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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】液体移送装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/31 20060101AFI20220112BHJP
   A61M 5/32 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
A61M5/31 500
A61M5/32 510
A61M5/31 530
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021546472
(86)(22)【出願日】2019-10-21
(85)【翻訳文提出日】2021-06-15
(86)【国際出願番号】 EP2019078615
(87)【国際公開番号】W WO2020079285
(87)【国際公開日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】1817107.4
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521166788
【氏名又は名称】コンセプトーメド アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミーデ、クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】シェーン、ジミー ギーデ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066FF05
(57)【要約】
液体移送装置(201)は、本体と、前記本体から延設され、使用時に対応する差し込み部材に取り付けられる医療用コネクタパーツ(204)と、を有する。液体流路(208)が前記本体および前記医療用コネクタパーツを貫通して延びている。流量調整バルブが前記本体中の前記液体流路(208)中に設けられ、前記液体流路を通って流れる液体の流量を選択した流量に調節するのに用いられる。前記流量調整バルブを直接動かす流量調整部材(226)を備えてもよい。取り外し部材(228)が前記本体に取り付けられ、使用時には前記医療用コネクタパーツ(204)に対して動いて前記医療用コネクタパーツ(204)に取り付けられた前記差し込み部材を外す。前記流量調整バルブと前記取り外し部材(228)は独立して動かすことができる。
【選択図】図33
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体から延設され、使用時に対応する差し込み部材に取り付けられる医療用コネクタパーツと、
前記本体および前記医療用コネクタパーツを貫通して延設された液体流路と、
前記本体中の前記液体流路中に設けられ、前記液体流路を通って流れる液体の流量を選択した流量に調節するのに用いられる流量調整バルブと、
前記本体に取り付けられ、使用時には前記医療用コネクタパーツに対して動いて、前記医療用コネクタパーツに取り付けられた前記差し込み部材を外す取り外し部材と、を有する液体移送装置であって、
前記流量調整バルブと前記取り外し部材は独立して動かすことができる液体移送装置。
【請求項2】
前記取り外し部材が初期の取り付け位置のままで、前記流量調整バルブが初期の形態と最終の形態の間を独立して動くことができる請求項1に記載する液体移送装置。
【請求項3】
前記流量調整バルブが、少なくとも前記液体流路の一部を前記流量調整バルブが開通させた初期の形態から前記液体流路を前記流量調整バルブが閉塞させた最終の形態までの可動範囲を有する請求項1または2に記載する液体移送装置。
【請求項4】
前記流量調整バルブの動作位置が前記可動範囲内にあってその全範囲を動くと、前記液体移送装置を通る流量が変化し、前記液体流路を徐々に閉塞していって前記液体流路を通る前記流量は最大から最小に減少する請求項3に記載する液体移送装置。
【請求項5】
前記流量調整バルブは前記可動範囲にわたってある複数の動作位置で安定に保たれる請求項3または4に記載する液体移送装置。
【請求項6】
前記流量調整バルブは前記最終の形態から前記初期の形態に向かって戻す方向に動かして、前記液体流路を少なくとも一部開通させることができる請求項3乃至5のいずれかに記載する液体移送装置。
【請求項7】
使用時に対応する差し込み部材を前記医療用コネクタパーツに取り付けることができる初期取り付け位置から使用時に前記取り付け部材の作用により前記差し込み部材を前記医療用コネクタパーツから取り外す最終取り外し位置まで前記取り外し部材を前記医療用コネクタパーツに対して動かすことができる請求項1乃至6のいずれかに記載する液体移送装置。
【請求項8】
前記取り外し部材の前記最終取り外し位置へ向かう動きによって、前記流量調整バルブが前記最終の形態に向かって動かされて、前記流量調整バルブと前記取り外し部材が一体となって動く請求項7に記載する液体移送装置。
【請求項9】
前記流量調整バルブが前記最終の形態でいる間は、前記取り外し部材は前記初期取り付け位置と前記最終取り外し位置の間を独立に動かすことができる請求項1乃至8のいずれかに記載する液体移送装置。
【請求項10】
前記医療用コネクタパーツは液体移送先端部を有する請求項1乃至9のいずれかに記載する液体移送装置。
【請求項11】
前記液体移送先端部はテーパ形状であり、前記差し込み部材を前記液体移送先端部に沿って前に進ませて摩擦嵌めを解除するために、前記取り外し部材は少なくとも前記液体移送先端部の一部に沿って動くことによって取り付けられた前記差し込み部材を取り外す請求項10に記載する液体移送装置。
【請求項12】
前記取り外し部材が前記最終の動作位置に向かって動く時のみ、前記液体移送先端部に沿って前に進む肩部を前記取り外し部材が有する請求項10に記載する液体移送装置。
【請求項13】
前記医療用コネクタパーツは前記液体移送先端部の周囲の少なくとも一部の周りに配置されて、使用時に前記差し込み部材と確実に係合するカラーを有する請求項10乃至12のいずれかに記載する液体移送装置。
【請求項14】
前記カラーは第1部分と第2部分を有し、前記第2部分は前記取り外し部材によって、前記第2部分が使用時に前記医療用コネクタパーツに取り付けられた前記差し込み部材と係合する初期係合位置から前記第2部分が前記差し込み部材と非係合状態になる最終非係合位置に動かされる請求項13に記載する液体移送装置。
【請求項15】
前記カラーの前記第2部分は前記取り外し部材と一体となっている請求項14に記載する液体移送装置。
【請求項16】
前記カラーの前記第2部分は内側螺刻部を有する請求項14または15に記載する液体移送装置。
【請求項17】
前記医療用コネクタパーツと液体連通している一体となった液体室をさらに有する請求項1乃至16のいずれかに記載する液体移送装置。
【請求項18】
前記取り外し部材は軸支されて取り付けられたレバー部材を有する請求項1乃至17のいずれかに記載する液体移送装置。
【請求項19】
前記流量調整バルブを直接動かす流量調節部材をさらに有する請求項1乃至18のいずれかに記載する液体移送装置。
【請求項20】
前記流量調節部材は軸支されて取り付けられたレバー部材を有する請求項19に記載する液体移送装置。
【請求項21】
前記取り外し部材は前記流量調節部材の下に配置されて、前記取り外し部材を前記最終取り外し位置に向かって動かすと、必ず前記流量調節部材が動かされて前記液体流路を通る液体の流量を遮断する請求項19または20に記載する液体移送装置。
【請求項22】
使用時に対応する差し込み部材を取り付けるコネクタパーツと、
前記コネクタパーツを貫通する液体流路と、
前記液体流路を通って流れる液体の流量を選択した流量に調節する流量調節機構部と、を有する医療用液体移送装置であって、
前記流量調節機構部は初期の形態から最終の形態までの可動範囲を有し、前記可動範囲の第1区間では前記液体流路を少なくとも部分的に開通し、前記可動範囲の第2区間では前記流路を閉塞して使用時には前記コネクタパーツに取り付けられた対応する差し込み部材を取り外す医療用液体移送装置。
【請求項23】
前記可動範囲の前記第2区間のときに、前記流量調節機構部が前記液体流路を完全に閉塞すると、前記流量調節機構部は前記コネクタパーツに取り付けられた前記差し込み部材を取り外す請求項22に記載する医療用液体移送装置。
【請求項24】
前記初期の形態のとき、前記液体流路は完全に閉塞されている請求項22または23に記載する医療用液体移送装置。
【請求項25】
前記可動範囲の前記第1区間では、前記液体流路が完全に開通している請求項22乃至24のいずれかに記載する医療用液体移送装置。
【請求項26】
前記流量調節機構部の動作位置が前記可動範囲の前記第1区間中にあって、その範囲にわたって動くと前記液体移送装置を通る流量が変化し、前記液体流路を徐々に開通していくと前記液体移送装置を通る前記流量は最小から最大に増大する請求項22乃至25のいずれかに記載する医療用液体移送装置。
【請求項27】
前記流量調節機構部は前記流路を通る液体の流れを調節する調節部材と使用時に前記コネクタパーツに取り付けられた対応する差し込み部材を取り外す取り外し部材と、を有する請求項22乃至26のいずれかに記載する医療用液体移送装置。
【請求項28】
前記調節部材および/または前記取り外し部材の少なくとも一つは軸支されて取り付けられたレバー部材を有する請求項27に記載する医療用液体移送装置。
【請求項29】
前記流量調節機構部が前記可動範囲の前記第1区間をその全部分にわたって動くとき、前記調節部材のみが初期調節位置から中間調節位置まで動くように前記流量調節機構部はできている請求項27または28に記載する医療用液体移送装置。
【請求項30】
前記流量調節機構部が前記可動範囲の前記第2区間の全部分を動くと、前記調節部材および前記取り外し部材の両方がそれぞれ最終調節位置および最終取り外し位置に向かって動かされる請求項27乃至29のいずれかに記載する医療用液体移送装置。
【請求項31】
前記可動範囲の前記第2区間の間では前記調節部材が前記取り外し部材を動かして、前記調節部材と前記取り外し部材が一体となって動く請求項30に記載する医療用液体移送装置。
【請求項32】
前記取り外し部材が動かされて前記初期の取り付け位置から脱し前記最終の取り外し位置に向かって動かされる時、前記取り外し部材は前記初期の取り付け位置に向かって戻り元の状態に戻るように付勢される請求項27乃至31のいずれかに記載する医療用液体移送装置。
【請求項33】
前記初期取り付け位置または前記最終取り外し位置の少なくとも一つで前記取り外し部材を安定に保って保持するための係止機構を有する請求項27乃至32のいずれかに記載する医療用液体移送装置。
【請求項34】
前記流量調節機構部は前記可動範囲にわたって動くとき、複数の動作位置で安定に保たれる請求項27乃至33のいずれかに記載する医療用液体移送装置。
【請求項35】
前記流量調節機構部は前記調節部材を固定された状態で保持する係止部を有し、前記係止部は前記調節部材を前記取り外し部材に対して動かすことができるようになる前にユーザーによって取り外されなければならない取り外し機構部を有する請求項27乃至34のいずれかに記載する医療用液体移送装置。
【請求項36】
前記流量調節機構部の少なくとも一部は前記最終の形態から前記液体流路の少なくとも一部を開通させる前記初期の動作位置に向かって、戻る方向に動かすことができる請求項22乃至35のいずれかに記載する医療用液体移送装置。
【請求項37】
前記流量調節機構部は液体の流れを調節するバルブを有する請求項22乃至36のいずれかに記載する医療用液体移送装置。
【請求項38】
前記コネクタパーツは液体移送先端部を有する請求項27乃至37のいずれかに記載する医療用液体移送装置。
【請求項39】
前記液体移送先端部はテーパ形状であり、前記差し込み部材を前記液体移送先端部に沿って前に進ませて摩擦嵌めを解除するために、前記流量調節機構部は少なくとも前記液体移送先端部の一部に沿って動くことによって、取り付けられた前記差し込み部材を取り外す請求項38に記載する医療用液体移送装置。
【請求項40】
前記コネクタパーツは前記液体移送先端部の少なくとも一部の周りに配置されて、使用時に差し込み部材と確実に係合するカラーを有する請求項38または39に記載する医療用液体移送装置。
【請求項41】
前記カラーは第1部分と第2部分を有し、前記第2部分は前記流量調節機構部によって、前記第2部分が使用時に前記医療用コネクタパーツに取り付けられた前記差し込み部材と係合する初期動作位置から前記第2係合部分が前記差し込み部材と非係合状態になる最終動作位置に動かされる請求項40に記載する医療用液体移送装置。
【請求項42】
前記カラーの前記第2部分は内側螺刻部を有する請求項41に記載する医療用液体移送装置。
【請求項43】
前記カラーの前記第2部分は前記流量調節機構部と一体になっている請求項41または42に記載する医療用液体移送装置。
【請求項44】
前記コネクタパーツと液体連通している一体となった液体室をさらに有する請求項22乃至43のいずれかに記載する医療用液体移送装置。
【請求項45】
前記コネクタパーツと液体連通している第2コネクタパーツを有する請求項22乃至43のいずれかに記載する医療用液体移送装置。
【請求項46】
本体を有し、前記本体から前記コネクタパーツが延設され、前記流量調節機構部は前記本体に対して動くことができるように取り付けられている請求項22乃至45のいずれかに記載する医療用液体移送装置。
【請求項47】
前記医療用液体移送装置を通る流量を示す複数の標示を有し、前記複数の標示に対して前記流量調節機構部または前記流量調整バルブの標示部分を位置合わせできる請求項1乃至46のいずれかに記載する医療用液体移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は液体移送装置に関し、特に差し込み部材を接続すること、および取り外すことができる液体移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本願出願人はWO2013/164358A1、WO2014/020090A1、WO2015/014914A1およびWO2016/162571A1により開示されたシリンジ(または他の液体移送装置)から汚染された針を片手で外すための解決策を以前に発明した。本願出願人のシステムは支軸周りに旋回する取り外し部材、例えばレバー部材を用いて、針用差し込み部材をシリンジから離す。レバー部材を用いることにより、作業者は片手の作業でより簡単に針用差し込み部材をシリンジから外し、針刺し傷の危険を減少させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願出願人は、従来の液体移送装置には、針用差し込み部材をシリンジから外す時に、シリンジ内部に含まれる液体が漏れる問題があることがわかった。液体移送コネクタに重力下で加圧された液体が供給される場合に、この問題は悪化する。現在、コネクタからの液体の漏出を防ぐために、ユーザーは液体移送コネクタに接続されたコースの一部を別体の専用クランプで緊締しなければならない。このやり方は理想的なものではなく、依然として針を外す時には、クランプよりも下流にある液体移送コネクタ内部の少なくとも少量の液体が、液体移送コネクタから漏れる場合があることを、本願出願人はわかっている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願発明は前記した問題に対処し、この問題を少なくとも緩和するものであり、本願発明の第1の特長は、本体と、前記本体から延設され、使用時に対応する差し込み部材に取り付けられる医療用コネクタパーツと、前記本体および前記医療用コネクタパーツを貫通して延設された液体流路と、前記液体流路を通って流れる液体の流量を選択した流量に調節する流量調節機構部と、を有する医療用液体移送装置であって、前記流量調節機構部は初期の形態から最終の形態までの可動範囲を有し、前記可動範囲の第1区間では前記液体流路を少なくとも部分的に開通し、前記可動範囲の第2区間では前記流路を閉塞して使用時には前記コネクタパーツに取り付けられた対応する差し込み部材を取り外す医療用液体移送装置である。
【0005】
このような装置によれば、ユーザーは該装置を通る液体の流れを選択した流量にできるとともの、前記コネクタパーツに取り付けられた前記差し込み部材を取り外す時に、前記液体流路を閉塞することができる。前記流量調節機構部は、始めは前記可動範囲の前記第1区間中のみで動かすものでよく、そのため始めは前記装置を動かしても前記装置を通る流量を調節することしかできない。ユーザーが取り付けられた差し込み部材を外したいときは、前記流量調節機構部を可動範囲の第2区間の全部分を動かして、前記液体流路を閉塞するとともに、前記差し込み部材を取り外す。前記可動範囲の第2区間の途中で前記差し込み部材を取り外されるときに前記液体流路が閉塞するように前記流量調節機構部を構成することは、前記差し込み部材が取り外される時に前記液体移送装置から漏れる液体を最小にすることを確実にするのに役立つ。このことは、液体が漏れて作業表面や患者に付着するのを防ぐことに役立つ。さらに、液体流路を完全に閉塞させることは、前記流量調節機構部がその最終の形態になった後引き続いてその形態で放置されても、前記装置からまったく液体が漏れないことを意味する。このことは、例えば前記装置が点滴ラインに接続される場合に、すなわち前記装置が所定の患者に選択的に接続される生理食塩水の点滴に取り付けられる場合に、有利である。
【0006】
前記可動範囲の第2区間中では、前記流量調節機構部は前記液体流路を閉塞し、同時に前記差し込み部材を外すことができる。しかし、この構成では前記差し込み部材が外れる時に、前記コネクタパーツから液体の漏出が起きる可能性がある。好ましい複数の実施形態の組では、前記流量調節機構部が前記液体流路を完全に閉塞してから、前記流量調節機構部が前記コネクタパーツに取り付けられた前記差し込み部材を取り外すような構造に前記流量調節機構部はなっている。前記差し込み部材が外される前に前記液体流路が閉塞される構造が前記差し込み部材が外される時に前記液体移送装置から漏出する液体を確実になくす、またはほとんどなくすのに役立つことを出願人は思いついた。もちろん、前記流量調節機構部の下流で少量の残留液体があって、それが前記装置から漏れるかもしれないが、この漏れる液体の量は前記装置のサイズにもよるが最少にすることができる。このことは、前記装置によって移送される液体が無駄になるのを避け、移送される液体が前記装置から漏れて、ユーザーや周囲の作業表面を汚染するのを防ぐのに役立つ。特に加圧された液体が前記液体移送装置に供給される場合、前記差し込み部材を外す前に前記液体流路を閉塞することにより、液体の漏出を顕著に減らすことができるので、好都合である。
【0007】
所定の組の複数の実施形態では、前記初期の形態では前記液体流路が完全に閉塞される。所定の複数の実施形態では、前記可動範囲の第1区間により、前記液体流路が完全に開通する。このような実施形態の組では、前記装置を通る液体の流量を前記流量調節機構部を動かすことに最大にすることが確実にできる。所定の組の複数の実施形態では、前記流量調節機構部が前記可動範囲の第1区間の一端から他端まで動くと、前記液体流路は徐々に開通し、前記液体経路を通る流量が最小流量から最大流量まで増大する。最小流量はゼロ流量としてよい。当然わかることであるが、このような実施形態では、前記流量調節機構部の前記可動範囲の第1区間の中の動作位置によって前記装置を通る流量が決まる。
【0008】
所定の組の複数の実施形態では、前記装置は前記装置を通る流量を示す複数の標示を有し、前記流量調節機構部の指針部をこれらの標示に合わせることができる。
このような実施形態によれば、ユーザーは前記流量調節機構部を動かして、前記流量調節機構部を自らが設定したい前記装置を通る流量を示す前記複数の標示の一つに前記流量調節機構部の指針部が合った動作位置にすることができる。例えば、ユーザーは前記装置を通る流量を10ml/時にしたいので、前記流量調節機構部を動かして前記流量調節機構部をその指針部が該流量に対応する標示に合った動作位置にすることができる。
【0009】
前記流量調節機構部は前記装置を通る液体の流れを調節できるとともに、前記差し込み部材を取り外すことができる構造を有するものでよい。このような構造は単一の部材を用いることにより実現できる。しかし、所定の実施形態では、前記流量調節機構部は前記液体流路を通る液体の流れを調節する調節部材と使用時に前記コネクタパーツに取り付けた対応する差し込み部材を外す取り外し部材とを有するものでよい。前記流量調節機構部が初期の形態のときは、前記調節部材は初期の調節位置であり、前記取り外し部材は初期の取り付け位置でよい。前記流量調節機構部が最終の形態のときは、前記調節部材は最終の調節位置であり、前記取り外し部材は最終の取り外し位置、すなわち前記装置から差し込み部材を外す位置になるものでよい。
【0010】
前記調節部材および/または前記取り外し部材は一つ以上の滑動部分、レバー、アーム、スリーブまたは動くことができるように前記装置に取り付けることができる他の任意の部材を有するものでよい。所定の好ましい実施形態では、前記調節部材および/または前記取り外し部材の少なくとも一つは支軸周りに旋回可能に取り付けられたレバー部材を有する。出願人は、支軸周りに旋回可能に取り付けられたレバー部材はユーザーが加える力を増幅できるので有利であることがわかった。このことは前記差し込み部材を前記コネクタパーツから外す時に好都合である。前記取り外し部材、または同部材の少なくとも一部分は前記差し込み部材を前記コネクタパーツから外す楔形の部分を有するものでよい。
【0011】
所定の組の複数の実施形態では、前記流量調節機構部がその可動範囲の第1区間をその一端から他端まで動くとき、前記調節部材のみがその初期の調節位置から中間調節位置まで動かされるような構造を前記流量調節機構部は有する。所定の組の複数の実施形態では、前記流量調節機構部がその可動範囲の第2区間をその一端から他端まで動くとき、前記調節部材と前記取り外し部材の両方がそれぞれ最終の調節位置および最終の取り外し位置に向かって動くことができる。このような実施形態では、前記可動範囲の第2区間の間に、前記調節部材が前記取り外し部材を駆動して動かすことにより、前記調節部材と前記取り外し部材が一体となって動くことができる。このような所定の組の複数の実施形態は、ユーザーが前記調節部材を把持して前記調節部材に力を加えさえすれば、前記装置を通る流れを調節できるとともに、前記差し込み部材をとりはずすことができるので有利である。本願出願人はこの構造によって片手の操作が容易になることがわかった。
【0012】
前記取り外し部材はその初期の取り付け位置、すなわち差し込み部材が取り付けられていて前記取り外し部材が前記差し込み部材に力を加えて前記差し込み部材を外そうとしていない位置とその最終の取り外し位置の間を自由に動くことができる。しかし、代わりの組の複数の実施形態では、前記取り外し部材が動かされてその初期の取り付け位置を脱してその最終の取り外し位置に向かって動かされると、前記取り外し部材はその初期の取り付け位置に向かって戻る方向に動いて元の状態に戻ろうとするように付勢される。当事者ならばわかることであるが、このような実施形態では前記取り外し部材を動かすために、ユーザーは元の状態に戻そうとする付勢力に打ち勝たなければならない。このような構造は、レバー部材を誤って動かして取り付けられている差し込み部材を意図に反して取り外してしまうことを防ぐのに役立つ。さらに、前記取り外し部材をその初期の取り付け位置に戻る方向に動かして元の状態に戻るように付勢することは、所定の実施形態では、前記差し込み部材が前記コネクタパーツに確実に取り付けられた状態に維持するのに役立つ。所定の実施形態では、前記装置は元の状態に戻そうとする付勢力を加えるばね部材を有するものでもよい。他の所定の実施形態では、前記取り外し部材はそれ自身が元の形に戻ろうとする付勢力を有するものでよい。例えば、ユーザーが前記取り外し部材を押圧すると、前記取り外し部材は所定の程度まで弾性的に変形して、ユーザーが押圧力を解除すると、前記取り外し部材は元の形に戻って、そのため元の動作位置に動いて戻ることができる。
【0013】
重複する可能性のある組の複数の実施形態では、前記取り外し部材は前記初期の取り付け位置および/または最終の取り外し位置の少なくとも一つで、好ましくは両方で保持される。前記取り外し部材は前記初期の取り付け位置では、例えば元の状態に戻ろうとする付勢力によって保持されるものでよい。しかし、重複する可能性のある組の複数の実施形態では、前記装置は前記初期の取り付け位置または最終の取り外し位置の少なくとも一つで前記取り外し部材を安定に保持するための少なくとも一つの係止構造を有する。そのような係止構造は、例えば前記取り外し部材上に設けられた突起部を有するものでよく、前記装置が前記初期の取り付け位置または最終の取り外し位置の少なくとも一つのときにこの突起部は前記装置の別の部分上に形成された凹み部と係合する。さらに、または代わりに、前記取り外し部材は前記装置の別の部分を所定の状態に保持するため、その別の部分の周りと嵌るまたはその別の部分と係合する形状になっているものでよい。当業者ならばわかることであるが、前記取り外し部材を動かす前に、ユーザーはこのような係止構造に打ち勝たなければならない。この係止構造に打ち勝つために、例えばユーザーは手作業で係止構造を解除するか、少なくとも閾値の力を前記取り外し部材に加える必要がある。
【0014】
所定の組の複数の実施形態では、前記流量調節機構部は、可動範囲の途中の、すなわち可動範囲の第1区間および/または第2区間の途中の、少なくとも一つの中間の形態で安定に保持され、選択する流れに調節される。このことによって、ユーザーは前記装置を通る流量を選択する流量に調整できる。このことは、前記流量調節機構部の形によって様々なやり方で実現できる。調節部材を有する実施形態では、ユーザーが力を加えなくても、その調節部材は、初期の調節位置および最終の調節位置農地の少なくとも一つを含む固定された調節位置およびそれらの位置の間の少なくとも一つの位置で留まる。これにより、ユーザーは前記流量調節部材を用いて流量を調節し、流量を維持したまま前記流量調節部材に加えた力を解除できる。 これにより、ユーザーは引き続き所定の流量で一定に保ちながら前記装置を放置した状態にすることができることは好都合である。例えば前記液体移送装置が患者に長時間接続される点滴ラインの一部として用いられる場合、このことは便利である。別の所定の組の複数の実施形態では、前記流量調節機構部は前記可動範囲の途中の複数の動作位置で安定になり、それによってユーザーは複数の異なる流量を選択することができる。
【0015】
所定の組の複数の実施形態では、前記流量調節機構部は前記調節部材を固定された動作位置に保持する係止部分を有する。この係止部分は二つの部分を互いに固定された空間的な位置関係に保持する任意の適切な構造を有する。所定の組の複数の実施形態では、この係止部は前記調節部材または前記取り外し部材の少なくとも一方に設けられた複数の戻り止め部を有し、これらの戻り止め部は前記調節部材または前記取り外し部材のもう一方の上に設けられた一つ以上の機能部と相互に作用し合う。このような構造によれば、前記調節部材と前記取り外し部材を固定された関係に維持して、これら部材の相対的な位置を調節することができる。重複する可能性のある組の複数の実施形態では、この係止部は前記調節部材を前記取り外し部材に対して動かすことができるようにする前にユーザーが解除しなければならない取り外し機構部を有する。このような実施形態は、前記調節部材を誤って動かし、その結果前記液体移送装置を通る流量を変えてしまい、命に関わるような状況になることを防ぐことができるので有利である。
【0016】
前記流量調節機構部がその可動範囲を動かされてその最終の形態になり、前記液体流路は閉塞し、差し込み部材が前記先端部から外されると、前記流量調節機構部の少なくとも一部はその可動範囲をその初期の形態に向かって戻るように動かすことができる。したがって、重複する可能性のある組の複数の実施形態では、前記流量調節機構部の少なくとも一部はその可動範囲をその初期の形態に戻る方向に動かして、少なくとも部分的に前記液体流路を開通できる。当業者はわかることであるが、このことによりユーザーは差し込み部分が装置から外された後、再び液体を装置を通して流すことができる。このことにより、例えば使用後に装置を少なくとも部分的にきれいにすることが必要な場合に、ユーザーが液体を装置を通して排出することができる。前記した機能は実行できる。調節部材および取り外し部材を有する複数の実施形態では、前記した機能を実行するには、前記流量調節機構部の最終の形態におけるその動作位置に対応する取り外し位置に取り外し部材を放置したまま、調節部材をその初期の動作位置に戻る方向に取り外し部材に対して相対的に動かせばよい。
【0017】
前記流量調節機構部は装置を通る液体の流れを調節するための手段ならばいかなる手段を有するものでもよい。例えば、前記流量調節機構部は装置、例えば柔らかいチューブの一部を変形させて装置を通る液体の流れを抑制することができる。所定の組の好ましい実施形態では、前記流量調節機構部は液体の流れを調節するバルブを有する。流量調節部材を有する複数の実施形態では、流量調節部材が直接バルブを動作させるものでよい。
【0018】
所定の組の複数の実施形態では、前記コネクタパーツは医療用コネクタパーツである。
別の組の複数の実施形態では、この医療用コネクタパーツはISO80389シリーズの小径孔のコネクタ規格のうちの一つの規格の要件に合致するものである。このシリーズの規格の目的は、臨床医療用の複数の異なる液体移送ライン間、例えば腸内供給用チューブと点滴ラインの間の液体移送ライン間の接続ミスを防ぐことである。 ISO80389-1:2010は液体移送用コネクタが用いられる保健衛生分野を規定する。このようなヘルスケア分野には、呼吸システムおよびガス輸送、腸および胃、尿道および尿、肢部カフの膨張、中枢神経デバイス、血管内または皮下注射の応用が含まれるが、これらに限るものではない。好ましい組の実施形態では、このコネクタパーツはISO80369-7(ルール嵌め部材)、ISO80369-3(ENフィット)またはISO80369―6(NRフィット)の一つに合致するものでる。出願人がわかっているのは、前記液体移送装置が前記したISO規格の一つに合致するコネクタパーツを備えることは、該コネクタパーツに合致しない差し込み部材を誤って接続することを防ぐのに役立つということである。例えば、ルール嵌め差し込み部材がNRフィットコネクタパーツを有する液体移送装置に繋がれるのを防ぐことができる。このことは、患者に間違って正しくない液体を投与することを防ぐのに役立つ。
【0019】
所定の組の実施形態では、このコネクタパーツは液体移送先端部を有する。液体移送先端部はそれに接続される差し込み部材と液密の接続をする型のものであることが好ましい。この液体移送先端部はそのような液密の接続を作れるものならばいかなる型のものでもよい。例えば、この液体移送先端部は周囲にゴムのOリングが配された環状先端部でよく、この環状先端部は液体移送先端部が接続されて液密になる。所定の組の実施形態では、この液体移送先端部は使用時に差し込み部材と摩擦嵌めの接続にするのに合ったテーパ形状になっている。出願人がわかっているのは、テーパ形状の液体移送先端部により、前記したOリングのような別体のシールを用いる必要がなくなり、装置が単純になり、製造するのが容易になることである。このようなテーパ形状の先端部はまた前記した多くのISO80369規格の一つの特徴である。
【0020】
所定の複数の実施形態では、前記液体流量機構部は、例えば前記取り外し部材を備える場合、その前記取り外し部材を差し込み部材に押し付けて、それによって差し込み部材を外す。例えば、前記流量調節機構部は前記コネクタパーツの表面上を動いて対応する差し込み部材を押し出すことによって、同差し込み部材を外すことができる。例えば、前記流量調節機構部はその一部が作動中に前記コネクタパーツの表面上を物理的に動くようになっていてもよい。代わりの例として、前記流量調節機構部は楔形の取り外し部材を有し、この楔形の取り外し部材の前方側表面が前記コネクタパーツの表面上を動いて差し込み部材を押し付けるものでもよい。
【0021】
テーパ形状の先端部を有する複数の実施形態では、前記流量調節機構部は、例えば前記取り外し部材を備える場合、その前記取り外し部材が少なくとも一部の前記テーパ形状の先端部に沿って動いて、このテーパ形状の先端部に沿って前記差し込み部材を前に動かして摩擦嵌めを解除することによって、取り付けられた前記差し込み部材を取り外すものでよい。
【0022】
前記コネクタパーツは前記差し込み部材と、例えば前記差し込み部材の外側螺刻部と確実に係合する係合部分を有する。この係合部分は、前記差し込み部材と接続される時に前記差し込み部材と確実に係合する、すなわち差し込み部材を確実に把持する、スナップ嵌め式の接続、係止手段、把持指部等を含むものでよい。このような構造は、高圧液体接続をするとき、例えば高粘度の液体を移送するか、または集めるときに適している。所定の組の実施形態では、この係合部分は前記液体移送先端部の少なくとも一部の周りに配されたカラーを有する。好ましい組の実施形態では、このカラーは前記液体移送先端部の周り360°にわたって取り囲んでいる。別の組の複数の実施形態では、このカラーは使用時に前記コネクタパーツに取り付けられた差し込み部材上に設けられた対応する係合機能部と係合する少なくとも一つの係合機能部を有する。このカラーと係合機能部は前記したISO規格の任意のものと合致するものでよい。好ましい組の実施形態では、この少なくとも一つの係合機能部は内側螺刻部を有する。もちろん、この内側螺刻部は前記カラーの一部の周りのみに配されたものでよい。
【0023】
所定の組の複数の実施形態では、このカラーは第1部分と第2部分を有し、前記第2部分は前記流量調節機構部によって動かされて、前記第2部分が前記コネクタパーツに取り付けられた差し込み部材と使用時に係合する初期の動作位置から前記第2部分が差し込み部材と非係合状態になった最終の動作位置まで前記第2部分が動かされるものでよい。動くと前記差し込み部材と非係合状態になる部分を少なくとも一つ有する分割されたカラーによって、外側螺刻部を有する差し込み部材を回転させなくても該差し込み部材を簡単に取り外すことができる。所定の組の複数の実施形態では、前記カラーの第2部分は前記流量調節機構部と一体になっている。例えば、取り外し部材を有する実施形態では、前記カラーの第2部分は該取り外し部材と一体になっていてもよく、その場合例えば前記第2部分は該取り外し部材の前方部分から延設されたものでよい。
【0024】
所定の組の複数の実施形態では、前記装置は前記コネクタパーツと液体連通した一体となった液体室をさらに有する。この液体室は、例えばシリンジを形成するものでよい。このような装置はユーザーが該装置から出ていく流量を設定して、例えば、極めて短時間で、液体が患者に投与されたり患者から液体が抜きとられたりすることがないことを確実にすることを可能にするので有利である。
【0025】
別の組の複数の実施形態では、前記装置は前記コネクタパーツと液体連通している第2のコネクタパーツを有する。前記装置が同様にさらに別のコネクタパーツを一つ以上有する場合もある。複数の別のコネクタパーツによって、複数の異なる液体を混ぜて、前記液体移送装置を通すことができる。当業者はわかることであるが、前記流量調節機構部は前記第2のコネクタパーツおよび(一つまたは複数の)別のコネクタパーツを通って前記液体移送装置に入る混ぜ合わされた流れを調節する。前記第2のコネクタパーツおよび(一つまたは複数の)別のコネクタパーツは、別の部品との接続を可能にする形態のものであれば任意の形態のものでよい。前記第2のコネクタパーツおよび(一つまたは複数の)別のコネクタパーツは、オプションになるがISO80369シリーズの小径孔のコネクタ規格うちの一つの規格の要件に合致するものでよい。当業者はわかることであるが、このような組の複数の実施形態は2つの異なる部品の間で接続されるコネクタの形の液体移送装置を提供する。例えば、前記第2のコネクタパーツおよび(一つまたは複数の)別のコネクタパーツは液体源を備える柔らかいチューブ、例えば生理食塩水溶液に接続された点滴ラインに接続されるものでよい。別の組の複数の実施形態では、前記液体移送装置は前記コネクタパーツと液体連通している一体となった液体移送ホースを有する。
【0026】
当業者はわかることであるが、前記液体移送装置は液体を該装置を通してその外部に流し、すなわち前記コネクタパーツを通して該装置の外部に流し、さらに、または代わりに液体を該装置を通してその装置の中に流す、すなわち前記コネクタパーツを通して該装置の中に流すものでよい。前記装置を通る流れの方向はその用途に依存する。例えば、前記装置を用いて液体を患者に投与する場合、または前記装置を用いて患者から液体を抜きとる場合かにより前記装置を通る流れの方向が変わる。同様に、前記装置を通る流れの方向はシステム中で前記装置がどのように接続されているか、すなわち前記コネクタパーツが液体源に接続されているか、またはその液体源が前記装置のどこかで接しているか、例えば第2のコネクタパーツがある場合その第2のコネクタパーツと接しているかによって変わる。
【0027】
所定の組の複数の実施形態では、前記液体移送装置は本体を有し、その本体から前記コネクタパーツが延設され、その本体に前記流量調節機構部が動かすことができる状態で取り付けられている。前記流量調節機構部がバルブを有する実施形態では、該バルブは前記本体内に前記流量調節機構部と一体で設けられることが好ましい。
【0028】
接続された差し込み部材を取り外すための一体的な手段を有する装置であって、該手段だけでなく該装置を通る液体の流れを調節するための一体的な手段をさらに有し、この液体の流れを調節するための一体的な手段とこの取り外すための一体的な手段とを独立に調節できる装置は、それ自体が新規で進歩性を有するということを出願人はわかった。このような本願発明の第2の特長は、
本体と、
前記本体から延設され、使用時に対応する差し込み部材に取り付けられる医療用コネクタパーツと、
前記本体および前記医療用コネクタパーツを貫通して延設された液体流路と、
前記本体中の前記液体流路中に設けられ、前記液体流路を通って流れる液体の流量を選択した流量に調節するのに用いられる流量調節機構部または流量調節バルブと、
前記本体に取り付けられ、使用時には前記医療用コネクタパーツに対して動いて前記医療用コネクタパーツに取り付けられた前記差し込み部材を外す取り外し部材と、を有する液体移送装置であって、
前記流量調整バルブと前記取り外し部材は独立して動かすことができる液体移送装置を提供する。
【0029】
当業者はわかることであるが、前記装置を通る液体の流れを調節し、前記装置から差し込み部材を取り外すことを制御する能力が一体的に前記装置に与えられているので、これらの2つの機能を実現するためにホース締め具のような別の医療用部品は必要でない。前記装置はそのため施術者が行う手順を簡単にし、施術者は単一の装置を用いて複数の仕事を実行することができる。ユーザーは前記流量調節機構部を動かして前記装置通る所望の流量を得るとともに、前記流量調節バルブの状態に関わらず、前記取り外し部材を動かして差し込み部材を取り外すことができる。
【0030】
一つ以上の実施形態では、前記取り外し部材が初期の取り付け位置のままで、前記流量調節バルブを初期の形態と最終の形態の間で独立に動かすことができる。このことは差し込み部材を外すことなく流量を変化させることができることを意味する。
【0031】
一つ以上の実施形態では、前記流量調節バルブは最初の形態から最終の形態までの可動範囲を有し、前記流量調節バルブが前記最初の形態のときは前記流路を少なくとも部分的に開通させ、前記流量調節バルブが前記最終の形態のときは前記流路を閉塞する。流量はそのため前記液体流路を開通/閉塞することにより変えることができる。
【0032】
一つ以上の実施形態では、前記可動範囲内での前記流量調節バルブの動作位置がうごくことによって前記装置を通る流量が変わり、前記液体流路を徐々に閉塞させると前記装置を通る流量が最大流量から最小流量に減少する。
【0033】
一つ以上の実施形態では、前記流量調節バルブは前記可動範囲の途中の複数の動作位置で留まり安定になる。前記流量調節バルブはその初期の形態からその最終の形態まで連続的に動かすことができるものでもよい。一つ以上の実施形態では、前記流量調節バルブは前記最終の形態から前記初期の形態に戻る方向に動かすことができて、前記液体流路を少なくとも部分的に開通させることができる。このとき前記流量調節バルブは前記取り外し部材と一体となって動くものでよい。
【0034】
一つ以上の実施形態では、前記取り外し部材を初期の取り付け位置から最終の取り外し位置まで前記医療用コネクタパーツに対して動かすことができ、前記取り外し部材が前記初期の取り付け位置のときは、使用時に対応する差し込み部材を前記医療用コネクタパーツに取り付けることができ、前記取り外し部材が前記最終の取り外し位置のときは、使用時に前記取り外し部材が前記医療用コネクタパーツに取り付けられた前記差し込み部材を取り外すように働く。
【0035】
一つ以上の実施形態では、前記取り外し部材をその最終の取り外し位置に向かって動かすことにより、前記流量調節バルブがその最終の形態に向かって動かされて、前記流量調節バルブと前記取り外し部材が一体となって動く。このことは取り外しの工程の間は常に前記液体流路が閉塞されて、液体を漏出させずに取り外し周囲を濡らすことがないことを意味する。
【0036】
一つ以上の実施形態では、前記流量調節バルブがその/所定の最終の形態のまま、前記取り外し部材をその/所定の初期の取り付け位置とその/所定の最終の取り外し位置の間で独立に動かすことができる。このことは、前記取り外し部材を使用時に独立に動かして差し込み部材を取り付け、または取り外す間、前記液体流路を閉塞させたままにできることを意味する。前記流量調節バルブを動かして前記液体流路を再び開通させる前に、一つの差し込み部材を外して、別の差し込み部材を取り付けることができる。
【0037】
一つ以上の実施形態では、前記したように、前記医療用コネクタパーツは液体移送先端部を有する。
【0038】
一つ以上の実施形態では、前記したように、前記液体移送先端部はテーパ形状であり、前記取り外し部材は前記テーパ形状の先端部の少なくとも一部の上を動かされ、前記差し込み部材を前記テーパ形状の先端部に沿って前方に動かして摩擦嵌めを解除して、前記取り外し部材は取り付けられた差し込み部材を外す。
【0039】
一つ以上の実施形態では、前記取り外し部材は肩部を有し、この肩部が前記テーパ形状の先端部に沿って前方に動くのは、前記取り外し部材がその/所定の最終の取り外し位置に向かって動くときのみである。前記取り外し部材が動いてその/所定の最終の取り外し位置になって始めて、前記取り付けられた差し込み部材が摩擦嵌めから解放されるのが好ましい。
【0040】
一つ以上の実施形態では、前記したように、前記医療用コネクタパーツはカラーを有し、該カラーは前記液体移送先端部の周囲の少なくとも一部に配され、使用時には差し込み部材と確実に係合する。
【0041】
一つ以上の実施形態では、前記したように、前記カラーは第1部分と第2部分を有し、前記第2部分は前記取り外し部材によって初期係合位置から最終非係合位置まで動かされ、前記第2部分が使用時に前記初期係合位置にあるときは前記第2部分は前記コネクタパーツに取り付けられた前記差し込み部材と係合し、前記第2部分が使用時に前記最終非係合位置にあるときは前記差し込み部材と係合していない。
【0042】
一つ以上の実施形態では、前記したように、前記カラーの前記第2部分は前記取り外し部材と一体的に設けられている。
【0043】
一つ以上の実施形態では、前記したように、前記カラーの前記第2部分は内側螺刻部を有する。
【0044】
一つ以上の実施形態では、前記したように、前記装置はさらに一体となった液体室を有し、該液体室は前記医療用コネクタパーツと液体連通している。
前記液体移送装置はシリンジであることが好ましい。
【0045】
一つ以上の実施形態では、前記したように、前記取り外し部材は支軸周りに旋回できるように取り付けられたレバー部材を有する。
【0046】
一つ以上の実施形態では、前記したように、前記装置はさらに流量調節部材を有し、この流量調節部材は直接前記流量調節バルブを動かす。この流量調節部材は支軸周りに旋回できるように取り付けられたレバー部材を有するのが好ましい。前記取り外し部材と前記流量調節部材はともに旋回可能なように接続されているものでよい。前記取り外し部材と前記流量調節部材の軸支点は共通でよい。
【0047】
一つ以上の実施形態では、前記取り外し部材は前記流量調節部材の下に配置され、そのため前記取り外し部材をその/所定の最終の取り外し位置に向かって動かすと常に前記流量調節部材を動かして前記液体流路を通る液体の流量を遮断する。このことにより、確実に周囲を濡らさないで取り外すことができ、液体が漏れるのを防げる。
【0048】
前記した第1の特長と同様に、前記装置は一体となった液体室を有し、該一体となった液体室はシリンジのような装置を形成するものでよい。または、代わりに前記装置は第2コネクタパーツを有するものでよく、該第2コネクタパーツは前記医療用コネクタパーツと液体連通し、例えば液体移送用ホースのような別の部品に接続するのに用いられる。本願発明の第1および第2の特長にかかわらず、当業者はわかることであるが、前記流量調節バルブおよび前記取り外し部材は、前記装置と一体になっていて、前記装置の本体の一部になっている、または前記装置の本体に取り付けられている。
【0049】
本願発明の前記した実施形態の特徴部分は、適宜本願発明の第2の特長に適用できる。
【0050】
当業者はわかることであるが、前記差し込み部材は多数の異なる医療用部品のうちの任意のものとの接続点を構成する。例えば、前記差し込み部材は組立注射針または液体移送ホースの一部でもよい。同様に、前記差し込み部材はコネクタパーツへの取り付けるのに適した形であれば、いかなる形のものでもよい。例えば、前記差し込み部材はテーパ形状の先端部を有する実施形態で用いるためにテーパ形状の内面を有する雌型差し込み部材でもよい。代わりに、前記差し込み部材は雌型の形状を有するコネクタパーツと係合させるための雄型の外形を有するものでもよい。少なくとも所定の実施形態では、前記差し込み部材はその外面上に係合機能部を有し、この係合機能部が前記コネクタパーツ上にある係合機能部と合わされたときに係合できるものであればよい。前記差し込み部材は前記したISO80369規格のうちのどれか一つの規格に合致するものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
実施例を用い、以下の添付した図面を参照して、本願発明のいくつかの好ましい実施形態を説明する。
【0052】
図1図1は本願発明の一つの実施形態にかかる液体移送装置の斜視図を示し、流量調節機構部が初期形態である状態を示す。
図2図2図1中に見えるコネクタの取り外し部材の分離した状態の斜視図を示す。
図3図3図1中に見えるコネクタの流量調節部材の斜視図を示す。
図4図4図1中に見える液体移送装置の本体の斜視図を示す。
図5図5は液体移送装置の本体と流量調節部材が組付けられて一体になっている状態の斜視図を示す。
図6図6は後方から見たときの取り外し部材の斜視図である。
図7図1中に見える切り離した液体移送装置を後方から見た斜視図である。
図8図8図1に見える液体移送装置の断面図である。
【0053】
図9図9図1中に見える液体移送装置の斜視図であり、液体移送装置は部分的に切り離されている。
図10図1に見える液体移送装置の斜視図であり、その流量調節機構部の状態は中間の形態になっている。
図11図11図10中に見える形態の液体移送装置の断面図を示す。
図12図12図10中に見える形態の液体移送装置の斜視図であり、同液体移送装置は部分的に切り離されている。
図13図13図1中に見える液体移送装置の斜視図を示し、流量調節機構部がその旋回可動範囲の第1区間を動いたコネクタ2の状態を示す。
図14図14図13中に見える形態の液体移送装置の断面図を示す。
図15図15図13中に見える形態の液体移送装置の斜視図を示し、同液体移送装置は一部が切り離されている。
図16図16図13中に見える形態の液体移送装置の斜視図を示し、同液体移送装置には差し込み部材が取り付けられている状態を示す。
図17図17図16に示す差し込み部材が取り付けられた液体移送装置の断面図を示す。
【0054】
図18図18は、実施形態の最終の形態の液体移送装置の斜視図を示す。
図19図19図18中に見える最終の形態の液体移送装置の断面図である。
図20図20図18中に見える形態の液体移送装置の斜視図を示し、同液体移送装置の一部は切り離されている。
図21図21は前記最終の形態の液体移送装置のその後ろから見た斜視図を示し、この斜視図中の液体移送装置は差し込み部材が外された状態になっている。
図22図22図21中に見える液体移送装置の断面図を示す。
図23図23は実施形態の液体移送装置の斜視図を示す。
図24図24図23中に見える形態の液体移送装置の断面図を示す。
【0055】
図25図25は、本願発明の別の実施形態にかかるコネクタの形の液体移送装置の斜視図を示す。
図26図26図25の液体移送装置の斜視図を示し、この斜視図の液体移送装置の取り外し部材はその旋回可動範囲の一部だけ動いた状態になっている。
図27図27図25および図26の液体移送装置の斜視図であり、この図の取り外し部材はその最終の形態である。
図28図28図26から図27の液体移送装置の斜視図であり、取り外し部材がその旋回可動範囲の一部だけ旋回し、調節部材がその最終の形態である状態を示す。
図29図29図25から図28の液体移送装置の斜視図を示し、取り外し部材がその初期の形態で、調節部材がその最終の形態にある状態を示す。
【0056】
図30図30は本願発明の別の実施形態にかかるシリンジの形の液体移送装置の斜視図を示す。
図31図31は、図30の液体移送装置の斜視図を示し、取り外し部材がその旋回可動範囲の一部だけ旋回した状態を示す。
図32図32は、図30および図31の液体移送装置の断面図を示し、取り外し部材がその最終の形態である状態を示す。
図33図33は、図30から図32の液体移送装置の斜視図を示し、取り外し部材がその旋回可動範囲の一部旋回し、調節部材がその最終の形態である状態を示す。
図34図34は、図30から図33の液体移送装置を示し、取り外し部材がその初期の形態であり、調節部材がその最終の形態である状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1は本願発明の一つの実施形態にかかるコネクタ2の形態をした液体移送装置の斜視図である。コネクタ2の前方端部は使用時に対応する差し込み部材を接続するのに用いるコネクタパーツ4を有する。コネクタパーツ4は液体流路8を有するテーパ形状先端部6の形の液体移送先端部を有し、液体流路8はテーパ形状先端部6を貫通して延設されている。コネクタパーツ4はさらにテーパ形状先端部6を囲繞するカラー10を有する。本実施形態では、カラー10はテーパ形状先端部6の周り360°にわたって取り囲み、第1(下側)部分12と第2(上側)部分14に分かれている。第1部分12は(図2でもっと明確になっている)コネクタ2の本体から延びており、テーパ形状先端部6に対して固定されている。第2部分14はテーパ形状先端部6に対して動かすことができるように取り付けられている。第2部分14は、内側螺刻部16の形の係合機能部を有し、内側螺刻部16はコネクタパーツ4に取り付けられた差し込み部材の上に設けられた対応する係合機能部と使用時に係合する。第1部分12はさらにその2つの端部のそれぞれに係止機能部18を備え、これらの係止機能部18は第2部分14の両端部に設けられた対応する戻り止め部20に当たって係止される。この係止は、カラー10を図1中に見える閉じた形態に保持するのに役立っている。
【0058】
コネクタ2は、さらにコネクタ2の後方部に設けられた第2コネクタパーツ22を有し、この第2コネクタパーツ22は別の部品、例えば液体移送ホースに接続するのに用いられる。第2コネクタパーツ22は、外側螺刻部23を有し、外側螺刻部23はその螺刻部と螺合するように螺刻された別の部品を螺着するのに用いられる。
【0059】
コネクタ2はさらに流量調節部材26を有する流量調節機構部24と取り外し部材28を有する。本実施形態では、流量調節部材26と取り外し部材28のそれぞれは支軸まわりに旋回可能に取り付けられたレバー部材の形態である。カラー10の第2部分14は取り外し部材28と一体に設けられており、その結果、取り外し部材28が動かされると第2部分14も動く。
【0060】
図1では流量調節機構部24はその初期形態になっている。この初期形態では、第2部分14はカラー10が閉じた形態になるようにテーパ形状先端部6の周りを囲んでいる。流量調節部材26は、取り外し部材28に対して支軸周りに前方に旋回すると、コネクタ2を貫通する液体流路が閉塞される。図8でこのことはもっと明確にわかる。
【0061】
この図には示されていないが、適合する差し込み部材がコネクタパーツ4に接続でき、別の部材、例えば液体移送ホースが第2コネクタパーツ22に取り付けることができる。
本実施形態では特に、コネクタパーツ4はISO80369―7規格、すなわちルール型接続部品に合致している。もちろん、コネクタパーツ4は適合するのなら任意の形態のものでよく、代わりに例えばISO80369規格の別の規格に合致するものでもよい。
【0062】
図2は取り外し部材28の斜視図を示す。図1中で見えるカラー10の第2部分14は取り外し部材28と一体になっているのがこの図でより明確にわかる。取り外し部材28はさらに、第1脚部30aと第2脚部30bを有する二股延出部30を有する。再び図1を見ると、第1脚部30aと第2脚部30bはそれぞれ液体移送先端部6の一方および他方側にある。取り外し部材28が動かされる時、すなわち支軸周りに旋回する時、二股延出部30はコネクタパーツ4に作用して、差し込み部材をコネクタパーツ4から外す。
【0063】
図3は流量調節部材26の斜視図を示す。流量調節部材26はバルブ部材34と係合する第1および第2駆動脚部32a、32bを有する。バルブ部材34はバルブ流路36を有し、バルブ流路36はバルブ部材34を貫通している。バルブ部材34の動きはより詳細に以下で説明する。バルブ部材34はA-Aの名前のついた軸周りを回転するようにコネクタ2の内部に取り付けられている。当業者ならばわかることではあるが、流量調節部材26が回転可能に取り付けられたバルブ部材34と係合することにより、流量調節部材26がA-Aの名前のついた軸を通る支軸の周りに旋回できることになる。
【0064】
流量調節部材26はさらに、2個の位置調節腕部38を有する。2個の位置調節腕部38のそれぞれは、連続して設けられた複数の戻り止め部40を有する。流量調節部材26はさらに、流量調節部材26の上側表面44から外側に延設された複数の翼部分42を有する。流量調節部材26がその図1中に見える初期形態から流量調節部材26が取り外し部材28と接触する中間形態に動いた時に、これらの翼部分42は図1中に見える取り外し部材28と係合する大きさになっている。
【0065】
図4図1中に見えるコネクタ2の本体46の斜視図を示す。本体46はテーパ形状先端部6と図1中に見えるカラー10の第1部分12を有する。本体46はさらに、第2コネクタパーツ22を有する。本体46はテーパ形状先端部6まで貫通する液体流路8を備える。円筒形状の空洞48が液体流路8に垂直に延設され、液体流路8を分割し、図3中に見えるバルブ部材34を液体流路8の中に挿入することを可能にする。本体46はさらに、その側面のそれぞれに、取り外し部材28を所定の位置に保持するために取り外し部材28の上に形成された突起部が入る凹み部50がある。
【0066】
図5は流量調節部材26とそれと結合したバルブ部材34を示し、これら部材が組付けられて本体46になっていることを示す。
【0067】
図6は取り外し部材28の後方部の斜視図を示す。第1および第2突起部52が取り外し部材28の内面54に設けられている。これらの突起部52は、図4中に見える本体46上の複数の凹み部50と係合して、本体46に対して取り外し部材28が所定の固定された旋回位置に保持されるような位置にある。取り外し部材28は複数の突起部52が位置する内面54より上にある二つの側方部の間のチャネル56を画定する。チャネル56は本体46の所定部分よりも狭くなっていて、取り外し部材28はその所定部分の周りで旋回する。その結果、取り外し部材28が支軸周りに旋回する時、本体46がチャネル56の中に入り、取り外し部材28を変形させる。特にチャネル56の近くの領域の取り外し部材28を変形させる。本実施形態では、取り外し部材28は弾性樹脂のような変形しても元の状態に戻る材料からできている。この変形がおきる結果、この場合取り外し部材28は図1中に見える最初の形状に戻ろうとするように付勢される。チャネル56の端には、円形の開口58があり、この開口58の直径は本体46の直径に等しい。取り外し部材28が所定量支軸周りに旋回して、本体46が円形開口の中に入ると、取り外し部材28の変形はなくなるので、元の状態に戻るように付勢されない。そのため、この位置にくると、取り外し部材28は安定になり、ユーザーによる作用を受けなければ動かない。
【0068】
図7は切り離したコネクタ2の後方部の斜視図である。図7中に見える形態では、取り外し部材28上の突起部52が本体46上の凹み部50と係合している。この係合により、図1中に見える状態に取り外し部材28が保持される。当然わかることであるが、取り外し部材28を動かすには、例えばコネクタ2に接続されている差し込み部材を取り外すために、突起部52と凹み部50の間の係合をまず解除しなければならない。このことは、十分に大きな下向きの力を取り外し部材28に加えて、取り外し部材28を変形させて突起部52と凹み部50の係合を解除することによってなされる。一旦この係合が解除されれば、取り外し部材28は支軸周りに旋回可能になる。この図は、また取り外し部材28が支軸周りに旋回して図1に見える初期の状態でなくなる時に取り外し部材28を変形させるためにチャネル56の大きさが本体46よりも小さい理由を明確に示している。
【0069】
図8は流量調節機構部24が図1に見える初期の形態になっている状態でのコネクタ2の断面図を示す。この図からわかるように、流量調節部材26はその初期の状態である最も前方にあり、さらに取り外し部材28はその初期の状態になっていて、カラー10は閉じた形態になっている。この形態では、バルブ部材34の向きは、バルブ流路36がテーパ形状先端部6と本体46を貫通する流路8と一直線に並ぶ向きになっていない。この形態では、液体がコネクタ2を通って流れることが完全に防がれている。
【0070】
図9はコネクタ2を部分的に切り離した図である。この図において、流量調節部材26が取り外し部材28を所定の固定された旋回位置で保持するように取り外し部材28にどのような作用しているかを示すため、取り外し部材28の側方部は示されていない。取り外し部材28は係合部分60を有し、係合部分60は図3に示す流量調節部材26の位置調節腕部38に設けられた複数の戻り止め部40と係合する。当業者ならばわかることであるが、係合部分60は位置調節腕部38に設けられた連続的に設けられた複数の戻り止め部40のいずれとも係合できる。係合部分60と連続的に設けられた複数の戻り止め部40とのいずれかが係合することにより、流量調節部材26が取り外し部材28に対して所定の固定された旋回位置で保持され、その結果コネクタ2を通る液体の流れが一定流量に維持される。
【0071】
図示してはいないが、コネクタ2はその外面上にコネクタ2を流れる流量を示す連続配置される標示を含んでもよい。コネクタ2を流れる流量を設定するには、流量調節部材26はこれらの標示の少なくとも一つの位置に保持すればよい。
【0072】
図10はコネクタ2の斜視図を示し、その流量調節機構部24が初期の形態から最終の形態までの旋回可動範囲中の所定位置まで動かされた状態を示す。具体的に、流量調節機構部24は取り外し部材28に向かう途中まで支軸周りに旋回している。この旋回動作の結果がコネクタ2の断面図を示す図11中に見える。流量調節機構部24が取り外し部材28に向かって支軸周りに旋回した状態なっているので、バルブ部材34は回転し、その結果バルブ流路36がテーパ形状先端部6および本体46を貫通して延びる流路8と部分的に一直線に並んでいる。当業者ならばわかることであるが、適合する差し込み部材がコネクタパーツ4に取り付けられて、適切な液体源が第2コネクタパーツ22に接続された状態で、液体は液体源からコネクタ2を通って設定した流量で流れる。当業者ならばわかることであるが、バルブ部材34によって許容される流量は、バルブ流路36が完全に流路8と一直線に並んだ場合の流量よりも少ない。
【0073】
図12図9に見えるものと同様な部分的に切り離されたコネクタ2の図を示す。位置調節腕部38上の戻り止め部40は取り外し部材28上の係合部分60と係合し、その結果、流量調節部材26は取り外し部材28に対して所定の固定された旋回位置に保持される。図7に関して述べたように突起部52と本体46上に設けられた凹み部50が係合することによって、取り外し部材28が所定の固定された旋回位置に保持されるため、流量調節部材26もまた本体46に対して所定の固定された旋回位置に保持される。その結果、バルブ部材34もまた本体46に対して所定の固定された旋回位置に保持され、コネクタ2を通って流れる流量が一定になる。
【0074】
図13はコネクタ2の斜視図を示し、流量調節機構部24がその初期形態からの旋回可動範囲の中でさらに最終形態に向かって動いたコネクタ2の状態を示す。コネクタ2を通って流れる流量をさらに増大させるために、流量調節部材26が取り外し部材28に向かってさらに支軸周りに旋回して、図13に示す旋回位置にある。取り外し部材28は初期の旋回位置の、すなわちカラー12が閉じた形態のままである。
【0075】
図14図13中に見える形態のコネクタ2の断面図を示す。本実施形態で流量調節部材26がちょうど取り外し部材28に接触するときの点まで支軸周りに旋回すると、バルブ部材34が回転して、バルブ流路36がテーパ形状先端部6および本体46を貫通して延設される流路8と完全に一直線に並ぶ回転位置になる。したがって、流路8,36の内径で制限される最大流量までコネクタ2を通って液体が制限されずに流れることができる。
【0076】
図15図13中および図14中に見える形態のコネクタ2の図を示し、同コネクタ2は一部が切り離されている。突起部60と一番奥の戻り止め部40が係合することによって、流量調節部材26は所定の固定された旋回位置に保持されている。その結果、流量調節部材26はこの旋回位置で維持され、ユーザーが流量を修正しようとするまではユーザーからこれ以上作用を受けることなく液体がコネクタ2を通って流れる。
【0077】
図16図13から図15中に見える形態のコネクタ2の斜視図を示し、長く延びた液体ホース64の一端となっている差し込み部材62がコネクタパーツ4に接続され、長く延びる第2液体ホース65の一端となっている第2差し込み部材66が第2コネクタパーツ22に接続されている状態を示す。液体ホース64は例えば患者の静脈内に接続されるものでよく、第2液体ホース65は例えば、生理食塩水の点滴に接続されるものでよい。生理食塩水からの液体は第2液体ホース65、コネクタ2および液体ホース64を通って流れて患者の体内に入る。この液体の流量は、ユーザーが流量調節部材24を動かすことによって調整できる。図17図16中に見える第1および第2差し込み部材62,64が接続された状態のコネクタ2の断面図を示す。第1および第2液体ホース64、65とともに、それぞれに対応する第1および第2差し込み部材62,66が、コネクタ2に取り付けられた状態で、しかも流量調整部材24が図示された旋回位置にあるとき、液体は制限されずにコネクタ2を通って流れる。
【0078】
図18はコネクタ2の斜視図を示し、同コネクタ2では流量調節機構部24がその全旋回可動範囲を動かされて最終の形態になった状態を示す。図13中に見える旋回位置のときに、流量調節部材26がユーザーによってさらに押圧されると、加えられた力が複数の翼部分42を介して取り外し部材28に伝達される。複数の翼部分42は加えられた力を取り外し部材28の上縁部70に伝達する。ユーザーはまず、取り外し部材28を支軸周りに旋回させること可能にするために(この図では示されていない)突起部52と凹み部50の係合を解除する閾値の力を加えなければならない。さらに、取り外し部材28と一体となって設けられているカラー12の第2部分14が係止機能部18と戻り止め部20を係止させることによって第1部分12に係止されているので、取り外し部材28を支軸周りに旋回させるためには、その前に十分な力をさらに加えてこの係止状態を解除しなければならない。一旦、前記した閾値の力が加えられて、突起部52と凹み部50の係合が解除され、さらに前記した係止状態が解除されると、ユーザーがさらに取り外し部材28に力を加えることによって、取り外し部材28は支軸周りに旋回して本体46に対して動く。もちろん、取り外し部材28を支軸周りに旋回させて本体46に対して動かすためには、十分な力を加えて、取り外し部材28の変形の結果として生じる元の状態に戻ろうとする前記した付勢力にも打ち勝たなければならない。
【0079】
取り外し部材28を図18中に見える最終の形態に向かって支軸周りに旋回させると、取り外し部材28の支軸周りの旋回の動きによって、第2部分14を動かしてテーパ形状先端部6から離し、それによって内側螺刻部16とコネクタ2に取り付けられた差し込み部材の間のいかなる係合も解除される。さらに、取り外し部材28を支軸周りに旋回させると、二股延出部30もまた支軸周りに旋回してテーパ形状先端部(液体移送先端部)6に対して動き、第1および第2脚部30a、30bが支軸周りに旋回して上方に動き、それらの少なくとも一部はテーパ形状先端部6に沿って動く。差し込み部材がコネクタ2に取り付けられて、摩擦嵌めによりテーパ形状先端部6に取り付けられると、第1および第2脚部30a、30bの動きは差し込み部材を押してテーパ形状先端部6から外し、摩擦嵌めを解除するように機能する。
【0080】
コネクタ2から差し込み部材を外すために流量調節機構部24をその全旋回可動範囲を動かして図18中に見える最終の形態にすると、流量調節部材26による取り外し部材28の動きによってバルブ部材34(図18中には見えない)も動かされる。本実施形態では、流量調節機構部24が動かされて図18中に見える最終の形態になると、バルブ部材34はコネクタ2を通る液体の流れを完全に止める図19中に示される回転位置になる。好都合なことに、このことは、差し込み部材がコネクタ2から外されて、コネクタ2を通る液体の流れが防がれて液体が漏れることがないことを意味する。このことにより、取り付けられた差し込み部材を外すときにその周りを濡らさないですむ。前記したように、このことは数多くの理由で有利である。例えば、移送する液体中に含まれる高価な薬を無駄にすることを防ぎ、さらに周囲の作業をする面を移送する液体で汚染することを防ぐことができる。
【0081】
前記したように、図19図18中に見える最終の形態のコネクタ2の断面図を示す。
バルブ部材34はさらに回転して、バルブ流路36がテーパ形状先端部6および本体46を貫通する液体流路8と一直線に並ぶ状態から完全にずれている。その結果、液体はコネクタ2を取って流れることができない。
【0082】
ユーザーが加えた力を緩めると、流量調節機構部24は図18中に見える最終の形態に保持される。図20はコネクタ2を後方から見た図であり、この図中のコネクタ2は一部切り離れている。流量調節機構部24が図18中に見える最終の形態の状態で、本体46は取り外し部材28により形成された丸い開口58内に入っている。その結果、取り外し部材28の変形はなくなるので、取り外し部材28は元の状態に戻ろうとする付勢力を受けず、取り外し部材28は最終の形態で見られる旋回位置のままである。
【0083】
図21図18中に見える形態のコネクタ2の斜視図を示し、この斜視図中の差し込み部材62はコネクタパーツ4から外れた状態になっている。流量調節機構部24が動かされて最終の形態になると、第2部分14が動かされて差し込み部材62から離れ、カラー12を動かして開いた形態にする。さらに、流量調節機構部24が動かされると、第1および第2脚部30a、30bが差し込み部材62の後端面74に押し当たてられ、差し込み部材62をテーパ形状先端部6(この図では見えない)に沿って前方に動かして、差し込み部材62とテーパ形状先端部6の間の摩擦嵌めを解除する。
【0084】
図22図21中に見える構造の断面図を示す。差し込み部材62がテーパ形状先端部6から外される時は、流量調節機構部24が最終の形態の状態で、バルブ流路36またはバルブ34が、テーパ形状先端部6を貫通する液体流路8および本体46を貫通する液体流路8と一直線に並ぶ状態からずれている。本実施形態では、バルブ部材34の構造は差し込み部材62が完全に外れる前にバルブ流路36がずれた状態になるようになっており、このような構造によって、差し込み部材62が外れた後、液体がコネクタ2からほとんど漏れないか、または全く漏れなくなることが確実になる。
【0085】
図23はコネクタ2の斜視図を示し、この斜視図中のコネクタ2の流量調節機構部24はその全旋回可動範囲を旋回した後に、その最終の形態から脱して初期の形態に戻る方向に旋回した状態である。取り外し部材28は動かないままであるが、流量調節部材26は支軸周りに旋回して取り外し部材28から離れている。流量調節部材26を支軸周りに旋回させて取り外し部材28から離すことによって、バルブ部材34(この図では見えない)を回転させて、液体をコネクタ2を通して流すことができる回転位置に戻す。
【0086】
図24は、図23中に見える形態のコネクタ2の断面図を示す。取り外し部材28は本体46に向かって支軸周りに旋回した旋回位置のままである。流量調節部材26を初期の位置に戻る方向に支軸周りに旋回させることにより、バルブ部材34が回転して取り外し部材28がテーパ形状先端部6および本体46を貫通する液体流路8と一直線に並ぶ位置に取り外し部材28が来る。図23および図24中に見える形態は、ユーザーがコネクタ2から差し込み部材を外し、その後差し込み部材を再び取り付けることなく、例えば液体移送装置を洗い流すために液体をコネクタ2を通して流すことができるので好都合である。
【0087】
当業者ならばわかることではあるが、流量調節部材26と取り外し部材28を有する流量調節機構部24は差し込み部材をコネクタ2に取り付けなくても動作可能である。このことにより、例えばユーザーは差し込み部材に取り付けられる前のコネクタ2を通して液体を取り出すことができる。さらに、差し込み部材を取り付ける前に、コネクタ2を動かして、コネクタ2を図18中に見える最終の形態にしてもよい。流量調節機構部24を動かしてこの最終の形態にし、第2部分14を動かして液体移送先端部6から離すことにより、差し込み部材をより簡単にコネクタ2に取り付けることができる。第2部分14が開いた形態の状態で、差し込み部材をコネクタパーツ4上を滑動させてコネクタパーツ4に被せることができ、さらに取り外し部材28をその図18中に見える最終の形態から解除して、取り外し部材28の変形によって生じる取り外し部材28を元の状態に戻ろうとする付勢力によって取り外し部材28を動かして図13中に見える旋回位置に戻し、このようにして第2部分14を第1部分12に向けて戻るように動かして、閉じた形態のカラー10を形成する。この状態では、第2部分14上の内側螺刻部16は差し込み部材の対応する係合機能部と完全に一直線に並んでなくてもよい。その場合でも、差し込み部材を両者が一直線に並ぶまで少し回転すれば、差し込み部材はカラー10の第2部分14上の内側螺刻部16と確実に係合する。
【0088】
図25~29は本願発明の別の実施形態にかかるコネクタ102の形の液体移送装置の斜視図を示す。コネクタ102の前方端部は使用時に対応する差し込み部材(例えば、図16および図17中に見える差し込み部材62)を接続する医療用コネクタパーツ104を有する。コネクタパーツ104は液体流路108を有するテーパ形状先端部106の形の液体移送先端部を有する。液体流路108はテーパ形状先端部106を貫通している。コネクタパーツ104はさらに実質的にテーパ形状先端部106を囲繞するカラー110を有する。カラー110は第1下側部分112と第2上側部分114に分割される。第2部分114はコネクタ102の本体115(図27中に見える)から延設され、テーパ形状先端部106に対して固定されている。テーパ形状先端部106も本体115から延設されている。第1部分112は係合機能部を有し、この係合機能部は使用時にコネクタパーツ104に取り付けられた差し込み部材上の対応ずる係合機能部と係合する内部溝または螺刻部116の形のものである。
【0089】
本体115はさらにコネクタ102の後部に設けられた第2コネクタパーツ122を有し、この第2コネクタパーツ122は他の部品、例えば液体移送ホースを接続するのに用いられる。第2コネクタパーツ122は外側螺刻部123を有し、外側螺刻部123は適合するねじが切られた他の部品と螺合させるために用いられる。
【0090】
コネクタ102はさらに流量調節部材126を有する流量調節機構部124と取り外し部材128を有する。この実施形態では、流量調節部材126の取り外し部材128のそれぞれは支軸周りに旋回可能なレバー部材であって、それぞれ独立に動かすことができるレバー部材の形の部材である。流量調節部材126はバルブ部材を有し、このバルブ部材は図3を参照して前記したバルブ部材と同様なものであり、同様にコネクタ102の液体流路108を通る液体の流れを調節する。したがって、流量調節部材126を支軸周りに旋回させることによって、前記バルブ部材を回転させて液体流路108を開いたり、閉じたりし、そのことによって液体の流量を調節する。カラー110の第1部分112は取り外し部材128と一体的に設けられており、その結果、取り外し部材128が動かされると、第1部分112が本体115に対して動くことになる。
【0091】
流量調節機構部124は図25中の初期の形態中に示されている。この初期の形態において、カラー110は閉じた形態になるように第1部分112はテーパ形状先端部106の近くにある。流量調節部材126と取り外し部材128はともに支軸周りに旋回して流路108と平行になり、その結果コネクタ102を貫通する流路108はまったく制限されない状態である。流量調節部材126が取り外し部材128の上面に接触した状態になるように流量調節部材126と取り外し部材128は配置されている。
【0092】
この図には示されていないが、適合する差し込み部材をコネクタパーツ104に接続でき、また別の部品、例えば液体移送ホースを第2コネクタパーツ122に取り付けることができる。この特別な実施形態では、コネクタパーツ104はISO80369―7規格、すなわちルール型コネクタ部品に合致するものである。このことは、コネクタパーツ104が対応するルール型差し込み部材と使用時に摩擦嵌めを形成することを意味する。もちろん、コネクタパーツ104は任意の形態のものでよく、代わりに例えばISO80369規格の別の規格に合致するものでもよい。
【0093】
図26図25のコネクタ102を示し、コネクタ102の取り外し部材128はその初期の形態からその可動範囲の一部だけその最終の形態に向かって旋回した状態になっていることを示す。そのため、取り外し部材128は支軸周りに旋回して、液体流路108の軸に対して傾斜している。その結果、第1部分112も支軸周りに旋回して、テーパ形状先端部から離れて、カラー110は部分的に開いた形態になっている。このことは、螺刻されている部分または溝116が差し込み部材上の対応する係合機能部ともはや係合しておらず、差し込み部材はもはや係止されていないことを意味する。
【0094】
取り外し部材128を支軸周りに旋回させることは、流量調節部材126を押圧し、流量調節部材126も支軸周りに旋回して液体流路108の軸に対して傾斜した旋回位置になることを意味する。図26に示す形態では、流量調節部材126はバルブ部材が102を通る流れを部分的に制限する位置になっている。
【0095】
図27図25および図26のコネクタ102を示し、コネクタ2の取り外し部材128はその最終の形態であり、そのため流量調節部材126もその最終の形態になっている状態を示す。この形態では、取り外し部材128と流量調節部材126は支軸周りに旋回して、液体流路108の軸に略垂直になっている。その結果、第1部分112は旋回して、テーパ形状先端部106からさらに離れカラー110は完全に開いた形態になっている。差し込み部材をコネクタ102との摩擦嵌めから完全には外すために取り外し部材128は肩部129を有する。肩部129は、最終の形態に向かう旋回可動範囲の最終段階の間、テーパ形状先端部106に沿って押し進み、テーパ形状先端部106に沿って差し込み部材を前方に動かしてその摩擦嵌めを解除する。
【0096】
この最終の形態では、流量調節部材126は液体流路108に垂直になっている。そのため、流量調節部材126のバルブ部材はコネクタ102を通る流れを完全に遮断する。したがって、前記した実施形態と同様なやり方で、コネクタ102は取り付けられた差し込み部材をその周りを濡らさないで外すことができる。
【0097】
図28図25から図27のコネクタ102を示し、取り外し部材128はその初期の形態とその最終の形態の間のその旋回可動範囲の途中にあり、流量調節部材126はその最終の形態(すなわち、液体流路108は完全に閉塞している)にある状態を示す。取り外し部材128が流量調節部材126を押すのは取り外し部材128がその初期の形態からその最終の形態に移行する時のみので(すなわち、逆方向に移行する時は押さない)、流量調節部材126と取り外し部材128は別々に動かすことができて好都合であることがわかる。
【0098】
例えば、図29図25から図28のコネクタ102を示し、取り外し部材128はその初期の形態であり、その形態では、使用時に差し込み部材をコネクタ102に取り付けることができ、一方流量調節部材126はその最終の形態である状態(すなわち、液体流路108は完全に閉塞している)であることを示す。これからわかるように、コネクタ102を通る液体の流れは流量調節部材126のみを支軸周りに旋回させることにより調節でき、取り外し部材128を作動させる必要はない。取り外し部材128をその初期の形態のままにして、流量調節部材126を支軸周りで旋回させてその初期の形態とその最終の形態の間の任意の中間の旋回位置にして、差し込み部材をコネクタパーツ104に取り付けた状態で流量を調節できることがわかる。
【0099】
前記した複数の実施形態は接続部品としての本願発明の液体移送装置を説明したが、この液体移送装置は差し込み部材が接続された別の装置の不可欠の部品にもなることを出願人はわかっている。
【0100】
図30から図34は本願発明の別の実施形態にかかるシリンジ201の形の液体移送装置の斜視図を示す。シリンジ201はコネクタ機構部分202を有し、コネクタ機構部分202は図25から図29を参照して説明したコネクタ102と実質的に同じである。相違する点は、コネクタ機構部分202がシリンジ本体203の前端部に形成されているので、コネクタ機構部分202の後端には別の部品と接続するための第2コネクタパーツがないことである。代わりに、コネクタ機構部分202とシリンジ201の本体203が結合されて、流路208がコネクタ機構部分202とコネクタパーツ204を貫通するシリンジ201の本体203中の一体となった液体室から形成されるような構成になっている。前記したものと同様に、コネクタパーツ204は使用時に対応する差し込み部材との接続に用いる液体移送先端部206を有する。
【0101】
コネクタ機構部分202は流量調節部材226を有する流量調節機構部224と取り外し部材228を有する。流量調節部材226は(図32中に示す)バルブ部材234を有し、バルブ部材234は液体流路208を開くかまたは閉じるかのいずれかを選択し、シリンジ201から接続された差し込み部材への流れを調節する。取り外し部材228は液体移送先端部206を囲繞するカラーの一部を形成する可動部分212と一体になっている。前記したように、可動部分212はその内周面に係合機能部を含み、この係合機能部は円周溝または所定角度に傾斜した螺刻部216の形の部位である。
【0102】
流量調節機構部224の動作は前記した流量調節機構部124の動作と同じである。そのため、流量調節機構部224および取り外し部材228を作動させることは、それぞれ差し込み部材を通る流れを調節すること、および差し込み部材を外すことになり、この動作は図25から図29を参照して説明した動作と同じである。流量調節機構部224と取り外し部材228は独立に動かすことができる。
【0103】
図30において、流量調節部材226と取り外し部材228は流量調節部材226と取り外し部材228がともに流路208と平行になっている初期の形態になっており、コネクタ構造部分202を貫通する流路208は全く制限されていない。
【0104】
図31図30のシリンジ201を示し、取り外し部材228がその初期の形態からその旋回可動範囲の一部だけその最終の形態に向かって動いた状態を示す。この図からわかるように、取り外し部材228は支軸周りに旋回させられて液体流路208の軸に傾斜している。前記したように、使用時に差し込み部材が使用時にシリンジ201に接続されると、取り外し部材228を支軸周りに旋回させることは、カラー部分212を支軸周りに旋回させて液体移送先端部206から離し、接続された差し込み部材を解放するように働く。
【0105】
取り外し部材228を支軸周りに旋回させることは流量調節部材226を押して、流量調節部材226も支軸周りに旋回して液体流路208の軸に対して流量調節部材226を傾斜した旋回位置にする。この流量調節部材226を支軸周りに旋回させることにより、バルブ部材が回転する。図31中に示す形態では、バルブ部材がコネクタ―機構部分202を通る流れを部分的に制限するような回転位置になるような旋回位置に流量調節部材226は保持される。
【0106】
図32図30および図31のシリンジの側方から見える断面図であり、取り外し部材228は最終の形態であり、そのため流量調節部材226も最終の形態であり、取り外し部材228と流量調節部材226は液体流路208の軸に対して垂直になっていることを示す。この最終の形態の取り外し部材228はコネクタ機構部分202から差し込み部材を完全に外す。取り外し部材228が最終の形態まで動くことによって、肩部229が螺刻部216の係合が外れるだけでなく、肩部229が先端部206に沿って前方に押し進み、それによって差し込み部材の摩擦嵌めを解除する。
【0107】
バルブ部材234を図32中に示す。バルブ部材234は流量調節部材226の動きと連動して回転する液体流路236を画定する。流量調節部材226が初期の形態のときは(図30中に示す)、バルブ部材234の液体流路236は液体流路208と一直線に並んでいる。そのため、流量調節部材226が初期の形態のときは、シリンジ201の本体部203の内部の一体となった液体室から液体流路208を通って流れ、すなわちコネクタ機構部202を通って接続された差し込み部材まで流れる。しかし、流量調節部材226が最終の形態のときは(図32中に示す)、流量調節部材226の液体流路236は液体流路208と垂直になっている。そのため、バルブ部材234はシリンジ201の本体部203と接続された差し込み部材の間の液体の流れを完全に遮断する。したがって、前記した複数の実施形態と同様なやり方で、コネクタ機構部202は周囲を濡らさずに取り付けられた差し込み部材を外すことができる。
【0108】
図33図30から図32のシリンジ201を示し、取り外し部材228をその初期の形態とその最終の形態の間の旋回可動範囲の一部だけ旋回させ、一方流量調節部材226がその最終の形態になっている状態(すなわち、液体流路208が完全に遮断されている)を示す。取り外し部材228が流量調節部材226を押すのは、取り外し部材228がその初期の形態からその最終の形態に動く時のみなので(すなわち、逆方向に動く時は押さない)、流量調節部材226と取り外し部材228を互いに独立に動かすことができるので好都合であることがわかる。
【0109】
例えば、図34図30から図33のシリンジ201を示し、取り外し部材228がその初期の形態になっていて、使用時にはシリンジ201の先端部206に差し込み部材が取り付けることができ、一方流量調節部材226はその最終の形態になっている(すなわち、液体流路208は完全に遮断されている)状態を示す。そのため、液体流路208を通る液体の流れは流量調節部材226のみを支軸周りに旋回させることにより調節することができ、取り外し部材228を動かす必要がない。取り外し部材228をその初期の形態のままにして、流量調節部材226を支軸周りに旋回させて、その初期の形態とその最終の形態の間の任意の中間の旋回位置にもっていくことができ、それによって差し込み部材が先端部206に接続された状態で流量を調節できることがわかる。
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【国際調査報告】