(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】圧縮強度が改善されたシート状複合材部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 5/08 20060101AFI20220112BHJP
B29C 70/10 20060101ALI20220112BHJP
B29C 70/30 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
B32B5/08
B29C70/10
B29C70/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545317
(86)(22)【出願日】2019-10-10
(85)【翻訳文提出日】2021-04-30
(86)【国際出願番号】 EP2019077547
(87)【国際公開番号】W WO2020074678
(87)【国際公開日】2020-04-16
(32)【優先日】2018-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521151739
【氏名又は名称】ミツビシ ケミカル アドバンスド マテリアルズ ナームローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI CHEMICAL ADVANCED MATERIALS NV
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ゾグ、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】モンテネグロ、ダヴィ
(72)【発明者】
【氏名】バセル、ブラク
【テーマコード(参考)】
4F100
4F205
【Fターム(参考)】
4F100AA37A
4F100AA37C
4F100AC00A
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4F100AK55C
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4F100AK57A
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4F100AK57C
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA06
4F100DG01A
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4F205AC03
4F205AD05
4F205AD08
4F205AD16
4F205AG03
4F205HA08
4F205HA14
4F205HA25
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4F205HA45
4F205HB01
4F205HB11
4F205HC06
4F205HF05
4F205HL16
4F205HM13
4F205HT13
4F205HT16
4F205HT26
(57)【要約】
シート状複合材部品を製造する方法は、以下のプロセスステップ:a)一対のスキン層(A,A’)の間に挟まれたコア層(B)を含む実質的に平面の配置(A,B,A’)を提供することであって、コア層の第1の面は、スキン層の第1の層(A)に隣接し、かつ実質的に平行であり、コア層の第2の面は、スキン層の他方の層(A’)に隣接し、かつ実質的に平行であり、各スキン層(A,A’)はスキン熱可塑性プラスチック及び任意の強化繊維を含み、コア層(B)はフリース熱可塑性プラスチック繊維及び強化繊維からなるフリース材料を含む提供することと;b)サンドイッチ配置(A,B,A’)を加熱及び加圧した後に冷却して複合材部品を得ることと、を含む。複合材部品の圧縮強度を向上させるために、コア層(B)は、第1及び第2の面に垂直な配向方向(Z)に主として配向された強化繊維を有するZ配向コア層である。Z配向コア層を提供するための方法はコアストライプの反転を含み、それにより、主に面内繊維方向を再配向する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のプロセスステップを含むシート状複合材部品を製造する方法において、前記方法は:
a)一対のスキン層(A,A’)の間に挟まれたコア層(B)を含む実質的に平面的な配置(A,B,A’)を提供することであって、前記コア層の第1の面は、前記スキン層の第1の層(A)に隣接し、かつ前記第1の層(A)と実質的に平行であり、前記コア層の第2の面は、前記スキン層の他方の層(A’)に隣接し、かつ前記他方の層(A’)と実質的に平行であり、前記スキン層(A,A’)はそれぞれ、スキン熱可塑性プラスチックおよび任意選択的に強化繊維を含み、前記コア層(B)は、フリース熱可塑性プラスチック繊維および強化繊維からなるフリース材料を含む、提供することと、
b)サンドイッチ配置(A,B,A’)を加熱および加圧した後に、冷却して複合材部品を得ることと、
を含み、
前記コア層(B)は、前記第1の面および前記第2の面に垂直な配向方向(Z)に優先的に配向される強化繊維を有するZ配向コア層であることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記Z配向コア層(B)は、
i)上面、下面、およびシートの厚さ(T)を備えた、少なくとも一つの予備一体化された低重量の強化熱可塑性プラスチックのシートを提供することと、
ii)前記シートを、各々がストライプ長さ(L)およびストライプ幅(W)を有する複数の実質的に一致したコアストライプに切断することであって、各コアストライプは、前記シートの厚さ(T)に対応するストライプ厚さだけ離間した上面部分および下面部分を含む、切断することと、
iii)前記コアストライプを、任意に分離層を挟んで表裏一体に配置し、それにより前記ストライプ長さ(L)に対応するスタック長さ(L
stack)、前記ストライプ幅(W)に対応するスタック高さ(H
stack)、および前記ストライプの厚さ(T)の倍数に対応するスタック幅(W
stack)を有するコアスタックを形成することと、
任意にステップi)~iii)を繰り返して、さらなるコアスタックを形成することと、
により形成され、
それにより、前記少なくとも1つのコアスタックが、表面層(A)および(A’)に適用して後続のプロセスステップb)のために前記サンドイッチ配置(A,B,A’)を形成するための露出した第1および第2の面を有する前記Z配向コア層を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記分離層が補強布である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記Z配向コア層が単一のコアスタックを含む、請求項2または請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記Z配向コア層が少なくとも2つのコアスタックを含み、前記コアスタックが任意に異なるスタック高さ(H
stack1,H
stack2)を有する、請求項2または請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのコアスタックが、異なる組成のコアストライプを含む、請求項2~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記予備一体化された低重量の強化熱可塑性プラスチックは、35~80重量%の強化繊維含有量および20~80体積%の空隙含有量を有する、請求項2~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記コアストライプは、続くスキン層(A,A’)を適用してプロセスステップb)を実行するためにコアスタックに配置される前に、加熱される、請求項2~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
加熱されていないコアストライプをコアスタックに配置し、続いてスキン層(A,A’)を適用し、プロセスステップb)を実行する、請求項2~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記強化繊維が、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、玄武岩繊維、天然繊維、および高融点熱可塑性プラスチック繊維から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記フリース熱可塑性プラスチックおよび前記スキン熱可塑性プラスチックが、PP、PEI、PES、PSU、PPSU、PPA、PPO、PEEK、PPS、PA、PEAK、PEKKおよびPCから独立して選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つのスキン層(A,A’)は、織布、非圧着布、または一方向繊維配置からなる補強シートを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
処理ステップb)の前に提供される前記コア層(B)は、250~10000g/m
2の面積重量を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮強度が改善されたシート状複合材部品を製造する新規な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維強化熱可塑性プラスチックから形成された複合材部品は多くの技術分野で広く使用されている。
例えば、特許文献1には、第1および第2のスキン層を有する発泡体コアを含む複合材部品が開示されており、第1および第2のスキン層はそれぞれ、発泡体コアの第1の面および第2の面上で同発泡体コアに結合されている。同様に、特許文献2には、ガラス含有量が20~60重量%で空隙含有量が5体積%未満のガラス繊維強化ポリプロピレン製の厚さ0.5~5mmの1つまたは2つのスキン層と、ガラス含有量が35~80重量%で空隙含有量が20~80体積%のガラス繊維強化ポリプロピレン製の厚さ2~40mmのコア層とを含む、曲げ剛性の複合材シートが開示されている。このような多孔性コアシートは、特許文献3に詳細に記載されているように、ポリプロピレン繊維およびガラス繊維の乾式混合、混合された不織布のニードリング、および熱プレスによって形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2015/117799A1号
【特許文献2】国際公開第2006/133586号
【特許文献3】国際公開第2006/105682A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
永久的な課題は、重量を可能な限り小さく保ちながら機械的特性を最適化することである。多くの場合、比較的厚いコア層を有する製造プロセスを実施することが望ましいであろう。コア層の厚さの単純なスケールアップは、スキン層が熱プレス工程にて適用されている瞬間に十分な圧縮強度を提供しない最初は柔らかなコア層であるといった欠点をもたらす。従って、改善された圧縮強度を有するコア層を含む改良された製造プロセスを提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、以下のプロセスステップを含むシート状複合材部品(composite part)の製造方法が提供される:
a)一対のスキン層(A,A’)の間に挟まれたコア層(B)を含む実質的に平面的な配置(A,B,A’)を提供することであって、前記コア層の第1の面は、前記スキン層の第1の層(A)に隣接し、かつ同第1の層(A)と実質的に平行であり、前記コア層の第2の面は、前記スキン層の他方の層(A’)に隣接し、かつ同他方の層(A’)と実質的に平行であり、前記スキン層(A,A’)はそれぞれ、スキン熱可塑性プラスチックおよび任意選択的に強化繊維を含み、前記コア層(B)は、フリース熱可塑性プラスチック繊維および強化繊維からなるフリース材料を含む、提供すること、
および
b)サンドイッチ配置(A,B,A’)を加熱および加圧した後に、冷却して複合材部品を得ること。
【0006】
「スキン層(skin layer)」という用語は、最も広い用語では、内部構造またはコア構造に取り付けられた表面層を指すものと理解されるものとする。上側スキン層および下側スキン層は、厚さが同じであっても、同じでなくてもよい。スキン層の各々は、分かりやすくするために、本明細書においては「スキン熱可塑性プラスチック(skin thermoplastic)」と称される熱可塑性プラスチック材料を含む。さらに、各スキン層は、任意に強化繊維を含む。
【0007】
コア層は、熱可塑性プラスチック繊維(thermoplastic fibers)および強化繊維からなるフリース材料から形成される。わかりやすくするために、本明細書においては熱可塑性プラスチック繊維を構成する材料を「フリース熱可塑性プラスチック(fleece thermoplastic)」と称することにする。
【0008】
コア層を構成するものとしての繊維強化熱可塑性プラスチックフリース材料は、多くの技術分野において、特に有利な構造特性を有する軽量発泡体部品を製造するために広く使用されている。それらは通常、十分に確立されたカーディング(carding)技術またはエアレイイング(air-laying)技術を用いて製造され、基本的にシートとして形成される。製造プロセスの結果として、このようなフリース材料の繊維は、主にシート面内、すなわち「X-Y平面」として定義され得る面内に配向される。フリース材料をシート面に垂直な方向にニードリングすること(needling)は、Z方向に配向される強化繊維の量をわずかに増加させることが知られているが、再配向の効果は比較的小さく、したがって、X-Y配向が支配的なままである。
【0009】
しかしながら、本発明に従って、コア層Bは、第1の面および第2の面に垂直な配向方向Zに優先的に配向した強化繊維を有するZ配向コア層である。このようにして、実質的に改善された圧縮強度が達成される。
【0010】
上述の特徴「優勢なZ配向(predominant Z-orientation)」、すなわち前記第1の面および第2の面によって定義されるX-Y基準平面に垂直な優勢なZ配向は、優先的な配向の第2の方向、すなわちYなどの1つの特定の面内方向(in-plane direction)を排除するものではないことが強調されるべきである。しかしながら、確かに、等方性の状況と比較してZ方向が優勢であることを意味する。
【0011】
有利な実施形態(請求項2)によれば、Z配向コア層(B)は:
i)上面、下面、およびシートの厚さ(T)を備えた、少なくとも一つの予備一体化された(pre-consolidated)低重量の強化熱可塑性プラスチックのシートを提供することと;
ii)シートを、各々がストライプ長さ(L)およびストライプ幅(W)を有する複数の実質的に一致したコアストライプに切断することであって、各コアストライプは、前記シート厚さ(T)に対応するストライプ厚さだけ離間した上面部分および下面部分を含む、切断することと;
iii)コアストライプを、任意に分離層を挟んで表裏一体に配置し、それにより、前記ストライプ長さ(L)に対応するスタック長さ(Lstack)、前記ストライプ幅(W)に対応するスタック高さ(Hstack)、および前記ストライプ厚さ(T)の倍数に対応するスタック幅(Wstack)を有するコアスタックを形成することと;
任意にステップi)~iii)を繰り返して、さらなるコアスタックを形成することと;
によって形成され、
それにより、前記少なくとも1つのコアスタックが、後続のプロセスステップb)のために、表面層(A)および(A’)に適用して前記サンドイッチ配置(A,B,A’)を形成するための、露出した第1および第2の面を有する前記Z配向コア層を形成する。
【0012】
簡単に言えば、コアストライプの回転は幾何学的な再配向をもたらし、その結果、前記所望の優勢なZ配向がもたらされる。
「実質的に一致した(substantially congruent)」という用語は、互いに隣接して配置されるコアストライプの各対が、互いに一致する実質的な表面部分を有するという意味で理解されるべきである。それは、一方の部材または対が他方よりも大きな表面を有し、したがって非接触部分を残す可能性を含まなければならない。これにより、厚さが一定ではないサンドイッチ配置を形成することができる。
【0013】
一実施形態(請求項3)によれば、分離層、特に補強布がステップiii)で適用される。
一実施形態(請求項4)によれば、Z配向コア層は、単一のコアスタックを含む。
【0014】
別の実施形態(請求項5)によれば、Z配向コア層は、任意に異なるスタック高さ(Hstack1,Hstack2)を有する少なくとも2つのコアスタックからなる。
さらなる実施形態(請求項6)によれば、少なくとも1つのコアスタックは、異なる組成のコアストライプを含む。
【0015】
特に有利な実施形態(請求項7)によれば、予備一体化された低重量の強化熱可塑性プラスチックは、35~80重量%の強化繊維含有量および20~80体積%の空隙含有量を有する。
【0016】
一実施形態(請求項8)によれば、コアストライプは、続いてスキン層(A,A’)を適用し、プロセスステップb)を実行するためにコアスタックに配置される前に、加熱される。
【0017】
代替的な実施形態(請求項9)によれば、未加熱のコアストライプをコアスタックに配置し、続いてスキン層(A,A’)を適用し、プロセスステップb)を実行する。
繊維強化熱可塑性プラスチックの分野で知られているように(請求項10)、強化繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、玄武岩繊維および天然繊維を含むがこれらに限定されない多種多様なものから選択することができる。あるいは、強化繊維は、高融点熱可塑性プラスチック、すなわち、熱プレスステップの処理温度で溶融しない材料から作製され得る。有利な実施形態によれば、強化繊維はガラス繊維である。
【0018】
フリース熱可塑性プラスチックおよびスキン熱可塑性プラスチックは、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルホン(PPSU)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリフェニレンエーテル(PPO)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアミド(PA)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)およびポリカーボネート(PC)などの種々の公知のポリマーから独立して選択することができる(請求項11)。有利には、フリース熱可塑性プラスチックおよびスキン熱可塑性プラスチックは、同一または相互に互換性のある熱可塑性ポリマーである。
【0019】
多くの有利な実施形態において、強化繊維は炭素繊維であり、フリース熱可塑性プラスチックおよびスキン熱可塑性プラスチックはPP、好ましくはメルトフローインデックスMFI(230℃、2.16kg)が5~500g/10分、好ましくは10~200g/10分のポリプロピレンである。
【0020】
特定の実施形態(請求項12)において、少なくとも1つのスキン層(A,A’)は、織布、非圧着布、または一方向繊維配置からなる補強シートを含む。
用途に応じて、プロセスステップb)の前に提供されるコア層(B)は、250~10000g/m2の面積重量を有する(請求項13)。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】従来技術に従って処理される配置を斜視図として示す。
【
図2】
図1の配置のコア層を同じく斜視図として示す。
【
図3】第1の実施形態に従って処理される配置を斜視側面図として示す。
【
図4】
図3と同様の配置であるが、3つのコアストライプのみを備えている配置を斜視縦断面図として示す。
【
図5】非同一のコアストライプを有する第2の実施形態に従って処理される配置を斜視縦断面図として示す。
【
図6】コアストライプ間に分離層を有する第3の実施形態に従って処理される配置を斜視縦断面図として示す。
【
図7】同一でないコアストライプ高さを有する第4の実施形態に従って処理される配置を斜視縦断面図として示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の上記および他の特徴および目的、ならびにそれらを達成する方法は、より明らかになり、本発明自体は、添付の図面に関連した本発明の様々な実施形態の以下の説明を参照することによってよりよく理解されるであろう。
【0023】
図は必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではないことが理解されよう。場合によっては、視覚化を容易にするために相対寸法が実質的に歪むことがある。様々な図面における同一または対応する特徴は、一般に、同じ参照番号で示される。
【0024】
従来技術に従うシート状複合材部品の製造方法を
図1および2に示す。
図1に一般的に示されるように、この方法は、一対のスキン層、すなわち上部スキン層Aと下部スキン層A’との間に挟まれたコア層Bを含む実質的に平面の配置(A,B,A’)を提供することから始まる。図示されている例において、コア層Bは、互いに積み重ねられた2つの別個の層B1およびB2で構成されている。
【0025】
コア層Bの第1の面は、上部スキン層Aに隣接しかつ実質的に平行であるのに対し、コア層の第2の面は、下部スキン層A’に隣接し、かつ実質的に平行である。
2つのスキン層AおよびA’はそれぞれ、スキン熱可塑性プラスチックおよび任意の強化繊維を含む。コア層B、すなわち別個の層B1およびB2のそれぞれは、フリース熱可塑性プラスチック繊維からかるフリース材料Fを含み、さらに強化繊維R1、R2などを含む。
【0026】
図2に示すように、各コア層における強化繊維R1、R2などの配向は、主に層平面、すなわち方向ベクトルXおよびYがまたがる平面にある。より正確には、強化繊維は、それらの長手方向の繊維方向が面外方向Zに実質的な成分を有することのないように配向される。このことは、湾曲した繊維にも適用されることに留意されたい。この場合、繊維に沿った任意の点において局所的な繊維方向を考慮しなければならない。
【0027】
本発明の基本的な概念が、
図3および
図4に示されている。
図1および
図2に示した状況とは対照的に、コア層の面に垂直な方向成分、すなわち面外方向Zに沿った方向成分を有する強化繊維R1、R2などが相当量存在することになる。
図3および
図4に示した例では、コア層Bが、全てが
図2に例示したコア層に用いたものと同一または類似の材料からなる複数の実質的に一致したコアストライプB1、B2、B3などによって構成されていることによって、これが達成される。しかしながら、
図1に示した配置とは対照的に、コアストライプは、その平面がスキン層AおよびA’に対して垂直になるように配向されている。これは、各コアストライプを90°反転させることで実現している。
【0028】
より具体的には、
図3および
図4に示す配置のZ配向コア層Bは、以下の方法で形成することができる。最初に、上面、下面、およびシートの厚さTを備えた予備一体化された低重量の強化熱可塑性プラスチック(「LWRT」とも称される)を提供する。その後、このシートを、各々が、ストライプ長さLおよびストライプ幅Wを有し、シートの厚さTに対応するストライプの厚さだけ離れた上面部および下面部をさらに含む、複数の実質的に一致したコアストライプに切断する。次にコアストライプを表裏一体に配置し、それにより、ストライプ長さLに対応するスタック長さL
stack、およびストライプ幅Wに対応するスタック高さH
stackを有するコアスタックが形成される。明らかに、スタックは、個々のストライプの厚さTの倍数に対応するスタック幅W
stackを有している。このようにして得られたコアスタックは、スキン層AおよびA’を適用するための露出した第1および第2の面を有するZ配向コア層を形成する。
【0029】
このようにして得られたサンドイッチ配置A、B、A’は、次に、加熱およびプレス工程、続いて冷却に供し、それにより、優れた圧縮強度特性を有するシート状の複合部品を得ることができる。
【0030】
第2の実施形態を
図5に例示する。この場合、非同一のLWRTコアストライプB1、B2、B3を有する配置が使用される。これらのコアストライプは実質的に同じ形状を備えているが、すべてが同じ組成であると限らない。例えば、様々なコアストライプは、いくらか異なる繊維含有量および/またはいくらか異なる空隙率を有していてもよい。また、異なる種類の強化繊維を有するコアストライプ、例えば、炭素繊維を有するいくつかのストライプおよびガラス繊維を有する他のストライプ、を使用することも可能である。
【0031】
第3の実施形態を
図6に例示する。この場合、実質的に同一のLWRTコアストライプB1、B2、B3を有する配置が使用される。しかしながら、この配置は、コアストライプの間に配置された分離層S、特にファブリック層をさらに含む。
【0032】
第4の実施形態を
図7に示す。この場合、ストライプ高さの異なる3つのLWRTコアストライプB1、B2、B3を有する配置が使用される。コアストライプは実質的に一致するが、厳密には一致していない。示されている特定の例では、ストライプの高さが徐々に増加し、それによって階段状の構成を形成し、その結果、サンドイッチ配置の厚さが徐々に増加する。無論、他の幾何学的構成も可能であり、かつ有用である。
【国際調査報告】