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特表2022-508766古典的低侵襲アプローチによる心臓外科の技術および手技を訓練するための汎用シミュレータ
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  • 特表-古典的低侵襲アプローチによる心臓外科の技術および手技を訓練するための汎用シミュレータ 図1
  • 特表-古典的低侵襲アプローチによる心臓外科の技術および手技を訓練するための汎用シミュレータ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】古典的低侵襲アプローチによる心臓外科の技術および手技を訓練するための汎用シミュレータ
(51)【国際特許分類】
   G09B 23/30 20060101AFI20220112BHJP
   G09B 9/00 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
G09B23/30
G09B9/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545492
(86)(22)【出願日】2019-10-03
(85)【翻訳文提出日】2021-06-07
(86)【国際出願番号】 RO2019050001
(87)【国際公開番号】W WO2020071934
(87)【国際公開日】2020-04-09
(31)【優先権主張番号】A201800777
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521143516
【氏名又は名称】ムンテアヌ イウリアン
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ムンテアヌ イウリアン
【テーマコード(参考)】
2C032
【Fターム(参考)】
2C032CA03
2C032CA04
2C032CA06
(57)【要約】
心臓レベルでの古典的低侵襲アプローチ、または胸部外科分野における他の介在による、心臓外科の技術および手技を訓練するために使用される汎用シミュレータ。本シミュレータは、可動性の肋椎関節(2)および可動性の胸肋関節(3)、ならびに、中間切開(4)および第3肋間腔レベルの横切開(5)を有する胸骨を備えた、複数の切開(6)を有する人工胸郭(1)と、心臓(7)、2つの肺(21)、上行大動脈(17)、下行大動脈(22)、および気管(23)で構成されるブタの組織と、ポンプシステムであって、アクチュエータ(10)と、チューブ(11)を介して心臓の左右心室に接続されたピストンシリンダ(8)と、チューブ(18)を介して上行大動脈(17)に液体を送り込む可変圧力ポンプ(9)と、ポンプ(8)と心臓(7)との間に取り付けられた空気トラップ(13)と、空気トラップ(13)の上部に連続的に取り付けられた、液体および空気用の2つの一方弁(19および20)と、液体を心臓(7)に送り込んだりそこから送り出し、また、上行大動脈(17)に送り込むポンプ(8および9)に接続された液体用リザーバ(14)とで構成されるポンプシステムと、から構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工胸郭と、ブタの組織と、ポンプシステムとで構成される、古典的かつ低侵襲のアプローチによる心臓外科の技術を訓練するためのシミュレータであって、
前記人工胸郭(1)は、心臓胸部手術にて用いられる複数の典型的な切開(6)を有する弾性材料の層で覆われた骨格と、肋椎レベルの可動性関節(2)および胸肋レベルの可動性関節(3)と、胸骨であって、その正中線に沿って縦に(4)、第3肋間腔のレベルまたは他のレベルで横に(5)、切開された胸骨と、で形成され、特にシミュレーション用に作製されたブタの組織は、心臓(7)、前記肺(21)、上行大動脈(17)、下行大動脈(22)、および気管(23)で構成されて、ポンプシステムに接続され、該ポンプシステムは、アクチュエータ(10)と、ポンプとして機能するピストンシリンダ(8)であって、チューブ(11)を介して前記左右心室に接続されて、液体を律動的に前記心臓7に押し入れたりそこから押し出したりして、拍動する心臓の印象を作り出すピストンシリンダ(8)と、チューブ18を介して前記上行大動脈17に液体を送り込む可変圧力ポンプ9であって、大動脈レベルで一定の圧力を維持して血流の印象を作り出す可変圧力ポンプ9と、前記ポンプ8と前記心臓7との間に取り付けられた空気トラップ13であって、該空気トラップ13の上側に連続的に取り付けられた、1つは液体用19、1つは空気用20である2つの一方弁を備えた、空気トラップ13と、前記心臓7および前記上行大動脈17に液体を出入りさせる前記ポンプ8,9に接続された液体用リザーバ14と、で形成されている、
ことを特徴とする、シミュレータ。
【請求項2】
拍動する前記心臓(7)のシミュレーションは、ポンプとして機能するピストンシリンダ(8)を介してなされ、該ピストンシリンダ(8)は、調整可能な拍出の速度および長さを有して前記心臓(7)に液体を出入りさせ、それゆえ様々な充填および速度条件におけるヒトの心拍のシミュレーションが可能であるため、僧帽弁および三尖弁における手技を含む外科手技のシミュレーションが可能である、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシミュレータ。
【請求項3】
前記骨格は、肋椎レベルの可動性関節(2)および胸肋レベルの可動性関節(3)を有し、それゆえ古典的かつ低侵襲のアプローチのシミュレーションが可能である、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシミュレータ。
【請求項4】
ヒトの皮膚および皮下組織に似た前記弾性材料の層は、外科的アプローチに用いられる複数の切開(6)を有し、それゆえ心臓外科手技の大半のシミュレーションが可能である、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシミュレータ。
【請求項5】
前記ブタの組織は、前記心臓(7)とともに、前記肺(21)、上行大動脈(17)、下行大動脈(22)、および気管(23)で構成され、それゆえ胸部外科手技のシミュレーションが可能である、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシミュレータ。
【請求項6】
前記上行大動脈(17)レベルにおける圧力は一定であり、ヒトの生理学的圧力と同様であり、0~180mmHgの間で調整可能である、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシミュレータ。
【請求項7】
前記上行大動脈(17)における圧力は、チューブ(18)を介して前記ポンプ(9)によって前記上行大動脈(17)に送り込まれた前記液体が、チューブ(15)を介して、前記ポンプ(9)がそこから自身に補給する前記リザーバ(14)に戻される、回路を作り出すことによって得られる、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシミュレータ。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、古典的低侵襲アプローチによる心臓外科の技術および手技を訓練するための汎用シミュレータに関する。
最も単純なものから最も複雑なものまで、様々なタイプの心臓外科シミュレータが知られている。
【0002】
単純なものでは、基礎的で統合されていないシミュレーションしか行うことができず、現実感のレベルは低い。
仮想シミュレータを用いると、より複雑な外科手技をより広範な外科的状況でシミュレートできるが、このようなシミュレータは、提供する現実感のレベルは非常に低く、柔軟性がない上に高価である。
【0003】
生体組織と様々な構成要素との組み合わせに基づく複雑なシミュレータは、複雑な技術および手技をシミュレートする実現性を提供しつつ、高いレベルの現実感、および医療行為の統合を提供する。
【0004】
米国特許第7798815号に記載されているシミュレータは、ブタの組織、初歩的な胸腔、およびコンピュータ化されたシステムに制御される少なくとも2つの心室内バルーンに基づいており、このバルーンは律動的に膨張および収縮して、生きているヒトの心臓と同じように心臓を動かす。このシステムの1つの不利益は、古典的なアプローチ(胸骨正中切開)により実行される外科手技しかシミュレートできず、心臓外科の進化における比較的新しいアプローチを象徴する、低侵襲アプローチ(胸骨小切開、左または右小開胸)のいずれかをシミュレートする実現性を排除していることである。
【0005】
別の不利益は、僧帽弁または三尖弁での外科手技をシミュレートする実現性がないという事実であるが、その原因は、これらの弁を通過する、心臓の動きを生み出すために使用される心室内バルーンの存在である。また、心臓壁、および心室内部の可視化に関わるシミュレーションについては、上述のバルーンの存在により、シミュレーションの現実感のレベルは低くなる。
【0006】
このシミュレータのもう1つの不利益は、ブタの組織が作製される方法ゆえに、胸部外科手技(肺切除、非定型切除)をシミュレートする実現性はなく、心臓レベルでの手技のシミュレーションのみが可能ということである。また、ブタの組織が作製される方法ゆえに、心臓移植をシミュレートすることはできない。
【0007】
本発明の範囲は、同じシミュレータで実行できる手技の数を増やし、シミュレーションの現実感を高め、ブタの組織の作製時間を短くすることであり、それにより、シミュレーションをより利用しやすく、より実行しやすいものにすることである。
【0008】
本発明の目的は、古典的かつ低侵襲のアプローチによる大半の心臓外科手技のシミュレーションを可能にするとともに、高い度合いの現実感を提供する、心臓胸部外科のシミュレータを実現することである。
【0009】
本発明にかかるシミュレータは、解剖学的にヒトの胸郭に類似した人工胸郭1であって、心臓胸部手術にて用いられる複数の典型的な切開6を有する弾性材料の層で覆われた骨格であって、心臓手術中に実際に行われるような胸骨と肋骨の両方の退避を可能にする、肋椎レベル2および胸肋レベル3の可動性関節と、縦に4、そして第3肋間腔のレベルまたは他の肋間腔のレベルで横に5、切開された胸骨と、(漏出した液体が集まる)各半胸郭の最下部にある1つの排水オリフィスとを備えた骨格から構成された人工胸郭1と、特に本シミュレータ用に作製されたブタの組織であって、ブタの心臓7、2つの肺21、上行大動脈17、下行大動脈22、および気管23で構成されて、ポンプシステムに接続されたブタの組織と、ポンプシステムであって、アクチュエータ10と、ポンプとして機能するピストンシリンダ8であって、チューブ11を介して心臓の両心室に接続されて、液体を心臓7に送り込んだりそこから送り出したりして、拍動する心臓の印象を作り出すピストンシリンダ8と、チューブ18を介して上行大動脈17に液体を送り込む可変圧力ポンプ9およびリザーバ14であって、このレベルで一定の圧力を維持して血流の印象を作り出す可変圧力ポンプ9およびリザーバ14と、ポンプ8と心臓7との間に取り付けられた空気トラップ13と、空気トラップ13の上部に連続的に取り付けられた、1つは液体用19、1つは空気用20である2つの一方弁と、ブタの心臓7および上行大動脈17に液体を送り込んだりそこから送り出したりするポンプ8,9に接続された液体用リザーバ14とで構成されるポンプシステムと、から構成されることによって、公知のシミュレータの不利益を解消する。
【0010】
本発明は、以下の利益を提供する。
古典的かつ低侵襲のアプローチによる、心臓および上行大動脈のレベルでの心臓外科手技のシミュレーションが可能である。
【0011】
三尖弁および僧帽弁のレベルでの心臓外科手技のシミュレーションが可能である。
一部の胸部外科手技のシミュレーションが可能である。
【0012】
ブタの組織をより迅速に作製することが可能であり、それはシミュレーションあたりのコスト削減を伴う。
(あたかも実際と同じように)外科手術用開創器の導入、胸骨および肋骨の退避、ならびに開創器除去後のそれらの初期位置への復帰が可能である。
【0013】
以下、本発明の一実施形態を、以下のものを表す図1~5との関連において示す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ラテックスの層で覆われた、可動性の胸肋関節と肋椎関節とを備えた骨格で形成された人工胸郭を表す。
図2】可動性の胸肋関節と、正中切開および横切開を備えた胸骨とを表す。
図3】肋椎関節、肋骨、および胸骨(退避時および初期位置)を表す。
図4】人工胸郭、ブタの組織、およびポンプシステムで形成されたシミュレータ全体を表す。
図5】心臓、肺、上行大動脈、下行大動脈、および気管で形成されたブタの組織を表す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施例]
本発明にかかるシミュレータは、解剖学的にヒトの胸郭に類似した人工胸郭1であって、心臓胸部手術にて用いられる複数の典型的な切開6を有する弾性材料(ラテックス)の層で覆われた骨格であって、実際の心臓手術で行われるような胸骨と肋骨の両方の退避を可能にする可動性の肋椎関節2および可動性の胸肋関節3と、縦に4、そして第3肋間腔のレベルで横に5、切開された胸骨と、(漏出した液体が集まる)各半胸郭の最下部にある1つの排水オリフィスとを備えた骨格で形成された人工胸郭1と、特に本シミュレータ用に作製されたブタの組織であって、ブタの心臓7、2つの肺21、上行大動脈17、下行大動脈22、および気管23で構成されるブタの組織と、ポンプシステムであって、アクチュエータ10と、ポンプとして機能するピストンシリンダ8であって、チューブ11を介して心臓の両心室に接続されて、液体を心臓7に送り込んだりそこから送り出したりして、拍動する心臓の印象を作り出すピストンシリンダ8と、チューブ18を介して上行大動脈17に液体を送り込む可変圧力ポンプ9であって、このレベルで一定の圧力を維持して血流の印象を作り出す可変圧力ポンプ9と、ポンプ8と心臓7との間に取り付けられた空気トラップ13と、空気トラップ13の上部に連続的に取り付けられた、1つは液体用19、1つは空気用20である2つの一方弁と、ブタの心臓7および上行大動脈17に液体を送り込むポンプ8,9に接続された液体用リザーバ14とで構成されるポンプシステムと、から構成される。
【0016】
このように着想されたシミュレータは汎用シミュレータであり、ユーザが、様々な手技のための複数のシミュレータを使用する必要なく、古典的かつ低侵襲のアプローチによる心臓外科技術を訓練することを可能にする。
【0017】
古典的低侵襲アプローチのシミュレーションは、人工胸郭1によって得られ、この人工胸郭1は、以下の切開、すなわち第2、第3、および第4肋間腔における右前外側切開、ならびに第3および第4肋間腔における左前外側切開を有する。胸郭のいずれかのレベルにおいて、他の切開を行い得る。また、胸骨は、その正中線上で縦に、第3肋間腔のレベルで横に、切開される。胸骨は、他のレベルにおいても横に切開され得る。関節(ヒトの関節に対応するもの)は、肋椎レベル2および胸肋レベル3の両方において可動である。この可動性および種々の切開により、外科手術用開創器の導入、肋骨または胸骨の退避、および開創器除去後のそれらの初期位置への復帰が可能になる。
【0018】
カニューレ挿入技術およびオンポンプ冠状動脈バイパス術を訓練できるようにするための、拍動する心臓のシミュレーションは、心臓7を液体で満たしたり空にしたりすることによって得られる。これは、ポンプとして機能するピストンシリンダ8によって得られる。このピストンシリンダ8は、チューブ11を介して左心室に(チューブは、肺静脈を通って心臓に入り、僧帽弁に到達する)、また、右心室に(チューブは、肺動脈を通って心臓に入り、肺動脈弁を通過して右心室に入る)、接続されている。他の接続ポイントを介して、さらなるチューブを2つの心室の各々に接続し得る。
【0019】
シリンダは、アクチュエータ10によって、様々な手段(空気圧、油圧、電気など)で作動させ得る。シリンダの動きは、動きの長さ(動きの長さは拍出量を決定する)と、動きの速度(動きの速度は、サイクルレベル(時間間隔あたりのサイクル数)で、または、ステージレベル(心臓を満たすときのシリンダの速度の個別調整、および心臓を空にするときのシリンダの速度の個別調整)で、調整され得る)と、を調整することによって制御され得る。これらのパラメータの調整により、心拍数または一回拍出量の異なる条件で、拍動するヒトの心臓のシミュレーションが可能となる。
【0020】
ピストンシリンダ8はリザーバ14に接続されており、使用する水をリザーバ14から汲み上げる。
シリンダとブタの心臓7との間には、水リザーバで構成される空気トラップ13があり、この水リザーバは、その上位に、(水の通過を許容しない)一方向水弁19を有し、その上方に、(空気の排出を許容するが空気の侵入を許容しない)一方向空気弁20を有する。空気が(シミュレーション中の心臓レベル、様々なチューブ結合部、または他のいずれかの部分のうちのどこかで)このシステムに侵入すると、水とともに(シリンダによって)押されて空気トラップに到達し、そこでブロックされたままになる。空気トラップは、可変圧力ポンプ9にも接続されており、システムを停止させることなく定期的に液体で満たされ得る。
【0021】
三尖弁および僧帽弁レベルでの外科手技のシミュレーションを可能にするため、左右心室に入るチューブ11は、小径で、また柔軟であり、ポンプがオフされると手術野から容易に引き抜くことができる。
【0022】
心臓手術中のカニューレ挿入のシミュレーションを可能にするため、上行大動脈17は、リザーバ14と、チューブ18を介して上行大動脈17と、に接続された可変圧力ポンプ9(0~180mmHg)によって、生理学的値と同様の値で加圧される。別のチューブ15によって、大動脈は、ポンプが接続されているのと同じリザーバ14に接続されている。大動脈17に送り込まれた液体は、リザーバ14に接続されたチューブ15を通って排出される。このようにして、上行大動脈レベルで所望の圧力を維持することを可能にする水回路が得られる。圧力計16がこの回路に接続されて、大動脈17レベルでの圧力を示す。
【0023】
胸部手術のうちの特定の手技のシミュレーションを可能にするには、心臓とともに肺21および気管23を保存する必要がある。これにより、肺に対する手技のシミュレーションが可能になる。また、肺および気管を保存することで、シミュレーション用の組織を作製するために必要な時間が短縮され、それによりシミュレーションあたりのコストが削減される。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2021-12-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工胸郭と、ブタの組織と、ポンプシステムとで構成される、古典的かつ低侵襲のアプローチによる心臓外科の技術を訓練するためのシミュレータであって、
前記人工胸郭(1)は、心臓胸部手術にて用いられる複数の典型的な切開(6)を有する弾性材料の層で覆われた骨格と、肋椎レベルの可動性関節(2)および胸肋レベルの可動性関節(3)と、胸骨であって、その正中線に沿って縦に(4)、第3肋間腔のレベルまたは他のレベルで横に(5)、切開された胸骨と、で形成され、特にシミュレーション用に作製されたブタの組織は、心臓(7)、肺(21)、上行大動脈(17)、下行大動脈(22)、および気管(23)で構成されて、ポンプシステムに接続され、該ポンプシステムは、アクチュエータ(10)と、ポンプとして機能するピストンシリンダ(8)であって、チューブ(11)を介して左右心室に接続されて、液体を律動的に前記心臓に押し入れたりそこから押し出したりして、拍動する心臓の印象を作り出すピストンシリンダ(8)と、チューブ18を介して前記上行大動脈17に液体を送り込む可変圧力ポンプであって、大動脈レベルで一定の圧力を維持して血流の印象を作り出す可変圧力ポンプと、前記ピストンシリンダ(と前記心臓との間に取り付けられた空気トラップ13であって、該空気トラップ13の上側に連続的に取り付けられた、1つは液体用19、1つは空気用20である2つの一方弁を備えた、空気トラップ13と、前記心臓および前記上行大動脈17に液体を出入りさせる前記ピストンシリンダ(8)および可変圧力ポンプ(9)に接続された液体用リザーバ14と、で形成されている、
ことを特徴とする、シミュレータ。
【請求項2】
拍動する前記心臓(7)のシミュレーションは、ポンプとして機能する前記ピストンシリンダ(8)を介してなされ、該ピストンシリンダ(8)は、調整可能な拍出の速度および長さを有して前記心臓(7)に液体を出入りさせ、それゆえ様々な充填および速度条件におけるヒトの心拍のシミュレーションが可能であるため、僧帽弁および三尖弁における手技を含む外科手技のシミュレーションが可能である、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシミュレータ。
【請求項3】
前記骨格は、前記肋椎レベルの可動性関節(2)および前記胸肋レベルの可動性関節(3)を有し、それゆえ古典的かつ低侵襲のアプローチのシミュレーションが可能である、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシミュレータ。
【請求項4】
ヒトの皮膚および皮下組織に似た前記弾性材料の層は、外科的アプローチに用いられる複数の切開(6)を有し、それゆえ心臓外科手技の大半のシミュレーションが可能である、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシミュレータ。
【請求項5】
前記ブタの組織は、前記心臓(7)とともに、前記肺(21)、上行大動脈(17)、下行大動脈(22)、および気管(23)で構成され、それゆえ胸部外科手技のシミュレーションが可能である、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシミュレータ。
【請求項6】
前記上行大動脈(17)レベルにおける圧力は一定であり、ヒトの生理学的圧力と同様であり、0~180mmHgの間で調整可能である、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシミュレータ。
【請求項7】
前記上行大動脈(17)における圧力は、チューブ(18)を介して前記可変圧力ポンプ(9)によって前記上行大動脈(17)に送り込まれた前記液体が、チューブ(15)を介して、前記可変圧力ポンプ(9)がそこから自身に補給する前記リザーバ(14)に戻される、回路を作り出すことによって得られる、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシミュレータ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明にかかるシミュレータは、解剖学的にヒトの胸郭に類似した人工胸郭1であって、心臓胸部手術にて用いられる複数の典型的な切開6を有する弾性材料の層で覆われた骨格であって、心臓手術中に実際に行われるような胸骨と肋骨の両方の退避を可能にする、肋椎レベル2および胸肋レベル3の可動性関節と、縦に4、そして第3肋間腔のレベルまたは他の肋間腔のレベルで横に5、切開された胸骨と、(漏出した液体が集まる)各半胸郭の最下部にある1つの排水オリフィスとを備えた骨格から構成された人工胸郭1と、特に本シミュレータ用に作製されたブタの組織であって、ブタの心臓7、2つの肺21、上行大動脈17、下行大動脈22、および気管23で構成されて、ポンプシステムに接続されたブタの組織と、ポンプシステムであって、アクチュエータ10と、ポンプとして機能するピストンシリンダ8であって、チューブ11を介して心臓の両心室に接続されて、液体を心臓7に送り込んだりそこから送り出したりして、拍動する心臓の印象を作り出すピストンシリンダ8と、チューブ18を介して上行大動脈17に液体を送り込む可変圧力ポンプ9であって、このレベルで一定の圧力を維持して血流の印象を作り出す可変圧力ポンプ9とピストンシリンダ8と心臓7との間に取り付けられた空気トラップ13と、空気トラップ13の上部に連続的に取り付けられた、1つは液体用19、1つは空気用20である2つの一方弁と、ブタの心臓7および上行大動脈17に液体を送り込んだりそこから送り出したりするピストンシリンダおよび可変圧力ポンプ9に接続された液体用リザーバ14とで構成されるポンプシステムと、から構成されることによって、公知のシミュレータの不利益を解消する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
[実施例]
本発明にかかるシミュレータは、解剖学的にヒトの胸郭に類似した人工胸郭1であって、心臓胸部手術にて用いられる複数の典型的な切開6を有する弾性材料(ラテックス)の層で覆われた骨格であって、実際の心臓手術で行われるような胸骨と肋骨の両方の退避を可能にする可動性の肋椎関節2および可動性の胸肋関節3と、縦に4、そして第3肋間腔のレベルで横に5、切開された胸骨と、(漏出した液体が集まる)各半胸郭の最下部にある1つの排水オリフィスとを備えた骨格で形成された人工胸郭1と、特に本シミュレータ用に作製されたブタの組織であって、ブタの心臓7、2つの肺21、上行大動脈17、下
行大動脈22、および気管23で構成されるブタの組織と、ポンプシステムであって、アクチュエータ10と、ポンプとして機能するピストンシリンダ8であって、チューブ11を介して心臓の両心室に接続されて、液体を心臓7に送り込んだりそこから送り出したりして、拍動する心臓の印象を作り出すピストンシリンダ8と、チューブ18を介して上行大動脈17に液体を送り込む可変圧力ポンプ9であって、このレベルで一定の圧力を維持して血流の印象を作り出す可変圧力ポンプ9と、ピストンシリンダ8と心臓7との間に取り付けられた空気トラップ13と、空気トラップ13の上部に連続的に取り付けられた、1つは液体用19、1つは空気用20である2つの一方弁と、ブタの心臓7および上行大動脈17に液体を送り込むピストンシリンダおよび可変圧力ポンプ9に接続された液体用リザーバ14とで構成されるポンプシステムと、から構成される。
【国際調査報告】