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特表2022-508804画像処理を用いた卵胞液の流れの監視
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】画像処理を用いた卵胞液の流れの監視
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/43 20060101AFI20220112BHJP
   G06T 7/254 20170101ALI20220112BHJP
【FI】
A61B17/43
G06T7/254 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021546064
(86)(22)【出願日】2019-01-28
(85)【翻訳文提出日】2021-06-07
(86)【国際出願番号】 IN2019050063
(87)【国際公開番号】W WO2020079703
(87)【国際公開日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】201841039598
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521167936
【氏名又は名称】パイェリ、 スラヴァン クマール
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】パイェリ、 スラヴァン クマール
(72)【発明者】
【氏名】アダバラ、 カルヤン
(72)【発明者】
【氏名】スルタナ アアメナ
(72)【発明者】
【氏名】モカルラ、 パヴァーニ スリーヴィッディヤ
【テーマコード(参考)】
4C160
5L096
【Fターム(参考)】
4C160HH02
5L096AA06
5L096BA06
5L096BA13
5L096CA04
5L096DA02
5L096DA03
5L096GA08
(57)【要約】
画像処理を用いた卵胞液の流れの監視の実施例を本明細書に記載する。体外受精(IVF)処置の卵子採取(OPU)ステップ中に採取管に対して定められた所定の標的領域に関する画像フレームをリアルタイムで取得することができる。標的領域は、採取管への卵胞液の流入を示す領域に対応する。その後、画像フレームを処理して卵胞液の流れの発生及び卵胞液中の血液の存在を検出することができる。それに応じて、卵胞液の流れの発生の検出を示す第1のアラート信号と、卵胞液中の血液の存在を示す第2のアラート信号とを生成し、医師に通知することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外受精(IVF)処置の卵子採取(OPU)ステージ中に、採取管に定められた所定の標的領域に関する画像フレームをリアルタイムで取得することと、
前記画像フレームを処理して卵胞液の流れの発生を検出することと、
前記卵胞液の流れの発生を検出すると、第1のアラート信号を生成して医師に通知することと
を含み、
前記標的領域は前記採取管への卵胞液の流入を示す領域に対応する、方法。
【請求項2】
前記画像フレームを処理して前記採取管内の卵胞液の流れを検出することは、経時的に2つの連続する画像フレーム間の画素差に基づいて前記採取管内の卵胞液の流量を特定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記採取管内の卵胞液の流量を特定することは、前記画像フレームのそれぞれにおいてグレー、黒、及び白色の画素を分析することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、前記卵胞液の流れが発生すると、前記画像フレームを処理して前記卵胞液中の血液の存在を検出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記画像フレームを処理して前記卵胞液中の血液の存在を検出することは、前記画像フレームのそれぞれにおいて赤、緑、及び青(RGB)色の画素を分析することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、第2のアラート信号を周期的に生成して前記卵胞液中の血液の検出を通知することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、前記採取管内に採取された卵胞液の容量分析を提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、前記画像フレームを処理する前に前記画像フレームに対してバックグラウンド補正を行うことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、前記卵胞液の流れが検出される期間にわたって前記画像フレーム内の赤色の画素のパーセンテージを計算することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
画像フレームを捕捉するカメラ(100)と、
前記カメラ(102)に結合された処理エンジン(120)であって、体外受精(IVF)処置の卵子採取(OPU)ステップ中に、採取管に対して定められた所定の標的領域に関連する画像フレームをリアルタイムで取得し、前記画像フレームを処理して卵胞液の流れの発生を検出する処理エンジン(120)と、
前記卵胞液の流れの発生を検出すると、第1のアラート信号を生成して医師に通知する通知エンジン(122)と
を含み、
前記標的領域は前記採取管への卵胞液の流入を示す領域に対応する、システム(100)。
【請求項11】
前記システム(100)は、前記採取管における卵胞液の入口に対応する所定の位置に前記カメラ(102)を保持する少なくとも1つのカメラ固定具(104)を含む、請求項10に記載のシステム(100)。
【請求項12】
前記システム(100)は、前記採取管への卵胞液の流れを表示する表示ユニット(112)を含み、前記表示ユニット(112)は、卵胞監視画面に近接して配置される、請求項10に記載のシステム(100)。
【請求項13】
前記採取管内の卵胞液の流れを検出するために、前記処理エンジン(120)は、経時的に連続する2つの画像フレーム間の画素差に基づいて前記採取管内の卵胞液の流量を特定するものである、請求項10に記載のシステム(100)。
【請求項14】
前記処理エンジン(120)は、前記画像フレームシフトのそれぞれにおいてグレー、黒、及び白(GBW)色の画素を分析して前記採取管への卵胞液の流れを検出するものである、請求項13に記載のシステム(100)。
【請求項15】
前記処理エンジン(120)は、前記卵胞液の流れが発生すると、前記卵胞液の流れと共に前記卵胞液中の血液の存在を検出するものである、請求項10に記載のシステム(100)。
【請求項16】
前記卵胞液中の血液の存在を検出するために、前記処理エンジン(120)は、前記画像フレームのそれぞれにおいて赤、緑、及び青(RGB)色の画素を分析するものである、請求項15に記載のシステム(100)。
【請求項17】
前記通知エンジン(122)は、第2のアラート信号を周期的に生成して前記卵胞液中の血液の検出を通知するものである、請求項15に記載のシステム(100)。
【請求項18】
前記通知エンジン(122)は、前記表示ユニットで、前記採取管内に採取された卵胞液の容量分析を提供するものである、請求項10に記載のシステム(100)。
【請求項19】
前記処理エンジン(120)は、前記卵胞液の流れが検出される期間にわたって前記画像フレーム内の赤色の画素のパーセンテージを計算するものである、請求項10に記載のシステム(100)。
【請求項20】
前記処理エンジン(120)は、前記画像フレームを処理する前に、前記画像フレームに対してバックグラウンド補正を行うものである、請求項10に記載のシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本主題は、概して、卵胞液の流れの監視に関し、特に、限定されるものではないが、画像処理を用いて卵胞液の流れを監視することに関する。
【背景技術】
【0002】
体外受精(IVF)は、体外で雌性配偶子と雄性配偶子を採取し、混合しして体外で(皿の中で)受精させる受精プロセスである。IVFプロセスは、女性の卵巣から卵子を取り出すことと、取り出した卵子を実験室の液体培地で精子に受精させることとを含む。IVFプロセス中に、女性の卵巣は刺激を受けて複数の卵胞を形成する。これらの卵胞は、卵巣内にランダムに分布するか又は卵巣の表面に存在する場合がある。さらに、各卵胞は卵子を運ぶ卵胞液を含む。
【0003】
IVFのプロセスは、卵子採取(OPU)ステージなどの様々なステージを含む。OPUステージは、卵胞を穿刺して卵母細胞を採取する、IVFプロセスの重要なステップである。OPUステージでは、超音波経腟プローブなどのプローブを用いて卵胞を可視化する。さらに、プローブに針ガイドが取り付けられ、針の前後方向への移動を容易にする。OPUステージ中に、針は経膣経路を通って、針が貫通する端と反対側の卵巣上又は卵巣内に位置する卵胞に到達する。針は通常、針の全長にわたって穴を含み、吸引法により真空圧発生デバイスを用いて卵胞液を採取するシステムを備える。
【0004】
動作中、経膣経路を通して医師による超音波ガイドによって患者の卵巣の卵胞に針を挿入する。その後、フットペダルで操作される吸引ポンプの助けを借りて、採取管内に陰圧を生成する。例えば、フットペダルを踏むと陰圧が大きくなる。このようにして生成された陰圧は卵胞の内部に加えられ、卵胞液を採取管に吸引する。単一の卵胞を完全に吸引した後、針を卵巣組織に通して別の卵胞に到達させる。フットペダルは卵胞内部の陰圧を止めるのを容易にしないため、残留陰圧が常に卵巣組織に加えられる。卵巣は卵巣組織(間質)と、卵胞が卵子を生成するための栄養を供給する血管とでできている。針が卵巣組織を通過するとき、連続する卵胞間で針を動かしている間に針が血管を穿刺する傾向がある。血管内の血液は80mmHGの平均血圧を有するため、血管内の血圧と組み合わせられた残留吸引圧は、必然的に血液の吸引及び卵胞液との混合をもたらす。
【0005】
加えて、OPUステージの間、採取管は医師の後ろに置かれる。そのため、医師は、卵胞液の流れ、採血管の充填、各採血管の交換、卵胞液中の血液の存在などについての情報を得続けるための補助を必要とすることがある。医師はOPUを行う際に人的補助を受けるため、医師と補助者との間の調整が不足する可能性がある。さらに、補助者は、卵胞液の流れの速度及び卵胞液中の血液の存在を示すアラートを提供しない可能性がある。加えて、医師は、採取された総卵胞液について各患者に関する総容量分析及び要約、OPUステージに要した総時間、それぞれの患者のアイデンティティなどを受け取れない可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
画像処理による卵胞液の流れの監視に関する本主題の実施例を本明細書に記載する。採取管の所定の標的領域に関する様々な画像フレームをリアルタイムで処理して、採取管への卵胞液の流れ及び卵胞液中の血液の存在を特定する。画像処理に基づいて、異なるアラート信号を生成して卵胞液の流れ又は卵胞液中の血液の存在を示すことができる。
【0007】
本主題は、卵胞液の流れを監視する方法及びシステムを説明する。卵胞液の流れを監視するために、採取管の所定の標的領域に関する画像フレームがリアルタイムで取得される。一実施例では、カメラは、体外受精(IVF)処置の卵子採取(OPU)ステージの間、採取管に隣接して配置される。一態様では、標的領域は、卵子採取針の別の端部を通して採取管に卵胞液が流入することを示す領域に対応する。採取管への卵胞液の流れは、表示ユニットを用いて医師に表示することができる。一実施例では、表示ユニットは、表示ユニットが医師に容易に見えるように、卵胞監視画面に近接して配置される。
【0008】
さらに、画像フレームを処理して卵胞液の流れの発生を検出することができる。一実施形態では、卵胞液の流れの発生を検出するために、2つの連続する画像フレーム間の画素差を経時的に特定することができる。例えば、グレー、黒、及び白色の画素を、経時的に画像フレームのそれぞれにおいて分析することができる。採取管への卵胞液の流れを検出すると、第1のアラート信号を生成して卵胞液の流れの開始を医師に通知することができる。
【0009】
本実施形態では、卵胞液が採取管内を流れ始めると、画像フレームをさらに処理して卵胞液中の血液の存在を検出することができる。卵胞液中の血液の存在を検出するために、赤、緑、及び青色の画素を画像フレームのそれぞれにおいて分析することができる。卵胞液中に血液が検出された場合、第2の信号を生成して血液の存在を医師に通知することができる。一実施例では、第1及び第2のアラート信号は、音声信号、視覚信号、又はその両方であり得る。
【0010】
表示ユニットが医師の前に置かれるので、本主題は、医師が何の補助もなしに、リアルタイムで卵胞液の流れを監視することを容易にする。さらに、アラート信号は、医師が表示ユニットを絶えず見ることなく、流れ及び卵胞液中の血液の存在を認識し続けることを可能にする。卵胞の流れの速度と血液の存在の可視化は、医師が効率的な吸引のために針を適切に案内するのに役立つ。結果として、本主題は、卵巣の物理的損傷を最小限に抑えることを容易にすることができる。血液が存在する場合、医師は圧力をかけるのを止めるか、その領域から離れ、それによってより良い患者ケアを提供することができる。卵胞液中の血液量を最小限に抑えることにより、卵子の受精率がより高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
詳細な説明は、添付の図を参照して提供される。なお、説明及び図は、本主題の単なる実施例であり、主題自体を表すように意図されたものではない。
【0012】
図1】本主題の例示的な実施形態による卵胞液の流れを監視するシステムのブロック図を概略的に示す。
【0013】
図2A】本主題の例示的な実施形態による卵胞液の流れを監視するための採取管の所定の標的領域を示す。
【0014】
図2B】本主題の例示的な実施形態によるカメラ固定具の斜視図を示す。
図2C】本主題の例示的な実施形態によるカメラ固定具の斜視図を示す。
図2D】本主題の例示的な実施形態によるカメラ固定具の斜視図を示す。
図2E】本主題の例示的な実施形態によるカメラ固定具の斜視図を示す。
【0015】
図3】本主題の例示的な実施形態による卵胞液の流れを監視する方法を示す。
【0016】
図面全体を通して、同一の符号は類似の要素を示しているが、同一の要素を示していない場合がある。図は必ずしも縮尺どおりではなく、いくつかの部分のサイズは、示されている実施例をより明確に説明するために誇張されている場合がある。また、図面は、説明と一致する実施例及び/又は実施形態を提供するが、図面に記載されている実施例又は実施形態に限定されるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付の図面を参照して本主題をさらに説明する。可能な限り、図及び以下の説明では、同一の符号を用いて同一又は類似の部分を示す。説明及び図は単に本主題の原理を示しているに過ぎないことに留意されたい。したがって、本明細書に明示的に記載又は図示されていないが、本主題の原理を包含する様々な構成が考案され得ることが理解される。また、本主題の原理、態様、及び実施例、ならびにそれらの具体例を記載する本明細書のすべての記述は、それらの等価物を包含することを意図している。
【0018】
図1は、本主題の例示的な実施形態による、卵胞液の流れを監視するシステム100のブロック図を概略的に示す。システム100は、体外受精(IVF)処置の卵子採取(OPU)ステージ中に採取管に定められた所定の標的領域に関する画像フレームを捕捉(キャプチャ)する1つ以上のカメラ102を含むことができる。一実施例では、カメラ102は、On-The-Go(OTG)カメラであり得る。カメラ102は、画像フレームを捕捉するために採取管の所定の標的領域の前に配置することができる。例えば、カメラ102は、所定の領域がカメラ102によって覆われるように配置される。
【0019】
一実施形態では、カメラ102は、少なくとも1つのカメラ固定具104を用いて採取管の前の所定の位置に保持することができる。所定の位置は、採取管における卵胞液の入口に対応する。一実施例では、カメラ固定具104は特定の位置に固定される。別の実施例では、カメラ固定具104は調節可能であり得る。一実施例では、採取管のサイズは一定であるか又は変化することができる。さらに、採取管は、卵胞液を体温で保存するために加熱ブロック(図示せず)の内部に配置される。加熱ブロックは、採取管内に採取される卵胞液が体温に維持されるように、採取管の一定温度を維持する。追加のコンポーネントを必要とせずにカメラ102を保持するために、カメラ固定具104は採取管のサイズと同じサイズを有するように設計されるので、カメラ固定具104も加熱ブロック内に配置して採取管の所定の標的領域を部分的又は完全に捕捉することができる。一実施例では、カメラ固定具104は、ステンレス鋼材料又は他のあらゆる材料で作ることができる。
【0020】
一実施形態では、カメラ102は、ケーブル108を用いて手持ちデバイス106に結合することができる。ケーブル108は、医師の後ろに置かれたカメラ102と、医師の前に置かれた手持ちデバイス106とを接続するのに十分な長さで提供される。例えば、ケーブル108は、約2メートルから約5メートルの範囲の長さを有することができる。手持ちデバイス106の配置は、医師が卵胞液採取イベントの進捗をチェックするために補助に頼る必要がないようなものである。本実施形態では、手持ちデバイス106は、スマートフォン、モバイルデバイスなどに限定されない。
【0021】
さらに、システム100は、直接又はネットワークを通じてデータベース(図示せず)に結合することができる。一実施例では、データベースは、システム100によってアクセスされ得る情報を記憶することができる。データベースは、画像、ビデオ、音声、関係表、オブジェクト指向の関係表、卵胞液の流れ及び採取イベントに関するインデックス付きテーブルなどの様々な形式でデータを格納することができる。
【0022】
一実施形態では、手持ちデバイス106は、1つ以上のプロセッサ110と、インタフェース112と、プロセッサ110に結合されたメモリ114とを含む。プロセッサ110は、単一の処理ユニット又は複数のユニットであることができ、そのすべてが複数の演算ユニットを含むことができる。プロセッサ110は、1つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、中央処理装置、状態機械、論理回路、及び/又は動作指示に基づいて信号を操作するあらゆるデバイスとして実装することができる。他の機能の中で、プロセッサ110は、メモリ114に記憶されたコンピュータ可読命令及びデータをフェッチして実行するように構成される。
【0023】
インタフェース112は、様々なソフトウェア及びハードウェアインターフェース、例えば、キーボード、マウス、表示ユニット、外部メモリ、及びプリンタなどの周辺機器用のインタフェースを含むことができる。インタフェース112は、例えばローカルエリアネットワーク(LAN)、ケーブルなどの有線ネットワーク、及び無線LAN(WLAN)、セルラー、又は衛星などの無線ネットワークを含む、多種多様なネットワーク及びプロトコルタイプ内の複数の通信を容易にすることができる。この目的のために、インタフェース112は、手持ちデバイス106をカメラ102に接続するための1つ以上のポートを含むことができる。以下に説明する様々な実施例では、手持ちデバイス106は、インタフェース112を介してカメラ102と通信する。一実施例では、インタフェース112は、手持ちデバイス106の表示ユニットを含むことができる。
【0024】
メモリ114は、例えば、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)及びダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)などの揮発性メモリ、及び/又は読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブルROM、フラッシュメモリ、ハードディスク、光ディスク、及び磁気テープなどの不揮発性メモリを含む、当技術分野で知られているあらゆるコンピュータ可読媒体を含むことができる。メモリ114はまた、エンジン116とデータ118とを含む。
【0025】
エンジン116は、特に、特定のタスクを実行するか又は特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。エンジン116は、処理エンジン120、通知エンジン122、及び他のエンジン124を含む。他のエンジン124は、手持ちデバイス106のアプリケーション及び機能を補足するプログラム又はコード化された命令を含むことができる。
【0026】
一方、データ118は、特に、エンジン116の1つ以上によって処理され、受信され、生成されたデータを格納するためのリポジトリとして機能する。データ118は、例えば、グレー、黒、白(GBW)の画素データ126、赤、緑、青(RGB)の画素データ128、分析データ130、及び他のデータ132を含む。他のデータ132は、他のエンジン124における1つ以上のエンジンの実行の結果として生成されたデータを含む。
【0027】
一実施形態では、カメラ102は、OPU処置の間、採取管に対して定められた所定の標的領域に関する画像フレームを捕捉することができる。一実施例では、標的領域は、OPU処置を開始する前に、医師が事前に定めることができる。標的領域は、卵胞液の採取管への流入位置を捕捉する。さらに、そのように捕捉された画像フレームは、リアルタイムで手持ちデバイス106に送信することができる。カメラ102はケーブル108を用いて手持ちデバイス106に結合されるように示されているが、カメラ102は手持ちデバイス106に無線で結合することができる。
【0028】
手持ちデバイス106の処理エンジン120は、カメラ102からリアルタイムで画像フレームを取得し、卵胞液の流れの発生を検出するために画像フレームを処理することができる。一態様では、卵胞液の流れの発生を検出するために画像フレームを処理する前に、処理エンジン120は、画像フレームに対してバックグラウンド補正を行うことができる。例えば、処理エンジン120は、バックグラウンド除去を行って、画像フレームの前景を抽出し、分析することができる。バックグラウンド補正は、卵胞液の流れの発生を検出するための画像フレームの処理中に偽陽性又は偽陰性を除去するために行われる。
【0029】
バックグラウンド補正を実行すると、処理エンジン120は、画像フレームのそれぞれにおいてGBW画素を分析することができる。一実施例では、処理エンジン120は、分析されたデータをGBW画素データ126として記憶することができる。分析に基づいて、処理エンジン120は、経時的に2つの連続する画像フレーム間の画素差を計算することができる。例えば、画素差は、卵胞液が採取管に流入し始めるときに生じる可能性がある。例えば、卵胞液の流れがないとき、画像フレームは同じ画素を捕捉することができるが、卵胞液の流れが始まるとき、画素は後続の画像フレームにおいて変化し得る。結果として、採取管の所定の標的領域内で捕捉された画像フレームは、画素の変化を示し得る。したがって、処理エンジン120は、画像フレームにおける画素シフト又は画素変化を分析して卵胞液の流れの発生を示すことができる。
【0030】
卵胞液の流れの発生を医師に知らせるために、通知エンジン122は、第1のアラート信号を生成することができる。一実施例では、第1のアラート信号は、採取管への卵胞液の流れを示す短い周期的なビープ音などの音声信号であり得る。別の実施例では、第1のアラート信号は、採取管への卵胞液の流れを示す連続波などのビデオ信号であり得る。一実施例では、第1のアラート信号は、音声信号と映像信号との組み合わせであり得る。したがって、システム100は、医師が補助に完全に頼ることなく、卵胞液採取イベントの進捗について通知され続けることを容易にする。
【0031】
さらに、例えば、1つの卵胞からの卵胞液の完全な抜き取りにより、又は他の何らかの理由により、卵胞液が採取管に流入していないとき、通知エンジン122は、第1のアラート信号の生成を停止することができる。結果として、医師は直ちに適切な処置を取ることができる。
【0032】
卵胞液の流れが検出されると、処理エンジン120は、その後の画像フレームをさらに処理して卵胞液中の血液の存在を検出することができる。卵胞液中の血液の存在を検出するために、処理エンジン120は、画像フレームのそれぞれにおいて赤、緑、及び青(RGB)色の画素を分析することができる。分析に基づいて、処理エンジン120は、画像フレーム内の赤色の画素の存在を特定することができる。赤色の画素の存在は、卵胞液中の血液の存在を示す。一実施例では、処理エンジン120は、分析されたデータをRGB画素データ128として記憶することができる。
【0033】
卵胞液の流れの検出に関して説明したように、血液を検出すると、通知エンジン122は、卵胞液中の血液の存在を示す第2のアラート信号を生成することができる。一態様では、第2のアラート信号は、第1のアラート信号とは異なり得る。例えば、第2のアラート信号は、長い周期的な可聴周波ビープ音などの音声信号、又はアラートのフラッシュの形態の映像信号、又はその両方であり得る。一実施形態では、通知エンジン122は、第1のアラート信号を停止し、状況のイベントを示す第2のアラート信号を生成することができる。第2のアラート信号に応答して、医師は、陰圧の印加を直ちに停止するか、又は穿刺部位から外れることができる。
【0034】
さらに、処理エンジン120は、OPU処置中に採取された卵胞液の容量分析を行うことができる。例えば、処理エンジン120は、OPU処置中に患者に対して採取された卵胞液の総量を計算することができる。加えて、処理エンジン120は、卵胞液の流れが検出される期間にわたって、画像フレーム内の赤色の画素のパーセンテージを計算することができる。一実施例では、処理エンジン120は、分析に関するデータを分析データ130として記憶することができる。
【0035】
OPU処置が完了すると、通知エンジン122は、手持ちデバイス106の表示ユニットで、OPU処置全体の間に採取管内に採取された卵胞液の容量分析を提供することができる。これにより、医師は、特定の患者に対して行われるOPU処置の完全なレポートを得ることができる。
【0036】
一実施形態では、システム100をデータベースに結合することができるので、システム100は、患者記録をデータベースに保持することができる。例えば、医師は、データベースに患者ごとのOPU処置に関する詳細を保存することができる。例えば、医師は、カメラ102によって捕捉された画像と共にOPU処置全体のビデオを記録することができる。画像及びビデオは、患者ごとに医師が提供する固有IDに関連付けることができる。さらに、画像及びビデオがOPU処置に関する証拠として提供され得るように、データベースに格納される前に、画像及びビデオにタイムスタンプを押すことができる。
【0037】
一実施例では、医師は、OPU処置全体を映像ファイル及び音声ファイルとして記録することができ、以下のような名前を付けることができる。
BM00000-20180927-1646
【0038】
そのようなファイル命名は、患者ID、OPU処置の詳細、OPU処置の開始の日付及び時刻、及びOPU処置の完了の時刻などの詳細を、総量及び血液パーセンテージと共に提供することができる。
【0039】
したがって、本主題のシステム100は、医師が卵胞液採取のリアルタイム監視を行うことを容易にする。加えて、医師は、あらゆる血管の穿刺及び卵巣に加えられた陰圧について情報を得続けることができる。さらに、医師が補助に完全に依存しないため、人為的ミスを減らすことができる。さらに、システム100は、OPU処置の有効性を研究するために採取された卵胞液の量に関する分析データを提供することができる。
【0040】
図2Aは、本主題の例示的な実施形態による、卵胞液の流れを監視するための、採取管202の所定の標的領域200を示す。図1を参照して説明したように、医師又は補助者などのユーザが、カメラ(図示せず)を採取管202の前に配置することができる。その後、医師は、採取管202上で所定の標的領域204を定めるか又は選択することができる。所定の標的領域204は、採取管202内の卵胞液の入口又は流入位置を示す。カメラは、画像フレームが採取管202の所定の標的領域204を捕捉するように調節される。
【0041】
動作中、採取管202は、加熱ブロック206などの加熱ブロック内に配置される。一実施例では、加熱ブロック206は、採取管202内に採取されている卵胞液が体温に維持されるように、37℃の一定温度を維持するように設計される。その後、採取管202は2つの管、すなわち、卵胞液受け入れ管208及び陰圧生成管210と接続される。一実施例では、所定の標的領域204は、卵胞液受け入れ管208に関して定められる。
【0042】
図2B図2Eは、本主題の例示的な実施形態による、カメラ固定具104の様々な斜視図200を示す。カメラ固定具104は、採取管の寸法と同様の寸法を有することができるので、カメラ固定具104は、採取管に対するより良好な安定性のために隣接する加熱ブロック内に配置され、近距離から画像フレームを捕捉することができる。結果として、カメラ固定具104は、追加の支持を必要とせずに配置することができる。さらに、カメラ固定具104は、カメラ(図示せず)を配置するために貫通する通路又は穴を含むことができる。さらに、カメラ固定具104は、採取管に対するカメラの角度の調節を容易にすることができる。例えば、カメラ固定具104は、採取管の所定の領域を完全に捕捉するために上下及び左右方向のカメラの移動を可能にする。
【0043】
図3は、本主題の例示的な実施形態による、卵胞液の流れを監視する方法300を示す。方法300は、コンピュータ実行可能命令の一般的な文脈で説明することができる。一般に、コンピュータ実行可能命令は、特定の機能を実行するか又は特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造、プロシージャ、モジュール、関数などを含むことができる。方法300はまた、通信ネットワークを介してリンクされた遠隔処理デバイスによって機能が実行される分散コンピューティング環境で実施することができる。
【0044】
方法300が記載される順序は限定として解釈されることを意図するものではなく、任意の数の記載される方法ブロックを任意の順序で組み合わせて方法300又は代替的な方法を実施することができる。さらに、方法300は、任意の適切なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの組み合わせで実施することができる。
【0045】
ブロック302において、方法300は、体外受精(IVF)処置の卵子採取(OPU)ステップ中に、採取管に対して定められた所定の標的領域に関する画像フレームをリアルタイムで取得することを含むことができ、標的領域は、採取管への卵胞液の流入を示す領域に対応する。一実施形態では、画像フレームは、システムのカメラが捕捉し、処理エンジンが取得することができる。
【0046】
ブロック304において、画像フレームを処理して卵胞液の流れの発生を検出することができる。一実施形態では、処理エンジン120は、画像フレームに対して処理を行うことができる。一態様では、処理エンジン120は、画像フレームに対してバックグラウンド補正を行うことができる。例えば、処理エンジン120は、バックグラウンド除去を行って、画像フレームの前景を抽出し、分析することができる。
【0047】
バックグラウンド補正が行われると、処理エンジン120は、画像フレームを処理して卵胞液の流れの発生を検出することができる。例えば、採取管内の卵胞液の流れを検出するために、処理エンジン120は、経時的に2つの連続する画像フレーム間の画素差に基づいて採取管内の卵胞液の流量を特定することができる。本実施例では、処理エンジン120は、画像フレームのそれぞれにおいてグレー、黒、及び白(GBW)色の画素を分析することができる。2つ以上の連続する画像フレーム間の画素差に基づいて、処理エンジン120は、血液の有無にかかわらず、卵胞液の流れを検出することができる。
【0048】
別の実施形態では、卵胞液の流れが発生すると、画像フレームをさらに処理して卵胞液中の血液の存在を検出することができる。例えば、処理エンジン120は、画像フレームのそれぞれにおいて赤、緑、及び青(RGB)色の画素を分析して卵胞液中の血液の存在を検出することができる。加えて、処理エンジン120は、卵胞液の流れが検出される期間にわたって画像フレーム内の赤色の画素のパーセンテージを計算することができる。
【0049】
ブロック306において、方法300は、卵胞液の流れの発生を検出すると、第1のアラート信号を生成して医師に通知することを含むことができる。一実施形態では、通知エンジン122は、第1のアラート信号を生成することができる。一実施例では、第1のアラート信号は、音声信号、映像信号、又はその両方であり得る。
【0050】
さらに、通知エンジン122は、第2のアラート信号を周期的に生成して卵胞液中の血液の検出を通知することができる。一実施例では、第2のアラート信号は、医師が、卵胞液の流れを示す第1のアラート信号と、卵胞液中の血液の存在を示す第2のアラート信号とを区別できるように、第1のアラート信号とは異なり得る。OPU処置が完了すると、通知エンジン122は、手持ちデバイス106の表示ユニットで、OPU処置全体の間に採取管内に採取された卵胞液の容量分析又は要約を提供することができる。
【0051】
特定の実施形態を参照して本主題を説明してきたが、この説明は限定的な意味で解釈されることを意図していない。開示された実施形態の様々な変更及び主題の代替的な実施形態は、主題の説明を参照することにより当業者に明らかになるであろう。
図1
図2A
図2B-2C】
図2D
図2E
図3
【国際調査報告】