(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】過伸展を防止する膝関節インプラント
(51)【国際特許分類】
A61F 2/38 20060101AFI20220112BHJP
【FI】
A61F2/38
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547014
(86)(22)【出願日】2019-09-11
(85)【翻訳文提出日】2021-04-20
(86)【国際出願番号】 KR2019011880
(87)【国際公開番号】W WO2021049689
(87)【国際公開日】2021-03-18
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521173063
【氏名又は名称】コレンテク カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ヨン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム,チャン エオル
(72)【発明者】
【氏名】ロ,ヤエ フン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ア レウム
(72)【発明者】
【氏名】リー,ミュング チュル
(72)【発明者】
【氏名】イン,ヤング
(72)【発明者】
【氏名】ハン,スン ボム
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA07
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC14
4C097CC16
4C097SC08
(57)【要約】
本発明は、過伸展を防止する膝関節インプラントに関し、より詳細には、膨らんでいる関節具の最低点を基準に前側面が区間別に異なる曲率半径を有する大腿骨要素と、凹んでいる関節面の最低点を基準に前側面が区間別に異なる曲率半径を有するベアリング要素とを含み、伸展状態の膝が過伸展しようとする時、前記大腿骨要素の膨らんでいる関節具が前側方向にスライディングしながら前記ベアリング要素の凹んでいる関節面の複数の地点と接触するようにして抵抗力を発生させ、患者の挙動習慣及び筋肉量低下などによる設計以上の過伸展を抑制する膝関節インプラントに関する。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨らんでいる関節具の最低点を基準に前側面が区間別に異なる曲率半径を有する大腿骨要素を含み、
前記大腿骨要素は、伸展状態の膝が過伸展しようとする時、前記関節具がベアリング要素の凹んでいる関節面に沿って前側方向にスライディングして前記関節面と複数の地点で接触することを特徴とする、過伸展を防止する膝関節インプラント。
【請求項2】
前記大腿骨要素は、前記関節具の最低点から第1曲率半径を有し、第1曲率半径中心から第1角度だけ前側方向に延長された第1区間を含むことを特徴とする、請求項1に記載の過伸展を防止する膝関節インプラント。
【請求項3】
前記大腿骨要素は、前記第1区間の端部から第2曲率半径を有し、第2曲率半径中心から第2角度だけ前側方向に延長された第2区間と、前記第2区間の端部から第3曲率半径を有し、第3曲率半径中心から第3角度だけ前側方向に延長された第3区間を含み、
伸展状態の膝が過伸展しようとする時、前記関節面と接触する地点は、前記第1区間及び前記第3区間に形成されることを特徴とする、請求項2に記載の過伸展を防止する膝関節インプラント。
【請求項4】
前記第1曲率半径は、前記第2曲率半径より大きいことを特徴とする、請求項3に記載の過伸展を防止する膝関節インプラント。
【請求項5】
前記第3曲率半径は、前記第1曲率半径より小さく、前記第2曲率半径より大きいことを特徴とする、請求項4に記載の過伸展を防止する膝関節インプラント。
【請求項6】
前記第1角度は、前記第2角度より小さいことを特徴とする、請求項3に記載の過伸展を防止する膝関節インプラント。
【請求項7】
凹んでいる関節面の最低点を基準に前側面が区間別に異なる曲率半径を有するベアリング要素を含み、
前記ベアリング要素は、伸展状態の膝が過伸展しようとする時、前記関節面に沿って前側方向にスライディングする大腿骨要素の関節具と複数の地点で接触することを特徴とする、過伸展を防止する膝関節インプラント。
【請求項8】
前記ベアリング要素は、前記関節面の最低点から第4曲率半径を有し、第4曲率半径中心から第4角度だけ前側方向に延長された第4区間を含むことを特徴とする、請求項7に記載の過伸展を防止する膝関節インプラント。
【請求項9】
前記ベアリング要素は、前記第4区間の端部から第5曲率半径を有し、第5曲率半径中心から第5角度だけ前側方向に延長された第5区間と、前記第5区間の端部から第6曲率半径を有し、第6曲率半径中心から第6角度だけ前側方向に延長された第6区間を含み、
伸展状態の膝が過伸展しようとする時、前記関節具と接触する地点は、前記第4区間及び前記第6区間に形成されることを特徴とする、請求項8に記載の過伸展を防止する膝関節インプラント。
【請求項10】
前記第4曲率半径は、前記第5曲率半径より大きいことを特徴とする、請求項9に記載の過伸展を防止する膝関節インプラント。
【請求項11】
前記第6曲率半径は、前記第4曲率半径より小さく、前記第5曲率半径より大きいことを特徴とする、請求項10に記載の過伸展を防止する膝関節インプラント。
【請求項12】
前記第4角度は、前記第5角度より小さいことを特徴とする、請求項9に記載の過伸展を防止する膝関節インプラント。
【請求項13】
膨らんでいる関節具の最低点を基準に前側面が区間別に異なる曲率半径を有する大腿骨要素と、凹んでいる関節面の最低点を基準に前側面が区間別に異なる曲率半径を有するベアリング要素とを含み、前記大腿骨要素及び前記ベアリング要素は、伸展状態の膝が過伸展しようとする時、前記関節具が前記関節面に沿って前側方向にスライディングして前記関節面と複数の地点で接触することを特徴とする、過伸展を防止する膝関節インプラント。
【請求項14】
前記大腿骨要素は、前記関節具の最低点から第1曲率半径を有し、第1曲率半径中心から第1角度だけ前側方向に延長された第1区間を含み、前記ベアリング要素は、前記関節面の最低点から第4曲率半径を有し、第4曲率半径中心から第4角度だけ前側方向に延長された第4区間を含むことを特徴とする、請求項13に記載の過伸展を防止する膝関節インプラント。
【請求項15】
前記大腿骨要素は、前記第1区間の端部から第2曲率半径を有し、第2曲率半径中心から第2角度だけ前側方向に延長された第2区間と、前記第2区間の端部から第3曲率半径を有し、第3曲率半径中心から第3角度だけ前側方向に延長された第3区間を含み、
前記ベアリング要素は、前記第4区間の端部から第5曲率半径を有し、第5曲率半径中心から第5角度だけ前側方向に延長された第5区間と、前記第5区間の端部から第6曲率半径を有し、第6曲率半径中心から第6角度だけ前側方向に延長された第6区間を含み、
伸展状態の膝が過伸展しようとする時、前記第1区間及び前記第4区間、前記第3区間及び前記第6区間がそれぞれ接触地点を形成することを特徴とする、請求項14に記載の過伸展を防止する膝関節インプラント。
【請求項16】
前記第1曲率半径は前記第4曲率半径より小さく、前記第2曲率半径は前記第5曲率半径より小さく、前記第3曲率半径は前記第6曲率半径より小さいことを特徴とする、請求項15に記載の過伸展を防止する膝関節インプラント。
【請求項17】
前記第1区間の面積は前記第4区間の面積より小さいことを特徴とする、請求項14に記載の過伸展を防止する膝関節インプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過伸展を防止する膝関節インプラントに関し、より詳細には、膨らんでいる関節具の最低点を基準に前側面が区間別に異なる曲率半径を有する大腿骨要素と、凹んでいる関節面の最低点を基準に前側面が区間別に異なる曲率半径を有するベアリング要素とを含み、伸展状態の膝が過伸展しようとする時、前記大腿骨要素の膨らんでいる関節具が前側方向にスライディングしながら前記ベアリング要素の凹んでいる関節面の複数の地点と接触するようにして抵抗力を発生させ、患者の挙動習慣及び筋肉量低下などによる設計以上の過伸展を抑制する膝関節インプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
膝関節とは、膝を囲んでいる3個の骨である大腿骨(Femur)、脛骨(Tibia)、膝蓋骨(Patella)で構成される関節を意味し、人の体重を支え、関節運動によって歩いたり走ったりするなどの脚を使う運動に関連する中枢的な関節に該当する。
【0003】
大腿骨の端には関節軟骨(Articular Cartilage)が存在し、脛骨の端には半月状軟骨(Meniscus)が存在するが、激烈な運動や老化などによって軟骨が損傷すると、骨と骨が当接して深刻な痛みを誘発することがある。
【0004】
このような損傷が発生したとき、整形外科的な治療方法としては、損傷した膝関節に取って代わるインプラントを患者の骨に挿入する膝関節全置換術(Total Knee Replacement,TKR)が提案されている。
【0005】
図1は、従来の人工膝関節を示す図であり、前記従来技術は、韓国登録特許公報第10-1184905号(2012.09.20)に開示されている。以下では、
図1を参照して説明する。
【0006】
膝関節全置換術は、膝関節が損傷したとき、大腿骨Fと脛骨Tの一部を切開し、切開した部位に人工膝関節インプラントを代替挿入する手術であり、大腿骨遠位部(Distal Portion)に大腿骨要素91を固定し、脛骨近位部(Proximal Portion)に脛骨要素93を固定し、前記大腿骨要素91と前記脛骨要素93との間にベアリング要素95を位置させる方式で人工膝関節インプラント移植手術を行う。
【0007】
しかしながら、従来の膝関節全置換術における問題の一つは、膝関節全置換術を受けた患者にとって膝が過伸展(Hyper Extension)し、結局としては、膝関節が過度に後ろに反る症状である反張膝(Genu Recurvatum,Back-Knee)が発生するという点である。
【0008】
図2は、正常膝と反張膝を比較して示す図であり、
図2を参照して説明すると、
図2の左図は、正常膝の様子を示し、
図2の右図は、大腿骨の遠位端と脛骨の近位端が過度に後側方向(Posterior Direction)に位置する反張膝の様子を示している。
【0009】
膝関節全置換術後に過伸展による反張膝は、筋力が低下しているか、歩行習慣が悪い患者から主に発見され、特に、筋肉、靭帯などの老化が深刻な高齢の老人層患者に見られたところ、弱化した筋肉などが問題になり得る。
【0010】
また、このような問題は、従来の膝関節全置換術に用いられる大腿骨要素とベアリング要素の形状における問題に起因することもある。
【0011】
図3は、伸展状態で従来の大腿骨要素とベアリング要素との1ポイント接合を示す図であり、
図3に示すように、従来のインプラント形状によれば、伸展状態で大腿骨要素の膨らんでいる関節具とベアリング要素の凹んでいる関節面とが、屈曲面の最低点を表すサルカスポイント(Sulcus Point)P上で1ポイント接触(1 Point Contact)することがわかる。
【0012】
このようなサルカスポイント上における1ポイント接触は、伸展状態で前側方向(Anterior Direction)に向かって傾く大腿骨要素の動きを引き起こすことがある。
【0013】
サルカスポイント上における1ポイント接触であっても、骨周辺筋肉、靭帯などが定位置から外れようとする骨を強く捕まえる場合には過伸展の問題は発生しないが、筋肉、靭帯などの力が弱い高齢患者は、筋肉、靭帯などの力が十分でないため、膝の過伸展が発生するしかなかった。
【0014】
結局、膝関節全置換術を受けた高齢の患者膝は、
図4に示すように、大腿骨要素の関節具がベアリング要素の前側関節面に接する領域まで傾いてしまい、まっすぐ立った状態で膝が後側に押された反張膝の形態を有することになる。
【0015】
したがって、関連業界では、高齢の老人などのように筋肉などの力が弱い患者であっても、インプラント自体の構造的形状を用いて過伸展が起きないようにする新しい技術の導入が望まれている現状である。
【0016】
【特許文献1】韓国登録特許公報第10-1184905号(2012.09.20)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上記のような問題点を解決するために案出されたものであり、
【0018】
本発明の目的は、膝が伸展した状態で、膨らんでいる関節具を有する大腿骨要素がスライディングしながら、凹んでいる関節面を有するベアリング要素上で複数の接触地点を有するように構成することによって、筋肉又は靭帯などが老化した高齢の患者が膝関節全置換術を受けた場合でも、過伸展現象が発生しないようにする、膝関節インプラントを提供することである。
【0019】
本発明の他の目的は、大腿骨要素が、膨らんでいる関節具の最低点から前側方向に一定領域において略扁平な形状を有するようにすることによって、大腿骨要素の膨らんでいる関節具がベアリング要素の凹んでいる関節面と1ポイント接触時には筋力などが弱いと接触地点の前方に傾きながら過伸展となる問題を、大腿骨要素の膨らんでいる関節具がベアリング要素の凹んでいる関節面と2ポイント接触をするようにし、筋力などが作用しなくてもインプラントの構造的形状によって膝の過伸展の発生を抑制する、膝関節インプラントを提供することである。
【0020】
本発明のさらに他の目的は、大腿骨要素の膨らんでいる関節具が最低点前側方向に複数の曲率半径を有するようにし、これに対応するベアリング要素の凹んでいる関節面も同様に最低点前側方向に複数の曲率半径を有するようにすることによって、前記関節具及び前記関節面が急に変化する外周面形状を有しないようにし、過伸展が発生するには、単純な曲率半径を有するインプラントに比べてより多い力を要する、膝関節インプラントを提供することである。
【0021】
本発明のさらに他の目的は、関節運動をするインプラントの部位に特別な形状学的特徴を与えることによって、一定の境界領域を越えうる解剖学的動きが発生しようとする時、周辺筋肉、靭帯などの助けがなくても、インプラントの形状学的特徴によって、独自で前記解剖学的動きに反対する抵抗力を発生可能にする、膝関節インプラントを提供することである。
【0022】
本発明のさらに他の目的は、大腿骨要素の関節具の区間別曲率半径が異なっても、それに対応するベアリング要素の関節面の区間別曲率半径よりも小さく構成することによって、曲率半径が同じ場合に余裕公差がないためタイトに結合して摩耗発生が増加する問題を解決し、凹んでいるベアリング要素の関節面上で膨らんでいる大腿骨要素の関節具が容易に関節運動できるように安定した余裕を与える、膝関節インプラントを提供することである。
【0023】
本発明のさらに他の目的は、大腿骨要素の第2区間の第2曲率半径が第1区間の第1曲率半径より小さくなるように構成し、大腿骨要素の第2区間で患者の通常の解剖学的形状を反映できるようにする、膝関節インプラントを提供することである。
【0024】
本発明のさらに他の目的は、大腿骨要素の第3区間の第3曲率半径が第1区間の第1曲率半径よりは小さく、第2区間の第2曲率半径よりは大きくなるように構成し、伸展状態の膝が過伸展しようとする時、大腿骨要素の関節具がベアリング要素上でスライディングして2ポイント接触をするようにし、それ以上の過伸展を防止する、膝関節インプラントを提供することである。
【0025】
本発明のさらに他の目的は、大腿骨要素の関節具の第1角度が第2角度より小さくなるように構成し、ベアリング要素の関節面上で大腿骨要素の関節具がスライディングする区間を最小化することによって、患者の挙動そのものが不自然になることを防止する、膝関節インプラントを提供することである。
【0026】
本発明の他の目的は、ベアリング要素が、凹んでいる関節面の最低点から前側方向に一定領域において略扁平な形状を有するようにし、大腿骨要素の略扁平な第1区間が安着できるようにすることによって、伸展状態の膝が過伸展しようとする時、大腿骨要素の第1区間がベアリング要素の第4区間上でスライディングし、スライディングした後には2ポイント接触をするようにして、過伸展を防止する、膝関節インプラントを提供することである。
【0027】
本発明のさらに他の目的は、ベアリング要素の第5区間の第5曲率半径が第4区間の第4曲率半径より小さくなるように構成し、ベアリング要素の第5区間で患者の通常の解剖学的形状を反映できるようにする、膝関節インプラントを提供することである。
【0028】
本発明のさらに他の目的は、ベアリング要素の第6区間の第6曲率半径が第4区間の第4曲率半径よりは小さく、第5区間の第5曲率半径よりは大きくなるように構成し、伸展状態の膝が過伸展しようとする時、大腿骨要素の関節具がベアリング要素上でスライディングして2ポイント接触をするようにし、それ以上の過伸展を防止する、膝関節インプラントを提供することである。
【0029】
本発明のさらに他の目的は、ベアリング要素の第4角度が第5角度より小さくなるように構成し、ベアリング要素の関節面上で大腿骨要素の関節具がスライディングする区間を最小化することによって、患者の挙動そのものが不自然になることを防止する、膝関節インプラントを提供することである。
【0030】
本発明のさらに他の目的は、第1区間の面積が第4区間の面積より小さくなるように構成し、ベアリング要素の第4区間上で大腿骨要素の第1区間が安定にスライディングできるようにする、膝関節インプラントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明は、上記の目的を達成するために、次のような構成を有する実施例によって具現される。
【0032】
本発明の一実施例によれば、本発明は、膨らんでいる関節具の最低点を基準に前側面が区間別に異なる曲率半径を有する大腿骨要素を含み、前記大腿骨要素は、伸展状態の膝が過伸展しようとする時、前記関節具がベアリング要素の凹んでいる関節面に沿って前側方向にスライディングして前記関節面と複数の地点で接触することを特徴とする。
【0033】
本発明の他の実施例によれば、本発明は、前記大腿骨要素は、前記関節具の最低点から第1曲率半径を有し、第1曲率半径中心から第1角度だけ前側方向に延長された第1区間を含むことを特徴とする。
【0034】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記大腿骨要素は、前記第1区間の端部から第2曲率半径を有し、第2曲率半径中心から第2角度だけ前側方向に延長された第2区間と、前記第2区間の端部から第3曲率半径を有し、第3曲率半径中心から第3角度だけ前側方向に延長された第3区間を含み、伸展状態の膝が過伸展しようとする時、前記関節面と接触する地点は、前記第1区間及び前記第3区間に形成されることを特徴とする。
【0035】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記第1曲率半径が前記第2曲率半径より大きいことを特徴とする。
【0036】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記第3曲率半径が前記第1曲率半径よりは小さく、前記第2曲率半径よりは大きいことを特徴とする。
【0037】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記第1角度が前記第2角度より小さいことを特徴とする。
【0038】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、凹んでいる関節面の最低点を基準に前側面が区間別に異なる曲率半径を有するベアリング要素を含み、前記ベアリング要素は、伸展状態の膝が過伸展しようとする時、前記関節面に沿って前側方向にスライディングする大腿骨要素の関節具と複数の地点で接触することを特徴とする。
【0039】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記ベアリング要素は、前記関節面の最低点から第4曲率半径を有し、第4曲率半径中心から第4角度だけ前側方向に延長された第4区間を含むことを特徴とする。
【0040】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記ベアリング要素は、前記第4区間の端部から第5曲率半径を有し、第5曲率半径中心から第5角度だけ前側方向に延長された第5区間と、前記第5区間の端部から第6曲率半径を有し、第6曲率半径中心から第6角度だけ前側方向に延長された第6区間を含み、伸展状態の膝が過伸展しようとする時、前記関節具と接触する地点は、前記第4区間及び前記第6区間に形成されることを特徴とする。
【0041】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記第4曲率半径が前記第5曲率半径より大きいことを特徴とする。
【0042】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記第6曲率半径が前記第4曲率半径よりは小さく、前記第5曲率半径よりは大きいことを特徴とする。
【0043】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記第4角度が前記第5角度より小さいことを特徴とする。
【0044】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、膨らんでいる関節具の最低点を基準に前側面が区間別に異なる曲率半径を有する大腿骨要素と、凹んでいる関節面の最低点を基準に前側面が区間別に異なる曲率半径を有するベアリング要素とを含み、前記大腿骨要素及び前記ベアリング要素は、伸展状態の膝が過伸展しようとする時、前記関節具が前記関節面に沿って前側方向にスライディングして前記関節面と複数の地点で接触することを特徴とする。
【0045】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記大腿骨要素は、前記関節具の最低点から第1曲率半径を有し、第1曲率半径中心から第1角度だけ前側方向に延長された第1区間を含み、前記ベアリング要素は、前記関節面の最低点から第4曲率半径を有し、第4曲率半径中心から第4角度だけ前側方向に延長された第4区間を含むことを特徴とする。
【0046】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記大腿骨要素は、前記第1区間の端部から第2曲率半径を有し、第2曲率半径中心から第2角度だけ前側方向に延長された第2区間と、前記第2区間の端部から第3曲率半径を有し、第3曲率半径中心から第3角度だけ前側方向に延長された第3区間を含み、前記ベアリング要素は、前記第4区間の端部から第5曲率半径を有し、第5曲率半径中心から第5角度だけ前側方向に延長された第5区間と、前記第5区間の端部から第6曲率半径を有し、第6曲率半径中心から第6角度だけ前側方向に延長された第6区間を含み、伸展状態の膝が過伸展しようとする時、前記第1区間及び前記第4区間、前記第3区間及び前記第6区間がそれぞれ接触地点を形成することを特徴とする。
【0047】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記第1曲率半径が前記第4曲率半径より小さく、前記第2曲率半径が前記第5曲率半径より小さく、前記第3曲率半径が前記第6曲率半径より小さいことを特徴とする。
【0048】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記第1区間の面積が前記第4区間の面積より小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0049】
本発明は、上記の実施例及び下記に説明する構成と結合、使用関係によって次のような効果を得ることができる。
【0050】
本発明は、膝が伸展した状態で膨らんでいる関節具を有する大腿骨要素がスライディングしながら凹んでいる関節面を有するベアリング要素上で複数の接触地点を有するように構成することによって、筋肉又は靭帯などが老化した高齢の患者が膝関節全置換術を受けた場合でも、過伸展現象が発生しないようにする、膝関節インプラントを提供する効果がある。
【0051】
本発明は、大腿骨要素が、膨らんでいる関節具の最低点から前側方向に一定領域において略扁平な形状を有するようにすることによって、大腿骨要素の膨らんでいる関節具がベアリング要素の凹んでいる関節面と1ポイント接触時には筋力などが弱いと接触地点の前方に傾きながら過伸展となる問題を、大腿骨要素の膨らんでいる関節具がベアリング要素の凹んでいる関節面と2ポイント接触をするようにし、筋力などが作用しなくてもインプラントの構造的形状によって膝の過伸展の発生を抑制する、膝関節インプラントを提供する効果を得る。
【0052】
本発明は、大腿骨要素の膨らんでいる関節具が最低点前側方向に複数の曲率半径を有するようにし、これに対応するベアリング要素の凹んでいる関節面も同様に最低点前側方向に複数の曲率半径を有するようにすることによって、前記関節具及び前記関節面が急に変化する外周面形状を有しないようにし、過伸展が発生するには、単純な曲率半径を有するインプラントに比べてより多い力を要する、膝関節インプラントを提供する効果がある。
【0053】
本発明は、関節運動をするインプラントの部位に特別な形状学的特徴を与えることによって、一定の境界領域を越えうる解剖学的動きが発生しようとする時、周辺筋肉、靭帯などの助けがなくても、インプラントの形状学的特徴によって、独自で前記解剖学的動きに反対する抵抗力を発生可能にする、膝関節インプラントを提供する効果がある。
【0054】
本発明は、大腿骨要素の関節具の区間別曲率半径が異なっても、それに対応するベアリング要素の関節面の区間別曲率半径よりも小さく構成することによって、曲率半径が同じ場合に余裕公差がないためタイトに結合して摩耗発生が増加する問題を解決し、凹んでいるベアリング要素の関節面上で膨らんでいる大腿骨要素の関節具が容易に関節運動できるように安定した余裕を与える、膝関節インプラントを提供する効果を得る。
【0055】
本発明は、大腿骨要素の第2区間の第2曲率半径が第1区間の第1曲率半径より小さくなるように構成し、大腿骨要素の第2区間で患者の通常の解剖学的形状を反映できるようにする、膝関節インプラントを提供する効果がある。
【0056】
本発明は、大腿骨要素の第3区間の第3曲率半径が第1区間の第1曲率半径よりは小さく、第2区間の第2曲率半径よりは大きくなるように構成し、伸展状態の膝が過伸展しようとする時、大腿骨要素の関節具がベアリング要素上でスライディングして2ポイント接触をするようにし、それ以上の過伸展を防止する、膝関節インプラントを提供する効果がある。
【0057】
本発明は、大腿骨要素の関節具の第1角度が第2角度より小さくなるように構成し、ベアリング要素の関節面上で大腿骨要素の関節具がスライディングする区間を最小化することによって、患者の挙動そのものが不自然になることを防止する、膝関節インプラントを提供する効果を得る。
【0058】
本発明は、ベアリング要素が、凹んでいる関節面の最低点から前側方向に一定領域において略扁平な形状を有するようにし、大腿骨要素の略扁平な第1区間が安着できるようにすることによって、伸展状態の膝が過伸展しようとする時、大腿骨要素の第1区間がベアリング要素の第4区間上でスライディングし、スライディングした後には2ポイント接触をするようにして、過伸展を防止する、膝関節インプラントを提供する効果がある。
【0059】
本発明は、ベアリング要素の第5区間の第5曲率半径が第4区間の第4曲率半径より小さくなるように構成し、ベアリング要素の第5区間で患者の通常の解剖学的形状を反映できるようにする、膝関節インプラントを提供する効果がある。
【0060】
本発明は、ベアリング要素の第6区間の第6曲率半径が第4区間の第4曲率半径よりは小さく、第5区間の第5曲率半径よりは大きくなるように構成し、伸展状態の膝が過伸展しようとする時、大腿骨要素の関節具がベアリング要素上でスライディングして2ポイント接触をするようにし、それ以上の過伸展を防止する、膝関節インプラントを提供する効果を得る。
【0061】
本発明は、ベアリング要素の第4角度が第5角度より小さくなるように構成し、ベアリング要素の関節面上で大腿骨要素の関節具がスライディングする区間を最小化することによって、患者の挙動そのものが不自然になることを防止する、膝関節インプラントを提供する効果がある。
【0062】
本発明は、第1区間の面積が第4区間の面積より小さくなるように構成し、ベアリング要素の第4区間上で大腿骨要素の第1区間が安定にスライディングできるようにする、膝関節インプラントを提供する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【0064】
【0065】
【
図3】伸展状態で従来の大腿骨要素とベアリング要素との1ポイント接合を示す図である。
【0066】
【
図4】
図3のインプラントが過伸展していることを示す図である。
【0067】
【
図5】本発明の一実施例に係る膝関節インプラントの斜視図である。
【0068】
【0069】
【
図7】本発明の一実施例に係る大腿骨要素の斜視図である。
【0070】
【0071】
【
図9】
図8の区間別曲率半径と角度を示す図である。
【0072】
【
図10】本発明の一実施例に係るベアリング要素の斜視図である。
【0073】
【0074】
【0075】
【
図13】本発明の一実施例に係る膝関節インプラントの伸展状態で接触地点を示す図である。
【0076】
【
図14】本発明の一実施例に係る膝関節インプラントの過伸展を防止する接触地点を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
以下、本発明に係る過伸展を防止する膝関節インプラントの好ましい実施例を、添付の図面を参照して詳細に説明する。下記する本発明の説明において、公知の機能又は構成に関する具体的な説明が本発明の要旨を却って曇らせると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。特に定義しない限り、本明細書における全ての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する技術者が理解する当該用語の一般的な意味と同一であり、仮に本明細書で使われた用語の意味と衝突する場合には、本明細書における定義に従う。
【0078】
本明細書では、患者の左膝に挿入される膝関節インプラントを基準に図面を描くものとする。
【0079】
図5は、本発明の一実施例に係る膝関節インプラントの斜視図であり、
図6は、
図5の分解斜視図である。
図5及び
図6を参照して説明すると、本発明である、過伸展を防止する膝関節インプラント1は、膝関節前置換手術時に用いられるインプラントであり、好ましくは、大腿骨の遠位部(Distal Portion)、脛骨の近位部(Proximal Portion)及び大腿骨の遠位部と脛骨の近位部との間に挿入されてよい。具体的には、
図5及び
図6に示すように、大腿骨要素10、ベアリング要素30、脛骨要素50で構成される。
【0080】
図7は、本発明の一実施例に係る大腿骨要素の斜視図である。
図7を参照して説明すると、前記大腿骨要素10は、大腿骨の膨らんでいる遠位端を一定部分切開した後、切開した部位に取って代わるように大腿骨遠位部に挿入されるインプラントを意味する。前記大腿骨要素10は、後述する膨らんでいる関節具11の最低点111を基準に、前側面11aが区間別に異なる曲率半径を有するように構成されてよい。このような異なる曲率半径により、筋肉又は靭帯などが老化した高齢の患者が膝関節全置換術を受けた場合でも、伸展状態の膝が、階段を下りる行為などによって過伸展しようとする時、後述する関節具11が後述するベアリング要素30の凹んでいる関節面31に沿って前側方向にスライディングして関節面31と複数の地点で接触するようにし、インプラントの構造的形状によって、過伸展現象が発生することを防止することができる。このような前記大腿骨要素10は、関節具11を含む。
【0081】
前記関節具11は、
図7に示すように、内側(Medial)と外側(Lateral)に区分される前記大腿骨要素10から下側方向に膨らんで構成された部分であり、これは、後述するベアリング要素30の関節面と接して関節運動を可能にする。
図8は、
図7のA-A’断面図であり、
図9は、
図8の区間別曲率半径と角度を示す図である。
図8及び
図9を参照すると、このような前記関節具11は、最低点111、第1区間113、第2区間115、第3区間117を含む。
【0082】
前記最低点111は、大腿骨要素10の屈曲面において最下の地点を表す部分であり、
図8及び
図9に示すように、下側方向に膨らんで構成された大腿骨要素10の関節具11において、膨らんでいる屈曲面のうち最下地点を意味する。患者がまっすぐ立っている伸展状態(Extension)で大腿骨要素10の前記最低点111は後述するベアリング要素30の関節面31における最低点311に接触するように構成されてよい。このような前記最低点111を基準に前側方向にある関節具11の表面を前側面11aといい、本発明は、このような前側面11aが様々な曲率半径を有することを特徴とする。
【0083】
前記第1区間113は、
図8及び
図9に示すように、前記関節具11における最低点111から第1曲率半径R1を有し、第1曲率半径中心C1から第1角度θ1だけ前側方向に延長された部分を指す。好ましくは、前記第1区間113はおよそ水平に構成されてよい。
【0084】
前記第1区間113は、全体的に膨らんでいる形状の前記関節具11上でおよそ水平に形成された部分であり、前記大腿骨要素10が後述するベアリング要素30の関節面31上でスライディングできるようにする。スライディングとは、前記大腿骨要素10が後述するベアリング要素30の関節面31上で前側方向に向かって滑ることを指し、滑るということは、大腿骨要素10の並進運動に限らず、並進運動と共に所定の回転運動もできる意味と解釈することが好ましい。
【0085】
前述したように、前記第1区間113は、ベアリング要素30上で大腿骨要素10のスライディングを誘導するものであり、前記第1区間113が過度に長くなると、患者の挙動そのものが不自然になることがあるため、前記第1区間113の長さは最小化することが好ましい。したがって、より好ましくは、前記第1角度θ1は後述する第2角度θ2よりも小さく構成されてよい(θ1<θ2)。
【0086】
詳細な内容は後述するが、階段を下りる行為などによって伸展状態の膝が過伸展しようとすることを防止するために、本発明は2箇所の接触地点を構成しており、その一方の接触地点が前記第1区間113に形成される。
【0087】
前記第1区間113の第1曲率半径R1と第1角度θ1について、これらを特定概念に限定するわけではないが、好ましくは、前記第1曲率半径R1は85mm、前記第1角度θ1は11°であり得る。
【0088】
前記第2区間115は、
図8及び
図9に示すように、前記第1区間113の端部1131から第2曲率半径R2を有し、第2曲率半径中心C2から第2角度θ2だけ前側方向に延長された部分を指す。
【0089】
前記第2区間115は、通常の患者の解剖学的形状に相応する部分であり、前記第1区間113が略水平な区間であるのに比べて、前記第2区間115は、通常の患者の解剖学的形状が具現されることにより、多少急に曲率が変わり得る。好ましくは、伸展状態の膝が過伸展しようとする時、前記第2区間115は後述するベアリング要素30の関節面31と接触しないように、前記第2曲率半径R2は前記第1曲率半径R1よりも小さく構成されてよい(R1>R2)。
【0090】
また、大腿骨要素10のスライディング誘導のための第1区間113が長くなると患者の挙動が不自然になるところ、前記第1区間113は最小化することが好ましいので、前記第2角度θ2は前記第1角度θ1よりも大きく構成されてよい(θ2>θ1)。
【0091】
前記第2区間115の第2曲率半径R2と第2角度θ2について、これらをある特定の概念に限定するわけではないが、好ましくは、前記第2曲率半径R2は26.5mm、前記第2角度θ2は14°であり得る。
【0092】
前記第3区間117は、前記第2区間115の端部1151から第3曲率半径R3を有し、第3曲率半径中心C3から第3角度θ3だけ前側方向に端部1171まで延長された部分を指す。前記第3区間117の端部1171を越えるさらに他の曲率半径を有する区間が構成され、該区間はパテラインプラント(図示せず)と接するが、前記第3区間117の端部1171を越える領域に関する説明は省くものとする。
【0093】
階段を下りる行為などによって伸展状態の膝が過伸展しようとすることを防止するために、好ましくは、本発明は2箇所の接触地点を構成しており、その一方の接触地点は前記第1区間113に形成され、他方の接触地点は前記第3区間117に形成されてよい。そのために、好ましくは、前記第3曲率半径R3は、前記第1曲率半径R1よりは小さく、前記第2曲率半径R2よりは大きく構成されてよい(R1>R3>R2)。
【0094】
前記第3区間117の第3曲率半径R3について、これをある特定の概念に限定するわけではないが、好ましくは、前記第3曲率半径R3は38.5mmであり得る。
【0095】
図10は、本発明の一実施例に係るベアリング要素の斜視図である。
図10を参照して説明すると、前記ベアリング要素30は、脛骨の近位端を一定部分切開した後、切開した部位を代替可能に脛骨近位部に挿入される脛骨要素50上に安着して前記大腿骨要素10の関節具11と接する構成を指す。前記脛骨要素30は、後述する凹んでいる関節面31の最低点311を基準に前側面31aが区間別に異なる曲率半径を有するように構成されてよい。このような互いに異なる曲率半径により、筋肉又は靭帯などが老化した高齢の患者が膝関節全置換術を受けた場合でも、伸展状態の膝が、階段を下りる行為などによって過伸展しようとする時、前記関節具11がベアリング要素30の凹んでいる関節面31に沿って前側方向にスライディングして関節面31と複数の地点で接触するようにすることによって、インプラントの構造的形状によって過伸展現象が発生することを防止することができる。このような前記脛骨要素30は、関節面31を含む。
【0096】
前記関節面31は、
図10に示すように、内側(Medial)と外側(Lateral)とに区分されるベアリング要素30において下側方向に凹むように窪んでいる部分を指す。これは、前記大腿骨要素10の膨らんでいる関節具11と接して関節運動を可能にする。
図11は、
図10のB-B’断面図であり、
図12は、
図11の区間別曲率半径と角度を示す図である。
図11及び
図12を参照すると、このような前記関節面31は、最低点311、第4区間313、第5区間315、第6区間317を含む。
【0097】
前記最低点311は、ベアリング要素30の凹んでいる関節面31の屈曲面のうち、最大に凹んでいる地点を示し、
図11及び
図12に示すように、下側方向に窪んでいるベアリング要素30の関節面31において凹んでいる屈曲面のうち最下地点を意味する。好ましくは、患者が真っすぐ立っている伸展状態(Extension)で、前述した前記大腿骨要素10の最低点111は前記ベアリング要素30の最低点311に接触するように構成されてよい。このような前記最低点311を基準に前側方向にある関節面31の表面を前側面31aといい、本発明は、このような前側面31aが様々な曲率半径を有することを特徴とする。
【0098】
前記第4区間313は、前記関節面31の最低点311から第4曲率半径R4を有し、第4曲率半径中心C4から第4角度θ4だけ前側方向に延長された部分を指す。好ましくは、前記第4区間313はおよそ水平に構成されてよい。前記第4区間313は、およそ水平に構成された前記第1区間113が安着する部分であるところ、前記第4区間313の面積は前記第1区間113の面積よりも大きく構成されることが好ましい。
【0099】
伸展状態の膝が過伸展しようとする時、前記大腿骨要素10の前記関節具11と接触する地点は前記第4区間313に形成されてよく、好ましくは、前記関節具11の第1区間113と前記第4区間313が接触地点Pを形成できる。
【0100】
前記大腿骨要素10の関節具11が前記ベアリング要素30の関節面31に安着して円滑な関節運動をするためには、前記関節具11の各区間別曲率が前記関節面31の各区間別曲率よりも小さく構成されることが好ましい。万一、前記関節面31の各区間の曲率が前記関節具11各区間の曲率と同一であれば、余裕公差がなくて関節具11と関節面31とがタイトに結合し、インプラントの摩耗を促進することがある。したがって、前記ベアリング要素の関節面31の曲率は、対応する前記関節具11の区間別曲率よりも大きく構成されることが好ましい。したがって、前記第4曲率半径R4は、前記第1曲率半径R1よりも大きく構成されてよい。
【0101】
前記第4区間313の第4曲率半径R4と第4角度θ4について、これらをある特定の概念に限定するわけではないが、好ましくは、前記第4曲率半径R4は85.5mm、前記第4角度θ4は5°であり得る。
【0102】
前記第5区間315は、前記第4区間313の端部3131から第5曲率半径R5を有し、第5曲率半径中心C5から第5角度θ5だけ前側方向に延長された部分を指す。
【0103】
前記第5区間315は、通常の患者の解剖学的形状に相応する部分であり、前記第4区間313がほぼ水平な区間であるのに比べて、前記第5区間115は通常の患者の解剖学的形状が具現されることによって、多少急に曲率が変わり得る。好ましくは、伸展状態の膝が過伸展しようとする時、前記第5区間315が前記関節具11と接触しないように、前記第5曲率半径R5は前記第4曲率半径R4よりも小さく構成されてよい(R4>R5)。
【0104】
前記第5区間315は、前記関節具11の第2区間115に対応する部分であり、前述したように、前記ベアリング要素30の関節面31上で前記大腿骨要素10の関節具10 が円滑な関節運動できるように、前記第5区間315の第5曲率半径R5は前記第2区間115の第2曲率半径R2より大きく構成されることが好ましい。
【0105】
前記第5区間315は、およそ水平な大腿骨要素10k第1区間113のスライディングを支持するが、スライディング区間が長くなれば、患者の挙動が不自然になる問題があり、前記第5区間315は最小化することが好ましいので、前記第5角度(θ5)は前記第4角度θ4よりも大きく構成されてよい(θ5>θ4)。
【0106】
前記第5区間315の第5曲率半径R5と第5角度(θ5)について、これらをある特定の概念に限定するわけではないが、好ましくは、前記第5曲率半径R5は27mm、前記第5角度θ5は9°であり得る。
【0107】
前記第6区間317は、前記第5区間315の端部3151から第6曲率半径R6を有し、第6曲率半径中心C6から第6角度θ6だけ前側方向に延長された部分を指す。階段を下りる行為などによって伸展状態の膝が過伸展しようとすることを防止するために、好ましくは、本発明は、2箇所の接触地点を構成しており、その一方の接触地点は前記第4区間313に形成され、他方の接触地点は前記第6区間317に形成されてよい。そのために、好ましくは、前記第6曲率半径R6は、前記第4曲率半径R4よりは小さく、前記第5曲率半径R5よりは大きく構成されてよい(R4>R6>R5)。
【0108】
前記関節具11の第1区間113と前記関節面31の第4区間313、及び前記関節具11の第3区間117と前記関節面31の第6区間317がそれぞれ接触地点Pを形成するので、本発明である膝関節インプラント1は、伸展状態の膝が階段を下りる過程で膝を伸ばすなどして過伸展しようとする時、複数の地点で接触地点Pが形成され、関節の過伸展を防ぐことができる。
【0109】
前記第6区間317は、前記関節具11の第3区間117に対応する部分であり、前記ベアリング要素30の関節面31上で前記大腿骨要素10の関節具10が円滑に関節運動できるように、前記第6区間317の第6曲率半径R6は前記第3区間117の第3曲率半径R3よりも大きく構成されることが好ましい。
【0110】
前記第6区間317の第6曲率半径R6について、これをある特定の概念に限定するわけではないが、好ましくは、前記第6曲率半径R6は39mmであり得る。
【0111】
図13は、本発明の一実施例に係る膝関節インプラントの伸展状態で接触地点を示す図であり、
図14は、本発明の一実施例に係る膝関節インプラントの過伸展を防止する接触地点を示す図である。以下では、
図13及び
図14を参照して説明する。
【0112】
患者が真っすぐ立つと膝は伸展した状態になり、このとき、大腿骨要素10の最低点111は、
図13に示すように、ベアリング要素30の最低点311と一致する1ポイント接触Pをする。
【0113】
このような状況で、膝関節全置換術を受けた患者が階段を下りたり、足の前部を床から上げるなどの行為をすると、伸展状態の膝は過伸展しようとする。
【0114】
この時、大腿骨要素10はベアリング要素30上でスライディングするが、これは、およそ水平な第1区間113と第4区間313によってなされる。
【0115】
大腿骨要素10がスライディングすると、
図14に示すように、前記大腿骨要素10の最低点111は前記ベアリング要素30の最低点311の前側方向に移動する。前記第1区間113の端部1131は前記第4区間313の端部3131と接触地点Pを形成でき、この時、大腿骨要素10の第3区間117はベアリング要素30の第6区間317の端部3171と別の接触地点Pを形成するようになり、これによって、伸展状態の膝が過伸展しようとする時に大腿骨要素10の関節具11とベアリング要素30の関節面31は2ポイント接触Pをし、それ以上の過伸展が防止される。
【0116】
以上の詳細な説明は本発明を例示するものである。また、前述した内容は、本発明の好ましい実施形態を挙げて説明するものであり、本発明は様々な他の組合せ、変更及び環境で利用可能である。すなわち、本明細書に開示された発明の概念の範囲、記述した開示内容と均等な範囲及び/又は当業界における技術又は知識の範囲内で変更又は修正が可能である。前述した実施例は本発明の技術的思想を具現するための最善の状態を説明するものであり、本発明の具体的な適用分野及び用途で要求される様々な変更も可能である。したがって、以上の発明の詳細な説明は、開示された実施状態に本発明を制限しようとする意図ではない。また、添付する特許請求の範囲は他の実施状態も含むものとして解釈されるべきである。
【国際調査報告】