(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】光源測定システム、光源測定装置及び光源測定方法
(51)【国際特許分類】
A61C 13/38 20060101AFI20220112BHJP
【FI】
A61C13/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021546406
(86)(22)【出願日】2019-10-21
(85)【翻訳文提出日】2021-06-09
(86)【国際出願番号】 CA2019051490
(87)【国際公開番号】W WO2020077468
(87)【国際公開日】2020-04-23
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521166755
【氏名又は名称】ブルーライト アナリティクス, インク.
【氏名又は名称原語表記】BLUELIGHT ANALYTICS, INC.
【住所又は居所原語表記】24-2625 Joseph Howe Drive Halifax, Nova Scotia B3L 4G4 (CA)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ルブラン, デレク
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、光源(例えば、歯科用光硬化装置(LCU)又は光線力学的治療用の光など)の出力特性を、集光器、光検出器、及びコンピュータプログラムを使用して正確に測定するシステム及び関連機器を提供して、光源の出力特性の値をユーザーに提供する。このシステムにより、特定のアプリケーションの必要に応じて、適切な露光時間の決定又は光源の選択が可能になる。本発明は、照明装置も提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集光器と光拡散層とを備えた集光装置であって、
前記集光器はスペーサーを備え、
前記スペーサーは、上部開口と下部開口を備え、
前記スペーサーに入射した光は、前記下部開口で拡散される、
集光装置。
【請求項2】
前記スペーサーに入射した光に基づいて信号を生成するように構成される非スペクトル光検出器と、
をさらに備える請求項1に記載の集光装置。
【請求項3】
前記非スペクトル光検出器は、前記スペーサーの前記下部開口と接続する、
請求項2に記載の集光装置。
【請求項4】
前記非スペクトル光検出器は、光起電力検出器である、
請求項2又は請求項3に記載の集光装置。
【請求項5】
前記上部開口に隣接するスクリーンと、
をさらに備える請求項1から請求項4の何れか1項に記載の集光装置。
【請求項6】
前記スクリーンは、透明の材料又は半透明の材料を含む、
請求項5に記載の集光装置。
【請求項7】
前記スクリーンの上又は下にあるフィルターと、
をさらに備える請求項5又は請求項6に記載の集光装置。
【請求項8】
前記光拡散層は、概ね均一な光拡散を可能にする、
請求項1から請求項7の何れかの1項に記載の集光装置。
【請求項9】
前記スペーサーは、ポリテトラフルオロエチレン、硫酸バリウム、ポリオキシメチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、コポリエステル、ポリ乳酸(PLA)のうち、いずれかを含む、
請求項1から請求項8の何れかの1項に記載の集光装置。
【請求項10】
前記スペーサーは、コポリエステルを含む、
請求項9に記載の集光装置。
【請求項11】
前記スペーサーを囲む外部シェルと、
をさらに備える請求項1から請求項10の何れか1項に記載の集光装置。
【請求項12】
前記外部シェルは、光入射口を備える、
請求項11に記載の集光装置。
【請求項13】
前記外部シェルの前記光入射口は、置き場所を備える、
請求項12に記載の集光装置。
【請求項14】
光源の位置を示すセンサー又は光源の位置を示すアクチュエーターと、
をさらに備える請求項1に記載の集光装置。
【請求項15】
前記センサー又は前記アクチュエーターは、前記光源が所定の位置にあるときにデータ収集を開始する、
請求項14に記載の集光装置。
【請求項16】
前記アクチュエータは、前記光源により押下されるボタンである、
請求項14に記載の集光装置。
【請求項17】
光源の出力特性を測定するシステムであって、
請求項1に記載の集光装置と、
前記集光装置によって生成された信号から前記光源の前記出力特性を提供するようにプログラムされたコンピュータと、
を備えるシステム。
【請求項18】
前記コンピューターは、ニューラルネットワークでプログラムされる、
請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記ニューラルネットワークは、前記光源を含む複数の光源の分光プロファイルでトレーニングされる、
請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記ニューラルネットワークは、光検出器の光学特性の複数の入力値でさらにトレーニングされる、
請求項18又は請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記光学特性は、前記光検出器の応答曲線である、
請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記ニューラルネットワークの入力データは、0~1の値に正規化される、
請求項18から請求項21の何れか1項に記載のシステム。
【請求項23】
前記コンピュータと通信して前記光源の前記出力特性を提供するモバイル装置と、
をさらに備える請求項17から請求項22の何れか1項に記載のシステム。
【請求項24】
前記モバイル装置は携帯用装置である、
請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
フォトダイオード検出器、光電子増倍管、CCDアレイ、CMOSセンサー、サーモパイル、光起電力装置のうち、いずれかに該当する光検出器と、
をさらに備える請求項17から請求項22の何れか1項に記載のシステム。
【請求項26】
前記コンピュータは、光検出器と無線通信を行う、
請求項17から請求項25の何れか1項に記載のシステム。
【請求項27】
前記出力特性は、出力パワー、出力エネルギー、出力フラックス、計算されたスペクトル、放射照度、計算された光源に係る経過時間、計算された露光時間のうち、何れかである、
請求項17から請求項26の何れか1項に記載のシステム。
【請求項28】
光源の出力特性を測定するシステムであって、
請求項1に記載の集光装置と、
前記集光装置から信号を生成するように構成される光検出器と、
前記光検出器によって生成された前記信号に対応する入力データから前記光源の前記出力特性を提供するようにニューラルネットワークでプログラムされたコンピュータと、
を備えるシステム。
【請求項29】
前記ニューラルネットワークは、前記光源を含む複数の光源の分光プロファイルでトレーニングされる、
請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記ニューラルネットワークは、前記光検出器の光学特性の複数の入力値でさらにトレーニングされる、
請求項28又は請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記光学特性は、前記光検出器の応答曲線である、
請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記ニューラルネットワークの入力データは、0~1の値に正規化される、
請求項28から請求項31の何れか1項に記載のシステム。
【請求項33】
前記コンピュータと通信して前記光源の前記出力特性を提供するモバイル装置と、
をさらに備える請求項28から請求項32の何れか1項に記載のシステム。
【請求項34】
前記モバイル装置は携帯用装置である、
請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記出力特性は、出力パワー、出力エネルギー、出力フラックス、計算されたスペクトル、放射照度、計算された光源に係る経過時間、計算された露光時間のうち、何れかである、
請求項28から請求項34の何れか1項に記載のシステム。
【請求項36】
光源の出力特性を測定する方法であって、
請求項1に記載の集光装置および信号を生成する光検出器を用いて光源から光を収集するステップと、
前記光源の前記出力特性を測定するため、ニューラルネットワークでプログラムされたコンピューターに前記信号を送信するステップと、
ユーザーに前記出力特性を提供するステップと、
を有する方法。
【請求項37】
前記コンピューターは、前記光検出器と無線通信を行う、
請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記コンピューターは、モバイル装置と無線通信を行う、
請求項36又は請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記モバイル装置は携帯用装置である、
請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記出力特性は、出力パワー、出力エネルギー、出力フラックス、計算されたスペクトル、放射照度、計算された光源に係る経過時間、計算された露光時間のうち、何れかである、
請求項36から請求項39の何れか1項に記載の方法。
【請求項41】
光源の出力特性を測定する方法であって、
請求項1に記載の集光装置および信号を生成する非スペクトル光検出器を用いて、光源から光を収集するステップと、
前記光源の前記出力特性を測定するようにプログラムされたコンピュータに前記信号を送信するステップと、
ユーザーに前記出力特性を提供するステップと、
を有する方法。
【請求項42】
前記非スペクトル光検出器から生成される前記信号は、電圧である、
請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記コンピューターは、前記非スペクトル光検出器と無線通信を行う、
請求項41又は請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記コンピューターは、モバイル装置と無線通信を行う、
請求項41から請求項43の何れか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記モバイル装置は携帯用装置である、
請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記出力特性は、出力パワー、出力エネルギー、出力フラックス、計算されたスペクトル、放射照度、計算された光源に係る経過時間、計算された露光時間のうち、何れかである、
請求項41から請求項45の何れか1項に記載の方法。
【請求項47】
光源の出力特性を測定する方法であって、
請求項1に記載の集光装置および非スペクトル光検出器を用いて光源から収集された光による信号を受信するステップと、
前記光源の前記出力特性を測定するようにプログラムされたコンピュータにおいて、前記信号を使用するステップと、
を有する方法。
【請求項48】
ユーザーに前記出力特性を提供するステップと、
をさらに有する請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記出力特性は、出力パワー、出力エネルギー、出力フラックス、計算されたスペクトル、放射照度、計算された光源に係る経過時間、計算された露光時間のうち、何れかである、
請求項47又は請求項48に記載の方法。
【請求項50】
光源の出力特性を測定する方法であって、
請求項1に記載の集光装置および光検出器を用いて光源から収集された光による信号を受信するステップと、
前記光源の前記出力特性を測定するようにニューラルネットワークでプログラムされたコンピューターにおいて、前記信号を使用するステップと、
有する方法。
【請求項51】
ユーザーに前記出力特性を提供するステップと、
をさらに有する請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記出力特性は、出力パワー、出力エネルギー、出力フラックス、計算されたスペクトル、放射照度、計算された光源に係る経過時間、計算された露光時間のうち、何れかである、
請求項50又は請求項51に記載の方法。
【請求項53】
装置であって、
光源と、
前記光源に操作可能に結合されて、前記光源が前記装置の外部に光を放射する発光時間の長さを制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記発光時間の長さを決定する外部コンピュータとデータ通信を行う、
装置。
【請求項54】
前記光源に電力を供給するバッテリーと、
をさらに備える請求項53に記載の装置。
【請求項55】
前記光源に電力を供給する電源コードと、
をさらに備える請求項53に記載の装置。
【請求項56】
前記データ通信は無線通信である、
請求項53に記載の装置。
【請求項57】
前記コンピュータは、前記光源の出力特性の測定により前記発光時間の長さを決定する、
請求項53に記載の装置。
【請求項58】
前記出力特性は出力パワーである、
請求項57に記載の装置。
【請求項59】
前記発光時間の長さは、虫歯の歯科用レジンを硬化させるのに十分である、
請求項53に記載の装置。
【請求項60】
前記光源はLEDを含む、
請求項53に記載の装置。
【請求項61】
前記光源により前記装置の外部に放射される光の波長は、100~2500nmである、
請求項53に記載の装置。
【請求項62】
前記光源により前記装置の外部に放射される光は、歯科用レジンを重合するのに適する光である、
請求項53に記載の装置。
【請求項63】
光が放射される先端部と、
をさらに備える請求項53に記載の装置。
【請求項64】
前記先端部のサイズは成人の口に収まるサイズである、
請求項63に記載の装置。
【請求項65】
前記コントローラは、前記光源の出力パワーを測定する前記外部コンピュータとデータ通信を行う、
請求項53に記載の装置。
【請求項66】
請求項53から請求項65の何れか1項に記載の装置と、
前記外部コンピュータと、
を備えるシステム。
【請求項67】
前記外部コンピュータとのデータ通信を行う光検出器と、
をさらに備える請求項66に記載のシステム。
【請求項68】
前記光検出器は、非スペクトル光検出器である、
請求項66に記載のシステム。
【請求項69】
集光器と、
をさらに備える請求項68に記載のシステム。
【請求項70】
前記光検出器及び前記外部コンピュータと通信して、前記光源の出力特性を前記外部コンピュータに提供するモバイル装置と、
をさらに備える請求項67に記載のシステム。
【請求項71】
前記外部コンピュータは、前記発光時間の長さにわたって前記装置の出力パワーを測定するように、さらにプログラムされる、
請求項67に記載のシステム。
【請求項72】
歯科用レジンを重合する方法であって、
請求項53から請求項65の何れか1項に記載の装置を提供するステップと、
前記装置の出力特性を外部コンピュータに提供し、前記コントローラは外部コンピュータとデータ通信を行い、前記出力特性に基づいて発光時間の長さを決定するステップと、
前記装置を前記歯科用レジンに隣接して配置することと、前記装置が前記発光時間の間に発光することと、により前記歯科用レジンを重合させるステップと、
を有する方法。
【請求項73】
前記外部コンピュータは、前記発光時間の長さにわたって前記装置の出力パワーを測定する、
請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記発光時間の長さは、2つ以上のオン/オフのサイクルに分割される、
請求項72に記載の方法。
【請求項75】
光線力学的療法により患者を治療する方法であって、
請求項53から請求項65の何れか1項に記載の装置を提供するステップと、
前記装置の出力特性を外部コンピュータに提供し、前記コントローラが外部コンピュータとデータ通信を行い、前記出力特性に基づいて発光時間の長さを決定するステップと、
前記装置を前記患者に隣接して配置することと、前記装置が前記発光時間の間に発光することと、により前記患者を光線力学的療法により治療するステップと、
を有する方法。
【請求項76】
前記外部コンピュータは、前記発光時間の長さに渡って前記装置の出力パワーを測定する、
請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記発光時間の長さは、2つ以上のオン/オフのサイクルに分割される、
請求項75に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
歯科用補綴物は、可視スペクトルの光と紫外(UV)スペクトルの光の両方、またはいずれか一方にさらされることによって硬化強度までに硬化される光重合型レジンを、含む場合が多い。歯科用レジン補綴物の市場は大きな市場であるが、すべての歯科補綴の60%以上は既存の補綴物の交換である。レジン補綴物を配置することは技術に大きく影響を受ける。また、患者に最高の医療を提供するために、レジン補綴物は適切に配置される必要がある。レジン補綴の失敗の最も一般的な原因は、補綴物の周囲の微小漏れによる二次う蝕(虫歯)であり、続いて、補綴物の割れ、補綴物周辺の欠陥が挙げられる。これらの失敗は、レジン補綴物の重合が不十分であり、意図した物理的特性に達していないことが原因である可能性がある。
【0002】
硬化が不十分なレジンは、補綴物の物理的特性を低下させる可能性があり、接着強度を低下させる可能性がある。また、硬化が不十分なレジンは、補綴物の縁における摩耗や破壊を増加させる可能性があり、生体適合性を低下させる可能性がある。また、硬化が不十分なレジンは、ビスフェノールAジグリシジルエーテルメタクリレート(Bis-OMA)の浸出液やトリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)の浸出液によるDNA損傷を増加させる可能性がある。また、硬化が不十分なレジンは、1,6-ビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)-2,4,4-トリメチルヘキサン(UDM)の浸出液や2,2-ビス(4-(2-メタクリロキシエトキシ)フェニル)プロパン(bis-EMA)の浸出液によるDNA損傷を増加させる可能性がある。逆に、補綴物に供給される硬化エネルギーが多すぎると、歯と周囲の口腔組織に不必要で許容できない温度上昇が生じる可能性がある。
【0003】
光源の出力パワーを測定するための一般的な機器は、持ち運びできないことと高い運用コストがかかることの両方、またはいずれか一方に該当する。当技術分野では、外部光源からの光を迅速に収集および測定し、例えば、臨床医が硬化時間を調整できるようにするため、情報をリアルタイムで中継することができるポータブルシステムを開発する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
我々は、出力特性(例えば、出力パワーなど)を正確に測定するシステム及び関連装置を開発した。上記光源の例としては、歯科用光硬化装置(LCU)の光源、光線力学的治療法の光源が挙げられる。上記システム及び関連装置は、集光器、光検出器及び光源の出力特性(例えば、出力パワー)をユーザに提供するようにプログラムされたコンピュータを使用する。例えば、上記のシステムは、適切な露光時間の決定または特定の用途に必要な光源の選択を可能にする。
【0005】
一態様として、本発明は、集光器を備える集光装置を提供する。集光器は、スペーサーを備える。スペーサーは、上部開口と下部開口とを備える。集光装置は、上部開口の少なくとも一部を通過する光を拡散するように配置された光拡散層を備える。集光装置は、集光装置に入射した光に基づいて信号を生成するように構成される非スペクトル光検出器(特に光起電力検出器)を備えてもよい。一部の実施形態において、非スペクトル光検出器は、スペーサーの下部開口(例えば、下部開口の凹部)に接続する。
【0006】
スペーサーは、光が集光装置に入射する光入射口を備える外部シェルに封入されてもよい。外部シェルは、固体材料を含んでもよい。個体材料の例としては、プラスチック、セラミック、ガラス、金属(例えば、真ちゅう)などが挙げられる。場合によって、集光装置は、スクリーンとフィルターの両方又は何れか一方などの追加の構成要素をさらに備えてもよい。フィルターの例としては、スクリーンの上または下のフィルターが挙げられる。スクリーンとフィルターの両方又は何れか一方は、集光装置と上部開口の両方又は何れかの一方に光が入射する光入射口に隣接して配置される。一部の実施形態において、スクリーンは、概ね正方形、円形、円盤状のうち、何れかであってもよい。一部の実施形態において、スクリーンは、スペーサーの上部開口を覆うようなサイズであってもよい。上記の実施形態の何れにおいても、フィルターは、ガラス、中性濃度フィルター、バンドパスフィルター、およびブルーバンドパスフィルターのうち、何れかであってもよい。上記の実施形態の何れにおいても、フィルターは、500nmを超える波長(例えば、510nm、550nm、600nm、700nm、または800nm)をフィルターしてもよい。また、フィルターは、スクリーンを損傷から物理的に保護することもできる。つまり、フィルターは、スクリーンの上部またはスクリーンの外部に配置されてもよい。
【0007】
上記の実施形態の何れにおいても、光拡散層は、概ね均一な光拡散を可能にする。スペーサーは、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオキシメチレン、硫酸バリウム、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリ乳酸(PLA)、ランバートコーティングなどのうち、何れかを含む。特に、スペーサーは、コポリエステルを含む。ポリテトラフルオロエチレンの例としては、Labsphere,Inc.のTeflon(登録商標)又はSpectralon(米国登録商標)が挙げられる。ポリオキシメチレンの例としては、Delrin(登録商標)が挙げられる。硫酸バリウムの例としては、Labsphere,Inc.の6080 White Reflectance Coatingが挙げられる。ポリアミドの例としては、ナイロンが挙げられる。ランバートコーティングの例としては、Labsphere,Inc.のSpectraflect(米国登録商標)又はDuraflect(米国登録商標)が挙げられる。
【0008】
特定の実施形態において、例えば、外部シェルの光入射口は、光源を安定的に再現可能な位置に固定させる置き場所を含む。置き場所は、光源の中心軸をスペーサーまたは光検出器の中心と整列させるように、構成されてもよい。特定の実施形態において、光入射口は、不規則な形状(例えば、涙滴形状又は他の形状など)であり、光源を所望の位置に配置させる(例えば、光検出器の中心と整列させる)。別の実施形態において、例えば、集光装置は、光入射口又は光入射口に隣接する場所(例えば、置き場所又は置き場所に隣接する場所)において、センサとアクチュエーターの両方又は何れかの一方を備える。センサーは、近接センサー、モーションセンサー、力センサー(例えば、加えられた力によるセンサー)のうち、何れかであってもよい。アクチュエーターは、光源が所定の位置にあるときに押下されるボタンなどの機械的アクチュエーターであってもよい。センサーまたはアクチュエーターは、光源が正しい位置にあるときに信号を送るために使用できる。上記の信号は、データ収集を開始するか、集光装置がデータを取得する準備ができていることをユーザーに通知するのに、使用される。
【0009】
別の態様において、本発明は、光源の出力特性(例えば、出力パワーなど)を測定するシステムであることを特徴とする。システムは、集光装置を備える。また、システムは、非スペクトル光検出器を備える。非スペクトル光検出器は、集光器によって収集された光から信号を生成するように構成される。また、システムは、コンピュータを備える。コンピュータは、光検出器によって生成された信号から光源の出力特性(例えば、出力パワーなど)を提供するようにプログラムされる。一部の実施形態において、システムが備える集光装置は、本明細書に記載の集光装置である。一実施形態において、コンピュータはニューラルネットワークでプログラムされる。特定の実施形態において、ニューラルネットワークは、上記光源を含む複数の光源の分光プロファイルでトレーニングされる。別の実施形態において、ニューラルネットワークは、光検出器の光学特性(例えば、応答曲線など)の複数の入力値でトレーニングされる。一部の実施形態において、ニューラルネットワークの入力データは、光検出器の光学特性(例えば、応答曲線など)の関数である。一部の実施形態において、ニューラルネットワークの入力データは、0~1の間の値に正規化される。別の実施形態において、システムは、コンピュータと通信して、例えば、光源の出力特性(例えば、出力パワーなど)を提供(例えば、表示)するモバイル装置を備える。一実施形態において、モバイル装置は携帯用装置である。一実施形態において、光検出器は、フォトダイオード検出器、光電子増倍管、CCDアレイ、CMOSセンサー、光起電力装置のうち、何れかに該当する。一部の実施形態において、コンピュータは、光検出器と無線通信を行う。
【0010】
本発明の別の態様は、ニューラルネットワークでプログラムされたコンピュータを備えることを特徴とする。上記別の態様におけるニューラルネットワークの入力データは、光源の出力特性(例えば、出力パワーなど)を測定する光検出器によって生成される信号の関数である。ニューラルネットワークは入力層において複数のノードを有する。入力層の各ノードは、少なくとも1つのデータポイントを含むように構成される。また、ニューラルネットワークは、複数の隠れ層にグループ化された複数のノードを有する。隠れ層の各ノードは、入力層の複数のノードから、少なくとも1つのデータポイントのすべてを入力として受け取る。また、ニューラルネットワークは、出力層においてノードを有する。隠れ層の複数のノード及び出力層のノードは、測定される光源を含む複数の光源の分光プロファイルでトレーニングされる。一部の実施形態において、隠れ層の複数のノード及び出力層のノードは、光検出器の光学特性(例えば、応答曲線など)でさらにトレーニングされる。一部の実施形態において、隠れ層の複数のノードのそれぞれに関するデータは、次の隠れ層の複数のノードに渡される前に合計される。一部の実施形態において、隠れ層のノード間で渡されるデータは、光源を含む複数の光源の分光プロファイルおよび光検出器の光学特性(例えば、応答曲線など)を使用して統計的に重み付けされる。別の実施形態において、隠れ層の複数のノードは、隠れ層の複数のノードのそれぞれの統計的重みを更新する伝達関数を含む。一部の実施形態では、伝達関数の導関数を使用して、隠れ層の複数のノードのそれぞれの統計的重みを更新する。一実施形態では、伝達関数はシグモイド関数である。他の実施形態において、伝達関数は、正規化関数又は、シグモイド関数と正規化関数(例えば、異なる層における正規化関数など)の組み合わせである。一部の実施形態において、複数の隠れ層の最後にある隠れ層の複数のノードからのデータは、出力層のノードに渡される。別の実施形態において、出力層のノードは、シグモイド伝達関数を含む。一部の実施形態において、出力層のノードは、光源の出力特性(例えば、出力パワーなど)を示す値を返す。
【0011】
別の態様において、本発明は、光源の出力特性(例えば、出力パワーなど)を測定するシステムであることを特徴とする。システムは、集光装置を備える。また、システムは、集光器によって収集された光から信号を生成するように構成される光検出器を備える。また、システムはコンピュータを備える。コンピュータは、光検出器によって生成された信号に対応する入力データから光源の出力特性(例えば、出力パワーなど)を提供するようにニューラルネットワークでプログラムされる。一部の実施形態において、システムが備える集光装置は、本明細書に記載の集光装置である。特定の実施形態において、ニューラルネットワークは、光源を含む複数の光源の分光プロファイルでトレーニングされる。別の実施形態において、ニューラルネットワークは、光検出器の光学特性(例えば、応答曲線など)の複数の入力値でトレーニングされる。一部の実施形態において、ニューラルネットワークの入力データは、光検出器の光学特性(例えば、応答曲線など)の関数である。一部の実施形態において、ニューラルネットワークの入力データは、0~1の間の値に正規化される。別の実施形態において、例えば、システムは、コンピュータと通信して、光源の出力特性(例えば、出力パワーなど)を提供するモバイル装置を備える。一実施形態において、モバイル装置は携帯用装置である。一部の実施形態において、コンピュータは、光検出器と無線通信を行う。
【0012】
関連する態様において、本発明は、光源の出力特性(例えば、出力パワーなど)を測定する方法を提供する。方法は、集光装置及び信号を生成する光検出器を用いて光源から光を収集するステップを有する。また、方法は、本明細書で説明するように、光源の出力特性(例えば、出力パワーなど)を測定するようにプログラムされたコンピュータに信号を送信するステップを有する。また、方法は、ユーザーに出力特性(例えば、出力パワーなど)を提供(例えば、表示など)するステップを有する。一部の実施形態において、方法に用いられる集光装置は、本明細書に記載の集光装置である。一部の実施形態において、コンピュータは、光検出器と無線通信を行う。一部の実施形態において、コンピュータは、モバイル装置と無線通信を行う。一実施形態において、モバイル装置は携帯用装置である。
【0013】
関連する別の態様において、本発明は、光源の出力特性(例えば、出力パワーなど)を測定する方法を提供する。方法は、集光装置及び信号を生成する光検出器を用いて光源から光を収集するステップを有する。また、方法は、本明細書で説明するように、光源の出力特性(例えば、出力パワーなど)を測定するようにプログラムされたコンピュータに信号を送信するステップを有する。また、方法は、ユーザーに出力特性(例えば、出力パワーなど)を提供(例えば、表示など)するステップを有する。一部の実施形態において、方法で用いられる集光装置は、本明細書に記載の集光装置である。一実施形態において、非スペクトル光検出器から生成される信号は電圧である。一部の実施形態において、コンピュータは、光検出器と無線通信を行う。一部の実施形態において、コンピュータは、モバイル装置と無線通信を行う。一実施形態において、モバイル装置は携帯用装置である。
【0014】
別の態様において、本発明は、光源の出力特性を測定する方法を提供する。方法は、集光装置および非スペクトル光検出器を用いて、光源から収集された光による信号を受信するステップを有する。また、方法は、光源の出力特性を測定するようにプログラムされたコンピュータの信号を使用するステップを有する。関連する態様において、本発明は、光源の出力特性を測定する方法を提供する。方法は、集光装置および非スペクトル光検出器を用いて、光源から収集された光による信号を受信するステップを有する。また、方法は、本明細書で説明するように、光源の出力特性を測定するようにニューラルネットワークでプログラムされたコンピュータの信号を使用するステップを有する。上記の何れかの方法は、ユーザに出力特定を提供するステップを、さらに有してもよい。これらの実施形態の何れかにおける集光装置は、本明細書に記載の集光装置である。
【0015】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の光源の出力特性の測定を実行するようにプログラムされた非一時的なコンピュータメモリを提供する。
【0016】
本発明の任意の態様において、出力特性は、出力パワー、出力エネルギー、出力フラックス、計算されたスペクトル、放射照度、計算された光源に係る経過時間、計算された露光時間のうち、何れかであってもよい。
【0017】
本発明はさらに、光の通過を可能にするスクリーンを有する上部を含む光拡散要素を備える装置を提供する。光拡散要素は、概ね半球形の内面を有する下部を備える。また、光拡散要素は、概ね円筒形の内面と出口ポートを有する側部を備える。側部は上部と下部に接続されており、出口ポートは拡散材料によって内面から隔離される。拡散材料は、内面と同じ材料であってもよく、内面と同じ材料でなくてもよい。
【0018】
装置は、スクリーンの上または下に存在するフィルターを、さらに備えてもよい。特定の実施形態において、装置は、出口ポート内の光から信号を生成するように構成された光検出器(例えば、非スペクトル光検出器など)をさらに備える。他の実施形態において、光拡散要素は、光が出口ポートを経由する場合を除いて、側部または下部を光が透過するのを防ぐ。光拡散要素は、内面を横切る概ね均一な光拡散を可能にしてもよい。例えば、内面とスクリーンの両方又は何れかの一方は、ポリテトラフルオロエチレン、硫酸バリウム、ポリオキシメチレンのうち、何れかを含む。また、スクリーンは、透明または半透明の材料を含み、半透明のランバートコーティングでコーティングされてもよい。また、スクリーンは、透明または半透明の材料を含まず、半透明のランバートコーティングでコーティングされてもよい。また、スクリーンは、半透明のランバートコーティングでコーティングされず、透明または半透明の材料を含んでもよい。
【0019】
特定の実施形態において、側部の概ね円筒形の内面の高さは、1mmから50mmの間(例えば、1mmから15mmの間など)である。他の実施形態では、上部はさらに開口を備える。光拡散要素の上部の開口は、1mmから300mmの間(例えば、4mmから30mmの間など)の直径を有してもよい。さらに他の実施形態において、出口ポートは、1から20mmの間(例えば、5から15mmの間など)の直径を有する。さらなる実施形態において、側部の概ね円筒形の内面および下部の概ね半球形の内面の直径は、1から30mmの間(例えば、15から25mmの間など)であってもよい。さらなる実施形態において、側部の概ね円筒形の内面又は下部の概ね半球形の内面の直径は、1から30mmの間(例えば、15から25mmの間など)であってもよい。
【0020】
さらに、本発明は、光拡散要素を備える装置を提供する。光拡散要素は上部を備え、上部は、光をフィルターするスクリーンを有する。また、光拡散要素は下部及び側部を備える。下部は、概ね半球形である内面を備える。側部は、概ね円筒形である内面および出口ポートを備える。側部は上部と下部に接続される。出口ポートは拡散材料によって内面から隔離される。拡散材料は、内面と同じ材料であってもよく、内面と同じ材料でなくてもよい。
【0021】
また、我々は、歯科用レジンを硬化させたり患者を光線力学的療法により治療するため、歯科用レジンの硬化ライトや光線力学療法のライトといった装置と、適切な量のエネルギーを供給する関連システムを開発した。装置は、光源と、光源に操作可能に接続されて光源の発光時間の長さを制御するコントローラを備える。コントローラは、連続的または複数のサイクルの発光時間の長さを決定するようにプログラムされた外部コンピュータとデータ通信する。コントローラは、光源の出力パワーを測定するために、外部コンピュータとデータ通信してもよい。
【0022】
一態様において、本発明は、光源及びコントローラを備える装置を提供する。光源は、光を放射する。コントローラは、光源に操作可能に結合されて、光源が装置から外部に光を放射する発光時間の長さを制御する。コントローラは外部コンピュータとデータ通信を行う。外部コンピュータは、発光時間の長さを決定し、発光時間の長さをコントローラに送信するようにプログラムされ得る。あるいは、コントローラは、外部コンピュータから受信したデータに基づいて、発光時間の長さを計算するようにプログラムされ得る。
【0023】
実施形態において、装置は、光源に電力を供給する電池、又は光源に電力を供給する電源コードをさらに備える。別の実施形態において、データ通信は無線通信である。コンピュータは、光源の出力特性(例えば、出力パワーなど)の測定により発光時間の長さを決定することができる。特定の実施形態において、発光時間の長さは、虫歯内の歯科用レジンを硬化させるのに十分な長さとされる。あるいは、発光時間の長さは、患者を光線力学的療法により治療するのに十分な長さとされる。
【0024】
特定の実施形態において、光源は、LED(例えば、異なるスペクトルを放射する複数のLED)を含む。特定の実施形態において、光源により放射される光の波長は、100nmから2500nmの間である。特定の実施形態において、光源により放射される光は、歯科用レジンを重合するのに適する。特定の実施形態において、装置は、光が放射される先端部(例えば、先端部が成人の口に適合するサイズである先端部など)をさらに備える。
【0025】
一態様において、本発明は、本明細書に記載の装置および外部コンピュータを備えるシステムを提供する。特定の実施形態において、システムは光検出器をさらに備える。光検出器は、外部コンピュータと集光器の両方又は何れかの一方と、データ通信を行う。光検出器は非スペクトル光検出器であってもよい。特定の実施形態において、システムは、光源の出力特性を提供するために、光検出器および外部コンピュータと通信するモバイル装置をさらに備える。特定の実施形態において、外部コンピュータまたはコントローラは、発光時間の長さにわたって装置の出力パワーを測定するようにさらにプログラムされる。
【0026】
一態様において、本発明は、本明細書に記載の装置を提供することによって歯科用レジンを重合する方法を提供する。方法は、装置の出力特性を外部コンピュータに提供し、コントローラは外部コンピュータとデータ通信を行い、出力特性に基づいて発光時間の長さを決定するステップを有する。方法は、装置をレジンに隣接して配置することと、装置が発光時間の間に発光することと、によって歯科用レジンを重合させるステップを有する。この方法における外部コンピュータは、発光時間の長さにわたって装置の出力パワーを測定してもよい。また、この方法における外部コンピュータは、発光時間の長さにわたって装置の出力パワーを測定するためにデータをコントローラに通信してもよい。特定の実施形態において、発光時間の長さは、2つ以上のオン/オフのサイクルにより分割される。外部コンピュータは、出力特性に基づいて発光時間の長さを決定するか、またはデータをコントローラに通信して、出力特性に基づいて発光時間の長さを決定してもよい。
【0027】
一態様において、本発明は、本明細書に記載の装置を提供することにより、患者を光線力学的療法により治療する方法を提供する。方法は、装置の出力特性を外部コンピュータに提供し、コントローラが外部コンピュータとデータ通信を行い、出力特性に基づいて発光時間の長さを決定する。方法は、装置を患者に隣接して配置することと、装置が上記発光時間の間発光することと、によって患者を光線力学的療法により治療するステップを有する。この方法における外部コンピュータは、発光時間の長さにわたって装置の出力パワーを測定してもよい。また、この方法における外部コンピュータは、上記発光時間の長さにわたって装置の出力パワーを測定するためにデータをコントローラに通信してもよい。特定の実施形態において、発光時間の長さは、2つ以上のオン/オフのサイクルにより分割される。外部コンピュータは、出力特性に基づいて発光時間の長さを決定するか、またはデータをコントローラに通信して、出力特性に基づいて発光時間の長さを決定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明のシステムを使用して、歯科用光硬化装置(LCU)の出力特性(例えば、出力パワーなど)を測定し、結果をユーザに提供(例えば、表示など)する方法を示すスキームである。
【0029】
【
図2】
図2A及び
図2Bは、集光器と光検出器への光入射口の位置を示す集光器の図面(寸法はmm単位)である。
【0030】
【
図3】
図3A~
図3Fは、集光装置で使用するスペーサーの図面(寸法はmm単位)である。
図3Aは、光検出器用の凹部を備えたスペーサーの底面図である。
図3Bは、円形の上部開口を示すスペーサーの側面図である。
図3Cは、円形の上部開口を示すスペーサーの側面図である。
図3Dは、光検出器用の凹部を備えたスペーサーの底面図である。
図3Eは、スペーサーの側面図である。
図3Fは、上部開口から下部開口までの垂直軸を見下ろすスペーサーの上面図である。
【0031】
【
図4】
図4A~
図4Cは、本発明の集光装置用の外部シェルの上部および下部の図面である。
図4Aは、スペーサーと光入射口用の凹部がある外部シェルの上部の底面図である。
図4Bは、電源とマイクロコントローラ用の凹部がある外部シェルの下部の上面図である。
図4Cは、外部シェルの上部にスペーサーが配置されていることを示す外部シェルの上部の底面図である。
【0032】
【
図5】
図5A及び
図5Bは、光入射口を備える外部シェルに包まれたスペーサーを備えた本発明の装置の図面である。
図5Aは、外部シェルへの光入射口の位置を示す装置の外観図である。
図5Bは、光検出器用の凹部を備えたスペーサーの円筒形の態様を示す装置の底面図である。
【0033】
【
図6】
図6A~
図6Dは、光入射口の置き場所を含む外部シェルを備える本発明の装置の図面である。
図6Aは、置き場所を示す外部シェルの正面図である。
図6Bは、装置の側面図である。
図6Cは、装置の上面図である。
図6Dは、装置の斜視図である。
【0034】
【
図7】光入射口に置き場所を備える外部シェルを備える本発明の装置の図面である。
【0035】
【
図8】本発明のシステムにおいて光検出器として機能するように構成されたFDS1010フォトダイオード検出器の応答曲線である。
【0036】
【
図9】フォトダイオードからの電圧を入力として使用して、光源の出力特性(出力パワーなど)を測定するために使用されるバックプロパゲーションニューラルネットワークの図(円はノードであり、ノード間の線はノードから渡される情報)である。
【0037】
【
図10】Bluephase20i歯科用光硬化装置の分光プロファイルと、ソフト、ロー、ハイ、ターボの4つの動作モードのそれぞれでの出力パワーを示す図である。
【0038】
【
図11】
図11A及び
図11Bは、フォトダイオードベースのニューラルネットワークシステムと従来の分光器で測定されたBluephase20i歯科用光硬化装置の出力パワーの比較である。
図11Aは、フォトダイオードベースのニューラルネットワークシステムで測定された出力パワーデータのグラフである。
図11Bは、分光器で測定された出力パワーデータのグラフである。
【0039】
【
図12】本発明のシステムで測定された4つの異なる歯科用硬化ライトの分光プロファイル(光は、3M(登録商標)のDeepCure-L、Coltolux LED、Flashlite Magna及びSmartliteFocus)である。
【0040】
【
図13】本発明のシステムと従来の分光器の両方を使用した、4つの異なる硬化ライト(3M(登録商標) DeepCure-L、Coltolux LED、Flashlite Magna及びSmartliteFocus)の測定された出力パワーの比較である。
【0041】
【
図14】ユーザが、光源の出力特性(例えば、出力パワーなど)を測定するために本発明のシステムをどのように使用するかを示す図面である。
【0042】
【0043】
【
図16】本発明のシステムを使用して、発光時間の長さを決定する際に使用される歯科用光硬化装置(LCU)の出力特性(例えば、出力パワーなど)を測定する方法を説明するスキームである。
【0044】
【
図17】ユーザが、光源の出力特性(例えば、出力パワーなど)を測定するために本発明のシステムをどのように使用するかを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明は、光源(例えば、歯科補綴物に使用される光硬化装置(LCU)又は光線力学療法など)に使用される光の出力特性(例えば、出力パワーなど)を測定する装置およびシステムを提供する。装置、システム及び方法は、一般に、白熱灯、レーザー、LED、ハロゲン、蛍光灯、プラズマアーク、態様、任意の光源などのうち、何れかを使用してもよい。本発明からの情報を使用して、所与のプロセスまたは手順に必要な光の量を正確に計算できる。例えば、過度の露光なしに感光性レジン材料を硬化させることができる。このシステムの利点は、エンドユーザーが分光データを取得せずに出力特性(例えば、出力パワーなど)を測定できるこどである。
【0046】
一態様において、システムは、集光器、光検出器及びコンピュータを備える。集光器は、光源から放射される光を収集する。光検出器は、集光器によって収集された光から信号を生成するように構成される。コンピュータは、光検出器によって生成された信号から光源の出力特性(例えば、出力パワーなど)を提供するようにプログラムされる。特に、システムは、光源の出力特性(例えば、出力パワーなど)を生成するためにスペクトル検出器の使用を必要としない。すなわち、光検出器は、波長の関数として強度を測定する必要がない。通常、光源は、IRからUVの範囲(例えば、波長が100nmから2500nmの間、190nmから1100nmの間など)の光を生成する可能性がある。検出される光は、光源によって生成されたスペクトルのサブセットである可能性がある。例えば、様々なフィルタを、光源、集光器に使用するか、または別々に使用して、検出されるスペクトルを制御することができる。特定の実施形態において、検出される光は、可視範囲(例えば、波長が360nm~540nmなど)である。このシステムの利点は、集光器が遠隔(例えば、無線でコンピュータと通信することなど)でも、出力特性(例えば、出力パワーなど)の測定を、ほとんどの場所において実行できることである。このようなシステムの特徴は、光源をコンピュータの場所まで持ち運びできない場合、若しくは光源をコンピュータの場所に簡単に移動できない場合などにおいて、有利である。
図1は、本発明のシステムを使用して、歯科用光硬化装置(LCU)の出力特性(例えば、出力パワーなど)を測定し、結果をユーザに提供(例えば、表示など)する方法を示すスキームである。
【0047】
このシステムは、1つまたは複数の構成要素により実装できる。例えば、集光器、光検出器、およびコンピュータのそれぞれは、別個の構成要素であり得るか、または2つ以上の構成要素が物理的に接続され得る。別個のコンポーネントが使用される場合、コンピュータまたはその一部は、集光器と光検出器の両方又は何れかの一方とは物理的に異なる場所にある可能性がある。さらに、光検出器は、モバイル装置と接続するか、モバイル装置の一部であってもよい。モバイル装置の例としては、コンピュータと通信(例えば、無線通信など)可能な携帯電話機又は携帯用装置が挙げられる。コンピュータの機能は、物理的に接続されるか物理的に接続されない複数のプロセッサまたはコアにより、分散されてもよい。
【0048】
別の態様において、本発明は、光源と、光源の発光時間の長さを制御し、光源に操作可能に接続されるコントローラとを備える照明装置を提供する。
(装置)
(集光器)
【0049】
本発明では、任意の適切な集光器を使用することができる。例えば、好ましい集光器は、参照により本明細書に含まれるWO2014/036660に記載されているように、光が集光器に入る角度に依存しない光の収集を可能にするものである。別の集光器は、参照により本明細書に含まれるWO2019/036817に記載されている。本発明に有用な集光器の概略図を
図2A~2B及び
図3A~3Fに示す。
【0050】
本発明で使用される集光器の一例は、光拡散要素を備える集光器である。光拡散要素は、上部、下部及び側部を備える。上部は、スクリーンを備える。上部は、開口を備えてもよい。下部は、概ね半球形である内面を備える。側部は、概ね円筒形である内面を備える。側面はさらに出口ポートを備える。光拡散要素は、外部シェル内に囲まれている場合と囲まれていない場合がある。側面、下部、および上部は、任意の適切な材料から製造することができる。適切な材料の例としては、ポリテトラフルオロエチレン(Labsphere,Inc.のTeflon(登録商標)又はSpectralon(米国登録商標))、ポリオキシメチレン(Delrin(登録商標))、硫酸バリウム(Labsphere,Inc.の6080 White Reflectance Coating)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(ナイロン)、コポリエステル、ポリ乳酸(PLA)、ランバートコーティング(Labsphere,Inc.のSpectraflect(米国登録商標)又はDuraflect(米国登録商標))などが挙げられる。また、上部、下部及び側部は、ランバート材料が層状またはコーティングされている他の材料(例えば、プラスチック、セラミック、ガラス、金属など)を含み得る。上部が開口を備える場合、スクリーンを含まない上部の部分は、スクリーンを保持するのに適した任意の材料(例えば、プラスチック、セラミック、ガラス、金属など)から作製されてもよい。スクリーンの表面(例えば、表面の材料または表面に塗布されたコーティングなど)は、白色で半透明であり、ランバートである。ランバートは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(Labsphere,Inc.のTeflon(登録商標)又はSpectralon(米国登録商標))、ポリオキシメチレン(Delrin(登録商標))、硫酸バリウム(Labsphere,Inc.の6080 White Reflectance Coating)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(ナイロン)、コポリエステル、ポリ乳酸(PLA)、ランバートコーティング(Labsphere,Inc.のSpectraflect(米国登録商標)又はDuraflect(米国登録商標))などで作られるランバートであるか、又はコーティングされるランバートである。スクリーンは、集光器の光拡散要素の側面と下部の上部にある。上部が開口を備える場合、スクリーンは、少なくとも光拡散要素の開口を覆うようなサイズのものであってもよい。スクリーンの長さは、概ね半球形の下部の直径以上であり得る。一部の実施形態において、装置は、フィルター(例えば、ガラス(アルカリアルミノケイ酸塩シート強化ガラス(Gorilla(登録商標)ガラス)など)、中性密度フィルター、ブルーバンドフィルター、または少なくとも500nmの波長をフィルターするフィルターなど)を備えてもよい。フィルターは、スクリーンの上または下の光拡散要素の上部に配置されてもよい。特定の実施形態において、フィルターは、スクリーンを損傷から保護する物理的障壁として機能する。開口が上部に存在する場合、開口は、スクリーンおよび任意のフィルタが置かれる1つまたは複数の段状の凹部を含み得る。段状の凹部は、スクリーンとフィルターの周囲を物理的にサポートする。スクリーンとフィルタの両方又は何れかの一方を取り付ける別の方法は、当技術分野で知られている。例えば、スクリーンは、側部および下部にねじ込まれる構成要素の一部又はクランプする構成要素の一部であってもよい。また、スクリーンは、1枚の素材(例えば、素材の外部の凹部により、側部で固定される素材など)であってもよい。任意に備えられる外部シェルの外形は、概ね立方体、円筒形、錐体、または長方形の固体であり得る。外部シェルの内面および空洞の形状は、光拡散要素の外部形状に応じて変化してもよい(例えば、外部シェルの内面および空洞の形状は、光拡散要素の外部形状に一致し得ることなど)。特定の実施形態において、
図2Aに示されるように、出口ポートは、側部の内面からの開口を備える。他の実施形態において、
図2Bに示されるように、出口ポートは、拡散材料によって内面から隔離される。拡散材料は、内面の材料、または異なる材料(例えば、内面の開口に配置される材料など)であってもよい。拡散材料が、内面から出口ポートへの光の通過を可能にすることは明らかである。
【0051】
例えば、場合によっては、本発明のシステムの一部として使用される集光装置は、スペーサーを備える集光器を備える。スペーサーは、上部開口および下部開口を備える。上部開口と下部開口は通常、同軸に置かれる。スペーサーは、集光装置への光入射口と光検出器の間を隔離し、入射光が、光検出器に接触する前に適切に拡散されるようにする。例えば、光の強度の「ホットスポット」を減らしながら、拡散光を十分に拡大して、光検出器の有効領域全体に光が確実に到達するようにする。
【0052】
場合によっては、スペーサーの厚さは約4mmから約20mmであり得る。スペーサーの厚さの例としては、約4mmから約8mm、約5mmから約9mm、約6mmから約10mm、約7mmから約11mm、約8mmから約12mm、約9mmから約13mm、約10mmから約14mm、約11mmから約15mm、約12mmから約16mm、約13mmから約17mm、約14mmから約18mm、約15mmから約19mm、または約16mmから約20mmなどが挙げられる。また、スペーサーの厚さの例としては、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、約11 mm、約12mm、約13mm、約14mm、約15mm、約16mm、約17mm、約18mm、約19mm、または約20mmなどが挙げられる。
【0053】
スペーサー、およびその任意の断面は、例えば、任意の適切な形状(円筒形、楕円形、または多角形(例えば、正方形、長方形、三角形、n角形など))、不規則形状、これらの任意の組み合わせなどであってもよい。スペーサーは、一定または可変の断面寸法を有してもよい。例えば、断面寸法は、増加または減少してもよい。例えば、直径は、少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%増加または減少してもよい。例えば、直径は、最大で1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%増加または減少し得る。場合によっては、スペーサーの断面は、スペーサーの厚さに沿って同じ形状であってもよい。あるいは、スペーサーの断面は、スペーサーの厚さに沿った1つまたは複数の形状の組み合わせで有してもよい。例えば、スペーサーは、上部開口に円形断面を有し、下部開口に長方形断面を有しても良い。例えば、スペーサーは、直径が上部開口から下部開口まで一定である円筒形の断面を有してもよい。別の例において、スペーサーは、直径が上部開口から下部開口に向かって増加するか、または上部開口から下部開口に向かって減少する、円錐台形の断面を有してもよい。
【0054】
スペーサーは、任意の適切に拡散する反射材料から製造することができる。反射材料の例としては、ポリテトラフルオロエチレン(Labsphere,Inc.のTeflon(登録商標)又はSpectralon(米国登録商標))、ポリオキシメチレン(Delrin(登録商標))、硫酸バリウム(Labsphere,Inc.の6080 White Reflectance Coating)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(ナイロン)、コポリエステル、ポリ乳酸(PLA)、ランバートコーティング(Labsphere,Inc.のSpectraflect(米国登録商標)又はDuraflect(米国登録商標))などが挙げられる。特定の理論に拘束されることを望まずに、スペーサー用に選択された材料は、スペクトルの歪みなしに光を反射する。他の拡散反射材料が当技術分野で知られている。
【0055】
スペーサーの上部開口を通過する光は、集光装置に入射する光を拡散する光拡散層(例えば、Lee Filters 452 1/16thの白色拡散フィルムなどの薄膜など)によって拡散されてもよい。スペーサーの下部開口は、光検出器(例えば、光起電力検出器(例えば、パナソニック(登録商標)アモートン(米国登録商標)光電池などのアモルファスシリコン光起電力検出器など)など)のための凹部を含んでもよい。
【0056】
光検出器用の凹部を含む上部開口および下部開口を有するスペーサーの例を、
図3Aから
図3Fまでに示す。この構成では、光拡散層をスペーサーの上部開口の上に配置することができる。拡散した光は、下部開口の凹部にある光検出器に接触して、光の特性を表す信号を生成する。
【0057】
場合によっては、スペーサーは、下部開口に接続された検出器(例えば、光起電性検出器など)を含まない。光拡散要素の下部開口は、光伝導導管(例えば、導波路、光ファイバー、または液体光ガイドなど)に接続してもよい。この構成において、光検出器は、光伝導導管から拡散光を受け取る。
(外部シェル)
【0058】
場合によって、スペーサーは外部シェル、例えば、スペーサーを囲むために互いに結合する上部と下部などの2つ以上の部分の内部に備えられる。上部には、光がスペーサーに入るのを可能にする光入射口が備えられる。外部シェルは、スペーサーに加えて、電源(例えば、充電式電池などの電池など)、マイクロコントローラ、および集光装置の様々な機能を容易にする任意の電気接続(例えば、データ収集及びデータ転送と、電力伝送との両方又は何れか一方など)を備える。外部シェルの外形は、スペーサーの形状に概ね対応してもよい。あるいは、外部シェルの形状は、すべての構成要素(例えば、スペーサーおよび任意の電気構成要素など)を含むように寸法決定された任意の適切な形状であってもよい。
【0059】
外部シェルの上部の光入射口は、光が集光装置に入射するのを可能にする任意の適切な形状であり得る。例えば、光入射口は、円形、楕円形、多角形(例えば、正方形、長方形、三角形、またはn角形)、不規則形状などであってもよい。外部シェルの光入射口は、スペーサーの中心軸を中心とするスペーサーに光が入射することができるように配置されてもよい。例えば、場合によって、光入射口は、安定的で再現可能な位置に光源を固定させる置き場所を備える。置き場所は、光源を固定させる開口の周囲のノッチ、溝(例えば、V溝)、または他の摂動に係る態様であってもよい。置き場所は、光源の中心軸をスペーサーの中心と整列させるようにさらに構成することができる。特定の実施形態において、外部シェルの上部の光入射口は、不規則な形状(例えば、「涙滴」形状など)である。非限定的な例において、涙滴形状の光入射口は、光源、例えば歯科用光硬化装置(LCU)の安定した配置を提供する。ここで、安定した配置とは、歯科用光硬化装置(LCU)の放射先端部が涙滴入口上にある配置である。この構成では、光入射口の涙滴形状により、LCUの放射先端部を光検出器の有効な光拡散要素の中央に配置できる。そのため、集光装置に入射する光が拡散され、光検出器の有効領域をカバーするのに十分に拡散される。別の代表的な例において、外部シェルは、光源を置き場所に導くはめ込み機能を有する。はめ込み機能の例としては、光入射口に向かって狭くなる側壁などが挙げられる。
【0060】
特に、歯科用LCUの先端部にはさまざまなサイズがある。直径7mm以下などの小さい先端部は、集光装置への先端部の配置に一貫性がないため、光の特性の測定が不正確になる可能性がある。測定のために先端部を配置するための安定的で再現可能な場所を提供することにより、集光装置への涙滴形の入口は、より小さな(例えば、7mm未満)LCUの先端部の位置合わせを支援する。他の不規則な形状を使用して、光源を所望の位置に配置することができる。
【0061】
一部の実施形態において、外部シェルはセンサーとアクチュエーターの両方又は何れか一方を備える。例えば、外部シェルは、光入射口に隣接するか、または光入射口に存在(例えば、置き場所に隣接、または置き場所に存在するなど)する。センサーとアクチュエーターは、光源が所望の位置にあること(例えば、光検出器の中心に位置合わせられていること)を示す。例えば、外部シェルは、近接センサー、モーションセンサー、力センサー(例えば、加えられた力を検知するセンサー)などのセンサーを備えてもよい。センサーは、光源の放射の存在を検出し、信号を送信する。例えば、センサーは、データ収集を開始したり、データを収集する準備ができたことをユーザーに通知したりする。あるいは、またはさらに、外部シェルは、機械的アクチュエーター(例えば、ボタンなど)を備えてもよい。アクチュエーターは、光源の配置によって作動する。例えば、アクチュエーターは、データ収集を開始したり、データを収集する準備ができたことをユーザーに通知したりする。また、外部シェルは、集光装置の使用または制御のための他のコンポーネント(例えば、電源/スリープボタン及びステータスインジケータと通信ポート(例えば、電源ポートとデータポートの両方又は何れかの一方など))の両方又は何れか一方などを備えてもよい。
【0062】
図4A~4Cは、上部及び下部を備えるとともに、スペーサー(
図4A)のための凹部及び電気部品(
図4B)のための凹部を備える外部シェルの様々な実施形態を示している。
図4Cは、外部シェルの上部に挿入されるスペーサーの線画図である。
図4Cに示される長方形は、スペーサーの下部開口の凹部である。この構成において、外部シェルの上部の涙滴形の入口は、前記長方形の内側にある。また、
図4Cに示される長方形は、集光装置に入射する光が、凹部に設置された光検出器の有効領域に向けられることを示す。当業者は、互いに嵌合する2つ以上の部分または2つの側部を含む、外部シェルの他の構成が可能であることを理解できる。
【0063】
円筒形の外部シェルに包まれたスペーサーを、
図5Aおよび
図5Bに示す。
図5Aおよび
図5Bに示される実施形態において、外部シェルの上部は、スペーサーへの涙滴形の入口を備える。外部シェルの内面および空洞の形状は、スペーサーの外部形状に応じて変化する可能性がある。例えば、
図5Aおよび
図5Bに示すように、外部シェルの内面および空洞の形状は、外部形状に一致する可能性がある。さらなる実施形態を示す
図5Aおよび
図5Bは、データケーブルと電源通信ケーブルの両方又は何れかの一方を受け入れるように構成される小さな凹部を示す。電源通信ケーブルの例としては、USB(例えば、マイクロUSBケーブルなど)が挙げられる。USBは、電源への電力の供給と、光検出器との電気通信の提供の両方又は何れかの一方を行う。電源に電力を供給する例としては、電池(例えば、充電式電池)などが挙げられる。
【0064】
図6A~6Dは、光源を光入射口の置き場所に導くはめ込みを有する外部シェルを備える本発明の実施形態の様々な線画を示す。
図6A~6Bは、置き場所を示す外部シェルの正面図と側面図である。
図6Cは、集光装置の上部の線画図である。
図6Dは斜視図である。
図7は、
図6A~6Dの外部シェルを示す。
図7に示される外部シェルの実施形態は、側面に凹部を有する。凹部は、データケーブルと電源通信ケーブルの両方又は何れかの一方を受け入れるように構成される。電源通信ケーブルの例としては、USB(例えば、マイクロUSBケーブルなど)が挙げられる。USBは、電源への電力の供給と、光検出器及び機械的アクチュエーター(例えば、ボタン(例えば、電源ボタン/スリープボタンなど)など)との電気通信の提供の両方又は何れかの一方を行う。電源に電力を供給する例としては、電池(例えば、充電式電池など)が挙げられる。
図7の外部シェルの実施形態においてさらに示されるのは、状態表示部である。状態表示部の例としては、表示装置(例えば、ライトなど)が挙げられる。状態表示部は、集光装置の状態(例えば、オンの状態、オフの状態、データを取得する準備ができている状態、データを取得している状態など)を示す。
【0065】
図3A及び
図3Bから
図7までに示されるスペーサーおよび集光装置は、追加の構成要素をさらに備えてもよい。追加の構成要素は、開口又は光入射口の上に備えられるスクリーンまたはフィルターである。例えば、スペーサーの上部開口はスクリーンを備えてもよい。スクリーンは、少なくともスペーサーの上部開口を覆うようなサイズのものでもよい。スクリーンの表面(例えば、表面の材料または表面に塗布されたコーティングなど)は、白色で半透明であり、ランバートである。ランバートは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(Labsphere,Inc.のTeflon(登録商標)又はSpectralon(米国登録商標))、ポリオキシメチレン(Delrin(登録商標))、硫酸バリウム(Labsphere,Inc.の6080 White Reflectance Coating)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(ナイロン)、コポリエステル、ポリ乳酸(PLA)、ランバートコーティング(Labsphere,Inc.のSpectraflect(米国登録商標)又はDuraflect(米国登録商標))で作られるランバートであるか、またはコーティングされるランバートなどである。一部の実施形態において、集光装置は、フィルター(例えば、ガラス(アルカリアルミノケイ酸塩シート強化ガラス(Gorilla(登録商標)ガラス)など)、中性密度フィルター、ブルーバンドフィルター、または少なくとも500nmの波長をフィルターするフィルターなど)を備えてもよい。フィルタは、スクリーンの上または下のスペーサーの上部開口に配置されてもよい。特定の実施形態において、フィルターは、スクリーンを損傷から保護する物理的障壁として機能する。
【0066】
例えば、場合によって、本発明のシステムの一部として使用される集光装置は、光拡散層を備える。光拡散層は、光が光検出器又は光伝導導管に接触する前に入射光を拡散する。光拡散層は、外部シェルまたはスペーサーなどの集光装置の構成要素の上に配置されてもよい。例えば、光拡散層は、外部シェルの光入射口に配置されてもよい、光入射口の上または下に配置されてもよい。この構成において、光拡散層は、外部シェルの材料に直接接続してもよい(例えば、保持機構または接着剤の使用など)。場合によっては、スクリーンやフィルターなどの別の集光装置の構成要素を使用して、光拡散層を外部シェルに固定してもよい。あるいは、光拡散層は、スペーサーの上部開口に配置されてもよい。この場合、保持機構または接着剤を使用して所定の位置に、光拡散層を保持することができる。代表的な例として、光拡散層は、スペーサーの上部開口の上部に配置されてもよい。スペーサーおよび光拡散層が外部シェルに配置されるときに摩擦によって所定の位置に保持され得る。別の代表的な例として、光拡散層をスペーサー内に組み込むことができる。光拡散層の例としては、Lee Filters 452 1/16thの白色拡散フィルムなどが挙げられる。
(光検出器)
【0067】
本発明のシステムで使用する光検出器は、光の強度を測定し、電子信号に情報を符号化することができる任意の装置であってもよい。光検出器の例としては、フォトダイオード検出器、光電子増倍管、CCDアレイ、CMOSセンサー、サーモパイル、光起電力装置などが挙げられる。特定の実施形態において、検出器は非スペクトル光検出器である。すなわち、検出器は、光のすべての波長で積分強度を測定する。本発明で使用する低コストの光検出器の例としては、光源がその活性領域を発光することで生じる電流(例えば、電圧など)により単一の値を生成するフォトダイオード検出器などが挙げられる。あるいは、光起電力検出器(例えば、パナソニック(登録商標)アモートン(米国登録商標)光電池など)などのアモルファスシリコン光起電力検出器を使用することができる。非スペクトル光検出器は、光源の光学特性(例えば、応答曲線など)に応じて、異なる波長の光に対して異なる応答を示す場合がある(
図8)。光学特性(例えば、応答曲線など)は、本発明のシステムにおける光源のこの不均一性を補うために使用できる。例えば、特定の実施形態において、拡散材料によって内面から隔離される出口ポートを有する集光器とともに、スペクトル光検出器を使用できる。
【0068】
光検出器は、生成された信号からの光源の出力特性(例えば、出力パワーなど)を提供するようにプログラムされたコンピュータと接続することができる。光検出器は、本明細書に記載の外部コンピュータであってもよい。光検出器は、光源の出力特性(例えば、出力パワーなど)を生成するためにスペクトル検出器を使用する必要はない。すなわち、光検出器は、波長の関数として強度を測定する必要はない。通常、光源は、IRからUVの範囲(例えば、波長が100nmから2500nmの間、190nmから1100nmの間など)の光を生成する可能性がある。検出される光は、光源によって生成されたスペクトルのサブセットである可能性がある。例えば、様々なフィルタを、光源、集光器に使用するか、または別々に使用して、検出されるスペクトルを制御することができる。特定の実施形態において、検出される光は、可視範囲(例えば、波長が360nm~540nmなど)である。このシステムの利点は、集光器が遠隔(例えば、無線でコンピュータと通信することなど)でも、出力特性(例えば、出力パワーなど)の測定を、ほとんどの場所において実行できることである。このようなシステムの特徴は、光源をコンピュータの場所まで持ち運びできない場合、若しくは光源をコンピュータの場所に簡単に移動できない場合などにおいて、有利である。
図16は、本発明のシステムを使用して、歯科用光硬化装置(LCU)の出力特性(例えば、出力パワーなど)を測定し、結果をユーザに提供(例えば、表示など)する方法を示すスキームである。
(照明装置)
【0069】
本発明の照明装置は、光源と、コントローラとを備える。コントローラは、光源が発光する発光時間の長さを制御し、光源に操作可能に接続される。コントローラは、連続的または複数のサイクルの発光時間の長さを決定するようにプログラムされたコンピュータとデータ通信を行う。照明装置、システムおよび方法は、一般に、白熱灯、レーザー、LED、ハロゲン、蛍光灯、プラズマアーク、任意の光源などを使用できる。通常、光源は、IRからUVの範囲(例えば、波長が100nmから2500nmの間、190nmから1100nmの間など)の光を生成する可能性がある。検出される光は、光源によって生成されたスペクトルのサブセットである可能性がある。例えば、様々なフィルタを、光源、集光器に使用するか、または別々に使用して、検出されるスペクトルを制御することができる。照明装置でのフィルターの使用は、コントローラーによって制御することもできる。特定の実施形態において、検出される光は、可視範囲(例えば、波長が360nm~540nm)である。また、照明装置は、複数の発光装置(例えば、LED、レーザー、または電球など)を備えてもよい。複数の発光装置は、異なるスペクトルを有する発光装置を備えてもよい。複数の発光装置は、照明装置によって放射されるスペクトルを変更するために、または放射されるスペクトルの一部の相対パワーを変更するために、個別に制御可能であってもよい。
【0070】
図15は、照明装置の例を概略的に示す。この実施形態において、照明装置は、光が放射される先端部を備える。また、照明装置は、光源(例えば、LEDなど)、コントローラ、および電源を備える。本発明の目的のために、「電源」という用語は、電力の発電装置(例えば、電池、燃料電池、太陽光発電など)と電力への電気接続(例えば、プラグまたはプラグを受け取るためのソケットなど)との両方を含み得る。当技術分野で知られているように、先端部は、様々なサイズおよび形状のものであってもよい。特定の実施形態において、先端部は円形であり、6mm~14mmの間である。また、本発明の照明装置の形状は、既知の光硬化装置のおおよその物理的形状であってもよい。既知の光硬化装置の例としては、3M(登録商標)のDeepCure-L、Coltolux LED、Flashlite Magna、およびSmartliteFocusなどが挙げられる。
【0071】
例えば、コントローラは、電気通信または無線通信により、光源に操作可能に接続される。「操作可能に接続されている」とは、照明装置の外部から光源の発光を制御できる方法で接続されていることを意味する。例えば、操作可能な接続は、電力の流れを許可または遮断する光源または電源への直接、または光が照明装置から放射するのを許可または防止する照明装置内の別の要素(例えば、シャッターなど)への接続であってもよい。また、操作可能な接続は、上記接続の組み合わせであってもよい。また、コントローラは、光源が照明装置から外部に光を放射する発光時間の長さを決定するようにプログラムされたコンピュータとデータ通信を行う。データ通信は、USBケーブル(マイクロUSBケーブルなど)などの物理接続、または同様のハードウェア接続を介して行われてもよい。代替的または追加的に、データ通信は、光、RFなどの無線接続、または他の無線接続(例えば、Wi-Fi(登録商標)、近距離無線通信、またはブルートゥース(登録商標)など)を介して行われてもよい。また、コントローラは、例えば、光源に印加される電圧または電流を変更することによって、またはシャッターを部分的に閉じることによって、または光路の内外でフィルタを回転させることによって、放射の電力レベルを測定することができる。あるいは、照明装置は、一定の電力レベルまたは、ユーザによって選択された電力レベルを有してもよい。照明装置の電力レベルは、発光時間の長さの決定中に考慮される。コントローラは、発光時間の長さにわたって連続的に発光させてもよい。または、コントローラは、2つ以上のサイクルにわたって発光を発生させてもよい。長期間にわたる連続放出がターゲットの過熱の可能性につながり、組織に損傷を与えたり、硬化プロセスに悪影響を及ぼしたりする場合に、上記のサイクルが好ましい場合がある。
【0072】
また、本発明は、本発明の照明装置およびコンピュータ(またはその構成要素)と、光検出器との両方又は何れかの一方を備えるシステムを特徴とする。特定の実施形態において、システムは、本発明の照明装置および光検出器を備える。本発明の照明装置および光検出器は、両方とも、コンピュータとデータ通信を行うことができる。
【0073】
図17は、ユーザ(例えば、歯科医または歯科助手など)が本発明のシステムをどのように使用するかについて示した流れ図の一例である。最初に、コンピュータと光検出器は、モバイル装置を介して、無線通信プロトコル(例えば、ブルートゥース(登録商標)または他の無線送信プロトコルなど)により、ペアリングにされる。ペアリングされると、ユーザーは、モバイル装置を使用して測定のすべての側面を制御できる。ユーザーは、モバイル装置のプログラムで「開始」を押してから、適切な時間、硬化ライトを集光器に当てることができる。データが収集された後、データの整合性が検証される。次に生データ(例えば、光検出器からの正規化された電圧など)が、光源の出力パワーを計算するニューラルネットワークなどでプログラムされたコンピュータに無線通信で送信される。コンピューターに送信されるデータには、データの取得に使用される特定の光源と光検出器のデータが含まれる。そのため、コンピューターは、正しい分光プロファイルと応答曲線を使用して測定する。測定が完了すると、結果として得られる光源の出力パワーが照明装置に伝達され、モバイル装置に表示される。次に、ユーザは、情報を検討し、例えば、レジン硬化または光線力学療法のために、発光を開始するかどうかを決定することができる。ユーザーは、照射中に硬化を一時停止または停止することもできる。
(コンピュータ)
【0074】
光収集器および光検出器によって生成されたデータは、コンピュータに送信されてもよい。コンピュータは、上記データを処理し、処理したデータをユーザに提供する。例えば、コンピュータは、ユーザに出力特性を表示する。コンピュータは、当技術分野で知られている任意のコンピュータであり得る。さらに、コンピュータは、複数のプロセッサまたはコアに実装されるか、ネットワークにより分散されてもよい。一実施形態において、携帯用装置(例えば、携帯電話など)は、データを受信し、それを別のプロセッサに送信する。別のプロセッサは、出力特性または時間の長さを決定する。次に、出力特性または発光時間の長さは、モバイル装置に送り返される。モバイル装置は、出力特性または発光時間の長さを、本発明の照明装置のコントローラまたはユーザに、無線通信(例えば、光、RF、Wi-Fi、近距離無線通信、またはブルートゥース(登録商標)など)で送信する。当技術分野で知られているように、モバイル装置とのユーザインターフェースはアプリケーションであってもよい。また、コンピュータは、USBケーブル(例えば、マイクロUSBケーブルなど)、または同様のハードウェア接続などの物理的接続を介して、光検出器からデータを受信することができる。コンピュータは、通常、集光器、光検出器、または照明装置の外部にある。すなわち、コンピュータは、集光器、光検出器、または照明装置と、物理的に統合されない。
【0075】
コンピュータシステムは、データを処理し、光源の出力特性(例えば、出力パワーなど)をユーザに提供するように、または発光時間の長さを照明装置に提供するようにプログラムされる。プログラミングは、ソフトウェア、ハードウェア、またはそれらの組み合わせを介して行うことができる。通常、外部コンピュータは、装置の出力特性(例えば、出力パワーなど)に基づいて発光時間の長さを決定する。出力特性は、外部コンピュータに手動で入力するか、外部コンピュータまたは外部コンピュータと通信する光検出器のいずれかによって測定することができる。コンピュータは、データを処理し、出力特性または発光時間の長さを提供するようにプログラムされてもよい。プログラミングは、ソフトウェア、ハードウェア、またはそれらの組み合わせを介して行うことができる。データは単一のプログラムで処理されてもよい。追加的または代替的に、データの処理に複数のコンピュータプログラムが使用されてもよい。また、データの処理または提供に複数のコンピュータが使用されてもよい。
【0076】
コンピュータプログラムは、光源の出力特性(例えば、出力パワーなど)、または発光時間の長さを提供できるようにするために、システムに関するいくつかの変数を認識するようにプログラムされ得る。コンピュータは、測定に使用される複数の光源のスペクトルと、光検出器(例えば、フォトダイオード検出器など)の光学特性(例えば、応答曲線など)との両方でプログラムされ得る。また、コンピュータは、複数の光源および光検出器用にプログラムされ得る。ユーザは、使用するプログラムを選択する。我々は、「光源のスペクトルは、製造時にLEDなどの同一の構成要素を使用しているため、光源の出力強度に関係なく概ね一定であること」を発見した。従って、強度出力が大幅に低下した光源は、同じメーカーの新しい光源とほぼ同じスペクトルを持つ。上記の示唆に係る情報は、複数の光源(プログラムによって測定され、データが処理される光源)用のコンピュータプログラムにプログラムされる。従って、光源の選択は、測定を行う前のユーザの選択肢の一つである。非スペクトル光検出器の応答曲線は、光検出器の有効領域に影響を及ぼす光のすべての波長で生成される光電流の量に関連する。光検出器は、その範囲内のすべての波長(光検出器の有効領域に影響を及ぼす光のすべての波長)での光検出器の積分応答に対応する電流の単一値を生成する。コンピュータは、システムで使用される特定の光検出器の光学特性(例えば、応答曲線など)でプログラムされてもよい。また、ユーザは、コンピュータを、選択することができる。
(ニューラルネットワーク)
【0077】
コンピュータは、光検出器からの信号を処理するニューラルネットワークを備えてもよい。ニューラルネットワークは、人間の脳と同様の方法で入力情報を取得、処理、解釈するように数学的にパターン化される。例えば、入力情報を取得して少なくとも1つの「ニューロン」に渡し、出力で終了するまで情報をさらに伝播する。情報を複数の「ニューロン」に渡すことにより、ニューラルネットワークは入力信号を解釈する方法を改善できる。つまり、ニューラルネットワークは、以前の入力信号から学習するため、最終結果の精度が向上させる。「ニューロン」は通常、層状に編成される。ニューラルネットワークにおける異なる層は、入力に対して異なる種類の変換を実行する場合がある。信号は、最初の(入力)層から最後の(出力)層に移動する。信号が層を複数回通過した後に、各層はデータに対して数学的な操作を実行する。
【0078】
ニューラルネットワークなどのプログラムが入力データから学習し、問題の適切な解決策を出力できるようにするため、ニューラルネットワークなどのプログラムは、最初に、反復的に解決される問題の正しい値または一連の値を示す一連の条件で、トレーニングされる。トレーニングデータは、各入力値での特定の問題における「正しい」値の確率値を提供する。本発明で使用されるニューラルネットワークの場合、トレーニングデータセットは、光検出器によって測定される複数の光源のスペクトルの組み合わせ、及び光検出器の光学特性(例えば、応答曲線(例えば、波長の関数としての単位電流あたりの電力(W/A)など)など)であってもよい。上記の情報は、光検出器で光電流に変換できるすべての波長での光源の「理想的な」出力パワーがどの程度であるかについて、確率的条件を提供するために使用できる。確率的条件の例としては、0から1までの値が挙げられる。
【0079】
本発明のシステムのニューラルネットワークは、3つの構成要素として配置されてもよい。3つの構成要素は、入力層、1つまたは複数の隠れ層、および出力層である。上記のような構成は、バックプロパゲーションの構成として知られている。バックプロパゲーションの構造図を
図9に示す。各層は、ノードと呼ばれるサブユニットに分割される。入力層において、各ノードは、フォトダイオード検出器などの光検出器の出力信号から導出された単一の基準点に対応します。次に、各入力ノードの単一の基準点が複製され、最初の隠れ層のすべてのノードに配置される。
【0080】
ニューラルネットワークには、少なくとも1つの隠れ層が含まれる。また、ニューラルネットワークには、他の層が含まれる場合がある。隠れ層の数は、ニューラルネットワークの精度及び学習能力と線形相関し得る。隠れ層の数が増えると、結果の出力変数の精度も上がる。出力変数とは、すなわち、出力特性(例えば、光源の出力パワーなど)である。各層は、入力層であれ、ニューラルネットワーク内の別の隠れ層であれ、前の層からデータを受信するいくつかの個別のノードで構成される。隠れ層のノードには、光検出器で光電流に変換できるすべての波長での光源の「理想的な」出力パワーがどうあるべきかについて、確率的条件(例えば、0から1までの値など)が含まれる。隠れ層内の各ノードは、前の層からのすべてのデータポイントを受け取る。つまり、単一のノードからのデータポイントが複製され、ニューラルネットワークの次の層のすべてのノードに配置される。
【0081】
本発明のニューラルネットワークの隠れ層において、光検出器からの信号(例えば、フォトダイオード検出器からの電圧など)は、選択された光源からのスペクトルからの波長の範囲にわたる波長値で乗算され、正規化されて、0から1の間の一連の入力値を生成する。次に、隠れ層は、上記の一連の入力値を合計して、ニューラルネットワークの伝達関数の入力として使用される単一の値を生成する。伝達関数は、生物学的ニューロンの学習能力をシミュレートするために使用される線形関数または非線形関数である。本発明のニューラルネットワークの場合、伝達関数は、容易に計算可能な導関数を有するため、非線形関数(例えば、シグモイド関数など)であってもよい。一次導関数は、統計的重みを更新して学習能力を向上させるニュートラルネットワークの誤差を計算するために使用される。あるいは、伝達関数は、正規化関数であってもよい。一連の入力値を合計して得られる単一の値は、伝達関数(例えば、シグモイド関数、正規化関数など)に送られる。伝達関数は、単一の値を返す。これにより、隠れ層のノードごとに1つの値が得られる。また、それぞれの基準点が複製される。そして、得られた1つの値は、次の隠れ層のすべてのノードに入力として送信される。すべてのノードは、前の層のノードからのすべてのデータを入力として受け取る。上記の合計のプロセス、伝達関数(シグモイド関数又は正規化関数など)の通過のプロセス、次の層のノードに渡すプロセスは、ニューラルネットワークの隠れ層ごとに繰り返される。異なる層ごとに、異なる伝達関数が使われてもよい。例えば、ある層の伝達関数はシグモイド関数であり、別の層では正規化関数であってもよい。
【0082】
本発明のニューラルネットワークを使用する際の最後のステップは、最後列の隠れ層のノードがデータを出力層に渡し、出力層が最後列の隠れ層のノードからのデータを合計する最終段階を含み、そして、合計された値を伝達関数(例えば、シグモイド関数又は正規化関数など)に通じて、単一の出力を生成することを含む。この出力は、正規化されていない場合、光源の出力パワーを返す。
(データの提供)
【0083】
データがコンピュータによって処理される(例えば、ニューラルネットワークで実行されることなど)と、データはユーザーに提供される。データは、コンピュータモニターなどの有線デバイスによって提供されてもよく、携帯電話やタブレットなどのモバイル装置などの無線通信機器により提供されてもよい。コンピュータの例としては、WO2019/036817に記載のコンピュータが挙げられる。データは、任意の適切な手段によって提供されてもよい。例えば、データは、ディスプレイなどにより視覚的に提供されてもよく、スピーカーなどにより聴覚的に提供されてもよい。上記の方法において、データは、数値または他のデータ(例えば、数値の特定の範囲を示す色など)により提供されてもよい。データの提供の手法は、出力特性による場合がある。例えば、電力、エネルギー、放射照度、または硬化時間に関するデータは、数値で提供されてもよい。硬化時間は、数値又は象徴のいずれかによるカウントダウンの形式で提供されてもよい。象徴の例としては、硬化時間が経過した場合のアラームまたはその他の標識による誘因が挙げられる。また、データは、光源に直接提供され得る。データが光源に直接提供される例としては、光源の露光時間を制御する場合が挙げられる。
【0084】
出力特性は、入力データから測定できる任意の測定値であってもよい。出力特性の例としては、出力パワー、出力エネルギー、出力フラックス、計算されたスペクトル、放射照度、計算された光源に係る経過時間、計算された露光時間(例えば、レジンを硬化させる時間など)などが挙げられる。また、ユーザに提供される出力特性は、段階的に測定され得る。例えば、ニューラルネットワークは、1つの出力特性(例えば、出力パワーなど)を提供することができる。1つの出力特定は、既知の方法に従って、別の出力特性(例えば、放射照度、硬化時間など)を測定する同じコンピュータまたは異なるコンピュータにより使用される。
【0085】
発光時間の長さに加えて、コンピュータは、集光装置の電力設定を制御する情報と、時間の長さをいくつかのオン/オフのサイクルにわたって分割することに関する情報と、の両方又は何れかの一方を送信できる。電力はまた、発光時間の長さの間に交互にされてもよい。例えば、低電力と高電力との間で交互になってもよい。電源とオン/オフサイクルの制御との両方又は何れかの一方は、照明中の過剰な熱生成を制御するために使用できる。
【0086】
また、コンピュータは、放射される光のスペクトルを変更するコントローラと通信できる。例えば、特定のLEDをオン又はオフにするか、特定のLEDの相対的な光出力(青や紫など)を変更して、使用されている材料の硬化を最適化できる。
(使用方法)
【0087】
本発明は、例えば、ニューラルネットワークでプログラムされたコンピュータを使用して、光源の出力特性(例えば、出力パワーなど)を測定する方法を特徴とする。通常、光源からの光は、光が集光器の内面によって拡散され、光検出器に向けられるように、集光器に向けられる。この拡散光は、光検出器の有効領域に影響を及ぼし、光源の出力特性(例えば、出力パワーなど)を示す信号を生成する。一部の実施形態において、光検出器は、非スペクトル光検出器(例えば、フォトダイオード検出器など)である。次に、上記の光源の出力特性を示す信号は、光源の出力特性(例えば、出力パワーなど)を提供するためにコンピュータに送信される。コンピュータが光検出器からの信号を処理すると、光源の結果として生じる出力特性(例えば、出力パワーなど)が提供される。例えば、出力特性は、モバイル装置の上に、又はモバイル装置を介して、概ねリアルタイムで表示される。一部の実施形態において、コンピュータは、光検出器と無線通信(RF、光学、または他の通信規格などによる通信)を行う。さらに、コンピュータは、データを提供(例えば、表示など)する装置と無線通信を行ってもよい。特定の実施形態において、装置は、携帯用装置(例えば、携帯電話またはタブレットなど)である。
【0088】
また、本発明は、照明装置からの発光時間の長さの制御を決定する方法を特徴とする。照明装置の例としては、歯科用レジンの硬化または光線力学療法の照明装置などが挙げられる。照明装置の出力特性(例えば、出力パワーなど)に関する情報は、外部コンピュータに提供(例えば、手動での提供、又は光検出器を介しての提供など)される。光検出器が使用される場合、光が集光器の内面によって拡散され、光検出器に向けられるように、光は集光器に向けられてもよい。この拡散光は、光検出器の有効領域に衝突し、照明装置の出力特性(例えば、出力パワーなど)を示す信号を生成する。一部の実施形態において、光検出器は、非スペクトル光検出器(例えば、フォトダイオード検出器など)である。次に、上記の出力特性を示す信号が、コンピュータに送信され、発光時間の長さが決定される。発光時間は、照明装置に送り返される。一部の実施形態において、コンピュータは、光検出器と照明装置の両方又は何れかの一方と無線通信を行う。無線通信の例としては、Wi-Fi(登録商標)、近距離無線通信、RF、光学、または他の通信規格による通信などが挙げられる。また、コンピュータは、照明装置の出力パワーレベル、および発光時間の長さを2つ以上のオン/オフのサイクルに分割すべきかどうかを決定してもよい。例えば、コンピュータは、歯科用レジン又は周囲の組織の過熱を回避するために、特定のパワーレベルまたはサイクル数が好ましいと判断する場合がある。発光時間の長さは、光が照明装置から出るのを防止するため、オン/オフの切り替えにより制御できる。また、発行時間の長さは、光が照明装置から出るのを防止するため、フィルターまたは開口の使用によって制御できる。
【0089】
通常、発光時間の長さは、患者の口内の特定の歯科用レジンを治癒するのに十分であるか、患者を光線力学的療法により治療するのに十分である。従って、コンピュータは、照明装置の出力特性だけでなく、使用されるレジンと、実施される補綴のタイプ又は光線力学的療法によりのタイプの両方又は何れかの一方にも基づいて発光時間の長さを決定できる。
【0090】
光源からの出力特性(例えば、出力パワーなど)の測定の精度は、測定中に発生する光源の出力特性(例えば、出力パワーなど)の個々の測定回数に依存する。上記の測定回数は、光源の有効領域が光源からの光にさらされる発光時間の長さと、測定のサンプリング周波数(例えば、単位時間あたりに収集されるデータポイントの数など)によって測定される。光源の出力特性(例えば、出力パワーなど)を測定する典型的なサンプリング時間は、約1秒から約1000秒であある。上記サンプリング時間の例としては、約1秒から約100秒、約50秒から約200秒、約150秒から約300秒、約250秒から約400秒、約350秒から約500秒、約450秒から約600秒、約550秒から約700秒、約650秒から約800秒、約750秒から約900秒、約850秒から約1000秒などが挙げられる。また、上記サンプリング時間の例としては、約1秒、約2秒秒、約3秒、約4秒、約5秒、約6秒、約7秒、約8秒、約9秒、約10秒、約50秒、約100秒、約150秒、約200秒、約250秒、約300秒、約350秒、約400秒、約450秒、約500秒、約550秒、約600秒、約650秒、約700秒、約750秒、約800秒、約850秒秒、約900秒、約950秒、約1000秒などが挙げられる。
【0091】
本発明の方法に関して、光検出器のサンプリング周波数は、約1ヘルツ(Hz)から約1000Hzの間で変化する。上記サンプリング周波数の例としては、約1Hzから約100Hz、約50Hzから約200Hz、約150Hzから約300Hz、約250Hzから約400Hz、約350Hzから約500Hz、約450Hzから約600Hz、約550Hzから約700Hz、約650Hzから約800Hz、約750Hzから約900Hz、約850Hzから約1000Hzなどが挙げられる。また、上記サンプリング周波数の例としては、約1Hz、約2Hz、約3Hz、約4Hz、約5Hz、約6Hz、約7Hz、約8Hz、約9Hz、約10Hz、約50Hz、約100Hz、約150Hz、約200Hz、約250Hz、約300Hz、約350Hz、約400Hz、約450Hz、約500Hz、約550Hz、約600Hz、約650Hz、約700Hz、約750Hz、約800Hz、約850Hz、約900Hz、約950Hz、約1000Hzなどが挙げられる。
(例)
【0092】
この例では、集光器、フォトダイオード検出器、およびニューラルネットワークでプログラムされたコンピュータを備える本発明のシステムを使用して、Bluephase20i歯科用光硬化装置(LCU)の出力を測定した。Bluephase20iのLCUには4つの動作モードがある。各動作モードの主光源の出力パワーは異なる。動作モードは、出力パワーの低いものから出力パワーの高いものの順で、ソフト、ロー、ハイ、ターボの4つがある。
図10にBluephase20iのLCUのスペクトルを示す。
図10に示すタイプの情報と、
図8に示すフォトダイオード検出器の応答曲線は、ニューラルネットワークの確率的境界を提供するトレーニングデータとして使用された。
【0093】
ニューラルネットワークが完全にトレーニングされると、分光器によって生成された波長値の解像度に一致する1024個の入力値が必要になる。ニューラルネットワークによる結果の値は、フォトダイオード検出器の出力強度で乗算され、続いて0~1の値に正規化される。入力ごとに、単一の値が生成される。生成された単一の値を非正規化すると、結果の値は、光源の出力パワー(mW単位)になる。
【0094】
100回/秒のサンプリング周波数、つまり、100Hzで硬化時間が10秒の場合、ニューラルネットワークに入力された[1000,1024]データポイントの入力行列になり、[1000,1]の出力行列になる。このような出力の結果を、従来の分光器を使用した同じタイプの測定と比較して、
図11Aおよび
図11Bに示す。ニューラルネットワークを使用すると、結果として得られる出力パワーの測定値は、分光器の5%以内になる。
【0095】
4つの異なる硬化ライト(3M(登録商標)のDeepCure-L、Coltolux LED、Flashlite Magna、および Smartlite Focus)の分光プロファイルも、トレーニングデータとしてニューラルネットワークに入力された(z)。Bluephase20iのLCUの硬化ライトの出力パワーの測定に使用したのと同じ方法を使用して、フォトダイオードベースのニューラルネットワークシステムと従来の分光器を使用して、4つの硬化ライトのそれぞれの平均出力パワーを測定した。上記平均出力パワーの測定の結果を、
図13に示す。
図11に示す場合と同様に、フォトダイオードベースのニューラルネットワークシステムと分光器によって生成される平均出力パワーは、再び互いに5%以内である。
【0096】
このシステムは、任意の光源からの出力パワーを測定するために使用できる。集光器、光検出器、ニューラルネットワークでプログラムされたコンピュータ及びモバイル装置を備えた本発明のシステムの典型的なアプリケーションは、歯科業の補綴に使用される硬化ライトの出力パワーを測定するものである。
図14は、ユーザ(例えば、歯科医又は歯科助手など)が、硬化ライトの出力パワーを測定するために、システムをどのように使用するかを示す流れ図である。最初に、モバイル装置及び光検出器は、無線通信プロトコル(例えば、ブルートゥース(登録商標)など)又は他の無線伝送プロトコルを介してペアリングされる。ペアリングが完了すると、ユーザーは、モバイル装置を使用して測定のすべての側面を制御できる。ユーザーは、モバイル装置のプログラムで[開始]をクリックし、適切な時間、集光器に硬化ライトを当てることができる。データが収集された後、データの完全性が検証され、生データ(例えば、光検出器からの正規化された電圧など)が、光源の出力パワーを計算するように構成されたニューラルネットワークでプログラムされたコンピューターに無線で送信される。ニューラルネットワークに送信されるデータには、データの取得に使用された特定の光源と光検出器が含まれているため、ニューラルネットワークは正しい分光プロファイルと応答曲線を使用して測定する。測定が完了すると、光源の出力パワーがモバイル装置に表示される。
【国際調査報告】