32~34、28~24、28~32、または28~30の炭素原子を有するアルキル基である。別の実施態様では、Rは、6、10、または12の炭素原子を有するアルキル基である。一実施態様では、Rは、10~14の炭素原子を有するアルキル基であり、XはNa+である。別の実施態様では、Rは12の炭素原子を有するアルキル基であり、XはNa+である。さらなる実施態様では、Rは、30~32の炭素原子を有するアルキル基であり、XはNa+である。様々な非限定的な実施態様において、上記のものを含む全ての値及び値の範囲、並びに上記のものの間の値及び値の範囲は、ここに明示的にその採用が企図される。
【0018】
様々な実施態様において、適切なアルキルジフェニルオキシドジスルホネートまたはその塩は、DOWFAX(登録商標)2A1、DOWFAX(登録商標)3B2、DOWFAX(登録商標)8390、DOWFAX(登録商標)C6L、DOWFAX(登録商標)C10L、DOWFAX(登録商標)30599などの商品名でDow Chemicalから市販されている。別の実施態様では、適切なアルキルジフェニルオキシドジスルホネートまたはその塩は、Pilot Chemical社から、Calfax L-45、Calfax 16L-35、Calfax 6LA-70、Calfax DB-45、Calfax DBA-40、Calfax DBA-70などの商品名で市販されている。
【0019】
ここで、第二級アルコールエトキシレートに言及すると、この化合物は、第二級炭素原子に結合したアルコールエトキシレート部分を有する。任意の第二級アルコールエトキシレートを使用してよい。一実施態様では、第二級アルコールエトキシレートは、より広義に第二級アルコールアルコキシレートと記載してよい。例えば、第二級アルコールプロポキシレートを使用することができ、これは、エチレンオキシドについて本明細書中に記載のものと同じモル数のプロピレンオキシドを含んでいてよい。あるいはまた、第二級エトキシレート/プロポキシレートもまた使用してよく、エチレンオキシドについて本明細書中に記載のものと同じモル数のエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドを含んでいてもよい。例えば、前述のエトキシレート、プロポキシレート、またはエトキシレート/プロポキシレートの任意の1つ以上には、少なくとも1モルのエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドが含まれていてよい。別の実施態様では、このモル数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上である。他の実施態様では、このモル数は、1~100、1~75、1~50、1~25、1~20、2~19、3~18、4~17、5~16、6~15、7~14、8~13、9~12、または10~11である。様々な実施態様において、第二級アルコールエトキシレートは、少なくとも1モルのエチレンオキシドでエトキシル化された6~20の炭素原子を有する炭素骨格を含む。別の実施態様では、第二級アルコールエトキシレートは、約7~約9モルのエチレンオキシドでエトキシル化された12~14の炭素原子を有する炭素骨格を含む。様々な非限定的な実施態様において、上記のものを含む全ての値及び値の範囲、並びに上記のものの間の値及び値の範囲は、ここに明示的にその採用が企図される。様々な実施態様において、適切な第二級アルコールエトキシレートは、Dow Chemicalから、Tergitol 15-S-7、Tergitol 15-S-9などの商品名で市販されている。
【0020】
ここで、非イオン性エチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドコポリマーに言及すると、このコポリマーは、エチレンオキシド部分、プロピレンオキシド部分、またはエチレンオキシド部分とプロピレンオキシド部分との両方を含んでよい。一実施態様では、非イオン性のエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドコポリマーは、N-アルキルジエタノールアミンコアと、1モル以上のエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドとの反応生成物を含む。コア自体は特に限定されず、当該技術分野で既知の任意のコアであってよい。例えば、コアは、任意のアミンであってよい。様々な実施態様において、コアは、アルキルアミンである。アルキルアミンは、当該技術分野で既知の任意のアルキル基を有してよい。様々な実施態様において、アルキル基は、1から35まで、1から5まで、5から35まで、10から30まで、15から25まで、15から20まで、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18の炭素原子を有する。別の実施態様では、アルキル基は、6から18、8から16、10から14、10から12、12から14、12から16、12から18、10から16、10から18、8から18、8から16、8から14、8から12、8から10、30から34、30から32、32から34、28から24、28から32、または28から30の炭素原子を有する。他の実施態様では、非イオン性エチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドコポリマーは、少なくとも1モルのエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドを含んでよい。別の実施態様では、非イオン性エチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドコポリマーは、コア1モル当たり1、2、3、4、5、6、7、8、9、10モル、またはそれ以上のモル数のエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドを含む。他の実施態様では、このモル数は、1~100、1~75、1~50、1~25、1~20、2~19、3~18、4~17、5~16、6~15、7~14、8~13、9~12、または10~11である。一実施態様では、非イオン性のエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマーは、以下の構造を有する。
【化3】
式中、nは1~15、例えば、1~5、5~10、10~15、またはこれらの間の任意の数である。様々な非限定的実施態様において、上記のものを含む全ての値及び値の範囲、並びに上記のものの間の値及び値の範囲は、ここに明示的にその採用が企図される。様々な実施態様において、適切な非イオン性エチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドコポリマーは、KolbからHEDICOL CLEAN100、HEDICOL DISP100などの商品名で市販されている。
【0021】
硫黄懸濁添加剤は、典型的には、水の起泡がほぼないかまたは全くないように選択される。許容される泡沫の量が、水が使用される場所(例えば、冷却塔内と貯水池内)に応じて変化することから、当業者には、起泡がほぼないかまたは全くない、あるいは実質的に起泡が少ないとの用語に関連する泡沫の量が理解されるであろう。本明細書では、起泡を評価する任意の方法を利用してよい。さらに、硫黄懸濁添加剤は、典型的には、地熱、天然ガス、石油、フラッキング、及び発電の各産業で使用される機械部品に対して非腐食性であるように選択される。当業者は、どのような機器が水及び硫黄懸濁添加剤と接触するかに応じて、特定の腐食基準が変更されうることを理解する。本明細書では、腐食性を評価する任意の方法を利用してよい。さらにまた、硫黄懸濁添加剤は、地熱、天然ガス、石油、フラッキング、及び発電産業で使用される他の成分と干渉しないように選択される。これらの他の成分は、以下に限定されるものではないが、グリコシド、アルキルスルホネートまたはアルキルアミン/アミド、グルタルアルデヒド、第4級アミン、MBT、及び塩素化合物、例えば、酸化剤、腐食防止剤など、並びにこれらの組み合わせを含んでよい。典型的には、当業者には理解されるであろう通り、これらの他の成分と硫黄懸濁添加剤との間には、副反応がないか、または最小限に抑えられる。
【0022】
既述の、懸濁添加剤を添加する工程は、典型的には水との混合物を生成し、この混合物は、元素状硫黄及び硫化水素を含み、且つ硫黄懸濁添加剤を含まない水が、UV-vis分光光度計を用い、230nmで測定して、約0.006の光学密度を有する場合に、UV-vis分光光度計を用い、230nmで測定して、少なくとも0.05の光学密度を有する。換言すれば、混合物の光学密度を測定し、これを、硫黄懸濁添加剤を含まないものの、元素状硫黄及び硫化水素は含む比較用/対照試料の光学密度と比較する。様々な実施態様では、光学密度は、元素状硫黄及び硫化水素を含み、且つ硫黄懸濁添加剤を含まない水が、UV-vis分光光度計を用い、230nmで測定して、約0.006の光学密度を有する場合に、UV-vis分光光度計を用い、230nmで測定して、約0.05~約0.7、約0.05~約0.1、約0.1~約0.7、約0.15~約0.65、約0.2~約0.6、約0.25~約0.55、約0.3~約0.5、約0.35~約0.45、または約0.4~約0.45である。混合物の光学密度は、元素状硫黄及び硫化水素を含み、且つ硫黄懸濁添加剤を含まない水の光学密度に基づいて、上記から変化しうる。様々な非限定的実施態様において、上記のものを含む全ての値及び値の範囲、並びに上記のものの間の値及び値の範囲は、ここに明示的にその採用が企図される。
【0023】
前述の光学密度を測定するためには、吸光度測定は、典型的には230nmで行われる。当該技術分野で既知の通り、吸光度とは、溶液によって吸収される光の量の測定値である。濁りがなければ、吸光度は光学密度と同等になる。光学密度とは、利用可能な光の総量に対する、試料を通過して検出器に到達する光の量の測定値である。光学密度には、試料の吸光度に加えて、濁り及び背景による光散乱が含まれる。背景については、ブランクを用いることによって補償することができる。さらにまた、下記の式が典型的に用いられる。
A= log10 (I0/I)
(ランベート-ベールの法則)
ここで、I0=試料に入る前の入射光,I=試料を通過した後の光の強度、及びA=測定された吸光度である。
【0024】
追加の実施態様
本開示はまた、元素状硫黄を水中に懸濁させる方法であって、元素状硫黄及び硫化水素を含む水を準備する工程と、水100万重量部に対して約10~約50重量部の硫黄懸濁添加剤を水に添加して、前記元素状硫黄を水中に懸濁させる工程とを含む方法を提供する。この方法では、硫黄懸濁添加剤は、アルキルジフェニルオキシドジスルホネートまたはその塩、第二級アルコールエトキシレート、非イオン性エチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドコポリマー、並びにこれらの組み合わせから選択され、前記アルキルジフェニルオキシドジスルホネートまたはその塩は、以下の構造:
【化4】
[式中、Rは10~35の炭素原子を有するアルキル基であり、各Xはナトリウム原子である]
を有し、前記第二級アルコールエトキシレートが、少なくとも1モルのエチレンオキシドでエトキシル化された、6~20の炭素原子を有する炭素骨格を含み、前記非イオン性エチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドコポリマーが、N-アルキルジエタノールアミンコアと1モル以上のエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドとの反応生成物を含み、且つ、元素状硫黄及び硫化水素を含み、且つ硫黄懸濁添加剤を含まない水が、UV-vis分光光度計を用い、230nmで測定して、約0.006の光学密度を有する場合に、前記添加の工程が、UV-vis分光光度計を用い、230nmで測定して、少なくとも0.05の光学密度を有する混合物を生成する。
【0025】
本開示はまた、水、元素状硫黄、及び硫化水素、ならびに硫黄懸濁添加剤を含む硫黄懸濁組成物そのものを提供するものである。
【実施例
【0026】
一連の組成物を、本開示に従って作成し、対照組成物と比較する。より具体的には、50mgの元素状硫黄を様々な濃度の界面活性剤に添加し、ガラスビーカー中で18時間攪拌する。硫黄は水に不溶性であり、対照組成物では液面上に浮いたままである。18時間後、試料を各組成物から採取し、光学密度測定を、Molecular DiagnosticsのSpectra Max M3マルチモードマイクロプレート及びキュベットリーダーをSoftMax Pro 7.0ソフトウェアと共に用い、230nmで実施する。光学密度測定結果を、以下の表1に示すが、光学密度の増加は、硫黄が湿潤化して溶液中に引き込まれ、分散すること、すなわち、底に沈んでいないことを示す。
【0027】
【表1】
【0028】
Dowfax 2A1は、アルキルジフェニルオキシドジスルホネート、45%(ベンゼンオキシビスプロピルエンスルホン酸ナトリウム)である。
Hedicol CLEANは、エーテル化EO-POポリマーとN-アルキルジエタノールアミンタイプの成分との混合物、10~25%である。
Hedicol DISPは、エーテル化EO-POポリマーとN-アルキルジエタノールアミンタイプの成分との混合物であるが、水を10~25%含む。
Dowfax 8390は、アルキルジフェニルオキシドジスルホネート、35%(ヘキサデシルジフェニルオキシドジスルホン酸二ナトリウム)である。
Dowfax 3B2は、アルキルジフェニルオキシドジスルホネート、45%(ベンゼンスルホン酸、デシル(スルホフェノキシ)-、二ナトリウム塩)である。
Tergitol 15-S-7は、C12-C14第二級アルコールエトキシレート、100%であり、約7モルのエチレンオキシドが含まれる。
Tergitol 15-S-9は、C12-C14第二級アルコールエトキシレート、100%であり、約9モルのエチレンオキシドが含まれる。
【0029】
上記データは、元素状硫黄が前述の化学物質の1つと接触すると、溶液中に引き込まれて懸濁することを示す。 懸濁した硫黄粒子は、試料溶液を濁らせ、このことは光学密度測定値によって示される。硫黄は、水面上に残らず、他の表面(例えば、ステンレスメッシュ試料片が溶液中に浮遊しているか、またはビーカーのガラス壁に懸吊されている場合)に堆積せず、また、溶液から析出することもない。これらの結果は予想外であり、現在知られているものよりも優れている。したがって、上記のデータは、本開示が、以下に限定されるものではないが、地熱発電事業及び石油・ガス抽出システムを含む多くの産業において、様々な表面への硫黄及び硫化物の堆積を最小化または防止するための、有効かつ安価であり、また環境に配慮した、原位置処理のための解決策を提供することの証である。さらにまた、この処理は、起泡性が実質的に低く、非腐食性であり、且つ、水処理操作の他の構成要素と干渉しない。
【0030】
前述の詳細な説明には、少なくとも1つの例示的な実施態様を提示したが、膨大な数の変形が存在することが理解されるべきである。また、例示的な実施態様が例に過ぎず、範囲、適用性、または構成をいかなる方式にも制限することを意図しないことが理解されるべきである。むしろ、前述の詳細な説明は、当業者に、例示的な実施態様を実施するための便宜上のロードマップを提供するものである。添付の特許請求の範囲に記載された範囲から逸脱することなく、例示的な実施態様に記載された構成要素の機能及び配置に様々な変更を加えてよいことが理解される。
【手続補正書】
【提出日】2021-05-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
元素状硫黄を水に懸濁させる方法であって、
A.元素状硫黄及び硫化水素を含む水を準備する工程、
B.水100万重量部に対して約1~約100重量部の硫黄懸濁添加剤を水に添加して、前記元素状硫黄を水中に懸濁させる工程、
を含み、
前記硫黄懸濁添加剤が、アルキルジフェニルオキシドジスルホネートまたはその塩、第二級アルコールエトキシレート、非イオン性エチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドコポリマー、並びにこれらの組み合わせから選択される、方法。
【請求項2】
前記硫黄懸濁添加剤が、アルキルジフェニルオキシドジスルホネートまたはその塩を含み、前記アルキルジフェニルオキシドジスルホネートまたはその塩が、以下の構造:
【化1】
[式中、Rは1~35の炭素原子を有するアルキル基であり、各Xは個別にカチオンである]
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Rが10~14の炭素原子を有するアルキル基であり、XがNa+である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
Rが30~32の炭素原子を有するアルキル基であり、XがNa+である請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記硫黄懸濁添加剤が、第二級アルコールエトキシレートを含み、前記第二級アルコールエトキシレートが、少なくとも1モルのエチレンオキシドでエトキシル化された、6~20の炭素原子を有する炭素骨格を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記硫黄懸濁添加剤が、非イオン性エチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドコポリマーを含み、前記非イオン性エチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドコポリマーが、N-アルキルジエタノールアミンコアと1モル以上のエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドとの反応生成物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記硫黄懸濁添加剤が、水100万重量部に対して約10~約50重量部の量で添加される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
元素状硫黄及び硫化水素を含み、且つ硫黄懸濁添加剤を含まない水が、UV-vis分光光度計を用い、230nmで測定して、約0.006の光学密度を有する場合に、前記添加の工程が、UV-vis分光光度計を用い、230nmで測定して、少なくとも0.05の光学密度を有する混合物を生成する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
元素状硫黄を水に懸濁させる方法であって、
A.元素状硫黄及び硫化水素を含む水を準備する工程、
B.水100万重量部に対して約10~約50重量部の硫黄懸濁添加剤を水に添加して、前記元素状硫黄を水中に懸濁させる工程、
を含み、
前記硫黄懸濁添加剤が、アルキルジフェニルオキシドジスルホネートまたはその塩、第二級アルコールエトキシレート、非イオン性エチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドコポリマー、並びにこれらの組み合わせから選択され、
前記アルキルジフェニルオキシドジスルホネートまたはその塩は、以下:
【化2】
[式中、Rは10~35の炭素原子を有するアルキル基であり、各XはNa+である]
の構造を有し、
前記第二級アルコールエトキシレートが、少なくとも1モルのエチレンオキシドでエトキシル化された、6~20の炭素原子を有する炭素骨格を含み、
前記非イオン性エチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドコポリマーが、N-アルキルジエタノールアミンコアと1モル以上のエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドとの反応生成物を含み、且つ、
元素状硫黄及び硫化水素を含み、且つ硫黄懸濁添加剤を含まない水が、UV-vis分光光度計を用い、230nmで測定して、約0.006の光学密度を有する場合に、前記添加の工程が、UV-vis分光光度計を用い、230nmで測定して、少なくとも0.05の光学密度を有する混合物を生成する、方法。
【請求項10】
水、
元素状硫黄及び硫化水素、及び
アルキルジフェニルオキシドジスルホネートまたはその塩、第二級アルコールエトキシレート、非イオン性エチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドコポリマー、並びにこれらの組み合わせから選択される硫黄懸濁添加剤
を含む硫黄懸濁液組成物であって、
前記硫黄懸濁添加剤が、前記組成物100万重量部に対して約1~約100重量部の量で存在する、組成物。
【国際調査報告】