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特表2022-508647突出する機構を備えるステントの送達システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】突出する機構を備えるステントの送達システム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/958 20130101AFI20220112BHJP
   A61F 2/962 20130101ALI20220112BHJP
   A61F 2/848 20130101ALI20220112BHJP
【FI】
A61F2/958
A61F2/962
A61F2/848
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544101
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(85)【翻訳文提出日】2021-05-14
(86)【国際出願番号】 US2019054847
(87)【国際公開番号】W WO2020076655
(87)【国際公開日】2020-04-16
(31)【優先権主張番号】62/742,852
(32)【優先日】2018-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512052775
【氏名又は名称】リフロー メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒメネス、テオドロ、エス.、ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ロウ、パトリック
(72)【発明者】
【氏名】フルカーソン、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】リズク、アイザ
(72)【発明者】
【氏名】アグアーヨ、フランシスコ
(72)【発明者】
【氏名】ムスタファ、ジハード、アリ
(72)【発明者】
【氏名】アンセル、ゲイリー
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA55
4C267AA56
4C267BB02
4C267BB10
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB13
4C267BB26
4C267BB30
4C267BB40
4C267CC08
4C267EE03
4C267GG03
4C267GG04
4C267GG24
4C267GG42
4C267GG43
4C267HH08
(57)【要約】
ヒトの患者の体内で標的組織へ貫入し、且つ/又は薬物を送達するためのスパイク、フレール、又は他の突出する機構を備える、ステント又はスキャフォールドなどの拡張可能な要素の送達システム、並びにそれに関連するかかるシステムの使用方法について記載する。送達システムは、ステントを拡張し標的送達位置へと送達する膨張可能なバルーンの上に配置される、ステントを備えることができる。ステントを膨張可能なバルーンの上及び周囲に配置することによって、ステントが外側シャフトから抜き出されると直ぐに、バルーンによって膨張させることができる状態になる。それに加えて又は別の方法として、重なり合う構成要素が要する空間の必要性を低減するため、ステントをバルーンに対して軸線方向にずらした配置で位置付けることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側シャフトと、
前記外側シャフト内に摺動可能に配設され、膨張可能なバルーンを備える内側シャフトと、
前記内側シャフト内に摺動可能に配設されたガイドワイヤと、
前記バルーンの周りに配設され、前記内側シャフトに固定的に連結されたステントと
を備える送達システム。
【請求項2】
前記内側シャフトの近位端部にあるコネクタであって、前記ガイドワイヤが前記コネクタの中を通って延在し、前記バルーンと流体連通しているポートを備えるコネクタと、
前記外側シャフトの近位端部にある外側シャフト・ハブであって、前記内側シャフトが前記外側シャフト・ハブの中を通って延在する、外側シャフト・ハブと
をさらに備える、請求項1に記載の送達システム。
【請求項3】
前記内側シャフトの近位部分において漸増的に間隔を空けられたマーカをさらに備え、前記外側シャフト・ハブが前記近位部分に沿って前記内側シャフトの上を摺動可能である、請求項2に記載の送達システム。
【請求項4】
前記バルーンを膨張させた場合に、前記内側シャフトに対する前記外側シャフトの位置を維持するために、前記外側シャフト・ハブを前記内側シャフトの近位部分に係止するように構成された係止部材をさらに備える、請求項2に記載の送達システム。
【請求項5】
前記バルーンが、前記ガイドワイヤを収容する前記内側シャフトの内腔を通して膨張可能である、請求項1に記載の送達システム。
【請求項6】
前記内側シャフトと前記外側シャフトとの間で径方向に配置された補剛ワイヤをさらに備える、請求項1に記載の送達システム。
【請求項7】
前記ステントが、
ストラットを備える径方向に拡張可能な円筒状フレームと、
1つ又は複数のストラットによって装備される突出する機構と
を備える、請求項1に記載の送達システム。
【請求項8】
前記ステントが、前記内側シャフトの少なくとも一部分の周りに延在するアンカ部分によって、前記内側シャフトに固定的に連結されている、請求項1に記載の送達システム。
【請求項9】
前記アンカ部分が、前記バルーンの近位側で前記内側シャフトに連結されている、請求項8に記載の送達システム。
【請求項10】
前記バルーンが、前記内側シャフトの長さに沿って異なる軸線方向位置に複数のセグメントを備え、前記複数のセグメントはそれぞれ、独立して膨張可能である、請求項1に記載の送達システム。
【請求項11】
外側シャフトと、
前記外側シャフト内に摺動可能に配設された内側シャフトであって、前記内側シャフトの遠位部分に膨張可能なバルーンを備える内側シャフトと、
前記内側シャフト内に摺動可能に配設されたガイドワイヤと、
前記外側シャフト内に、前記バルーンの近位側にある前記内側シャフトの近位部分に摺動可能に配設されたステントであって、前記外側シャフト内に摺動可能に配設された安定化ワイヤに接続されているステントと
を備える送達システム。
【請求項12】
前記内側シャフトの近位端部にあるコネクタであって、前記ガイドワイヤが前記コネクタの中を通って延在し、前記バルーンと流体連通しているポートを備えるコネクタと、
前記外側シャフトの近位端部にある外側シャフト・ハブであって、前記内側シャフト及び前記安定化ワイヤが前記外側シャフト・ハブの中を通って延在する、外側シャフト・ハブと
をさらに備える、請求項11に記載の送達システム。
【請求項13】
前記バルーンが、前記ガイドワイヤを収容する前記内側シャフトの内腔を通して膨張可能である、請求項11に記載の送達システム。
【請求項14】
前記ステントが、
ストラットを備える径方向に拡張可能な円筒状フレームと、
1つ又は複数のストラットによって装備される突出する機構と
を備える、請求項11に記載の送達システム。
【請求項15】
前記ステントが、前記安定化ワイヤの少なくとも一部分の周りに延在するアンカ部分によって、前記安定化ワイヤに固定的に連結されている、請求項11に記載の送達システム。
【請求項16】
外側シャフトと、
前記外側シャフト内に摺動可能に配設された内側シャフトであって、前記内側シャフトの近位部分に膨張可能なバルーンを備える内側シャフトと、
前記内側シャフト内に摺動可能に配設されたガイドワイヤと、
前記外側シャフト内に、前記バルーンの遠位側にある前記内側シャフトの遠位部分に摺動可能に配設されたステントであって、前記外側シャフト内に摺動可能に配設された安定化ワイヤに接続されているステントと
を備える送達システム。
【請求項17】
前記内側シャフトの近位端部にあるコネクタであって、前記ガイドワイヤが前記コネクタの中を通って延在し、前記バルーンと流体連通しているポートを備えるコネクタと、
前記外側シャフトの近位端部にある外側シャフト・ハブであって、前記内側シャフト及び前記安定化ワイヤが前記外側シャフト・ハブの中を通って延在する、外側シャフト・ハブと
をさらに備える、請求項16に記載の送達システム。
【請求項18】
前記バルーンが、前記ガイドワイヤを収容する前記内側シャフトの内腔を通して膨張可能である、請求項16に記載の送達システム。
【請求項19】
前記ステントが、
ストラットを備える径方向に拡張可能な円筒状フレームと、
1つ又は複数のストラットによって装備される突出する機構と
を備える、請求項16に記載の送達システム。
【請求項20】
前記ステントが、前記安定化ワイヤの少なくとも一部分の周りに延在するアンカ部分によって、前記安定化ワイヤに固定的に連結されている、請求項16に記載の送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2018年10月8日に出願された「突出する機構を備えるステントの送達システム」という名称の米国仮特許出願第62/742,852号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本説明は、概ね、ヒトの患者の体内で標的組織へ貫入し、且つ/又は薬物を送達するための、スパイク、フレール、又は他の突出する機構を備える、ステント又はスキャフォールドなどの拡張可能な要素の送達システムに関する。
【背景技術】
【0003】
様々なデバイスを使用して、患者の体内の所望の治療位置に薬物を送達することができる。たとえば、薬物溶出性ステント(DES)などのステントを、動脈硬化で生じる狭窄症(動脈狭窄)の位置に配置することができる。DESは、一般に、金属ステント若しくはスキャフォールドを覆ってコーティングされる薬物含有ポリマー、又は薬物含有ポリマーからなる生体吸収性ステント若しくはスキャフォールドを含む。DESは、体腔(たとえば、脈管)内の治療位置に送達された後、体腔の壁(たとえば脈管壁)に対して拡張され、壁との直接接触を経て薬物が放出される。薬物を脈管壁に直接送達することにより、他の送達手段(たとえば、丸薬又は注射)による必要な用量よりも大幅に少ない用量が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】送達システムの一例を示す部分概略側面図である。
図2】線2-2に沿って切り取った、図1の送達システムの例示の領域を示す断面図である。
図3】ステントが拘束されていない状態の、図1の送達システムの遠位部分を示す拡大部分概略側面図である。
図4】ステントの一例を示す斜視図である。
図5図4のステントの側面図である。
図6図4のステントの正面図である。
図7図4のステントのコネクタ端部の一例を示す斜視図である。
図8図4のステントのコネクタ端部の別の一例を示す斜視図である。
図9図4のステントのコネクタ端部の別の一例を示す斜視図である。
図10図4のステントのコネクタ端部の別の一例を示す斜視図である。
図11】展開の第1段階にある送達システムの一例を示す側面図である。
図12】展開の第2段階にある図11の送達システムを示す側面図である。
図13】展開の第3段階にある図11の送達システムを示す側面図である。
図14】展開の第4段階にある図11の送達システムを示す側面図である。
図15】送達システムの例示の領域を示す断面図である。
図16】展開の第1段階にある送達システムの別の例を示す側面図である。
図17】展開の第2段階にある図16の送達システムを示す側面図である。
図18】展開の第3段階にある図16の送達システムを示す側面図である。
図19】展開の第4段階にある図16の送達システムを示す側面図である。
図20】展開の第5段階にある図16の送達システムを示す側面図である。
図21】展開の第1段階にある送達システムの別の例を示す側面図である。
図22】展開の第2段階にある図21の送達システムを示す側面図である。
図23】展開の第3段階にある図21の送達システムを示す側面図である。
図24】展開の第4段階にある図21の送達システムを示す側面図である。
図25】展開の第1段階にある送達システムの一例を示す側面図である。
図26】展開の第2段階にある図25の送達システムを示す側面図である。
図27】展開の第3段階にある図25の送達システムを示す側面図である。
図28】展開の第4段階にある図25の送達システムを示す側面図である。
図29】体腔内における送達状態にある送達システムの一例を示す側面図である。
図30】展開状態にある図29の送達システムを示す断面図である。
図31】バルーン及びステントが体腔内で拡張状態にある図29の送達システムを示す断面図である。
図32】ステントが治療状態、バルーンが流体の流れを可能にする潰れた状態にある、図29の送達システムの領域を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
1つ又は複数の実施態様では、各図に示す構成要素のすべてが必要とされ得るわけではなく、1つ又は複数の実施態様は、図面に示されない追加の構成要素を含むことがある。本開示の範囲から逸脱することなく、構成要素の構成及び種類を変更することができる。追加の構成要素、相異なる構成要素、又はより少ない構成要素が、本開示の範囲内で利用され得る。
【0006】
以下に示す詳細な説明は、様々な実施態様の説明として意図しており、本技術を実施することができる唯一の実施態様を表すことを意図していない。当業者が理解することになるように、説明する実施態様は、すべて本開示の範囲から逸脱することなく、様々な相異なるやり方で修正され得る。従って、図面及び説明は、本質的に、限定的ではなく例示的とみなされるべきである。
【0007】
以下の開示は、ヒトの患者の体内で標的組織へ貫入し、且つ/又は薬物を送達するためのスパイク、フレール、又は他の突出する機構を備える、ステント又はスキャフォールドなどの拡張可能な構造体の送達システム、並びに関連するデバイス及び方法の様々な実施例を説明する。送達システムは、体腔(たとえば、脈管)内に拡張可能な構造体を送達し配置するように構成することができる。さらに、こうした送達システムは、体腔内で拡張可能な構造体を展開し拡張するように構成され得る。送達システムはさらに、拡張された構造体と係合し、体腔から取り外すために構造体を潰すように構成され得る。ある実施例では、送達システムは、1回の手技で、又は複数回の手技中に、別の拡張可能な構造体又は同じ拡張可能な構造体を、別の体腔又は同じ体腔に送達するように構成され得る。かかる送達システムは、経管的手技を簡素化してはかどらせ、標的組織内に拡張可能な構造体をより効果的に送達し配置することが期待される。送達システムは、展開された拡張可能な構造体を再度取り込むように構成されると、拡張可能な構造体の展開など、複数の手技で使用され得る。
【0008】
特に、本明細書で説明する送達システムは、ステントを拡張し標的送達位置へと送達する膨張可能なバルーンの上に配置される、ステントを備えることができる。ステントを膨張可能なバルーンの上及び周囲に配置することによって、ステントが外側シャフトから抜き出されると直ぐに、バルーンによって膨張させることができる状態になる。それに加えて又は別の方法として、重なり合う構成要素が要する空間の必要性を低減するため、ステントをバルーンに対して軸線方向にずらした配置で位置付けることができる。
【0009】
この開示の様々な実施例の完全な理解をもたらすために、特定の詳細を以下の説明及び図1から図32に示す。開示の様々な実施例についての説明を不必要に曖昧にすることを避けるために、拡張可能な構造体、突出する機構、及びかかる構造体の製造と関連する構成要素又はデバイスにしばしば関係する、よく知られた構造体及びシステムを説明する他の詳細は、以下では示していない。さらに、図に示す詳細及び特徴の多くは、この開示の特定の実施例の単なる例示にすぎない。従って、他の実施例は、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、他の詳細及び特徴を有することができる。従って、関連する業界の技術者であれば、関連するデバイス、システム、及び手順を含む本技術が、追加の要素又はステップを有する他の実施例を含むことができ、且つ/或いは図1から図32を参照して以下に示し説明する特徴又はステップのいくつかがない他の実施例を含むことができることを、理解するであろう。さらに、開示の様々な実施例は、図面に示す構造体以外の構造体を含むことができ、図に示す構造体に明示的に限定されない。
【0010】
図1は、送達状態(たとえば、薄型又は潰れた構成)の、ステントのための送達システム100の部分概略側面図を示している。送達システム100は、内側シャフト110及び/又はガイドワイヤ162を収容する1つ又は複数の内腔を有する、外側シャフト120(たとえば、カテーテル)を含む。ある実施例では、外側シャフト120はまた、1つ又は複数の層を有することもできる。これらの実施例では、たとえば、外側シャフト120の層は、内層、外層、ライナ、又はそれらの組み合わせを含むことができる。各層は、ポリマー,高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、Pebax(登録商標)(ポリエーテルブロックアミド)、又はそれらの組み合わせを含む材料から形成することができる。ある実施例では、外側シャフト120のそれぞれの層は同じ材料で形成される。しかし、他の実施例では、1つ又は複数の層は、相異なる材料から形成されてもよい。
【0011】
内側シャフト110は、コネクタ150から外側シャフト120を通って、外側シャフト120の遠位部分120bの先まで延在することができる。内側シャフト110は、コイル状チューブ、編組チューブ、強化チューブ、又はそれらの組み合わせなど、管状構造体(スリットの有無にかかわらず)として形成することができ、或いはポリイミドなどのポリマー材料で構成されてもよい。送達システム100は、内側シャフト110内に、送達システム100の近位端部でアクセス可能なガイドワイヤを含むことができる。
【0012】
送達システム100の遠位部分100bの詳細図では、先端部115(たとえば、非外傷性先端部)が、内側シャフト110の遠位末端に配設されている。図示されるように、先端部115は外側シャフト120の遠位末端に隣接する。先端部115の少なくとも一部分は、外側シャフト120と同じ断面寸法を有することができ、又は先端部115は、異なる断面寸法を有してもよい。ある実施例では、先端部115の遠位端部115bは、先端部の近位端部115aと比較して、遠位端部115bがより小さい断面寸法を有するように先細になっている。先端部115の遠位縁部及び/又は近位縁部は、送達、配置、展開などの間に、先端部115が送達システム100の他の部分に引っ掛かる(たとえば、刺さる)のを防ぐように、湾曲して/丸みを帯びていてもよい。先端部115は、外側シャフト120と同じ材料で形成することができる。しかし、他の実施例では、先端部115は外側シャフト120と相異なる材料で形成することができる。
【0013】
内側シャフト110及び外側シャフト120は、患者の血管内の標的部位(たとえば、治療部位)に入るサイズ及び形状であり得る。ある実施例では、たとえば、外側シャフト110は、約150cmから約180cmの長さと、対象者の脈管構造内に配置するための好適な断面寸法とを有する。内側シャフト110の長さは、患者の脈管構造内に配置することができる長さなどの作動長さであり得る。ある実施例では、たとえば、作動長さは、約70cmから約300cm、約150cmから約250cm、或いは約70cm、約80cm、約90cm、約100cm、約110cm、約120cm、約130cm、約140cm、約150cm、約160cm、約170cm、約180cm、約190cm、約200cm、約210cm、約220cm、約230cm、約240cm、約250cm、約260cm、約270cm、約280cm、約290cm、又は約300cmである。他の実施例では、外側シャフト120は、約130センチメートル(cm)から約140cmの長さと、約4フレンチ、約5フレンチ、又は約6フレンチの断面寸法とを有する。外側シャフト120の長さは、患者の脈管構造内に配置することができる長さなどの作動長さであることができる。ある実施例では、作動長さは、約50cmから約200cm、約100cmから約150cm、或いは約50cm、約60cm、約70cm、約80cm、約90cm、約100cm、約110cm、約120cm、約125cm、約130cm、約135cm、約140cm、約145cm、約150cm、約155cm、約160cm、約170cm、約180cm、約190cm、又は約200cmである。
【0014】
図1の送達システム100の近位部分100aの詳細図では、外側シャフトの近位端部120cは外側シャフト・ハブ140に連結される。図示される実施例では、外側シャフト・ハブ140は、(たとえば、接合によって)外側シャフト120に連結される。しかし、他の実施例では、外側シャフトの近位端部120cは外側シャフト・ハブ140に直接連結される。
【0015】
外側シャフト・ハブ140は、中を貫通する内腔(図示せず)を有するコネクタ150(たとえば、yコネクタ)にさらに連結される。特に、コネクタ150の遠位端部150bは、対合機構及び受容機構(図示せず)を介して、外側シャフト・ハブ140に連結することができる。対合及び受容機構は、外側シャフト120の近位部分又はコネクタ150の遠位端部150bに連結することができる。コネクタ150は、そこから径方向及び/又は長手方向に延出するポート152をさらに含む。送達システム100は、任意選択で、yコネクタ150の近位端部150aに連結される止血コネクタ170を含むことができる。近位端部120cは、特定の配置の特定の構成要素を有して示されているが、追加の又はより少ない構成要素を類似の又は他の配置で含んで、システムの必要性を満たすことができることが、理解されるであろう。
【0016】
送達システム100は、本明細書でさらに考察するステントを、外側シャフト120の遠位部分内で送達/潰れた状態で運ぶように構成される。ステントは、少なくとも部分的に外側シャフト120に収容することができる。ある実施例では、ステントは、内側シャフト110に固定的又は取外し可能に連結することができる。送達システム100はステントの送達システムとして図示しているが、本技術の実施例は、ケージ、メッシュ、バルーン、膜、管状構造体、円柱体、拡張可能な要素、拡張可能な膜、拡張可能な構造体、拡張可能な管状構造体、及びガイドワイヤの内腔の有無にかかわらず円周方向に拡張可能なカテーテル先端部も含むことができることが理解されよう。
【0017】
図2は、線2-2に沿って切り取った、図1の送達システム100の領域の断面図を示している。図2に示されるように、内側シャフト110は、少なくとも部分的に外側シャフト120の内腔内に配設することができ、ガイドワイヤ162は、少なくとも部分的に内側シャフト110の内腔内に配設することができる。ある実施例では、外側シャフト120、内側シャフト110、及び/又はガイドワイヤ162はそれぞれ、円形の断面形状を有する。しかし、他の実施例では、外側シャフト120、内側シャフト110、及び/又はガイドワイヤ162は、卵形、「C」字形、長方形、三角形など、他の断面形状を有することができる。
【0018】
ガイドワイヤ162及び内側シャフト110は、図示されるような前方及び後方、又は内側及び外側など、任意の構成で外側シャフト120の内腔内に配置することができる。さらに、ガイドワイヤ162及び内側シャフト110は、外側シャフト120の内腔内で、図示されるように互いに対して配置することができ、又はガイドワイヤ162は内側シャフト110の外側に配置することができる。内側シャフト110の内腔内に、たとえばガイドワイヤ162の長さに沿って、流体経路を規定することができる。流体経路は、コネクタ150のポート152に接続することができ、並びに/或いはポートによってアクセス可能であることができる。
【0019】
図3は、展開状態での図1の送達システム100の遠位部分100bを示している。図示される実施例では、ステント190は、バルーン180を超えて延在し、送達カテーテル・シャフトに連結され、外側シャフトの遠位部分120bから抜き出されている。近位視覚化マーカ192は、ステント190の近位部分付近で安定化ワイヤ160上に配設され、遠位視覚化マーカ197は、ステントの遠位端部190cに配設される。ある実施例では、近位視覚化マーカ192及び/又は遠位視覚化マーカ197は、安定化ワイヤ160上に配設されてもよい。視覚化マーカ192及び/又は197は、ステント190を経脈管的に(たとえば、標的血管内に)配置する際に視覚化することができる、任意の材料から形成することができる。一実施例では、たとえば、視覚化マーカ192及び/又は197はX線造影マーカである。安定化ワイヤ160は、本明細書でさらに考察するように、内側シャフト110の移動に対応して、安定化ワイヤ160を介してステント190が付勢されるようにして、内側シャフト110に接続することができる。或いは、安定化ワイヤ160は、本明細書でさらに考察するように、内側シャフト110に対して独立して移動可能であることができる。
【0020】
先端部115は、内側シャフト110の末端110cに配設され、遠位部分110bに沿って近位方向に、並びに/或いは末端110cから遠位方向に延在する末端110cを取り囲むことができる。内側シャフト110は、外側シャフト120の遠位部分120bから遠位方向に延在し、ステント190の内腔を通り、任意選択で、ステント190の遠位端部から遠位方向に延在する。展開構成では、突出する機構194は、本明細書でさらに考察するように、ステント190の長手方向軸線から径方向に延在する。
【0021】
内側シャフト110はまた、本明細書でさらに考察するような、膨張可能なバルーン(図示せず)を含むことができる。膨張可能なバルーンは、ステント190が外側シャフト120内で送達状態(たとえば、薄型若しくは潰れた構成)である間、及び/又はステント190が送達状態から最初に展開される間、ステント190と軸線方向で重なり合うか、ステント190の遠位側にあるか、又はステント190の近位側にあることができる。
【0022】
ガイドワイヤ162は、内側シャフト110を通り、先端部115の先まで延在することができる。従って、ガイドワイヤ162は、送達システム100の他の部分の先まで前進させることができる。内側シャフト110、ステント190、及び外側シャフト120は、ステント190が所望の標的送達位置と位置合わせされるまで、ガイドワイヤ162の上を前進させることができる。送達システム100の他の部分と重なり合うガイドワイヤ162の長さは、内側シャフト110内にあることができるので、送達システム100の他のいずれの構成要素とも干渉しない。
【0023】
図4から図6に示されるように、拡張可能なステント190は、フレーム191と複数の突出する機構194とを備える。フレーム191及び突出する機構194は、ステント190が外側シャフト120から抜き出された後、径方向に拡張するように構成することができる。ステント190は、拘束から解放されると自己拡張するものであることができる。それに加えて又は別の方法として、ステント190は、ステント190内にある状態で膨張させたバルーンによって加えられる径方向力によって拡張可能であることができる。フレーム191は、ステント190の圧縮、拡張、可撓性、及び可屈曲性に対応するパターンで配置される、複数のストラット195を含むことができる。フレーム191は、ステント190の少なくとも一部分に沿って、ほぼ円筒形状を形成することができる。突出する機構194それぞれの少なくとも一部分は、フレーム191から(たとえば、遠位端部190cに向かって)少なくとも部分的に遠位方向に延在することができる。たとえば、突出する機構194それぞれの少なくとも一部分は、ステント190の長手方向軸線に平行に延在することができる。突出する機構194それぞれの少なくとも一部分(たとえば、末端部分)は、少なくとも部分的に、フレーム191から径方向に離れる方向に延在することができる。たとえば、突出する機構194それぞれの少なくとも一部分は、ステント190の長手方向軸線から径方向外側に(たとえば、それに対して垂直に)延在することができる。突出する機構194それぞれの少なくとも一部分がフレーム191から遠位方向に延在するので、外側シャフト120をステント190の近位側から遠位方向でステント190を超えて前進させたとき、突出する機構194を折り畳み、遠位方向に延ばすことによって、外側シャフト120内へと容易に後退させることができる。突出する機構194は、任意選択で、ステント190を拡張する際に、標的送達位置に送達する薬物を含むことができる。しかし、ステント190は、送達する薬物を省略し、突出する機構194を組織に貫入させることによって標的送達位置を治療することができる。
【0024】
フレーム191、ストラット195、及び/又は突出する機構194は、たとえば、ニチノール、コバルトクロム、ステンレス鋼、様々な他の金属若しくは合金、又はそれらの組み合わせを含む、様々な材料からなるか、或いはそれらから形成することができる。フレーム191、ストラット195、及び/又は突出する機構194はまた、たとえば、1つ若しくは複数のポリマー、ニチノール、プラスチック材料など、又はそれらの組み合わせを含む、生体吸収性、生物分解性、ナノ多孔性、又は非生体吸収性、非生物分解性、非ナノ多孔性の材料からなるか、或いはそれらから形成されてもよい。ある実施例では、フレーム191及びストラット195は、生体吸収性材料から形成することができ、突出する機構194は、ニチノールなどの非生体吸収性材料から形成することができる。これらの実施例では、突出する機構194は、拡張されたフレーム191及びストラット195が生体吸収された後、体腔の一部分と係合されたまま又はそこに貫入したままであることができる。拡張されたフレーム191及びストラット195が生体吸収された後、ステント190が拡張されている体腔は、フレーム191及びストラット195によって部分的に閉塞されなくなるので、水性医薬組成物などのより多量の流体が体腔を通過し、体腔壁に接触することが可能になる。突出する機構194も生体吸収性材料で形成されてもよく、ステント190が生体吸収されると、突出する機構194によって空いた体腔壁の空間に、体腔を通過する流体を接触させることができる。このようにして、ステント190は、流体が接触する体腔壁の表面積を増加させることができる。
【0025】
突出する機構194は、1つを超えるストラット195、フレーム191、又はそれらの組み合わせによって装備されてもよい。突出する機構194は、たとえば、1つ若しくは複数のストラット及び/又はフレーム191の一部分を、ステント190の長手方向軸線から離れる方向に曲げるか又はねじることによって、ストラット195と一体的に形成されてもよく、或いは、突出する機構194は、ストラット195及び/又はフレーム191に沿った所望の位置に取り付けられる、別個の独立した構成要素であってもよい。
【0026】
ステント190は、ステント190を制御、配置、及び/又は調節する構成要素にしっかり接続する、アンカ部分196を含むことができる。たとえば、アンカ部分196は、ステント190を内側シャフト110にしっかり接続することができる。或いは、アンカ部分196は、ステント190を安定化ワイヤ160にしっかり接続することができる。アンカ部分196は、ステント190の中心軸からオフセットさせることができる。たとえば、アンカ部分196は、ステント190のフレーム191の一部分と径方向で位置合わせするか、その部分に隣接するか、又はその部分の付近にあることができる。ステント190のフレーム191は、中間部分193によってアンカ部分196に接続することができる。中間部分193は、たとえば、フレーム191の端部で異なる円周方向部分に接続する、フレーム191の異なる部分から延在する展開及び後退の際のコラム強度を補助する、変動する幅を有してもよい複数のストラットを含むことができる。中間部分193のストラットは、アンカ部分196に沿って、同じ又は異なる位置まで延在することができる。中間部分193のストラットの構成は、ステント190の全長に沿って空いた中央空間を維持することができる。
【0027】
図7から図10に示されるように、アンカ部分196は、様々な構成の1つ又は複数で形成することができる。図7に示されるように、アンカ部分196は、アンカ部分196に沿った異なる軸線方向位置から円周方向に延在する、複数のリブ902を含むことができる。リブ902は、内側シャフト110及び/又は安定化ワイヤ160などのポジショナとの複数の接触点を提供するため、異なる軸線方向位置に配置することができる。
【0028】
図8に示されるように、アンカ部分196は、異なる方向に延在する異なる部分を含むことができる。たとえば、アンカ部分196は、長手方向部分904と円周方向部分906とを含むことができる。長手方向部分904の軸線方向で隣接する対は、対応する円周方向部分906によって互いに接続することができる。同様に、円周方向部分906の軸線方向で隣接する対は、対応する長手方向部分904によって互いに接続することができる。異なる長手方向部分904は異なる円周方向位置を有して、連結され、異なる円周方向位置に位置付けられたものを取り囲むことができる。
【0029】
図9に示されるように、アンカ部分196はらせん巻線908を含むことができる。たとえば、アンカ部分196は、ポジショナを中に受け入れるように構成された中央空間の周りでらせん状に巻くことができる。らせん巻線908は、複数の(たとえば、2、3、4、5、6、7、8、又は8よりも多い)巻数を含むことができる。らせん巻線908は、断面において、薄型を維持しながらポジショナを係合する、平らな内面を提供する形状を含むことができる。
【0030】
図10に示されるように、アンカ部分196は、複数のストラット910の構成を含むことができる。ストラット910は、ポジショナを受け入れそれに連結する、ほぼ円筒状の形状を規定することができる。ストラット910は、ポジショナを受け入れる空間の周りを、長手方向及び/又は円周方向に延在することができる。ストラット910は、互いに対する長さ及び/又は幅が様々であることができる、任意の数のセルを形成することができる。
【0031】
アンカ部分196は、ステント190を、内側シャフト110及び/又は安定化ワイヤ160などのポジショナにしっかり接続することができる。たとえば、アンカ部分196はポジショナ上に押し付けることができる。さらなる実例によって、アンカ部分196はポジショナに接合することができる。それに加えて又は別の方法として、アンカ部分196及び/又はポジショナの少なくとも一部分の周りにスリーブを提供することができる。たとえば、ポリウレタン及びPebax(登録商標)(たとえば、Pebax(登録商標)35D)を含む、1つ又は複数の可撓性材料から成形された収縮管材などのチューブを、アンカ部分196及び/又はポジショナを覆うスリーブとして提供することができる。それに加えて又は別の方法として、レーザー溶接、接合、圧着、スエージ加工、リフローなどを含む、様々な方法の1つ又は複数によって、安定化ワイヤ160を内側シャフト110に接続することができる。それに加えて又は別の方法として、アンカ部分196は、ステント190をポジショナに取外し可能又は可逆的に接続することができる。たとえば、アンカ部分196は、ステント190をポジショナから制御可能に分離する、1つ又は複数の(たとえば、電解的、機械的、若しくは化学的)分離メカニズムを備えることができる。それにより、ステント190を制御可能に分離し、標的送達位置に残すことができる。
【0032】
本明細書で説明する方法は、送達システム100の操作によって、ステント190を標的送達位置まで送達する。方法をそれらの様々な段階において本明細書で考察し例示するが、各方法の複数の変形例も想起されることが理解されるであろう。たとえば、方法は、様々な操作順序で実施することができ、追加の操作を含むか、又はより少ない操作を含むことができる。
【0033】
図11から図14に示されるように、送達システム100は、ステント190を拡張し標的送達位置へと送達する膨張可能なバルーン180の上に配置される、ステント190を備えることができる。ステント190を膨張可能なバルーン180の上及び周囲に配置することによって、ステント190が外側シャフト120から抜き出されると直ぐに、バルーン180によって膨張させることができる状態になる。
【0034】
図11に示されるように、送達システム100は、送達システム100の他の構成要素を覆うか又は収容する、外側シャフト120を備える。たとえば、外側シャフト120は、内側シャフト110の遠位端部に配置される先端部115まで延在することができる。内側シャフト110は、外側シャフト120の近位端部の近位側で(たとえば、外側シャフト・ハブ140で)アクセス可能な長さで、外側シャフト120内で延在することができる。それに加えて又は別の方法として、コネクタ150は、外側シャフト120の近位端部に近位側で(たとえば、外側シャフト・ハブ140で)アクセス可能であることができる。上述したように、ガイドワイヤを、(たとえば、内側シャフト110を通して)先端部115の先まで前進させて、送達システム100の他の構成要素を前進させるための経路を提供することができる。
【0035】
図12及び図13に示されるように、外側シャフト120を移動させて、ステント190及び送達システム100の他の構成要素を抜き出すことができる。たとえば、送達システム100の遠位領域が所望の位置に配置されると、外側シャフト120は、外側シャフト・ハブ140をコネクタ150に対して後退させることによって、内側シャフト110に対して少なくとも部分的に近位側に後退させるように構成される。外側シャフト120を部分的に後退させると、ステント190及び/又はバルーン180の少なくとも一部分が抜き出され、ステント190の突出する機構194は、内側シャフト110から外側に離れる方向で径方向に拡張するように構成される。
【0036】
本明細書で使用するとき、様々な構成要素の移動は、送達システム100の他の構成要素に対する移動及び/又は送達システム100から離れた位置(たとえば、患者の解剖学的構造、標的送達位置、及び/又は組織の中の位置)に対する移動であることができる。「近位」及び「遠位」という方向は、送達システム100、その構成要素、及び/又は送達システム100から離れた位置に対するものであることができる。たとえば、ガイドワイヤ162の移動は、外側シャフト120、内側シャフト110、ステント190、及び/又はバルーン180に対する移動であることができる。ガイドワイヤ162が移動する間、外側シャフト120、内側シャフト110、ステント190、及び/又はバルーン180は静止しているか、同じ方向に(たとえば、異なる速度で)移動しているか、又は異なる(たとえば、反対)方向に移動していることができることが理解されるであろう。さらに、外側シャフト120、内側シャフト110、ステント190、及び/又はバルーン180が移動する間、ガイドワイヤ162は静止しているか、同じ方向に(たとえば、異なる速度で)移動しているか、又は異なる(たとえば、反対)方向に移動していることができることが理解されるであろう。さらなる実例によって、外側シャフト120の移動は、内側シャフト110、ステント190、及び/又はバルーン180に対する移動であることができる。外側シャフト120が移動する間、内側シャフト110、ステント190、及び/又はバルーン180は静止しているか、同じ方向に(たとえば、異なる速度で)移動しているか、又は異なる(たとえば、反対)方向に移動していることができることが理解されるであろう。さらなる実例によって、内側シャフト110、ステント190、及び/又はバルーン180の移動は、外側シャフト120に対する移動であることができる。内側シャフト110、ステント190、及び/又はバルーン180が移動する間、外側シャフト120は静止しているか、同じ方向に(たとえば、異なる速度で)移動しているか、又は異なる(たとえば、反対)方向に移動していることができることが理解されるであろう。
【0037】
図14に示されるように、外側シャフト120は後退しており、ステント190は抜き出される。安定化ワイヤ160は、アンカ部分196によって内側シャフト110に接続され、ステント190の近位端部と係合し、外側シャフト120を後退させる間及び後退させた後、ステント190の位置を制御するように構成される。従って、ステント190の位置は、バルーン180を含む内側シャフト110に対して維持される。たとえば、ステント190の長さ及び/又は軸線方向位置の何らかの調節は、ステント190の径方向拡張の間に行われてもよいが、安定化ワイヤ160は、ステント190の少なくとも一部分の位置を、バルーン180の少なくとも一部分の周りで、且つそれと軸線方向で位置合わせして維持できることが理解されるであろう。バルーン180は、ステント190の軸線方向長さよりも長い軸線方向長さを有することができるので、ステント190の全体がバルーン180と重なり合う。図14に示されるように、安定化ワイヤ160は、ステント190を、バルーン180の近位側にある内側シャフト110の一部分に接続することができる。それに加えて又は別の方法として、安定化ワイヤ160は、ステント190を、バルーン180の遠位側にある内側シャフト110の一部分に接続することができる。
【0038】
ステント190及びバルーン180の両方が外側シャフト120から抜き出されて露出すると、バルーン180を膨張させてステント190を拡張させるか、又はさらに拡張させることができる。たとえば、バルーンの内部領域を、内側シャフト110を介して、コネクタ150のポート152に流体接続することができる。ポート152を通して流体を提供することによって、バルーン180を拡張させ、それによってステント190を拡張させるか、又はさらに拡張させることができる。標的の解剖学的構造に対する拡張について、本明細書でさらに考察する。
【0039】
上述の操作の1つ又は複数に従って、バルーン180を収縮させることができる。ステント190は、任意の持続時間にわたって拡張状態で維持することができる。たとえば、ステント190は、標的の解剖学的構造に治療処置(たとえば、リモデリング及び/又は薬物送達)を提供するのに有効な持続時間にわたって維持することができ、流体の流れが、治療部位を通る流体が阻害されない、拡張されたステント及び収縮されたバルーンを通ることが可能になる。
【0040】
それに加えて又は別の方法として、送達システム100を複数の位置で展開することができる。ステント190は、外側シャフト120をステント190の上で移動させることによって潰すことができる。ステント190及びバルーン180を、別の標的位置に移動させることができ、上述の操作の1つ又は複数を繰り返すことができる。
【0041】
それに加えて又は別の方法として、送達システム100を除去することができる。ステント190は、外側シャフト120をステント190の上で移動させることによって潰すことができる。送達システム100の構成要素は、ガイドワイヤの上を近位方向に後退させることによって、患者から除去することができる。
【0042】
それに加えて又は別の方法として、ステント190を内側シャフト110から分離し、移植物として患者の体内に残すことができる。分離後、送達システム100の他の構成要素を、ガイドワイヤの上を近位方向に後退させることによって、患者から除去することができる。
【0043】
送達システム100は、ステント190が送達状態でバルーン180の上に配置されて示されているが、他の構成が想起されることが理解されるであろう。たとえば、重なり合う構成要素が要する空間の必要性を低減するため、ステントをバルーンに対して軸線方向にずらした配置で位置付けることができる。図16から図20に示されるような送達システム200、図21から図24に示されるような送達システム300、及び図25から図28に示されるような送達システム500を参照する。送達システム200及び送達システム300はそれぞれ、送達システム100とは異なる態様であるが、本明細書で説明するような送達システム100の構成要素及び特徴を、送達システム200及び送達システム300の一方又は両方に適用することができる。類似又は同様の部分は、送達システム100に示されるものと同じ機能を実施することができ、簡潔にするため、かかる部分の特徴については全てを以下に考察するものではない。
【0044】
図15を次に参照すると、図1をさらに参照して、送達システム200の領域の断面図が示されており、送達システム200は、少なくともいくつかの態様において、図1に示される送達システム100と類似している。たとえば、図15の断面図は、図1の線2-2と同様に配置された線に沿って切り取ったものであり得る。図15に示されるように、内側シャフト210は、少なくとも部分的に外側シャフト220の内腔内に配設することができる。さらに、補剛ワイヤ264が外側シャフト220と内側シャフト210との間に設けられる。補剛ワイヤ264は、ステンレス鋼又は別の材料のものであることができ、シャフトの材料厚さを変更することなく、内腔空間とシャフトの剛性及び/又は可撓性に影響を及ぼすことができる。ガイドワイヤ262は、少なくとも部分的に内側シャフト210の内腔内に配設することができる。外側シャフト220と内側シャフト210との間、又は内側シャフト210内に規定される内腔は、バルーンの膨張及び収縮のため、バルーンに流体接続することができる。ある実施例では、外側シャフト220、内側シャフト210、ガイドワイヤ262、及び/又は補剛ワイヤ264はそれぞれ、円形の断面形状及び単一の内腔を有する。しかし、他の実施例では、外側シャフト220、内側シャフト210、ガイドワイヤ262、及び/又は補剛ワイヤ264は、卵形、「C」字形、長方形、三角形など、複数の内腔と共に、他の断面形状を有することができる。たとえば、補剛ワイヤ264は、外側シャフト220と内側シャフト210との間の空間内に嵌合する形状を有することができる。たとえば、補剛ワイヤ264の断面形状は多角形(たとえば、長方形)又は三日月形であることができる。外側シャフト220の内表面及び/又は内側シャフト210の外表面は、補剛ワイヤ264を受け入れ且つ/又はガイドする、断面形状を有することができる。カテーテル領域のコラム強度及び剛性を増加させるため、支持シャフト230を、内側シャフト210又は外側シャフト220の周りで円周方向に配置することもできる。ある実施例では、支持シャフト230は、より大きい内径を有し、外側シャフト220に取り付けて、カテーテルの全長を延長すると共に、内側のカテーテル210又は補剛ワイヤ264のより大きい近位セグメントを受け入れることができる。支持シャフトの配置は、内側シャフト210の全長から、長さ10cm、20cm、30cm、40cmの様々なギャップを有して内側シャフトの特定の10cm、20cm、30cm、40cmのセグメントまで様々であって、カテーテル全体の剛性を増加させることができる。取付けメカニズムは、接合、リフロー、編組、コイル化、レーザー溶接などを含んでもよい。支持シャフト230はまた、ナイロン、Pebax(登録商標)、ステンレス鋼、ニチノール、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの高デュロメータ・プラスチックで作ることができる。
【0045】
安定化ワイヤ260はステントに連結することができる。安定化ワイヤ260は、外側シャフト220内で摺動可能に配設され、外側シャフトの近位端部から遠位方向に延在し、ポートの近位端部から近位方向に延在するようにサイズ及び形状が決められる。安定化ワイヤ260は、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、金属、ニチノールなどの合金、及び/又はそれらの組み合わせを含む高デュロメータ・プラスチックなどのプラスチックで形成することができる。安定化ワイヤ260は、所望の治療位置にステント(図示せず)を配置し、さらに詳細に後述するように外側シャフト220が引き込まれる間、ステントの位置を少なくとも概ね維持するように、構成することができる。
【0046】
安定化ワイヤ260は、ステントが標的部位に配置されるとき、ポートの近位端部から近位方向に延在するように、サイズ及び形状を決めることができる。たとえば、安定化ワイヤ260は、約150cmから約180cmの長さと、患者の体腔内に配置するのに適した断面寸法とを有することができる。安定化ワイヤ260は、約70cmから約300cm、約150cmから約250cm、又は約70cm、約80cm、約90cm、約100cm、約110cm、約120cm、約130cm、約140cm、約150cm、約160cm、約170cm、約180cm、約190cm、約200cm、約210cm、約220cm、約230cm、約240cm、約250cm、約260cm、約270cm、約280cm、約290cm、若しくは約300cmの作動長さ(即ち、標的体腔内に配置することができる長さ)を有することができる。
【0047】
図16から図20に示されるように、送達システム200は、ステント290を拡張し標的送達位置へと送達する膨張可能なバルーン280の近位側に配置される、ステント290を備えることができる。ステント290を膨張可能なバルーン280の近位側に配置することによって、ステント290及びバルーン280は、外側シャフト220内で送達状態にある間、重なり合わず(たとえば、軸線方向にオフセットされ)、それによって外側シャフト220内の必要空間が低減される。
【0048】
図16に示されるように、送達システム200は、送達システム200の他の構成要素を覆うか又は収容する、外側シャフト220を備える。たとえば、外側シャフト220は、内側シャフト210の遠位端部に配置される先端部215まで延在することができる。内側シャフト210は、外側シャフト220の近位端部の近位側で(たとえば、外側シャフト・ハブ240で)アクセス可能な長さで、外側シャフト220内で延在することができる。それに加えて又は別の方法として、コネクタ250は、外側シャフト220の近位端部に近位側で(たとえば、外側シャフト・ハブ240で)アクセス可能であることができる。安定化ワイヤ260も、外側シャフト220の近位端部に近位側で(たとえば、外側シャフト・ハブ240で)アクセス可能であることができる。ガイドワイヤを、(たとえば、内側シャフト210を通して)先端部215の先まで前進させて、送達システム200の他の構成要素を前進させるための経路を提供することができる。
【0049】
図17に示されるように、外側シャフト220を移動させて、膨張可能なバルーン280を抜き出すことができる。たとえば、送達システム200の遠位領域が所望の位置に配置されると、外側シャフト220は、外側シャフト・ハブ240をコネクタ250に対して後退させることによって、内側シャフト210に対して少なくとも部分的に近位側に後退させるように構成される。外側シャフト220を部分的に後退させると、バルーン280の少なくとも一部分が抜き出される。
【0050】
図18に示されるように、外側シャフト220をさらに移動させて、ステント290を抜き出すことができる。外側シャフト220をさらに後退させると、ステント290の一部分が抜き出され、ステント290の突出する機構294は、内側シャフト210から外側に離れる方向で径方向に拡張するように構成される。図示されるように、バルーン280は内側シャフト210の遠位部分210bに配置され、ステント290は内側シャフト210の近位部分210aに配置される。内側シャフト210の近位部分210aは、バルーン280の断面外寸よりも小さい断面外寸を有することができ、それによってステント290を、ステント290がバルーン280の上で潰された場合に達成されるであろう薄さよりも薄く、近位部分210a上で潰すことができる。
【0051】
図19に示されるように、外側シャフト220は後退しており、ステント290は抜き出される。安定化ワイヤ260は、ユーザがアクセス可能であり、ステント290の近位端部と係合し、外側シャフト220を後退させる間及び後退させた後、ステント290の位置を制御するように構成される。ユーザは、外側シャフト220を後退させる間、安定化ワイヤ260を内側シャフト210に対して固定することができるので、外側シャフト220を後退させる間、バルーン280を含む内側シャフト210に対して、ステント290の位置を維持することができる。
【0052】
図20に示されるように、ステント290及びバルーン280の両方が外側シャフト220から抜き出されて露出すると、ステント290をバルーン280と軸線方向で位置合わせすることができる。内側シャフト210はステント290を通って延在するので、内側シャフト210をステント290に対して近位方向に後退させることで、バルーン280及びステント290の軸線方向の位置合わせを達成することができる。バルーン280は、ステント290の軸線方向長さよりも長い軸線方向長さを有することができるので、軸線方向で位置合わせすると、ステント290の全体がバルーン280と重なり合う。それに加えて又は別の方法として、内側シャフト210及び外側シャフト220を共にステント290に対して後退させることができる。
【0053】
バルーン280は膨張してステント290を拡張させるか、又はさらに拡張させることができる。たとえば、バルーンの内部領域を、内側シャフト210を介して、コネクタ250のポート252に流体接続することができる。ポート252を通して流体を提供することによって、バルーン280を拡張させ、それによってステント290を拡張させるか、又はさらに拡張させることができる。標的の解剖学的構造に対する拡張について、本明細書でさらに考察する。
【0054】
上述の操作の1つ又は複数に従って、バルーン280を収縮させることができる。ステント290は、任意の持続時間にわたって拡張状態で維持することができる。たとえば、ステント290は、標的の解剖学的構造に治療処置(たとえば、リモデリング及び/又は薬物送達)を提供するのに有効な持続時間にわたって維持することができる。
【0055】
それに加えて又は別の方法として、送達システム200を複数の位置で展開することができる。ステント290は、外側シャフト220をステント290の上で移動させることによって潰すことができる。任意選択で、ステント290は、外側シャフト220によって潰す前に、内側シャフト210の近位部分210aと軸線方向で位置合わせし直すことができる。ステント290及びバルーン280を、別の標的位置に移動させることができ、上述の操作の1つ又は複数を繰り返すことができる。
【0056】
それに加えて又は別の方法として、送達システム200を除去することができる。ステント290は、外側シャフト220をステント290の上で移動させることによって潰すことができる。任意選択で、ステント290は、外側シャフト220によって潰す前に、内側シャフト210の近位部分210aと軸線方向で位置合わせし直すことができる。送達システム200の構成要素は、ガイドワイヤの上を近位方向に後退させることによって、患者から除去することができる。
【0057】
それに加えて又は別の方法として、ステント290を安定化ワイヤ260から分離し、移植物として患者の体内に残すことができる。分離後、送達システム200の他の構成要素を、ガイドワイヤの上を近位方向に後退させることによって、患者から除去することができる。
【0058】
図21から図24に示されるように、送達システム300は、ステント390の拡張及び標的送達位置への送達のため、膨張可能なバルーン380の上に配置される、ステント390を備えることができる。ステント390を膨張可能なバルーン380の遠位側に配置することによって、ステント390及びバルーン380は、外側シャフト320内で送達状態にある間、重なり合わず(たとえば、軸線方向にオフセットされ)、それによって外側シャフト320内の必要空間が低減される。
【0059】
図21に示されるように、送達システム300は、送達システム300の他の構成要素を覆うか又は収容する、外側シャフト320を備える。たとえば、外側シャフト320は、内側シャフト310の遠位端部に配置される先端部315まで延在することができる。内側シャフト310は、外側シャフト320の近位端部の近位側で(たとえば、外側シャフト・ハブ340で)アクセス可能な長さで、外側シャフト320内で延在することができる。それに加えて又は別の方法として、コネクタ350は、外側シャフト320の近位端部に近位側で(たとえば、外側シャフト・ハブ340で)アクセス可能であることができる。安定化ワイヤ360も、外側シャフト320の近位端部に近位側で(たとえば、外側シャフト・ハブ340で)アクセス可能であることができる。ガイドワイヤを、(たとえば、内側シャフト310を通して)先端部315の先まで前進させて、送達システム300の他の構成要素を前進させるための経路を提供することができる。
【0060】
図22に示されるように、外側シャフト320を移動させて、膨張可能なバルーン380を抜き出すことができる。たとえば、送達システム300の遠位領域が所望の位置に配置されると、外側シャフト320は、外側シャフト・ハブ340をコネクタ350に対して後退させることによって、内側シャフト310に対して少なくとも部分的に近位側に後退させるように構成される。外側シャフト320を部分的に後退させると、ステント390の一部分が抜き出され、ステント390の突出する機構394は、内側シャフト310から外側に離れる方向で径方向に拡張するように構成される。安定化ワイヤ360は、ユーザがアクセス可能であり、ステント390の近位端部と係合し、外側シャフト320を後退させる間及び後退させた後、ステント390の位置を制御するように構成される。ユーザは、外側シャフト320を後退させる間、安定化ワイヤ360を内側シャフト310に対して固定することができるので、外側シャフト320を後退させる間、バルーン380を含む内側シャフト310に対して、ステント390の位置を維持することができる。
【0061】
図23に示されるように、外側シャフト320をさらに移動させて、バルーン280を抜き出すことができる。外側シャフト320をさらに後退させると、バルーン380の少なくとも一部分が抜き出される。図示されるように、バルーン380は内側シャフト310の近位部分310aに配置され、ステント390は内側シャフト310の遠位部分310bに配置される。内側シャフト310の遠位部分310bは、バルーン380の断面外寸よりも小さい断面外寸を有することができ、それによってステント390を、ステント390がバルーン380の上で潰された場合に達成されるであろう薄さよりも薄く、遠位部分310b上で潰すことができる。
【0062】
図24に示されるように、ステント390及びバルーン380の両方が外側シャフト320から抜き出されて露出すると、ステント390をバルーン380と軸線方向で位置合わせすることができる。内側シャフト310はステント390を通って延在するので、内側シャフト310をステント390に対して遠位方向に移動させることで、バルーン380及びステント390の軸線方向の位置合わせを達成することができる。バルーン380は、ステント390の軸線方向長さよりも長い軸線方向長さを有することができるので、軸線方向で位置合わせすると、ステント390の全体がバルーン380と重なり合う。
【0063】
バルーン380は膨張してステント390を拡張させるか、又はさらに拡張させることができる。たとえば、バルーンの内部領域を、内側シャフト310を介して、コネクタ350のポート352に流体接続することができる。ポート352を通して流体を提供することによって、バルーン380を拡張させ、それによってステント390を拡張させるか、又はさらに拡張させることができる。標的の解剖学的構造に対する拡張について、本明細書でさらに考察する。
【0064】
上述の操作の1つ又は複数に従って、バルーン380を収縮させることができる。ステント390は、任意の持続時間にわたって拡張状態で維持することができる。たとえば、ステント390は、標的の解剖学的構造に治療処置(たとえば、リモデリング及び/又は薬物送達)を提供するのに有効な持続時間にわたって維持することができる。
【0065】
それに加えて又は別の方法として、送達システム300は複数の位置で展開することができる。ステント390は、外側シャフト320をステント390の上で移動させることによって潰すことができる。任意選択で、ステント390は、外側シャフト320によって潰す前に、内側シャフト310の近位部分310aと軸線方向で位置合わせし直すことができる。ステント390及びバルーン380を、別の標的位置に移動させることができ、上述の操作の1つ又は複数を繰り返すことができる。
【0066】
それに加えて又は別の方法として、送達システム300を除去することができる。ステント390は、外側シャフト320をステント390の上で移動させることによって潰すことができる。任意選択で、ステント390は、外側シャフト320によって潰す前に、内側シャフト310の近位部分310aと軸線方向で位置合わせし直すことができる。送達システム300の構成要素は、ガイドワイヤの上を近位方向に後退させることによって、患者から除去することができる。
【0067】
それに加えて又は別の方法として、ステント390を安定化ワイヤ360から分離し、移植物として患者の体内に残すことができる。分離後、送達システム300の他の構成要素を、ガイドワイヤの上を近位方向に後退させることによって、患者から除去することができる。
【0068】
図25から図28に示されるように、送達システム500は、ステント590の拡張及び標的送達位置への送達のため、膨張可能なバルーン580の上に配置される、ステント590を備えることができる。ステント590を膨張可能なバルーン580の上及び周囲に配置することによって、ステント590が外側シャフト520から抜き出されると直ぐに、バルーン580によって膨張させることができる状態になる。ステント590の解放されたいずれかの部分を、その下にあるバルーン580の同様に解放された部分によって拡張することができる。
【0069】
図25に示されるように、送達システム500は、送達システム500の他の構成要素を覆うか又は収容する、外側シャフト520を備える。たとえば、外側シャフト520は、内側シャフト510の遠位端部に配置される先端部515まで延在することができる。内側シャフト510は、外側シャフト520の近位端部の近位側で(たとえば、外側シャフト・ハブ540で)アクセス可能な長さで、外側シャフト520内で延在することができる。それに加えて又は別の方法として、コネクタ550は、外側シャフト520の近位端部に近位側で(たとえば、外側シャフト・ハブ540で)アクセス可能であることができる。上述したように、ガイドワイヤを、(たとえば、内側シャフト510を通して)先端部515の先まで前進させて、送達システム500の他の構成要素を前進させるための経路を提供することができる。
【0070】
図26に示されるように、外側シャフト520を移動させて、ステント590の一部分及び送達システム500の他の構成要素を抜き出すことができる。たとえば、送達システム500の遠位領域が所望の位置に配置されると、外側シャフト520は、外側シャフト・ハブ540をコネクタ550に対して後退させることによって、内側シャフト510に対して少なくとも部分的に近位側に後退させるように構成される。外側シャフト520を部分的に後退させると、ステント590及び/又はバルーン580の一部分が抜き出され、ステント590の突出する機構594は、内側シャフト510から外側に離れる方向で径方向に拡張するように構成される。
【0071】
ステント590は、内側シャフト510など、送達システム500の別の構成要素に(たとえば、アンカ部分を介して)固定的に取り付けることができる。或いは、ステント590は、送達システム500の1つ又は複数の他の構成要素に対して調節可能に配置することができる。たとえば、ステント590は、送達システム500の近位端部でユーザがアクセス可能な、安定化ワイヤに連結することができ、ユーザは、安定化ワイヤの操作によってステント590の位置を調節することができる。
【0072】
図27に示されるように、外側シャフト520部分的に後退しており、ステント590は部分的に抜き出される。ステント590は、本明細書で説明するように、たとえば安定化ワイヤ(図示せず)を用いて、内側シャフト510に接続することができる。従って、ステント590の位置を、バルーン580を含む内側シャフト510に対して維持することができる。たとえば、ステント590の長さ及び/又は軸線方向位置の何らかの調節は、ステント590の径方向拡張の間に行われてもよいが、安定化ワイヤは、ステント590の少なくとも一部分の位置を、バルーン580の少なくとも一部分の周りで、且つそれと軸線方向で位置合わせして維持できることが理解されるであろう。それに加えて又は別の方法として、ステント590は、送達システム500の近位部分で、外側シャフト・ハブ540を内側シャフト510に対して係止することによって、外側シャフト520に対して固定することができる。たとえば、係止部材は、外側シャフト・ハブ540及び内側シャフト510の相対的な軸線方向位置及び/又は移動を選択的に係止するように、制御可能に係合及び係脱することができる。かかる係止部材は、係止されると、外側シャフト520内にあるバルーン580の部分を含めてバルーン580が拡張されたとき、外側シャフト520が近位方向に後退するのを防ぐことができる。バルーン580は、ステント590の軸線方向長さよりも長い軸線方向長さを有することができるので、ステント590の全体がバルーン580と重なり合う。
【0073】
ステント590及び/又はバルーン580がどの程度まで抜き出される(たとえば、部分的に抜き出される)かは、様々なメカニズムの1つ又は複数によって決定することができる。たとえば、ステント590、バルーン580、外側シャフト520、並びに/或いはそれらのうち1つ若しくは複数に連結された1つ又は複数の他の構成要素は、X線造影マーカなどの視覚化マーカを含むことができる。かかる構成要素の互いに対する位置及び/又は標的位置は、たとえば画像診断技術(たとえば、血管造影法)によって、視覚的に決定することができる。それに加えて又は別の方法として、ステント590、バルーン580、及び/又は外側シャフト520の相対位置は、送達システム500の近位端部にある対応する構成要素によって、決定及び/又は推測することができる。たとえば、外側シャフト・ハブ540、内側シャフト510、及び/又は安定化ワイヤ(図示せず)の位置を比較して、外側シャフト520、バルーン580、及び/又はステント590それぞれの相対位置を決定することができる。適切なマーカ、デテント、又は他の指標を、ユーザが参照するように、送達システム500の近位端部で、外側シャフト・ハブ540、内側シャフト510、及び/又は安定化ワイヤ(図示せず)上に設けることができる。たとえば、かかるマーカ、デテント、又は他の指標は、内側シャフト510に対する外側シャフト・ハブ540の位置をユーザに指示するため、互いに対して漸増的に離隔させることができる。かかる指示は、ステント590が抜き出されている程度と相関させることができる。
【0074】
ステント590及びバルーン580の両方が外側シャフト520から抜き出されて露出すると、バルーン580を膨張させてステント590を拡張させるか、又はさらに拡張させることができる。たとえば、バルーン580の最初に露出した部分の内部領域を、内側シャフト510を介して、コネクタ550のポート552に流体接続することができる。ポート552を通して流体を提供することによって、バルーン580の最初に露出した部分を拡張させ、それによってステント590の最初に露出した部分を拡張させるか、又はさらに拡張させることができる。ステント590及び/又はバルーン580の他の部分は、外側シャフト520内に留まることができる。拡張は、たとえば、外側シャフト520が(たとえば、外側シャフト・ハブ540によって)内側シャフト510に対して係止された状態で実施することができる。かかる係止は、部分的に露出したステント590及び/又はバルーン580の拡張による力に応答して、外側シャフト520がさらに後退するのを防ぐことができる。標的の解剖学的構造に対する拡張について、本明細書でさらに考察する。
【0075】
最初の展開後、さらなる操作を実施して、同じ手技における後続の段階でステント590を拡張することができる。たとえば、ステント590の異なる長さ及び/又は部分を後続の操作で利用することができる。図28に示されるように、外側シャフト520はさらに後退しており、ステント590はさらに抜き出される。ステント590及びバルーン580の両方が外側シャフト520からさらに全体的に抜き出されると、たとえば、本明細書で考察するように、ポート552を介して、バルーン580のさらに全体的に露出した部分を膨張させて、ステント590のさらに全体的に露出した部分を拡張させるか、又はさらに拡張させることができる。ステント590及び/又はバルーン580の他の部分は、外側シャフト520内に留まることができる。上述したように、拡張は、外側シャフト520が(たとえば、外側シャフト・ハブ540によって)内側シャフト510に対して係止された状態で実施して、バルーン580を膨張させる間、システムを安定させることができる。
【0076】
ステント590及び/又はバルーン580がどの程度まで抜き出される(たとえば、部分的に抜き出される)かは、やはり、部分的に抜き出される程度を決定することに関して上述したものなど、様々なメカニズムの1つ又は複数によって決定することができる。
【0077】
ある実施例では、上述の操作において抜き出される、露出する、及び/又は拡張されるステント590の動作長さは、異なる長さであることができる。たとえば、動作長さは、最初の段階では短く、後続の段階では長いことが可能である。或いは、動作長さは、最初の段階では短く、後続の段階では短いことが可能である。
【0078】
異なる動作長さが望ましい場合、バルーン580は任意選択で、個別に膨張可能な複数のセグメントを含むことができる。たとえば、バルーン580は、内側シャフト510に沿った異なる軸線方向位置で位置合わせされた、複数のセグメントを含むことができる。内側シャフト510は、対応するポートにそれぞれ接続する複数の内腔を提供することができる。流体を、選択された数のポートを通して提供して、対応するバルーン・セグメントのみを膨張させることができる。たとえば、外側シャフト520の外側にあるバルーン・セグメントのみを膨張させて、ステント590の対応する部分を拡張することができる。それに加えて又は別の方法として、バルーン・セグメントを互いに流体接続させて、それらを順に膨張させるようにすることができる。
【0079】
最初の拡張(たとえば、図27に示される拡張)と後続の拡張(たとえば、図28に示される拡張)との間に、ステント590及び/又はバルーン580を、収縮、圧縮、及び/又は少なくとも部分的に外側シャフト520内へと後退させることができる。或いは、ステント590及び/又はバルーン580を、外側シャフト520を内側シャフト510から係脱し、膨張させたバルーン580からの力に応答して外側シャフト520をさらに後退させることによって、さらに拡張することができる。
【0080】
最初の拡張から後続の拡張への移行は、ステント590の動作長さが標的領域により十分に対処するように調節するために実施することができる。たとえば、ステント590の最初の動作長さを露出させ、拡張させることができる。ユーザは、それにより、(たとえば、血管造影法などの画像診断技術によって)操作の有効性を評価することができる。ステント590の最初の動作長さが不十分であると判断された場合、ステント590及び/又はバルーン580をさらに露出させて、ステント590の動作長さを増加させることができる。かかる調節は、適切な動作長さが提供されるまで、必要に応じて行うことができる。かかる調節を実施する能力によって、不適切であることが発見されたステントを除去し、適切な動作長さを提供する別のステント又は他のデバイスと交換する必要性を回避できることが理解されよう。これらのステップを排除することによって、合計操作時間を低減することができる。さらに、ユーザは、(たとえば、標的領域外の領域で動作するのを回避するため)必要以上に長くせずに、十分に長い(たとえば、標的領域に及ぶ)動作長さを有するデバイスを展開したい場合がある。ユーザは、最初は不確定な長さを有する標的領域に適切に対処する調節可能な動作長さを有する、又はステントの動作長さがそれ以外では未知若しくは不確定である、単一のステント590を提供することができることが理解されよう。かかる能力によって、ユーザが、操作の始めに適正な動作長さを有するデバイスを正確に選択するという負担が低減される。さらに、本明細書で説明する能力は、単一のデバイス又は少数のデバイスを本明細書で説明するように動作させて、所望の広範囲な性能特性を提供することができるので、異なる性能特性を提供する多様なデバイスを提供する必要性も低減する。
【0081】
最初の拡張から後続の拡張への移行は、異なる標的領域の異なる動作長さ要件に対処するために実施することができる。最初の拡張と後続の拡張との間に、ステント590及び/又はバルーン580を異なる位置に再配置することができる。たとえば、ステント590は、異なる標的領域と位置合わせするように再配置することができる。新しい標的領域が、最初の標的領域とは異なる長さ又は他の特徴を有する場合、標的領域それぞれに適切に対処するように、ステント590の動作長さを適宜選択及び/又は修正することができる。かかる調節を実施する能力によって、最初の標的領域に対して適切なステントを除去し、異なる標的領域に対して適切な異なるステントと交換する必要性を回避できることが理解されよう。これらのステップを排除することによって、合計手技時間が低減され、それによって長い手技時間と関連付けられるリスクを低減することができる。さらに、ユーザは、単一のステント590に調節可能な動作長さを提供して、ステント590の動作長さに対する潜在的に異なる要件を有する各領域の代わりに、異なる標的領域それぞれに適切に対処できることが理解されよう。これによって、ユーザが、手技全体を通して、単一のデバイスによってより高い柔軟性及び選択肢を有することが可能になる。
【0082】
上述の操作の1つ又は複数に従って、バルーン580を収縮させることができる。ステント590は、任意の持続時間にわたって拡張状態で維持することができる。たとえば、ステント590は、標的の解剖学的構造に治療処置(たとえば、リモデリング及び/又は薬物送達)を提供するのに有効な持続時間にわたって維持することができ、流体の流れが、治療部位を通る流体が阻害されない、拡張されたステント及び収縮されたバルーンを通ることが可能になる。
【0083】
それに加えて又は別の方法として、送達システム500は複数の位置で展開することができる。ステント590は、外側シャフト520をステント590の上で移動させることによって潰すことができる。ステント590及びバルーン580を、別の標的位置に移動させることができ、上述の操作の1つ又は複数を繰り返すことができる。
【0084】
それに加えて又は別の方法として、送達システム500を除去することができる。ステント590は、外側シャフト520をステント590の上で移動させることによって潰すことができる。送達システム500の構成要素は、ガイドワイヤの上を近位方向に後退させることによって、患者から除去することができる。
【0085】
それに加えて又は別の方法として、ステント590を内側シャフト510から分離し、移植物として患者の体内に残すことができる。分離後、送達システム500の他の構成要素を、ガイドワイヤの上を近位方向に後退させることによって、患者から除去することができる。
【0086】
図29から図32を次に参照すると、ステントを送達、配置、展開、及び/又は再取込みする、送達システム400の一例が様々な構成で示されている。送達システム400に関して説明する動作は、送達システム100、送達システム200、送達システム300、及び/又は送達システム500に適用することができる。図29に示されるように、送達システム400は、ヒトの患者の体腔710(たとえば、血管)内で送達状態である。この実施例では、送達システム400は、ヒトの患者の血管(たとえば、大腿動脈)を通して腔内(たとえば、脈管内)送達するように構成される。大腿動脈には、シース(たとえば、5F又は6F)を大腿動脈の内腔内に導入することによって入ることができる。送達システム400は、ガイドワイヤの上で内側シースの遠位部分410bを追跡し、送達システム400を脈管内の所望の位置720まで遠位方向に前進させることによって、体腔内に送達される。ある実施例では、血管造影手技は、送達システム400を所望の位置720まで前進させる前に、所望の位置720で実行される。
【0087】
送達システム400が所望の位置720に配置されると、外側シースの遠位部分420bを近位方向に引き込まれ、ステント490が抜き出される。図示される実施例では、ステント490の本体は、抜き出されると少なくとも部分的に拡張され、突出する機構494は潰れる。しかし、突出する機構494は、外側シースの遠位部分420bを後退させると、拡張するように構成することができる。他の実施例では、安定化ワイヤ(図示せず)を遠位方向に前進させ、保持若しくはピン止めなど固定するか、又は所望の位置で固定して、外側シースを近位方向に後退させてステントを展開する前、その間、及び/又はその後、ステントを配置することができる。図示されるように、送達システム400の先端部415は、ステントの遠位端部から遠位側に配置され、内側シャフト410は、ステント190の内腔の少なくとも一部分内に配置されたままである。
【0088】
展開された状態では、ステント490の突出する機構494は、径方向に拡張するように構成され、展開されたステント490が拡張されて脈管壁と接触すると、所望の位置で内腔壁を穿刺するようにさらに構成される(図29及び図30を参照)。さらに詳細に後述されるように、ステント及び他の拡張可能な構造体は、ステント及び他の拡張可能な構造体が外側シャフトから少なくとも部分的に抜き出されると、潰れた/送達状態から展開及び/又は拡張状態へと外側に拡張するなど、少なくとも部分的に自己拡張性であるように構成することができる。ある実施例では、ステント及び他の拡張可能な構造体は、バルーンなど、拡張可能な要素又はメカニズムと動作可能に連結されると拡張するように構成される。さらなる実施例では、自己拡張性のステント及び他の構造体は、拡張メカニズムに連結されると、さらに拡張するように構成される。ステント及び他の拡張可能な構造体が、自己拡張性であるか、又は拡張可能な要素に連結されると拡張するかにかかわらず、ステント及び他の拡張可能な構造体は、径方向に(対称的又は非対称に)拡張するように構成することができる。ある実施例では、少なくとも部分的に拡張されたステント及び他の拡張可能な構造体は、突出する機構の少なくともいくつかを脈管壁に対して垂直に配置するように構成することができる。
【0089】
図29及び図30に示されるように、送達システム400は、内側シャフト410に連結されたバルーン480を挿入するように構成される。バルーン480は、ステント内腔内に配置され、その中で拡張されて、ステント490を送達状態と拡張された展開状態との間でさらに拡張させるように、さらに構成される。ある実施例では、バルーン480は、コーティング及びそれに含まれる薬物など、薬物送達コーティング及び薬物でコーティングすることができる。本明細書の別の箇所でさらに考察するように、ステント490は、ステント490を配置、拡張、後退、再配置、及び/又は体腔から除去するように構成された、機械的作動メカニズム(たとえば、安定化ワイヤ、ステント引張りワイヤ、プッシャ・シャフト、又はそれらの組み合わせ)など、作動メカニズムに動作可能に連結することができる。
【0090】
図30は、体腔内における展開状態にある送達システム400の領域の断面図を示している。図30に示されるように、ステント490は、バルーン480によって脈管内で拡張される。展開されたステント490を拡張するには、バルーン480は、内側シャフト410に連結され、内側シャフト410の遠位先端部415が展開されたステント490の遠位端部490b付近に配置されるまで、展開されたステント490の内腔内へと遠位方向に前進させられる。図示されるように、ステント490の遠位端部490bはX線造影マーカ490cを含むことができる。それに加えて又は別の方法として、X線造影マーカ490cは、送達システム400のいずれかの場所に位置してもよく、又は送達システム400から省略されてもよい。
【0091】
図31は、突出する機構494を有するステント490が脈管壁内で拡張し、その一部分を穿刺している、展開状態にある送達システム400の一部分の断面図を示している。図31に示されるように、バルーン480は展開され、径方向に拡張されて、ステント490をさらに拡張して内腔脈管と接触させている。ステント490が拡張されると、突出する機構494は壁にさらに貫入する。
【0092】
図32は、治療状態にある送達システム400の断面図を示している。治療状態では、バルーン480は収縮している。図示されるように、内側シャフト410の遠位部分410bは体腔内に留まっている。バルーン480の収縮後、ステント490は拡張して内腔壁と接触したままであり、突出する機構494は壁に貫入したままである。突出する機構494によって運ばれる任意の薬物は、治療状態において体腔壁内へと少なくとも部分的に放出される。任意選択で、ステント490は、バルーン480を少なくとも部分的に取り囲むようにステント490を圧着することなどによって、バルーン480に固着させることができ、それにより、バルーン480を膨張させることによってステント490が拡張し、またバルーン480を収縮させることによってステント490が潰れる。
【0093】
本明細書で説明するステントは図示される特徴を有するが、様々な異なるステント及び他のデバイスを、本明細書で説明する送達システムと共に使用できることが理解されるであろう。様々な特徴について、限定ではなく例として以下に記述する。
【0094】
かかるステント及び他のデバイスに関して、本明細書で説明するフレーム、ストラット、及び/又は突出する機構を形成する材料は、強度、延性、硬度、弾性、可撓性、曲げ弾性率、曲げ強度、可塑性、剛性、放射率、熱伝導率、比熱、熱拡散率、熱膨張性、他の様々な性質のいずれか、又はそれらの組み合わせなど、機械的及び/又は熱的特性に基づいて選択することができる。熱的特性を有する材料から形成された場合、材料を活性化して、所望の治療部位に熱治療を送達することができる。材料にかかわらず、フレーム、ストラット、及び/又は突出する機構は、レーザー切断又は他の適切な技術によって、チューブ、若しくはソリッド・ワイヤなどのワイヤから形成することができる。ワイヤから形成される場合、ワイヤの一部分を、化学エッチング又は別の適切な方法によって除去して、ステントの内寸を作ることができる。
【0095】
ステント(たとえば、フレーム及びストラット)は、脈管を断裂することなく、血管を含む様々な体腔内に配置するようにサイズ及び形状を決めることができる。たとえば、いくつかのステント及び他の構造体は、体腔の特徴(たとえば、脈管壁)が解離又は損傷なしに薬物を受け入れることを可能にする、径方向強度を有することができる。本明細書で説明するステントのサイズ及び形状がその中に配置されるように決められる脈管としては、冠状動脈、末梢動脈、頸動脈、ウィリス輪、前大脳動脈、中大脳動脈、後大脳動脈、レンズ核線条体動脈、腎動脈、大腿動脈などの動脈、大脳静脈、伏在静脈、動静脈瘻、又は治療部位を含んでもよい他の任意の脈管が挙げられる。ステントは、立方体、直方体、円柱、円錐、角錐、又はそれらの変形例を含む、様々な形状を有することができる。
【0096】
突出する機構を備えるステント及び他の構造体は、(薄型の送達形態及び拡張された展開形態の両方において)様々な寸法を含むことができる。これらの実施例は、解離の治療及び/又は防止など、広範囲の寸法をカバーする様々な状況での使用を可能にする拡張をもたらすことができる。形状にかかわらず、ステントは、約0.25mm、約0.5mm、約1mm、約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、約12mm、約14mm、約16mm、約18mm、約20mm、約30mm、約40mm、約50mm、約60mm、約70mm、約80mm、約90mm、又は約100mmの長さを有することができる。さらに、立方体、直方体、又は角錐の形状にされたステントは、約0.25mm、約0.5mm、約1mm、約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、約12mm、約14mm、約16mm、約18mm、約20mm、約25mm、又は約30mmの幅を有することができる。さらに、円柱又は円錐の形状にされたステントは、約0.25mm、約0.5mm、約1mm、約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、約12mm、約14mm、約16mm、約18mm、約20mm、約25mm、約30mm、約35mm、約40mm、又は約50mmの直径を有することができる。ステントの幅又は直径は、ステントの長さに沿って漸減的に減少することができる。さらに、ステントは、ステント留置手技など、特定の手技に備えて体腔を準備するようなサイズ及び形状にすることができる。
【0097】
ステント及び/又は他の拡張可能な構造体は、拡張状態では、拡張された突出する機構を含めて、約2mmから約10mmの断面寸法を有することができる。たとえば、フレームは、約1mmから約9mmの断面寸法を有することができ、突出する機構はそれぞれ、約0.1mmから約1.5mmの長さを有することができる。ある実施例では、ステントは、約2mmの断面寸法を有するフレーム及び約1mmの長さをそれぞれ有する突出する機構と併せて、約4mmの合計断面寸法を有する。ある実施例では、ステントは、約4mmの断面寸法を有するフレーム及び約1mmの長さをそれぞれ有する突出する機構と併せて、約6mmの合計断面寸法を有する。さらなる実施例では、突出する機構は、ステント又は他の拡張可能な構造体の突出する機構の長さが異なるように、複数の長さを有することができる。たとえば、ステントは、約0.2mm、約0.5mm、及び約1mmの長さを有する、突出する機構を含むことができる。
【0098】
ステント又は他の構造体の外形は、ステント又は他の構造体が広範囲のカテーテルのサイズに適合するようにサイズ決めすることができる。本技術による実施例は、0.25mm(0.010インチ)、0.36mm(0.014インチ)、0.46mm(0.018インチ)、0.89mm(0.035インチ)、又は0.97mm(0.038インチ)の直径を有するガイドワイヤなどのガイドワイヤを受け入れるように設計された、ステント又は他の構造体を含むことができる。ある実施例では、ステント又はスキャフォールド構造体は、それが押し通されるマイクロ・カテーテルを介して送達されるようにサイズ決めし設計することができる。ある実施例では、ステント又は構造体は、モジュール式又は単一ユニットの送達システムを含む、送達システムに組み込むことができる。
【0099】
本明細書で説明するステント及び他の構造体は、1つ又は複数のX線造影マーカなど、体腔内のステントを視覚化するための標識を含むことができる。X線造影マーカは、Clearfil Photo Core PLT(登録商標)、タンタル、チタン、タングステン、硫酸バリウム、及び酸化ジルコニウム、又は別の適切なX線造影標識から形成することができる。標識は、ステントの近位部分、遠位部分、中間部分、又はそれらの組み合わせに形成することができる。標識は、ステントのチューブの1つ又は複数の部分に充填されるか、ステントの1つ又は複数の部分上にめっきされるか、又はそれらが組み合わされる、バンド、コイル、クリップであることができる。標識のタイプにかかわらず、標識は、ステントの任意の部分に沿って、圧印、スエージ加工、巻付け、又は共に収容することができる。
【0100】
ステント及び他の構造体は、湾曲を有するものを含む様々な解剖学的形体を通って追跡するのに十分に可撓性であることができる。ステント及び他の構造体の可撓性は、それらが形成される材料によってもたらすことができる。さらに、可撓性は、ストラットの2つ以上の列と係合すると共にそれらの間に延在する、部材の1つ又は複数を破断することによってもたらすこともできる。さらに、ステント及び他の構造体は、容易に展開し拡張させ、また後退させ収縮させることができる。ステント又は他の構造体はまた、脈管又は他の体腔内で容易に再配置することができる。
【0101】
ある実施例では、薬物溶出性化合物が、突出する機構、フレーム、ストラット、及び/又はバルーンの少なくとも一部分にコーティングされる。コーティングは、薬物を壁に送達するのに適した、当業者に知られている任意の適切なコーティングであることができる。たとえば、適切なコーティングとしては、壁内に留まるように構成された縁部を有する、雪コーティング(snow coating)又は結晶コーティングが挙げられるが、それらに限定されない。薬物溶出性化合物は、中に含まれる薬物を送達するのに適した様々な異なるパターン及び厚さにコーティングされる、合成又は生物学的ポリマーであることができる。他の実施例では、突出する機構自体が薬物溶出性材料で構成されてもよい。本技術による薬物溶出性化合物及び/又は突出する機構によって運ばれる薬物は、ステントが配置される治療部位を治療するのに適した任意の薬物であることができ、賦形剤を含んでも含まなくてもよい。たとえば、薬物は、抗増殖剤、抗腫瘍剤、遊走阻害剤、強化された治癒因子、免疫抑制剤、抗血栓剤、血液希釈剤、又は放射性化合物であることができる。抗腫瘍剤の実例としては、シロリウム、タクロリムス、エベロリムス、レフルノミド、M-プレドニゾロン、デキサメタゾン、シクロスポリン、ミコフェノール酸、ミゾリビン、インターフェロン、及びトラニラストが挙げられるが、それらに限定されない。抗増殖剤の実例としては、タキソール/パクリタキセル、アクチノマイシン、メトトレキサート、アンジオペプチン、ビンクリスチン、ミトマイシン、スタチン、c-mycアンチセンス、Abbot ABT-578、RestinASE、2-クロロ-デオキシアデノシン、及びPCNAリボザイムが挙げられるが、それらに限定されない。遊走阻害剤の実例としては、バチミスタット、プロリルヒドロシラーゼ、ハロファンジノン、c-プレテイナーゼ阻害剤、及びプロブコールが挙げられるが、それらに限定されない。強化された治癒因子の実例としては、BCP671、VEGF、エストラジオール、NOドナー化合物、及びEPC抗体が挙げられるが、それらに限定されない。放射性化合物の実例としては、塩化ストロンチウム89(Metastron(登録商標))、サマリウム-153(Quadramet(登録商標))、二塩化ラジウム223(Xofigo(登録商標))、イットリウム-90、及びヨウ素131が挙げられるが、それらに限定されない。ある実施例では、薬物溶出性及び/又は突出する機構は2つ以上の薬物を運ぶことができる。
【0102】
ある実施例では、突出する機構は、薬物送達のためにより大きい表面積を提供することが期待される、テクスチャ加工された(たとえば、リブ付きの)表面を含むことができる。さらに、いずれの突出する機構も、リブ付き表面(突出する機構の長手方向平面に対して垂直、水平、径方向、若しくは円形)、クロスハッチ表面、等方性表面、又は薬物送達のためにより大きい表面積を提供するのに適した他の表面タイプなど、テクスチャ加工された表面を含むことができる。
【0103】
突出する機構は、閉塞、新生内膜、内膜、内弾性板(IEL)、中膜、外弾性板(EEL)、外膜、又はそれらの組み合わせに係合及び/又は貫入するように、サイズ及び形状を決めることができる。突出する機構はまた、体腔を断裂することなく、ステントが中に配置される体腔に隣接する組織及び/又は構造体に係合及び/又は貫入するように、サイズ及び形状を決めることもできる。たとえば、ステントは、体腔の内膜及び/又は中膜に貫入するようにサイズ決めされ構成された、正方形の突出する機構、中膜及び/又はIELに貫入しその中へと延在するようにサイズ決めされ構成された、尖った突出する機構を含むことができる。さらに、突出する機構は、ステントの長手方向軸線に対して1つ又は複数の方向に曲がって、本明細書で説明する体腔の一部分に係合及び/又は貫入するように構成することができる。ある実施例では、突出する機構は、突出する機構がないステントと比較して、脈管などの患部体腔の壁により深く貫入することができる。さらに、ステントは、拡張位置にあって薬物溶出が進行中に、血液が流れることを可能にすることができる。
【0104】
本明細書で説明する様々な突出する機構は、血管形成バルーン又は他の既存のデバイスを介して可能であるよりも深く、脈管内へと薬物を送達することができる。部位を治療するのに1つ又は複数の薬物を運ぶことに加えて、突出する機構はまた、閉塞、新生内膜、及び/又は内膜の一部分を分解して、分子がない場合よりも深く、脈管内へと突出する機構が貫入するのを可能にするのに適した、分子を運ぶこともできる。たとえば、分解に適した分子は、エラスターゼ、コラゲナーゼ、又はプロテイナーゼなどの酵素、たとえば、メタロプロテイナーゼ、セリンプロテイナーゼ、システインプロテイナーゼ、細胞外スルファターゼ、ヒアルロニダーゼ、リシルオキシダーゼ、リシルヒドロキシラーゼ、又はそれらの組み合わせなどであることができる。
【0105】
さらに、ステントは、ステントの1つ又は複数の部分に1つ又は複数の突出する機構を装備できることも理解されよう。たとえば、ステントは、約5つの突出する機構、約10の突出する機構、約15の突出する機構、約20の突出する機構、約30の突出する機構、約40の突出する機構、約50の突出する機構、約60の突出する機構、約70の突出する機構、約80の突出する機構、約90の突出する機構、又は約100の突出する機構を装備することができる。突出する機構は、フレーム、ストラット、又はそれらの組み合わせによって装備することができる。突出する機構の数は、たとえば、標的治療部位、送達される薬物のタイプ、及びステントのサイズなどに応じて異なることができる。さらに、ステントによって装備される突出する機構は、本明細書に開示する突出する機構の異なるタイプのものであることができる。
【0106】
ある実施例では、体腔壁(たとえば、脈管壁)に接して配置されると、組織及び/又は流体が突出する機構と相互作用して、薬物を溶解し、液留めから選択的に放出することができる。他の実施例では、突出する機構は、ステントが拡張されると、様々な手段を介して薬物を送達するように構成することができる。従って、突出する機構は、薬物の故意でない損失又は放出を低減しながら、薬物を所望の位置に選択的に送達する、効果的な手段を提供することが期待される。他の実施例では、ステントは、2つ以上の突出する機構、又は2つ以上の液留めを有する突出する機構を含むことができる。ある実施例では、突出する機構を含むステントは、ステントが治療部位に配置されるまで隠されている(たとえば、窪んでいる)、コーティング又は液留めなどの突出する機構を備えることができる。標的部位に配置されると、ステントの拡張の間及び/又は後、突出する機構を露わにする(たとえば,拡張/突出させるなど)ことができる。これは、治療部位への送達の間、突出する機構によって運ばれる薬物のいかなる損失も低減することが期待される。
【0107】
ある実施例では、ステントはさらに、ステント、スキャフォールド、又は外表面積の少なくとも一部分を被覆する突出する機構を備える他の構造体を覆って配置される、材料(たとえば、PTFE、ダクロン、ナイロン及び/又はポリウレタン系材料などのポリアミド、シリコーンなど)をさらに含むことができる。ある実施例では、材料は外表面積全体を覆う。材料はメッシュ又は編組であることができる。ある実施例では、材料は、ステントの表面積を増加させるように構成することができ、これは薬物でコーティングされるステントのさらなる表面積を提供するのに有用である。他の実施例では、材料はさらに、ステントの内径を血流が通ることを可能にするように、並びに/或いは血流をステントの外寸までに制限するように構成することができる。さらなる実施例では、材料は、流体の流れ(たとえば、血流)と薬物送達位置との間に障壁を作ることができる。さらに、材料は、体腔の壁からの残渣が血流に入るのを防ぐように構成することができる。かかる実施例では、関連するシステム及びデバイスを、手技中に穿孔が生じた可能性がある領域において、一時的な切離部分の追跡又は填補に使用することができる。
【0108】
本明細書で説明する実施例は、構造体が配置されている、及び/又は他のデバイス若しくは治療手段が隣接する体腔内にある、治療エリアを通って流体(たとえば、血液)が流れることを可能にしたまま、脈管構造など、体腔内の特定の領域に薬物を送達する手段を有する、1つ又は複数の構造体のための送達システムを提供する。ある実施例では、システムの1つ又は複数の領域が送達、展開、配置、及び/又は体腔から除去される間、流体が治療エリアを通って流れることが一時的に防止される。さらに、送達システムは、治療部位の近位側又は遠位側で、ステントを傾斜させること、ステントを引っ張ること、ステントを回すこと、又はそれらの組み合わせによって、治療のために体腔を準備するように構成することができる。他の実施例では、送達システムは、機械的力が加えられたとき、ステントを回転させるように構成することができる。
【0109】
本明細書で開示するシステムは、関連するステント又は他の構造体の調節、再取込み、及び/又は再展開、並びに/或いは異なるステント又は他の構造体の展開を提供して、施術者がより効果的に、所望の領域をより正確且つ慎重に治療できるようにすることができる。ある実施例では、ステント又は他の送達構造体を、一時的期間(たとえば、24時間未満)にわたって展開し、その後に後退させ除去することができる。これらの実施例では、突出する機構は、内腔壁を係合及び/又は穿孔し、ステント又は他の送達構図体が除去された後に中に留まることができ、或いはステント又は他の送達構造体と共に後退させ除去することができる。ステントは、送達システムから展開されると、自己拡張又は部分的に自己拡張するように構成することができ、またバルーンが拡張されると、体腔内でさらに拡張するように構成することができる。ステントはまた、体腔から除去されたとき、術後拡張するように構成することもできる。他の実施例では、ステント又は他の送達構造体は、長期の一時的期間にわたって(たとえば、2週間未満、1か月未満、6か月未満、1年未満にわたって)展開し、その後に後退させ除去することができる。ある実施例では、最初のステント又は送達構造体を後退させ除去した後、異なるステント又は送達構造体を展開させることができる。展開の持続時間、及び除去してから異なるステント若しくは送達構造体を展開するまでの持続時間は、数分間から数時間、数日間、数週間、数か月、又は数年まで様々であることができる。これらの実施例では、最初のステント又は送達構造体の除去、及び異なるステント又は送達構造体の展開は、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、又は10回行うことができる。さらに、本明細書で説明する実施例は、現在利用可能なシステムよりも薄型のシステムを可能にすることができる。
【0110】
本明細書で説明する実施例、及び本技術に従って構成された他の実施例では、ステント及び他の拡張可能な構造体は、薬物を標的位置に送達するように構成されていない、展開可能及び/又は拡張可能な機構など、非突出機構を含んでもよい。たとえば、本技術に従って構成されるステント及び他の拡張可能な構造体は、1つ若しくは複数の突出する機構、1つ若しくは複数の非突出機構、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0111】
本明細書で説明するステント及び/又は構造体の多くの実施例はステントを含むが、ステント及び/又は構造体など、拡張可能な要素のさらなる実施例は、非薬物溶出性ステント及び/又は非薬物溶出性構造体を含むことができる。これらの実施例では、非薬物溶出性ステントは、スパイクなど、1つ又は複数の突出部材を含んでもよい。スパイクは、体腔又は脈管の一部分に係合及び/又は貫入するように構成することができる。たとえば、スパイクは、脈管壁に貫入し、それによって脈管壁の弾性を低減及び/又は排除することができる。これらの実施例では、突出部材は、脈管壁が体腔に向かって内側に進行し、中のフローを制限及び/又は制約するのを防ぐように構成することができる。突出部材は、ストラットと一体的に形成するか、又はストラットの表面上に配設して、ストラットから標的組織に向かって径方向外向きに延在させることができる。
【0112】
この開示の態様の様々な実例について、便宜上、箇条書きにして後述する。これらは実例として提供されるものであり、本技術を限定するものではない。
【0113】
節A:外側シャフトと、外側シャフト内に摺動可能に配設され、膨張可能なバルーンを備える、内側シャフトと、内側シャフト内に摺動可能に配設されるガイドワイヤと、バルーンの周りに配設され、内側シャフトに固定的に連結される、ステントとを備える、送達システム。
【0114】
節B:内側シャフト及びステントを収容している外側シャフトを、患者の体腔内の標的治療部位に送達することであって、ステントが、内側シャフトのバルーンの周りに配設され、内側シャフトに固定的に連結される、ことと、外側シャフトを近位方向に後退させて、ステントを少なくとも部分的に抜き出すことと、バルーンを拡張することによって、ステントを拡張状態へと径方向に拡張することと、ステントの1つ又は複数の突出する機構を用いて、体腔の壁の一部分を穿孔することとを含む、ステントを患者の体腔内に送達する方法。
【0115】
節C:外側シャフトと、外側シャフト内に摺動可能に配設され、膨張可能なバルーンを遠位部分に備える、内側シャフトと、内側シャフト内に摺動可能に配設されるガイドワイヤと、外側シャフト内であって、バルーンの近位側である内側シャフトの近位部分に摺動可能に配設されるステントであって、外側シャフト内に摺動可能に配設される安定化ワイヤに接続される、ステントとを備える、送達システム。
【0116】
節D:内側シャフト及びステントを収容している外側シャフトを、患者の体腔内の標的治療部位に送達することであって、ステントが、外側シャフト内であって、内側シャフトのバルーンの近位側である内側シャフトの近位部分に摺動可能に配設される、ことと、外側シャフトを近位方向に後退させて、ステント及びバルーンを少なくとも部分的に抜き出すことと、ステントがバルーンと軸線方向で位置合わせされるまで、内側シャフトをステントに対して近位方向に移動させることと、バルーンを拡張することによって、ステントを拡張状態へと径方向に拡張することと、ステントの1つ又は複数の突出する機構を用いて、体腔の壁の一部分を穿孔することとを含む、ステントを患者の体腔内に送達する方法。
【0117】
節E:外側シャフトと、外側シャフト内に摺動可能に配設され、膨張可能なバルーンを近位部分に備える、内側シャフトと、内側シャフト内に摺動可能に配設されるガイドワイヤと、外側シャフト内であって、バルーンの遠位側である内側シャフトの遠位部分に摺動可能に配設されるステントであって、外側シャフト内に摺動可能に配設される安定化ワイヤに接続される、ステントとを備える、送達システム。
【0118】
節F:内側シャフト及びステントを収容している外側シャフトを、患者の体腔内の標的治療部位に送達することであって、ステントが、外側シャフト内であって、内側シャフトのバルーンの遠位側である内側シャフトの遠位部分に摺動可能に配設される、ことと、外側シャフトを近位方向に後退させて、ステント及びバルーンを少なくとも部分的に抜き出すことと、ステントがバルーンと軸線方向で位置合わせされるまで、内側シャフトをステントに対して遠位方向に移動させることと、バルーンを拡張することによって、ステントを拡張状態へと径方向に拡張することと、ステントの1つ又は複数の突出する機構を用いて、体腔の壁の一部分を穿孔することとを含む、ステントを患者の体腔内に送達する方法。
【0119】
節G:内側シャフト及びステントを収容している外側シャフトを、患者の体腔内の標的治療部位に送達することであって、ステントが、内側シャフトのバルーンの周りに配設され、内側シャフトに固定的に連結される、ことと、外側シャフトを近位方向に後退させて、ステントを部分的に抜き出すことと、ステントの一部分が外側シャフト内にある状態で、ステントの1つ又は複数の突出する機構が体腔の壁の第1の部分を穿孔するまでバルーンを拡張することによって、ステントの第1の長さを拡張状態へと径方向に拡張することと、外側シャフトを近位方向に後退させて、ステントをさらに抜き出すことと、ステントの1つ又は複数の突出する機構が体腔の壁の第2の部分を穿孔するまでバルーンを拡張することによって、ステントの第2の長さを拡張状態へと径方向に拡張することとを含む、ステントを患者の体腔内に送達する方法。
【0120】
上述の節のうち1つ又は複数は、後述する特徴の1つ又は複数を含むことができ、以下の節のいずれかが、互いに任意の組み合わせで組み合わされ、それぞれの独立した節、たとえば節A、B、C、D、E、F、又はGに入れられてもよいことが注目される。
【0121】
節1:内側シャフトの近位端部にあるコネクタであって、ガイドワイヤがコネクタを通って延在し、バルーンと流体連通しているポートを備える、コネクタと、外側シャフトの近位端部にあり、内側シャフトが中を通って延在する、外側シャフト・ハブ。
【0122】
節2:外側シャフト・ハブが近位部分に沿って内側シャフトの上を摺動可能である、内側シャフトの近位部分において漸増的に間隔を空けられたマーカ。
【0123】
節3:バルーンを膨張させたとき、内側シャフトに対する外側シャフトの位置が維持されるようにして、外側シャフト・ハブを内側シャフトの近位部分に係止するように構成された、係止部材。
【0124】
節4:バルーンが、ガイドワイヤを収容する内側シャフトの内腔を通して膨張可能である。
【0125】
節5:内側シャフトと外側シャフトとの間で径方向に配置される補剛ワイヤ。
【0126】
節6:ステントが、ストラットを備える径方向に拡張可能な円筒状フレームと、1つ又は複数のストラットによって装備される突出する機構とを備える。
【0127】
節7:ステントが、内側シャフトの少なくとも一部分の周りに延在するアンカ部分によって、内側シャフトに固定的に連結される。
【0128】
節8:アンカ部分が、バルーンの近位側で内側シャフトに連結される。
【0129】
節9:バルーンが、内側シャフトの長さに沿った異なる軸線方向位置に、それぞれ独立して膨張可能な複数のセグメントを備える。
【0130】
節10:バルーンを収縮させることと、外側シャフトをステントを超えて前進させることと、ステントを体腔から除去すること。
【0131】
節11:内側シャフトの近位端部にあるコネクタであって、ガイドワイヤが中を通って延在し、バルーンと流体連通しているポートを備える、コネクタと、外側シャフトの近位端部にあり、内側シャフト及び安定化ワイヤが中を通って延在する、外側シャフト・ハブ。
【0132】
節12:標的治療部位が第1の標的治療部位であり、外側シャフトを近位方向に後退させてステントをさらに抜き出す前に、ステントを第2の標的治療部位に再配置することをさらに含む方法。
【0133】
節13:ステントの第2の長さがステントの第1の長さを含む。
【0134】
節14:外側シャフトを近位方向に後退させてステントをさらに抜き出す前に、バルーンを収縮させ、ステントを再収容すること。
【0135】
節15:ステントの第1の長さを径方向に拡張する前に、外側シャフトを内側シャフトに対して係止すること。
【0136】
節16:ステントの第2の長さを径方向に拡張する前に、外側シャフトを内側シャフトに対して係止すること。
【0137】
単数形での要素の参照は、具体的に規定されていない限り、唯1つのものであることを意味しようとするものではなく、1つ又は複数を意味する。たとえば、「1つの(a)」モジュールは1つ又は複数のモジュールを指してもよい。「a」、「an」、「the」、又は「said」に続く要素は、さらなる制約なしに、同じ要素がさらに存在することを除外しない。
【0138】
見出し、及び小見出しがある場合は小見出しは、単に便宜上使用されるものであって、本発明を限定しない。例示という語句は、実例又は例示としての役割を果たすことを意味するのに使用される。含む、有するなどの用語が使用される範囲で、かかる用語は、備えるという用語がクレームにおける移行語として用いられる場合に解釈されるのと類似の形で、包括的であるものとする。第1及び第2などの関係語は、実体又は動作の間の関係又は順序など、実際のものを必ずしも要求或いは暗示することなく、1つのかかる実体又は行為を別のものと区別するのに使用されてもよい。
【0139】
「態様」、「前記態様」、「別の態様」、「いくつかの態様」、「1つ又は複数の態様」、「実施態様」、「前記実施態様」、「別の実施態様」、「いくつかの実施態様」、「1つ又は複数の実施態様」、「実施例」、「前記実施例」、「別の実施例」、「ある実施例」、「1つ又は複数の実施例」、「構成」、「前記構成」、「別の構成」、「いくつかの構成」、「1つ又は複数の構成」、「本技術」、「開示」、「本開示」、それらの他の変形などの語句は、便宜上のものであり、かかる語句に関係する開示が本技術にとって不可欠であること、又はかかる開示が本技術のすべての構成に適用されることを暗示するものではない。かかる語句に関係する開示は、すべての構成、或いは1つ又は複数の構成に適用されてもよい。かかる語句に関係する開示は、1つ又は複数の実例を提供してもよい。「態様」又は「いくつかの態様」などの語句は、1つ又は複数の「態様」を指してもよく、逆もまた同様であり、これは他の前述の語句にも同様に適用される。
【0140】
一連の項目の前にある「少なくとも1つの」という語句は、その項目のいずれかを区切る用語「及び」又は「又は」を伴って、リストの各要素ではなく、リスト全体を修飾する。「少なくとも1つの」という語句は、少なくとも1つの項目を選択することを要するのではなく、それよりもむしろ、この語句により、項目のいずれか1つの少なくとも1つ、及び/又は項目のいずれかの組み合わせの少なくとも1つ、及び/又は項目それぞれの少なくとも1つを含むという意味を可能にしている。例として、「A、B、及びCのうち少なくとも1つ」又は「A、B、又はCのうち少なくとも1つ」という語句はそれぞれ、Aのみ、Bのみ、又はCのみ、A、B、及びCの任意の組み合わせ、並びに/或いはA、B、及びCそれぞれのうち少なくとも1つを指す。
【0141】
開示したステップ、動作、又はプロセスの特定の順序若しくは階層は、例示的な手法の例であることが理解される。別段の明記がない限り、ステップ、動作、又はプロセスの特定の順序若しくは階層は、異なる順序で実行されてもよいことが理解される。ステップ、動作、又はプロセスのいくつかが同時に実行されてもよい。添付のクレームに方法クレームがある場合、一例の順序で、様々なステップ、動作、又はプロセスの要素を提示するものであり、提示される特定の順序又は階層に限定されることを意味しない。これらは、順次、連続的に、並列に、又は異なる順序で実行されてもよい。説明した命令、動作、及びシステムは一般に、単一のソフトウェア/ハードウェア製品に統合するか、複数のソフトウェア/ハードウェア製品にパッケージ化できることを理解されたい。
【0142】
一態様では、「連結される」などの用語は、直接連結されることを指してもよい。別の態様では、「連結される」などの用語は、間接的に連結されることを指してもよい。
【0143】
「頂部」、「底部」、「前部」、「後部」、「側部」、「水平」、「垂直」などの用語は、通常の重力基準系ではなく、任意の基準系を指す。従って、かかる用語は、重力基準系における上方向、下方向、斜め方向、又は水平方向に及ぶことがある。
【0144】
本開示は、本明細書で説明する様々な態様をどの当業者でも実施できるようにするために提供される。場合によっては、本技術の概念が不明瞭になるのを回避するため、よく知られた構造体及び構成要素はブロック図で示される。本開示は、本技術の様々な実例を提供するが、本技術はこれらの実例に限定されない。これらの態様に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかとなるであろう。また、本明細書で説明する原理は、他の態様に適用されてもよい。
【0145】
当業者に知られている、又は後に当業者に知られるようになる、開示全体にわたって説明する様々な態様の要素に対する、全ての構造的及び機能的同等物は、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、特許請求の範囲に包含されるものとする。さらに、本明細書に開示するものはいずれも、かかる開示が特許請求の範囲に明示的に列挙されているか否かにかかわらず、公衆が利用可能にされるものではない。クレーム要素はいずれも、その要素が「からする手段」という語句を使用して明示的に列挙されていない限り、又は方法クレームの場合、その要素が「からするステップ」という語句を使用して列挙されていない限り、米国特許法第112条6項の規定に基づいて解釈されるべきではない。
【0146】
名称、背景、図面の簡単な説明、要約、及び図面は、これによって本開示に組み込まれ、限定的な説明としてではなく本開示の例示的な実例として提供される。これらがクレームの範囲又は意味を制限するのに使用されないということを理解した上で提出するものである。さらに、詳細な説明において、説明は例示的な実例を提供し、様々な特徴は、本開示を合理化する目的で様々な実施態様にグループ化されていることがわかる。開示の方法は、請求される主題が、各クレームに明示的に列挙されているものよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものと解釈されるべきではない。それよりもむしろ、特許請求の範囲が反映するように、発明の主題は、開示する単一の構成又は動作の全ての特徴より少ない特徴に存在する。特許請求の範囲は、これによって詳細な説明に組み込まれ、各クレームは、別個に請求される主題としてそれ自体で成り立つ。
【0147】
特許請求の範囲は、本明細書で説明する態様に限定されるものではなく、特許請求の範囲の言語と一致する全範囲が認められるべきであり、すべての法的同等物を包含すべきである。それにかかわらず、クレームのいずれも、適用特許法の要件を満たしていない主題を包含しようとするものではなく、またそのように解釈されるべきではない。
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【国際調査報告】