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特表2022-508900心的外傷後免疫抑制の治療又は予防への使用のための藻類抽出物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】心的外傷後免疫抑制の治療又は予防への使用のための藻類抽出物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/715 20060101AFI20220112BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20220112BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20220112BHJP
   A61K 36/05 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
A61K31/715
A61P31/00
A61P31/04
A61K36/05
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021546474
(86)(22)【出願日】2019-10-22
(85)【翻訳文提出日】2021-06-16
(86)【国際出願番号】 EP2019078757
(87)【国際公開番号】W WO2020083931
(87)【国際公開日】2020-04-30
(31)【優先権主張番号】1859721
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521169055
【氏名又は名称】アマデテ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100182730
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 浩明
(72)【発明者】
【氏名】カリム アセヌーネ
(72)【発明者】
【氏名】セドリック ジャクリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】マルワーン ブラ
(72)【発明者】
【氏名】アントワーヌ ロキリー
(72)【発明者】
【氏名】ピ ニバル-コレン
(72)【発明者】
【氏名】エルベ ドゥメ
(72)【発明者】
【氏名】エルベ バリュッソン
【テーマコード(参考)】
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA26
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB32
4C086ZB35
4C088AA15
4C088BA08
4C088BA12
4C088NA14
4C088ZB32
4C088ZB35
(57)【要約】
本発明は、心的外傷後免疫抑制により誘発される合併症の予防及び/又は治療への使用のための、分子量が50kDa以下の硫酸化及び非硫酸化ポリアニオン性多糖類を含むUlvales目の藻類抽出物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心的外傷後免疫抑制により誘発される合併症の予防及び/又は治療への使用のための、分子量が50kDa以下の硫酸化及び非硫酸化ポリアニオン性多糖類を含むUlvales目の藻類抽出物。
【請求項2】
心的外傷後免疫抑制に関連する敗血症性合併症の予防及び/又は治療のための、請求項1に記載の使用のための藻類抽出物。
【請求項3】
前記敗血症性合併症が、院内感染、特に肺疾患、例えば機械的人工呼吸下で獲得した肺炎、すなわち人工呼吸器関連肺炎(VAP)、尿路感染症、中心静脈カテーテルの感染症、細菌性脳髄膜感染症、例えば蓄膿症、髄膜炎、及び脳膿瘍から成る群から選択された院内感染である、請求項2に記載の使用のための藻類抽出物。
【請求項4】
前記心的外傷後免疫抑制が、1又は2以上の重度の外傷、特に重度の頭蓋外傷の結果として発生する、請求項1~3のいずれか1項に記載の使用のための藻類抽出物。
【請求項5】
前記藻類抽出物が、Ulvaタイプの緑藻の抽出物である、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用のための藻類抽出物。
【請求項6】
分子量が50kDa以下の前記硫酸化及び非硫酸化ポリアニオン性多糖類が、15kDa未満、及び好ましくは500Da以上の分子量を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用のための藻類抽出物。
【請求項7】
前記藻類抽出物が、15kDa以上である分子量を有する、硫酸化又は非硫酸化ポリアニオン性多糖類を含まない、請求項6に記載の使用のための藻類抽出物。
【請求項8】
前記藻類抽出物が、以下:
-マンノース; 及び/又は
-アラビノース; 及び/又は
-ガラクトース; 及び/又は
-グルコース; 及び/又は
-ラムノース; 及び/又は
-キシロース; 及び/又は
-グルクロン酸
を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の使用のための藻類抽出物。
【請求項9】
前記藻類抽出物が、
藻類抽出物の総乾物(乾燥重量)の質量%として、以下:
-10~50%の炭素;
-1~10%の水素;
-1~5%の窒素;
-20~50%の酸素;及び
-1~15%の硫黄
を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の使用のための藻類抽出物。
【請求項10】
前記藻類抽出物が、
a)藻類を洗浄し、そして脱砂し;
b)前記藻類を粉砕し;
c)粉砕された材料の固相を、その液相から分離し;
d)前記液層を清澄化し;
e)工程d)で得られたジュースを、50kDa以下の孔径を有する膜を通して限外濾過し;そして
f)工程e)で得られた濾液を、濃縮し、そして次に、乾燥させることを含む調製方法により得られる、請求項1~9のいずれか1項に記載の使用のための藻類抽出物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心的外傷後免疫抑制により誘発される合併症の予防及び/又は治療への使用のための、分子量が50kDa以下の硫酸化及び非硫酸化ポリアニオン性多糖類を含むUlvales目の藻類抽出物に関する。
【背景技術】
【0002】
多発外傷(複数の外傷)又は重度の外傷は、「危険関連分子パターン(danger-associated molecular patterns)」(DAMP)と呼ばれる細胞内成分の放出により引起される全身性炎症反応症候群(SIRS)を伴う。それらのDAMPは、免疫系の細胞に存在する特定の受容体である「パターン認識受容体(pattern recognition receptors)」を直接刺激し、それにより、炎症のメディエーター(炎症性メディエーター)の放出を引起す。制御されていないSIRSからの全身性合併症を回避するために、身体は初期の全身性代償性抗炎症反応性症候群(CARS)を発症する。CARSは、持続時間及び大きさにおいて異なる心的外傷後免疫抑制を引起す。当初、この免疫抑制は、「生理学的」であり、そして全ての患者に存在する。免疫抑制が持続すると病的になり、集中治療における合併症の主な原因である心的外傷後感染症(主に肺疾患)につながる(Roquilly et al., 2015, Reanimation [Intensive Care Medicine], 24: S285-S290)。
【0003】
頭蓋外傷(又は頭部外傷)は、罹患率及び死亡率の主な原因であり、犠牲者の全体的な死亡率は、10万人の患者当たり5~25の間で変動する。罹患率及び死亡率因子の約3分の1は、主に呼吸器合併症のために集中治療室で発生する回避可能な合併症(感染症、血栓塞栓性イベント)である。機械的人工呼吸下で獲得した肺炎、すなわち人工呼吸器関連肺炎(VAP)により引起された罹患率及び健康コストは、提供されるケアに最も関連する合併症の1つになる。集中治療室に入院した重度の頭蓋外傷患者の40~60%がVAPに罹患し、その約50%がメチシリン感受性Staphyloccocus aureus(MSSA)により引起される。集中治療室での入院中、VAPに苦しむ頭蓋外傷患者は、全身性の脳損傷(発熱、低血圧、低酸素症、高炭酸ガス血症)が多くなり;機械的人工呼吸の期間もまた、延長され、集中治療室に留まる。それらの全ての要因は、一方では、新しい低酸素性虚血性脳損傷の出現に寄与し、そして他方では、集中治療後の管理(リハビリテーションなど)の遅延に寄与する。従って、頭蓋外傷患者におけるVAPの発症は、望ましくない長期の神経学的転帰のリスクの独立した要因である。院内感染及び特にVAPに対する頭蓋外傷患者の感受性は、心的外傷後免疫抑制の出現によるものである。
【0004】
細胞レベルでは、この心的外傷後免疫抑制は、以下のいくつかのレベルでもたらされる:
1.抗原提示細胞(APC)、主に樹状細胞(DC)及び単球による抗原提示能力の障害。DCは、抗原の捕捉、及び前炎症性サイトカイン(インターロイキン-12)の分泌を通してのリンパ球(T及びNK)の活性化において中心的役割を演じている:
2.前炎症性サイトカインを分泌する能力の低下。急性肺損傷の場合のAPCとリンパ球との間の協力は、不可欠である。従って、頭蓋外傷の結果であるIL-12の産生の変化は、リンパ球による前炎症性サイトカイン、例えばINFγの分泌の低下を誘発する(Spolarics et al., 2003, Crit. Care Med.;31(6):1722-9)。他方では、交感神経の過剰活性化を介しての抗炎症性サイトカイン(IL-10)の分泌の上昇は、この免疫抑制状態の深化に寄与する(Roquilly et al., 2014, Crit. Care Med., 42 (12): 752-61)。従って、自然免疫応答のこの「ループ」の変化は、二次感染と戦う身体の能力の低下を引起す;
3.敗血症後の免疫抑制にも見出される現象であるTリンパ球の枯渇(「T細胞枯渇」)。この枯渇は、高い抗原負荷の存在下でのリンパ球の前炎症性機能の進行性損失に対応する。この現象は、頭蓋外傷患者におけるVAPの高い発生率を部分的に説明することに役立つ。この「枯渇」現象及びその得られるリンパ球減少症は、多発外傷(複数の外傷)患者の死亡リスクの要因である(Heffernan et al., 2012, Crit. Care., 20;16(1):R12)。さらに、ほとんどの患者においては、このリンパ球減少症は、6ヶ月以上、持続する。
【0005】
この心的外傷後免疫抑制を是正する目的で、多くの治療法が、近年、試験されている。それらは、特に低用量のグルココルチコイドの使用を通して、初期のSIRS(及び従って、CARS)を制限するか、又はグルカン、IFNγ、GM-CSF又はインターロイキン12の使用を通して、抗原提示能力又はサイトカイン分泌能力を回復させることを目的とした。
【0006】
「トール様受容体」(TLR)は、危険関連分子(DAMP)の認識に関与している。それらの受容体は、自然免疫系の細胞(自然免疫細胞)の表面に同定されている。10種類のTLRがヒトにおいて同定されており、それらの個々は、1又は2以上のDAMPを認識する。そのリガンドによる認識の後、TLR受容体は、i)前炎症性サイトカイン(インターロイキン12[IL-12]、腫瘍壊死因子α[TNFα])の遺伝子のプロモ-ターへの結合を導く転写因子核因子カッパB(NF-κB、骨髄分化因子88又はMyD88依存性経路);及びii)IRFファミリーの核転写因子(インターフェロン調節因子[IRF]、TIRドメイン含有アダプター誘導インターフェロン-β[TRIF]依存性経路)の活性化をもたらす2つの主要な細胞内シグナル伝達経路を活性化することができる。最も研究された受容体は、グラム陰性バチルスの壁を構成するリポ多糖(LPS)の認識に関与するTLR4、及びグラム陽性細菌のリポテイコ酸を認識するTLR2である。
【0007】
TLRアゴニストは、外傷により「麻痺」した免疫機能を回復し、そして二次感染と戦うことを目的とした研究の可能な手段としても提案されている(Hedayat et al., 2011, Lancet Infect Dis.;11(9):702-12)。
【0008】
TLR4アゴニスト活性を有することが知られているLPSの非毒性誘導体であるモノホスホリル脂質A(MPLA)の投与が、出血誘発性免疫抑制マウスに由来する出血後肺炎のマウスにおける死亡を予防したことが示されている(Roquilly et al. 2010, PLoS One 7; 5 (10): e13228; 国際特許出願WO2011080126号)。しかしながら、そこにおいて効果的に関与する作用の機構は、解明されていない。出血誘発性免疫抑制マウスに由来する出血後肺炎のこのマウスモデルにおいては、MPLAが樹状細胞(DC)の機能を部分的に回復し;NK細胞のおけるIL-10mRNAの過剰発現を防ぎ;そしてDCの直接的MPLA刺激が死亡率を低めるが、NK細胞の直接的刺激は、肺炎に対するこの免疫応答に不可欠であるように思われることがまた示されている(Roquilly et al., 2013, Eur Respir J.; 42 (5): 1365-78)。しかしながら、著者自身により認められているように、MPLAのこの効果が、TLR4、特にDC又はNK細胞の表面に発現されるTLR4受容体により介在されることは示されていない。
【0009】
海藻をベースにした化合物は、製薬業界から微生物学の分野に至る種々の分野で使用される。それらの生物学的に活性な成分は、主にペプチド、多価不飽和脂肪酸及び糖類で構成されている。海藻の細胞壁は、硫酸化多糖類、例えば緑藻におけるulvanに富んでいる。最近、Ulva型の緑藻から抽出されたulvanの精製画分が、特にブタの腸上皮細胞IPEC-1に対してインビトロで免疫調節活性を有することが示されている(特許出願WO201571497号)。このIPEC-1細胞系において、藻類抽出物は、TLR4/NF-κB経路を介して(Berri et al., 2017, Algal Research, 28, 39-47)、インビトロで(Berri et al., 2016, Journal of Applied Phycology, 28(5): 2999-3008)、前炎症性サイトカイン(IL1β、IL-6、IL-8、TNFαなど)の分泌を刺激する。
【0010】
本発明者らは、Ulvale目の藻類抽出物、特に分子量が、50kDa以下である硫酸化及び非硫酸化ポリアニオン性多糖類を含むUlva型の緑藻が、心的外傷後免疫抑制、特にその呼吸器合併症を防止するか、又はその治療において効果的であるかどうかを決定しようと努めて来た。肺粘膜免疫性に対するこの抽出物の効果が、頭蓋(頭部)外傷のマウスモデル(Flierl et al., 2009, Nat Protoc.; 4(9):1328-37)、続いてメチシリン感受性Staphylococcus aureus (MSSA)により誘発された肺炎において評価された。
【0011】
従って、心的外傷後肺細菌感染のマウスモデルにおいて、藻類抽出物が、
-全身性(脾臓)の細菌の拡散を制限するが、この効果は抽出物の直接的な抗菌作用に関連していることが示されておらず、従って、外傷により麻痺された免疫機能の回復を示唆しており;
-肺で前炎症性サイトカイン(IL-12産生DC、TNFα産生マクロファージ、インターフェロン(INFγ)産生NK又はTリンパ球TL)を生成する自然免疫細胞の割合を増大せず;
-脾臓においてではなく、肺(感染の部位)において、INFγNK細胞の割合を高めないで、総NK細胞の数及びINFγ産生NK細胞の数を高める。従って、この効果は、頭蓋外傷により誘発される、肺における総NK細胞及びINFγNK細胞の数の減少を相殺する;
-マウスがNK細胞の枯渇(肺NK細胞の95%以上の枯渇)を受けた場合、全身の細菌の拡散に影響を及ぼさず;
-肺において、NK細胞の走化性に関与するケモカインのレベルのいずれの上昇も誘発しない、ことが示されている。
【0012】
マウスにおける肺細菌感染が頭蓋外傷の非存在下で(及び従って、免疫制御なしで)誘発される場合、藻類抽出物は、DCによるIL-12分泌、マクロファージによるINFα、又はNK又はTリンパ球細胞(TL)によるINFγの刺激を介するか、又はDCによる腫瘍組織適合遺伝子複合体クラスII(MMCII)の膜発現の刺激を介して、自然免疫細胞の刺激を誘発せず;そしてまた、細菌の拡散も制限しない。
【0013】
さらに、藻類抽出物による、ナイーブ又は外傷を受けたマウスからの肺NK細胞の直接的インビトロ刺激は、NK細胞の活性化のためのインターフェロンγ又はマーカーキラー細胞様受容体サブファミリーGメンバー1(KLRG1)の生成の何れの上昇も誘発しない。
【0014】
従って、それらの結果は、Ulvales目の藻類、特に分子量が50kDa以下である硫酸化及び非硫酸化ポリアニオン性多糖類を含むUlva型の緑藻の抽出物の心的外傷後免疫抑制の予防又は治療のためへの有用性を示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、心的外傷後免疫抑制により誘発される合併症の予防及び/又は治療への使用のための、分子量が50kDa以下の硫酸化及び非硫酸化ポリアニオン性多糖類を含むUlvales目の藻類抽出物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
1つの実施形態によれば、誘発された合併症は、心的外傷後免疫抑制に関連する敗血症性合併症である。特定の実施形態によれば、敗血症性合併症は、院内感染、特に肺疾患、例えば機械的人工呼吸下で獲得した肺炎、すなわち人工呼吸器関連肺炎(VAP)、尿路感染症、中心静脈カテーテルの感染症、細菌性脳髄膜感染症、例えば蓄膿症、髄膜炎、及び脳膿瘍から成る群から選択された院内感染である。
【0017】
1つの実施形態によれば、心的外傷後免疫抑制は、1又は2以上の重度の外傷、特に重度の頭蓋外傷(頭部外傷)の結果として発生する。
【0018】
ulvales目の藻類抽出物は、好ましくは、Ulva型の緑藻の抽出物である。
【0019】
1つの実施形態によれば、分子量が50kDa以下の前記硫酸化及び非硫酸化ポリアニオン性多糖類は、15kDa未満、及び好ましくは500Da以上の分子量を有する。好ましくは、前記藻類抽出物は、15kDa以上である分子量を有する、硫酸化又は非硫酸化ポリアニオン性多糖類を含まない。
【0020】
1つの実施形態によれば、前記藻類抽出物は、以下:
-マンノース; 及び/又は
-アラビノース; 及び/又は
-ガラクトース; 及び/又は
-グルコース; 及び/又は
-ラムノース; 及び/又は
-キシロース; 及び/又は
-グルクロン酸
を含む。
【0021】
1つの実施形態によれば、前記藻類抽出物は、
藻類抽出物の総乾物(乾燥重量)の質量%として、以下:
-10~50%の炭素;
-1~10%の水素;
-1~5%の窒素;
-20~50%の酸素;及び
-1~15%の硫黄
を含む。
【0022】
1つの他の実施形態によれば、前記藻類抽出物は、
a)藻類を洗浄し、そして脱砂し;
b)前記藻類を粉砕し;
c)粉砕された材料の固相を、その液相から分離し;
d)前記液層を清澄化し;
e)工程d)で得られたジュースを、50kDa以下の孔径を有する膜を通して限外濾過し;そして
f)工程e)で得られた濾液を、濃縮し、そして次に、乾燥させることを含む調製方法により得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、細菌学的分析のための実験プロトコルを概略的に表す図を示す。
【0024】
図2図2は、藻類抽出物が、外傷を受けたマウス及び二次感染したマウスの体重減少に影響を与えないことを示す。擬似(Sham)(S)及び肺炎のみ(PN)グループのマウスは、頭蓋外傷(TC)なしで頭蓋骨に1cmの切開を受けた。TCを受けてから24時間後に誘発された、外傷を受け、そして感染されたマウスを、治療されていないグループ(TC+PN)及び化合物の6回の注入により治療されたグループ(TCから出発して安楽死まで12時間ごと)(TC+PN+TX)に分けた。肺炎は、TCを受けてから24時間後に誘発され、そしてマウスは、肺炎の48時間後に安楽死された。結果は、2つの実験から得られた(各グループn=9)。%減量の結果は、平均値±標準偏差として提供される。p<0.05 外傷を受けたグループ及びPNグループ(PN後)対S、P<0.05 外傷を受けたグループ対PN。
【0025】
図3図3は、藻類抽出物が、MSSA肺炎の誘発後、外傷を受けたマウスにおける細菌の脾臓拡散を制限するが、しかし外傷がない場合は効果はないことを示す。擬似(S)及び肺炎のみ(PN)グループのマウスは、TCなしで頭蓋骨に1cmの切開を受けた。頭蓋外傷を受け、そして感染されたマウスを、治療されていないグループ(TC+PN)及び化合物により治療されたグループ(TCから出発して安楽死まで12時間ごとに200μg)(TC+PN+TX)に分けた。肺を、肺炎の誘発の後、24時間(A)及び48時間(A)及び48時間(B)後に取り出した。脾臓を、肺炎の誘発の後、24時間(C)及び48時間(D)後に取り出した。Chapman寒天培地上で培養された粉砕器官を、24時間インキュベートし、そしてその後、コロニーを数えた。2つの独立した実験(グループ当たりn=8又は9)に由来する結果を、平均Log10CFU(コロニー形成単位)±標準偏差として提供した。*** p<0.001. (E) 及び (F):マウスを3つのグループに分けた:擬似(S);治療されていない肺炎(PN);及び藻類抽出物により、12時間ごとに48時間(外傷なしで)治療された肺炎(PN+TX)。肺(E)及び脾臓(F)を、肺炎の誘発の48時間後に取り出した。結果は、1つの実験からである(関心のあるグループ当たりn=5)。結果は、平均±標準偏差として提供される。
【0026】
図4図4は、藻類抽出物がインビトロで抗-MSSA活性を有さないことを示す。殺菌活性の動力学は、化合物1ml当たり50、200及び500μgの濃度範囲の液体培地において開発/決定された。次に、細菌負荷を、TS寒天上で数え、そして結果を、Log10CFU/mlで表した。結果は、2つの独立し、且つ一貫した実験からのものである。
【0027】
図5図5は、藻類抽出物の腹腔内投与がナイーブマウスにおいて2時間で前炎症性サイトカインの分泌の上昇を誘発しないことを示す。藻類抽出物の腹腔内注射は、3種の濃度(50、200及び500μg)で行われ、そしてリン酸緩衝生理食塩水にPBS(擬似)の注射及び1mg/kgのLPSと比較された。肺DC(図5A)によるIL-12、肺胞マクロファージ(図5B)及び間質マクロマージによるTNFα、並びに肺NK(図5C)及びTLによるINFγの分泌を、細胞内染色後、フローサイトメトリーによる評価した。差異は、脾臓においては見出されなかった(データは示されていない)。結果は、1つの実験(グループ当たりn=2)からのものであり、そして中央値±四分位範囲として提供される。
【0028】
図6図6は、藻類抽出物の器官内投与がナイーブマウスにおいて2時間及び12時間で前炎症性サイトカインの分泌の上昇を誘発しないことを示す。藻類抽出物の器官内注射は、安楽死の12時間(T一晩)及び2時間(T(H-2))前、50μgの濃度で行われた。それを、健康なマウス(ナイーブ)及び安楽死の2時間前、50μgのLPSの点滴したもの(LPS(H-2))と比較した。肺DC(図7A)によるIL-12、肺胞マクロファージ(図7B)及び間質マクロマージによるTNFα、並びに肺NK(図5C)及びTLによるINFγの分泌を、細胞内染色後、フローサイトメトリーによる評価した。差異は、脾臓においては見出されなかった(データは示されていない)。結果は、1つの実験(グループ当たりn=2)からのものであり、そして中央値±四分位範囲として提供される。
【0029】
図7図7は、蛍光活性化細胞選別(FACS)及び酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)分析についての実験プロトコルを概略的に表す図を示す。
【0030】
図8図8は、MSSA肺炎に苦しむ外傷を受けたマウスにおける藻類抽出物の腹腔内投与が肺において前炎症性サイトカインを生成する細胞の割合を高めないことを示す。マウスを以下の4つのグループに分けた:擬似(S);肺炎のみ(PN);TC+治療されていない肺炎(TC+PN);及び藻類抽出物に治療された(TC+PN+TX)。TCを受けた後、肺炎を、24時間、点滴し、肺炎の12時間後、マウスを安楽死させた。治療されたグループのマウスは、200μgの藻類抽出物の3回の腹腔内注射を受けた(TCから出発して安楽死まで、12時間ごとに)。CDによるIL-12(A)、マクロファージによるINFα(B)、及びTL及びNKによるINFγ(C)の分泌を、細胞内染色の後、フローサイトメトリーにより分析した。結果は、2つの異なる実験からのものである(グループ当たりn=4)。結果は、陽性細胞の%の中央値±四分位範囲として提供される。差異は、脾臓において見出さなかった(結果は示されていない)。
【0031】
図9図9は、外傷を受けた感染マウスへの藻類抽出物の投与が、インターフェロンγを産生する肺NK細胞の数の上昇を誘発することを示す。マウスは以下の4つのグループに分けられた:擬似(S);肺炎のみ(PN);頭蓋外傷TC+治療されていない肺炎(TC-PN);及び藻類抽出物により治療された肺炎(TC+PN+TX)。TCを受けた後、肺炎を、24時間、点滴し、肺炎の12時間後、マウスを安楽死させた。治療されたグループのマウスは、200μgの藻類抽出物の3回の腹腔内注射を受けた(TCから出発して安楽死まで、12時間ごとに)。NK細胞(A)、インターフェロンγ産生NK細胞(B)、及びインターフェロンγ産生TL(C)の総数を、サイトカインの細胞内染色の後、フローサイトメトリーにより分析した。結果は、3つの独立した実験からのものである(グループ当たりn=9)。結果は、中央値±四分位範囲として提供される。(p<0.05、**p<0.01)。
【0032】
図10図10は、藻類抽出物が、インビトロで肺NK細胞においてINFγの分泌の上昇、又は活性化因子KLRG1の発現の上昇を誘発しないことを示す。グループ当たり3つの肺ホモジネートを得るために、6匹のナイーブマウス及び6匹の外傷を受けたマウスの肺を、TCの24時間後に一度に2匹ずつ機械的に粉砕した。磁気的に選別した後、NK細胞を、以下と共に5時間、培養した:IL-2(対照グループ:Ctrl); 500μg/ mLのIL-2 +藻類(藻類); 及びIL-2 +ホルボールミリステートアセテートPMA(50ng/mL)及びロノマイシン(1μg/ mL)(PMA +lono)。NK細胞のホモジネートの純度を、磁気選別の前(左)及び後(右)、フローサイトメトリーにより調べた。INFγ産生NKの%(B)、KLRG1の膜発現(C)、及び刺激後のウェル当たりのNKの数(D)を、フローサイトメトリーにより評価した。結果は、1つの実験からのものであり(グループ当たりn=3)、そして中央値±四分位範囲として提供される。Ctrl及びAlgaグループと比較しての**p<0.01。他の2つのグループと比較しての「Ns」。
【0033】
図11図11は、FACS及び細菌学分析の実験プロトコルを概略的に表す図を示す。
【0034】
図12図12は、外傷を受けたNK細胞枯渇マウスへの藻類抽出物の投与が、感染の48時間後、脾臓における細菌の広がりを制限しないことを示す。マウスを以下の3グループに分けた:外傷を受け、そして感染された(TBI+PN);外傷を受け、感染され、そしてNK細胞枯渇の(TB1+PN+del);外傷を受け、感染され、NK細胞枯渇され、そして藻類抽出物により治療された(TBI+PN+del+TX)。肺炎はTCの24時間後に点滴され、そしてNK細胞枯渇を、TCの2時間後及び48時間後、抗-NK1.1 AbのIV注射により引起した。治療されたグループ中のマウスは、TCから出発して安楽死まで、12時間ごとに、200μgの藻類抽出物の1回の腹腔内注射を受けた。安楽死は、脾臓細菌負荷(図12A)及び肺NK細胞枯渇の質(図12B及びC)のFACS分析のためにTCの72時間後、実施された。結果は、1つの実験からのものであり(グループ当たりn=4)、そして中央値±四分位範囲として提供される。****p<0.0001。
【0035】
図13図13は、Luminex技法を用いて脾臓及び肺のケモカイン分析のための実験プロトコルを概略的に表す図を示す。
【0036】
図14図14は、外傷のみのマウス及び外傷を受け/感染されたマウスにおける多糖類の投与が、ケモカインCCL2、CCL3、CCL4及びCCL8の脾臓濃度の上昇を誘発することを示す。マウスを以下の5つのグループに分けた:ナイーブ(擬似);外傷のみ(TC);TC+化合物による治療(TC+TX);外傷+肺炎(TC+PN)及び外傷+肺炎+化合物により治療(tC+PN+TN)。肺炎は、TCを受けた24時間後に誘発され、そしてマウスは、肺炎発症の12時間後に安楽死された。治療されたグループ中のマウスは、200μgの海洋化合物の3回の腹腔内注射を受けた(TCから出発して安楽死まで、12時間ごとに)。脾臓を、肺炎の誘発の12時間後に取り出し、そして続いてケモカインCCL2(A)、CCL3(B)、CCL4(C)及びCCL8(D)のレベルを、Luminex技法を用いて測定した。結果は、1つの実験からのものである(グループ当たりn=5)。結果は、中央値±四分位範囲として提供される。***p<0.001、****p<0.0001。
【発明を実施するための形態】
【0037】
1つの側面によれば、本発明は、心的外傷後免疫抑制により誘発される合併症の予防及び/又は治療への使用のための、分子量が50kDa以下の硫酸化及び非硫酸化ポリアニオン性多糖類を含むUlvales目の藻類抽出物に関する。
【0038】
1つの側面によれば、本発明は、同じことを必要とする対象において、心的外傷後免疫抑制により誘発される合併症の予防的又は治療的治療のための治療方法に関し、前記方法は、分子量が50kDa以下である硫酸化及び非硫酸化ポリアニオン性多糖類を含む、有効量のUlvales目の藻類抽出物を前記対象に投与することを含む。
【0039】
Ulvales目の藻類の抽出物
50kDa以下の分子量を有する硫酸化及び非硫酸化ポリアニオン性多糖類を含む藻類抽出物は特に、特許出願WO2015071497号に記載されている。
【0040】
50kDa以下の分子量を有する硫酸化及び非硫酸化ポリアニオン性多糖類を含むUlvales目の藻類抽出物は特に、Ulva型の緑藻の抽出物である。
【0041】
用語「Ulva型の緑藻」とは、Ulvales目のUlvaceae科のUlva属に分類される緑藻を指すと理解される。特に、以下の種及び亜種について言及され得る:Ulva acanthophora、Ulva anandiiUlva angustaUlva arasakiiUlva armoricana、 Ulva atroviridis、 Ulva attenuataUlva beytensisUlva bifronsUlva brevistipitataUlva bulbosaUlva burmanicaUlva byssoidesUlva californicaUlva chaetomorphoidesUlva clathrataUlva coccineaUlva compressaUlva conglobataUlva cornucopiaeUlva cornutaUlva covelongensisUlva crassaUlva crassimembranaUlva curvataUlva dactyliferaUlva denticulataUlva elegansUlva elminthoidesUlva enteromorphaUlva erectaUlva expansaUlva fasciataUlva fenestrataUlva flexuosaUlva gelatinosaUlva geminoideaUlva giganteaUlva grandisUlva hendayensisUlva hookerianaUlva hopkirkiiUlva indicaUlva intestinalisUlva intestinaloidesUlva intricataUlva intybaceaUlva javanicaUlva kyliniiUlva lactucaUlva lactucaefoliaUlva laetevirensUlva laingiiUlva linearisUlva lingulataUlva linkianaUlva linzaUlva lippiiUlva litoralisUlva littoreaUlva lobataUlva lubricaUlva marginataUlva micrococcaUlva myriotremaUlva neapolitanaUlva nematoideaUlva ohnoiUlva olivaceaUlva olivaceumUlva pacificaUlva papenfussiiUlva paradoxaUlva parvaUlva parvulaUlva patengensis、 Ulva percursa、 Ulva pertusaUlva phyllosaUlva popenguinensisUlva porrifoliaUlva proceraUlva profundaUlva proliferaUlva pseudocurvataUlva pseudolinzaUlva pulchraUlva purpurascensUlva quilonensisUlva radiataUlva ralfsiiUlva ranunculataUlva reticulataUlva rhacodesUlva rigidaUlva rotundataUlva rubens、 Ulva saifullahii、 Ulva scageliiUlva scandinavicaUlva sericeaUlva serrataUlva simplexUlva sorenseniiUlva spinulosaUlva stenophyllaUlva stipitataUlva sublittoralisUlva subulataUlva taeniataUlva teneraUlva tetragonaUlva tortaUlva tuberosaUlva umbilicataUlva uncialisUlva uncinataUlva usneoidesUlva utricularisUlva utriculosaUlva uvoidesUlva ventricosa
【0042】
上記の藻類の抽出物は、分子量が50kDa以下である硫酸化及び非硫酸化ポリアニオン性多糖類を含む。より具体的には、藻類抽出物は、分子量が50kDa以下であり、その分子量が40、30、又は15kDa未満である硫酸化及び非硫酸化ポリアニオン性多糖類を含む。より具体的には、実際、藻類抽出物の硫酸化及び非硫酸化ポリアニオン性多糖類は、15kDa以下である分子量を有する。好ましくは、藻類抽出物の硫酸化及び非硫酸化ポリアニオン性多糖類は、500Daを越える、好ましくは750Daを越える分子量を有する。
【0043】
本発明の1つの実施形態によれば、藻類抽出物は、藻類抽出物が、分子量が50kDaを越える(又は硫酸化及び非硫酸化多糖類がそれぞれ40、30、20又は15kDa未満である分子量により定義される場合、40、30、20又は15kDaを越える)分子量を有する硫酸化又は非硫酸化ポリアニオン性多糖類を含まない。従って、1つの実施形態によれば、藻類抽出物が、分子量が15kDa以下である硫酸化及び非硫酸化ポリアニオン性多糖類を含む場合、藻類抽出物は、分子量が15kDaを越える硫酸化及び非硫酸化ポリアニオン性多糖類を含まない。
【0044】
ダルトン(Da)は、結合しない炭素-12原子の質量の12分の1に等しいと定義される質量の単位であり、続いて、その質量は、いくつかの同位体(主に、任意の炭素原子の6つの陽子に加えて、それぞれ6及び7つの中性子を有する炭素-12及び炭素-13)の混合物から推定されることが示されるであろう。ダルトンは、かなりの精度で、水素原子の質量であり、正確な値は1.00794amu(原子質量単位)である。単位キロダルトンは、1000Daに等しい。本発明においては、kDaで言及される質量は、当業者により通常使用される任意の適切な方法により決定され、特に、藻類抽出物の硫酸化及び非硫酸化ポリアニオン性多糖類の質量は、所定のサイズの分子のみの濾過を可能にする膜上での限外濾過により選択的に分類され得る。
【0045】
1つの実種形態によれば、分子量が50kDa未満である硫酸化及び非硫酸化ポリアニオン性多糖類は、上記のように、5-ose単位を越える重合度を有する。
【0046】
上記で定義される藻類抽出物においては、多糖類は、マンノース及び/又はアラピノース、好ましくはマンノースである。より具体的には、藻類抽出物は、藻類抽出物の総乾物の重量に対して、少なくとも0.005重量%のマンノース及び/又は少なくとも0.005重量%のアラビノース、特に少なくとも0.01重量%のマンノース及び/少なくとも0.01重量%のアラビノースを含む。好ましくは、藻類抽出物は、少なくとも0.005重量%のマンノースを含む。
【0047】
さらにより具体的には、藻類抽出物は、藻類抽出物の総乾物の重量に対して、0.005~0.5重量%、例えば0.005~0.2重量%、又は0.15~0.5重量%の量でマンノース;及び/又は0.005~0.5重量%の量でアラビノース;好ましくは、0.005~0.5重量%、例えば0.005~0.2重量%、又は0.15~0.5重量%の量でマンノースを含む。
【0048】
さらにより具体的には、藻類抽出物は、藻類抽出物の総乾物の重量に対して、0.01~0.5重量%、例えば0.01~0.2重量%、又は0.2~0.5重量%の量でマンノース;及び/又は0.001~0.5重量%の量でアラビノース;特に、0.03~0.45重量%、例えば0.03~0.15重量%、又は0.15~0.45重量%の量でマンノース;及び/又は0.01~0.2重量%の量でアラビノースを含む。
【0049】
好ましくは、藻類抽出物は、藻類抽出物の総乾物の重量に対して、0.01~0.5重量%、例えば0.01~0.2重量%、又は0.20~0.5重量%の量でマンノース、例えば0.003~0.15重量%、又は0.15~0.45重量%の量でマンノースを含む。
【0050】
1つの実施形態によれば、藻類抽出物は、以下:
-ガラクトース; 及び/又は
-ブドウ糖; 及び/又は
-ラムノース; 及び/又は
-キシロース; 及び/又は
-グルクロン酸、
を含む。
【0051】
より具体的には、藻類抽出物は、藻類抽出物の総乾物の重量に対して、以下:
-0.05~0.5重量%、特に0.1~0.4重量%のガラクトース; 及び/又は
-0.005~0.5重量%、特に0.005~0.05重量%、特に0.01~0.03重量%、又は0.05~0.5重量%のグルコース; 及び/又は
-2~15重量%、特に5~10重量%のラムノース; 及び/又は
-0.1~1重量%、特に0.3~0.7重量%のキシロース; 及び/又は
-1~7重量%、特に1~5重量%のグルクロン酸、
を含む。
【0052】
従って、1つの実施形態によれば、藻類抽出物は、以下:
-マンノース; 及び/又は
-アラビノース; 及び/又は
-ガラクトース; 及び/又は
-グルコース; 及び/又は
-ラムノース; 及び/又は
-キシロース; 及び/又は
-グルクロン酸、
を含む。
【0053】
より具体的には、例えば以下を含む藻類抽出物が言及され得る:
藻類抽出物の総乾物の重量に対して、
-0.01~0.5重量%、例えば0.0~0.2重量%、特に0.03~0.15重量%、又は0.2~0.5重量%のマンノース; 及び/又は
-0.01~0.5重量%、特に0.01~0.2重量%のアラビノース; 及び/又は
-0.05~0.5重量%、特に0.1~0.4重量%のガラクトース; 及び/又は
-0.005~0.5重量%、特に0.005~0.05重量%、特に0.01~0.03重量%、又は0.05~0.5重量%のグルコース; 及び/又は
-2~15重量%、特に5~10重量%のラムノース; 及び/又は
-0.1~1重量%、特に0.3~0.7重量%のキシロース; 及び/又は
-1~7重量%、特に1~5重量%のグルクロン酸。
【0054】
実際、さらに具体的には、例えば以下を含む藻類抽出物が言及され得る:
藻類抽出物の総乾燥の重量に対して、
-0.09重量%のマンノース; 及び/又は
-0.1重量%のアラビノース; 及び/又は
-0.3重量%のガラクトース; 及び/又は
-0.02重量%のグルコース; 及び/又は
-8.1重量%のラムノース; 及び/又は
-0.5重量%のキシロース; 及び/又は
-2.6重量%のグルクロン酸。
【0055】
例えば、また以下を含む藻類抽出物も言及され得る:
藻類抽出物の総乾物の重量に対して。
-0.3重量%のマンノース; 及び/又は
-0.2重量%のガラクトース; 及び/又は
-0.4重量%のグルコース; 及び/又は
-7.9重量%のラムノース; 及び/又は
-0.5重量%のキシロース; 及び/又は
-4.9重量%のグルクロン酸。
【0056】
1つの実施形態によれば、上記のように、分子量が50kDa以下である硫酸化及び非硫酸化ポリアニオン性多糖類を含む藻類抽出物は、以下を含む:
藻類抽出物の総乾物の質量%として、
-10~50%の炭素;
-1~10%の水素;
-1~5%の窒素;
-20~50%の酸素;及び
-1~15%の硫黄。
【0057】
実際、さらにより具体的には、藻類抽出物は、以下を含む:
藻類抽出物の総乾物の質量%として、
-15~30%の炭素;
-3~6%の水素;
-1~3%の窒素;
-25~40%の酸素;及び
-2.5~10%の硫黄。
【0058】
1つの他の実施形態によれば、藻類抽出物は、以下を含む:
藻類抽出物の総乾物の質量%として、
-10~50%の炭素;
-1~10%の水素;
-0.5~5%の窒素;
-20~60%の酸素;及び
-1~15%の硫黄。
【0059】
抽出物の乾物に存在する他の化学元素は、特にミネラル(Ca、K、Na、Mg、Al、Cl、I、P、Feなど)により表される。
【0060】
より具体的には、本発明の文脈で説明される藻類抽出物は、図1に示されるH NMRスペクトルにより特徴付けられる。
【0061】
このH NMRスペクトルは、5mm逆TCI極低温プローブH/13C/15Nを備えたBruker Avance 500分光計上で298Kで記録された。分析の前、サンプルは、99.97%のDOに溶解された。化学シフトは、外部標準(トリメチルシリルプロピオン酸)に対するppmで表される。HODシグナル抑制は実行されなかった。
【0062】
上記のような、分子量が50kDa以下である硫酸化及び非硫酸化ポリアニオン性多糖類を含むUlvales目の藻類抽出物は、
a)藻類を洗浄し、そして脱砂し;
b)前記藻類を粉砕し;
c)粉砕された材料の固相を、その液相から分離し;
d)前記液層を清澄化し;
e)工程d)で得られたジュースを、50kDa以下の孔径を有する膜を通して限外濾過し;そして
f)工程e)で得られた濾液を、濃縮し、そして次に、乾燥させることを含む調製方法により得られることが可能であるか、又は得られる。
【0063】
1つの実施形態によれば、調製方法はさらに、洗浄/脱砂の工程a)と粉砕の工程b)との間に、凍結の工程、それに続く解凍の工程を含む。
【0064】
特に、本発明の文脈で示される方法の実施のために、その工程a)において、藻類は真水で洗浄される。
【0065】
それらは、当業者に利用できる任意の手段により脱砂され得る。
【0066】
次に、前記藻類は特に、粉砕機、例えば精製器又はカッターにより粉砕される。
【0067】
その後、粉砕された材料の固相であるマルクは、例えばベルト又はプレートプレスを用いて粉砕された材料をプレスすることにより、又は遠心分離により、その液相であるジュースから分離される。
【0068】
用語「ジュース」とは、藻類細胞の二重膜構造の頭頂構造を含む細胞質ジュースを指すと理解されている。
【0069】
次に、得られた液相は、例えばディスクスタッククラリファイアを用いて、又は遠心分離、デカンテーション又は濾過(例えばバッグ又はプレートフィルターを用いて)によって清澄化される。
【0070】
次に、得られたジュースは、限外濾過される。
【0071】
本発明の文脈で示される方法を実施するための1つの実施形態によれば、限外濾過は、50kDa以下の孔サイズ(又は公称分子量限界NMWL)を有する膜、特に40、30、20又は15kDaの孔サイズを有する膜上で実施される。より具体的には、膜は、15kDa以下の孔サイズを有する膜である。
【0072】
この膜は、例えば、セラミック膜又は有機膜であり得る。より具体的には、膜はセラミック膜である。
【0073】
得られた濾過ジュースは、その後、例えば逆浸透、蒸発又は沈殿により濃縮され、そして次に、例えば凍結乾燥又は噴霧により乾燥され得る。
【0074】
任意には、濃縮工程は、特に150~1000Daの間のサイズを有する膜上で、脱塩工程により実施され得る。
【0075】
任意には、次に、得られた抽出物は、粒子サイズに関して、均質である粉末を得るために、再び粉砕され得る
【0076】
それらの側面の1つによれば、前記方法は、周囲温度で部分的に実行される。用語「周囲温度」とは、5~25℃の温度を示すと理解される。
【0077】
それらの別の側面によれば、前記方法は、微生物の発生及び増殖を防ぐために、部分的に4~10℃の温度で実施される。
【0078】
本発明の文脈において示される方法を実施するための1つの実施形態によれば、上記方法の工程f)で得られた藻類抽出物は、例えば特にミネラル部分を除去するために、限外濾過により、特に限外濾過セット上で精製される。他の実施形態によれば、この精製はまた、濃縮工程f)の前、又は濃縮工程f)の間に実施され得る。
【0079】
上記の藻類抽出物を調製するための調製方法は、溶媒、特に有機溶媒、及びより具体的には、水以外の溶媒を使用しない。
【0080】
好ましくは、分子量が50kDa以下である硫酸化及び非硫酸化ポリアニオン性多糖類を含むUlvales目の藻類抽出物は、1又は2以下の以下の効果を示す。
-それは、好ましくはNK細胞により介在されるメカニズムにより、全身性の細菌の拡散を制限し;
-それは、感染部位で、好ましくはINFγ NK細胞の割合を高めないで、総NK細胞の数及びINFγ産生NKの数を高め;
-それは、感染部位での前炎症性サイトカイン産生自然免疫細胞(特に、IL-12産生DC及び/又はTNFαマクロファージ及び/又はINFγ産生NK又はTL)の割合を高めず;
-それは、特にメチシリン感受性Staphyloccocus aureusに対して直接的な抗菌効果を有さず;
-それは、インビトロでの直接的刺激によるNK細胞によるインターフェロンの産生の増加を誘発せず;
-それは、インビトロでの直接的刺激によるNK細胞におけるマーカーKLRG1の発現の増加を誘発せず;
-それは、感染部位でのケモカイン、CXCL-1及び/又はCXCL-2のレベルの上昇を誘発しない。
【0081】
医薬組成物
50kDa以下の分子量を有する硫酸化及び非硫酸化ポリアニオン性多糖類を含むUlvales目の藻類抽出物は好ましくは、医薬組成物又は薬剤中に配合される。
【0082】
本発明の実施のための医薬組成物又は薬剤は、典型的には、50kDa以下の分子量を有する硫酸化及び非硫酸化ポリアニオン性多糖類を含むUlvales目の藻類抽出物、及び医薬的に許容される賦形剤を含む。
【0083】
本発明によるその使用のための藻類抽出物を含む薬剤又は医薬組成物の調製のために使用される医薬的に許容できる賦形剤は、当業者に知られている通常の賦形剤の中から、剤形及び所望の投与様式に基いて選択される。
【0084】
経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、局所、局所、腹腔内、気管内、鼻腔内、経皮又は直腸投与に関しては、上記で定義した藻類抽出物は、従来の医薬賦形剤と混合して、単位用量の形態で投与され得る。
【0085】
投与に適切な形態は、以下を含む:経口経路形態、例えば錠剤、ソフト又はハードカプセル、粉末、顆粒、及び経口液剤又は懸濁液;舌下、頬側、気管内、眼内、鼻腔内投与、及び吸入による投与のための形態;局所、非経口投与、例えば経皮、腹腔内、気管内、皮下、筋肉内又は静脈内のための形態;直腸投与、及びインプラントのための形態。
【0086】
錠剤の形態での固形組成物が調製される場合、主な活性成分は、医薬担体、例えばゼラチン、デンプン、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、アラビアガムなどと混合され得る。
【0087】
錠剤はまた、サッカロース、セルロース誘導体、又は他の適切な材料により被覆され得、又は実際、それらは、それらが持続又は遅延活性を有し、そしてそれらが所定量の活性成分を連続して放出することを確実にするように適切に処理され得る。
【0088】
カプセルの形態の調製物は、例えば、活性成分と希釈剤とを混合することにより、及び得られた混合物をソフト又はハードカプセル中に注ぐことにより得られることができる。
【0089】
1つの実施形態によれば、本発明に従って使用するための藻類抽出物、薬物又は医薬組成物は、経口投与を目的としている。1つの他の実施形態によれば、本発明に従って使用するための藻類抽出物、薬物又は医薬組成物は、非経口投与を目的としている。1つの他の実施形態によれば、本発明に従って使用するための藻類抽出物、薬物又は医薬組成物は、腹腔内投与を目的としている。
【0090】
本発明に従って使用するための藻類抽出物を含む薬剤又は医薬組成物はまた、液体形態、例えば、溶液、エマルジョン、懸濁液又はシロップの形態;及び特に、経口又は鼻腔内投与に適した形態で提供され得る。適切な液体担体は、例えば水、有機溶媒、例えばグリセロール又はグリコール、並びに水中、種々の割合でのそれらの混合物であり得る。
【0091】
シロップ又はエリキシルの形態での、又は液滴の形態での投与のための調製物はまた、カロリーのないか、又は低カロリーの甘味剤、防腐剤としてのメチルパラベン及びプロピルパラベン、並びに風味剤及び適切な着色剤と共に、活性成分を含むことができる。
【0092】
水分散性である粉末又は顆粒は、例えば分散剤又は湿潤剤、又は懸濁剤、例えばポリビニルピロリドン、並びに甘味剤又はフレーバー補正剤と混合して活性成分を含むことができる。
【0093】
一般的に、本発明の文脈においては、藻類抽出物の1日の用量は、心的外傷後免疫抑制に対して予防的及び/又は治療的効果を生み出すことができる藻類抽出物の最低有効量であろう。
【0094】
用語「有効量」とは、観察された所望の効果、この場合、免疫刺激効果の取得を可能にする任意の量の組成物を指すと理解される。
【0095】
その側面の1つによれば、本発明による使用のための藻類抽出物は、ヒトにおいて、0.1~300mg/kg、例えば0.1~100mg/kg、さらにより具体的には、0.5~60mg/kg、例えば1~20mg/kg又は5~30mg/kgの用量で、又は動物的においては、1~300mg/kg、又は1~200mg/kg、より具体的には、1~100mg/kg、実際さらに具体的には、2~45mg/kg又は10~60mg/kgの用量での投与のために上記のような組成物に使用される。
【0096】
その側面の1つによれば、本発明による使用のための藻類抽出物は、ヒトにおいては、100~300mg/kg、例えば50~100mg/kgの用量で、又は動物においては、100~300mg/kg、又は100~200mg/kgの用量で、経口経路を介して投与するための上記のような組成物に使用される。
【0097】
心的外傷後免疫抑制により誘発される合併症の予防的又は治療的治療
本発明の文脈において、用語「治療する(treat)」又は「治療(treatment)」とは、障害、又はこの障害に関連する1又は2以上の症状の進行を抑制、緩和又は予防することを指すと理解される。「予防的(preventive)」とは、そのような障害、又はその障害に関連する1又は2以上の症状の発生を予防することに関係する。
【0098】
本発明による予防的又は治療的治療の対象は、哺乳類、例えば、ゲッは類、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、又は霊長類である。対象は、男性、女性又は子供を問わず、特にヒトである。
【0099】
対象は、心的外傷後免疫抑制を示す。一般的に、心的外傷後免疫抑制は、頭蓋外傷、特に多発外傷(複数の外傷)を伴うか又は伴わない頭蓋外傷、大手術又は重度の感染などの対象における1又は2以上の重度の外傷の結果として起こる。
【0100】
1つの実施形態によれば、重度の外傷を有する問題の対象は、少なくとも2つの外傷性損傷(多発外傷(複数の外傷))を示し、そのうちの少なくとも1つの損傷は生命を脅かすものである。対象は一般的に、例えば病院の集中治療室に入院される。対象は、より具体的には、特に挿菅により、人工換気下に置かれ得る。
【0101】
1つの実施形態によれば、重度の外傷を有する対象は、少なくとも16の「損傷重症度スコア」(又はISS)を有する。非常に重度の外傷の場合、ISSは少なくとも25である。ISSの計算では、患者の身体のいくつかの領域(頭頸部; 顔; 胸郭; 腹部及び骨盤; 骨盤ガードル及び手足; 皮膚及び皮下組織)に生じた損傷が考慮される。各領域への損傷は、その重症度に依存して1~6まで評価される(1:軽度の障害、6:重大な障害)。次に、ISSは、最も障害のある3つの領域を2乗することによって計算される(例えば、各領域の評価がそれぞれ、以下:頭4、腹部3、胸部2、他の領域1である場合、ISSは、4 +3 +2 = 16 + 9 + 4 = 29になる)(Baker et al., 1974, J Trauma. 14: 187-196)。
【0102】
1つの実施形態によれば、重度の外傷を有する対象は、8未満のグラスゴー昏睡尺度(GCS)スコアによる定義される重度の頭蓋外傷を示す。GCSの決定は、以下の3つの非常に正確な臨床基準の変動性を研究することにより昏睡の深さを評価する手段を提供する方法である:1)開眼(1:「開眼なし」~4:「自発的開眼」;2)運動能力(動く能力)、又は好ましい場合、最良の運動反応(1:「運動反応なし」~6:「コマンドに従う」の評価):及び3)提起された質問への回答(口頭での回答、1:「口頭での回答なし」~5:「方向性のある回答」の評価)。GCSは、上記の3つの臨床基準により得られた結果の合計である。従って、スコアは、最大15の範囲である(Teasdale et al. 1974, Lancet 2: 81 -84)。
【0103】
心的外傷後免疫抑制は、好ましくは、以下により特徴付けられる:
a)健康な個体で観察される産生レベルと比較して、グラム陰性バチルス、例えば大腸菌のLPSによる刺激の後、血中白血球により誘発された前炎症性サイトカインのエクスビボ産生のレベルの低下;及び/又はb)健康な個体で観察される発現レベルと比較して、患者の抗原提示細胞上でのHLA-DR(ヒト白血球抗原―DRアイソタイプ)発現のレベルの低下。
【0104】
サイトカイン産生レベルの観察される減少(例えば、pg/mlで表される)は、サイトカイン産生レベルが100%の値を表す健康なボランティアに対して報告されている。サイトカインは、典型的には、LPS(一般的に大腸菌由来)により刺激された全血培養で測定される。HLA-DRの発現は、細胞の表面に発現されるHLA-DR分子の数(「平均蛍光強度」のMFI)、又は健康なボランティアにおいてHLA-DR発現のレベルを表す値100%での%のいずれかで、健康なボランティアに対して報告される。特に、%で考慮される場合、上記a)及び/又はb)の低下は、少なくとも約20%である。それは好ましくは、少なくても約25%、より優先的には、少なくとも約30、35、40、45%及びより好ましくは少なくとも約50、55、60%、又はそれ以上である。
【0105】
より好ましくは、重度の外傷を有する患者に観察される心的外傷後免疫抑制は、1又は2以上の外傷(D0~D1)後24時間以内に前記患者の単球でのHLA-DR発現のレベルが、健康な個体に観察される発現のレベルに比較して、低められるようなものである。さらに、この最初の低下は、実際には、敗血症性合併症(又は二次感染)のリスクを予測可能にする。従って、1又は2以上の重度の外傷(D1)の次の日の単球上での低レベルのHLA-DR発現、例えば50%の低下は、二次感染する患者のリスクが高いことを予測する。HLA-DRの発現は、細胞の表面に発現されるHLA-DR分子の数(「平均蛍光強度」のMFI)、又は健康なボランティアにおいてHLA-DR発現のレベルを表す値100%での%のいずれかで、健康なボランティアに対して報告される。特に、%で考慮した場合、HLA-DR発現のレベルの低下は、少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約30、35、40、45%、及びより優先的には、少なくとも約50、55、60%、又はそれ以上である。
【0106】
1つの実施形態によれば、心的外傷後免疫抑制の予防及び/又は治療は、心的外傷後免疫抑制に関連する敗血症性合併症の予防及び/又は治療につながる。
【0107】
心的外傷後免疫抑制に関連する敗血症性合併症(又は二次感染)は、より具体的には、院内感染、特に細菌又は真菌、又はウィルス感染である。特に、問題の院内感染は、肺疾患、例えば機械的人工呼吸下で獲得した肺炎、すなわち人工呼吸器関連肺炎(VAP)、尿路感染症、中心静脈カテーテルの感染症、細菌性脳髄膜感染症、例えば蓄膿症、髄膜炎、及び脳膿瘍から成る群から選択される。さらに具体的には、肺疾患は、staphylococci、好ましくはStaphylococcus aureus、より好ましくはメチシリン感受性Staphyloccocus aureus、Haemophilus sp.、好ましくはH. influenza;pneumococci; enterobacteria、Pseudomonas sp.、特に P. aeruginosaから選択された病原菌によるものである。肺疾患を引起す細菌はまた、他の細菌属又は種(例えば、グラム陰性バチルス及びグラム陽性球菌)にも属する。さらに、それらは抗生物質に対して耐性を有するかもしれない。肺疾患以外の感染症の場合、原因と成る細菌又は酵母は例えば、以下であり得る:尿路感染症の場合、グラム陰性バチルス(例えば 、E. coli, Proteus mirabilis、Pseudomonas aeruginosa) 及びグラム陽性球菌 (例えば、 S. aureus);中心静脈カテーテルの感染症の場合、グラム陰性バチルス (例えば、 E. coli, P. mirabilis、P. aeruginosa)、グラム陽性球菌(例えば、S. aureus、コアギュラーゼ陰性staphylococci)及び酵母 、例えばCandida sp.; 細菌性脳髄膜感染症の場合、グラム陰性バチルス(例えば、E. coli、 P. mirabilis、P. aeruginosa) 及び グラム陽性球菌 (例えば S. aureus、コアギュラーゼ陰性staphylococci、Streptococcus pneumoniae)。
【0108】
1つの実施形態によれば、感染の部位(又は感染源)は、肺である。
【0109】
藻類抽出物、又はそれを含む組成物又は薬剤は、好ましくは、患者の入院、特に集中治療室への入院日から最大1ヵ月、好ましくは最大28日の期間内に、必要に応じて、1又は2以上の回数投与される。言い換えれば、予防が求められている敗血症性合併症は、患者の入院日から最大約1ヶ月、好ましくは最大28日の期間にわたって発生する(又は発症する)可能性がある。例えば、敗血症性合併症は、D0~D10の重度の外傷患者の40~50%、及びD10~D28の追加の患者の10~20%で発生することが見出されており、すなわち合計で患者の50~70%で二次感染にかかっていた(Osborn et al., 2004 Crit. Care Med.; 32 (11): 2234-40)。
【0110】
特に、藻類抽出物、又はそれを含む組成物又は薬剤は、患者の挿管期間中に1回又は2回以上、投与される。
【0111】
本出願において、用語「及び/又は」とは、それが接続する1又は2以上のケース又はインスタンスが発生する可能性がある事実を包含すると解釈されるべき文法的接続詞である。例えば、「前記多糖類はマンノース及び/又はアラビノースを含む」という表現における「マンノース及び/又はアラビノース」という表現は、多糖類がマンノース、又はアラビノース、又はマンノース及びアラビノースを含み得ることを示す。
【0112】
本出願を通して、用語「含む」とは、具体的に言及された全ての特徴的な特徴、並びに任意の追加の不特定の特徴を含むと解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、用語「含む」の使用は、具体的に言及された特徴以外の特徴は存在しない(すなわち、「から成る」)実施形態も説明する。
【0113】
本発明は、以下の図及び実施例により、より詳細に説明されるが、それらは本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例
【0114】
実施例1:本発明の使用のための藻類抽出物の調製:
藻類抽出物は、国際特許出願WO2015071497号の実施例1に記載のようにして調製される。
【0115】
Ulva型の新鮮な生の緑藻1トンを、真水により洗浄し、そして藻類洗浄機を用いて脱砂する。
【0116】
特にことわらない限り、方法の工程は、周囲温度で実行される。
【0117】
次に、藻類(8%の乾物を含む1トンの脱水藻類)を、工業用精製装置(ブランド/モデル:Inotec「I175CD-75D」)により微粒子に粉砕する。用語「微粒子」とは、50~1000nmの範囲のサイズを有し、2つの集団を有する粒子を指すと理解され、第1は50~200nmの粒子サイズを有し、第2は600~1000nmの粒子サイズを有する。
【0118】
次に、ブランド/モデルFlottweg「BFRU800HK」の工業用ベルトプレスを用いて、約1トン/時の処理速度で、粉砕された材料をプレスする。この工程は、液相(ジュース)からの固相(marc)の分離を可能にする。得られたジュースの収率は75%である。
【0119】
次に、得られた750kgの生ジュースを、ブランド/モデルFlottweg「AC2000」のディスクスタック遠心分離機を用いて清澄化する。従って、これは、3.10%の乾燥質量(95~98%の質量収率)及びクリーム(2~5%の質量)の透明なジュース710kgを生成する。
【0120】
その後、透明なジュースを、15kDaのセラミック膜(Tami Industries)を通して限外濾過する。従って、透過液及び保持液が続いて得られる。透過液は、2.2%の乾物を含む640kgの濾過ジュース(91%の体積収率)が得られるまで、保存される。
【0121】
次に、濾過ジュース(透過液)を、蒸発による濃縮に続いて凍結乾燥により乾燥する。
【0122】
濃縮工程を、以下のパラメーター単一効果蒸発器(EVA1000、Pignat)を用いて実行する:強制再循環、供給速度10L/時、蒸気圧1ベール、真空圧0.3バール、及び蒸発温度90℃。最初の濃縮は、8L/時の蒸発水流速度で実行され、そしてBrix値は、5.5(4.5%の乾物濃度に等しい)から14.7に上昇する。この溶液を、5~6L/時の蒸発水流速度で2回濃縮し、そしてBrix値は34に上昇する。溶液の乾物濃度は、38.4%と決定される。
【0123】
次に、凍結乾燥は、この工程の間、最低温度でもある-80℃の凍結温度で、Bioblock Scientific (モデル: CHRIST - Alpha 1-4 LSC)からの装置を用いて実行される。
【0124】
得られた粉末を、プラネタリーミルのブランドPhilips MiniMillにより粉砕する。生成物を、粉砕ボウルに導入した(4つのジルコニアボールを備えた多粉砕ボウルに10gの生成物)。このアセンブリーを、速度10で15分間、回転するように操作した。従って、これは、14kgの藻類抽出物粉末を生成した。
【0125】
実施例2:頭蓋外傷のマウスモデルにおける藻類抽出物の効果の研究-材料及び方法:
動物福祉:全ての実験を、実験動物福祉との原則に従って実施した。全ての実験は、Pays de la Loire倫理委員会及び MESR (Ministere de l’Enseignement superieur, de la Recherche et de l’Innovation / French Ministry of Higher Education, Research and Innovation) (no 2016121915529061)によって承認されている。マウス(生後5週の雄のSwiss、 RjOrl系:生後6週の雄のSWISS及びC57BL/6、体重24~28gのC57BL/6JRj系)を、Janvier laboratory (Laval)から入出した。マウスは、フランスのナントにあるInstitut deRechercheenSante2(1RS 2)[健康研究所]の動物施設で、水及び餌を自由に摂取できる12時間の昼/夜サイクルで飼育された。
【0126】
硫酸化及び非硫酸化多糖類を含む藻類抽出物:それを、Plestin les Greves(ブルターニュ、フランス)のビーチで収集された藻類Ulva armoricanaから、実施例1に記載されるプロトコルに従って、抽出し、そして精製した。LPSによる種々の画分の汚染がないことを、市販の技術(E-toxateキット, Sigma)を用いて評価した。最終抽出物におけるLPSは、このアッセイにより検出されなかった。使用されたサンプルは、硫酸化及び非硫酸化多糖類の1%の濃度(溶液の最終体積に対する乾物の重量による濃度)での水溶液の形態であった。
【0127】
頭蓋外傷モデル:頭蓋外傷を、「減量装置(Weight drop device)」技法を用いてもたらした(Flierl et al., 2009, Nat. Protoc.; 4 (9): 1328-37)。手順の30分前、0.1mg/kgのブプレノフィンの皮下注射を行い、そしてその後、マウスを、イソフルランの連続吸入(新鮮ガスの流速0.8L/分、吸入された画分3.5%)により麻酔した。頭蓋骨の上部での1cmの切開は、冠状及び矢状縫合を効果的に配置し、そして手順を最適化するのに役立った。次に、高さ2.5cmの標準化された重りを落とすことにより外傷を負わせ、その後、4.0の縫合糸で切開部分を縫い合わせて閉じた。頭蓋骨の破れがあってはならない。全体の回復を直ちに及び次に12時間ごとにモニターし、そしてマウスを、必要に応じて、ブプレノルフィンの皮下鎮痛を行った。病理学的覚醒の場合、マウスを安楽死させた。エンドポイントを、下記表1に従って評価した。
【0128】
【表1】
【0129】
細菌接種物:MSSA株ATCC29213(溶血素陽性、Panton Valentine陰性ロイコシジン)を、全ての実験で使用した。菌株を、37℃で18時間、心臓-脳ブロスにおいてインキュベートし、そしてその後、2回、洗浄し(20℃で10分間、1000g)、そして最終的に、滅菌PBSで希釈した。その後、7MeFarlandを得るために比濁法により接種物を較正し、次に最終的に、1~3×10CFU/mlの濃度を達成するために、5回、濃縮した。
【0130】
肺炎モデル:手順の30分前、0.1mg/kgのブプレノルフィンの皮下注射を行い、そしてその後、マウスをイソフルランの連続吸入(新鮮ガス0.8L/分の流量、吸入画分3.5%)により麻酔した。次に、24ゲージの強制経口投与カニューレの気管内挿入、及び次に、75μlの接種物の注射により、肺炎を誘発した。マウスを以下の4つのグループに分けた:外傷を受けていない、非感染のマウス(S);外傷を受けていない、感染されたマウス(PN);外傷を受け、そして感染されているが、治療されていないマウス(PN+TC);及び外傷を受け、そして感染され、200μgの海洋化合物を12時間ごとに腹腔内投与することにより治療されたマウス(PN+TC+TX)。
【0131】
藻類抽出物の投与:藻類抽出物を、腹腔内又は気管内に、50μg、200μg及び500μgの用量で、総量200μl(PBSを補充された)で投与した。
【0132】
抽出物の用量効果の調査:藻類抽出物を、安楽死の2及び12時間前、総量200μlのPBS中、50、200及び500μlの用量で、腹腔内投与した。肺粘膜免疫系の細胞を現場刺激するために、藻類抽出物を、肺炎誘発中の細菌接種の場合と同じ手順に従って、75μl中50μgの用量で気管内投与した。次に、脾臓及び肺を取り出し、そしてその後、細胞集団を、前炎症性サイトカイン(IL-12、TNFα、INFγ)の細胞内染色の後、フローサイトメトリーにより分析した。
【0133】
細胞集団のFACS分析:肺及び脾臓の細胞の細胞懸濁液を、手動機械的に粉砕し、そして次にコラーゲナーゼにより30分(膵臓)又は45分(肺)消化し、そして続いてスクリーン(70μmの孔)を通すことにより得た。赤血球溶解液による処理の後、得られた細胞懸濁液を、特定の蛍光色素に結合された抗体と共に、4℃で30分間インキュベートした。
【0134】
DCの場合:CD24-BV711(M1 / 69、BD Horizon)、CD11c-PeCy7(NK18、Biolegend)、MHC II-BV421(M5 / 114.15.2、Biolegend); マクロファージの場合:F4 / 80-Alexa647(BM8、Biolegend)、CD11b-BV605(M1 / 70、BD Horizon)、CD11c-PeCy7(NK18、Biolegend)。細胞を、NK細胞及びTリンパ球の場合:NK1.1-BV421(PK136、BD Horizon)、CD3-PE(145-2C11、eBioscience)及びKLRG 1-APC(2F1、eBioscience)。BD LSRII(登録商標)装置上で分析し、そしてその後、次の全てのデータを、Flowjo Software(登録商標)(TreeStar Inc, Ashland, OR)を用いて解釈した。
【0135】
細胞内サイトカインの染色:マウスを、MSS産生肺炎の気管点滴の12時間後に安楽死させた。DC、マイクロファージ及びリンパ球におけるサイトカインの細胞内染色の場合、エキソサイトーシスをブロックするために、細胞をRoswell Park Memorial Institute 培地(RPMI) 及びゴルジプラグ (BD Bioscience)を含む培地で5時間インキュベートし、2度洗浄し、そして次に、膜マーカーにより標識した(蒸気を参照のこと)。固定及び透過処理を、製造業者(BD Cytofix / Cytoperm キット, BD Bioscience)に従って実行した。細胞を、抗体抗IL-12-PE(C15.6, BD Pharmingen)、INF γ‐Alexa488 (XMG1.2, eBioscience) 及び TNFα-PE (MP6-XT22, BD Pharmingen)と共に、PermWashにおいて4℃で一晩インキュベートし;次に、細胞を2度、洗浄し、そしてフローサイトメトリーにより分析した。
【0136】
細菌の増殖及び拡散の評価:肺及び脾臓を計量し、そして次に、滅菌条件下で機械的に粉砕した。気管のホモジネートを、いくつかの希釈(条件に依存して10-2~10-6)にかけ、そして他の細菌の増殖を回避するために、特定の培地(Chapman)上で37℃でインキュベートした。24時間のインキュベーションの後、コロニーを計数し、そして結果を、1gの器官当たりlog10CFUで表した。
【0137】
殺菌動態:液体培地での殺菌動態を、Mueller Hintonブロス (接種開始 = 6x10 CFU/mL)で5倍に希釈されたMSSA ATCC29213から0.5McFarland標準(比濁データ)の接種物を用いて実施した。対照を、いくつかの範囲の濃度の海洋硫酸化化合物(50μg/ml、200μg/ml、500μg/ml)と比較した。次に、50μをTS寒天上に、HO、H3、H6及びH24でプレートし、そして次に、37℃で24時間インキュベートした。コロニーを計数し、そして結果を、Log10CFU/mlで表した。
【0138】
Luminex法による肺及び脾臓ケモカインの発現レベルの決定:肺及び脾臓のサンプルを除去した後、後者を、1mMのプロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma, Isle D‘Abeau Chesnes, France)を含む溶解緩衝液(1×PBS、pH7.4/0.1%トリトンX-100)の存在下で4℃で機械的に均質化した。次に、ホモジネートを、4℃で20分間、12,000gで遠心分離し、その後、上清液を除去し、そして次に、分析まで-80℃で保存した。異なるケモカインの濃度を、以下の異なるケモカインの特定の標識の後、Luminex(登録商標)法を使用して、CIMNAプラットフォーム(Centre d’Immunomonitorage Nantes Atlantique/Nantes Atlantique Immunomonitoring Centre)を用いて生成した:CCL19 / MIP-3β(BR19)、CCL2 / MCP-1 / JE(BR18)、CCL20 / MIP-3α(BR48)、CCL21 / 6Ckine(BR72)、CCL3 / MIP-1α(BR46)、CCL4 / MIP-1β(BR51)、CCL8 / MCP-2(BR38)、CXCL1 / KC(BR13)、CXCL10 / IP-10(BR37)、CXCL2 / MIP-2(BR20)。
【0139】
NK細胞の磁気選別:肺細胞懸濁液を、FACS分析のために使用されるプロトコルに従って得た。細胞を計数し(肺当たり約2.10)、そして次に、300gで10分間、遠心分離した。細胞を、10個の細胞用の40μlのFACS緩衝液に懸濁し、そして次に、10μlのNK細胞ビオチン-抗体カクテル(Miltenyi Biotec(登録商標), Germany)により標識し、そして4℃で5分間インキュベートした。300gで10分間のさらなる遠心分離の後、細胞を、10個の細胞用の20μlの抗ビオチンマイクロビーズ(Miltenyi Biotec(登録商標), Germany)と共に4℃で10分間インキュベートした。最終的に、磁気分離を、製造業者(Miltenyi Biotec, Germany)の推奨に従って実行した。各グループ(ナイーブ及びTC)は、6匹のマウスから成り、次に肺を、ウェル当たり最低10,000個のNK細胞(マウス肺当たり約2,000万個の細胞)を達成するために、一度に2回粉砕した。NK細胞の純度は、90%以上であった。
【0140】
NK細胞のインビトロ刺激:磁気選別の後に単離されたNK細胞を、37℃でCOオーブンで5時間、及び以下の3つの異なる条件下でインビトロ刺激した:対照(RPMI + FBS [ウシ胎児血清] + 3000 IU / mLの濃度でのIL-2)、藻類(対照+500μg/ mLの藻類)及びPMA-ロノマイシン(コントロール+ 50 ng / mLのPMA及びロノマイシン(1μg/mL)。細胞をまた、ゴルジプラグ(BD Bioscience)により、製造業者の推奨に従って、5時間のうち4時間、刺激した。次に、IFN-gの分泌、KLRG1の膜発現、及びNK細胞の数を、FACSにより分析した。
【0141】
NK細胞のインビボ枯渇:NK細胞を、190μlのPBS中、10μlのLEAF精製抗マウスNK1.1(クローンPK136 /カタログ番号108712-1mg / mL)(Biolegend))のIV(レトロオービタル)注射によりインビボで枯渇した。注射は、頭蓋外傷の2時間後及び48時間後、投与された。NK細胞枯渇の有効性を、以下の肺NK細胞の数を計数することによりFACSを用いて評価した:NK1.1-BV421(PK136, BD Horizon)、 CD3-PE (145-2C11, eBioscience)。
【0142】
統計:統計学的分析を、ソフトウェアアプリケーションGraphPadPrism 6.0(登録商標) (San Diego, CA, United States)を用いて実行した。ノンパラメトリック連続変数を、中央値+/-四分位範囲で表し、そしてDunn検定を事後的に使用したKruskall-Wallis検定により分析した。%での集団の分析を、二国間フィッシャーの直接確立検定により実行した。
【0143】
実施例3:臨床的及び細菌学的効果:
マウスを以下の4つのグループに分けた:擬似(S);肺炎のみ(PN);頭蓋外傷+肺炎(TC+PN);及び外傷を受け、そして感染され、外傷の2時間後から安楽死まで、200μgの化合物の腹腔内注射(IP)により12時間ごとに治療されたマウス(TC+PN+TX)。グループS及びPNのマウスは、外傷なしで頭蓋骨の上部から1cmの切開を受けた。肺炎を、頭蓋外傷の24時間後、誘発した。安楽死は、研究された基準に従って、肺炎の誘発の24~48時間後に発生した(図1)。
【0144】
藻類抽出物は、外傷を受け、そして二次感染されたマウスの体重減少に影響を与えない。
【0145】
MSSA肺炎は、24時間後、約12%の体重の一時的な体重減少を誘発する。頭蓋外傷は、感染の初期段階で体重減少を高めたが、しかし外傷を受けていないマウスと比較して、D+3からの回復には影響しない。この治療は、外傷を受け、そして二次感染されマウスの体重減少に影響を与えない(図2)。
【0146】
藻類抽出物は、MSSA肺炎の誘発の48時間後、外傷を受けたマウスの細菌の拡散を制限する
【0147】
肺の細菌負荷は、肺炎の誘発後、24時間(PN、TC+PN、TC+PN+TX)(図3A)及び48時間(図3B)で感染された全てのグループで類似する。
【0148】
肺感染後24時間目から、肺炎の全てのマウスは、MSS細菌血症であった(脾臓の細菌負荷>2log)。
【0149】
外傷を受けたマウスは、外傷を受けなかったマウスと比較して、肺炎の後、より高い細菌の広がりを示さない(PN対TC+PN)(図3C及び3D)。
【0150】
感染後24時間で、治療は細菌血症に影響を与えなかったが(図3C)、しかし、感染の48時間目で、Staphyloccocus aureusが、治療されたグループ(TC+PN+TX)のマウスの22%で検出されたのに対して、心的外傷後肺炎を受け、治療されなかったグループ(TC+PN)のマウスの100%で検出された。従って、藻類抽出物により処理されたグループのマウスは、肺炎の誘発から48時間で脾臓の細菌負荷が低くなる(図3D)。この効果は、藻類抽出物の単回注射が、複数回注射の場合に観察されるよりも少なくない細菌血症の低下を誘発するので、投与の頻度に関連しているようである(結果は示されていない)。
【0151】
肺炎のみグループ(PN)と感染され、外傷を受けたグループ(CT+PN)との間で細菌負荷に差は存在しないが(図3C及び3D)、アジュバント治療(感染前に注射された)は、心的外傷後感染の間、細菌の広がりを低めるが、但し外傷がない場合はそうではない(図3E)。この結果は、藻類抽出物が心的外傷後免疫抑制の場合、細菌感染に対する肺応答を改善するが、しかし肺炎の間、健康な動物にはほとんど又は全く影響を及ぼさないことを示唆する。
【0152】
藻類抽出物は、インビトロで特定の抗-MSSA活性を有さない。
【0153】
心的外傷後肺炎の間、治療は、細菌感染の全身的広がりの期間を短縮する(図3)。この治療効果は、藻類抽出物の直接的な抗菌効果、又は宿主の免疫性に対する効果のいずれかに関連している可能性がある。潜在的な直接的抗菌特性を研究するために、MSSA ATCC29213株に対する藻類抽出物の効果を評価した。これを行うために、MSSAの増殖に対する藻類抽出物の効果のインビトロ評価を、液体培地での殺菌速度論の方法を適用することにより行った。結果は、藻類抽出物が、治療量を超える用量(50、200及び500μg/ml)を含む、試験された濃度に関係なく、直接的な抗-MSSA効果を有さないことを示す(図4)。
【0154】
実施例4:ナイーブマウスにおける藻類抽出物の免疫刺激効果の調査:
細菌の拡散に対する藻類抽出物臨床効果(図3D)、インビトロでの抗-MSSA効果のその欠如(図4)、及び外傷がない場合の臨床作用のその欠如(図3E及びF)は、多糖類の免疫刺激効果の調査を導いて来た。肺及び脾臓における前炎症性サイトカイン(DCによるIL-12、マクロファージによるTNFα、及びNK及びTLによるINFγ)の分泌に対する抽出物の用量効果関係が、ナイーブマウスにおいて最初に調査された。サイトカイン産生の評価を、細胞内染色の後、フローサイトメトリーにより実施した。このために、抽出物を腹腔内に複数回(安楽死の2時間及び12時間前)注射した。抽出物はまた、肺粘膜免疫系の細胞の直接刺激を誘発する試みで気管内に投与された。
【0155】
安楽死の2時間及び12時間前での藻類抽出物の腹腔内投与は、ナイーブマウスにおいて前炎症サイトカイン(IL-12、TNFα、TNFγ)の産生の上昇を誘発しない。
【0156】
藻類抽出物は、使用される用量に関係なく、IL-12産生肺DC(図5A)の割合の上昇を誘発しない。それは、TNFα-産生マクロファージの割合(図5B)を高めず、又は肺組織におけるNK細胞(図5C)又はINFγ+TLの数を高めない。肺CD、NK及びTLの総数は、ナイーブマウスへの藻類抽出物の注射により変更されなかった。
【0157】
藻類抽出物の投与の効果をまた、化合物の腹腔内注射の12時間後に評価した。同じ投与量が研究された。12時間で、前炎症性肺サイトカインの産生、及び細胞数の差は認められなかった(データは示されていない)。
【0158】
安楽死の2時間及び12時間前、藻類抽出物の気管内投与は、ナイーブマウスにおいて前炎症性サイトカイン(IL-12、TNFα、INFγ)の産生の増加を誘発しない。
【0159】
腹腔内経路は、ナイーブマウスにおいて研究された免疫細胞に対する効果はほとんどなかったので、気管内経路により直接投与された治療の効果を試験した。サイトカインの産生を、藻類抽出物の気管内注入の2時間(T(H-2))後、及び12時間(T(一晩))後に評価した。対照マウス(ナイーブ)及び安楽死の2時間前に50μgの用量でのLPSの投与(LPS(H2))と比較して、分泌に明白な差はなかった(図6)。
【0160】
実施例5:心的外傷後免疫抑制モデルにおける藻類抽出物の免疫刺激効果の調査:
ナイーブマウスにおける藻類抽出物の免疫刺激効果の欠如は、外傷を受け、そして二次感染されたマウスのモデアルでの継続的な調査につながり、臨床現場で観察されたシナリオを再現している。従って、藻類抽出物の免疫刺激効果が、心的外傷後免疫抑制モデルで評価された。頭蓋外傷がC57/B16マウスで引起され、次に、藻類抽出物が、外傷の2時間後から始まり、安楽死まで12時間ごとに、200μgの用量で腹腔内投与された(合計3回の注射)。肺炎は頭蓋外傷の24時間後に誘発され、そして続いて、マウスは、肺炎の12時間後、安楽死させられた。マウスは、以下の4つのグループに分けられた:擬似(S);肺炎のみ(PN):頭蓋外傷+肺炎は治療されなかった(TC+PN);及び頭蓋外傷+藻類抽出物により治療された肺炎(TC+PN+TX)(図7)。
【0161】
藻類抽出物の投与は、前炎症性サイトカインを産生する肺の自然免疫細胞の割合を高めない。
【0162】
外傷後肺炎モデルにおいて、藻類抽出物の腹腔内投与は、以下の割合を高めない:IL-12産生DC(図8A)、TNFα-産生マクロファージ(図8B)又はINFγ産生NK又はTL(図8C)。
【0163】
藻類抽出物の投与は、インターフェロンγ-産生NK細胞の数を高める。
【0164】
頭蓋外傷は、肺においてNK細胞の総数の減少を誘発し(図9A)、そしてインターフェロンγ産生NK細胞の減少(p<0.01)を誘発する(図9B)。藻類抽出物の投与は、INFγ細胞の割合を高めないで(図8C)、肺において総NK細胞及びインターフェロンγ産生NK細胞の数の上昇を誘発又は(図9A及び9B)(p<0.05)。この効果は、新たな傾向があったとしても、Tリンパ球ではそれほど明確に見出されない(p=0.17)(図9C)。
【0165】
実施例6:ナイーブ及び外傷を受けたマウスのNK細胞に対する藻類抽出物の直接的効果のインビトロ調査:
藻類抽出物は、肺NK細胞によるインターフェロンγ分泌又は活性化因子KLRG1の発現に対するインビトロの効果を有さない。
【0166】
抽出物により処理されたマウスにおけるインターフェロンγ産生NK細胞の数の増加、及びケモカインCXCL-1及びCXCL-2のレベルの上昇がないことを考慮して、インビボで見出される効果がNK細胞に対する治療の直接的作用によるものであるかどうかについて調査された。このために、ナイーブ及び外傷を受けたマウスの肺NK細胞を磁気的に選別し、そして次に、以下の3つの条件下で5時間、インビトロで刺激する:対象(Ctrl)、藻類抽出物及びPMA+ロノマイシン(PMA+lono)。
【0167】
PMA-lonoによる刺激とは異なり、藻類抽出物によるインビトロ刺激は、NK細胞によるインターフェロンγ(図10B)又は活性化マーカーKLRG1(図10C)の産生の増加を誘発しない。NK細胞の数は、5時間の刺激後、異なるグループで異ならなかった(図10D)。
【0168】
実施例7:イオンビボでのNK細胞の枯渇の場合の細菌学的効果の調査:
マウスを、以下の3つのグループに分けた:外傷を受け、そして感染されたマウス(TC+PN);外傷を受け、感染され、そしてNK細胞枯渇されたマウス(TC+PN+del);及び外傷を受け、感染され、NK細胞枯渇され、そして藻類抽出物により治療されたマウス(TC+PN+del+TX)。肺炎は、頭蓋外傷の24時間後に誘発された。安楽死は、肺炎の誘発の48時間後に発生した。NK細胞の枯渇は、頭蓋外傷の約2時間後及び48時間後にもたらされた。脾臓の細菌負荷及び肺のNK細胞枯渇(FACS)の有効性を、肺炎の誘発の48時間後に分析した(図11)。
【0169】
藻類抽出物は、外傷を受け、NK細胞枯渇されたマウスにおける脾臓細菌の拡散を制限しない。
【0170】
脾臓の細菌拡散に対する藻類抽出物の効果が肺NK細胞の数の増加によるものであるかどうかを評価するために、細菌血症に対するこの効果がインビボでのNK細胞枯渇の場合に見られるかどうかについて評価した。
【0171】
肺NK細胞が存在しない場合(95%を越える枯渇)、感染から48時間後の脾臓細菌拡散に対する藻類抽出物の顕著な効果は存在しない(TBI+PN+del 対 TBI+PN+del+TX) (図12)。
【0172】
実施例8:脾臓及び肺のケモカインの分泌に対する藻類抽出物の効果の研究:
硫酸化多糖類の投与は、外傷を受け、そして感染されたマウスにおける肺NK細胞の数の上昇を誘発する。この数の上昇がケモカインの分泌の誘発による肺へのNK細胞の動員によるかどうかを決定するために、ケモカインCXCL1(KC)、CCL2(MCP-1)、CCL19(MIP-3b)、CXCL2(MIP-2)、CXCL10(IP-10)、CCL8(MCP-2)、CCL3(MIP-1a)、CCL20(MIP-3a)、CCL4(MIP-1b)及び CCL21(6Ckine)の脾臓及び肺分泌を、Luminexで評価した。それらのケモカインは、急性炎症後のNK細胞の化学誘引に関与している。
【0173】
マウスを、以下の7つのグループに分けた:ナイーブマウス(擬似);外傷のみを受けたマウス(TC);外傷を受け、そして化合物により処理されたマウス(TC+TX);感染のみされたマウス(肺ケモカインの研究のみ);感染され、そして藻類抽出物により治療されたマウス(PN+TX)(肺ケモカインの研究のみ);外傷を受け、そして感染されたマウス(TC+PN);及び外傷を受け、感染され、そして藻類抽出物により治療されたマウス(TC+PN+TX)。肺炎は、頭蓋外傷の24時間後に誘発された。安楽死は、肺炎の12時間後に発生した。上記ケモカインの脾臓及び肺レベルは、Luminex技法により分析された(図13)。
【0174】
藻類抽出物は、ケモカインCCL2、CCL3、CCL4及びCCL8の脾臓レベルの増加をもたらす(図14)。藻類抽出物は、ケモカインCXCL1、CCL19、 CXCL2、CXCL10、CCL20、CCL4、CCL21の脾臓分泌に対する効果は有さない(データは示されていない)。藻類抽出物の腹腔内注射はまた、肺において分析されたケモカインのレベルの上昇をもたらさない(データは示されていない)。
【0175】
結論
藻類抽出物の臨床効果を、心的外傷後細菌生肺感染のモデルにおいて最初に調査した。肺の細菌負荷に対する明確な効果は示されなかったが、しかしこの治療は、外傷を受けたマウスにおける感染(脾臓細菌負荷)の48時間後での全身細菌の拡散を制限した。この効果は、藻類抽出物が、インビトロで抗-MSSA活性を有さず、そして感染され、外傷を受けていないマウスにおいて細菌の拡散に対する効果を有さないことを考えると、外傷により麻痺した免疫機能の回復によるものであり、直接的な抗菌活性によるものではない。
【0176】
藻類抽出物による治療後の外傷後肺炎のマウスモデルで観察された細菌拡散の減少、及びインビトロ確立された予備データは、自然免疫系細胞(DC、マイクロファージ、及びリンパ球NK及びTL)に対する抽出物の用量効果関係のナイーブマウスにおけるインビボ調査につながった。50、200及び500μg/マウスの用量が、インビボで確立された予備毒性データに関して選択された(Laboratoire Effimune, Nantes, Franceにより行われた試験)。IL-12、TNFα及びINFγの分泌の増加を効果的に示すために、注射時間(安楽死の2時間及び12時間前)を選択したが、肺にも脾臓にも効果は見出されなかった。藻類抽出物はまた、樹状細胞によるMHCIIの膜発現の増加を誘発しなかった(データは示されていない)。免疫抑制がない場合、藻類抽出物の投与は、自然免疫細胞の刺激を誘発しない。これは、外傷(及び従って免疫抑制)がない場合、藻類抽出物の投与が、外傷を受け、感染されたマウスにおいて観察されたものとは反対に、細菌拡散を制限しないという細菌学的結果を裏付ける。
【0177】
従って、前炎症性サイトカインの分泌の刺激が、MSSA肺炎が外傷後24時間で誘発された、外傷を受けたマウスのモデルで調査された。12時間ごとの藻類抽出物の腹腔内注射(TCから安楽死まで、合計3回)は、前炎症サイトカインを産生する自然免疫細胞の役割を高めなかった。しかしながら、総肺NK細胞及びINFγ産生サブグループ(急性肺感染の場合の対象の細胞)の数は、海洋抽出物により治療されたマウスのグループにおいて高められた。この上昇は感染の部位でのみ見出された(脾臓に差異は見出されなかった)。従って、頭蓋外傷は、TNFγ産生NK細胞の数の有意な減少を誘発し、その減少は藻類抽出物の投与により部分的に相殺される。この効果は、Tリンパ球では有意でなかった。
【0178】
従って、肺NK細胞の数のみの増加が、治療されたマウスの感染後48時間での細菌の拡散の制限を説明するのに十分であるかどうかという疑問が生じた。NK細胞は、特に急性肺感染において、抗菌応答に不可欠である。さらに、この臨床状況においては、NK細胞の作用は、前炎症性物質の分泌に限定されず、しかし特に多核好中球のアポトーシスを低め、そしてそれらの機能的能力を保持することにより、他の自然免疫系細胞の共刺激を導く。NK細胞はまた、組織損傷を引起す可能性のある非活性化DC及び過剰活性化マクロファージを破壊することにより免疫調製の役割を果たす。これに関連して、抽出物の効果が、NK細胞枯渇マウスの心的外傷後免疫抑制モデルにおける脾臓細菌の拡散に対して評価された。脾臓細菌負荷に対する抽出物の効果は、NK細胞枯渇(肺NK細胞の95%以上の枯渇)の場合には認められず、このことはインビボでの海洋抽出物の作用におけるそれらの細胞の役割を確認した。
【0179】
特にTLR4/NK-κB経路を介した上皮細胞による藻類抽出物の注射に応答してのケモカインの分泌は、感染部位でのNK細胞の数の増加を説明でき得る仮説の1つである。従って、急性肺炎の場合のNK細胞の走化性に関与する以下の主要なケモカインの肺及び脾臓れ得るを、藻類抽出物の注射の前後に測定した:CXCL1(KC)、CCL2(MCP-1)、CCL19(MIP-3b)、CXCL2(MIP-2)、CXCL10(IP-10)、CCL8(MCP-2)、CCL3(MIP-1a)、CCL20(MIP-3a)、CCL4(MIP-1b)、CCL21(6Ckine)。Luminex技法によるそれらのケモカインの研究は、脾臓におけるケモカインCCL2、CCL3、CCL4及びCCL8の分泌の増加を経験的に実証することを可能にする。藻類抽出物の注射は、研究時の肺ケモカインの分泌にも、脾臓における他のケモカインにも効果を有さないことが見出された。
【0180】
従って、以下の複数の仮説が可能である:1)肺ケモサインの分泌のピークは、たぶんその以前の発生のために効果的に実証されず、又は2)他の中間シグナル伝達経路が肺のNK細胞の数の増加に関与している。ケモカインCCL2、CCL3、CCL4及びCCL8は、主に上皮及び内皮細胞により分泌され、そして特に、急性肺損傷後の免疫細胞(好中球、NK細胞、リンパ球)の動員を可能にする。
【0181】
最終的に、藻類抽出物がNK細胞に対して直接的効果を有し、TLR4受容体の膜又は細胞内発現が文献において議論されているかどうかについて調査された。このために、ナイーブマウス及び外傷を受けたマウスからの肺NK細胞を、磁気選別により単離し、そしてIL-2の存在下で藻類抽出物によりインビトロで刺激した。INFγ分泌、KLRG1の膜発現、及びウェル当たりのNK細胞の数に対する効果は検出されなかった。従って、藻類抽出物の作用の機構はまだ解明されないままである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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【国際調査報告】