(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】付加製造プロセスにおける粉体堆積機構のための装置
(51)【国際特許分類】
B29C 64/245 20170101AFI20220112BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20220112BHJP
B29C 64/227 20170101ALI20220112BHJP
B29C 64/214 20170101ALI20220112BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20220112BHJP
B22F 12/33 20210101ALI20220112BHJP
B22F 12/67 20210101ALI20220112BHJP
【FI】
B29C64/245
B33Y30/00
B29C64/227
B29C64/214
B22F10/28
B22F12/33
B22F12/67
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544962
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(85)【翻訳文提出日】2021-05-28
(86)【国際出願番号】 IB2019058673
(87)【国際公開番号】W WO2020075122
(87)【国際公開日】2020-04-16
(31)【優先権主張番号】201841038740
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521154970
【氏名又は名称】インテック ディーエムエルエス プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バララム、スリダール
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL03
4F213WL13
4F213WL73
4F213WL74
4F213WL85
(57)【要約】
本発明は、付加製造プロセスにおける粉体堆積機構のための装置を提供する。装置は、順方向のみに移動するように構成された、少なくとも2つのベルト駆動サイクリック・アームを備える。サイクリック・アームの動きは、第1のアームが可動位置にあり、同時に第2のアームが静止位置にあるように動く。プログラマブル論理制御装置(PLC)は、アームの動きを制御する。少なくとも1つの速度調整モジュールは、サイクリック・アームの速度を調整するように構成される。速度調整モジュールは、サイクリック・アームの制限位置を検出する。垂直ループは、垂直面及び水平面におけるリコーティング・アームを変換するように構成される。垂直ループは、自動リコータ・アーム変更機構の助けとなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加製造プロセスにおける粉体堆積機構のための装置(100)であって、
a.順方向のみに移動するように構成された、少なくとも2つのベルト駆動サイクリック・アーム(101)であって、前記サイクリック・アーム(101)の動きは、第1のアーム(101a)が可動位置にあり、同時に第2のアーム(101b)が静止位置にあるようなものであり、前記デュアル・ベルト駆動サイクリック・アーム(101)の順方向は、付加製造プロセスを加速し、前記サイクリック・アーム(101)の順方向は、デブリ及び不純物を一方向のみに動かして、コーティングのたびに処理ゾーンから取り出されることを保証し、プログラマブル論理制御装置(PLC)は、前記アーム(101)の動きを制御する、少なくとも2つのベルト駆動サイクリック・アーム(101)と、
b.互いに平行である少なくとも2つのフレーム(102)を接続する、デュアル・リコータ・アームと、
c.前記サイクリック・アーム(101a、101b)の速度を調整するように構成され、前記サイクリック・アーム(101a、101b)の制限位置を検出する、少なくとも1つの速度調整モジュールと、
d.アーム(101a、101b)が制限位置、又は機械的要件による所定の位置に達したとき、信号を送信するように構成された、複数の位置スイッチと、
e.垂直面のリコーティング・アーム(101a、101b)を水平面に変換するよう、及びその逆に変換するように構成され、自動リコータ・アーム変更機構の助けとなる、垂直ループと、
f.堆積した粉体を集積するように構成された粉体床を有する、ビルド可動ビルト・プラットフォームであって、クランプ体(104)及びアイドラ(105)を使用して前記デュアル・リコータ・アーム(101a、101b)に連結され、前記プラットフォームにおけるディスペンサが上下に動いて粉体を前記プラットフォームに拡散し、ディスペンサ・アップ機構は、ビルド・プラットフォームを下げること、粉体の分配、粉体のコーティング、及びレーザ溶融を含む、ビルド可動ビルト・プラットフォームと
を備える、装置(100)。
【請求項2】
前記サイクリック・アーム(101a、101b)は前記ベルト(107)に連結され、前記ベルト(107)は、モータに接続されたプーリによって駆動される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記モータは、駆動回路によって制御される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ベルト(107)は、前記粉体床のタイミング制御を制御する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
取り外し可能に装着できるコーティング・ブレードは、前記アーム(101a、101b)に連結される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
ディスペンサ機構のタイミング及びプラットフォームは、PLCによって制御される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
取り外し可能に装着された複数のブレードは、前記アーム(101a、101b)に取り付けられる、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年10月12日にチェンナイのインド国特許事務所に出願された、「An apparatus for powder deposition mechanism in an additive manufacturing process」と題する、第201841038740号の優先権を主張する。その全体は、本明細書で参照として明示的に組み込まれる。
【0002】
本発明は、付加製造プロセスにおける粉体堆積機構のための装置に関する。より詳細には、本発明は、複数のサイクリック・アームが順方向のみに移動するよう構成された、粉体堆積機構に関する。
【背景技術】
【0003】
「付加製造」、又は「3D印刷」は、作製される物体の3Dモデルが装置(例えば3Dプリンタ)に、次いで装置が作製される物体の形状に、構成材料を徐々に堆積させるか、又は形成することによって、物体を自動的に作製する製造プロセスである。例えば、物体の断面を表わす材料の連続層が、堆積又は形成される。一般的に、堆積した材料層は、溶解して最終的な物体を形成する。それらは比較的多用途性であるために、付加製造技術は多くの関心を集めている。
【0004】
付加製造プロセスは、レーザを使用して溶解した金属粉体の層を堆積させ、高密度部品を生成することを含む。金属製アームはプラットフォームを横断して、プラットフォームの露出した領域全体に、材料の均一な層を堆積させる。最遠部に移動した後、アームはそのホーム位置に戻り、次の層のための粉体を集積する。
【0005】
空間のために微細な形状で溶解及び凝固する、大量の粉体を使用することが重要である。過剰な粉体は、確実に粉体層が目標面を覆う。例えば、粉体リザーバから、又は上方に放出アームが位置された領域からである。加えて、この領域の寸法は調整できないが、拡張デバイス又は放出アームの長さによって決定される。加えて、各層の目標面を越えて投射する過剰な粉体を提供することが一般的であり、詳細には、全目標面が粉体層によって完全に覆われることを保証するのが一般的である。
【0006】
アームの後方への移動は、価値のない追加の動きであり、付加製造は層ごとの繰り返しプロセスであるため、バックストロークは、機械作動時間の大きい割合を占める一因となり、プロセス時間及びコストを増加させる。
【0007】
「Method and apparatus for prototyping a three-dimensional object」と題する米国特許第6375874号B1は、バインダ液体を粉体の増加する層に選択的に適用することによって、粉体から三次元物体を形成するプリンタを開示している。このバインダは、粉体の層を、メモリから提供された所望の物体の中実二次元断面に凝集させる。このプリンタは、デザリング技術及びハーフトーン技術を使用して、物体に陰影をつけることができ、カラー印刷することもできる。濾過システムは、飛散粉体を除去し、清潔な空気を再循環させる。このプリンタは、過剰粉体及び飛散粉体を管理するための、追加の特徴も含む。しかし、このシステムは、アームの後方の動きに関わる。
【0008】
「Automatic feeding and receiving device for 3D additive manufacturing」と題するCN108162400Aは、3D付加製造のための完全自動の供給及び受入デバイスを開示しており、手動操作による低効率及び誤操作の課題を、効果的に解決するために使用される。この発明は、2つの対称のコンベア・ベルト及び一対の対向する放射センサを備えた、3D付加製造のための完全自動の供給及び受入デバイスを提供する。一対の放射センサは、2つの対称のコンベア・ベルトに対で配置される。光ファイバ・センサは、コンベア・ベルトの端部に配設される。材料キャリアの印刷プラットフォームは合致され、印刷プラットフォームは、2つの対称のコンベア・ベルト間に埋め込むことができる。しかし、ベルト及びアームの動きは、1つの方向に限定されない。
【0009】
したがって、効率的な方法による、付加製造プロセスにおける粉体堆積機構の装置に対する要望が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6375874号B1
【特許文献2】CN108162400A
【発明の概要】
【0011】
本発明は、先行技術における欠点を克服し、付加製造プロセスにおける粉体堆積機構のための装置を提供する。
【0012】
1つの実施例において、装置は、順方向のみに移動するように構成された、少なくとも2つのベルト駆動サイクリック・アームを備える。サイクリック・アームの動きは、第1のアームが可動位置にあり、同時に第2のアームが静止位置にあるように動く。
【0013】
デュアル・ベルト駆動サイクリック・アームの順方向は、付加製造プロセスを加速する。さらに、サイクリック・アームの順方向の移動は、デブリ及び不純物が一方向のみに動き、コーティングのたびに処理ゾーンから取り出されることを保証する。プログラマブル論理制御装置(PLC)は、アームの動きを制御する。
【0014】
1つの実施例において、デュアル・リコータ・アームは、互いに平行である少なくとも2つのフレームを接続する。少なくとも1つの速度調整モジュールは、サイクリック・アームの速度を調整するように構成される。この速度調整モジュールは、サイクリック・アームの制限位置を検出する。複数の位置スイッチは、アームが制限位置、又は機械的要件による所定の位置に達したとき、信号を送信するように構成される。
【0015】
代替の実施例において、垂直ループは、垂直面及び水平面におけるリコーティング・アームを変換するように構成される。垂直ループは、自動リコータ・アーム変更機構の助けとなる。粉体床を有するビルド可動ビルト・プラットフォームは、堆積した粉体を集積するように構成される。ビルド可動プラットフォームは、デュアル・リコータ・アームに連結される。
【0016】
プラットフォームにおけるディスペンサは上下に動き、粉体をプラットフォームに拡散する。ディスペンサ・アップ機構は、ビルド・プラットフォームを下げること、粉体の分配、粉体のコーティング、及びレーザ溶融を含む。
【0017】
したがって本発明は、サイクリック・アームの後方ストロークを回避する。コストは軽減される。この設計は単純であるので、構築時間が減少される。
【0018】
本発明は、製造コストを軽減する。サイクリック・アームを係止する複雑さを軽減する。
【0019】
本発明は、複雑さ並びに製造コストを軽減させる。リコーティング中のビルド・プラットフォームのアクセス性は容易になる。本発明は、アームを完成させる部品数を最小に抑え、それは単純で容易な設定、及び安価をもたらす。本発明は一体構造であり、製造が安価である。
【0020】
実施例における前述及び他の特徴は、添付の図と共に、以下の実施例の詳細な説明から、より明確となる。図において、同様の参照番号は、同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】付加製造プロセスにおける粉体堆積機構のための装置を示す図である。
【
図2】本発明の1つの実施例による、ディスペンサ・アップ機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、それらの1つ又は複数の実例が図に示されている本発明の主題の説明を詳細に参照する。各実例は、主題を説明するために提供され、限定ではない。本発明に関連する当業者には明白である、様々な変化及び変更は、本発明の趣旨、範囲、及び意図内にあるものとする。
【0023】
本発明は、付加製造プロセスにおける粉体堆積機構のための装置を提供する。装置は、順方向のみに移動するように構成された、少なくとも2つのベルト駆動サイクリック・アームを備える。サイクリック・アームの動きは、第1のアームが可動位置にあり、同時に第2のアームが静止位置にあるように動く。プログラマブル論理制御装置(PLC)は、アームの動きを制御する。少なくとも1つの速度調整モジュールは、サイクリック・アームの速度を調整するように構成される。速度調整モジュールは、サイクリック・アームの制限位置を検出する。垂直ループは、垂直面及び水平面におけるリコーティング・アームを変換するように構成される。垂直ループは、自動リコータ・アーム変更機構の助けとなる。
【0024】
図1は、付加製造プロセスにおける粉体堆積機構のための装置を示す図である。1つの実施例において、少なくとも2つのベルト駆動サイクリック・アーム(101a、101b)は、順方向のみに移動するように構成される。サイクリック・アーム(101a、101b)の動きは、第1のアーム(101a)が可動位置にあり、同時に第2のアーム(101b)が静止位置にあるように動く。
【0025】
デュアル・ベルト駆動サイクリック・アーム(101a、101b)の順方向は、付加製造プロセスを加速する。サイクリック・アーム(101a、101b)の順方向の移動は、デブリ及び不純物が一方向のみに動き、コーティングのたびに処理ゾーンから取り出されることを保証する。
【0026】
プログラマブル論理制御装置(PLC)は、アーム(101a、101b)の動きを制御する。サイクリック・アーム(101a、101b)はベルト(107)に連結され、ベルト(107)は、モータに接続されたプーリによって駆動される。このモータは、駆動回路によって制御される。
【0027】
1つの実施例において、デュアル・リコータ・アーム(101a、101b)は、互いに平行である少なくとも2つのフレーム(102、103)を接続する。取り外し可能に装着された複数のブレードは、アーム(101a、101b)に取り付けられる。これら取り外し可能に装着されたブレードは、損傷を受けたブレードを容易に交換するのに役立つ。
【0028】
代替の実施例において、複数の位置スイッチは、アーム(101a、101b)が制限位置、又は機械的要件による所定の位置に達したとき、信号を送信するように構成される。これら位置スイッチは、PLCに接続される。ベルト(107)は、粉体床のタイミング制御を制御する。
【0029】
位置スイッチは、単純な電気デバイスであり、アーム(101a、101b)が制限位置、又は機械的要件による所定の位置に達したときに、信号をシステムに送信する。
【0030】
図2は、本発明の1つの実施例による、ディスペンサ・アップ機構を示す図である。1つの実施例において、垂直ループは、垂直面のリコーティング・アーム(101a、101b)を水平面に変換するよう、及びその逆に変換するように構成される。この垂直ループは、自動リコータ・アーム変更機構の助けとなる。
【0031】
アーム(101a、101b)の動きが水平面のみに限定された、他のシステムとは異なり、この垂直ループは、垂直面のリコーティング・アーム(101a、101b)を変換する。さらに、デュアル・アーム・システムは垂直面であるので、自動リコータ変更機構の助けとなる。
【0032】
堆積した粉体を集積するように構成された粉体床を備えた、ビルド可動ビルト・プラットフォームが提供される。ビルド可動プラットフォームは、デュアル・リコータ・アームに連結され、プラットフォームにおけるディスペンサは上下に動き、粉体をプラットフォームに拡散する。ディスペンサ・アップ機構は、ビルド・プラットフォームを下げること、粉体の分配、粉体のコーティング、及びレーザ溶融を含む。
【0033】
ディスペンサ・アップ機構は、粉体を分配するプロセスを備えたビルド・プラットフォームを含む。このプロセスは、粉体のコーティング及びレーザ溶融をさらに含む。
【0034】
したがって、本発明は、サイクリック・アームの後方ストロークを回避する。コストは軽減される。この設計は単純であるので、構築時間が減少される。
【0035】
本発明は、複雑さ並びに製造コストを軽減させる。リコーティング中のビルド・プラットフォームのアクセス性は容易になる。本発明は、アームを完成させる部品数を最小に抑え、それは単純で容易な設定、及び安価をもたらす。本発明は一体構造であり、製造が安価である。加えて本発明は、様々な媒体に適応させるために、サイズ及び寸法を変化させてもよい。しかし、上述の基本的な構造特徴は同じままとなる。
【0036】
本発明の多くの特徴及び利点は、詳細な明細書から明確であり、したがって添付の特許請求の範囲によって、本発明の趣旨及び範囲内にある、本発明の全てのこのような特徴及び利点を網羅するよう意図される。さらに、多くの変更及び変形が、当業者には容易に思い付くので、本発明を、例示及び説明された正確な構造及び動作に限定することは望ましくない。したがって、全ての好適な変更及び同等物は、本発明の範囲内にあるものと分類され得る。
【符号の説明】
【0037】
101(101a、101b) ベルト駆動サイクリック・アーム
102、103 フレーム
104 クランプ体
105 アイドラ
106 駆動
107 ベル
【国際調査報告】