(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】ソリッドステート回路遮断器
(51)【国際特許分類】
H02H 3/08 20060101AFI20220112BHJP
H02H 3/16 20060101ALI20220112BHJP
H02H 3/00 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
H02H3/08 A
H02H3/16 B
H02H3/00 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021543973
(86)(22)【出願日】2019-10-01
(85)【翻訳文提出日】2021-06-01
(86)【国際出願番号】 US2019054102
(87)【国際公開番号】W WO2020072516
(87)【国際公開日】2020-04-09
(32)【優先日】2018-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521148739
【氏名又は名称】インテレソール エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【氏名又は名称】岡部 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100209808
【氏名又は名称】三宅 高志
(72)【発明者】
【氏名】テレフス,マーク
【テーマコード(参考)】
5G004
5G142
【Fターム(参考)】
5G004AA01
5G004AB02
5G004BA01
5G004BA03
5G004DA01
5G004DA02
5G004DA05
5G004EA01
5G142AA15
5G142AC01
(57)【要約】
回路遮断器は、ソリッドステートスイッチと、モード制御回路と、を含む。ソリッドステートスイッチは、回路遮断器のライン入力端子と負荷出力端子との間に直列に接続される。モード制御回路は、回路遮断器の動作を制御するための第1の制御モードおよび第2の制御モードを実装するように構成されている。第1の制御モードは、自己バイアスターンオン閾値電圧が生成されるまでソリッドステートスイッチをスイッチオフ状態に維持しながら、回路遮断器の電源投入中に、ソリッドステートスイッチに対して自己バイアスターンオン閾値電圧を生成するように構成されている。第2の制御モードは、自己バイアスターンオン閾値電圧を中断して、ソリッドステートスイッチをスイッチオフ状態にするように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路遮断器であって、
ソリッドステートスイッチであって、前記回路遮断器のライン入力端子と負荷出力端子との間に直列に接続されており、(i)前記ライン入力端子と前記負荷出力端子との間の電気経路に電気的接続を提供するためのスイッチオン状態、および(ii)スイッチオフ状態のうちの1つになるように構成されている、ソリッドステートスイッチと、
前記回路遮断器の動作を制御するための第1の制御モードおよび第2の制御モードを実装するように構成されたモード制御回路と、を備え、
前記第1の制御モードは、前記自己バイアスターンオン閾値電圧が生成されるまで、前記ソリッドステートスイッチを前記スイッチオフ状態に維持しながら、前記回路遮断器の電源投入中に、前記ソリッドステートスイッチに対して自己バイアスターンオン閾値電圧を生成するように構成されており、
前記第2の制御モードが、前記自己バイアスターンオン閾値電圧を中断して、前記ソリッドステートスイッチを前記スイッチオフ状態にするように構成されている、回路遮断器。
【請求項2】
前記モード制御回路が、
電圧クランプ回路と、第1の制御スイッチと、を備える、自己バイアス回路を備え、
前記電圧クランプ回路が、前記回路遮断器の前記ライン入力端子に印加される入力電源から引き出される電流を使用して、前記回路遮断器の電源投入中に前記ソリッドステートスイッチに対して前記自己バイアスターンオン閾値電圧を生成するように構成されており、
前記第1の制御スイッチは、前記ソリッドステートスイッチの制御入力を短絡させて、前記自己バイアスターンオン閾値電圧が生成されるまで、前記ソリッドステートスイッチをスイッチオフ状態に維持するように構成されている、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項3】
前記電圧クランプ回路が、並列に接続されたコンデンサおよびツェナーダイオードを備える、請求項2に記載の回路遮断器。
【請求項4】
前記自己バイアス回路が、前記第1の制御ゲートの制御ゲートに結合された抵抗器-コンデンサ(RC)ネットワークを備え、前記RCネットワークが、前記回路遮断器の前記ライン入力端子に印加された前記入力電源から引き出された電流を使用して、前記回路遮断器の前記電源投入中に充電され、前記RCネットワークが、前記回路遮断器の電源投入中に前記ソリッドステートスイッチの前記自己バイアスターンオン閾値電圧を生成するのに必要な期間以上の期間に対応するRC時間定数を有するように構成されている、請求項2に記載の回路遮断器。
【請求項5】
前記自己バイアス回路が、前記電圧クランプ回路に接続された入力と、前記第1の制御スイッチの制御ゲートに接続された出力と、を有する動作増幅器を備え、前記動作増幅器が、前記自己バイアスターンオン閾値電圧の生成中に前記第1の制御スイッチをスイッチオン状態に維持すること、および前記自己バイアスターンオン閾値電圧が生成された後に前記第1の制御スイッチをスイッチオフ状態にすることによって、前記第1の制御スイッチの動作を制御するように構成されている、請求項2に記載の回路遮断器。
【請求項6】
前記モード制御回路が、第2の制御スイッチを備え、前記第2の制御スイッチが、前記第2の制御スイッチの起動に応答して、前記ソリッドステートスイッチの制御入力を短絡させ、前記自己バイアスターンオン閾値電圧を中断して、前記ソリッドステートスイッチをスイッチオフ状態にするように構成されている、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項7】
センサ回路をさらに備え、前記センサ回路が、前記ソリッドステートスイッチを前記スイッチオフ状態にすることを保証する状態を検出したことに応答して、前記第2の制御スイッチを起動する制御信号を生成するように構成されている、請求項6に記載の回路遮断器。
【請求項8】
前記センサ回路が、前記ライン入力端子と前記負荷出力端子との間の前記電気経路内で流れる電流を検知し、故障状態を検出するように構成された電流センサを備え、前記故障状態が、短絡故障状態、過電流故障状態、アーク故障状態、および接地故障状態のうちの1つを含む、請求項7に記載の回路遮断器。
【請求項9】
前記センサ回路が、有害な環境状態を検知するように構成されている環境センサ回路を備える、請求項7に記載の回路遮断器。
【請求項10】
前記環境センサ回路が、(i)有害化学物質の存在を検出するように構成された化学物質感応型検出器、(ii)有害ガスの存在を検出するように構成されたガス感応型検出器、(iii)温度を検出するように構成された温度センサ、(iv)振動を検出するように構成された圧電検出器、および(v)湿潤環境を検出するように構成された湿度センサのうちの1つ以上を備える、請求項9に記載の回路遮断器。
【請求項11】
前記第2の制御スイッチが、フォトトランジスタを備え、前記センサ回路は、前記第2の制御スイッチが光学制御信号に応答して起動されるように、前記第2の制御スイッチに光学的に結合されている、請求項7に記載の回路遮断器。
【請求項12】
前記第2の制御スイッチが、フォトトランジスタを備え、前記第2の制御スイッチが、光学制御信号に応答して起動される、請求項6に記載の回路遮断器。
【請求項13】
請求項1に記載の回路遮断器を備える、電気回路ブレーカ。
【請求項14】
請求項1に記載の回路遮断器を備える、電気レセプタクル装置。
【請求項15】
請求項1に記載の回路遮断器を備える、電気照明スイッチ装置。
【請求項16】
回路遮断器であって、
前記回路遮断器のライン入力端子と負荷出力端子との間に直列に接続されたソリッドステートスイッチおよび空隙電磁スイッチと、
前記ソリッドステートスイッチおよび前記空隙電磁スイッチの動作を制御するように構成されたスイッチコントローラと、
前記回路遮断器の前記ライン入力端子に入力される供給電力波形のゼロ交差を検出するように構成されたゼロ交差センサと、
前記ライン入力端子と前記負荷出力端子との間の前記電気経路内で流れる電流を検知し、前記検知された電流の流れに基づいて故障状態を検出するように構成された電流センサと、を備え、
前記電流センサによる故障状態の検出に応答して、前記スイッチコントローラが、(i)前記ソリッドステートスイッチをスイッチオフ状態にし、(ii)前記ソリッドステートスイッチがスイッチオフ状態になった後に、前記空隙電磁スイッチをスイッチ開状態にするようにスイッチ制御信号を生成するように構成されており、
前記スイッチコントローラが、前記ゼロ交差センサから出力されるゼロ交差検出信号を利用して、前記供給電力波形のゼロ交差事象を検出し、前記検出されたゼロ交差事象に応答して、前記空隙電磁スイッチを前記スイッチ開状態にする、回路遮断器。
【請求項17】
前記ゼロ交差センサが、(i)電流波形、および(ii)前記供給電力波形の電圧波形のうちの少なくとも1つのゼロ交差を検出するように構成されている、請求項16に記載の回路遮断器。
【請求項18】
前記ゼロ交差センサが、前記電流波形および電圧波形の対向する半サイクル間で遷移する極性の関連する方向を検出するように構成されており、前記スイッチコントローラは、前記極性遷移が前記ソリッドステートスイッチの本体ダイオードを逆バイアスさせるときに、前記空隙電磁スイッチを前記スイッチ開状態にする、請求項17に記載の回路遮断器。
【請求項19】
前記電流センサが、短絡故障状態、過電流故障状態、アーク故障状態、および接地故障状態のうちの少なくとも1つを検出するように構成されている、請求項16に記載の回路遮断器。
【請求項20】
有害な環境状態を検知するように構成された環境センサ回路をさらに備え、前記環境センサ回路が、(i)有害化学物質の存在を検出するように構成された化学物質感応型検出器、(ii)有害ガスの存在を検出するように構成されたガス感応型検出器、(iii)温度を検出するように構成された温度センサ、(iv)振動を検出するように構成された圧電検出器、および(v)湿潤環境を検出するように構成された湿度センサ、のうちの1つ以上を備える、請求項16に記載の回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年10月1日に出願された米国特許出願第16/149,094号の一部継続出願であり、当該開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、電力制御システムおよび装置、特に、故障状態または有害状態下で電力負荷を中断するためのソリッドステート回路遮断器装置およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
電気回路遮断器は、配電システムにおいて不可欠な構成要素であり、分岐回路導体および電気負荷が過電流状態にさらされないように保護するために、しばしば、所与の建物または住宅構造内の入力高電流ユーティリティ供給回路と低電流分岐回路との間に位置付けられる。過電流状態には、過負荷状態および故障状態を含むいくつかのタイプがある。過負荷状態とは、その通常の全負荷定格を超える機器の動作、または過負荷が十分な期間持続したときに損傷または有害な過熱を引き起こすであろう、その電流容量を超える分岐回路として定義されている。故障状態は、故障のインピーダンスに応じて、通常、過負荷よりもはるかに高い過電流状態を発生させる、意図しないまたは偶発的な負荷状態を含む。最大過電流状態を発生させる故障は、短絡または「ボルテッド故障(bolted fault)」と称される。
【0004】
従来の回路遮断器は、本質的に電気機械的であり、電気接点を有し、電気接点は、オペレータレバーの手動介入によって物理的に分離されるか、故障状態の発生時に自動的に分離されるか、または電流状態を超えて延長され、この場合、回路遮断器は「トリップ」したものとみなされる。回路ブレーカの電気接点の分離は、電磁的もしくは機械的に、またはその両方の組み合わせで行うことができる。
【0005】
従来の回路遮断器の重大な問題は、それらが、それらの電気機械構造に起因して故障状態に反応するのが遅いことである。従来の回路遮断器は、通常、故障状態を隔離するために少なくとも数ミリ秒を必要とする。この反応時間の遅さは、ボルテッド故障が十分に迅速に隔離されない場合に短絡位置において発生し得る、有害な火災、電気機器の損傷、およびアークフラッシュのリスクを引き起こすため、望ましくない。アークフラッシュは、短絡状態を作り出す電気導体の電気的爆発である。アークフラッシュにおけるエネルギー放出は、端子においてで35,000°Fを超える温度を発生させることがあり、この結果、金属導体を急速に蒸発させ、溶融金属を爆破させ、また極端な力で外部に排出されるプラズマを膨張させる。したがって、アークフラッシュは、生命、財産、および電気機器にとって、特にガス漏れのリスクが著しい産業および住宅用途においては非常に有害である。
【0006】
故障の隔離が遅いことに加えて、従来の回路遮断器は、故障または長時間の過電流状態に応答して、トリップするまでの時間と電流トリップ制限値との両方に大きな変動を示す。この変動は、主に、回路ブレーカ装置の電気機械設計の制限と、取り付け時にかかる応力および温度変動などの物理的要因の影響と、に起因する。同じ種類、同じ定格、および同じメーカーの装置であっても、トリップまでの時間および電流トリップ制限値の変動は、それ自体が装置ごとに異なることがある。
【0007】
従来の回路遮断器は、これらがトリップされると、高い絶縁能力を提供する。しかしながら、これらの反応時間の遅さ、精度の欠如、および変動性の高さはすべて、非常に望ましくない特徴である。反応時間の遅さがアークフラッシュの可能性に対する保護が不十分になってしまうだけでなく、変動性の高さおよび精度の欠如により、複雑なシステム内の複数の回路遮断器間の調整がほとんど不可能になる。
【0008】
保護装置としての回路遮断器は、故障電流が回路遮断器トリップ電流定格を大幅に超える場合でも、商用ユーティリティ供給回路から故障を隔離することができなければならず、それによって、内部の単一故障点から保護されなければならない。遮断器のアンペア遮断容量(AIC)定格は、回路遮断器装置の負荷側において故障が加えられたときに、回路遮断器装置が安全に除去するであろう最大故障電流(アンペア単位)を示す。回路遮断器装置のAIC定格は、回路遮断器装置の故障を伴わずに回路遮断器装置によって遮断され得る最大故障電流を示す。AIC定格は非常に高いレベルの短絡保護を必要とし、家庭用回路遮断器はしばしばAICで定格が10,000アンペア以上である。
【発明の概要】
【0009】
本開示の実施形態は、ソースから負荷への電力を遮断するためのソリッドステート回路遮断器装置およびシステムを含む。例えば、一実施形態では、回路遮断器は、ソリッドステートスイッチと、モード制御回路と、を備える。ソリッドステートスイッチは、回路遮断器のライン入力端子と負荷出力端子との間に直列に接続されており、(i)ライン入力端子と負荷出力端子との間の電気経路に電気的接続を提供するためのスイッチオン状態、および(ii)スイッチオフ状態のうちの1つになるように構成されている。モード制御回路は、回路遮断器の動作を制御するための第1の制御モードおよび第2の制御モードを実装するように構成されている。第1の制御モードは、自己バイアスターンオン閾値電圧が生成されるまで、ソリッドステートスイッチをスイッチオフ状態に維持しながら、回路遮断器の電源投入中に、ソリッドステートスイッチに対して自己バイアスターンオン閾値電圧を生成するように構成されている。第2の制御モードは、自己バイアスターンオン閾値電圧を中断して、ソリッドステートスイッチをスイッチオフ状態にするように構成されている。
【0010】
別の実施形態では、回路遮断器は、ソリッドステートスイッチと、空隙電磁スイッチと、スイッチコントローラと、ゼロ交差センサと、電流センサと、を備える。ソリッドステートスイッチおよび空隙電磁スイッチは、回路遮断器のライン入力端子と負荷出力端子との間に直列に接続されている。スイッチコントローラは、ソリッドステートスイッチおよび空隙電磁スイッチの動作を制御するように構成されている。ゼロ交差センサは、回路遮断器のライン入力端子に入力される供給電力波形のゼロ交差を検出するように構成されている。電流センサは、ライン入力端子と負荷出力端子との間の電気経路内で流れる電流を検知し、故障状態を検出するように構成されている。電流センサによる故障状態の検出に応答して、スイッチコントローラは、(i)ソリッドステートスイッチをスイッチオフ状態にし、(ii)ソリッドステートスイッチがスイッチオフ状態になった後に、空隙電磁スイッチをスイッチ開状態にするようにスイッチ制御信号を生成するように構成されている。スイッチコントローラは、ゼロ交差センサから出力されるゼロ交差検出信号を利用して、供給電力波形のゼロ交差事象を検出し、検出されたゼロ交差事象に応答して空隙電磁スイッチをスイッチ開状態にする。
【0011】
他の実施形態は、添付の図面と併せて読まれるべき実施形態の以下の詳細な説明で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】回路遮断器の従来の実施形態を概略的に示す。
【
図1B】回路遮断器の別の従来の実施形態を概略的に示す。
【
図1C】回路遮断器の別の従来の実施形態を概略的に示す。
【
図2】本開示の一実施形態による、ソリッドステート回路遮断器を概略的に示す。
【
図3】本開示の別の実施形態による、ソリッドステート回路遮断器を概略的に示す。
【
図4】本開示の別の実施形態による、ソリッドステート回路遮断器を概略的に示す。
【
図5】本開示の別の実施形態による、ソリッドステート回路遮断器を概略的に示す。
【
図6】本開示の別の実施形態による、ソリッドステート回路遮断器を概略的に示す。
【
図7】本開示の別の実施形態による、ソリッドステート回路遮断器を概略的に示す。
【
図8】本開示の別の実施形態による、ソリッドステート回路遮断器を概略的に示す。
【
図9A】
図8のソリッドステート回路遮断器のライン側に入力された電源電圧波形を示す。
【
図9B】回路遮断器のソリッドステートスイッチがスイッチオフ状態にあり、回路遮断器の空隙電磁スイッチがスイッチ閉状態にあるときの、
図8のソリッドステート回路遮断器の負荷側の出力電圧波形を示す。
【
図10】本開示の一実施形態による、
図8のソリッドステート回路遮断器のスイッチコントローラによって実装されるスイッチ制御プロセスのフローチャートである。
【
図11A】本開示の一実施形態による、
図8のソリッドステート回路遮断器に実装することができるAC-DC変換器回路の概略ブロック図である。
【
図11B】本開示の一実施形態による、
図11AのAC-DC変換器回路の概略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、故障状態(例えば、短絡故障、過電流故障、接地故障、アーク故障など)の検出、および有害な環境状態(例えば、浸水、化学物質流出、ガス漏れなど)の検出に基づいてソースから負荷への電力を遮断するためのソリッドステート回路遮断器装置およびシステムに関して、本開示の実施形態をさらに詳細に説明する。同一または類似の参照番号が、同一または類似の特徴、要素、または構造を示すために図面全体を通して使用されており、したがって、同一または類似の特徴、要素、または構造の詳細な説明は、図面の各々に対して繰り返さないことを理解されたい。加えて、パーセンテージ、範囲などに関して本明細書で使用される「約」または「実質的に」という用語は、正確ではないが、近いまたは近似していることを示すことを意味する。例えば、本明細書で使用される「約」または「実質的に」という用語は、1%、または規定量未満などの小さな誤差が存在することを意味する。本明細書で使用される「例示的」という用語は、「例、事例、または例示として役立つこと」を意味する。「例示的」として本明細書に記載される任意の実施形態または設計は、他の実施形態または設計よりも好ましいかまたは有利であると解釈されるべきではない。
【0014】
図1Aは、回路遮断器の従来の実施形態を概略的に示す。特に、
図1Aは、ユーティリティ電源10(本明細書ではAC主電源10と称される)と、回路遮断器100によって保護される分岐回路に接続される負荷20との間に接続される回路遮断器100を示す。
図1Aにさらに示すように、回路遮断器100は、AC主電源10の高温相11(「ライン高温」と称される)と負荷20の負荷高温ライン21との間に接続され、AC主電源10の中性相12(「ライン中性」と称される)は、負荷20の負荷中性ライン22に直接接続される。
図1Aにさらに示すように、アース接地14(GND)に接合されたライン中性12が示されており、これは、当技術分野で知られているように追加の保護を提供している。
【0015】
回路遮断器100は、ACスイッチ105と、コントローラ110と、を備える。ACスイッチ105は、トライアックまたはシリコン制御整流器(SCR)を備える。トライアックスイッチ105は、コントローラ110の制御下で両方向に電流を伝導する3端子電子装置である。トライアックは、従来の壁掛け式調光スイッチに多く見られる。コントローラ110は、それらが論理ゲート、マイクロコントローラ、または従来の回路ブレーカで利用されるバイメタル曲げストリップなどの電気機械制御であるかどうかにかかわらず、多くの可能な制御実施形態の代表的なものである。コントローラ110は、位相角変調のためにトライアックスイッチ105のゲート(G)に制御信号を印加し、トライアックスイッチ105をオンおよびオフにすることができる。トライアックスイッチ105の位相角制御は、負荷20内に流れる平均電流の制御を可能にし、一般に、モータ、調光灯の速度の制御、または電気ヒータなどの制御に使用される。
【0016】
図1Bは、回路遮断器101の別の従来の実施形態を概略的に示す。回路遮断器101は、コントローラ110と、
図1Bに示すように相互接続された第1のダイオード125、第2のダイオード130、第1のトランジスタ135、および第2のトランジスタ140を備えるACスイッチと、を備える。第1および第2のトランジスタ135および140は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)装置を備える。コントローラ110は、制御信号を第1および第2のトランジスタ135および140に同時に注入することによって電流の流れを制御する。
図1Bに示されるACスイッチ構成において、電流は、AC主電源10の供給電圧波形の正の半サイクルで第1のスイッチ135および第2のダイオード130を通って流れるだけであり、一方、電流は、AC主電源10の供給電圧波形の負の半サイクルの間、第2のスイッチ140および第1のダイオード125を通って流れるだけである。
【0017】
図1Bに示される回路遮断器101の不利点は、4つの別個の要素(例えば、ダイオード125および130、ならびにBJT装置135および140)の実装を必要とすることである。さらに、BJT装置135および140は、双方向スイッチとして効率的に動作せず、離散ダイオード125および130は、双方向スイッチのために利用されなければならない。さらに、離散ダイオード125および130は、BJT装置135および140の約0.1V~0.2Vの前方バイアス電圧降下と比較して、約0.7Vの比較的大きな前方バイアス電圧降下を有する。このように、ダイオード125および130は、回路遮断器101の消費電力を増加させる。
【0018】
図1Cは、回路遮断器103の別の従来の実施形態を概略的に示す。回路遮断器103は、回路遮断器103が、第1のコントローラ110と、第1のダイオード125、第2のダイオード130、第1のトランジスタ135、および第2のトランジスタ140を備える第1のACスイッチとを備え、これらが
図1Cに示されるように相互接続されて、ライン高温11と負荷高温21との間の電気経路で双方向スイッチングを提供する点で、
図1Bの回路遮断器101と同様である。回路遮断器103は、第2のコントローラ111と、第1のダイオード145、第2のダイオード150、第1のトランジスタ165、および第2のトランジスタ170を備える第2のACスイッチと、をさらに備え、これらは、
図1Cに示されるように相互接続されて、ライン中性12と負荷中性22との間の電気経路で双方向スイッチングを提供する。トランジスタ135、140、165、および170は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタを備える。
【0019】
第1のコントローラ110は、スイッチ135および140に同時に制御信号を印加することによって電流の流れを制御し、第2のコントローラ111は、スイッチ165および170に同時に制御信号を印加することによって電流の流れを制御する。AC主電源10のAC供給電圧波形の正の半サイクルの間、電流は、(i)スイッチ135およびダイオード130を通る高温ライン経路内で、および(ii)スイッチ170およびダイオード145を通る中性ライン経路内で流れる。一方、AC主電源10のAC供給電圧波形の負の半サイクルの間、電流は、(i)スイッチ140およびダイオード125を通る高温ライン経路内で、および(ii)スイッチ165およびダイオード150を通る中性ライン経路内で流れる。ラインと中性との両方のACスイッチを同時に制御するこの構成は、二極スイッチと称され、単一のACエネルギー源から異なる位相の2つのラインに適用され得る。ラインと中性との二極スイッチングは、接地故障回路遮断器の救命用途において一般的なACスイッチング技術である。回路遮断器103は、上で考察される回路遮断器102と同様の不利点を有するが、回路遮断器が追加のダイオード145および150を有する4つの追加の別個の構成要素を含み、消費電力を増加させることによって強化される。
【0020】
図2、
図3、
図4、
図5、
図6、
図7、および
図8に示される本開示の例示的な実施形態は、入力エネルギー源と出力負荷との間に位置付けられ得る回路遮断器装置およびシステムのための新規のアーキテクチャを含む。例示的な回路遮断器は、AC主電源10および負荷20を接続するものとして一般的に示されるが、例示的な回路遮断器は、様々な装置および用途で具現化され得ることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、
図2~
図8に示される回路遮断器は、遮断器配電盤に配設された電気回路ブレーカ装置(例えば、インテリジェント型ブレーカ装置)に実装され得る。加えて、いくつかの実施形態では、
図2~
図8に示される回路遮断器は、電気レセプタクル装置、または電気照明スイッチ(例えば、壁掛け照明スイッチ、またはスマート照明器具もしくはスマート天井電球ソケットに実装される照明スイッチなど)に実装され得る。他の実施形態では、
図2~
図8に示される回路遮断器は、住宅または建物の電気ネットワーク内のギャングボックス内に配設され得、スタンドアロン型回路遮断器装置の下流の分岐回路内に接続される1つ以上の電気装置、器具、負荷などを保護するように構成され得るスタンドアロン型装置を備えてもよい。
【0021】
図2は、本開示の実施形態による、ソリッドステート回路遮断器を概略的に示す。特に、
図2は、AC主電源10と負荷20との間に接続されたソリッドステート回路遮断器200を概略的に示す。ソリッドステート回路遮断器200は、第1のソリッドステートスイッチ210、第2のソリッドステートスイッチ212、第1のモード制御回路220、第2のモード制御回路222、第1の電流センサ230、および第2の電流センサ232を備える二極単投(DPST)スイッチ回路202を備える。ソリッドステート回路遮断器200は、第1のダイオード240および第1の抵抗器250を含む第1のバイアス分岐回路と、第2のダイオード242および第2の抵抗器252を含む第2のバイアス分岐回路と、をさらに備える。第1のダイオード240および第1の抵抗器250は、ライン中性12と第1のモード制御回路220との間に直列に接続されている。第2のダイオード242および第2の抵抗器252は、ライン高温11と第2のモード制御回路222との間に直列に接続されている。
【0022】
図2の例示的な実施形態では、第1および第2のソリッドステートスイッチ素子210および212は、パワーMOSFET(金属酸化半導体電界効果トランジスタ)装置、特に、図示されるように、ゲート端子(G)、ドレイン端子(D)、およびソース端子(S)を有するN型強化MOSFET装置を備える。
図2(および本明細書で考察される他の実施形態)の例示的な実施形態では、第1および第2のソリッドステートスイッチ210および212は、P型基板本体とMOSFET装置のNドープドレイン領域との間のP-N接合部を表す、それぞれのソリッドステート本体ダイオード210-2および212-1を備える。これに関して、本体ダイオード210-1および212-1は、MOSFETスイッチ210および212の固有の素子である(すなわち、別個の素子ではない)。ソリッドステートスイッチ210および212の固有の本体-ソースダイオードは、それらがソース領域と基板本体との間の接続によって短絡される(例えば、N+ソースおよびP本体接合部は、ソース金属化を通じて短絡される)と仮定されるため、図示されないことに留意されたい。
【0023】
第1および第2のモード制御回路220および222は、(i)自己バイアスターンオン閾値電圧制御モードおよび(ii)強制ターンオフ制御モードを含む、ソリッドステート遮断器200のための複数の制御モードを実装するように構成されている。いくつかの実施形態では、自己バイアスターンオン閾値電圧制御モードは、自己バイアス回路を利用して、ソリッドステートスイッチ210および212に対して目標のターンオン閾値電圧レベルを生成する一方で、目標の自己バイアスターンオン閾値電圧レベルが達成され、ソリッドステートスイッチ210および212に印加されて、ソリッドステートスイッチ210および212をターンオンする前に、ソリッドステートスイッチ210および212がターンオンするのを防止する。
【0024】
以下にさらに詳細に説明するように、自己バイアスネットワークは、ソリッドステートスイッチ210および212のゲート端子へのゲート電圧の印加を遅延させるように構成されており、個の遅延は、自己バイアスターンオン閾値電圧レベルが生成される前に、スイッチ210および212の早期「ターンオン」を防止するのに十分な長さである。実際、ソリッドステートスイッチ210および212の早期ターンオンは、目標電圧レベルへの自己バイアスターンオン閾値電圧の生成を防止するであろう。自己バイアスターンオン閾値電圧制御モードは、ダイオード240および242、ならびに抵抗器250および252から構成された反対のサイクル構成を有する第1および第2のバイアス分岐回路によって支持される。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1および第2のモード制御回路220および222の強制ターンオフ制御モードは、故障事象の検出、有害な環境状態の検出、回路中断のためのリモートコマンドなどを含むが、これらに限定されない、特定の事象の検出に応答して、ソリッドステートスイッチ210および212のターンオフを強制するように構成されている。以下でさらに詳細に説明するように、強制ターンオフ制御モードは、例えば、直接ハードウェア故障検知および制御によって、ならびに/または光学的、磁気的、容量性、およびRF分離技術であるがこれらに限定されない技術に基づいてガルバニック絶縁された制御入力を通じて、コマンド上で開始することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、第1および第2の電流センサ230および232は、負荷20におよび負荷20から流れる電流の大きさを検知し、第1および第2のモード制御回路220および222によって利用される電流検知データを生成して、短絡故障事象、過電流故障事象、アーク故障事象などの故障事象を識別するように構成されている。このような故障事象の検出に応答して、第1および第2の電流センサ230および232は、第1および第2のソリッドステートスイッチ210および212がターンオフされる強制ターンオフモードをトリガするように構成されている。第1および第2の電流センサ230および232は、検知抵抗器、電流変圧器、ホール効果センサ、またはソリッドステートスイッチ210および212の内部インピーダンス(ドレインソース抵抗)に基づく検知技術を含むがこれらに限定されない、様々なタイプの検知技術および回路を使用して実装され得る。モード制御回路220および222は、例えば、論理ゲート、マイクロコントローラ、電気機械制御装置などに基づいて、様々なタイプの制御アーキテクチャを使用して実装され得る。
【0027】
ソリッドステート遮断器200の通常の動作において、AC主電源10の供給電圧波形の正の半サイクルの間、第1のモード制御回路230は、生成された自己バイアスターンオン閾値電圧を第1のソリッドステートスイッチ210のゲート端子に印加して、第1のソリッドステートスイッチ210をターンオンする。この構成では、正の電流は、ライン高温11から第1のソリッドステートスイッチ210を通って負荷20に流れ、第2のソリッドステートスイッチ212の前方バイアス固有ダイオード212-1を通ってライン中性12に戻る。一方、AC主電源10の供給電圧波形の負の半サイクル中、第2のモード制御回路222は、生成された自己バイアスターンオン閾値電圧を第2のソリッドステートスイッチ212のゲート端子に印加して、第2のソリッドステートスイッチ212をターンオンする。この構成では、負の電流は、第2のソリッドステートスイッチ212を通じてライン中性12から負荷20に流れ、電流は、第1のソリッドステートスイッチ210の前方バイアス固有ダイオード210-1を通じてライン高温11に戻る。
【0028】
図3は、本開示の別の実施形態による、ソリッドステート回路遮断器を概略的に示す。具体的には、
図3は、
図2のフレームワークに基づくが、第1および第2のモード制御回路220および222の例示的な実施形態をさらに示す、ソリッドステート回路遮断器300を概略的に示す。
図3に示すように、第1のモード制御回路220は、コンデンサ310と、ツェナーダイオード320と、抵抗器330と、動作増幅器350(比較器として構成されている)と、制御スイッチ360および370と、センサ380と、を備える。同様に、第2のモード制御回路222は、コンデンサ312と、ツェナーダイオード322と、抵抗器332と、動作増幅器352(比較器として構成されている)と、制御スイッチ362および372と、センサ380と、を備える。モード制御回路は、(i)回路構成要素310/312、320/322、330/332、350/352、および360/362を使用した自己バイアスターンオン閾値電圧制御モード、ならびに(ii)回路構成要素340/342、370/372、およびセンサ380を使用した強制ターンオフ制御モードを実装するための例示的な実施形態を提供する。
【0029】
例えば、自己バイアスターンオン閾値電圧制御モードでは、比較器350および352は、制御スイッチ360および362を起動し、第1および第2のソリッドステートスイッチ210および212のゲート-ソースを効果的に短絡させるのに十分な制御電圧を出力する。ソリッドステートスイッチ210および212は、ソリッドステートスイッチ210および212に対して自己バイアスターンオン閾値電圧を生成するのに十分な時間、スイッチオフ状態に維持される。
【0030】
例えば、AC主電源10のAC供給電圧波形の正の半サイクル中、電流は、第2の分岐回路(ダイオード242および抵抗器252を備える)、コンデンサ312、および本体ダイオード212-1を通じてライン高温11からライン中性12に流れる。この電流の流れは、コンデンサ電圧がクランプ電圧(すなわち、ツェナー電圧と称される、ツェナーダイオード322の逆降伏電圧)を表す、コンデンサ312を横切る目標自己バイアスターンオン閾値電圧レベルに達するまで、コンデンサ312にわたる電圧を増加させる。言い換えれば、ツェナーダイオード322のツェナー電圧は、第2のソリッドステートスイッチ212をターンオンするために生成される自己バイアスターンオン閾値電圧(VGS)の最大レベルを制限する。
【0031】
次に、AC主電源10のAC供給電圧波形の負の半サイクルの間、電流は、第1の分岐回路(ダイオード240および抵抗器250を備える)、コンデンサ310、および本体ダイオード210-1を通ってライン中性12からライン高温11に流れる。この電流の流れは、コンデンサ電圧が、ツェナーダイオード320のクランプ電圧(ツェナー電圧)を表す、コンデンサ310にわたる目標ターンオン閾値電圧レベルに達するまで、コンデンサ310にわたる電圧を増加させる。言い換えれば、ツェナーダイオード320のツェナー電圧は、第1のソリッドステートスイッチ210ターンオンするために生成される自己バイアスターンオン閾値電圧(VGS)の最大レベルを制限する。
【0032】
この例示的な実施形態では、ソリッドステートスイッチ210および212のための目標閾値電圧レベルは、ツェナーダイオード320および322がターンオン閾値電圧を制限するためのソリッドステートクランプとして機能するように、ツェナーダイオード320および322のツェナー電圧によって制限される。この点において、自己バイアスターンオン閾値電圧制御モードは、自己バイアスターンオン閾値電圧のレベルがソリッドステートクランプによって制限されるため、入力ライン電圧に依存しない。
【0033】
上述したように、
図3の例示的なモード制御フレームワークでは、ソリッドステートスイッチ210および212は、コンデンサ310および312をツェナーダイオード320および322のツェナー電圧に充電するのに十分な期間、スイッチオフ状態に維持される。いくつかの実施形態では、ツェナー電圧は、約15Vであり、ソリッドステートスイッチ210および212のターンオン閾値電圧は、約10V~約15Vの範囲である。例えば、漏れ、MOSFET装置のミラー容量などに起因して、ツェナーダイオード320および322のクランプ電圧に達する前に、ソリッドステートスイッチ210および212が早期にターンオンされると、ソリッドステートスイッチ210および212は、ゲート-ソース電圧が2V未満で実際にターンオンすることがあり、これにより、コンデンサ310および312が、ツェナーダイオード320および322のクランプ電圧に対応するコンデンサ電圧を生成するのに十分に充電されないであろう。この点において、自己バイアスターンオン閾値電圧制御モードは、制御スイッチ360および362を一定の期間ターンオン状態に維持するように構成されており、この期間は、第1および第2のソリッドステートスイッチ210および212をターンオフに維持し、コンデンサ310および312をツェナーダイオード320および322のクランプ電圧に充電することを可能にするのに十分である。
【0034】
上述したように、モード制御回路220および222は、回路構成要素340、342、370、372、および380を使用して強制ターンオフ制御モードを実装する。具体的には、ソリッドステート回路遮断器300の動作中、スイッチ370および372は、ゲート-ソース端子を効果的に分流し、ソリッドステートスイッチ210および212をターンオフするために、センサ380のうちの1つによって起動され得る。センサ380は、様々なタイプのセンサのうちの1つ以上を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、センサ380は、検知抵抗器340および342にわたる電圧降下を測定し、電流検知抵抗器340および342にわたる測定された電圧降下に基づいて、AC主電源10と負荷20との間の高温ライン経路および中性ライン経路内で流れる電流の大きさを判定するように構成された電流センサを含む。いくつかの実施形態では、検知抵抗器340および342は、非常に小さい抵抗値(例えば、1ミリオームよりも約10倍小さい)を有し、したがって、検知抵抗器340および342にわたる電圧電位は無視できるが、それでも電流検知には十分である。動作増幅器350および352は、検知抵抗器340および342にわたる電圧降下に対応する比較的小さい電圧入力であっても、それぞれの制御スイッチ360および362を駆動できるように十分なゲインで構成されている。
【0035】
他の実施形態では、センサ380は、環境状態を検知するように構成された1つ以上のセンサを含む。例えば、センサ380は、(i)有害化学物質の存在を検出するように構成された化学物質感応型検出器、(ii)有害ガスの存在を検出するように構成されているガス感応型検出器、(iii)例えば、火災を示す高温を検出するように構成された温度センサ、(iv)例えば、爆発、地震などに関連付けられた大きな振動を検出するように構成された圧電検出器、(v)洪水または湿潤状態を検出するように構成された湿度センサまたは水センサ、ならびに回路中断を保証するであろう有害な環境状態の存在または発生のために検出するように構成された他のタイプのセンサのうちの1つ以上を含むことができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、制御スイッチ370および372は、光学トランジスタ(例えば、フォトトランジスタなど)または例えば、センサ装置もしくはマイクロコントローラによって制御される相補的発光ダイオード(LED)から信号を受信する他のタイプの光学制御スイッチを備える。センサ380と制御スイッチ370および372との間のこの光学結合は、本質的に、力ターンオフ制御回路とソリッドステート回路遮断器300のスイッチング回路との間にガルバニック絶縁を提供する。他の実施形態では、ガルバニック絶縁は、磁気的、容量性、または無線周波数(RF)絶縁技術を使用して実装することができる。
【0037】
他の実施形態では、制御スイッチ370および372は、故障を検出するように構成されたローカルまたはリモートコントローラから受信したリモートコマンド(例えば、アラーム信号)、または例えば、Internet-of-Things(IoT)無線コンピューティングネットワークを使用して実装されるスマート技術を通じて、ソリッドステート回路遮断器300の動作を制御することができる個人から受信したリモートコマンドに応答して起動することができ、ソリッドステート回路遮断器300は、スマート無線IoT装置を備える。
【0038】
図4は、本開示の別の実施形態による、ソリッドステート回路遮断器を概略的に示す。特に、
図4は、AC主電源10と負荷20との間に接続されたソリッドステート回路遮断器400を示す。ソリッドステート回路遮断器400は、第1のソリッドステートスイッチ401および関連する本体ダイオード401-1と、第2のソリッドステートスイッチ402および関連する本体ダイオード402-1と、を備える単一のポールスイッチ回路を備える。第1および第2のソリッドステートスイッチ401および402は、ライン高温11と負荷高温21との間の電気経路内で直列に接続されており、ソース端子(S)は検知抵抗器440を通して直列に接続され、それによって双方向ソリッドステートスイッチを実装するようにしている。ソリッドステート回路遮断器400は、第1のダイオード240および第1の抵抗器250を備える第1のバイアス分岐回路と、図示されるように、ライン高温11とライン中性12との間に直列に接続される第2のダイオード242および第2の抵抗器252を備える第2のバイアス分岐回路と、をさらに備える。
【0039】
ソリッドステート遮断器400は、第1のコンデンサ410と、ツェナーダイオード420と、抵抗器430、440、450、および452と、第2のコンデンサ454と、第1の制御スイッチ460、第2の制御スイッチ470と、センサ480と、を備えるモード制御回路405をさらに備える。第1および第2のバイアス分岐回路は、モード制御回路405の入力ノードN1に接続される。
図4に示されるモード制御回路405は、
図2のモード制御回路220および222の各々を実装するための別の例示的な実施形態を含む。モード制御回路405は、(i)回路構成要素410、420、430、450、452、454、および460を使用した自己バイアスターンオン閾値電圧制御モード、ならびに(ii)回路構成要素440、470、および480を使用した強制ターンオフ制御モードを実装するように構成されている。
【0040】
例えば、自己バイアスターンオン閾値電圧制御モードでは、抵抗器450および452、ならびにコンデンサ454は、第1の制御スイッチ460を起動し、第1および第2のソリッドステートスイッチ401および402のゲート-ソースを効果的に短絡させるのに十分な電圧をノードN2において生成する。ノードN2における電圧は、抵抗器452およびコンデンサ454のRC時間定数に対応する遅延期間、ソリッドステートスイッチ401および402をターンオフに維持する。
【0041】
このRC時間定数遅延期間中、およびAC主電源10のAC供給電圧波形の負の半サイクルの間、電流は、第1の分岐回路(ダイオード240および抵抗器250を備える)、コンデンサ410、および本体ダイオード401-1を通ってライン中性12からライン高温11に流れる。この電流の流れは、コンデンサ電圧がクランプ電圧(すなわち、ツェナーダイオード420のツェナー電圧)を表すコンデンサ410にわたる目標ターンオン閾値電圧レベルに達するまで、コンデンサ410にわたる電圧を増加させる。言い換えれば、ツェナーダイオード420のツェナー電圧は、第1および第2のソリッドステートスイッチ401および402をターンオンするために生成される自己バイアスターンオン閾値電圧(VGS)の最大レベルを制限する。
【0042】
この例示的な実施形態では、目標閾値電圧レベルは、ツェナーダイオード420がターンオン閾値電圧を制限するためのソリッドステートクランプとして機能するように、ツェナーダイオード420のツェナー電圧(すなわち、逆降伏電圧)によって制限される。この点において、自己バイアスターンオン閾値電圧制御モードは、自己バイアスターンオン閾値電圧のレベルがソリッドステートクランプによって制限されるため、入力ライン電圧に依存しない。AC主電源10のAC供給電圧波形の正の半サイクル中、ダイオード242、抵抗器252、およびコンデンサ410は、第1および第2のソリッドステートスイッチ401および402に対してターンオン閾値電圧(すなわち、ツェナー電圧)を維持するために、ツェナーダイオード420にわたって充電をトリクルする。
【0043】
上述したように、
図4の例示的なモード制御フレームワークでは、ソリッドステートスイッチ401は、コンデンサ410をツェナーダイオード420のツェナー電圧に充電するのに十分な期間、スイッチオフ状態に維持される。いくつかの実施形態では、ツェナー電圧は、約15Vであり、ソリッドステートスイッチ401および402のターンオン閾値電圧は、約10V~約15Vの範囲にある。例えば、漏れ、MOSFET装置のミラー容量などに起因して、ツェナーダイオードのクランプ電圧に達する前に、ソリッドステートスイッチ401が早期にターンオンされると、ソリッドステートスイッチ401は、ゲート-ソース電圧の2V未満で実際にターンオンすることがあり、これにより、コンデンサ410が、ツェナーダイオード420のクランプ電圧に対応するコンデンサ電圧を生成するのに十分に充電されるのを防止するであろう。この点において、自己バイアスターンオン閾値電圧制御モードは、第1の制御スイッチ460を一定の期間ターンオンを維持するように構成されており、この期間は、第1および第2のソリッドステートスイッチ401および402をターンオフに維持し、それによってコンデンサ410がツェナーダイオード420のクランプ電圧に充電されることを可能にするのに十分である。
【0044】
上述したように、モード制御回路405は、回路構成要素440、470、および480を使用して強制ターンオフ制御モードを実装する。具体的には、ソリッドステート回路遮断器400の動作中、スイッチ470は、ゲート-ソース端子を効果的に分流し、ソリッドステートスイッチ401および402をターンオフするために、センサ480のうちの1つによって起動され得る。センサ480は、様々なタイプのセンサのうちの1つ以上を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、センサ480は、電流センサを含み、電流センサは、検知抵抗器440にわたる電圧降下を測定し、電流検知抵抗器440にわたる測定電圧降下に基づいて、ライン高温11と負荷高温21との間の高温ライン経路内で流れる電流の大きさを判定するように構成されている。いくつかの実施形態では、検知抵抗器440は、1ミリオーム未満の抵抗値を有する。このように、検知抵抗器440にわたる電圧電位は、無視できるが、それでも電流検知には十分である。検知抵抗器440と検知回路との間の接地電位の差は小さく、検知抵抗器440を通る双方向電流の流れに起因して相互に補償されるであろう。
【0045】
他の実施形態では、センサ480は、環境状態を検知するように構成された1つ以上のセンサを含む。例えば、センサ480は、(i)有害化学物質の存在を検出するように構成された化学物質感応型検出器、(ii)有害ガスの存在を検出するように構成されているガス感応型検出器、(iii)例えば、火災を示す高温を検出するように構成された温度センサ、(iv)例えば、爆発、地震などに関連付けられた大きな振動を検出するように構成された圧電検出器、(v)洪水または湿潤状態を検出するように構成された湿度センサまたは水センサ、ならびに回路中断を保証するであろう有害な環境状態の存在または発生のために検出するように構成された他のタイプのセンサのうちの1つ以上を含むことができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、スイッチ470は、センサ装置またはマイクロコントローラによって制御される相補的発光ダイオード(LED)から信号を受信する光学トランジスタ(例えば、フォトトランジスタなど)または他のタイプの光学スイッチを備える。センサ480とスイッチ470との間のこの光学結合は、本質的に、力ターンオフ制御回路とソリッドステート回路遮断器400のスイッチング回路との間のガルバニック絶縁を提供する。他の実施形態では、ガルバニック絶縁は、磁気的、容量性、または無線周波数(RF)絶縁技術を使用して実装することができる。
【0047】
他の実施形態では、スイッチ470は、故障を検出するように構成されたローカルもしくはリモートコントローラから受信したリモートコマンド(例えば、アラーム信号)、または例えば、IoT無線コンピューティングネットワークを使用して実装されるスマート技術を通じて、ソリッドステート回路遮断器400の動作を制御することができる個人から受信したリモートコマンドに応答して起動することができ、ソリッドステート回路遮断器400は、スマート無線IoT装置を備える。
【0048】
図5は、本開示の別の実施形態による、ソリッドステート回路遮断器を概略的に示す。特に、
図5は、ソリッドステート回路遮断器500が、ソリッドステートスイッチ401および402がターンオフされるときにソリッドステート回路遮断器500と負荷20との間にガルバニック絶縁を提供する絶縁回路510を備えることを除いて、
図4のソリッドステート回路遮断器400と同様のソリッドステート回路遮断器500を概略的に示す。ソリッドステートスイッチ410および402がターンオフされると、ソリッドステートスイッチ401および402は少量の漏れ電流を生成することができる。例えば、ソリッドステートスイッチ401および402がバイアスされて完全にスイッチオフ状態にある場合であっても、少量の漏れ電流(例えば、200uA)がソリッドステートスイッチ401および402を通って流れ、負荷20が高インピーダンス負荷を含むときに、負荷20にわたって大きな電圧降下を生成することができる。
【0049】
絶縁回路510は、スイッチオフソリッドステートスイッチ401および402を通じて、AC主電源10からの望ましくない漏れ電流の流れから負荷20を分流する役割を果たす。絶縁回路510は、コントローラ520、MOSFET装置530および540、ならびに関連する本体ダイオード530-1および540-1を備える。ソリッドステートスイッチ401および402のターンオフ期間中、コントローラ520は、MOSFETスイッチ530および540をターンオンにスイッチングし、それによって望ましくない漏れを分流し、このような漏れ電流が負荷20内に流れるのを防止するように命令する。負荷20から漏れ電流を迂回または分流する効果は、AC主電源10と負荷20との間の空隙で実装されるガルバニック絶縁技術と同等の役割を果たす。この構成では、絶縁回路510は、擬似空隙として機能する。
【0050】
図6は、本開示の別の実施形態による、ソリッドステート回路遮断器を概略的に示す。特に、
図6は、DPSTスイッチング回路202のソリッドステートスイッチ210および212が、AC主電源10の2つの別個の高温相10-1および10-2のそれぞれのライン高温のライン11-1および11-2に結合されていることを除いて、
図2のソリッドステート回路遮断器200と同様のソリッドステート回路遮断器600を概略的に示しており、高温相10-1および10-2は、180度位相がずれている。この構成では、ダイオード240と抵抗器250とを備える第1の分岐回路がライン中性12と第1のモード制御回路220との間に直列に接続され、ダイオード242と抵抗器252とを備える第2の分岐回路がライン中性12と第2のモード制御回路222との間に直列に接続される。モード制御回路220および220は、
図3、
図4、および
図5と併せて上で考察されるように、回路アーキテクチャおよびモード制御技術を使用して実装することができる。
【0051】
図7は、本開示の別の実施形態による、ソリッドステート回路遮断器を概略的に示す。特に、
図7は、ソリッドステート回路遮断器700を概略的に示しており、このソリッドステート回路遮断器700が
図2に示される電流センサ230および232を省略し、
図5の例示的な実施形態のように絶縁回路510をさらに含むことを除いて、
図2のソリッドステート回路遮断器200と同様である。絶縁回路510は、ソリッドステートスイッチ210および212によってそれらのスイッチオフ状態で生成される漏れ電流を分流し、それによって、漏れ電流が負荷20を通って流れるのを防止する。上述したように、負荷20から離れるように漏れ電流を迂回または分流することによる効果は、ガルバニック絶縁と同等の役割を果たす。
【0052】
明示的な電流センサ230および232は、ソリッドステート回路遮断器700において省略されるが、モード制御回路710および712のうちの一方または両方内の故障検出センサは、ソリッドステートスイッチ210および212の内部ドレインソース抵抗(RDS-ON)を利用して、ライン高温またはライン中性脚部内の電流の流れの量を判定し、次いで、故障状態(例えば、短絡または過電流故障)の検出に応答してスイッチ210および212を停止し、絶縁回路510を起動して、ソリッドステートスイッチ210および212がスイッチオフ状態に維持される時間中に負荷20から漏れた電流を分流することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、モード制御回路710および712は、ソリッドステートスイッチ210および212にバイアスをかけるために、オン閾値電圧として機能する浮動電圧出力を有する独立した絶縁AC-DC電源を利用した自己バイアスターンオン閾値電圧モードを実装することができる。他の実施形態では、自己バイアスターンオン閾値電圧モードは、容量性、RF、および光学絶縁装置などのガルバニック絶縁装置を使用して実装することができる。
【0054】
図8は、本開示の別の実施形態による、ソリッドステート回路遮断器を概略的に示す。特に、
図8は、AC主電源10と負荷20との間に接続されたソリッドステート回路遮断器800を概略的に示しており、ソリッドステート回路遮断器800は、単一極のハイブリッドソリッドステートおよび機械的回路遮断器アーキテクチャを備える。ソリッドステート回路遮断器800は、AC主電源10のライン高温11と負荷20の負荷高温21との間の電気経路で直列に接続されたソリッドステートスイッチ810および空隙電磁スイッチ820を備える(例えば、空隙電磁スイッチ820およびソリッドステートスイッチ810は、ソリッドステート回路遮断器800のライン入力端子と負荷出力端子との間で直列に接続される)。ソリッドステート回路遮断器800は、AC-DC変換器回路830と、ゼロ交差センサ840と、電流センサ850と、他のタイプのセンサ860(例えば、環境センサ、光センサなど)と、スイッチコントローラ870と、をさらに備える。
【0055】
いくつかの実施形態では、
図8に示すように、ソリッドステートスイッチ810は、図示するようにゲート端子(G)、ドレイン端子(D)、およびソース端子(S)を有するパワーMOSFETスイッチ810(例えば、N型強化MOSFET装置)と、本体ダイオード810-1と、を備える。空隙電磁スイッチ820は、一連の電気接点を物理的に開閉するように構成された任意の好適なタイプの電磁スイッチ機構を備え、空隙電磁スイッチ820がスイッチ開状態にあるときに、空隙が電気接点間に作成される。例えば、空隙電磁スイッチ820は、スイッチコントローラ870からの制御信号に応答して、空隙電磁スイッチ820の電気接点を自動的に開閉するラッチングソレノイドまたはリレー素子を備えてもよい。
【0056】
ライン高温11と負荷高温21との間のライン経路内の空隙の作成は、ライン高温11から負荷高温21への電流の流れを防止するため、AC主電源10の負荷20からの完全な隔離を提供する。空隙電磁スイッチ820は、ソリッドステートスイッチ810のライン側(
図8に示すように)またはソリッドステートスイッチ810の負荷側のいずれかに配設され得る。ソリッドステート回路遮断器800は、電気規格で完全な絶縁のために回路遮断器内の空隙の実装が必要とされる場合に、(上述の例示的な実施形態における複数のソリッドステートスイッチと比較して)1つのソリッドステートスイッチを利用することを可能にする費用対効果の高いソリューションを提供する。
【0057】
AC-DC変換器回路830は、ゼロ交差センサ840と、スイッチコントローラ860と、任意選択で電流センサ850および他のセンサ860と、を含む、様々な回路およびソールド状態の回路遮断器800の素子(このようなセンサ850および860の構成に依存する)にDC供給電力を提供するように構成されている。AC-DC変換器回路830は、スイッチ810および820がそれぞれスイッチオフ状態およびスイッチ開状態であるときに、故障中に給電が維持されるように構成されている。いくつかの実施形態では、AC-DC変換器回路830は、ユーティリティ停止の直後にDCサブシステムに給電するのに十分な蓄積容量を備え、その結果、関連する停電または短絡情報は、ユーティリティ電力が崩壊するときにスイッチコントローラ870によって取得および蓄積され得、次いで、スイッチコントローラ870に結合されるか、またはスイッチコントローラ870と統合される高周波送受信機(図示せず)を使用して、リモートノード、装置、またはシステムに無線で送信され得る。
【0058】
ゼロ交差センサ840は、ソリッドステート回路遮断器800を通る高温ライン経路に沿った目標点における電圧および/または電流を監視し、AC主電源10のAC供給電圧波形のゼロ電流および/またはゼロ電圧交差を検出するように構成されている。例えば、
図8に示すように、ゼロ交差センサ840は、スイッチ820および810の上流の高温ライン経路に結合されて、ソリッドステート回路遮断器800のライン入力上のAC主電源10のAC電源波形のゼロ電流および/またはゼロ電圧の交差の例を検出する。ゼロ交差センサ840は、1つ以上のデータ取得および制御ライン840-1によってスイッチコントローラ870に結合される。ゼロ交差センサ840は、AC電源波形の電流および/または電圧のゼロ交差を検知し、ゼロ交差事象および電流または電圧の関連する方向(例えば、負から正へ、または正から負への遷移)を示す検出信号を生成するように構成された任意の好適なタイプのゼロ電圧および/またはゼロ電流検知回路を使用して実装することができる。この点において、ゼロ交差センサ840は、入力としてAC波形を受信し、入力されたAC波形をゼロ基準電圧(例えば、ライン中性電圧)と比較し、正および負からのAC波形遷移を検出するように構成され、この遷移は、AC波形がゼロ基準電圧を交差するときに一致する。ゼロ交差検出器は、AC電圧波形のゼロ交差が検出されるたびに、論理「1」および論理「0」出力の間で遷移することになる。
【0059】
電流センサ850は、ソリッドステート回路遮断器800を通る高温ライン経路内の負荷20によって引き出される電流の大きさを検出するように構成されている。電流センサ850は、電流検知抵抗器、電流増幅器、ホール効果電流センサなどを含むがこれらに限定されない、任意の好適なタイプの電流検知回路を使用して実装することができる。電流センサ850は、1つ以上のデータ取得および制御ライン850-1によってスイッチコントローラ870に結合される。
【0060】
センサ860は、考えられる有害な環境状態(例えば、化学物質、ガス、湿度、水、温度、光など)を検出し、潜在的に有害な環境状態を示すセンサデータを生成するように構成された1つ以上の任意選択のセンサを含む。センサ860は、1つ以上のデータ取得および制御ライン860-1によってスイッチコントローラ870に結合される。
【0061】
スイッチコントローラ870は、ゼロ交差センサ840、電流センサ850、およびセンサ860と連動して、故障状態(例えば、短絡故障、過電流故障、アーク故障、接地故障など)の検出、有害な環境状態(例えば、ガス漏れ、化学物質流出、火災、洪水など)の検出の機能を実施し、また検出された故障状態または有害な環境条件に応答してスイッチ810および820の開閉のタイミング制御を提供し、それによって空隙電磁スイッチ820内に電気アークを作り出すことを回避するように動作する。スイッチコントローラ870は、ソリッドステートスイッチ810のゲート端子(G)に適用され、ソリッドステートスイッチ810をスイッチオン状態またはスイッチオフ状態にするためのゲート制御信号を生成する。いくつかの実施形態では、スイッチコントローラ870は、電流センサ850および/または他のセンサ860から取得されるセンサデータを分析した結果としてスイッチコントローラ870によって検出される短絡故障、過電流故障、および他の故障または有害性などの故障状態に応答して、ソリッドステートスイッチ810をスイッチオフ状態にするためのゲート制御信号を生成する。
【0062】
スイッチコントローラ870は、センサデータを処理し、スイッチ810および820を制御するために本明細書で考察されるように、スイッチ制御タイミングプロトコルを実装するように構成されたプロセッサを使用して実装することができる。加えて、スイッチコントローラ870は、センサデータをプロセッサによる処理に好適である適切な形式に変換するための回路を実装することができる。スイッチコントローラ870は、故障状態のリモート監視および検出、ならびにソリッドステート回路遮断器800を制御するためのリモートコマンドを受信することをサポートするために、リモートノード、装置、システムなどと無線で通信するRFトランシーバを含むことができる。プロセッサは、中央処理ユニット、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および他のタイプのプロセッサ、ならびにソフトウェア、ハードウェア、ファームウェアなどに基づいて処理機能を実施することができるそのようなプロセッサの部分または組み合わせを含んでもよい。他の実施形態では、回路遮断器800の様々な構成要素(例えば、830、840、および870)のソリッドステート回路は、システムオンチップとして単一のダイ上に実装することができる。
【0063】
電磁スイッチ820の電気接点間の電気アークの生成を防止するために、スイッチコントローラ870は、空隙電磁スイッチ820をスイッチ開状態またはスイッチ閉状態にする前に、ソリッドステートスイッチ810をスイッチオフ状態にするように構成されている。しかしながら、
図8の構成では、ソリッドステートスイッチ810がスイッチオフ状態であり、空隙電磁スイッチ820がスイッチ閉状態であると仮定しても、ソリッドステートスイッチ810の本体ダイオード810-1は、AC主電源10のAC電源波形が負の半サイクルであるとき(すなわち、ライン高温11が負であり、ライン中性12が正であるとき)、負の電流が負の負荷20からAC主電源10に伝導することを可能にする。実際、この構成では、負の半サイクルの間、本体ダイオード810-1は前方バイアス状態にあり、これは、ソリッドステートスイッチ810がスイッチオフ状態にあるときでも、負の電流が負の負荷20からAC主電源10に流れることを可能にする。
【0064】
この例では、AC電源波形の負の半サイクル中に空隙電磁スイッチ820が開かれる場合、負の電流の流れは、空隙電磁スイッチ820の電気接点間で電気アークを生成するであろう。このような電気アークを作成することを回避するために、スイッチコントローラ870は、ソリッドステートスイッチ810をスイッチオフ状態にし、次いでゼロ交差センサ840から取得されたセンサデータを追跡して、ソリッドステート遮断器800のライン側(例えば、ライン高温11)のAC電圧および/または電流の極性を判定し、ライン側のAC電圧および/または電流の極性が正であると判定されたとき(例えば、AC供給電圧波形が正の半サイクルである)、空隙電磁スイッチ820を開くように構成されている。スイッチコントローラ870が所与の時間において、ライン側のAC電圧および/または電流の極性が負である(例えば、AC供給電圧波形が負の半サイクルにある)と判定した場合、スイッチコントローラ870は、空隙電磁スイッチ820を開かず、むしろ、ゼロ交差センサ840によって検出される正の遷移ゼロ交差の次の例まで、空隙電磁スイッチ820を開くことを延期する。ここで、
図9A、
図9B、
図10を参照して、スイッチコントローラ870によって実装されるスイッチタイミング制御についてさらに詳細に考察する。
【0065】
図9Aは、
図8のソリッドステート回路遮断器800のライン側に入力される電源電圧波形を示す。特に、
図9Aは、AC主電源10の電源電圧波形を表す入力電圧波形900を示す。入力電圧波形900は、正の半サイクル902、負の半サイクル904、ならびに時刻T0、T1、T2、T3、およびT4におけるゼロ電圧交差910を含む。ソリッドステートスイッチ810がスイッチオン状態であり、空隙電磁スイッチ820がスイッチ閉状態であるとき、入力電圧波形900は、負荷20の負荷高温ライン21に印加される。スイッチコントローラ870が、電力が負荷20から切断されるべきであると判定した場合、スイッチコントローラ870は、ソリッドステートスイッチ810のゲート端子Gに印加されるゲート制御信号を生成し、ソリッドステートスイッチ810をスイッチオフ状態にする。
【0066】
図9Bは、ソリッドステートスイッチ810がスイッチオフ状態にあり、空隙電磁スイッチ820がスイッチ閉状態にあるときの、
図8のソリッドステート回路遮断器800の負荷側上の出力電圧波形920を示す。この状態では、ソリッドステートスイッチ810の本体ダイオード810-1は、入力電圧波形900の負の半サイクル904中に前方バイアスされ、これは、入力電圧波形900を整流し、
図9Bに示される出力電圧波形920をもたらし、ここで、入力波形900の正の半サイクル902に対応する出力電圧波形920の部分922は0Vであり、出力電圧波形920の部分924は、入力波形900の負の半サイクル904の電圧を追跡する。この例では、負電流は、空隙電磁スイッチ820が開くまで、各負の半サイクル924中に負荷20からAC主電源10に流れるであろう。
【0067】
上述したように、ソリッドステートスイッチ810がスイッチオフされた後、スイッチコントローラ870は、ゼロ交差センサ840から受信されたセンサデータを処理して、ライン高温経路に電流の流れがほとんどないかまたはないタイミングを判定し、その後、空隙電磁スイッチ820を開いて負荷20への電力を完全に切断するための制御信号を生成し、一方で、空隙スイッチ820内の考えられる電気アーク形成を防止するか、または他の方法で緩和する。
【0068】
例えば、
図9A~
図9BのT0~T1の期間にソリッドステートスイッチ810がスイッチオフされているとする。この例では、スイッチコントローラ870は、入力波形900の次のゼロ電圧交差が、時間T1において負の遷移ゼロ電圧交差910であることを検出し、次いで、空隙電磁スイッチ820を停止する前に、時間T2において次の正の遷移ゼロ電圧交差910を待機し、空隙電磁スイッチ820が開かれるときに、負荷20とAC主電源10との間のライン高温経路に電流が流れないことを確実にするであろう。
【0069】
例示的な電圧波形9Aおよび9Bは、AC電圧波形および負荷20によって引き出される電流が位相内であると仮定する、約1の力率を有する負荷20を表すことを理解されたい。そのような場合、ゼロ電圧交差は、ゼロ電流交差であると仮定される。しかしながら、負荷20が1未満の力率(例えば、容量性負荷または誘導性負荷)を有する場合、負荷20によって引き出される電圧波形および電流は、位相がずれることになる。これに関して、ゼロ交差センサ840は、スイッチ820および810のライン側の電流波形のゼロ電流交差、または正の遷移ゼロ電流交差を判定し、空隙電磁スイッチ820を開く前に、正電流がライン高温経路内で流れないことを確実にするためのゼロ電流交差検出器を含むことができる。
【0070】
図10は、本開示の実施形態による、
図8のソリッドステート回路遮断器800のスイッチコントローラ870によって実装されるスイッチ制御プロセスのフローチャートである。
図10のスイッチ制御プロセスは、ユーティリティ電力の回復のための非限定的な例示的な実施形態、またはソリッドステート遮断器800を作動させる(ブロック1000)ための手動、自動、もしくはリモート起動制御を表す。この例では、ソリッドステートスイッチ810はスイッチオフ状態であり、空隙電磁スイッチ820はスイッチ閉状態であると仮定する。
【0071】
スイッチコントローラ870は、空隙電磁スイッチ820を閉じる(ブロック1004)前に、適切なゼロ交差の検出を待つ(ブロック1002)。当業者であれば、空隙電磁スイッチ820を閉じる前に電圧および/または電流ゼロ交差事象を待つことが理想的であるが、これは閉じるための必須条件ではないことを理解するであろう。ゼロ交差事象は、正の遷移ゼロ交差事象または負の遷移ゼロ交差事象であり得る。上述したように、いくつかの実施形態では、ソリッドステートスイッチ(例えば、スイッチ810)の本体ダイオード(例えば、ダイオード810-1)が前方バイアスされておらず、導電性である、今後の半サイクルのゼロ交差で空隙電磁スイッチ820を閉じることが好ましい。例えば、
図8の例示的な実施形態では、ソリッドステートスイッチ810の本体ダイオード810-1は、AC主電源10の供給電圧波形の正の半導体サイクル中に逆バイアスされ、非導電性である。そのような実施形態では、正の遷移(電流または電圧)ゼロ交差事象を検出すると、空隙電磁スイッチをスイッチ閉状態にする(ブロック1004)ことが理想的である。他の実施形態では、ソリッドステートスイッチおよび関連する本体ダイオードに使用されるMOSFETのタイプに応じて、負の遷移(電流または電圧)ゼロ交差事象を検出すると、ソリッドステートスイッチを閉じることが理想的である場合がある。
【0072】
空隙電磁スイッチ820が閉じられると、スイッチコントローラ870は、ソリッドステートスイッチ810をスイッチオン状態にするためのゲート制御信号を生成するように進む(ブロック1006)。ソリッドステートスイッチ810は、空隙電磁スイッチ820が閉じられた後、いつでもスイッチオンされてよい。例えば、ソリッドステート遮断器回路800は、空隙電磁スイッチ820がスイッチ閉状態に維持され、スイッチコントローラ870がソリッドステートスイッチ810の起動を進めるために何らかのトリガ事象(例えば、リモートコマンド)の発生を待機する、「スタンバイ」モードで動作し得る。
【0073】
スイッチ810および820の両方が起動されると、スイッチコントローラ870は、電力と負荷との間の回路接続を遮断するためのいくつかの事象またはコマンドの待機状態に入る(ブロック1008)。待機期間中、ソリッドステートスイッチ810および空隙電磁スイッチ820は、起動状態に維持される(ブロック1010)。事象は、スイッチコントローラ870が様々なセンサ850および860から受信したセンサデータを処理することによって判定される所与の故障状態または有害状態の検出であり得る。コマンドは、回路接続を遮断するための手動コマンドまたは自動コマンドであり得る。
【0074】
故障もしくは有害状態を検出すると(ブロック1008で肯定的判定)、または回路を遮断するための手動もしくは自動コマンドに応答して、スイッチコントローラ870は、ソリッドステートスイッチ810をスイッチオフ状態にするためのゲート制御信号を生成する(ブロック1012)。次いで、スイッチコントローラ870は、ライン高温経路上で目標ゼロ交差事象(例えば、正の遷移ゼロ交差事象)を検出するためにゼロ交差センサ840からのプロセスデータに進み(ブロック1014)、目標ゼロ交差事象の検出(ブロック1014における肯定的判定)に応答して、スイッチコントローラ870は、空隙電磁スイッチ820をスイッチ開状態にするためのスイッチ制御信号を生成する(ブロック1016)。
【0075】
スイッチコントローラ870は、故障事象または有害状態が解消されるのを待機するために待機状態に入り(ブロック1018)、ソリッドステートおよび空隙電磁スイッチを停止状態に維持する(ブロック1020)。故障事象もしくは有害状態が解消された場合(ブロック1018の肯定的判定)、またはスイッチコントローラ870が、他の方法で負荷に電源を再接続することを示す手動もしくはリモートコマンドを受信した場合、制御プロセスはブロック1000に戻り、スイッチコントローラ870は、空隙およびソリッドステートスイッチを再起動し、それによって電源を負荷に再接続するように進む。
図10のプロセスフローは、ソリッドステートスイッチ810を開閉する前にゼロ交差検出を実施するためのプロセスステップを明示的に含まないが、当業者であれば、特定の用途では、ソリッドステートスイッチ810のオンおよびオフは、所望に応じて、電圧または電流ゼロ交差事象のいずれかでタイミングを合わせることができることを認識し、理解するであろう。
【0076】
図11Aは、本開示の実施形態による、
図8のソリッドステート回路遮断器800に実装することができるAC-DC変換器回路1100の概略ブロック図である。AC-DC変換器回路1100は、DC電圧を生成するために整流器を必要としないアーキテクチャを含む。AC-DC変換器回路1100は、突入保護回路1110と、サンプリング回路1120と、スイッチドライバ回路1130と、制御スイッチおよびクランプ回路1140と、蓄積回路1150と、電圧レギュレータ回路1160と、ガルバニック絶縁回路1170と、を備える。AC-DC変換器回路1100は、負荷回路1102に印加されるDC供給電圧を生成する。
【0077】
突入保護回路1110は、入力電流の大きさをAC-DC変換器回路1100に制限するように構成されている。サンプリング回路1120は、AC主電源110のAC供給電圧波形をサンプリングするように構成されている。サンプリング回路1120は、サンプリング電圧をスイッチドライバ回路1130に出力する。スイッチドライバ回路1130は、制御スイッチおよびクランプ回路1140の制御スイッチに制御電圧を印加するように構成されている。制御スイッチおよびクランプ回路1140は、スイッチドライバ回路1130によって印加される制御電圧に応答して、蓄積回路1150に電力を供給するように構成されている。蓄積回路1150は、電圧レギュレータ回路1160に印加されるDC電圧を蓄積するように構成された電圧蓄積素子(例えば、コンデンサ)を備える。電圧レギュレータ回路1160は、負荷回路1102への調整されたDC供給電圧を生成するように構成されている。
【0078】
いくつかの実施形態では、スイッチドライバ回路1130は、蓄積回路1150からフィードバック電圧1180を受信し、フィードバック電圧1180に少なくとも部分的に基づいて、制御スイッチおよびクランプ回路1140に印加される制御電圧を生成する。いくつかの実施形態では、フィードバック電圧1180を排除することができ、AC-DC変換器回路1100は、蓄積回路1150の蓄積素子が前方側素子1120、1130、および1140から制御されるフィードフォワード変換器として動作する。
【0079】
いくつかの実施形態では、AC-DC変換器回路1100は、フィードフォワード制御およびフィードバック制御の両方をサポートするために、負荷回路1102からスイッチドライバ回路1130へのフィードバック制御回路1190を実装する。いくつかの実施形態では、フィードフォワードおよびフィードバック制御のバランスは、フィードバック電圧1180およびサンプリング回路1120内の構成要素の選択によって判定される。いくつかの実施形態では、フィードフォワード制御とフィードバック制御との間のバランスは、サンプリング回路1120およびフィードバック電圧1180の抵抗器素子に従って構成されている。他の実施形態では、可変素子は、フィードフォワードおよびフィードバック制御の調整を可能にするために利用される。このような実施形態では、フィードバック回路1190は、スイッチドライバ回路1130と負荷回路1102との間のガルバニック絶縁を備えるであろう。
【0080】
図11Bは、本開示の実施形態による、
図11AのAC-DC変換器回路の概略回路図である。
図11Bの例示的な実施形態では、突入保護回路1110は、AC主電源10のライン高温11に接続される第1の入力抵抗器1111と、AC主電源10のライン中性12に接続される第2の入力抵抗器1112と、を備える。他の実施形態では、高電力および高効率用途のために、突入保護回路1110は、起動時に電流が抵抗器1111および1112を通って流れることを可能にし、その後、定常状態動作に達すると抵抗器1111および1112を迂回するように構成されたスイッチ素子を備える。他の実施形態では、突入保護回路1110は、第1および第2の抵抗器1111および1112の代わりに第1および第2のインダクタ素子を備える。
【0081】
サンプリング回路1120は、図示されるように、様々なノードN1、N2、N3、およびN4に接続された複数の抵抗器1121、1122、1123、および1124を備える。抵抗器1121、1122、および1123は、入力AC波形をサンプリングするための電圧分割器ネットワークを形成し、電圧分割器ネットワークは、フィードバックノードN2と出力ノードN3とを備える。抵抗器1124は、蓄積コンデンサ1152からのフィードバック電圧を提供するように、蓄積回路1150のフィードバックノードN2と出力ノードN4との間に接続される。スイッチドライバ回路1130は、ノードN1とN5との間に接続された抵抗器1131と、スイッチ素子1132と、を備える。制御スイッチおよびクランプ回路1140は、制御スイッチ素子1141、抵抗器1142、およびツェナーダイオード1143を備える。蓄積回路1150は、ダイオード1151と、蓄積コンデンサ1152と、を備える。電圧レギュレータ回路1160は、スイッチ素子1161と、抵抗器1162と、ツェナーダイオード1163と、コンデンサ1164と、を備える。
【0082】
いくつかの実施形態では、スイッチ素子1132、1141、および1161は、
図11Bに示すように、ゲートG、ドレインD、およびソースS端子を有するn型強化MOSFET装置を備える。他の実施形態では、スイッチ素子1132、1141、および1161は、バイポーラトランジスタまたは微小電気機械的スイッチを使用して実装されてもよい。
図11Bに示すように、スイッチ素子1143は、サンプリング回路1120の電圧分割器ネットワークの出力ノードN3に接続されたゲート端子Gと、スイッチドライバ回路1130の出力ノードN5に接続されたドレイン端子Dと、突入保護回路1110の出力ノードN3に接続されたソース端子Sと、を備える。スイッチ素子1132のドレイン端子Dは、抵抗器1131を通じて突入保護回路1110の出力ノードN1に結合される。
【0083】
制御スイッチ1141は、突入回路1110の出力ノードN1に接続されたドレイン端子Dと、スイッチドライバ回路の出力ノードN5に接続されたゲート端子Gと、蓄積回路1150の入力(すなわち、ダイオード1151のアノード)に接続されたソース端子Sと、を備える。ツェナーダイオード1143は、制御スイッチ1141のゲート端子Gとソース端子Sとの間に接続され、ツェナーダイオード1143のカソードは、制御スイッチ1141のゲート端子Gに接続され、ツェナーダイオード1143のアノードは、制御スイッチ1141のソース端子Sに接続される。
【0084】
電圧レギュレータ回路1160のスイッチ素子1161は、蓄積回路1150の出力ノードN4に接続されたドレイン端子Dと、抵抗器1162とツェナーダイオード1163との間のノードN7に接続されたゲート端子Gと、電圧レギュレータ回路1160の出力ノードN8に接続されたソース端子Sと、を備える。コンデンサ1164は、電圧レギュレータ回路1160の出力ノードN8と突入保護回路1110の出力ノードN6との間に接続される。
【0085】
抵抗器1124(または検知抵抗器)は、蓄積回路1150の出力ノードN4の間に接続され、フィードバック電圧を提供し、このフィードバック電圧は、フィードバック抵抗器1124を通じてサンプリング回路1120のフィードバックノードN2に印加される。ノードN4とN2との間のフィードバック抵抗器1124の接続によって提供されるフィードバック経路は、
図11Aに示すようなフィードバック電圧1180の例示的な実施形態を提供し、蓄積コンデンサ1152の電荷は、部分的に、スイッチドライバ回路1130のスイッチ素子1132のゲート端子Gに接続されたサンプリング回路1120の出力ノードN3において制御電圧を生成するために利用される。
【0086】
スイッチ素子1132は、サンプリング回路1120の電圧分割器ネットワークの出力ノードN3において生成されるゲート制御電圧によって駆動される。スイッチ素子1132のゲーティングは、スイッチドライバ回路1130の制御スイッチ1141の動作を制御する。スイッチドライバ回路1130のスイッチ素子1132のゲート端子Gに印加される電圧分割器ネットワークのノードN3の電圧が、スイッチ素子1132のオンとオフを切り替え、それによって制御スイッチ素子1141のオンとオフを同期的に切り替えるように、抵抗器1121、1122、1123、1124の抵抗値が選択される。制御スイッチ素子1141は、それによって、予め選択されタイミングの合った出力パルスを出力して、蓄積コンデンサ1152を充電するように駆動される。
【0087】
制御スイッチ1141のピーク出力電流は、ツェナーダイオード1143のツェナー電圧(すなわち、逆降伏電圧)の事前選択された値に基づいて、事前に選択された値にクランプされ、最大ゲート-ソース電圧(VGS)は、ツェナーダイオード1143のツェナー電圧によって制限される。制御スイッチ1141からのパルス出力は、ダイオード1151をターンオンするように、および蓄積コンデンサ1152を充電するためにノードN4に充電を供給するように動作する。蓄積回路1160の出力ノードN4とサンプリング回路1120のフィードバックノードN2との間に接続された抵抗器1124によって提供されるフィードバックは、蓄積コンデンサ1152を一定の電荷に維持するように、スイッチドライバ回路1130を駆動する役割を果たす。
【0088】
スイッチ素子1132および制御スイッチ1141は、AC電圧入力と同期して、開または閉のいずれかで起動される。AC-DC変換器回路1100は、入力ACソースの周波数でパルス変調を有する低電圧出力を提供する。スイッチ1132および1141は、ACソースのゼロ交差の、スイッチ1132および1141の閾値電圧内に近い電圧で開または閉のいずれかで起動される。蓄積回路1150の出力ノードN4は、電圧レギュレータ回路1160の入力に印加され、次に負荷回路1102に印加される。コンデンサ1164は、バッファに蓄積容量を提供し、それによってAC-DC変換器1100から負荷回路1102への出力を円滑化する。
【0089】
要約すると、
図11Aおよび
図11Bに示される例示的なAC-DC変換器回路1100は、突入保護回路1110と、電圧サンプリング回路1120と、スイッチドライバ回路1130と、制御スイッチおよびクランプ回路1140と、蓄積回路1150と、電圧レギュレータ回路1160と、を備える。電圧サンプリング回路1120内の構成要素の選択は、スイッチドライバ1130のタイミングを決定する。制御スイッチおよびクランプ回路1140の構成要素の選択は、出力パルスのピーク電圧および電流を決定する。電力出力は、ピーク電流とパルスタイミングの両方の選択によって制御される。電圧サンプリング回路1120を通じた蓄積素子1152からのフィードバックは、パルスタイミングを選択するために利用される。AC-DC変換器回路1100は、AC主電源110のAC電圧波形と同期して動作する。
【0090】
添付の図面を参照して本明細書に例示的な実施形態を説明してきたが、本発明はそれらの正確な実施形態に限定されず、当業者であれば、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、その中で様々な他の変更および修正を加えることができることを理解されたい。
【国際調査報告】