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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】身体支持アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A47C 21/04 20060101AFI20220112BHJP
   A47C 31/11 20060101ALI20220112BHJP
   A47C 7/74 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
A47C21/04 Z
A47C31/11 C
A47C21/04 H
A47C21/04 D
A47C7/74 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021543562
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(85)【翻訳文提出日】2021-04-16
(86)【国際出願番号】 EP2019076149
(87)【国際公開番号】W WO2020069990
(87)【国際公開日】2020-04-09
(31)【優先権主張番号】2021752
(32)【優先日】2018-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(31)【優先権主張番号】2021753
(32)【優先日】2018-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521140951
【氏名又は名称】ユーベッド・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】コルネリス・フランシスクス・デ・ラ・ヘイ
(72)【発明者】
【氏名】エドムント・ダヴィト・オーフェナスト
【テーマコード(参考)】
3B084
【Fターム(参考)】
3B084JA05
3B084JF01
3B084JF03
3B084JF04
3B084JG06
(57)【要約】
本発明は、(i)分離シート(8)によって分離された上部クッション領域(6)および下部クッション領域(7)を備える身体支持アセンブリに関する。クッション領域(7,8)は、全方向に通気性のある圧縮性材料からなり、(ii)該支持アセンブリの底面(3)にある空気入口開口、空気置換手段(12)、第1の熱交換器(13)、および、該支持アセンブリの底面にある単一または別個の空気出口開口(14)を備えた、周囲空気のための第1の流路と、(iii)空気入口(19)、空気置換手段(20)、第2の熱交換器(17)を備え、下部クッション領域(7)を通り、前記分離シート(8)内の複数の開口(23)を通り、かつ、前記上部クッション領域(6)および前記上面(2)における複数の空気出口(22)を通る、空気の第2の流路と、を備える。前記熱交換器(13,17)は前記クッション容積(4)の内部に位置したペルチェ効果ユニット(16)の一部である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体を支持するための上面と、クッション容積を規定しかつ側壁を規定し、間隔を置いて配置された底面とを有した身体支持アセンブリであって、前記上面の通気性が、前記底面の通気性よりも高く、かつ前記側壁の通気性よりも高く、前記クッション容積は、
前記上面に最も近い上部クッション領域、および分離シートによって分離された下部クッション領域であって、全方向に空気を透過させる圧縮性材料から成る上部クッション領域および下部クッション領域と、
該身体支持アセンブリの底面にある単一または別個の空気入口開口、空気置換手段、第1の熱交換器、および、該身体支持アセンブリの底面にある単一または別個の空気出口開口を備えた、周囲空気のための第1の流路と、
空気入口、空気置換手段、第2の熱交換器、下部クッション領域の前記圧縮性材料を通る流路、前記上部クッション領域の圧縮性材料を通る前記分離シート内の複数の開口、および、前記上面における複数の空気出口、を備えた空気の第2の流路と、を備え、
第1の熱交換器および第2の熱交換器は前記クッション容積の内部に位置したペルチェ効果ユニットの一部であり、該ペルチェ効果ユニットは、一の操作モードでは前記第1の流路内の空気を冷却しかつ前記第2の流路内の空気を加熱するよう、および/または、第2の操作モードでは前記第1の流路内の空気を加熱しかつ前記第2の流路内の空気を冷却するように構成されている、身体支持アセンブリ。
【請求項2】
前記第2の流路によって空気が、前記第2の熱交換器から、下部のクッション容積を経由して、上部のクッション容積に循環し、かつ前記第2の熱交換器に戻ることが可能とされている、請求項1に記載の身体支持アセンブリ。
【請求項3】
前記第2の流路によって、空気が、該身体支持アセンブリの底面の空気入口から、前記第2の熱交換器を介し、前記下部クッション領域を介し、前記上部クッション領域を介して、通気性上面を含む空気出口に流れることが可能とされている、請求項1または2に記載の身体支持アセンブリ。
【請求項4】
請求項2による空気流路を可能にする弁位置と、請求項3による空気流路を可能にする弁位置とを有する弁アセンブリを備える、請求項2を引用する請求項3に記載の身体支持アセンブリ。
【請求項5】
前記弁アセンブリが、請求項2および請求項3による空気流の組合せを可能とする弁位置を有する、請求項4に記載の身体支持アセンブリ。
【請求項6】
前記ペルチェ効果加熱および冷却ユニットは、一の動作モードでは前記第1の流路内の空気を冷却しかつ前記第2の流路内の空気を加熱し、かつ、第2の操作モードでは前記第1の流路内の空気を加熱しかつ前記第2の流路内の空気を冷却するように構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の身体支持アセンブリ。
【請求項7】
前記ペルチェ効果加熱および冷却ユニットは、単一の操作モードで、第1の流路内の空気を冷却し、かつ第2の流路内の空気を加熱するように構成されている、請求項1に記載の身体支持アセンブリ。
【請求項8】
前記第2の熱交換器は、空気が前記下部クッション領域内に実質的に均等に分配されるように、前記下部クッション領域の前記圧縮性材料内に複数の空気出口開口部を備えた空気出口システムに流体接続されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の身体支持アセンブリ。
【請求項9】
前記第2の熱交換器は、空気出口に流体接続されており、分離シートの面積当たりの開口は、該第2の熱交換器の空気出口からさらに離れた前記分離シート上の位置で増加している、請求項1から7のいずれか一項に記載の身体支持アセンブリ。
【請求項10】
該身体支持アセンブリは、人体の頭部を置くための端部と、人体の足を置くための端部とを有し、前記空気置換手段、ならびに前記ペルチェ効果要素の第1および第2の熱交換器が、足のための端部に配置されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の身体支持アセンブリ。
【請求項11】
前記ペルチェ効果ユニットは、前記第1および第2の熱交換器として、第1および第2の空気流内に配置された熱交換面を備えている、請求項1から10のいずれか一項に記載の身体支持アセンブリ。
【請求項12】
前記ペルチェ効果ユニットは、別個の熱伝達媒体を加熱および冷却するために、使用中における低温側と高温側に熱交換面を備え、かつ、前記別個の熱伝達媒体を第1および第2の熱交換器に搬送して、前記第1および第2の流路を流れる周囲空気を加熱および/または冷却する手段を備えている、請求項1から10のいずれか一項に記載の身体支持アセンブリ。
【請求項13】
全方向に空気を透過する前記圧縮性材料は、ASTM D737で測定して、100cm/s/cmを超える通気性を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の身体支持アセンブリ。
【請求項14】
前記上部クッション領域の70体積%を超える部分が、空気を透過する前記圧縮性材料から成る、請求項13に記載の身体支持アセンブリ。
【請求項15】
前記上部クッション領域の前記圧縮性材料は、熱可塑性樹脂の三次元ランダムループ結合構造であり、かつ、前記下部クッション領域の前記圧縮性材料は複数の金属ばねである、請求項13または14に記載の身体支持アセンブリ。
【請求項16】
前記分離シートが経編みスペーサー生地のシートである、請求項15に記載の身体支持アセンブリ。
【請求項17】
人体を支持するための上面と、クッション容積を規定しかつ側壁を規定し、間隔を置いて配置された底面とを有し、前記クッション容積が、前記上面に最も近い上部クッション領域、および分離シートによって分離された下部クッション領域であって、全方向に空気を透過させる圧縮性材料から成る上部クッション領域および下部クッション領域を備えてなる身体支持アセンブリを冷却または加熱する方法であって、
周囲空気が、該身体支持アセンブリの底面にある単一または別個の空気入口開口、空気置換手段、第1の熱交換器、および、該身体支持アセンブリの底面にある単一または別個の空気出口開口を介して、第1の流路を流れ、
周囲空気が、空気入口、空気置換手段、第2の熱交換器、下部クッション領域の前記圧縮性材料を通る流路、前記分離シート内の複数の開口、前記上部クッション領域の前記圧縮性材料を介して、かつ前記上面を介して、第2の流路内を流れ、かつ、第1の熱交換器および第2の熱交換器は前記ペルチェ効果ユニットの一部であり、一の操作モードにおいて、前記第1の熱交換器内で空気が冷却されかつ前記第2の熱交換器内で空気が加熱され、および/または、第2の操作モードにおいて、前記第1の流路内の空気が加熱されかつ前記第2の流路内の空気が冷却される、方法。
【請求項18】
第2の流路内で、空気が、前記第2の熱交換器から前記下部クッション領域を経由して前記上部クッション領域に循環し、前記第2の熱交換器に戻る、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
第2の流路内で、空気が、外囲支持アセンブリの底面の空気入口から、前記第2の熱交換器を経由し、前記下部クッション領域を経由し、前記上部クッション領域を経由して、通気性上面を備える空気出口に流れる、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
一つまたは複数の弁を制御することにより、請求項18による空気の前記第2の流路、および、請求項19による空気の前記第2の流路のいずれかを選択することができる、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
一の動作モードで、空気が前記第1の熱交換器で冷却されかつ前記第2の熱交換器で加熱され、かつ、第2の動作モードで、空気が前記第1の熱交換器で加熱されかつ前記第2の熱交換器で冷却される、請求項17から20のいずれか一項に記載に記載の方法。
【請求項22】
請求項1から16のいずれか一項に記載の身体支持アセンブリを使用する、請求項17から21のいずれか一項に記載に記載の方法。
【請求項23】
請求項1から16のいずれか一項に記載の身体支持アセンブリと、スパイラルワイヤーマットレスサポートとを備える、ベッド。
【請求項24】
請求項1から16のいずれか一項に記載の身体支持アセンブリとマットレスサポートとを備え、前記ペルチェ効果ユニットのための電源が、前記マットレスサポートを介して、前記身体支持アセンブリまで供給される、ベッド。
【請求項25】
人体を支持するための上面と、クッション容積を規定しかつ側壁を規定し、間隔を置いて配置された底面とを有した身体支持アセンブリであって、前記クッション容積は、全方向に空気を透過する圧縮性材料であって、ASTM D737-96で測定して100cm/s/cmを超える通気性を有する圧縮性材料と、このクッション材内を流れる空気を加熱および/または冷却するために装備されたペルチェ効果ユニットとを備える、身体支持アセンブリ。
【請求項26】
前記圧縮性材料が、ASTM D737-96で測定して200cm/s/cmより大きい通気性を有する、請求項25に記載の身体支持アセンブリ。
【請求項27】
前記圧縮性材料が、熱可塑性樹脂の三次元ランダムループ結合構造のものである、請求項25または26に記載の身体支持アセンブリ。
【請求項28】
前記熱可塑性樹脂が、芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエーテルから構成される共重合体である、請求項27に記載の身体支持アセンブリ。
【請求項29】
前記クッション容積の70体積%を超える部分が前記圧縮性材料からなる、請求項25から28のいずれか一項に記載の身体支持アセンブリ。
【請求項30】
前記上面の通気性は、下面の通気性よりも高く、かつ前記側壁の通気性よりも高い、請求項25から29のいずれか一項に記載の身体支持アセンブリ。
【請求項31】
前記クッション容積が、前記上面に最も近い上部クッション領域、および分離シートによって分離された下部クッション領域であって、全方向に空気を透過させる圧縮性材料からなる上部クッション領域および下部クッション領域を備える、請求項25から30のいずれか一項に記載の身体支持アセンブリ。
【請求項32】
前記下部クッション領域の前記圧縮性材料は複数の金属ばねであり、かつ、前記上部クッション領域は、前記圧縮性材料として、熱可塑性樹脂の三次元ランダムループ結合構造である、請求項31に記載の身体支持アセンブリ。
【請求項33】
前記分離シートが経編みスペーサー生地のシートである、請求項31または32に記載の身体支持アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体を支持するための上面と、クッション容積を規定するとともに側壁を規定する、間隔を置いて配置された底面と、を有する本体支持アセンブリに関する。ここで、クッション容積は、加熱および冷却要素を含む。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、フォーム層とコイルスばね層を備えたマットレスを開示しており、このマットレスには、調整された空気の流れを睡眠面に向けるために、上向きとされた複数のチャネルが設けられている。
【0003】
特許文献2は、マットレスとベッドの組合せを開示しており、当該ベッドには、上面からマットレスを通って下部に配置された空気調整層に空気を下向きに引き込むため、いくつかのファンが設けられている。空調された空気は、マットレスとベッドの組合せの周囲に放出され、睡眠面近傍の温度に影響を与える。
【0004】
特許文献3は、身体を支持するマットレスを開示しており、マットレス内には抵抗性発熱体が配置されている。そのような抵抗性発熱体は、2層間にループ状または蛇行状に配置された抵抗性加熱コイルであり得る。冷却は、別個のメカニズムによるもので、空気が引き込まれ、身体を支える接触領域から、関連する熱と湿気が、ファンを備えた1つまたは複数のチャネルを介して引き出される。開示された身体支持アセンブリの欠点は、冷却時、当該身体サポートによって支持された身体を冷却するために、比較的大きな通風力が必要とされることである。これは余り快適でない。
【0005】
特許文献4は、マットレス上面近くの可撓性フォームの連続層内に配置された多数のペルチェ効果加熱および冷却要素を備えたマットレスを開示している。これらの要素の上面はマットレスの上面を直接加熱または冷却し、一方、ペルチェ効果要素の反対側は、マットレスを通して引き込まれる空気の流れにより、それらの下面が加熱または冷却される。このようなマットレスの欠点は、身体を支える表面を直接加熱または冷却するために、ペルチェ効果要素をその表面の比較的近くに配置する必要があることである。これにより、身体が一つひとつのペルチェ効果要素を感じる可能性があるため、マットレスの快適性が低下するおそれがある。
【0006】
特許文献5または特許文献6のいずれかに記載されている身体サポートは、加熱および冷却要素がクッション容積内に配置されるという点で有利である。これにより、加熱および冷却を調整するために、電源および制御システムと別に個別の加熱および冷却要素を身体支持アセンブリに接続する必要はなくなる。個別のペルチェ効果加熱および冷却ユニットと組み合わされたマットレスを開示する文献例として、特許文献7、特許文献8、および特許文献9がある。
【0007】
特許文献10は、上部領域および下部領域を備えた身体支持アセンブリを開示している。上部領域には圧縮性の素材が使用されている。下部領域には金属ばねが設けられている。エアヒータが部分的に支持アセンブリの外側にあり、該身体支持アセンブリに温風を供給して該アセンブリの上面を加熱することができる。支持アセンブリによって支持されている人は、支持アセンブリの支持シート上に横たわるときに暖かさを感じるであろう。これは、非通気性の支持シートの下側に沿って流れる熱風がこの支持シートを加熱するためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0325595明細書
【特許文献2】国際公開第2015/106258号
【特許文献3】国際公開第2018/022760号
【特許文献4】国際公開第2014/204934号
【特許文献5】国際公開第2018/022760号
【特許文献6】国際公開第2014/204934号
【特許文献7】国際公開第2016/166638号
【特許文献8】国際公開第2014/145436号
【特許文献9】国際公開第2014/106119号
【特許文献10】韓国特許出願公開第20060124553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、加熱および冷却ユニットがクッション容積内に配置され、快適さの面で既知のマットレスの欠点を有さない身体支持アセンブリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は、下記の身体支持アセンブリによって達成される。
【0011】
人体を支持するための上面と、クッション容積を規定しかつ側壁を規定し、間隔を置いて配置された底面とを有した身体支持アセンブリであって、前記上面の通気性が、前記底面の通気性よりも高く、かつ前記側壁の通気性よりも高く、前記クッション容積は、前記上面に最も近い上部クッション領域、および分離シートによって分離された下部クッション領域であって、全方向に空気を透過させる圧縮性材料から成る上部クッション領域および下部クッション領域と、
該支持アセンブリの底面にある単一または別個の空気入口開口、空気置換手段、第1の熱交換器、および、該支持アセンブリの底面にある単一または別個の空気出口開口を備えた、周囲空気のための第1の流路と、
空気入口、空気置換手段、第2の熱交換器、下部クッション領域の前記圧縮性材料を通る流路、前記上部クッション領域の圧縮性材料を通る前記分離シート内の複数の開口、および、前記上面における複数の空気出口、を備えた空気の第2の流路と、を備え、
第1の熱交換器および第2の熱交換器は前記クッション容積の内部に位置したペルチェ効果ユニットの一部であり、該ペルチェ効果ユニットは、一の操作モードでは前記第1の流路内の空気を冷却しかつ前記第2の流路内の空気を加熱するよう、および/または、第2の操作モードでは前記第1の流路内の空気を加熱しかつ前記第2の流路内の空気を冷却するように構成されている、身体支持アセンブリ。
【0012】
出願人は、クッション容積の内部に設けたペルチェ効果ユニットによって、クッション容積内部に、調整された空気の流れを作り出せるとの知見を得た。上下の領域と組み合わせて、全方向に空気を透過するクッション素材を使用することにより、比較的少量のペルチェ効果ユニットで、あるいは単一のユニットでさえ、十分な加熱または冷却機能を達成することが可能となった。これにより、ペルチェ効果に基づく空気加熱および冷却ユニットを身体支持アセンブリ内部に配置することができる。これは、外部設置の装備が不要となり有利である。
【0013】
本発明はまた、下記に方法に関する。人体を支持するための上面と、クッション容積を規定しかつ側壁を規定し、間隔を置いて配置された底面とを有し、前記クッション容積が、前記上面に最も近い上部クッション領域、および分離シートによって分離された下部クッション領域であって、全方向に空気を透過させる圧縮性材料から成る上部クッション領域および下部クッション領域を備えてなる身体支持アセンブリを冷却または加熱する方法であって、
周囲空気が、該支持アセンブリの底面にある単一または別個の空気入口開口、空気置換手段、第1の熱交換器、および、該支持アセンブリの底面にある単一または別個の空気出口開口を介して、第1の流路を流れ、
周囲空気が、空気入口、空気置換手段、第2の熱交換器、下部クッション領域の前記圧縮性材料を通る流路、前記分離シート内の複数の開口、前記上部クッション領域の前記圧縮性材料を介して、かつ前記上面を介して、第2の流路内を流れ、かつ、
第1の熱交換器および第2の熱交換器は前記ペルチェ効果ユニットの一部であり、一の操作モードにおいて前記第1の熱交換器内で空気が冷却されかつ前記第2の熱交換器内で空気が加熱され、および/または、第2の操作モードにおいて前記第1の流路内の空気が加熱されかつ前記第2の流路内の空気が冷却される、方法。
【0014】
以下の本発明の様々な実施形態の開示によってさらなる利点を説明する。
【0015】
この身体支持アセンブリは、睡眠中に人体を支えるマットレスとしての使用が考えられる。この支持アセンブリは、例えば、該支持アセンブリが配置されている部屋または空間内の周囲温度に応じて人体を冷却または加熱することができる。例えば、比較的高温の環境では、該支持アセンブリは第2の空気流を冷却することができ、その結果、比較的低温の身体支持アセンブリ、特に比較的低温の上面が得られる。この身体支持アセンブリにより、部屋全体または空間全体を冷やす必要性が減少する。したがって、この身体支持アセンブリを冷却するだけで、同じ低温身体サポート、例えば睡眠や状態、を達成しながら、大幅なエネルギー節約が達成される。これは比較的低温の環境においても言える。身体支持アセンブリ、特にその上面の温度を上げることにより、同じ身体サポート、例えば睡眠や状態、を達成しながら、大幅なエネルギー節約を達成することができる。
【0016】
好ましくは、第2の流路は、空気が第2の熱交換器から、下部クッション容積を経由して上部クッション容積まで循環し、第2の熱交換器に戻ることを可能にする。これは、身体支持アセンブリが人体を支持するために使用されていない場合、および、いわゆるスタンバイモードにある場合に特に有利である。身体支持アセンブリの温度は、エネルギーを無駄にすることなく所望の温度に維持することができる。これは、所望の温度を維持するために新鮮な周囲空気を冷却または加熱するのではなく、調整された空気が再循環されるからである。この循環形態における空気入口および複数の空気出口は、通気性を有する上面に存在する。一部の空気は、上部クッション領域内から通気性を有する上面を介して上面上の空間に逃げるが、上部クッション領域内からのほとんどの空気は冷却および加熱ユニットを介して再循環される。
【0017】
この循環空気流は、クッション容積内に存在する可能性のあるチリダニを駆除するためにも使用可能である。身体を支えるために使用されていない間の一定時間、循環空気の温度を50℃以上、できれば60℃以上に上げることにより、このより高い温度にさらされる全てのチリダニは駆除される。
【0018】
あるいは、第2の流路によって空気が、支持アセンブリの底面の空気入口から、第2の熱交換器を介し、下部クッション領域を介し、上部クッション領域を介して、通気性のある上面の複数の空気出口に流れることが好ましい。この身体支持アセンブリは、人体を支持するのに使用されると都合がよい。次に、熱または冷気は、上面の接触面を介して人体に輸送されるだけでなく、上面を出て人体の周りを流れる調整された空気によっても運ばれる。人体は、例えば、この身体支持アセンブリにおいて、毛布、羽毛布団、またはシーツで覆われていてもよい。ほとんどの空気は、その結果として生じた覆われた空間を、前記カバーの側部にある複数の開口から出て、また、いくらかの空気はカバーを通して出る。
【0019】
より好ましくは、この身体支持アセンブリは、上記の一度通過の循環モードから、空気流の換気モードへ切り換えること、また、これら2つのモード間の変形が可能である。例えば、循環モードは、身体支持アセンブリを使用に向けて準備するために使用することができ、かつ、上記の一度通過モードは、該身体支持アセンブリを身体サポートするために使用する場合に使用することができる。そのような使用を実現するために、該身体支持アセンブリは、好ましくは、上述の空気循環による空気流路を可能にする弁位置と、上述の一度通過原理による空気流路を可能にする弁位置と、を有する弁アセンブリを備える。身体支持アセンブリが、前記循環空気流と一度通過空気流との組合せが可能なように構成されるとさらに好ましい。例えば、使用中、人体は、毛布および/またはシートで覆われかねず、この場合、すべての空気は、上面から出たり、それら毛布またはシーツによって形成された空間から逃げたりすることができない。そのような状況では、クッション容積内で空気の一部を循環させ、および/または、毛布またはシートによって作成された空間からいくらかの空気を取り入れて、その空気を第2の熱交換器に供給することが好ましい場合がある。このようにして、この空気は、再利用のために所望の温度レベルに冷却または加熱することが可能である。したがって、好ましくは、弁アセンブリは、前記循環および一度通過原理にそれぞれ従った空気流れの組合せを可能にする弁位置を有する。
【0020】
循環モードから換気モードへの切り替え、およびその間の切り替えは、身体支持アセンブリ上に人体が存在することがセンサによって検出されたときに自動的に実行され得る。そのようなセンサは、例えば、圧力センサ、モーションセンサ、変位センサ、湿度センサ、および温度センサであり得る。身体支持アセンブリによって人体がサポートされていないことをセンサが検出した場合、循環モードへ切り替えて戻すことも自動的に実行され得る。あるモードから別のモードへの切替えに加えて、空気置換手段の容量を制御することによって空気流量を制御し、かつ、ペルチェ効果ユニットへの電力を制御することによって加熱または冷却容量を制御することもできる。
【0021】
この身体支持アセンブリは、上面、側面、および底面を有する。上面は、該身体支持アセンブリによって支持される人体に向く。この上面は通気性を有する。一度通過の原理では、第2の流路の空気の出口と入口は、上述したように、この通気性を有する上面である。通気性の上面はまた、底面で取り込まれた周囲空気が調整されて該上面から排出される一度通過の形態にとっても重要である。これを効果的ならしめるためには、上面の通気性が底面の通気性よりも高く、かつ側壁の通気性よりも高いことが重要である。好ましくは、上面の透過性は、ASTM D 737-96で測定したときに、側壁および底面の通気の少なくとも3倍、より好ましくは4倍である。このような上面に適した素材の例は、3Dニット通気テキスタイルである。側壁は、アセンブリを使用して人体を支持するときにクッション容積をある程度まで圧縮できるようにする柔軟な材料で作製する必要がある。細長い側壁は好ましい柔軟性がある一方、この支持体の頭および足の端部における延長部の側壁は、通常、使用時における圧縮が少ないため、柔軟性が低くなる可能性がある。このような側壁に適した素材は、しっかりと織られた、または編まれたテキスタイルである。底面は側壁と同じ材料で構成されていてもよい。底面は必ずしも側壁のように柔軟である必要はないため、底面にはより剛性の高い材料を使用することも可能である。底面に使用するのに適した素材は、緻密な不織布と特定の種類のフェルトである。
【0022】
熱電ヒートポンプとしても知られるペルチェ効果ユニットは、電流の方向に応じて電気エネルギーを消費して、デバイスの一方の側から他方の側に熱を伝達するソリッドステートアクティブヒートポンプである。このような機器は、ペルチェ効果デバイス、ペルチェ効果ヒートポンプ、ソリッドステート冷凍機、または熱電冷却器(TEC)とも称される。ある動作モードでは、熱は、第2の流路内の空気から、ペルチェ効果ユニットを介して周囲の空気に伝達される、すなわち熱ポンプされる。これにより、クッション容積内の調整された空気が冷却される。他の動作モードでは、熱は、第1の流路内の周囲空気から、ペルチェユニットを介して、第2の流路内の空気に伝達される。したがって、クッション容積内の調整された空気が加熱される。ペルチェ効果加熱および冷却ユニットは、第1および第2の熱交換器とペルチェ効果プレートを備える。ペルチェ効果プレートは、使用中、電源に接続されたときに高温および低温の表面を有する平板の形状を有することができる。電流方向に応じて、片側は冷たく、反対側は熱くなる。電流の向きが変われば熱くなる側と冷たくなる側も変わる。ペルチェ効果ユニットのこの特性は、本発明による身体支持アセンブリにおいて有利に使用される。つまり、ペルチェ効果ユニットに供給される電流の方向を変えるのみで、第2の流路の空気が冷却または加熱される。加熱能力および冷却能力も、ペルチェ効果ユニットに供給される電力を調節することで用意に制御できる。第1および第2の熱交換器に沿う空気の流れは、電力を1つまたは複数の空気置換手段に適合させることによって、および以下で説明するように1つまたは複数の弁の位置を適合させることによって適合させることができる。ペルチェ効果ユニットの反対側を、第1の流路内の空気によってそれぞれ加熱冷却することにより、バランスの取れたシステムが実現される。したがって、好ましい実施形態では、ペルチェ効果ユニットは、ある動作モードでは、第1の流路の空気を冷却しかつ第2の流路の空気を加熱し、第2の動作モードでは、第1の流路の空気を加熱し、第2の流路の空気を冷却するように構成される。好ましくは、ペルチェ効果ユニットの前記プレートの平坦な表面は、第1および第2の流路内に位置した複数の熱交換フィン、好ましくは金属フィンに直接接続される。これらのフィンは、空気の第1および第2の流路内において、それぞれ第1および第2の熱交換器として機能する。このようにして、ペルチェ効果ユニットと、第1および第2の流路をそれぞれ流れる空気との間でより効果的な熱交換が達成される。あるいは、ペルチェ効果ユニットは、使用中、別個の熱伝達媒体を第1および第2の熱交換器に搬送して熱を交換するため、および/または第1の流路と第2の流路の空気を冷却するために、その低温側および高温側に熱交換面を備えていてもよい。そのような熱交換器は、例えば、シェルチューブ熱交換器またはヒートパイプであり得る。
【0023】
第2の流路内の第2の熱交換器は、この身体支持アセンブリの温度を決定する高温または低温の空気を生成する。この調整された空気の流れは、下部クッション領域から上部クッション領域に均等に分配されることが好ましい。上面における局所的に高温および低温の領域、または上面から出るときの高温または低温の空気の流れを回避するためである。そのような空気の均一分配を達成するために空気分配システムを使用することができる。この空気分配システムは、第2の熱交換器が、下部クッション領域の圧縮性材料内に複数の空気出口開口部を備えた空気出口システムに流体接続されている。このようにして、調整された空気は、前記下部クッション領域内に実質的に均等に分配され、分離シートの開口部を、実質的に均等に分配された方法で通過する。このようなシステムの欠点は、下部クッション領域に、調整された空気のための分配チャネルが必要になることである。第2の熱交換器が下部クッション領域内の空気出口に流体的に接続され、かつ、分離シートの面積当たりの開口部が、前記第2の熱交換器の空気出口からより離れた該分離シートの位置のために増加する身体支持アセンブリを使用することでそのようなシステムを回避することができる。このようにして、分離シートの表面ごとに、実質的に同量の調整された空気が下部クッション領域から上部クッション領域へ流れることができる。
【0024】
本発明はまた、ペルチェ効果加熱および冷却ユニットが、単一の操作モードで、第1の流路内の空気を冷却するとともに第2の流路内の空気を加熱するように構成される身体支持アセンブリに関する。このようなアセンブリでは、加熱された空気のみが第2の流路を流れる。このような身体支持アセンブリは、温暖な気候の地域で適切に使用される。これは、加熱された空気の小さな流れが上面を通って流れ、この身体支持アセンブリのユーザを通過するという事実によって説明することができる。上部クッション領域を流れる空気の温度がユーザの体温を僅かに下回るときに快適な睡眠体験が達成されるとの知見を得た。この効果を達成するために必要な空気量は少なくてよいとの知見も得られた。これにより、空気置換手段の容量を低くすることができ、したがって、結果として発生ノイズが、ユーザがほとんど検出できない程に低くすることができる。
【0025】
空気置換手段と、ペルチェ効果ユニットの第1および第2の熱交換器は、クッション容積内のどこにでも配置することができる。快適さの理由により、これらの要素を下部クッション領域に配置することが好ましい場合がある。これはまた、第1の流路の長さを最小化することができ、その結果、ペルチェ効果ユニットならびにオプションの空気入口導管および空気出口導管によって占有されるクッション容積が少なくなる点で有利である。身体支持アセンブリは、人体の頭を置くための端部と、人体の足を置くための端部とを有することができる。そのような身体支持アセンブリの場合、一つ又は複数のペルチェ効果ユニットが足の方の端部に配置されることが好ましい。好ましくは、上面における人体の頭部を置くための端部の領域は、通気性が、上面の平均的な通気性よりも低いものとすることもできる。これにより、睡眠中に、あまり好ましくない頭に沿ったドラフトを回避してより多くの空気が体の残りの部分に沿って流れるため有利である。
【0026】
クッション容積は、上面に最も近い上部クッション領域と下部クッション領域とで構成され、分離シートで分離されている。上部クッション領域と下部クッション領域は、全方向の空気を透過する圧縮性材料で構成されている。好ましくは、上部クッション領域の、70体積%を超える、より好ましくは80体積%を超える、さらにより好ましくは90体積%を超える通気性の圧縮性材料からなり、残りの容積は少なくとも前記ペルチェ効果ユニットを含む。
【0027】
そのような上部および下部クッション領域によって、調整された空気は、下部クッション領域内のある点から分離シートの複数の開口部に自由に流れ、上部クッション領域に入ることができる。材料の通気性は、前述のテキスタイルファブリックの通気性のための標準試験方法、ATSM D737-96で測定して、適切には50cm/s/cmを超え、より好ましくは100cm/s/cmを超え、最も好ましくは200cm/s/cmを超えるものである。適切な材料は、包まれていないマットレスコイル、不織布、およびニット材料である。 本発明では、鋼製スパイラルばね、いわゆるボネルスばね (Bonell-spring) または同等物を、すべての方向の空気を透過する圧縮性材料として使用することもできる。このような材料は上部クッション領域および下部クッション領域の双方に用いることができる。上部クッション領域が下部クッション領域とは異なる材料を含むといった材料の組み合わせも可能である。適切な材料の例は、国際公開第2015/140259および 特許公開第2018187348号公報に開示されているようないわゆる経編みスペーサーファブリックである。そのような経編みスペーサーファブリックは、スペーサーヤーンによって接合された第1の平面経編み層および第2の平面経編み層を有する。経編みスペーサーファブリックが上部および/または下部クッション領域に使用される場合、平面経編み層自体が分離シートとなり得る。調整された空気を下部クッション領域から上部クッション領域に輸送するために、適切に追加の開口部が形成される。例えば、経編み布の複数の層が1つの領域で使用される場合、次の経編み布の平面に対面する平面に複数の開口部を追加して設けることが好ましい。
【0028】
上部および/または下部クッション領域のためのより好ましい材料は、熱可塑性樹脂のいわゆるランダムループ結合構造である。そのような材料は、例えば、東洋紡社から入手可能な Breathair (登録商標)であり、また、たとえば、欧州特許公開第2848721号公報および欧州特許公開第3064627号公報で開示されている。このような材料は、200cm/s/cmを超える優れた通気性を備えている。ランダムループ結合構造は、体積あたりの重量が小さいため有利である。この材料を、上下の平面シートを有したランダムループ結合構造のシートとして適切に適用する。これらの表面は、材料の大部分の通気性とほぼ同じくらい空気を透過させる。これは、上述の経編みファブリックとは対照的である。
【0029】
ランダムループ結合構造は、ほぼ溶融状態のポリマーの連続線形構造が、例えば水の浅い層に注がれる連続プロセスで作られる。ポリマーはランダムなループを形成し、これらの接触点を相互に接触および接続して結合点を形成する。底部と表面に平面ランダム結合構造が生じ、これらの平面表面間に三次元ランダム結合構造が生じる。この製造技術は、ランダムループ結合材料のシートの厚さを制限する。これらの平面間の距離は、例えば1cmから10cmの間であってよい。所望の厚さ、すなわち本体アセンブリの上面と下面との間の距離および別個のクッション領域の厚さに応じて、そのようなランダムループ結合構造の1つまたは複数の層を使用することができる。最適なクッション特性を得るために、これらの材料の異なる圧縮硬度を持つ異なる層を組み合わせることが好ましい。
【0030】
三次元ランダムループ結合構造の単位重量あたりの結合点の数は、グラムあたり550から1150の結合点、好ましくは600から1100の間、より好ましくは650から1050の間、さらにより好ましくは700から1000の間である。単位重量あたりの結合点数(単位:結合点数/グラム)は、欧州特許公開第2848721号公報に記載されている測定方法で得られた値である。この方法では、ネットワーク構造を長さ5cm×幅5cmの直方体の形状に切断することにより、直方体形のピースが準備され、該直方体は、サンプルの2つの表面層を含むが同サンプルの周辺部分は含まず、このピースの単位体積あたりの結合点の数(単位:結合点の数/cm)を該ピースの見かけの密度(単位:g/cm)で割る。接合点の数は、2つの線形構造を引っ張って結合点を切り離し、その分離の数を測定する法で測定される。
【0031】
ランダムループ結合構造は、好ましくは0.005g/cmから0.200g/cm の範囲内の平均見掛け密度を有する。上記の範囲内の平均見掛け密度を有するランダムループ結合構造は、クッション材料の機能を示すことが期待される。0.005 g/cm未満の平均見掛け密度は反発力を提供できないため、ランダムループ結合構造はクッション材には適さない。0.200g/cmを超える平均見掛け密度は、大きな反発力を与え、快適さを低下させる。これは好ましいことではない。本発明における見掛け密度は、より好ましくは0.010g/cmから0.150g/cmであり、さらにより好ましくは0.020g /cmから0.100g/cmの範囲内である。
【0032】
上述したように、使用される材料の圧縮硬度は、例えば上部クッション領域と下部クッション領域とで異なってもよい。例えば、下部クッション領域は、厚手の細かさを有するやや硬い線形構造を含む層である材料を有することができ、かつ、上部クッション領域は、やや薄い細かさと高密度を有する線形構造を有する材料を有することができる。下部クッション領域の材料は、振動を吸収し、かつ形状を保持するのに役立つ層であってもよい。上部クッション領域の材料は、振動と反発応力を下部クッション領域に均一に伝達できる層であり、そのため全身が変形してエネルギーを変換できるため、快適性が向上し、クッションの耐久性も向上する。クッション材料の側部に厚さおよび張力を付与することもまた好ましい。この場合、側壁の近くでは、細かさは部分的にいくらか減少し、かつ密度は増加してもよい。このように、各層は、その目的に応じて任意の好ましい密度および細かさを有することができる。ネットワーク構造の各層の厚さは特に制限されないことに留意されたい。
【0033】
下部クッション領域の全方向に空気を透過する好ましい材料は、金属ばね、例えばボンネルばねである。ボンネルスばねは砂時計の形をしており(中央よりも下部と上部の幅が広い)、金属のメッシュで相互接続されてばねシステムを構成している。これらの金属ばねは、一方では必要な振動吸収とその形状を保持する能力を提供し、他方では目立った圧力降下も伴わずに空気が金属ばねを通って容易に流れることを可能にするため、好ましい。ケースに入れられていないこれら金属ばねは、たとえばポケットばねのようにテキスタイルラッピングに個別に梱包されていない。分離シートは前述のとおりのものであってよい。適切な分離シートは、上記のような経編みスペーサーファブリックのシートであってもよい。
【0034】
三次元ランダムループ接合構造の25%圧縮硬度は、10~30kg/φ200-mmである。前記25%圧縮硬度は、直径200mmの円形圧縮ボードを使用してネットワーク構造を75%に圧縮することによって得られる、応力-ひずみ曲線上の25%圧縮での応力である。
【0035】
前記熱可塑性樹脂は、軟質ポリオレフィンまたはポリエステル熱可塑性エラストマーであってよい。好ましい樹脂は、東洋紡社から入手可能ないわゆるP型PELPRENE(登録商標)であり、これは、硬質要素としての芳香族ポリエステルと軟質要素としての脂肪族ポリエーテルからなるコポリマーである。
【0036】
分離シートは、経編みスペーサーファブリックについて説明したように、身体支持アセンブリに緩衝特性を提供するために使用されるクッション材料層の統合部分であってもよい。別個のシートを使用する場合は、しっかりと織られた布またはポリマー材料で作られた柔軟なシートであることが好ましい。 シートには複数の開口部が設けられる。これら開口部のパターンおよび密度ならびにサイズは、調整された空気の好ましい流れが、上記のように分離シートの実質的に全面積に沿って下部クッション領域から上部クッション領域に流れるように、選択される。 このような開口部の形状はどのようなものでもよい。円形の開口部の直径は1cmから6cmの間である。
【0037】
本発明はまた、人体を支持するための上面と、クッション容積を規定しかつ側壁を規定し、間隔を置いて配置された底面とを有した身体支持アセンブリであって、前記クッション容積が、ASTM D737で測定して100cm/s/cmを超える通気性を有して全方向に空気を透過する圧縮性材料と、このクッション材料内を流れる空気を加熱および/または冷却するために装備されたペルチェ効果ユニットと、を備える身体支持アセンブリに関する。出願人は、請求の範囲に規定した圧縮性材料がクッション容積で使用されるとき、その構造内で、調整された空気を効果的に輸送することの身体支持が達成されるとの知見を得た。圧力降下はほとんど発生せず、かつクッション容積自体を離れる調整された空気の量は、従来技術の解決策と比較して減少する可能性がある。これにより、上面で、同様の冷却または加熱結果を、より少ない、あるいは1のみのペルチェ効果ユニットを用いて達成することができる。したがって、必要なペルチェ効果ユニットは、ペルチェ効果ユニットをクッション容積内に配置することが可能となる寸法にすることができる。この身体支持アセンブリの好ましい実施形態は上記のとおりとすることができる。
【0038】
この身体支持アセンブリは、好ましくはマットレスとして使用される。したがって、本発明はまた、本発明による身体支持アセンブリを含むベッドに関する。このベッドはマットレスを支えるためのある種の構造を備える。このマットレスサポートは、空気が空気入口開口部または支持アセンブリの底面の開口部に流入できるように、下端に開口部を残す必要がある。マットレスに適した支持体は、スパイラルワイヤーサポートである。このような支持体は空気を非常に透過させるからである。
【0039】
ペルチェ効果ユニットの電源、空気置換手段、およびオプションの弁は、マットレスに直接接続されたケーブルまたはマットレスサポートを介して提供することができる。外部に小さな電源アダプタがあってもよい。電力供給がマットレスサポートを介して行われる場合、マットレスサポート上に存在する電源面に接続する単純な電力交換面がマットレスの外部に存在してもよい。これは、マットレスからケーブルが延びないマットレスが好まれる場合に適する。
【0040】
本発明はまた、上記のように、身体支持アセンブリを冷却または加熱するための方法に関する。この方法では、第2の流路の空気は、第2の熱交換器から下部のクッション容積を経由して上部のクッション容積に循環し、第2の熱交換器に戻ることができる。あるいは、第2の流路空気は、支持アセンブリの底面の空気入口から、第2の熱交換器を介し、下部クッション領域を介し、上部クッション領域を介して、通気性上面を含む空気出口に流れることができる。適切には、ここで説明する両方の空気の第2の流路は、1つまたは複数のバルブを制御することによって選択することができる。適切には、ここで説明する両方の空気の第2の流路または両方の流路の組合せは、1つまたは複数のバルブを制御することによって選択することができる。適切には、両方の第2の流路の組合せは、1つまたは複数の弁を制御することによって選択することができる。
この方法は、一の動作モードでは、第1の熱交換器において空気が冷却され、第2の熱交換器において空気が加熱され、かつ、第2の動作モードでは、第1の熱交換器において空気が加熱され、第2の熱交換器において空気が冷却されるように適切に実行される。
【0041】
上記の方法は、本発明による身体支持において適切に実行される。好ましくは、この方法は、マットレスを備え、かつ人間によって使用されるベッド内で実行される。好ましくは、上述したベッド内で実行される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明の一実施形態による身体支持アセンブリを示す側断面図である。
図2】本発明の別の実施形態による身体支持アセンブリを示す側断面図である。
図3】弁アセンブリを備えた身体支持アセンブリの実施形態を示す側断面図である。
図4】弁アセンブリを備えた身体支持アセンブリの実施形態を示す側断面図である。
図5図3および図4にした身体支持アセンブリの斜視断図である。
図6図3図5に示した支持アセンブリのペルチェ効果ユニットを示すもので、aは略横からの斜視図、bは若干上からの斜視図、cは若干下からの斜視図である。
図7図6a~図6cのペルチェ効果要素の分解図である。
図8図5に示した身体支持アセンブリの上面及び下面図である。
図9】支持アセンブリのための、可能性のある他のペルチェ効果ユニットを示す斜視図である。
図10】a~cはそれぞれ、図9に示したペルチェ効果ユニットの作用を示すである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明を添付の図1図10を参照して説明する。
【0044】
図1は、人体を支持するための上面(2)と、クッション容積(4)を規定しかつ側壁(5)を規定する、間隔を置いて配置された下面(3)とを有する身体支持アセンブリ(1)を示す。上面(2)に最も近い上部クッション領域(6)と下部クッション領域(7)は、分離シート(8)によって分離されている。 上部クッション領域(6)と下部クッション領域(7)は圧縮性材料(9)で構成されている。
【0045】
周囲空気の第1の流路(10)が示され、ここで、空気は、該支持アセンブリの底面(3)にある空気入口開口部(11)を介して身体支持アセンブリ(1)に入る。空気は、空気置換手段としての換気装置(12)によって第1の熱交換器(13)に引き込まれる。空気は、熱交換器(13)で冷却または加熱され、加熱または冷却された空気は、底面(3)の空気出口開口部(14)を介して身体支持アセンブリ(1)から排出される。熱交換器(13)は、ペルチェ効果ユニット(16)のペルチェプレート(15)に接続された複数のフィンである。ペルチェプレート(15)の反対側は、第2の熱交換器(17)を形成する複数のフィンに接続されている。示すように、ペルチェ効果加熱および冷却ユニット(16)はクッション容積(4)内に配置されている。
【0046】
図1では、第2の流路内の空気が第2の熱交換器(17)から下部のクッション領域(7)を経由して上部のクッション領域(6)に循環し、かつ第2の熱交換器(17)に戻ることができる。この第2の流路では、空気はまた、通気性上面(2)である空気入口(19)から第2の熱交換器(17)への空気置換手段として換気装置(20)に流れる。熱交換器(17)では、空気は、温度要件に応じて冷却または加熱される。調整された空気は、第2の熱交換器(17)を出て、下部クッション領域(7)を通り、分離シート(8)の複数の開口部(21)を通って上部クッション領域(6)に流れる。空気の一部は、通気性上面(2)の複数の空気出口(22)を介して上部クッション領域(6)を出るが、空気の大部分は第2の熱交換器(17)に循環する。分離シート(8)には、この再循環空気が上部クッション領域(6)から換気装置(20)に流れることを可能にする開口部(23)が存在する。
【0047】
第2の熱交換器(17)が第2の流路(18)内の空気を冷却するように構成されている場合、第1の流路(10)内の空気は熱交換器(13)内で加熱される。換気装置(12)および(20)は、熱交換器を通る最適な空気の流れを実現するように制御される。この制御は、上部クッション領域での望ましい温度の維持と、選択された動作モード、すなわち冷却か加熱かに依存する。
【0048】
図2は、図1に示したものと類似の身体支持アセンブリを示す。主な違いは第2の空気流路にある。この図では、第2の流路(24)により、空気が、該支持アセンブリの底面(3)にあって第1の流路(10)のための空気入口(11)と同じ空気入口(25)から、第2の熱交換器(17)、下部クッション領域(7)、上部クッション領域(6)を介して、通気性上面(2)を含む空気出口(22)へ流れることができる。したがって、空気は調整され、出口(22)を介して一回通しの配置で身体支持アセンブリから排出され、図1のように第2の熱交換器(17)に再循環はされない。
【0049】
図2のアセンブリでは、空気は単一の換気装置(26)によって入口(11,25)から引き込まれる。位置制御可能なフラップ(27)が、空気の流れを、第1の熱交換器(13)および第2の熱交換器(17)へ分流する。フラップ(27)の位置は、たとえば、ペルチェ効果ユニットの電流が逆になると変化し、その結果、空気の流れが冷却から加熱に変化する。
【0050】
図3および図4は、弁アセンブリ(30)を備えた身体支持アセンブリの実施形態を示す。弁アセンブリ(30)は、図1に示されるような空気流路(18)を可能とする、図3に示すような弁位置と、図2に示されるような空気流路(24)を可能にする、図4に示すような弁位置と、を有する。
【0051】
図3では、弁アセンブリ(30)が、第2の換気装置(31)によって上部クッション領域(6)から空気が引き込まれる位置とされ、それによって、上部クッション領域を換気装置(31)および下流の第2の熱交換器(17)に流体的に接続する開口(23)が形成される。第1の流路(10)は、第1の熱交換器(13)に沿って別の第1の換気装置(31a)によって方向付けられ、第2の流路(18)から流体的に分離されている。図4では、弁アセンブリ(30)の位置は、開口部(23)が囲まれ、支持アセンブリの底面(3)の空気入口開口部(11)が第1および第2の双方の換気装置(31a,31)に流体的に接続される位置とされている。第1および第2の熱交換器(13,17)に沿った空気の流れは、換気装置(31a,31)の換気速度によって制御される。
【0052】
図5は、図3および図4に示されているものによる、身体支持アセンブリの斜視断図を示している。この図は、分離シート(8)の開口部(21)のサイズが変化していることを示している。このパターンにより、下部クッション領域(7)から上部クッション領域(6)への空気の流れは、人体が支持される領域に均等に分散される。ペルチェユニットの近くの開口部(21)はサイズが大きく、図3に示すように空気が再循環されるときに、主に上部クッション領域(6)からペルチェユニットの入口開口部(23)に空気を流すように機能する。図5に示すペルチェユニットについては、図6a~図6cにて詳しく説明する。
【0053】
図6a~図6cは、図3図5に示す支持アセンブリのペルチェ効果ユニットを示している。換気装置31aおよび31は、いわゆる遠心ファンであってよい。この図には、凝縮水が蓄積されるフォームストリップ(32)も示されている。たとえば、空気を冷却するときに水が凝縮することがある。液体の水は蓄積し、平行な空気流路内のより暖かい流れに輸送される可能性がある。液体の水は、この平行な流路内のより暖かい空気の流れに面するフォームストリップの表面で蒸発する。この図のペルチェ効果ユニットには、第2の熱交換器(17)を周囲の圧縮性材料(9)から分離する上部33が存在している。ペルチェ効果ユニットの下端は、支持アセンブリの底面(3)の一部であってもよい。
【0054】
これらの図には、弁アセンブリ(30)のさまざまな位置が示されている。これらの図の弁アセンブリ(30)は、図3および図4とは異なる位置にあるが、効果は同じである。図6aでは、バルブ(30)が開口部(23)を閉じ、空気は換気装置(31a)から開口部(lib)を介して第1の熱交換器(13)に引き込まれ、かつ、空気は換気装置(31)によって開口部(11a)を介して第2の熱交換器(17)へ引き込まれる。したがって、図6aのバルブ位置は図4と同じである。
【0055】
図6bでは、バルブ(30)は中間位置に配置されており、換気装置(31)は開口部(23)を介して上部クッション領域(6)から空気を引き込み、開口部(11a)を介して第2の熱交換器(17)に空気を引き込む。バルブ(30)を回転させて、入口開口部(23)および(11a)の面積に影響を与え、第2の熱交換器(17)への空気流における再循環空気と周囲空気との間の比率を調整することができる。
【0056】
図6cでは、バルブ(30)は、開口部(11a)を囲むように配置され、その結果、換気装置(31)は、開口部(23)を介して上部クッション領域(6)のみから第2の熱交換器(17)に空気を引き込む。したがって、図6aのバルブ位置は図3と同じである。
【0057】
図7は、図6a~図6cのペルチェ効果要素の分解図を示している。この図には、熱交換フィン(28)とペルチェ効果プレート(15)が示されている。バルブ(30)を駆動する電気サーボモータ(27)が示されている。
【0058】
図8図5の身体支持アセンブリの上面図及び下面図である。
【0059】
図9は、支持アセンブリのための、可能性のある他のペルチェ効果ユニットを示している。このユニットには換気装置(34)を1つのみ備え、バルブ(35)の位置に応じて、(i)図10aに示すように、吸気口(11)からのみ空気を吸い込むことができ、(ii)図10cに示すように、上部クッション領域のみから開口部(23)を介して空気を引き込むことができ、そして、(iii)図10bに示すように、空気入口開口部(11)から空気を吸い込み、かつ上部クッション領域(6)から空気を吸い込むことができる。フラップ(36)は、この引き込まれた空気の流れを第1および第2の熱交換器(13,17)に分配する。このユニットは、間隔を空けた側壁(42)と組み合わせて図9に示されている。この壁(42)は、組み立てられた際、ペルチェ効果ユニットの横の部分を囲む。この側壁(42)は、バルブ(35)を配置するための電気サーボモータ(41)、換気装置(34)を操作するための電気モータ(40)、およびフラップ(36)を配置するための電気サーボモータ(39)を備えている。したがって、このアセンブリは、バルブ(35)が図10aおよび図10bに示されるような位置にあるとき、本発明による第1の流路を有する。
【符号の説明】
【0060】
1 身体支持アセンブリ
2 上面
3 下面
4 クッション容積
6 上部クッション領域
7 下部クッション領域
8 分離シート
10 第1の流路
11 空気入口開口部
12 換気装置
13 第1の熱交換器
14 空気出口開口
15 ペルチェプレート
16 ペルチェ効果ユニット
17 第2の熱交換器
18 第2の流路
19 空気入口
22 空気出口
23 開口
26 換気装置
30 弁アセンブリ
31 第2の換気装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図7
図8
図9
図10a
図10b
図10c
【国際調査報告】