(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】食品調理容器およびそのそれぞれの熱警告装置
(51)【国際特許分類】
A47J 45/06 20060101AFI20220112BHJP
【FI】
A47J45/06 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021542290
(86)(22)【出願日】2019-09-19
(85)【翻訳文提出日】2021-05-14
(86)【国際出願番号】 IB2019057914
(87)【国際公開番号】W WO2020070572
(87)【国際公開日】2020-04-09
(31)【優先権主張番号】102018000009069
(32)【優先日】2018-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521136105
【氏名又は名称】ツビリング・バッラリーニ・イタリア・エッセ・エッルレ・エッレ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェロン,フランチェスコ
(57)【要約】
食品調理容器は、金属体、金属固定要素を介して金属体の一部に拘束された少なくとも1つのハンドル及び、熱伝導特性を有するそれぞれの構成要素に配置されたハンドルの一部分に取り付けられた少なくとも1つの熱警告装置を備えていることが説明される。熱警告装置は、形状記憶合金製のそれぞれの作動要素に動作可能に連結された少なくとも1つの表示要素を備えている。作動要素は、熱伝導特性を有する構成要素に間接的に接触し、非動作状態である第1の非動作構成から、事前設定された温度値が達成されたときに伸張される第2の動作構成に切り替えるように構成された形状記憶コイルばねからなる。作動要素と熱伝導特性を有する構成要素との間に、そのような作動要素に熱を伝達する調整及び/又は熱的強化のための金属ベースが挟まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品調理容器(10)であって、
底壁(14)及び少なくとも1つの側壁(16)をその順で備える金属体(12)であって、前記側壁(16)は前記底壁(14)から延在して食品が調理されるように配置されている調理容器(10)の内部区画(18)を形成する金属体(12)と、
金属固定要素(22)によって金属体(12)の一部分に拘束された少なくとも1つのハンドル(20)と、
熱伝導特性を有するそれぞれの構成要素(22、34)に配置されたハンドル(20)の一部分(26)に取り付けられた、少なくとも1つの熱警告装置(28)であって、前記熱警告装置(28)が、少なくとも1つの表示要素(30)及び形状記憶合金製の少なくとも1つのそれぞれの作動要素(32)を備える熱警告装置(28)と、
前記作動要素(32)と熱伝導特性を有する前記構成要素(22、34)との間に挟まれた、調整及び/又は熱的強化のための金属ベース(36)と、
を備え、
表示要素(30)は、それぞれの作動要素(32)に動作可能に連結され、調理容器(10)は、事前設定された熱状態が達成されると、作動される作動要素(32)の機械的移動を通して前記事前設定された熱状態を達成したことを強調するように構成され、作動要素(32)が、熱伝導特性を有する前記構成要素(22、34)に間接的に接触する形状記憶コイルばねからなり、前記形状記憶コイルばね(32)は、前記形状記憶コイルばね(32)が非動作である、熱警告装置(28)の第1の非動作構成から、前記形状記憶コイルばね(32)が事前設定された温度値が達成されたときに引き伸ばされる、熱警告装置(28)の第2の動作構成に切り替えるように構成されることと、調整及び/又は熱的強化のための前記金属ベース(36)は、前記形状記憶コイルばね(32)に熱を伝達するように熱伝導特性を有する前記構成要素(22、34)と直接接触して配置されることと、を特徴とする、調理容器(10)。
【請求項2】
熱警告装置(28)が、表示要素(30)と調理容器(10)の固定部分との間に挟まれた形状記憶コイルばね(32)を元の形状に迅速に復元するように構成されている戻りばね(38)が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の調理容器(10)。
【請求項3】
調整及び/又は熱的強化のための金属ベース(36)が、前記形状記憶コイルばね(32)と熱伝導特性を有する前記構成要素(22;34)との間に挟まれたディスク(36A)、及び前記形状記憶コイルばね(32)のコイルに嵌合する中央ガイドピン(36B)が設けられ、それによって、調整及び/又は熱的強化のための前記金属ベース(36)はきのこ形状を有し、ディスク(36A)と中央ガイドピン(36B)の両方を介して、形状記憶コイルスプリング(32)と接触することによって熱伝達可能であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の調理容器(10)。
【請求項4】
形状記憶コイルばね(32)が、調理容器(10)内で、調理温度範囲に対応する事前設定された温度値が達成されたときに伸張されるように作られていることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の調理容器(10)。
【請求項5】
前記事前設定された温度値が約80℃に設定され、前記事前設定された温度値は、調理容器(10)が使用されているときに約180℃である底壁(14)の温度に対応することを特徴とする、請求項4に記載の調理容器(10)。
【請求項6】
形状記憶コイルばね(32)が、55℃の温度値で金属に対して定義された安全な熱体制において、それぞれの表示要素(30)を初期位置に復元することを可能にするように較正されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の調理容器(10)。
【請求項7】
熱伝導特性を有する構成要素(22、34)が金属固定要素(22)からなることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の調理容器(10)。
【請求項8】
表示要素(30)が、金属又はテクノポリマーで作製され、熱警告装置(28)が取り付けられたハンドル(20)の前記一部分(26)の周りに配置された金属耐火フェルール(34)に開けられた穴から上昇するように構成された、円筒形カプセルからなることを特徴とする、請求項7に記載の調理容器(10)。
【請求項9】
円筒形カプセル(30)が、事前設定された色、好ましくは赤色を有する外側表面を設けられていることを特徴とする、請求項8に記載の調理容器(10)。
【請求項10】
円筒形カプセル(30)が、事前設定された色、好ましくは赤又は黒から選択される色を有する上面が設けられていることを特徴とする、請求項8に記載の調理容器(10)。
【請求項11】
円筒形カプセル(30)が、事前設定された色、好ましくは赤色を有するOリングが配置された外側表面が設けられていることを特徴とする、請求項8に記載の調理容器(10)。
【請求項12】
金属耐火フェルール(34)及び円筒形カプセル(30)の外側上面の両方が同じ色であり、それによって、円筒形カプセル(30)が温度の影響下で上昇すると、それぞれの外側の表面が目立つことを特徴とする、請求項8に記載の調理容器(10)。
【請求項13】
熱警告装置(28)がハンドル(20)に対して別個の構成要素として製造され、それぞれの機能要素(30、32、36、38)を包含するケーシング(40)を備えることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の調理容器(10)。
【請求項14】
前記ケーシング(40)が、熱伝導特性を有する前記構成要素を形成する金属耐火フェルール(34)の上部背面に固定的又は取り外し可能に取り付けられていることを特徴とする、請求項13に記載の調理容器(10)。
【請求項15】
前記ケーシング(40)は、金属耐火フェルール(34)の上部背面に取り外し可能に加えられるとき、磁気固定手段が設けられていることを特徴とする、請求項14に記載の調理容器(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、食品調理容器、詳細には、食品調理容器用の熱警告装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品調理容器の技術分野では、システム及び装置は、正しい調理を提供し、調理を監視し、供給する熱量を調整することを可能にするため、例えば鍋などの、食品調理容器の容器自体により到達される熱状態について、ユーザに通知するための事前設定が知られている。ガス又は電気によって供給される熱は、通常、調理容器を所望の温度にするために使用開始時に高いが、調理の質を損なう可能性がある調理容器の過熱をしないように、その量は所望の温度に達すると減らす必要がある。鍋は通常、それぞれの熱状態の制御が最も重要な調理容器であり、その点で、そのようなタイプの台所用品は、液体の内容物によって弱められない高温で使用されるため、熱制御が必要である。
【0003】
最も使用されている熱警告システムは、特定の温度に達すると色を変化させ、したがって、視覚情報を提供する顔料によって提供される色度変化を参照する。容器自体の内面に配置された、焦げ付き防止コーティングに組み込まれた顔料を介して、調理容器の内部に直接配置されるサーモクロミックシステムが存在する。例えば180℃などの事前設定された温度で色の変化が発生すると予想される場合、この事前設定された温度に達するとすぐに色が変化し、これにより、ユーザは調理容器に供給される熱量を自身の要求に調整できる。
【0004】
サーモクロミックシステムは、2つの主な制限を特徴とする。
-顔料は、ピークが300℃に達する可能性のある最も高い調理温度に対して耐性がある必要がある。高温に耐性のある(無機)顔料の色の変化は非常にわずかであり、認識が困難である。調理容器の底のいくぶん広い区域で作動する比較システムは、そのような色の変化を識別するために使用される。
-色が変化する領域が配置されている調理容器の底は、通常、調理される食品で覆われているため、色の変化の観察が妨げられているか、少なくとも制限されている。
【0005】
これらが、サーモクロミック顔料を使用しながら、上記の制限を克服することを目的とした熱警告システムが実装されている理由である。これらの熱警告システムでは、サーモクロミック顔料は、調理容器のすぐ周辺に配置された特定のコンポーネントをコーティングする塗料内に配置される。例えば、調理容器が鍋の場合、サーモクロミック顔料は、鍋の端に最も近いハンドルの金属部分に配置される。
【0006】
しかしながら、これらの熱警告システムを備えた調理容器では、サーモクロミック顔料を組み込む構成要素の温度の上昇は、調理底で起こる温度の上昇に対して一定の時間の遅延の後に起こる。これは、熱源に近い調理底から考察中の構成要素に熱が伝達されるのに必要な時間のために発生する。例えば、調理底の温度は180℃の可能性があるのに対し、サーモクロミック顔料を組み込む構成要素の温度は60℃を超えていない可能性がある。したがって、60℃の温度で変色する顔料を使用して、調理底が180℃の温度に到達したことを合図する。
【0007】
低温で色が変化する顔料を使用する利点は、色の違いが、例えば、緑から赤になるなど、非常に明確に定義されていることである。しかしながら、そのような利点は、200℃を超える温度で長時間の調理にかけられた場合に非活性化し、初期状態に戻らない傾向があるそのような(有機)顔料の熱抵抗制限によって部分的に無効化される。
【0008】
調理容器の底の金属の厚さの内側に組み込まれた熱電対の使用に基づいた、より洗練された熱警告システムも存在する。熱電対によって評価された温度は、通常、調理容器のハンドルの端部に配置された電池式の電子装置によって最終的に読み取られ、警告が送られる。
【0009】
熱電対ベースの熱警告システムは、少なくとも2つの主な制約を特徴とする。
-熱電対を調理容器内に配置するために、調理容器の底部に複雑な半径方向の穴あけ作業が要求される。
-その性質上及び電池の存在により、温度の読み取りと合図に使用される電子装置は、水や食器洗い機の温度に耐性がなく、いずれにせよ、ガス台上で起こりがちな高温への偶発的な露出に対する耐性さえない。
【0010】
また、熱電対ベースの熱警告システムは、取り外し可能である必要があるため、高価で実用的ではない。
【0011】
最後に、調理容器用の熱警告システムは、形状記憶合金(SMA)に基づくものが存在する。例えば、韓国公開特許第2013-0068095号公報に記載されているようなこれらの熱警告システムは、温度が上昇するに連れて変形し、周囲温度条件下で自身の初期状態に戻る形状記憶合金製のアクチュエータを使用する。
【0012】
韓国公開特許第2013-0068095号公報の特定の場合では、アクチュエータは形状記憶合金製のシートで形成され、鍋のハンドルの一部に配置される。このシートは、遠隔で熱くなり、変形して、移動すると、温度表示要素として機能する目盛り付きキャップを駆動する。このシートは形状記憶合金で作製されているが、周囲温度条件下で正確かつ即座に自身の初期形状に戻ることはできない。さらに、鍋を使用した後、目盛り付きキャップの位置を手動でゼロにする必要がある場合がある。
【0013】
請求項1の前文に従って食品を調理するための容器に加えられるさらなる熱警告システムは、文献英国特許出願公開第2429285号明細書に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】韓国公開特許第2013-0068095号公報
【特許文献2】英国特許出願公開第2429285号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明の目的は、非常に単純で、費用対効果が高く、特に機能的な方法で先行技術の上記の欠点を解決することができる、食品調理容器の熱警告装置を提供することである。
【0016】
詳細には、本発明の目的は、従来技術による装置よりも熱的に安定的で信頼性の高い、食品調理容器の熱警告装置を提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、調理容器の使用先の関数として熱流の較正を可能にする、食品調理容器の熱警告装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によるこれらの目的及び他の目的は、請求項1に記載の食品調理容器及びそれぞれの熱警告装置を提供することによって達成される。
【0019】
本発明のさらなる特徴は、本開示の不可欠な部分である従属請求項によって強調されている。
【0020】
本発明による食品調理容器用の熱警告装置の特徴及び利点は、添付の概略図を参照する、説明的な非限定的な目的のために提供される、以下の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明による熱警告装置の第1の実施形態を備えた食品調理容器の上面図である。
【
図2】
図1に示した調理容器の一部の拡大断面図である。
【
図3】第1の非動作構成で示される、本発明による熱警告装置の概略図である。
【
図4】第2の動作構成で示される、本発明による熱警告装置の概略図である。
【
図5】本発明による熱警告装置の第2の実施形態を備えた食品調理容器の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図を参照すると、本発明による食品調理容器及びそれぞれの熱警告装置が示されている。食品調理容器は、全体として参照符号10によって識別され、説明のみを目的として鍋の形で示されている。
【0023】
調理容器10は、底壁14と、そのような底壁14から延在する少なくとも1つの側壁16と、を具備する金属体12を備える。図に示す実施形態では、調理容器10は、実質的に円形の底壁14を備えた従来形の鍋である。鍋は、底壁14から、より具体的には、底壁14の円形縁から延在する1つの側壁16のみを備える。いずれの場合も、調理容器10は、複数の側壁16を備えていてもよく、例えば、調理容器10は、四辺形形状を特徴とする底壁14を有していてもよい。調理容器10の形状に関係なく、調理用に食品が配置される調理容器10の内部区画18を画定するため、側壁16は、従来の本質的に既知の方法で底壁14から延在する。
【0024】
調理容器10はまた、好ましくは非金属材料で作製された少なくとも1つのハンドル20を備える。ハンドル20は、金属固定要素22を介して、典型的には側壁16からなる金属体12の一部に拘束される。次に、ハンドル20は、例えば、ねじ24などの既知のシステムによって、金属固定要素22に拘束されることができる。
【0025】
少なくとも1つの熱警告装置28は、例えば、金属固定要素22又は金属耐火フェルール34(以下でより詳細に示される)などの熱伝導特性を有する、それぞれの構成要素に配置されたハンドル20の一部分26に取り付けられる。熱警告装置28は、形状記憶合金(SMA)製の少なくとも1つの表示要素30及び、少なくとも1つのそれぞれの作動要素32を備えている。表示要素30は、それぞれの作動要素32に動作可能に連結され、調理容器がそのような事前設定された熱状態に到達すると作動する作動要素32の機械的移動によって調理容器10の所定の熱状態に到達することを強調するように事前設定される。
【0026】
作動要素32は、熱伝導特性を有する構成要素22又は34と間接的に接触して配置された形状記憶コイルばねからなる。形状記憶コイルばね32は、そのような形状記憶コイルばね32がアクティブでない、熱警告装置28(
図3)の第1の非動作構成から、熱警告装置28(
図4)の第2の動作構成に切り替えるように事前設定される。そのような形状記憶コイルばね32は、具体的に考案されかつ実装された、事前設定された温度値に達すると伸びる。事前設定された温度値は、以下でよりよく説明されるように、調整及び/又は熱的強化のための熱ベース36を介して、ハンドル20の熱伝導特性を有する構成要素22又は34と接触して配置される、形状記憶コイルばね32の基部によって評価される。
【0027】
図1から
図4に示される実施形態では、事前設定された温度値に達すると、形状記憶コイルばね32が伸び、したがって、熱警告装置28が取り付けられるハンドル20の一部分26の周囲に配置された金属耐火フェルール34に開けられた穴から出てくる表示要素30を持ち上げる。形状記憶コイルばね32は、調理容器10内で、調理温度の範囲内にある事前設定された温度値に達すると伸びるように作製されている。本発明の好ましい実施形態では、この事前設定された温度値が、調理容器10が使用されているときの約180℃の底壁14の温度に対応すると仮定して、事前設定された温度値が、約80℃に設定される。
【0028】
調理容器10によって達成される熱状態を色彩的に明らかにするために、表示要素30は、好ましくは、金属又はテクノポリマー製の、その外側表面上に事前設定された色、好ましくは赤色で着色された円筒形カプセルからなる。調理容器10によって達成される熱状態を色彩的に明らかにするために、実施するのがより簡単で、より費用対効果の高いさらなる解決策は、表示要素30の存在を強調し、その後のアクティブな段階の形態の観察をする気を起こさせるために、好ましくは赤及び黒から選択される、事前設定された色を使用して、円筒形カプセルの上面のみを着色することとしてもよい。
【0029】
代替で、円筒形カプセル30の外側表面の上に、事前設定された色、好ましくは赤を有するOリングが配置されることができる。さらなる代替として、金属耐火フェルール34及び円筒形カプセル30の外側上面の両方が同じ色(例えば、黒)で着色されてもよい。この場合、円筒形カプセル30が温度効果によって持ち上がると、それぞれの外側表面が強調される。
【0030】
有利には、作動要素32と、
図1から
図4に示される実施形態では金属固定要素22からなる熱伝導特性を有する構成要素との間に、調整及び/又は熱的強化のための金属ベース36が挟まれる。したがって、調整及び/又は熱的強化のためのそのような金属ベース36は、作動要素32への熱伝導を可能にするように、調理容器10の高温金属固定要素22と直接接触している。作動要素32が形状記憶コイルばねによって形成される場合、調整及び/又は熱的強化のための金属ベース36は、同様に作動要素32と金属固定要素22との間に挟まれたディスク36A、また、形状記憶コイルばね32の旋回部に挿入される中央ガイドピン36Bが設けられてもよい。このようにして、きのこ形状の調整及び/又は熱的強化のための金属ベース36は、ディスク36A及び中央ガイドピン36Bの両方を介して形状記憶コイルばね32と接触することによって熱を伝達することができる。
【0031】
異なる幾何学的(したがって、熱的)形態を有する調理容器10を熱的に比較できるようにするために、調整及び/又は熱的強化、並びにそのそれぞれの厚さのため金属ベース36を製造するために使用される金属の熱伝導率の関数として、熱流を較正することが可能である。同様に、例えば電気又はガス源など、調理容器10の異なるタイプの使用先の関数として、熱流を較正することが可能であろう。
【0032】
それぞれの第2の動作構成から開始して第1の非動作構成に戻るために、すなわち、調理容器10が冷却したとき、熱警告装置28は、戻りばね38(「付勢ばね」)を設けている。戻りばね38は、表示要素30と、例えば、
図1から
図4に示される実施形態では、ハンドル20の金属耐火フェルール34などの、調理容器10の固定部分との間に挟まれる。戻りばね38は、新しい使用の準備ができるように、表示要素30が即座にそれ自体のシートに戻ることを可能にすることによって、同時に、作動要素32がその初期形状(
図3)に戻るようにプリセットされている。作動形状記憶要素32は、55℃の温度値で金属に定義された安全熱体制において、それぞれの表示要素30の初期位置に戻ることができるような方法で較正されなければならない。
【0033】
図1から
図4は、金属耐火フェルール34のハンドルに埋め込まれ、それぞれの金属固定要素22と熱接触している熱警告装置28の好ましい実施形態を示している。代替で、
図5及び
図6に示されるように、熱警告装置28はまた、ハンドル20に対して別個の構成要素として製造されてもよい。
【0034】
この代替の実施形態では、熱警告装置28は、それぞれの機能要素(表示要素30、作動要素32、戻りばね38、並びに調整及び/又は熱的強化のための金属ベース36)を包含するケーシング40を備える。ケーシング40は、固定又は取り外し可能な方法で、金属耐火フェルール34(
図5及び
図6)の上部背面に取り付けられることができ、そのような場合、それは、熱伝導特性を有する構成要素として動作する。ケーシング40が金属耐火フェルール34の上部背面に取り外し可能な方法で取り付けられる必要がある場合、それは磁石固定手段を設けるべきである。
【0035】
したがって、本発明による食品調理容器用の熱警告装置は、以前に強調された目的を達成することが実証され、
形状記憶合金製の作動要素によって与えられる表示要素の移動は、反復性、信頼性及び安定性を提供すること、
例えば、サーモクロミック顔料、又は壊れやすい電子回路などの変更可能な構成要素が無いこと、
優先的な読み取りは、クロミックではなく物理的な形式(表示要素の上昇)であること、
熱警告装置は、単純な構成要素(2つの小さなばね、金属又はテクノポリマー製の1つの小さなキャップ、1つのきのこ形状の金属構成要素、場合によっては1つのケーシング)を備え、寸法が小さいため、コストを削減できること、
その単純さにもかかわらず、熱警告装置は、熱流を較正する可能性に加えて、高度で複雑な冶金技術(プログラムされた変形金属)を使用すること、
調理容器、その機能、及びその熱源に固有の形状記憶ばねを選択することが可能であること、という利点を具体的に提供する。例えば、電磁鍋の急速な加熱は、底部と周辺部との間の温度差を増大させ、それにより、鍋は、より低い温度で作動する形状記憶ばねを装備することができる。
【0036】
また、例えば、文献韓国公開特許第2013-0068095号公報に記載されているなど、SMA構成要素に基づく既知の熱警告システムに対して、重要な差別化及び革新的な要素があり、以下に要約される。
【0037】
文献韓国公開特許第2013-0068095号公報に記載されているシステムは、ばねの代わりにシートを使用し、固定された内部要素ではなく接合要素の外側に配置されたばねは、熱的により安定し、信頼性の高い方法である。
【0038】
文献韓国公開特許第2013-0068095号公報に記載されているシステムは、作動要素の初期形状を回復するために戻りばねを使用せず、これは、形状記憶材料では、手動又は自動で加えられない限り提供されない。
【0039】
熱流を較正するために温度を調整する要素を挿入する可能性は提供されない。
【0040】
本発明による食品調理容器用のこのように考案された熱警告装置は、いずれの場合も、多数の変更及び変形の影響を受けやすく、全てが同一の発明概念に含まれる。また、全ての詳細を技術的に同等の要素に置き換えることができる。実際には、使用される材料、並びに形状及び寸法は、技術的要件に応じてどのようなものであってもよい。
【0041】
したがって、本発明の保護の範囲は、添付の特許請求の範囲に記載されているものである。
【国際調査報告】