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特表2022-508745メッシュタイプの水分放出型クッション化粧品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】メッシュタイプの水分放出型クッション化粧品
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/00 20060101AFI20220112BHJP
   A61K 8/894 20060101ALI20220112BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20220112BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20220112BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20220112BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220112BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20220112BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20220112BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
A45D34/00 510Z
A61K8/894
A61K8/92
A61K8/06
A61K8/37
A61Q19/00
A61K8/891
A61K8/9789
A61Q1/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545341
(86)(22)【出願日】2019-10-08
(85)【翻訳文提出日】2021-04-09
(86)【国際出願番号】 KR2019013211
(87)【国際公開番号】W WO2020076059
(87)【国際公開日】2020-04-16
(31)【優先権主張番号】10-2018-0120175
(32)【優先日】2018-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521151843
【氏名又は名称】インターコス コリア インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ジュ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ユ ジ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,クァン モ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA072
4C083AA121
4C083AB232
4C083AB242
4C083AC021
4C083AC341
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC441
4C083AC442
4C083AD021
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD172
4C083BB11
4C083BB21
4C083BB26
4C083BB46
4C083BB51
4C083CC02
4C083CC19
4C083DD32
4C083EE12
4C083EE13
4C083EE17
(57)【要約】
本発明は、メッシュタイプの水分放出型クッション化粧品に関し、より具体的には、主乳化剤と補助乳化剤との組合せからなる混合乳化剤、ワックス、及びオイルを含む油相部;水を含む水相部;及び、中空構造光沢顔料を含む粉体部を含む油中水水分放出型化粧料組成物が、上部にメッシュ網が装着された化粧品容器に充填されているメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料組成物を受容する容器本体、前記容器本体の上部にメッシュ網が装着された化粧品容器、及び前記化粧品容器に充填された化粧料組成物を含むメッシュタイプのクッション化粧品であって、前記化粧料組成物は、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン及びジメチコン/PEG-10/15クロスポリマーから構成された主乳化剤とラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG-10トリス(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチコン、及びセスキオレイン酸ソルビタンから構成された群から選ばれる1種以上の補助乳化剤との組合せからなる混合乳化剤、ワックス及びオイルを含む油相部;水を含む水相部;及び中空構造光沢顔料を含む粉体部を含む油中水水分放出型化粧料組成物であることを特徴とするメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品。
【請求項2】
前記化粧料組成物は、水相部の含量が25~45重量%である低含水の油中水水分放出型化粧料組成物であることを特徴とする、請求項1に記載のメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品。
【請求項3】
前記粉体部の中空構造光沢顔料は、板状フレーク基材に金属酸化物をコーティングした後、酸処理及びアルカリ処理によって中央における板状フレークを除去させてなることを特徴とする、請求項1に記載のメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品。
【請求項4】
前記ワックスは、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ビースワックス、C30-45アルキルメチコン、C30-45アルキルジメチコン、C30-45アルキルジメチルシリルポリプロピルシルセスキオキサン、セレシン、ポリエチレン及びオゾケライト及びミリスチルミリステートから構成された群から選ばれる一つ以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載のメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品。
【請求項5】
前記オイルは、シクロメチコン、ジメチコン、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、フェニルトリメチコン、ポリイソブテン、スクワラン、セチルエチルヘキサノエート、カプリリック/カプリックトリグリセリド、ココカプリレート/カプレート、オクチルドデカノール、ジカプリリルカーボネート、トリエチルヘキサノイン、オリーブオイル、マカダミアナッツオイルから構成された群から選ばれる一つ以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載のメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品。
【請求項6】
前記水相部は、保湿剤、粘増剤及び添加剤のうち一つ以上をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品。
【請求項7】
前記粉体部は、体質顔料、有色顔料及び紫外線遮断剤のうち一つ以上をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品。
【請求項8】
前記メッシュ網は、0.5mm~1.5mmのポアサイズを有することを特徴とする、請求項1に記載のメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品。
【請求項9】
前記メッシュ網を指やパフで押さえると、その下に存在する化粧料組成物の固形バームが割れて内相の水が弾け出、外相に分布している中空構造光沢顔料が瞬間的にその水を含みながら白色(真珠パール)のウォータードロップが形成されてメッシュ網の上に滲み出ることを特徴とする、請求項1に記載のメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品に関し、より詳細には、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコンン及びジメチコン/PEG-10/15クロスポリマーから構成された主乳化剤とラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG-10トリス(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチコン、及びセスキオレイン酸ソルビタンから構成された群から選ばれる1種以上の補助乳化剤との組合せからなる混合乳化剤、ワックス、及びオイルを含む油相部;水を含む水相部;及び、中空構造光沢顔料を含む粉体部を含む油中水水分放出型化粧料組成物が、上部にメッシュ網が装着された化粧品容器に充填されているメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品に関する。
【背景技術】
【0002】
メイクアップ化粧料の組成物は皮膚欠点を隠したり人体を美しく装うために使用する。皮膚に塗布する際になめらかにのび、皮膚密着性及び化粧効果に優れ、時間が経過してもテカリがなく、皮膚への安定性が高く保持される必要がある。
【0003】
一般に広く知られているメイクアップ化粧料組成物は、乳化型、パウダー型、乳分散型がある。パウダー型は乾燥感がひどく、乳分散型は多量のワックスを含有するため重たい使用感があり、化粧時に肌の息苦しさを感じてしまう短所がある。
【0004】
乳化型化粧料組成物の形態は、水中油型(O/W)と油中水型(W/O)とに大別されるが、水中油型(O/W)はメイクアップの化粧料として使用する場合、耐水性に劣り化粧崩れが生じやすく、粉体の含有時に密着感が落ちる短所がある。
【0005】
油中水型(W/O)クリーム類は、外相がオイルであるため化粧持続性と耐水性に非常に優れているが、オイルのため重たくて息苦しい使用感があり、乳化物の長期安定性が低いという問題点がある。また、粉体による皮膚中の油水分バランスが崩れて皮膚のかさつきがさらにひどくなったり、皮脂分泌が増加して皮膚の状態が悪化する。
【0006】
皮膚において油水分バランスの調節は非常に重要である。特に、皮膚に水分が不足すると乾燥肌になり、角質がたまりやすくなり、皮膚トラブルが発生する。
【0007】
近年、水分補給のための化粧品としてウォータードロップ化粧品が消費者に脚光を浴びている。ウォータードロップ型化粧品とは、皮膚に塗布する際に化粧品内に含まれている水分が外部に放出されて皮膚上に水滴が形成され、皮膚に十分な水分を補充できる化粧品のことを意味する。
【0008】
韓国特許公開第10-2011-0048899号は、“水分瞬間放出型高含水油中水型ファウンデーション組成物及びその製造方法”に関するものであり、油中水型ファウンデーションエマルジョンにおいて、内部水相含量を高めて皮膚塗布時にエマルジョンが割れて内部水相も直ちに放出されて、皮膚に清涼感を与えるファウンデーション組成物を開示している。しかし、かかる高含水油中水水分放出型製品の場合、水分が蒸発してひび割れや収縮などの現象が生じるだけでなく、使用感が変化される問題点がある。かかる問題点を解決するために、ワックスなどを固形化剤として使用して剤形の安全性を高め、組成物内の成分分離現象を最小化したウォータードロップ固形油中水型化粧料組成物が開発された(韓国特許登録第10-1813222号参照)。
【0009】
近年、発泡ウレタン又はNBRスポンジなどでできた含浸材に化粧料組成物が含浸された形態のクッションファクト又はクッション化粧品が開発された(韓国特許登録第10-1159877号参照)。これらのクッション化粧品は流動性のある剤形の化粧料を簡便に携帯及び使用することができ、化粧品業界で人気を呼んでいる。
【0010】
しかし、スポンジタイプのクッション化粧品の場合、ワックスなどの固形化剤を使用したウォータードロップ油中水型化粧料組成物を含浸させる場合、スポンジの気孔を防いで排出し難い上に、固形のためスポンジに含浸させることが不可能であった。
【0011】
そこで、本発明者らは、上記の従来技術の問題点を克服するために鋭意研究努力した結果、化粧料組成物の内相の水分含量を減らして製品の安定度を確保し、メッシュ網に装着されたクッション化粧品容器と結合して化粧料組成物がメッシュ網から均一に抜け出るようにし、水の弾け出る効果はそのまま維持しながら、メイクアップ効果にも優れる低含水油中水水分放出型化粧料組成物を開発するに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決するために創案したものであり、商用化された従来の一般剤形とは違い、油中水型剤形において内相の量は少ないが、水分放出効果に優れた固形状化粧料であって、中空構造を有する光沢顔料を含有して化粧料に含まれたオイル相に対する吸油力を調節することによって、硬度、水の放出程度、安定性を確保した化粧料組成を開発し、本発明を完成するに至った。
【0013】
したがって、本発明の目的は、消費者の高まった品質基準に相応するメイクアップ効果と安定性を兼備した差別化された化粧料組成物及びこれをメッシュタイプクッション化粧品容器に充填したメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様によれば、本発明は、化粧料組成物を受容する容器本体、前記容器本体の上部にメッシュ網が装着された化粧品容器、及び前記化粧品容器に充填された化粧料組成物を含むメッシュタイプのクッション化粧品であって、前記化粧料組成物は、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコンン及びジメチコン/PEG-10/15クロスポリマーから構成された主乳化剤とラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG-10トリス(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチコン、及びセスキオレイン酸ソルビタンから構成された群から選ばれる1種以上の補助乳化剤との組合せからなる混合乳化剤、ワックス及びオイルを含む油相部;水を含む水相部;及び、中空構造光沢顔料を含む粉体部を含む油中水水分放出型化粧料組成物であることを特徴とするメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品を提供する。
【0015】
本発明において、‘メッシュタイプクッション化粧品’とは、既存の‘スポンジタイプクッション化粧品’に対比されるもので、化粧料組成物がスポンジに含浸されず、単にメッシュ網の下部に位置し、上下で弾力性を有するメッシュ網によってクッション感を与えて、メッシュ網が手やパフにより押されると下の化粧料組成物がメッシュ網のメッシュを通して排出される構造を持っている(韓国実用新案公開第20-2015-0000973号、第20-2016-0002585号、韓国特許登録第10-1541396号参照)
本発明において、前記化粧料組成物は、水相部の含量が25~45重量%である低含水の油中水水分放出型化粧料組成物であることを特徴とするメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品を提供する。従来の高含水ウォータードロップ化粧料の剤形と違って、本発明の油中水型化粧料組成物は、内相の量が少ないが、水分放出効果に優れていることに特徴がある。
【0016】
本発明において、好ましくは、前記化粧料組成物は、組成物の総重量を基準として油相部35~60重量%、水相部25~45重量%、及び粉体部5~25重量%を含むことができる。例えば、前記化粧料組成物において、前記油相部は、混合乳化剤3~8重量%、有機紫外線遮断剤15~25重量%、ワックス5~15重量%、オイル10~20重量%を含み、前記粉体部は、有色顔料及び体質顔料2~8重量%、無機紫外線遮断剤3~15重量%及び中空構造光沢顔料0.5~4重量%を含み、前記水相部は残量を含むことができる。
【0017】
本発明において、前記粉体部の中空構造光沢顔料は、板状フレーク基材に金属酸化物をコーティングした後、酸処理及びアルカリ処理によって中央における板状フレークを除去させて作られることを特徴とするメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品を提供する。前記中空構造光沢顔料の製造方法は、韓国特許公開第10-2017-0055580号を参照し、その内容は本明細書に含まれる。
【0018】
本発明の実施例では、中空構造光沢顔料として中空性(内部が空いている)ホワイトパール(組成:二酸化チタン(96%)、酸化スズ(1%)、シリカ(3%))を使用しており、これはW/Sタイプの外相に分布しながらウォータードロップタイプの固形バームが割れると、内相の水が弾け出ながら、外相に分布しているホワイトパールが瞬間的にその水を含みながらホワイト(真珠パール)ドロップが発現する。
【0019】
本発明における中空構造光沢顔料の長所は、ホワイトパールの形態が中空性であるので、他のパウダーに比べて、完成した剤形においてオイル感を抑えることができ、シリカで表面処理された形態であるので、吸油力が高く、これによってメイクアップ時の密着力を増加させることができ、使用してきた既存の二酸化チタン基材に比べて非常に軽い使用感を有する上に、ホワイトパールのほとんどが二酸化チタンであるため、サンブースティング(Sun boosting)効果がある。
【0020】
本発明の実施例において、本発明の中空性パールと(非中空性)シマーパールと非コーティング(Non-coating)TiOを同一処方に添加してホワイトドロップ(white drop)の形成程度を観察したとき、本発明に用いられた中空性パールに比べて(非中空性)シマーパールと非コーティングTiOは、ホワイトの鮮明度及び水の放出現象が顕著に落ちることが確認できた(図5参照)。おそらく、外相に存在する中空性パールが非中空性に比べて内相の水をよく吸い上げて、ウォータードロップ現象が増加することと考えられる。
【0021】
本発明において、前記ワックスは、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ビースワックス、C30-45アルキルメチコン、C30-45アルキルジメチコン、C30-45アルキルジメチルシリルポリプロピルシルセスキオキサン、セレシン、ポリエチレン及びオゾケライト及びミリスチルミリステートから構成された群から選ばれる一つ以上を含むことを特徴とするメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品を提供する。
【0022】
本発明において、ワックスは固形化剤として働き、ワックス-ゲルネットワークを形成して内相の水分を安全に保管する上に、外相に分布しながら圧力がかかると中空構造光沢顔料が水分を含んでメッシュ外に吐き出される際にホワイトドロップが形成できるようにする(図4参照)。
【0023】
本発明において、前記オイルは、シクロメチコン、ジメチコン、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、フェニルトリメチコン、ポリイソブテン、スクワラン、セチルエチルヘキサノエート、カプリリック/カプリックトリグリセリド、ココカプリレート/カプレート、オクチルドデカノール、ジカプリリルカーボネート、トリエチルヘキサノイン、オリーブオイル、マカダミアナッツオイルから構成された群から選ばれる一つ以上を含むことを特徴とするメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品を提供する
本発明において、前記水相部は、保湿剤、粘増剤及び添加剤のうち一つ以上をさらに含むことを特徴とするメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品を提供する。前記保湿剤は、例えば、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどを含むことができ、前記粘増剤は、例えば、カルボマー、キサンタンガムなどを含むことができる。
【0024】
本発明において、前記粉体部は、体質顔料、有色顔料及び無機紫外線遮断剤のうち一つ以上をさらに含むことを特徴とするメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品を提供する。前記体質顔料は、例えば、タルク、マイカ、セリサイト、シリカ、炭酸カルシウム、カオリンなどを含むことができ、有色顔料は、例えば、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄などを含むことができ、無機紫外線遮断剤は、二酸化チタン、酸化亜鉛などを含むことができる。
【0025】
本発明において、前記メッシュ網は、0.1~2mmのポアサイズを有することができ、好ましくは0.5~1.5mm、最も好ましくは1.0mmのポアサイズを有することを特徴とするメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品を提供する。前記範囲のポアサイズを有すると、内容物がメッシュから吐き出される際に内容物と水とが適切に混ざり合って放出され得る。仮にポアサイズが小さすぎると、内容物が吐き出されず水だけが放出される現象が起きることがあり、ポアサイズが大きすぎると、化粧料組成物が過多にあふれ出て化粧品容器を汚染させることがある(図6参照)。
【0026】
本発明において、前記メッシュ網を指やパフで押さえると、その下に存在する化粧料組成物の固形バームが割れて内相の水が弾け出ながら、外相に分布した中空構造光沢顔料が瞬間的にその水を含んで白色(真珠パール)のウォータードロップが形成されてメッシュ網の上に滲み出ることを特徴とするメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品を提供する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、前記化粧料組成物は、内相の含有量が少ないが、水分放出効果に優れており、長期間の保存や温度変化にも性状をそのまま保持して保存安定性及び剤形安定性を補強し、既存の高含水油中水水分放出型製品の水分が蒸発して使用感が歪んでしまう問題点を解決することができる。また、メッシュタイプのクッション化粧品容器と結合することによって、メッシュ網を指やパフで押さえると、その下に存在する化粧料組成物の固形バームが割れて内相の水が弾け出、外相に分布している中空構造光沢顔料が瞬間的にその水を含みながら白色(真珠パール)のウォータードロップが形成されてメッシュ網の上に滲み出る効果がある。これによって、使用者に実質的かつ視覚的に優れたウォータードロップ効果を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係るメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品に使用されるメッシュが装着された化粧品容器の一例を示した図である。
図2】本発明に係るメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品の写真である。メッシュ網を押さえた時、白色(真珠パール)のウォータードロップが鮮明に見える。
図3】本発明に係る油中水水分放出型化粧料組成物でにおいて、白色(真珠パール)のウォータードロップが生成される原理を示す概略図である。
図4】本発明に係る油中水水分放出型化粧料組成物の内容物断面を示す写真である。
図5】本発明の中空性パールと(非中空性)シマーパールと非コーティングTiOを同一処方に添加してホワイトドロップの形成程度を比較観察した写真である。
図6A】本発明のメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品において、メッシュサイズによるウォータードロップ効果を比較観察した写真である。
図6B】本発明のメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品において、メッシュサイズによるウォータードロップ効果を比較観察した写真である。
図6C】本発明のメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品において、メッシュサイズによるウォータードロップ効果を比較観察した写真である。
図6D】本発明のメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品において、メッシュサイズによるウォータードロップ効果を比較観察した写真である。
図6E】本発明のメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品において、メッシュサイズによるウォータードロップ効果を比較観察した写真である。
図6F】本発明のメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品において、メッシュサイズによるウォータードロップ効果を比較観察した写真である。
図6G】本発明のメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品において、メッシュサイズによるウォータードロップ効果を比較観察した写真である。
図6H】本発明のメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品において、メッシュサイズによるウォータードロップ効果を比較観察した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は単に本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲はひれらの実施例によって制限されると解釈されることはない。
【0030】
実施例1~5及び比較例1~4:化粧料組成物の製造
下記表1の成分の中で、油相A(ワックス)+B(乳化剤)+C(オイル)、紫外線遮断剤B(有機紫外線遮断剤)を80℃の状態で完全に加温溶解する。完全溶解された油相に、粉砕処理されたパウダーA(有色顔料、体質顔料)+紫外線遮断剤A(無機紫外線遮断剤)を投入した後、撹拌分散する。水相A(保湿剤、添加剤)+B(精製水)を80℃の状態で完全に加温溶解する。用意した水相を、パウダーと混合された油相部に徐々に投入しながら乳化を行う。乳化後、パウダーB(中空構造光沢顔料など)を投入して均一に分散する。パウダーBにおいて、実施例の中空構造光沢顔料(CQV社のPT-9001K)と比較される比較例のシマーパールA及びBは、平均粒径12um及び24umのパール顔料であり、非コーティングTiO A及びBは、平均粒径0.2um及び0.3umの顔料用TiOである。
【0031】
【表1】
【0032】
製造例1:メッシュ網タイプのクッション化粧品の製造
前記実施例及び比較例によって製造された化粧料組成物は、固形バーム剤形の内容物でであることから、70~80℃の高温状態で、メッシュ網が装着された化粧品容器に充填してメッシュ網タイプのクッション化粧品を製造した。図1は、本発明に係るメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品に用いられるメッシュが装着された化粧品容器の一例を示すものである(100:化粧品容器、110:容器本体、120:メッシュ網)。図1に示した化粧品容器100における容器本体110に化粧料組成物を充填した後、その上にメッシュ網120を装着してメッシュ網タイプのクッション化粧品を製造できる。図2は、本発明に係るメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品の写真である。メッシュ網を押さえた時、白色(真珠パール)のウォータードロップが鮮明に見える。
【0033】
実験例1:パール顔料の種類によるウォータードロップ効果比較
前記実施例によって化粧料組成物を製造した結果、肉眼上ウォータードロップ効果が現れることが確認できた。図4は、本発明に係る油中水水分放出型化粧料組成物の内容物断面を示す写真である。
【0034】
パール顔料の種類によるウォータードロップ効果を比較するために、乳化剤が正しく働いて分散安定度が高い実施例3を基準に、中空構造光沢顔料の他にシマーパールA、シマーパールB、非コーティングTiO A、非コーティングTiO Bに対して各1%基準に工程を同一に適用した後、80℃の条件でアルミニウム皿に内容物を充填し、室温状態で内容物を固めた後、表面を掻き取りながらホワイトドロップの形成程度を観察した。
【0035】
図5は、本発明の中空性パールと(非中空性)シマーパールと非コーティングTiOを同じ処方に添加して、ホワイトドロップの形成程度を比較観察した写真である。その結果、ホワイトドロップの形成程度は、中空構造光沢顔料>シマーパール>非コーティングTiOの順で、中空構造光沢顔料が最も鮮明であった。シマーパールでもこの現象が現れたが、わずかであったし、非コーティングTiOでは現れなかった。
【0036】
実験例2:メッシュサイズ及び形態によるウォータードロップ効果比較
本剤形の水分放出特性を最大限に表現するために、上部をメッシュ網で覆ってその効果を極大化しようとし、メッシュサイズ及び形態によるホワイトドロップの程度を観察した。メッシュの形態は、肉眼でサイズを確認できないストッキングメッシュ網から単一、二重、エンボシングなどを検討し、そのサイズは0.1mm~2mmのメッシュを適用した。
【0037】
評価基準は、内容物とホワイトドロップが均一に吐き出されるかを肉眼及び使用性テストで評価した。
【0038】
図6は、本発明のメッシュタイプの水分放出型クッション化粧品において、メッシュサイズによるウォータードロップ効果を比較観察する写真である。図6において、1は単一メッシュで、ポアサイズが1mmであり、2は単一メッシュで、ポアサイズが0.1mmであり、3は二重メッシュで、ポアサイズが0.1mmであり、4は単一メッシュで、ポアサイズが0.5mmであり、5は厚いパターンのメッシュで、ポアサイズが2mmであり、6はエンボシング形態のメッシュで、ポアサイズが2mmである。
【0039】
実験の結果、メッシュの形態は、弾力のある単一メッシュの形態が最も優れており、メッシュが厚くなるほど、二重になるほど、内容物の吐出量が減って、メイクアップ化粧料として不適であった。また、メッシュ網の目が細かいほど内容物が吐き出されず、ホワイトドロップのみメッシュ外に吐き出されて化粧の効果が落ち、メッシュ網の目が粗いほど内容物が多く吐き出されて顔につく量が多く、メイクアップ化粧料として不適であった。図6において、1番メッシュがホワイトドロップになった時に内容物と放出される水が最も均一にメッシュ外に吐き出され、4番メッシュも1番メッシュよりは少ないが、内容物と水がよく吐き出された。前記評価に基づき、弾力のある単一メッシュでありながら0.5~1.5mmのポアサイズを有するメッシュ形態が、均一の内容物吐出とホワイトドロップの形成に最も適合していることが確認できた。
【0040】
本発明について前記実施例を参照して説明したが、これは例示的なものに過ぎず、本発明に属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、その説明から様々な変形及び均等な他の実施例が可能であるという点が理解できよう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、添付する特許請求の範囲の技術的事項によって定められるべきであろう。
【符号の説明】
【0041】
100:化粧品容器
110:容器本体
120:メッシュ網
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図6g
図6h
【国際調査報告】