(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】分散型センシング装置
(51)【国際特許分類】
G01D 5/353 20060101AFI20220112BHJP
【FI】
G01D5/353 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021543566
(86)(22)【出願日】2019-10-02
(85)【翻訳文提出日】2021-04-16
(86)【国際出願番号】 EP2019076777
(87)【国際公開番号】W WO2020070229
(87)【国際公開日】2020-04-09
(31)【優先権主張番号】102018124435.5
(32)【優先日】2018-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521140353
【氏名又は名称】エヌカーテー フォトニクス ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】NKT PHOTONICS GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ヨーストマイアー、トルベン
(72)【発明者】
【氏名】マルクス、ベンヤミン
(72)【発明者】
【氏名】ラート、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ヒル、ヴィーラント
【テーマコード(参考)】
2F103
【Fターム(参考)】
2F103BA37
2F103BA43
2F103CA03
2F103CA07
2F103EB02
2F103EC09
2F103EC10
2F103ED27
2F103ED37
2F103FA02
(57)【要約】
OTDR(光学時間領域反射率測定法)に基づく分散型センシング装置は、光源と、光源に光接続されて第1出力および第2出力を有する光スプリッタとを備える。検出ファイバは光スプリッタの第1出力に光接続される。結合ユニットは光スプリッタの第2出力に由来する基準信号と、検出ファイバに由来する後方散乱信号とを結合するように配置される。結合ユニットは1つまたは複数の3×3溶融ファイバカプラを備える。信号処理ユニットは分散型検出データを提供するように結合ユニットに由来する情報を処理する。結合ユニットは、結合ユニットにおいて後方散乱信号に由来する第1信号の偏波を基準信号に由来する第1信号の偏波にアライメントし、後方散乱信号に由来する第2信号の偏波を基準信号に由来する第2信号の偏波にアライメントする1つまたは複数の偏波感度素子を備える偏波ダイバーシティ配置を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学時間領域反射率測定法を用いた分散型センシング装置であって、前記分散型センシング装置は、
光源と、
前記光源と光通信するとともに第1出力および第2出力を有する光スプリッタと、
前記光スプリッタの前記第1出力に光接続された検出ファイバと、
前記光スプリッタの前記第2出力に由来する基準信号を、前記検出ファイバに由来する後方散乱信号と結合するように構成された結合ユニットであって、前記結合ユニットは1つまたは複数の溶融ファイバカプラを備える、前記結合ユニットと、および
前記結合ユニットに由来する情報を処理して分散型センシングデータを提供するように構成された信号処理ユニットと
を備え、
前記結合ユニットは、前記結合ユニット内で、
前記後方散乱信号に由来する第1信号の偏波を、前記基準信号に由来する第1信号の偏波とアライメントさせるとともに、
前記後方散乱信号に由来する第2信号の偏波を、前記基準信号に由来する第2信号の偏波とアライメントさせるように構成された、1つまたは複数の偏波感度素子を備える偏波ダイバーシティ配置を備えている、
分散型センシング装置。
【請求項2】
前記結合ユニットは、第1溶融ファイバカプラおよび第2溶融ファイバカプラを備え、
前記偏波ダイバーシティ配置は、
前記第1溶融ファイバカプラにおいて、前記後方散乱信号に由来する前記第1信号の偏波を、前記基準信号に由来する前記第1信号の偏波とアライメントするとともに、
前記第2溶融ファイバカプラにおいて、前記後方散乱信号に由来する前記第2信号の偏波を、前記基準信号に由来する前記第2信号の偏波とアライメントするように構成されている、
請求項1に記載の分散型センシング装置。
【請求項3】
前記1つまたは複数の偏波感度素子は第1偏波スプリッタと第2偏波スプリッタとを備えており、
前記第1偏波スプリッタは、
前記後方散乱信号に由来する前記第1信号を出力する第1後方散乱信号出力であって、前記第1後方散乱信号出力は前記第1溶融ファイバカプラの第1入力ファイバに光通信している、前記第1後方散乱信号出力と、
前記後方散乱信号に由来する前記第2信号を出力する第2後方散乱信号出力であって、前記第2後方散乱信号出力は前記第2溶融ファイバカプラの第1入力ファイバに光通信している、前記第2後方散乱信号出力とを備えており、
前記第2偏波スプリッタは、
前記基準信号に由来する前記第1信号を出力する第1基準信号出力であって、前記第1基準信号出力は前記第1溶融ファイバカプラの第2入力ファイバに光通信している、前記第1基準信号出力と、
前記基準信号に由来する前記第2信号を出力する第2基準信号出力であって、前記第2基準信号出力は前記第2溶融ファイバカプラの第2入力ファイバに光通信している、前記第2基準信号出力とを備えている、
請求項2に記載の分散型センシング装置。
【請求項4】
前記第1偏波スプリッタおよび前記第2偏波スプリッタは、光ファイバスプリッタを備える、
請求項3に記載の分散型センシング装置。
【請求項5】
前記第1溶融ファイバカプラの前記第1入力ファイバおよび前記第2入力ファイバと、前記第2溶融ファイバカプラの前記第1入力ファイバおよび前記第2入力ファイバとは、偏波保持ファイバである、
請求項3または4に記載の分散型センシング装置。
【請求項6】
前記1つまたは複数の溶融ファイバカプラは、1つまたは複数の偏波保持溶融ファイバカプラを備える、
請求項1~5のいずれか一項に記載の分散型センシング装置。
【請求項7】
前記1つまたは複数の溶融ファイバカプラは、少なくとも3つの偏波保持出力ファイバを備える、
請求項6に記載の分散型センシング装置。
【請求項8】
前記第1溶融ファイバカプラの前記第1入力ファイバおよび前記第2入力ファイバと、前記第2溶融ファイバカプラの第1入力ファイバおよび第2入力ファイバとは、非偏波保持ファイバであり、
前記第1偏波スプリッタの前記第1後方散乱信号出力は、第1スプライス遷移によって前記第1溶融ファイバカプラの前記第1入力ファイバに接続されており、
前記第1偏波スプリッタの前記第2後方散乱信号出力は、第2スプライス遷移によって前記第2溶融ファイバカプラの前記第1入力ファイバに接続されており、
前記第2偏波スプリッタの前記第1基準信号出力は、第3スプライス遷移によって前記第1溶融ファイバカプラの前記第2入力ファイバに接続されており、
前記第2偏波スプリッタの前記第2基準信号出力は、第4スプライス遷移によって前記第2溶融ファイバカプラの第2入力ファイバに接続されている、
請求項3または4に記載の分散型センシング装置。
【請求項9】
前記第1後方散乱信号出力および前記第2後方散乱信号出力と、前記第1基準信号出力および前記第2基準信号出力とは、偏波保持ファイバを備えている、
請求項8に記載の分散型センシング装置。
【請求項10】
前記第1溶融ファイバカプラおよび前記第2溶融ファイバカプラは、非偏波保持溶融ファイバカプラを備えている、
請求項8または9に記載の分散型センシング装置。
【請求項11】
前記分散型センシング装置はさらに、前記第1溶融ファイバカプラおよび前記第2溶融ファイバカプラのうちの少なくとも一方に入力される偏波の状態を制御する1つまたは複数の偏波コントローラを備える、
請求項8~10のいずれか一項に記載の分散型センシング装置。
【請求項12】
前記分散型センシング装置はさらに、第1コンバイナ、第2コンバイナ、および第3コンバイナを備え、
前記第1溶融ファイバカプラおよび前記第2溶融ファイバカプラはそれぞれ、前記第1コンバイナと光通信するそれぞれの第1出力を有しており、
前記第1溶融ファイバカプラおよび前記第2溶融ファイバカプラはそれぞれ、前記第2コンバイナと光通信するそれぞれの第2出力を有しており、
前記第1溶融ファイバカプラおよび前記第2溶融ファイバカプラはそれぞれ、前記第2コンバイナと光通信するそれぞれの第3出力を有している、
請求項2~5のいずれか一項に記載の分散型センシング装置。
【請求項13】
前記第1コンバイナ、第2コンバイナ、および第3コンバイナは、それぞれ偏波保持出力を有する、
請求項12に記載の分散型センシング装置。
【請求項14】
前記結合ユニットは、第1動作軸および第2動作軸を有する溶融ファイバカプラを備えており、
前記偏波ダイバーシティ配置は、
前記基準信号に由来する前記第1信号と重ね合わせるために、前記後方散乱信号に由来する前記第1信号の偏波を前記第1動作軸に沿ってアライメントすることと、
前記基準信号に由来する前記第2信号と重ね合わせるために、前記後方散乱信号に由来する前記第2信号の偏波を前記第2動作軸に沿ってアライメントすることと
を実行するように構成されている、
請求項1に記載の分散型センシング装置。
【請求項15】
前記溶融ファイバカプラは、第1偏波保持入力ファイバと第2偏波保持入力ファイバとを有する偏波保持溶融ファイバカプラを備えている、
請求項14に記載の分散型センシング装置。
【請求項16】
前記結合ユニットは、前記後方散乱信号を受信するための光ファイバを備えており、
前記偏波感度素子は、前記後方散乱信号を受信するための光ファイバと、前記第1偏波保持入力ファイバおよび第2偏波保持入力ファイバのうちの1つとの間のスプライス接続を備えている、
請求項15に記載の分散型センシング装置。
【請求項17】
前記分散型センシング装置は、3つの出力偏波ビームスプリッタを備えており、
各出力偏波ビームスプリッタは、同一の溶融ファイバカプラのそれぞれの出力に光通信している、
請求項14~16のいずれか一項に記載の分散型センシング装置。
【請求項18】
前記結合ユニットは第1信号トリプルおよび第2信号トリプルを提供するように構成されており、
前記第1信号トリプルは、前記後方散乱信号に由来する前記第1信号と、前記基準信号に由来する前記第1信号との重ね合わせによって形成されており、
前記第2信号トリプルは、前記後方散乱信号に由来する前記第2信号と、前記基準信号に由来する前記第2信号との重ね合わせによって形成されており、
前記信号処理ユニットは、前記第1信号トリプルおよび前記第2信号トリプルに由来する情報を処理して、前記分散型センシングデータを提供するように構成されている、
請求項1~17のいずれか一項に記載の分散型センシング装置。
【請求項19】
前記1つまたは複数の溶融ファイバカプラは、非偏波保持溶融ファイバカプラを備えている、
請求項1~18のいずれか一項に記載の分散型センシング装置。
【請求項20】
前記結合ユニットは、ファイバ光構成要素のみで形成されている、
請求項1~19のいずれか一項に記載の分散型センシング装置。
【請求項21】
前記1つまたは複数の溶融ファイバカプラは、1つまたは複数のM×N溶融ファイバカプラを備えており、Mは2以上であり、Nは3以上である、
請求項1~20のいずれか一項に記載の分散型センシング装置。
【請求項22】
前記1つまたは複数の溶融ファイバカプラは、1つまたは複数の3×3溶融ファイバカプラを備えている、
請求項1~21のいずれか一項に記載の分散型センシング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散型センシング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
OTDR(Optical Time Domain Reflectometry:光学時間領域反射率測定法)は、光ファイバの環境における物理量を測定するために、検出用光ファイバに光を入射し、その後方散乱光を分析する分散型ファイバ検出法である。温度、ひずみ、振動、または音場の測定や、検出用ファイバの特性評価やモニタリング(曲げ損失や破損の局所化など)に使用される。
【0003】
既知の光学時間領域反射率測定法には、コヒーレント光学時間領域反射率測定法(C-OTDR)と偏波光学時間領域反射率測定法(P-OTDR)があり、環境変化が後方散乱光の位相(C-OTDR)と偏波状態(P-OTDR)に与える影響を利用している。
【0004】
既知の光学時間領域反射率測定法復調アルゴリズムの中には、C-OTDRの場合、位相が120°離れた信号同士を備えている信号トリプルを入力とするものがある。このような信号に基づく適切な復調アルゴリズムは、当業者にはそれ自体が既知である。例えば、非特許文献1や、非特許文献2などが参考になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】M.D.Toddら「Passive, light intensity-independent interferometric method for fiber Bragg grating interrogation」、Electronics Letters 28th October 1999年, Vol.35 No.22
【非特許文献2】Charles B. Cameronら「A Symmetric Analogue Demodulator for Optical Fiber Interferometric Sensors」、[1991年] Proceedings of the 34th Midwest Symposium on Circuits and Systems
【非特許文献3】A.GaltarossaおよびL.Palmieri、OFS-25、SPIE論文10323-564、2017年
【非特許文献4】Xiang Zhongら,「Influences of laser source on Phase-sensitivity optical time-domain reflectometer-based distributed intrusion sensor」, Applied Optics, Vol 53, Issue 21, pp.4645-4650 (2014年)
【非特許文献5】P.J. Reyes-Iglesiasら,「Colorless monolithically integrated 120° downconverter」,Optics Express, Vol.21, Issue 20, pp.23048-23057 (2013年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
分散型センシング装置を改善する余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書では、OTDR(Optical Time Domain Reflectometry:光学時間領域反射率測定法)またはOFDR(Optical Frequency Domain Reflectometry:光学周波数領域反射率測定法)に基づく分散型センシング装置を提供する。本装置は、光源と、該光源と光通信する光スプリッタであって、第1出力および第2出力を有する光スプリッタと、該光スプリッタの第1出力と光通信する検出ファイバと、該光スプリッタの第2出力に由来する基準信号と該検出ファイバに由来する後方散乱信号とを結合するように配置された結合ユニットと、を備える。結合ユニットは、1つまたは複数の溶融ファイバカプラ(fused fibre couplers)を備えている。
【0009】
分散型検出装置は、1つまたは複数の偏波感度素子を備える偏波ダイバーシティ配置を備えている。偏波ダイバーシティ方式は、後方散乱信号に由来する第1信号の偏波を、基準信号に由来する第1信号にアライメントするように構成されている。偏波ダイバーシティ方式はさらに、後方散乱信号に由来する第2信号の偏波を、基準信号に由来する第2信号にアライメントするように構成されている。
【0010】
結合ユニットは、少なくとも3つの出力を備えていてもよい。分散型センシング装置は、分散型センシングデータを提供するように、少なくとも3つの出力に由来する情報を処理するように構成された信号処理ユニットを備えてもよい。いくつかの実施形態では、結合ユニットは、6つの出力を備えていてもよい。
【0011】
いくつかの実装では、1つまたは複数の溶融ファイバカプラは、少なくとも3つの出力を有する溶融ファイバカプラを備えてもよい。溶融ファイバカプラは、カプラの第2出力と第1出力との間に位相シフト(例えば120°の位相シフト)を提供し、カプラの第2出力と第3出力との間に位相シフト(例えば120°の位相シフト)を提供するように構成されてもよい。いくつかの実装では、1つまたは複数の溶融ファイバカプラは、3つの出力を有する第1溶融ファイバカプラと、3つの出力を有する第2溶融ファイバカプラとを備えていてもよい。第1溶融ファイバカプラは、出力間の位相シフト(例えば120°の位相シフト)を提供するように構成されていてもよく、第2溶融ファイバカプラは、出力間の位相シフト(例えば120°の位相シフト)を提供するように構成されていてもよい。
【0012】
したがって、結合ユニットは、少なくとも1つの信号トリプルを提供してもよいことが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、結合ユニットは、第1信号トリプルおよび第2信号トリプルを提供してもよい。
【0013】
様々な実施形態において、1つまたは複数の溶融ファイバカプラは、1つまたは複数のM×N溶融ファイバカプラを備えている。M×N溶融ファイバカプラは、M個の入力とN個の出力を有する溶融ファイバカプラである。Mは2以上であってもよく、Nは3以上であってもよい。
【0014】
いくつかの例では、1つまたは複数の溶融ファイバカプラは、1つまたは複数の3×3溶融ファイバカプラを備える。3×3溶融ファイバカプラは、3つの入力と3つの出力を持つように形成された溶融ファイバカプラである。いくつかの実装では、3×3溶融ファイバカプラの入力のすべてが使用されるとは限らず、例えば、本明細書で説明するいくつかの実装では、3×3溶融ファイバカプラの入力のうち2つのみが実際に使用される。
【0015】
いくつかの実装では、3つよりも多くの出力、例えば6つの出力(すなわち、Nは6に等しい)を有し、出力間で60°の位相シフトを有するM×N溶融ファイバカプラを採用することができる。
【0016】
様々な実施形態において、結合ユニットは、第1信号トリプルおよび第2信号トリプルを提供するように構成されており、第1信号トリプルは、後方散乱信号に由来する第1信号と、基準信号に由来する第1信号との重畳によって形成され、第2信号トリプルは、後方散乱信号に由来する第2信号と、基準信号に由来する第2信号との重畳によって形成されている。信号処理ユニットは、分散型センシングデータを提供するように、第1信号トリプルおよび第2信号トリプルに由来する情報を処理するように構成されてもよい。C-OTDRの場合、復調アルゴリズムが各偏波トリプルに対して個別に実行され、結果として得られた位相情報が結合(例えば、追加)されることがある。また、各偏波の位相データに対してさらなる処理(例えば、時間的または空間的な平滑化、ノイズ帯域幅のフィルタリング、または時間領域データのスペクトル分析)が行われてもよく、これらの処理ステップの結果が組み合わされて(例えば追加されて)もよい。
【0017】
様々な実施形態では、第1信号トリプルおよび第2信号トリプルは、一緒になって、3つの信号ペアを定義し、各ペア内の信号は、直交する偏波を有する信号に由来するものである。
【0018】
本明細書では、PM(polarization-maintaining)という用語は偏波保持を意味し、PMFという用語は偏波保持光ファイバを意味する。一方、SMFという用語は、偏波保持型ではないシングルモード光ファイバを意味する。同様に、本明細書において、例えばカプラやスプリッタなどのデバイスを説明するために使用されるSM(シングルモード)という用語は、そのデバイスが偏波保持ではないことを意味している。
【0019】
当業者であれば理解できるように、本明細書で使用される「光」(light)という用語は、可視光に限定されるものではなく、代わりに以下のような任意の適切な電磁放射を含んでいる。赤外線(近赤外光、遠赤外光を含む)、可視光、紫外線など、あらゆる適切な電磁放射が含まれる。同様に、本明細書で使用されている用語「光学」(オプティカル)は、電磁スペクトルの可視部分のみに関連すると理解すべきではなく、代わりに、可視か否かにかかわらず、任意の適切な波長の光に関連する。
【0020】
本発明をより容易に理解できるように、以下、その実施形態を添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】OTDR(Optical Time Domain Reflectometry:光学時間領域反射率測定法)に基づく分散型センシング装置の一例を示す。
【
図2】ヘテロダイン受信機の光学的方式の一例を示す。
【
図3】
図2の光学的方式の任意の拡張例を示す図である。
【
図4】ヘテロダイン受信機の光学系の別の例を示す図である。
【
図5】ヘテロダイン受信機の光学的方式のさらに別の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
同様の参照番号は、図面全体で同様の要素を示すことに注意されたい。
本明細書に記載されている様々な実装は、分散型センシングのためのコヒーレント検出を利用すると同時に、偏波フェージングや、強い局部発振器(LO)の相対強度ノイズ(RIN)の影響などの欠点を回避する。
【0023】
OTDR(光学時間領域反射率測定法)を用いた分散型センシング装置の一例を
図1に示す。示すようにこの装置は、レーザなどの狭帯域光源の形をした光源101と、光スプリッタ102と、検出ファイバ107と、受信機109と、受信機109の出力を電気信号に変換して当該電気信号をデジタル化するための変換およびデジタル化装置111と、信号処理ユニット113とを備えている。様々な実施形態において、スプリッタ102は、光ファイバスプリッタを備えていてもよい。
【0024】
図1の実装では、レーザ光源101の連続波(cw)出力を光スプリッタ102で分割するコヒーレント検出方式を採用している。分割比は、レーザ101の出力パワー、局部発振信号(LO)103の必要な光パワー、および上部光路104の必要な光パワーに応じて選択することができる。この上部光路104の光は、光変調器105によって光パルスを形成するように整形される。この光変調器105は、任意に周波数シフトを導入してもよい。光増幅器(図示せず)は、任意に、パルスパワーを強化してもよい。光サーキュレータ106は、パルスを検出ファイバ107に発射し、前方に伝搬する光パルスのごく一部が散乱され、再捕捉された後、後方に伝搬する。
【0025】
後方散乱された光信号108(B)は、例えば10μs/kmの遅延でサーキュレータに到着し、受信機109に方向転換される。受信機109のための異なる例示的な光学方式を、
図2~
図5を参照して以下に説明するが、これらは、検出における偏波ダイバーシティと、局部発振信号LOおよび後方散乱光信号Bの重ね合わせとを達成するために使用することができる。これらおよび他の様々な例示的な実装において、受信機109における局部発振信号LOと後方散乱信号Bの重ね合わせは、標準的な溶融ファイバ光学系、特に1つまたは複数の溶融ファイバ3×3カプラのみを使用して達成される。このようなカプラは、出力間に120°の位相シフトを持つ1:1:1の分割比を有してもよい。
【0026】
受信機109は、
図1~
図5を参照して以下で詳細に説明するように、採用される光学方式に応じて、3つまたは6つの出力を有することができる。出力は、
図1のライン110で表されている。
【0027】
信号110は、変換およびデジタル化装置111を用いて、時分割で電気信号112に変換される。この変換およびデジタル化装置111は、フォトダイオードを備えており、任意に増幅ステージまたは帯域フィルタが続く。変換およびデジタル化装置111はさらに、電子信号をデジタル化するためのアナログ/デジタル変換器(ADC)を備えている。
【0028】
変換およびデジタル化装置111によって生成されるデジタル信号112の数は、採用される光学方式に応じて、3つまたは6つのいずれかであってよい。これらのデジタル信号は、
図1ではライン112として描かれている。
【0029】
デジタル信号112は、信号処理ユニット113(例えば、FPGA、CPUなどのマイクロプロセッサ)に入力される。ここでは、記録された後方散乱データを慎重に分析することで、検出ファイバ107の環境における物理量の分散型センシングが達成される。C-OTDRに基づく例示的な実装に関連して、受信したデジタル信号112に基づいて分散型センシングデータを提供するための適切な復調アルゴリズムは、当業者にはそれ自体既知であり、ここでは説明しない。
【0030】
[実施例]
図1に示すように、光学時間領域反射率測定法OTDR方式は、偏波ダイバーシティおよびコヒーレント検出に適合した受信機109の形態の結合ユニットを備えていることができる。以下の様々な実施例を説明する際に、受信機109は、光「ヘテロダイン」受信機109と呼ばれることがある。その際、後方散乱信号Bと局部発振信号LOの周波数がシフト/相違していてもよいし、それらが等しくてもよいことが理解されるであろう。後者の場合、検出方式はホモダインと呼ばれることもある。しかし、本明細書では、両方のオプション(すなわち、周波数シフトの有無)は、ヘテロダインという用語に含まれる。このような検出方式は、本明細書では、代替的かつ等価的に「コヒーレント検出」方式と呼ばれることがある。
【0031】
光ヘテロダイン受信機109の第1実施形態が
図2に描かれている。後方散乱された光信号(B)108を備えているシングルモード光ファイバ(SMF)201は、後方散乱信号Bを、直交する線形偏波状態(SOP:State of Polarization)B-1_203とB-2_204を持つ2つの偏波成分に分割するファイバ光偏波ビームスプリッタ(PBS)202に接続されている。偏波フェージングによって後方散乱信号Bの偏波状態SOPが変化するため、第1偏波成分B-1と第2偏波成分B-2の光パワーは一定ではなく相補的であり、偏波ビームスプリッタPBSにおけるそれぞれの偏波方向に平行に偏波している後方散乱信号Bの割合を反映している。偏波ビームスプリッタPBSは、第1偏波成分B-1と第2偏波成分B-2をそれぞれ備えている2本の出力偏波保持ファイバ(PMF)203と204を備えている。
【0032】
次のステップでは、第1偏波成分B-1は溶融偏波保持型(PM)3×3カプラ205に導かれ、第2偏波成分B-2は偏波保持PM溶融型3×3カプラ206に導かれる。各カプラは1つの動作軸(Working axis)で機能しており、すなわち偏波保持光ファイバPMFの他の軸の光は1:1:1の比率と出力間で120°の位相シフトとでは分割されない。203と204は偏波保持光ファイバPMFなので、第1偏波成分B-1と第2偏波成分B-2の偏波状態SOPは伝搬中には変化せず、偏波保持光ファイバPMFの遅軸(slow軸)または速軸(fast軸)に収められる。融合3×3カプラ205、206は、入力偏波保持光ファイバPMF203、204の対応する動作軸で動作するように設計されている。
【0033】
局部発振信号LO103は、光ファイバ207で受信され、ヘテロダイン検出のためにB-1、B-2と重ね合わせされる2つの成分を作成するために、分割構成要素208に導かれる。
【0034】
ここで、2つのバージョンを区別する必要がある。第1バージョンでは、局部発振信号LO103を備えている偏波保持光ファイバPMF207が、1:1の分割比を持つ光偏波保持PMスプリッタ208に接続されている。カプラは、偏波保持光ファイバPMF207の対応する動作軸上で動作する。好ましい分割比は、2つの溶融3×3カプラに局部発振信号LOパワーを均等に分配するために、1:1である。しかし、他の分割比を選択してもよい。第2バージョンでは、208は、入力ファイバの動作軸が偏波ビームスプリッタPBSの直交偏波方向同士に対して45°にアライメントされた偏波ビームスプリッタPBSである。
【0035】
どちらのバージョンも、局部発振信号LO103の光パワーを、2つの信号である第1局部発振信号LO-1と第2局部発振信号LO-2に分割するというタスクを達成し、第1局部発振信号LO-1と第2局部発振信号LO-2のそれぞれは偏波保持光ファイバPMF209と偏波保持光ファイバPMF210によって3×3カプラ205と206に向けられる。ここでも、偏波状態SOPは保持される。なお、偏波保持ファイバ203、204、209、210の動作軸は同一であり、3×3カプラ211、212の第3入力ポートは使用されていない。
【0036】
偏波ダイバーシティヘテロダイン検出は、3×3カプラにおける信号ペア(第1偏波成分B-1、第1局部発振信号LO-1)および(第2偏波成分B-2、第2局部発振信号LO-2)の重ね合わせによって達成される。このようにして、任意の偏波状態SOPの受信された後方散乱光は、信号強度を損なうことなく、局部発振信号LOの対応する部分と重ね合わされる。直交する2つの偏波状態SOPのそれぞれについて3つの出力信号が生成され、合計6つの出力偏波保持光ファイバPMF213、214、215、216、217、218は、出力信号を次のセクション111に導く。
【0037】
本明細書では、6つの出力信号をH-pqとラベル付けし、p=1,2は2つの直交偏波状態SOPを区別し、q=1,2,3の状態は3×3カプラの3つの出力を意味する。信号トリプル(H-11,H-12,H-13)および(H-21,H-22,H-23)は、それぞれC-OTDRまたはP-OTDR(復調、偏波状態SOP変化の分析、後述する相対強度ノイズRINの抑制)を実行するのに適している。
【0038】
図2の実施形態を任意に拡張したものを
図3に示す。この拡張機能は、後方散乱信号の全パワーのみが分散型センサの関心事である場合に使用することができる。この場合、
図3に示す光学方式を使用して、検出および処理が必要な光信号の数を減らすことができる。また、
図3の光学的方式は、相対強度ノイズRINの抑制にも利用できる。
【0039】
信号ペア(H-11,H-21)、(H-12,H-22)、および(H-13,H-23)はそれぞれ、偏波状態SOPが直交するが位相シフトが同じ(0°、120°、または240°)である2つの信号を備える。これらの信号は、それぞれ偏波保持PMの偏波ビームスプリッタPBS301,302,または303のいずれか一つに入射し、入力偏波保持光ファイバPMFの遅軸で偏波ビームスプリッタPBSに入射した光は出力ファイバ304,305,306で結合される。
【0040】
ここで、2つのバージョンを区別することができる。第1バージョンでは、ファイバ304、305、306は偏波保持光ファイバPMFであり、それぞれが信号ペア(H-11,H-21)、(H-12,H-22)、(H-13,H-23)のうちの1つを含んでおり、各信号は偏波保持光ファイバPMFの主軸の1つに別々に導かれる。第2バージョンでは、ファイバ304、305、306はシングルモード光ファイバSMFであり、それぞれが各ペアの2つの信号のベクトル和を含んでいる。どちらのバージョンでも、2つの信号の和はフォトダイオードによって検出され、分散型センシングに使用される。
【0041】
図4は、光ヘテロダイン受信機109の光学方式の別の例を示している。この例では、3×3カプラ403を1つだけ使用している。
図4に示すように、後方散乱信号Bは、シングルモード光ファイバSMF201からスプライス接続402を介して偏波保持光ファイバPMF401に伝送される。このとき、偏波保持光ファイバPMF401の偏波状態SOPがスプライス接続402の主軸の一方に完全に一致していないと、光パワーはスプライス接続402の両軸に結合される。その結果、偏波保持光ファイバPMF401内の後方散乱信号Bの変化する偏波状態SOPは、スプライス接続402の速軸と遅軸の変化するパワーレベルに変換される。信号B-1およびB-2は、それぞれ一方の軸に導かれる。
【0042】
偏波保持光ファイバPMF207には、両方の軸に、すなわち第1局部発振信号LO-1と第2局部発振信号LO-2に、同量の局部発振信号LO光が含まれていることが望ましい。後方散乱信号Bと局部発振信号LOのヘテロダインは、十分に低いクロストークで両軸で機能する溶融偏波保持光ファイバPMF3×3カプラ403で行われる。つまり、入力ファイバの遅軸の光は、他の遅軸からの光とのみ重なり、速軸ではその逆となる。要するに、このカプラ403は、2つの溶融3×3カプラを1つのデバイスに統合したものである。なお、カプラ403の入力ポート404は未使用である。
【0043】
3つの出力偏波保持光ファイバPMF304、305、306はそれぞれ、信号ペア(H-11、H-21)、(H-12、H-22)、(H-13、H-23)のうち1つを備えており、各信号は偏波保持光ファイバPMFの主軸の1つに導かれる。後方散乱信号Bの合計パワーのみが注目される場合には、各ペアの信号の合計を検出することができる。
【0044】
後方散乱信号Bの両方の偏波成分が必要な場合には、出力偏波保持光ファイバPMF304、305、306はそれぞれ偏波ビームスプリッタPBS405、406、407に接続される。ここで、信号ペアは分割され、各信号は偏波保持光ファイバPMF213~218のいずれか一つの主軸に別々に出射される。6つの別々の信号は、1つの溶融ファイバ3×3カプラを用いた偏波多様(ダイバース)ヘテロダイン検出を構成し、上で概説したように分散型センシングに利用することができる。
【0045】
図5は、光ヘテロダイン受信機109の別の実施形態を示している。この例では、ヘテロダイン検波のために、低コストで性能の良い溶融シングルモード光ファイバSMF3×3カプラを採用している(後述)。直交する2つの偏波信号B-1とB-2への後方散乱信号Bの分割は、構成要素201~204を用いて
図2と同じように行われる。
【0046】
局部発振信号LO103は、本実施形態の異なるバージョンでは、異なる分割を行ってもよい。第1バージョンでは、シングルモード光ファイバSMF501は、第2光シングルモードSMスプリッタ502に接続される局部発振信号LO103を備えている。好ましい分割比は、2つの溶融3×3カプラに局部発振信号LO電力を均等に分配するために、1:1である。しかし、他の分割比を選択してもよい。第2スプリッタ502の出力は、シングルモード光ファイバSMF503と504で構成されている。第2バージョンおよび第3バージョンは、
図2の議論で提示された局部発振信号LO103を分割する2つの互いに異なるバージョンと同一である。特に、第2バージョンおよび第3バージョンでは、ファイバ501、503、および504は、偏波保持光ファイバPMFを備える。第2バージョンでは、第2スプリッタ502は、偏波保持PMスプリッタで構成されている。第3バージョンでは、第2スプリッタ502は偏波ビームスプリッタPBSで構成されている。
【0047】
3つのバージョンとも、局部発振信号LO_103の光パワーを2つの信号としての第1局部発振信号LO-1と第2局部発振信号LO-2に分割するというタスクを達成し、これらの信号は溶融シングルモード光ファイバSMFの3×3カプラ505,506に導かれる。したがって、局部発振信号LOと後方散乱信号Bは、シングルモード光ファイバSMF入力507、508、509、510、511、512(507と512は未使用)を構成する溶融シングルモード光ファイバSMF3×3カプラ505、506において重畳される。
【0048】
ここで、
図5の上側の枝(第1カプラ505)を参照して、溶融シングルモード光ファイバSMF3×3カプラ505と506で偏波多様(ダイバース)なヘテロダインを確保するための解決策を説明する。この手順は、第2カプラ506に接続された下側の枝にも同様に適用される。偏波保持光ファイバPMF203は、偏波保持光ファイバPMFからシングルモード光ファイバSMFへのスプライス遷移を構成する構成要素513を介して、シングルモード光ファイバSMF508に接続されている。シングルモード光ファイバSMF508では、複屈折によって、第1カプラ505への伝搬中に第1偏波成分B-1の偏波状態SOPが変化し、第1カプラ505で第1偏波成分B-1の偏波状態SOPが未定義になる可能性がある。しかし、環境的な影響が設定を妨げない限り、偏波状態SOPは変化しない。第1偏波成分B-1と重畳されるべき第1局部発振信号LO-1は、構成要素514を介してシングルモード光ファイバSMF509に伝送される。光方式の第2バージョンおよび第3バージョン(上記参照)では、偏波保持光ファイバPMFからシングルモード光ファイバSMFへのスプライス遷移を構成する構成要素514も提供されてもよい。この場合も、第1カプラ505における第1局部発振信号LO-1の偏波状態SOPは未定義であるが、固定されていてもよい。
【0049】
第1偏波成分B-1および第1局部発振信号LO-1の平行偏波を保証するために、構成要素513および/または514は、本明細書では偏波コントローラPCと呼ばれる、伝播する光の偏波状態SOPを制御する装置または配置をさらに備えてもよい。513または514のいずれかの偏波コントローラPCを使用して、第1偏波成分B-1および第1局部発振信号LO-1の偏波状態SOPは、可能な限り最大のヘテロダイン効果を得るために、すなわち、θをゼロに調整することによって以下の式(1)の右項を最大にするために、一致させることができる。ここで強調しておきたいのは、偏波コントローラPCを使用せずに、ホモダイン信号トリプル(H-11,H-12,H-13)および(H-21,H-22,H-23)の強度は、それぞれ第1カプラ505および第2カプラ506における4つの信号の任意の偏波方向によって決定されるということである。それぞれの具体的な構成に応じて、同じ実施形態の個々の互いに異なるユニットは互いに異なる性能を発揮する。ヘテロダイン信号の強さが消えてしまい、分散型のセンシングができなくなる可能性がある。
【0050】
使用され得る偏波コントローラPCの例としては、裸のファイバまたはジャケットファイバが圧力および回転にさらされる手動の偏波コントローラなどが挙げられるが、手動の偏波コントローラに限定されない。この種の偏波コントローラPCは、構成要素513の後ろのシングルモード光ファイバSMF508を回転させたり、構成要素513の前の偏波保持光ファイバPMF203を回転させたり、構成要素513内のスプライス遷移を回転させたりすることができる自作の装置である可能性が非常に高い。代替的または追加的に、回転可能なインライン偏波子を採用して、偏波コントローラPCとスプライス遷移を組み合わせて機能させることもできる。電子的または熱的に制御された偏波コントローラPCも可能である。
【0051】
ペア(513,514)および(515,516)の各1つを備えている4つの構成要素513~516のうちの合計2つは、複数の溶融シングルモード光ファイバSMF3×3カプラを用いた光偏波ダイバーシティおよびホモダイン検出のための偏波コントローラPCを備えていてもよい。6つの出力信号H-pqは、シングルモード光ファイバSMF517~522に含まれる。
【0052】
図3に示した実施形態との類似性によって、後方散乱信号Bの全パワーのみがデータ処理の対象となる場合には、
図5に示した実施形態の拡張が可能であることに気付く。この場合、シングルモード光ファイバSMF出力517~522と、その結果としての偏波ビームスプリッタPBS301~303の入力ファイバへのシングルモード光ファイバSMFから偏波保持光ファイバPMFへの遷移とのために、
図3に示された光学的セットアップを変更することができる。偏波ビームスプリッタPBS301~303の各入力脚に別の構成要素513~516を追加すると、第1カプラ505および第2カプラ506の6つの出力信号すべてを偏波ビームスプリッタPBS301~303の適切な主偏波軸へと打ち出すために、シングルモード光ファイバSMF出力517~522の偏波状態SOPを調整する機会が得られる。これによって、
図3の拡張機能は、溶融シングルモード光ファイバSMF3×3カプラに基づいて
図5の実施形態に適用することができる。
【0053】
[実施例のまとめ]
前述から理解されるように、様々な実施形態は、溶融ファイバ光構成要素に基づくパッシブ偏波ダイバーシティ方式を提供し、同時に少なくとも1つの溶融3×3カプラを使用してヘテロダイン検出を行う。これによって、複数の問診パルスを必要とすることなく、偏波フェージングの問題を解決することができる。
【0054】
このように、様々な実施形態では、少なくとも1つのシングルモードSMまたは偏波保持PMの溶融3×3カプラ、標準的な低コストのファイバ光構成要素、およびシングルエンドの検出チャネルのみを使用して、ヘテロダイン検出と組み合わせた偏波ダイバーシティ検出を提供している。このため、本実施形態では、後方散乱信号Bおよび局部発振信号LOの適切な構成要素を生成し、溶融3×3カプラでの重ね合わせ時に後方散乱信号Bおよび局部発振信号LOの偏波状態SOP(State of Polarization)を一致させるためのさまざまなソリューションを提供している。
【0055】
様々な実装は、特に分散型音響センシング(DAS)に適用することができるが、それだけではない。分散型音響センシング(DAS)では、検出ファイバの近傍における音響または振動の摂動を監視し、その大きさと周波数を特徴付けることができる。分散型音響センシングDASの利点は、3×3カプラのヘテロダイン出力信号が、復調方式や、音響摂動の周波数を明確に決定するのに有益であることである。分散型音響センシングDASシステムは、パイプライン、ボーリング、電力ケーブル、道路や鉄道の監視、資産や国境の監視などの用途で、音響や振動の摂動を分散してセンシングすることがよく行われる。
【0056】
さらに、様々な実施形態は、後方散乱光の強度のみを、または後方散乱光の偏波状態(SOP)を、またはその両方の組み合わせを分析することで、温度、歪み、または光ファイバの状態を監視する目的にも適用可能である。いくつかの実施形態では、ポラリメトリ解析は、磁場、応力、曲げ、または捩りによって誘発される複屈折の測定に使用することができる。非特許文献3を参照されたい。
【0057】
様々な実施形態では、全後方散乱信号パワーに含まれるか、または互いに異なる偏波について別々に検出された複数の後方散乱パワーに含まれる、所望の量を測定するために必要な情報は、古典的OTDRまたは偏波-OTDRに適用される(位相に関する情報を持つ必要がない場合には、復調の必要がないことに注意)。全後方散乱パワーが十分な場合、提案された方式の修正された実施形態を採用することができ、3つの信号のみを検出し、デジタル化し、処理する必要があるため、パッシブな偏波ダイバーシティ検出を確保しつつ、電子機器およびデータ処理のリソースを節約することができる。
【0058】
さらに、様々な実装では、検出された信号からレーザ相対強度ノイズRINを効果的に除去するために、3×3カプラに固有の信号を提供している。バランス型受信機とは対照的に、3×3カプラの適切な3つの出力信号を組み合わせることで、デジタルデータ処理において相対強度ノイズRINを除去することができる。
【0059】
[総論]
上述したように、本明細書に記載されている様々な方法は、光学時間領域反射率測定法OTDR(Optical Time Domain Reflectometry)に基づく分散型センシングに関するものであり、この方法では、1つまたは複数の問診パルスが検出ファイバに注入され、後方散乱光が、到着時間、強度、偏波および/または位相に関して分析される。OTDRの一般的な原理は、当業者にはよく知られているため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0060】
様々な実施形態では、ヘテロダイン検出方式が採用されており、後方散乱信号(B)は、M×Nカプラ内(例えば、光カプラ装置内、またはM×N光ハイブリッドカプラ内)の光局部発振器(LO)と重畳される。ここで、Mはカプラへの入力の数であり、Nは出力の数である。後方散乱信号Bと局部発振信号LOの重ね合わせには、2以上のMが使われることがある。
【0061】
ヘテロダイン検出にはいくつかの利点があるが、同時に、センサファイバ全体に分散したセンサを常に良好に動作させることや検出距離を長くすることを妨げる欠点もある。これらのトレードオフについては、以下のセクションで詳しく説明する。様々な実施形態は、利点を保持しつつ、ヘテロダイン検出の複数の問題に対する解決策を提供する。
【0062】
後方散乱信号Bと局部発振信号LOの周波数は、シフトしていても、異なっていてもよいし、同じであってもよい。後者の場合、検出方式はホモダインと呼ばれることもある。しかし、本明細書では、両方のオプション(すなわち、周波数シフトが有る場合と無い場合)をヘテロダインという用語に含めている。
【0063】
局部発振信号LOと後方散乱信号Bの重畳による光パワーは、次のように表すことができる。
式(1):PH=PLO+PB+(2√(PLOPB))cos(φ)cos(θ)。
【0064】
ここで、PLOとPBはそれぞれ、局部発振信号LOと後方散乱信号Bの光パワーである。右辺の項は、2つの入力光電界の重ね合わせによって作られ、通常、分散型センシングの基礎となる。コサイン関数の引数は、局部発振信号LOと後方散乱信号Bとの間の位相差φ(光カプラによって導入される位相シフトを含む)、および局部発振信号LOと後方散乱信号Bとの間の2つの偏波方向の間の角度θである。
【0065】
ヘテロダイン検出の利点と欠点のいくつかについては、次の段落で詳しく説明する。
[偏波ダイバーシティ検出]
ヘテロダイン信号は、後方散乱信号Bと局部発振信号LOの間の偏波の相対的な角度θに本質的に敏感である。重ね合わせ時には、平行偏波の信号成分のみが検出される。この事実によって、偏波OTDRでは、検出ファイバの妨害が局所的にファイバの複屈折を変化させ、それによって後方散乱光の偏波状態SOPを変化させるため、検出ファイバの妨害が検出されやすくなる。しかし、この方式では、従来技術でしばしば発生していた「偏波フェージング」という重大な問題がある。
【0066】
自然に発生するひずみ誘起複屈折によって、問診光パルスと後方散乱光の偏波状態SOPは、ファイバ内を伝搬する間に変化する。ファイバの一部は、局部発振信号LOの偏波状態SOPに対してほぼ直交する偏波状態SOPを持つ後方散乱光を発する。このような場合、後方散乱光に関する情報は失われる。偏波フェージングの結果、信号品質の低い部分が生じ、最終的には環境量の信頼できる測定ができない盲点となる。これは、国境監視や資産保護などのセキュリティアプリケーションにとって、特に有害な問題である。
【0067】
従来、この問題に対処するためには、初期偏波状態SOP、周波数、または問診パルスの位相シフトを変えて問診を行い、その結果を平均化したり、組み合わせたりしていた。しかし、この方法では、センサファイバの特性を完全に把握するために必要な測定回数が通常2倍になってしまう。分散型音響センシングDASアプリケーションで偏波フェージングにこの方法で取り組むと、外部摂動の最大検出可能な音響周波数は、問診レートの4分の1にしかならない。
【0068】
本明細書に記載されている様々な実施形態では、偏波ダイバーシティ配置を実施することができる。ここでは、後方散乱信号が2つ(またはそれ以上)の互いに異なる偏波成分に分割され、それらは適切に偏波した局部発振信号LOで干渉される。結果として生じる複数のヘテロダイン信号は別々に検出され、各偏波に対して1つの別々の後方散乱信号となる。偏波フェージングを除去するために、これらの信号を組み合わせて、検出ファイバのすべてのポイントから後方散乱信号をシームレスに再構成することができる。このようにして、1つの問診パルスだけで完全な信号を捉えることができる。
【0069】
[位相復調と周波数情報]
重畳された信号は、後方散乱光の直接検出の状況とは異なり、後方散乱信号Bと局部発振信号LOとの間の位相φに敏感である。この事実を利用したシステムは、コヒーレントOTDR(C-OTDR)と呼ばれている。
【0070】
分散型音響センシングDASアプリケーションでは、事象のアラームや分類、あるいはその他の詳細な分析を行うために、外部摂動の周波数スペクトルを正しくモニターすることが必要になることがよくある。しかし、ほとんどのダイレクトODTRシステムでは、後方散乱光のパワーのみが分析されるため、位相情報が失われてしまう。一方、C-OTDRでは、局部発振信号LOとの重ね合わせによって周波数分析が可能である。これは、音響的な摂動が後方散乱光に位相変化を与え、その変化は摂動の大きさと周波数に線形に依存するためである。しかし、後方散乱信号の強度は、外部からの音響摂動の時間的変化に線形に追従しない。このような場合、課せられた位相変化と計測された信号強度との間には非線形の伝達関数が存在するため、パワーデータの周波数情報が損なわれてしまう。摂動の大きさにかかわらず、正しい周波数情報を得るためには、後方散乱光の元の位相変化を出力する復調方式を実装することができる。この情報は、音響/振動現象の真の周波数スペクトルを得るために使用できる。
【0071】
復調方式を実行するために、本明細書で説明したように、適切な信号を生成してもよい。盲点は、分散型センシングのほとんどのアプリケーションにおいて深刻な問題を構成するため、ここで説明する実施形態では、そのような信号は、偏波ダイバーシティ方式と組み合わせて作成される。
【0072】
様々な実装では、1つまたは複数の3×3光カプラの使用が説明されている。復調は、直交IQ復調(特許文献1を参照)の代わりに、結果として得られる3つの出力信号に基づいて実行されてもよい。この方法では、信号のフェージングが少なく、複雑なフリンジカウントアルゴリズムを必要とせず、光学構成要素の不完全性の影響を受けにくい。
【0073】
上述したように、復調方式では、互いに120°位相をずらした3つの信号を必要とする場合がある。これらの信号は、分割比が1:1:1の対称的な3×3カプラによって生成されてもよい。特に、ここで説明する3×3カプラは、第1出力、第2出力、および第3出力を備えてもよく、第2出力と第1出力の間には120°の位相シフトがあり、第2出力と第3出力の間には120°の位相シフトがある。
【0074】
溶融ファイバカプラを採用した本明細書に記載の実施形態は、ハイブリッド光受信機を使用する先行技術の方式に関して、性能上の利点がある。復調方式は、120°の位相シフトからのズレに敏感であるため、非対称な結合比は、復調された位相に誤差をもたらし、その結果、周波数情報が破損する可能性がある。ハイブリッド光受信機では、通常、理想的な位相シフトから±10°の典型的な偏差しか得られない。また、溶融シングルモードSM3×3ファイバカプラでは、理想的な120°の位相シフトからの偏差が1°未満であり、復調において良好な性能を発揮する。
【0075】
[レーザノイズの抑制]
ヘテロダイン検波では、通常は微弱な後方散乱信号を、電気的な増幅を必要とせずに√(PLO)倍に増幅することができ、その結果、ショットノイズの少ない性能で信号の検出が容易になることが多い。しかし、局部発振信号LOの相対強度ノイズ(RIN)が、この最適な性能を妨げることがある。局部発振信号LOの光パワーは後方散乱信号の光パワーよりも5~6桁大きいため、局部発振信号LOの相対強度ノイズRINが圧倒的なノイズ源となり、求める量を正確に測定できなかったり、事象をまったく捉えられなかったりするほど、信号品質を乱すことがある。
【0076】
局部発振信号LOの光パワーPLOと相対強度ノイズRINが一定であるのに対し、後方散乱信号のパワーPBは指数関数的に減少するため、検出距離が長くなると、このエラー源がますます支配的になる。さらに、数学的な操作によって、不確実性の伝播中に相対強度ノイズRINによってもたらされる相対的な誤差が増加する可能性があり、例えば、位相復調アルゴリズムが強度ノイズの影響を受けてしまうことがある。
【0077】
C-OTDR方式では、位相ノイズや周波数ドリフトの少ない高コヒーレンスのレーザ光源が必要になることがあるが、これには高い相対強度ノイズRINという欠点がある。例えば、非特許文献4を参照されたい。レーザの相対強度ノイズRINを低減するためのオプションは、コストや消費電力の増加につながり、また位相ノイズの増加の可能性もある。
【0078】
相対強度ノイズRINの低減は、光信号を光電変換した後に、バランス型フォトダイオードを用いて行うこともできる。慎重に調整されマッチした2つのフォトダイオード信号を各検出チャンネルに使用することができる。シングルエンドのフォト受信機と比較すると、このようなバランス型受信機のコストは非常に高価で、電気光学システムの仕様やアライメントの不備にも敏感に反応する。
【0079】
3×3カプラの出力信号は、より安価で堅牢なシングルエンド検出を可能にし、信号処理のデジタル領域で相対強度ノイズRINを低減することができる。バランスフォトダイオードと比較して相対強度ノイズRINを抑制したIQ信号を生成するためのこれらの信号の使用については、非特許文献5に記載されている。
【0080】
[溶融カプラ、シングルモード光ファイバSMFと偏波保持光ファイバPMFの比較]
溶融偏波保持PMカプラと比較して、溶融シングルモードSMファイバカプラは安価で、損失が少なく、理想値からのズレも少ない(例:1:1:1の分割比でズレ1°未満)。しかし、シングルモードSMファイバカプラでは、曲げ、圧力、熱による変形、振動などによって引き起こされる複屈折によって、光の偏波状態SOPが時間の経過や伝搬中に変化する可能性がある。一方、偏波保持PMファイバや偏波保持PMカプラでは光の偏波状態SOPが固定されているため、偏波保持PMカプラ内での2つの光場の重なりは平行偏波(θ=0)で起こる。偏波保持PMカプラを使用することで、ヘテロダイン中の局部発振信号LOと後方散乱信号Bの偏波状態SOPを一致させることができる。
【0081】
[結論]
以上のように、様々な実施形態では、3×3溶融カプラとヘテロダイン検出および偏波ダイバーシティ方式を組み合わせて、偏波フェージングや強い局部発振器(LO)の相対強度ノイズ(RIN)の影響などの欠点に取り組みながら、両方式の利点を最大限に活用することを説明した。様々な実装が、特に分散型音響センシングDASアプリケーションに適している。
【0082】
様々な実装では、システムは標準的な低コストの光ファイバと電気構成要素に基づいており、統合された光学ハイブリッドやさらなるカスタマイズの必要性を回避している。いくつかの実施形態では、シングルモードSM溶融3×3カプラを採用することができる。いくつかの実施形態では、分散型音響センシングDASセンサや他の分散型ファイバセンサを改善するために、3×3カプラの出力信号を使用してデジタル領域で相対強度ノイズRINを抑制することを説明する。
【0083】
当業者であれば、以下の特許請求の範囲に含まれる他の多くの修正および変形が明らかになるであろう。
参照を容易にするために、
図1~
図5で使用される参照符号のリストを、それらが示す要素の簡単な説明とともに以下に提供する。
【符号の説明】
【0084】
101:光源(例えば、C-OTDR用の狭帯域レーザなどのレーザ)。
102:ファイバ光スプリッタ。
103:局部発振器。
104:第2光路。
105:パルス整形および増幅用光変調器。
106:光サーキュレータ。
107:検出ファイバ。
108:検出ファイバからの後方散乱光。
109:溶融ファイバ3×3カプラに基づく偏波ダイバーシティ機能付き光ヘテロダイン受信機。
110:109の光出力信号。1本のラインとしてまとめられているが、3つまたは6つの信号である可能性もある。
111:電気信号への変換およびデジタル化。
112:デジタル信号。1本のラインにまとめられているが、3つまたは6つの信号である可能性がある。
113:信号処理ユニット。
201:検出ファイバからの後方散乱光(
図1の108)、シングルモード光ファイバSMF。
202:ファイバ光偏波ビームスプリッタ(PBS)。
203:第1偏波成分B-1を含んでいる偏波保持光ファイバPMF。
204:第2偏波成分B-2を含んでいる偏波保持光ファイバPMF。
205,206:ファイバ光溶融偏波保持光ファイバPMF3×3カプラ。
207:局部発振信号LOを含んでいる偏波保持光ファイバPMF。
208:第1バージョン:光学式偏波保持PMスプリッタ。第2バージョン:偏波ビームスプリッタPBS。
209:第1局部発振信号LO-1を含んでいる偏波保持光ファイバPMF。
210:第2局部発振信号LO-2を含んでいる偏波保持光ファイバPMF。
211:第1カプラ205の未使用の入力ポート。
212:第2カプラ206の未使用の入力ポート。
213:出力信号H-11を含んでいる偏波保持光ファイバPMF。
214:出力信号H-12を含んでいる偏波保持光ファイバPMF。
215:出力信号H-13を含んでいる偏波保持光ファイバPMF。
216:出力信号H-21を含んでいる偏波保持光ファイバPMF。
217:出力信号H-22を含んでいる偏波保持光ファイバPMF。
218:出力信号H-23を含んでいる偏波保持光ファイバPMF。
301:PFM213とPFM216からの信号を組み合わせた偏波ビームスプリッタPBS。
302:PFM214とPFM217からの信号を組み合わせた偏波ビームスプリッタPBS。
303:PFM215とPFM218からの信号を組み合わせた偏波ビームスプリッタPBS。
304~306:第1バージョン:偏波保持光ファイバPMF。第2バージョン:シングルモード光ファイバSMF。
401:スプライス接続402とカプラ403を接続する偏波保持光ファイバPMF。
402:201とPFM401の間のスプライス接続。
403:両軸で動作するファイバ光溶融偏波保持光ファイバPMF3×3カプラ。
404:カプラ403の未使用の入力ポート。
405~407:偏波ビームスプリッタPBS。
501:局部発振信号LOを含んでいるファイバ。第1バージョン:シングルモード光ファイバSMF。第2バージョンおよび第3バージョン:偏波保持光ファイバPMF。
502:局部発振信号LOを分割するための光学構成要素。第1バージョン:光シングルモードSMスプリッタ。第2バージョン:光偏波保持PMスプリッタ。第3バージョン:偏波ビームスプリッタPBS。
503:第1局部発振信号LO-1を含んでいるファイバ。第1バージョン:シングルモード光ファイバSMF。第2バージョンおよび第3バージョン:偏波保持光ファイバPMF。
504:第2局部発振信号LO-2を含んでいるファイバ。第1バージョン:シングルモード光ファイバSMF。第2バージョンおよび第3バージョン:偏波保持光ファイバPMF。
505,506:ファイバ光溶融シングルモード光ファイバSMF3×3カプラ。
507~512:シングルモード光ファイバSMF。
513~516:シングルモード光ファイバSMFから偏波保持光ファイバPMFへのスプライス遷移および/または偏波コントローラPC要素を含んでいる構成要素。
517~522:信号H-pqを含んでいるシングルモード光ファイバSMF。
【国際調査報告】