(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】バルーンカテーテル用の膨張デバイス、システムおよび使用方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/10 20130101AFI20220112BHJP
【FI】
A61M25/10 540
A61M25/10 520
A61M25/10 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021543989
(86)(22)【出願日】2019-10-03
(85)【翻訳文提出日】2021-06-02
(86)【国際出願番号】 US2019054591
(87)【国際公開番号】W WO2020072837
(87)【国際公開日】2020-04-09
(32)【優先日】2018-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521141279
【氏名又は名称】オスティアル コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】OSTIAL CORPORATION
(71)【出願人】
【識別番号】521141280
【氏名又は名称】サナティ,アルキメデス
【氏名又は名称原語表記】SANATI,Archimedes
(71)【出願人】
【識別番号】521141291
【氏名又は名称】ウォレンバーグ,ジェイク
【氏名又は名称原語表記】WOLENBERG,Jake
(71)【出願人】
【識別番号】521141305
【氏名又は名称】コ,フレッド,エイチ.
【氏名又は名称原語表記】CO,Fred,H.
(71)【出願人】
【識別番号】521141316
【氏名又は名称】ヤン,イー
【氏名又は名称原語表記】YANG,Yi
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】サナティ,アルキメデス
(72)【発明者】
【氏名】ウォレンバーグ,ジェイク
(72)【発明者】
【氏名】コ,フレッド,エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,イー
(72)【発明者】
【氏名】コースラヴィ,ファーハッド
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA06
4C267BB02
4C267BB04
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB18
4C267BB28
4C267BB29
4C267CC09
4C267EE11
(57)【要約】
膨張デバイスおよびそれらを使用するための方法が、カテーテル上の複数のバルーンを選択的に膨張および収縮させるために提供される。例えば、膨張デバイスは、複数の第1の弁ポート、および第1の弁ポート間の流体経路を開閉するための複数の位置間で動作可能な第1の弁部材を含む第1の弁と、複数の第2の弁ポート、および第2の弁ポート間の流体経路を開閉するための複数の位置の間で動作可能な第2の弁部材を含む第2の弁と、例えば、選択的に真空を引いたりバルーンを順番に膨らませるために複数の位置の間で第1および第2の弁部材を方向付けるために第1および第2の弁部材に結合されたアクチュエータとを具える。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張デバイスが管状デバイスに接続されているときに、第1および第2の管腔を介して管状部材上の第1および第2のバルーンを選択的に膨張および収縮させるための膨張デバイスにおいて、
複数の第1の弁ポートと、これらの第1の弁ポート間の流体経路を開閉するための複数の位置の間で動作可能な第1の弁部材とを具える第1の弁と、
複数の第2の弁ポートと、これらの第2の弁ポート間の流体経路を開閉するための複数の位置の間で動作可能な第2の弁部材とを具える第2の弁と、
前記第1および第2の弁部材に接続され、前記第1および第2の弁部材を第1、第2、第3、および第4の位置の間で切り替えるためのアクチュエータであって
i)前記第1および第2の弁部材が第1の位置にある状態では、前記第1の弁ポートの1つに接続された膨張媒体供給源から前記第1および第2の管腔に流体経路が提供され、その結果、膨張媒体供給源を作動させて前記第1および第2のバルーンを同時に畳むように流体経路に沿って真空が引かれ、
ii)前記第1および第2の弁部材が第2の位置にある状態では、前記第2の管腔が遮断されるとともに、前記第1の管腔と前記膨張媒体供給源との間の流体経路が開かれ、膨張媒体が前記膨張媒体供給源から前記第1の管腔を通って送達されて前記第1のバルーンが膨張され、
iii)前記第1および第2の弁部材が第3の位置にある状態では、前記第1の管腔は遮断され、前記第1のバルーンが膨張状態に維持され、
iv)前記第1および第2の弁部材が第4の位置にある状態では、前記膨張媒体供給源から前記第2の管腔への流体経路は開いているが、前記第1の管腔は遮断されたままであり、膨張媒体は前記膨張媒体供給源から前記第2の管腔を通して送達され、前記第2のバルーンが膨張される、
アクチュエータとを具えることを特徴とする膨張デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の膨張デバイスにおいて、前記アクチュエータは前記第1の弁部材に直接接続され、前記第2の弁部材は前記第1の弁部材に接続されて、前記アクチュエータの作動により前記第1の弁部材が回転し、それによって前記第2の弁部材を回転させることを特徴とする膨張デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載の膨張デバイスにおいて、前記第1の弁部材および前記第2の弁部材は、前記第1の弁部材が時計回り方向に回転すると、前記第2の弁部材が反時計回り方向に回転するように、歯車によって互いに接続されていることを特徴とする膨張デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載の膨張デバイスにおいて、前記アクチュエータは、前記第1の方向に回転すると、前記第1および第2の弁部材を前記第1、第2、第3、および第4の位置の間で順次案内することを特徴とする膨張デバイス。
【請求項5】
請求項4に記載の膨張デバイスにおいて、前記アクチュエータを前記第4の位置から前記第1の方向にさらに回転させると、前記第1および第2の弁部材が前記第1の位置に戻ることを特徴とする膨張デバイス。
【請求項6】
請求項1に記載の膨張デバイスにおいて、前記第1および第2の弁部材が前記第4の位置にあるときに、前記第2のバルーンの膨張速度を制限するための流体経路内の流量制限器をさらに具えることを特徴とする膨張デバイス。
【請求項7】
請求項1に記載の膨張デバイスにおいて、前記膨張媒体供給源から前記第2の管腔に連絡する流体経路内の圧力解放デバイスをさらに具え、当該圧力解放デバイスは前記第1および第2の弁部材が前記第4の位置に向けられたときに過剰圧力を解放するように構成されていることを特徴とする膨張デバイス。
【請求項8】
請求項7に記載の膨張デバイスにおいて、前記圧力解放デバイスは、
前記流体経路と連絡する内部と、その側壁の1つまたは複数の穴とを含む剛性ケーシングと、
前記1つまたは複数の穴を介して前記ケーシングの内部と連絡する内部を有する、少なくとも部分的に前記ケーシングの周りにあるフレキシブル部材とを具え、
前記フレキシブル部材は、前記ケーシング内部内の膨張媒体からの圧力が所定の圧力を超えたときに前記ケーシングから離れるように膨張して、前記第2のバルーンと連絡する膨張媒体からの流れおよび圧力の一方または両方を制限するように構成されていることを特徴とする膨張デバイス。
【請求項9】
請求項7に記載の膨張デバイスにおいて、前記圧力解放デバイスが、
内部を有する剛性ケーシングと、
前記ケーシングの内部内にあり、前記流体経路に沿って移動する膨張媒体が前記バルーンの内部を通るように前記流体経路と連絡する端部を有するフレキシブル部材とを具え、
前記フレキシブル部材は、当該フレキシブル部材内の膨張媒体からの圧力が所定の圧力を超えたときに前記ケーシング内部内で膨張して、前記第2のバルーンと連絡する膨張媒体からの流れおよび圧力の一方または両方を制限するように構成されていることを特徴とする膨張デバイス。
【請求項10】
請求項8または9に記載の膨張デバイスにおいて、前記フレキシブル部材は、前記第2のバルーンへの流体経路内の目標圧力を維持するために収縮するようにバイアスされていることを特徴とする膨張デバイス。
【請求項11】
医療処置を実施するための装置において、
a)カテーテルであって、
i)近位端と、患者の体内に導入するために寸法構成された遠位端とを有する細長い管状部材と、
ii)前記遠位端の第1のバルーンであって、前記近位端の第1の管腔ポートまで延びる、前記管状部材内の第1の管腔と連絡する第1の内部を有する第1のバルーンと、
iii)前記遠位端の第2のバルーンであって、前記近位端の第2の管腔ポートまで延びる、前記管状部材内の第2の管腔と連絡する第2の内部を有する第2のバルーンと、
を含むカテーテルと、
b)膨張デバイスであって、
i)第1の弁であって、前記第1の管腔ポートと連絡する第1の弁ポート、膨張媒体供給源と連絡する第2の弁ポート、第3の弁ポート、および流体経路を前記第1、第2、および第3の弁ポートの間で開閉するための複数の位置の間で動作可能な第1の弁部材を有する第1の弁と、
ii)第2の弁であって、前記第1の弁ポートと連絡する第4の弁ポート、前記第2の管腔ポートと連絡する第5の弁ポート、および前記第4と第5の弁ポート間の流体経路を開閉するための複数の位置の間で動作可能な第2の弁部材とを有する第2の弁と、
iii)前記第1および第2の弁部材を第1、第2、第3、および第4の位置の間で向けるための、前記第1および第2の弁部材に接続されたアクチュエータとを具え、
前記第1および第2の弁部材が第1の位置にある状態では、前記膨張媒体供給源から前記第1および第2の管腔への流体経路が提供され、その結果、前記膨張媒体供給源は、前記第1および第2のバルーンを同時に収縮させるように前記流体経路に沿って真空を引くように作動され、
前記第1および第2の弁部材が第2の位置にある状態では、前記第2の管腔は遮断され、前記第1の管腔と前記膨張媒体供給源との間の流体経路が開かれ、前記膨張媒体供給源から膨張媒体が前記第1の管腔を通って送達されて前記第1のバルーンが膨張され、
前記第1および第2の弁部材が第3の位置にある状態では、前記第1の管腔は遮断され、前記第1のバルーンが膨張状態に維持され、
前記第1および第2の弁部材が第4の位置にある状態では、前記膨張媒体供給源から前記第2の管腔への流体経路は開いているが、前記第1の管腔は遮断されたままであり、膨張媒体が前記膨張媒体供給源から前記第2の管腔を通して送達され、前記第2のバルーンが膨張される、ことを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置において、前記アクチュエータは前記第1の弁部材に直接接続され、前記第2の弁部材は前記第1の弁部材に接続されて、前記アクチュエータの作動により前記第1の弁部材が回転し、それによって前記第2の弁部材を回転させることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項11に記載の装置において、前記第1および前記第2の弁部材は、前記第1の弁部材が時計回り方向に回転すると、前記第2の弁部材が反時計回り方向に回転するように、歯車によって互いに接続されていることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項11に記載の装置において、前記アクチュエータは、前記第1の方向に回転すると、前記第1および第2の弁部材を前記第1、第2、第3、および第4の位置の間で順次案内することを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置において、前記アクチュエータを前記第4の位置から前記第1の方向にさらに回転させると、前記第1および第2の弁部材が前記第1の位置に戻ることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項11に記載の装置において、前記第1および第2の弁部材が前記第4の位置にあるときに、前記第2のバルーンの膨張速度を制限するための流体経路内の流量制限器をさらに具えることを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置において、前記第2の弁が、前記第1および第2の弁部材が前記第1の位置にあるときに前記流量制限器をバイパスするために、前記第5の弁ポートと並列に前記第2の管腔とも連絡する第6の弁ポートを具えることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項11に記載の装置において、前記膨張媒体供給源から前記第2の管腔に連絡する流体経路内の圧力解放デバイスをさらに具え、当該圧力解放デバイスは前記第1および第2の弁部材が前記第4の位置に向けられたときに過剰圧力を解放するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項18に記載の装置において、前記圧力解放デバイスは、
前記流体経路と連絡する内部と、その側壁の1つまたは複数の穴とを含む剛性ケーシングと、
前記1つまたは複数の穴を介して前記ケーシングの内部と連絡する内部を有する、少なくとも部分的に前記ケーシングの周りのフレキシブル部材とを具え、
前記フレキシブル部材は、前記ケーシング内部内の膨張媒体からの圧力が所定の圧力を超えたときにケーシングから離れて膨張して、前記第2のバルーンと連絡する膨張媒体からの流れおよび圧力の一方または両方を制限するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項18に記載の装置において、前記圧力解放デバイスが、
内部を有する剛性ケーシングと、
前記ケーシング内部内にあり、前記流体経路に沿って移動する膨張媒体が前記バルーンの内部を通るように前記流体経路と連絡する端部を有するフレキシブル部材とを具え、
前記フレキシブル部材は、当該フレキシブル部材内の膨張媒体からの圧力が所定の圧力を超えたときに前記ケーシング内部内で膨張して、前記第2のバルーンと連絡する膨張媒体からの流れおよび圧力の一方または両方を制限するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項19または20に記載の装置において、前記フレキシブル部材は、前記第2のバルーンへの流体経路内の目標圧力を維持するために収縮するようにバイアスされていることを特徴とする装置。
【請求項22】
請求項18に記載の装置において、前記圧力解放デバイスが、
前記流体経路内の管を閉鎖して、前記流体経路に沿った膨張媒体の流れを停めるためのクランプ機構を具えることを特徴とする装置。
【請求項23】
請求項22に記載の装置において、所定の圧力限界を超えたときに前記クランプ機構を自動的に作動させて流れを停め、圧力が所定の圧力を下回ったときに流れを回復し、それによって前記第2のバルーンの望ましくない過膨張を防止する圧力センサをさらに具えることを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項11に記載の装置において、前記膨張デバイスが、前記第1の弁、第2の弁、およびアクチュエータを担持するハウジングを具え、当該ハウジングは、前記膨張媒体供給源が前記第2の弁ポートと連絡するように、前記膨張媒体供給源を前記ハウジングに取り外し可能に接続するためのコネクタを含むポートを具えることを特徴とする装置。
【請求項25】
請求項24に記載の装置において、前記ハウジングは、前記第1の弁ポートが前記第1の管腔ポートと連絡し、前記第5の弁ポートが前記第2の管腔ポートと連絡するように、前記ハウジングと前記第1および第2の管腔ポートとの間の配管を取り外し可能に接続するためのコネクタを含むポートをさらに具えることを特徴とする装置。
【請求項26】
請求項11に記載の装置において、前記管状部材が、近位端にハンドルまたはハブを有し、前記第1および第2の弁が前記ハンドルまたはハブ内に担持されていることを特徴とする装置。
【請求項27】
請求項26に記載の装置において、前記アクチュエータが、前記ハンドルまたはハブに取り付けられたダイヤルおよびスライダのうちの1つを具えることを特徴とする装置。
【請求項28】
医療処置を実施するための装置において、
a)カテーテルであって、
i)ハンドルまたはハブを含む近位端と、患者の体内に導入するために寸法構成された遠位端とを有する細長い管状部材と、
ii)前記遠位端の第1のバルーンであって、前記近位端まで延びる、前記管状部材内の第1の管腔と連絡する第1の内部を有する第1のバルーンと、
iii)前記遠位端の第2のバルーンであって、前記近位端まで延びる、前記管状部材内の第2の管腔と連絡する第2の内部を有する第2のバルーンと、
を含むカテーテルと、
b)前記ハンドルまたはハブ内の膨張デバイスであって、
i)第1の弁であって、前記第1の管腔と連絡する第1の弁ポート、膨張媒体供給源を前記膨張デバイスに接続する媒体ポートと連絡する第2の弁ポート、第3の弁ポート、および前記第1、第2、および第3の弁ポート間の流体経路を開閉するための複数の位置の間で動作可能な第1の弁部材を含む第1の弁と、
ii)第2の弁であって、前記第1の弁ポートと連絡する第4の弁ポート、前記第2の管腔と連絡する第5の弁ポート、および前記第4と第5の弁ポート間の流体経路を開閉するための複数の位置の間で動作可能な第2の弁部材とを含む第2の弁と、
iii)前記第1および第2の弁部材を第1、第2、第3、および第4の位置の間で向けるための、前記第1および第2の弁部材に接続された、前記ハンドルまたはハブ上のアクチュエータとを具え、
前記第1および第2の弁部材が第1の位置にある状態では、前記膨張媒体供給源から前記第1および第2の管腔に流体経路が提供され、その結果、前記膨張媒体供給源は、前記第1と第2のバルーンを同時に畳むように前記流体経路に沿って真空を引くように作動され、
前記第1および第2の弁部材が第2の位置にある状態では、前記第2の管腔は遮断され、前記第1の管腔と前記膨張媒体供給源との間の流体経路が開から、前記膨張媒体供給源から膨張媒体が前記第1の管腔を通って送達されて前記第1のバルーンが膨張され、
前記第1および第2の弁部材が第3の位置にある状態では、前記第1の管腔は遮断され、前記第1のバルーンが膨張状態に維持され、
前記第1および第2の弁部材が第4の位置にある状態では、前記膨張媒体供給源から前記第2の管腔への流体経路が開いているが、前記第1の管腔は遮断されたままであり、膨張媒体が前記膨張媒体供給源から前記第2の管腔を通して送達され、前記第2のバルーンが膨張される、ことを特徴とする装置。
【請求項29】
請求項28に記載の装置において、前記アクチュエータは、前記ハンドルまたはハブに取り付けられたダイヤルおよびスライダのうちの1つを具えることを特徴とする装置。
【請求項30】
請求項28に記載の装置において、前記アクチュエータは第1の方向に回転すると、前記第1および第2の弁部材を前記第1、第2、第3、および第4の位置の間で順次案内し、前記アクチュエータを前記第4の位置から前記第1の方向にさらに回転させると、前記第1および第2の弁部材が第1の位置に戻ることを特徴とする装置。
【請求項31】
第1および第2の管腔を介して管状部材上の第1および第2のバルーンを選択的に膨張および収縮させるための方法において、
膨張デバイスを提供するステップであって、当該膨張デバイスが、
i)第1の弁であって、前記第1の管腔と連絡する第1の弁ポート、膨張媒体供給源と連絡する第2の弁ポート、第3の弁ポート、および流体経路を前記第1、第2、および第3の弁ポートの間で開閉するための複数の位置の間で動作可能な第1の弁部材を有する第1の弁と、
ii)第2の弁であって、前記第1の弁ポートと連絡する第4の弁ポート、前記第2の管腔と連絡する第5の弁ポート、および第4と第5の弁ポートの間の流体経路を開閉するための複数の位置の間で動作可能な第2の弁部材とを有する第2の弁とを具える、ステップと、
前記第1および第2の弁部材が第1の位置にある状態で、前記膨張媒体供給源から前記第1および第2の管腔へ流体経路を提供し、前記膨張媒体供給源を、前記第1および第2のバルーンを同時に畳むように前記流体経路に沿って真空を引くように作動させるステップと、
前記第1の管腔と膨張媒体供給源との間の流体経路が開いている間に、前記第1および第2の弁部材を第2の位置に向けて前記第2の管腔を遮断するステップと、
前記第1および第2の弁部材が第2の位置にある状態で、前記膨張媒体供給源から前記第1の管腔を通して膨張媒体を送達し、前記第1のバルーンを膨張させるステップと、
前記第1および第2の弁部材を第3の位置に向けて前記第1の管腔を遮断し、それによって前記第1のバルーンを膨張状態に維持するステップと、
前記第1および第2の弁部材を第4の位置に向けて、前記第1の管腔を遮断状態に維持したまま、前記膨張媒体供給源から前記第2の管腔への流体経路を開くステップと、
前記第1および第2のアクチュエータが第4の位置にある状態で、前記膨張媒体供給源から前記第2の管腔を通して膨張媒体を送達して、前記第2のバルーンを膨張させるステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法において、さらに、
前記第1および第2の弁部材を第1の位置に向けて、前記膨張媒体供給源から前記第1および第2の管腔への流体経路を開くステップと、
前記膨張媒体供給源を作動させて、前記流体経路に沿って真空を引き、前記第1および第2のバルーンを同時に畳むステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項31に記載の方法において、前記膨張デバイスを提供するステップは、
前記第1の弁ポートが前記第1の管腔と連絡するように、前記第1の管腔ポートを前記管状部材の近位端にある第1の管腔ポートに接続するステップと、
前記第2の弁ポートが前記第2の管腔と連絡するように、前記第2の弁ポートを前記管状部材の近位端にある第2の管腔ポートと接続するステップとを含む を含むことを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項31に記載の方法において、さらに、
前記第1および第2のバルーンを畳んだ構成で担持する前記管状部材の遠位端を患者の体内に導入するステップを含み、
前記第1および第2の弁部材は、遠位端が患者の体内の標的位置に配置されるときに第2の位置に向けられ、前記膨張媒体が送達されて、前記標的位置で前記第1のバルーンが膨張されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年10月3日に出願された同時係属中の米国仮出願シリアル番号62/740,883の利益を主張するものであり、その開示全体は参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に医療機器上のバルーンを膨張させるためのデバイスおよびシステムに関し、より具体的には、医療処置中に、例えば体腔内に展開されたステントや他のプロテーゼをフレアリングまたは拡張したり、狭窄を拡張したりするために、カテーテルや他の管状デバイス上の複数のバルーンを膨張および/または収縮させるためのデバイス、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
管状のエンドプロテーゼまたは「ステント」は、患者の血管系または他の体腔内の狭窄、閉塞、および/または他の病変を拡張または他の方法で治療するために提案されてきた。例えば、自己拡張型ステントは、例えば、上にあるシースまたは他の拘束によって収縮状態でカテーテル上に保持され、標的位置、例えば血管または他の体腔内の狭窄に送達され得る。ステントが標的位置に配置されると、拘束が取り除かれ、ステントが自動的に拡張して血管を拡張させるか、そうでなくとも標的位置で血管を支持することができる。
【0004】
あるいは、バルーン拡張型ステントが、例えばクリンプまたは他の方法でバルーン上に固定された収縮状態で、カテーテル上で運ばれ得る。ステントが標的位置に配置されると、バルーンが膨張してステントを拡張し、血管を拡張することができる。
【0005】
いくつかの用途では、例えば小孔または分岐部、すなわち、枝血管が主血管または幹から延びる場所にステントを送達するために、例えば並べるか少なくとも部分的に重なり合うバルーンなどの複数のバルーンを含むカテーテルを提供することができ、これらが連続的に、同時に、および/または互いに独立して膨張して、所望の方法でプロテーゼを拡張することができる。一般に、そのようなカテーテルを使用することは、複数の膨張デバイス、例えば、個々のシリンジをカテーテルの別々のポートに結合して、バルーンを互いに独立して膨張させることを含むが、これはカテーテルの操作および使用を複雑にし得る。したがって、カテーテル上の複数のバルーンを膨らませるのを容易にする装置および方法が有用となる。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、医療機器上のバルーンを膨張させるための装置およびシステムに関する。より具体的には、本発明は、例えば、体腔内に配置されたプロテーゼをフレアリングまたは他の方法で拡張し、狭窄を拡張するなどの医療処置中に、カテーテルまたは他の管状デバイス上の複数のバルーンを膨張および/または収縮させるためのデバイス、システム、および方法に関する。
【0007】
例示的な実施形態によれば、膨張デバイスが管状装置の近位端に結合されているときに、第1および第2の管腔を介して管状部材の遠位端上の第1および第2のバルーンを選択的に膨張および収縮させるための膨張デバイスが提供される。膨張デバイスは、複数の第1の弁ポートと、これらの第1の弁ポート間の流体経路を開閉するための複数の位置の間で動作可能な第1の弁部材と、複数の第2の弁ポートと、これらの第2の弁ポート間の流体経路を開閉するための複数の位置の間で動作可能な第2の弁部材とを具える第2の弁と、前記第1および第2の弁部材に接続され、前記第1および第2の弁部材を複数の位置、例えば第1、第2、第3、および第4の位置の間で連続的に切り替えるためのアクチュエータとを含み得る。
【0008】
例えば、前記第1および第2の弁部材が第1の位置にある状態では、前記第1の弁ポートの1つに接続された膨張媒体供給源から前記第1および第2の管腔に流体経路が提供され、その結果、膨張媒体供給源を作動させて前記第1および第2のバルーンを同時に畳むように流体経路に沿って真空が引かれる。前記第1および第2の弁部材が第2の位置にある状態では、前記第2の管腔が遮断されるともに、前記第1の管腔と前記膨張媒体供給源との間の流体経路が開かれ、膨張媒体が前記膨張媒体供給源から前記第1の管腔を通って送達されて前記第1のバルーンが膨張される。前記第1および第2の弁部材が第3の位置にある状態では、前記第1の管腔は遮断され、前記第1のバルーンが膨張状態に維持され、前記第1および第2の弁部材が第4の位置にある状態では、前記膨張媒体供給源から前記第2の管腔への流体経路は開いているが、前記第1の管腔は遮断されたままであり、膨張媒体は前記膨張媒体供給源から前記第2の管腔を通して送達され、前記第2のバルーンが膨張される。
【0009】
別の実施形態によれば、第1および第2の管腔を介して管状部材上の第1および第2のバルーンを選択的に膨張および収縮させるための方法が提供される。膨張デバイスが提供され、これは、第1の弁であって、前記第1の管腔と連絡する第1の弁ポート、膨張媒体供給源と連絡する第2の弁ポート、第3の弁ポート、および流体経路を前記第1、第2、および第3の弁ポートの間で開閉するための複数の位置の間で動作可能な第1の弁部材を有する第1の弁と、第2の弁であって、前記第1の弁ポートと連絡する第4の弁ポート、前記第2の管腔と連絡する第5の弁ポート、および第4と第5の弁ポートの間の流体経路を開閉するための複数の位置の間で動作可能な第2の弁部材とを有する第2の弁とを具える。任意選択で、前記第2の弁は、例えば第5の弁ポートと並列に、第2の管腔とも連絡する第6の弁ポートを含み得る。このオプションでは、流量制限器および/または圧力解放デバイスが、第6の弁ポートに沿って提供され得る。
【0010】
前記第1および第2の弁部材が第1の位置にある状態で、前記膨張媒体供給源から前記第1および第2の管腔へ流体経路を提供し、前記膨張媒体供給源を、前記第1および第2のバルーンを同時に畳むように前記流体経路に沿って真空を引くように作動させる。次に、前記第1の管腔と膨張媒体供給源との間の流体経路が開いている間に、前記第1および第2の弁部材を第2の位置に向けて前記第2の管腔を遮断し、前記第1および第2の弁部材が第2の位置にある状態で、前記膨張媒体供給源から前記第1の管腔を通して膨張媒体を送達する。次に、前記第1および第2の弁部材を第3の位置に向けて前記第1の管腔を遮断し、それによって前記第1のバルーンを膨張状態に維持する。次に、前記第1および第2の弁部材を第4の位置に向けて、前記第1の管腔を遮断状態に維持したまま、前記膨張媒体供給源から前記第2の管腔への流体経路を開き、前記第1および第2のアクチュエータが第4の位置にある状態で、前記膨張媒体供給源から前記第2の管腔を通して膨張媒体を送達して、前記第2のバルーンを膨張させる。任意選択で、第1および第2の弁部材は、膨張媒体供給源から第1および第2の管腔への流体経路を開くために第1の位置に戻すことができ、膨張媒体供給源は、第1および第2のバルーンを同時に畳むように流体経路に沿って真空を引くように作動させることができる。
【0011】
さらに別の実施形態によれば、カテーテルおよびカテーテル上のバルーンを選択的に膨張および収縮させるための膨張デバイスを含む医療処置を実行するための装置が提供される。例えば、カテーテルは、近位端と、患者の体内に導入するために寸法構成された遠位端とを有する細長い管状部材と、前記遠位端の第1のバルーンであって、前記近位端の第1の管腔ポートまで延びる、前記管状部材内の第1の管腔と連絡する第1の内部を有する第1のバルーンと、前記遠位端の第2のバルーンであって、前記近位端の第2の管腔ポートまで延びる、前記管状部材内の第2の管腔と連絡する第2の内部を有する第2のバルーンとを含む。
【0012】
膨張デバイスは、第1の弁であって、第1の管腔ポートと連絡する第1の弁ポート、膨張媒体供給源と連絡する第2の弁ポート、第3の弁ポート、および流体経路を前記第1、第2、および第3の弁ポートの間で開閉するための複数の位置の間で動作可能な第1の弁部材を有する第1の弁と、第2の弁であって、前記第1の弁ポートと連絡する第4の弁ポート、前記第2の管腔ポートと連絡する第5の弁ポート、および前記第4と第5の弁ポート間の流体経路を開閉するための複数の位置の間で動作可能な第2の弁部材とを有する第2の弁と、前記第1および第2の弁部材を第1、第2、第3、および第4の位置の間で向けるための、前記第1および第2の弁部材に接続されたアクチュエータとを具える。
【0013】
例えば、前記第1および第2の弁部材が第1の位置にある状態では、前記膨張媒体供給源から前記第1および第2の管腔への流体経路が提供され、その結果、前記膨張媒体供給源は、前記第1および第2のバルーンを同時に畳むように前記流体経路に沿って真空を引くように作動される。前記第1および第2の弁部材が第2の位置にある状態では、前記第2の管腔は遮断され、前記第1の管腔と前記膨張媒体供給源との間の流体経路が開かれ、前記膨張媒体供給源から膨張媒体が前記第1の管腔を通って送達されて前記第1のバルーンが膨張される。前記第1および第2の弁部材が第3の位置にある状態では、前記第1の管腔は遮断され、前記第1のバルーンが膨張状態に維持され、前記第1および第2の弁部材が第4の位置にある状態では、前記膨張媒体供給源から前記第2の管腔への流体経路は開いているが、前記第1の管腔は遮断されたままであり、膨張媒体が前記膨張媒体供給源から前記第2の管腔を通して送達され、前記第2のバルーンが膨張される。
【0014】
本発明の他の態様および特徴が、添付の図面と併せて以下の記載を考慮することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図面は、本発明の例示的な実施形態を示している。
【
図1A】
図1Aは、プロテーゼを拡張するため、または体腔内の狭窄を拡張するための複数のバルーンを含むカテーテルの例示的な実施形態の側面図である。
【
図1B】
図1Bは、
図1Aのカテーテルの遠位端の断面詳細図であり、バルーンが拡張されている。
【
図2】
図2A~2Dは、
図1Aおよび
図1Bのカテーテル上のバルーンといった、複数のバルーンの膨張および/または収縮を制御するための異なる位置にあるバルブを含むカテーテルハンドルに結合または統合され得る膨張デバイスの例示的な実施形態を示す概略図である。
【
図3】
図3A~3Fは、主血管と枝血管との間を連絡する小孔を含む患者の体の断面図であり、
図1Aおよび
図1Bのカテーテルを使用して枝血管内に前もって展開されたステントをフレアする方法を示す。
【
図4】
図4A~4Dは、圧力解放弁を含む膨張デバイスの別の例示的な実施形態を示す概略図である。
【
図5】
図5A~5Dは、圧力解放弁を含む膨張デバイスのさらに別の例示的な実施形態を示す概略図である。
【
図6】
図6A~6Dは、圧力解放デバイスを含む膨張デバイスのさらに別の例示的な実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
例示的な実施形態について説明する前に、本発明は、記載された特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。
【0017】
本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される用語は特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定を意図しないことも理解されたい。
【0018】
値の範囲が提供されている場合、その範囲の上限と下限の間に、文脈上明らかに他に指示されない限り、下限の単位の10分の1までの各介在値も具体的に開示されていると理解されたい。記載の範囲内の任意の値または介在値と、その記載の範囲内の任意の他の記載の値または介在値との間のそれぞれの小さい範囲も、本発明に包含される。これらの小さい範囲の上限および下限は、それぞれ独立して範囲に含まれても含まれなくてもよく、小さい範囲にいずれか、どちらも、あるいはどちらもない限界値が含まれる各範囲も、記載された範囲の中で特に除外された限界値を条件として、本発明の中に包含される。また、記載された範囲に一方または両方の限界値が含まれる場合には、それら含まれる限界値の一方または両方を除いた範囲も含まれる。
【0019】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似または同等の任意の方法および材料を本発明の実施または試験に使用することができるが、いくつかの潜在的で例示的な方法および材料がここで説明される。
【0020】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。したがって、例えば「化合物」への言及は、複数のそのような化合物を含み、「ポリマー」への言及は、当業者に知られている1つまたは複数のポリマーおよびその同等物への言及などを含む。
【0021】
バルーンカテーテルおよび/または患者の体内に導入される複数のバルーンを含む他のデバイスとともに使用することができる膨張デバイスおよびシステムの例が本明細書に記載されている。一般に膨張デバイスは、例えば管状装置の別個の管腔を介して複数のバルーンの制御された膨張および/または収縮を達成するために、例えば、順次に、同時に、および/または互いに独立してカテーテルまたは他の管状装置のハンドルに統合され得るアダプタを含み得る。あるいは、構成要素は、例えば管状デバイスのハンドル上で、それぞれのポートに結合され得るポートを含み得る外部マニホルドに統合され得る。個別の実施形態を以下に説明するが、異なる実施形態の構成要素を他の実施形態と組み合わせることができ、および/または複数の各実施形態を組み合わせることができることが理解されよう。
【0022】
図面を参照すると、
図1Aおよび1Bは、本明細書に記載の膨張デバイスまたはシステム、例えば、膨張デバイス110(
図2A~2Dに示される)のいずれかを含み得るバルーンカテーテルまたは装置10の例示的な実施形態を示す。一般に、カテーテル10は、近位端14、遠位端16、および近位端と遠位端14、16間に延びる1つまたは複数の管腔18を有する細長い管状部材または管上本体12を含み、それによって近位端と遠位端14、16感に延在する長軸20を規定する。任意選択で、カテーテル10は膨張媒体の外部供給源、例えばシリンジ、ガイドカテーテル、および/または1つまたは複数のガイドワイヤ(図示せず)などの1つまたは複数の追加の構成要素を含むキットまたはシステムの一部として提供され得る。図示されるように、カテーテル10は、本明細書の他の場所でさらに説明されるように、狭窄または弁を拡張するため、および/または患者の体内で1つまたは複数の他の手順を実行するための、例えば体腔内に前もって展開された、または遠位端16に担持されたステントをフレアおよび/または他の方法で拡張するために(図示せず)、遠位端16上に一対の重なったバルーンまたは他の拡張可能部材22を含み得る。さらに、遠位端16は、患者の体内のステントおよび/または解剖学的構造に対してカテーテル10の配置を容易にするために、1つまたは複数のマーカー、例えば放射線不透過性材料19の1つまたは複数のバンドを含み得る。追加的または代替的に、カテーテル10は、遠位端16上に、1つまたは複数の治療要素および/または診断要素(図示せず)、例えば後述するように、バルーン22内またはバルーン22に担持される要素を含み得る。
【0023】
管状部材12は、1つまたは複数の管状体から形成することができ、例えばその長さに沿って可変の柔軟性を有する。例えば遠位端16は、例えば、丸みを帯びた、先細りの、および/または他の実質的に非外傷性の遠位先端17で終端する、曲がりくねった解剖学的構造による導入を容易にするために実質的にフレキシブルであり得る。遠位端16は、例えば、約1から7ミリメートル(1~7mm)の間、または1.7ミリメートル未満の直径を有する、体腔に導入するためのサイズおよび/または形状であり得る。近位端14は、実質的に柔軟性、半剛性、または剛性であり得、例えば、近位端14を押すことによって患者の血管系を通して遠位端16を前進させるのに十分なカラム強度を有する。任意選択で、例えば、カテーテル10を近位端14から押し出すのを容易にするために、シャフト支持ワイヤまたは他の補強材(図示せず)を近位端14内に設けることができる。管状部材12は、プラスチック、金属、または複合材料でなり、例えば、前進中の管状部材12のねじれまたは座屈を防止し得るワイヤ、ブレイド、またはコイルコアを有するプラスチック材料で形成することができる。
【0024】
図1Aに示すように、カテーテル10は、例えばカテーテル10の操作を容易にするために、近位端14上にハンドルまたはハブ30を含み得る。ハンドル30は、後述するように、本明細書のいずれかの膨張デバイス上の対応するポートに結合可能な、管状部材12内のそれぞれの管腔18と連絡する1つ以上のポート32を含み得る。あるいは、膨張デバイスの構成要素の少なくともいくつかは、ハンドル30の、例えば、膨張媒体供給源から管腔18への流体経路を開閉するための1つまたは複数の弁に組み込まれてもよい。
【0025】
ハンドル30は、プラスチック、金属、または複合材料から、成形、機械加工、または他の方法で形成することができ、例えば、操作を容易にするような輪郭を有し、または他の方法で成形され得る外側ケーシングを提供する。管状部材12の近位端14は、例えば、結合、協働コネクタ、締まりばめなどによって、ハンドル30に取り付けらることができる。任意選択で、カテーテル10が遠位端16に操作可能な構成要素(図示せず)を含む場合、ハンドル30は、近位端14から当該構成要素を作動させるか、さもなければ操作するための1つまたは複数のスライド、ダイヤル、ボタンなどなどの1つまたは複数のアクチュエータ(これも図示せず)を含み得る。
【0026】
図1に示される例示的な実施形態では、
図1Bに示すように、管状部材12は、近位端および遠位端14、16間に延びる少なくとも3つの管腔18を含む。例えば、管状部材12は、ハンドル30のポート32a、32bから管状部材12を通って開口部34a、34bまで延在し、それぞれのバルーン22a、22bの内部23a、23b内に連絡する膨張管腔18a、18bを含み得る。ハンドル30上のポート32a、32bは、膨張デバイスをハンドル30に結合するのを容易にするために、コネクタ、例えば、ルアーロックコネクタ(図示せず)、1つまたは複数のシール(これも図示せず)などを含んでもよい。
【0027】
さらに、管状部材12は、ポート32cから遠位先端17の開口部34cまで延びる器具管腔18cを含み得る。この器具管腔18cは、例えば後述するように、カテーテル10をレール上で前進させるのを容易にするために、ガイドワイヤまたは他のレールまたは器具(図示せず)を挿入可能にするのに十分なサイズを有する。あるいは、「迅速交換型("rapid exchange")」の器具管腔18cではなく、ハンドル30から遠位端16まで延びる器具管腔(図示せず)を提供してもよい。この代替案では、ハンドル30は、それを通って流体、例えば、血液がポートから近位側に流出するのを防止するが、1つまたは複数の器具がポートから器具内腔18cに挿入されることを可能にするポート(図示せず)および/または1つまたは複数のシール(図示せず)を含み得る。
【0028】
図1Aおよび1Bに戻ると、管状部材12は、遠位端16上に第1または内側のバルーン22aと、第2または外側のバルーン22bとを具え、これらは互いに独立して拡張可能である。これらのバルーン22は、例えば、粘着剤による接着、音波溶接、環状カラーまたはスリーブなどを使用することによって、管状部材12の遠位端16に結合されるか他の方法で固定され得る。例えば、
図1Bに最もよく見られるように、内側バルーン22aは、器具管腔ポート32cの遠位側にある管状部材12の遠位端16に直接取り付けられた近位端24aと、遠位先端17の近くの遠位端部16に直接取り付けられた遠位端26aとを含み得る。
【0029】
外側バルーン22bは、内側バルーン22aの上に少なくとも部分的に延在する第1または遠位のセクション25bと、第2または近位のセクション27bとを含む。例えば、第1のセクション25bは完全に内側バルーン22a上に延在し、外側バルーン22bの遠位端26bが、本明細書の他の場所で説明されているように、例えば結合、音波溶接などによって、内側バルーン22aの遠位端26aの上または隣接して取り付けられてもよい。外側バルーン22bの近位端24bは、管状部材12の遠位端16に、例えば、内側バルーン近位端24aの近くにまたは隣接し、かつ器具内腔ポート32cの遠位側に取り付けることができる。
【0030】
外側バルーン22bの第1のセクション25bは、下にある内側バルーン22aの上に重なるが、分離したままであってもよい。あるいは、第1のセクション25bは、例えば、内側バルーン22aに沿って連続的または断続的に、内側バルーン22aに結合または他の方法で取り付けられてもよい。あるいは、必要に応じて外側バルーン22bの向きを逆にして、例えば、外側バルーン22bの第2のセクション25bが近位ではなく、内側バルーン22aの主セクション25aに対して遠位側に延在するようにしてもよい。さらなる代替例では、実質的に球形または球形のセクションを、内側バルーン22aの主セクション25aの近位および遠位の両方で外側バルーン22b上に提供してもよい(図示せず)。この代替案では、近位セクションと遠位セクションは、必要に応じて、同時にまたは互いに独立して拡張させることができる。
【0031】
内側バルーン22aは、収縮状態(図示せず)から膨張状態(
図1Aおよび1Bに示される)へと拡張可能であり得る。同様に、外側バルーン22bはまた、収縮状態(図示せず)から膨張状態(
図1Aおよび1Bに示される)へと拡張可能であり得る。バルーン22の一方または両方、例えば内側バルーン22aは、実質的に非弾性の材料、例えば、PET、ナイロン、またはPEBAXから形成することができ、その結果、バルーン22は、十分な流体がバルーンの内部622に導入されたらその膨張状態において所定のサイズまで膨張する。追加的または代替的に、バルーン22の一方または両方、例えば、外側バルーン22bは、実質的に弾性のある材料、例えば、シリコーン、ポリウレタン、またはポリエチレンから形成することができ、その結果、バルーン22は、内部の流体の体積および/または圧力に応じて様々なサイズに膨張され得る。例示的な実施形態では、内側バルーン22aは、半コンプライアントまたは実質的に非コンプライアントな材料、例えば中~高デュロメータのPEBAX、ナイロン、またはPETから形成することができ、外側バルーン22bは、実質的にコンプライアントまたは半コンプライアント材料、例えばポリエチレン、ポリウレタン、および低~中程度のデュロメータのPEBAXから形成することができる。
【0032】
外側バルーン22bの近位および遠位セクション27b、25bを提供するために、バルーン材料は、近位セクション27bについては実質的に球形または他の球根形状を有し、遠位セクション25bについては実質的に均一でより小さな直径の形状を含む形状に形成され得る。例えば、バルーン材料は、膨張したときに外側バルーン22bの所望の形状を有する型内でブロー成形することができる。バルーン材料のコンプライアンスのために、外側バルーン22bの、例えば、近位セクション27bは、弛緩した成形形状よりも大きく膨張することができるが、外力によって抑えられない限り、その形状を実質的に維持することができる。
【0033】
外側バルーン22bは、例えば、近位セクション27bと遠位セクション25bとの間で実質的に均一な壁厚を有し得る。あるいは、壁の厚さは異なってもよい。例えば、近位セクション27bが遠位セクション25bよりも薄い壁厚を有してもよい。任意選択で、外側バルーン22bは、拡張されたときに外側バルーン22bに接触する構造とのトラクション、摩擦、または他の係合を強化するために、その上に1つまたは複数の特徴を有してもよい。例えば、少なくとも近位セクション27bの外面が、処理されるかテクスチャ加工され、リブや他の突起など(図示せず)を含み、膨張時の摩擦または他の係合を増加させることができる。
【0034】
追加的または代替的に、バルーン22は異なる内圧下で操作され、および/またはそれぞれのバルーン22を完全に膨張するのに必要な圧力が異なってもよい。例えば、内側バルーン22aは、完全に膨張するために外側バルーン22bよりも大きな膨張圧力を必要としてもよい。これにより、本明細書の他の箇所や本明細書で指定する出願でさらに説明するように、ステントの主要部分を実質的に拡張することなく、ステントのフレア部分をフレアおよび/または成形するために、より低い膨張圧力で外側バルーン22bの近位セクション27bを拡張することができる。
【0035】
あるいは、使用中に、外側バルーン22bは、例えば以下に詳述するように、膨張の複数の段階において、中に1つまたは複数の所定量の流体を送達することに基づいて膨張させることができる。例えば、外側バルーン122aの近位セクション27bは、その中に第1の所定量の流体を送達して、ステントを例えば約0.25~2立方センチメートルまたは約0.5~4.2立方センチメートルフレアするように膨張し得る。ボリュームベースの送達は、その相対的なコンプライアンスおよび/または低い圧力要件のために、外側バルーン22bの機能を説明するのに有用であり得る。
【0036】
図1Aおよび1Bに示すように、外側バルーン22bの近位セクション27bは、膨張状態で実質的に球形に拡張するように成形することができ、例えば約1~5気圧(1~5ATM)の膨張圧力で膨張させたときに10~20ミリメートル(10~20mm)の直径を有し得る。例示的な実施形態では、外側バルーン22bの近位セクション27bは、約2気圧(2ATM)の膨張圧力で約13ミリメートル(13mm)の直径を有し得る。対照的に、内側バルーン122bは、膨張状態で実質的に円筒形に膨張するように成形することができ、例えば、約8~20気圧(8-20ATM)の膨張圧力で膨張させたときに約2~8ミリメートル(2~8mm)の直径を有し得る。
【0037】
さらに、内側バルーン22aの主セクション25aは、実質的に均一な直径、例えば、約8~30ミリメートル(8~30mm)の長さを有し得る。この均一な直径の部分を超えて、内側バルーン22aは、遠位先端17の近くに遷移部分27aを有し得る。遷移部分27aは、図示するように先細であってもよいし、あるいは実質的に鈍くてもよく、遠位先端17(図示せず)まで内側に延在し得る。図示するように、内側バルーン22aの主セクション25aは、
図1Bに示され本明細書で特定された出願に開示されているように、外側バルーン22bの少なくとも一部、例えば、遠位セクション25bの下にあり得る。例示的な実施形態では、内側バルーン22aの主セクション27aは、膨張状態で約5~6ミリメートル(5~6mm)の直径を有し、外側バルーン22bの近位セクション27bを超えて遠位に少なくとも約17ミリメートル(17mm)の長さを有し得る。
【0038】
本明細書の膨張デバイスおよびシステムと共に使用することができるバルーンカテーテルや他の管状装置に関する追加情報は、米国特許第7,862,601号、第7,582,111号および第9,034,025号に記載されている。
【0039】
図2A~2Dに転ずると、
図1A、1Bに示されたカテーテル10といった管状デバイスに結合または統合され得る膨張デバイス110の例示的な実施形態が示される。図示するように、膨張デバイス110は、例えば、管などの1つまたは複数のセクションによって規定される1つまたは複数の通路116を介して一緒に結合された三位置活栓(three-position stopcocks)である、一対の弁112、114を具える。それぞれの弁112、114は、例えば弁ポートとカテーテル10の間の一連の流体経路を開閉するために、複数の位置間で弁本体内で動作可能な、複数の第1の弁ポートおよび弁部材112a、114aを含む弁本体または空洞を含み得る。例えば、弁部材112a、114aは、本書のどこかに記載されるように、弁部材112a、114aが1つ以上の位置に回転されたときに弁ポートの1つ以上と整列される1つ以上の通路を含み得る。
【0040】
弁112、114、および通路116は、カテーテル10とは別個の剛性のハウジングまたはマニホルド(図示せず)に含まれてもよい。例えば、マニホルドは、使用中にユーザによって容易に操作されて、例えば弁部材112a、114aを作動させ、および/または真空あるいは膨張媒体を送達するように形成することができる。この実施形態では、管は、ハウジングとハンドル30との間、例えば弁112、114とハンドル30上のポート32a、32bととの間に接続されて、膨張媒体および/または真空を管腔18a、18bおよび/またはバルーン22a、22bに選択的に送達することができる(図示せず、例えば、
図1Bを参照)。あるいは、ハウジングは、ハウジング上のポートがハンドル30上のポート32a、32bに直接接続されるように成形または他の方法で構成され得る。さらに、膨張媒体供給源、例えばシリンジ120、ポンプなどが管122を介してハウジングに接続され、当該供給源120が弁の1つ、例えば、弁112から流体経路に膨張媒体または真空を選択的に供給するようにしてもよい。
【0041】
例えば、ポート32a、32bおよび膨張デバイス110のハウジングは、使用前に膨張デバイス110とハンドル30との間の管を接続するための一対のポートを含み得る。これらのポートは、膨張デバイス110の迅速な接続および切り離しを容易にするために、ルアーフィッティングまたは他のコネクタを含み得る。あるいは、管は、管をポート32a、32bに取り外し可能に結合するためのコネクタを含むハウジングに恒久的に接続されてもよい。
図2A~2Dでは、個別の弁、管、およびコネクタとして示されているが、膨張デバイス110の構成要素は、例えば、成形、キャスティング、または他の方法で図示の流体経路に対応する通路を作成することによって、ハウジング内に一体的に形成されてもよい。
【0042】
代替の実施形態では、膨張デバイス110は、例えば、弁部材がハンドル30内に回転可能に取り付けられ、ハンドルシェル内の管および/または通路が流体経路を規定するように、カテーテル10(または他の管状装置)のハンドル30に統合されてもよい。この代替例では、ハンドル30は、例えばシリンジ120または他の膨張媒体供給源を、ハンドル30内に統合された膨張デバイスに接続するための単一のポートのみを含み得る。
【0043】
さらに、膨張デバイス110は、弁部材112a、114aを複数の位置の間で方向付けて、例えば、以下に詳述するように、様々な弁ポートおよび/または流体経路を開閉するために、弁112、114の一方または両方に結合されたアクチュエータ、例えば、ダイヤル、スライダなど(図示せず)を含む。例示的な実施形態では、アクチュエータの作動によって第1の弁部材が回転し、それによって第2の弁部材が回転するように、アクチュエータが弁112の第1の弁部材112aに直接結合され、他の弁部材114bが第1の弁部材に結合するようにしてもよい。
【0044】
例えば、
図2Aに示すように、第1および第2の弁部材112a、114aは、第1の弁部材112aを時計回り方向に回転させると第2の弁部材114aが反時計回りの方向、例えば
図2B~2Dで矢印によって示されるように回転するように、歯車132(点線で示す)によって回転可能に一緒に連結され得る。その結果、アクチュエータによる第1の弁部材112aの、例えば時計回り方向への回転が、第2の弁部材114aを反対方向、例えば反時計回り方向に回転させて、
図2B~2Dに示すように複数の連続位置が規定される。
【0045】
図示する例では、アクチュエータは第1の方向に回転して、第1および第2の弁部材を順次第1の位置から第2、第3、および第4の位置に、そして最終的には第1の位置に戻す。例えば、
図2A~2Dに示すように、弁ポート112b、112c、112dおよび114b、114c、114dは、弁112、114の周りで互いに約90度(90°)オフセットしており、アクチュエータを操作して弁部材112a、114aをそれぞれの連続位置の間で90度回転させることができる。あるいは、例えば、ラックアンドピニオンまたは他の構成(図示せず)によってアクチュエータが軸方向または他の態様でスライド可能であり、アクチュエータを軸方向にスライドさせると、一方または両方の弁部材112a、114aが第1~第4の位置の間で回転するようにしてもよい(その後、アクチュエータを反対方向に戻して第1の位置に戻すことができる)。
【0046】
図2Aに示す例では、第1および第2の弁部材112a、114aが第1の位置にあり、流体経路が、膨張媒体供給源120から両方のポート32a、32bに、弁112、114を介して、シリンジ120と連絡している管122に提供される。具体的には、第1のポート32aは、第1の弁112の第1の弁ポート112bと連絡し、弁部材112bは、管122に接続された第2の弁ポート112cと連絡する。同時に、第2のポート32bは、管116a、116b、第5の弁ポート114cを介して第2の弁114aと連絡し、第2の弁部材114aは、第1の弁112の第3の弁ポート112dに接続された第4の弁ポート114bと連絡し、これが第2の弁ポート112cおよび管122と連絡する。結果として、シリンジ120を流体経路に沿って真空を引くように作動させて、例えばカテーテル10の両方の管腔18a、18bに真空を生成して、例えば矢印Vで示すように、第1および第2のバルーン22a、22bを同時に萎ませることができる。例えば、カテーテル10の準備中に、バルーン22a、22bは後述するように患者の体内への導入および標的位置への前進を容易にするために畳まれる。追加的または代替的に、例えば生理食塩水の流体源を管122に接続し、シリンジ120を使用して真空を引いてバルーン22a、22bを萎ませる前に、管腔18a、18bおよび/またはバルーン22a、22bを同時に洗浄するために使用することができる。
【0047】
例えば、本明細書の他の場所でさらに説明されるように、遠位端16を患者の体に導入した後、バルーン22a、22bが標的位置に配置されると、アクチュエータを操作して、例えば、
図2Bに示されるように第1および第2の弁部材を第2の位置に向け、第3の弁ポート112dを遮断し、その結果、第2の弁114、管116b、11a、およびポート32bを通る流体経路が閉じて、第2の管腔18bが遮断される。同時に、第1の管腔18aとシリンジ120との間の流体経路は、例えば、管122、第2の弁ポート112c、弁部材112a、第1の弁ポート112b、およびポート32aから開いている。結果として、シリンジ120を前進または他の方法で操作して、矢印「II」で示すように、第1の管腔18aを通してシリンジ120から流体経路に沿って膨張媒体を送達して第1のバルーン22aを膨張させることができる。
【0048】
第1のバルーン22aを膨張させた後、例えば
図2Cに示すようにアクチュエータを回転または他の方法でさらに操作して、第1および第2の弁部材112a、114aを第3の位置に向けて、第1の弁部材112aから第1の弁ポート112bを介してポート32aまでの流体経路を閉鎖し、それによって第1の管腔l8aを遮断し、第1のバルーンl8aの膨張を維持する。
【0049】
図2Dに転ずると、次に、アクチュエータをさらに回転させて、第1および第2の弁部材112a、114aを第4の位置に向けることができ、それにより、シリンジ120および管122から第5のポート114c、第2の弁部材114a、および第6のポート114dを通る流体経路が開き、これが管116c、116aを介してポート32bに連絡する。
【0050】
その結果、(第1のバルーン22aの膨張を維持するために)第1の管腔18aは遮断されたままであるが、第2の管腔18bを通る矢印「I2」で示されるように、膨張媒体がシリンジ120から流体経路に沿って送達されて、第2のバルーン22bを膨張させることができる。
【0051】
第2のバルーン22bを膨張させた後、アクチュエータは、
図2Aに示される第1の位置に戻されるように回転されるか、他の方法で操作され得る。それにより、両方の管腔18a、18bからシリンジ120への流体経路が開き、次に真空を引いて両方のバルーン22a、22bを同時に萎ませるように作動されて、その後、例えば他の場所でさらに説明するように、カテーテル10を除去することができる。
【0052】
任意選択で、流量制限器130を、流体経路の1つに、例えば管116cに沿って提供して、アクチュエータの第4の位置における流体経路に沿った流れが所望の方法で制限されるようにすることができる。例えば、第2のバルーン22bが弾性および/または他の低圧バルーンである場合、第2のバルーン22bを破裂させる危険性があるバルーン22bの過剰膨張を防止するために、流体経路、すなわち管116c、116aおよびポート32aを介した第2の管腔18bへの膨張媒体の流れを制限することが望ましい場合がある。あるいは、第1のバルーン22aが弾性および/または低圧バルーンである場合、流量制限器は、第1の弁ポート112bとポート32aとの間の流体経路(図示せず)に配置してもよい。
【0053】
特に
図2Dおよび2Aに示すように、弁部材112a、114aが第4の位置(
図2D)にある場合、膨張媒体が管116c(および流量制限器130)を通って管116およびポート32bへ送達され、弁部材112a、114aが第1の位置に回転して戻った状態(
図2A)では、管116bおよび116aを通して、すなわち流量制限器130を含む管116cをバイパスして真空が引かれる。結果として、第2のバルーン22bは、流れが流量制限器130によって制限されることなく、急速に収縮され得る。この利点は、平行な管116bおよび116cの両方が第2のバルブ114から管116aおよびポート32bに連絡していることによる。
【0054】
任意選択で、アクチュエータを第4の位置から第1の位置に戻す前に、シリンジ120を操作して真空を引いて、第2のバルーン22bを少なくとも部分的に折りたたむようにしてもよい。例えば、第1のバルーン22aが非弾性および/または他の高圧バルーンである場合、アクチュエータが第1の位置に動かされると、第1のバルーン22aからの圧力は第1の管腔18aを通って膨張デバイス110の流体経路を移動し、この圧力を第2の管腔18bおよび第2のバルーン22bへの流体経路にかける。こうしなければ、第2のバルーン22bの過剰膨張のリスクとなる。
【0055】
追加的または代替的に、圧力解放弁または装置(図示せず)を1つまたは複数の流体経路に設けて、流体経路内の圧力を所定の最大圧力までに制限することができる。例えば、第2のバルーン22bが弾性および/または他の低圧バルーンである場合、圧力解放弁は、ポート32bと連絡する流体経路に、例えば、流量制限器130と同様の管116cに沿って提供することができる。そのような圧力解放弁は、例えば、本明細書の他の場所でさらに説明されるように、第2のバルーン22bの過膨張を防止することができる。
【0056】
図3A~3Fを参照すると、カテーテル10を使用して、例えば、小孔90を含む患者の体内に展開されたステント40をフレアおよび/または他の方法で拡張するための例示的な方法が示されている。図示するように、小孔90は、第2の体腔または枝94と連絡する、第1のまたは主体腔または幹92の壁の開口部であり得る。例示的な実施形態では、主体腔92は上行大動脈または下行大動脈であり得、枝体腔は、冠状動脈、総頸動脈、または末梢動脈であり得る。狭窄、閉塞、または他の病変96が、小孔90に、および/または小孔90の近くに存在し、例えば少なくとも部分的に枝94内に延在し得る。この病変96は、幹92と枝94との間の血液または他の流体の流れを部分的または完全に閉塞するアテローム硬化性プラークまたは他の物質を含み得る。
【0057】
最初に、
図3Aに示すように、ガイドワイヤ98または他のレールが、例えば従来の方法を使用して、幹92から小孔90を通って枝94に導入され得る。例えば、大腿動脈、頸動脈、または他の入口部位などの周辺位置(図示せず)で経皮的穿刺または切開部が作成され、ガイドワイヤ98が入口部位から、例えば単独で、またはガイドカテーテル(図示せず)の助けを借りて、患者の血管系を通って前進され得る。例えば、ガイドカテーテル(図示せず)の遠位端を、例えばこの遠位端が小孔90に隣接してまたは近位に配置されるまで、ガイドワイヤ98を介して幹92内に前進させることができる。ガイドカテーテルを使用して、1つまたは複数の器具(本明細書に記載のカテーテルや他のデバイスのいずれかなど)を、ガイドワイヤ98上で幹92および/または枝94内に前進させることができる。
【0058】
病変96が枝94を完全に閉塞している場合、ガイドワイヤ98は閉塞を通して案内されるか、または他のデバイス(図示せず)がガイドワイヤ98上で前進されるか、そうでなければガイドワイヤ98と連動して病変96を通るガイドワイヤ98用の通路を形成し得る。
【0059】
ガイドワイヤ98が病変96を越えて枝94に案内されたら、病変96を少なくとも部分的に拡張することが望ましい場合がある。例えば、血管形成カテーテル(図示せず)を、ガイドカテーテルを通して、および/またはガイドワイヤ98上で病変96内に、そして病変96を通して前進させ、その後、カテーテル上でバルーンまたは他の要素を拡張して、病変96を少なくとも部分的に拡張することができる。必要に応じて、ステント40が移植される前に、例えば病変96を形成するプラークまたは他の材料を軟化、除去、または他の方法で処理するために、他の処置を病変96にて実行してもよい。そのような処置を完了した後、ガイドワイヤ98を介して前進させた器具を除去することができる。
【0060】
ステント40を送達するには、任意の送達カテーテルおよび/または従来の手順を用いることができる。例えば、送達カテーテル(図示せず)の遠位端を、ガイドワイヤ98上で、および/またはガイドカテーテルを通して、入口部位から幹92に進めることができる。例えば、ガイドカテーテルの遠位端が小孔90に当接して、または小孔90に隣接している状態で、送達カテーテルの遠位端をガイドカテーテルから小孔90を通して枝94に進めることができる。送達カテーテルは、ステント40が病変96および/または枝94の中に延在し、貫通するように配置することができる。ステント40を拡張し、および/または送達カテーテルから展開して、ステント40を病変96にわたって、および/または枝94内に配置することができる。例えば
図2Bに示すように、ステント40は、ステント40の第1の端部42が少なくとも部分的に小孔90および/または幹92内に延在し、ステント40の第2の端部44が病変96を超えて枝94内に配置されるように展開される。
【0061】
図示するように、ステント40は、展開されると、実質的に均一な直径の断面を有し得る。例えば、ステント40は拡張して、病変96および/または枝94を拡張および/またはそうでなければ係合するように拡張することができる。あるいは、ステント40は、送達カテーテルを使用して部分的に拡張され、後述するように、装置10でステント40をさらに拡張できるようにしてもよい。
【0062】
図3Cに示すように、その後、カテーテル10の遠位端16(バルーン22が収縮状態で)を幹92に導入して、ステント40をフレアおよび/または他の方法で拡張することができる。導入する前に、アクチュエータを操作して弁部材112a、114aを
図2Aに示す第1の位置に向け、そしてシリンジ120を介して真空をかけ、バルーン22を同時に畳み、および/または他の方法で導入できるようにする。
【0063】
例えば、送達カテーテルを除去して、カテーテル10の遠位端16を同じガイドワイヤ98上で幹92内に前進させることができる。
図1Bに示す実施例では、ガイドワイヤ98の近位端(図示せず)を、器具管腔18cを通してポート32cから開口部34cにバックロードすることができる。次に、遠位端16を、ガイドワイヤ98上で患者の体内に進めることができる。
【0064】
図3Cに示すように、遠位端16は、ステント40および小孔90を通って、少なくとも部分的に枝94内に進められ得る。例えば、遠位端16は、内側バルーン22aがステント40内および/またはステント40を超えて、例えば第1の端部42を超えて配置され、外側バルーン22bの近位セクション27bが小孔90に隣接して、例えばステントの第1の端部42内および/またはその近位に配置されるように配置され得る。
【0065】
任意選択で、位置決めを容易にするために、蛍光透視または他の外部イメージングを用いて、例えば遠位端16上のマーカー19(図示せず、
図1B参照)を観察および監視することにより、遠位端16を監視することができる。例えば、マーカー19aおよび19bを、内側バルーン22aの実質的に均一な主セクション25aの端部を識別するために遠位端16に配置し、一方、近位マーカー19cを、外側バルーン22bの近位端24bおよび/または近位セクション27bを識別するために遠位端16上に配置することができる。このように、必要に応じてマーカー19を用いて、小孔90を超えて枝94内の遠位端44および/またはステント40の一部と内側バルーン22aを整列させるとともに、外側バルーン22bの近位セクション27bを、ステント40の第1の端部42および/または小孔90に整列させることができる。
【0066】
図3Dを参照すると、遠位端16が所望位置に配置された状態で、膨張デバイス110を操作して、バルーン22を所望の方法で膨張させて、ステント40をフレアおよび/または他の方法でさらに拡張することができる。例えば、アクチュエータを
図2Bに示す第2の位置に向け、これによって内側バルーン22aがステント40および/または枝94の壁に接触するように拡張され、例えば、ステント40の第2の端部44およびステント40を超えた枝94の壁の両方に当接するように拡張されて、ステント40の実質的な軸方向の移動が防止される。
【0067】
その後、アクチュエータを
図2Cに示すような第3の位置に向け、内側バルーン22aを遮断し、バルーン22aを膨張させたままにする。次に、アクチュエータを
図2Dに示す第4の位置に向け、外側バルーン22bの近位セクション27bが、例えば
図3Eに示すように、ステント40をフレアさせるように拡張される。例えば、近位セクション27bが拡張されると、ステント40の第1の端部42が、例えば近位セクション27bおよび/または小孔90の形状に一致し得るフレア構成に拡張される。内側バルーン22aが拡張された状態で、ステント40および遠位端16は、この拡張およびフレアリングの間、実質的に静止したままであり得る。
【0068】
任意選択で、近位セクション27bを膨張させてステント40の第1の端部42をフレア状にした後、必要に応じて内側バルーン22aをさらに膨張させて、例えばステント40を拡張させて病変96をさらに拡げることができる。ステント40が完全に展開された状態で、アクチュエータが
図2Aに示す第1の位置に向けられ、バルーン22が例えば同時に、収縮されるか他の方法で畳まれる。次に、カテーテル10は、枝94および幹92から、そして患者の体から、例えばガイドカテーテル(図示せず)へと引き戻すことができる。次に、
図2Fに示すように、ステント40を所定の位置に残したまま、ガイドカテーテルおよび/またはガイドワイヤ98を患者の体から抜去することができる。
【0069】
代替の実施形態では、他の膨張シーケンスを本明細書の膨張デバイスに使用して、例えば、最初にステントを送達および展開し、次に、例えば小孔90内でステントをフレアすることができる。さらに別の代替案では、カテーテル10を使用して、頸動脈、腸骨、腎臓、冠状動脈、または他の血管内など、実質的に真っ直ぐなまたは他の分岐していない体腔内に以前に配置されたステントを拡張することができる。さらなる代替例において、ステントまたは本明細書で特定される出願に開示されたものなどの他のプロテーゼを、必要に応じて、別個の送達カテーテルではなく、カテーテル10の遠位端16、例えばバルーン22上に提供することができる。
【0070】
図4A~4Dを参照すると、膨張デバイス210の別の例が示されており、これは一般に前の実施形態と同様に、例えば管216を介してカテーテル10のハンドル30上のポート32a、32bおよびシリンジまたは他の膨張媒体供給源120と連絡する流量制御マニホルド212を含む。例えば、所望の方法でマニホルド212のポート212a、212b、212cを開閉するために、アクチュエータがマニホルド212の1つまたは複数の弁部材(図示せず)と接続されており、ポート32a、32bへの真空の適用および/または膨張媒体の送達を実現し、カテーテル10上のバルーン(図示せず)を収縮および/または拡張する。例えば、マニホルド212は、本明細書の他の実施形態と同様に、1つまたは複数の流体経路を提供するように配置された弁ポートを備えた2つの弁を含み得る。
【0071】
例えば、
図4Aに示す第1の位置において、両方のポート32a、32bが管216を介してシリンジ120と連通し、マニホルド212のポート212a、212b、212cは開かれる。結果として、両方のバルーンを同時に収縮させるために、管216a、216b/216cを含む両方の流体経路を介して矢印「V」によって示されるように、膨張デバイス210を通して真空を引くようにシリンジ120を操作することができる。
【0072】
図4Bに示す第2の位置において、アクチュエータは、管216b、216cを介して第2のポート32bに連絡する第2のマニホルドポート212bを閉じるように向けられ、一方で第1のマニホルドポート212aは開いたままで、第3のマニホルドポート212cと連通する。その結果、シリンジ120を操作して、マニホルド212および管216aを通して第1のポート32aに膨張媒体を送達し、第2のバルーンを収縮状態としたまま第1のバルーンを膨張させることができる(図示せず。例えば
図3D参照)。
【0073】
図4Cに示す第3の位置において、アクチュエータは、第2のマニホルドポート212bを開き、第1のマニホルドポート212aを閉じるように向けられ、それによって管216b、16cを介して第2のポート32bへの流体経路が開く。その結果、第1のバルーンを膨張させたまま第2のバルーンを膨張させるために、マニホルド212および管216b、216cを介して第2のポート32bに膨張媒体を送達するようにシリンジ120を操作することができる(図示せず、例えば
図3E参照)。
【0074】
図示するように、圧力解放弁230が管216b、216cに沿って提供され、第2のポート32b、したがって第2のバルーン22b(
図1Bに示す)に送達される膨張媒体の圧力が制限される。例えば、上記のように、第2のバルーン22bは、弾性および/または低圧バルーンであるため、過膨張および/または破裂を回避するために、バルーン22bに供給される圧力を制限することが望ましい。
【0075】
これを達成するために、圧力解放弁230は、管216b、216cと連絡するためのポートを備えた端部232a、232bを含む実質的に剛性のケーシングまたはハウジング232と、1つまたは複数の穴236を含む側壁234とを具える。弁230はまた、ケーシング232の外面の周りに取り付けられた管の可撓性部分、ブラダ、または他の材料240を具え、これは例えば、ケーシング232の端部232a、232bに取り付けられた端部240a、24bを有し、穴236と連絡する密閉および/またはシールされた内部領域を提供する。穴236により、ケーシング232に入る膨張媒体が所定の圧力を超えたときにこれを通って逃げて、ブラダ240を拡張することができる。
【0076】
例えば、マニホルド212が
図4Cに示す第3の位置にあるとき、過剰圧力によりブラダ240が拡張し、それによって過剰な膨張媒体がブラダ240内に貯蔵されて、過剰圧力が第2のポート32bおよび第2のバルーン22bの内部へ通るのが防止される。膨張媒体の圧力が所定の圧力を下回ったら、ブラダ240は、ケーシング232の方へ収縮するようにバイアスされ、それによって過剰な膨張媒体がケーシング232から、例えば管216cに沿って第2のポート32bに案内される。したがって、圧力解放弁230により、シリンジ120からの圧力が変化した場合でも、膨張時に第2のバルーン22bを所望の膨張圧力に維持することができる。
【0077】
ブラダ240は、例えば、所望の壁厚、デュロメータ、長さ、および/または他の機械的特性を有するセミコンプライアントまたはコンプライアント材料から形成されて、所定の圧力を目標最大圧力に設定することができる。さらに、穴236の数および/またはサイズは、所定の圧力を調整するために選択することができる。
【0078】
マニホールド212が、
図4Dに示すように、第3の位置から第4の位置に向けられたとき、圧力解放弁230は、第2のポート32b、したがって第2のバルーン22bに過剰な圧力が加えられるのを防ぐことができる。このように、圧力解放弁230は、ある量の膨張媒体を貯蔵し、および/またはブラダ240内に目標圧力を貯蔵することができる。例えば、第2の位置からの貯蔵圧力/流体量が、低圧バルーンを膨張させるのに必要なもの以上である場合、マニホルド212を単に第3の位置から第4の位置に向けて、低圧膨張管腔に取り付けられたバルーン22bが正しい容量/圧力へと自動的に膨張することができる。
【0079】
図5A~5Dを参照すると、例えば前の実施形態と同様に、一般にマニホルド212、膨張媒体供給源120、および管216を介して連絡する圧力解放弁330を具える膨張デバイス310の別の実施形態が示されている。しかしながら、前の実施形態とは異なり、圧力解放弁330は、剛性ケーシングまたはハウジング332を具え、その中にバルーン340が設けられている。バルーン340は、管216b、216cを通過するシリンジ120からの膨張媒体がバルーン340の内部も通過するように、管216b、216cに取り付けられた、または他の方法で密封接続された端部340a、340bを有する。バルーン340は、例えば、ケーシング332の内径と実質的に同じ公称直径を有する、コンプライアントまたは非コンプライアント材料から形成することができる。
【0080】
バルーン340が所定の閾値を超える圧力にさらされたとき、例えば、第3の位置(
図5C)から第4の位置(
図5D)に切り替わるとき、第2の位置から蓄積された圧力/体積のすべてが、ケーシング332内のバルーン340を膨張させるために使用され得るので、圧力解放弁330は、低圧膨張管腔/バルーンに過剰な圧力が加えられるのを防ぐことができる。ケーシング332内のバルーン340が膨張すると、膨張デバイス330を使用して低圧膨張管腔に望ましい目標圧力および/または体積を適用することができる。
【0081】
図6A~6Dを参照すると、例えば前の実施形態と同様に、一般にマニホルド212、膨張媒体供給源120、および管216を介して連絡する圧力解放デバイス430を具える膨張デバイス410のさらに別の実施形態が示されている。前の実施形態とは異なり、圧力解放デバイス430は、例えば、マニホルド212が第3の位置(
図6C)から第4の位置(
図6D)に向けられたとき、管216b、216cを通る流れを制限するための機構を含む。圧力解放デバイス430は、例えば、管216b、216cの領域の周りに配置され、統合された圧力センサおよび/またはタイマを備えた外部クランプを含み、これが所定の圧力限界を超えたときに流れを自動的に停止し、圧力が所定の圧力を下回ったら戻し、それによって低圧膨張管腔に取り付けられたバルーンの望ましくない過剰膨張が防止される。
【0082】
あるいは、圧力解放デバイス430は、ユーザがいつでも手動で作動させることができる手動の流れ停止機構を含んでもよい。圧力センサ/タイマおよび関連するクランプ機構は、既知の機械的構成要素(例えば、ばね/ダイヤフラム機構)または電子的に制御される構成要素を含み得る。別の代替例では、圧力解放デバイス430は、例えば蓄積された圧力が流体を流量制限器に押し出す際に、例えば低圧膨張管腔に取り付けられたバルーンを、例えば所定の最大速度でゆっくりと膨張させることができる、本明細書の他の場所に記載の流量制限器と同様のインライン機械式流量制限器を含んでもよい。さらに別の代替案では、圧力解放弁430は、任意選択で、流量制限器または手動装置、例えば、活栓または他のアクチュエータを含み、所望の方法で流れを制限するように操作され得る一方向弁を含んでもよい。
【0083】
これらの実施形態では、マニホルド212が
図6Bに示される第2の位置にある状態で、例えば本明細書の他の場所に記載されるように、非弾性および/または高圧バルーンを膨張させるために、比較的高圧で膨張媒体を送達するためにシリンジ120を用いることができる。マニホールドが第3および/または第4の位置に向けられたとき、圧力解放デバイス430は、残留圧力が第2のバルーン、例えば、弾性および/または低圧バルーンに迅速に伝達されるのを防ぐことができる。流量制限器は流体の流れを遅くし、それによって第2のバルーンが過剰に膨張および/または破裂するリスクを最小限に抑えることができるとともに、例えば圧力が解放されおよび/または膨張デバイス410に真空が送達されるまで、残留背圧が第2のバルーンを膨張し続けることを可能にする。
【0084】
本明細書の任意の実施形態で示される要素または構成要素は、特定の実施形態の例示であり、本明細書で開示される他の実施形態で、またはそれらと組み合わせて使用できることが理解されよう。
【0085】
本発明に様々な変更および代替形態が考えられるが、そのうちの特定の例が図面に示され、本明細書で詳細に説明されている。しかしながら、本発明は、開示された特定の形態または方法に限定されるべきではなく、むしろ本発明は、添付の特許請求の範囲内にあるすべての変更、均等物、および代替物を網羅することを理解されたい。
【国際調査報告】