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特表2022-508653樹脂混合物製の結晶化可能な収縮性フィルムおよび熱成形性シート
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  • 特表-樹脂混合物製の結晶化可能な収縮性フィルムおよび熱成形性シート 図1
  • 特表-樹脂混合物製の結晶化可能な収縮性フィルムおよび熱成形性シート 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】樹脂混合物製の結晶化可能な収縮性フィルムおよび熱成形性シート
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/02 20060101AFI20220112BHJP
   B29C 48/08 20190101ALI20220112BHJP
   B29C 55/02 20060101ALI20220112BHJP
   B29C 61/02 20060101ALI20220112BHJP
   B29C 61/06 20060101ALI20220112BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20220112BHJP
   C08G 63/00 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
C08L67/02
B29C48/08
B29C55/02
B29C61/02
B29C61/06
C08J5/18 CFD
C08G63/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544108
(86)(22)【出願日】2019-10-08
(85)【翻訳文提出日】2021-06-01
(86)【国際出願番号】 US2019055092
(87)【国際公開番号】W WO2020076749
(87)【国際公開日】2020-04-16
(31)【優先権主張番号】62/742,726
(32)【優先日】2018-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/782,626
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】594055158
【氏名又は名称】イーストマン ケミカル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 規之
(72)【発明者】
【氏名】ピータース,マーク・アレン
(72)【発明者】
【氏名】ナピエララ,ジェイコブ・イー
(72)【発明者】
【氏名】リトル,ロンデル・ポール,ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,ジェームズ・カール
(72)【発明者】
【氏名】ピアー,ジェームズ・ウェスリー
【テーマコード(参考)】
4F071
4F207
4F210
4J002
4J029
【Fターム(参考)】
4F071AA44X
4F071AA46X
4F071AA84
4F071AA86
4F071AA88
4F071AF11
4F071AF21
4F071AF61Y
4F071AG28
4F071AH04
4F071AH05
4F071AH06
4F071AH19
4F071BB07
4F071BC01
4F071BC12
4F207AA24
4F207AG01
4F207AH54
4F207KA01
4F207KA17
4F210AA24
4F210AG01
4F210AH54
4F210AR04
4F210AR06
4F210QA02
4F210QC03
4F210QD25
4F210QG01
4F210QL16
4F210QW11
4F210QW12
4F210RA01
4F210RC02
4F210RG04
4F210RG21
4F210RG43
4F210RG67
4J002CF06W
4J002CF06X
4J002GC00
4J002GG01
4J002GG02
4J002GK01
4J002GL00
4J002GM00
4J002GN00
4J002GP01
4J029AA03
4J029AB07
4J029AC02
4J029AD01
4J029AD07
4J029AD08
4J029AE01
4J029AE03
4J029BA03
4J029BA10
4J029BD07A
4J029BF09
4J029CA02
4J029CA03
4J029CA04
4J029CA05
4J029CA06
4J029CB05A
4J029CB06A
4J029CB09A
4J029CB10A
4J029CC05A
4J029CC06A
4J029CD03
4J029GA11
4J029KB02
(57)【要約】
本開示は、特定の利点を有しかつ特性が改善される特定の組成範囲で、テレフタル酸、ネオペンチルグリコール(NPG)、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、エチレングリコール(EG)、およびジエチレングリコール(DEG)の各残基を含むポリエステル組成物の混合物を含む結晶化可能な収縮性フィルムおよび熱成形性のフィルムまたはシートに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル組成物の混合物を含む結晶化可能な組成物であって、前記混合物は、(1)5~80%の少なくとも1種の結晶化可能なポリエステル、および(2)20~95%の少なくとも1種の非晶質のポリエステルを含み、
(1)少なくとも1種の結晶化可能なポリエステルは、(a)ジカルボン酸成分および(b)または(b’)のいずれかから選択されるジオール成分を含み、
(a)ジカルボン酸成分は、
(i)約70~約100モル%のテレフタル酸残基、および
(ii)最大20個の炭素原子を有する約0~約30モル%の芳香族および/または脂肪族ジカルボン酸残基を含み、
(b)ジオール成分は、
約75モル%以上のエチレングリコール残基、および
(i)約0~約25モル%未満のネオペンチルグリコール残基、
(ii)約0~約25モル%未満の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、および
(iii)最終ポリエステル組成物中の約0~約10モル%未満の総ジエチレングリコール残基のうちの1つ以上を含む約25モル%以下のその他のグリコールを含み、
前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記ジオール成分の総モル%は100モル%であり、および
(b’)ジオール成分は、
約75モル%以上のエチレングリコール残基、および
(i)約0.1~約24モル%未満のネオペンチルグリコール残基、
(ii)約0.1~約24モル%未満の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、および
(iii)最終ポリエステル組成物中の約1~約10モル%未満の総ジエチレングリコール残基のうちの1つ以上を含む約25モル%以下のその他のグリコールを含み、
前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記ジオール成分の総モル%は100モル%であり、かつ
(2)少なくとも1種の非晶質のポリエステルは、(a)ジカルボン酸成分および(b)ジオール成分を含み、
(a)ジカルボン酸成分は、
(i)約70~約100モル%のテレフタル酸残基、および
(ii)最大20個の炭素原子を有する約0~約30モル%の芳香族および/または脂肪族ジカルボン酸残基を含み、
(b)ジオール成分は、
約60モル%以上のエチレングリコール残基、および
(i)約0~約40モル%未満のネオペンチルグリコール残基、
(ii)約0~約40モル%未満の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、および
(iii)最終ポリエステル組成物中の約0~約15モル%未満の総ジエチレングリコール残基のうちの1つ以上を含む約40モル%以下のその他のグリコールを含み、
前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記ジオール成分の総モル%は100モル%であり、前記(1)および(2)のポリエステルは異なる、組成物。
【請求項2】
ポリエステル組成物の混合物を含む結晶化可能な組成物であって、前記混合物は、(1)5~80%の少なくとも1種の結晶化可能なポリエステル、および(2)20~95%の少なくとも1種の非晶質のポリエステルを含み、
(1)少なくとも1種の結晶化可能なポリエステルは、(a)ジカルボン酸成分および(b)ジオール成分を含み、
(a)ジカルボン酸成分は、
(i)約70~約100モル%のテレフタル酸残基、および
(ii)最大20個の炭素原子を有する約0~約30モル%の芳香族および/または脂肪族ジカルボン酸残基を含み、
(b)ジオール成分は、
約80モル%以上のエチレングリコール残基、および
(i)約0~約20モル%未満のネオペンチルグリコール残基、
(ii)約0~約20モル%未満の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、および
(iii)最終ポリエステル組成物中の約0~約10モル%未満の総ジエチレングリコール残基のうちの1つ以上を含む約20モル%以下のその他のグリコールを含み、
前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記ジオール成分の総モル%は100モル%であり、かつ
(2)少なくとも1種の非晶質のポリエステルは、(a)ジカルボン酸成分および(b)ジオール成分を含み、
(a)ジカルボン酸成分は、
(i)約70~約100モル%のテレフタル酸残基、および
(ii)最大20個の炭素原子を有する約0~約30モル%の芳香族および/または脂肪族ジカルボン酸残基を含み、
(b)ジオール成分は、
約70モル%以上のエチレングリコール残基、および
(i)約0~約30モル%未満のネオペンチルグリコール残基、
(ii)約0~約30モル%未満の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、および
(iii)最終ポリエステル組成物中の約0~約15モル%未満の総ジエチレングリコール残基のうちの1つ以上を含む約30モル%以下のその他のグリコールを含み、
前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記ジオール成分の総モル%は100モル%であり、前記(1)および(2)のポリエステルは異なる、組成物。
【請求項3】
ポリエステル組成物の混合物を含む結晶化可能な組成物であって、前記混合物は、(1)5~80%の少なくとも1種の結晶化可能なポリエステル、および(2)20~95%の少なくとも1種の非晶質のポリエステルを含み、
(1)少なくとも1種の結晶化可能なポリエステルは、(a)ジカルボン酸成分および(b)ジオール成分を含み、
(a)ジカルボン酸成分は、
(i)約70~約100モル%のテレフタル酸残基、および
(ii)最大20個の炭素原子を有する約0~約30モル%の芳香族および/または脂肪族ジカルボン酸残基を含み、
(b)ジオール成分は、
約85モル%以上のエチレングリコール残基、および
(i)約0~約15モル%未満のネオペンチルグリコール残基、
(ii)約0~約15モル%未満の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、および
(iii)最終ポリエステル組成物中の約0~約5モル%未満の総ジエチレングリコール残基のうちの1つ以上を含む約15モル%以下のその他のグリコールを含み、
前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記ジオール成分の総モル%は100モル%であり、かつ
(2)少なくとも1種の非晶質のポリエステルは、(a)ジカルボン酸成分および(b)ジオール成分を含み、
(a)ジカルボン酸成分は、
(i)約70~約100モル%のテレフタル酸残基、および
(ii)最大20個の炭素原子を有する約0~約30モル%の芳香族および/または脂肪族ジカルボン酸残基を含み、
(b)ジオール成分は、
約60モル%以上のエチレングリコール残基、および
(i)ネオペンチルグリコール残基、
(ii)1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、および
(iii)最終ポリエステル組成物中のジエチレングリコール残基のうちの1つ以上を含む約40モル%以下のその他のグリコールを含み、
前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記ジオール成分の総モル%は100モル%であり、前記(1)および(2)のポリエステルは異なる、組成物。
【請求項4】
ポリエステル組成物の混合物を含む結晶化可能な組成物であって、前記混合物は、(1)5~80%の少なくとも1種の結晶化可能なポリエステル、および(2)20~95%の少なくとも1種の非晶質のポリエステルを含み、
(1)少なくとも1種の結晶化可能なポリエステルは、(a)ジカルボン酸成分および(b)ジオール成分を含み、
(a)ジカルボン酸成分は、
(i)約70~約100モル%のテレフタル酸残基、および
(ii)最大20個の炭素原子を有する約0~約30モル%の芳香族および/または脂肪族ジカルボン酸残基を含み、
(b)ジオール成分は、
(i)約0~約30モル%のネオペンチルグリコール残基、
(ii)約0~約30モル%未満の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、および
(iii)ジエチレングリコール残基を含み、
グリコール成分の残部は、
(iv)エチレングリコール残基、および
(v)場合によっては、0.1~10モル%の少なくとも1種の修飾グリコール残基を含み、
前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記グリコール成分の総モル%は100モル%であり、かつ
(2)少なくとも1種の非晶質のポリエステルは、(a)ジカルボン酸成分および(b)ジオール成分を含み、
(a)ジカルボン酸成分は、
(i)約70~約100モル%のテレフタル酸残基、および
(ii)最大20個の炭素原子を有する約0~約30モル%の芳香族および/または脂肪族ジカルボン酸残基を含み、
(b)ジオール成分は、
(i)約0~約40モル%のネオペンチルグリコール残基、
(ii)約0~約40モル%未満の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、および
(iii)ジエチレングリコール残基を含み、
グリコール成分の残部は、
(iv)エチレングリコール残基、および
(v)場合によっては、0.1~10モル%の少なくとも1種の修飾グリコール残基を含み、
前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記グリコール成分の総モル%は100モル%であり、前記(1)および(2)のポリエステルは異なる、組成物。
【請求項5】
前記混合物は、約200~約255℃の結晶の融点を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記混合物の融解熱から結晶化熱を差し引いた値は、約8.0より大きい、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
結晶化可能なフィルムの形態である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
25℃で0.5g/dLの濃度の60/40(重量/重量)のフェノール/テトラクロロエタン溶液で測定された前記フィルムの固有粘度は、0.50~0.80dL/gである、請求項7に記載の結晶化可能なフィルム。
【請求項9】
Thermal Analyst Instrument製のTA DSC 2920を用い20℃/分の走査速度で測定された前記フィルムのTgは、65℃~80℃である、請求項7に記載の結晶化可能なフィルム。
【請求項10】
前記最終ポリエステル中の前記非晶質のポリエステルを形成できる1種以上のジオールモノマー成分のジオール含量の総計は、15~40モル%であり、総ジオール含量は100モル%である、請求項7に記載の結晶化可能なフィルム。
【請求項11】
前記最終ポリエステル中の前記非晶質のポリエステルを形成できる1種以上のジオールモノマー成分のジオール含量の総計は、20~40モル%であり、総ジオール含量は100モル%である、請求項7に記載の結晶化可能なフィルム。
【請求項12】
前記最終ポリエステル中の前記非晶質のポリエステルを形成できる1種以上のジオールモノマー成分のジオール含量の総計は、30~40モル%であり、総ジオール含量は100モル%である、請求項7に記載の結晶化可能なフィルム。
【請求項13】
前記フィルムは、少なくとも一方向に延伸されている、請求項7に記載の結晶化可能なフィルム。
【請求項14】
前記フィルムは、少なくとも一方向に延伸かつ配向されている、請求項7に記載の結晶化可能なフィルム。
【請求項15】
前記フィルムはアニールされている、請求項7に記載の結晶化可能なフィルム。
【請求項16】
前記フィルムは、ほぼそのTgからそのTgより約15℃高い温度でアニールされている、請求項7に記載の結晶化可能なフィルム。
【請求項17】
前記フィルムは、約75℃~約110℃の温度でアニールされている、請求項7に記載の結晶化可能なフィルム。
【請求項18】
前記最終ポリエステル中の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基およびネオペンチルグリコール残基のジオール含量の結晶化可能なポリエステル成分での総計は、4~15モル%であり、総ジオール含量は100モル%である、請求項7に記載の結晶化可能なフィルム。
【請求項19】
前記フィルムは、少なくとも一方向に延伸され、延伸されたフィルムの歪み誘起結晶の融点は200℃以上である、請求項7に記載の結晶化可能なフィルム。
【請求項20】
前記フィルムは、85℃の水に10秒間浸漬した際に、主収縮方向に60%以上の収縮率を有する、請求項7に記載の結晶化可能なフィルム。
【請求項21】
前記フィルムは、85℃の水に10秒間浸漬した際に、主収縮方向に50%以上の収縮率を有する、請求項7に記載の結晶化可能なフィルム。
【請求項22】
前記フィルムは、85℃の水に10秒間浸漬した際に、主収縮方向に40%以上の収縮率を有する、請求項7に記載の結晶化可能なフィルム。
【請求項23】
前記フィルムは、5MPa以上の収縮力を有する、請求項7に記載の結晶化可能なフィルム。
【請求項24】
一つ以上の方向に配向されている、請求項7に記載の結晶化可能なフィルム。
【請求項25】
約50~400μmの事前配向された厚さを有し、テンターフレームで前記フィルムのTgからTg+55℃までの温度かつ5:1~3:1の比率で、約10~約80μmの厚さに配向されている、請求項7に記載の結晶化可能なフィルム。
【請求項26】
前記フィルムは、95℃の水に10秒間浸漬した際に、主収縮方向に50~90%の収縮率を有し、かつ主収縮方向に直交する方向に10%以下の収縮率を有する、請求項7に記載の結晶化可能なフィルム。
【請求項27】
請求項7~26のいずれかに記載の結晶化可能なフィルムを含む収縮フィルム。
【請求項28】
請求項7に記載の結晶化可能なフィルムを含む延伸フィルム。
【請求項29】
請求項7に記載の結晶化可能なフィルムを含む配向フィルム。
【請求項30】
請求項7に記載の結晶化可能なフィルムを含む、蓋フィルム、押出ブロー成形容器、押出シート、熱成形シート、自立型袋用の可撓性包装フィルム。
【請求項31】
製造物品、成型物品、容器、プラスチックボトル、ガラスボトル、梱包材、電池、高温充填容器、または工業製品に貼付された、請求項7に記載の結晶化可能なフィルムを含むラベルまたはスリーブ。
【請求項32】
請求項7に記載の結晶化可能なフィルムを含む、押出しまたはカレンダー処理されたフィルム。
【請求項33】
請求項1~4のいずれか一項に記載の結晶化可能な組成物を含む、厚さが約0.25mm~約6.4mmの熱成形シート。
【請求項34】
25℃で0.5g/dLの濃度で60/40(重量/重量)のフェノール/テトラクロロエタン溶液中で測定された前記フィルムの固有粘度は、0.50~0.80dL/gである、請求項33に記載の熱成形シート。
【請求項35】
Thermal Analyst Instrument製のTA DSC 2920を用い20℃/分の走査速度で測定された前記フィルムのTgは、65℃~120℃である、請求項33に記載の熱成形シート。
【請求項36】
前記最終ポリエステル中の前記非晶質のポリエステルを形成できる1種以上のジオールモノマー成分のジオール含量の総計は、15~90モル%であり、総ジオール含量は100モル%である、請求項33に記載の熱成形シート。
【請求項37】
前記シートは、少なくとも一方向に延伸されている、請求項33に記載の熱成形シート。
【請求項38】
前記シートは、少なくとも一方向に延伸かつ配向されている、請求項33に記載の熱成形シート。
【請求項39】
前記シートはアニールされている、請求項33に記載の熱成形シート。
【請求項40】
前記シートは、そのほぼTgからそのTgより約15℃高い温度でアニールされている、請求項33に記載の熱成形シート。
【請求項41】
前記シートは、約75℃~約110℃の温度でアニールされている、請求項33に記載の熱成形シート。
【請求項42】
前記最終ポリエステル中の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基およびネオペンチルグリコール残基のジオール含量の結晶化可能なポリエステル成分での総計は、4~15モル%であり、総ジオール含量は100モル%である、請求項33に記載の熱成形シート。
【請求項43】
請求項33に記載の熱成形シートを含むか、あるいはそれから調製された形成物品または成型物品。
【請求項44】
請求項33~43のいずれかの熱成形シートを含むか、あるいはそれから調製された、
医療機器梱包材、医療関連梱包材、健康管理用品梱包材、商業食品供給梱包材、トレイ、容器、食品皿、タンブラー、収納箱、ボトル、調理器具、ミキシングボウル、家庭用品、水ボトル、野菜庫トレイ、洗浄機部品、冷蔵庫部品、真空掃除機部品、眼科用レンズ、および枠組材または玩具。
【請求項45】
少なくとも約0.1重量%の請求項1~7のいずれか一項に記載の再資源化された結晶化可能なフィルムを混合された、再資源化されたポリエチレンテレフタレート薄片を含むポリエステル再資源化の流れ。
【請求項46】
前記流れは、2019年4月11日付けの「ラベルおよび封止を備える透明なPET物品のための重要な指示要綱」である文書番号PET-CG-02に合格している、請求項45に記載のポリエステル再資源化の流れ。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
[0001]本開示は、特定の利点を有しかつ特性を改善する特定の組成範囲で、テレフタル酸、ネオペンチルグリコール(NPG)、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、エチレングリコール(EG)、およびジエチレングリコール(DEG)の各残基を含むポリエステル組成物の混合物を含む結晶化可能な収縮性フィルムおよび熱成形性シートに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]以下の望ましい収縮フィルムの特性、すなわち(1)低い収縮開始温度、(2)収縮が発生する温度範囲に亘って温度の上昇につれ徐々にかつ制御された方式で増加する収縮率、(3)基礎となる容器の潰れを防ぐのに十分な低い収縮力、(4)高い最大収縮率(最高温度での収縮率)、例えば95℃で主収縮方向に50%以上の収縮率、(5)高い収縮率の方向に直交する方向への低い収縮率、(6)製造中および収縮前後のフィルムの無益な破砕、破断、引き裂け、分裂、発泡、またはしわを防止するようなフィルムの高い靭性、および(7)再資源化性のうちの少なくとも1つを有する収縮フィルムに対して商業的な要求がある。
【0003】
[0003]優れた特性および再資源化性を有する熱成形性のシートに対して商業的な要求がある。
【発明の要旨】
【0004】
[0004]収縮フィルム樹脂組成物中の特定の組合せのグリコールモノマーを含むポリエステルで製造された混合物により、優れた収縮フィルム性能を有するフィルムを製造でき、さらに再資源化中に同時に発生するPET薄片の再資源化に影響を及ぼさないように結晶化が可能であることが見出された。これらの結晶化可能な収縮フィルムの樹脂混合物は、PETボトルとともに処理でき、再資源化プロセスの終了後に再資源化可能なPET薄片の一成分となる。特定のグリコールモノマーを含む混合物中での特定の組合せのポリエステルの選択およびその量は、優れた収縮フィルム特性を有するフィルムを製造し、かつ結晶化可能なフィルムを製造するために重要であることが見出された。本開示の最適化されたポリエステル樹脂混合組成物は、非晶質ではあるが結晶化可能である。このように、これらの組成物は収縮フィルムを含むフィルム用途で優れた特性を示すが、これらの歪み誘起結晶は高い融点を有するので、再資源化プロセスで優れた性能を示す。本開示の収縮フィルムのラベルは、再資源化プロセス中に除去する必要はなく、この再資源化プロセスに影響を及ぼさない。
【0005】
[0005]熱収縮性フィルムは、本用途で使用するためには、使用基準に対して様々な適合性を満たす必要がある。このフィルムは丈夫で、制御された方式で収縮し、内容物を押し潰さずにボトル表面にそれ自体を保持するのに十分な収縮力を提供する必要がある。さらに、これらのラベルをポリエステル容器に貼付ける場合に、ポリエステル収縮フィルムのラベルは、ボトルの再資源化プロセスを妨害してはいけない。ラベルが再資源化できるなら、すなわちラベルを含むボトル全体を、追加の操作要件を必要とせず、あるいは新しい環境問題を発生させることなく、新規の製品に再資源化かつ変換することができるのなら、有利なことである。熱収縮フィルムは、一定範囲の材料需要を満たすために、様々な原材料から作製されている。この開示は、収縮フィルム樹脂組成物に対して特定のモノマーの組合せで作製されたポリエステルの混合物によりもたらされた類のないかつ予想外の効果を説明している。
【0006】
[0006]ポリエステル収縮フィルム組成物は、食品、飲料、身の回り用品、家庭用品などの収縮フィルムラベルとして商業的に使用されてきた。多くの場合に、これらの収縮フィルムは、透明なポリエチレンテレフタレート(PET)製のボトルまたは容器と組み合わせて使用されている。使用後に、製品全体(ボトルとラベル)が再資源化プロセスに入れられる。典型的な再資源化拠点では、類似した組成および密度のために、PETおよび収縮フィルム材料は、プロセスの最後に混在してしまう可能性がある。PET薄片の乾燥は、再資源化プロセス中にPETについている残留水の除去のために必要である。典型的には、PETは200℃を超える温度で乾燥される。これらの温度では、一般的なポリエステル収縮フィルム樹脂は、軟化して粘着性になり、PET薄片が凝集塊を形成することが多い。これらの凝集塊は、その後の処理の前に除去する必要がある。これらの凝集塊により、このプロセスによるPET薄片の収率を低減させ、追加の操作工程が必要となってくる。
【0007】
[0007]また、フィルムまたはシート樹脂組成物中の特定の組合せのグリコールモノマーにより、優れた性能特性を備えるフィルムまたはシートを製造でき、またこの組合せによりPET薄片の再資源化に影響を及ぼさないように結晶化可能であることが見出された。これらの結晶化可能なフィルムまたはシート樹脂は、再資源化されるPETとともに処理でき、再資源化プロセスの終了後に再資源化可能なPET薄片の一成分となる。特定の組合せのグリコールモノマーの選択およびその量は、優れた性能特性を備えたフィルムまたはシートを製造し、かつ結晶化可能なフィルムまたはシートを製造するために重要であることが見出された。すなわち、これらのポリエステル組成物は非晶質であるが、それらは、高い歪み誘起結晶の融点を有するという意味で「結晶化可能」である。従って、これら組成物は、形成、熱成形、または成型されたままの部品および/または物品などのフィルムあるいはシート用途で優れた特性を示すが、これらはまた、高い歪み誘起結晶の融点を有するので、PETとともに再資源化できる。というのは、再資源化PET薄片が高温乾燥条件に供される場合に、本発明の結晶化可能なポリエステルは、(再資源化される)ポリエステルペレットに処理するその後のプロセスのために、粉砕し乾燥しかつ押出機へ薄片を供給する通常の機械的操作を妨げる凝集塊を形成しないからである。同様に、本開示のシートは、再資源化プロセスに悪影響を及ぼさないので、再資源化のプロセス中にこのシートを除去する必要がない。(例えば、https://www.thebalancesmb.com/recycling-polyethylene-terephthalate-pet-2877869を参照)
[0008]本開示の一実施態様は、(1)特定の組成範囲で、テレフタル酸、ネオペンチルグリコール(NPG)、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、エチレングリコール(EG)、およびジエチレングリコール(DEG)の各残基を含む少なくとも1種の結晶化可能なポリエステル、および(2)特定の組成範囲で、テレフタル酸、ネオペンチルグリコール(NPG)、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、エチレングリコール(EG)、およびジエチレングリコール(DEG)の各残基を含む少なくとも1種の非晶質のポリエステルを含むポリエステル組成物の混合物を含む結晶化可能なフィルムである。
【0008】
[0009]本開示の一実施態様は、結晶化可能なポリエステル混合組成物に関する。一実施態様では、結晶化可能なポリエステル混合組成物は、(a)5~95重量%の結晶化可能なポリエステル組成物、および(b)5~95重量%の少なくとも1種の非晶質のポリエステル組成物を含む。
【0009】
[0010]本開示の一実施態様は、ポリエステル組成物の混合物を含む結晶化可能な組成物であり、前記混合物は、(1)5~80%の少なくとも1種の結晶化可能なポリエステル、および(2)20~95%の少なくとも1種の非晶質のポリエステルを含み、
(1)少なくとも1種の結晶化可能なポリエステルは、(a)ジカルボン酸成分および(b)または(b’)のいずれかから選択されるジオール成分を含み、
(a)ジカルボン酸成分は、
(i)約70~約100モル%のテレフタル酸残基、および
(ii)最大20個の炭素原子を有する約0~約30モル%の芳香族および/または脂肪族ジカルボン酸残基を含み、
(b)ジオール成分は、
約75モル%以上のエチレングリコール残基、および
(i)約0~約25モル%未満のネオペンチルグリコール残基、
(ii)約0~約25モル%未満の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、および
(iii)最終ポリエステル組成物中の約0~約10モル%未満の総ジエチレングリコール残基のうちの1つ以上を含む約25モル%以下のその他のグリコールを含み、
前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記ジオール成分の総モル%は100モル%であり、および
(b’)ジオール成分は、
約75モル%以上のエチレングリコール残基、および
(i)約0.1~約24モル%未満のネオペンチルグリコール残基、
(ii)約0.1~約24モル%未満の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、および
(iii)最終ポリエステル組成物中の約1~約10モル%未満の総ジエチレングリコール残基のうちの1つ以上を含む約25モル%以下のその他のグリコールを含み、
前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記ジオール成分の総モル%は100モル%であり、かつ
(2)少なくとも1種の非晶質のポリエステルは、(a)ジカルボン酸成分および(b)ジオール成分を含み、
(a)ジカルボン酸成分は、
(i)約70~約100モル%のテレフタル酸残基、および
(ii)最大20個の炭素原子を有する約0~約30モル%の芳香族および/または脂肪族ジカルボン酸残基を含み、
(b)ジオール成分は、
約60モル%以上のエチレングリコール残基、および
(i)約0~約40モル%未満のネオペンチルグリコール残基、
(ii)約0~約40モル%未満の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、および
(iii)最終ポリエステル組成物中の約0~約15モル%未満の総ジエチレングリコール残基のうちの1つ以上を含む約40モル%以下のその他のグリコールを含み、
前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記ジオール成分の総モル%は100モル%であり、前記(1)および(2)のポリエステルは異なる。
【0010】
[0011]本開示の一実施態様は、ポリエステル組成物の混合物を含む結晶化可能な組成物であり、前記混合物は、(1)5~80%の少なくとも1種の結晶化可能なポリエステルおよび(2)20~95%の少なくとも1種の非晶質のポリエステルを含み、
(1)少なくとも1種の結晶化可能なポリエステルは、(a)ジカルボン酸成分および(b)ジオール成分を含み、
(a)ジカルボン酸成分は、
(i)約70~約100モル%のテレフタル酸残基、および
(ii)最大20個の炭素原子を有する約0~約30モル%の芳香族および/または脂肪族ジカルボン酸残基を含み、
(b)ジオール成分は、
約80モル%以上のエチレングリコール残基、および
(i)約0~約20モル%未満のネオペンチルグリコール残基、
(ii)約0~約20モル%未満の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、および
(iii)最終ポリエステル組成物中の約0~約10モル%未満の総ジエチレングリコール残基のうちの1つ以上を含む約20モル%以下のその他のグリコールを含み、
前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記ジオール成分の総モル%は100モル%であり、かつ
(2)少なくとも1種の非晶質のポリエステルは、(a)ジカルボン酸成分および(b)ジオール成分を含み、
(a)ジカルボン酸成分は、
(i)約70~約100モル%のテレフタル酸残基、および
(ii)最大20個の炭素原子を有する約0~約30モル%の芳香族および/または脂肪族ジカルボン酸残基を含み、
(b)ジオール成分は、
約70モル%以上のエチレングリコール残基、および
(i)約0~約30モル%未満のネオペンチルグリコール残基、
(ii)約0~約30モル%未満の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、および
(iii)最終ポリエステル組成物中の約0~約15モル%未満の総ジエチレングリコール残基のうちの1つ以上を含む約30モル%以下のその他のグリコールを含み、
前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記ジオール成分の総モル%は100モル%であり、前記(1)および(2)のポリエステルは異なる。
【0011】
[0012]本開示の一実施態様は、ポリエステル組成物の混合物を含む結晶化可能な組成物であり、前記混合物は、(1)5~80%の少なくとも1種の結晶化可能なポリエステル、および(2)20~95%の少なくとも1種の非晶質のポリエステルを含み、
(1)少なくとも1種の結晶化可能なポリエステルは、(a)ジカルボン酸成分および(b)ジオール成分を含み、
(a)ジカルボン酸成分は、
(i)約70~約100モル%のテレフタル酸残基、および
(ii)最大20個の炭素原子を有する約0~約30モル%の芳香族および/または脂肪族ジカルボン酸残基を含み、
(b)ジオール成分は、
約85モル%以上のエチレングリコール残基、および
(i)約0~約15モル%未満のネオペンチルグリコール残基、
(ii)約0~約15モル%未満の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、および
(iii)最終ポリエステル組成物中の約0~約5モル%未満の総ジエチレングリコール残基のうちの1つ以上を含む約15モル%以下のその他のグリコールを含み、
前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記ジオール成分の総モル%は100モル%であり、かつ
(2)少なくとも1種の非晶質のポリエステルは、(a)ジカルボン酸成分および(b)ジオール成分を含み、
(a)ジカルボン酸成分は、
(i)約70~約100モル%のテレフタル酸残基、および
(ii)最大20個の炭素原子を有する約0~約30モル%の芳香族および/または脂肪族ジカルボン酸残基を含み、
(b)ジオール成分は、
約60モル%以上のエチレングリコール残基、および
(i)ネオペンチルグリコール残基、
(ii)1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、および
(iii)その場で生成されたか否かに拘わらず、最終ポリエステル組成物中のジエチレングリコール残基のうちの1つ以上を含む約40モル%以下のその他のグリコールを含み、
前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記ジオール成分の総モル%は100モル%であり、前記(1)および(2)のポリエステルは異なる。
【0012】
[0013]本開示の一実施態様は、ポリエステル組成物の混合物を含む結晶化可能な組成物であり、前記混合物は、(1)5~80%の少なくとも1種の結晶化可能なポリエステルおよび(2)20~95%の少なくとも1種の非晶質のポリエステルを含み、
(1)少なくとも1種の結晶化可能なポリエステルは、(a)ジカルボン酸成分および(b)ジオール成分を含み、
(a)ジカルボン酸成分は、
(i)約70~約100モル%のテレフタル酸残基、および
(ii)最大20個の炭素原子を有する約0~約30モル%の芳香族および/または脂肪族ジカルボン酸残基を含み、
(b)ジオール成分は、
(i)約0~約30モル%のネオペンチルグリコール残基、
(ii)約0~約30モル%未満の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、および
(iii)ジエチレングリコール残基を含み、
グリコール成分の残部は、
(iv)エチレングリコール残基、および
(v)0.1~20モル%の少なくとも1種の修飾グリコール残基を含み、
前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記グリコール成分の総モル%は100モル%であり、かつ
(2)少なくとも1種の非晶質のポリエステルは、(a)ジカルボン酸成分および(b)ジオール成分を含み、
(a)ジカルボン酸成分は、
(i)約70~約100モル%のテレフタル酸残基、および
(ii)最大20個の炭素原子を有する約0~約30モル%の芳香族および/または脂肪族ジカルボン酸残基を含み、
(b)ジオール成分は、
(i)約0~約40モル%のネオペンチルグリコール残基、
(ii)約0~約40モル%未満の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、および
(iii)その場で生成されたか否かに拘わらず、ジエチレングリコール残基を含み、
グリコール成分の残部は、
(iv)エチレングリコール残基、および
(v)0~20モル%、または0~10モル%、または0~5モル%の少なくとも1種の修飾グリコール残基を含み、
前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記グリコール成分の総モル%は100モル%であり、前記(1)および(2)のポリエステルは異なる。
【0013】
[0014]本開示の他の実施態様では、混合組成物は、約200~約255℃の範囲に結晶の融点を有する。
[0015]本開示の他の実施態様では、上述の混合物は、約220℃~約230℃の範囲、あるいは約245℃~約255℃の範囲に結晶の融点を有する。他の実施態様では、成分(1)は、約220℃~約230℃の結晶の融点を有する。
【0014】
[0016]本開示の一実施態様は、前述の実施態様の結晶化可能なフィルムであり、このフィルムは、少なくとも一方向に延伸され、延伸されたフィルムは、200℃以上の歪み誘起結晶の融点を有する。
【0015】
[0017]本開示の一実施態様は、(1)特定の組成範囲で、テレフタル酸、ネオペンチルグリコール(NPG)、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、エチレングリコール(EG)、およびジエチレングリコール(DEG)の各残基を含む少なくとも1種の結晶化可能なポリエステル、および(2)特定の組成範囲で、テレフタル酸、ネオペンチルグリコール(NPG)、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、エチレングリコール(EG)、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)、およびジエチレングリコール(DEG)の各残基を含む少なくとも1種の非晶質のポリエステルを含むポリエステル組成物の混合物を含む熱成形された、または熱成形性のフィルムあるいはシートである。
【0016】
[0018]本開示の一実施態様は、結晶化可能なポリエステル混合組成物を含む熱成形された、または熱成形性のフィルムあるいはシートに関する。一実施態様では、熱成形された、または熱成形性のフィルムあるいはシートは、(a)5~95重量%の結晶化可能なポリエステル組成物、および(b)5~95重量%の少なくとも1種の非晶質のポリエステル組成物を含む、結晶化可能なポリエステル混合組成物を含む。
【0017】
[0019]本開示の一実施態様は、ポリエステル組成物の混合物を含む結晶化可能な組成物を含む、厚さが約0.25mm~約6.4mmである熱成形シートであり、前記混合物は、(1)5~80%の少なくとも1種の結晶化可能なポリエステル、および(2)20~95%の少なくとも1種の非晶質のポリエステルを含み、
(1)少なくとも1種の結晶化可能なポリエステルは、(a)ジカルボン酸成分および(b)または(b’)のいずれかから選択されるジオール成分を含み、
(a)ジカルボン酸成分は、
(i)約70~約100モル%のテレフタル酸残基、および
(ii)最大20個の炭素原子を有する約0~約30モル%の芳香族および/または脂肪族ジカルボン酸残基を含み、
(b)ジオール成分は、
約75モル%以上のエチレングリコール残基、および
(i)約0~約25モル%未満のネオペンチルグリコール残基、
(ii)約0~約25モル%未満の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、および
(iii)最終ポリエステル組成物中の約0~約10モル%未満の総ジエチレングリコール残基のうちの1つ以上を含む約25モル%以下のその他のグリコールを含み、
前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記ジオール成分の総モル%は100モル%であり、および
(b’)ジオール成分は、
約75モル%以上のエチレングリコール残基、および
(i)約0.1~約24モル%未満のネオペンチルグリコール残基、
(ii)約0.1~約24モル%未満の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、および
(iii)最終ポリエステル組成物中の約1~約10モル%未満の総ジエチレングリコール残基のうちの1つ以上を含む約25モル%以下のその他のグリコールを含み、
前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記ジオール成分の総モル%は100モル%であり、かつ
(2)少なくとも1種の非晶質のポリエステルは、(a)ジカルボン酸成分および(b)ジオール成分を含み、
(a)ジカルボン酸成分は、
(i)約70~約100モル%のテレフタル酸残基、および
(ii)最大20個の炭素原子を有する約0~約30モル%の芳香族および/または脂肪族ジカルボン酸残基を含み、
(b)ジオール成分は、
約60モル%以上のエチレングリコール残基、および
(i)約0~約40モル%未満のネオペンチルグリコール残基、
(ii)約0~約40モル%未満の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、および
(iii)最終ポリエステル組成物中の約0~約15モル%未満の総ジエチレングリコール残基のうちの1つ以上を含む約40モル%以下のその他のグリコールを含み、
前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記ジオール成分の総モル%は100モル%であり、前記(1)および(2)のポリエステルは異なる。
【0018】
[0020]本開示の一実施態様は、ポリエステル組成物の混合物を含む結晶化可能な組成物を含む、厚さが約0.25mm~約6.4mmである熱成形シートであり、前記混合物は、(1)5~80%の少なくとも1種の結晶化可能なポリエステル、および(2)20~95%の少なくとも1種の非晶質のポリエステルを含み、
(1)少なくとも1種の結晶化可能なポリエステルは、(a)ジカルボン酸成分および(b)ジオール成分を含み、
(a)ジカルボン酸成分は、
(i)約70~約100モル%のテレフタル酸残基、および
(ii)最大20個の炭素原子を有する約0~約30モル%の芳香族および/または脂肪族ジカルボン酸残基を含み、
(b)ジオール成分は、
約80モル%以上のエチレングリコール残基、および
(i)約0~約20モル%未満のネオペンチルグリコール残基、
(ii)約0~約20モル%未満の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、および
(iii)その場で生成されたか否かに拘わらず、最終ポリエステル組成物中の約0~約10モル%未満の総ジエチレングリコール残基のうちの1つ以上を含む約20モル%以下のその他のグリコールを含み、
前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記ジオール成分の総モル%は100モル%であり、かつ
(2)少なくとも1種の非晶質のポリエステルは、(a)ジカルボン酸成分および(b)ジオール成分を含み、
(a)ジカルボン酸成分は、
(i)約70~約100モル%のテレフタル酸残基、および
(ii)最大20個の炭素原子を有する約0~約30モル%の芳香族および/または脂肪族ジカルボン酸残基を含み、
(b)ジオール成分は、
約70モル%以上のエチレングリコール残基、および
(i)約0~約30モル%未満のネオペンチルグリコール残基、
(ii)約0~約30モル%未満の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、および
(iii)最終ポリエステル組成物中の約0~約15モル%未満の総ジエチレングリコール残基のうちの1つ以上を含む約30モル%以下のその他のグリコールを含み、
前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記ジオール成分の総モル%は100モル%であり、前記(1)および(2)のポリエステルは異なる。
【0019】
[0021]本開示の一実施態様は、ポリエステル組成物の混合物を含む結晶化可能な組成物を含む、厚さが約0.25mm~約6.4mmである熱成形シートであり、前記混合物は、(1)5~80%の少なくとも1種の結晶化可能なポリエステル、および(2)20~95%の少なくとも1種の非晶質のポリエステルを含み、
(1)少なくとも1種の結晶化可能なポリエステルは、(a)ジカルボン酸成分および(b)ジオール成分を含み、
(a)ジカルボン酸成分は、
(i)約70~約100モル%のテレフタル酸残基、および
(ii)最大20個の炭素原子を有する約0~約30モル%の芳香族および/または脂肪族ジカルボン酸残基を含み、
(b)ジオール成分は、
約80モル%以上のエチレングリコール残基、および
(i)約0~約15モル%未満のネオペンチルグリコール残基、
(ii)約0~約15モル%未満の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、および
(iii)最終ポリエステル組成物中の約0~約5モル%未満の総ジエチレングリコール残基のうちの1つ以上を含む約15モル%以下のその他のグリコールを含み、
前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記ジオール成分の総モル%は100モル%であり、かつ
(2)少なくとも1種の非晶質ポリエステルは、(a)ジカルボン酸成分および(b)ジオール成分を含み、
(a)ジカルボン酸成分は、
(i)約70~約100モル%のテレフタル酸残基、および
(ii)最大20個の炭素原子を有する約0~約30モル%の芳香族および/または脂肪族ジカルボン酸残基を含み、
(b)ジオール成分は、
約60モル%以上のエチレングリコール残基、および
(i)ネオペンチルグリコール残基、
(ii)1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、および
(iii)最終ポリエステル組成物中のジエチレングリコール残基のうちの1つ以上を含む約40モル%以下のその他のグリコールを含み、
前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記ジオール成分の総モル%は100モル%であり、前記(1)および(2)のポリエステルは異なる。
[0022]本開示の一実施態様は、ポリエステル組成物の混合物を含む結晶化可能な組成物を含む、厚さが約0.25mm~約6.4mmである熱成形シートであり、前記混合物は、(1)5~80%の少なくとも1種の結晶化可能なポリエステル、および(2)20~95%の少なくとも1種の非晶質のポリエステルを含み、
(1)少なくとも1種の結晶化可能なポリエステルは、(a)ジカルボン酸成分および(b)ジオール成分を含み、
(a)ジカルボン酸成分は、
(i)約70~約100モル%のテレフタル酸残基、および
(ii)最大20個の炭素原子を有する約0~約30モル%の芳香族および/または脂肪族ジカルボン酸残基を含み、
(b)ジオール成分は、
(i)約0~約30モル%のネオペンチルグリコール残基、
(ii)約0~約30モル%未満の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、および
(iii)ジエチレングリコール残基を含み、
グリコール成分の残部は、
(iv)エチレングリコール残基、および
(v)場合によっては、0.1~10モル%の少なくとも1種の修飾グリコール残基を含み、
前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記ジオール成分の総モル%は100モル%であり、かつ
(2)少なくとも1種の非晶質のポリエステルは、(a)ジカルボン酸成分および(b)ジオール成分を含み、
(a)ジカルボン酸成分は、
(i)約70~約100モル%のテレフタル酸残基、および
(ii)最大20個の炭素原子を有する約0~約30モル%の芳香族および/または脂肪族ジカルボン酸残基を含み、
(b)ジオール成分は、
(i)約0~約40モル%のネオペンチルグリコール残基、
(ii)約0~約40モル%未満の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、および
(iii)ジエチレングリコール残基を含み、
グリコール成分の残部は、
(iv)エチレングリコール残基、および
(v)場合によっては、0.1~10モル%の少なくとも1種の修飾グリコール残基を含み、
前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記ジオール成分の総モル%は100モル%であり、前記(1)および(2)のポリエステルは異なる。
【0020】
[0023]本開示の一実施態様は、前述の実施態様のいずれかの結晶化可能な組成物の混合物を含む、押し出された、またはカレンダー処理されたフィルムである。
[0024]本開示の一実施態様は、前述の実施態様のいずれかのシートを含む、またはそのシートから調製された、成形、熱成形、または成型された物品である。
【0021】
[0025]本開示の一実施態様は、前述の実施態様のいずれかの熱成形された、または熱成形性のシートを含む、あるいはそのシートから調製された医療機器の梱包材、医療関連の梱包材、健康管理用品の梱包材、商業食品供給の梱包材、トレイ、容器、食品皿、タンブラー、収納箱、ボトル、調理器具、ミキシングボウル、家庭用品、水ボトル、野菜庫トレイ、洗浄機部品、冷蔵庫部品、真空掃除機部品、眼科用レンズ、および枠組材またはおもちゃである。
【0022】
[0026]本開示の一実施態様は、前述の請求項のいずれかの熱成形された、または熱成形性のシートを含むか、あるいはそのシートから調製された製造物品である。
[0027]本開示の一実施態様は、前述の実施態様のいずれかの熱成形されたフィルムまたはシートを作製する方法であり、この方法は、A)ポリエステル製のフィルムまたはシートを加熱すること、B)熱で軟化したフィルムまたはシートに空気圧、真空、および/または物理的圧力を加えること、C)真空または加圧によってシートを型形状に適合させること、D)熱成形された部品を冷却すること、およびE)熱成形された部品または物品を型から取り出すことを含む。
【0023】
[0028]プラスチック再資源化業者協会(APR:the Association for Plastic Recyclers)は、材料が現状の再資源化プロセス(PET-CG-02)に適合性があるか否かを測定するための試験を確立した。この試験では、ラベル(最小で3重量%)およびボトルを1/4~1/2インチの薄片サイズに粉砕する。次にボトル薄片を、ラベルのない対照ボトル薄片と50:50で混合する。続いて、1.2%以下のPETがラベル付きで持ち越されることを許可する条件で、試料を湿式分級する。この薄片を0.3%のTriton X-100および1.0%の苛性アルカリで88℃かつ15分間洗浄する。次に全ての浮遊物質を除去した後に、この薄片を水で洗浄して、続いて濾して余分な水を除去する。薄片を、その前と同じように再び湿式分級する。次に2ポンドの洗浄済みの薄片を各洗浄済み試料としてテフロン加工された焼成皿に入れ、薄片を1.5インチの層の厚さまで加える。薄片が入っている皿を208℃の循環オーブン内に1時間半置く。薄片を冷却し、0.0625インチの開口部を備える篩いを通過させる。材料が篩いを通過するなら、この材料は凝集しておらず、すなわち大きくなり過ぎて篩いを通過できないということではない。この試験に続いて、薄片の品質を保証するための押出/ペレット化および成形の各工程を実施する。
【0024】
[0029]結果として、本開示の結晶化可能な混合物は、この組成物が追加の分離工程を必要とせずに、再資源化処理の流れ中でPETを伴わせることが可能な範囲で、PET再資源化処理の流れの有効な成分を提供する。従って、本開示の一実施態様では、少なくとも約0.1重量%の本開示の結晶化可能な混合物を共に混合させた再資源化ポリエチレンテレフタレート薄片を含むポリエステル再資源化処理の流れが提供される。別の実施態様では、前記処理の流れは、2019年4月11日付けの「ラベルおよび封止を備える透明なPET物品のための重要な指示要綱(Critical Guidance Protocol for Clear PET Articles with Labels and Closures)」である文書番号PET-CG-02に合格している。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】[0030]図1は、樹脂番号1および樹脂番号2で作製された混合物について、結晶化度に対するPET凝集率(%)を示す。
図2】[0031]図2は、樹脂番号2および樹脂番号3で作製された混合物について、結晶化度に対するPET凝集率(%)を示す。
【発明の詳細な説明】
【0026】
[0032]本開示の特定の実施態様および実施例の以下の詳細な説明を参照して、本開示はより容易に理解される。本開示の目的に従って、本開示の特定の実施態様は、本発明の要旨に説明され、さらに本明細書に以下のように説明されている。また、本開示のその他の実施態様が本明細書に説明されている。
【0027】
[0033]熱収縮性プラスチックフィルムは、複数の物体を一緒に保持するための被覆材として、またボトル、缶、および他の種類の容器の外側の包装材として使用される。例えば、このフィルムは、製品のラベル貼付、保護、包装、または価値の向上、およびその他の理由を目的として、ボトルの蓋、首部、肩部、胴部、あるいはボトル全体の被覆に使用される。さらに、このフィルムは、箱、ボトル、板、棒、またはノートなどの物体を群として一緒に包装するための被覆材として使用でき、このフィルムはまた、包装材として密接に付着可能である。上述の使用では、フィルムの収縮性および内部収縮応力を活用している。
【0028】
[0034]歴史的に、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルムは、収縮フィルム市場の主流であった。しかし、ポリエステルフィルムはPVCフィルムが関与する環境問題を抱えていないために、ポリエステルフィルムは有意な代替品となってきた。ポリエステル収縮フィルムは、理想的にPVCフィルムと非常に類似した特性を備えているので、ポリエステルは「落とし込み(drop-in)」フィルム方式の代替品として機能でき、既存の熱収縮トンネル装置で処理できる。複製品に対して望まれるPVCフィルムの特性には、(1)比較的低い収縮開始温度、(2)温度の上昇につれ徐々にかつ制御された方式で増加する総収縮率、(3)基礎となる容器の潰れを防ぐための低い収縮力、(4)高い総収縮率(例えば50%以上)、および(5)収縮の前後でのフィルムの無益な引き裂けおよび分裂を防ぐための固有のフィルム靭性が挙げられる。
【0029】
[0035]熱収縮性フィルムは、この用途で使用するためには、使用基準に対し様々な適合性を満たす必要がある。フィルムは丈夫であり、制御された方式で収縮し、内容物を潰すことなくボトル表面にそれ自体を保持するのに十分な収縮力を提供する必要がある。さらに、これらのラベルをポリエステル容器に貼付ける場合には、これらラベルがペットボトルの再資源化工程を阻害してはならない。実際のところ、ラベルもまた再資源化可能であり、追加の操作要件が発生せずに、あるいは新しい環境問題を発生することなく、ボトル全体が再資源化できて新規の製品に変換できるのであれば、有利なこととなる。熱収縮フィルムは、一定範囲の材料の需要を満たすために、様々な原材料から製造されている。この開示は、ポリエステル収縮フィルムからなるラベルの再資源化性を改善する特定のモノマーとの組合せを含むポリエステルの混合物によりもたらされた類のないかつ予想外の効果を説明している。
【0030】
[0036]収縮フィルム組成物は、食品、飲料、身の回り用品、家庭用品などの収縮フィルムラベルとして商業的に使用されている。多くの場合に、これらの収縮フィルムは、透明なポリエチレンテレフタレート(PET)ボトルまたは容器と組み合わせて使用される。その後に、製品の全体(ボトルとラベル)は再資源化プロセスに入れられる。典型的な再資源化拠点では、組成と密度が類似することにより、PETおよび収縮フィルム材料は、プロセスの最後には混在される可能性がある。PET薄片の乾燥は、再資源化プロセス中にPETについている残留水を除去するために必要である。典型的には、PETは200℃を超える温度で乾燥されるが、これらの温度では、典型的なポリエステル収縮フィルム樹脂は、軟化して粘着性になり、PET薄片とともに凝集塊を形成する場合が多い。これらの凝集塊は、その後の処理の前に除去する必要がある。これらの凝集塊は、このプロセスからのPET薄片の収率を低減させるので、追加の操作工程が必要となる。
【0031】
[0037]収縮フィルムのポリエステル樹脂混合組成物中に特定の組合せのグリコールモノマーを含むポリエステルは、優れた収縮フィルム性能を有するフィルムを与え、さらに再資源化中のPET薄片の再資源化に影響を及ぼさないように結晶化可能であることが見出された。これらの結晶化可能な収縮フィルム樹脂混合物は、PETボトルとともに処理でき、再資源化プロセスの終了後に再資源化可能なPET薄片の一成分となる。結晶化可能なポリエステル混合組成物中の各組成物(非晶質の組成物および結晶化可能な組成物)での特定の組合せのグリコールモノマーの選択およびその量は、優れた収縮フィルム特性を備えるフィルムを製造するのに、かつ結晶化可能なフィルムを製造するのに重要であることが見出された。
【0032】
[0038]本明細書で使用される用語「ポリエステル」は、「共重合ポリエステル」を包含するように意図され、1種以上の二官能性カルボン酸および/または多官能性カルボン酸を1種以上の二官能性ヒドロキシル化合物および/または多官能性ヒドロキシル化合物、例えば分岐剤と反応させて調製される合成重合体を意味すると理解される。一般に、二官能性カルボン酸はジカルボン酸であってもよく、二官能性ヒドロキシル化合物は二価アルコール、例えばグリコールおよびジオールであってもよい。本明細書で使用される用語「グリコール」は、限定はされないが、ジオール、グリコール、および/または多官能性ヒドロキシル化合物、例えば分岐剤を包含する。あるいは、二官能性カルボン酸は、ヒドロキシカルボン酸、例えばp-ヒドロキシ安息香酸であってもよく、二官能性ヒドロキシル化合物は、2個のヒドロキシル置換基を保持する芳香核を有していてもよく、例えばヒドロキノンであってもよい。本明細書で使用される用語「残基」は、対応するモノマーからの重縮合および/またはエステル化反応によって重合体中に組み込まれた任意の有機構造を意味する。本明細書で使用される用語「繰り返し単位」は、エステル基を介して結合されたジカルボン酸残基およびジオール残基を有する有機構造を意味する。従って、例えばジカルボン酸残基は、ジカルボン酸モノマーまたはその関連する酸ハロゲン化物、エステル、塩、無水物、および/またはそれらの混合物に由来してもよい。さらに、本明細書で使用される用語「二酸」は、多官能性酸、例えば分岐剤を含む。従って、本明細書で使用される用語「ジカルボン酸」は、ジカルボン酸、ならびに関連する酸ハロゲン化物、エステル、半エステル、塩、半塩、無水物、混合無水物、および/またはそれらの混合物など、ジオールと反応処理してポリエステルを得るのに有用な任意のジカルボン酸誘導体を包含するよう意図されている。本明細書で使用される用語「テレフタル酸」は、テレフタル酸自体とその残基、ならびに関連する酸ハロゲン化物、エステル、半エステル、塩、半塩、無水物、混合無水物、および/またはそれらの混合物あるいはそれらの残基など、ジオールと反応処理してポリエステルを得るのに有用な任意のテレフタル酸誘導体を包含するよう意図されている。
【0033】
[0039]本開示で用いられるポリエステルは、典型的には、実質的に等しい割合で反応し、かつ対応する残基としてポリエステル重合体に組み込まれる、ジカルボン酸とジオールから調製できる。従って、本開示のポリエステルは、繰り返し単位の合計モルは100モル%に等しいように、実質的に等モル比の酸残基(100モル%)とジオール(および/または多官能性ヒドロキシル化合物)残基(100モル%)を含んでもよい。従って、本開示で示されるモル百分率は、酸残基の総モル、ジオール残基の総モル、または繰り返し単位の総モルに基づけばよい。例えば、総酸残基に基づいて10モル%のイソフタル酸を含むポリエステルは、そのポリエステルが合計100モル%の酸残基のうち10モル%のイソフタル酸残基を含むことを意味する。すなわち、それぞれの100モルの酸残基中に10モルのイソフタル酸残基が存在する。別の例では、総ジオール残基に基づいて25モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノールを含むポリエステルは、そのポリエステルが合計100モル%のジオール残基のうち25モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基を含むことを意味する。すなわち、それぞれの100モルのジオール残基中に25モルの1,4-シクロヘキサンジメタノール残基が存在する。
【0034】
[0040]特定の実施態様では、テレフタル酸またはそのエステル、例えば、テレフタル酸ジメチルまたはテレフタル酸残基とそのエステルとの混合物は、本開示で有用なポリエステルを形成するのに用いられるジカルボン酸成分の一部または全体を構成することができる。特定の実施態様では、テレフタル酸残基は、本開示で有用なポリエステルを形成するのに用いられるジカルボン酸成分の一部または全体を構成することができる。この開示の目的について、用語「テレフタル酸」および「テレフタル酸ジメチル」は、本明細書では互換的に使用される。一実施態様では、テレフタル酸ジメチルは、本開示で有用なポリエステルを作製するのに用いられるジカルボン酸成分の一部または全体である。いくつかの実施態様では、70~100モル%;または80~100モル%;または90~100モル%;または99~100モル%;または100モル%のテレフタル酸および/またはテレフタル酸ジメチルおよび/またはそれらの混合物を使用してもよい。
【0035】
[0041]テレフタル酸に加えて、本開示で有用なポリエステルのジカルボン酸成分は、最大30モル%、最大20モル%、最大10モル%、最大5モル%、または最大1モル%の1種以上の修飾芳香族ジカルボン酸を含んでもよい。さらに別の実施態様は、0モル%の修飾芳香族ジカルボン酸を含む。従って、存在する場合は、1種以上の修飾芳香族ジカルボン酸の量は、これらの上記の端点値の任意の範囲、例えば0.01~10モル%、0.01~5モル%、0.01~1モル%で変動してもよいと考えられる。一実施態様では、本開示で用いてもよい修飾芳香族ジカルボン酸として、限定はされないが、最大20個の炭素原子を有し、鎖状、パラ配向、または対称になり得るものが挙げられる。本開示で用いてもよい修飾芳香族ジカルボン酸の例としては、限定はされないが、イソフタル酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、1,4-、1,5-、2,6-、2,7-ナフタレンジカルボン酸、およびトランス-4,4’-スチルベンジカルボン酸、ならびにそれらのエステルが挙げられる。一実施態様では、修飾芳香族ジカルボン酸はイソフタル酸である。
【0036】
[0042]本開示で有用なポリエステルのカルボン酸成分はさらに、最大10モル%、例えば最大5モル%または最大1モル%の、2~16個の炭素原子を含む1種以上の脂肪族ジカルボン酸、例えばシクロヘキサンジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、および/またはドデカン二酸などのジカルボン酸でも修飾できる。また特定の実施態様では、0.01~10モル%、例えば0.1~10モル%、1あるいは10モル%、5~10モル%などの1種以上の修飾脂肪族ジカルボン酸も含んでもよい。さらに別の実施態様は、0モル%の修飾脂肪族ジカルボン酸を含む。ジカルボン酸成分の合計モル%は100モル%である。一実施態様では、アジピン酸および/またはグルタル酸は、ポリエステルの修飾脂肪族ジカルボン酸成分中に提供され、本開示では有用である。
【0037】
[0043]テレフタル酸のエステルならびにそれ以外の修飾ジカルボン酸またはそれらの対応するエステルおよび/もしくは塩を、ジカルボン酸の代わりに用いてもよい。ジカルボン酸エステルの好適な例としては、限定はされないが、ジメチル、ジエチル、ジプロピル、ジイソプロピル、ジブチル、およびジフェニルエステルが挙げられる。一実施態様では、エステルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、およびフェニルの各エステルの少なくとも1種から選択される。
【0038】
[0044]一実施態様では、本開示で有用なポリエステル組成物およびポリエステル混合組成物のジオール成分は、1,4-シクロヘキサンジメタノールを含んでもよい。別の実施態様では、本開示で有用なポリエステル組成物およびポリエステル混合組成物のジオール成分は、1,4-シクロヘキサンジメタノールおよび1,3-シクロヘキサンジメタノールを含む。シス/トランス1,4-シクロヘキサンジメタノールのモル比は、50/50~0/100、例えば40/60~20/80の範囲内で変動してもよい。
【0039】
[0045]本開示で有用な結晶化可能なポリエステル組成物および結晶化可能なポリエステル混合組成物のジオール成分には、限定はされないが、最終ポリエステル組成物中の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基およびネオペンチルグリコール残基の合計が、1~30モル%、または1~25モル%、または1~20モル%、または1~15モル%、または1~10モル%、または2~30モル%、または2~25モル%、または2から20モル%、または2~15モル%、または2~10モル%、または3~30モル%、または3~25モル%、または3~20モル%、または3~15モル%、または3~10モル%、4~30モル%、または4~25モル%、4~20モル%、または4~15モル%、または4~10モル%、5~30モル%、または5~25モル%、5~20モル%、または5~15モル%、または5~10モル%、または6~30モル%、または6~25モル%、または6~20モル%、または6~15モル%、または6~10モル%、または7~30モル%、または7~25モル%、7~20モル%、または7~15モル%、または7~10モル%、または8~30モル%、または8~25モル%、または8~20モル%、または8~15モル%、または8~10モル%、または9~30モル%、または9~25モル%、または9~20モル%、または9~15モル%、または9~10モル%、または10~30モル%、または10~25モル%、または10~20モル%、または10~15モル%、または11~30モル%、または11~30モル%、または11~25モル%、または11~20モル%、または11~15モル%、または12~30モル%、または12~25モル%、または12~20モル%、または12~15モル%、または13~30モル%、または13~25モル%、または13~20モル%、または13~15モル%、または14~30モル%、または14~25モル%、または14~20モル%、または14~15モル%、または15~30モル%、または15~25モル%、または15~20モル%、または16~20モル%、または18~20モル%、または10~18モル%、または16~18モル%、または12~16モル%、または16~20モル%、または14~18モル%、または11~30モル%、または13~30モル%、または14~30モル%、または10~29モル%、または11~29モル%、または12~29モル%、または13~29モル%、または14~29モル%、または15~29モル%、または10~28モル%、または11~28モル%、または12~28モル%、または13~28モル%、または14~28モル%、または15~28モル%である組成物を含んでもよい。一実施態様では、最終ポリエステル組成物中の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基およびネオペンチルグリコール残基の合計は、4~15モル%、または2~21モル%、または2~20モル%未満、または4~20モル%、または5~18モル%、または10~21モル%、または12~21モル%であってもよく、ここでジオール成分の総モル%は100モル%である。
【0040】
[0046]一実施態様では、本開示で有用な結晶化可能なポリエステル組成物および結晶化可能なポリエステル混合組成物のジオール成分は、100モル%であるジオール成分の総モル%に基づいて、0~30モル%のネオペンチルグリコールを含んでもよい。一実施態様では、本開示で有用なポリエステル組成物およびポリエステル混合組成物のジオール成分は、100モル%であるジオール成分の総モル%に基づいて、0~25モル%のネオペンチルグリコールを含んでもよい。一実施態様では、本開示で有用なポリエステル組成物およびポリエステル混合組成物のジオール成分は、100モル%であるジオール成分の総モル%に基づいて、0~17モル%のネオペンチルグリコールを含んでもよい。一実施態様では、本開示で有用なポリエステル組成物およびポリエステル混合組成物のジオール成分は、100モル%であるジオール成分の総モル%に基づいて、5~20モル%のネオペンチルグリコールを含んでもよい。一実施態様では、本開示で有用なポリエステル組成物およびポリエステル混合組成物のジオール成分は、100モル%であるジオール成分の総モル%に基づいて、10~20モル%のネオペンチルグリコールを含んでもよい。一実施態様では、本開示で有用なポリエステル組成物およびポリエステル混合組成物のジオール成分は、100モル%であるジオール成分の総モル%に基づいて、10~15モル%のネオペンチルグリコールを含んでもよい。一実施態様では、本開示で有用なポリエステル組成物およびポリエステル混合組成物のジオール成分は、100モル%であるジオール成分の総モル%に基づいて、15~25モル%のネオペンチルグリコールを含んでもよい。
【0041】
[0047]一実施態様では、本開示で有用な結晶化可能なポリエステル組成物および結晶化可能なポリエステル混合組成物のジオール成分は、100モル%であるジオール成分の総モル%に基づいて、0~30モル%、または0.01~30モル%、または0~20モル%、または0.1~20モル%、または2~20モル%、または0.01~15モル%、または0.01~14モル%、または0.01~13モル%、または0.01~12モル%、または0.01~11モル%、または0.01~10モル%、または0.01~9モル%、または0.01~8モル%、または0.01~7モル%、または0.01~6モル%、または0.01~5モル%、または3~15モル%、または3~14モル%、または3~13モル%、または3~12モル%、または3~11モル%、または3~10モル%、または3~9モル%、または3~8モル%、または3~7モル%、または2~10モル%、または2~9モル%、または2~8モル%、または2~7モル%、または2~5モル%、または1~7モル%、または1~5モル%、または1~3モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基を含んでもよい。
【0042】
[0048]一実施態様では、本開示で有用な結晶化可能なポリエステル組成物およびポリエステル混合組成物の結晶化可能なポリエステル組成物のジオール成分は、100モル%であるジオール成分の総モル%に基づいて、0~15モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノールを含んでもよい。一実施態様では、本開示で有用なポリエステル組成物のジオール成分は、100モル%であるジオール成分の総モル%に基づいて、0.01~15モル%未満の1,4-シクロヘキサンジメタノールを含んでもよい。一実施態様では、本開示で有用なポリエステル組成物のジオール成分は、100モル%であるジオール成分の総モル%に基づいて、0~10モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノールを含んでもよい。一実施態様では、本開示で有用なポリエステル組成物のジオール成分は、100モル%であるジオール成分の総モル%に基づいて、0.01~10モル%未満の1,4-シクロヘキサンジメタノールを含んでもよい。一実施態様では、本開示で有用なポリエステル組成物のジオール成分は、100モル%であるジオール成分の総モル%に基づいて、0.01~5モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノールを含んでもよい。一実施態様では、本開示で有用なポリエステル組成物のジオール成分は、100モル%であるジオール成分の総モル%に基づいて、0~5モル%未満の1,4-シクロヘキサンジメタノールを含んでもよい。
【0043】
[0049]いくつかのその他のジオール残基は、当然ではあるが、処理中にその場で生成されてもよい。ジエチレングリコール残基の総量は、処理中にその場で生成されるか、または意図的に添加されるか、あるいはその両方であるかに拘わらず、本開示で有用な結晶可能なポリエステル混合組成物中に任意の量で存在してもよく、例えば、100モル%であるジオール成分の総モル%に基づいて、1~15モル%、または2~12モル%、または2~11モル%、または2~10モル%、または2~9モル%、または3~12モル%、または3~11モル%、または3~10モル%、または3~9モル%、または4~12モル%、または4~11モル%、または4~10モル%、または4~9モル%、または、5~12モル%、または5~11モル%、または5~10モル%、または5~9モル%のジエチレングリコール残基が存在してもよい。
【0044】
[0050]一実施態様では、本開示で有用なポリエステル中に存在してもよいジエチレングリコール残基の総量は、処理中にその場で生成されるか、意図的に添加されるか、またはその両方であるかどうかに拘わらず、100モル%であるジオール成分の総モル%に基づいて、5モル%以下、4モル%以下、または3.5モル%以下、または3.0モル%以下、または2.5モル%以下、または2.0モル%以下、または1.5モル%以下、または1.0モル%以下、または1~4モル%、または1~3モル%、または1~2モル%、または2~8モル%、または2~7モル%、または2~6モル%、または2~5モル%、または3~8モル%、または3~7モル%、または3~6モル%、または3~5モル%であってもよく、あるいは実施態様によっては、意図的に添加されたジエチレングリコール残基は存在しない。特定の実施態様では、ポリエステルには、修飾ジオールは添加されない。特定の実施態様では、ポリエステル混合組成物の結晶化可能なポリエステル組成物のジエチレングリコール残基は、5モル%以下であってもよい。
【0045】
[0051]一実施態様では、本開示で有用な結晶可能なポリエステル混合組成物のジオール成分は、最大20モル%、または最大19モル%、または最大18モル%、または最大17モル%、また最大16モル%、または最大15モル%、または最大14モル%、または最大13モル%、または最大12モル%、または最大11モル%、または最大10モル%、または最大9モル%、または最大8モル%、または最大7モル%、または最大6モル%、または最大5モル%、または最大4モル%、または最大3モル%、または最大2モル%、または最大1モル%の1種以上の修飾ジオール(修飾ジオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、または1,4-シクロヘキサンジメタノールではないジオールとして定義される)を含んでもよい。特定の実施態様では、本開示で有用なポリエステルは、10モル%以下の1種以上の修飾ジオールを含んでもよい。特定の実施態様では、本開示で有用なポリエステルは、5モル%以下の1種以上の修飾ジオールを含んでもよい。特定の実施態様では、本開示で有用なポリエステルは、3モル%以下の1種以上の修飾ジオールを含んでもよい。別の実施態様では、本開示で有用なポリエステルは、0モル%の修飾ジオールを含んでもよい。しかしながら、いくつかのその他のジオール残部はその場で生成されてもよいので、その場で生成された残部の量もまた本開示の実施態様であると考えてもよい。
【0046】
[0052]いくつかの実施態様では、本明細書で定義される結晶化可能なポリエステル混合組成物内に使用する修飾ジオールは、使用される場合には、2~16個の炭素原子を含む。修飾ジオールの例として、限定はされないが、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、イソソルビド、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、p-キシレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)、およびそれらの混合物が挙げられる。一実施態様では、イソソルビドが修飾ジオールである。別の実施態様では、修飾ジオールとして、限定はされないが、1,3-プロパンジオールおよび1,4-ブタンジオールのうちの少なくとも1種が挙げられる。一実施態様では、1,3-プロパンジオールおよび/または1,4-ブタンジオールを除外してもよい。1,4-または1,3-ブタンジオールを使用する場合には、一実施態様では、4モル%超または5モル%超を提供してもよい。一実施態様では、少なくとも1種の修飾ジオールは、5~25モル%の量で存在する1,4-ブタンジオールである。
[0053]全ての実施態様では、ジオール成分の残部には、100モル%であるジオール成分の総モル%に基づいて、任意の量のエチレングリコール残基を含んでもよい。一実施態様では、本開示で有用な結晶化可能なポリエステル混合組成物は、100モル%であるジオール成分の総モル%に基づいて、50モル%以上、または55モル%以上、または60モル%以上、または65モル%以上、または70モル%以上、または75モル%以上、または80モル%以上、または85モル%以上、または90モル%以上、または95モル%以上、または50~80モル%、または55~80モル%、または60~80モル%、または50~75モル%、または55~75モル%、または60~75モル%、または65~75モル%のエチレングリコール残基を含んでもよい。
【0047】
[0054]一実施態様では、さらに以下の構成を含む結晶化可能なポリエステル混合組成物(すなわち成分(1)および(2))を含む収縮フィルムを提供する。100モル%であるジオール成分の総モル%に基づいて、1,4-シクロヘキサンジメタノール残基が0.01~約10モル%の量で存在し、ジエチレングリコール残基が2~9モル%の量で存在し、ネオペンチルグリコール残基が5~30モル%の量で存在し、かつエチレングリコール残基が60モル%以上の量で存在する。
【0048】
[0055]一実施態様では、以下の構成を含む結晶化可能なポリエステル混合組成物を含む収縮フィルムを提供する。100モル%であるジオール成分の総モル%に基づいて、1,4-シクロヘキサンジメタノール残基が0.01~約5モル%の量で存在し、ジエチレングリコール残基が1~9モル%の量で存在し、ネオペンチルグリコール残基が5~25モル%の量で存在し、かつエチレングリコール残基が60モル%以上の量で存在する。
【0049】
[0056]一実施態様では、以下の構成を含む結晶化可能なポリエステル混合組成物を含む収縮フィルムを提供する。100モル%であるジオール成分の総モル%に基づいて、1,4-シクロヘキサンジメタノール残基が約10~約20モル%の量で存在し、ジエチレングリコール残基が1~10モル%の量で存在し、ネオペンチルグリコール残基が最大約1モル%の量で存在し、かつエチレングリコール残基が60モル%以上の量で存在する。
【0050】
[0057]一実施態様では、以下の構成を含む結晶化可能なポリエステル混合組成物を含む収縮フィルムを提供する。100モル%であるジオール成分の総モル%に基づいて、1,4-シクロヘキサンジメタノール残基が2~7モル%の量で存在し、ジエチレングリコール残基が10モル%未満の量で存在し、ネオペンチルグリコール残基が5~20モル%の量で存在し、かつエチレングリコール残基が60モル%を超える量で存在する。
【0051】
[0058]一実施態様では、以下の構成を含む結晶化可能なポリエステル混合組成物を含む収縮フィルムを提供する。100モル%であるジオール成分の総モル%に基づいて、1,4-シクロヘキサンジメタノール残基が10モル%未満の量で存在し、ジエチレングリコール残基が1~10モル%の量で存在し、ネオペンチルグリコール残基が5モル%を超える量で存在し、かつエチレングリコール残基が60モル%以上の量で存在する。
【0052】
[0059]一実施態様では、ポリエステル混合組成物中に非晶質のポリエステル組成物を形成できる1つ以上のジオールモノマー成分の総計が、20~45モル%、または22~45モル%、または20~40モル%、または24~40モル%、または30~45モル%、または25~45モル%、または25~40モル%、または25~35モル%である収縮フィルムを提供し、ここでジオール成分含量の総モル%は100モル%である。
【0053】
[0060]一実施態様では、ポリエステル混合物の非晶質のポリエステル組成物中の1,4-シクロヘキサンジメタノールの残基およびネオペンチルグリコール残基の総計が、12~35モル%、または15~40モル%、または15~35モル%、または20~40モル%、または25~40モル%、または20~45モル%、または25~35モル%である収縮フィルムを提供し、ここでジオール成分の総モル%は100モル%である。
【0054】
[0061]本開示の一実施態様では、以下を含むポリエステル組成物の混合物を含む結晶化可能なフィルムを提供する。(1)テレフタル酸残基、および0~約20モル%、または0~約17モル%、または約1~約20モル%、または約1~約17モル%、または約5~約20モル%のネオペンチルグリコール(NPG)残基、および0~約20モル%、または0~約17モル%、または約1~約20モル%、または約1~約17モル%、または約5~約20モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、および約5モル%未満のジエチレングリコール(DEG)残基を含み、残部はエチレングリコール(EG)残基である少なくとも1種の結晶化可能なポリエステル、ならびに(2)テレフタル酸残基、および0~約40モル%、または0~約30モル%、または約1~約40モル%、または約10~約20モル%、または約10~約40モル%、または約5~約30モル%のネオペンチルグリコール(NPG)、および0~約40モル%、または0~約35モル%、または約1~約30モル%、または約10~約40モル%、または約20~約40モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、および1~約15モル%、または2~約10モル%、または約5~約15モル%、または約5~約10モル%のジエチレングリコール(DEG)を含み、残部はエチレングリコール(EG)残基である少なくとも1種の非晶質のポリエステル。
【0055】
[0062]実施態様によっては、本開示によるポリエステル組成物は、ジオール残基または二酸残基それぞれのいずれかの総モル%に基づいて、0~10モル%、例えば、0.01~5モル%、0.01~1モル%、0.05~5モル%、0.05~1モル%、または0.1~0.7モル%の1つ以上の分岐モノマー残基を含んでもよく、この分岐モノマーは、本明細書では分岐剤とも呼ばれ、3個以上のカルボキシル置換基、ヒドロキシル置換基、またはそれらの組合せを有する。特定の実施態様では、この分枝モノマーまたは分岐剤を、ポリエステルの重合前に、および/またはその重合中に、および/またはその重合後に添加してもよい。従って、実施態様によっては、本開示で有用なポリエステルは、鎖状または分枝状であってもよい。
【0056】
[0063]分岐モノマーの例として、限定はされないが、トリメリット酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、クエン酸、酒石酸、3-ヒドロキシグルタル酸などの多官能酸または多官能アルコールが挙げられる。一実施態様では、分岐モノマー残基は、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物、グリセロール、ソルビトール、1,2,6-ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、および/またはトリメシン酸のうちの少なくとも1種から選択される、0.1~0.7モル%の1つ以上の残基を含んでもよい。分岐モノマーは、例えば、分岐モノマーに関してその開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,654,347号および5,696,176号に説明されているように、濃縮物の形態でポリエステル反応混合物に添加してもよく、あるいはポリエステルと混合してもよい。
【0057】
[0064]本開示で有用なポリエステルは、少なくとも1種の鎖延長剤を含んでもよい。好適な連鎖延長剤として、限定はされないが、多官能性(限定はされないが、二官能性などの)イソシアナート、エポキシ化ノボラックなどの多官能性エポキシド、およびフェノキシ樹脂が挙げられる。特定の実施態様では、鎖延長剤は、重合処理の最後に、または重合処理の後に添加してもよい。重合処理後に添加される場合に、鎖延長剤は、配合するか、あるいは射出成形や押出成形などの転換過程中に添加して、組み込んでもよい。
【0058】
[0065]用いられる鎖延長剤の量は、用いられる特定のモノマー組成および所望の物理特性に応じて変更してもよいが、一般には、ポリエステルの総重量に基づいて、約0.1重量%~約10重量%、例えば約0.1重量%~約5重量%である。
【0059】
[0066]本開示で有用なポリエステル混合組成物は、特に明記しない限り、本明細書に記載の固有粘度範囲のうちの少なくとも1種の範囲、かつ本明細書に記載のポリエステル組成物のモノマー範囲のうちの少なくとも1種の範囲を有してもよいと考えられる。本明細書で有用なポリエステル混合組成物はまた、特に明記しない限り、本明細書に記載のTg範囲のうちの少なくとも1種の範囲、かつ本明細書に記載のポリエステル組成物のモノマー範囲のうちの少なくとも1種の範囲を有してもよいと考えられる。本開示で有用なポリエステル組成物はまた、特に明記しない限り、本明細書に記載の固有粘度範囲のうちの少なくとも1種の範囲、本明細書に記載のTg範囲のうちの少なくとも1種の範囲、かつ本明細書に記載のポリエステル組成物のモノマー範囲のうちの少なくとも1種の範囲を有してもよいと考えられる。
【0060】
[0067]本開示の実施態様では、本開示で有用なポリエステル組成物は、25℃かつ0.5g/dLの濃度で、60/40(重量/重量)のフェノール/テトラクロロエタン中で測定される以下の固有粘度値のうちの少なくとも1つを示してもよい。0.50~1.2dL/g;0.50~1.0dL/g;0.50~0.90dL/g;0.50~0.80dL/g;0.55~0.80dL/g;0.60~0.80dL/g;0.65~0.80dL/g;0.70~0.80dL/g;0.50~0.75dL/g;0.55~0.75dL/g;または0.60~0.75dL/g。
【0061】
[0068]ポリエステル混合組成物のポリエステルのガラス転移温度(Tg)を、Thermal Analyst Instrument社製のTA DSC 2920を使用して、20℃/分の走査速度で測定する。ガラス転移温度の値を、第2の加熱中に測定する。
【0062】
[0069]特定の実施態様では、本開示の配向フィルムまたは収縮フィルムは、ポリエステルのTgが60~80℃、70~80℃、65~80℃、または65~75℃であるポリエステル/ポリエステル組成物を含む。特定の実施形態では、これらのTgの範囲を、重合中に少なくとも1種の可塑剤が添加されるか否かに拘わらず、満たすことができる。
【0063】
[0070]本開示の実施態様では、本開示で有用なポリエステルおよび/またはポリエステル組成物を含む特定の配向フィルムおよび/または収縮性フィルムは、以下の全ての特性、すなわち優れた伸縮性、制御された収縮特性、特定の靭性、特定の固有粘度、特定のガラス転移温度(Tg)、特定の歪み誘起結晶の融点、特定の曲げ弾性率、特定の密度、特定の引張弾性率、特定の表面張力、優れた溶融粘度、優れた透明度、および優れた色調のうちの固有の組合せを有してもよい。
【0064】
[0071]一実施態様では、本開示で有用な特定のポリエステル混合組成物は、視覚的に透明であってもよい。用語「視覚的に透明」は、本明細書では、視覚的に検査をした際に、曇り、霞み、および/または濁りが明らかに無いこととして定義される。
【0065】
[0072]本開示で有用なポリエステル混合組成物のポリエステル部分(非晶質の組成物および結晶化可能な組成物)は、文献からの既知の方法、例えば、均質溶液中での方法、溶融物でのエステル交換による方法、および二相界面による方法で作製してもよい。好適な方法としては、限定はされないが、1種以上のジカルボン酸を1種以上のジオールと100℃~315℃の温度かつ0.1~760mmHgの圧力で、ポリエステルを生成するのに十分な時間反応させる工程が挙げられる。ポリエステルの製造方法については、米国特許第3,772,405号を参照し、その方法に関する開示内容は、本明細書に参照により組み込まれる。
【0066】
[0073]一般にポリエステルは、不活性雰囲気中での縮合の過程では徐々に約225℃~310℃の温度まで上昇させた高温で、触媒の存在下でジカルボン酸またはジカルボン酸エステルをジオールと縮合させて調製してもよく、また参照により本明細書に組み込まれる米国特許第2,720,507号にさらに詳細に説明されているように、縮合の後半部分は低圧で縮合させて調製してもよい。
【0067】
[0074]実施態様によっては、本開示で有用なポリエステル混合組成物の製造プロセス中に、トナーまたは色素を含む溶融物に重合体を着色する特定の化学物質を添加してもよい。一実施態様では、得られるポリエステル重合体の溶融相生成物のbを低下させるために青味付けトナーを溶融物に添加する。そのような青味付け剤としては、青色の無機および有機のトナーおよび/または色素が挙げられる。また、赤色のトナーおよび/または色素を用いて、aの色調を調整してもよい。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,372,864号および第5,384,377号に説明されているトナーなどの有機トナー、例えば青色および赤色の有機トナーを使用してもよい。有機トナーは、予混合組成物として供給してもよい。予混合組成物は、赤色と青色の化合物の非希釈混合物であってもよく、あるいは組成物をポリエステルの原材料のうちの1種、例えばエチレングリコールに事前に溶解するかスラリー化してもよい。
【0068】
[0075]添加されるトナー成分の総量は、基材ポリエステル中の固有の黄色の量およびトナーの効力に依存する。一実施態様では、混合有機トナー成分を、約15ppmの最大濃度および約0.5ppmの最小濃度で使用してもよい。一実施態様では、青味付け添加剤の総量は0.5~10ppmの範囲であってもよい。一実施態様では、トナーをエステル化反応区域または重縮合反応区域に添加してもよい。好ましくは、トナーをエステル化反応区域に、または重縮合区域の初期段階に、例えば予備重合反応器に添加し、あるいはトナーを配合中に、または重合後の押出工程中に添加してもよい。
【0069】
[0076]本開示はさらに、ポリエステル混合組成物の一部として結晶化可能なポリエステル組成物とともに配合された重合体に関する。一実施形態では、この配合された組成物は、(a)本明細書に説明の5~80重量%の本開示の結晶化可能なポリエステル組成物、および(b)20~95重量%の少なくとも1種の重合体成分(すなわち、本開示の混合物以外の成分)を含む。
【0070】
[0077]重合体成分の適切な例として、限定はされないが、ナイロン;本明細書に説明のものとは異なるポリエステル;DuPont社製のZYTEL(R)などのポリアミド;ポリスチレン;ポリスチレン共重合体;スチレンアクリロニトリル共重合体;アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体;ポリメチルメタクリレート;アクリル共重合体;ULTEM(R)などのポリエーテルイミド(SABIC社製のポリエーテルイミド);ポリ(2,6-ジメチルフェニレンオキシド)などのポリフェニレンオキシドあるいはNORYL 1000(R)(SABIC社製のポリ(2,6-ジメチルフェニレンオキシド)とポリスチレン樹脂との混合物)などのポリフェニレンオキシド/ポリスチレン混合物;ポリフェニレンスルフィド;ポリフェニレンスルフィド/スルホン;ポリエステルカーボネート;LEXAN(R)(SABIC社製のポリカーボネート)などのポリカーボネート;ポリスルホン;ポリスルホンエーテル;および芳香族ジヒドロキシ化合物のポリエーテルケトン;または前述の重合体のいずれかの混合物が挙げられる。一実施形態では、脂肪族-芳香族ポリエステルは、本開示で有用なポリエステル組成物から除外してもよい。混合して本開示のポリエステル組成物を作製できる以下のポリエステルは、その混合が本開示の組成範囲を超える場合には、添加・混合に使用する重合体成分としては除外してもよい。ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性PET(PETG)、グリコール変性ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCTG)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、酸変性ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCTA)、ポリブチレンテレフタレート、および/またはジエチレングリコール変性PET(EASTOBONDTM共重合ポリエステル)。
【0071】
[0078]この混合物は、溶融混合または溶液混合などの当技術分野で既知の従来の処理技術によって調製してもよい。
[0079]いくつかの実施態様では、ポリエステル組成物および重合体混合組成物はまた、着色剤、トナー、色素、離型剤、難燃剤、可塑剤、ガラスバブル、核生成剤、限定はされないがUV安定剤、熱安定剤などの安定剤、および/またはそれらの反応生成物、充填剤、および衝撃改質剤などの一般的な添加剤を、組成物全体の0.01~25重量%で含んでもよい。市販の衝撃改質剤の例として、限定はされないが、エチレン/プロピレン三元共重合体、アクリル酸メチルおよび/またはメタクリル酸グリシジルなどの官能化ポリオレフィン、スチレン系ブロック共重合体の各衝撃改質剤、および種々のアクリル系コア/シェル型の衝撃改質剤が挙げられる。それらの添加剤の残基もまた、ポリエステル組成物の一部として想定される。
【0072】
[0080]補強材を、本開示に有用な組成物に添加してもよい。補強材には、限定はされないが、炭素繊維、ケイ酸塩、雲母、クレイ、タルク、二酸化チタン、ウォラストナイト、ガラス薄片、ガラスビーズおよび繊維、重合体繊維、およびそれらの組合せが含まれてもよい。一実施形態では、補強材には、繊維状ガラスフィラメント、ガラスとタルク、ガラスと雲母、およびガラスと重合体繊維の混合物などのガラス材が含まれる。
【0073】
[0081]一実施態様では、本開示によるフィルムおよび収縮フィルムは、0.01~10重量%のポリエステル可塑剤を含んでもよい。一実施態様では、収縮フィルムは、0.1~5重量%のポリエステル可塑剤を含んでもよい。一般に、収縮フィルムは、90~99.99重量%の共重合ポリエステルを含んでもよい。特定の実施態様では、収縮フィルムは、95~99.9重量%の共重合ポリエステルを含んでもよい。
【0074】
[0082]一側面では、本開示は、本開示で有用なポリエステル組成物および/または重合体混合物を含む、本発明の収縮フィルムおよび成形物品に関する。そのポリエステルおよび/または混合物をフィルムおよび/またはシートに成形する方法は、当技術分野で周知である。本開示で有用なフィルムおよび/またはシートの例として、限定はされないが、押出フィルムおよび/またはシート、圧縮成形フィルム、カレンダー加工フィルムおよび/またはシート、溶液キャストフィルムおよび/またはシートが挙げられる。一側面では、本開示の収縮フィルムを製造するのに有用なフィルムおよび/またはシートの製造方法として、限定はされないが、押出、圧縮成形、カレンダー処理、およびキャストが挙げられる。
【0075】
[0083]一実施態様では、本開示で有用なポリエステル組成物は、ポリエステルからフィルムを製造する当技術分野で既知の任意の方法、例えば、溶液キャスト、押出、圧縮成形、またはカレンダー処理を用いてフィルムに製造される。
【0076】
[0084]一実施態様では、形成されたままのフィルムは、続いて(例えば、一軸および/または二軸配向フィルムとして)1つ以上の方向に配向される。フィルムのこの配向は、標準的な配向条件を使用して、当技術分野で既知の任意の方法によって実施できる。例えば、本開示の配向フィルムは、約100~400μmの厚さを有するフィルム、例えば押出、キャスト、またはカレンダー加工したフィルムから製造してもよく、この配向フィルムは、TgからTg+55℃までの温度で5:1~3:1の比率に、例えば70℃~125℃の温度で5:1または3:1の比率に配向されてもよく、またこのフィルムは、20~80μmの厚さに配向されてもよい。一実施態様では、初期の形成されたままのフィルムの配向は、これらの配向条件に従ってテンターフレーム(tenter frame)で実行してもよい。
【0077】
[0085]本開示の収縮フィルムは、約55~約80℃、または約55~約75℃、または約55~約70℃の収縮開始温度を有してもよい。収縮開始温度は、収縮の開始が起こる温度である。
【0078】
[0086]特定の実施態様では、本開示で有用なポリエステル組成物は、1.6g/cc以下、または1.5g/cc以下、または1.4g/cc以下、または1.1g/cc~1.5g/cc、または1.2g/cc~1.4g/cc、または1.2g/cc~1.35g/ccの密度を有してもよい。
【0079】
[0087]一実施態様では、フィルムまたは成型物品に多くの小さな空孔または穴を導入して、フィルムの密度を低下させる。このプロセスは「空孔形成(voiding)」と呼ばれ、「空洞形成(cavitating)」または「微細空孔形成(microvoiding)」と呼ばれることもある。これらの孔は、約1~約50重量%の小さな有機粒子または(ガラス製微小球を含む)無機粒子あるいは「介在物」(当技術分野では「空孔形成」剤または「空洞形成」剤と呼ばれる)を母材重合体中に組み込み、かつ少なくとも一方向に延伸して重合体を配向させて得られる。延伸中に、空孔形成剤の周囲に小さな空洞または空孔が形成される。空孔が重合体フィルム中に導入されると、得られた空孔付きフィルムは、空孔不含フィルムよりも密度が低いだけでなく、不透明になり紙のような表面が現れる。この表面はまた、印刷適性を向上する利点を有し、すなわち、表面は、空孔不含フィルムよりも実質的に大きな容量で多くのインクを受け入れることができる。空孔付きフィルムの典型的な例は、米国特許第3,426,754号;3,944,699号;4,138,459号;4,582,752号;4,632,869号;4,770,931号;5,176,954号;5,435,955号;5,843,578号;6,004,664号;6,287,680号;6,500,533号;6,720,085号;米国特許出願公開第2001/0036545号;2003/0068453号;2003/0165671号;2003/0170427号;日本特許出願公開第61-037827号;63-193822号;2004-181863号;欧州特許第0 581 970 B1号;欧州特許出願公開第0 214 859 A2号に記載されている。
【0080】
[0088]特定の実施態様では、形成されたまま、あるいは押し出されたままのフィルムは、延伸中に配向される。本開示の配向フィルムまたは収縮性フィルムは、所望の最終用途に応じて任意の厚さを持つフィルムから作製できる。一実施態様では、望ましい条件は、配向フィルムおよび/または収縮性フィルムとして、ラベル、紙などの基板に接着し得る写真フィルムなどの用途のために、および/またはそれらフィルムが有用であり得るその他の用途のために、インクで印刷できることである。本開示で有用なポリエステルを、PETなどの別の重合体と共押出して、フィルムを本開示の配向フィルムおよび/または収縮フィルムとして使用可能とすることが望ましい場合がある。後者の共押出を実施することの1つの利点としては、実施態様によっては、結合層(tie layer)を必要としなくてもよいことである。
【0081】
[0089]一実施態様では、本開示の一軸および二軸配向フィルムは、厚さが約100~400μmのフィルム、例えば押出し、キャスト、またはカレンダー加工されたフィルムから作製してもよく、このフィルムを、フィルムのTgからTg+55℃までの温度で6.5:1~3:1の比率で、1つ以上の方向に延伸してもよく、かつ20~80μmの厚さまで延伸してもよい。一実施態様では、初期の押し出されたままのフィルムの配向は、これらの配向条件に従ってテンターフレームで実行してもよい。本開示の収縮フィルムは、本開示の配向フィルムから作製できる。
【0082】
[0090]特定の実施態様では、本開示の収縮フィルムは、殆どあるいは全くしわが入らないように緩やかに収縮する。特定の実施態様では、本開示の収縮フィルムは、5℃の温度上昇増分ごとに主収縮方向に40%以下の収縮率を有する。
【0083】
[0091]本開示の特定の実施態様では、本開示の収縮フィルムは、65℃の水に10秒間浸漬した際に、機械方向(すなわち主収縮方向に直交する方向)に10%以下、または5%以下、または3%以下、または2%以下の収縮率を有するか、あるいは収縮しない。本開示の特定の実施態様では、本開示の収縮フィルムは、65℃の水に10秒間浸漬した際に、機械方向に-5%~10%、-5%~5%、または-5%~3%、または-5%~2%、または-4%~5%、または-3%~5%、または-2%~5%、または-2%~3%、または-2%~2%、または0~2%の収縮率を有するか、あるいは収縮しない。ここで機械方向の負の収縮率は、機械方向への膨張を示す。機械方向の正の収縮率は、機械方向への収縮を示す。
【0084】
[0092]本開示の特定の実施態様では、本開示の収縮フィルムは、95℃の水に10秒間浸漬した際に、主収縮方向に50%以上、または60%以上、または70%以上の収縮率を有する。
【0085】
[0093]本開示の特定の実施態様では、本開示の収縮フィルムは、95℃の水に10秒間浸漬した際に、主収縮方向に50~90%の収縮率を有し、かつ機械方向に10%以下または-10%~10%の収縮率を有する。
【0086】
[0094]一実施態様では、本開示で有用なポリエステルは、ポリエステルからフィルムを製造するための当技術分野で既知の任意の方法、例えば、溶液キャスト、押出、圧縮成形、またはカレンダー処理を用いてフィルムにされる。次に、押し出されたままの(または形成されたままの)フィルムは、1つ以上の方向に配向される(例えば、一軸および/または二軸配向されたフィルム)。フィルムのこの配向は、標準的な配向条件を使用して、当技術分野で既知の任意の方法によって実施してもよい。例えば、本開示の一軸配向フィルムは、厚さが約100~400μmのフィルム、例えば、押出、キャスト、またはカレンダー加工されたフィルムから作製してもよく、このフィルムは、フィルムのTgからTg+55℃までの温度で6.5:1~3:1の比率で延伸してもよく、かつ20~80μmの厚さまで延伸してもよい。一実施態様では、初期の押し出されたままのフィルムの配向は、これらの配向条件に従ってテンターフレームで実行してもよい。
【0087】
[0095]本開示の特定の実施態様では、本開示の収縮フィルムは、約55~約80℃、または約55~約75℃、または55~約70℃の収縮開始温度を有してもよい。収縮開始温度は、収縮の開始が起こる温度である。
【0088】
[0096]本開示の特定の実施態様では、本開示の収縮フィルムは、55℃~70℃の収縮開始温度を有してもよい。
[0097]本開示の特定の実施態様では、本開示の収縮フィルムは、ASTM法D882に従って、主収縮方向に直交する方向に500mm/分の延伸速度で200%を超える破断歪み率を有してもよい。
【0089】
[0098]本開示の特定の実施態様では、本開示の収縮フィルムは、ASTM法D882に従って、主収縮方向に直交する方向に500mm/分の延伸速度で300%を超える破断歪み率を有してもよい。
【0090】
[0099]本開示の特定の実施態様では、本開示の収縮フィルムは、ASTM法D882に従って測定して、20~400MPa、または40~260MPa、または42~260MPa、または20~100MPaの破断時の引張応力(破断応力)を有してもよい。
【0091】
[00100]本開示の特定の実施態様では、本開示の収縮フィルムは、延伸条件および所望の最終用途に応じて、ISO法14616によって測定して、4~18MPa、または4~15MPaの収縮力を有してもよい。例えば、LabThink社製の収縮力試験器を用いてISO法14616によって80℃で測定して、プラスチックボトル用に作製された特定のラベルは、4~8MPaの収縮力を有してもよく、ガラスボトル用に作製された特定のラベルは、10~14Mpaの収縮力を有してもよい。
【0092】
[00101]本開示の一実施態様では、ポリエステル組成物は、典型的にはリアクターグレードの組成物と呼ばれるポリエステルを製造するための既知の方法によって、モノマーを反応させて生成してもよい。
【0093】
[00102]本開示の一実施態様では、本開示のポリエステル組成物を、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性PET(PETG)、グリコール変性ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCTG)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、酸変性ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCTA)、ポリブチレンテレフタレート、および/またはジエチレングリコール変性PET(EASTOBONDTM共重合ポリエステル)などのポリエステルをこれらの組成物のモノマー範囲に達するように混合して、形成してもよい。
【0094】
[00103]特定の実施態様では、ポリエステル組成物および重合体混合組成物はまた、着色剤、トナー、色素、離型剤、難燃剤、可塑剤、ガラスバブル、核剤、限定はされないが、UV安定剤、熱安定剤、および/またはそれらの反応生成物を含む安定剤、充填剤、および衝撃改質剤などの一般的な添加剤を、組成物全体の0.01~25重量%で含んでもよい。市販の衝撃改質剤の例として、限定はされないが、エチレン/プロピレン三元重合体、アクリル酸メチルおよび/またはメタクリル酸グリシジルを含むポリオレフィンなどの官能化ポリオレフィン、スチレン系ブロック共重合体の各衝撃改質剤、および種々のアクリル系コア/シェル型の衝撃改質剤が挙げられる。そのような添加剤の残基もまた、ポリエステル組成物の一部として想定される。
【0095】
[00104]補強材を、本開示で有用なポリエステル組成物に加えてもよい。補強材には、限定はされないが、炭素繊維、ケイ酸塩、雲母、クレイ、タルク、二酸化チタン、ウォラストナイト、ガラス薄片、ガラスビーズおよびガラス繊維、重合体繊維、およびそれらの組合せが含まれてもよい。一実施態様では、補強材には、繊維状ガラスフィラメント、ガラスとタルク、ガラスと雲母、およびガラスと重合体繊維の混合物などのガラス材が含まれる。
【0096】
[0105]成形品は、本明細書に開示されるポリエステル組成物のいずれかから製造でき、その組成物は、収縮フィルムからなってもよいしあるいは収縮フィルムを含んでいてもよく、かつこれらは本開示の範囲内に含まれる。
【0097】
[0106]一般に、本開示による収縮フィルムは、0.01~10重量%のポリエステル可塑剤を含んでもよい。一実施態様では、収縮フィルムは、0.1~5重量%のポリエステル可塑剤を含んでもよい。一般に、収縮フィルムは、90~99.99重量%の共重合ポリエステルを含んでもよい。特定の実施態様では、収縮フィルムは、95~99.9重量%の共重合ポリエステルを含んでもよい。
【0098】
[0107]一実施態様では、約100~400μmの予備配向された厚さを有し、次にTgからTg+55℃までの温度かつ6.5:1~3:1の比率で約20~約80μmの厚さまでテンターフレームで配向される場合に、本開示の収縮フィルムは、以下の特性、すなわち(1)95℃の水に10秒間浸漬した際に、主収縮方向または横断方向に50%を超える(または60%を超える)量で収縮、かつ機械方向に10%以下(または-10%~10%)で収縮、(2)約55℃~約70℃の収縮開始温度、(3)ASTM法D882に従って、横断方向、機械方向、あるいは両方向に、500mm/分の延伸速度で200%超、または200~600%、または200~500%、または226~449%、または250~455%の破断歪み率、(4)5℃の温度上昇増分ごとに40%以下の収縮、および/または(5)ASTMに従ってDSC走査の第1の加熱で測定された190℃を超える歪み誘起結晶の融点、のうちの1つ以上を有してもよい。これらの特性の任意の組合せ、またはこれらの特性の全ては、本開示の収縮フィルムに存在してもよい。本開示の収縮フィルムは、上述の収縮フィルム特性のうちの2つ以上の組合せを有してもよい。本開示の収縮フィルムは、上記の収縮フィルム特性のうちの3つ以上の組合せを有してもよい。本開示の収縮フィルムは、上述の収縮フィルム特性のうちの4つ以上の組合せを有してもよい。特定の実施態様では、(1)~(2)の特性が存在する。特定の実施態様では、(1)~(5)の特性が存在する。特定の実施態様では、(1)~(3)などの特性が存在する。
【0099】
[0108]本明細書での収縮率は、TgからTg+55℃までの温度で6.5:1~3:1の比率で、例えば70℃~85℃の温度で5:1の比率でテンターフレームで配向された約20~80μmの厚さを有する初期の生成されたままのフィルムに基づいている。一実施態様では、本開示の収縮フィルムを作製するのに用いられる配向フィルムの収縮特性は、そのフィルムが配向された温度よりも高い温度でフィルムをアニールしても変動はなかった。他の実施態様では、収縮特性を熱処理によって調整してもよい。
【0100】
[0109]本開示の配向フィルムまたは収縮フィルムを作製するのに有用なフィルムの形状は、全く制限を受けない。例えば、その形状は、平坦なフィルム、あるいは管状に形成されたフィルムであってもよい。本開示で有用な収縮フィルムを製造するために、ポリエステルは、まず平坦なフィルムに形成され、次いで「一軸延伸」され、これは、ポリエステルフィルムを1つ方向に配向することを意味する。次に、延伸されたフィルムの端部は、縫合溶剤または縫合接着剤を用いて結合され、収縮性の管を形成する。フィルムはまた、「二軸配向」してもよく、これは、ポリエステルフィルムを2つの異なる方向に配向することを意味し、例えば、フィルムは、機械方向と機械方向とは異なる方向の両方向に延伸される。典型的には2つの方向は実質的に垂直であるが、常にそうとは限らない。例えば、一実施態様では、2つの方向は、フィルムの長手方向または機械方向(「MD」)(フィルム製造機でフィルムが製造される方向)およびフィルムの横断方向(「TD」)(フィルムのMDに対し垂直な方向)である。二軸配向フィルムは、連続的に配向されてもよく、同時に配向されてもよく、あるいは同時の延伸および連続的な延伸の何らかの組合せによって配向されてもよい。
【0101】
[0110]フィルムは、ロール延伸法、長間隙延伸(long-gap stretching)法、テンターフレーム延伸法、および管状延伸法などの任意の通常の方法によって配向させてもよい。これらの方法のいずれかを使用して、連続二軸延伸、同時二軸延伸、一軸延伸、またはこれらの組合せを実施してもよい。上述の二軸延伸により、機械方向と横断方向の延伸を同時に実施してもよい。また延伸を、まず一方向に実施し、次に他の方向に実施して、効率的に二軸延伸をもたらすこともできる。一実施態様では、フィルムの延伸を、フィルムをそれらのガラス転移温度(Tg)よりも5℃~80℃高く予備的に加熱して実施する。一実施態様では、フィルムを、それらのTgより10℃~30℃高い温度で予備的に加熱してもよい。一実施態様では、延伸速度は、毎秒5~20インチ(12.7~50.8cm)である。次にフィルムを、例えば、機械方向、横断方向、または両方向のいずれかに、元の寸法の2~6倍に配向してもよい。フィルムは、単一フィルム層として配向させてもよく、あるいは多層フィルムとしてPET(ポリエチレンテレフタレート)などの別の重合体材料またはポリエステルと共押出しして、その後配向させてもよい。
【0102】
[00111]一実施態様では、本開示は、本開示の収縮フィルムの実施態様のうちのいずれかの収縮フィルムを含む製造物品または成形物品を含む。別の実施態様では、本開示は、本開示の配向フィルムの実施態様のうちのいずれかの配向フィルムを含む製造物品または成形物品を含む。
【0103】
[0112]特定の実施態様では、本開示は、限定はされないが、容器、プラスチックボトル、ガラスボトル、梱包材、電池、高温充填容器、および/または工業製品または他の用途に適用される収縮フィルムを含む。一実施態様では、本開示は、限定されないが、容器、梱包材、プラスチックボトル、ガラスボトル、紙などの写真用基板、電池、高温充填容器、および/または工業製品または他の用途に適用される配向フィルムを含む。
【0104】
[0113]本開示の特定の実施態様では、本開示の収縮フィルムは、ラベルまたはスリーブに形成してもよい。次にラベルまたはスリーブを、容器の壁、電池などの製造物品に、あるいはシートまたはフィルムの上に貼付してもよい。
【0105】
[00114]本開示の配向フィルムまたは収縮フィルムは、シート、フィルム、管、ボトルなどの成型品に貼付でき、様々な包装用途に一般的に使用される。例えば、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリ乳酸(PLA)などの重合体から製造されたフィルムおよびシートは、プラスチック飲料容器または食品容器用の収縮性ラベルの製造に頻繁に使用される。例えば、本開示の収縮性フィルムは、多くの包装用途で使用でき、この用途では、成型物品は、収縮フィルムの貼付け後に、優れた印刷適性、高い不透明性、優れた収縮力、優れた質感、および高い剛性などの特性を示す。
【0106】
[00115]収縮特性の改善ならびに靱性の向上の組合せにより、限定はされないが、容器、プラスチックボトル、ガラスボトル、梱包材、電池、高温充填容器、および/または工業製品または他の用途に貼付される収縮フィルムなどの新規の商業的な選択肢を提供できるはずである。
【0107】
[00116]本開示の一側面では、開示されたポリエステル混合組成物は、熱成形された、および/または熱成形性のフィルムあるいはシートとして有用である。本開示はまた、本開示の熱成形されたフィルムおよび/またはシートを組込んだ製造物品を対象とする。一実施態様では、本開示のポリエステル混合組成物は、成型または形成された物品に容易に成形されるフィルムおよびシートとして有用である。一実施態様では、本開示のフィルムおよび/またはシートは、熱成形によって成形物品または部品に加工できる。本開示のポリエステル組成物は、様々な成形および押出の用途で使用できる。
【0108】
[00117]さらに、一実施態様では、本開示の熱成形シートで有用なポリエステル組成物およびポリエステル混合組成物はまた、着色剤、滑剤、粘着防止剤、離型剤、難燃剤、可塑剤、核剤、限定はされないが、UV安定剤、熱安定剤などの安定剤、充填剤、および衝撃改質剤などの一般的な添加剤を、組成物全体の0.1~25重量%で含んでもよい。
【0109】
[00118]一実施態様では、補強材が、本開示のポリエステル組成物を含む熱成形されたフィルムまたはシート中に含まれてもよい。例えば適切な補強材には、炭素繊維、ケイ酸塩、雲母、クレイ、タルク、二酸化チタン、ウォラストナイト、ガラス薄片、ガラスビーズおよび繊維、重合体繊維、およびそれらの組合せが含まれてもよい。
【0110】
[00119]一実施態様では、本開示の熱成形されたフィルムまたはシートは、多層フィルムまたはシートである。一実施態様では、多層フィルムまたはシートの少なくとも一層は、発泡体層、あるいは発泡した重合体またはポリエステル層である。
【0111】
[00120]本開示の一側面は、熱成形を使用して形成または成型された部品および物品を製造する方法である。当業者に既知の任意の熱成形技術またはプロセスを使用して、本開示の形成または成型された物品を製造できる。
【0112】
[0121]一実施態様では、熱成形プロセスは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる"Technology of Thermoforming(熱成形の技術)"(Throne, James; Hanser Publishers; 1996; pp. 16-29を参照)で教示されているように、いくつかの手法で実施できる。実施態様によっては、そのプロセスは、軟化させたシートにガス圧または空気圧を加え、次にシートをバブルのように延伸かつ引き出し、雄型を内側からそのバブル内に入れる雄型熱成形プロセスである。次に真空を加えて、部品をさらに引き出して、雄型の表面に適合させる。この熱成形プロセスでは、軟化させたシートにガス圧または空気圧が加えられた際に、主に1回の工程で2軸延伸/配向が実行される。次に成形工程は、真空および雄型を使用して、物理特性と外観特性の良好なバランスを取るために、冷却後に配向をシート内に固定して完了させる。他の実施態様では、そのプロセスは、真空または物理的プラグを熱軟化させたシートに適用し、シートをほぼ最終部品寸法まで延伸かつ引き出し、次に、内部からの正の空気圧または外部からのさらなる外側の真空引きによりシートを引き出し、外側の雌型に適合させる雌型のプロセスであり、冷却後に配向を重合体中に固定して、シートを物品に成形する。
【0113】
[00122]実施態様によっては、バブルの生成は、さらにプラグ補助具を利用して形成されることがあり、これに続いて、上昇する雄型をシートで覆ってかつ成型し、次いで、角部およびスリーブガイドなどを真空を加えて型内に引き込む。実施態様によっては、型から取り外した後に、形成された部品または物品を、必要に応じて、切除し、穴開けし、角部を切り取ることができる。
【0114】
[00123]他の実施態様では、熱成形は、本開示のポリエステル組成物のフィルムまたはシートが、それが変形できるのに十分な温度に加熱され、次いで加熱されたシートが、真空補助、空気圧補助、および嵌め合わせ型補助のような手段によって型の輪郭に適合させるプロセスである。別の実施態様では、加熱されたフィルムまたはシートは型内に配置され、例えば、空気圧をかける、真空プラグ補助具を使用する、または嵌め合わせ型を使用することで、型の輪郭に合致するように強制される。実施態様によっては、熱成形により薄肉物品を製造する。
【0115】
[00124]一実施態様では、熱成形プロセスは、雄型を加熱されたフィルムまたはシートに押し込むことによって、フィルムまたはシートを所望の形状に成形する。この実施態様では、熱成形は、真空にした表面またはテーブルの間に支持された物品の雄型を有することを含む。この実施態様では、熱風送風機、熱ランプ、またはその他の放射熱源などの外部熱源からの熱をフィルムまたはシートに向ける。この実施態様では、フィルムまたはシートは軟化点まで加熱される。この実施態様では、次に、テーブル、テーブルの下、かつ型の周りを真空にして、熱で軟化したフィルムまたはシートをテーブル向かって引き寄せて、軟化したフィルムまたはシートを型表面と接触させるように配置する。この実施態様では、真空により、軟化したフィルムまたはシートを型表面の輪郭と緊密に接触させて、それに合致するように引き寄せる。これにより、フィルムまたはシートは型の形状となる。この実施態様では、フィルムまたはシートが冷却された後に、フィルムまたはシートは固化して、得られた物品または部品を型から取り除くことができる。
【0116】
[00125]一実施態様では、熱成形プロセスは、本開示のポリエステル混合組成物からフィルムまたはシートを形成すること;フィルムまたはシートが軟化するまで加熱し、そのフィルムまたはシートを型の上に配置すること;予熱されたフィルムまたはシートを加熱された型表面に引き寄せること;フィルムまたはシートを冷却すること;次に形成された物品または部品を型の窪みから取り出すこと、あるいは、場合によっては、フィルムまたはシートを部分的に結晶化するのに十分な時間で、加熱された型に対してフィルムまたはシートを接触させ続けて成形されたフィルムまたはシートを加熱固定することを含む。
【0117】
[00126]一実施態様では、熱成形プロセスは、本開示のポリエステル混合組成物からフィルムまたはシートを形成すること;ポリエステルのTg以上の温度にフィルムまたはシートを加熱すること;熱で軟化したフィルムまたはシートにガス圧、真空、および/または物理的圧力を加えて、フィルムまたはシートをほぼ最終部品寸法に延伸すること;真空または圧力によってシートを型の形状に適合させること;フィルムまたはシートをポリエステルのTg未満の温度に冷却すること;次に熱成形された物品または部品を型から取り出すことを含む。
【0118】
[00127]熱成形プロセスで使用するフィルムおよびシートは、当業者に既知の任意の従来の方法によって作製してもよい。一実施態様では、シートまたはフィルムは押出しによって形成される。一実施態様では、シートまたはフィルムはカレンダー処理によって形成される。一実施態様では、熱成形プロセス中に、フィルムまたはシートはポリエステルのTg以上の温度に加熱される。一実施態様では、この温度は、ポリエステルのTgよりも約10℃~約60℃高い。一実施態様では、より短い成形時間を実現するために、熱成形型の上に配置する前にフィルムまたはシートを加熱することが必要である。一実施態様では、シートをそのTgより高く、かつ型の窪みの上に配置中にシートが過度にたるむ温度よりも低く加熱する必要がある。一実施態様では、成形されたフィルムまたはシートを型から取り出す前に、ポリエステルのTg未満の温度に冷却するのがよい。一実施態様では、熱成形方法には、真空補助具、空気補助具、機械的プラグ補助具、または嵌め合わせ型を含んでもよい。実施態様によっては、型をフィルムまたはシートのTg以上の温度に加熱する。最適な型温度の選択は、熱成形装置の型、形成される物品の構造および肉厚、およびその他の因子に依存する。
【0119】
[00128]実施態様によっては、加熱されたフィルムまたはシートを、真空を発生させ、かつ導入して延伸する。
[00129]一実施態様では、ヒートセットは、明らかな配向を存在させずに、ポリエステルフィルムまたはシートの部分的な結晶化を熱的に誘発するプロセスである。一実施態様では、ヒートセットは、フィルムまたはシートと加熱された型表面との接触を、完成部品に適切な物理的特性を付与する結晶化度の水準を達成するのに十分な時間で維持して達成される。一実施態様では、結晶化度の水準を、約10~約30%にすべきである。
【0120】
[00130]一実施態様では、熱固定された部品は、取り出しのための既知の手段によって型の窪みから取り出してもよい。例えば、一実施態様では、吹き戻し(blowback)を使用し、それは圧縮空気を導入して、型と成形されたフィルムまたはシートとの間に確立された真空を破ることを含む。実施態様によっては、形成された物品または部品の余分な部分を、その後切り取って、廃物は粉砕して再資源化する
[00131]実施態様によっては、核剤の添加により、熱成形中のより速い結晶化を提供し、従ってより速い成形を提供する。一実施態様では、微粒子サイズの無機材料または有機材料などの核剤を使用してもよい。例えば、一実施態様では、適切な核剤として、タルク、二酸化チタン、炭酸カルシウム、および非混和性重合体または架橋重合体が挙げられる。一実施態様では、核剤は、物品の重量に基づいて、約0.01%~約20%で変動する量で使用してもよい。一実施態様では、顔料、色素、可塑剤、亀裂防止剤、および安定剤などのその他の従来からの添加剤を、熱成形のために必要に応じて使用してもよい。実施態様によっては、亀裂防止剤は衝撃強度を改善し、核剤はより速い結晶化を提供する。実施態様によっては、結晶化は、高温安定性を達成するために必要である。
【0121】
[00132]一実施態様では、発泡ポリエステルのフィルムまたはシートは、本開示のポリエステル組成物を化学的および/または物理的な発泡剤で発泡させ、発泡ポリエステルをシートまたはフィルムに押し出し、発泡ポリエステルのフィルムまたはシートを熱成形して作製される。発泡ポリエステルフィルムの特性を向上するための添加剤を、発泡前にポリエステルに添加してもよい。その添加剤の例として、滑剤、粘着防止剤、可塑剤、蛍光増白剤、および紫外線抑制剤が挙げられる。一実施態様では、発泡ポリエステルフィルムは、その特性を向上するために、従来の技術を使用して片面または両面に被覆された押出成形品または積層品であってもよい。一実施態様では、被覆材料は、発泡フィルム自体ではなく、製品のラベル付けを提供する印刷面に貼付されてもよい。
【0122】
[00133]本開示の混合組成物は、形成または成型されたプラスチック部品として、または固形プラスチック物品として有用である。本開示の混合組成物は、熱成形された部品または物品として有用である。本開示の混合組成物は、透明で硬質のプラスチックが必要とされる任意の用途での使用に適している。このような部品の例として、使い捨てのナイフ、フォーク、スプーン、皿、カップ、ストロー、ならびに眼鏡フレーム、歯ブラシの柄、玩具、自動車装備品、工具の柄、カメラ部品、電子機器の部品、かみそり部品、インクペン軸、使い捨て注射器、ボトルなどが挙げられる。一実施態様では、本開示の混合組成物は、プラスチック、フィルム、繊維、およびシートとして有用である。一実施態様では、組成物は、ボトル、ボトル蓋、眼鏡フレーム、刃物類、使い捨て刃物類、刃物類の柄、棚、棚仕切り板、電子機器の筐体、電子機器ケース、コンピュータモニター、プリンター、キーボード、管、自動車部品、自動車内装部品、自動車装備品、看板、熱成形文字(thermoformed letters)、壁板(siding)、玩具、熱伝導性プラスチック、眼科用レンズ、工具、工具の柄、および家庭用品を製造するプラスチックとして有用である。別の実施態様では、本開示の混合組成物は、フィルム、シート、繊維、形成物品、成型物品、形成部品、成型部品、医療機器、歯科用トレイ、歯科用器具、容器、食品容器、輸送用容器、梱包材、ボトル、ボトル蓋、眼鏡フレーム、刃物類、使い捨て刃物類、刃物類の柄、棚、棚仕切り板、家具部品、電子機器筐体、電子機器ケース、コンピューターモニター、プリンター、キーボード、管、歯ブラシの柄、自動車部品、自動車内装部品、自動車装備品、看板、屋外看板、天窓、多壁層フィルム、多層フィルム、断熱部品、断熱物品、断熱容器、熱成形書状、壁板、玩具、玩具部品、トレイ、食品トレイ、歯科用トレイ、熱伝導性プラスチック、眼科用レンズおよび枠組材、工具、工具の柄、および家庭用品、健康管理用品、市販の食品供給製品、箱、グラフィックアート用フィルム、プラスチックガラス積層板用プラスチックフィルム、購入ポイント表示部、天窓、排煙口、積層カード、窓割り(fenestration)、ガラス窓(glazing)、仕切り板、天井タイル、照明、機械防護板、グラフィックアート、レンズ、押出し積層シートまたはフィルム、装飾積層板、オフィス家具、フェイスシールド、医療用梱包材、表示棚の看板ホルダー、および棚の価格ホルダーとしての使用に適している。
【0123】
[00134]本熱成形された、または熱成形性の混合組成物は、フィルム、形成物品、形成部品、成型物品、成型部品、およびシートを形成するのに有用である。熱成形された、または熱成形性の混合組成物を、フィルム、形成物品、形成部品、成型物品、成型部品、およびシートに製造する方法は、当技術分野で既知の任意の方法に従ってもよい。形成物品の例には、限定はされないが、医療機器梱包材、医療用梱包材、健康管理用品の梱包材、トレイ、容器、食品皿、タンブラー、収納箱、ボトル、食品加工器、ミキシングボウルなどの市販の食品供給製品、家庭用品、水ボトル、野菜室トレイ、洗濯機部品、冷蔵庫部品、掃除機部品、眼科用レンズとフレーム、および玩具が含まれる。
【0124】
[00135]本開示はさらに、本明細書に記載のポリエステル組成物を含むフィルムおよび/またはシートを含む製造物品に関する。実施態様では、本開示のフィルムおよび/またはシートは、意図された用途に必要とされる任意の厚さであってもよい。
【0125】
[00136]本開示はさらに、本明細書に説明のフィルムおよび/またはシートに関する。ポリエステル混合組成物をフィルムおよび/またはシートに形成する方法には、当技術分野で既知の任意の方法が含まれる。本開示のフィルムおよび/またはシートの例として、限定はされないが、押し出されたフィルムおよび/またはシート、カレンダー処理されたフィルムおよび/またはシート、圧縮成形されたフィルムおよび/またはシート、および溶液キャストされたフィルムおよび/またはシートが挙げられる。本開示のフィルムおよび/またはシートを作製する方法として、限定はされないが、押出し、カレンダー処理、圧縮成形、湿式ブロック加工、乾式ブロック加工、および溶液キャストが挙げられる。
【0126】
[00137]本開示はさらに、本明細書に説明の形成物品または成型物品に関する。ポリエステル組成物を形成物品または成型物品に成形する方法には、当技術分野で既知の任意の方法が含まれる。本開示の形成物品または成型物品の例として、限定はされないが、熱成形された物品または熱成形性物品、射出成形物品、押出成形物品、射出ブロー成形物品、射出延伸ブロー成形物品、および押出ブロー成形物品が挙げられる。形成物品の製造方法には、限定はされないが、熱成形、射出成形、押出、射出ブロー成形、射出延伸ブロー成形、および押出ブロー成形が含まれる。本開示のプロセスは、当技術分野で既知の任意の熱成形プロセスを含んでもよい。本開示のプロセスには、限定はされないが、押出ブロー成形、押出延伸ブロー成形、射出ブロー成形、および射出延伸ブロー成形を含む、当技術分野で既知の任意のブロー成形プロセスを含んでもよい。
【0127】
[00138]本開示は、当技術分野で既知の任意の射出ブロー成形製造プロセスを含む。限定はされないが、射出ブロー成形(IBM)製造プロセスの典型的な説明として、1)往復スクリュー押出機中で組成物を溶融すること、2)溶融組成物を射出成形金型に注入して、一端を閉じた部分的に冷却された管(すなわち予備成形物)を形成すること、3)予備成形物を、予備成形物の周りに所望の最終形状を有するブロー金型内に移動して、予備成形物の周りのブロー金型を閉じること、4)予備成形物に空気を吹き込み、予備成形物を延伸・膨張させて金型を満たすこと、5)成形物品を冷却すること、および6)金型から物品を取り出すことを含む。
【0128】
[00139]本開示は、当技術分野で既知の任意の射出延伸ブロー成形製造プロセスを含む。限定はされないが、射出延伸ブロー成形(ISBM)製造プロセスの典型的な説明として、1)往復スクリュー押出機中で組成物を溶融すること、2)溶融組成物を射出金型中に注入して、一端を閉じた部分的に冷却された管(すなわち予備成形物)を形成すること、3)予備成形物を、予備成形物の周りに所望の最終形状を有するブロー金型に移動して、予備成形物の周りのブロー金型を閉じること、4)内部延伸ロッドを使用して予備成形物を延伸し、予備成形物に空気を吹き込み、予備成形物を延伸・膨張させて金型を満たすこと、5)成形物品を冷却すること、および6)金型から物品を取り出すことを含む。
【0129】
[00140]本開示は、当技術分野で既知の任意の押出ブロー成形製造プロセスを含む。限定はされないが、押出ブロー成形製造プロセスの典型的な説明として、1)押出機中で組成物を溶融すること、2)溶融組成物を口金を通して押し出して、溶融重合体の管(すなわち溶融予備成形物)を形成すること、3)溶融予備成形物の周りに、所望の最終形状を有する金型を固定すること、4)溶融予備成形物内に空気を吹き込んで、押出物を延伸・膨張させて金型を満たすこと、5)成形物品を冷却すること、6)金型から物品を取り出すこと、および7)物品から余剰のプラスチック(一般にバリと呼ばれる)を取り除くことを含む。
【0130】
[00141]以下の実施例は、どのように本開示のポリエステルが製造され、かつ評価できるかをさらに示し、かつこれらの実施例は、純粋に例示的であることを意図し、その範囲を限定することを意図していない。特に明記されていない限り、部は重量部であり、温度は℃(摂氏)であり、または室温であり、かつ圧力は大気圧またはそれに近い雰囲気である。
【実施例
【0131】
[00142]共重合ポリエステル樹脂試料を、本明細書の他の部分に説明の手順を用いて作製した。全ての場合で、樹脂試料を押出し前に乾燥する。
[00143]試験用フィルム試料を、2.5インチのDavis and Standard社製の単軸スクリュー押出機を使用して、樹脂試料を10ミル(250μm)のフィルムに押し出して作製した。これらの10ミルのフィルムを切断し、Bruckner社製のKaro 4テンターフレームで押し出されたフィルムのガラス転移温度(Tg)より5~15℃高い温度かつ約5:1の延伸比で、50μmの最終厚さまで延伸した。
【0132】
[00144] テンターフレームによるフィルム試料を、樹脂試料を押し出し、かつ(Parkinson Technologies社の一部門であるMarshall and Williamsに配置された)市販のテンターフレームで延伸して作製した。ここでフィルムをA-B-Cの口金からの3層を用いて押し出し、B層を2.5インチの単軸スクリュー押出機から押し出し、A層とC層を別々の1.25インチの単軸スクリュー衛星押出機から押し出す。このフィルムは約10ミル(250μm)の厚さでキャストされ、その後5:1の延伸比で50μmの厚さに延伸される。一般に、成形厚さは250μmで、最終的な膜厚は50μmである。ライン速度は45fpmであった。
【0133】
[00145]押し出されたフィルム組成物のグリコール含量を、NMRによって測定した。全てのNMRスペクトルは、ロック用に重水素化クロロホルムを添加した重合体に対し、いずれもクロロホルム-トリフルオロ酢酸(70-30:体積/体積)を用いて、JEOL社製のEclipse Plus 600 MHz核磁気共鳴分光計により記録した。本明細書での実施例に使用された混合重合体の酸成分は、100モル%のテレフタル酸であった。グリコール成分の総モル%は100モル%に等しく、酸成分の総モル%は100モル%に等しかった。
【0134】
[00146]本明細書でのポリエステルの固有粘度を、25℃かつ0.5g/dLの濃度で60/40(重量/重量)のフェノール/テトラクロロエタン中で測定した。その値をdL/gで示す。
【0135】
[00147]収縮率を、本明細書では、50mm×50mmの正方形のフィルム試料を65℃~95℃の間の5℃刻みの温度で水中に配置して測定する。フィルムをいずれの方向にも収縮を制限せずに10秒間水中に浸漬し、フィルム試料の収縮(または膨張)を測定する。収縮率を次の式で計算する。
収縮率(%)=[(50mm-収縮後の長さ)/50mm]×100%
[00148]収縮を、主収縮方向に直交する方向(機械方向:MD)で測定し、また主収縮方向(横断方向:TD)でも測定した。
【0136】
[00149]収縮力を、LabThink社製のFST-02熱収縮試験機を用いて、本明細書の実施例について、フィルムを延伸するのに用いるのと同一の温度で、MPaの単位で測定する。
[00150]引張フィルム特性を、ASTM法D882を用いて、本明細書の実施例について測定した。複数のフィルム延伸速度(300mm/分および500mm/分)を用いて、これらフィルムを評価した。
【0137】
[00151]ポリエステルのガラス転移温度および歪み誘起結晶の融点(それぞれTgおよびTm)を、20℃/分の走査速度でThermal Analyst Instruments社製のTA DSC 2920を用いて測定した。延伸された試料の第1の加熱でTmを測定し、第2の加熱工程でTgを測定した。さらに、試料を強制空気循環オーブン中で165℃かつ30分間で結晶化し、その後DSCで分析することもできる。全ての試料について、結晶融点は、20℃/分の加熱速度でのDSC走査の第2の加熱中には、通常は存在しない。
【0138】
[00152]再資源化プロセスへの材料の適合性は、プラスチック再資源化業者協会(APR:the Association for Plastic Recyclers)によって公開された手順に規定されている。PETG樹脂の場合に、PETの凝集は本発明により対処された主要な問題である。この業界標準を模倣するように、実験室プロセスを開発した。実験的な凝集試験のパラメータは以下の通りである。
・582gのPET薄片に、18gの収縮薄片フィルム(PET薄片に対し3%のフィルム)をその収縮状態で組み合わせる(フィルムは、85℃の水に10秒間浸漬して組合せ前に収縮させた)
・PET薄片+フィルムをアルミニウム皿に入れて、1.5インチの深さとした。
・薄片の入った皿を208℃の強制空気循環オーブン内に1.5時間配置した。
・次に薄片を0.5インチの篩いを通して慎重に注ぎ出して、皿に残った、あるいは篩いを通過できなかった薄片の量を計測し、凝集率(%)を出発重量の百分率として計算した。
【0139】
[00153]プラスチック再資源化業者協会(APR)は、材料が現状の再資源化プロセス(2019年4月11日に改訂または制定のラベルおよび封止を備える透明なPET物品のための重要な指示要綱;PET-CG-02)に適合しているかを測定するための試験を確立した。この方法は、PETの凝集を測定する方法(2018年11月16日に改訂のPET薄片凝集評価;PET-S-08)を参照としている。この試験の詳細は以下の通りである。
・ラベル(最小重量:3重量%、85℃で10秒間予備収縮済み)およびボトルを、1/4~1/2インチの薄片寸法に粉砕して、ラベル付きボトル薄片を作製する。
・ラベル付きボトル薄片を、ラベルのない参照ボトル薄片と50:50で混合する。
・次に1.2%以下のPETがラベル付きで持ち越されることを許可する条件で、試料を湿式分級した。
・次に薄片を、0.3%のTriton X-100および1.0%の苛性アルカリで、88℃かつ15分間洗浄する。
・次に薄片を、全ての浮遊物質を取り除いた後に水で洗浄し、次いで濾過して余分な水を除去する。
・薄片を前回と同様に再度湿式分級する。
・(ラベルを含む)2ポンドの洗浄済み薄片を、洗浄済みの試料ごとにテフロン加工の焼成皿に入れ、この薄片を1.5インチの層の厚さまで追加する。
・薄片が入っている皿を、208℃の循環オーブン内に1時間半載置する。
・薄片を冷却して、0.0625インチの開口部を備える篩いを通過させる。材料が篩いを通過するのなら、この材料は凝集しておらず、すなわち大きくなり過ぎて篩いを通過できないということはない。
・この試験に続いて、薄片の品質を確認するための押出/ペレット化および成形工程を実施した。
【0140】
[00154]変調型示差走査熱量測定(MDSC)は、時間および温度の関数として、試料と不活性な参照試料との間の熱流の差を測定する技術である。さらに、従来のDSCで使用されるものと同一の熱流束セル設計が使用される。但しMDSCでは、異なる加熱形態(温度状態)を試料および参照試料に適用する。具体的には、正弦波変調(振幅)が従来の線形加熱または冷却の勾配に重ねられ、平均試料温度が時間とともに連続的に変化するが線形には変化しない形態が生成される。このより複雑な加熱形態を試料に加えることの正味の効果は、まるで2つの試験、すなわち1つは従来の線形の(平均的な)加熱速度での試験、もう1つは正弦波の(瞬間的な)加熱速度での実験が、材料に対して同時に実行されたのと同じようになることである。これら2つの同時試験の実際の速度は、操作者が選択可能な3種の変数に依存する。
・基盤となる加熱速度(3℃/分)
・変調の周期(60秒)
・変調の温度振幅(±1℃)
[00155]反転熱流を使用して、ガラス転移温度および溶融ピークの面積を分析した。加熱時の融解熱(Hf)を、積分された反転熱流信号として測定した。加熱時の結晶化熱(Hc)を、総熱流信号から積分した。試料の相対結晶化度(C)を、加熱時の結晶化熱(Hc)から融解熱(Hf)を差し引いて測定した。
実施例1~12
[00156]試験用フィルム試料を、樹脂混合物を用いて作製し、実験的な凝集試験で評価した。樹脂組成物の詳細およびそれらの組成物から得られたフィルム特性を、以下の実施例に説明する。
【0141】
[00157]重合体混合物を、共通に用いて樹脂の特性を変更する。これらの検討では、結晶性樹脂と収縮性フィルムを形成できる非晶質樹脂とを混合することにより、歪み誘起結晶の予想外に高い融点を有する収縮性フィルムとして使用できる新規の樹脂が提供でき、再資源化プロセスへの収縮性フィルムの適合性の改善に役立つことを見出した。表1に、これらの試験用混合物の製造に用いられた3種の樹脂の組成を示す。樹脂1または樹脂3のみで製造された収縮性フィルムは、許容可能な収縮性フィルム特性を備えるが、再資源化プロセスでのPETの凝集を最小限に抑えるようには設計されていない。樹脂2は、樹脂1および樹脂3の再資源化性を向上するのに使用できる結晶化可能な共重合ポリエステル樹脂の一例である。押出機を用いて樹脂1および樹脂2、あるいは樹脂2および樹脂3で作製された混合物により、透明かつ適合性のあるフィルムを形成した。
【0142】
【表1】
【0143】
[00158]実験室規模のプロセスを用いて、混合物1、2、および3を、表2に示される組合せで樹脂1と樹脂2ならびに樹脂2と樹脂3を混合して作製した。これらの未混合の出発材料を共に用いる混合物を、実験室規模のプロセスを用いて収縮性フィルムに転換し、これらのフィルムの特性を測定した。その結果を表3に纏める。樹脂1または樹脂3のみで作製したフィルムは、PETの再資源化プロセスに適合性がなく、1%を超えるPETの凝集率を示す。これらの混合物で作製した収縮性フィルムの特性を表4および表5に示す。
【0144】
【表2】
【0145】
【表3】
【0146】
【表4】
【0147】
【表5】
【0148】
[00159]本明細書に述べるように、「結晶化度」は、融解熱から結晶化熱を差し引いて計算され、この数値が8より大きい場合に、この数値は、本開示の文脈では十分に結晶性であって再資源化が可能な組成物に対応している。
実施例13~16
[00160]テンターフレームによるフィルム試料を、再資源化プロセスへの適合性についてAPR試験手順を用いて評価するのに十分な材料を形成するように、市販のテンターフレームで作製した。この市販のテンターフレームプロセスでは、樹脂を乾燥させ、混合し、10ミルのフィルムに押し出し、その後テンターフレームで直接的に延伸した。これらの混合物の作製に用いた樹脂組成物を表6に示す。これらの収縮性フィルムの作製に使用した混合物の組合せを表7に示す。これらの混合物のフィルム特性を表8に示す。
【0149】
【表6】
【0150】
【表7】
【0151】
【表8】
【0152】
[00161]これらの混合物で作製したフィルムは、優れた収縮性フィルム特性および高い歪み誘起結晶の融点を有する。これらの組成物の歪み誘起結晶の融点は、全て200℃を超えていた。典型的には、PETの乾燥温度に耐えて自由流動性を維持するには、歪み誘起結晶の融点が200℃を超える必要がある。これらの樹脂混合物の歪み誘起結晶の融点は、同一の組成物で作製されたリアクターグレードの材料で考えられる融点よりも遙かに高い。この高い歪み誘起結晶の融点は、より高い融点が必要とされる用途で有利になると思われる。例えば、PET薄片をAPR試験温度よりも高い温度(例えば、420Fすなわち210℃)で乾燥させた場合に、ラベルは粘着性にならず、依然PETとともに再資源化が可能である。これらのフィルムの再資源化プロセスに対する適合性について試験した(結果を表11に示す)。これらの組成物で作製されたフィルムは、それより低い乾燥温度かつより高い乾燥温度を通過していたので、再資源化プロセスに適合性があると見做される(1%未満を目標とする凝集率を、「再資源化プロセスに適合性あり」と見做す)。
【0153】
[00162]本開示を、その好ましい実施態様を特に参照して詳細に説明してきたが、本開示の趣旨および範囲内で複数の変更および修正を実施できることは当然である。
図1
図2
【国際調査報告】