(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】脂肪組織を回収及び調製するための容器及び装置
(51)【国際特許分類】
A61M 1/00 20060101AFI20220112BHJP
A61M 39/12 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
A61M1/00 100
A61M1/00 140
A61M39/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021546482
(86)(22)【出願日】2019-10-16
(85)【翻訳文提出日】2021-04-28
(86)【国際出願番号】 FR2019052455
(87)【国際公開番号】W WO2020079368
(87)【国際公開日】2020-04-23
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521160971
【氏名又は名称】ステムシス
(74)【代理人】
【識別番号】100074734
【氏名又は名称】中里 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100086265
【氏名又は名称】川崎 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100076451
【氏名又は名称】三嶋 景治
(72)【発明者】
【氏名】ロシュ レジ
(72)【発明者】
【氏名】ゴーティエ ジュリアン
【テーマコード(参考)】
4C066
4C077
【Fターム(参考)】
4C066AA10
4C066BB01
4C066CC04
4C066CC06
4C066DD07
4C066DD12
4C066EE11
4C066GG01
4C066GG06
4C066GG07
4C066JJ02
4C066LL20
4C066MM03
4C077AA15
4C077BB10
4C077CC04
4C077DD11
4C077DD24
4C077DD26
4C077DD28
4C077DD29
4C077EE04
4C077JJ09
4C077JJ13
4C077KK09
(57)【要約】
本発明は、第1の流体回路を形成する吸引カニューレ(23)を備えた第1のパイプ(10)及び第2の流体回路を形成する吸引ポンプ(24)を備えた第2のパイプ(21)に連結され得る蓋(2)によって密封される本体(1)を含む、脂肪組織を回収するための容器(28)に関する。本発明によれば、容器(28)は、蓋(2)に連結するための取り外し可能なアダプタ(10)を更に含み、容器(28)の蓋(2)は、2つのオリフィス(25、26)であって、穿孔され得るか又は予め穿孔されており且つ自己密封する止め具(11)並びにフィルタ(5)及び取り外し可能なプラグ(17)を備えた通気開口(27)によってそれぞれ閉鎖される、2つのオリフィス(25、26)を含み、連結アダプタ(10)は、アダプタ(10)の下面の下から突出する2つの剛性穿孔管(29)を含み、穿孔管(29)のそれぞれは、アダプタ(10)の上面から突出する対応するニップル(30)と連続した流体関係にあり、各ニップル(30)は、対応するパイプ(20、21)に連結されるように設計され、及び蓋(2)の2つの密封されたオリフィス(25、26)並びに連結アダプタ(10)及びその穿孔管(29)は、連結アダプタ(10)が蓋(2)に付けられるとき、穿孔管(29)のそれぞれが対応する止め具(11)の1つを穿孔し、且つニップル(30)のそれぞれを、密封される手法において、容器(28)の内部容積と対応させるように配置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪吸引手術中の脂肪組織の回収のための脂肪組織回収ジャー(28)であって、一方では第1の流体回路を形成する吸引カニューレ(23)に連結された第1のパイプ(20)に、他方では第2の流体回路を形成する吸引ポンプ(24)に連結された第2のパイプ(21)に結合され得る、内部容積を画定する蓋(2)によって閉鎖される本体(1)を含み、前記ジャー(28)の前記内部容積及び前記ジャー(28)に隣接する前記流体回路は、外部環境に対して密封される、脂肪組織回収ジャー(28)において、
前記ジャー(28)への前記パイプ(20、21)の連結のためのアダプタ(10)を更に含み、前記アダプタ(10)は、前記蓋(2)から取り外し可能であることと、前記ジャー(28)の前記蓋(2)は、
- 穿刺可能な又は予め穿孔された自己密封プラグ(11)によってそれぞれ閉鎖された2つのオリフィス(25、26)、
- フィルタ(5)を内部に含む通気開口(27)であって、前記通気開口(27)を閉鎖又は開放するための取り外し可能な閉塞具(17)を外部に含み、前記フィルタ(5)は、前記通気開口(27)の前記閉塞具(17)が開放位置にあるとき、外側から前記ジャー(28)の前記内部容積を分離する、通気開口(27)
を含むことと、
前記連結アダプタ(10)は、下面及び上面の2つの主面を有し、前記下面は、前記蓋(2)の外部上面に対して取り外し可能に付けられ、2つの剛性穿孔管(29)は、前記連結アダプタ(10)の前記下面の下から突出し、前記穿孔管(29)のそれぞれは、前記連結アダプタ(10)の前記上面から突出する対応するニップル(30)と連続した流体関係にあり、各ニップル(30)は、対応するパイプ(20、21)に連結されることを意図されることと、
前記蓋(2)の前記2つの閉鎖されたオリフィス(25、26)並びに前記連結アダプタ(10)及びその前記穿孔管(29)は、前記連結アダプタ(10)が前記蓋(2)に対して付けられるとき、前記穿孔管(29)のそれぞれが、前記整合するプラグ(11)の1つを穿孔し、且つ前記ニップル(30)のそれぞれと前記ジャー(28)の前記内部容積との間に密封連通を確立するように配置されることとを特徴とする脂肪組織回収ジャー(28)。
【請求項2】
前記連結アダプタ(10)と前記蓋(2)との間に取り外し可能な係止手段を含むことを特徴とする、請求項1に記載のジャー(28)。
【請求項3】
前記2つのニップル(30)の第1のものは、前記第1の流体回路を形成する前記吸引カニューレ(23)に連結された前記第1のパイプ(20)に連結されることを意図され、及び前記2つのニップル(30)の第2のものは、前記第2の流体回路を形成する前記吸引ポンプ(24)に連結された前記第2のパイプ(21)に連結されることを意図されることと、過充フィルタは、前記第2の流体回路において、前記蓋(2)の下で前記ジャー(28)の前記内部容積に配置されることと、前記過充フィルタ、前記蓋(2)及び前記連結アダプタ(10)は、前記第2の流体回路に対応する前記穿孔管(29)が前記過充フィルタと干渉しないように構成されることとを特徴とする、請求項1又は2に記載のジャー(28)。
【請求項4】
前記過充フィルタは、前記ジャー(28)内に回収された脂肪組織の高さの上昇により、閉鎖において制御される弁(8)であることを特徴とする、請求項3に記載のジャー(28)。
【請求項5】
ジャー(28)の内容物を抽出するためのポート(3)を更に含み、前記抽出ポート(3)は、取り外し可能な閉鎖装置によって閉鎖されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のジャー(28)。
【請求項6】
前記抽出ポート(3)の前記取り外し可能な閉鎖装置は、以下の要素:ねじ込み可能且つ弛緩可能なプラグ、穿刺可能な又は予め穿孔された自己密封プラグ、収縮可能な遮断弁の少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項5に記載のジャー(28)。
【請求項7】
前記連結アダプタ(10)は、前記第2の流体回路内に安全弁(18)を更に含み、前記安全弁(18)は、前記第2の流体回路内の真空が、決定された真空閾値より絶対値において高くなるとき、前記外部環境に開放することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のジャー(28)。
【請求項8】
前記決定された真空閾値は、0.4バール(0.4 10
5Pa)であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のジャー(28)。
【請求項9】
前記連結アダプタ(10)が前記ジャー(28)から取り外されているとき、少なくとも遠心分離により、前記回収された脂肪組織の調製を更に可能にするように構成されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のジャー(28)。
【請求項10】
対象の脂肪組織の回収、前記回収された脂肪組織の調製及び脂肪組織調製物の前記対象への再注入を可能にすることのための装置であって、
- 請求項1~9のいずれか一項に記載の少なくとも1つジャー(28)、
- 吸引カニューレ(23)に連結されることを意図され、且つ第1の流体回路を形成することを意図される少なくとも1つの第1のパイプ(20)、
- 少なくとも1つの吸引カニューレ(23)、
- 吸引ポンプ(24)に連結されることを意図され、且つ第2の流体回路を形成することを意図される少なくとも1つの第2のパイプ(21)、
- 前記脂肪組織調製物の再注入を可能にするように意図される10~20ccの少なくとも1つの注射器(19)
を含む装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、医療及び/又は美容装置の分野に関する。本発明は、より詳細には、脂肪吸引手術中に脂肪組織を回収するための脂肪組織回収ジャー並びに具体的には再注入を目的とした脂肪組織の回収及びその調製のための装置に関する。脂肪組織の回収及び調製のための方法も提示される。
【背景技術】
【0002】
現在、500ccを超える大容量の、具体的には胸部及び臀部に対する自己脂肪充填は、収集した脂肪組織を単純且つ迅速に遠心分離できない装置で主に行われている。
【0003】
脂肪組織は、吸引器に連結されたジャー内に回収され、次いで、これらの脂肪組織は、ジャーから収集されて、調製することなく患者に直接再注入されるか、又はそうでなければ、脂肪組織は、調整して、注射器を備えたジャーから収集され得、これらは、次いで、遠心分離され、遠心分離した注射器の内容物は、次いで、患者に再注入される。
【0004】
又は、脂肪組織は、手動により直接注射器で収集され、それらは、次いで、遠心分離され、そのように処理した脂肪組織は、次いで、患者に再注入される。
【0005】
いずれの場合にも、脂肪組織を操作するいくつかのステップが必要であり、これらのステップは、手術室内において、大容量、具体的には500cc超~最大で1若しくは2リットル又は更にそれを超える容量の脂肪組織の管理に必ずしも適合しない。
【0006】
その上、脂肪組織が遠心分離されない場合、「脂肪充填」の効果は、具体的には生きていようとなかろうと、いかなる型の細胞及び細胞片並びに処置後であっても全容量の25%超が留まる隙間液を備えた油が再注入されるという事実に起因して、はるかに低い。最後に、使用した技術の大部分は、脂肪組織の収集、調製及び再注入のステップ中、「閉回路」に留めることができず、従って無菌状態に関する危険性が増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、対象のステップ、具体的には遠心分離のために「閉回路」を維持することを可能にする一方、必要な操作を限定し、大容量の脂肪組織に対して手術室での「脂肪充填」、すなわち本発明が提案するものの実行の迅速さを増加させる手段を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、まず、脂肪吸引手術中の脂肪組織の回収のための脂肪組織回収ジャーを提案し、前記ジャーは、一方では第1の流体回路を形成する吸引カニューレに連結された第1のパイプに、他方では第2の流体回路を形成する吸引ポンプに連結された第2のパイプに結合され得る、内部容積を画定する蓋によって閉鎖される本体を含み、ジャーの内部容積及びジャーに隣接する流体回路は、外部環境に対して密封される。
【0009】
本発明によれば、ジャーは、ジャーにパイプを連結するためのアダプタを更に含み、前記アダプタは、蓋から取り外し可能であり、及びジャーの蓋は、
- 穿刺可能な又は予め穿孔された自己密封プラグによってそれぞれ閉鎖された2つのオリフィス、
- フィルタを内部に含む通気開口であって、前記通気開口を閉鎖又は開放するための取り外し可能な閉塞具を外部に含み、フィルタは、通気開口の閉塞具が開放位置にあるとき、外側からジャーの内部容積を分離する、通気開口
を含み、及び
連結アダプタは、下面及び上面の2つの主面を有し、下面は、蓋の外部上面に対して取り外し可能に付けられ、2つの剛性穿孔管は、連結アダプタの下面の下から突出し、穿孔管のそれぞれは、連結アダプタの上面から突出する対応するニップルと連続した流体関係にあり、各ニップルは、対応するパイプに連結されることを意図され、及び
蓋の2つの閉鎖されたオリフィス並びに連結アダプタ及びその穿孔管は、連結アダプタが蓋に対して付けられるとき、穿孔管のそれぞれが、整合するプラグの1つを穿孔し、且つニップルのそれぞれとジャーの内部容積との間に密封連通を確立するように配置される。
【0010】
密封連通の確立は、パイプの内腔がジャーの内部容積に流体連結され、穿刺可能な又は予め穿孔された自己密封プラグによって閉鎖された2つのオリフィスが外部環境に関してジャーの密封を提供し続けることも意味する。連結アダプタが蓋に設置されていないとき、連結アダプタが設置されたことがないか又は取り外した後でも、穿刺可能な又は予め穿孔された自己密封プラグは、外部環境に関してジャーの密封を提供する。
【0011】
個別に又は全ての技術的に可能な組み合わせによる、本発明によるジャーの他の非限定的で好都合な特徴は、以下の通りである。
- 連結アダプタは、板状であり、
- 吸引カニューレは、脂肪組織中に導入され得、
- 剛性穿孔管は、プラスチック材料から作成され、
- 剛性穿孔管は、金属から作成され、
- 剛性穿孔管は、中空針であり、
- ジャーは、連結アダプタと蓋との間に取り外し可能な係止手段を含み、
- 連結アダプタ及び蓋は、流体回路の反転連結を防ぐフールプルーフ手段を含み、
- 連結アダプタ及び蓋は、流体回路の反転連結を防ぐフールプルーフ手段を含み、前記手段は、異なる直径の2つの穿孔管であり、
- 連結アダプタ及びパイプは、流体回路の反転連結を防ぐフールプルーフ手段を含み、前記手段は、異なる直径の2つのパイプ及び2つのニップルであり、
- 2つのニップルの第1のものは、第1の流体回路を形成する吸引カニューレに連結された第1のパイプに連結されることを意図され、及び2つのニップルの第2のものは、第2の流体回路を形成する吸引ポンプに連結された第2のパイプに連結されることを意図され、且つ過充フィルタは、第2の流体回路において、蓋の下でジャーの内部容積に配置され、且つ過充フィルタ、蓋及び連結アダプタは、第2の流体回路に対応する穿孔管が前記過充フィルタと干渉しないように構成され、
- 過充フィルタは、ジャー内に回収された脂肪組織の高さの上昇により、閉鎖において制御される弁であり、
- 過充フィルタは、固体及び液体の本体の通過を防ぐ多孔フィルタであり、
- 第1の流体回路の穿刺可能な又は予め穿孔された自己密封プラグによって閉鎖されたオリフィスは、連結アダプタが蓋から分離されるとき、ジャーの内容物の抽出オリフィスとしての役割を果たすことを更に意図され、抽出針は、前記オリフィスを通過し、
- 蓋とジャー本体との間の連結は、密封され、
- 蓋は、ジャー本体から取り外し可能であり、
- 蓋は、ジャー本体上にねじ込まれ、
- 蓋は、ジャー本体上に圧着され、
- 蓋はジャー本体に溶接され、
- 蓋は、ジャー本体に接着され、
- ジャーは、ジャーの内容物を抽出するためのポートを更に含み、前記抽出ポートは、取り外し可能な閉鎖装置によって閉鎖され、
- 抽出ポートの取り外し可能な閉鎖装置は、以下の要素:ねじ込み可能且つ弛緩可能なプラグ、穿刺可能な又は予め穿孔された自己密封プラグ、収縮可能な遮断弁の少なくとも1つを含み、
- 穿刺可能な又は予め穿孔された自己密封プラグは、穿孔管又は中空針によって穿孔され得、穿孔管又は中空針の取り外しは、プラグの閉鎖をもたらし、
- 穿刺可能な又は予め穿孔された自己密封プラグは、弾性材料から作成され、
- 穿刺可能な又は予め穿孔された自己密封プラグは、シリコンから作成され、
- 穿刺可能な又は予め穿孔された自己密封プラグは、予め穿孔され、
- 連結アダプタは、第2の流体回路内に安全弁を更に含み、前記安全弁は、第2の流体回路内の真空が、決定された真空閾値より絶対値において高くなるとき、外部環境に開放し、
- 決定された真空閾値は、0.4バール(0.4 105Pa)であり、
- ジャーは、再注入を目的として、回収された脂肪組織のジャー内での調製を可能にするように配置され、
- ジャーは、連結アダプタがジャーから取り外されているとき、少なくとも遠心分離により、回収された脂肪組織の調製を更に可能にするように構成され、
- ジャー本体は、プラスチック材料から作成され、
- ジャー本体は、透明又は半透明であり、
- ジャー本体は、前記ジャーの内容物のための容積目盛りを含み、
- ジャーの蓋は、プラスチック材料から作成され、
- 連結アダプタは、プラスチック材料から作成され、
- ジャー及びその連結アダプタは、金属部品を有さず、
- 遠心分離するように構成されたジャーは、軸方向に回転対称の、具体的には円筒又は円錐のジャー本体を有し、
- 遠心分離するように構成されたジャーは、決定された中心の円形蓋を有し、前記蓋は、前記ジャーの遠心分離中にジャーの不均衡を低減するために、蓋に垂直であり、且つ前記決定された中心を通過する面に対して対称であることが好ましい。
【0012】
本発明は、対象の脂肪組織の回収、回収された脂肪組織の調製及び脂肪組織調製物の対象への再注入を可能にすることのための装置にも関し、前記装置は、
- 先行する請求項のいずれか一項に記載の少なくとも1つジャー、
- 吸引カニューレに連結されることを意図され、且つ第1の流体回路を形成することを意図される少なくとも1つの第1のパイプ、
- 少なくとも1つの吸引カニューレ、
- 吸引ポンプに連結されることを意図され、且つ第2の流体回路を形成することを意図される少なくとも1つの第2のパイプ、
- 脂肪組織調製物の再注入を可能にするように意図される10~20ccの少なくとも1つの注射器
を含む。
【0013】
この装置は、好ましくは、記載された全ての技術構成による物品又はキットの組の形態である。
【0014】
非限定例として提供される添付図面に関連する以下の記載により、本発明を構成するもの及び実施することができる方法をよく理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】回収された組織の調製が可能な回収ジャーを備えた、脂肪組織の回収のためのシステムの概略図である。
【
図2】回収された組織の調製が可能なジャーの機能性の概略図である。
【
図3】システムの異なる手段とその機能的関係にあるジャーの特定の例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1では、
図2に概略的に示され、調製された組織を後に使用する前、具体的には再注入する前に、回収された組織を調製する役割も果たす組織回収ジャー28を含む脂肪組織回収システムが概略的に示されている。ジャー内への脂肪組織回収は、概して脂肪吸引中に起こる。この回収システムは、ハンドル22上にカニューレ23を含み、ハンドル22は、第1のパイプ20に連結される。この後者20は、ジャー28の本体1を閉鎖する蓋2に差し込むことができる連結アダプタ10にも連結される。蓋2は、ジャー28の内部容積に接近することができる一般的な閉鎖通路及び具体的には穿刺可能な自己密封プラグ11によって閉鎖される第1のオリフィス25、穿刺可能な自己密封プラグによって閉鎖される第2のオリフィス26、内部にフィルタ5及び外部に取り外し可能な閉塞具17を含む通気開口27並びに取り外し可能な閉鎖装置によって閉鎖されるジャー内容物抽出ポート3を含む。連結アダプタ10は、吸引ポンプ24に連結された第2のパイプ12にも連結される。
【0017】
連結アダプタ10は、それぞれ2つのパイプの一方に対応する2つの分離した流体回路の通過を可能にする。第1のパイプ20の第1の流体回路は、カニューレ23によって吸い上げられた組織を通過させることができる。第2のパイプ21の第2の流体回路は、連結アダプタ10がジャーの蓋2に差し込まれたとき、吸い上げること並びにジャー28及びカニューレ内に真空を生成することを可能にする。実際に、連結アダプタ10は、2つのプラグ11を穿孔するための2つの管29を含み、それぞれの穿孔管は、流体回路の1つに対応し、連結アダプタ10及び蓋2は、アダプタ10を差し込んで、第1の流体回路の穿孔管が第1のオリフィス25のプラグ11を穿孔し、第2の流体回路の穿孔管が第2のオリフィス26のプラグ11を穿孔するように構成される。プラグ11は、穿孔管29が通過することができるように一部又は全部を予め穿孔され得る。いかなる場合でも、穿孔管29又は針などのあらゆる他の穿孔物がプラグ11から取り外されたとき、後者は、それが自己密封するという事実に起因して閉鎖される。
【0018】
回収された組織がポンプ24に移り得ることを回避するために、過充フィルタは、ジャー28内において、第2の流体回路と関連して、すなわちここでは第2のオリフィス26の下に置かれる。この過充フィルタは、ここではジャー内の回収された組織の高さの上昇により、閉鎖において制御される弁8である。弁8は、遮断弁を形成する。
【0019】
カニューレ23内の吸引真空が高過ぎることを回避するために、連結アダプタ10は、第2の流体回路内に安全弁18を含む。安全弁18は、第2の流体回路内の真空が絶対値において0.4バール(0.4 105Pa)より高くなるとき、外部環境に開放する。この安全弁18は、ポンプが第2の流体回路内に無駄に吸い上げることも回避し、これは、ジャーの充填に起因して弁8が閉鎖することによって閉鎖され、過剰真空をその中に生成する。実際に、この弁8の閉鎖により、第2の流体回路内の真空が増加するため、安全弁18が開放する。安全弁18は、ジャー後に第2の流体回路内において、包囲する空気がジャー28に入らないように置かれる。可聴装置、具体的には安全弁の吸引笛又は可視装置は、安全弁18が開放しており、ジャーの充填が恐らく達成されていることを操作者に知らせるために提供することができる。
【0020】
抽出ポート3は、ジャーから内容物、具体的には回収された組織を抽出し、後者がジャー内で少なくとも遠心分離によって処理された後、それを後に再注入に使用するために注射器19を設置することができる。一実施形態では、抽出管4は、抽出ポート3に連結されたジャー28内に設置され、処理した組織を抽出するために単純な注射器19で十分である。そのような抽出管がない別の実施形態では、共に使用する注射器は、抽出ポート3内に導入される中空針を含む。抽出ポート3は、一般に、例えば取り外し可能な閉鎖装置により、場合によりねじ込み可能/弛緩可能なプラグ若しくは穿孔可能な自己密封するプラグ又は注射器及び/若しくはその潜在的な針を導入すると収縮する遮断弁によって閉鎖される。
【0021】
代替実施形態では、抽出ポート3は、割愛することができ、次いで、ジャー内容物の抽出は、第1のオリフィス25のプラグ11を通過した、針を備えた注射器を使用して、連結アダプタ13がジャーの蓋2から取り外された後に行われる。
【0022】
ジャー28は、一般的に連結アダプタ10がジャーの蓋2から取り外されているときに密封されると仮定すると、従って注射器19によってジャー内容物の抽出中、フィルタ5によって濾過された空気が抽出した組織に取って代わるように開放する通気開口27が提供される。フィルタ5は、締結リング6上に設置される。フィルタは、環境からの恐らく非純正空気でジャーの組織が汚染することを回避するために、0.22μmのフィルタである。
【0023】
システムの実施を促すために、脂肪組織の回収及び回収された脂肪組織の調製、次いで脂肪組織調製物の再注入を可能にすることを意図される物品又はキットの組が提案される。対象を処理することを意図されるこのキットは、殺菌され、使い捨てであり、これは、典型的には以下を含む。
- 脂肪組織を受領し、次いでその調整が具体的にはジャーに適合した遠心分離機内での遠心分離により可能であることを意図される1~4つのジャー28。ジャーは、一般に、閉鎖された開口を含む。
- 連結アダプタ10。
- ハンドルに連結されたカニューレ23。
- 第1の流体回路の少なくともパイプ20及び好ましくは2つのパイプ20、21。
- 抽出管4がジャー28の蓋2に一体化されないであろう場合における抽出管4。
- 処理した組織の再注入のための10~20ccの注射器。
【0024】
場合により処理した組織の再注入のために注射器上に設置することを意図される、注入若しくは浸潤針又はカニューレが更に提供され得る。
【0025】
連結アダプタなしに回収された脂肪組織で充填したジャーは、回収された組織を処理するために900gで遠心分離することができる。回収された組織は、遠心分離前に先に洗浄することができる。1つ又は複数の調製製品をジャー内に導入することが恐らく可能である。
【0026】
次に、本発明のシステムに適合したジャーの具体事例が
図3と共に以下に記載される。示されるジャー28は、具体的には本体1及び蓋2を含む、プラスチック材料から作成されたいくつかの部品の組合せからもたらされる。従って、ジャー28は、底部が閉鎖され、頂部が開放している、ほぼ円筒形である軸方向に回転対称の本体1を有する。本体1の頂部は、蓋2によって閉鎖され、本体1と蓋2との間の連結は、好ましくは、両方間に完全な密封を提供するように溶接される。支持板7は、具体的にはフィルタ5、過充弁8を含む、蓋の特定の要素を維持するためにジャー28内で蓋の下に締結される。蓋2は、穿刺可能な又は予め穿孔された自己密封プラグ11によって閉鎖された第1のオリフィス15、その下に過充弁8を備えた穿刺可能な又は予め穿孔された自己密封プラグ11によって閉鎖された第2のオリフィス26、内部にそのフィルタ5及びリング6を備え、外部に取り外し可能な閉塞具17を備えた通気開口27並びに取り外し可能な閉鎖装置によって閉鎖された抽出ポート3を含む。この例では、抽出管4は、蓋に一体化されている。好ましくは、抽出ポート3は、注射器の先端チップを締結するための標準螺合システム、具体的には「Luer-loc(登録商標)」型を含む。
【0027】
図3及び以下では、連結アダプタ10は、ジャー28の蓋2及び2つのオリフィス25、26のプラグ11を通過する、下方に配向されたその2つの穿孔管29内に差し込まれる。連結アダプタ10は、全体がジャーの蓋に締結される板の形態である。
【0028】
2つの穿孔管29は、フールプルーフを生成するために、2つのオリフィス25、26のそれぞれに適合した異なる形状及び/又は大きさを有する。より正確には、異なる内径の2つの穿孔されたウエハは、2つのオリフィス25、26内に配置され、それらは、プラグ11を適所に保持する役割を更に果たす。穿孔管29との流体関係において、連結アダプタ10は、2つのパイプ20、21に連結するための、頂部に向かう2つのニップル30を含む。
図7は、吸引ポンプ24に連結された第2の流体回路の安全弁18の断面図である。
【0029】
本発明によるジャーの使用は、以下の例に従って行うことができる。操作者は、カニューレ23及びそのハンドル22を第1のパイプ20によって連結アダプタ10の第1の流体回路のニップル30に連結する。操作者は、ポンプ24を第2のパイプ21によって連結アダプタ10の第2の流体回路のニップル30に連結する。操作者は、連結アダプタ10をジャー28の蓋2内に挿入する/差し込む一方、使用するジャーが、連結アダプタ10をその中に依然として挿入されていない/差し込まれていない場合、フールプルーフ手段によって課せられた配向を尊重する。好ましくは、アダプタがない場合、ジャーが通常閉鎖されているという事実に起因して、ジャーは、ジャー28から分離したアダプタ10を備えることが留意され得る。これらの操作の順番は、必要に応じて修正することができる。
【0030】
操作者は、ポンプを作動させ、脂肪組織の吸引に進み、脂肪組織は、次いで、ジャー内に堆積される。ジャーが満たされると、これは、透明若しくは半透明のジャーで視覚的に検出することができるか、又は過充弁8が閉鎖することにより安全弁18が開放することに起因して、操作者は、好ましくは、ポンプを停止した後、連結アダプタ10を空のジャーに移すことによりジャーを変え、次いで脂肪組織の吸引を続けることができる。充填する1つ/複数のジャーの数は、再注入の必要性に依存する。
【0031】
以下のステップは、充填されたジャーにおいて且つ連結アダプタなしに実行される。
【0032】
ジャー内に回収された脂肪組織の調製は、洗浄によって始めることができ、調製は、ジャーの遠心分離を含む。この調製中、プラグ11が自己密封型のものであり、連結アダプタ10が蓋2から取り外されるとき、プラグ11が自動的に閉鎖されるという事実に起因して、ジャーは、閉鎖される。再注入に有用な調製された組織は、遠心分離後にジャーの底部において、従って
図2及び5における抽出管4の長さにおいて終わる。
【0033】
次いで、操作者は、抽出ポート3から取り外し可能な閉鎖装置を開放し、それに注射器19を締結し、次いで、操作者は、注射器による調製された組織の吸引中、ジャーの内部容積と外側との間の圧力を均等化できるように、通気開口27の取り外し可能な閉塞具17を開放する。先にジャーの内部が真空である場合に備えて、空気が抽出ポート3を通してジャーに入ることを回避するために、抽出ポート3を開放する前に、フィルタ5を含む通気開口27をまず開放することが非常に好ましいことに留意されたい。しかし、この危険性を制限するために、注射器の設置によって制御される弁システムを抽出ポート上に提供することができる。
【0034】
調製された組織で注射器が満たされると、注射器は、蓋から取り外すことができ、好ましくは抽出ポートが次いで閉鎖され、注入若しくは浸潤針又はカニューレは、再注入が実行され得るように注射器に締結される。
【国際調査報告】