(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】再構成された画像における歯をセグメント化する方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/14 20060101AFI20220112BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
A61B6/14 311
A61B6/03 373
A61B6/03 360J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545258
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(85)【翻訳文提出日】2021-06-09
(86)【国際出願番号】 US2019055760
(87)【国際公開番号】W WO2020077166
(87)【国際公開日】2020-04-16
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521154774
【氏名又は名称】ケアストリーム デンタル エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】508143775
【氏名又は名称】トロフィー エスアーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シルドクラウト ジャイ エス
(72)【発明者】
【氏名】チェン ショウプ
(72)【発明者】
【氏名】イングレーゼ ジーン-マルク
(72)【発明者】
【氏名】ルスタウナウ ヴィンセント
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA07
4C093CA13
4C093CA18
4C093CA23
4C093DA05
4C093EA07
4C093EA11
4C093FC24
4C093FC26
4C093FD09
4C093FF16
(57)【要約】
本開示は、2つ以上のエネルギーにおける多重エネルギーX線スペクトルおよび/または多重エネルギーX線スキャナを用いて、X線スキャンの再構成された画像における、半自動的および/または全自動的な、歯のセグメント化を改善する方法を述べる。このような、X線スキャンの再構成された画像における改善された歯のセグメント化は、歯科矯正、歯内療法、およびインプラント計画での用途のための画像の利用における、極めて重要な第1ステップである。方法によれば、歯のセグメント化は、多重エネルギーX線スキャンから再構成された画像に対して、半自動的または自動的に行われ得る。歯のセグメント化の結果は、歯の中にあるボクセルを識別する画像マップとして、または3次元(3D)格子、または3次元(3D)空間領域の任意の他の表示として表示され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の歯の3次元表示を作り出す方法であって、
a)2つ以上の異なるX線エネルギースペクトルにおけるX線スキャンデータを用いるステップと、
b)前記2つ以上のX線スキャンからの前記測定データを組み合わせるステップと、
c)1つ以上の3次元画像を形成するように、前記組み合わされたデータを再構成するステップと、
d)前記1つ以上の3次元画像内の歯をセグメント化するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記1つ以上の3次元画像は、低減されたビーム硬化アーチファクトを有することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記1つ以上の3次元画像は、低減された金属アーチファクトを有することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記1つ以上の3次元画像は、低減された散乱アーチファクトを有することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記スキャンデータは、エネルギー弁別検出器を用いて捕捉されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記スキャンデータは、エネルギー弁別光子計数検出器を用いて捕捉されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記スキャンデータは、異なる電圧を有するX線発生源を用いて捕捉されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記スキャンデータは、異なるフィルタ作用を有するX線発生源を用いて捕捉されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、異なるX線スペクトルの2つ以上のスキャンからのデータの組み合わせを修正するために、前記歯のセグメント化結果が評価されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線イメージングの分野に関し、より詳細には、再構成された画像における歯をセグメント化するために多重エネルギーX線スキャンを用いることに関する。
【背景技術】
【0002】
X線スキャンの再構成された画像における歯のセグメント化(セグメンテーション)は、歯科矯正、歯内療法、およびインプラント計画での用途のための画像の利用における、極めて重要な第1ステップである。歯のセグメント化は、X線スキャンの3次元(3D)の再構成された画像における歯に属するまたはそれに対応する、ボクセルを識別する。より具体的には、歯のセグメント化は、歯を含む画像の一部を識別すること、画像内の個別の歯を識別すること、および画像内の歯の部分を識別することができる。異なる歯科用途は異なるレベルのセグメント化を必要とし、歯のセグメント化は、人とのわずかな相互作用(インタラクション)を必要として、または必要とせずに、できるだけ自動的であることが極めて望ましい。
【0003】
残念ながら、X線スキャンの再構成における歯のセグメント化は非常に難しい。現在、すべての場合において全自動的に歯をセグメント化することは不可能である。これには一般に2つの理由がある。第1に、歯根と周囲の歯槽骨とを区別することは、それらが同様な物質組成を有するので難しい。第2に、再構成はビーム硬化(ビーム・ハードニング)、金属の存在、および散乱による、アーチファクトを有し、これらは再構成された画像において、均一の物質組成の物質が、不均一に見えるようにする。
【0004】
従って、当業界において、本明細書で述べられる難点および他の関連する難点を解決する、X線スキャンの再構成された画像における歯をセグメント化するための改善された半自動的および全自動的方法に対する必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
例示的な実施形態により総括的に述べれば、本発明は、多重エネルギーX線スペクトルおよび/または多重エネルギーX線スキャナを用いて1つ以上の歯の、3次元(3D)のセグメント化された表示を作り出す方法を含む。方法によれば、歯のセグメント化は、多重エネルギーX線スキャンから再構成された画像に対して、自動的または半自動的に行われ得る。歯のセグメント化の結果は、いくつかのやり方で表示され得る。例えば、歯のセグメント化結果は、歯の中にあるボクセルを識別する画像マップとして表示され得る。あるいは、歯のセグメント化結果は、3次元(3D)格子、または3次元(3D)空間領域の任意の他の表示の形で表示され得る。
【0006】
本明細書の例示的な実施形態は、本発明を二重X線スペクトルスキャナおよび二重X線スペクトルに関連して述べるが、他の例示的な実施形態は、複数のX線スペクトルスキャナおよび2つより多いX線スペクトルの使用を含む。従って、本発明の範囲は、二重(デュアル)X線スペクトルスキャナまたは二重X線スペクトルに限定されない。二重(デュアル)エネルギースキャンは、スキャンの間に発生源電圧および/またはX線発生源のフィルタ作用を変化させる(高速スイッチング)、または異なる発生源電圧および/またはフィルタ作用を用いて2つの別々のスキャンを行うことによって行われ得る。あるいは、二重エネルギースキャンは、2つの異なる発生源および検出器を用いて同時に行われ得る。本発明の1つの例示的な実施形態は、少なくとも2つのエネルギービンを有するエネルギー弁別(ディスクリミネ―ティング)光子計数検出器を含み、それを用いる。
【0007】
X線スキャンの測定データは、検出器の各ピクセルの露出値である。露出値は、光子が発生源から検出器までの直線に沿って移動するのに従ったX線減衰に関連する。測定データは、一般に、それが画像再構成のために用いられる前に、X線発生源不均一性、ならびに検出器応答(フラットフィールド補正)および検出器欠陥に対して補正される。すべての検出器ピクセルにおける測定データは、それが検出器上への対象物の放射線投影であるので、しばしばX線投影と呼ばれる。スキャンは、異なる発生源および検出器位置における一連の投影からなる。しばしば発生源および検出器は回転軸(AOR:axis-of-rotation)の周りに移動する。患者は、AORが関心領域(ROI:region-of-interest)の中心に配置されるように位置決めされる。歯科用途には、ROIは通常、歯列弓内である。二重エネルギーの場合、投影の2つのセットが収集される。2つの投影セットは、同じまたは異なるX線経路(発生源/検出器位置)に対するものとすることができる。
【0008】
本発明の方法は、セグメント化がわずかな人的介入で、または介入なしに行われ得るように、歯のセグメント化プロセスの前またはその間に、スキャンデータを処理する能力をもたらすので有利である。これは、少なくとも部分的に、および単独でまたは組み合わせで、歯と、軟組織および骨などのスキャンされる対象物内の他の物質との間のコントラストを増加させるように二重エネルギーデータを再構成することによって、スキャンされる物質を通って伝搬するのに従った、X線スペクトルの変化(ビーム硬化)によって引き起こされるアーチファクトを低減することによって、金属および他の高密度物質の存在によって引き起こされる光子枯渇(フォトン・スタベーション)およびビーム硬化によるアーチファクトを低減することによって、およびX線散乱によって引き起こされるアーチファクトを低減することによって達成される。
【0009】
また、本発明の方法は、2つのX線スペクトルのそれぞれにおける別々の再構成と比べて歯のセグメント化により良く適した画像をもたらすように、2つのX線スペクトルにおける測定されたスキャンデータを組み合わせること、または2つのX線スペクトルにおけるスキャンデータの再構成を組み合わせることを含むので有利である。さらに、方法は、二重スペクトルデータの有用性を最適化するように、二重エネルギースキャンデータを、歯のセグメント化プロセスに組み込む能力をもたらす。
【0010】
本発明の方法の他の利点および恩恵は、以下に含まれる例示的な実施形態の詳しい説明を考察することで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】1A、1B、および1Cは、セグメント化された領域の外形に対応する輪郭に沿った歯の再構成のスライスの画像を示す図である。
【
図2】2A、2Bは、金属充填物を有する歯の再構成のスライスの画像を示す図である。
【
図3】患者に対して位置決めされたX線スキャナの概略図である。
【
図4】本発明の第1の例示的な実施形態による、歯のセグメント化の方法のフローチャート表示を示す図である。
【
図5】本発明の第2の例示的な実施形態による、歯のセグメント化の方法のフローチャート表示を示す図である。
【
図6】本発明の第3の例示的な実施形態による、歯のセグメント化の方法のフローチャート表示を示す図である。
【
図7】本発明の例示的な実施形態による、歯のセグメント化の品質を評価する方法のフローチャート表示を示す図である。
【
図8】歯のセグメント化結果にセグメント化不足があるかどうかを決定する方法のフローチャート表示を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書では本発明の方法は、いくつかの例示的な実施形態に関して、およびいくつかの図を通して同様な番号は同様な要素またはステップに対応する図面を参照して述べられる。本発明の方法は様々な例示的な実施形態に関して述べられるが、本発明の方法は他の例示的な実施形態において存在することができ、利用され得ることが理解され、認識されるべきである。
【0013】
図1(1A、1B、および1C)は、本発明の方法によって解決される2つの問題を示す画像100、110、120を示す。画像100は、歯列弓のコーンビームスキャンの再構成のスライスである。歯根102および周囲の骨104は、この画像では同一に見える。画像110は、歯根102のセグメント化の結果を示す。歯根102と骨104とを区別できないので、セグメント化は失敗し、セグメント化された領域は歯根102だけでなく、骨104および隣接の歯106の歯根も含む。
【0014】
図1Cの画像120は、セグメント化された領域の外形である輪郭124と共に、歯122の再構成のスライスを示す。歯の領域126は、再構成において歯122を不均一に見えるようにするイメージングアーチファクトにより、セグメント化された領域からなくなっている。この場合、画像アーチファクトはビーム硬化によって引き起こされ得る。
【0015】
図2を参照すると、画像200は、金属充填物204を含む歯202を有する再構成のスライスである。歯206の暗いエリアは、金属充填物によって引き起こされるアーチファクトである。画像220は、歯202および隣接の歯のセグメント化の結果の3次元(3D)表示である。歯222のセグメント化は、再構成において存在する金属アーチファクトのために、少なくとも1つの歯根がなくなっている。
【0016】
図3はX線スキャナを示す。発生源300からのX線は、コリメータ302およびフィルタ310を通過する。フィルタ310はX線エネルギースペクトルを修正し、発生源の電圧の修正と共に、X線スペクトルを選択するために用いられ得る。X線は、患者の頭部304内の歯列弓関心領域(ROI)308を通過し、検出器306に入射する。スキャンを行うために、しばしば発生源および検出器は、AOR312の周りに回転される。しかし、ときには他の発生源および検出器軌跡が用いられる。検出器306がエネルギー弁別光子計数検出器である場合は、二重エネルギースキャンは実際は単一のスキャンである。そうでない場合、発生源300の電圧およびフィルタ310は、単一のスキャン内で、または2つのスキャンを行うことによって変更される。二重エネルギースキャンの本質的な成果は、異なるX線スペクトルに対する投影の2つのセットであり、これはROIの3次元(3D)画像を再構成するために用いられ得る。
【0017】
本発明の1つの例示的な実施形態は、
図4に示される。本発明の説明のために、低エネルギースキャン400および高エネルギースキャン402における、二重エネルギースキャンが述べられる。これは、スキャン400の平均X線光子エネルギーは、スキャン402より低いことを意味する。エネルギー弁別光子計数検出器を用いたスキャンの場合、スキャン400は、低エネルギービンにおける光子カウントであり、スキャン402は、高エネルギービンにおける光子カウントである。低エネルギースキャンデータ404および高エネルギースキャンデータ406は、ステップ408で組み合わされる。ステップ408の目的は、ステップ410でデータが再構成されたとき、再構成が、低減されたアーチファクトおよび増加された物質コントラストを有するように、低および高エネルギースキャンデータを組み合わせることである。例えば、低エネルギーa
Lおよび高エネルギーa
Hスキャンデータは、多項式関数
【数1】
および
【数2】
を用いて組み合わされることができ、ただし多項式の係数C
ijは、歯のセグメント化ステップ412を可能にするように選択される。
【0018】
ステップ408で、低および高データは、いくつかの異なるやり方で組み合わされ得る。具体的には、データは、歯根と周囲の歯槽骨との間のコントラストを強化するように組み合わされる。データは、別のやり方で、歯と、周囲の歯茎などの軟組織との間のコントラストを強化するように組み合わされ得る。1つの例示的な実施形態において、p1およびp2は、2つの素地に対する物質密度の線積分に対応する。画像分解のための好ましい素地は、軟組織およびヒドロキシアパタイトであるが、他の物質も用いられ得る。
【0019】
異なる物質の間のコントラストは、再構成における物質のコード値の差だけでなく、各物質のコード値における変化およびノイズにも関係することが理解されるべきである。2つの物質の間のコントラストの1つの尺度は、物質のコード値の分布の間のマハラノビス距離である。
【0020】
組み合わされたスキャンデータ408は、ステップ410で、アーチファクトが低減された、および好ましくはアーチファクトがない再構成を作成するために用いられる。本発明の1つの例示的な実施形態において、この再構成は仮想的単色再構成であり、これはそれが単色X線発生源を用いたスキャンから再構成されたかのように見えることを意味する。このような再構成は、ビーム硬化アーチファクトがない。また、単色エネルギーは、後続のセグメント化ステップ412を可能にするために、歯、骨、および軟組織などの物質を差別化する能力を最大化するように設定され得る。
【0021】
ステップ412で、再構成における1つ以上の歯がセグメント化される。これは、各歯が周囲の骨および組織から、および他の歯から区別されることを意味する。これはまた、歯冠、エナメル質、象牙質、歯頸、歯髄、および歯根を含む歯の個々の部分をセグメント化することを含み得る。このステップは、ニューラルネット、クラスタリング、動的輪郭、スネーク、閾値化、およびレベル設定を含む、任意の画像セグメント化方法を用い得る。このステップの結果は歯の3次元(3D)表示414であり、これは3次元(3D)画像マスク、表面マップ、メッシュ、または空間内の領域を表示する任意の他の手段の形をとり得る。
【0022】
図5は、本発明の他の例示的な実施形態を示す。本発明のこの例示的な実施形態は、低および高エネルギースキャンが、対象物を通る異なるX線経路に対応するときに最も適している。低エネルギースキャン500は、低エネルギースキャンデータ504を作り出し、高エネルギースキャン502は、高エネルギースキャンデータ506を作り出す。低エネルギースキャンデータはステップ508で、高エネルギースキャンデータはステップ510で再構成される。ステップ512で、低および高エネルギー再構成は、歯のセグメント化ステップ514を容易にするために組み合わされ、これは結果として歯の3次元(3D)表示516を生じる。
【0023】
歯科医療のためのX線スキャンの用途ではしばしば、一般に歯列弓内に位置する、ROIのみがスキャンされる。すべての投影においてこのROIのみが現れ、完全に再構成され得る。この状況を説明する別のやり方は、スキャンされた対象物のすべてをイメージングするために、投影がより大きくなることが必要になるので、X線投影は切り取られるということである。この状況において、ビーム硬化補正、散乱除去、および金属アーチファクト低減を含む、再構成アーチファクト低減の方法の多くは適用することが困難であり、なぜなら、スキャンされた対象物の一部、しばしば殆どは、投影の少なくともいくつかに対してX線は通過するのでアーチファクトに寄与するが、未知であるからである。
【0024】
本発明の方法は、歯のセグメント化を容易にするためにスキャンデータおよび/または再構成の処理が修正され得るように、歯のセグメント化の品質を評価するための、および2つ以上のエネルギーでのスキャンデータまたは再構成がそこで組み合わされるステップに結果をフィードバックするためのやり方を含めることによって、切り取られた投影の場合であっても多重エネルギースキャンを用いて歯のセグメント化を改善する。
【0025】
図6を参照すると、低エネルギースキャン600および高エネルギースキャン602が行われて、低エネルギー604および高エネルギー606スキャンデータを生成する。組み合わされたスキャンデータは、ステップ608で処理され、ステップ610で再構成される。ステップ612での歯のセグメント化の品質は、ステップ613で評価され、結果はステップ608に入力され、そこでスキャンデータはセグメント化結果を改善するように再処理される。
【0026】
ステップ613は、多くの異なる形をとることができる。以下で2つの例示的な実施形態が詳しく述べられるが、このステップの本質は、歯のセグメント化の品質の尺度をもたらすことである。ステップ613は、いくつかの品質尺度を含み得る。
図7は、再構成において歯が適切にセグメント化されているかどうかを決定する、画像均一性品質評価方法を示す。そうでない場合は、ステップ608および610は、例えば、ビーム硬化および金属アーチファクト補正を改善するように修正される。
【0027】
図7は、ステップ613内で生じるステップの例を示す。これらのステップは、歯が通常は形状において凸面である事実に基づく。セグメント化結果が凹面である場合、これは二重エネルギースキャンデータが、アーチファクトを除去するように十分に処理されなかったことを示す。ステップ700で、セグメント化された歯の凸面性(コンベックス性)の程度が計算される。凸面性が十分に低い場合は、セグメント化プロセスは完了し、さらなる処理は必要ない。そうでない場合は、ステップ702で凹面領域が識別される。
図1Bの輪郭124は、セグメント化過剰を示す凹面領域の例に対応する。凹面領域はまた、複数の歯が単一の歯としてセグメント化されるセグメント化不足を示し得る。ステップ704で、セグメント化された領域の内側および外側の1つ以上の再構成のコード値分布が評価される。本発明の1つの例示的な実施形態において、再構成は仮想的単色再構成である。コード値分布の差は、ステップ608でのスキャンデータ処理が、ビーム硬化アーチファクトが全くない仮想的単色再構成を作り出すためには十分でなかったことを示し得る。ステップ706で、追加のスキャンデータ処理が必要かどうかが決定される。凸面のセグメント化された領域は、歯が複数の歯根内に形成している位置に対応することがあり得る。不十分なアーチファクト除去による凹面性(コンケーブ性)と、歯の形状の変化とを区別することは、このステップの一部である。
【0028】
再構成コード値は、いくつかの形をとり得ることが理解されるべきである。コード値は、cm-1を単位とするX線減衰係数とすることができる。あるいは、コード値はハウンスフィールド単位とすることができる。また、切り取られた投影が再構成されるときにしばしばそうであるように、コード値はスキャンされる対象物の物理的性質の測定単位にはなり得ない場合があるが、それでもなお歯のセグメント化のために有用である。
【0029】
図8は、場合によっては
図7の処理ステップと並行して、ステップ613内で生じるまたはそれを形成することができるステップの別のセットを示す。
図8のステップは、
図1の画像110に示されるセグメント化不足問題を低減することを対象とする。ステップ800で、軸方向の隣接のスライスにおける歯のセグメント化が比較される。例えば、ソレンセン-ダイス係数によって測定されるような、セグメント化における大きな変化は、歯のセグメント化が周囲の骨に延びている場合がある、または複数の歯が1つにセグメント化されていることを示し得る。ステップ802で、セグメント化不足の領域が識別される。ステップ806で、追加の処理が必要かどうかが決定される。そうである場合、物質の差別化を増強するように、ステップ608、610、および612が繰り返される。
【0030】
本発明について詳しく、および例示的な実施形態への特定の参照によって述べられたが、本発明の思想および範囲内で、変更および変形が可能であることが理解されるべきである。本開示の例示的な実施形態は、従って、すべての点において例示的であり、限定するものではないものと考えられる。本発明の範囲は、添付の「特許請求の範囲」によって定義され、それらの等価なものの意味および範囲内であるすべての変更または変形は、それに包含されることが意図される。
【国際調査報告】