(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】不均一な人工芝充填物
(51)【国際特許分類】
E01C 13/08 20060101AFI20220112BHJP
【FI】
E01C13/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544109
(86)(22)【出願日】2019-10-08
(85)【翻訳文提出日】2021-05-18
(86)【国際出願番号】 US2019055114
(87)【国際公開番号】W WO2020076767
(87)【国際公開日】2020-04-16
(32)【優先日】2018-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521141257
【氏名又は名称】ウエストレイク コンパウンズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】WESTLAKE COMPOUNDS LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173473
【氏名又は名称】高井良 克己
(72)【発明者】
【氏名】エリック ストッファー
【テーマコード(参考)】
2D051
【Fターム(参考)】
2D051HA08
(57)【要約】
非対称の形状および異なるサイズを有する、分散した不均一な、ポリ塩化ビニルベースの粒子の層を含む、草をシミュレートする人工芝。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッキングに接着された草をシミュレートする合成フィラメントまたは繊維と、前記フィラメントまたは繊維の間に不均一なポリ塩化ビニルベースの粒子の層として分散された層を有する充填物(infill)とを含む、人工芝であって、前記粒子は、非対称の形状および異なるサイズを含む、人工芝。
【請求項2】
前記粒子が、ペレットおよび顆粒のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の人工芝。
【請求項3】
前記粒子が、少なくとも3つの異なるサイズを含む、請求項2に記載の人工芝。
【請求項4】
前記粒子の少なくともいくつかが、楕円形状(elliptic shape)を含む、請求項3に記載の人工芝。
【請求項5】
前記粒子の少なくともいくつかが、卵形状(ovate shape)を含む、請求項3に記載の人工芝。
【請求項6】
前記粒子の少なくともいくつかが、倒卵形状(obovate shape)を含む、請求項3に記載の人工芝。
【請求項7】
前記粒子の少なくともいくつかが、両凸形状(biconvex shape)を含む、請求項3に記載の人工芝。
【請求項8】
前記粒子の少なくともいくつかが、非対称卵形状(asymmetrically oval shape)を含む、請求項3に記載の人工芝。
【請求項9】
前記粒子の少なくともいくつかが、涙形形状(lachrymiform shape)を含む、請求項3に記載の人工芝。
【請求項10】
前記粒子が、楕円形状、卵形状、倒卵形状、両凸形状、非対称卵形状、および涙形形状からなる群から選択される複数の異なる形状を含む、請求項3に記載の人工芝。
【請求項11】
前記粒子の少なくともいくつかが、楕円形状を含む、請求項2に記載の人工芝。
【請求項12】
前記粒子の少なくともいくつかが、卵形状を含む、請求項2に記載の人工芝。
【請求項13】
前記粒子の少なくともいくつかが、倒卵形状を含む、請求項2に記載の人工芝。
【請求項14】
前記粒子の少なくともいくつかが、両凸形状を含む、請求項2に記載の人工芝。
【請求項15】
前記粒子の少なくともいくつかが、非対称卵形状を含む、請求項2に記載の人工芝。
【請求項16】
前記粒子の少なくともいくつかが、涙形形状を含む、請求項2に記載の人工芝。
【請求項17】
前記粒子が、楕円形状、卵形状、倒卵形状、両凸形状、非対称卵形状、および涙形形状からなる群から選択される複数の異なる形状を含む、請求項2に記載の人工芝。
【請求項18】
前記粒子が、楕円形状、卵形状、倒卵形状、両凸形状、非対称卵形状、および涙形形状からなる群から選択される複数の異なる形状を含む、請求項1に記載の人工芝。
【請求項19】
ポリ塩化ビニルベースの粒子の層の下にある砂を含む層をさらに含む、請求項18に記載の人工芝。
【請求項20】
ポリ塩化ビニルベースの粒子の層の下にある砂を含む層をさらに含む、請求項1に記載の人工芝。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
この出願は、2018年10月8日に出願された米国仮出願第62/742,539号の優先権の利益を主張し、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の背景)
本発明は、人工芝、特にポリマー粒子、顆粒またはペレットから含まれてなる芝充填物(infill)に関する。人工芝は通常、スポーツおよび陸上競技の表面のために使用されるが、遊び場の芝、合成芝生(laws)、景観、民間施設、公園、商業用の表面、自治体敷地、試験場等といった、芝生および草表面をシミュレートする他の用途にも用いられ得る。
【背景技術】
【0003】
人工芝は、概して、繊維またはフィラメントを保持する粘着性裏打ちを持つ織られた材料の中に糸綴じされる合成繊維またはフィラメントを含み、直立した合成草層として草の葉をシミュレートする。例えばゴム、ビニル、砂、および種々のポリマーの1以上を含む、顆粒およびペレット状物質等の天然および/または合成粒子は、通常、充填物として直立した人工芝層内に分散され、しばしば芝充填物と呼ばれる。充填物のタイプは、人工芝に、衝撃吸収性、ボールの跳ね返り、摩擦、ボールの転がり、耐候性、および特定の合成芝構築に特有の他の特性等のパフォーマンス特徴を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の合成充填物材料は、ゴム、ポリマー、および同じ球形および円筒形の形状およびサイズを有する同様の材料の合成充填物等、概して形状およびサイズが均一である。米国特許公開第US2017/0233956号(’956公開)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、ポリ塩化ビニル(PVC)から含まれてなる充填物ペレットが押し出され、切断され、多数の異なる形状(例えば、星、多角形、ハート、および三角形)で提供され得て、人工芝のインターロッキングトラクションおよびパフォーマンス特徴を向上させることを記載する。他の従来の充填物材料と同様に、’956出願は、均一な規則的な形状およびサイズの充填物のみを想定する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明の実施形態は、充填物粒子材料について一般的に均一なサイズを有する規則的な形状を有する従来の充填物を超える改善を提供する。本発明は、人工および合成の芝の設置においけるPVCから含まれてなる不均一な充填物ペレット、顆粒または粒子を提供する。
【0006】
本発明の実施形態では、人工芝設置において充填物として分散されるPVC充填物ペレットおよび顆粒は、人工芝に改善されたパフォーマンス特徴を与えるために、非対称形状等の、種々の複数のサイズおよび不規則な形状を有する。特定の実施形態では、そのような形状としては、異なるサイズの種子様および液滴様の形状が挙げられる。さらなる実施形態では、そのような形状としては、概して、楕円(elliptic)、卵(ovate)および倒卵(obovate)形状を含む。さらに別の実施形態では、そのような形状としては、概して両凸(biconvex)および非対称卵(asymmetrically oval)形状(例えば、概して尖った端部を有するカボチャの種型およびヒマワリの種型の形状)が挙げられる。さらに別の実施形態では、そのような形状としては、概して、涙滴/涙形(teardrop/lachrymiform)形状を含む。種々の実施形態において、前述の異なる形状の任意の組合せは、人工芝設置におけるPVC充填物顆粒、ペレットおよび粒子として、種々のサイズで互いに提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態における、異なる不規則な形状および異なるサイズを有するPVC充填物ペレットの写真である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態において
図1に示されるように、PVC充填物ペレットを製造するための異なるサイズの穴を有する多穴押出ダイの正面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態における
図2の多穴押出ダイの正面部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(発明の詳細な説明)
図1の一実施形態に示されるように、人工芝充填物用のPVCベースの微粒子5は、種々の不均一な形状およびサイズを含む。概して、粒子は、種子および/または液滴に似た非対称の形状等の種子といったように、不規則である。本発明の実施形態での使用に好ましいPVCベースの粒子5としては、参照により本明細書に組み込まれる’956公開に記載される組成を有するそのようなPVC顆粒およびペレットが挙げられる。さらに、PVCベースの微粒子5は、従来の押出し、ペレット化および成形方法に従って製造され得る。本発明の実施形態では、PVC顆粒およびペレットは、’956公開に記載および/または参照される方法に従って製造され得る。
【0009】
一実施形態では、
図2および3に示されるような押出ダイ20は、本発明に従う複数の形状およびサイズを有するPVC微粒子5を製造するために使用され得る。PVC組成物の押出し、ペレット化および成形の関連技術の当業者には、本発明のようにPVCペレット、顆粒および粒子を最適に製造するための実行速度、温度設定等の製造パラメータが、
使用される特定の機械、製造のための特定の環境、PVCベースの材料の正確な組成、および同様の変数等の多数の要因に依存するであろうことが、理解されるであろう。したがって、本発明に従って成形およびサイズ決定されたPVCベースの充填物のための製造プロセスの一部として望ましい結果に到達することは、関連技術の当業者の範囲内であり、本発明にとって重要であるとは見なされない。
【0010】
図2および3に示される一実施形態では、押出ダイ20は、第1の穴30のリング、第2の穴32のリング、第3の穴34のリング、および第4の穴36のリング等の、異なるサイズの穴の多数のリングを含む。穴は、サイズが異なり、それによって種々の不均一な不規則な形状および種々のサイズのPVC微粒子5が生成され得る。穴のための構成、穴の数、穴の形状、穴間の距離、および穴の位置合わせ(リング、グリッド、または他のパターンのいずれであるか)は、本発明の他の実施形態における不規則で不均一な種々のサイズのPVC粒子5の生成を依然として支持しながら、図示の実施形態から変化し得ることが理解されよう。
【0011】
本発明の実施形態では、不規則で不均一で種々のサイズのPVC粒子5の使用は、’956出願で開示された均一粒子と比較して改善されたパフォーマンス特徴を、人工芝に与える。後で説明する表I~IIIの試験結果では、’956出願に従って人工芝で使用される均一なPVCベースのインフィル微粒子は、「20s/50TPE_PriorArt」と呼ばれ、本発明の実施形態による人工芝で使用される摩耗シミュレーションに供されていない不均一なPVC充填粒子は、「70/30Pre-Wear」と呼ばれ、および、Lisportブランドの摩耗機を備えた摩耗シミュレーション機にかけられた人工芝で使用される不均一なPVC充填粒子は、「70/30Post-Wear」と呼ばれる。
【0012】
パフォーマンス特徴を比較するために、各20s/50TPE_PriorArt、70/30Pre-Wear、および70/30Post-Wear微粒子が人工芝に提供され、以下に説明する試験に供された。20s/50TPE_PriorArt微粒子は、2 1/2芝の上に20lbsの砂/50lbsの熱可塑性エラストマー(TPE)の人工芝試験系で提供された。70/30Pre-Wear微粒子は、4.97lbs/sq.ft.PVC、2.13lbs/sq.ft.Sand、2.25”スリットフィルムターフ、パッドなしの人工芝試験系で提供された。70/30の摩耗後の微粒子は、4.97lbs/sq.ft.PVC、2.13lbs/sq.ft.砂、2.25”のスリットフィルム芝、パッドなしの人工芝試験系で提供され、20,000サイクルのLisportウェアマシンに供された。
【0013】
以下の実験室試験は、粒子状物質/人工芝系の各サンプルで行った。人工芝評議会(STC)の技術ガイドラインは、参照により本明細書に組み込まれる。EN参照は、参照により本明細書に組み込まれる欧州規格への参照である。
【0014】
力の低減(%)-(STC高度人工運動選手プロトコル試験)足元のプレーヤーが走っているときに、表面が与える衝撃吸収を測定する。低い値は、足元が硬い表面を表す。結果は、コミュニティフィールドで57%から68%、スタジアムフィールドで62%から68%のSTCパフォーマンスガイドラインと比較される。
【0015】
垂直変形(mm)-(STC高度人工運動選手プロトコル試験)アスリートが表面を横切るときに表面が圧縮する量を測定する。この値は、多くの場合、プレーのスピードおよび表面の安定性に関連する。結果は、コミュニティフィールドの場合は6mm~11mm、スタジアムフィールドの場合は6mm~10mmのSTCパフォーマンスガイドラインと比較される。垂直変形は通常、フィールドが使用されるにつれて時間の経過とともに減少する。
【0016】
エネルギー回復(%)-(STC高度人工運動選手プロトコル試験)適用されたエネルギーのパーセンテージとして返されるエネルギーを測定する。これは、表面の弾力性と考えられ得る。この値は、足元の感触とプレーのスピードに関係する。この測定値は、公式の基準の一部ではないが、有用な測定値である。推奨範囲は、20%~50%である。
【0017】
ASTM F355A Gmax/HIC衝撃減衰(フラットフェイスドロップミサイル)(G(重力単位))-ASTM F355A衝撃硬度は、人工芝の運動場の硬度を評価するための公式のデバイス/方法である。それは、所定の頭/体の衝撃に基づいて衝撃減衰を測定するために使用される。これは、24インチの高さから3軸加速度計を落とした20ポンドの「ミサイル」である。STCは、Gmax値が165未満となることを推奨している。
【0018】
EN1177-HIC衝撃減衰(半球型落下ミサイル)(臨界落下高さ(m))-EN1177-衝撃減衰遊び表面の臨界落下高さ法の決定は、米国で遊び場の表面を評価するために一般的に使用される方法と同様である。国際的には、それは、人工芝と遊び場の表面仕上げの両方の主要な方法である。このデバイスは、頭部損傷基準(HIC)を計算する。これは、表面の衝撃に起因する頭部外傷の可能性を測定するために使用する。このデバイスは、3軸加速度計を備えた半球型10ポンドの「ミサイル」である。半球を(4)の異なる高さから落とし、HICが1000になる高さを決定する。この高さは、臨界落下高さと呼ばれる。臨界落下高さの値が1.3メートルより大きくすることが推奨される。
【0019】
回転抵抗-EN15301(ニュートンメートル(n))-回転抵抗は、プレーヤーが方向を変える能力に関連するクリートソールと表面との間の相互作用を測定する。より高い値は、プレーヤーが方向を変えているときに足の回転に抵抗し、下肢の怪我の可能性を増大させる表面に関連し得る。STCガイドラインでは、結果が30n~45nとなることを推奨している。
【0020】
垂直ボールリバウンド-EN12235(メートル(m))-人工芝フィールドに垂直に落下したときにボールがどれだけ高く跳ね返るかを測定する。ボールは2mからリリースされ、表面からのリバウンドの高さが計算される。ボールは、最初に平らなコンクリート表面で1.35mに較正される。STCは、.60から.85mまでを推奨している。
【0021】
以下の表I~IIIは、それぞれの人工芝系で比較された粒子の各々について、屋内で実施された試験結果を示す。
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
表I~IIIに示される試験の結果は、人工芝設置に充填物として分散される、種々の複数のサイズおよび不規則な形状(非対称形状など)を有するPVC充填物ペレットおよび顆粒を使用する本発明の実施形態は、従来の人工芝設置よりも改善された性能特性を人工芝に与えることを示す。
【0026】
本発明の種々の実施形態を説明してきた。しかしながら、特許請求の範囲に記載示される例示的実施形態のより広い範囲から逸脱することなく、種々の改変および変更を行い得、追加の実施形態が実施され得ることは明らかであろう。この明細書は、限定的な意味ではなくむしろ例示的な意味で見なされるべきである。
【国際調査報告】