(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】ツボクサ抽出物を含む網膜疾患の予防又は治療用組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/105 20160101AFI20220112BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20220112BHJP
A61K 36/23 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
A23L33/105
A61P27/02
A61K36/23
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545658
(86)(22)【出願日】2019-09-03
(85)【翻訳文提出日】2021-04-12
(86)【国際出願番号】 KR2019011310
(87)【国際公開番号】W WO2020080673
(87)【国際公開日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】10-2018-0122947
(32)【優先日】2018-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521154914
【氏名又は名称】ジェネンセル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100156982
【氏名又は名称】秋澤 慈
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ヨン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】カン ス チャン
(72)【発明者】
【氏名】パク デ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ソ リ ナ
【テーマコード(参考)】
4B018
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LE03
4B018MD61
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF06
4C088AB40
4C088AC01
4C088BA08
4C088NA14
4C088ZA33
(57)【要約】
本発明は、ツボクサ抽出物を含む、緑内障及び黄斑変性の予防、改善又は治療用組成物に関し、具体的に、本組成物は、細胞の糖代謝効率を増加させて網膜の神経細胞及び色素上皮細胞の生存率を増加させ、A2Eによる酸化的損傷から細胞を保護することによって、眼健康のための、緑内障及び黄斑変性の予防、改善又は治療用の組成物に有用に利用可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツボクサ(Centella asiatica)抽出物を有効成分として含む、酸化的ストレスから網膜神経細胞を保護するための網膜神経細胞保護用食品組成物。
【請求項2】
前記ツボクサ(Centella asiatica)抽出物が糖利用性増大により網膜神経細胞の生存率又は網膜色素上皮細胞の生存率を改善する、請求項1に記載の食品組成物。
【請求項3】
前記ツボクサ(Centella asiatica)抽出物が網膜神経細胞のアポトーシス(apoptosis)を抑制する、請求項1に記載の食品組成物。
【請求項4】
前記ツボクサ(Centella asiatica)抽出物がA2Eによる酸化的ストレスから網膜神経細胞の死滅を防止する、請求項1に記載の食品組成物。
【請求項5】
前記食品組成物が酸化的ストレスによる網膜神経細胞損傷疾患を予防又は改善する、請求項1に記載の食品組成物。
【請求項6】
ツボクサ(Centella asiatica)抽出物を有効成分として含む、酸化的ストレスによる網膜神経細胞損傷疾患を予防、改善又は治療するための薬学組成物。
【請求項7】
前記ツボクサ(Centella asiatica)抽出物が糖利用性増大により網膜神経細胞の生存率又は網膜色素上皮細胞の生存率を改善する、請求項6に記載の薬学組成物。
【請求項8】
前記ツボクサ(Centella asiatica)抽出物が網膜神経細胞のアポトーシス(apoptosis)を抑制する、請求項6に記載の薬学組成物。
【請求項9】
前記ツボクサ(Centella asiatica)抽出物がA2Eによる酸化的ストレスから網膜神経細胞の死滅を防止する、請求項6に記載の薬学組成物。
【請求項10】
前記疾患が黄斑変性又は緑内障である、請求項6に記載の薬学組成物。
【請求項11】
前記ツボクサ(Centella asiatica)抽出物が、水、C1-6の低級アルコール、又はそれらの混合溶媒で抽出した抽出物である、請求項1~10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
前記ツボクサ(Centella asiatica)抽出物が30%~90%のエタノール水溶液抽出物である、請求項1~10のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
前記ツボクサ(Centella asiatica)抽出物が0.01mg/kg/日~10g/kg/日の投与量で投与される、請求項1~10のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
局所投与用製剤である、請求項6~10のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
眼科製剤である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記ツボクサ(Centella asiatica)抽出物が組成物全重量を基準に5~500μg/mlの濃度で組成物に含まれた、請求項1~10のいずれかに記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、酸化的ストレスから網膜神経細胞を保護する、糖利用性増大により網膜神経細胞の生存率又は網膜色素上皮細胞の生存率を改善する、網膜神経細胞のアポトーシスを抑制する、又は緑内障又は黄斑変性の予防、改善又は治療をする、ツボクサ抽出物の新規な用途に関する。
【背景技術】
【0002】
緑内障は、眼圧の上昇又は視神経の血液循環異常によって視神経が損傷して発生する疾患で、一時的又は永久的な視野欠損及び視力低下を特徴とし、治療しないと永久的な失明につながることがある。通常の発病原因は眼房水の循環障害による眼圧上昇であり、40代以上の年齢代になると房水排出口が漸次狭くなり、房水生成量が排出量よりも増加しながら眼圧が上昇し、これが視神経の圧迫及び損傷を招く。また、眼圧が正常である場合にも緑内障が発病することがあるが、特に、韓国及び日本では正常眼圧の緑内障患者が相対的に多く(緑内障患者の約70~80%)、その原因としては視神経血液循環障害が知られているが、実際にも、正常眼圧の範囲にある患者に代謝疾患による末梢血液循環障害の症状が現れる場合が多いと知られている。究極として、緑内障は網膜節細胞のような視神経細胞の死滅につながり(Almasieh等、2012)、視神経細胞の死滅を予防又は治療できる物質は、緑内障の発病及び進行を抑制する食品及び治療剤として活用可能である。
【0003】
黄斑は、目の網膜で視細胞が密集していて光を最も鮮明で正確に受け入れる部分であり、視力に非常に重要な役割を果たしているが、様々な原因によってこの黄斑部に変性が起き、視力障害を起こす疾患を黄斑変性(macular degeneration)という。黄斑変性は、網膜上皮細胞、網膜及び脈絡膜毛細血管層の漸進的な変性によって発病する疾患で、初期段階の黄斑変性は、ブルック膜(Bruch’s membrane)と網膜上皮細胞との間にドルーゼン(drusen)と呼ばれる細胞外沈着が形成された非正常の網膜上皮細胞が観察されることが特徴である。また、後期段階では、大きく、滲出性黄斑変性と萎縮性黄斑変性とに分けられ、これら2類型の黄斑変性とも、黄斑における視細胞が徐々に破壊されることにより、黄斑の機能が経時低下し、中心部視力が低下してしまう。黄斑変性は、酸化ストレス及び炎症の発生が主要病因とされており、特に、細胞内代謝後副産物であるA2E分子が網膜色素上皮細胞内で排出されずに漸次蓄積され、次いで、酸化的ストレス過程を経ることにより、結局としては細胞死滅に至ることになる(Sparrow及びCai,2001)。したがって、原因物質であるA2E分子自体の蓄積の遮断は、網膜細胞内の酸化を予防でき、黄斑変性の危険自体を低減できると知られている。
【0004】
緑内障と黄斑変性は、糖尿網膜症と共に3大失明原因の一つであり、視神経細胞又は網膜神経細胞の死滅が主要原因であるといえ、この2つの疾患は、最近の代謝疾患などの有病率増加によって老人層の他に30~50代の患者も急増していると知られている。
【0005】
近年、目の酸化的損傷予防などの目の健康維持医薬品及び健康機能食品の開発が活発であり、特に、ワイルドブルーベリー由来のアントシアノサイドを主成分とする気力改善剤が開発されており、決明子、枸杞子などの生薬材が昔から視力維持及び視力改善を目的で用いられてきたが、ツボクサを用いて、眼健康(eye health)に関連した緑内障及び網膜の黄斑変性を予防、又は治療する方法に関する研究は皆無な状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1700903号公報
【特許文献2】韓国公開特許第10-2018-0080584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明者らは、緑内障及び黄斑変性などの眼健康に対する予防又は治療の重要性を認知し、様々な天然素材を用いて、網膜の神経細胞及び色素上皮細胞の増殖効能と網膜細胞における酸化的損傷を保護できる天然資源を選別した。その結果、ツボクサ抽出物は視神経細胞及び網膜細胞において優れた増殖効能を示し、特に、網膜細胞においてA2Eによる酸化的損傷を抑制した。また、網膜細胞における糖利用性を大きく増加させ、これは、細胞の損傷からの回復効果及び保護効果に優れると類推できるので、本発明のツボクサ抽出物は、緑内障及び黄斑変性の予防及び改善、又は治療のための組成物として商業化への可能性が非常に高い。
【0008】
したがって、本発明の目的は、ツボクサ抽出物を含む緑内障又は黄斑変性の予防、改善又は治療用の薬剤組成物を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、ツボクサ抽出物を含む緑内障及び黄斑変性の予防及び改善用の健康機能食品組成物を提供することにある。
【0010】
本発明の目的は、以上に言及した目的に制限されない。本発明の目的は、以下の説明からより明確になり、特許請求の範囲に記載の手段及びその組合せによって実現可能であろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面は、ツボクサ(Centella asiatica)抽出物を有効成分として含む、酸化的ストレスから網膜神経細胞を保護するための網膜神経細胞保護用食品組成物を提供する。
【0012】
本発明の一側面において、前記ツボクサ(Centella asiatica)抽出物は、糖利用性増大により網膜神経細胞の生存率又は網膜色素上皮細胞の生存率を改善する、食品組成物を提供する。
【0013】
本発明の一側面において、前記ツボクサ(Centella asiatica)抽出物は、網膜神経細胞のアポトーシス(apoptosis)を抑制する、食品組成物を提供する。
【0014】
本発明の一側面において、前記ツボクサ(Centella asiatica)抽出物は、A2Eによる酸化的ストレスから網膜神経細胞の死滅を防止する、食品組成物を提供する。
【0015】
本発明の一側面において、前記食品組成物は、酸化的ストレスによる網膜神経細胞損傷疾患を予防又は改善する食品組成物を提供する。
【0016】
本発明の他の側面は、ツボクサ(Centella asiatica)抽出物を有効成分として含む、酸化的ストレスによる網膜神経細胞損傷疾患を予防、改善又は治療するための薬学組成物を提供する。
【0017】
本発明の他の側面において、前記ツボクサ(Centella asiatica)抽出物は、糖利用性増大により網膜神経細胞の生存率又は網膜色素上皮細胞の生存率を改善する、薬学組成物を提供する。
【0018】
本発明の他の側面において、前記ツボクサ(Centella asiatica)抽出物は、網膜神経細胞のアポトーシス(apoptosis)を抑制する、薬学組成物を提供する。
【0019】
本発明の他の側面において、前記ツボクサ(Centella asiatica)抽出物は、A2Eによる酸化的ストレスから網膜神経細胞の死滅を防止する、薬学組成物を提供する。
【0020】
本発明の他の側面において、前記疾患は、黄斑変性又は緑内障である、薬学組成物を提供する。
【0021】
本発明の一側面又は他の側面において、前記ツボクサ(Centella asiatica)抽出物は、水、C1-6の低級アルコール、又はそれらの混合溶媒で抽出した抽出物である、組成物を提供する。
【0022】
本発明の一側面又は他の側面において、前記ツボクサ(Centella asiatica)抽出物は、30%~90%のエタノール水溶液抽出物である、組成物を提供する。
【0023】
本発明の一側面又は他の側面において、前記ツボクサ(Centella asiatica)抽出物は、0.004~40mg/kg/日の投与量で投与される、組成物を提供する。
【0024】
本発明の他の側面において、局所投与用製剤である組成物を提供する。
【0025】
本発明の他の側面において、 眼科製剤である組成物を提供する。
【0026】
本発明の一側面又は他の側面において、前記ツボクサ(Centella asiatica)抽出物は、組成物全重量を基準に5~500μg/mlの濃度で組成物に含まれた、組成物を提供する。
【発明の効果】
【0027】
本発明のツボクサ抽出物は、糖代謝を上げて網膜の神経細胞及び色素上皮細胞を効果的に増殖させ、A2Eによる酸化的損傷から網膜細胞を保護する。したがって、ツボクサ抽出物は、網膜の神経細胞及び色素上皮細胞損傷から発生する眼疾患、すなわち、緑内障と黄斑変性を改善、予防又は治療することができる。
【0028】
本発明の効果は、以上で言及した効果に限定されない。本発明の効果は、以下の説明から推論可能な全ての効果を含むものと理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の抽出溶媒別ツボクサ抽出物の、網膜神経細胞における細胞生長効能を示す図である。
【
図2】網膜の神経細胞及び色素上皮細胞において本発明の組成物処理による細胞生存率を示す図である。
【
図3】網膜色素上皮細胞において本発明の組成物処理による糖代謝効能を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
別に断らない限り、本明細書で用いられた成分、反応条件、成分の含有量を表す全ての数字、値及び/又は表現は、それらの数値が、本質的に異なるものから当該値を得る上で発生する測定における様々な不確実性が反映された近似値であるから、いずれの場合においても“約“という用語によって修飾されるものと理解されるべきである。また、本記載において数値範囲が開示される場合、このような範囲は連続するものであり、別に断らない限り、それらの範囲における最小値から最大値が含まれた該最大値までの全ての値を含む。なお、このような範囲が整数を指す場合、別に断りのない限り、最小値から最大値が含まれた該最大値までを含む全ての整数が含まれる。
【0031】
本明細書において、範囲が変数に対して記載される場合、前記変数は、当該範囲に記載の終了点を含む、記載された範囲内における全ての値を含むものとして理解されるべきである。例えば、“5~10”の範囲は、5、6、7、8、9、及び10の値の他、6~10、7~10、6~9、7~9などの任意の下位範囲も含み、5.5、6.5、7.5、5.5~8.5及び6.5~9などのような、記載された範囲の範ちゅうに妥当な整数間の任意の値も含むものと理解されるであろう。また、例えば、“10%~30%”の範囲は、10%、11%、12%、13%などの値を含めて30%までを含む全ての整数の他、10%~15%、12%~18%、20%~30%などの任意の下位範囲も含み、10.5%、15.5%、25.5%などのように、記載された範囲の範ちゅう内における妥当な整数間の任意の値も含むものと理解されるであろう。
【0032】
以下、本発明について詳しく説明する。
【0033】
本発明は、ツボクサ抽出物を含む、緑内障及び黄斑変性の予防、改善又は治療用組成物に関する。具体的に、本組成物は、糖代謝を上げて網膜の神経細胞及び色素上皮細胞の増殖を誘導し、A2Eによる酸化的ストレスから細胞を保護することによって、眼健康のための、緑内障及び黄斑変性の予防、改善又は治療用の組成物に有用に用いることができる。
【0034】
ツボクサ(Centella asiatica)は、繖形科に属する多年生匍匐性草で、主に、高温多湿な地域に自生し、漢方では皮膚病、解熱、喀血、利尿、強壮剤、陰萎、帯下症、関節炎などの薬剤として使用されてきた(イ・ヨンノ、2006)。ツボクサの知られた主な成分はトリテルペン酸糖エステル(triterpenic acid sugar esters)であり、アジアチコサイド(asiaticoside)、マデカソサイド(madecassoside)、ブラモサイド(brahmoside)、ブラミノシド(brahminoside)などが報告されており、加水分解時にアジア酸(asiatic acid)、マデカシン酸(madecassic acid)、thankunic acid、isothankunic acidなどが生産されることが知られている。ツボクサの主要成分としてα-アミリン-ウルソール酸基(α-amyrin-ursolic acid group)に属する五環系トリテルペングリコシド(pentacyclic triterpene glycoside)であるアジアチコサイドとマデカソサイドは、古くから皮膚の傷や慢性潰瘍などの治療に用いられてきており、ハンセン病の治療及び抗菌効果、傷、胃潰瘍、様々な皮膚疾患、精神疾患、結核、静脈疾患、認知症などに治療効果があると報告されている。これらの効能により、ツボクサは、食用、皮膚治療剤、創傷治療剤、記憶増強剤、及び強壮剤などの様々な用途に用いられており、韓国内でも医薬品、化粧品、機能性食品などの分野でツボクサを用いているが、現在までに発表されたいかなる文献でも、ツボクサ抽出物とその主要成分が緑内障と黄斑変性の予防、改善又は治療に有効であると明らかされたことがない。
【0035】
本発明は、ツボクサ抽出物を含む緑内障及び黄斑変性の予防又は治療用薬剤組成物を提供する。前記組成物は、液状抽出物、又は該液状抽出物の凍結乾燥した粉末の形態でよい。
【0036】
また、本発明は、ツボクサ抽出物を含む緑内障及び黄斑変性の予防及び改善用の健康機能食品組成物を提供する。前記組成物は、液状抽出物、又は前記液状抽出物の凍結乾燥した粉末の形態でよい。
【0037】
以下、本発明の様々な側面を説明する。
【0038】
本発明の一側面は、ツボクサ(Centella asiatica)抽出物を有効成分として含む、酸化的ストレスから網膜神経細胞を保護するための網膜神経細胞保護用食品組成物を提供する。
【0039】
本発明に係る健康機能食品組成物は、ツボクサ抽出物を有効成分として含み、緑内障及び黄斑変性の抑制によって視力を改善させる目的で摂取することができる。前記有効成分は、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、丸剤、液状剤、懸濁剤などとして製造した食品として摂取したり、又は一般食品に添加して摂取することができる。前記健康機能食品は一般薬品と違い、食品を原料とするので、薬品の長期服用時に生じ得る副作用などがない長所がある。有効成分の含有量は、その使用目的(予防又は改善用)によって好適に決定することができる。一般に、健康機能食品組成物中に有効成分を0.1~90重量%含むことができる。しかし、健康及び衛生を目的としたり又は健康調節を目的とする長期間の摂取では、前記量は前記範囲以下であってもよく、安全性面で何ら問題もないので、有効成分は前記範囲以上の量にしてもよい。
【0040】
前記食品の種類に特に制限はない。前記有効成分が添加可能な食品の例には、ドリンク剤、肉類、ソーセージ、パン、ビスケット、モチ、チョコレート、キャンディ類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料水、アルコール飲料及びビタミン複合剤、乳製品及び乳加工製品などがあり、普通の意味持ついかなる健康機能食品をも含む。前記食品の性状も特に制限されず、固体状、半固体状、ゲル状、液体状、粉末状のいずれであってもよい。
【0041】
本発明の健康機能食品組成物を用いて飲料を作ることができる。飲料に含まれる成分として、有効成分以外の成分の選択に特に制限がなく、通常の飲料と同様に、様々な香味剤又は天然炭水化物などを追加成分として含有できる。上述した天然炭水化物の例には、モノサッカライド、例えば、ブドウ糖、果糖など;ジサッカライド、例えば、マルトース、スクロースなど;及びポリサッカライド、例えば、デキストリン、シクロデキストリンなどのような通常の糖、及びキシリトール、ソルビトール、エリトリトールなどの糖アルコールがある。上述した以外の香味剤として、天然香味剤(タウマチン、ステビア抽出物(例えば、レバウジオシドA、グリチルリチンなど)及び合成香味剤(サッカリン、アスパルテームなど)を有利に用いることができる。前記天然炭水化物の比率は、本発明の組成物100g当たりに、通常、約1~20g、好ましくは約5~12gである。
【0042】
また、本発明の健康機能食品組成物は、有効成分の他にも様々な栄養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成風味剤及び天然風味剤などの風味剤、着色剤及び増進剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に用いられる炭酸化剤などを添加剤として含有することができる。その他にも、天然果物ジュース、果物ジュース飲料及び野菜飲料の製造のための果肉を含有してもよい。このような成分は、独立して又は組み合わせて用いることができる。このような添加剤の比率はあまり重要ではないが、本発明の健康機能食品組成物中に0.1~20重量%の範囲で選択されるのが一般的である。
【0043】
本発明の一側面において、前記ツボクサ(Centella asiatica)抽出物は、糖利用性増大により網膜神経細胞の生存率又は網膜色素上皮細胞の生存率を改善する、食品組成物を提供する。
【0044】
本発明の一側面において、前記ツボクサ(Centella asiatica)抽出物は、網膜神経細胞のアポトーシス(apoptosis)を抑制する、食品組成物を提供する。
【0045】
本発明の一側面において、前記ツボクサ(Centella asiatica)抽出物は、A2Eによる酸化的ストレスから網膜神経細胞の死滅を防止する、食品組成物を提供する。
【0046】
本発明の一側面において、前記食品組成物は、酸化的ストレスによる網膜神経細胞損傷疾患を予防又は改善する食品組成物を提供する。
【0047】
本発明の他の側面は、ツボクサ(Centella asiatica)抽出物を有効成分として含む、酸化的ストレスによる網膜神経細胞損傷疾患を予防、改善又は治療するための薬学組成物を提供する。
【0048】
本発明の他の側面において、前記ツボクサ(Centella asiatica)抽出物は、糖利用性増大により網膜神経細胞の生存率又は網膜色素上皮細胞の生存率を改善する、薬学組成物を提供する。
【0049】
本発明の他の側面において、前記ツボクサ(Centella asiatica)抽出物は、網膜神経細胞のアポトーシス(apoptosis)を抑制する、薬学組成物を提供する。
【0050】
本発明の他の側面において、前記ツボクサ(Centella asiatica)抽出物は、A2Eによる酸化的ストレスから網膜神経細胞の死滅を防止する、薬学組成物を提供する。
【0051】
本発明の他の側面において、前記疾患は、黄斑変性又は緑内障である、薬学組成物を提供する。
【0052】
前記薬剤組成物を臨床的に利用するときは、薬学的分野における通常の担体と共に配合して、薬学的分野における通常の製剤、例えば、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、丸剤、液状剤及び懸濁剤などの経口投与用製剤;注射用溶液又は懸濁液、又は注射時に注射用蒸留水で調製してすくに使える即座使用型の注射用乾燥粉末などの形態である注射用製剤;又は軟膏剤などの様々な製剤に剤形化できる。通常の担体を商用して製造された薬学的製剤は、経口的に投与したり、或いは非経口的に、例えば、静脈内、皮下、腹腔内又は局所適用することができる。したがって、本発明の薬剤組成物は、薬剤の製造に通常用いる適切な担体、賦形剤及び希釈剤をさらに含むことができる。
【0053】
本発明の薬剤組成物に含まれてよい担体、賦形剤及び希釈剤には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシアガム、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、未結晶セルロース、ケイ素化未結晶セルロース、ポビドン、クロスポビドン、クロスカメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、水、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、ノイシリン、コロイドシリコンジオキシド、乳糖、タルク、ステアリン酸マグネシウム、コロイドステアリルマグネシウム、及び鉱物油などから選ばれる1種以上が含まれてよい。
【0054】
製剤化する場合には、通常用いられる充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤又は賦形剤を用いて調製する。経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、トローチ剤、ロゼンジ、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、本発明の組成物に少なくとも一つの賦形剤、例えば、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アミロペクチン、セルロース、炭酸カルシウム、ゼラチンなどを混ぜて調製する。また、単純な賦形剤の他にステアリン酸マグネシウム、タルクのような潤滑剤なども用いられる。経口投与のための液状製剤には、懸濁剤、耐溶液剤、乳剤、エリキシル剤、シロップ剤などが該当するが、通常用いられる単純希釈剤である水、リキッドパラフィンの他にも、様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれてもよい。非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁剤は、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、オレイン酸エチルのような注射可能なエステルなどが用いられてよい。坐剤の基剤には、ウィテップゾール(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロールゼラチンなどが用いられてよい。非経口投与は、一般に、皮下注射、静脈注射、筋肉内注射又は胸部内注射の注入方式でよい。
【0055】
本発明の薬剤組成物の好ましい投与量は、患者の年齢、体重、疾病の程度、薬物形態、投与経路及び期間によって異なるが、当業者にとって適切に選択可能である。ただし、好ましい効果のために、本発明の薬剤組成物は、1日0.01mg/kg~10g/kg、好ましくは1mg/kg~1g/kgで投与されてよい。投与は、医師又は薬剤師の判断によって一定の時間間隔で1日数回、好ましくは1回又は6回分割投与できる。
【0056】
一具現例において、前記組成物は、日常的に摂取及び服用してきた天然物であり、緑内障及び黄斑変性の予防、改善又は治療に安全に用いることができる。
【0057】
前記ツボクサ抽出物は、通常の抽出方法で抽出したものでよく、前記抽出物を減圧乾燥及び凍結乾燥の方法を経て粉末化形態にした抽出物でよい。
【0058】
本発明の一側面又は他の側面において、前記ツボクサ(Centella asiatica)抽出物は、水、C1-6の低級アルコール、又はそれらの混合溶媒で抽出した抽出物である、組成物を提供する。
【0059】
本発明の前記一組成を有する、緑内障及び黄斑変性の予防、改善又は治療用組成物は、必要によって前記抽出過程が繰り返し行われてよく、2~5回反復抽出した抽出物が用いられてよい。また、前記抽出物を凍結乾燥させて得た粉末状乾燥抽出物を製造し、前記緑内障及び黄斑変性の予防、改善又は治療用組成物に用いることができる。
【0060】
前記抽出溶媒中のアルコールの含有量は、アルコール0~95重量%の濃度、好ましくは30~95重量%、より好ましくは50重量%の濃度範囲を維持することが、抽出の効率性面においてよい。このようなアルコールは、当分野で通常用いられる如何なるものも適用でき、好ましくは、炭素数1~5のアルコールでよく、該アルコールは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール及びブタノールから選ばれる1種以上が適用されてよい。より好ましくは、前記アルコールとしてはエタノール、酒精などを用いることができる。
【0061】
本発明の一側面又は他の側面において、前記ツボクサ(Centella asiatica)抽出物は30%~90%のエタノール水溶液抽出物である、組成物を提供する。
【0062】
前記抽出方法は、当業界に通常知られた方法であり、例えば、超臨界抽出、亜臨界抽出、高温抽出、高圧抽出又は超音波抽出法などの抽出装置を用いた方法、又はXAD及びHP-20を含む吸着樹脂を用いる方法などが用いられてよい。
【0063】
また、抽出液は、真空回転蒸発器などを用いて減圧濃縮してエキスを得る。また、得られたエキスは、必要によって、減圧乾燥、真空乾燥、沸騰乾燥、噴霧乾燥、常温乾燥又は凍結乾燥などを施してもよい。特に、凍結乾燥の方法を適用する場合、抽出物中の揮発性有機物質の損失を低減できるという長所がある。
【0064】
本発明の一側面において、前記ツボクサ抽出物が40%~60%エタノール水溶液抽出物である、組成物を提供する。
【0065】
本発明の一側面において、前記組成物は、眼健康において視神経細胞と網膜細胞を増殖させたり、或いは酸化的ストレスから細胞を保護することを特徴とする、組成物を提供する。
【0066】
本発明の一側面又は他の側面において、前記ツボクサ(Centella asiatica)抽出物が0.01mg~10g/kg/日の投与量で投与される、組成物を提供する。
【0067】
本発明の他の側面において、前記組成物は局所投与用製剤である、組成物を提供する。
【0068】
本発明の他の側面において、前記組成物は眼科製剤である、組成物を提供する。
【0069】
本発明の一側面又は他の側面において、前記ツボクサ(Centella asiatica)抽出物は、組成物全重量を基準に5~500μg/mlの濃度で組成物に含まれた、組成物を提供する。
【0070】
前記組成物は、網膜の神経細胞及び色素上皮細胞を効果的に増殖させ、酸化的ストレスから前記細胞を保護する効果を有する。また、前記組成物は、日常的に摂取及び服用してきた天然物であり、緑内障及び黄斑変性の予防、改善又は治療に安全に用いることができる。
【0071】
前記ツボクサ抽出物は、通常の抽出方法で抽出したものでよく、前記抽出物を減圧乾燥及び凍結乾燥の方法を経て粉末化形態にした抽出物でよい。
【0072】
本発明の一側面において、前記抽出物は、水抽出物、C1~C5アルコール抽出物又はC1~C5アルコール水溶液抽出物である、組成物を提供する。
【0073】
本発明の前記一組成を有する緑内障及び黄斑変性の予防、改善又は治療用組成物は、必要によって前記抽出過程が反復してなされてよく、2回~5回反復抽出した抽出物が用いられてよい。また、前記抽出物を凍結乾燥させて得た粉末状乾燥抽出物を製造し、前記緑内障及び黄斑変性の予防、改善又は治療用組成物に用いることができる。
【0074】
前記抽出溶媒中のアルコールの含有量は、アルコール0~95重量%の濃度、好ましくは30~95重量%、より好ましくは50重量%の濃度範囲を維持することが、抽出の効率性面においてよい。このようなアルコールは、当分野で通常用いられる如何なるものも適用でき、好ましくは炭素数1~5のアルコールでよく、該アルコールは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール及びブタノールから選ばれる1種以上が適用できる。より好ましくは、前記アルコールとしてはエタノール、酒精などを用いることができる。
【0075】
前記抽出方法は、当業界における通常の方法でよく、例えば、超臨界抽出、亜臨界抽出、高温抽出、高圧抽出又は超音波抽出法などの抽出装置を用いる方法、又はXAD及びHP-20を含む吸着樹脂を用いる方法などを用いられてよい。
【0076】
また、抽出液は、真空回転蒸発器などを用いて減圧濃縮してエキスを得る。また、得られたエキスは、必要によって減圧乾燥、真空乾燥、沸騰乾燥、噴霧乾燥、常温乾燥又は凍結乾燥などを施すことができる。特に、凍結乾燥の方法を適用する場合、抽出物中の揮発性有機物質の損失を低減できるという長所がある。
【0077】
前記の方法で得られるツボクサ抽出物は、細胞の糖代謝を増加させて視神経細胞及び網膜細胞の増殖を効率的に増加させ、A2Eによる酸化的ストレスから細胞死滅を効果的に抑制する。
【0078】
本発明の一側面において、前記ツボクサ抽出物は40%~60%エタノール水溶液抽出物である、組成物を提供する。
【0079】
[発明を実施するための形態]
以下、具体的な実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。下記実施例は、本発明の理解を助けるための例示に過ぎず、本発明の範囲がこれに限定されるものではない。
【0080】
[実施例及び比較例]
【0081】
製造例:ツボクサ抽出物の製造
【0082】
ツボクサ(Centella asiatica)は、韓国キョンサンナム-ド・ホブチョンの農家から購入し、日陰で干して全草を粉砕し、粉砕したツボクサ1kgを50%酒精で80℃で5時間抽出した後、濃縮及び凍結乾燥させてツボクサ抽出物135g(収率13.5%)を得た。
【0083】
比較例1~4
【0084】
比較例として、前記ツボクサの熱水抽出物(比較例1)、30%(比較例2)、70%(比較例3)及び95%(比較例4)酒精抽出物が用いられた。
【0085】
[実験例]
【0086】
実験例1:網膜神経細胞及び網膜色素上皮細胞増殖効果測定
【0087】
前記製造例で得られたツボクサ抽出物及びそれぞれの比較例に対して、最も効能の高い抽出物を選別するために網膜神経細胞の増殖効果を測定した。
【0088】
RGC-5網膜神経細胞は、10%血清及び抗生剤が含まれているDMEM培地を使用し、5体積%の二酸化炭素の供給と37℃維持の培養器で培養した。5×103cells/wellの濃度でGH3細胞を96ウェルプレート(well plate)に分注し、24時間培養した。ツボクサ抽出物の網膜神経細胞増殖効果を測定するために、10% charcoaled FBSが含まれているDMEM培地に交換した後、製造例と比較例1~4で製造されたツボクサ抽出物をそれぞれ100μg/mLで処理した。48時間後、RGC-5細胞の生長率は、MTT試薬を用いて吸光度550nmで測定し、対照群を基準に各試験液の吸光度を測定して細胞増殖率(%)を示した。
【0089】
ツボクサ抽出物の網膜神経細胞増殖率は、
図1に示す。
【0090】
図1に示すように、製造例であるツボクサ50%酒精抽出物から最も優れた網膜神経細胞増殖効能が見られ、比較例3及び4からも有意な増殖効能が観察された。
【0091】
一方、増殖効能が最も優れているツボクサ50%酒精抽出物の、網膜神経細胞及び網膜色素上皮細胞への保護効果を測定するために、当該網膜細胞の増殖効果を測定した。
【0092】
RGC-5網膜神経細胞の培養は、前記と同じ方法で行い、ARPE-19網膜色素上皮細胞は、10%血清及び抗生剤が含まれているDMEM/F12培地を使用し、5体積%の二酸化炭素の供給と37℃維持の培養器で培養した。5×103cells/wellの濃度でRGC-5細胞とARPE-19細胞を96ウェルプレート(well plate)に分注し、24時間培養した。ツボクサ抽出物の網膜神経細胞及び網膜色素上皮細胞における増殖効果を測定するために、10% charcoaled FBSが含まれているDMEM培地及びDMEM/F12培地に交換した後、ツボクサ50%酒精抽出物をそれぞれ、50μg/mL、100μg/mL、200μg/mLで処理した。48時間後、それぞれの細胞生長率は、MTT試薬を用いて吸光度550nmで測定し、対照群を基準に各試験液の吸光度を測定して細胞増殖率(%)を示した。
【0093】
ツボクサ50%酒精抽出物の網膜神経細胞及び網膜色素上皮細胞の増殖率は、
図2に示す。
【0094】
図2に示すように、製造例であるツボクサ50%酒精抽出物は、100μg/mL以上の濃度で非常に優れた増殖効能を示した。
【0095】
実験例2:網膜色素上皮細胞における糖代謝効能測定
【0096】
前記製造例であるツボクサ50%酒精抽出物の網膜色素上皮細胞における糖代謝(glucose uptake)効能の研究のために、2-NBDG取り込み(2-NBDG uptake)実験を行った。
【0097】
試験細胞は、網膜色素上皮細胞であるARPE-19を使用し、培地及び培地組成、実験条件は、前記実験例1と同一にして行った。
【0098】
1×104cells/wellの濃度でARPE-19細胞を96ウェルプレート(well plate)に分注し、24時間培養した。糖代謝効能を測定するために、ツボクサ50%酒精抽出物を25μg/mL、50μg/mL、100μg/mLで処理し、24時間培養した後、血清が除去されたDMEM/F12培地及び100μMの2-NBDGを30分間処理した。冷たいリン酸緩衝溶液(Phosphate buffered saline,PBS)で2回洗浄した後、蛍光光度測定機(excitation 485nm;emission 525nm)で糖代謝(glucose uptake)量を測定した。
【0099】
病気草抽出物の糖代謝(glucose uptake)効能は、
図3に示す。
【0100】
前記
図3に示すように、ツボクサ抽出物100μg/mLの濃度で非常に優れた糖代謝効能を示し、これは、ツボクサ抽出物の網膜細胞増殖効能に基づくといえる。
【0101】
実験例3.A2Eによる細胞保護効果
【0102】
黄斑変性抑制効果の一環としてA2Eによる細胞死滅抑制効果を測定した。
【0103】
試験細胞は、網膜色素上皮細胞であるARPE-19を使用し、培地及び培地組成、実験条件は前記実験例1と同一にして行った。
【0104】
3×104cells/wellの濃度でARPE-19細胞を24ウェルプレート(well plate)に分注し、24時間培養した後、A2Eを3μM濃度に3日間蓄積させた。A2Eによる酸化的ストレスから細胞保護効果を測定するために、ツボクサ50%酒精抽出物を25μg/m、50μg/m、100μg/mLで処理し、陽性対照群として、黄斑変性抑制効果があると知られたルテインを30μMで処理して48時間培養し、48時間後、UVランプを用いて5分間紫外線を照射した。細胞生長率は、MTT試薬を用いて吸光度570nmで測定し、A2Eを処理していない比較群を基準に各試験液の吸光度を測定して比較した。
【0105】
前記ツボクサ抽出物のA2Eによる酸化ストレスからの細胞保護効果を表1に示した。
【0106】
【0107】
前記表1に示すように、ツボクサ50%酒精抽出物100μg/mLは、対照群に比べて約16%の細胞生存効果を示し、陽性対照群であるルテインと同じレベルに、A2Eによる酸化的損傷から細胞を保護した。したがって、本発明は、ツボクサ抽出物を含む眼健康のための緑内障及び黄斑変性の予防、改善又は治療用組成物を提供することができる。
【0108】
以上、添付の図面を参照して本発明の実施例を説明してきたが、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者には、本発明をその技術的思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態に実施可能であることが理解できよう。したがって、以上述べた実施例は、いかなる面においても例示的であり、限定的でないものと理解すべきである。
【国際調査報告】