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特表2022-508835眼咽頭筋ジストロフィー(OPMD)を治療するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】眼咽頭筋ジストロフィー(OPMD)を治療するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7105 20060101AFI20220112BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20220112BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20220112BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20220112BHJP
   C12N 15/867 20060101ALI20220112BHJP
   C12N 15/861 20060101ALI20220112BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20220112BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20220112BHJP
   A61P 11/04 20060101ALI20220112BHJP
   A61P 21/02 20060101ALI20220112BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20220112BHJP
   A61K 35/761 20150101ALI20220112BHJP
【FI】
A61K31/7105
C12N15/113 Z ZNA
C12N15/12
C12N15/864 100Z
C12N15/867 Z
C12N15/861 Z
A61K48/00
A61K35/76
A61P11/04
A61P21/02
A61P27/02
A61K35/761
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021546400
(86)(22)【出願日】2019-10-17
(85)【翻訳文提出日】2021-04-20
(86)【国際出願番号】 AU2019051134
(87)【国際公開番号】W WO2020077412
(87)【国際公開日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】62/747,089
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521161060
【氏名又は名称】ベニテック バイオファーマ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ストリングス-ウフォムバー,ヴァネッサ
(72)【発明者】
【氏名】スーイ,デイヴィッド
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4C084AA13
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA33
4C084ZA59
4C084ZA94
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA33
4C086ZA59
4C086ZA94
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA12
4C087CA20
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZA33
4C087ZA59
4C087ZA94
(57)【要約】
本開示は、眼咽頭筋ジストロフィー(OPMD)に罹患しているか、またはそれに罹患しやすい個人におけるOPMDの治療のために、短いヘアピンマイクロRNA(shmiR)などのRNA干渉(RNAi)試薬を含む遺伝子療法構築物を、RNAi試薬によって標的化されない機能的PABPN1タンパク質をコードするポリヌクレオチドなどのPABPN1置換試薬と組み合わせて投与する方法に関する。ある特定の態様では、方法は、対象の咽頭筋への直接注射を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼咽頭筋ジストロフィー(OPMD)に罹患している対象を治療するための方法であって、
(a)短いヘアピンマイクロRNA(shmiR)をコードするDNA配列を含む核酸と、
(b)前記核酸によってコードされた前記shmiR(複数可)によって標的化されないmRNA転写物を有する機能的PABPN1タンパク質をコードするDNA配列を含むPABPN1構築物と、を含む組成物を前記対象に投与することを含み、前記組成物が、前記対象の咽頭筋への直接注射によって投与される、前記方法。
【請求項2】
対象における眼咽頭筋ジストロフィー(OPMD)の原因となるPABPN1タンパク質の発現を阻害する方法であって、前記方法が、
(a)短いヘアピンマイクロRNA(shmiR)をコードするDNA配列を含む核酸を含むddRNAi構築物と、
(b)前記ddRNAi構築物によってコードされた前記shmiR(複数可)によって標的化されないmRNA転写物を有する機能的PABPN1タンパク質をコードするDNA配列を含むPABPN1構築物と、を含む組成物を前記対象に投与することを含み、前記組成物が、前記対象の咽頭筋への直接注射によって投与される、前記方法。
【請求項3】
前記対象が、前記対象の咽頭筋への直接注射によって前記組成物を投与することに続いて改善した嚥下を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
組成物が、前記ddRNAi構築物、前記PABPN1構築物、またはそれらの組み合わせを含む発現ベクターを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記発現ベクターが、5’から3’方向に、前記ddRNAi構築物及び前記PABPN1構築物を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記発現ベクターが、5’から3’方向に、前記PABPN1構築物及び前記ddRNAi構築物を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記発現ベクターが、プラスミドまたはミニサークルである、請求項4~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記発現ベクターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、レトロウイルスベクター、アデノウイルス(AdV)ベクター、及びレンチウイルス(LV)ベクターからなる群から選択されるウイルスベクターである、請求項4~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記核酸、ddRNAi構築物、及び/またはPABPN1構築物が発現構築物内に含まれ、前記発現構築物がAAV血清型からの逆位末端反復(ITR)を含む、請求項4~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記AAV血清型が、AAV2、AAV8、またはAAV9である、請求項4~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記機能的PABPN1タンパク質をコードする前記DNA配列が、そのmRNA転写物が前記ddRNAi構築物の前記shmiRによって標的化されないように、コドン最適化される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記機能的PABPN1タンパク質をコードする前記DNA配列が、配列番号73に定められる、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記機能的PABPN1タンパク質をコードする前記DNA配列が、前記PABPN1構築物内に含まれたプロモーターに作動可能に連結され、前記機能的PABPN1タンパク質をコードする前記DNA配列の上流に位置する、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記PABPN1構築物内に含まれた前記プロモーターが、筋特異的プロモーターである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記shmiRが、
長さが少なくとも17ヌクレオチドのエフェクター配列と、
エフェクター相補配列と、
ステムループ配列と、
プライマリマイクロRNA(pri-miRNA)骨格と、を含み、
前記エフェクター配列が、ヒトPABPN1のRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的である、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記shmiRが、配列番号87に定められたRNA配列内で対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記shmiRが、配列番号1~13のいずれか1つに定められたRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含む、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記shmiRが、
配列番号15に定められたエフェクター配列と、配列番号14に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiR、
配列番号17に定められたエフェクター配列と、配列番号16に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiR、
配列番号19に定められたエフェクター配列と、配列番号18に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiR、
配列番号21に定められたエフェクター配列と、配列番号20に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiR、
配列番号23に定められたエフェクター配列と、配列番号22に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiR、
配列番号25に定められたエフェクター配列と、配列番号24に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiR、
配列番号27に定められたエフェクター配列と、配列番号26に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiR、
配列番号29に定められたエフェクター配列と、配列番号28に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiR、
配列番号31に定められたエフェクター配列と、配列番号30に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiR、
配列番号33に定められたエフェクター配列と、配列番号32に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiR、
配列番号35に定められたエフェクター配列と、配列番号34に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiR、
配列番号37に定められたエフェクター配列と、配列番号36に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiR、及び
配列番号39に定められたエフェクター配列と、配列番号38に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRからなる群から選択される、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記shmiRが、5’から3’方向に、
前記pri-miRNA骨格の5’隣接配列と、
前記エフェクター相補配列と、
前記ステムループ配列と、
前記エフェクター配列と、
前記pri-miRNA骨格の3’隣接配列と、を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記ステムループ配列が、配列番号40に定められた配列である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記pri-miRNA骨格が、pri-miR-30a骨格である、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記pri-miRNA骨格の前記5’隣接配列が配列番号41に定められ、前記pri-miRNA骨格の前記3’隣接配列が配列番号42に定めれられる、請求項19~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記shmiRが、配列番号43~55のいずれか1つに定められた配列を含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記shmiRをコードする前記DNA配列が、配列番号56~68のいずれか1つに定められる、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
shmiRをコードする少なくとも2つの核酸を投与すること、または前記少なくとも2つの核酸を含むddRNAi構築物を投与することを含み、各shmiRが、OPMDの原因となるPABPN1タンパク質に対応するRNA転写物に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含み、各shmiRが、異なるエフェクター配列を含む、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも2つの核酸の各々が、配列番号1、2、4、7、9、10、及び13のうちの1つに定められたRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRをコードする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも2つの核酸が、
配列番号15に定められたエフェクター配列と、配列番号14に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸(shmiR2)、
配列番号17に定められたエフェクター配列と、配列番号16に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸(shmiR3)、
配列番号21に定められたエフェクター配列と、配列番号20に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸(shmiR5)、
配列番号27に定められたエフェクター配列と、配列番号26に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸(shmiR9)、
配列番号31に定められたエフェクター配列と、配列番号30に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸(shmiR13)、
配列番号33に定められたエフェクター配列と、配列番号32に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸(shmiR14)、及び
配列番号39に定められたエフェクター配列と、配列番号38に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸(shmiR17)からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも2つの核酸が、
配列番号56に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸(shmiR2)、
配列番号57に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸(shmiR3)、
配列番号59に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸(shmiR5)、
配列番号62に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸(shmiR9)、
配列番号64に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸(shmiR13)、
配列番号65に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸(shmiR14)、及び
配列番号68に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸(shmiR17)からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも2つの核酸の各々が、配列番号2、9、10、及び13のうちの1つに定められたRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRをコードする、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも2つの核酸が、
配列番号17に定められたエフェクター配列と、配列番号16に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸(shmiR3)、
配列番号31に定められたエフェクター配列と、配列番号30に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸(shmiR13)、
配列番号33に定められたエフェクター配列と、配列番号32に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸(shmiR14)、及び
配列番号39に定められたエフェクター配列と、配列番号38に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸(shmiR17)からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも2つの核酸が、
配列番号57に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸(shmiR3)、
配列番号64に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸(shmiR13)、
配列番号65に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸(shmiR14)、及び
配列番号68に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸(shmiR17)からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記ddRNAi構築物が、
(a)配列番号31に定められたエフェクター配列と、配列番号30に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸(shmiR13)、及び
(b)配列番号39に定められたエフェクター配列と、配列番号38に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸(shmiR17)を含む、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記ddRNAi構築物が、
(a)配列番号64に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸(shmiR13)、及び
(b)配列番号68に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸(shmiR17)を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記組成物が、1つ以上の薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項1~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記咽頭筋が、下部収縮筋、中部収縮筋、上部収縮筋、口蓋咽頭筋、耳管咽頭筋、茎突咽頭筋、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年10月17日に出願された米国仮第62/747,089号に対する優先権を主張し、その完全な内容は、その全体の参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、眼咽頭筋ジストロフィー(OPMD)に罹患しているか、またはそれに罹患しやすい個人におけるOPMDの治療のための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
OPMDは、常染色体優性遺伝性で、緩徐進行性で、遅発性の変性筋障害である。疾患は、進行性の目蓋の降下(眼瞼下垂)及び嚥下困難(嚥下障害)によって主に特徴付けられる。咽頭筋及び輪状咽頭筋は、OPMDにおける特異的標的である。近位肢の脱力は、疾患進行の後期に続く傾向がある。疾患を引き起こす変異は、ポリ(A)結合タンパク質核1(PABPN1)遺伝子のコード領域の(GCN)nトリヌクレオチド反復の異常な拡張である。この拡張は、PABPN1タンパク質のN末端で拡張されたポリアラニントラクトを生じる。10のアラニンが正常タンパク質に存在し、変異型(expPABPN1)では11~18のアラニンに拡張される。疾患の主な病理学的特徴は、expPABPN1の核凝集体である。拡張されたPABPN1のミスフォールディングは、影響を受けた細胞の核の内側に不溶性の高分子繊維状凝集体の蓄積をもたらす。PABPN1は凝集しやすいタンパク質であり、OPMDにおける変異体アラニン拡張PABPN1は、野生型の正常タンパク質よりも高い凝集率を有する。しかしながら、OPMDにおける核凝集体が細胞防御機構の結果として病理学的機能または保護的役割のどちらを有するのかは、未だに不明である。
【0004】
現在、OPMDに対する治療は、薬理学的またはその他の方法であっても利用不可能である。症候性の外科的介入は、中等度から重度の影響を受けた個人において、眼瞼下垂を部分的に矯正し嚥下を改善することができる。例えば、輪状咽頭筋切開術は、現在、これらの患者において嚥下を改善するために利用可能な唯一の可能な治療である。しかしながら、これは、多くの場合嚥下困難及び窒息に続いて死に至る、咽頭筋組織の進行性の劣化を修正しない。
【0005】
したがって、OPMDに罹患している及び/またはOPMDに罹患しやすい患者のOPMDを治療するための治療薬に対する必要性が残っている。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、部分的には、OPMDの治療のために承認された治療薬が現在存在しないという発明者による認識に基づいている。したがって、本開示は、OPMDの原因となるPABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するRNAi試薬を投与するための方法を提供する。さらに、本開示は、開示のRNAi試薬によって標的とされないmRNA転写物を有する野生型ヒトPABPN1タンパク質の発現のための試薬(以下、「PABPN1置換試薬」)を投与するための方法を提供する。
【0007】
開示のある特定の態様は、眼咽頭筋ジストロフィー(OPMD)に罹患している対象を治療するための方法であって、
(a)短いヘアピンマイクロRNA(shmiR)をコードするDNA配列を含む核酸と、
(b)核酸によってコードされたshmiR(複数可)によって標的化されないmRNA転写物を有する機能的PABPN1タンパク質をコードするDNA配列を含むPABPN1構築物と、を含む組成物を当該対象に投与することを含む方法に関し、組成物は、対象の咽頭筋への直接注射によって投与される。
【0008】
ある特定の態様は、対象における眼咽頭筋ジストロフィー(OPMD)の原因となるPABPN1タンパク質の発現を阻害する方法に関し、当該方法は、
(a)短いヘアピンマイクロRNA(shmiR)をコードするDNA配列を含む核酸を含むddRNAi構築物と、
(b)ddRNAi構築物によってコードされたshmiR(複数可)によって標的化されないmRNA転写物を有する機能的PABPN1タンパク質をコードするDNA配列を含むPABPN1構築物と、を含む組成物を対象に投与することを含み、組成物は、対象の咽頭筋への直接注射によって投与される。
【0009】
一例では、対象は、対象の咽頭筋への直接注射によって組成物を投与することに続いて、改善した嚥下を有する。
【0010】
一例では、組成物は、ddRNAi構築物、PABPN1構築物、またはそれらの組み合わせを含む発現ベクターを含む。
【0011】
一例では、発現ベクターは、5’から3’方向に、ddRNAi構築物及びPABPN1構築物を含む。
【0012】
一例では、発現ベクターは、5’から3’方向に、PABPN1構築物及びddRNAi構築物を含む。
【0013】
一例では、発現ベクターは、プラスミドまたはミニサークルである。
【0014】
一例では、発現ベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、レトロウイルスベクター、アデノウイルス(AdV)ベクター、及びレンチウイルス(LV)ベクターからなる群から選択される、ウイルスベクターである。例えば、発現ベクターは、AAVベクター、例えば、血清型AAV2、AAV8、またはAAV9からのAAVであり得る。
【0015】
一例では、核酸、ddRNAi構築物、及び/またはPABPN1構築物は発現構築物を含み、発現構築物はAAV血清型からの逆位末端反復(ITR)を含む。
【0016】
一例では、機能的PABPN1タンパク質をコードするDNA配列は、そのmRNA転写物が核酸またはddRNAi構築物によってコードされたshmiRによって標的化されないように、コドン最適化される。例えば、機能的PABPN1タンパク質をコードするDNA配列は、配列番号73に定められたDNA配列であり得る。
【0017】
一例では、機能的PABPN1タンパク質をコードするDNA配列は、PABPN1構築物内に含まれたプロモーターに作動可能に連結され、機能的PABPN1タンパク質をコードするDNA配列の上流に位置する。例えば、PABPN1構築物内に含まれるプロモーターは、筋特異的プロモーターであり得る。
【0018】
一例では、核酸は、ヒトPABPN1のRNA転写物を標的化するshmiRをコードするDNA配列を含み、shmiRは、
長さが少なくとも17ヌクレオチドのエフェクター配列と、
エフェクター相補配列と、
ステムループ配列と、
プライマリマイクロRNA(pri-miRNA)骨格と、を含み、
エフェクター配列は、ヒトPABPN1のRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的である。例えば、エフェクター配列は、配列番号87に定められた配列内で対応する長さの領域(すなわち、ヒトPABPN1をコードするメッセンジャーRNA転写物)に対して実質的に相補的であり得る。
【0019】
いくつかの例では、核酸は、
長さが少なくとも17ヌクレオチドのエフェクター配列と、
エフェクター相補配列と、
ステムループ配列と、
pri-miRNA骨格と、を含むshmiRをコードするDNA配列を含み、
エフェクター配列は、配列番号1~13のいずれか1つに定められたRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的である。
【0020】
好ましくは、エフェクター配列は、長さが30ヌクレオチド未満であろう。例えば、好適なエフェクター配列は、長さが17~29ヌクレオチドの範囲にあり得る。好ましくは、エフェクター配列は、長さが20ヌクレオチドであろう。より好ましくは、エフェクター配列は長さが21ヌクレオチドであり、エフェクター相補配列は長さが20ヌクレオチドであろう。
【0021】
ある特定の例では、核酸によってコードされたshmiRは、配列番号1~13(すなわち、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、または配列番号13)のいずれか1つに定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含む。例えば、エフェクター配列は、配列番号1~13のいずれか1つに定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であり得、それに対する4つのミスマッチ塩基を含み得る。例えば、エフェクター配列は、配列番号1~13のいずれか1つに定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であり得、それに対する3つのミスマッチ塩基を含み得る。例えば、エフェクター配列は、配列番号1~13のいずれか1つに定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であり得、それに対する2つのミスマッチ塩基を含み得る。例えば、エフェクター配列は、配列番号1~13のいずれか1つに定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であり得、それに対する1つのミスマッチ塩基を含み得る。例えば、エフェクター配列は、配列番号1~13のいずれか1つに定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に100%相補的であり得る。ミスマッチが存在する場合、それらは、shmiRのシード領域に対応する領域、すなわち、エフェクター配列のヌクレオチド2~8内に位置しないことが好まれる。
【0022】
開示の方法において有用であり得る例示的な核酸は、表2に記載されるようなエフェクター/エフェクター相補配列の組み合わせを有するshmiRをコードするDNA配列を含み得る。
【0023】
一例では、核酸によってコードされたshmiRは、配列番号14に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRである。例えば、配列番号15に定められたエフェクター配列及び配列番号14に定められたエフェクター相補配列を含むshmiR。
【0024】
一例では、核酸によってコードされたshmiRは、配列番号16に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRである。例えば、配列番号17に定められたエフェクター配列及び配列番号16に定められたエフェクター相補配列を含むshmiR。
【0025】
一例では、核酸によってコードされたshmiRは、配列番号18に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRである。例えば、配列番号19に定められたエフェクター配列及び配列番号18に定められたエフェクター相補配列を含むshmiR。
【0026】
一例では、核酸によってコードされたshmiRは、配列番号20に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRである。例えば、配列番号21に定められたエフェクター配列及び配列番号20に定められたエフェクター相補配列を含むshmiR。
【0027】
一例では、核酸によってコードされたshmiRは、配列番号22に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRである。例えば、配列番号23に定められたエフェクター配列及び配列番号22に定められたエフェクター相補配列を含むshmiR。
【0028】
一例では、核酸によってコードされたshmiRは、配列番号24に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRである。例えば、配列番号25に定められたエフェクター配列及び配列番号24に定められたエフェクター相補配列を含むshmiR。
【0029】
一例では、核酸によってコードされたshmiRは、配列番号26に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRである。例えば、配列番号27に定められたエフェクター配列及び配列番号26に定められたエフェクター相補配列を含むshmiR。
【0030】
一例では、核酸によってコードされたshmiRは、配列番号28に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRである。例えば、配列番号29に定められたエフェクター配列及び配列番号28に定められたエフェクター相補配列を含むshmiR。
【0031】
一例では、核酸によってコードされたshmiRは、配列番号30に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRである。例えば、配列番号31に定められたエフェクター配列及び配列番号30に定められたエフェクター相補配列を含むshmiR。
【0032】
一例では、核酸によってコードされたshmiRは、配列番号32に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRである。例えば、配列番号33に定められたエフェクター配列及び配列番号32に定められたエフェクター相補配列を含むshmiR。
【0033】
一例では、核酸によってコードされたshmiRは、配列番号34に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRである。例えば、配列番号35に定められたエフェクター配列及び配列番号34に定められたエフェクター相補配列を含むshmiR。
【0034】
一例では、核酸によってコードされたshmiRは、配列番号36に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRである。例えば、配列番号37に定められたエフェクター配列及び配列番号36に定められたエフェクター相補配列を含むshmiR。
【0035】
一例では、核酸によってコードされたshmiRは、配列番号38に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRである。例えば、配列番号39に定められたエフェクター配列及び配列番号38に定められたエフェクター相補配列を含むshmiR。
【0036】
一例では、shmiRは、5’から3’方向に、
pri-miRNA骨格の5’隣接配列と、
エフェクター相補配列と、
ステムループ配列と、
エフェクター配列と、
pri-miRNA骨格の3’隣接配列と、を含む。
【0037】
一例では、shmiRは、5’から3’方向に、
pri-miRNA骨格の5’隣接配列と、
エフェクター配列と、
ステムループ配列と、
エフェクター相補配列と、
pri-miRNA骨格の3’隣接配列と、を含む。
【0038】
一例では、ステムループ配列は、配列番号40に示される配列であり得る。
【0039】
一例では、pri-miRNA骨格は、pri-miR-30a骨格である。例えば、pri-miRNA骨格の5’隣接配列は配列番号41に定められた配列であり得、pri-miRNA骨格の3’隣接配列は配列番号42に定められ得る。
【0040】
開示の方法において有用であり得る例示的な核酸は、表3に記載されるような、及び/または表4における配列によってコードされた配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含み得る。例えば、開示の核酸によってコードされたshmiRは、配列番号43~55のいずれか1つに定められた配列を含み得る。shmiRは、配列番号56~68のいずれか1つに定められたDNA配列によってコードされ得る。
【0041】
いくつかの例では、方法は、shmiRをコードする少なくとも2つの核酸を投与すること、または少なくとも2つの核酸を含むddRNAi構築物を投与することを含み、各shmiRは、OPMDの原因となるPABPN1タンパク質に対応するRNA転写物に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含み、各shmiRは、異なるエフェクター配列を含む。
【0042】
少なくとも2つの核酸は、別々に、または単一のddRNAi構築物内で投与され得る。一例では、少なくとも2つの核酸の各々は、配列番号1、2、4、7、9、10、及び13のうちの1つに定められたRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRを各々コードする。例えば、少なくとも2つの核酸は、配列番号15に定められたエフェクター配列及び配列番号14に定められたエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR2)、配列番号17に定められたエフェクター配列及び配列番号16に定められたエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR3)、配列番号21に定められたエフェクター配列及び配列番号20に定められたエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR5)、配列番号27に定められたエフェクター配列及び配列番号26に定められたエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR9)、配列番号31に定められたエフェクター配列及び配列番号30に定められたエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR13)、配列番号33に定められたエフェクター配列及び配列番号32に定められたエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR14)、ならびに配列番号39に定められたエフェクター配列及び配列番号38に定められたエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR17)からなる群から選択され得る。
【0043】
一例では、少なくとも2つの核酸は、配列番号56に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR2)、配列番号57に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR3)、配列番号59に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR5)、配列番号62に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR9)、配列番号64に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR13)、配列番号65に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR14)、及び配列番号68に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR17)からなる群から選択される。
【0044】
一例では、少なくとも2つの核酸の各々は、配列番号2、9、10、及び13のうちの1つに定められたRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRをコードする。例えば、少なくとも2つの核酸は、配列番号17に定められたエフェクター配列及び配列番号16に定められたエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR3)、配列番号31に定められたエフェクター配列及び配列番号30に定められたエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR13)、配列番号33に定められたエフェクター配列及び配列番号32に定められたエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR14)、ならびに配列番号39に定められたエフェクター配列及び配列番号38に定められたエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR17)からなる群から選択され得る。
【0045】
一例では、少なくとも2つの核酸は、配列番号57に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR3)、配列番号64に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR13)、配列番号65に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR14)、及び配列番号68に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR17)からなる群から選択される。
【0046】
一例では、それを含む少なくとも2つの核酸またはddRNAi構築物は、
(a)配列番号31に定められたエフェクター配列と、配列番号30に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸(shmiR13)、及び
(b)配列番号39に定められたエフェクター配列と、配列番号38に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸(shmiR17)を含む。
【0047】
一例では、それを含む少なくとも2つの核酸またはddRNAi構築物は、
(a)配列番号64に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR13)、及び
(b)配列番号68に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR17)を含む。
【0048】
本明細書の任意の実施例に記載される組成物は、1つ以上の薬学的に許容される担体をさらに含み得る。
【0049】
いくつかの例では、咽頭筋は、下部収縮筋、中部収縮筋、上部収縮筋、口蓋咽頭筋、耳管咽頭筋、茎突咽頭筋、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む。
【0050】
1つの特定の例によれば、本開示は、それを必要とする対象の咽頭筋に、
(a)本明細書に記載されるようなddRNAi構築物と、
(b)ddRNAi構築物によってコードされたshmiR(複数可)によって標的化されないmRNA転写物を有する機能的PABPN1タンパク質をコードするDNA配列を含むPABPN1構築物と、を含むDNA構築物を投与するための方法を提供する。好ましくは、機能的PABPN1タンパク質をコードするDNA配列は、そのmRNA転写物がddRNAi構築物のshmiRによって標的化されないように、コドン最適化される。一例では、機能的PABPN1タンパク質は、例えば、配列番号74に定められた配列を有する野生型ヒトPABPN1タンパク質である。一例では、機能的PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化DNA配列は、配列番号73に定められる。いくつかの実施形態では、DNA構築物は、1つ以上のプロモーターを含むことができる。開示のDNA構築物における使用のための例示的なプロモーターは、例えば、Spc512及びCK8などの筋特異的プロモーターである。いくつかの実施形態では、DNA構築物は、PABPN1構築物及びddRNAi構築物に作動可能に連結されたプロモーターを含み、プロモーターは、PABPN1構築物及びddRNAi構築物の上流に位置する。
【0051】
いくつかの実施形態では、DNA構築物は、5’から3’方向に、
(a)筋特異的プロモーター、例えば、Spc512と、
(b)ddRNAi構築物によってコードされたshmiRによって標的化されないmRNA転写物を有する機能的PABPN1タンパク質をコードするDNA配列を含む、本明細書に記載されるようなPABPN1構築物と、
(c)本明細書に記載されるようなshmiR13をコードするDNA配列を含む核酸、及び本明細書に記載されるようなshmiR17をコードするDNA配列を含む核酸を含む、開示のddRNAi構築物と、を含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、咽頭筋は、下部収縮筋、中部収縮筋、上部収縮筋、口蓋咽頭筋、耳管咽頭筋、茎突咽頭筋、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】A:内因性PABPN1の同時の遺伝子サイレンシング、及びwtPABPN1を標的化する2つのshmiRを2つのpAAV2 ITRの中間のコドン最適化PABPN1転写物の3’非翻訳領域にサブクローニングすることによって生成されたコドン最適化PABPN1での置換についての構築物を示す概略図である。B:内因性PABPN1の同時の遺伝子サイレンシング、及びwtPABPN1を標的化する2つのshmiR(shmiR17及びshmiR13)をpAAV2ベクター骨格におけるコドン最適化PABPN1転写物の3’非翻訳領域にサブクローニングすることによって生成されたコドン最適化PABPN1での置換について設計された「サイレンス及び置換」構築物(SR構築物)を示す概略図である。C:5’隣接領域、siRNAセンス鎖、ステム/ループジャンクション配列、siRNAアンチセンス鎖、及び3’隣接領域を含む代表的なshmiR構築物の予測された二次構造を示す。
図2】SR構築物を示す概略図である。SR構築物では、「置換」及び「サイレンス」カセットは、Spc512筋特異的プロモーターを有する単一のベクターに全て挿入される。2つのshmiR配列は、コドン最適化PABPN1カセットの3’UTRに挿入される。
図3A】SR構築物を注射されたA17マウスの(前脛骨筋)TA筋におけるshRNAの発現を示す。RNAを、SR構築物投与の14週間後にTA試料から抽出した。
図3B】SR構築物で治療されたA17マウスのTA筋におけるPABPN1発現(expPABPN1を含む)のサイレンシングを示す。RNAを、SR構築物投与の14週間後にTA試料から抽出した。
図3C】SR構築物での治療時のA17マウスモデルにおける正常なPABPN1レベルの回復を示す。RNAを、SR構築物投与の14週間後にTA筋試料から抽出した。
図4A】SR構築用量効果を伴うPABPN1を含む不溶性凝集体(核内封入体(INI))の顕著に低減した形成を示す。SR構築物を、A17マウスのTA筋に注射した。筋を、SR構築物投与の14週間後に組織学的研究のために回収及びマウントした。PABPN1に対する免疫蛍光は緑色で示され、ラミニンに対する免疫蛍光は赤色で示される。
図4B】SR構築物での治療が未治療のA17 TA筋と比較してINIの量を有意に低減することを示している、筋切片にINIを含む核の百分率の定量化を示す(ボンフェローニ事後検定での一元配置分散分析、***p<0.001、ns:有意でない)。
図5A】SR構築物用量依存的方式でA17マウスのTA筋によって生成された最大力の顕著な増加を示す。最大力を、インサイツ筋生理学によって測定した。
図5B】A17マウスのSR構築物治療TA筋の体重(BW)に正規化された筋重量を示す。正規化された筋重量は、注射されたTAあたり1e10vgを超える用量で対照FvBマウスのものと同等であった(平均±SEM n=10、ボンフェローニ事後検定での一元配置分散分析、*p<0.05、***p<0.001、**p<0.01、ns:有意でない)。
図6A】SR構築物投与の14週間後にA17マウスのTA筋によって生成された最大力を示す。最大力を、インサイツ筋生理学によって測定した。
図6B】SR構築物投与の20週間後にA17マウスのTA筋によって生成された最大力を示す。最大力を、インサイツ筋生理学によって測定した。
図7A】ヒツジの咽頭筋へのSR構築物の直接注射を示す。
図7B】「ファウッセ(fausse)経路」のリスクを有するヒトOPMD患者における重度の嚥下障害を示す放射標識されたクリームを使用する放射線画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
配列表の見出し
配列番号1:PABPN1 mRNA領域2と呼ばれるPABPN1タンパク質に対応するmRNA転写物内の領域に対するRNA配列。
配列番号2:PABPN1 mRNA領域3と呼ばれるPABPN1タンパク質に対応するmRNA転写物内の領域に対するRNA配列。
配列番号3:PABPN1 mRNA領域4と呼ばれるPABPN1タンパク質に対応するmRNA転写物内の領域に対するRNA配列。
配列番号4:PABPN1 mRNA領域5と呼ばれるPABPN1タンパク質に対応するmRNA転写物内の領域に対するRNA配列。
配列番号5:PABPN1 mRNA領域6と呼ばれるPABPN1タンパク質に対応するmRNA転写物内の領域に対するRNA配列。
配列番号6:PABPN1 mRNA領域7と呼ばれるPABPN1タンパク質に対応するmRNA転写物内の領域に対するRNA配列。
配列番号7:PABPN1 mRNA領域9と呼ばれるPABPN1タンパク質に対応するmRNA転写物内の領域に対するRNA配列。
配列番号8:PABPN1 mRNA領域11と呼ばれるPABPN1タンパク質に対応するmRNA転写物内の領域に対するRNA配列。
配列番号9:PABPN1 mRNA領域13と呼ばれるPABPN1タンパク質に対応するmRNA転写物内の領域に対するRNA配列。
配列番号10:PABPN1 mRNA領域14と呼ばれるPABPN1タンパク質に対応するmRNA転写物内の領域に対するRNA配列。
配列番号11:PABPN1 mRNA領域15と呼ばれるPABPN1タンパク質に対応するmRNA転写物内の領域に対するRNA配列。
配列番号12:PABPN1 mRNA領域16と呼ばれるPABPN1タンパク質に対応するmRNA転写物内の領域に対するRNA配列。
配列番号13:PABPN1 mRNA領域17と呼ばれるPABPN1タンパク質に対応するmRNA転写物内の領域に対するRNA配列。
配列番号14:shmiR2と呼ばれるshmiRに対するRNAエフェクター相補配列。
配列番号15:shmiR2と呼ばれるshmiRに対するRNAエフェクター配列。
配列番号16:shmiR3と呼ばれるshmiRに対するRNAエフェクター相補配列。
配列番号17:shmiR3と呼ばれるshmiRに対するRNAエフェクター配列。
配列番号18:shmiR4と呼ばれるshmiRに対するRNAエフェクター相補配列。
配列番号19:shmiR4と呼ばれるshmiRに対するRNAエフェクター配列。
配列番号20:shmiR5と呼ばれるshmiRに対するRNAエフェクター相補配列。
配列番号21:shmiR5と呼ばれるshmiRに対するRNAエフェクター配列。
配列番号22:shmiR6と呼ばれるshmiRに対するRNAエフェクター相補配列。
配列番号23:shmiR6と呼ばれるshmiRに対するRNAエフェクター配列。
配列番号24:shmiR7と呼ばれるshmiRに対するRNAエフェクター相補配列。
配列番号25:shmiR7と呼ばれるshmiRに対するRNAエフェクター配列。
配列番号26:shmiR9と呼ばれるshmiRに対するRNAエフェクター相補配列。
配列番号27:shmiR9と呼ばれるshmiRに対するRNAエフェクター配列。
配列番号28:shmiR11と呼ばれるshmiRに対するRNAエフェクター相補配列。
配列番号29:shmiR11と呼ばれるshmiRに対するRNAエフェクター配列。
配列番号30:shmiR13と呼ばれるshmiRに対するRNAエフェクター相補配列。
配列番号31:shmiR13と呼ばれるshmiRに対するRNAエフェクター配列。
配列番号32:shmiR14と呼ばれるshmiRに対するRNAエフェクター相補配列。
配列番号33:shmiR14と呼ばれるshmiRに対するRNAエフェクター配列。
配列番号34:shmiR15と呼ばれるshmiRに対するRNAエフェクター相補配列。
配列番号35:shmiR15と呼ばれるshmiRに対するRNAエフェクター配列。
配列番号36:shmiR16と呼ばれるshmiRに対するRNAエフェクター相補配列。
配列番号37:shmiR16と呼ばれるshmiRに対するRNAエフェクター配列。
配列番号38:shmiR17と呼ばれるshmiRに対するRNAエフェクター相補配列。
配列番号39:shmiR17と呼ばれるshmiRに対するRNAエフェクター配列。
配列番号40:shmiRに対するRNAステムループ配列
配列番号41:pri-miRNA骨格の5’隣接配列。
配列番号42:pri-miRNA骨格の3’隣接配列
配列番号43:shmiR2と呼ばれるshmiRに対するRNA配列。
配列番号44:shmiR3と呼ばれるshmiRに対するRNA配列。
配列番号45:shmiR4と呼ばれるshmiRに対するRNA配列。
配列番号46:shmiR5と呼ばれるshmiRに対するRNA配列。
配列番号47:shmiR6と呼ばれるshmiRに対するRNA配列。
配列番号48:shmiR7と呼ばれるshmiRに対するRNA配列。
配列番号49:shmiR9と呼ばれるshmiRに対するRNA配列。
配列番号50:shmiR11と呼ばれるshmiRに対するRNA配列。
配列番号51:shmiR13と呼ばれるshmiRに対するRNA配列。
配列番号52:shmiR14と呼ばれるshmiRに対するRNA配列。
配列番号53:shmiR15と呼ばれるshmiRに対するRNA配列。
配列番号54:shmiR16と呼ばれるshmiRに対するRNA配列。
配列番号55:shmiR17と呼ばれるshmiRに対するRNA配列。
配列番号56:shmiR2と呼ばれるshmiRに対するDNA配列コード。
配列番号57:shmiR3と呼ばれるshmiRに対するDNA配列コード。
配列番号58:shmiR4と呼ばれるshmiRに対するDNA配列コード。
配列番号59:shmiR5と呼ばれるshmiRに対するDNA配列コード。
配列番号60:shmiR6と呼ばれるshmiRに対するDNA配列コード。
配列番号61:shmiR7と呼ばれるshmiRに対するDNA配列コード。
配列番号62:shmiR9と呼ばれるshmiRに対するDNA配列コード。
配列番号63:shmiR11と呼ばれるshmiRに対するDNA配列コード。
配列番号64:shmiR13と呼ばれるshmiRに対するDNA配列コード。
配列番号65:shmiR14と呼ばれるshmiRに対するDNA配列コード。
配列番号66:shmiR15と呼ばれるshmiRに対するDNA配列コード。
配列番号67:shmiR16と呼ばれるshmiRに対するDNA配列コード。
配列番号68:shmiR17と呼ばれるshmiRに対するDNA配列コード。
配列番号69:筋特異的CK8プロモーターの制御下でshmiR3及びshmiR14、ならびにSpc512の制御下でコドン最適化PABPN1をコードする二重構築物バージョン1に対するDNA配列
配列番号70:筋特異的CK8プロモーターの制御下でshmiR17及びshmiR13、ならびにSpc512の制御下でコドン最適化PABPN1をコードする二重構築物バージョン1に対するDNA配列
配列番号71:Spc512の制御下で、coPABPN1ならびにshmiR3及びshmiR14と呼ばれるshmiRをコードする二重構築物バージョン2に対するDNA配列。
配列番号72:Spc512の制御下で、coPABPN1ならびにshmiR17及びshmiR13と呼ばれるshmiRをコードする二重構築物バージョン2に対するDNA配列。
配列番号73:ヒトコドン最適化PABPN1 cDNA配列に対するDNA配列。
配列番号74:コドン最適化ヒトPABPN1タンパク質に対するアミノ酸配列。
配列番号75:FLAGタグを有する野生型ヒトPABPN1タンパク質に対するアミノ酸配列。
配列番号76:FLAGタグを有するコドン最適化ヒトPABPN1タンパク質に対するアミノ酸配列。
配列番号77:wtPABPN1-Fwdと呼ばれるプライマーに対するDNA配列。
配列番号78:wtPABPN1-Revと呼ばれるプライマーに対するDNA配列
配列番号79:wtPABPN1-Probeと呼ばれるプローブに対するDNA配列
配列番号80:optPABPN1-Fwdと呼ばれるプライマーに対するDNA配列
配列番号81:optPABPN1-Revと呼ばれるプライマーに対するDNA配列
配列番号82:optPABPN1-Probeと呼ばれるプローブに対するDNA配列
配列番号83:shmiR3-FWDと呼ばれるプライマーに対するDNA配列
配列番号84:shmiR13-FWDと呼ばれるプライマーに対するDNA配列
配列番号85:shmiR14-FWDと呼ばれるプライマーに対するDNA配列
配列番号86:shmiR17-FWDと呼ばれるプライマーに対するDNA配列
配列番号87:野生型ヒトPABPN1タンパク質をコードするRNA配列
配列番号88:AAV VP1の修飾されたホスホリパーゼA2(PLA2)ドメインに対するコンセンサス配列
配列番号89:AAV8に対する修飾されたPLA2ドメイン
配列番号90:AAV9に対する修飾されたPLA2ドメイン
【0055】
概要
本明細書全体を通じて、具体的に別段明記されない限り、または文脈が別段必要としない限り、単一のステップ、特徴、物質の組成物、ステップの群、または特徴もしくは物質の組成物の群は、それらのステップ、特徴、物質の組成、ステップの群、または特徴もしくは物質の組成の群のうちの1つ及び複数(すなわち、1つ以上)を包含すると解釈されるものとする。
【0056】
当業者は、本開示が、具体的に記載されているもの以外の変形例及び修正例に影響されやすいことを理解するであろう。開示が全てのかかる変形例及び修正例を含むことを、理解されたい。開示は、本明細書中で個別にまたは集合的に参照されるか、または示されるステップ、特徴、組成物、及び化合物の全て、ならびに当該ステップまたは特徴の全ての組み合わせもしくは任意の2つ以上も含む。
【0057】
本開示は、例示の目的のみのために意図される、本明細書に記載される具体的な例によって範囲を限定されないものとする。機能的に等価の産物、組成物、及び方法は、明らかに本開示の範囲内にある。
【0058】
本開示の任意の例は、具体的に別段明記されない限り、必要な変更を考慮して開示の任意の他の例に適用するように解釈されるものとする。
【0059】
具体的に別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者(例えば、細胞培養、分子遺伝学、免疫学、免疫組織化学、タンパク質化学、及び生化学における)によって一般的に理解されるのと同じ意味を有するように解釈されるものとする。
【0060】
別段示されない限り、本開示において利用される組換えDNA、組換えタンパク質、細胞培養、及び免疫学的技法は、当業者に周知の標準手順である。かかる技法は、J.Perbal,A Practical Guide to Molecular Cloning,John Wiley and Sons(1984)、J.Sambrook et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)、T.A.Brown(editor),Essential Molecular Biology:A Practical Approach,Volumes 1 and 2,IRL Press(1991)、D.M.Glover and B.D.Hames(editors),DNA Cloning:A Practical Approach,Volumes 1-4,IRL Press(1995 and 1996)、及びF.M.Ausubel et al.(editors),Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates and Wiley-Interscience(1988,including all updates until present)、Ed Harlow and David Lane(editors)Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,(1988)、及びJ.E.Coligan et al.(editors)Current Protocols in Immunology,John Wiley&Sons(including all updates until present)などの出典における文献の全体を通じて記載及び説明される。
【0061】
本明細書全体を通じて、文脈が別段必要としない限り、単語「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」もしくは「含むこと(comprising)」などの変形例は、明記されるステップもしくは要素もしくは整数、またはステップもしくは要素もしくは整数の群の包含を意味するが、任意の他のステップもしくは要素もしくは整数、または要素もしくは整数の群の除外を意味しないように理解される。
【0062】
用語「及び/または」、例えば、「X及び/またはY」は、「X及びY」または「XまたはY」のいずれかを意味するように理解されるものとし、両方の意味またはいずれかの意味に対する明示的な支持を提供するように解釈されるものとする。
【0063】
選択された定義
「RNA」によって、少なくとも1つのリボヌクレオチド残基を含む分子が意味される。「リボヌクレオチド」によって、β-D-リボ-フラノース部分の2’位でヒドロキシル基を有するヌクレオチドが意味される。用語は、2本鎖RNA、1本鎖RNA、部分的に精製されたRNAなどの単離されたRNA、本質的に純粋なRNA、合成RNA、組換えにより産生されたRNA、同様に1つ以上のヌクレオチドの付加、欠失、置換、及び/または改変によって天然に生じるRNAとは異なる改変されたRNAを含む。かかる改変は、siNAの末端(複数可)に対する、または内部での、例えば、RNAの1つ以上のヌクレオチドでなどの、非ヌクレオチド材料の付加を含むことができる。本開示のRNA分子におけるヌクレオチドは、非天然に生じるヌクレオチドまたは化学的に合成されたヌクレオチドもしくはデオキシヌクレオチドなどの、非標準ヌクレオチドも含むことができる。これらの改変されたRNAは、類似体または天然に生じるRNAの類似体と称され得る。
【0064】
用語「RNA干渉」または「RNAi」は、一般に、細胞の細胞質における2本鎖RNA(dsRNA)分子によって開始される遺伝子発現のRNA依存的サイレンシングを指す。dsRNA分子は、標的核酸配列の転写産物を低減または阻害し、それによって遺伝子をサイレンシングするか、またはその遺伝子の発現を低減する。
【0065】
本明細書で使用される場合、用語「2本鎖RNA」または「dsRNA」は、2重鎖構造を有し、互いに類似した長さのものであるエフェクター配列及びエフェクター相補配列を含むRNA分子を指す。エフェクター配列及びエフェクター相補配列は、単一のRNA鎖にあるか、または別々のRNA鎖にあり得る。「エフェクター配列」(多くの場合「ガイド鎖」と称される)は、この場合、PABPN1 mRNA転写物の領域である標的配列に対して実質的に相補的である。「エフェクター配列」は、「アンチセンス配列」とも称され得る。「エフェクター相補配列」は、エフェクター配列にアニーリングして2重鎖を形成することができるように、エフェクター配列に十分に相補的であろう。この点で、エフェクター相補配列は、標的配列の領域と実質的に相同であろう。当業者に明らかであろうように、用語「エフェクター相補配列」は、「エフェクター配列の補完物」またはセンス配列とも称され得る。
【0066】
本明細書で使用される場合、用語「2重鎖」は、ワトソン-クリック塩基対形成、または相補的もしくは実質的に相補的であるヌクレオチド配列間の安定化された二重鎖を可能にする任意の他の方式のいずれかによって互いとの塩基対を形成する、の2つの相補的もしくは実質的に相補的な核酸(例えば、RNA)における、または1本鎖核酸(例えば、RNA)の2つの相補的もしくは実質的に相補的な領域における領域を指す。2重鎖領域内では、100%の相補性は必要とされず、実質的な相補性は許容されることが、当業者によって理解されるであろう。実質的な相補性は、79%以上の相補性を含み得る。例えば、19塩基対からなる2重鎖領域における単一のミスマッチ(すなわち、18塩基対及び1つのミスマッチ)は、94.7%の相補性を生じ、2重鎖領域を実質的に相補的にする。別の例では、19塩基対からなる2重鎖領域における2つのミスマッチ(すなわち、17塩基対及び2つのミスマッチ)は、89.5%の相補性を生じ、2重鎖領域を実質的に相補的にする。さらに別の例では、19塩基対からなる2重鎖領域における3つのミスマッチ(すなわち、16塩基対及び3つのミスマッチ)は、84.2%の相補性を生じ、2重鎖領域を実質的に相補的にする、などである。
【0067】
dsRNAは、ステムループと名付けられている少なくとも2つのヌクレオチド配列によって連結されたエフェクター配列及びエフェクター相補配列からなる2重鎖領域を有するヘアピンまたはステムループ構造として提供され得る。dsRNAは、ヘアピンまたはステムループ構造として提供される場合、「ヘアピンRNA」または「短いヘアピンRNAiエージェント」または「shRNA」と称され得る。ヘアピンまたはステムループ構造において提供されるか、またはそれを引き起こす他のdsRNA分子は、プライマリmiRNA転写物(pri-miRNA)及び前駆体マイクロRNA(pre-miRNA)を含む。pre-miRNA shRNAは、ステムループ構造を形成するプライマリmiRNA転写物の領域を認識及び放出する酵素Drosha及びPashaの作用によって、pri-miRNAから天然に産生され得る。代替的には、pri-miRNA転写物は、天然のステムループ構造を人工/組換えステムループ構造で置換するように操作され得る。つまり、人工/組換えステムループ構造は、その天然のステムループ構造を欠くpri-miRNA骨格配列に挿入またはクローニングされ得る。pri-miRNA分子の一部として発現するように操作されたステムループ配列の場合では、Drosha及びPashaは、人工shRNAを認識及び放出する。このアプローチを使用して産生されたdsRNA分子は、「shmiRNA」、「shmiR」、または「マイクロRNAフレームワークshRNA」として知られる。
【0068】
本明細書で使用される場合、配列に関する用語「相補的」は、ワトソン-クリック塩基対形成による配列の補完物を指し、それによってグアニン(G)はシトシン(C)と対形成し、アデニン(A)はウラシル(U)またはチミン(T)と対形成する。配列は、別の配列の全長に相補的であり得るか、または別の配列の具体的な部分もしくは長さに相補的であり得る。当業者は、UがRNAに存在し得ること、及びTがDNAに存在し得ることを認識するであろう。したがって、RNAまたはDNA配列内いずれかのAは、RNA配列におけるUまたはDNA配列におけるTと対形成し得る。当業者は、RNAに存在するGがRNAにおけるCまたはUと対形成し得ることも認識するであろう。
【0069】
本明細書で使用される場合、用語「実質的に相補的」は、安定的かつ特異的結合が、核酸配列間、例えば、エフェクター配列及びエフェクター相補配列の間、またはエフェクター配列及び標的配列の間で生じるように、十分な程度の相補的または正確な対形成を示すために使用される。核酸の配列はその標的または補完物のものに100%相補的である必要がないことが、理解される。用語は、オーバーハングを除いて、別の配列に相補的な配列を包含する。いくつかの場合では、配列は、1~2のミスマッチを除いて他の配列に相補的である。いくつかの場合では、配列は、1つのミスマッチを除いて相補的である。いくつかの場合では、配列は、2つのミスマッチを除いて相補的である。他の場合では、配列は、3つのミスマッチを除いて相補的である。さらに他の場合では、配列は、4つのミスマッチを除いて相補的である。
【0070】
開示のshRNAまたはshmiRの文脈において使用される場合、用語「コードされた」は、DNAテンプレートから転写されることができるshRNAまたはshmiRを意味するように理解されるものとする。したがって、開示のshRNAまたはshmiRをコードする(encodes)、またはコードする(codes for)核酸は、それぞれのshRNAまたはshmiRの転写のためのテンプレートとして役立つDNA配列を含むであろう。
【0071】
用語「DNA指向性RNAi構築物」または「ddRNAi構築物」は、転写される際に、RNAiを誘発するshRNAまたはshmiR分子(好ましくはshmiR)を産生するDNA配列を含む核酸を指す。ddRNAi構築物は、少なくとも2つのヌクレオチドのステムループによって連結された2重鎖領域を有するヘアピン構造に自己アニーリングすることができる単一のRNA、すなわち、shRNAもしくはshmiRとして、または複数のshRNAもしくはshmiRを有する単一のRNAとして、または各々がそれぞれ単一のshRNAもしくはshmiRとして折りたたむことができる複数のRNA転写物として転写される核酸を含み得る。ddRNAi構築物は、1つ以上の追加のDNA配列を含むより大きな「DNA構築物」内に提供され得る。例えば、ddRNAi構築物は、そのmRNA転写物がddRNAi構築物のshmiRによって標的化されないようにコドン最適化されている機能的PABPN1タンパク質をコードするさらなるDNA配列を含むDNA構築物に提供され得る。ddRNAi構築物及び/またはそれを含むDNA構築物は、例えば、プロモーターに作動可能に連結された発現ベクター内にあり得る。
【0072】
本明細書で使用される場合、用語「作動可能に連結された」または「作動可能な連結」(または類似のもの)は、コード核酸配列が、コード配列の発現を促進する方式で、調節配列、例えば、プロモーターに連結されるか、または関連していることを意味する。調節配列は、プロモーター、エンハンサー、及び当該技術分野で認識され、コード配列の発現を誘導するように選択される他の発現制御要素を含む。
【0073】
「ベクター」は、核酸を細胞に導入するための媒体を意味するように理解されるであろう。ベクターは、プラスミド、ファージミド、ウイルス、細菌、及びウイルスまたは細菌源に由来する媒体を含むが、これらに限定されない。「プラスミド」は、環状の2本鎖DNA分子である。本開示に従う使用のための有用な型のベクターは、異種DNA配列が、1つ以上のウイルス遺伝子またはその一部を欠失させるように修飾され得るウイルスゲノムに挿入される、ウイルスベクターである。ある特定のベクターは、宿主細胞において自己複製することができる(例えば、宿主細胞において機能する複製の起点を有するベクター)。他のベクターは、宿主細胞のゲノムに安定的に組み込まれ得、それによって宿主ゲノムと共に複製される。本明細書で使用される場合、用語「発現ベクター」は、開示のRNA分子を発現することができるベクターを意味するように理解されるであろう。
【0074】
「機能的PABPN1タンパク質」は、野生型PABPN1タンパク質の機能的特性、例えば、哺乳動物細胞におけるmRNAポリアデニル化及び/またはイントロンスプライシングの部位を制御する能力を有するPABPN1タンパク質を意味するように理解されるものとする。したがって、「機能的PABPN1タンパク質」は、対象において発現または存在する際にOPMDの原因とならないPABPN1タンパク質であるように理解されるであろう。一例では、「機能的PABPN1タンパク質」への本明細書での参照は、ヒト野生型PABPN1タンパク質への参照である。ヒト野生型PABPN1タンパク質の配列は、NCBI RefSeq NP_004634に定められる。したがって、機能的なヒトPABPN1タンパク質は、NCBI RefSeq NP_004634に定められたヒトPABPN1タンパク質のインビボでの機能的特性を有し得る。
【0075】
本明細書で使用される場合、用語「治療すること」、「治療する」、または「治療」、及びその変形例は、臨床的病理の経過中に治療されている個体または細胞の自然経過を改変するように設計された臨床的介入を指す。治療の望ましい効果は、疾患進行の速度を減少させること、疾患状態を回復または緩和させること、及び寛解または改善した予後を含む。OPMDの治療は、対象においてOPMDの原因となるPABPN1タンパク質の発現を低減もしくは阻害すること、及び/または正常な長さのポリアラニン残基を有するPABPN1タンパク質を対象において発現することを含むことになる。好ましくは、OPMDの治療は、対象においてOPMDの原因となるPABPN1タンパク質の発現を低減または阻害すること、及び正常な長さのポリアラニン残基を有するPABPN1タンパク質を対象において発現することを含む。例えば、上記の治療アウトカムうちの1つ以上が達成された場合、個人は、上手く「治療される」。
【0076】
「治療有効量」は、例えば、限定されないが、対象における眼瞼下垂、嚥下障害、及び筋力低下を含む、OPMDの1つ以上の症状の測定可能な改善などの、OPMD状態の測定可能な改善をもたらすのに必要とされる少なくとも最小の濃度または量である。本明細書での治療有効量は、患者の疾患状態、年齢、性別、及び重量、ならびにshmiR、それをコードする核酸、ddRNAi構築物、DNA構築物、発現ベクター、またはそれを含む組成物の個体において所望の応答を誘発する能力、及び/または発現ベクターの対象において機能的PABPN1タンパク質を発現する能力などの因子に従って異なり得る。治療有効量は、shmiR、それをコードする核酸、ddRNAi構築物、DNA構築物、発現ベクター、またはそれを含む組成物の任意の毒性または有害な効果が、shmiR、それをコードする核酸、ddRNAi構築物、DNA構築物、発現ベクター、またはそれを含む組成物の、単独で、または対象における機能的PABPN1タンパク質の発現の治療上有益な効果と組み合わせて考慮されるOPMDの原因となるPABPN1タンパク質の発現を阻害、抑制、または低減する治療上有益な効果に劣るものでもある。
【0077】
本明細書で使用される場合、「対象」または「患者」は、OPMDに罹患しているか、または遺伝的にOPMDに罹患しやすい、すなわち、OPMDの原因となるPABPN1遺伝子バリアントを保有する、ヒトまたは非ヒト動物であり得る。「非ヒト動物」は、霊長類、家畜(例えば、ヒツジ、ウマ、ウシ、ブタ、ロバ)、伴侶動物(例えば、イヌ及びネコなどのペット)、実験試験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモット、ショウジョウバエ、C.elegans、ゼブラフィッシュ)、パフォーマンス動物(例えば、競走馬、ラクダ、グレーハウンド)、または捕獲された野生動物であり得る。一例では、対象または患者は、哺乳動物である。一例では、対象または患者は、ヒトである。
【0078】
用語「低減した発現」、「発現の低減」または類似のものは、標的遺伝子、例えば、PABPN1遺伝子からのタンパク質及び/またはmRNA産物のレベルの欠如または観察可能な減少を指す。減少は絶対的である必要はないが、開示のshmiR、それをコードする核酸、ddRNAi構築物、DNA構築物、発現ベクター、またはそれを含む組成物によってもたらされたRNAiの結果として、検出可能または観察可能な変化に十分な部分的減少があり得る。減少は、shmiR、それをコードする核酸、ddRNAi構築物、DNA構築物、発現ベクター、またはそれを含む組成物を欠く細胞に対する、標的核酸からのmRNA及び/またはタンパク質産物のレベルの減少を決定することによって測定され得、1%、5%、もしくは10%程度であり得るか、または絶対的、すなわち、100%の阻害であり得る。減少の影響は、外向きの特性、すなわち、細胞または生物の定量的及び/または定性的表現型の検査によって決定され得、開示の、shmiR、それをコードする核酸、ddRNAi構築物、DNA構築物、発現ベクター、またはそれを含む組成物の投与に続いて、細胞または生物におけるexpPABPN1の核凝集体の量の存在または変化の検出も含み得る。
【0079】
本明細書で使用される「送達システム」は、DNAまたはRNAなどの外来遺伝材料をパッケージ化するための、かつ細胞に導入され得るベクターを指す。送達システムは、ウイルスベクター、例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター(AdV)、及びレンチウイルス(LV)ベクターを含むことができる。本明細書に記載される場合、ウイルスベクターは、細胞において外来遺伝材料を送達及び発現するために使用され得る。したがって、本明細書に記載されるようなウイルス発現ベクターは、送達システムとして使用され得る。
【0080】
本明細書で使用されるような「咽頭筋」は、咽頭を形成する筋の群のうちの1つ以上を指す。咽頭筋は、下部収縮筋、中部収縮筋、上部収縮筋、口蓋咽頭筋、耳管咽頭筋、及び/または茎突咽頭筋のうちの1つ以上を含むことができる。
【0081】
治療の方法
開示のある特定の態様は、それを必要とするヒト対象に、本明細書に記載される、対象を治療する、及び/または対象においてOPMDの原因となるPABPN1タンパク質を含む内因性PABPN1タンパク質の発現を阻害するために使用されるような、1つ以上の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)、DNA構築物、発現ベクター(複数可)、送達システム(複数可)、またはそれを含む組成物(複数可)を投与することに関し、組成物は、対象の咽頭筋への直接注射によって投与される。
【0082】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるような1つ以上の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)、DNA構築物(複数可)、発現ベクター(複数可)、送達システム(複数可)、またはそれを含む組成物(複数可)は、OPMDに罹患している対象においてOPMDを治療するために使用され得る。同様に、本明細書に記載されるような1つ以上の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)、DNA構築物(複数可)、発現ベクター(複数可)、送達システム(複数可)、またはそれを含む組成物(複数可)は、OPMDに罹患しているか、またはOPMDに罹患しやすい対象においてOPMDの1つ以上の症状の発症または進行を予防するために使用され得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、対象は、対象の咽頭筋への直接注射によって本明細書に記載されるような1つ以上の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)、DNA構築物(複数可)、発現ベクター(複数可)、送達システム(複数可)、またはそれを含む組成物(複数可)を投与することに続いて、改善した嚥下を有する。
【0084】
ある特定の実施形態では、開示の発現ベクター及び/または組成物は、開示のddRNAi構築物、及び開示の機能的PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸の両方を含み得る。したがって、発現ベクターまたは組成物の投与は、(i)OPMDの原因となる拡張されたポリアラニントラクトを含むPABPN1タンパク質を含む内因性PABPN1の発現を阻害、低減、またはノックダウンし、(ii)内因性PABPN1の発現を阻害、低減、またはノックダウンするshmiRまたはshRNAによって標的化されない機能的PABPN1タンパク質の発現を提供するのに有効であり得る。したがって、開示の組成物は、PABPN1タンパク質機能、例えば、RNAの転写後プロセシングを、それが投与される細胞または動物において回復し得る。
【0085】
ある特定の実施形態では、OPMDの治療は、対象とは別に対象の咽頭筋への直接注射によって、(i)OPMDの原因となるPABPN1タンパク質の発現を阻害するための1つ以上の薬剤、及び(ii)開示の機能的PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸またはそれを含む組成物を含む発現ベクターを投与することを含み得る。本明細書に記載されるように、OPMDの原因となるPABPN1タンパク質の発現を阻害するための1つ以上の薬剤は、本明細書に記載されるような核酸、ddRNAi構築物、発現ベクター、もしくはそれを含む組成物、またはそれらの複数の任意の1つ以上であり得る。対象は、成分(i)及び(ii)を一緒に、同時に、または連続して投与され得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、OPMDの治療は、対象の咽頭筋への直接注射によって、開示の機能的PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸を投与することを含み得、対象は、OPMDの原因となるが、コドン最適化核酸の発現を阻害しないPABPN1タンパク質の発現を阻害するための1つ以上の薬剤を以前に投与されている。例えば、対象は、本明細書に記載されるような核酸、ddRNAi構築物、発現ベクター、もしくはそれを含む組成物、またはそれらの複数の任意の1つ以上を以前に投与されている場合がある。
【0087】
いくつかの実施形態では、投与の経路は、IM(例えば、対象の咽頭筋への直接注射)であり、筋組織への有効な送達、ならびに開示のPABPN1をコードするddRNAi構築物及び/またはコドン最適化核酸のトランスフェクション、ならびにshmiRもしくはshRNA及び/またはそれらにおけるコドン最適化核酸の発現を達成する。
【0088】
任意の特定の患者に対する治療上有効な用量レベルは、使用される組成物;患者の年齢、体重、一般的な健康、性別、及び食事;投与の時間;投与の経路;本明細書に記載されるような核酸、ddRNAi構築物、DNA構築物、発現ベクター、もしくはそれを含む組成物、またはそれらの複数の任意の1つ以上の隔離の速度、治療の持続期間を、他の関連する因子と共に含む多様な因子に依存するであろう。
【0089】
PABPN1機能を回復するのに十分な量の、OPMDの原因となるPABPN1タンパク質の発現を低減または阻害し、かつOPMDの原因とならない機能的PABPN1タンパク質を発現するための、開示の核酸、ddRNAi構築物、DNA構築物、発現ベクター、送達システム、またはそれを含む組成物の有効性は、治療される対象における筋収縮特性及び/または嚥下困難を評価することによって決定され得る。嚥下能力及び筋収縮特性を試験するための方法は、当該技術分野で既知である。例えば、嚥下困難は、ビデオ蛍光透視法、UGI内視鏡検査、または食道圧測定及びインピーダンス試験を使用して評価され得る。OPMDの臨床的特徴を評価するための他の方法は、Ruegg et al,.(2005)Swiss Medical Weekly,135:574-586に記載される。
【0090】
RNAiに対する薬剤
本明細書に記載される場合、開示の方法において有用な核酸は、ヒトPABPN1のメッセンジャーRNA転写物の領域を標的化する短いヘアピンマイクロRNA(shmiR)をコードするDNA配列を含み、shmiRは、
長さが少なくとも17ヌクレオチドのエフェクター配列と、
エフェクター相補配列と、
ステムループ配列と、
プライマリマイクロRNA(pri-miRNA)骨格と、を含み、
エフェクター配列は、ヒトPABPN1のRNA転写物内の対応する長さの領域に対して実質的に相補的である。例えば、エフェクター配列は、配列番号87に定められた配列内で対応する長さの領域に対して実質的に相補的であり得る。いくつかの例では、本開示は、shmiRをコードするDNA配列を含む核酸を提供し、当該shmiRは、
長さが少なくとも17ヌクレオチドのエフェクター配列と、
エフェクター相補配列と、
ステムループ配列と、
pri-miRNA骨格と、を含み、
エフェクター配列は、配列番号1~13のいずれか1つに定められたRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的である。好ましくは、エフェクター配列は、長さが30ヌクレオチド未満であろう。例えば、好適なエフェクター配列は、長さが17~29ヌクレオチドの範囲にあり得る。特に好まれる例では、エフェクター配列は、長さが21ヌクレオチドであろう。より好ましくは、エフェクター配列は長さが21ヌクレオチドであり、エフェクター相補配列は長さが20ヌクレオチドであろう。
【0091】
ある特定の実施形態では、shmiRは、配列番号1~13(すなわち、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、または配列番号13)のいずれか1つに定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含む。例えば、エフェクター配列は、配列番号1~13のいずれか1つに定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であり得、それに対する4つのミスマッチ塩基を含み得る。例えば、エフェクター配列は、配列番号1~13のいずれか1つに定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であり得、それに対する3つのミスマッチ塩基を含み得る。例えば、エフェクター配列は、配列番号1~13のいずれか1つに定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であり得、それに対する2つのミスマッチ塩基を含み得る。例えば、エフェクター配列は、配列番号1~13のいずれか1つに定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であり得、それに対する1つのミスマッチ塩基を含み得る。例えば、エフェクター配列は、配列番号1~13のいずれか1つに定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に100%相補的であり得る。
【0092】
一例では、shmiRは、配列番号9に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含む。例えば、エフェクター配列は、配列番号9に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であり得、それに対する4つのミスマッチ塩基を含み得る。例えば、エフェクター配列は、配列番号9に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であり得、それに対する3つのミスマッチ塩基を含み得る。例えば、エフェクター配列は、配列番号9つに定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であり得、それに対する2つのミスマッチ塩基を含み得る。例えば、エフェクター配列は、配列番号9に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であり得、それに対する1つのミスマッチ塩基を含み得る。例えば、エフェクター配列は、配列番号9に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して100%相補的であり得る。
【0093】
一例では、shmiRは、配列番号13に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含む。例えば、エフェクター配列は、配列番号13に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であり得、それに対する4つのミスマッチ塩基を含み得る。例えば、エフェクター配列は、配列番号13に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であり得、それに対する3つのミスマッチ塩基を含み得る。例えば、エフェクター配列は、配列番号13に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であり得、それに対する2つのミスマッチ塩基を含み得る。例えば、エフェクター配列は、配列番号13に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であり得、それに対する1つのミスマッチ塩基を含み得る。例えば、エフェクター配列は、配列番号13に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して100%相補的であり得る。
【0094】
開示のshmiRのエフェクター配列が、本明細書に記載されるPABPN1 miRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であり、それに対して1、2、3、または4のミスマッチ塩基(複数可)を含む例に従って、ミスマッチ(複数可)は、shmiRのシード領域に対応する領域、すなわち、エフェクター配列のヌクレオチド2~8内に位置しないことが、好まれる。
【0095】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される核酸は、(i)エフェクター配列が配列番号14に定められた配列と2重鎖を形成することができるという条件で、1、2、3、または4の塩基ミスマッチを除いて、配列番号14に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター配列と、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的である配列を含むエフェクター相補配列と、を含むshmiRをコードするDNA配列を含み得る。例えば、核酸によってコードされるshmiRは、配列番号15に定められたエフェクター配列、及び配列番号15に定められた配列に対して実質的に相補的であり、それと2重鎖を形成することができるエフェクター相補配列を含み得る。配列番号15に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター相補配列は、配列番号14に定められた配列であり得る。この例に従うshmiRは、本明細書で以後「shmiR2」と呼ばれる。
【0096】
一例では、本明細書に記載される核酸は、(i)エフェクター配列が配列番号16に定められた配列と2重鎖を形成することができるという条件で、1、2、3、または4の塩基ミスマッチを除いて、配列番号16に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター配列と、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的である配列を含むエフェクター相補配列と、を含むshmiRをコードするDNA配列を含み得る。例えば、核酸によってコードされるshmiRは、配列番号17に定められたエフェクター配列、及び配列番号17に定められた配列に対して実質的に相補的であり、それと2重鎖を形成することができるエフェクター相補配列を含み得る。配列番号17に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター相補配列は、配列番号16に定められた配列であり得る。この例に従うshmiRは、本明細書で以後「shmiR3」と呼ばれる。
【0097】
一例では、本明細書に記載される核酸は、(i)エフェクター配列が配列番号18に定められた配列と2重鎖を形成することができるという条件で、1、2、3、または4の塩基ミスマッチを除いて、配列番号18に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター配列と、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的である配列を含むエフェクター相補配列と、を含むshmiRをコードするDNA配列を含み得る。例えば、核酸によってコードされるshmiRは、配列番号19に定められたエフェクター配列、及び配列番号19に定められた配列に対して実質的に相補的であり、それと2重鎖を形成することができるエフェクター相補配列を含み得る。配列番号19に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター相補配列は、配列番号18に定められた配列であり得る。この例に従うshmiRは、本明細書で以後「shmiR4」と呼ばれる。
【0098】
一例では、本明細書に記載される核酸は、(i)エフェクター配列が配列番号20に定められた配列と2重鎖を形成することができるという条件で、1、2、3、または4の塩基ミスマッチを除いて、配列番号20に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター配列と、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的である配列を含むエフェクター相補配列と、を含むshmiRをコードするDNA配列を含み得る。例えば、核酸によってコードされるshmiRは、配列番号21に定められたエフェクター配列、及び配列番号21に定められた配列に対して実質的に相補的であり、それと2重鎖を形成することができるエフェクター相補配列を含み得る。配列番号21に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター相補配列は、配列番号20に定められた配列であり得る。この例に従うshmiRは、本明細書で以後「shmiR5」と呼ばれる。
【0099】
一例では、本明細書に記載される核酸は、(i)エフェクター配列が配列番号22に定められた配列と2重鎖を形成することができるという条件で、1、2、3、または4の塩基ミスマッチを除いて、配列番号22に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター配列と、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的である配列を含むエフェクター相補配列と、を含むshmiRをコードするDNA配列を含み得る。例えば、核酸によってコードされるshmiRは、配列番号23に定められたエフェクター配列、及び配列番号23に定められた配列に対して実質的に相補的であり、それと2重鎖を形成することができるエフェクター相補配列を含み得る。配列番号23に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター相補配列は、配列番号22に定められた配列であり得る。この例に従うshmiRは、本明細書で以後「shmiR6」と呼ばれる。
【0100】
一例では、本明細書に記載される核酸は、(i)エフェクター配列が配列番号24に定められた配列と2重鎖を形成することができるという条件で、1、2、3、または4の塩基ミスマッチを除いて、配列番号24に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター配列と、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的である配列を含むエフェクター相補配列と、を含むshmiRをコードするDNA配列を含み得る。例えば、核酸によってコードされるshmiRは、配列番号25に定められたエフェクター配列、及び配列番号25に定められた配列に対して実質的に相補的であり、それと2重鎖を形成することができるエフェクター相補配列を含み得る。配列番号25に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター相補配列は、配列番号24に定められた配列であり得る。この例に従うshmiRは、本明細書で以後「shmiR7」と呼ばれる。
【0101】
一例では、本明細書に記載される核酸は、(i)エフェクター配列が配列番号26に定められた配列と2重鎖を形成することができるという条件で、1、2、3、または4の塩基ミスマッチを除いて、配列番号26に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター配列と、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的である配列を含むエフェクター相補配列と、を含むshmiRをコードするDNA配列を含み得る。例えば、核酸によってコードされるshmiRは、配列番号27に定められたエフェクター配列、及び配列番号27に定められた配列に対して実質的に相補的であり、それと2重鎖を形成することができるエフェクター相補配列を含み得る。配列番号27に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター相補配列は、配列番号26に定められた配列であり得る。この例に従うshmiRは、本明細書で以後「shmiR9」と呼ばれる。
【0102】
一例では、本明細書に記載される核酸は、(i)エフェクター配列が配列番号28に定められた配列と2重鎖を形成することができるという条件で、1、2、3、または4の塩基ミスマッチを除いて、配列番号28に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター配列と、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的である配列を含むエフェクター相補配列と、を含むshmiRをコードするDNA配列を含み得る。例えば、核酸によってコードされるshmiRは、配列番号29に定められたエフェクター配列、及び配列番号29に定められた配列に対して実質的に相補的であり、それと2重鎖を形成することができるエフェクター相補配列を含み得る。配列番号29に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター相補配列は、配列番号28に定められた配列であり得る。この例に従うshmiRは、本明細書で以後「shmiR11」と呼ばれる。
【0103】
一例では、本明細書に記載される核酸は、(i)エフェクター配列が配列番号30に定められた配列と2重鎖を形成することができるという条件で、1、2、3、または4の塩基ミスマッチを除いて、配列番号30に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター配列と、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的である配列を含むエフェクター相補配列と、を含むshmiRをコードするDNA配列を含み得る。例えば、核酸によってコードされるshmiRは、配列番号31に定められたエフェクター配列、及び配列番号31に定められた配列に対して実質的に相補的であり、それと2重鎖を形成することができるエフェクター相補配列を含み得る。配列番号31に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター相補配列は、配列番号30に定められた配列であり得る。この例に従うshmiRは、本明細書で以後「shmiR13」と呼ばれる。
【0104】
一例では、本明細書に記載される核酸は、(i)エフェクター配列が配列番号32に定められた配列と2重鎖を形成することができるという条件で、1、2、3、または4の塩基ミスマッチを除いて、配列番号32に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター配列と、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的である配列を含むエフェクター相補配列と、を含むshmiRをコードするDNA配列を含み得る。例えば、核酸によってコードされるshmiRは、配列番号33に定められたエフェクター配列、及び配列番号33に定められた配列に対して実質的に相補的であり、それと2重鎖を形成することができるエフェクター相補配列を含み得る。配列番号33に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター相補配列は、配列番号32に定められた配列であり得る。この例に従うshmiRは、本明細書で以後「shmiR14」と呼ばれる。
【0105】
一例では、本明細書に記載される核酸は、(i)エフェクター配列が配列番号34に定められた配列と2重鎖を形成することができるという条件で、1、2、3、または4の塩基ミスマッチを除いて、配列番号34に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター配列と、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的である配列を含むエフェクター相補配列と、を含むshmiRをコードするDNA配列を含み得る。例えば、核酸によってコードされるshmiRは、配列番号35に定められたエフェクター配列、及び配列番号35に定められた配列に対して実質的に相補的であり、それと2重鎖を形成することができるエフェクター相補配列を含み得る。配列番号35に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター相補配列は、配列番号34に定められた配列であり得る。この例に従うshmiRは、本明細書で以後「shmiR15」と呼ばれる。
【0106】
一例では、本明細書に記載される核酸は、(i)エフェクター配列が配列番号36に定められた配列と2重鎖を形成することができるという条件で、1、2、3、または4の塩基ミスマッチを除いて、配列番号36に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター配列と、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的である配列を含むエフェクター相補配列と、を含むshmiRをコードするDNA配列を含み得る。例えば、核酸によってコードされるshmiRは、配列番号37に定められたエフェクター配列、及び配列番号37に定められた配列に対して実質的に相補的であり、それと2重鎖を形成することができるエフェクター相補配列を含み得る。配列番号37に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター相補配列は、配列番号36に定められた配列であり得る。この例に従うshmiRは、本明細書で以後「shmiR16」と呼ばれる。
【0107】
一例では、本明細書に記載される核酸は、(i)エフェクター配列が配列番号38に定められた配列と2重鎖を形成することができるという条件で、1、2、3、または4の塩基ミスマッチを除いて、配列番号38に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター配列と、(ii)エフェクター配列に対して実質的に相補的である配列を含むエフェクター相補配列と、を含むshmiRをコードするDNA配列を含み得る。例えば、核酸によってコードされるshmiRは、配列番号39に定められたエフェクター配列、及び配列番号39に定められた配列に対して実質的に相補的であり、それと2重鎖を形成することができるエフェクター相補配列を含み得る。配列番号39に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター相補配列は、配列番号38に定められた配列であり得る。この例に従うshmiRは、本明細書で以後「shmiR17」と呼ばれる。
【0108】
本明細書に記載される例のいずれにおいても、開示の核酸によってコードされたshmiRは、5’から3’方向に、
pri-miRNA骨格の5’隣接配列と、
エフェクター相補配列と、
ステムループ配列と、
エフェクター配列と、
pri-miRNA骨格の3’隣接配列と、を含み得る。
【0109】
本明細書に記載される例のいずれにおいても、開示の核酸によってコードされたshmiRは、5’から3’方向に、
pri-miRNA骨格の5’隣接配列と、
エフェクター配列と、
ステムループ配列と、
エフェクター相補配列と、
pri-miRNA骨格の3’隣接配列と、を含み得る。
【0110】
好適なループ配列は、当該技術分野で既知のものから選択され得る。しかしながら、例示的なステムループ配列は、配列番号40に定められる。
【0111】
開示の核酸における使用のための好適なプライマリマイクロRNA(pri-miRNAまたはpri-R)骨格は、当該技術分野で既知のものから選択され得る。例えば、pri-miRNA骨格は、pri-miR-30a骨格、pri-miR-155骨格、pri-miR-21骨格、及びpri-miR-136骨格から選択され得る。しかしながら、好ましくは、pri-miRNA骨格は、pri-miR-30a骨格である。pri-miRNA骨格がpri-miR-30a骨格である例に従って、pri-miRNA骨格の5’隣接配列は配列番号41に定められ、pri-miRNA骨格の3’隣接配列は配列番号42に定められ得る。したがって、開示のshmiR(例えば、本明細書に記載されるshmiR-1からshmiR-17)をコードする核酸は、配列番号41に定められた配列をコードするDNA配列と、配列番号42に定められた配列をコードするDNA配列と、を含み得る。
【0112】
一例では、本明細書に記載の核酸は、配列番号56~68のいずれか1つに定められた配列から選択されるDNA配列を含み得る。
【0113】
一例では、本明細書に記載される核酸は、配列番号56に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、配列番号43に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiR(shmiR2)をコードする。
【0114】
一例では、本明細書に記載される核酸は、配列番号57に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、配列番号44に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiR(shmiR3)をコードする。
【0115】
一例では、本明細書に記載される核酸は、配列番号58に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、配列番号45に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiR(shmiR4)をコードする。
【0116】
一例では、本明細書に記載される核酸は、配列番号59に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、配列番号46に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiR(shmiR5)をコードする。
【0117】
一例では、本明細書に記載される核酸は、配列番号60に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、配列番号47に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiR(shmiR6)をコードする。
【0118】
一例では、本明細書に記載される核酸は、配列番号61に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、配列番号48に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiR(shmiR7)をコードする。
【0119】
一例では、本明細書に記載される核酸は、配列番号62に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、配列番号49に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiR(shmiR9)をコードする。
【0120】
一例では、本明細書に記載される核酸は、配列番号63に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、配列番号50に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiR(shmiR11)をコードする。
【0121】
一例では、本明細書に記載される核酸は、配列番号64に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、配列番号51に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiR(shmiR13)をコードする。
【0122】
一例では、本明細書に記載される核酸は、配列番号65に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、配列番号52に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiR(shmiR14)をコードする。
【0123】
一例では、本明細書に記載される核酸は、配列番号66に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、配列番号53に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiR(shmiR15)をコードする。
【0124】
一例では、本明細書に記載される核酸は、配列番号67に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、配列番号54に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiR(shmiR16)をコードする。
【0125】
一例では、本明細書に記載される核酸は、配列番号68に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、配列番号55に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiR(shmiR17)をコードする。
【0126】
開示の例示的な核酸は、本明細書に記載されるような、shmiR2、shmiR3、shmiR5、shmiR9、shmiR13、shmiR14、及びshmiR17から選択されるshmiRをコードする。本明細書に記載されるような、shmiR3、shmiR13、shmiR14、及びshmiR17から選択されるshmiRをコードする開示の核酸が、特に好まれる。
【0127】
本開示に従う核酸は、OPMDの原因となるPABPN1タンパク質に対応するRNA転写物の領域に実質的に対して実質的に相補的である少なくとも17の連続的なヌクレオチドのエフェクター配列を含むshRNAもしくはshmiRをコードするDNA配列を含む1つ以上の他の核酸と組み合わせられ得るか、またはそれらと併せて使用され得ることが、当業者によって理解されるであろう。一例では、
(a)本明細書に記載されるような少なくとも1つの核酸と、
(b)
(i)本明細書に記載されるようなshmiRをコードするDNA配列を含む核酸、または
(ii)本明細書に記載されるようなshmiRの同族のエフェクター及びエフェクター相補配列を含む短いヘアピンRNA(shRNA)をコードするDNA配列を含む核酸から選択される、少なくとも1つのさらなる核酸と、を含む、複数の核酸が、提供され、
(a)で核酸によってコードされたshmiR及び(b)で核酸によってコードされたshmiRまたはshRNAは、異なるエフェクター配列を含む。
【0128】
したがって、一例では、開示の複数の核酸は、本明細書に記載されるようなshmiRをコードする2、または3、または4、または5、または6、または7、または8、または9、または10の核酸などの、本明細書に記載されるようなshmiRをコードする2つ以上の核酸を含み得る。
【0129】
別の例では、開示の複数の核酸は、本明細書に記載されるようなshmiRをコードする少なくとも1つの核酸と、同族のエフェクターを含むshRNAをコードするDNA配列、及び本明細書に記載されるようなshmiRのエフェクター相補配列を含む、少なくとも1つの核酸と、を含む。例えば、shmiR2のエフェクター配列及びエフェクター相補配列を含むshRNAは、本明細書で以後「shRNA2」と呼ばれる。例えば、shmiR3のエフェクター配列及びエフェクター相補配列を含むshRNAは、本明細書で以後「shRNA3」と呼ばれる。例えば、shmiR4のエフェクター配列及びエフェクター相補配列を含むshRNAは、本明細書で以後「shRNA4」と呼ばれる。例えば、shmiR5のエフェクター配列及びエフェクター相補配列を含むshRNAは、本明細書で以後「shRNA5」と呼ばれる。例えば、shmiR6のエフェクター配列及びエフェクター相補配列を含むshRNAは、本明細書で以後「shRNA6」と呼ばれる。例えば、shmiR7のエフェクター配列及びエフェクター相補配列を含むshRNAは、本明細書で以後「shRNA7」と呼ばれる。例えば、shmiR9のエフェクター配列及びエフェクター相補配列を含むshRNAは、本明細書で以後「shRNA9」と呼ばれる。例えば、shmiR11のエフェクター配列及びエフェクター相補配列を含むshRNAは、本明細書で以後「shRNA11」と呼ばれる。例えば、shmiR13のエフェクター配列及びエフェクター相補配列を含むshRNAは、本明細書で以後「shRNA13」と呼ばれる。例えば、shmiR14のエフェクター配列及びエフェクター相補配列を含むshRNAは、本明細書で以後「shRNA14」と呼ばれる。例えば、shmiR15のエフェクター配列及びエフェクター相補配列を含むshRNAは、本明細書で以後「shRNA15」と呼ばれる。例えば、shmiR16のエフェクター配列及びエフェクター相補配列を含むshRNAは、本明細書で以後「shRNA16」と呼ばれる。例えば、shmiR17のエフェクター配列及びエフェクター相補配列を含むshRNAは、本明細書で以後「shRNA17」と呼ばれる。
【0130】
本明細書に記載される複数の核酸における核酸のうちの1つ以上がshRNAをコードする任意の例に従って、shRNAは、同族のエフェクターとエフェクター相補配列との間に位置するループまたはステムループ配列を含み得る。好適なループ配列は、当該技術分野で既知のものから選択され得る。代替的には、好適なステムループは、新たに開発され得る。一例では、shRNAをコードする本明細書に記載される複数の核酸は、それぞれエフェクター配列及びエフェクター相補配列をコードするDNA配列の間に位置するステムループをコードするDNA配列を含み得る。
【0131】
一例では、本明細書に記載される複数の核酸は、shmiR2をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸、及びPABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードする開示の少なくとも1つの他の核酸を含む。shmiR2をコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。一例では、本明細書に記載される複数の核酸は、配列番号56に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、かつ配列番号43に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiRをコードする核酸、及びPABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードする開示の少なくとも1つの他の核酸を含む。例えば、本明細書に記載される複数の核酸は、(i)配列番号56に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR2)、及び(ii)shmiR3~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくはshmiR13~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含み得る。
【0132】
一例では、本明細書に記載される複数の核酸は、shmiR3をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸、及びPABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードする開示の少なくとも1つの他の核酸を含む。shmiR3をコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。一例では、本明細書に記載される複数の核酸は、配列番号57に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、かつ配列番号44に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiRをコードする核酸、及びPABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードする開示の少なくとも1つの他の核酸を含む。例えば、本明細書に記載される複数の核酸は、(i)配列番号57に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR3)、及び(ii)shmiR2、shmiR4~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくはshmiR13~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含み得る。
【0133】
一例では、本明細書に記載される複数の核酸は、shmiR4をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸、及びPABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードする開示の少なくとも1つの他の核酸を含む。shmiR4をコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。一例では、本明細書に記載される複数の核酸は、配列番号58に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、かつ配列番号45に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiRをコードする核酸、及びPABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードする開示の少なくとも1つの他の核酸を含む。例えば、本明細書に記載される複数の核酸は、(i)配列番号58に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR4)、及び(ii)shmiR2、shmiR3、shmiR5~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくはshmiR13~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含み得る。
【0134】
一例では、本明細書に記載される複数の核酸は、shmiR5をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸、及びPABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードする開示の少なくとも1つの他の核酸を含む。shmiR5をコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。一例では、本明細書に記載される複数の核酸は、配列番号59に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、かつ配列番号46に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiRをコードする核酸、及びPABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードする開示の少なくとも1つの他の核酸を含む。例えば、本明細書に記載される複数の核酸は、(i)配列番号59に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR5)、及び(ii)shmiR2~shmiR4、shmiR6~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくはshmiR13~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含み得る。
【0135】
一例では、本明細書に記載される複数の核酸は、shmiR6をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸、及びPABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードする開示の少なくとも1つの他の核酸を含む。shmiR6をコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。一例では、本明細書に記載される複数の核酸は、配列番号60に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、かつ配列番号47に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiRをコードする核酸、及びPABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードする開示の少なくとも1つの他の核酸を含む。例えば、本明細書に記載される複数の核酸は、(i)配列番号60に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR6)、及び(ii)shmiR2~shmiR5、shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくはshmiR13~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含み得る。
【0136】
一例では、本明細書に記載される複数の核酸は、shmiR7をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸、及びPABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードする開示の少なくとも1つの他の核酸を含む。shmiR7をコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。一例では、本明細書に記載される複数の核酸は、配列番号61に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、かつ配列番号48に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiRをコードする核酸、及びPABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードする開示の少なくとも1つの他の核酸を含む。例えば、本明細書に記載される複数の核酸は、(i)配列番号61に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR7)、及び(ii)shmiR2~shmiR6、shmiR9、shmiR11、もしくはshmiR13~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含み得る。
【0137】
一例では、本明細書に記載される複数の核酸は、shmiR9をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸、及びPABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードする開示の少なくとも1つの他の核酸を含む。shmiR9をコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。一例では、本明細書に記載される複数の核酸は、配列番号62に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、かつ配列番号49に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiRをコードする核酸、及びPABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードする開示の少なくとも1つの他の核酸を含む。例えば、本明細書に記載される複数の核酸は、(i)配列番号62に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR9)、及び(ii)shmiR2~shmiR7、shmiR11、もしくはshmiR13~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含み得る。
【0138】
一例では、本明細書に記載される複数の核酸は、shmiR11をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸、及びPABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードする開示の少なくとも1つの他の核酸を含む。shmiR11をコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。一例では、本明細書に記載される複数の核酸は、配列番号63に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、かつ配列番号50に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiRをコードする核酸、及びPABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードする開示の少なくとも1つの他の核酸を含む。例えば、本明細書に記載される複数の核酸は、(i)配列番号63に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR11)、及び(ii)shmiR2~shmiR7、shmiR9、もしくはshmiR13~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含み得る。
【0139】
一例では、本明細書に記載される複数の核酸は、shmiR13をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸、及びPABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードする開示の少なくとも1つの他の核酸を含む。shmiR13をコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。一例では、本明細書に記載される複数の核酸は、配列番号64に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、かつ配列番号51に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiRをコードする核酸、及びPABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードする開示の少なくとも1つの他の核酸を含む。例えば、本明細書に記載される複数の核酸は、(i)配列番号64に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR13)、及び(ii)shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくはshmiR14~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含み得る。
【0140】
一例では、本明細書に記載される複数の核酸は、shmiR14をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸、及びPABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードする開示の少なくとも1つの他の核酸を含む。shmiR14をコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。一例では、本明細書に記載される複数の核酸は、配列番号65に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、かつ配列番号52に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiRをコードする核酸、及びPABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードする開示の少なくとも1つの他の核酸を含む。例えば、本明細書に記載される複数の核酸は、(i)配列番号65に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR14)、及び(ii)shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、shmiR13、もしくはshmiR15~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含み得る。
【0141】
一例では、本明細書に記載される複数の核酸は、shmiR15をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸、及びPABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードする開示の少なくとも1つの他の核酸を含む。shmiR15をコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。一例では、本明細書に記載される複数の核酸は、配列番号66に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、かつ配列番号53に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiRをコードする核酸、及びPABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードする開示の少なくとも1つの他の核酸を含む。例えば、本明細書に記載される複数の核酸は、(i)配列番号66に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR15)、及び(ii)shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、shmiR13~shmiR14、もしくはshmiR16~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含み得る。
【0142】
一例では、本明細書に記載される複数の核酸は、shmiR16をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸、及びPABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードする開示の少なくとも1つの他の核酸を含む。shmiR16をコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。一例では、本明細書に記載される複数の核酸は、配列番号67に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、かつ配列番号54に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiRをコードする核酸、及びPABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードする開示の少なくとも1つの他の核酸を含む。例えば、本明細書に記載される複数の核酸は、(i)配列番号67に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR16)、及び(ii)shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、shmiR13~shmiR15、もしくはshmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含み得る。
【0143】
一例では、本明細書に記載される複数の核酸は、shmiR17をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸、及びPABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードする開示の少なくとも1つの他の核酸を含む。shmiR17をコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。一例では、本明細書に記載される複数の核酸は、配列番号68に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、かつ配列番号55に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiRをコードする核酸、及びPABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードする開示の少なくとも1つの他の核酸を含む。例えば、本明細書に記載される複数の核酸は、(i)配列番号68に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR17)、及び(ii)shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくはshmiR13~shmiR16のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含み得る。
【0144】
本明細書に記載されるような複数の核酸の任意の例に従って、複数の核酸は、核酸のうちの少なくとも1つが開示のshmiRをコードするという条件で、本明細書に記載されるようなshmiRをコードする2、または3、または4、または5、または6、または7、または8、または9、または10の核酸などの、本明細書に記載されるようなshmiRまたはshRNAをコードする2つ以上の核酸を含み得る。
【0145】
一例では、複数の核酸は、本明細書に記載されるshmiRまたはshRNAをコードする2つの核酸を含み、ただし、核酸のうちの少なくとも1つは、本明細書に記載されるようなshmiRをコードする。一例では、複数の核酸は、本明細書に記載されるshmiRまたはshRNAをコードする3つの核酸を含み、ただし、核酸のうちの少なくとも1つは、本明細書に記載されるようなshmiRをコードする。一例では、複数の核酸は、本明細書に記載されるshmiRまたはshRNAをコードする4つの核酸を含み、ただし、核酸のうちの少なくとも1つは、本明細書に記載されるようなshmiRをコードする。一例では、複数の核酸は、本明細書に記載されるshmiRまたはshRNAをコードする5つの核酸を含み、ただし、核酸のうちの少なくとも1つは、本明細書に記載されるようなshmiRをコードする。一例では、複数の核酸は、本明細書に記載されるshmiRまたはshRNAをコードする6つの核酸を含み、ただし、核酸のうちの少なくとも1つは、本明細書に記載されるようなshmiRをコードする。一例では、複数の核酸は、本明細書に記載されるshmiRまたはshRNAをコードする7つの核酸を含み、ただし、核酸のうちの少なくとも1つは、本明細書に記載されるようなshmiRをコードする。一例では、複数の核酸は、本明細書に記載されるshmiRまたはshRNAをコードする8つの核酸を含み、ただし、核酸のうちの少なくとも1つは、本明細書に記載されるようなshmiRをコードする。一例では、複数の核酸は、本明細書に記載されるshmiRまたはshRNAをコードする9つの核酸を含み、ただし、核酸のうちの少なくとも1つは、本明細書に記載されるようなshmiRをコードする。一例では、複数の核酸は、本明細書に記載されるshmiRまたはshRNAをコードする10の核酸を含み、ただし、核酸のうちの少なくとも1つは、本明細書に記載されるようなshmiRをコードする。
【0146】
本明細書に記載される複数の核酸の一例では、核酸のうちの1つは、配列番号1に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含む。配列番号1に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を有するshmiRをコードする好適な核酸は、例えば、shmiR2について本明細書に記載される。
【0147】
本明細書に記載される複数の核酸の一例では、核酸のうちの1つは、配列番号2に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含む。配列番号2に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を有するshmiRをコードする好適な核酸は、例えば、shmiR3について本明細書に記載される。
【0148】
本明細書に記載される複数の核酸の一例では、核酸のうちの1つは、配列番号4に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含む。配列番号4に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を有するshmiRをコードする好適な核酸は、例えば、shmiR5について本明細書に記載される。
【0149】
本明細書に記載される複数の核酸の一例では、核酸のうちの1つは、配列番号7に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含む。配列番号7に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を有するshmiRをコードする好適な核酸は、例えば、shmiR9について本明細書に記載される。
【0150】
本明細書に記載される複数の核酸の一例では、核酸のうちの1つは、配列番号9に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含む。配列番号9に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を有するshmiRをコードする好適な核酸は、例えば、shmiR13について本明細書に記載される。
【0151】
本明細書に記載される複数の核酸の一例では、核酸のうちの1つは、配列番号10に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含む。配列番号10に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を有するshmiRをコードする好適な核酸は、shmiR14について本明細書に記載される。
【0152】
一例では、shmiRは、配列番号13に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含む。配列番号13に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を有するshmiRをコードする好適な核酸は、shmiR17について本明細書に記載される。
【0153】
開示の例示的な複数の核酸は少なくとも2つの核酸を含み、各々は開示のshmiRをコードするDNA配列を含み、各shmiRは異なるエフェクター配列を含む。
【0154】
一例では、少なくとも2つの核酸の各々は、配列番号1、2、4、7、9、10、及び13のうちの1つに定められたRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRをコードする。配列番号1、2、4、7、9、10、及び13に定められたRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRをコードする開示の例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。
【0155】
一例では、少なくとも2つの核酸は、
例えば、配列番号56に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR2)である、配列番号15に定められたエフェクター配列と、配列番号14に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸、
例えば、配列番号57に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR3)である、配列番号17に定められたエフェクター配列と、配列番号16に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸、
例えば、配列番号59に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR5)である、配列番号21に定められたエフェクター配列と、配列番号20に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸、
例えば、配列番号62に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR9)である、配列番号27に定められたエフェクター配列と、配列番号26に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸、
例えば、配列番号64に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR13)である、配列番号31に定められたエフェクター配列と、配列番号30に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸、
例えば、配列番号65に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR14)である、配列番号33に定められたエフェクター配列と、配列番号32に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸、及び
例えば、配列番号68に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR17)である、配列番号39に定められたエフェクター配列と、配列番号38に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸からなる群から選択される。
【0156】
一例では、少なくとも2つの核酸の各々は、配列番号2、9、10、及び13のうちの1つに定められたRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRをコードする。配列番号2、9、10、及び13に定められたRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRをコードする開示の例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。
【0157】
一例では、少なくとも2つの核酸は、
例えば、配列番号57に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR3)である、配列番号17に定められたエフェクター配列と、配列番号16に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸、
例えば、配列番号64に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR13)である、配列番号31に定められたエフェクター配列と、配列番号30に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸、
例えば、配列番号65に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR14)である、配列番号33に定められたエフェクター配列と、配列番号32に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸、及び
例えば、配列番号68に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR17)である、配列番号39に定められたエフェクター配列と、配列番号38に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸からなる群から選択される。
【0158】
一例では、複数の核酸は、配列番号9に定められたRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRをコードする核酸、及び配列番号13に定められたRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRをコードする核酸を含む。例えば、複数の核酸は、
(a)例えば、配列番号64に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR13)である、配列番号31に定められたエフェクター配列と、配列番号30に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸、及び
(b)例えば、配列番号68に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR17)である、配列番号39に定められたエフェクター配列と、配列番号38に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸を含み得る。
【0159】
開示の例示的な複数の核酸は、配列番号64に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR13)、及び配列番号68に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR17)を含む。
【0160】
一例では、複数の核酸は、配列番号2に定められたRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRをコードする核酸、及び配列番号10に定められたRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRをコードする核酸を含む。例えば、複数の核酸は、
(a)例えば、配列番号57に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR3)である、配列番号17に定められたエフェクター配列と、配列番号16に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸、及び
(b)例えば、配列番号65に定められた配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR14)である、配列番号33に定められたエフェクター配列と、配列番号32に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸を含み得る。
【0161】
開示の例示的な複数の核酸は、配列番号57に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR3)、及び配列番号65に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR14)を含む。
【0162】
複数の核酸が提供される例に従って、2つ以上の核酸は、同じポリヌクレオチドの別々の部分を形成し得る。別の例では、複数の核酸のうちの2つ以上は、それぞれ、異なるポリヌクレオチドの部分を形成する。別の例では、本明細書に記載される複数の核酸は、複数の成分、例えば、複数の組成物として提供される。例えば、複数の核酸の各々は、別々に提供され得る。代替的には、開示の3つ以上の核酸が提供される例では、核酸のうちの少なくとも1つは別々に提供され得、複数の2つ以上は一緒に提供され得る。
【0163】
いくつかの例では、本開示に従う、該または各核酸は、例えば、shmiRまたはshRNAの転写を促進するために、追加の要素を含み得るか、または追加の要素との作動可能な連結にあり得る。例えば、または各核酸は、本明細書に記載されるshmiRまたはshRNAをコードする配列に作動可能に連結されたプロモーターを含み得る。他の要素、例えば、転写ターミネーター及びイニシエーターは、当該技術分野で既知であり、及び/または本明細書に記載される。
【0164】
代替的には、または加えて、本開示に従う、該または各核酸は、例えば、クローニングまたは発現ベクターへの核酸(複数可)のクローニングを促進するために、1つ以上の制限部位を含み得る。例えば、本明細書に記載される核酸は、開示のshmiRまたはshRNAをコードする配列の上流及び/または下流の制限部位を含み得る。適切な制限酵素認識配列は、当業者に既知であろう。しかしながら、一例では、開示の核酸(複数可)は、5’末端、すなわち、shmiRまたはshRNAをコードする配列の上流でBamH1制限部位(GGATCC)、及び3’末端、すなわち、shmiRまたはshRNAをコードする配列の下流で、EcoR1制限部位(GAATTC)を含み得る。
【0165】
ddRNAi構築物
一例では、開示の該または各核酸は、DNA指向性RNAi(ddRNAi)構築物の形態で提供されるか、またはそれに含まれる。したがって、一例では、本開示は、本明細書に記載されるような核酸を含むddRNAi構築物を提供する。別の例では、本開示は、本明細書に記載される複数の核酸を含むddRNAi構築物を提供する。さらに別の例では、本開示は、複数のddRNAi構築物を提供し、各々は本明細書に記載されるような複数の核酸の核酸を含む(すなわち、複数の核酸の全てが複数のddRNAi構築物において表されるように)。OPMDの原因となるPABPN1のmRNA転写物を標的化するエフェクター配列を含むshmiRまたはshRNAをコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。
【0166】
一例では、ddRNAi構築物は、プロモーターに作動可能に連結された開示の核酸を含む。
【0167】
ddRNAi構築物が本明細書に記載される複数の核酸を含む例に従って、核酸の各々は、プロモーターに作動可能に連結され得る。一例では、ddRNAi構築物における核酸は、同じプロモーターに作動可能に連結され得る。一例では、ddRNAi構築物における核酸は、異なるプロモーターに作動可能に連結され得る。
【0168】
一例では、開示のddRNAi構築物は、shmiR2をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含む。例えば、ddRNAi構築物は、配列番号1に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含み得る。shmiR2をコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。一例では、ddRNAi構築物は、配列番号56に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、かつ配列番号43に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiRをコードする核酸を含む。ddRNAi構築物は、本明細書に記載されるような、shmiR3~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくはshmiR13~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸などの、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードするDNA配列を含む開示の1つ以上のさらなる核酸を含み得る。例えば、本明細書に記載されるddRNAi構築物は、(i)配列番号56に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR2)、及び(ii)shmiR3~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくはshmiR13~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、あるいはそれからなる核酸を含み得る。shmiR3~shmiR7、shmiR9、shmiR11、及びshmiR13~shmiR17と呼ばれるshmiRをコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。
【0169】
一例では、開示のddRNAi構築物は、shmiR3をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含む。例えば、ddRNAi構築物は、配列番号2に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含み得る。shmiR3をコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。一例では、ddRNAi構築物は、配列番号57に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、かつ配列番号44に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiRをコードする核酸を含む。ddRNAi構築物は、本明細書に記載されるような、shmiR2、shmiR4~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくはshmiR13~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸などの、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードするDNA配列を含む開示の1つ以上のさらなる核酸を含み得る。例えば、本明細書に記載されるddRNAi構築物は、(i)配列番号57に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR3)、及び(ii)shmiR2、shmiR4~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくはshmiR13~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、あるいはそれからなる核酸を含み得る。shmiR2、shmiR4~shmiR7、shmiR9、shmiR11、またはshmiR13~shmiR17と呼ばれるshmiRをコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。
【0170】
一例では、開示のddRNAi構築物は、shmiR4をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含む。例えば、ddRNAi構築物は、配列番号3に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含み得る。shmiR4をコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。一例では、ddRNAi構築物は、配列番号58に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、かつ配列番号45に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiRをコードする核酸を含む。ddRNAi構築物は、本明細書に記載されるような、shmiR2、shmiR3、shmiR5~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくはshmiR13~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸などの、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードするDNA配列を含む開示の1つ以上のさらなる核酸を含み得る。例えば、本明細書に記載されるddRNAi構築物は、(i)配列番号58に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR4)、及び(ii)shmiR2、shmiR3、shmiR5~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくはshmiR13~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、あるいはそれからなる核酸を含み得る。shmiR2、shmiR3、shmiR5~shmiR7、shmiR9、shmiR11、またはshmiR13~shmiR17と呼ばれるshmiRをコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。
【0171】
一例では、開示のddRNAi構築物は、shmiR5をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含む。例えば、ddRNAi構築物は、配列番号4に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含み得る。shmiR5をコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。一例では、ddRNAi構築物は、配列番号59に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、かつ配列番号46に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiRをコードする核酸を含む。ddRNAi構築物は、本明細書に記載されるような、shmiR2~shmiR4、shmiR6~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくはshmiR13~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸などの、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードするDNA配列を含む開示の1つ以上のさらなる核酸を含み得る。例えば、本明細書に記載されるddRNAi構築物は、(i)配列番号59に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR5)、及び(ii)shmiR2~shmiR4、shmiR6~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくはshmiR13~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、あるいはそれからなる核酸を含み得る。shmiR2~shmiR4、shmiR6~shmiR7、shmiR9、shmiR11、またはshmiR13~shmiR17と呼ばれるshmiRをコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。
【0172】
一例では、開示のddRNAi構築物は、shmiR6をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含む。例えば、ddRNAi構築物は、配列番号5に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含み得る。shmiR6をコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。一例では、ddRNAi構築物は、配列番号60に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、かつ配列番号47に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiRをコードする核酸を含む。ddRNAi構築物は、本明細書に記載されるような、shmiR2~shmiR5、shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくはshmiR13~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸などの、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードするDNA配列を含む開示の1つ以上のさらなる核酸を含み得る。例えば、本明細書に記載されるddRNAi構築物は、(i)配列番号60に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR6)、及び(ii)shmiR2~shmiR5、shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくはshmiR13~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、あるいはそれからなる核酸を含み得る。shmiR2~shmiR5、shmiR7、shmiR9、shmiR11、またはshmiR13~shmiR17と呼ばれるshmiRをコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。
【0173】
一例では、開示のddRNAi構築物は、shmiR7をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含む。例えば、ddRNAi構築物は、配列番号6に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含み得る。shmiR7をコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。一例では、ddRNAi構築物は、配列番号61に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、かつ配列番号48に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiRをコードする核酸を含む。ddRNAi構築物は、本明細書に記載されるような、shmiR2~shmiR6、shmiR9、shmiR11、もしくはshmiR13~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸などの、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードするDNA配列を含む開示の1つ以上のさらなる核酸を含み得る。例えば、本明細書に記載されるddRNAi構築物は、(i)配列番号61に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR7)、及び(ii)shmiR2~shmiR6、shmiR9、shmiR11、もしくはshmiR13~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、あるいはそれからなる核酸を含み得る。shmiR2~shmiR6、shmiR9、shmiR11、またはshmiR13~shmiR17と呼ばれるshmiRをコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。
【0174】
一例では、開示のddRNAi構築物は、shmiR9をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含む。例えば、ddRNAi構築物は、配列番号7に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含み得る。shmiR9をコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。一例では、ddRNAi構築物は、配列番号62に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、かつ配列番号49に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiRをコードする核酸を含む。ddRNAi構築物は、本明細書に記載されるような、shmiR2~shmiR7、shmiR11、もしくはshmiR13~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸などの、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードするDNA配列を含む開示の1つ以上のさらなる核酸を含み得る。例えば、本明細書に記載されるddRNAi構築物は、(i)配列番号62に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR9)、及び(ii)shmiR2~shmiR7、shmiR11、もしくはshmiR13~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、あるいはそれからなる核酸を含み得る。shmiR2~shmiR7、shmiR11、またはshmiR13~shmiR17と呼ばれるshmiRをコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。
【0175】
一例では、開示のddRNAi構築物は、shmiR11をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含む。例えば、ddRNAi構築物は、配列番号8に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含み得る。shmiR11をコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。一例では、ddRNAi構築物は、配列番号63に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、かつ配列番号50に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiRをコードする核酸を含む。ddRNAi構築物は、本明細書に記載されるような、shmiR2~shmiR7、shmiR9、もしくはshmiR13~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸などの、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードするDNA配列を含む開示の1つ以上のさらなる核酸を含み得る。例えば、本明細書に記載されるddRNAi構築物は、(i)配列番号63に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR11)、及び(ii)shmiR2~shmiR7、shmiR9、もしくはshmiR13~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、あるいはそれからなる核酸を含み得る。shmiR2~shmiR7、shmiR9、またはshmiR13~shmiR17と呼ばれるshmiRをコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。
【0176】
一例では、開示のddRNAi構築物は、shmiR13をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含む。例えば、ddRNAi構築物は、配列番号9に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含み得る。shmiR13をコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。一例では、ddRNAi構築物は、配列番号64に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、かつ配列番号51に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiRをコードする核酸を含む。ddRNAi構築物は、本明細書に記載されるような、shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくはshmiR14~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸などの、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードするDNA配列を含む開示の1つ以上のさらなる核酸を含み得る。例えば、本明細書に記載されるddRNAi構築物は、(i)配列番号64に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR13)、及び(ii)shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくはshmiR14~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、あるいはそれからなる核酸を含み得る。shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、またはshmiR14~shmiR17と呼ばれるshmiRをコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。
【0177】
一例では、開示のddRNAi構築物は、shmiR14をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含む。例えば、ddRNAi構築物は、配列番号10に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含み得る。shmiR14をコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。一例では、ddRNAi構築物は、配列番号65に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、かつ配列番号52に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiRをコードする核酸を含む。ddRNAi構築物は、本明細書に記載されるような、shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくはshmiR13、shmiR15~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸などの、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードするDNA配列を含む開示の1つ以上のさらなる核酸を含み得る。例えば、本明細書に記載されるddRNAi構築物は、(i)配列番号65に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR14)、及び(ii)shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくはshmiR13、shmiR15~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、あるいはそれからなる核酸を含み得る。shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、またはshmiR13、shmiR15~shmiR17と呼ばれるshmiRをコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。
【0178】
一例では、開示のddRNAi構築物は、shmiR15をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含む。例えば、ddRNAi構築物は、配列番号11に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含み得る。shmiR15をコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。一例では、ddRNAi構築物は、配列番号66に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、かつ配列番号53に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiRをコードする核酸を含む。ddRNAi構築物は、本明細書に記載されるような、shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくはshmiR13~shmiR14、もしくはshmiR16~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸などの、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードするDNA配列を含む開示の1つ以上のさらなる核酸を含み得る。例えば、本明細書に記載されるddRNAi構築物は、(i)配列番号66に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR15)、及び(ii)shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくはshmiR13~shmiR14、もしくはshmiR16~shmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、あるいはそれからなる核酸を含み得る。shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、またはshmiR13~shmiR14、またはshmiR16~shmiR17と呼ばれるshmiRをコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。
【0179】
一例では、開示のddRNAi構築物は、shmiR16をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含む。例えば、ddRNAi構築物は、配列番号12に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含み得る。shmiR16をコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。一例では、ddRNAi構築物は、配列番号67に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、かつ配列番号54に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiRをコードする核酸を含む。ddRNAi構築物は、本明細書に記載されるような、shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくはshmiR13~shmiR15、もしくはshmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸などの、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードするDNA配列を含む開示の1つ以上のさらなる核酸を含み得る。例えば、本明細書に記載されるddRNAi構築物は、(i)配列番号67に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR16)、及び(ii)shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくはshmiR13~shmiR15、もしくはshmiR17のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、あるいはそれからなる核酸を含み得る。shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、またはshmiR13~shmiR15、またはshmiR17と呼ばれるshmiRをコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。
【0180】
一例では、開示のddRNAi構築物は、shmiR17をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含む。例えば、ddRNAi構築物は、配列番号13に定められた配列を含むか、またはそれからなるRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を有するshmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含み得る。shmiR17をコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。一例では、ddRNAi構築物は、配列番号68に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり、かつ配列番号55に定められた配列を含むか、またはそれからなるshmiRをコードする核酸を含む。ddRNAi構築物は、本明細書に記載されるような、shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくはshmiR13~shmiR16のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸などの、PABPN1 mRNA転写物の領域を標的化するshmiRまたはshRNAをコードするDNA配列を含む開示の1つ以上のさらなる核酸を含み得る。例えば、本明細書に記載されるddRNAi構築物は、(i)配列番号68に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR17)、及び(ii)shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、もしくはshmiR13~shmiR16のうちの1つ、またはそれらのいずれかの対応するshRNAをコードするDNA配列を含むか、あるいはそれからなる核酸を含み得る。shmiR2~shmiR7、shmiR9、shmiR11、またはshmiR13~shmiR16と呼ばれるshmiRをコードする例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。
【0181】
本明細書に記載されるような複数の核酸を含むddRNAi構築物の任意の例に従って、ddRNAi構築物は、核酸のうちの少なくとも1つが本明細書に記載されるようなshmiRをコードするという条件で、本明細書に記載されるようなshmiRまたはshRNAをコードする2、または3、または4、または5、または6、または7、または8、または9、または10の核酸などの、本明細書に記載されるようなshmiRまたはshRNAをコードする2つ以上の核酸を含み得る。
【0182】
一例では、ddRNAi構築物は、本明細書に記載されるshmiRまたはshRNAをコードする2つの核酸を含み、ただし、核酸のうちの少なくとも1つは、本明細書に記載されるようなshmiRをコードする。一例では、ddRNAi構築物は、本明細書に記載されるshmiRまたはshRNAをコードする3つの核酸を含み、ただし、核酸のうちの少なくとも1つは、本明細書に記載されるようなshmiRをコードする。一例では、ddRNAi構築物は、本明細書に記載されるshmiRまたはshRNAをコードする4つの核酸を含み、ただし、核酸のうちの少なくとも1つは、本明細書に記載されるようなshmiRをコードする。一例では、ddRNAi構築物は、本明細書に記載されるshmiRまたはshRNAをコードする5つの核酸を含み、ただし、核酸のうちの少なくとも1つは、本明細書に記載されるようなshmiRをコードする。一例では、ddRNAi構築物は、本明細書に記載されるshmiRまたはshRNAをコードする6つの核酸を含み、ただし、核酸のうちの少なくとも1つは、本明細書に記載されるようなshmiRをコードする。一例では、ddRNAi構築物は、本明細書に記載されるshmiRまたはshRNAをコードする7つの核酸を含み、ただし、核酸のうちの少なくとも1つは、本明細書に記載されるようなshmiRをコードする。一例では、ddRNAi構築物は、本明細書に記載されるshmiRまたはshRNAをコードする8つの核酸を含み、ただし、核酸のうちの少なくとも1つは、本明細書に記載されるようなshmiRをコードする。一例では、ddRNAi構築物は、本明細書に記載されるshmiRまたはshRNAをコードする9つの核酸を含み、ただし、核酸のうちの少なくとも1つは、本明細書に記載されるようなshmiRをコードする。一例では、ddRNAi構築物は、本明細書に記載されるshmiRまたはshRNAをコードする10の核酸を含み、ただし、核酸のうちの少なくとも1つは、本明細書に記載されるようなshmiRをコードする。
【0183】
開示の例示的なddRNAi構築物は少なくとも2つの核酸を含み、各々は開示のshmiRをコードするDNA配列を含み、各shmiRは異なるエフェクター配列を含む。一例では、少なくとも2つの核酸の各々は、配列番号1、2、4、7、9、10、及び13のうちの1つに定められたRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRをコードする。配列番号1、2、4、7、9、10、及び13に定められたRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRをコードする開示の例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。
【0184】
一例では、ddRNAi構築物は、
例えば、配列番号56に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR2)である、配列番号15に定められたエフェクター配列と、配列番号14に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸、
例えば、配列番号57に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR3)である、配列番号17に定められたエフェクター配列と、配列番号16に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸、
例えば、配列番号59に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR5)である、配列番号21に定められたエフェクター配列と、配列番号20に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸、
例えば、配列番号62に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR9)である、配列番号27に定められたエフェクター配列と、配列番号26に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸、
例えば、配列番号64に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR13)である、配列番号31に定められたエフェクター配列と、配列番号30に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸、
例えば、配列番号65に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR14)である、配列番号33に定められたエフェクター配列と、配列番号32に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸、及び
例えば、配列番号68に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR17)である、配列番号39に定められたエフェクター配列と、配列番号38に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸からなる群から選択される少なくとも2つの核酸を含む。
【0185】
一例では、ddRNAi構築物における少なくとも2つの核酸の各々は、配列番号2、9、10、及び13のうちの1つに定められたRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRをコードする。配列番号2、9、10、及び13に定められたRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRをコードする開示の例示的な核酸は、本明細書に記載され、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。
【0186】
一例では、ddRNAi構築物は、
例えば、配列番号57に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR3)である、配列番号17に定められたエフェクター配列と、配列番号16に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸、
例えば、配列番号64に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR13)である、配列番号31に定められたエフェクター配列と、配列番号30に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸、
例えば、配列番号65に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR14)である、配列番号33に定められたエフェクター配列と、配列番号32に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸、及び
例えば、配列番号68に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR17)である、配列番号39に定められたエフェクター配列と、配列番号38に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸からなる群から選択される少なくとも2つの核酸を含む。
【0187】
一例では、開示のddRNAi構築物は、配列番号9に定められたRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRをコードする核酸、及び配列番号13に定められたRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRをコードする核酸を含む。例えば、ddRNAi構築物は、
(a)例えば、配列番号64に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR13)である、配列番号31に定められたエフェクター配列と、配列番号30に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸、及び
(b)例えば、配列番号68に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR17)である、配列番号39に定められたエフェクター配列と、配列番号38に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸を含み得る。
【0188】
開示の例示的なddRNAi構築物は、配列番号64に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR13)、及び配列番号68に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR17)を含む。
【0189】
一例では、ddRNAi構築物は、配列番号2に定められたRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRをコードする核酸、及び配列番号10に定められたRNA転写物における対応する長さの領域に対して実質的に相補的であるエフェクター配列を含むshmiRをコードする核酸を含む。例えば、ddRNAi構築物は、
(a)例えば、配列番号57に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR3)である、配列番号17に定められたエフェクター配列と、配列番号16に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸、及び
(b)例えば、配列番号65に定められた配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR14)である、配列番号33に定められたエフェクター配列と、配列番号32に定められたエフェクター相補配列と、を含む、shmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる、核酸を含み得る。
【0190】
開示の例示的なddRNAi構築物は、配列番号57に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR3)、及び配列番号65に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR14)を含む。
【0191】
開示のddRNAi構築物を記載する前述の例の各々では、それに含まれる該または各核酸は、プロモーターに作動可能に連結され得る。例えば、本明細書に記載されるddRNAi構築物は、例えば、ddRNAi構築物からの1つ以上のshmiR及び/またはshRNAの発現を駆動するために、それに含まれる該または各核酸に作動可能に連結される単一のプロモーターを含み得る。
【0192】
別の例では、ddRNAi構築物に含まれる開示のshmiRまたはshRNAをコードする各核酸は、別々のプロモーターに作動可能に連結される。
【0193】
複数のプロモーターが存在する例に従って、プロモーターは同じであっても異なっていてもよい。例えば、構築物は、開示の異なる核酸に作動可能に連結された各コピーを有する同じプロモーターの複数のコピーを含み得る。別の例では、開示の核酸に作動可能に連結された各プロモーターは、異なる。例えば、2つのshmiRをコードするddRNAi構築物では、shmiRをコードする2つの核酸は、各々、異なるプロモーターに作動可能に連結される。同じように、ddRNAi構築物が1つのshmiR及び1つのshRNAをコードする例では、shmiR及びshRNAをコードするそれぞれの核酸は、各々、異なるプロモーターに作動可能に連結される。
【0194】
一例では、プロモーターは、構成的プロモーターである。プロモーターを参照する場合の用語「構成的」は、プロモーターが、具体的な刺激(例えば、熱ショック、化学物質、光など)の不在下で、作動可能に連結された核酸配列の転写を誘導することができることを意味する。典型的には、構成的プロモーターは、実質的に任意の細胞及び任意の組織においてコード配列の発現を誘導することができる。開示の核酸(複数可)からshmiRまたはshRNAを転写するために使用されるプロモーターは、RNAポリメラーゼIIによって制御されるユビキチン、CMV、β-アクチン、ヒストンH4、EF-1α、もしくはpgk遺伝子に対するプロモーター、またはRNAポリメラーゼIによって制御されるプロモーター要素を含む。
【0195】
一例では、CMV、SV40、U1、β-アクチンなどのPol IIプロモーター、またはハイブリッドPol IIプロモーターが用いられる。他の好適なPol IIプロモーターは、当該技術分野で既知であり、開示のこの例に従って使用され得る。例えば、Pol IIプロモーターシステムは、酵素Drosha及びPashaの作用によって1つ以上のshmiRにプロセシングされるpri-miRNAを発現する開示のddRNAi構築物において好まれ得る。Pol IIプロモーターシステムは、単一のプロモーターの制御下にある複数のshRNAまたはshmiRをコードする配列を含む開示のddRNAi構築物においても好まれ得る。Pol IIプロモーターシステムは、組織特異性が望まれる場合にも好まれ得る。
【0196】
別の例では、U6プロモーター(U6-1、U6-8、U6-9)、H1プロモーター、7SLプロモーター、ヒトYプロモーター(hY1、hY3、hY4(Maraia,et al.,Nucleic Acids Res 22(15):3045-52(1994)を参照されたい)及びhY5(Maraia,et al.,Nucleic Acids Res 24(18):3552-59(1994)を参照されたい))、ヒトMRP-7-2プロモーター、アデノウイルスVA1プロモーター、ヒトtRNAプロモーター、または5sリボソームRNAプロモーターなどの、RNAポリメラーゼIIIによって制御されるプロモーターが使用される。
【0197】
開示のddRNAi構築物における使用のための好適なプロモーターは、米国特許第8,008,468号及び米国特許第8,129,510号に記載される。
【0198】
一例では、プロモーターは、RNA pol IIIプロモーターである。例えば、プロモーターは、U6プロモーター(例えば、U6-1、U6-8、またはU6-9プロモーター)である。別の例では、プロモーターは、H1プロモーターである。
【0199】
本明細書に記載されるような、複数のshmiRをコードするか、または1つ以上のshmiR及びshRNAをコードする開示のddRNAi構築物の場合では、ddRNAi構築物における核酸の各々は、U6プロモーター、例えば、別々のU6プロモーターに作動可能に連結される。
【0200】
一例では、構築物におけるプロモーターは、U6プロモーターである。例えば、プロモーターは、U6-1プロモーターである。例えば、プロモーターは、U6-8プロモーターである。例えば、プロモーターは、U6-9プロモーターである。
【0201】
いくつかの例では、可変強度のプロモーターが、用いられる。例えば、2つ以上の強力なプロモーター(Pol III型プロモーターなどの)の使用は、例えば、転写に必要な利用可能なヌクレオチドまたは他の細胞成分のプールを枯渇させることによって、細胞に負担をかける場合がある。加えて、または代替的に、いくつかの強力なプロモーターの使用は、細胞において、RNAi薬剤、例えば、shmiRまたはshRNAの毒性レベルの発現を引き起こす場合がある。したがって、いくつかの例では、複数プロモーターddRNAi構築物におけるプロモーターのうちの1つ以上は構築物における他のプロモーターよりも弱いか、または構築物における全てのプロモーターは最大速度未満でshmiRもしくはshRNAを発現し得る。プロモーターは、様々な分子技法を使用して、またはそうでなければ、例えば、様々な調節要素の修飾を通じて、より弱いレベルまたはより強いレベルの転写を達成するためにも修飾され得る。低減した転写を達成する1つの手段は、プロモーター活性を制御することが知られているプロモーター内の配列要素を修飾することである。例えば、近位配列要素(PSE)は、ヒトU6プロモーターの活性に影響することが知られている(Domitrovich,et al.,Nucleic Acids Res 31:2344-2352(2003))。ヒトU6-1、U6-8、またはU6-9プロモーターなどの強力なプロモーターに存在するPSE要素を、ヒトU6-7プロモーターなどの弱いプロモーターの要素で置換することは、ハイブリッドU6-1、U6-8、またはU6-9プロモーターの活性を低減する。このアプローチは、この用途に記載された例において使用されているが、このアウトカムを達成するための他の手段は、当該技術分野において既知である。
【0202】
本開示のいくつかの例において有用なプロモーターは、組織特異的または細胞特異的であり得る。プロモーターに適用されるような用語「組織特異的」は、異なる型の組織(例えば、肝臓)における目的の同じヌクレオチド配列の発現の相対的不在下で、具体的な型の組織(例えば、眼または筋の組織)に目的の核酸の選択的転写を誘導することができるプロモーターを指す。プロモーターに適用されるような用語「細胞特異的」は、同じ組織内の異なる型の組織における目的の同じヌクレオチド配列の発現の相対的不在下で、具体的な型の細胞における目的の核酸の選択的転写を誘導することができるプロモーターを指す。一例に従って、Spc512またはCK8などの筋特異的プロモーターが、使用される。しかしながら、他の筋特異的プロモーターは、当該技術分野で既知であり、開示のddRNAi構築物における使用のために企図される。
【0203】
一例では、開示のddRNAi構築物は、本明細書に記載される核酸によってコードされたshmiRまたはshRNAの発現を増加させるための1つ以上のエンハンサーを追加的に含み得る。本開示の例における使用に適切なエンハンサーは、Apo E HCRエンハンサー、CMVエンハンサー(Xia et al,Nucleic Acids Res 31-17(2003))、及び当業者に既知の他のエンハンサーを含む。開示のddRNAi構築物における使用のための好適なエンハンサーは、米国特許第8,008,468号に記載される。
【0204】
さらなる例では、開示のddRNAi構築物は、開示のshmiRまたはshRNAをコードする核酸に連結された転写ターミネーターを含み得る。本明細書に記載される複数の核酸を含む、すなわち、複数のshmiR及び/またはshRNAをコードするddRNAi構築物の場合では、各核酸に連結されたターミネーターは、同じであっても異なっていてもよい。例えば、RNA pol IIIプロモーターが用いられる開示のddRNAi構築物では、ターミネーターは、4つ以上、または5つ以上、または6つ以上のT残基の連続的な範囲であり得る。しかしながら、異なるプロモーターが使用される場合、ターミネーターは、異なる可能性があり、ターミネーターが由来する遺伝子からのプロモーターに一致する。かかるターミネーターは、SV40ポリA、AdV VA1遺伝子、5SリボソームRNA遺伝子、及びヒトt-RNAに対するターミネーターを含むが、これらに限定されない。他のプロモーター及びターミネーターの組み合わせは、当該技術分野で既知であり、開示のddRNAi構築物における使用のために企図される。
【0205】
加えて、プロモーター及びターミネーターは、RNA pol IIプロモーター及びターミネーターで一般的に行われているように、混合し一致する場合がある。
【0206】
一例では、複数の核酸を含むddRNAi構築物における各核酸のために使用されるプロモーター及びターミネーターの組み合わせは、成分間のDNA組換え事象の可能性を減少するように異なる。
【0207】
開示の1つの例示的なddRNAi構築物は、プロモーターに作動可能に連結された本明細書に記載されるようなshmiR13をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸、及びプロモーターに作動可能に連結された本明細書に記載されるようなshmiR17をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含む。例えば、開示の例示的なddRNAi構築物は、プロモーターに作動可能に連結された配列番号64に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸、及びプロモーターに作動可能に連結された配列番号68に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含む。一例では、shmiRをコードするddRNAi構築物における各核酸は、別々のプロモーターに作動可能に連結される。別の例では、shmiRをコードするddRNAi構築物における各核酸は、同じプロモーターに作動可能に連結される。例えば、該または各プロモーターは、例えば、U6-1、U6-8、またはU6-9プロモーターである、U6プロモーターであり得る。例えば、該または各プロモーターは、例えば、Spc512またはCK8プロモーターである、筋特異的プロモーターであり得る。
【0208】
shmiR13及びshmiR17をコードするddRNAi構築物における核酸が同じSpc512プロモーターに作動可能に連結される例に従って、ddRNAi構築物は、配列番号72に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる。shmiR13及びshmiR17をコードするddRNAi構築物における核酸が同じCK8プロモーターに作動可能に連結される例に従って、ddRNAi構築物は、配列番号70に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる。
【0209】
開示の別の例示的なddRNAi構築物は、プロモーターに作動可能に連結された本明細書に記載されるようなshmiR3をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸、及びプロモーターに作動可能に連結された本明細書に記載されるようなshmiR14をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含む。例えば、開示の例示的なddRNAi構築物は、プロモーターに作動可能に連結された配列番号57に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸、及びプロモーターに作動可能に連結された配列番号65に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含む。一例では、shmiRをコードするddRNAi構築物における各核酸は、別々のプロモーターに作動可能に連結される。別の例では、shmiRをコードするddRNAi構築物における各核酸は、同じプロモーターに作動可能に連結される。例えば、該または各プロモーターは、例えば、U6-1、U6-8、またはU6-9プロモーターである、U6プロモーターであり得る。例えば、該または各プロモーターは、例えば、Spc512またはCK8プロモーターである、筋特異的プロモーターであり得る。
【0210】
shmiR3及びshmiR14をコードするddRNAi構築物における核酸が同じSpc512プロモーターに作動可能に連結される例に従って、ddRNAi構築物は、配列番号71に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる。shmiR3及びshmiR14をコードするddRNAi構築物における核酸が同じCK8プロモーターに作動可能に連結される例に従って、ddRNAi構築物は、配列番号69に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる。
【0211】
複数のddRNAi構築物も、提供される。例えば、本明細書に記載されるshmiRをコードする複数の核酸は、複数のddRNAi構築物内に提供され得、各ddRNAi構築物は、本明細書に記載される複数の核酸のうちの1つ以上を含む。shmiRをコードする核酸の組み合わせは、記載されており、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。一例では、本明細書に記載される複数の核酸における各核酸は、それ自体のddRNAi構築物内に提供される。
【0212】
複数のddRNAi構築物が提供される任意の例に従って、各ddRNAi構築物は、それに含まれるshmiR(複数可)をコードする核酸(複数可)に作動可能に連結された1つ以上のプロモーターも含み得る。一例では、各ddRNAi構築物は、shmiRをコードする単一の核酸、及びそれに作動可能に連結されたプロモーターを含む。複数のddRNAi構築物のうちの1つ以上がshmiRをコードする2つ以上の核酸を含む例に従って、1つ以上のddRNAi構築物における各核酸は、別々のプロモーターに作動可能に連結される。複数のddRNAi構築物のうちの1つ以上がshmiRをコードする2つ以上の核酸を含む別の例では、2つ以上の核酸は、ddRNAi構築物における同じプロモーターに作動可能に連結される。
【0213】
開示の1つの例示的な複数のddRNAi構築物は、プロモーターに作動可能に連結された本明細書に記載されるようなshmiR13をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含むddRNAi構築物、及びプロモーターに作動可能に連結された本明細書に記載されるようなshmiR17をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含むddRNAi構築物を含む。例えば、開示の例示的なddRNAi構築物は、プロモーターに作動可能に連結された配列番号64に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含むddRNAi構築物、及びプロモーターに作動可能に連結された配列番号68に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含むddRNAi構築物を含む。一例では、プロモーターは、例えば、U6-1、U6-8、またはU6-9プロモーターから選択されるU6プロモーターである。別の例では、プロモーターは、例えば、Spc512またはCK8プロモーターである、筋特異的プロモーターである。
【0214】
開示の別の例示的な複数のddRNAi構築物は、プロモーターに作動可能に連結された本明細書に記載されるようなshmiR3をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含むddRNAi構築物、及びプロモーターに作動可能に連結された本明細書に記載されるようなshmiR14をコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含むddRNAi構築物を含む。例えば、開示の例示的なddRNAi構築物は、プロモーターに作動可能に連結された配列番号57に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含むddRNAi構築物、及びプロモーターに作動可能に連結された配列番号65に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸を含むddRNAi構築物を含む。一例では、プロモーターは、例えば、U6-1、U6-8、またはU6-9プロモーターから選択されるU6プロモーターである。別の例では、プロモーターは、例えば、Spc512またはCK8プロモーターである、筋特異的プロモーターである。
【0215】
加えて、該または各ddRNAi構築物は、プロモーター、shmiRもしくはshRNAをコードする核酸及び/または他の調節要素が簡単に除去または置換されるように、戦略的に位置する1つ以上の複数のクローニング部位及び/または固有の制限部位を含むことができる。該または各ddRNAi構築物は、戦略的に位置する制限部位及び/または相補的な粘着末端を使用して、より小さなオリゴヌクレオチド成分から組み立てられ得る。本開示に従う1つのアプローチのための基礎ベクターは、全ての部位が固有であるマルチリンカーを有するプラスミドを含む(このことは絶対的な要件ではないが)。続いて、各プロモーターは、その指定された固有部位の間に挿入され、その全てが可変配向を有し得る1つ以上のプロモーターを有する基礎カセットを生じる。続いて、再び、アニーリングされたプライマー対は、個々のプロモーターの各々の下流の固有部位に挿入され、単一、二重、または複数の発現カセット構築物を生じる。挿入物は、単一、二重、または複数の発現カセット挿入物に隣接する2つの固有の制限酵素部位(同じまたは異なるもの)を使用して、例えば、AdV骨格またはAAV骨格に移動され得る。
【0216】
該または各ddRNAi構築物の生成は、PCR、オリゴヌクレオチド合成、制限エンドヌクレアーゼ消化、ライゲーション、形質転換、プラスミド精製、及びDNA配列決定の標準的な技法を限定なく含む、当該技術分野で既知の任意の好適な遺伝子工学技法を使用して達成され得る。該または各構築物がウイルス構築物である場合、構築物は、例えば、ddRNAi構築物をウイルス粒子にパッケージ化するために必要な配列、及び/またはddRNAi構築物の標的細胞ゲノムへの組み込みを可能にする配列を含む。いくつかの例では、該または各ウイルス構築物は、ウイルスの複製及び増殖を可能にする遺伝子を追加的に含むが、かかる遺伝子は、トランスで供給されるであろう。追加的に、該または各ウイルス構築物は、天然の形態で組み込まれた、もしくは改変された任意の既知の生物のゲノムからの遺伝子または遺伝子配列を含むことができる。例えば、ウイルス構築物は、細菌における構築物の複製に有用な配列を含み得る。
【0217】
該または各構築物は、追加の遺伝的要素も含み得る。構築物に含まれ得る要素の型は、いかなる方法でも限定されず、当業者によって選択され得る。例えば、追加の遺伝的要素は、GFPもしくはRFPなどの蛍光マーカータンパク質、ベータ-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、ベータ-グルクロニダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、もしくは分泌型胚性アルカリホスファターゼなどの簡単にアッセイされる酵素、または、ホルモンもしくはサイトカインなどのイムノアッセイが容易に利用可能であるタンパク質に対する1つ以上の遺伝子などのレポーター遺伝子を含み得る。
【0218】
本開示の実施形態において使用が見出され得る他の遺伝的要素は、アデノシンデアミナーゼ、アミノグリコディックホスホトランスフェラーゼ、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、ハイグロマイシン-B-ホスホトランスフェラーゼ、薬剤抵抗性などの細胞に選択的成長の利点を付与するタンパク質をコードするもの、または栄養要求体に欠けている生合成能力を提供するタンパク質をコードするそれらの遺伝子を含む。レポーター遺伝子が該または各構築物と共に含まれる場合、内部リボソーム侵入部位(IRES)配列が、含まれ得る。一例では、追加の遺伝的要素は、独立したプロモーター/エンハンサーを用いて作動可能に連結され、それによって制御される。加えて、細菌における構築物の増殖のための好適な複製起点が、用いられ得る。複製起点の配列は、一般に、ddRNAi構築物及び他の遺伝子配列から分離される。かかる複製起点は、当該技術分野で既知であり、pUC、ColE1、2ミクロン、またはSV40の複製起点を含む。
【0219】
発現ベクター
一例では、開示のddRNAi構築物は、発現ベクター内に含まれる。
【0220】
一例では、発現ベクターは、例えば、当該技術分野で既知であるような、プラスミドである。一例では、好適なプラスミド発現ベクターは、pAAVベクター、例えば、自己相補的pAAV(pscAAV)プラスミドベクターまたは1本鎖pAAV(pssAAV)プラスミドベクターである。本明細書に記載されるように、プラスミドは、開示の1つ以上のshmiRの発現を駆動するための1つ以上のプロモーター(その好適な例は記載される)を含み得る。
【0221】
一例では、発現ベクターは、ミニサークルDNAである。ミニサークルDNAは、米国特許公開第2004/0214329号に記載される。ミニサークルDNAは、持続的な高レベルの核酸転写に有用である。環状ベクターは、発現サイレンシング細菌配列を欠いていることによって特徴付けられる。例えば、ミニサークルベクターは、複製起点を欠き、細菌プラスミドに一般的に見いだされる薬物選択マーカー、例えば、β-ラクタマーゼ、tetなどを欠くという点で細菌プラスミドベクターとは異なる。その結果、ミニサークルDNAは、より小さなサイズになり、より効率的な送達を可能にする。
【0222】
一例では、発現ベクターは、ウイルスベクターである。
【0223】
任意の適切なウイルスに基づくウイルスベクターは、開示のddRNAiを送達するために使用され得る。加えて、ハイブリッドウイルスシステムが、役立つ場合がある。ウイルス送達システムの選択は、送達のために標的化される組織、システムの形質導入効率、病原性、免疫学的かつ毒性の懸念などの、様々なパラメータに依存するであろう。
【0224】
遺伝子療法において使用されるウイルスシステムの一般的に使用されるクラスは、それらのゲノムが宿主細胞クロマチン(オンコレトロウイルス及びレンチウイルス)に組み込まれるか、または主に染色体外エピソーム(アデノ随伴ウイルス、アデノウイルス、及びヘルペスウイルス)として細胞核において存続するかに従って、2つの群に分類され得る。一例では、開示のウイルスベクターは、宿主細胞のクロマチンに組み込む。別の例では、開示のウイルスベクターは、染色体外エピソームとして宿主細胞の核において存続する。
【0225】
一例では、ウイルスベクターは、アデノウイルス(AdV)ベクターである。アデノウイルスは、26~48Kbpである線状ゲノムを有する中型の2本鎖非エンベロープDNAウイルスである。アデノウイルスは、受容体媒介性の結合及び内部移行によって標的細胞へ入り込み、非分裂細胞及び分裂細胞の両方において核に侵入する。アデノウイルスは、生存及び複製について宿主細胞に重度に依存しており、宿主の複製機構を使用して脊椎動物の核において複製することができる。
【0226】
一例では、ウイルスベクターは、Parvoviridae科からのものである。Parvoviridae科は、およそ5000ヌクレオチド長のゲノムを有する小さな1本鎖の非エンベロープDNAウイルスの科である。科のメンバーの中には、アデノ随伴ウイルス(AAV)が含まれる。一例では、開示のウイルスベクターは、AAVである。AAVは、生産的な感染サイクルを開始及び維持するために、別のウイルス(典型的には、アデノウイルスまたはヘルペスウイルス)との同時感染を一般に必要とする依存的パルボウイルスである。かかるヘルパーウイルスの不在下で、AAVは、未だにコンピテントであり、受容体媒介性の結合及び内部移行によって標的細胞に感染するか、または標的細胞を形質導入し、非分裂細胞及び分裂細胞の両方において核に侵入する。後代ウイルスがヘルパーウイルスの不在下でAAV感染から産生されないため、形質導入の程度は、ウイルスに感染している始原細胞のみに制限される。AAVを本開示のための望ましいベクターにするのは、この特徴である。さらに、レトロウイルス、アデノウイルス、及び単純ヘルペスウイルスとは異なり、AAVは、ヒトの病原性及び毒性を欠くように思われる(Kay,et al.,Nature.424:251(2003))。ゲノムは通常2つの遺伝子のみをコードするため、送達媒体として、AAVが4.5の1本鎖キロベース(kb)のパッケージ化能力によって限定されることは驚くべきことではない。しかしながら、このサイズ制限は、置換遺伝子療法のために送達され得る遺伝子を限定し得るが、shmiR及びshRNAなどのより短い配列のパッケージ化及び発現に悪い影響を与えない。好ましくは、発現ベクター及び送達システムとして使用されるAAVは、ヒトに感染することができる血清型、例えば、AAV血清型1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13からなる群から選択されるAAVからのものである。1つの特定の例では、血清型8または9のAAVは、ベクターとして使用される。一例では、AAVは血清型8からのものである。別の例では、AAVは血清型9からのものである。AAVが血清型2以外の血清型からのものである任意の例に従って、AAVは、AAV血清型2逆位末端反復(ITR)を、例えば、AAVの形質導入効率を改善するように含み得る。代替的には、または加えて、AAVは、例えば、バキュロウイルスシステムを使用して昆虫細胞におけるAAVの産生を支援するように、修飾されたキャプシドタンパク質を含み得る。例えば、AAVは、修飾されたホスホリパーゼ(PL)ドメイン配列を有するサブユニット1(VP1)を含むウイルスキャプシドタンパク質を含み得る。例えば、VP1のPLドメインは、位置1でセリン、位置26でグルタミン酸、位置40でアルギニン、位置43でアスパラギン酸、位置44でセリン、及び位置64でリジンを含む配列を含み得、アミノ酸位置は、配列番号88に定められた未修飾配列に対して定義され、位置1、26、40、43、44、及び64のうちの任意の1つ以上でのアミノ酸は、対応する野生型配列に対して修飾される。
【0227】
一例では、ウイルスベクターは、AAV血清型2からのITRを含む、血清型8からのAAV、または血清型8のキャプシドでシュードタイプ化されたAAVであり、VP1がPLドメイン配列を含む修飾されたキャプシドタンパク質は、位置1でセリン、位置26でグルタミン酸、位置40でアルギニン、位置43でアスパラギン酸、位置44でセリン、及び位置64でリジンを含み、アミノ酸位置は、配列番号88に定められた配列に対して定義される。例えば、AAV8からの修飾されたキャプシドタンパク質は、配列番号89に定められた配列を含むPLドメインを含むVP1を含み得る。別の例では、ウイルスベクターは、AAV血清型2からのITRを含む、血清型9からのAAV、または血清型9のキャプシドでシュードタイプ化されたAAVであり、VP1がPLドメイン配列を含む修飾されたキャプシドタンパク質は、位置1でセリン、位置26でグルタミン酸、位置40でアルギニン、位置43でアスパラギン酸、及び位置44でセリン、及び位置64でリジンを含み、アミノ酸位置は、配列番号88に定められた未修飾配列に対して定義される。例えば、AAV9からの修飾されたキャプシドタンパク質は、配列番号90に定められた配列を含むPLドメインを含むVP1を含み得る。
【0228】
遺伝子療法における使用に好適なAAV(例えば、複製不全AAV)を産生する方法は、当該技術分野で周知であり、本明細書で企図される。例えば、AAVは、例えば、その内容は本明細書に参照により記載される、US20120028357A1、WO2007046703、US20030148506A1、WO2017184879、US20040197895A1、及びWO2007148971に記載されるように、バキュロウイルスシステムを使用して昆虫細胞において産生され得る。組換えAAVは、付着細胞及び浮遊細胞の両方の哺乳動物細胞においても産生され得、その方法は、その内容が参照により本明細書に記載される、WO2015031686、WO2009097129、WO2007127264、WO1997009441、及びWO2001049829に記載される。遺伝子療法における使用のための組換えAAVを産生する方法は、Berns KI and Giraud C(1996)Biology of adeno-associated virus.Curr Top Microbiol Immunol 218:1-23、Snyder and Flotte(2002)Curr.Opin.Biotechnol.,13:418-423、及びSynder RO and Moullier P,Adeno-associated virus;methods and protocols.New York:Humana Press(2011)においても記載され、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0229】
開示のddRNAi構築物と共に有用な別のウイルス送達システムは、Retroviridae科からのウイルスに基づくシステムである。レトロウイルスは、2つの固有の特徴によって特徴付けられる1本鎖RNA動物ウイルスを含む。第一に、レトロウイルスのゲノムは二倍体であり、RNAの2つのコピーからなる。第二に、このRNAは、ビリオン関連酵素逆転写酵素によって2本鎖DNAに転写される。次に、この2本鎖DNAまたはプロウイルスは、宿主ゲノムに組み込まれ、宿主ゲノムの安定的に組み込まれた成分として親細胞から後代細胞に受け継がれる。
【0230】
いくつかの例では、ウイルスベクターは、レンチウイルスである。レンチウイルスベクターは、水疱性口内炎ウイルス糖タンパク質(VSV-G)で多くの場合シュードタイプ化され、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒツジに脳炎(ビスナ)または肺炎を引き起こすビスナ-マエディ、ウマに自己免疫性溶血性貧血及び脳症を引き起こすウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)、ネコに免疫不全を引き起こすネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ウシにリンパ節腫脹及びリンパ球増加症を引き起こすウシ免疫不全ウイルス(BIV)、ならびに非ヒト霊長類に免疫不全及び脳症を引き起こすサル免疫不全ウイルス(SIV)に由来している。HIVに基づくベクターは、親ゲノムの5%未満を一般に保持し、ゲノムの25%未満は、複製可能なHIVを復帰させる可能性を最小化する、パッケージ化構築物に組み込まれる。バイオセーフティは、下流の長末端反復配列における調節要素の欠失を含む自己不活化ベクターの開発によってさらに増加しており、この修飾は、ベクターの可動化に必要とされる組み込まれたプロウイルスからの転写を排除する。レンチウイルスベクターの使用に対する主な利点のうちの1つは、形質導入された細胞の細胞分裂に続いても、遺伝子導入がほとんどの組織または細胞型において持続することである。
【0231】
開示の核酸及びddRNAi構築物からのshmiR及び/またはshRNAを発現するために使用されるレンチウイルスベースの構築物は、レンチウイルスの5’及び3’長末端反復(LTR)からの配列を含む。一例では、ウイルス構築物は、レンチウイルスからの不活化または自己不活化3’LTRを含む。3’LTRは、当該技術分野で既知の任意の方法によって自己不活化するようにされ得る。例えば、3’LTRのU3要素は、そのエンハンサー配列、例えば、TATAボックス、Sp1、及びNF-カッパB部位の欠失を含む。自己不活化3’LTRの結果として、宿主ゲノムに組み込まれるプロウイルスは、不活化5’LTRを含むであろう。LTR配列は、任意の種からの任意のレンチウイルスからのLTR配列であり得る。レンチウイルスベースの構築物はまた、MMLVまたはMSCV、RSVまたは哺乳動物遺伝子に対する配列も組み込み得る。加えて、レンチウイルス5’LTRからのU3配列は、ウイルス構築物のプロモーター配列で置換され得る。このことは、パッケージ化細胞株から回収されたウイルスの力価を増加し得る。エンハンサー配列も、含まれ得る。
【0232】
当業者に既知の他のウイルスまたは非ウイルスシステムは、限定されないが、遺伝子欠失アデノウイルス-トランスポゾンベクター(Yant,et al.,Nature Biotech.20:999-1004(2002)を参照されたい)、シンドビスウイルスまたはセムリキ森林ウイルスに由来するシステム(Perri,et al,J.Virol.74(20):9802-07(2002)を参照されたい)、ニューカッスル病ウイルスまたはセンダイウイルスに由来するシステムを含む、本発明のddRNAiまたは核酸を目的の細胞に送達するために使用され得る。
【0233】
開示のshmiRまたはddRNAi構築物を試験する
細胞培養モデル
OPMDに対する細胞培養モデルとして有用な細胞株の例は、正常なAla10-ヒトPABPN1-FLAG(Ala10)または変異体Ala17-ヒトPABPN1-FLAG(Ala17)を発現するベクターでトランスフェクトされているHEK293T細胞株(HEK293T,ATCC,Manassas,USA)であり、後者は、OPMDの特徴である。
【0234】
OPMDに対する細胞培養モデルとして有用な細胞株のさらなる例は、C2C12マウス筋細胞及びARPE-19ヒト網膜細胞である。
【0235】
OPMDに対する細胞培養モデルとして有用な細胞株の別の例は、正常なAla10-ヒトPABPN1-FLAG(Ala10)または変異体Ala17-ヒトPABPN1-FLAG(Ala17)のいずれかを発現するように安定的にトランスフェクトされた初代マウス筋芽細胞(IM2)細胞株である。変異体Ala17-ヒトPABPN1-FLAG(Ala17)を安定的に発現する例示的なIM2由来細胞株は、H2kB-D7e細胞株である。H2kB-D7e細胞株は、Raz et al.,(2011)American Journal of Pathology,179(4):1988-2000にも記載される。
【0236】
OPMDの細胞培養モデルに好適な他の細胞株は、Fan et al.,(2001)Human Molecular Genetics,10:2341-2351、Bao et al.,(2002)The Journal of Biological Chemistry,277:12263-12269、及びAbu-Baker et al.,(2003)Human Molecular Genetics,12:2609-2623に記載されているように、など、当該分野で既知である。
【0237】
本明細書に例示されるように、本開示のshmiRの活性は、shmiRをコードする核酸、またはそれを含むddRNAi構築物または発現ベクターを細胞に投与し、続いて、PABPN1遺伝子によってコードされたRNAまたはタンパク質の発現のレベルを測定することによって決定される。例えば、細胞内PABPN1遺伝子発現は、PABPN1に特異的である1つ以上のプローブまたはプライマーを使用する、RT-PCR、定量的PCR、半定量的PCR、またはストリンジェントな条件下でのインサイツハイブリダイゼーションのうちのいずれか1つ以上によってアッセイされ得る。PABPN1 mRNAまたはDNAは、PABPN1に特異的である1つ以上のプローブもしくはプライマーを使用するPCRのいずれかによってもアッセイされるか、またはウエスタンブロットもしくはELISAは、PABPN1タンパク質を検出するために使用され得る。
【0238】
PABPN1発現を検出するためのRT-PCR、定量的PCR、または半定量的PCR技法において使用され得るポリヌクレオチドは、既知であり、市販されている(Thermo Fisher)。しかしながら、PCRベースの検出方法に有用なポリヌクレオチドは、当該技術分野で既知の方法及び/またはソフトウェアを使用して、PABPN1についての利用可能な配列情報に基づいて設計され得る。一例では、PABPN1 mRNAの存在または不在は、当該技術分野で既知の標準的な方法論を使用するRT-PCRを使用して検出され得る。一例では、PABPN1ポリペプチドまたはタンパク質の存在または不在または相対量は、ウエスタンブロッティング、ELISA、あるいは当該技術分野で利用可能な他の標準的な定量的もしくは半定量的技法のうちのいずれか1つ以上、またはかかる技法の組み合わせを使用して検出され得る。PABPN1の抗体認識に依存する技法は、企図され、本明細書に記載される。一例では、PABPN1ポリペプチドの存在または不在または相対的存在量は、例えば、Isonostic(商標)アッセイ(Target Discovery,Inc.)を使用して、捕捉されたPABPN1ポリペプチドの電気泳動分解と組み合わせてPABPN1ポリペプチドの抗体捕捉を含む技法で検出され得る。PABPN1タンパク質に対する抗体は、市販されている。
【0239】
トランスフェクションまたは形質導入効率及び試料回収の差異を正規化するための様々な手段は、当該技術分野で既知である。
【0240】
PABPN1によってコードされたmRNAまたはタンパク質の発現を低減するか、あるいは開示のRNAの不在下でPABPN1によってコードされたmRNA発現もしくはタンパク質のレベル、またはPABPN1タンパク質の核凝集体の量に対して、PABPN1タンパク質の核凝集体の存在を低減する、開示の核酸、ddRNAi構築物、あるいは発現ベクターは、例えば、内因性PABPN1の発現を低減し内因性PABPN1の一部または全てを本明細書に記載されているようなOPMDの原因とならないPABPN1タンパク質で置換することによってOPMDを治療することなどの治療用途に有用であるように考えられる。
【0241】
動物モデル
OPMDを研究するために利用可能ないくつかの小動物モデルがあり、その例は、Uyama et al.,(2005)Acta Myologica,24(2):84-88及びChartier and Simonelig(2013)Drug Discovery Today:technologies,10:e103-107に記載される。例示的な動物モデルは、Davies et al.,(2005)Nature Medicine,11:672-677及びTrollet et al.,(2010)Human Molecular Genetics,19(11):2191-2207.に以前に記載されているA17.1トランスジェニックマウスモデルである。
【0242】
前述の動物モデルのうちのいずれかは、PABPN1遺伝子によってコードされたRNAまたはタンパク質の発現をノックダウン、低減、または阻害するための、開示のshmiRまたはddRNAi構築物の有効性を決定するために使用され得る。
【0243】
PABPN1遺伝子発現をアッセイするための方法は、細胞モデルに関して本明細書に記載されており、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。
【0244】
機能的PABPN1の置換のための薬剤
一例では、本開示は、例えば、細胞または動物への機能的PABPN1タンパク質の置換のための薬剤を提供する。機能的PABPN1タンパク質は、OPMDの原因となることはなく、開示のshmiR(複数可)またはshRNA(複数可)によって標的化されるmRNA転写物によってコードされることもない。
【0245】
一例では、機能的PABPN1タンパク質の細胞または動物への置換のための薬剤は、例えば、機能的PABPN1タンパク質をコードするDNAまたはcDNAなどの核酸である。例えば、機能的PABPN1タンパク質をコードする核酸は、コドン最適化され得、例えば、野生型PABPN1核酸に対して1つ以上の縮重またはゆらぎ塩基を含むが、同一のアミノ酸をコードするため、機能的PABPN1タンパク質をコードする対応するmRNA配列は、開示のshmiR(複数可)またはshRNA(複数可)によって認識されない。例えば、機能的PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸は、開示のshmiR(複数可)またはshRNA(複数可)によって標的化された領域内の野生型PABPN1核酸と比較して1つ以上の縮重またはゆらぎ塩基を含み得る。一例では、1つ以上の縮重またはゆらぎ塩基は、開示のshmiRまたはshRNAのエフェクター配列のシード領域内に存在する。
【0246】
一例では、機能的PABPN1タンパク質をコードする核酸は、その対応するmRNA配列が開示のshmiR(複数可)またはshRNA(複数可)によって認識されないようにコドン最適化される。好ましくは、コドン最適化核酸配列によってコードされた機能的PABPN1タンパク質は、配列番号74に定められたアミノ酸配列、すなわち、野生型ヒトPABPN1タンパク質のアミノ酸配列を含む。当業者であれば、機能的PABPN1タンパク質をコード化するために使用され得る多くのヌクレオチド配列の組み合わせがあり、ヌクレオチド配列の選択は、最終的にはshmiR(複数可)またはshRNA(複数可)のエフェクター配列に依存するものとする、すなわち、コドン最適化核酸がshmiR(複数可)またはshRNA(複数可)によって認識されないようなことを理解するであろう。一例では、機能的PABPN1タンパク質の置換のための薬剤は、配列番号73に定められた配列を含む核酸である。一例では、機能的PABPN1タンパク質をコードする核酸はまた、コザック配列を含み得る。
【0247】
一例では、機能的PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸は、機能的PABPN1タンパク質の発現に好適なプロモーターに作動可能に連結される。筋における機能的PABPN1タンパク質の発現に好適なプロモーターは、特に好適であり得る。機能的PABPN1タンパク質をコードする核酸を用いた使用に好適な1つの例示的なプロモーターは、Spc512プロモーターである。機能的PABPN1タンパク質をコードする核酸を用いた使用に好適な別の例示的なプロモーターは、CK8プロモーターである。しかしながら、当該技術分野で既知の任意の好適なプロモーターが、使用され得る。例えば、機能的PABPN1タンパク質をコードする核酸を用いた使用のための他の好適なプロモーターは、US20110212529A1に記載される。
【0248】
本明細書に記載されるように、本開示のいくつかの例において有用なプロモーターは、組織特異的または細胞特異的であり得る。
【0249】
一例では、開示の機能的PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸は、機能的PABPN1タンパク質及びその対応するmRNA転写物の発現を増加させるための1つ以上のエンハンサーを追加的に含み得る。本開示のこの例における使用に適切なエンハンサーは、当業者に既知であろう。
【0250】
機能的PABPN1タンパク質をコードする核酸は、発現ベクター内に含まれ得る。例示的な発現ベクターは、開示の核酸及びddRNAi構築物の文脈において記載されており、必要な変更を考慮してこの例に適用するように解釈されるものとする。
【0251】
したがって、一例では、機能的PABPN1タンパク質の細胞または動物への置換のための薬剤は、機能的PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸を含む発現ベクターであり得る。例えば、開示の発現ベクターは、機能的PABPN1タンパク質と、それに対する発現のためのプロモーター、例えば、SpC512プロモーターまたはCK8プロモーターと、をコードするコドン最適化核酸を含み得る。一例では、機能的PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸は、コザック配列も含み得る。
【0252】
一例では、本明細書に記載されるような機能的PABPN1タンパク質をコードする核酸は、プラスミド発現ベクター内に含まれ得る。好適なプラスミド発現ベクターは、本明細書に記載されており、当該技術分野で既知であろう。一例では、好適なプラスミド発現ベクターは、pAAVベクター、例えば、pscAAVプラスミドベクターまたはpssAAVプラスミドベクターである。
【0253】
一例では、発現ベクターは、ミニサークルDNAである。ミニサークルDNAベクターは、本明細書に記載されている。
【0254】
一例では、発現ベクターは、ウイルスベクターである。例えば、任意の適切なウイルスに基づくウイルスベクターは、開示の機能的PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸を送達するために使用され得る。加えて、ハイブリッドウイルスシステムが、役立つ場合がある。ウイルス送達システムの選択は、送達のために標的化される組織、システムの形質導入効率、病原性、免疫学的かつ毒性の懸念などの、様々なパラメータに依存するであろう。
【0255】
細胞または動物への遺伝材料の送達のための例示的なウイルスシステムは、開示のRNA及びddRNAi構築物の文脈において説明されており、必要な変更を考慮してこの例に適用するように解釈されるものとする。
【0256】
一例では、ウイルスベクターは、AAV(例えば、AAV9または修飾されたAAV9)である。
【0257】
一例では、ウイルスベクターは、AdVベクターである。
【0258】
一例では、ウイルスベクターは、レンチウイルスである。
【0259】
当業者に既知の他のウイルスまたは非ウイルスシステムは、限定されないが、遺伝子欠失アデノウイルス-トランスポゾンベクター(Yant,et al.,Nature Biotech.20:999-1004(2002)を参照されたい)、シンドビスウイルスまたはセムリキ森林ウイルスに由来するシステム(Perri,et al,J.Virol.74(20):9802-07(2002)を参照されたい)、ニューカッスル病ウイルスまたはセンダイウイルスに由来するシステムを含む、本開示の機能的PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸を目的の細胞に送達するために使用され得る。
【0260】
本明細書に記載されるような機能的PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸が、開示の核酸、ddRNAi構築物、または発現ベクターと共に提供される例に従って、機能的PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸は、核酸またはddRNAi構築物と同じ発現ベクター内に含まれ得る。したがって、機能的PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸及び開示の核酸またはddRNAi構築物は、例えば、発現ベクター内で単一のDNA構築物として提供され得る。
【0261】
本開示の機能的PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸及び開示の核酸またはddRNAi構築物が共に提供される代替的な例では、機能的PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸及び核酸またはddRNAi構築物は、異なる発現ベクター内に含まれ得る。機能的PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸及び核酸またはddRNAi構築物が異なる発現ベクター内に含まれる場合、それぞれの発現ベクターは、同じ型のベクターであり得るか、または異なる型のベクターであり得る。
【0262】
機能的PABPN1に対する試験
動物モデル
OPMDを研究するための例示的な動物モデルが記載されている。
【0263】
前述の動物モデルのいずれかは、開示の1つ以上の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)、または発現ベクター(複数可)の存在下で(開示の1つ以上のshmiRを発現して)、インビボで機能的PABPN1タンパク質を置換するための開示の薬剤の有効性を決定するために使用され得る。
【0264】
PABPN1発現をアッセイするための方法は、細胞モデルに関して本明細書に記載されており、必要な変更を考慮して開示のこの例に適用するように解釈されるものとする。
【0265】
一例では、組織学及び形態学的分析は、開示の1つ以上の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)、または発現ベクター(複数可)の存在下で(開示の1つ以上のshmiRを発現して)、インビボで機能的PABPN1タンパク質を置換するための開示の薬剤の有効性を決定するために使用され得る。インビボで機能的PABPN1タンパク質を置換するための本開示の薬剤の有効性を決定するために使用され得るさらなるアッセイは、Trollet et al.,(2010)Human Molecular Genetics,19(11):2191-2207に記載される。
【0266】
ddRNAi及び機能的PABPN1の置換のための単一のDNA構築物
本開示は、本明細書に記載されるような機能的PABPN1タンパク質をコードする核酸、及び開示の1つ以上のddRNAi構築物(複数可)を含む単一のDNA構築物も提供する。機能的PABPN1タンパク質をコードする核酸及び開示のddRNAi構築物を含む例示的なDNA構築物は、実施例2に記載される。一例では、DNA構築物は、機能的PABPN1タンパク質をコードする核酸と組み合わせて、本明細書に記載されるような単一のddRNAi構築物を含み得る。別の例では、DNA構築物は、機能的PABPN1タンパク質をコードする核酸と組み合わせて複数のddRNAi構築物を含み得る。DNA構築物の各例では、機能的PABPN1タンパク質をコードするDNA配列は、そのmRNA転写物がddRNAi構築物(複数可)のshmiR(複数可)によって標的化されないように、コドン最適化される。
【0267】
一例では、機能的PABPN1タンパク質は、例えば、配列番号74に定められた配列を有する野生型ヒトPABPN1タンパク質である。機能的PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化DNA配列は、ddRNAi構築物によってコードされたshmiR(複数可)に応じて異なり得ることが、理解されるであろう。すなわち、修飾されるPABPN1 mRNA転写物内の具体的なコドンは、ddRNAi構築物によってコードされたshmiR(複数可)のエフェクター配列(複数可)に応じて異なり得る。一例では、機能的PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化DNA配列は、配列番号73に定められる。
【0268】
DNA構築物はまた、例えば、ddRNAi構築物によってコードされた機能的PABPN1タンパク質及び/またはshmiRの発現を駆動するために、1つ以上のプロモーターも含み得る。本開示のいくつかの例において有用なプロモーターは、組織特異的または細胞特異的であり得る。開示のDNA構築物における使用のための例示的なプロモーターは、例えば、Spc512及びCK8などの筋特異的プロモーターである。しかしながら、当該技術分野で既知の任意の好適なプロモーターは、例えば、US 20110212529A1に記載されるものなどの、本明細書に記載されるDNA構築物における使用について企図される。
【0269】
DNA構築物は、発現ベクターの形態で提供され得るか、または発現ベクター内に含まれ得る。好適な発現ベクターは、本明細書に記載されており、当該技術分野で既知であろう。
【0270】
一例では、発現ベクターは、ウイルスベクターである。例えば、任意の適切なウイルスに基づくウイルスベクターは、開示の単一のDNA構築物を送達するために使用され得る。加えて、ハイブリッドウイルスシステムが、役立つ場合がある。ウイルス送達システムの選択は、送達のために標的化される組織、システムの形質導入効率、病原性、免疫学的かつ毒性の懸念などの、様々なパラメータに依存するであろう。
【0271】
別の例では、好適なプラスミド発現ベクターは、pAAVベクター、例えば、pscAAVプラスミドベクターまたはpssAAVプラスミドベクターである。細胞または動物への遺伝材料の送達のための他の例示的なウイルスシステムは、開示のddRNAi構築物の文脈において説明されており、必要な変更を考慮してこの例に適用するように解釈されるものとする。
【0272】
一例では、DNA構築物は、5’から3’方向に、筋特異的プロモーター、例えば、Spc512プロモーター、本明細書に記載されるようなddRNAi構築物、及び本明細書に記載されるPABPN1構築物を含むpAAV発現ベクターの形態で提供され、例えば、ddRNAi構築物は、機能的PABPN1タンパク質をコードする核酸の3’非翻訳領域(UTR)に配置される。この例に従うDNA構築物が、図1Aに示される。
【0273】
この例に従う例示的なDNA構築物は、5’から3’方向に、
(a)筋特異的プロモーター、例えば、Spc512と、
(b)ddRNAi構築物によってコードされたshmiRによって標的化されないmRNA転写物を有する機能的PABPN1タンパク質をコードするDNA配列を含む、本明細書に記載されるようなPABPN1構築物と、
(c)本明細書に記載されるようなshmiR17をコードするDNA配列を含む核酸、及び本明細書に記載されるようなshmiR13をコードするDNA配列を含む核酸を含む、開示のddRNAi構築物と、を含む、pAAV発現ベクターである。
【0274】
この例に従って、DNA構築物は、配列番号72に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなり得る。
【0275】
例えば、開示のDNA構築物の包含のためのshmiR13及びshmiR17をコードする例示的なddRNAi構築物は、配列番号31に定められたエフェクター配列、及び配列番号31に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター相補配列、例えば、配列番号30に定められたエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR13)と、配列番号39に定められたエフェクター配列、及び配列番号39に定められた配列に対して実質的に相補的であるエフェクター相補配列、例えば、配列番号38に定められたエフェクター相補配列を含むshmiRをコードするDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR17)と、を含む。例えば、DNA構築物のこの例に従うddRNAi構築物は、配列番号64に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR13)、及び配列番号68に定められたDNA配列を含むか、またはそれからなる核酸(shmiR17)を含み得る。
【0276】
ある特定の例が記載されているが、本開示に従うDNA構築物は、1つ以上のshmiRをコードする本明細書に記載される任意のddRNAi構築物を含み得ることが、理解されるであろう。例えば、実施例1~5に記載されるshmiRをコードするddRNAi構築物は、開示のDNA構築物における包含に特に好適であり得る。
【0277】
組成物及び担体
いくつかの例では、開示の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)、DNA構築物、または発現ベクター(複数可)は、組成物において提供される。いくつかの例では、開示の機能的PABPN1タンパク質をコードする核酸は、組成物に提供される。いくつかの例では、開示の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)、または発現ベクター(複数可)は、開示の機能的PABPN1タンパク質をコードする核酸と一緒に組成物に提供される。いくつかの例では、1つ以上の核酸(複数可)またはddRNAi構築物(複数可)、及び機能的PABPN1タンパク質をコードする核酸は、組成物内の同じ発現ベクターに(例えば、開示のDNA構築物内で)提供される。
【0278】
本明細書に記載されるように、発現ベクターは、単独で、または開示の機能的PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸と組み合わせて、開示のddRNAi構築物を含み得る。したがって、発現ベクター及び/またはそれを含む組成物への本明細書での参照は、(i)開示のddRNAi構築物もしくはそれを含む組成物を含む、発現ベクター、(ii)開示のddRNAi構築物、及び開示の機能的PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸、もしくはそれを含む組成物の両方を含む、発現ベクター、または(iii)開示の機能的PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸、もしくはそれを含む組成物を含む、発現ベクターを包含するように理解されるであろう。
【0279】
したがって、開示の組成物は、(i)開示のddRNAi構築物を含む、発現ベクター、及び(ii)開示の機能的PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸を含む、発現ベクターを含み得る。代替的には、開示の組成物は、開示のddRNAi構築物を含む、単一の発現ベクター、及び開示の機能的PABPN1タンパク質をコードする、コドン最適化核酸を含み得る。
【0280】
さらに別の例では、開示のddRNAi構築物を含む発現ベクターは1つの組成物に提供され得、開示の機能的PABPN1タンパク質をコードするコドン最適化核酸を含む発現ベクターは、例えば、一緒にパッケージ化される別の組成物内に提供され得る。
【0281】
開示の組成物は、1つ以上の薬学的に許容される担体または希釈剤も含み得る。例えば、組成物は、開示の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)、DNA構築物、または発現ベクター(複数可)の、対象への投与に続く対象の筋への送達に好適な担体を含み得る。
【0282】
いくつかの例では、担体は、脂質ベースの担体、カチオン性脂質、またはリポソーム核酸複合体、リポソーム、ミセル、ビロソーム、脂質ナノ粒子、またはそれらの混合物である。
【0283】
いくつかの例では、担体は、カチオン性ポリマー-核酸複合体が形成されるような、生分解性ポリマーベースの担体である。例えば、担体は、開示の1つ以上の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)、DNA構築物、または発現ベクター(複数可)の、眼の筋細胞または組織への送達に好適なカチオン性ポリマー微粒子であり得る。細胞への送達組成物のためのカチオン性ポリマーの使用は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、Judge et al.Nature 25:457-462(2005)に記載されるなどの、当該技術分野で既知である。例示的なカチオン性ポリマーベースの担体は、ポリエチレンイミンなどのカチオン性DNA結合ポリマーである。開示の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)、または発現ベクター(複数可)との複合体形成、及びそれらの送達に好適な他のカチオン性ポリマーは、ポリ(L-リジン)(PLL)、キトサン、PAMAMデンドリマー、及びポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(pDMAEMA)を含む。他のポリマーは、ポリベータ-アミノエステルを含む。これらの他の好適なカチオン性ポリマーは、当該技術分野で既知であり、Mastrobattista and Hennink,Nature Materials,11:10-12(2012)、WO/2003/097107、及びWO/2006/041617に記載され、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。かかる担体製剤は、非経口皮下注射、静脈内注射、及び吸入を含む様々な送達経路について開発されている。
【0284】
さらなる例では、担体は、シクロデキストリンポリマー-核酸複合体などのシクロデキストリンベースの担体である。
【0285】
さらなる例では、担体は、カチオン性ペプチド-核酸複合体などのタンパク質ベースの担体である。
【0286】
別の例では、担体は、脂質ナノ粒子である。例示的なナノ粒子は、例えば、US7514099に記載される。
【0287】
いくつかの例では、開示の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)、または発現ベクター(複数可)は、カチオン性脂質/コレステロール/PEG-C-DMA/DSPC(例えば、40/48/2/10の比率で)、カチオン性脂質/コレステロール/PEG-DMG/DSPC(例えば、40/48/2/10の比率で)、またはカチオン性脂質/コレステロール/PEG-DMG(例えば、60/38/2の比率で)を含む脂質ナノ粒子と共に製剤化される。いくつかの例では、カチオン性脂質は、DMAのオクチルCL、DMAのDL、L-278、DLinKC2DMA、またはMC3である。
【0288】
別の例では、開示の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)、または発現ベクター(複数可)は、WO2010/021865、WO2010/080724、WO 2010/042877、WO2010/105209、またはWO2011/022460に記載されるカチオン性脂質製剤のうちのいずれかで製剤化される。
【0289】
別の例では、開示の核酸(複数可)、またはddRNAi構築物(複数可)、または発現ベクター(複数可)は、例えば、核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)、または発現ベクター(複数可)の送達を促進するために、別の化合物にコンジュゲートするか、または別の化合物と複合体形成する。非限定的な、かかるコンジュゲートの例は、US2008/0152661及びUS2004/0162260(例えば、CDM-LBA、CDM-Pip-LBA、CDM-PEG、CDM-NAGなど)に記載される。
【0290】
別の例では、ポリエチレングリコール(PEG)は、開示の核酸、またはddRNAi構築物、またはDNA構築物、または発現ベクターに共有結合している。結合したPEGは、任意の分子量、例えば、約100~約50,000ダルトン(Da)であり得る。
【0291】
さらに他の例では、開示の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)、DNA構築物、または発現ベクター(複数可)は、例えば、WO96/10391、WO96/10390、またはWO96/10392に開示されるなどの、ポリ(エチレングリコール)脂質を含有する表面修飾リポソーム(PEG修飾、もしくは長期循環リポソーム、またはステルスリポソーム)を含む担体で製剤化され得る。
【0292】
いくつかの例では、開示の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)、DNA構築物、または発現ベクター(複数可)はまた、ポリエチレンイミン-ポリエチレングリコール-N-アセチルガラクトサミン(PEI-PEG-GAL)もしくはポリエチレンイミン-ポリエチレングリコール-トリ-N-アセチルガラクトサミン(PEI-PEG-triGAL)誘導体などの、ポリエチレンイミンもしくはその誘導体と共に製剤化されるか、またはそれと複合体形成し得る。
【0293】
他の例では、開示の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)、DNA構築物、または発現ベクター(複数可)は、米国特許出願公開第2001/0007666号に記載されるものなどの膜破壊剤であるか、またはそれと複合体形成する。
【0294】
他の担体は、シクロデキストリン(例えば、Gonzalez et al.,1999,Bioconjugate Chem.,10,1068-1074、またはWO03/46185を参照されたい)、ポリ(乳酸-コ-グリコール)酸(PLGA)及びPLCAミクロスフェア(例えば、US2002130430を参照されたい)を含む。
【0295】
組成物は、望ましくは、開示の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)、DNA構築物、もしくは発現ベクター(複数可)の生物学的安定性を増加させる材料、及び/または組成物が局在化し、及び/または筋細胞に選択的に浸透する能力を増加させる材料を含む。開示の治療用組成物は、投与の様式及び経路、ならびに標準的な薬学的慣行に基づいて選択される、薬学的に許容される担体(例えば、生理食塩水)に投与され得る。当業者は、開示の1つ以上の核酸(複数可)、ddRNAi構築物(複数可)、DNA構築物、または発現ベクター(複数可)を含む薬学的組成物を容易に製剤化できる。いくつかの場合では、等張製剤が、使用される。一般に、等張性のための添加剤は、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、及びラクトースを含むことができる。いくつかの場合では、リン酸緩衝生理食塩水などの等張液が、好まれる。安定剤は、ゼラチン及びアルブミンを含む。いくつかの例では、血管収縮剤が、製剤に添加される。本開示に従う組成物は、無菌かつパイロジェンフリーで提供される。好適な薬学的担体、同様に薬学的製剤における使用のための薬学的必需品は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(以前のRemington’s Pharmaceutical Sciences)、Mack Publishing Co.、この分野における標準参照テキスト、及びUSP/NFに記載される。
【0296】
薬学的組成物の量、濃度、及び製剤、同様に投薬レジメンは、細胞送達を最大化するように特異的に調整され得る一方で、炎症反応、例えば、比較的大量(5、10、20、50ml、またはそれ以上)のような毒性を、対応する低濃度の活性成分、同様にコルチコステロイドなどの抗炎症化合物の封入体で最小化することは、所望される場合に利用され得る。
【0297】
開示の組成物は、任意の好適な経路による投与のために製剤化され得る(例えば、対象の咽頭筋への送達に好適である)。例えば、投与の経路は、筋肉内、腹腔内、皮内、皮下、静脈内、動脈内、眼内、及び経口、同様に経皮、または吸入もしくは坐剤によるものを含むが、これらに限定されない。全身投与の例は、静脈内(IV)、筋肉内(IM)、腹腔内、皮下、及び皮内注射を含む。一例では、開示の組成物は、IM投与のために製剤化される(例えば、咽頭筋への投与のために製剤化される)。好まれる実施形態では、投与は、対象の咽頭筋への直接のものである。かかる組成物は、薬学的用途に有用であり、非経口投与のための、例えば、IM(例えば、咽頭筋へ直接)、静脈内(静脈内注入を含む)、SC、及び腹腔内投与のための、注射のための好適な無菌の非発熱性ビヒクル、例えば、緩衝生理食塩水に容易に製剤化され得る。好まれる実施形態では、IM(例えば、咽頭筋へ直接)などの投与の経路は、筋組織への有効な送達、ならびに開示のPABPN1をコードするddRNAi構築物及び/またはコドン最適化核酸のトランスフェクション、ならびにそれらにおけるRNA及び/またはコドン最適化核酸の発現を達成する。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【実施例
【0298】
[実施例1-PABPN1を標的化するshmiRの設計]
siRNA構築物の設計のための潜在的な標的を表す配列を、公的に利用可能なsiRNA設計アルゴリズム(Ambion、Promega、Invitrogen、Origene、及びMWGを含む)を使用してPABPN1 mRNA配列から特定し、選択された配列を、ヒト、非ヒト霊長類、ウシ、及びマウス種において保存した。候補siRNAをコードする配列を、5’隣接領域(配列番号41)、siRNAセンス鎖配列(エフェクター相補配列)、ステム/ループ接合配列(配列番号40)、siRNAアンチセンス鎖(エフェクター配列)、及び3’隣接領域(配列番号42)を含む短いヘアピンマイクロRNA(shmiR)をコードする配列を作成するため、pre-miR30aスキャフォールドに組み込んだ。代表的なshmiRの予測された二次構造を、図1Cに示す。設計されたshmiRに対するPABPN1 mRNA転写物の標的領域が表1に提示され、対応するshmiRエフェクター配列(アンチセンス鎖)が表2に提示される。
【0299】
[実施例2-同時の内因性PABPN1の遺伝子サイレンシング及びコドン最適化PABPN1での置換のための単一の「サイレンシング及び置換構築物」の生成。]
optPABPN1配列と組み合わせてshmiR17及びshmiR13(例えば、表3及び4に記載されるような)を発現する1本鎖アデノ随伴ウイルス2型(ssAAV2)プラスミドを、作成した。
【0300】
サイレンス及び置換構築物(以後「SR構築物」)を、shmiR17及びshmiR13(表4に記載されるような)をコードするDNA配列をpAAV2ベクター骨格(pAAV-shmiRウイルスプラスミド)におけるoptPABPN1転写物の3’非翻訳領域にサブクローニングすることによって生成した。単一の転写産物におけるoptPABPN1及び2つのshmiRの両方の発現は、筋特異的プロモーターSpc512によって駆動される。SR構築物の概略図が、図1(A)、図1(B)、及び図2に提供される。
【0301】
次いで、組換えシュードタイプAAVベクターストックを、生成した。簡潔に述べると、HEK293T細胞を、10%のFBSを補充したダルベッコ改変イーグル培地中の細胞工場において培養し、37℃及び5%のCOで培養した。pAAV-shmiRウイルスプラスミド(SR-構築物)及びpAAVヘルパー及びpAAVrepcap8プラスミド、またはpAAVヘルパー及びpAAV repcap9、またはpAAVヘルパー及びpAAVRH74プラスミド(WO2013123503A1に記載されるような)を、製造元の指示に従ってリン酸カルシウムと複合体を形成させた。次いで、三重トランスフェクションを、pAAVヘルパー及び以下のキャプシド、HEK293T細胞におけるpAAVrepcap8、pAAVrepcap9、またはpAAVRH74のうちの1つと組み合わせたpAAV-shmiRプラスミド(SR構築物)を用いて実施した。次いで、HEK293T細胞を37℃及び5%のCOで72時間の期間培養し、その時間の後、細胞を溶解し、SR構築物を発現する粒子をイオジキサノール(Sigma-Aldrich)ステップグラジエント超遠心分離で精製し、その後に塩化セシウム超遠心分離が続いた。ベクターゲノムの数を、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(Q-PCR)によって定量化した。
【0302】
[実施例3-単一ベクトル「サイレンス及び置換」アプローチを用いたインビボ研究。]
OPMDの関連疾患モデルにおける実施例2に記載されるSR構築物のインビボ有効性を試験するために、SR構築物を、10~12週齢のA17マウスの前脛骨筋(TA)筋への筋肉内注射を介して、用量の範囲で個別に投与した。用量を、筋あたり7.5×1011、2.5×1011、5×1010、1×1010、2×10、及び4×10ベクターゲノム(vg)に設定した。生理食塩水を注射した年齢を一致させたA17マウスを、未治療群として使用した。マウスを、治療の14または20週間後のいずれかで犠死させた。
【0303】
[実施例4-SR構築物で治療したA17マウスにおけるshmiR産生、PABPN1サイレンシング、及びコドン最適化PABPN1発現の定量的測定。]
SR構築物治療の14週間後、実施例3のA17マウスのTA筋を採取し、RNAを抽出した。TA筋におけるshmiRのSR構築物依存的発現を、定量化した(図3A)。shmiRの定量化された発現レベルは、PABPN1(expPABPN1を含む)のサイレンシング(図3B)及び正常なPABPN1レベルの回復(図3C)と同様に、SR構築物用量に依存していた。
【0304】
[実施例5-SR構築物治療したA17マウスにおける核内封入体(INI)の低減。]
核内封入体(INI)の持続性に対するSR構築物の影響を、実施例3の14週目のA17マウスにおいて試験した。FvB野生型マウスも、健康な比較群として含めた。AAV注射の14週間後、筋肉を、組織学的研究のために回収及びマウントした。切片を、1MのKClで前処理して、組織から全ての可溶性PABPN1を優先的に溶出させた。PABPN1(緑)及び筋細胞の細胞外マトリックスにおいて豊富なタンパク質であるラミニン(赤)に対する免疫蛍光は、治療された筋の切片において検出され、用量効果を伴いSR構築物治療筋においてPABPN1陽性核内封入体(INI)の数の顕著な低減を示した(図4A)。筋切片におけるINIを含有する核の百分率の定量化は、SR構築物での処理が、未処理のA17筋と比較してINIの量を有意に低減した(ボンフェローニ事後検定での一元配置分散分析、***p<0.001、ns:有意でない)(図4B)。
【0305】
[実施例6-SR構築物での治療は、治療された筋の生理学的特性及び機能性を改善する。]
治療された筋の生理学的特性及び機能性を、実施例3の14週目のA17マウスにおいて測定した。FvB野生型マウスも、健康な比較群として含めた。TA筋により生成された最大力を、インサイツ筋生理学によって測定した(図5A)。SR構築物は、用量依存的方式でTA筋によって生成された最大力を顕著な増加させた。体重(BW)に正規化された筋重量も、SR構築物投与の14週間後に測定した(図5B)。SR治療筋の体重に正規化された筋重量は、注射されたTAあたり1e10 vgを超える用量で対照FvBマウスのものと同等であった(平均±SEM n=10、ボンフェローニ事後検定での一元配置分散分析、p<0.05、***p<0.001、**p<0.01、ns:有意でない)。
【0306】
[実施例7-経時的な筋機能の回復]
SR構築物治療A17マウス及びFvB野生型マウスのTA筋によって生成された最大力を、SR構築物投与の14週間後(図6A)及びSR構築物投与の20週間後(図6B)でのインサイツ筋生理学によって測定した。中間用量(TAあたり1e10vg及び6e10vg)について、筋力に対する有益な効果は、注射後14週間と比較して20週間ではるかに顕著であった(平均±SEM n=10、ボンフェローニ事後検定での一元配置分散分析、***p<0.001、**p<0.01)。
【0307】
[実施例8-ヒツジの咽頭筋への直接投与]
ヒツジの咽頭筋へのSR構築物の直接注射を試験し、PABPN1は、位置95での1つを除く全てのアミノ酸残基を含め、ヒツジからヒトまで高度に保存される。
【0308】
SR構築物を、ヒツジの咽頭筋へ直接注射した(図7A)。ヒツジ研究における2匹の動物は、各々1.5e13vgのSR構築物を輪状咽頭筋(CP)に注射され、追加の1.0e13vgのSR構築物を咽頭筋(咽頭)に注射された。SR構築物(1.0e10vg~1.0e13vg)で治療された残りの10匹の動物は、CPへの注射のみを受けた。CPは、総量1.5mlを注射された(各々0.5mlの3回の注射)。咽頭は、総量6mlを注射された(右側及び左側の両方に1.5mlの2回の注射)。
【0309】
放射標識されたクリームを使用するラジオイメージングは、「ファウッセ経路」のリスクを有するヒトOPMD患者における重度の嚥下障害を示す(図7B)。
【0310】
本開示の広い一般的な範囲から逸脱することなく、多数の変形例及び/または修正例は、上記の実施形態になされ得ることが、当業者によって理解されるであろう。したがって、本実施形態は、全ての点において例示的であり、制約的ではないと考えられるべきである。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
【配列表】
2022508835000001.app
【国際調査報告】